JP2004191336A - 検査用チップ - Google Patents
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Abstract
【目的】主に多項目の成分を光学的に測定する場合、ほぼ同時に複数の試薬層へ試料液を供給し、且つ発色反応がむらなく行い得る検査用チップを提供する。
【構成】その一端が、試料の滴下部と接続し、他端が、試薬部の中心に、当該試料を供給し得るような構成を有する流路を形成してなる。
【選択図】図1
【構成】その一端が、試料の滴下部と接続し、他端が、試薬部の中心に、当該試料を供給し得るような構成を有する流路を形成してなる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、体液等の成分情報を主に光学的に得るための検査用チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
体液の成分を光学的に測定する検査用チップには、例えば、特開平07-77525号が例示される。
当該先行技術は、一つの体液滴下部とこの滴下部に連結した複数の毛管構造流路を複数持ち、他端に項目ごとに異なる試薬部を配置したものが記載されている。特開昭55-115346号には、展開シートに複数の試薬層が輪郭に沿って積層されており、1回の滴下により、複数の項目が測定される構成が示されている。
その他、特開平10-78432号公報には、滴下部と、試薬部が、ずらされて配置され、多孔質部材を流路として使用し、または血球分離機能を付与したもの等が記載されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
これらは、いずれも、試薬部を発色させて、その発色量により、成分濃度を測定するための構成を有するものであるが、滴下する試料の量や、希釈濃度の影響により、試薬部の発色にばらつきが生じる。
このばらつきは、中央と、周辺で、明らかに相違し、中央だけ色が濃くなる現象が生じ、光学的測定において、誤差の原因となり正確な成分測定が困難になった。
【0004】
更にこの様な試薬の発色にばらつきがある原因は、このような、試料と試薬部の浸透のメカニズムだけでなく、素材そのもののばらつきも大きな原因となっている。
このばらつきは、量産単位である、ロットごとにおおくばらつき、その補正が必要となってくる。
その補正は、特開平03-336717号公報では、試薬部チップと同程度の大きさの坦体に、補正のための光学的情報を読みとり可能に表示したコードキャリアを有することが開示されている。
この様なテストキャリアは、特に別途構成を付加することなく、いわゆるソフトウエア的情報の処理によって、補正情報を得ることができる点で、好ましいが、コードキャリアの全体を読む必要があり、別途、情報の処理工程を作り替えなければならないことが多く、負担が大きい。
【0005】
又、体液の内、より診断に有効な血液を使用する場合、その血液の採取において、より無痛であり、ダメージ少ないものが好ましいが、その中で、実開平5-63506号公報には、単に皮膚を吸引するだけで、血液を皮膚表面に表出させる構成が開示され、吸引力と、穿刺による痛みを相殺して、実質無痛を実現している。
しかしながら、その後、皮膚から血液を採取する工程については何ら開示されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この様な現象に対し、鋭意研究の結果、この様なばらつきが、試料の浸透方向に原因があることを見いだす。即ち、先行技術においては試薬部への浸透が主に輪郭から中心に向かって行われるため、結果的に中心に試料が集まることが、原因の一つとして掲げられ、この原因を解決すべく、試薬部の中心に試料を滴下することで、ばらつきを抑え、一様な発色をおこなう検査用チップを実現した。
本発明は、その一端が、試料の滴下部と接続し、他端が、試薬部の中心に、当該試料を供給し得るような構成を有する流路を形成してなり、滴下部と、流路及び試薬部の3つの構成よりなり、更に試薬部の中央に体液を滴下する構成を有する必要があるため、立体的構成を有する。
即ち、滴下部と、試薬部層には、所定の高低差があり、滴下部が試薬部層よりも高い位置にあり、流路は、毛管状に滴下部と、試薬部層とを接続するような構成が最初に例示され、重力を利用して試料液の移動を行う。
その他、全くこれを逆にして、負圧により、流路上の試料液を下から上へ移動させる構成も例示される。
滴下部は、例えば、個々の試薬部層で、測定可能な程度に発色する量の試料を、貯留可能な大きさがあることが好ましいが、流路での試料の流れが、迅速な場合等、より小さい場合もある。
【0007】
本発明における流路は、毛管現象を惹起し得る程度の口径が例示され、0.1mm〜2.0mm好ましくは1mm前後で適宜選択される。
本発明では、より短い流路が好ましい場合もあるが、試薬部層が複数の場合は、流れやすい方に流れ、偏った試料の供給が行われてしまい発色に偏りが生じる。
したがって、その長さも、2〜4mm程度が例示されるが、場合によっては、より長くてもよくこの範囲に限るものではない。又、試薬の発色速度の相違や試薬部層への試料溶液の浸透速度の相違等から、それぞれ異なる長さの流路の設定や、流路の口径がそれぞれ異なるようにすることで、試料溶液の試薬部への到達時間や、到達量を調整して発色速度を調整する場合もある。
又、試料は、ある程度粘性をもっており、毛管上での動きが鈍い場合が多々ある。このような場合、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij(商標)等)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ツイーン20(商標)等)、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(カチナールMPAS(商標)等)、塩化ベンザルコニウム、等界面活性剤を塗布することで、スムーズな試料の移動が可能となるのである。
本発明の試薬部は、試薬を含浸した多孔質シートを2枚重ねて形成されることが発色性を管理コントロールできる点で好ましい。
