JP2004189954A - 熱硬化型導電性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させること。
【解決手段】2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
【選択図】 図1
【解決手段】2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や各種電気電子部品の組立て、基板への接着などに用いられる導電性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSI、その他の半導体素子及び各種電気電子部品の組立あるいは基板への接着には、優れた導電性や高い信頼性の点からSn−Pb共晶はんだが広く使用されてきた。
ところで、近年機器の軽薄短小化に伴い、LSI等の半導体素子の小型、高機能化が進み、接続端子の幅及び間隔を狭めた微細ピッチの多数接続端子が必要となってきている。しかしながら、はんだは、接続端子の微細ピッチ化が進むと、はんだ付け時にブリッジ現象を起こす危険性を有し、微細ピッチ化への対応には限界があった。それに加えてはんだはリフロー温度が高いために接合できる部材に制約があり、更に鉛を含有しているという点が環境保護の観点から問題とされている。即ち、最近の環境問題への認識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野において、はんだ合金中の鉛に対する規制が行なわれようとしており、電子部品の実装に鉛を用いない接合技術の確立が急務となっている。
【0003】
鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだ及び導電性接着剤が挙げられるが、鉛フリーはんだよりも、接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待できる導電性接着剤に注目が集まっている。
従来の導電性接着剤は、一般的に、樹脂系接着成分中に導電性粒子を分散させたものであり、接着剤により電極を接続した後に樹脂を硬化させ、粒子同士の接触により、接続部の導通を確保するものである。従って、接合部が樹脂で接着されるため、熱や外力による変形に対して柔軟に対応でき、導通部が合金であるはんだと比較して、接合部に亀裂が発生し難いというメリットを有していることから、はんだの代替材料として期待されている。
しかしながら、従来の導電性接着剤はマイグレーションが発生し易いものであった。マイグレーションとは、高湿度下において電極に直流電圧が印加されると銀粉などの導電性接着剤中の導電性金属成分がイオン化して析出し、側方へ成長していく現象であり、相隣る電極の短絡を惹起し易く問題となっている。
電極に塗布された導電性ペーストが長期間のうちにマイグレーションを発生しイオン析出跡が生じ、相隣るイオン析出跡同士がつながることにより短絡を生じるものである。
このようなマイグレーションは、特に高温高湿環境下で発生し易い。
【0004】
マイグレーションの発生を抑制する方法としては、回路パターンに水分を与えないようにタフィーやヒュームシールなどの防水塗膜を施す方法、導電性ペーストの硬化後、表面をマイグレーション性の小さいAlやCrなどの金属で覆う方法、溶融ガラスフリットで防湿保護する方法などが知られている。例えば、特許文献1では、導電性フィラーに水不溶性溶出防止膜を形成することで硫化による接触抵抗の上昇の防止や高温高湿環境でマイグレーション防止も可能としている。
しかし、これら従来の方法は、何れも多大な手間とコストを要するものであり、高温の加熱処理を必要とするためプリント基板にダメージを与え易いものであった。
【0005】
また、従来から銀マイグレーション防止にトリアジン骨格を持つ化合物が有効であることが知られており、例えば、非特許文献1等に開示されている。
【0006】
また、この技術を利用した特許としては、特許文献2〜6が挙げられるが、これらは導電性ペーストとして使用されているものではない。更に、導電性接着剤の導電性向上を目指した場合、内部応力などによる接着強度が低下することも課題となっており、導電性を維持したまま接着強度保持という一層の性能向上が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−357715号公報(第3頁第6欄第23行目〜第44行目)
【特許文献2】
特公昭62−53531号公報(第1頁第2欄第15行目〜第21行目)
【特許文献3】
特公昭63−54300号公報(第2頁第4欄第33行目〜第39行目)
【特許文献4】
特公昭63−39424号公報
【特許文献5】
特公平1−19834号公報(第2頁第3欄第24行目〜第29行目)
【特許文献6】
特開昭61−210076号公報(第3頁右下欄第15行目〜第4頁左上欄第1行目)
【非特許文献1】
電子通信学会論文誌1986/1.Vol.J69−C、No.1、p.126、鎌形一夫著
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることができる熱硬化型導電性接着剤が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(2)「2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(3)「2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(4)「2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(5)「エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(6)「前記第(5)項に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(7)「前記第(5)項に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(8)「少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤」、(9)「2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(10)「前記導電性フィラーが、銀であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤」により達成される。
【0011】
上記第(1)は、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(2)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(3)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(4)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(5)は、エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することで、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(6)は、上記第(5)に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(7)は、上記第(5)に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、より硬化性が良く、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(8)は、少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることで、硬化時間短縮、硬化温度を低下させることができ、更にトリアジン骨格を有することで、マイグレーション抑制作用を付与する導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(9)は、2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化収縮性を大きくすることにより体積当りの導電性の向上を図り、接着力をバランスをとって向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(10)は、導電性フィラーが、銀であることで、高い導電率を付与できる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
【0012】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の熱硬化型導電性接着剤は、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有し、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、マイグレーション防止化合物、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、粘度調整や硬化性付与用樹脂、充填剤、シランカップリング剤、レベリング剤、酸化防止剤、酸化促進剤、難燃剤、チクソ性付与剤、沈降防止剤、顔料、消泡剤、腐食防止剤、粘着性付与剤、希釈用溶媒などの各種添加剤を含有しても良い。
【0013】
本発明に使用される2価のイオウ原子を持つ化合物としては、熱硬化性導電性接着剤の主剤として、スルフィド構造を持つ化合物、アルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物、フェニルスルフィド型エポキシ化合物、フェニルスルフィド型不飽和二重結合を持つ化合物などが挙げられる。また、エピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤と反応・硬化する2価のイオウ原子を持つ化合物としては、ポリチオール化合物、多官チオール系硬化剤等のチオール系化合物などが挙げられる(請求項1)。
【0014】
