JP2004176898A - 高圧ガス貯蔵容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素ガス等の高圧ガス貯蔵用の圧力容器における実用的耐圧力を引き上げるための手段を示し、高圧力充填が可能な容器を提供すること。
【解決手段】気密性を有する容器本体1と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口4とを備え、前記容器本体1が、ガスに直接接触する内層2と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層15と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層16とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層17を設けるとともに、第3層17の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの20〜80%の範囲内であることを特徴とする高圧ガス貯蔵容器である。
【選択図】図1
【解決手段】気密性を有する容器本体1と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口4とを備え、前記容器本体1が、ガスに直接接触する内層2と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層15と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層16とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層17を設けるとともに、第3層17の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの20〜80%の範囲内であることを特徴とする高圧ガス貯蔵容器である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、水素、酸素、天然ガス等のガスを高圧で貯蔵する高圧ガス貯蔵容器の改良に関し、詳しくはその本体の肉厚部分に、少なくとも繊維強化樹脂材料を用いるとともに強化繊維層に最適な積層設計を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の経済活動は、化石燃料の消費によって支えられており、その消費量は昨今の環境問題対策の呼びかけにもかかわらず、年々増加傾向にある。そのため、地球温暖化や酸性雨など種々の環境問題が懸念されるに至り、特に二酸化炭素、NOxの排出が最大の懸念点となっている。二酸化炭素やNOxの最も大きな排出源は、自動車であり、年々排ガス規制が厳しくなっているのが現状である。かかる事情から大手自動車メーカーでは、現行のディーゼル車やガソリン車の代替となるハイブリッド車やCNG車の開発、市場投入を実施しており、さらに純水素による燃料電池自動車の開発に邁進しており、2020年頃には、実際に純水素による燃料電池車の時代が訪れるとも言われている。
【0003】
しかしながら、該燃料電池車の時代を迎えるためには、種々の課題が山積しており、特にこの燃料源となる純水素の補給・貯蔵方法が最も難しい課題の一つである。最近では1回の水素満載で500km走行するためには水素重量が5kg必要と言われている。5kgの気体水素を100Lの内容積を有する容器に充填する場合、その内圧力は70MPa程度となる。また、圧力容器は、国内では容器保安規則、国際的にはISO規格などによって、その破裂に関する設計安全係数が定められており、その安全係数は2.25倍以上に設定されることが一般的である。したがって、圧力容器は、最終的に70MPa×2.25=約160MPa以上の耐圧力が求められる。このような要求特性の解決手段の一例として、気体水素を高圧充填する高圧容器や、気体水素を親水素金属に吸着させる水素吸蔵合金やカーボンナノチューブ貯蔵方法や、液体水素を直接充填・保持する液体水素貯蔵容器などの検討が進んでいる。この中で、水素充填効率(充填水素重量÷容器重量)や純水素の取り出しやすさの観点から、最も本命視されているのが例えば、特許文献1に記載の高圧容器である。この特許文献1に記載の高圧容器は、ライナー外周部分に強化繊維がヘリカル巻き層とフープ巻き層とからなる繊維強化樹脂層を被覆したもので、経験上、ヘリカル巻の容器軸に対する積層角は0〜20°、フープ巻きのそれは80〜90°である。
【0004】
しかしながら、この文献1に記載の高圧容器は、容器の耐圧力が不足し、本発明の目的とする充填圧力70MPa以上、最小破裂圧力160MPa以上の耐圧力には到底耐えられないものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−181295号公報(段落番号0005、第7図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、水素ガス等の高圧ガス貯蔵用の圧力容器において、充填圧力が70MPa以上でかつ最小破裂圧力が160MPa以上の耐圧力を確保できるように実用的耐圧力を引き上げるための手段を示し、高圧充填が可能な高圧ガス貯蔵容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧ガス貯蔵容器は、上記課題を解決するために、気密性を有する容器本体と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口とを備え、前記容器本体が、ガスに直接接触する内層と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設けるとともに、第3層の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの2〜80%の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を一実施例の図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の高圧ガス貯蔵容器の一部破断の斜視図、図2はガス流入・流出口3付近の部分断面図である。
【0010】
図において、容器本体1は、充填ガスに直接接触する金属製、合成樹脂製または繊維強化樹脂製の内層(以下、ライナーという。)2と、その外周面に積層された繊維強化樹脂層3とからなる。繊維強化樹脂層3は後に詳述するが図4の断面図に示すように複数層のものが積層されている。ガス流入・流出口4は本体1と一体成形されており、本体1の円筒部分6外の少なくとも1カ所に設けられている。
【0011】
ライナー2としては、金属材料では、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。ライナー2は、本金属材料そのものを適用しても良いし、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0012】
また、一般の金属材料を用いる場合は、周知の通り弾性変形範囲と塑性変形範囲を有しており、本発明の高圧ガス貯蔵容器のように充填工程と放圧工程を有する場合、容器は常に繰返し荷重を受けることになる。その場合、ライナーにも耐疲労特性が要求され、ライナー使用材料の弾性変形範囲での使用が義務付けられている。通常、金属ライナーをそのまま製品使用の環境下におくと、前記弾性範囲が狭いため、最大使用圧力が制限される。本問題を解決するために、すなわち、使用できる弾性範囲を広げるために自緊処理を行って、弾性範囲を広くした状態での使用も可能である。
【0013】
ライナー2の円筒部分6における胴部分の最適な厚みは、炭素鋼・マンガン鋼・クロムモリブデン鋼や低合金鋼・ステンレス鋼では、最も薄い部分の厚みで、要求される剛性・耐衝撃特性重視の観点からは0.3mm〜10mmが好ましく、耐腐食性重視の面からは0.5mm〜10mmが好ましく、軽量化重視の観点からは0.5mm〜5mmが更に好ましい。また、アルミニウム合金の場合は、最も薄い部分の厚みで、要求される剛性・耐衝撃特性の観点から1mm〜10mmが好ましく、軽量化の観点から1.5mm〜5mmが更に好ましく、安定生産の面から2mm〜5mmが最も好ましい。
【0014】
一方、ライナーが合成樹脂製の場合は、特に制約を受けるものではなく、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。
【0015】
熱硬化性樹脂の場合、その主材は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができ、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。熱可塑性樹脂の場合、その主材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂(PET、PBT、PCTなど)、PPS樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂など例示でき、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱可塑性樹脂は単独でも、混合物でも、また共重合体であっても良い。混合物の場合には相溶化剤を併用しても良い。さらにまた、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などを加えても良い。また、気体封止材であるエチレンビニルアルコール(以下、EVOHという。)などを一部に用いてもよい。量産性、連続生産性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、気体透過性の観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂(特にHDPE)、PPS樹脂、PET樹脂、ポリアミド樹脂、PBT樹脂、ポリアセタール樹脂が更に好ましい。