試薬としては、測定項目によって相違するが、例えば、例えば、グルコース、尿素、窒素、クレアチニン、尿酸、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、コレステロール、トリグリセリド、総ビリルビン、カルシウム、無機リン、総タンパク質、アルブミン、アンモニア、ヘモグロビン等の化学物質、及び、γ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GPT)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、クレアチンフォスフォキナーゼ、乳酸脱水素酵素(LDH)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、アミラーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ等の酵素などを挙げることができる。
又、シートを2枚重ねる必要がなく1枚の場合も、多孔質シートの形状構造によって選択されてもよい場合もある。
本発明では、試薬部を校正するシート状部材の中心に試料液が滴下される構成であれば良く、試薬部の数は1乃至複数で、特に限定されるものではないが、試薬部の発色を正確に同時に複数行う場合は、作業の簡便さを得る上で好ましい。
【0008】
補償用チップ
本発明は、試料と試薬との化学的反応によって、発色させ、その発色の程度によって、成分濃度を算出するものであることから、試薬の酸化の程度などに応じ、同一と見なされる環境、及び行程によって製造された試薬部層であっても、実際の発色反応においては、製造単位ごとにずれが生じる場合が多々ある。
このずれを補償するために用いられる補償用データを光学的に読みとることが可能な情報として当該試薬部層に配置することで、測定アルゴリズムと同様の測定を行って、ロットごとの品質のばらつきを補償することを可能とする。
その場合、情報は、一つの試薬部に対し、白黒を付して1ビットのデジタル値を形成する他、白黒青の3通りで、一つの情報を形成する多値理論に基づいた情報としてもよい。
【0009】
採血具
本発明で示す採血具は、皮膚を吸引し、穿刺して、皮膚を損傷させ、血液を表出させた後、これを採取する構成を示すものである。
その為の構成例として、少なくとも2つの減圧室と、中空的な針及び時間的な要素を持つ吸引行程をもつ構成を示す。
中空的なとは、溝状でも良いことを示すものであり、少なくとも、穿刺手段及びその周辺に沿った局所的な吸引が可能な状態を示すものである。穿刺手段は、皮膚を損傷させるような刃物、鋭利な先端をもった針が例示されるが、損傷可能なものであれば、特に限定されない。
また、皮膚を吸引するタイミングと中空的な穿刺手段に沿った吸引のタイミングは、最初両方の吸引を行った後、皮膚への吸引を解除し、中空的な穿刺手段の吸引のみを持続する過程、最初皮膚への吸引を行った後、これを解除し、中空的な穿刺手段の吸引を行う過程が示され、そのための一体的な構成が好適であるが、この過程をとり得る限り、吸引部が別個に設けられたりしてもよいものである。
尚、本実施例の採血具のような構成だけではなく、少なくとも、皮膚を吸引し、盛り上がらせる為の第1の減圧手段、と、穿刺後、皮膚表面に表出した血液を、穿刺具を中空的にするか、その周辺に設けられた吸引口を有する第2の減圧手段とを具備し、少なくとも第1の減圧手段の減圧が解除され、皮膚と針が離れた状態で、第2の減圧手段が動作している状態を形成する手段の組み合わせであれば良いものである。
【0010】
【実施例】
次に図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
図1において、図1( a )は、滴下用口方向からみた検査チップであり、(b)は、図1(a)の裏面であり、測定面である。A−A’からみた断面図を図2に示す。
11は、蓋部であり、PET、ポリエステル、PP,PE、ABS、TPX等で形成されている。
12は、底部支持体であり、その一部が延びて把持部13を形成している。
18は、蓋部11と底部支持体12とを結合する為のネジ部であり、4隅で両者を固定している。
14は、滴下用口であり、試料を滴下するための部分である。15は、流路であり、幅1mmであり、長さ7mmくらいである。
19は、展開ユニットであり、滴下用口14、流路15及び、供給用口16を形成する。展開ユニット19上の流路15は、5度くらいの傾きRを持って形成されている。
流路の傾きは、これに限るものではなく、傾きが無い、平坦な状態から、より急峻な状態であっても良い場合もある。
図4は、例えば図3で示す位置に配置された展開ユニット19を示した図であり、断面の形状についての数例を(b)、(c)に示した。図4(b)の流路15は、展開部22の中心から、傾きを持っている構成を有するのに対し、図4(c)の流路15は、展開部22が平坦で、蓋部11に覆われる面以降に傾きをつけたものを示している。何れも、各部へ所定量の体液が流れるために選択的に用いられるものであり、より、スピーデイに、体液の移動を促す場合、図4(b)の構成が適当である。
供給用口16の周辺は、その他の部分より多少突出した突出部17を形成する。
突出部17は、試薬を供給用口16以外の部分で均一に押圧固定する場合に好適である。展開ユニット19は、独立した構成を有しているが、これに限らず、底部支持体12,或いは蓋部11と一体的な構成をとっても良い。
20は、測定側試薬層であり、21は、試薬層である。測定側試薬層20と試薬層21は、互いに同じ試薬が含浸されているものであり、シートも同一のもので構成されているが、互いに異なることで、フィルタ機能や、発色促進作用の為の金属材等を含浸させてもよい。 流路15は、図4(d)に示すように、底部支持体の両隅を、球状にすることで、試料液の残留を抑えることができる。
又、測定側試薬層20の測定面には、試料溶液の過多による漏れを防止するため、透明なフィルムを、多少空隙を設けるようにして、積層させても良い。
透明なフィルムとは、少なくとも測定光Fを損失無く通過するものであれば如何なるものであっても良い。
【0011】
