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JP2004100500A - 燃料噴射弁およびそれを搭載した内燃機関 - Google Patents

燃料噴射弁およびそれを搭載した内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】噴射孔近傍で効果的に微粒化性能を向上させた燃料噴射弁と内燃機関を提供する。
【解決手段】燃料通路内にあるプレート部材111の面上の各噴射孔107間に、各噴射孔107の周方向に沿う様に溝201を設置して、溝201がある場所で越流502を作り、さらに噴射孔107内で縮流部602を形成して、噴射孔出口部での最大流速を大きくする効果により、微粒化性能をよくする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁に係り、微粒化に優れた燃料噴霧を形成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、流体通路を形成する内壁面に弁座を設けたバルブボディと、当接部が弁座から離座ならびに弁座に着座することによって流体通路を開閉する弁部材と、弁部材よりも流体下流側のバルブボディに取り付けられ、板厚方向に貫通するオリフィスを有するオリフィスプレートとを備え、オリフィスプレートの弁部材との対向面に弁部材の先端面とバルブボディの内壁面とで略円板状の流体室を形成し、当接部と弁座との開口部からオリフィスに至る流体流れを乱す障害物を設けた燃料噴射弁が知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、流体流れを乱す障害物として、当接部と弁座との開口部よりも流体下流側の弁部材先端面又はオリフィスプレートの弁部材との対向面の少なくともいずれか一方に設けた微細凹凸が記載されている。
【特許文献1】
特開平10−43640号公報(第2頁、図1及び図3)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、燃料が噴射孔に到達する前に擾乱を発生させ、噴霧粒径を小さくしている。しかし、効果的な燃料消費量の低減、および燃焼の未燃ガス成分(HC、CO)の排出量の低減のため、さらに微粒化を促進する必要がある。
【0004】
本発明の目的は、微粒化性能を向上できるようにした燃料噴射弁と、微粒化を向上した燃料噴霧により、燃料消費量の低減或いは燃焼の未燃ガス成分(HC、CO)の排出量の低減を図った内燃機関を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、噴射孔近傍で環状溝を含む各種溝を設置して、溝を越流した流れが噴射孔内で縮流する効果により噴射流速を大きくして、微粒化性能を向上する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最良の実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。以下の説明において、弁体の軸線を含み、かつその軸線に平行な面を縦断面と呼ぶことにする。
【0007】
図1は、燃料噴射弁の一実施例である通常時閉型の電磁式燃料噴射弁の構造を示す縦断面図である。(但し、本実施例の効果は電磁式燃料噴射弁に限定されるものではない。)図1の燃料噴射弁は、電磁コイル109を取り囲む磁性体のヨーク105と、電磁コイル109の中心に位置し一端がヨーク105と接触したコア106と、前記電磁コイル109が励磁されると所定量リフトする弁体102と、弁体102に対接するシート面110と、弁体102とシート面110の隙間を通って流れる燃料を噴射する燃料噴射室101、および燃料噴射室101の下に複数の噴射孔107を有するプレート部材111を備えている。
【0008】
コア106の中心には、弁体102をシート面110に押圧する弾性部材としてのスプリング108が備えてある。コイル109に通電されていない状態においては、弁体102とシート面110とが密着している。燃料は図示しない燃料ポンプによって圧力を付与された状態で燃料供給口より供給され、弁体102とシート面110の密着位置まで燃料噴射弁の燃料通路104は燃料で満たされている。コイル109に通電され、磁力によって弁体102が変位してシート面110から離れると、燃料は燃料噴射室101で軸中心付近に集約されたのち、プレート部材111に沿って外周方向に放射流状に流れて、複数の噴射孔107よりエンジンの吸気ポート等に向けて噴射される構造になっている。
【0009】
図2はノズル部の縦断面図である。本実施例の特徴は、図3に示すように燃料通路内にあるプレート部材111の面上の各噴射孔107間に、各噴射孔107の周方向に沿う様に溝201を形成していることである。この場合、溝201は各噴射孔107間に設置するので、必然的に噴射孔107に近傍に形成されることになる。また溝201は図3に示した環状溝以外にも、図4に示すように各噴射孔の周方向に沿う様に、噴射孔周方向長さと噴射孔径方向長さの比が1以上の不連続な溝401でも構わないが、越流を効果的に発生するためには、周方向長さが径方向長さよりも長い方が好ましく、環状溝の方がより好ましい。
【0010】
