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JP2004186275A - 電気二重層コンデンサ用の電極シート、その製造方法、分極性電極および分極性電極を用いた電気二重層コンデンサ - Google Patents

電気二重層コンデンサ用の電極シート、その製造方法、分極性電極および分極性電極を用いた電気二重層コンデンサ Download PDF

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JP2004186275A
JP2004186275A JP2002349264A JP2002349264A JP2004186275A JP 2004186275 A JP2004186275 A JP 2004186275A JP 2002349264 A JP2002349264 A JP 2002349264A JP 2002349264 A JP2002349264 A JP 2002349264A JP 2004186275 A JP2004186275 A JP 2004186275A
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electric double
layer capacitor
double layer
electrode
electrode sheet
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JP2002349264A
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Manabu Iwaida
学 岩井田
Shigeki Koyama
茂樹 小山
Kenichi Murakami
顕一 村上
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Priority to US10/721,360 priority patent/US6778379B2/en
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Abstract

【課題】低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートおよびその製造方法を提供する
【解決手段】活物質、およびバインダを含む原料から得られた電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒をシート状に成形した電気二重層コンデンサ用電極シートであって、前記電気二重層コンデンサ用電解液を前記電極シートに滴下した際に、前記電極シートに滴下した液滴が、電極シートを底とする前記液滴の頂角をαとし、前記液滴の接触角を180°−αと規定した液滴の接触角が100°以下であることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサ用電極シート、その製造方法、電極シート、分極性電極および分極性電極を用いた電気二重層コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層コンデンサは、電気二重層キャパシタとも呼ばれ、そしてファラッド級の大容量を有し、充放電サイクル特性にも優れ、かつ急速充電が可能であることから、電子機器のバックアップ電源、車載のバッテリ(エネルギバッファ)などの用途に使用されている。
【0003】
電気二重層コンデンサの概略を図8を用いて説明する。
図8は、電気二重層コンデンサの基本構成を示す断面図である。
図8に示す電気二重層コンデンサ101は、容器102と、その容器102内にセパレータ103を挟んで配置される1対の炭素電極(分極性電極)104、104と一対の集電体(部材)105、105とが収納された構成を有しており、そして容器102内は、イオン導電性の電解液が導入されている。電気二重層コンデンサ101は、固体である炭素電極104、104と液体である電解液との界面で発生し、分子レベルの距離を隔てて存在する電荷(図中、+および−で示す)を通常のコンデンサにおける誘電体として用いたコンデンサである。
【0004】
電気二重層コンデンサに使用される電解液は、希硫酸に電解質を添加したいわゆる水溶系の電解液と有機溶剤に電解質を添加したいわゆる有機系電解液に大別され、目的に応じて選択される。すなわち、水溶系電解液を使用した電気二重層コンデンサは、内部抵抗が低くパワー密度の点で有利である。一方、有機系電解液は、単セル当たりの耐電圧を高くすることが可能であるのでエネルギ密度の点で有利であり、またアルミニウム等の安価で軽量な金属を使用できる。