本発明に使用されるスルフィド構造を持つ化合物としては、例えば、4,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−4’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2−メルカプトメチル−4’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−2’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4−(4−メルカプト−2−チアブチル)−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2−(4−メルカプト−2−チアブチル)−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−(4−メルカプト−2−チアブチル)−2’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2−メルカプトメチル−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−2’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(4−メルカプトブチル)スルフィド、ビス(8−メルカプトオクチル)スルフィド等が挙げられる(請求項1、2、5、7)。
【0015】
アルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物としては、脂肪族骨格を有し、直鎖または分岐状または環状のいずれでもかまわない。例えば、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン等や、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等が挙げられる。また、環状脂肪族系としては、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等が挙げられる。これらに限定されるわけではなく、また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない(請求項3)。
なお、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドおよびビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドが好ましい。
【0016】
フェニルスルフィド型エポキシ化合物としては、例えば、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−ヘキシルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジヘキシルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−クロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジクロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラクロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−ブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラブロモフェニル]スルフィド等が挙げられる。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
なお、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジブロモフェニル]スルフィドが接着性向上させる点で好ましい(請求項4)。
また、エピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤と反応・硬化する2価のイオウ原子を持つ化合物としては、ポリチオール化合物、多官チオール系硬化剤等のチオール系化合物などが挙げられる(請求項5)。
【0017】
本発明のポリチオール化合物としては、脂肪族ポリチオール、例えば、1,2−エタンジチオール、l,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−へキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオブロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる(請求項6)。
これらのなかでは、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートは、本発明において好適に使用しうるものである。
【0018】
また、主鎖骨格に下記構造式(1)を持つポリチオール化合物は、よりマイグレーション効果が高く、好ましい。例えば、テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、ビス(7−メルカプト-2、5−ジチアヘプチルフェニル)スルフィド等が挙げられる。テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンは硬化物に更に可撓性が付与され、接着強度向上をもたらす効果もある。
【0019】
【化1】
(nは1以上の整数を表す)
【0020】
本発明の多官チオール系硬化剤としては、例えば、3官能チオール系化合物、2,4,6−トチオキソ−1,3,5−トリイルトリエチル−トリス(3−メルカプトプロピオナート)は硬化性を向上させることができ、接着性が向上し好ましい。これらに限定されるものではない(請求項7)。
しかし、これら主剤と反応・硬化する化合物は硬化性を向上させる際に使用するエポキシ当量よりやや過剰に加えると、マイグレーション抑制効果が向上することが期待されるため、添加量はマイグレーションとの相関が重要となる。
【0021】
また、マイグレーション抑制作用を有し、反応・硬化する化合物として導電性接着剤中に配合されている故に、他のマイグレーション抑制作用を有しない化合物と反応しないマイグレーション抑制化合物とを併用した導電性接着剤に比べ、体積当りの導電性が向上する効果もある。反応当量比は1:1から1:5であることが好ましい。1:1以下であると未反応のチオール系化合物が硬化物中に存在し、硬化が不十分となり、好ましくない。また、1:5以上であるとエピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤とする化合物の重合が優先され、硬化物に可撓性が乏しくなり、接着強度が低下するので、好ましくない。
【0022】
また、これらと反応・硬化させることができる本発明に使用される他エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。これらエポキシ樹脂は、固形でも液状でもよく、固形エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。固形又は液状エポキシ樹脂は、単独で用いても混合して用いても良い。
また、これら固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂を混合するには、例えば、加熱した液状エポキシ樹脂中に粉砕した固形エポキシ樹脂を投入し溶解した後、放冷すればよく、放冷過程で反応性希釈剤などを混合することもある。
なお、これらはアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物、フェニルスルフィド型エポキシ化合物等と混合して使用しても構わない。
【0023】
本発明における反応性希釈剤としては、低粘度な反応性希釈剤であれば使用することができ、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジリエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独でも用いても、混合して用いても良い。更に安定した導電性を与えるためには反応性基が2官能以上であることが好ましく、例えば、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは単独でも用いても、混合して用いても良い。
反応性希釈剤を添加することで、組成物の粘度調整が容易にでき、種々な工程の対応が可能となる。また、2官能以上であれば、硬化反応で硬化物の架橋密度を向上させることができるので、より好ましい。また、理由は不明だが、これら反応性希釈剤を配合組成物に添加して用いた場合、ポットライフが長くなる傾向にあり、作業性を向上させることができる。反応性希釈剤の添加量は、エポキシ樹脂全体量100重量部に対して100重量部以下が好ましい。この量が100重量部を越えると、希釈効果はあるものの、ベースエポキシ樹脂組成物の硬化物のそのもの特性が変化し、接着強度が低下するので好ましくない。
なお、エポキシ反応性希釈剤を用いることにより硬化時にボイドの発生がない安定な硬化物を得ることもできる。
【0024】
また、本発明に用いられる他硬化剤は、例えば芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、脂環族アミン系硬化剤、エポキシ変性アダクトアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤、ポリアミドアミン系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、3官能チオール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、潜在性硬化剤、マイクロカプセル型硬化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
これら硬化剤の添加量は、配合当量以上に添加することは、硬化性に問題を生じる上に、体積当りの導電性も低下することになるのであまり好ましくない。当量以下の場合は硬化不十分で接着強度が不足するが、他硬化剤、硬化促進剤添加によって硬化させることで、接着強度を保持することができる。また、液状硬化剤を使用した場合は保存特性が低下するので、冷蔵あるいは冷凍保存が必要となる。
【0025】