【0016】
ライナー2の構成材料として、合成樹脂を採用した場合、内包気体の透過度や要求される仕様によって、ライナー2の肉厚を適度なものに設定する必要がある。気体の透過度合は、その気体の種類や内包圧力によって異なるが、特に自動車用途の容器の場合は、ガソリンタンクなどの容器から漏洩する気化したガソリン量が総量規制されており、この傾向は年々厳しくなっている。例えば、容器内圧が本発明の目標とする70MPa状態下で、最も厳しい水素漏洩規則が適用された場合、容器からの漏洩は、1.0cm3/hr・litterとなる。本規則を満たすためには、水素透過率の小さい材料を適用することにより、ライナー肉厚を薄くし、ライナーの重量を低減することができる。特に前記気体封止材である前記EVOHは薄肉で高い水素シール特性を発揮できるため、ライナーの軽量化には最適であり、単体で用いても良いし、前記他の樹脂と併用してもよい。単体で用いる場合でも他の樹脂と併用する場合でも、EVOHの厚みが水素シール性に十分確保されていれば、ライナー全体の肉厚は特に制限されるものではない。すなわち、EVOHを他樹脂と併用する場合、EVOH層はライナー2の外表面であっても、他の樹脂の内部に内包されていてもよいし、ライナー内表面であっても構わない。本発明の容器の最小目標充填内圧の70MPaで気体水素を貯蔵する場合、EVOHの厚みt(mm)は、容器外表面積をSuf(cm2)、容器内容積をVol(litter)とすると、次の式を満足することが好ましい。
【0017】
t(mm)≧7×10-8 ・Suf・Vol
また、ライナー2に樹脂材料を選定した場合、剛性、強度、耐衝撃特性を向上するために、補強繊維やフィラーが混入されていてもよく、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミックス繊維、ワラステナイト、セピオライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏繊維、硫化モリブデン(MOS)、ホウ酸アルミ、針状炭カル、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムなどの単体もしくは複数の組み合わせでもよいし、またワラステナイト、セピオライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏繊維、MOS、ホウ酸アルミ、針状炭酸カルシウム、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムの表面に炭素被覆またはシランカップリング処理などを施したものを例示できる。これら補強繊維やフィラーを単体もしくは複数の組み合わせとして使用してもよい。
【0018】
樹脂材料を用いた場合のライナー2の胴6部分の最適な厚みは、要求されるガス透過性やライナーライナーの成形性から決定され、1mm〜20mmであることが好ましく、軽量化の観点から1mm〜15mmであることがより好ましい。
【0019】
次に、図3および図4に基づき、繊維強化樹脂層3について説明する。まず図3は、強化繊維12の本体軸である子午線方向10に対する積層角度を示したもので、以後強化繊維の積層角度とは図3の積層角度13を言うものとする。また、以後の説明において赤道方向とは図の11方向を言うものとする。図4は、容器本体1の厚み方向の部分断面図であり、本実施例ではライナー2に対しZ軸方向(外側方向)に例えば、積層角が0〜20°のヘリカル巻をした第1層15、積層角が80〜90°のフープ巻をした第2層16、積層角が20〜80°の高角度ヘリカル巻をした第3層17、積層角が0〜20°のヘリカル巻をした第4層18が積層されて繊維強化樹脂層3を構成している。なお、各層の厚みTα 〜Tηは、実際は1mm程度の薄いものであり、また、第1から第4層15〜18までの各層は、上記した積層角が上記厚みの範囲内においてプラスマイナスの交互に積層されている。また、図示を省略したが実物は上記第1から第4層15〜18までの各層を1ユニットとして、さらにZ軸方向に複数ユニットが積層され、合計で20〜40層程度に積層されて本発明の繊維強化樹脂層3を構成している。さらに、各層の積層順序においても、必要強度、耐圧力により、図の第1から第4層15〜18をランダムな組み合わせ順序とすることもできる。
【0020】
この場合、強化繊維12としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを例示することができる。また、曲げ特性、強度の観点から、強化繊維単体の引張弾性率が50GPa〜700GPaのものが好ましく、引張弾性率に加え比剛性をも重視するとの観点から、200GPa〜700GPaが好ましく、さらにコストパフォーマンスをも重視するとの観点から200GPa〜450GPaが更に好ましい。また同様に、強化繊維単体の引張強さは、1500MPa〜7000MPaのものが好ましく、比強度をも重視するとの観点から、3000MPa〜7000MPaのものが好ましい。また、強化繊維の密度は、1.60〜3.00のものが好ましく、軽量化をも重視するとの観点から1.70〜2.00のものが好ましく、結局コストパフォーマンスの面より1.70〜1.90のものがより好ましい。更にまた、繊維の径としては、一本当たり5〜30μmのものが好ましく、取り扱い性の観点から5〜20μmのものがより好ましく、さらに軽量化の観点から、5〜10μmのものが最も好ましい。
【0021】
上述した繊維強化樹脂層3は、本発明の高圧ガス貯蔵容器に対して、これらの強化繊維を単体で用いても良いし、数種類の強化繊維を組合わせて用いてもよい。その場合、軽量化や比強度、比弾性率の観点から、少なくとも、1つの層の強化繊維は炭素繊維であることが好ましい。繊維強化樹脂層3は、マトリックス樹脂の割合を繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積分率Vfで規定すると、容器に要求される剛性の観点からはVfが20%〜90%が好ましく、生産性や要求強度をも重視するとVfが40〜80%であることがより好ましい。20%未満であると、強化繊維の補強効果が小さく効果的でなく、90%を越えると強化繊維を所望の容器形状に保持することができなくなる(ばらける)傾向がある。
【0022】
次に、繊維強化樹脂層3を構成するマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂の場合、その主材は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができ、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。特に前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうち、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂に採用する場合、前記熱硬化性樹脂成分に適切な硬化剤や反応促進剤を添加することが可能である。
【0023】
熱可塑性樹脂の場合、その主材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、PPS樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂など例示でき、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱可塑性樹脂は単独でも、混合物でも、また共重合体であっても良い。混合物の場合には相溶化剤を併用しても良い。さらにまた、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などを加えても良い。
【0024】
次に、本発明の高圧ガス貯蔵容器の形状としては、一部に円・楕円断面を有する円筒形状が好ましく、その具体的寸法は次の通りある。まず成形性の観点を重視すると、その内径Diは30mm〜4000mmが好ましく、外径Doは種々の要求耐圧レベルに応じるためには32mm〜6000mmが好ましい。また円筒部分6の長さは、成形性の観点から、100mm〜8000mmが好ましい。特に自動車(トラックや自家用車)などに本発明の容器を適用する場合は、省スペースの観点から、Diは30mm〜1000mm、Doは32mm〜1200mm、円筒部分長さは100mm〜2000mmの範囲内がより好ましい。また、ガス流入・流出口4の他に、容器内に充填する気体の充填口や放出口を設置し、該部分にネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができるようにしても良い。