【0005】
このような電気二重層コンデンサでは、実際には図2に示すように電極層(電極シート)eと集電箔(金属箔)11(14)とを、所望により接着層を介して積層した分極性電極9(10)が使用されている。
そして、図1(a)および図1(b)に示す通り、分極性電極シート9(10)とセパレータsを交互に積層して容器2内に封入されて電気二重層コンデンサを構成している。
図1(a)に示す電気二重層コンデンサ1は、円筒型の容器2と、その容器2内に収容され、分極性電極シートとセパレータとから構成された積層体から構成された電極捲回体3と、その容器2内に注入された電解液とから主として構成されている。
一方、図1(b)に示す電気二重層コンデンサ1は、コイン型の容器2内に収容された分極性電極シートとセパレータとから構成された積層体から主として構成され、そしてセパレータに電解液が含浸されている。
【0006】
電気二重層コンデンサ用の分極性電極を構成する電極シートは、活性炭等の活物質と、カーボンブラック等の導電性フィラとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のバインダを混合するプロセスが一般に用いられている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特公平7−105316号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1には電極シートの気孔率やガレー数を用いた規定を行っているが、これらの規定だけでは、電極シートと電気二重層コンデンサとの相関が明確でない。そのため、電極シートを作製する際の尺度、特に低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製するための、電極シートの尺度を確立したいという要求がある。
従って、本発明の課題は、低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートおよびその製造方法を提供することである。
本発明の別の課題は、このような電気二重層コンデンサ用電極シートから構成された分極性電極および電気二重層コンデンサを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、電気二重層コンデンサ用電解液の液滴を前記電極シート上に置いた際に、前記電極シートに置いた液滴が、所定の接触角を有する場合、電極シートの濡れ性の関係で、前記課題を解決することができることを知見した。
また、本発明者等は、電極シートを構成する顆粒を形成するための混練工程を所定の条件で行うことによりこのような所定の接触角を電極シートを得ることが可能であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づくものである。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、活物質、およびバインダを含む原料から得られた電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒をシート状に成形した電気二重層コンデンサ用電極シートであって、前記電気二重層コンデンサ用電解液の液滴を前記電極シート上に置いた際に、前記電極シートに置いた液滴が、電極シートを底とする前記液滴の頂角をαとし、前記液滴の接触角を180°−αと規定した液滴の接触角が100°以下であることを特徴とするものである。
このように構成することによって、濡れ性が改善され低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートが得られる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、本発明に係る電気二重層コンデンサ用電極シートの製造方法であって、下記工程:
(a)活物質、導電性フィラおよびバインダを含む原料を混練して、バインダ成分をフィブリル化して塊状物を形成する工程、(b)形成した塊状物を粉砕して電気二重層コンデンサ用顆粒を形成する工程、および(c)形成した顆粒をシート状に成形して電極シートを得る工程を含み、前記工程(a)は、前記接触角(180°−α)が100°を超えない時間または強度で原料を混練することを特徴とするものである。
【0012】
このように構成することによって、低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートを再現よく製造することが可能となる。