また、本発明で使用される硬化促進剤としては、具体的には例えば、3級アミン化合物や尿素化合物や通常潜在性硬化剤として使用されている硬化剤例えばジシアンジアミド、アミンアダクト化合物や尿素アダクト化合物などが挙げられる。3級アミン化合物としては、2−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物などが挙げられ、尿素化合物としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素及び又は 3-p−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素などが挙げられる。更に他の硬化促進剤潜在性硬化剤として使用されているもの等もも使用できる、例えばジシアンジアミド、アミンアダクト化合物、尿素アダクト化合物なども挙げられる(請求項8)。
特にこれらに限定されるものではない。
特に、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物及びジシアンジアミドの場合、硬化促進化が認められ、接着強度を高くすることができる。これらは、上記硬化促進剤の中でも、硬化温度低下、硬化時間短縮をもたらすため、特に好ましい(請求項8)。
【0026】
また、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物の場合、マイグレーション抑制効果も高く、他マイグレーション抑制剤を添加する量を減ずることができ、硬化促進にも寄与するため、特に好ましい。硬化促進剤の量は、主剤100重量部に対して5重量部以下が好ましい。この量が5重量部を越えると、硬化性はよいものの、接着強度不足及び耐湿性等の信頼性に悪影響を及ぼすことになる。
【0027】
本発明に使用される不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物としては、例えば、ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−ビニルチオメチルフェニル)スルフィド、2,4,4’−トリ(ビニルチオメチル)フェニルスルフィド、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド等が挙げられる(請求項9)。
これらは通常の熱重合開始剤で単独で硬化させることができる。例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、べンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等を挙げることができる。これら開始剤の添加量は、開始剤の種類、配合する化合物の種類および組成比により異なるので一概には決定できないが、接着剤用組成物全量に対して0.5〜6重量%の範囲が好ましい。特に好ましくは1〜3重量%の範囲である。0.5重量%未満であると硬化性が劣り、未反応物が残り、接着不良となる。また、6重量%を越えると重合度が低くなり、硬化物が柔らかくなり過ぎ、接着性が低下するので、好ましくない。1〜3重量%の場合、硬化性が特に良好で、接着性も高い接着剤組成物を与えることができる。
また、チオール基を持つスルフィド化合物であれば、エン−チオール反応を利用し、共重合することも可能である。その重合開始剤としては、水素引き抜き型の開始剤を使用することが好ましい。なお、急激な加熱によりボイドの発生がある可能性があり、硬化速度のコントロールは重要である。
【0028】
なお、これら本発明の化合物がマイグレーション防止効果を発現する理由としては、明確ではないが、イオウ原子の持つ不対電子が、金属に配位し、弱い結合の錯形成をするためではないかと考えている。
【0029】
本発明に使用される導電性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケルなどの導電性金属;アルミナ、ガラスなどの無機絶縁体やポリエチレン、ポリスチレンなどの有機高分子の表面を導電性物質でコートしたもの;カーボン;グラファイトなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い(請求項10)。
導電性フィラーとして特開平7−179832号公報に記載の低融点金属をコーティングしたものを用いることもできる。
これらの導電性フィラーの形状については、球状、リン片状又は樹枝状のものがあり、単独又は2種以上の混合系で用いられる。粗粉と細粉を混合して用いてもよい。特に球状粉末とリン片状粉末の混合系は好ましい態様である。リン片状粉末が通電経路を形成し、球状粉末が樹脂層のマトリックスを強固にすることにより、導電性と強度のバランスを取ることができるので、好ましい導電性接着剤が得られると推測される。更に高融点金属粉末と低融点金属粉末を混合して用いることも可能である(請求項10)。
導電性フィラーの配合量は、導電性接着剤の用途に応じて適切な範囲で選択することができる。加圧プロセスのない通常の導電性接着剤として用いる際の配合率は導電性接着剤全体の65〜90重量%とすることが好ましい。65重量%未満では十分な導電性を得ることが難しく、90重量%を超えると作業性が劣る。より好ましくは70〜90重量%である。(請求項10)
【0030】
本発明の導電性接着剤には、本発明の特徴を損なわない範囲で適当な溶剤又は希釈剤を用いることもできる。これは、ペースト状にした場合に十分な粘度とチキソ性を与えるものである。
溶剤は公知のものでよく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン、カルビトール、メチルカルビトール、カルビトールアセテート、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等が挙げられる。これらは単独で用いても複数の溶剤を適当量混合して用いてもよい。但し、保存特性は低下するので使用時には注意を要する。
【0031】
本発明の導電性接着剤には、他のマイグレーション防止化合物を添加することもできる。
その例としては、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、下記に示すようなトリアジン化合物、及びトリアジン骨格を持つ樹脂(BTレジン:三菱ガス化学)などが挙げられる。
これらの化合物の添加量は、前記マイグレーション防止作用を有するエポキシ樹脂硬化剤から遊離されるマイグレーション防止化合物との合計が導電性接着剤全体の30重量%を超えないように添加することが好ましい。この値を超えると、マイグレーション防止効果が上がらないばかりか、体積当りの導電性が低下することになり好ましくない。
下記中のAは、次の基を表わす。
【0032】
【化2】
【0033】
【表1−1】
【0034】
【表1−2】
【0035】
【表1−3】
NC−(CH2)4−A
H2N−(CH2)2−A
CH3COO−(CH2)2−A
CH2=CH−COO−(CH2)2−A
CH3−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)2−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)3−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)17−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)2−NH−(CH2)2−A
CH3−(CH2)11−NH−(CH2)2−A
CH3−(CH2)17−NH−(CH2)2−A
CH2=CH−CH2−NH−(CH2)2−A
CH3−CHOH−CH2−NH−(CH2)2−A
NH2−(CH2)2−NH−(CH2)2−A
【0036】
本発明に使用される酸化防止剤としては、脂肪酸及びその金属塩、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、フェノール類、金属キレート剤、高級脂肪族アミン、有機チタネート化合物、ロジン、アントラセン及びその誘導体などが挙げられ、市販のはんだ用フラックスも使用できる。中でもプロピオン酸、リノール酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ペンタデシル酸などの脂肪酸又はレゾルシン、カテコール、ハイドロキノンなどの多価フェノールが特に好ましい。酸化防止剤の添加量は一般的には導電性フィラーに対して、0.1〜20重量%が好ましいが、添加量が少な過ぎると導電性フィラーが酸化を受け易く、また多過ぎると接着性や導電性が低下したり、接着剤ペーストの吸湿性が高くなるので0.3〜10重量%が特に好ましい。
【0037】
また、本発明の他配合物としては、接着強度向上のために添加されるカップリング剤も挙げられ、シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシランカップリング剤、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等の一般式
【0038】
【数1】
RSi(OR’)3
〔式中、Rは1個又は2個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、R’は炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。〕
で表されるアルキルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0039】
チタンカップリング剤の具体例としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス−イソデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス−n−デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピル−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)−ビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。なお、これらに限定されるものではない。
これらのカップリング剤の添加量は、本発明に用いる導電性接着剤組成により大きく変化するが、配合物の合計を100重量部とした際、5重量部以下が好ましい。また、5重量部を越えると、樹脂の凝集力が低下し、結果として接着力や信頼性が低下する。