【0025】
また、これら一つの高圧ガス貯蔵容器単体を製品として使用しても良いし、2つ以上の本発明の高圧ガス貯蔵容器を組み合わせて1つの高圧ガス貯蔵容器群を形成して使用することもできる。
【0026】
次に、本発明の高圧ガス貯蔵容器の製造方法について説明する。
【0027】
まず、ライナー2の製造方法について説明する。ライナーに用いられる材料が金属材料の場合、管状の金属材料を出発点とする場合、スピニング加工、プレス加工、などを例示できるが、気体の充填・放出口を設置する観点からスピニング加工が好ましい。また、板状の金属材料を出発点とする場合、プレス加工、絞り加工、曲げ加工と切削加工や溶接加工を組み合わせた加工方法を選定することが多く、生産性や寸法精度の観点からプレス加工や絞り加工と切削加工や溶接加工の組み合わせが好ましく、気体の充填・放出口を設置することが必要な場合もある。すなわち、金属ライナーを用いる場合は、一体ものであっても、部品を溶接したものであってもよいが、生産性や気体透過性を考慮すれば、一体もの(管状材料)から成形したものが好ましい。
【0028】
ライナーに用いられる材料が樹脂の場合、熱硬化性樹脂を適用した場合、プレス成形、内圧成形、RTM成形などを用いて成形することが可能で、一体ものであってもよいし、一体ものでない場合、接着剤を用いて2個以上の部品を貼り合わせてライナーを製作することも可能である。また、気体の充填口や放出口を設置するために、樹脂製ライナーに直接ネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができる機構を装備しても良いし、強度的に問題が有る場合、図2に示すように一部金属部品7をインサート成形してもよい。この場合の適用できる金属部品は、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。また、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0029】
ライナー2に用いられる材料が合成樹脂の場合、熱可塑性樹脂を適用した場合、射出成形、ブロー成形、トランスファー成形、注型成形、回転成形などを例示することができ、一体ものであってもよいし、一体ものでない場合、接着剤を用いて2個以上の部品を貼り合わせてライナーを製作したり、振動融着や熱融着によって2個以上の部品を組み合わせてライナーを製作することも可能である。また、この場合、バージン材のみで成形してもよいし、一度成形したライナーを細かく砕いた(リグラインドした)材料を一定の割合でバージン材に混入して成形してもよい。特にブロー成形法によってライナー2を成形する場合は、前記熱可塑性樹脂のうち、数種類の材料を組み合わせて、ライナー断面を多層体として成形できる。本発明の容器運用内圧70MPaで気体水素を貯蔵する容器の場合で、ライナー材質として気体封止材である前記EVOHを用いる場合は、前記多層ブロー成形法によりライナーを得るのが好ましい。
また、気体の充填口や放出口を設置するために、樹脂製ライナーに直接ネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができる機構を装備しても良いし、強度的に問題が有る場合、図2に示すように一部金属部品をインサート成形してもよいし、後から溶着してもよい。この場合の適用できる金属部品は、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。また、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0030】
次に、繊維強化樹脂層3の製造方法について説明する。
【0031】
繊維強化樹脂層3をライナー2の外周に積層配置する方法としては、従来法のフィラメントワインディング(以下FW法)、テープワインディング(以下TW法)、シートワインディング(以下SW法)、ハンドレイアップ法、RTM法などを例示することができる。これら成形法のうち、単一の方法のみで成形してもよいし、2種類以上の成形法を組み合わせて成形しても良い。特性の発現性や生産性、成形性の観点から、FW法、TW法、SW法が好ましい。これらFW法、SW法、TW法は基本的には、ストランド状の強化繊維にマトリックス樹脂を付与してライナーに積層すると言う観点では、同一の成形法であり、強化繊維をライナーに対して、フィラメント(糸)形態、テープ(糸をある程度束ねたテープ状)形態、シート(テープをある程度束ねたシート状)形態で巻き付けるかによって名称が異なる。ここでは、最も基本的なFW成形に関して詳細を説明するが、TWやSWにも適用できる内容である。
【0032】
FW成形に際して、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、あらかじめ樹脂を塗布した状態(未硬化)の強化繊維を直接ライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とすることも可能であるし、ライナーに巻き付ける直前に強化繊維に樹脂を塗布することも可能である。これらの場合、本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とした(樹脂は未硬化状態)後、樹脂を硬化させるためにバッチ炉(オーブン)や熱負荷を与えられる連続硬化炉などで使用樹脂の硬化条件に適用した条件での樹脂硬化処理を行う必要がある。
【0033】
FW成形に際して、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、あらかじめ樹脂を塗布(含浸)した状態の強化繊維を直接ライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とすることも可能である。この場合、ライナーに巻き付ける直前に樹脂塗布フィラメントを使用している熱可塑性樹脂の融点以上に昇温してライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状が必要である。また、ライナーに巻き付ける直前に強化繊維に溶融させた熱可塑性樹脂を塗布して本発明の高圧ガス貯蔵容器形状を得ることもできる。この場合、熱硬化性樹脂に適用したような樹脂硬化工程は不要である。
【0034】
強化繊維を前記FW成形、TW成形、SW成形などで本発明の高圧ガス貯蔵容器形状を得る場合、最も重要なことは、繊維配向設計である。FW、TW、SW成形では、強化繊維ストランド(連続繊維)や予め樹脂を含浸させたプリプレグなどを用いて、ライナーに巻き付けて成形する。設計時にはライナー胴部における連続繊維方向と積層厚みを設計ファクターにとって要求特性を満足する剛性、強度を満足するように設計する。
【0035】
次に、積層厚みT、Tα 〜Tηについて説明する。
【0036】
通常、板状の成形品においては、1つの積層帯に1つの積層角度を有するが、本発明のような、断面が円形もしくは楕円形を有するライナーの周りに繊維強化樹脂材料を配する場合、1つの積層帯に1つの積層角度であると、カップリングを生じ、容器の変形が対称形にならない。従って、例えば、1つの積層帯の積層角度は±45°などとプラスマイナスで1つの積層帯と呼ぶことが多く、本発明の高圧ガス容器に対しても、同様の設計呼び方を採用している。鏡部分の積層角度と厚みは、鏡部分の曲率と胴部積層角度と厚みに起因し、編目理論により決定され、胴部分の積層角度に比べて鏡部分の積層角度は大きくるし、鏡部分の形状に積層角度は起因するため、一概に設定するようなことは出来ないため、容器の積層角度は胴部分の積層角度で規定することが一般的である。容器の破壊強度スペックは、一般的には運用充填圧力の2.2倍〜2.4倍以上であるように設計することが義務付けられている。すなわち、低圧ガス貯蔵容器場合では、例えば、運用充填圧力が35MPaの容器の場合、容器の最大充填圧力(最小破裂圧力)は、35×2.4=84MPa以上であることが求められることとなる。最小破裂圧力が、この程度のスペックであると、積層角度が0°〜20°のヘリカル巻き積層帯と、積層角度が80°〜90°のフープ巻き積層帯の組み合わせのみで目標値を達成することができる。
【0037】
しかしながら、高圧ガス貯蔵容器の場合では、例えば運用充填圧力が70MPaの容器の場合、容器の最大充填圧力(最小破裂圧力)は、70×2.4=168MPa以上であることが求められることとなる。最小破裂圧力が、このように非常に大きくなると、前記積層角度0°〜20°の積層帯と積層角度80°〜90°の積層帯の組み合わせのみでは、たとえ積層帯の厚みを増加したとしても、容器に要求される最小破裂圧力を満足することは難しい。
【0038】
ここで、容器の破壊モードについて補足する。例えば、図1に示す形態のガス貯蔵容器においては、加圧時に破壊する箇所は、胴部中央、胴部−鏡部接合面、鏡部、ガス流入・流出口があげられる。これらの破壊箇所のうち、胴部中央以外で破壊する場合は、破裂時に容器自体が例えばミサイルの如く飛ぶ可能性が高く、周辺環境への影響が懸念されるため、製品として不合格扱いとなる。本症状の対策案として、80〜90°積層帯を胴部−鏡部接合面を越えて鏡部の一部まで容器子午線方向に延長する(フープエンドの延長)対策を検討している文献なども見受けられるが、低圧ガス貯蔵容器にのみ適用できる方法である。