なお、本明細書において使用する用語「前記接触角(180°−α)が100°を超えない時間および強度で原料を混練する」とは、顆粒を形成する際に使用する原料およびこれらの配合率、作製する電極シートの厚み、作製方法を一定にした場合、予備実験により確認された範囲あるいは予備実験データに基づいてシミュレーションされた範囲の温度条件および強度条件を意味する。
【0013】
本発明に係る電気二重層コンデンサ用電極シートの製造方法において、形成した顆粒を分級して、47μm〜840μmの粒径を有する顆粒だけを使用することが好ましい。
このように構成することによって、電極シートから炭素微粉や導電性フィラ等の微粒子が剥離や脱離して電解液中に浮遊したりセパレータ間に介在することがなくなり、電圧維持率の高い電気二重層コンデンサを作製することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、電極箔の上に接着層を介してあるいは介さずに本発明に係る電気二重層コンデンサ用電極シートを積層して構成された電気二重層コンデンサ用分極性電極である。
このようにして構成された電気二重層コンデンサ用分極性電極も、本発明に係る電極シートと同様にして低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製するのに有効に使用可能である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、本発明に係る電気二重層コンデンサ用分極性電極を有することを特徴とする電気二重層コンデンサである。
このように構成された電気二重層コンデンサは、低い抵抗値を有しかつ安定した性能を発揮することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。
(電気二重層コンデンサ)
まず、本発明に係る電気二重層コンデンサ用の電極シート、分極性電極および分極性電極シートを適用する電気二重層コンデンサについて図1および図2を用いて説明する。
図1(a)は、本発明および従来技術の電気二重層コンデンサの一例を示す概略図であり、図1(b)は、本発明および従来技術の電気二重層コンデンサの他例の示す概略図であり、そして図2は、電気二重層コンデンサの分極性電極を示す概略図である。
【0017】
図1(a)に示す電気二重層コンデンサ1は、円筒型の容器2と、その容器2内に収容され、分極性電極シートと帯状セパレータとから構成された積層体(図2参照)から構成された電極捲回体3と、その容器2内に注入された電解液とから主として構成されている。
容器2は、加工の容易性、軽量である等の理由から例えばアルミニウム(合金)から構成されている。また、容器2は有底筒形本体4と、その一端開口部を閉鎖する端子板5とよりなり、その端子板5に正、負端子6,7とが設けられている。なお、図面においては同一平面上に正、負端子6,7とを設けたが正端子6と負端子7とは反対側に設けてもよい。
【0018】
また、図2に示す通り、電極捲回体3は、正極側の第1帯状電極体9と、負極側の第2帯状電極体10とを有する。
第1帯状電極体9は、アルミ箔(集電箔)よりなる帯状集電体11の両面に,それぞれ帯状分極性電極(電極シート)eを導電性接着剤により貼付したものであり、両分極性電極eにより帯状正極(分極性電極)12が構成される。
第2帯状電極体10は、アルミ箔(集電箔)よりなる帯状集電体14の両面に,それぞれ帯状分極性電極(電極シート)eを導電性接着剤により貼付したものであり、両分極性電極eにより帯状負極(分極性電極)15が構成される。
そして、正極側の第1帯状電極体9と、負極側の第2帯状電極体10は、セパレータs、sにより区分されている。
すなわち、電極捲回体3は、分極性電極12、15とセパレータs、sとを交互に積層した構成を有している。
なお、本発明に適用可能なセパレータは、当該技術分野で通常に使用されるセパレータであれば特に限定されるものではなく、多孔質なオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン)や、セルロース、ポリエステル等の繊維を抄紙して得られる混抄紙等を使用することができる。
【0019】
また、図1(a)に示す電気二重層コンデンサに使用される電解液は、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば過塩素酸、六フッ化リン酸、四フッ化ホウ酸、トリフルオロアルキルスルホン酸のテトラアルキルアンモニウム塩またはアミン塩およびテトラフルオロアルキルスルホン酸のテトラアルキルアンモニウム塩またはアミン塩が挙げられる。