また図3に示すように、隣接する噴射孔107の間(溝201の外側)には平坦部(平面部)203が形成されている。この平坦部の隣接する噴射孔107間(溝201の外側)における距離(間隔)Lは、溝201の内縁と噴射孔107の外縁との距離(間隔)lよりも大きい(長い)。言い換えれば、間隔lは距離Lよりも短くなるように、溝201を噴射孔107に近接させて配置している。平坦部(平面部)203は後述する越流発生の効果を高めることができる。
【0011】
本実施例の作用と効果を、図5から7を用いて説明する。上述のような溝を形成することで、図5に示すように外周方向からきた燃料501が溝201がある場所で溝内にもぐり込み、越流502を形成して各噴射孔107に流れ込んで行く。その後、図6に示すように越流502を形成した流れの効果により、燃料流れ601は、噴射孔107の直径よりも若干小さい縮流部602を形成して、噴射孔107から噴射されていく。図7に噴射孔出口部での流速分布を示す。溝201を設置した場合、越流502および縮流部602を形成するため、噴射孔出口部での流速分布702が、溝201がない場合の流速分布701に比べて、最大流速が大きくなり増速していることがわかる。この増速の効果により、燃料と空気の気液界面604での乱れが促進され、渦603が多数形成され噴霧粒子605の粒径を小さくすることができる。
【0012】
図8に噴射孔107のまわりに形成した溝201の形状について示す。(A)は矩形溝801を形成した場合を、(B)はV字溝802を形成した場合を、(C)は噴射孔に近い側の溝内壁の傾斜角が遠い側の傾斜角に比べて大きい場合803を、それぞれ示している。(A)から(C)に示した溝形状はいずれも基本的には越流502を形成することができる。その中で特に(C)はより大きな越流502を形成することができる。なお、(B)および(C)の溝の底部形状は鋭角でなく、曲率があっても構わない。
【0013】
上記のことより本実施例の燃料噴射弁は、溝201がある場所で越流502を作り、さらに噴射孔107内で縮流部602を形成して、噴射孔出口部での最大流速を大きくする効果により、燃料と空気の気液界面604での乱れを促進し、微粒化性能をよくすることができる。
【0014】
図9から11は、本発明の燃料噴射弁のプレート部材111よりも上流の構造をそれぞれ、放射流型、衝突流型、フラット弁型にした実施例のノズル部の縦断面図を示している。
【0015】
図9の放射流型では弁体102とシート面110の隙間を通って流れる燃料を一度縮流する燃料縮流部901があり、この燃料縮流部901の下に燃料を外周方向に流す燃料外周放射室902、および燃料外周放射室902の下に複数の噴射孔107を有するプレート部材111を備えているのが特徴である。
【0016】
図10の衝突流型はプレート部材111の各噴射孔107を介して外部に噴射される燃料が互いに衝突点1001で衝突させてから噴霧方向を2方向にわけていることが特徴である。
【0017】
図11のフラット弁型は弁体1101が前述の図2および図10に示したボール弁型ではなくフラット型にしており、さらに弁体1101が上下して燃料をシートするシート面1102が弁体1101とプレート部材111の間にあるのが特徴である。
【0018】
放射流型、衝突流型、フラット弁型のいずれの型も図2に示した燃料噴射弁と比較して同等あるいはそれ以上の微粒化性能を出すことが可能である。
【0019】
図12は、図1に示した本発明にかかる燃料噴射弁1201を、内燃機関に搭載した一例を示すものである。燃料噴射弁は前記実施例に示したものと同様の電磁式燃料噴射弁を用いているので、その構成要素の説明は省略する。図12に示した内燃機関は、シリンダヘッド1202、吸気弁1203、燃料と空気との混合気に点火する点火プラグ1204、ピストン1205、シリンダ1206、排気弁1207、シリンダ1206内に空気を導入する吸気ポート1208、燃焼ガスをシリンダ1206内から排気する排気ポート1209から構成されている。また、燃料噴射弁1201には、噴射弁を駆動するための電流を供給するためのコネクタ1210が設置されている。
【0020】
なお、図12において、吸気弁1203は閉弁した状態で示してある。しかしながら、実際には、燃料噴射弁1201から燃焼室1211に対して燃料が噴霧状に噴射される際、吸気弁1203は開弁している。ここで、燃料噴射弁1201の噴射開始時期は、吸気弁1203が実際に開弁しているタイミングでも良いが、燃料の飛行時間を考慮して吸気弁1203が実際に開弁を開始する前でも良い。この場合噴射開始時の燃料は吸気弁1203が実際開弁するタイミングで吸気弁1203に到達するよう飛行時間が設定される。更に、許容できる範囲内であれば、噴射開始時の燃料が吸気弁1203が実際に開弁を開始する前に吸気弁1203に到達するように噴射開始時期を設定することもできる。
【0021】
上記実施例では、電磁式燃料噴射弁について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施例と同等の作用効果が得られる範囲で、電磁式以外の燃料噴射弁に汎用的にも適用されるものである。
【0022】
上記の各実施例によれば、噴射孔の近傍に微粒化のための手段が構成されるため、効果的な微粒化が可能である。
【0023】