【0039】
すなわち、低圧ガス貯蔵容器の設計をそのまま高圧ガス貯蔵容器に適用すると、胴部−鏡部接合面もしくは鏡部で破壊するモードとなり、製品として不合格となるし、また最小破裂圧力値も低くなりスペックを満足することができない。
【0040】
本発明の高圧ガス容器においては、図4に示すように繊維強化樹脂層3の胴部における合計厚みをTとした場合、積層角度80〜90°の積層帯であるフープ巻の第1層15の厚みT80−90は0.2×T〜0.8×Tの範囲であることが好ましく、胴部の十分な強度を発現させるためには、0.3×T〜0.8×Tであることがより好ましい。また、積層角度20〜80°の積層帯である第3層17の厚みT20−80は、0.02×T〜0.8×Tの範囲内であることが好ましく、鏡部分にも剛性や強度を要求されるライナーに適用する場合は、0.2×T〜0.8×Tの範囲内であることが好ましい。さらにまた、積層角度0〜20°の積層帯である第2層16の厚みT0−20は、0.0×T〜0.6×Tであることが好ましく、鏡部分にも剛性や強度を要求されるライナーに適用する場合は、0.05×T〜0.6×Tであることがより好ましい。
【0041】
これら、各層15〜18の積層厚みTα〜Tηは、繊維強化樹脂層3の胴部における合計厚みTであって、一度に必要厚みだけ連続的に積層しても良いし、他の積層角度の積層帯と組み合わせて特定の周期を持って積層しても良いし、さらにまた、他の積層角度の積層帯と組み合わせてランダムに配置することも可能である。
【0042】
一般の高圧ガス貯蔵容器に対しては、前記発明の内容を基にした積層、厚み設計で十分要求性能を発揮できるが、内部のガス充填圧力が超高圧である場合や容器の破壊強度スペックが、運用充填圧力の3倍以上であるように設計することが義務付けられている場合や内部のガス充填圧力が高圧であっても、その外径が大きかったりする場合などでは、積層角度20〜80°の積層帯の胴部における配置位置を最適に設計しなければならない。これは、超高圧ガス貯蔵容器においては、積層角度20〜80°の積層帯が必ず必要なのであるが、ライナー外層面近傍に配置しすぎると鏡部分での破壊の可能性が高まり、逆に容器外側近傍に配置しすぎると胴部−鏡部接合部での破壊の可能性が高まるからである。
【0043】
すなわち、繊維強化樹脂材料の胴部において、図4に示すように、ライナー外層面から容器外側に向けてZ軸を設定し、ライナー外層面でのZ座標をゼロとするならば、積層角度20〜80°の積層帯の厚みの少なくとも80%は、Z座標の0.1×T〜0.9×Tに配することが好ましく、さらにガス充填圧力が非常に高い場合、Z座標の0.2×T〜0.8×Tに配することが好ましい。これらの設計を外れて積層設計すると、鏡部分の局所的な曲げ変形による大きな圧縮応力の発生や、胴部−鏡部の接合部(タンジェントライン)において応力集中による大きな引張応力を発生し、該部分から容器が設計強度以下で破壊する可能性が高い。
【0044】
このようにして基本的な剛性、強度における設計によって製作された本発明の高圧ガス貯蔵容器に対して、その外装面に種々の塗装や装飾、金属メッキを施してもよく、また落下衝撃特性を向上させるために樹脂材料や金属材料で成形されたカバーを取り付けても良い。これら容器の外装面に設置することができる塗装や装飾や金属メッキやカバーなどの厚みや範囲、形状は特に限定されることなく本発明の高圧ガス貯蔵容器に適用できる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を示す。
【0046】
(実施例1)
図1の本発明の容器において、ライナー2の構成材料として、アルミニウム合金6061−T6処理を適用し、シームレスアルミニウム管をスピニング加工によって、内径380mm、外径386mm(肉厚3mm)、胴部6の長さ810mm、内容量100リットルのライナー2を製作した。なお、本ライナーの胴部厚みは3mmで、ガス流入口は2個設けた。
【0047】
また、繊維強化樹脂層3の強化繊維として、東レ株式会社製“トレカ” M30S−18K−50Cを用い、マトリックス樹脂として、JER(株)製“エピコート828”、硬化剤として日立化成株式会社製“HN2200”、硬化促進剤として花王株式会社製“カオライザー”を用いてフィラメントワインディングにより繊維強化樹脂層3を製作した。このとき、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みが23mmとなるように製作した。その内訳は、第1層を積層角度±9°でその厚みを3mm、第2層を積層角度±60°でその厚みを2mm、第3層を積層角度±65°でその厚みを1mm、第3層を積層角度±70°でその厚みを3mm、第2層を積層角度±89°でその厚みを14mmに設定した。
【0048】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力220MPa、破裂位置が胴部中央となり破裂圧力、破裂モードとも合格であった。
【0049】
(実施例2)
ライナー材料として、PA6/EVOH/PA6の順からなる3層構造体を適用し、多層ブロー成形によって、内径380mm、外径392mm、ライナー胴部の肉厚6mm(PA6 5.6mm、EVOH0.4mm)、胴部6の長さを810mm、内容量100リットルのライナー2を製作した。なお、本実施例2のライナーは樹脂製であり、ガス流入口にクロムモリブデン鋼製の部品をインサートして製作した。なお本容器の表面積は、14690cm2である。
【0050】
また、強化繊維・マトリックス樹脂・硬化剤・硬化促進剤としては、実施例1と同様のものを用い、繊維強化樹脂層3を製作した。このとき、繊維強化樹脂層の容器胴6部分の厚みは20mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)厚み3mm、±19°(第1層)厚み1mm、±60°(第3層)2mm、±65°(第3層)1mm、±70°(第3層)1mm、±89°(第2層)12mmに設定した。
【0051】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力180MPa、破裂位置が胴部中央となり破裂圧力、破裂モードとも合格であった。
【0052】
(比較例1)
実施例1と同一のライナー、強化繊維、マトリックス樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用いて容器を製作した。このとき、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みは23mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)3mm、±19°(第1層)4mm、±89°(第2層)16mmに設定し、本発明の第3層は設けなかった。
【0053】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力120MPa、破裂位置は鏡−胴部の接合面となり、破裂圧力、破裂モードとも不合格(破裂圧力不足・安全性難あり)であった。
【0054】
(比較例2)
実施例1と同一のライナー、マトリックス樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用いて容器を製作した。このとき、強化繊維として、東レ株式会社製“トレカ” T700S−24K−50Cを用い、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みは10mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)4mm、±89°(第2層)6mmに設定し、本発明の第3層は設けなかった。
【0055】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力80MPa、破裂位置は胴部中央となり破裂圧力不合格、破裂モード合格であった。
(実施例・比較例のまとめ)
以上の実施例と比較例を纏めたのが、次の表1である。
【0056】
【表1】
【0057】
上記表1の実施例1と比較例1より、本発明の第3層(積層角度が±20°〜±80°の層)を設けることにより、破裂圧力増と、破壊モード改善が可能であり、本発明の第3層の設置効果が認められる。また、実施例1、2より、ライナー材質がアルミニウム合金の場合でも、樹脂の場合であっても同様に破裂圧力、破裂モードともに合格である。
【0058】
比較例2より、比較例1と同様に第1層と第2層のみの積層の容器において破裂圧力を低く設計する場合は、破裂モードが合格となる。従って、設計破裂圧力を高く設計する場合は、本発明の20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設ける必要があることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の高圧ガス貯蔵容器は、気密性を有する容器本体と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口とを備え、前記容器本体が、ガスに直接接触する内層と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設けるとともに、第3層の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの20〜80%の範囲内としたことにより、剛性・強度などの製品特性に優れ、かつ低コストの高圧ガス貯蔵容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧ガス貯蔵容器の一部破断をした斜視図である。