このような、電解質は、例えばプロピレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ニトロエタン等の極性溶剤に溶解された電解液として使用される。
【0020】
また、図1(b)に示す電気二重層コンデンサは、図1(a)に示すように分極性電極12、15を電極捲回体3の形態で電気二重層コンデンサに適用するのではなくそのまま積層体として電気二重層コンデンサに適用した代表例としてコイン型の電極二重層コンデンサに適用して例を示す。しかしながら、本発明はこのようなコイン型の電気二重層コンデンサに限定されるものではなく、分極性電極を電極捲回体の形態で電気二重層コンデンサに適用するのではなくそのまま積層体として電気二重層コンデンサに適用した電気二重層コンデンサも本発明の範囲内である。
なお、図1(b)に示す電気二重層コンデンサにおいて、図1(a)と同一の部材は同一の符号を付してその説明を省略する。
図1(b)に示す電気二重層コンデンサ1は、アルミニウム等の導電性の容器2、2’内に収容された分極性電極シート9、10とセパレータsとから構成された積層体から主として構成され、そしてセパレータsに電解液が含浸されている。
正極側分極性電極シート9および負極側分極性電極10は、図1(a)に示した分極性電極と同様に、各々アルミ箔(集電箔)よりなる帯状集電体11(14)の両面にそれぞれ電極シートを導電性接着剤(接着層)により貼付した積層体から構成される(図2も参照)。
このような正極側分極性電極12および負極側分極性電極15を電解液が含浸したセパレータsを介して容器2、2’内に収容することによりコイン型電気二重層コンデンサが形成される。なお、このような構成のコイン型電気二重層コンデンサにおいて、正極側分極性電極12と接触する上側の容器2は正極として機能し、一方負極側分極性電極15と接触する下側の容器2’は負極として機能する。
本発明は、このような電気二重層コンデンサにも適用可能である。
【0021】
次に、図2を用いて、本発明に係る分極性電極について詳細に説明する。
図2に示す通り、分極性電極は、アルミニウム箔等の集電箔上(片面または両面)に、後述する電極シートが積層された構成を有している。
集電箔は、電極シートとの密着性を向上する目的でエッチング等の表面処理を行ってもよい。
(電極シート)
本発明において電極シートは、(a)活物質(b)導電性フィラおよび(c)バインダを含む原料組成物をシート状に成形して構成されている。
【0022】
本発明に係る分極性電極を構成する活物質は、従来電気二重層コンデンサの電極用として使用されているものであれば特に限定されず、活性炭、炭素繊維等を使用することができる。特に静電容量の大きい電気二重層コンデンサを得る目的で電極に比表面積の大きい活性炭や活性炭繊維、好ましくは易黒鉛化材料を炭化した後アルカリ賦活して得られた活性炭、例えばメソフェーズ炭を本発明に係る電極材料として使用することができる。
【0023】
活物質の平均粒子径についても特に限定されるものではなく、例えば1μm〜50μm、好ましくは約6μmの平均粒径を有する活物質が使用される。本発明に係る電極を構成する活物質の割合は、従来公知の範囲、すなわち50〜97質量%で使用される。活物質の量が上記の範囲より少ないと所望の静電容量が得られず、逆に活物質の量が上記の範囲より多いと導電性が悪くなる傾向にある。
【0024】
導電性フィラは、電極に導電性を付与する目的で使用され、当該技術分野に通常に使用されている導電性の微粉末、例えば、カーボンブラックが使用される。本発明に係る電極シートにおける電極顆粒を構成する導電性フィラの使用量も従来公知の量でよく、一般には1〜30質量%の範囲である。導電性フィラの使用量が上記の範囲よりも少ないと得られた電極の導電性が悪くなり、逆に導電性フィラの使用量が上記の範囲よりも多すぎると、静電容量が少なくなる傾向にある。
【0025】
バインダとは、これらの粒子状成分を結着し、造粒するために使用されるものであり、当該技術分野に公知の種々のバインダを本発明に使用することができる。本発明に好適に使用可能なバインダの例として、限定されるものではないが例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン重合体、フッ化ビニリデン重合体、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。これらのバインダのうち、耐熱性、耐薬品性等の観点からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を本発明においてバインダとして使用することが好ましい。