試薬層は、12個用意されているが、6、15等その他の項目の追加削除をした場合があってもよい。図3は、蓋部11、展開ユニット19、両試薬層20、21及び底部支持体12の各部分品を分離した状態を示す。この順番で、積層的に設置固定することで、図1で示す実施例が形成される。固定は、蓋部11の四隅に設けられたネジ部18の累合により行われてもよく、その他、接着剤の塗布による結合、機械的係合等による結合であってもよい。 121は、観察用窓であり、発色状態を目視或いは電気光学的に読みとるための部分である。本実施例では、主に観察用窓121に表出した試薬層の表面を反射した光を検出し、比色等により成分濃度の測定をしているが、これに限らず、透過光を利用するものであっても良い。その際、蓋部を透明なプラスチック素材、その他透光性部材により構成することで、試薬層を通過した光を上部で検出することも可能となる。
図1で示す検査チップの動作について図2を参照して説明する。
滴下する試料溶液BBは、血液、赤血球等を分離した血清、又は、これらを希釈した溶液であり、中央の滴下用口14に滴下する。滴下量は、各試薬層に試料溶液BBが行き渡り、試薬層の試薬と反応可能な程度が、例示されるが、目的とする試薬層が全てとは限らず、適宜選択される。
滴下された試料溶液BBは、個々の流路15を浸透していくが、その際、蓋部11と、流路15により、毛管状態となった部分の毛管作用が、浸透を適度に妨げることにより、各流路15への浸透が一様に行われていき、試薬層21の中央に配置された供給用口16より、試料溶液BBが、試薬部へ供給され、両試薬層20、21の中心から外側へ向かって試料溶液が浸透し、試料溶液の成分と試薬とが発色反応する。発色した状態を、観察用窓121から、観察し(L)、色を調べて成分濃度を測定する。
これらは、何れも等しい速度で、浸透していくが、試薬との反応が迅速な場合や、遅延するものが多く、特に等しい流路や、均一な配置は必要でなく、図7で示すような、アンバランスな配置であってもよい。図7において、21は、試薬層であり、161は、供給用口、151は、流路である。展開口141は、長方形状であり、個々の流路151は、それぞれ供給用口161に接続し、図1で示したものと基本的構成は変わらない。
このような、観察窓121の配列は、そのパターンにより情報を付加するものであってもよく、例えば、そのパターンにより、検査用チップの測定対象、ロット情報等がわかるようにしたものであっても良い。
図1で示す実施例は、主に血清等血球を分離した状態の溶液を使用する構成であるのに対し、図5(a)(b)は展開口22上にリング状のフィルタ23を配置した構成を示す。フィルタ23は、血球を分離する機能等を付加することが好ましいが、目的に応じ様々な素材が使用される。フィルタ23の一例として、ヘマセップ(商標)L膜等が例示される。
又、フィルタ23は、リング状で、中央に試料溶液を滴下する構成であるが、これを円盤状にしたものであってもよい。
【0012】
次に試薬層の製造過程で生じる誤差を補正する場合に使用される校正部材の一例を図6(a)(b)に示す。図6(b)は、図6(a)のE−E’部位での切断断面図である。
大きさ、構成は、図1で示した検査用チップと同程度であり、試薬部に相当する部分に色による情報表現24を付したものを示す。当該情報は、白、黒の2つの値からなるデジタル値として利用可能である。
この様に、試薬部に相当するところにデータを付することで、校正のデータを光学的に読み込むために、試薬層の色を読むためのルーチン、構成をそのまま利用できる点で有益である。
又、情報表現24は、白、黒の他、青、赤等にすることで、いわゆる多値情報として使用することができ、その際、情報量を増やすことができる。
例えば2値の場合であって、試薬部の数が、15個くらいであると、2の15乗の情報量が含まれるが、これを白、黒、赤、青の4値にすれば4の15乗の情報を含ませることができるのである。この様な、情報表現を、各試薬部層を読みとる要領に従って、読みとることで、製造単位ごとの品質のむらにより生じる誤差の校正をすることができる。
【0013】
次に採血具の一例を図8に示し説明する。
201は、皮膚を吸引するための吸引室であり、半球状であって、吸引室201の開口面を皮膚に押し当てることにより、吸引室201内を気密状態とすることができる。
202は、中空状の穿刺具であり、固定されており、中空部213は、導管214を介して、第2減圧部211に接続している。203は、ピストン部であり、同心円リング状を形成し、支持部材204を介して把持部205と接続する。第2減圧部211は、把持部205、支持部材204及び円筒状部材209で囲まれる空間により形成されている。
支持部材204は、円筒状で形成され、把持部205は、円盤状で形成されている。207、208は、連結管であり、第1減圧部210と、吸引室201とを連結する。
209は、円筒状部材であり、内部をピストン部203が上下に摺動するための部分である。
210は、第1減圧部であり、ピストン部203が上方向へ移動した場合に生じる箇所のことを示す。
212は、弁であり、必要に応じて取り付けられるものである。
弁212は、外部と円筒状部材209の内部とを接続する接続管206に位置し、その開閉により、円筒状部材209の内外の連結を例えば電磁的、手動的に遮断乃至接続させるためのものであり、皮膚を吸引する時間を調整したりする場合等、動作を制御する場合、好適である。
【0014】
次に動作を、図9、図10を参照して詳細に説明する。
吸引室201を皮膚Hに当接させ、気密な空間を形成する。次に、把持部205を上方向に上げる。第2減圧部211の容積が大きくなると共に第1減圧部210の容積も大きくなり、導管214、連結管207,208を介して、第1減圧部210、第2減圧部211の減圧空間と吸引室201が接続し、皮膚Hを吸引する。皮膚の吸引により、皮膚が盛り上がり穿刺具202と接触して、穿刺状態となり皮膚は損傷する。(図9(a))
更に、把持部205を上昇させ、第1減圧部210と、接続管206が接続した時点で、第2減圧部は、大気圧に戻る。
【0015】
第1減圧部210が大気圧の状態に戻ると、皮膚Hは、元に戻る。
その際損傷している部分SLから、血液が表出BLするが、第2減圧部211は、そのまま減圧状態を保つことから、中空穿刺具202の中空部213が、この表出した血液BLを吸引して内部に保持する(図9(C))。吸引が解除されているため、皮膚から穿刺具を、血液BLを中空部213内に保持したまま、容易に取り除くことができ、図9(d)で示すように、収容槽BSに、把持部205を円筒部材209方向に押し下げることで、第2減圧部211内の空気を、導管214を介して中空部213内の血液BLに圧力として加えて血液を採取する。