【図2】図1の本発明の高圧ガス貯蔵容器の部分断面図である。
【図3】本発明の高圧ガス貯蔵容器の胴部における強化繊維の積層角度の説明図である。
【図4】図1の本発明の高圧ガス貯蔵容器の胴部の部分断面図である。
【符号の説明】
1 :容器本体
2 :内層(ライナー)
3 :繊維強化樹脂層
4 :ガス流入・流出口
5a:ライナー内径 Di
5b:ライナー外径 Do
6 :円筒部分長さ
7 :金属部品
8 :樹脂ライナー
10 :子午線方向
11 :赤道方向
12 :強化繊維
13 :積層角度
14 :Z軸方向
15 :積層角度±α層
16 :積層角度±β層
17 :積層角度±γ層
18 :積層角度±η層
19 :Z座標基準「ゼロ」点
T :繊維強化樹脂層の合計厚み
Tα :厚み
Tγ :厚み
Tβ :厚み
Tη :厚み
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、水素、酸素、天然ガス等のガスを高圧で貯蔵する高圧ガス貯蔵容器の改良に関し、詳しくはその本体の肉厚部分に、少なくとも繊維強化樹脂材料を用いるとともに強化繊維層に最適な積層設計を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の経済活動は、化石燃料の消費によって支えられており、その消費量は昨今の環境問題対策の呼びかけにもかかわらず、年々増加傾向にある。そのため、地球温暖化や酸性雨など種々の環境問題が懸念されるに至り、特に二酸化炭素、NOxの排出が最大の懸念点となっている。二酸化炭素やNOxの最も大きな排出源は、自動車であり、年々排ガス規制が厳しくなっているのが現状である。かかる事情から大手自動車メーカーでは、現行のディーゼル車やガソリン車の代替となるハイブリッド車やCNG車の開発、市場投入を実施しており、さらに純水素による燃料電池自動車の開発に邁進しており、2020年頃には、実際に純水素による燃料電池車の時代が訪れるとも言われている。
【0003】
しかしながら、該燃料電池車の時代を迎えるためには、種々の課題が山積しており、特にこの燃料源となる純水素の補給・貯蔵方法が最も難しい課題の一つである。最近では1回の水素満載で500km走行するためには水素重量が5kg必要と言われている。5kgの気体水素を100Lの内容積を有する容器に充填する場合、その内圧力は70MPa程度となる。また、圧力容器は、国内では容器保安規則、国際的にはISO規格などによって、その破裂に関する設計安全係数が定められており、その安全係数は2.25倍以上に設定されることが一般的である。したがって、圧力容器は、最終的に70MPa×2.25=約160MPa以上の耐圧力が求められる。このような要求特性の解決手段の一例として、気体水素を高圧充填する高圧容器や、気体水素を親水素金属に吸着させる水素吸蔵合金やカーボンナノチューブ貯蔵方法や、液体水素を直接充填・保持する液体水素貯蔵容器などの検討が進んでいる。この中で、水素充填効率(充填水素重量÷容器重量)や純水素の取り出しやすさの観点から、最も本命視されているのが例えば、特許文献1に記載の高圧容器である。この特許文献1に記載の高圧容器は、ライナー外周部分に強化繊維がヘリカル巻き層とフープ巻き層とからなる繊維強化樹脂層を被覆したもので、経験上、ヘリカル巻の容器軸に対する積層角は0〜20°、フープ巻きのそれは80〜90°である。
【0004】
しかしながら、この文献1に記載の高圧容器は、容器の耐圧力が不足し、本発明の目的とする充填圧力70MPa以上、最小破裂圧力160MPa以上の耐圧力には到底耐えられないものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−181295号公報(段落番号0005、第7図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、水素ガス等の高圧ガス貯蔵用の圧力容器において、充填圧力が70MPa以上でかつ最小破裂圧力が160MPa以上の耐圧力を確保できるように実用的耐圧力を引き上げるための手段を示し、高圧充填が可能な高圧ガス貯蔵容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧ガス貯蔵容器は、上記課題を解決するために、気密性を有する容器本体と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口とを備え、前記容器本体が、ガスに直接接触する内層と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設けるとともに、第3層の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの2〜80%の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を一実施例の図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の高圧ガス貯蔵容器の一部破断の斜視図、図2はガス流入・流出口3付近の部分断面図である。
【0010】
図において、容器本体1は、充填ガスに直接接触する金属製、合成樹脂製または繊維強化樹脂製の内層(以下、ライナーという。)2と、その外周面に積層された繊維強化樹脂層3とからなる。繊維強化樹脂層3は後に詳述するが図4の断面図に示すように複数層のものが積層されている。ガス流入・流出口4は本体1と一体成形されており、本体1の円筒部分6外の少なくとも1カ所に設けられている。
【0011】
ライナー2としては、金属材料では、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。ライナー2は、本金属材料そのものを適用しても良いし、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0012】
また、一般の金属材料を用いる場合は、周知の通り弾性変形範囲と塑性変形範囲を有しており、本発明の高圧ガス貯蔵容器のように充填工程と放圧工程を有する場合、容器は常に繰返し荷重を受けることになる。その場合、ライナーにも耐疲労特性が要求され、ライナー使用材料の弾性変形範囲での使用が義務付けられている。通常、金属ライナーをそのまま製品使用の環境下におくと、前記弾性範囲が狭いため、最大使用圧力が制限される。本問題を解決するために、すなわち、使用できる弾性範囲を広げるために自緊処理を行って、弾性範囲を広くした状態での使用も可能である。
【0013】
ライナー2の円筒部分6における胴部分の最適な厚みは、炭素鋼・マンガン鋼・クロムモリブデン鋼や低合金鋼・ステンレス鋼では、最も薄い部分の厚みで、要求される剛性・耐衝撃特性重視の観点からは0.3mm〜10mmが好ましく、耐腐食性重視の面からは0.5mm〜10mmが好ましく、軽量化重視の観点からは0.5mm〜5mmが更に好ましい。また、アルミニウム合金の場合は、最も薄い部分の厚みで、要求される剛性・耐衝撃特性の観点から1mm〜10mmが好ましく、軽量化の観点から1.5mm〜5mmが更に好ましく、安定生産の面から2mm〜5mmが最も好ましい。
【0014】
一方、ライナーが合成樹脂製の場合は、特に制約を受けるものではなく、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。
【0015】
熱硬化性樹脂の場合、その主材は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができ、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。熱可塑性樹脂の場合、その主材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂(PET、PBT、PCTなど)、PPS樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂など例示でき、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱可塑性樹脂は単独でも、混合物でも、また共重合体であっても良い。混合物の場合には相溶化剤を併用しても良い。さらにまた、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などを加えても良い。また、気体封止材であるエチレンビニルアルコール(以下、EVOHという。)などを一部に用いてもよい。量産性、連続生産性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、気体透過性の観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂(特にHDPE)、PPS樹脂、PET樹脂、ポリアミド樹脂、PBT樹脂、ポリアセタール樹脂が更に好ましい。