本発明に係る電極シートにおける電極顆粒を構成するバインダの使用量は、接触角を決定するのに重要な因子である。すなわち、後述する実施例に記載の通り、バインダの量が増加すると接触角もそれに略比例して増加する傾向にある。本発明において使用するバインダの量は、2〜20質量%の範囲である、すなわち、バインダの使用量が上記範囲より少ないとバインダとしての機能が充分果せず、一方バインダの使用量が上記範囲を超えると、得られた電極の静電容量が少なくなるとともに接触角が大きくなり過ぎる傾向にある。
【0026】
本発明に係る電極シートは、このような所定の原料から作製されたものであって、前記電気二重層コンデンサ内の電解液と前記電極シートを接触させた際に、電解液と所定の接触角(以下、単に接触角と言う)を有することを特徴とするものである。
以下、本発明に係る電極シートと電解液との接触角について図3を用いて説明する。
図3(a)〜(c)は、本発明に係る電極シートと電解液との接触角を説明する模式図である。
本発明における接触角は、図3(a)に示す通り、電極シートeに電解液を滴下した際に、前記電極シートに滴下した液滴(電極シート上に置いた液滴)が、電極シートを底とする前記液滴の頂角をαとし、前記液滴の接触角を180°−αで表される角度である。
【0027】
本発明においては、この接触角を100°以下、好ましくは30°〜90°と規定する。すなわち、例えば図3(b)に示す通り、接触角が小さくなるに従って(すなわち、液滴がより扁平状で構成されるのに従って)、電解液の電極シートへの濡れ性が向上し、抵抗値が小さくなるとともに電圧維持率が高くなる。
逆に、図3(c)に示す通り、この接触角が、本発明の規定する範囲を超えて大きくなるに従って濡れ性が悪くなり、抵抗値が上昇して電圧維持率が低くなる。
本発明では、このような観点から繰返し実験を行った結果、この接触角が100°以下の場合に、電極シート(分極性電極・電気二重層コンデンサ)が充分な性能を発揮することが可能であることを見出した。
【0028】
すなわち、接触角が100°を超えると抵抗値の上昇が著しくなり、その結果、電気二重層コンデンサの出力低下の原因となり得る。
一方、接触角が小さくなると静電容量が低下する傾向になる。従って、本発明の特定の実施形態において、前記接触角が30°〜90°の範囲が、静電容量と抵抗値(電気二重層コンデンサの出力)とのバランスの観点から好ましい。
【0029】
なお、本発明の特定の実施の形態において、電極シートを構成する顆粒の粒径範囲を47μm〜840μmの範囲とすることが好ましい。
すなわち、本発明に係る電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒が粒径47μm未満の微細な顆粒を含むと、電極シートを形成した際に、シート表面上に粒径47μm未満の微細な顆粒が存在することになる。この表面に存在する微細な顆粒は、保存時や後工程、電気二重層コンデンサの組立て時脱離しやすい。特に、電気二重層コンデンサの組立て後、粒径47μm未満の微細な顆粒が脱離してセパレータ中に介在したり、あるいは電解質液中に浮遊することとなり、電気二重層コンデンサの電圧維持率が低下する場合がある。
なお、本発明で使用される用語「粒径」とは、篩通過の径を意味するものである。
【0030】
従って、このような所定の粒径範囲を有する顆粒を所定の接触角を有するようにシート状に形成して本発明の電極シートとし、次いでこれを集電箔と積層して図2に示すような本発明に係る電気二重層コンデンサ用の分極性電極を構成し、この分極性電極を図1(a)や図1(b)に示すような電気二重層コンデンサに組み込むと、抵抗値が低くなおかつ電圧維持率の高い電気二重層コンデンサが得られる。
【0031】
(製造方法)
次に、図4および図5を用いて本発明に係る電気二重層コンデンサ用電極シートおよび分極性電極の製造方法を説明する。図4は、電気二重層コンデンサの電極シート(分極性電極)の製造工程を示すフローチャートであり、そして図5は、混練時間と接触角との関係を示すグラフである。しかしながら、本発明はこのような製造方法に限定されることはない。
【0032】
(原料混合工程)
本発明において、まず工程S1として、活物質、導電性フィラ、バインダおよび所望に応じて添加されるその他の添加剤を粉末状で所定の割合で混合機に添加し、これらの混合物を均一に分散させる(例えば数千rpmの回転数で20分程度の攪拌)。
【0033】
(混練工程)
次いで、工程S1で均一に分散した原料混合物を混練機、好ましくは図4に示す二軸混練機により加温下(例えば60〜90℃)で低回転速度(例えば、各々約10〜40rpm)にて減圧下(例えば0.2〜0.5MPa)で所定時間混練を行う。