【0040】
本発明の導電性接着剤は、上記の各種成分をボールミル、ロールミル、プラネタリーミキサー等の各種混練機を用いて、常法により、例えば10〜60分間混練することにより得られる。
混練した導電性接着剤は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等の方法により、絶縁基体やリードフレームに塗布する。なお、これらは液状硬化剤を使用しているため、保存には冷凍あるいは冷蔵保存が必要である。
本発明の熱硬化型導電性接着剤の加熱硬化条件は、樹脂が十分硬化すると共に、熱による劣化が問題にならない範囲であれば特に制限はない。一般的な温度範囲としては、150〜240℃であるが、固形の硬化剤を溶融する目的又はボイドの生成を防ぐ目的でこれよりも低い温度で予備加熱を行なっても良い。
【0041】
上記本発明において、例えば銀フィラーを用いた場合、特に高温高湿環境下では銀がイオン化して銀イオンとなるが、この銀イオンはマイグレーション抑制化合物によって銀析出が抑制される。従って、この導電性接着剤をプリント基板の電極に塗布し、電子部品を接着しても、銀イオンの析出による短絡の発生は抑制されることになる。
なお、本発明の2価のイオウ原子を持つ化合物を使用することで、金属に弱い配位をする可能性があり、酸性気体環境下での硫化を防止できる可能性もある。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、下記の実施例及び比較例における「部」は、「重量部」である。
また、各種物性の測定及び評価は次のようにして行なった。
接着強度(剪断強度)は、銅板上に導電性接着剤を膜厚70〜100μm、幅2mm、長さ2mmに塗布し、銅チップ(2mm×2mm×1mm)を5つ載せて所定温度で硬化させ、作成した硬化物にプッシュプルゲージの先端を押し込みチップ脱落等の強度を読み取ることにより測定した。
接着強度(剪断強度)が5Kgf/cm2以上のものを○、5Kgf/cm2未満のものを×とした。
体積固有抵抗は、基盤上に導電性接着剤を膜厚50〜100μm、幅1cm、長さ7cmに塗布し、所定温度で硬化させ、作成した硬化物の1cm当りの抵抗値(R)をデジタルマルチメーターで測定し、その数値を次式に代入することにより算出した。
【0043】
【数2】
体積固有抵抗値=R×t×10−4Ω・cm
〔R:抵抗値、t:膜厚(μm)〕
導電率は、1×10−4Ω/cm以上のものを○、1×10−4Ω/cm未満のものを×とした。
【0044】
マイグレーション発生は、図1に示す手段により測定し評価した。
図1は、導電性テスト手段の平面図であり、ガラエポ基盤(10)上に針状先端部を有する電極(11)を500μmピッチで2個形成し、30ボルトの直流電圧を加えたものである。電極(11)の素材は銅であり、その面積は0.3mm2である。
テスト環境温度は60℃、湿度は95%である。
マイグレーション発生の観察はJIS Z 3284に従って行ない、1000時間通電して観察した結果、マイグレーションが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
以下に示す配合比の導電性接着剤を使用し、上記手段により各種物性の測定及び評価を行なった。
【0045】
(実施例1)
【0046】
(比較例1)
実施例1のビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィドの代りに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、YL980)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0047】
(実施例2)
【0048】
(比較例2)
実施例2のビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィドの代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、YL980)100重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0049】
(実施例3)
【0050】
(比較例3)
実施例3のビス(β−エピチオプロピル)スルフィドの代わりに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、#806)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0051】
(実施例4)
【0052】
(比較例4)
実施例4のビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド(住友精化製)の代わりに、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学社製、セロキサイド2081)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0053】
(実施例5)
【0054】
(比較例5)
実施例5のテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン(住友精化製)の代わりに、ポリオキシアルキレンアミン(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD400)28重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0055】
(実施例6)
【0056】
(比較例6)
実施例6のテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン(住友精化製)の代わりに、EH−4070S(アデカ社製)60重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0057】
(実施例7)
【0058】
(比較例7)
実施例7の2,4,6−トチオキソ−1,3,5−トリイルトリエチル−トリス(3−メルカプトプロピオナート)(淀化学製)の代わりに、EH−4070S(アデカ社製)60重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0059】
(実施例8)
【0060】
(実施例9)
【0061】
(実施例10)
次に、導電性接着剤評価結果を表1に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明は、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることをができる。
即ち、請求項1により、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項2により、2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項3により、2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項4により、2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項5により、エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することで、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項6により、2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項7により、2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、より硬化性が良く、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項8により、少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることで、硬化時間短縮、硬化温度を低下させることができ、更にトリアジン骨格を有することで、マイグレーション抑制作用を付与する導電性接着剤を提供するこができる。
また、請求項9により、2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化収縮性を大きくすることにより体積当りの導電性の向上を図り、接着力をバランスをとって向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項10により、導電性フィラーが、銀であることで、高い導電率を付与できる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電テスト手段の平面図を示した図である。
【符号の説明】
10 ガラエポ基盤
11 電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や各種電気電子部品の組立て、基板への接着などに用いられる導電性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSI、その他の半導体素子及び各種電気電子部品の組立あるいは基板への接着には、優れた導電性や高い信頼性の点からSn−Pb共晶はんだが広く使用されてきた。
ところで、近年機器の軽薄短小化に伴い、LSI等の半導体素子の小型、高機能化が進み、接続端子の幅及び間隔を狭めた微細ピッチの多数接続端子が必要となってきている。しかしながら、はんだは、接続端子の微細ピッチ化が進むと、はんだ付け時にブリッジ現象を起こす危険性を有し、微細ピッチ化への対応には限界があった。それに加えてはんだはリフロー温度が高いために接合できる部材に制約があり、更に鉛を含有しているという点が環境保護の観点から問題とされている。即ち、最近の環境問題への認識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野において、はんだ合金中の鉛に対する規制が行なわれようとしており、電子部品の実装に鉛を用いない接合技術の確立が急務となっている。
【0003】
鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだ及び導電性接着剤が挙げられるが、鉛フリーはんだよりも、接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待できる導電性接着剤に注目が集まっている。
従来の導電性接着剤は、一般的に、樹脂系接着成分中に導電性粒子を分散させたものであり、接着剤により電極を接続した後に樹脂を硬化させ、粒子同士の接触により、接続部の導通を確保するものである。従って、接合部が樹脂で接着されるため、熱や外力による変形に対して柔軟に対応でき、導通部が合金であるはんだと比較して、接合部に亀裂が発生し難いというメリットを有していることから、はんだの代替材料として期待されている。
しかしながら、従来の導電性接着剤はマイグレーションが発生し易いものであった。マイグレーションとは、高湿度下において電極に直流電圧が印加されると銀粉などの導電性接着剤中の導電性金属成分がイオン化して析出し、側方へ成長していく現象であり、相隣る電極の短絡を惹起し易く問題となっている。
電極に塗布された導電性ペーストが長期間のうちにマイグレーションを発生しイオン析出跡が生じ、相隣るイオン析出跡同士がつながることにより短絡を生じるものである。
このようなマイグレーションは、特に高温高湿環境下で発生し易い。
【0004】
マイグレーションの発生を抑制する方法としては、回路パターンに水分を与えないようにタフィーやヒュームシールなどの防水塗膜を施す方法、導電性ペーストの硬化後、表面をマイグレーション性の小さいAlやCrなどの金属で覆う方法、溶融ガラスフリットで防湿保護する方法などが知られている。例えば、特許文献1では、導電性フィラーに水不溶性溶出防止膜を形成することで硫化による接触抵抗の上昇の防止や高温高湿環境でマイグレーション防止も可能としている。
しかし、これら従来の方法は、何れも多大な手間とコストを要するものであり、高温の加熱処理を必要とするためプリント基板にダメージを与え易いものであった。
【0005】
また、従来から銀マイグレーション防止にトリアジン骨格を持つ化合物が有効であることが知られており、例えば、非特許文献1等に開示されている。
【0006】
また、この技術を利用した特許としては、特許文献2〜6が挙げられるが、これらは導電性ペーストとして使用されているものではない。更に、導電性接着剤の導電性向上を目指した場合、内部応力などによる接着強度が低下することも課題となっており、導電性を維持したまま接着強度保持という一層の性能向上が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−357715号公報(第3頁第6欄第23行目〜第44行目)
【特許文献2】
特公昭62−53531号公報(第1頁第2欄第15行目〜第21行目)
【特許文献3】
特公昭63−54300号公報(第2頁第4欄第33行目〜第39行目)
【特許文献4】
特公昭63−39424号公報
【特許文献5】
特公平1−19834号公報(第2頁第3欄第24行目〜第29行目)
【特許文献6】
特開昭61−210076号公報(第3頁右下欄第15行目〜第4頁左上欄第1行目)
【非特許文献1】
電子通信学会論文誌1986/1.Vol.J69−C、No.1、p.126、鎌形一夫著
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることができる熱硬化型導電性接着剤が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(2)「2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(3)「2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(4)「2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(5)「エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(6)「前記第(5)項に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(7)「前記第(5)項に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(8)「少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤」、(9)「2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤」、(10)「前記導電性フィラーが、銀であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤」により達成される。
【0011】
上記第(1)は、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(2)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(3)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(4)は、2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(5)は、エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することで、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(6)は、上記第(5)に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(7)は、上記第(5)に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、より硬化性が良く、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(8)は、少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることで、硬化時間短縮、硬化温度を低下させることができ、更にトリアジン骨格を有することで、マイグレーション抑制作用を付与する導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(9)は、2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化収縮性を大きくすることにより体積当りの導電性の向上を図り、接着力をバランスをとって向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
また、上記第(10)は、導電性フィラーが、銀であることで、高い導電率を付与できる熱硬化型導電性接着剤を提供することを目的とする。
【0012】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の熱硬化型導電性接着剤は、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有し、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、マイグレーション防止化合物、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、粘度調整や硬化性付与用樹脂、充填剤、シランカップリング剤、レベリング剤、酸化防止剤、酸化促進剤、難燃剤、チクソ性付与剤、沈降防止剤、顔料、消泡剤、腐食防止剤、粘着性付与剤、希釈用溶媒などの各種添加剤を含有しても良い。
【0013】
本発明に使用される2価のイオウ原子を持つ化合物としては、熱硬化性導電性接着剤の主剤として、スルフィド構造を持つ化合物、アルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物、フェニルスルフィド型エポキシ化合物、フェニルスルフィド型不飽和二重結合を持つ化合物などが挙げられる。また、エピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤と反応・硬化する2価のイオウ原子を持つ化合物としては、ポリチオール化合物、多官チオール系硬化剤等のチオール系化合物などが挙げられる(請求項1)。
【0014】
本発明に使用されるスルフィド構造を持つ化合物としては、例えば、4,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−4’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、2−メルカプトメチル−4’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−2’−(4−メルカプト−2−チアブチル)フェニルスルフィド、4−(4−メルカプト−2−チアブチル)−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2−(4−メルカプト−2−チアブチル)−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−(4−メルカプト−2−チアブチル)−2’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、2−メルカプトメチル−4’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、4−メルカプトメチル−2’−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)フェニルスルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(4−メルカプトブチル)スルフィド、ビス(8−メルカプトオクチル)スルフィド等が挙げられる(請求項1、2、5、7)。
【0015】
アルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物としては、脂肪族骨格を有し、直鎖または分岐状または環状のいずれでもかまわない。例えば、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン等や、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等が挙げられる。また、環状脂肪族系としては、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等が挙げられる。これらに限定されるわけではなく、また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない(請求項3)。
なお、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドおよびビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドが好ましい。
【0016】
フェニルスルフィド型エポキシ化合物としては、例えば、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−ヘキシルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジヘキシルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−クロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジクロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラクロロフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−ブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラブロモフェニル]スルフィド等が挙げられる。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
なお、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジブロモフェニル]スルフィドが接着性向上させる点で好ましい(請求項4)。
また、エピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤と反応・硬化する2価のイオウ原子を持つ化合物としては、ポリチオール化合物、多官チオール系硬化剤等のチオール系化合物などが挙げられる(請求項5)。
【0017】
本発明のポリチオール化合物としては、脂肪族ポリチオール、例えば、1,2−エタンジチオール、l,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−へキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオブロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる(請求項6)。
これらのなかでは、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ぺンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートは、本発明において好適に使用しうるものである。
【0018】
また、主鎖骨格に下記構造式(1)を持つポリチオール化合物は、よりマイグレーション効果が高く、好ましい。例えば、テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、ビス(7−メルカプト-2、5−ジチアヘプチルフェニル)スルフィド等が挙げられる。テトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンは硬化物に更に可撓性が付与され、接着強度向上をもたらす効果もある。
【0019】
【化1】
(nは1以上の整数を表す)
【0020】
本発明の多官チオール系硬化剤としては、例えば、3官能チオール系化合物、2,4,6−トチオキソ−1,3,5−トリイルトリエチル−トリス(3−メルカプトプロピオナート)は硬化性を向上させることができ、接着性が向上し好ましい。これらに限定されるものではない(請求項7)。
しかし、これら主剤と反応・硬化する化合物は硬化性を向上させる際に使用するエポキシ当量よりやや過剰に加えると、マイグレーション抑制効果が向上することが期待されるため、添加量はマイグレーションとの相関が重要となる。
【0021】
また、マイグレーション抑制作用を有し、反応・硬化する化合物として導電性接着剤中に配合されている故に、他のマイグレーション抑制作用を有しない化合物と反応しないマイグレーション抑制化合物とを併用した導電性接着剤に比べ、体積当りの導電性が向上する効果もある。反応当量比は1:1から1:5であることが好ましい。1:1以下であると未反応のチオール系化合物が硬化物中に存在し、硬化が不十分となり、好ましくない。また、1:5以上であるとエピスルフィド化合物及び、またはエポキシ樹脂これら主剤とする化合物の重合が優先され、硬化物に可撓性が乏しくなり、接着強度が低下するので、好ましくない。
【0022】
また、これらと反応・硬化させることができる本発明に使用される他エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。これらエポキシ樹脂は、固形でも液状でもよく、固形エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定されるわけではない。固形又は液状エポキシ樹脂は、単独で用いても混合して用いても良い。
また、これら固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂を混合するには、例えば、加熱した液状エポキシ樹脂中に粉砕した固形エポキシ樹脂を投入し溶解した後、放冷すればよく、放冷過程で反応性希釈剤などを混合することもある。
なお、これらはアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物、フェニルスルフィド型エポキシ化合物等と混合して使用しても構わない。
【0023】
本発明における反応性希釈剤としては、低粘度な反応性希釈剤であれば使用することができ、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジリエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独でも用いても、混合して用いても良い。更に安定した導電性を与えるためには反応性基が2官能以上であることが好ましく、例えば、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは単独でも用いても、混合して用いても良い。
反応性希釈剤を添加することで、組成物の粘度調整が容易にでき、種々な工程の対応が可能となる。また、2官能以上であれば、硬化反応で硬化物の架橋密度を向上させることができるので、より好ましい。また、理由は不明だが、これら反応性希釈剤を配合組成物に添加して用いた場合、ポットライフが長くなる傾向にあり、作業性を向上させることができる。反応性希釈剤の添加量は、エポキシ樹脂全体量100重量部に対して100重量部以下が好ましい。この量が100重量部を越えると、希釈効果はあるものの、ベースエポキシ樹脂組成物の硬化物のそのもの特性が変化し、接着強度が低下するので好ましくない。
なお、エポキシ反応性希釈剤を用いることにより硬化時にボイドの発生がない安定な硬化物を得ることもできる。
【0024】
また、本発明に用いられる他硬化剤は、例えば芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、脂環族アミン系硬化剤、エポキシ変性アダクトアミン系硬化剤、ポリオキシアルキレンアミン系硬化剤、複素環式アミン系硬化剤、ポリアミドアミン系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、3官能チオール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、潜在性硬化剤、マイクロカプセル型硬化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
これら硬化剤の添加量は、配合当量以上に添加することは、硬化性に問題を生じる上に、体積当りの導電性も低下することになるのであまり好ましくない。当量以下の場合は硬化不十分で接着強度が不足するが、他硬化剤、硬化促進剤添加によって硬化させることで、接着強度を保持することができる。また、液状硬化剤を使用した場合は保存特性が低下するので、冷蔵あるいは冷凍保存が必要となる。
【0025】
また、本発明で使用される硬化促進剤としては、具体的には例えば、3級アミン化合物や尿素化合物や通常潜在性硬化剤として使用されている硬化剤例えばジシアンジアミド、アミンアダクト化合物や尿素アダクト化合物などが挙げられる。3級アミン化合物としては、2−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物などが挙げられ、尿素化合物としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素及び又は 3-p−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素などが挙げられる。更に他の硬化促進剤潜在性硬化剤として使用されているもの等もも使用できる、例えばジシアンジアミド、アミンアダクト化合物、尿素アダクト化合物なども挙げられる(請求項8)。
特にこれらに限定されるものではない。
特に、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物及びジシアンジアミドの場合、硬化促進化が認められ、接着強度を高くすることができる。これらは、上記硬化促進剤の中でも、硬化温度低下、硬化時間短縮をもたらすため、特に好ましい(請求項8)。
【0026】
また、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミドゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物の場合、マイグレーション抑制効果も高く、他マイグレーション抑制剤を添加する量を減ずることができ、硬化促進にも寄与するため、特に好ましい。硬化促進剤の量は、主剤100重量部に対して5重量部以下が好ましい。この量が5重量部を越えると、硬化性はよいものの、接着強度不足及び耐湿性等の信頼性に悪影響を及ぼすことになる。