この様な動作により、表出した血液を少なくとも把持部の上下の移動で、採取することが可能となる。
【0016】
更に本発明に係る採血具は、より少ない血液で、多数の項目を測定する場合に必要となる場合が多い希釈液と血液との混合工程を容易に実現する。
図10にその一例を示す。
図10(a)において、最初、希釈液槽KTに、穿刺具202を浸し、把持部205を所定量、引き上げる、第2減圧部211の容積の増加に伴い、希釈液Kは、中空部213内に収容される(KF)。把持部205の所定量の引き上げにより、定量の希釈液(KF)が、中空部213内に収容される。
次に、この状態のまま、吸引部201を皮膚Hに当接する。当接後、更に把持部205を引き上げる。
この引き上げにより、第1減圧部210は、減圧作用を行い、皮膚Hを吸引し、皮膚を盛り上がらせる。
穿刺具202と、皮膚Hは,穿刺状態を形成する(図10(b))。接続管206と、第1減圧部210とが連結すると、第1減圧部210内を大気圧に戻す。
その結果、皮膚の盛り上がりは解消され、皮膚は、穿刺具202から離れる。
その結果、損傷部Sから血液が表出するが、第2減圧部211の減圧力により、表出した血液は、中空部213に収容され、中空部213には、希釈液KF、と血液BFとが収容された状態となる。(図10(c))
この状態で、皮膚から採血具を離し、収容部BS上部に穿刺具202を配置し、把持部205を押し下げることで、中空部213内の、希釈液KFと、血液BFは、収容部BSに順に滴下(KBF)し、適度な撹拌により、希釈液と血液の混合状態が形成される。
この様に、把持部の引き上げにより、希釈液と血液の定量的採取が可能となるのである。
【0017】
更に本発明の他の実施例を図11に示し、詳細に説明する。
同一の構成部分は、図8と同一の番号を付した。215は、把持部205が上下に摺動する際、スムーズに行われるためのガイド筒であり、円筒状部材209と一体的に形成されることが好ましいがこれに限らない。
216は、第1弾力性部材であり、ピストン部203の外側の面と、円筒状部材203の上部内面間に介在している。第1弾力性部材216は、図示したようなコイル状のバネや、板バネ、ゴムなど、復元力のあるものであれば、如何なるものも適用可能である。
219も第1弾力性部材216と同様の構成を有する第2弾力性部材であり、円筒状部材209と、押圧部218の内側間に配置されている。
217は、係止部であり、押圧部218との一体的構成により係止用支持体221を形成している。220は、軸部であり、円筒状部材209と、係止用支持体221を連結しながら、係止用支持体221が、軸部220を中心にして回動可能になるように、組み合わされている。係止部217は、通常、第2弾力性部材219の復元力によりガイド筒215内に突出している。
【0018】
次に図11の動作を説明する。
初めに把持部205を下方向にその縁部が、係止部217を外側に押しのけて、係止するまで、押圧する。
把持部205が係止部217と、係止状態となった図を、図11(a)で示す。
この状態で、第1弾力性部材216は、伸張され、伸縮して元に戻ろうとする力が貯められている。
図1(a)で示す状態のまま、吸引部201を採血箇所へ当接し、皮膚と吸引室内を気密状態とする。
次に、押圧部218を円筒状部材209方向へ押すと、係止部217は、軸部220を中心に回動し、把持部205の縁部と、係止部217が離れると、第1弾力性部材216の復元力により、ピストン部203が上方へ移動し、第一減圧部210、第2減圧部211の容積が大きくなろうとし、吸引室内201内の皮膚Hを吸引する。
皮膚Hは、盛り上がり、固定された穿刺部202と、接触、穿刺関係が形成される(図11(b))。
【0019】
ピストン部203は更に上方へ移動し、併せて皮膚Hの吸引を継続的に行うことで、穿刺を十分に行う。
ピストン部203が、上方へ移動し、接続管206を通過して、接続管206と第一減圧部210とが連結すると、第一減圧部210内は、大気圧に戻り、皮膚Hは、元に戻るが、穿刺により損傷した部位SLから表出した血液は、第2減圧部211の吸引力に起因して中空部213に吸い込まれる。
係止部支持体221は、押圧部218の押圧力が解除されるため、第2弾力性部材219の反発復元力により、元に戻り、係止部217は、ガイド筒215内に突出した状態で静止する。
以上説明のように、本実施例では、把持部205を押圧して係止部217と、把持部205との係止関係を形成して、皮膚の採血部位(例えば上腕部)へ乗せ、押圧部218を押しさえすれば、血液の採取を可能とすることから、利用者単独で、行うことができることから、使い勝手がより向上するものである。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述のごとく本発明は、試料液の多項目試薬層への定量的配分と、均一な発色を実現し、正確な光学的測定を可能とすると共に、測色工程と同様の工程で、製造工程で生じる誤差の構成のための校正用データの収集、及び希釈定量的な血液の採取を可能とする等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例を説明する為の断面図である。
【図4】本発明の実施例を説明する為の図である。
【図5】本発明の実施例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【図10】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【図11】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【符号の説明】
11 蓋部
12 底部支持体
13 把持部
14 滴下用口
15 流路
16 供給用口
17 突出部
18 ネジ部
19 展開ユニット
20 測定側試薬層
21 試薬層
22 展開部
23 フィルタ
24 情報表現
【産業上の利用分野】
本発明は、体液等の成分情報を主に光学的に得るための検査用チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