すなわち、図5に示す通り、接触角は混練時間とともに上昇し、そして所定のピークを過ぎるとまた下降していく。ここで、電極シートを形成した際の接触角を、例えばxと設定した場合、接触角のピーク前に出現する領域X1と一端ピークを超過した後、再び出現する領域X2の二つ領域で設定した接触角が得られる。
本発明においては、電極を構成する粒子の劣化の点および運転時間の短縮の点で最初に出現した領域X1を採用することが好ましい。
なお、図4に示したグラフは、特定の組成を有する原料を所定の運転条件(回転速度、温度等)で混練した場合のグラフであり、各々使用する原料の組成や設定する運転条件に応じて、所望とする接触角度を決定することができる。
また、混練時間を一定にして、回転速度を変化させても(横軸を回転速度としても)同様の傾向のグラフが得られる。
従って、本発明では、混練時間または混練する際の回転速度(強度)を設定することによって、所望とする接触角度を有する顆粒から構成された本発明に係る電極シートを得ることができる。
このようにして混練工程で所定条件で原料混合物を所定条件で混練することによって、図3に示す通り、バインダが軟化して活物質と導電性フィラを結着して比較的に大きい電極顆粒を形成する。
【0034】
(破砕工程および分級工程)
混練工程で作製された比較的巨大な粒子の顆粒を、工程S3において、電気二重層コンデンサの電極用粒子に適する大きさとなるように粉砕する。
粉砕工程S3で粉砕した粒子には、電極を構成するのに適さない粒子、すなわち微細粒子や巨大粒子を含んでいる。そのため、本発明においては、工程S4でこれらの粒子を除去する。例えば、目開き840μmの篩により分級して840μmを超える粒径の粒子を除去する。除去された840μmを超える粒径を有する顆粒を、再び粉砕工程S3に戻して粉砕することが好ましい。次いで、例えば目開き47μmの篩により微細粒子を除去することによって、所定の粒径範囲を有する本発明に係る電気二重層コンデンサの電極成形用顆粒を得ることが可能である。なお、除去された微粒子は、再び工程S2の混練工程に戻して顆粒化してもよい。
【0035】
また、分級の順序について、上記の例では巨大粒子を除去した後に微細粒子を除去したが、先ず微細粒子を除去し、次いで巨大粒子を除去してもよい。従って、本発明は、分級の順序に限定されるものではない。
【0036】
(一次成形工程)
本発明において、このようにして工程S1〜工程S4を介して本発明に係る電気二重層コンデンサの電極成形用顆粒を作製するが、このようにして作製された電極成形用顆粒は、次いで工程S6において予備成形(一次成形)して電極プレシートに成形される。
電極プレシートは、従来公知の方法、例えば本発明に係る電気二重層コンデンサの電極成形用顆粒と溶剤、例えばイソプロパーノールとともに所定の空隙を有する一対のローラを通過させることによって成形することが可能である。
【0037】
(圧延工程)
次いで、工程S6において、電極プレシートを所定の厚みを有する電極シートに成形する。電極シートを作製するに当たって、従来公知の方法に従って、電極プレシートをロール間に通過させることによって所定の厚みを有する電極シートに成形する。例えば、図3に示す通り、シート厚130〜160μmの電極シートが所望の場合、例えばロール間隙が異なる3対のロール(下流側のロールの方が上流側のロールより間隙が狭い)を通過させることによって徐々にシート厚を薄くしていく。このようにして段階的にシート厚を薄くすることによって電極シートの厚さ方向に一度に急激な負荷がかからないので、シートの割れ等の欠損を防ぐことが可能となる。
なお、本発明における圧延工程は、複数対のロールに連続して通過させて、電極シートを形成したが、各1対のロールに別個に通過させて電極シートを形成することも勿論本発明の範囲内である。
【0038】
このようにして作製された本発明に係る電極シートは、微細な粒子および巨大粒子が除去された所定の粒径範囲を有する本発明に係る電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒を用いて製造されているので、電極シート表面に微粒子が存在することがない。
【0039】
(貼り合せ工程(接着工程))
次いで、工程S6において例えば電極シートをアルミニウム箔等の集電箔と貼り合せて本発明の分極性電極を形成する。この際に、図3に示す通り、先ず、接着剤が収納された容器内から所定の厚みの接着剤を集電箔に塗布するように構成された第一のロールと前記第一のロールにより所定の厚みの接着剤が塗布された集電箔と電極シートとを圧着するための第二のロールから構成された接着ラインにより貼り合せを行う。
なお、集電箔の両面に電極シートを積層して本発明に係る分極性電極を作製する場合には、工程6を片面づつ両面行うことによって対応可能である。