【0027】
本発明に使用される不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物としては、例えば、ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−ビニルチオメチルフェニル)スルフィド、2,4,4’−トリ(ビニルチオメチル)フェニルスルフィド、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド等が挙げられる(請求項9)。
これらは通常の熱重合開始剤で単独で硬化させることができる。例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、べンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等を挙げることができる。これら開始剤の添加量は、開始剤の種類、配合する化合物の種類および組成比により異なるので一概には決定できないが、接着剤用組成物全量に対して0.5〜6重量%の範囲が好ましい。特に好ましくは1〜3重量%の範囲である。0.5重量%未満であると硬化性が劣り、未反応物が残り、接着不良となる。また、6重量%を越えると重合度が低くなり、硬化物が柔らかくなり過ぎ、接着性が低下するので、好ましくない。1〜3重量%の場合、硬化性が特に良好で、接着性も高い接着剤組成物を与えることができる。
また、チオール基を持つスルフィド化合物であれば、エン−チオール反応を利用し、共重合することも可能である。その重合開始剤としては、水素引き抜き型の開始剤を使用することが好ましい。なお、急激な加熱によりボイドの発生がある可能性があり、硬化速度のコントロールは重要である。
【0028】
なお、これら本発明の化合物がマイグレーション防止効果を発現する理由としては、明確ではないが、イオウ原子の持つ不対電子が、金属に配位し、弱い結合の錯形成をするためではないかと考えている。
【0029】
本発明に使用される導電性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケルなどの導電性金属;アルミナ、ガラスなどの無機絶縁体やポリエチレン、ポリスチレンなどの有機高分子の表面を導電性物質でコートしたもの;カーボン;グラファイトなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い(請求項10)。
導電性フィラーとして特開平7−179832号公報に記載の低融点金属をコーティングしたものを用いることもできる。
これらの導電性フィラーの形状については、球状、リン片状又は樹枝状のものがあり、単独又は2種以上の混合系で用いられる。粗粉と細粉を混合して用いてもよい。特に球状粉末とリン片状粉末の混合系は好ましい態様である。リン片状粉末が通電経路を形成し、球状粉末が樹脂層のマトリックスを強固にすることにより、導電性と強度のバランスを取ることができるので、好ましい導電性接着剤が得られると推測される。更に高融点金属粉末と低融点金属粉末を混合して用いることも可能である(請求項10)。
導電性フィラーの配合量は、導電性接着剤の用途に応じて適切な範囲で選択することができる。加圧プロセスのない通常の導電性接着剤として用いる際の配合率は導電性接着剤全体の65〜90重量%とすることが好ましい。65重量%未満では十分な導電性を得ることが難しく、90重量%を超えると作業性が劣る。より好ましくは70〜90重量%である。(請求項10)
【0030】
本発明の導電性接着剤には、本発明の特徴を損なわない範囲で適当な溶剤又は希釈剤を用いることもできる。これは、ペースト状にした場合に十分な粘度とチキソ性を与えるものである。
溶剤は公知のものでよく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン、カルビトール、メチルカルビトール、カルビトールアセテート、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等が挙げられる。これらは単独で用いても複数の溶剤を適当量混合して用いてもよい。但し、保存特性は低下するので使用時には注意を要する。
【0031】
本発明の導電性接着剤には、他のマイグレーション防止化合物を添加することもできる。
その例としては、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、下記に示すようなトリアジン化合物、及びトリアジン骨格を持つ樹脂(BTレジン:三菱ガス化学)などが挙げられる。
これらの化合物の添加量は、前記マイグレーション防止作用を有するエポキシ樹脂硬化剤から遊離されるマイグレーション防止化合物との合計が導電性接着剤全体の30重量%を超えないように添加することが好ましい。この値を超えると、マイグレーション防止効果が上がらないばかりか、体積当りの導電性が低下することになり好ましくない。
下記中のAは、次の基を表わす。
【0032】
【化2】
【0033】
【表1−1】
【0034】
【表1−2】
【0035】
【表1−3】
NC−(CH2)4−A
H2N−(CH2)2−A
CH3COO−(CH2)2−A
CH2=CH−COO−(CH2)2−A
CH3−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)2−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)3−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)17−O−(CH2)2−A
CH3−(CH2)2−NH−(CH2)2−A
CH3−(CH2)11−NH−(CH2)2−A
CH3−(CH2)17−NH−(CH2)2−A
CH2=CH−CH2−NH−(CH2)2−A
CH3−CHOH−CH2−NH−(CH2)2−A
NH2−(CH2)2−NH−(CH2)2−A
【0036】
本発明に使用される酸化防止剤としては、脂肪酸及びその金属塩、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、フェノール類、金属キレート剤、高級脂肪族アミン、有機チタネート化合物、ロジン、アントラセン及びその誘導体などが挙げられ、市販のはんだ用フラックスも使用できる。中でもプロピオン酸、リノール酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ペンタデシル酸などの脂肪酸又はレゾルシン、カテコール、ハイドロキノンなどの多価フェノールが特に好ましい。酸化防止剤の添加量は一般的には導電性フィラーに対して、0.1〜20重量%が好ましいが、添加量が少な過ぎると導電性フィラーが酸化を受け易く、また多過ぎると接着性や導電性が低下したり、接着剤ペーストの吸湿性が高くなるので0.3〜10重量%が特に好ましい。
【0037】
また、本発明の他配合物としては、接着強度向上のために添加されるカップリング剤も挙げられ、シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシランカップリング剤、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等の一般式
【0038】
【数1】
RSi(OR’)3
〔式中、Rは1個又は2個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、R’は炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。〕
で表されるアルキルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0039】
チタンカップリング剤の具体例としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス−イソデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス−n−デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピル−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)−ビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。なお、これらに限定されるものではない。
これらのカップリング剤の添加量は、本発明に用いる導電性接着剤組成により大きく変化するが、配合物の合計を100重量部とした際、5重量部以下が好ましい。また、5重量部を越えると、樹脂の凝集力が低下し、結果として接着力や信頼性が低下する。
【0040】
本発明の導電性接着剤は、上記の各種成分をボールミル、ロールミル、プラネタリーミキサー等の各種混練機を用いて、常法により、例えば10〜60分間混練することにより得られる。
混練した導電性接着剤は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等の方法により、絶縁基体やリードフレームに塗布する。なお、これらは液状硬化剤を使用しているため、保存には冷凍あるいは冷蔵保存が必要である。
本発明の熱硬化型導電性接着剤の加熱硬化条件は、樹脂が十分硬化すると共に、熱による劣化が問題にならない範囲であれば特に制限はない。一般的な温度範囲としては、150〜240℃であるが、固形の硬化剤を溶融する目的又はボイドの生成を防ぐ目的でこれよりも低い温度で予備加熱を行なっても良い。
【0041】
上記本発明において、例えば銀フィラーを用いた場合、特に高温高湿環境下では銀がイオン化して銀イオンとなるが、この銀イオンはマイグレーション抑制化合物によって銀析出が抑制される。従って、この導電性接着剤をプリント基板の電極に塗布し、電子部品を接着しても、銀イオンの析出による短絡の発生は抑制されることになる。
なお、本発明の2価のイオウ原子を持つ化合物を使用することで、金属に弱い配位をする可能性があり、酸性気体環境下での硫化を防止できる可能性もある。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、下記の実施例及び比較例における「部」は、「重量部」である。