体液の成分を光学的に測定する検査用チップには、例えば、特開平07-77525号が例示される。
当該先行技術は、一つの体液滴下部とこの滴下部に連結した複数の毛管構造流路を複数持ち、他端に項目ごとに異なる試薬部を配置したものが記載されている。特開昭55-115346号には、展開シートに複数の試薬層が輪郭に沿って積層されており、1回の滴下により、複数の項目が測定される構成が示されている。
その他、特開平10-78432号公報には、滴下部と、試薬部が、ずらされて配置され、多孔質部材を流路として使用し、または血球分離機能を付与したもの等が記載されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
これらは、いずれも、試薬部を発色させて、その発色量により、成分濃度を測定するための構成を有するものであるが、滴下する試料の量や、希釈濃度の影響により、試薬部の発色にばらつきが生じる。
このばらつきは、中央と、周辺で、明らかに相違し、中央だけ色が濃くなる現象が生じ、光学的測定において、誤差の原因となり正確な成分測定が困難になった。
【0004】
更にこの様な試薬の発色にばらつきがある原因は、このような、試料と試薬部の浸透のメカニズムだけでなく、素材そのもののばらつきも大きな原因となっている。
このばらつきは、量産単位である、ロットごとにおおくばらつき、その補正が必要となってくる。
その補正は、特開平03-336717号公報では、試薬部チップと同程度の大きさの坦体に、補正のための光学的情報を読みとり可能に表示したコードキャリアを有することが開示されている。
この様なテストキャリアは、特に別途構成を付加することなく、いわゆるソフトウエア的情報の処理によって、補正情報を得ることができる点で、好ましいが、コードキャリアの全体を読む必要があり、別途、情報の処理工程を作り替えなければならないことが多く、負担が大きい。
【0005】
又、体液の内、より診断に有効な血液を使用する場合、その血液の採取において、より無痛であり、ダメージ少ないものが好ましいが、その中で、実開平5-63506号公報には、単に皮膚を吸引するだけで、血液を皮膚表面に表出させる構成が開示され、吸引力と、穿刺による痛みを相殺して、実質無痛を実現している。
しかしながら、その後、皮膚から血液を採取する工程については何ら開示されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この様な現象に対し、鋭意研究の結果、この様なばらつきが、試料の浸透方向に原因があることを見いだす。即ち、先行技術においては試薬部への浸透が主に輪郭から中心に向かって行われるため、結果的に中心に試料が集まることが、原因の一つとして掲げられ、この原因を解決すべく、試薬部の中心に試料を滴下することで、ばらつきを抑え、一様な発色をおこなう検査用チップを実現した。
本発明は、その一端が、試料の滴下部と接続し、他端が、試薬部の中心に、当該試料を供給し得るような構成を有する流路を形成してなり、滴下部と、流路及び試薬部の3つの構成よりなり、更に試薬部の中央に体液を滴下する構成を有する必要があるため、立体的構成を有する。
即ち、滴下部と、試薬部層には、所定の高低差があり、滴下部が試薬部層よりも高い位置にあり、流路は、毛管状に滴下部と、試薬部層とを接続するような構成が最初に例示され、重力を利用して試料液の移動を行う。
その他、全くこれを逆にして、負圧により、流路上の試料液を下から上へ移動させる構成も例示される。
滴下部は、例えば、個々の試薬部層で、測定可能な程度に発色する量の試料を、貯留可能な大きさがあることが好ましいが、流路での試料の流れが、迅速な場合等、より小さい場合もある。
【0007】
本発明における流路は、毛管現象を惹起し得る程度の口径が例示され、0.1mm〜2.0mm好ましくは1mm前後で適宜選択される。
本発明では、より短い流路が好ましい場合もあるが、試薬部層が複数の場合は、流れやすい方に流れ、偏った試料の供給が行われてしまい発色に偏りが生じる。
したがって、その長さも、2〜4mm程度が例示されるが、場合によっては、より長くてもよくこの範囲に限るものではない。又、試薬の発色速度の相違や試薬部層への試料溶液の浸透速度の相違等から、それぞれ異なる長さの流路の設定や、流路の口径がそれぞれ異なるようにすることで、試料溶液の試薬部への到達時間や、到達量を調整して発色速度を調整する場合もある。
又、試料は、ある程度粘性をもっており、毛管上での動きが鈍い場合が多々ある。このような場合、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij(商標)等)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ツイーン20(商標)等)、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(カチナールMPAS(商標)等)、塩化ベンザルコニウム、等界面活性剤を塗布することで、スムーズな試料の移動が可能となるのである。
本発明の試薬部は、試薬を含浸した多孔質シートを2枚重ねて形成されることが発色性を管理コントロールできる点で好ましい。
試薬としては、測定項目によって相違するが、例えば、例えば、グルコース、尿素、窒素、クレアチニン、尿酸、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、コレステロール、トリグリセリド、総ビリルビン、カルシウム、無機リン、総タンパク質、アルブミン、アンモニア、ヘモグロビン等の化学物質、及び、γ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GPT)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、クレアチンフォスフォキナーゼ、乳酸脱水素酵素(LDH)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、アミラーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ等の酵素などを挙げることができる。