【0016】
ライナー2の構成材料として、合成樹脂を採用した場合、内包気体の透過度や要求される仕様によって、ライナー2の肉厚を適度なものに設定する必要がある。気体の透過度合は、その気体の種類や内包圧力によって異なるが、特に自動車用途の容器の場合は、ガソリンタンクなどの容器から漏洩する気化したガソリン量が総量規制されており、この傾向は年々厳しくなっている。例えば、容器内圧が本発明の目標とする70MPa状態下で、最も厳しい水素漏洩規則が適用された場合、容器からの漏洩は、1.0cm3/hr・litterとなる。本規則を満たすためには、水素透過率の小さい材料を適用することにより、ライナー肉厚を薄くし、ライナーの重量を低減することができる。特に前記気体封止材である前記EVOHは薄肉で高い水素シール特性を発揮できるため、ライナーの軽量化には最適であり、単体で用いても良いし、前記他の樹脂と併用してもよい。単体で用いる場合でも他の樹脂と併用する場合でも、EVOHの厚みが水素シール性に十分確保されていれば、ライナー全体の肉厚は特に制限されるものではない。すなわち、EVOHを他樹脂と併用する場合、EVOH層はライナー2の外表面であっても、他の樹脂の内部に内包されていてもよいし、ライナー内表面であっても構わない。本発明の容器の最小目標充填内圧の70MPaで気体水素を貯蔵する場合、EVOHの厚みt(mm)は、容器外表面積をSuf(cm2)、容器内容積をVol(litter)とすると、次の式を満足することが好ましい。
【0017】
t(mm)≧7×10-8 ・Suf・Vol
また、ライナー2に樹脂材料を選定した場合、剛性、強度、耐衝撃特性を向上するために、補強繊維やフィラーが混入されていてもよく、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミックス繊維、ワラステナイト、セピオライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏繊維、硫化モリブデン(MOS)、ホウ酸アルミ、針状炭カル、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムなどの単体もしくは複数の組み合わせでもよいし、またワラステナイト、セピオライト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏繊維、MOS、ホウ酸アルミ、針状炭酸カルシウム、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムの表面に炭素被覆またはシランカップリング処理などを施したものを例示できる。これら補強繊維やフィラーを単体もしくは複数の組み合わせとして使用してもよい。
【0018】
樹脂材料を用いた場合のライナー2の胴6部分の最適な厚みは、要求されるガス透過性やライナーライナーの成形性から決定され、1mm〜20mmであることが好ましく、軽量化の観点から1mm〜15mmであることがより好ましい。
【0019】
次に、図3および図4に基づき、繊維強化樹脂層3について説明する。まず図3は、強化繊維12の本体軸である子午線方向10に対する積層角度を示したもので、以後強化繊維の積層角度とは図3の積層角度13を言うものとする。また、以後の説明において赤道方向とは図の11方向を言うものとする。図4は、容器本体1の厚み方向の部分断面図であり、本実施例ではライナー2に対しZ軸方向(外側方向)に例えば、積層角が0〜20°のヘリカル巻をした第1層15、積層角が80〜90°のフープ巻をした第2層16、積層角が20〜80°の高角度ヘリカル巻をした第3層17、積層角が0〜20°のヘリカル巻をした第4層18が積層されて繊維強化樹脂層3を構成している。なお、各層の厚みTα 〜Tηは、実際は1mm程度の薄いものであり、また、第1から第4層15〜18までの各層は、上記した積層角が上記厚みの範囲内においてプラスマイナスの交互に積層されている。また、図示を省略したが実物は上記第1から第4層15〜18までの各層を1ユニットとして、さらにZ軸方向に複数ユニットが積層され、合計で20〜40層程度に積層されて本発明の繊維強化樹脂層3を構成している。さらに、各層の積層順序においても、必要強度、耐圧力により、図の第1から第4層15〜18をランダムな組み合わせ順序とすることもできる。
【0020】
この場合、強化繊維12としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを例示することができる。また、曲げ特性、強度の観点から、強化繊維単体の引張弾性率が50GPa〜700GPaのものが好ましく、引張弾性率に加え比剛性をも重視するとの観点から、200GPa〜700GPaが好ましく、さらにコストパフォーマンスをも重視するとの観点から200GPa〜450GPaが更に好ましい。また同様に、強化繊維単体の引張強さは、1500MPa〜7000MPaのものが好ましく、比強度をも重視するとの観点から、3000MPa〜7000MPaのものが好ましい。また、強化繊維の密度は、1.60〜3.00のものが好ましく、軽量化をも重視するとの観点から1.70〜2.00のものが好ましく、結局コストパフォーマンスの面より1.70〜1.90のものがより好ましい。更にまた、繊維の径としては、一本当たり5〜30μmのものが好ましく、取り扱い性の観点から5〜20μmのものがより好ましく、さらに軽量化の観点から、5〜10μmのものが最も好ましい。
【0021】
上述した繊維強化樹脂層3は、本発明の高圧ガス貯蔵容器に対して、これらの強化繊維を単体で用いても良いし、数種類の強化繊維を組合わせて用いてもよい。その場合、軽量化や比強度、比弾性率の観点から、少なくとも、1つの層の強化繊維は炭素繊維であることが好ましい。繊維強化樹脂層3は、マトリックス樹脂の割合を繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積分率Vfで規定すると、容器に要求される剛性の観点からはVfが20%〜90%が好ましく、生産性や要求強度をも重視するとVfが40〜80%であることがより好ましい。20%未満であると、強化繊維の補強効果が小さく効果的でなく、90%を越えると強化繊維を所望の容器形状に保持することができなくなる(ばらける)傾向がある。
【0022】
次に、繊維強化樹脂層3を構成するマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂の場合、その主材は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができ、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。特に前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうち、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂に採用する場合、前記熱硬化性樹脂成分に適切な硬化剤や反応促進剤を添加することが可能である。
【0023】
熱可塑性樹脂の場合、その主材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、PPS樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂など例示でき、1種類だけであっても、或いは2種類以上を混合して使用してもよい。これら熱可塑性樹脂は単独でも、混合物でも、また共重合体であっても良い。混合物の場合には相溶化剤を併用しても良い。さらにまた、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などを加えても良い。
【0024】
次に、本発明の高圧ガス貯蔵容器の形状としては、一部に円・楕円断面を有する円筒形状が好ましく、その具体的寸法は次の通りある。まず成形性の観点を重視すると、その内径Diは30mm〜4000mmが好ましく、外径Doは種々の要求耐圧レベルに応じるためには32mm〜6000mmが好ましい。また円筒部分6の長さは、成形性の観点から、100mm〜8000mmが好ましい。特に自動車(トラックや自家用車)などに本発明の容器を適用する場合は、省スペースの観点から、Diは30mm〜1000mm、Doは32mm〜1200mm、円筒部分長さは100mm〜2000mmの範囲内がより好ましい。また、ガス流入・流出口4の他に、容器内に充填する気体の充填口や放出口を設置し、該部分にネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができるようにしても良い。
【0025】
また、これら一つの高圧ガス貯蔵容器単体を製品として使用しても良いし、2つ以上の本発明の高圧ガス貯蔵容器を組み合わせて1つの高圧ガス貯蔵容器群を形成して使用することもできる。
【0026】
次に、本発明の高圧ガス貯蔵容器の製造方法について説明する。
【0027】