また、各種物性の測定及び評価は次のようにして行なった。
接着強度(剪断強度)は、銅板上に導電性接着剤を膜厚70〜100μm、幅2mm、長さ2mmに塗布し、銅チップ(2mm×2mm×1mm)を5つ載せて所定温度で硬化させ、作成した硬化物にプッシュプルゲージの先端を押し込みチップ脱落等の強度を読み取ることにより測定した。
接着強度(剪断強度)が5Kgf/cm2以上のものを○、5Kgf/cm2未満のものを×とした。
体積固有抵抗は、基盤上に導電性接着剤を膜厚50〜100μm、幅1cm、長さ7cmに塗布し、所定温度で硬化させ、作成した硬化物の1cm当りの抵抗値(R)をデジタルマルチメーターで測定し、その数値を次式に代入することにより算出した。
【0043】
【数2】
体積固有抵抗値=R×t×10−4Ω・cm
〔R:抵抗値、t:膜厚(μm)〕
導電率は、1×10−4Ω/cm以上のものを○、1×10−4Ω/cm未満のものを×とした。
【0044】
マイグレーション発生は、図1に示す手段により測定し評価した。
図1は、導電性テスト手段の平面図であり、ガラエポ基盤(10)上に針状先端部を有する電極(11)を500μmピッチで2個形成し、30ボルトの直流電圧を加えたものである。電極(11)の素材は銅であり、その面積は0.3mm2である。
テスト環境温度は60℃、湿度は95%である。
マイグレーション発生の観察はJIS Z 3284に従って行ない、1000時間通電して観察した結果、マイグレーションが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
以下に示す配合比の導電性接着剤を使用し、上記手段により各種物性の測定及び評価を行なった。
【0045】
(実施例1)
【0046】
(比較例1)
実施例1のビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィドの代りに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、YL980)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0047】
(実施例2)
【0048】
(比較例2)
実施例2のビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィドの代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、YL980)100重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0049】
(実施例3)
【0050】
(比較例3)
実施例3のビス(β−エピチオプロピル)スルフィドの代わりに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本エポキシ社製、#806)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0051】
(実施例4)
【0052】
(比較例4)
実施例4のビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド(住友精化製)の代わりに、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学社製、セロキサイド2081)を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0053】
(実施例5)
【0054】
(比較例5)
実施例5のテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン(住友精化製)の代わりに、ポリオキシアルキレンアミン(HUNTSMAN社製、ジェファーミンD400)28重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0055】
(実施例6)
【0056】
(比較例6)
実施例6のテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン(住友精化製)の代わりに、EH−4070S(アデカ社製)60重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0057】
(実施例7)
【0058】
(比較例7)
実施例7の2,4,6−トチオキソ−1,3,5−トリイルトリエチル−トリス(3−メルカプトプロピオナート)(淀化学製)の代わりに、EH−4070S(アデカ社製)60重量部を使用する以外は同じ組成で作製した。
【0059】
(実施例8)
【0060】
(実施例9)
【0061】
(実施例10)
次に、導電性接着剤評価結果を表1に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明は、2価のイオウ原子を持つ分子構造を持った化合物を配合することにより、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、更に接着力もバランスをとって向上させることをができる。
即ち、請求項1により、2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項2により、2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項3により、2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項4により、2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項5により、エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することで、導電性金属のマイグレーションを抑制することができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項6により、2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、硬化物に可撓性を与えることができ、硬化による歪が少なく、接着力を向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項7により、2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることで、より導電性金属のマイグレーションを抑制しすることができ、より硬化性が良く、接着力を向上させることができ、耐熱性の向上させる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項8により、少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることで、硬化時間短縮、硬化温度を低下させることができ、更にトリアジン骨格を有することで、マイグレーション抑制作用を付与する導電性接着剤を提供するこができる。
また、請求項9により、2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることで、均一に分散でき、導電性金属のマイグレーションを抑制し、硬化収縮性を大きくすることにより体積当りの導電性の向上を図り、接着力をバランスをとって向上させることができ、耐熱性の向上させることができる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
また、請求項10により、導電性フィラーが、銀であることで、高い導電率を付与できる熱硬化型導電性接着剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電テスト手段の平面図を示した図である。
【符号の説明】
10 ガラエポ基盤
11 電極
Claims (10)
- 2価のイオウ原子を持つ化合物及び導電性フィラーを含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 2価のイオウ原子を持つ化合物がスルフィド構造を持つ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 2価のイオウ原子を持つ化合物がアルキレンスルフィド型エピスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 2価のイオウ原子を持つ化合物がフェニルスルフィド型エポキシ化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- エピスルフィド化合物及び又はエポキシ化合物と反応する2価のイオウ原子を持つ化合物を含有することを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 請求項5に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物がポリチオール化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 請求項5に記載の2価のイオウ原子を持つ化合物が多官チオール系硬化剤であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 少なくとも硬化促進剤が、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−{2‘−メチルイミダゾリル−(1’)}−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、あるいはジシアンジアミドであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤。
- 2価のイオウ原子を持つ化合物が不飽和二重結合を持つフェニルスルフィド化合物であることを特徴とする熱硬化型導電性接着剤。
- 前記導電性フィラーが、銀であることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の熱硬化型導電性接着剤。
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