又、シートを2枚重ねる必要がなく1枚の場合も、多孔質シートの形状構造によって選択されてもよい場合もある。
本発明では、試薬部を校正するシート状部材の中心に試料液が滴下される構成であれば良く、試薬部の数は1乃至複数で、特に限定されるものではないが、試薬部の発色を正確に同時に複数行う場合は、作業の簡便さを得る上で好ましい。
【0008】
補償用チップ
本発明は、試料と試薬との化学的反応によって、発色させ、その発色の程度によって、成分濃度を算出するものであることから、試薬の酸化の程度などに応じ、同一と見なされる環境、及び行程によって製造された試薬部層であっても、実際の発色反応においては、製造単位ごとにずれが生じる場合が多々ある。
このずれを補償するために用いられる補償用データを光学的に読みとることが可能な情報として当該試薬部層に配置することで、測定アルゴリズムと同様の測定を行って、ロットごとの品質のばらつきを補償することを可能とする。
その場合、情報は、一つの試薬部に対し、白黒を付して1ビットのデジタル値を形成する他、白黒青の3通りで、一つの情報を形成する多値理論に基づいた情報としてもよい。
【0009】
採血具
本発明で示す採血具は、皮膚を吸引し、穿刺して、皮膚を損傷させ、血液を表出させた後、これを採取する構成を示すものである。
その為の構成例として、少なくとも2つの減圧室と、中空的な針及び時間的な要素を持つ吸引行程をもつ構成を示す。
中空的なとは、溝状でも良いことを示すものであり、少なくとも、穿刺手段及びその周辺に沿った局所的な吸引が可能な状態を示すものである。穿刺手段は、皮膚を損傷させるような刃物、鋭利な先端をもった針が例示されるが、損傷可能なものであれば、特に限定されない。
また、皮膚を吸引するタイミングと中空的な穿刺手段に沿った吸引のタイミングは、最初両方の吸引を行った後、皮膚への吸引を解除し、中空的な穿刺手段の吸引のみを持続する過程、最初皮膚への吸引を行った後、これを解除し、中空的な穿刺手段の吸引を行う過程が示され、そのための一体的な構成が好適であるが、この過程をとり得る限り、吸引部が別個に設けられたりしてもよいものである。
尚、本実施例の採血具のような構成だけではなく、少なくとも、皮膚を吸引し、盛り上がらせる為の第1の減圧手段、と、穿刺後、皮膚表面に表出した血液を、穿刺具を中空的にするか、その周辺に設けられた吸引口を有する第2の減圧手段とを具備し、少なくとも第1の減圧手段の減圧が解除され、皮膚と針が離れた状態で、第2の減圧手段が動作している状態を形成する手段の組み合わせであれば良いものである。
【0010】
【実施例】
次に図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
図1において、図1( a )は、滴下用口方向からみた検査チップであり、(b)は、図1(a)の裏面であり、測定面である。A−A’からみた断面図を図2に示す。
11は、蓋部であり、PET、ポリエステル、PP,PE、ABS、TPX等で形成されている。
12は、底部支持体であり、その一部が延びて把持部13を形成している。
18は、蓋部11と底部支持体12とを結合する為のネジ部であり、4隅で両者を固定している。
14は、滴下用口であり、試料を滴下するための部分である。15は、流路であり、幅1mmであり、長さ7mmくらいである。
19は、展開ユニットであり、滴下用口14、流路15及び、供給用口16を形成する。展開ユニット19上の流路15は、5度くらいの傾きRを持って形成されている。
流路の傾きは、これに限るものではなく、傾きが無い、平坦な状態から、より急峻な状態であっても良い場合もある。
図4は、例えば図3で示す位置に配置された展開ユニット19を示した図であり、断面の形状についての数例を(b)、(c)に示した。図4(b)の流路15は、展開部22の中心から、傾きを持っている構成を有するのに対し、図4(c)の流路15は、展開部22が平坦で、蓋部11に覆われる面以降に傾きをつけたものを示している。何れも、各部へ所定量の体液が流れるために選択的に用いられるものであり、より、スピーデイに、体液の移動を促す場合、図4(b)の構成が適当である。
供給用口16の周辺は、その他の部分より多少突出した突出部17を形成する。
突出部17は、試薬を供給用口16以外の部分で均一に押圧固定する場合に好適である。展開ユニット19は、独立した構成を有しているが、これに限らず、底部支持体12,或いは蓋部11と一体的な構成をとっても良い。
20は、測定側試薬層であり、21は、試薬層である。測定側試薬層20と試薬層21は、互いに同じ試薬が含浸されているものであり、シートも同一のもので構成されているが、互いに異なることで、フィルタ機能や、発色促進作用の為の金属材等を含浸させてもよい。 流路15は、図4(d)に示すように、底部支持体の両隅を、球状にすることで、試料液の残留を抑えることができる。
又、測定側試薬層20の測定面には、試料溶液の過多による漏れを防止するため、透明なフィルムを、多少空隙を設けるようにして、積層させても良い。
透明なフィルムとは、少なくとも測定光Fを損失無く通過するものであれば如何なるものであっても良い。
【0011】
試薬層は、12個用意されているが、6、15等その他の項目の追加削除をした場合があってもよい。図3は、蓋部11、展開ユニット19、両試薬層20、21及び底部支持体12の各部分品を分離した状態を示す。この順番で、積層的に設置固定することで、図1で示す実施例が形成される。固定は、蓋部11の四隅に設けられたネジ部18の累合により行われてもよく、その他、接着剤の塗布による結合、機械的係合等による結合であってもよい。 121は、観察用窓であり、発色状態を目視或いは電気光学的に読みとるための部分である。本実施例では、主に観察用窓121に表出した試薬層の表面を反射した光を検出し、比色等により成分濃度の測定をしているが、これに限らず、透過光を利用するものであっても良い。その際、蓋部を透明なプラスチック素材、その他透光性部材により構成することで、試薬層を通過した光を上部で検出することも可能となる。
図1で示す検査チップの動作について図2を参照して説明する。
滴下する試料溶液BBは、血液、赤血球等を分離した血清、又は、これらを希釈した溶液であり、中央の滴下用口14に滴下する。滴下量は、各試薬層に試料溶液BBが行き渡り、試薬層の試薬と反応可能な程度が、例示されるが、目的とする試薬層が全てとは限らず、適宜選択される。