まず、ライナー2の製造方法について説明する。ライナーに用いられる材料が金属材料の場合、管状の金属材料を出発点とする場合、スピニング加工、プレス加工、などを例示できるが、気体の充填・放出口を設置する観点からスピニング加工が好ましい。また、板状の金属材料を出発点とする場合、プレス加工、絞り加工、曲げ加工と切削加工や溶接加工を組み合わせた加工方法を選定することが多く、生産性や寸法精度の観点からプレス加工や絞り加工と切削加工や溶接加工の組み合わせが好ましく、気体の充填・放出口を設置することが必要な場合もある。すなわち、金属ライナーを用いる場合は、一体ものであっても、部品を溶接したものであってもよいが、生産性や気体透過性を考慮すれば、一体もの(管状材料)から成形したものが好ましい。
【0028】
ライナーに用いられる材料が樹脂の場合、熱硬化性樹脂を適用した場合、プレス成形、内圧成形、RTM成形などを用いて成形することが可能で、一体ものであってもよいし、一体ものでない場合、接着剤を用いて2個以上の部品を貼り合わせてライナーを製作することも可能である。また、気体の充填口や放出口を設置するために、樹脂製ライナーに直接ネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができる機構を装備しても良いし、強度的に問題が有る場合、図2に示すように一部金属部品7をインサート成形してもよい。この場合の適用できる金属部品は、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。また、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0029】
ライナー2に用いられる材料が合成樹脂の場合、熱可塑性樹脂を適用した場合、射出成形、ブロー成形、トランスファー成形、注型成形、回転成形などを例示することができ、一体ものであってもよいし、一体ものでない場合、接着剤を用いて2個以上の部品を貼り合わせてライナーを製作したり、振動融着や熱融着によって2個以上の部品を組み合わせてライナーを製作することも可能である。また、この場合、バージン材のみで成形してもよいし、一度成形したライナーを細かく砕いた(リグラインドした)材料を一定の割合でバージン材に混入して成形してもよい。特にブロー成形法によってライナー2を成形する場合は、前記熱可塑性樹脂のうち、数種類の材料を組み合わせて、ライナー断面を多層体として成形できる。本発明の容器運用内圧70MPaで気体水素を貯蔵する容器の場合で、ライナー材質として気体封止材である前記EVOHを用いる場合は、前記多層ブロー成形法によりライナーを得るのが好ましい。
また、気体の充填口や放出口を設置するために、樹脂製ライナーに直接ネジ山(雄、雌)やピン固定穴、固定棒を配することができる機構を装備しても良いし、強度的に問題が有る場合、図2に示すように一部金属部品をインサート成形してもよいし、後から溶着してもよい。この場合の適用できる金属部品は、炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示でき、マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示でき、クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示でき、ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。また、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理及びT6時効処理を施したものを適用しても良い。
【0030】
次に、繊維強化樹脂層3の製造方法について説明する。
【0031】
繊維強化樹脂層3をライナー2の外周に積層配置する方法としては、従来法のフィラメントワインディング(以下FW法)、テープワインディング(以下TW法)、シートワインディング(以下SW法)、ハンドレイアップ法、RTM法などを例示することができる。これら成形法のうち、単一の方法のみで成形してもよいし、2種類以上の成形法を組み合わせて成形しても良い。特性の発現性や生産性、成形性の観点から、FW法、TW法、SW法が好ましい。これらFW法、SW法、TW法は基本的には、ストランド状の強化繊維にマトリックス樹脂を付与してライナーに積層すると言う観点では、同一の成形法であり、強化繊維をライナーに対して、フィラメント(糸)形態、テープ(糸をある程度束ねたテープ状)形態、シート(テープをある程度束ねたシート状)形態で巻き付けるかによって名称が異なる。ここでは、最も基本的なFW成形に関して詳細を説明するが、TWやSWにも適用できる内容である。
【0032】
FW成形に際して、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、あらかじめ樹脂を塗布した状態(未硬化)の強化繊維を直接ライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とすることも可能であるし、ライナーに巻き付ける直前に強化繊維に樹脂を塗布することも可能である。これらの場合、本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とした(樹脂は未硬化状態)後、樹脂を硬化させるためにバッチ炉(オーブン)や熱負荷を与えられる連続硬化炉などで使用樹脂の硬化条件に適用した条件での樹脂硬化処理を行う必要がある。
【0033】
FW成形に際して、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、あらかじめ樹脂を塗布(含浸)した状態の強化繊維を直接ライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状とすることも可能である。この場合、ライナーに巻き付ける直前に樹脂塗布フィラメントを使用している熱可塑性樹脂の融点以上に昇温してライナーに巻き付けて本発明の高圧ガス貯蔵容器形状が必要である。また、ライナーに巻き付ける直前に強化繊維に溶融させた熱可塑性樹脂を塗布して本発明の高圧ガス貯蔵容器形状を得ることもできる。この場合、熱硬化性樹脂に適用したような樹脂硬化工程は不要である。
【0034】
強化繊維を前記FW成形、TW成形、SW成形などで本発明の高圧ガス貯蔵容器形状を得る場合、最も重要なことは、繊維配向設計である。FW、TW、SW成形では、強化繊維ストランド(連続繊維)や予め樹脂を含浸させたプリプレグなどを用いて、ライナーに巻き付けて成形する。設計時にはライナー胴部における連続繊維方向と積層厚みを設計ファクターにとって要求特性を満足する剛性、強度を満足するように設計する。
【0035】
次に、積層厚みT、Tα 〜Tηについて説明する。
【0036】
通常、板状の成形品においては、1つの積層帯に1つの積層角度を有するが、本発明のような、断面が円形もしくは楕円形を有するライナーの周りに繊維強化樹脂材料を配する場合、1つの積層帯に1つの積層角度であると、カップリングを生じ、容器の変形が対称形にならない。従って、例えば、1つの積層帯の積層角度は±45°などとプラスマイナスで1つの積層帯と呼ぶことが多く、本発明の高圧ガス容器に対しても、同様の設計呼び方を採用している。鏡部分の積層角度と厚みは、鏡部分の曲率と胴部積層角度と厚みに起因し、編目理論により決定され、胴部分の積層角度に比べて鏡部分の積層角度は大きくるし、鏡部分の形状に積層角度は起因するため、一概に設定するようなことは出来ないため、容器の積層角度は胴部分の積層角度で規定することが一般的である。容器の破壊強度スペックは、一般的には運用充填圧力の2.2倍〜2.4倍以上であるように設計することが義務付けられている。すなわち、低圧ガス貯蔵容器場合では、例えば、運用充填圧力が35MPaの容器の場合、容器の最大充填圧力(最小破裂圧力)は、35×2.4=84MPa以上であることが求められることとなる。最小破裂圧力が、この程度のスペックであると、積層角度が0°〜20°のヘリカル巻き積層帯と、積層角度が80°〜90°のフープ巻き積層帯の組み合わせのみで目標値を達成することができる。
【0037】
しかしながら、高圧ガス貯蔵容器の場合では、例えば運用充填圧力が70MPaの容器の場合、容器の最大充填圧力(最小破裂圧力)は、70×2.4=168MPa以上であることが求められることとなる。最小破裂圧力が、このように非常に大きくなると、前記積層角度0°〜20°の積層帯と積層角度80°〜90°の積層帯の組み合わせのみでは、たとえ積層帯の厚みを増加したとしても、容器に要求される最小破裂圧力を満足することは難しい。
【0038】
ここで、容器の破壊モードについて補足する。例えば、図1に示す形態のガス貯蔵容器においては、加圧時に破壊する箇所は、胴部中央、胴部−鏡部接合面、鏡部、ガス流入・流出口があげられる。これらの破壊箇所のうち、胴部中央以外で破壊する場合は、破裂時に容器自体が例えばミサイルの如く飛ぶ可能性が高く、周辺環境への影響が懸念されるため、製品として不合格扱いとなる。本症状の対策案として、80〜90°積層帯を胴部−鏡部接合面を越えて鏡部の一部まで容器子午線方向に延長する(フープエンドの延長)対策を検討している文献なども見受けられるが、低圧ガス貯蔵容器にのみ適用できる方法である。
【0039】
すなわち、低圧ガス貯蔵容器の設計をそのまま高圧ガス貯蔵容器に適用すると、胴部−鏡部接合面もしくは鏡部で破壊するモードとなり、製品として不合格となるし、また最小破裂圧力値も低くなりスペックを満足することができない。
【0040】