このようにして集電箔の片面または両面に電極シートが貼り合わされた本発明に係る分極性電極は常法に従い乾燥して最終製品となる。
なお、上記の説明において導電性接着剤を使用して集電箔と電極シートとの積層体である分極性電極を作製したが、集電箔と電極シートとは接着剤を介さずに単に圧着して分極性電極を構成してもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
活物質としての中心粒径6μm程度の活性炭、導電性フィラとしてのアセチレンブラック、バインダとしてのテフロン(登録商標)を混合した。組成比は82:8:10とした。これにイソプロピルアルコールを加え加圧混練8分を行い、テフロン(登録商標)のフィブリル化を行い混練物を得た。
【0041】
得られた混練物を粉砕し、平均粒径が約0.5mm程度の粉砕粉を得た。粉砕粉にさらにイソプロピルアルコールを加え、そしてこの混合物をカレンダ処理にてシート状の成形物を得た。さらにシート状の成形物に圧延を加え、電極シートを作製した。得られた電極シートをアルミ集電体に貼り合わせることで電極体を作製した。なお、接着にはノーテープ工業(株)社製G−5780Aを用いた。
【0042】
得られた電極体を所望の長さに切断して、50μm程度のセパレータを2枚用いて捲回し、テスト用セル内に封入した後、160℃の真空乾燥を72時間行った。四級アンモニウム塩1.8mol/L濃度のプロピレンカーボネート溶液を電解液として注入し、セルを作製した。得られたセルを60℃で含浸し、所定のエージング処理を行い脱泡した後、抵抗値および静電容量を測定した。また作製した電極シートの接触角の測定を行った。電解液約20μL程度を、マイクロシリンジの先端に液滴の状態を作り、これを電極表面に付着させた(電極シート上に置いた。)。これを固定のカメラにて拡大し、以下の図3に示すようにして接触角を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0043】
同様の操作を混合時間を2分、4分、6分および20分に変えて同様にして電極シートを作製し、接触角、抵抗値および静電容量を作製した。さらにテフロン(登録商標)の組成比を6、12、16に変えて同様にして電極シートを作製し、接触角、抵抗値および静電容量を作製した。結果を、表1および表2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004186275
【0045】
【表2】
Figure 2004186275
【0046】
表1の結果から、混練時間が増加するとともに接触角が増加し、所定時間を(混練時間10分)を超えると、接触角が減少していくことが判る(図5参照)。また、接触角が小さいほど抵抗値が小さくなることも判る。混練時間2分の場合には静電容量が比較的小さいがこれは充分な混練が行われなかったためであると推察される。
また、表2の結果から、バインダ量が増加するに従って、接触角が増加し、抵抗値も増加することが判る。
【0047】
(実施例2〜7、比較例1および比較例2)
活性炭、アセチレンブラック、テフロン(登録商標)の組成および混練時間を表2に示す通りに変えて実施例1を繰り返した。結果を表3、図6および図7に示す。
なお、表3には実施例1の結果も併記する。図6は、組成比を一定にした場合の電極シートを作製する各種パラメータと接触角との関係を示すグラフであり、図6(a)は、混練時間と接触角の関係を示し、図6(b)は、接触角と抵抗値の関係を示し、そして図6(c)は、接触角と静電容量の関係を示す。図7は、混練時間を一定にした場合の電極シートを作製する各種パラメータと接触角との関係を示すグラフであり、図7(a)は、バインダ量と接触角の関係を示し、図7(b)は、接触角と抵抗値の関係を示し、そして図7(c)は、接触角と静電容量の関係を示す。
【0048】
【表3】
Figure 2004186275
【0049】
表3、図6および図7から、混練時間と接触角(表3および図6)、バインダ使用量と接触角とに相関関係があることが判り、さらに接触角が上昇するのに従って抵抗値が上昇し、また接触角が大きい場合には静電容量も高いことが判る(接触角60°付近の場合に静電容量と抵抗値のバランスがとれている)。
【0050】
すなわち、混練時間により接触角の変化が見られた。混練が十分に行われた領域(10分)では、接触角が大きいが、同時に抵抗値も上昇した。これは、テフロン(登録商標)の組成比が大きかったためと考えられる。また、テフロン(登録商標)の組成比を変化させた試験では、テフロン(登録商標)の量を増やすと接触角が大きくなり、同時に、抵抗値も上昇した。特に100°近辺での変化が大きく、この角度を超えると、電解液の含浸および電荷を与えた時の電解液およびイオンの流動が妨げられるためと考えられる。また、接触角が低い領域は、抵抗値も低下するが、若干の静電容量の低下が見られる。