滴下された試料溶液BBは、個々の流路15を浸透していくが、その際、蓋部11と、流路15により、毛管状態となった部分の毛管作用が、浸透を適度に妨げることにより、各流路15への浸透が一様に行われていき、試薬層21の中央に配置された供給用口16より、試料溶液BBが、試薬部へ供給され、両試薬層20、21の中心から外側へ向かって試料溶液が浸透し、試料溶液の成分と試薬とが発色反応する。発色した状態を、観察用窓121から、観察し(L)、色を調べて成分濃度を測定する。
これらは、何れも等しい速度で、浸透していくが、試薬との反応が迅速な場合や、遅延するものが多く、特に等しい流路や、均一な配置は必要でなく、図7で示すような、アンバランスな配置であってもよい。図7において、21は、試薬層であり、161は、供給用口、151は、流路である。展開口141は、長方形状であり、個々の流路151は、それぞれ供給用口161に接続し、図1で示したものと基本的構成は変わらない。
このような、観察窓121の配列は、そのパターンにより情報を付加するものであってもよく、例えば、そのパターンにより、検査用チップの測定対象、ロット情報等がわかるようにしたものであっても良い。
図1で示す実施例は、主に血清等血球を分離した状態の溶液を使用する構成であるのに対し、図5(a)(b)は展開口22上にリング状のフィルタ23を配置した構成を示す。フィルタ23は、血球を分離する機能等を付加することが好ましいが、目的に応じ様々な素材が使用される。フィルタ23の一例として、ヘマセップ(商標)L膜等が例示される。
又、フィルタ23は、リング状で、中央に試料溶液を滴下する構成であるが、これを円盤状にしたものであってもよい。
【0012】
次に試薬層の製造過程で生じる誤差を補正する場合に使用される校正部材の一例を図6(a)(b)に示す。図6(b)は、図6(a)のE−E’部位での切断断面図である。
大きさ、構成は、図1で示した検査用チップと同程度であり、試薬部に相当する部分に色による情報表現24を付したものを示す。当該情報は、白、黒の2つの値からなるデジタル値として利用可能である。
この様に、試薬部に相当するところにデータを付することで、校正のデータを光学的に読み込むために、試薬層の色を読むためのルーチン、構成をそのまま利用できる点で有益である。
又、情報表現24は、白、黒の他、青、赤等にすることで、いわゆる多値情報として使用することができ、その際、情報量を増やすことができる。
例えば2値の場合であって、試薬部の数が、15個くらいであると、2の15乗の情報量が含まれるが、これを白、黒、赤、青の4値にすれば4の15乗の情報を含ませることができるのである。この様な、情報表現を、各試薬部層を読みとる要領に従って、読みとることで、製造単位ごとの品質のむらにより生じる誤差の校正をすることができる。
【0013】
次に採血具の一例を図8に示し説明する。
201は、皮膚を吸引するための吸引室であり、半球状であって、吸引室201の開口面を皮膚に押し当てることにより、吸引室201内を気密状態とすることができる。
202は、中空状の穿刺具であり、固定されており、中空部213は、導管214を介して、第2減圧部211に接続している。203は、ピストン部であり、同心円リング状を形成し、支持部材204を介して把持部205と接続する。第2減圧部211は、把持部205、支持部材204及び円筒状部材209で囲まれる空間により形成されている。
支持部材204は、円筒状で形成され、把持部205は、円盤状で形成されている。207、208は、連結管であり、第1減圧部210と、吸引室201とを連結する。
209は、円筒状部材であり、内部をピストン部203が上下に摺動するための部分である。
210は、第1減圧部であり、ピストン部203が上方向へ移動した場合に生じる箇所のことを示す。
212は、弁であり、必要に応じて取り付けられるものである。
弁212は、外部と円筒状部材209の内部とを接続する接続管206に位置し、その開閉により、円筒状部材209の内外の連結を例えば電磁的、手動的に遮断乃至接続させるためのものであり、皮膚を吸引する時間を調整したりする場合等、動作を制御する場合、好適である。
【0014】
次に動作を、図9、図10を参照して詳細に説明する。
吸引室201を皮膚Hに当接させ、気密な空間を形成する。次に、把持部205を上方向に上げる。第2減圧部211の容積が大きくなると共に第1減圧部210の容積も大きくなり、導管214、連結管207,208を介して、第1減圧部210、第2減圧部211の減圧空間と吸引室201が接続し、皮膚Hを吸引する。皮膚の吸引により、皮膚が盛り上がり穿刺具202と接触して、穿刺状態となり皮膚は損傷する。(図9(a))
更に、把持部205を上昇させ、第1減圧部210と、接続管206が接続した時点で、第2減圧部は、大気圧に戻る。
【0015】
第1減圧部210が大気圧の状態に戻ると、皮膚Hは、元に戻る。
その際損傷している部分SLから、血液が表出BLするが、第2減圧部211は、そのまま減圧状態を保つことから、中空穿刺具202の中空部213が、この表出した血液BLを吸引して内部に保持する(図9(C))。吸引が解除されているため、皮膚から穿刺具を、血液BLを中空部213内に保持したまま、容易に取り除くことができ、図9(d)で示すように、収容槽BSに、把持部205を円筒部材209方向に押し下げることで、第2減圧部211内の空気を、導管214を介して中空部213内の血液BLに圧力として加えて血液を採取する。
この様な動作により、表出した血液を少なくとも把持部の上下の移動で、採取することが可能となる。
【0016】
更に本発明に係る採血具は、より少ない血液で、多数の項目を測定する場合に必要となる場合が多い希釈液と血液との混合工程を容易に実現する。
図10にその一例を示す。
図10(a)において、最初、希釈液槽KTに、穿刺具202を浸し、把持部205を所定量、引き上げる、第2減圧部211の容積の増加に伴い、希釈液Kは、中空部213内に収容される(KF)。把持部205の所定量の引き上げにより、定量の希釈液(KF)が、中空部213内に収容される。
次に、この状態のまま、吸引部201を皮膚Hに当接する。当接後、更に把持部205を引き上げる。