上記のことより本発明の燃料噴射弁を備えた実施例の内燃機関では、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧の微粒化性能が優れているため、燃焼の未燃ガス成分(HC、CO)の排出量を低減できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、溝がある場所で越流を作り、さらに噴射孔内で縮流部を形成して、噴射孔出口部での最大流速を大きくする効果により、燃料と空気の気液界面での乱れを促進し、微粒化性能をよくすることができる。これによって内燃機関では、燃料噴霧の微粒化性能が優れているため、燃焼の未燃ガス成分(HC、CO)の排出量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す燃料噴射弁の縦断面図である。
【図2】本発明の燃料噴射弁における実施例のノズル部の縦断面図である。
【図3】本発明の燃料噴射弁における実施例のプレート部材の噴射孔入口側から見た平面図である。
【図4】本発明の燃料噴射弁における別の実施例のプレート部材の噴射孔入口側から見た平面図である。
【図5】本発明の燃料噴射弁における実施例の噴射孔入口部付近に設置した環状溝周辺での越流の様子を示した図である。
【図6】越流による増速および渦流れによる微粒化促進の様子を示した図である。
【図7】本発明の燃料噴射弁における実施例の噴射孔出口部の流速分布を示した図である。
【図8】本発明の燃料噴射弁における実施例の溝の形状を示した図である。
【図9】本発明の燃料噴射弁のプレート部材よりも上流の構造を放射流型にした実施例のノズル部の縦断面図である。
【図10】本発明の燃料噴射弁のプレート部材よりも上流の構造を衝突流型にした実施例のノズル部の縦断面図である。
【図11】本発明の燃料噴射弁のプレート部材よりも上流の構造をフラット弁型にした実施例のノズル部の縦断面図である。
【図12】本発明の燃料噴射弁を内燃機関に搭載した実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
101…燃料噴射室、102…弁体、103…ノズル部、104…燃料通路、105…ヨーク、106…コア、107…噴射孔、108…スプリング、109…コイル、110…シート面、111…プレート部材、201…溝、202…噴霧、301…噴射方向、302…噴射方向、401…溝、501…燃料の流速ベクトル、502…越流、601…燃料流れ、602…縮流部、603…渦、604…気液界面、605…噴霧粒子、701…溝がない場合の燃料の流速分布、702…溝がある場合の燃料の流速分布、801…矩形溝、802…V字溝、803…噴射孔に近い側の溝内壁の傾斜角が遠い側の傾斜角に比べて大きい場合、901…燃料縮流部、902…燃料外周放射室、1001…噴霧衝突点、1101…弁体、1102…シート面、1201…燃料噴射弁、1202…シリンダヘッド、1203…吸気弁、1204…点火プラグ、1205…ピストン、1206…シリンダ、1207…排気弁、1208…吸気ポート、1209…排気ポート、1210…コネクタ、1211…燃焼室。

Claims (6)

  1. 板厚方向に貫通する複数の噴射孔を有するプレート部材と、該プレート部材の上流側に弁座と、該弁座との間で燃料通路の開閉を行う弁体と、該弁体を駆動する駆動手段とを備えた燃料噴射弁において、前記燃料通路内にある前記プレート部材面上の各噴射孔間に、平坦部と、各噴射孔の周方向に沿う様に形成した溝とを設けたことを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、噴射孔の周囲に形成した溝と前記噴射孔との間隔は、噴射孔間に形成した前記平坦部の長さよりも小さいことを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項1に記載した燃料噴射弁において、前記プレート部材面上の各噴射孔間に設置した溝が環状になるように加工したことを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 請求項1に記載した燃料噴射弁において、前記プレート部材面上の各噴射孔間に設置した溝の鉛直断面がV字形状になるように加工したことを特徴とする燃料噴射弁。
  5. 請求項4に記載した燃料噴射弁において、前記プレート部材面上の各噴射孔間に設置したV字形状溝の噴射孔に近い側の溝内壁の傾斜角が、噴射孔に遠い側の溝内壁の傾斜角に比べて大きくなるように加工したことを特徴とする燃料噴射弁。
  6. シリンダと、このシリンダの中で往復運動するピストンと、前記シリンダ内に空気を導入する吸気手段と、燃焼ガスを前記シリンダ内から排気する排気手段と、前記シリンダ内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に燃料タンクから燃料を供給する燃料供給手段と、前記吸気手段によって前記シリンダ内に導入した空気と前記燃料噴射弁によって前記シリンダ内に噴射された燃料との混合気に点火する点火装置とを備えた内燃機関において、前記燃料噴射弁として、板厚方向に貫通する複数の噴射孔を有するプレート部材と、該プレート部材の上流側に弁座と、該弁座との間で燃料通路の開閉を行う弁体と、該弁体を駆動する駆動手段とを有し、前記燃料通路内にある前記プレート部材面上の各噴射孔間に、平坦部と、各噴射孔の周方向に沿う溝とを形成した燃料噴射弁を備えたことを特徴とする内燃機関。
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