これは、電極の密度低下等の原因と考えられるが、出力重視のコンデンサを作製する場合には、有効に用いることができる。
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は次ぎの優れた効果を奏する。
請求項1によると、低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートが得られる。
請求項2によると、低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製可能な電気二重層コンデンサ用の電極シートを再現よく製造することが可能となる。
請求項3による電気二重層コンデンサ用分極性電極も、本発明に係る電極シートと同様にして低い抵抗値を有し性能の安定した電気二重層コンデンサを作製するのに有効に使用可能である。
請求項4による電気二重層コンデンサは、低い抵抗値を有しかつ安定した性能を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明および従来技術の電気二重層コンデンサの一例を示す概略図であり、図1(b)は、本発明および従来技術の電気二重層コンデンサの他の示す概略図である。
【図2】電気二重層コンデンサの分極性電極を示す概略図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明に係る電極シートと電解液との接触角を説明する模式図である。
【図4】電気二重層コンデンサの分極性電極の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】混練時間と接触角との関係を示すグラフである。
【図6】図6(a)は、混練時間と接触角の関係を示し、図6(b)は、接触角と抵抗値の関係を示し、そして図6(c)は、接触角と静電容量の関係を示す。図7は、混練時間を一定にした場合の電極シートを作製する各種パラメータと接触角との関係を示すグラフである。
【図7】図7(a)は、バインダ量と接触角の関係を示し、図7(b)は、接触角と抵抗値の関係を示し、そして図7(c)は、接触角と静電容量の関係を示す。
【図8】電気二重層コンデンサの基本構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【符号の説明】
1 電気二重層コンデンサ
2 容器
3 電極捲回体
9、10 分極性電極
11、14 集電箔
e 電極シート
s、s セパレータ

Claims (4)

  1. 活物質、およびバインダを含む原料から得られた電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒をシート状に成形した電気二重層コンデンサ用電極シートであって、
    前記電気二重層コンデンサ用電解液の液滴を前記電極シート上に置いた際に、前記電極シートに置いた液滴が、電極シートを底とする前記液滴の頂角をαとし、前記液滴の接触角を180°−αと規定した液滴の接触角が100°以下であることを特徴とする、電気二重層コンデンサ用電極シート。
  2. 活物質、およびバインダを含む原料から得られた電気二重層コンデンサの電極形成用顆粒をシート状に成形した電気二重層コンデンサ用電極シートであって、前記電気二重層コンデンサ用電解液の液滴を前記電極シート上に置いた際に、前記電極シートに置いた液滴が、電極シートを底とする前記液滴の頂角をαとし、前記液滴の接触角を180°−αと規定した液滴の接触角が100°以下である電気二重層コンデンサ用電極シートの製造方法であって、
    下記工程:
    (a) 活物質、導電性フィラおよびバインダを含む原料を混練して、バインダ成分をフィブリル化して塊状物を形成する工程、
    (b) 形成した塊状物を粉砕して電気二重層コンデンサ用顆粒を形成する工程、および
    (c) 形成した顆粒をシート状に成形して電極シートを得る工程を含み、
    前記工程(a)は、前記接触角(180°−α)が100°を超えない時間または強度で原料を混練することを特徴とする電気二重層コンデンサ用電極シートの製造方法。
  3. 電極箔の上に接着層を介してあるいは介さずに請求項1に記載の電気二重層コンデンサ用電極シートを積層されて構成された電気二重層コンデンサ用分極性電極。
  4. 請求項3に記載の電気二重層コンデンサ用分極性電極を有することを特徴とする電気二重層コンデンサ。
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