この引き上げにより、第1減圧部210は、減圧作用を行い、皮膚Hを吸引し、皮膚を盛り上がらせる。
穿刺具202と、皮膚Hは,穿刺状態を形成する(図10(b))。接続管206と、第1減圧部210とが連結すると、第1減圧部210内を大気圧に戻す。
その結果、皮膚の盛り上がりは解消され、皮膚は、穿刺具202から離れる。
その結果、損傷部Sから血液が表出するが、第2減圧部211の減圧力により、表出した血液は、中空部213に収容され、中空部213には、希釈液KF、と血液BFとが収容された状態となる。(図10(c))
この状態で、皮膚から採血具を離し、収容部BS上部に穿刺具202を配置し、把持部205を押し下げることで、中空部213内の、希釈液KFと、血液BFは、収容部BSに順に滴下(KBF)し、適度な撹拌により、希釈液と血液の混合状態が形成される。
この様に、把持部の引き上げにより、希釈液と血液の定量的採取が可能となるのである。
【0017】
更に本発明の他の実施例を図11に示し、詳細に説明する。
同一の構成部分は、図8と同一の番号を付した。215は、把持部205が上下に摺動する際、スムーズに行われるためのガイド筒であり、円筒状部材209と一体的に形成されることが好ましいがこれに限らない。
216は、第1弾力性部材であり、ピストン部203の外側の面と、円筒状部材203の上部内面間に介在している。第1弾力性部材216は、図示したようなコイル状のバネや、板バネ、ゴムなど、復元力のあるものであれば、如何なるものも適用可能である。
219も第1弾力性部材216と同様の構成を有する第2弾力性部材であり、円筒状部材209と、押圧部218の内側間に配置されている。
217は、係止部であり、押圧部218との一体的構成により係止用支持体221を形成している。220は、軸部であり、円筒状部材209と、係止用支持体221を連結しながら、係止用支持体221が、軸部220を中心にして回動可能になるように、組み合わされている。係止部217は、通常、第2弾力性部材219の復元力によりガイド筒215内に突出している。
【0018】
次に図11の動作を説明する。
初めに把持部205を下方向にその縁部が、係止部217を外側に押しのけて、係止するまで、押圧する。
把持部205が係止部217と、係止状態となった図を、図11(a)で示す。
この状態で、第1弾力性部材216は、伸張され、伸縮して元に戻ろうとする力が貯められている。
図1(a)で示す状態のまま、吸引部201を採血箇所へ当接し、皮膚と吸引室内を気密状態とする。
次に、押圧部218を円筒状部材209方向へ押すと、係止部217は、軸部220を中心に回動し、把持部205の縁部と、係止部217が離れると、第1弾力性部材216の復元力により、ピストン部203が上方へ移動し、第一減圧部210、第2減圧部211の容積が大きくなろうとし、吸引室内201内の皮膚Hを吸引する。
皮膚Hは、盛り上がり、固定された穿刺部202と、接触、穿刺関係が形成される(図11(b))。
【0019】
ピストン部203は更に上方へ移動し、併せて皮膚Hの吸引を継続的に行うことで、穿刺を十分に行う。
ピストン部203が、上方へ移動し、接続管206を通過して、接続管206と第一減圧部210とが連結すると、第一減圧部210内は、大気圧に戻り、皮膚Hは、元に戻るが、穿刺により損傷した部位SLから表出した血液は、第2減圧部211の吸引力に起因して中空部213に吸い込まれる。
係止部支持体221は、押圧部218の押圧力が解除されるため、第2弾力性部材219の反発復元力により、元に戻り、係止部217は、ガイド筒215内に突出した状態で静止する。
以上説明のように、本実施例では、把持部205を押圧して係止部217と、把持部205との係止関係を形成して、皮膚の採血部位(例えば上腕部)へ乗せ、押圧部218を押しさえすれば、血液の採取を可能とすることから、利用者単独で、行うことができることから、使い勝手がより向上するものである。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述のごとく本発明は、試料液の多項目試薬層への定量的配分と、均一な発色を実現し、正確な光学的測定を可能とすると共に、測色工程と同様の工程で、製造工程で生じる誤差の構成のための校正用データの収集、及び希釈定量的な血液の採取を可能とする等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例を説明する為の断面図である。
【図4】本発明の実施例を説明する為の図である。
【図5】本発明の実施例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【図10】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【図11】本発明の他の実施例を説明する為の図である。
【符号の説明】
11 蓋部
12 底部支持体
13 把持部
14 滴下用口
15 流路
16 供給用口
17 突出部
18 ネジ部
19 展開ユニット
20 測定側試薬層
21 試薬層
22 展開部
23 フィルタ
24 情報表現
Claims (6)
- その一端が、試料の滴下部と接続し、他端が、試薬部の中心に、当該試料を供給し得るような構成を有する流路を形成してなる検査用チップ。
- 複数の前記流路が、一つの滴下部と接続し、個々の流路の他端に異なる試薬を配した試薬層が形成されている請求項1に記載の検査用チップ。
- 前記滴下部及び、流路には、界面活性剤が被覆されている請求項1に記載の検査用チップ。
- 前記試薬部層の光学的測定する部位が、多値情報付加部である検査用校正チップ。
- 吸引部内の皮膚を吸引するための第1の吸引手段、中空的で、前記第1の吸引手段の吸引により盛り上がり穿刺を可能とする部位に固定的に吸引部内に配置された穿刺部、前記吸引部内の皮膚を吸引するために、吸引部内に設けられた吸引口、前記中空状の穿刺手段の中空部を介して吸引を行う第2の吸引手段を有する採血具
- 前記第1の吸引手段により、皮膚を吸引し穿刺した後、吸引を解除すると共に、第2の吸引手段により、穿刺手段の中空部を介して吸引を行い、血液を吸引する採血方法及び採血具。
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