本発明の高圧ガス容器においては、図4に示すように繊維強化樹脂層3の胴部における合計厚みをTとした場合、積層角度80〜90°の積層帯であるフープ巻の第1層15の厚みT80−90は0.2×T〜0.8×Tの範囲であることが好ましく、胴部の十分な強度を発現させるためには、0.3×T〜0.8×Tであることがより好ましい。また、積層角度20〜80°の積層帯である第3層17の厚みT20−80は、0.02×T〜0.8×Tの範囲内であることが好ましく、鏡部分にも剛性や強度を要求されるライナーに適用する場合は、0.2×T〜0.8×Tの範囲内であることが好ましい。さらにまた、積層角度0〜20°の積層帯である第2層16の厚みT0−20は、0.0×T〜0.6×Tであることが好ましく、鏡部分にも剛性や強度を要求されるライナーに適用する場合は、0.05×T〜0.6×Tであることがより好ましい。
【0041】
これら、各層15〜18の積層厚みTα〜Tηは、繊維強化樹脂層3の胴部における合計厚みTであって、一度に必要厚みだけ連続的に積層しても良いし、他の積層角度の積層帯と組み合わせて特定の周期を持って積層しても良いし、さらにまた、他の積層角度の積層帯と組み合わせてランダムに配置することも可能である。
【0042】
一般の高圧ガス貯蔵容器に対しては、前記発明の内容を基にした積層、厚み設計で十分要求性能を発揮できるが、内部のガス充填圧力が超高圧である場合や容器の破壊強度スペックが、運用充填圧力の3倍以上であるように設計することが義務付けられている場合や内部のガス充填圧力が高圧であっても、その外径が大きかったりする場合などでは、積層角度20〜80°の積層帯の胴部における配置位置を最適に設計しなければならない。これは、超高圧ガス貯蔵容器においては、積層角度20〜80°の積層帯が必ず必要なのであるが、ライナー外層面近傍に配置しすぎると鏡部分での破壊の可能性が高まり、逆に容器外側近傍に配置しすぎると胴部−鏡部接合部での破壊の可能性が高まるからである。
【0043】
すなわち、繊維強化樹脂材料の胴部において、図4に示すように、ライナー外層面から容器外側に向けてZ軸を設定し、ライナー外層面でのZ座標をゼロとするならば、積層角度20〜80°の積層帯の厚みの少なくとも80%は、Z座標の0.1×T〜0.9×Tに配することが好ましく、さらにガス充填圧力が非常に高い場合、Z座標の0.2×T〜0.8×Tに配することが好ましい。これらの設計を外れて積層設計すると、鏡部分の局所的な曲げ変形による大きな圧縮応力の発生や、胴部−鏡部の接合部(タンジェントライン)において応力集中による大きな引張応力を発生し、該部分から容器が設計強度以下で破壊する可能性が高い。
【0044】
このようにして基本的な剛性、強度における設計によって製作された本発明の高圧ガス貯蔵容器に対して、その外装面に種々の塗装や装飾、金属メッキを施してもよく、また落下衝撃特性を向上させるために樹脂材料や金属材料で成形されたカバーを取り付けても良い。これら容器の外装面に設置することができる塗装や装飾や金属メッキやカバーなどの厚みや範囲、形状は特に限定されることなく本発明の高圧ガス貯蔵容器に適用できる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を示す。
【0046】
(実施例1)
図1の本発明の容器において、ライナー2の構成材料として、アルミニウム合金6061−T6処理を適用し、シームレスアルミニウム管をスピニング加工によって、内径380mm、外径386mm(肉厚3mm)、胴部6の長さ810mm、内容量100リットルのライナー2を製作した。なお、本ライナーの胴部厚みは3mmで、ガス流入口は2個設けた。
【0047】
また、繊維強化樹脂層3の強化繊維として、東レ株式会社製“トレカ” M30S−18K−50Cを用い、マトリックス樹脂として、JER(株)製“エピコート828”、硬化剤として日立化成株式会社製“HN2200”、硬化促進剤として花王株式会社製“カオライザー”を用いてフィラメントワインディングにより繊維強化樹脂層3を製作した。このとき、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みが23mmとなるように製作した。その内訳は、第1層を積層角度±9°でその厚みを3mm、第2層を積層角度±60°でその厚みを2mm、第3層を積層角度±65°でその厚みを1mm、第3層を積層角度±70°でその厚みを3mm、第2層を積層角度±89°でその厚みを14mmに設定した。
【0048】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力220MPa、破裂位置が胴部中央となり破裂圧力、破裂モードとも合格であった。
【0049】
(実施例2)
ライナー材料として、PA6/EVOH/PA6の順からなる3層構造体を適用し、多層ブロー成形によって、内径380mm、外径392mm、ライナー胴部の肉厚6mm(PA6 5.6mm、EVOH0.4mm)、胴部6の長さを810mm、内容量100リットルのライナー2を製作した。なお、本実施例2のライナーは樹脂製であり、ガス流入口にクロムモリブデン鋼製の部品をインサートして製作した。なお本容器の表面積は、14690cm2である。
【0050】
また、強化繊維・マトリックス樹脂・硬化剤・硬化促進剤としては、実施例1と同様のものを用い、繊維強化樹脂層3を製作した。このとき、繊維強化樹脂層の容器胴6部分の厚みは20mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)厚み3mm、±19°(第1層)厚み1mm、±60°(第3層)2mm、±65°(第3層)1mm、±70°(第3層)1mm、±89°(第2層)12mmに設定した。
【0051】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力180MPa、破裂位置が胴部中央となり破裂圧力、破裂モードとも合格であった。
【0052】
(比較例1)
実施例1と同一のライナー、強化繊維、マトリックス樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用いて容器を製作した。このとき、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みは23mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)3mm、±19°(第1層)4mm、±89°(第2層)16mmに設定し、本発明の第3層は設けなかった。
【0053】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力120MPa、破裂位置は鏡−胴部の接合面となり、破裂圧力、破裂モードとも不合格(破裂圧力不足・安全性難あり)であった。
【0054】
(比較例2)
実施例1と同一のライナー、マトリックス樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用いて容器を製作した。このとき、強化繊維として、東レ株式会社製“トレカ” T700S−24K−50Cを用い、繊維強化樹脂層3の容器胴6部分の厚みは10mmとなるように製作し、その内訳は、積層角度±9°(第1層)4mm、±89°(第2層)6mmに設定し、本発明の第3層は設けなかった。
【0055】
本容器の試験結果は、最小破裂充填圧力80MPa、破裂位置は胴部中央となり破裂圧力不合格、破裂モード合格であった。
(実施例・比較例のまとめ)
以上の実施例と比較例を纏めたのが、次の表1である。
【0056】
【表1】
【0057】
上記表1の実施例1と比較例1より、本発明の第3層(積層角度が±20°〜±80°の層)を設けることにより、破裂圧力増と、破壊モード改善が可能であり、本発明の第3層の設置効果が認められる。また、実施例1、2より、ライナー材質がアルミニウム合金の場合でも、樹脂の場合であっても同様に破裂圧力、破裂モードともに合格である。
【0058】
比較例2より、比較例1と同様に第1層と第2層のみの積層の容器において破裂圧力を低く設計する場合は、破裂モードが合格となる。従って、設計破裂圧力を高く設計する場合は、本発明の20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設ける必要があることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の高圧ガス貯蔵容器は、気密性を有する容器本体と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口とを備え、前記容器本体が、ガスに直接接触する内層と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設けるとともに、第3層の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの20〜80%の範囲内としたことにより、剛性・強度などの製品特性に優れ、かつ低コストの高圧ガス貯蔵容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧ガス貯蔵容器の一部破断をした斜視図である。
【図2】図1の本発明の高圧ガス貯蔵容器の部分断面図である。
【図3】本発明の高圧ガス貯蔵容器の胴部における強化繊維の積層角度の説明図である。
【図4】図1の本発明の高圧ガス貯蔵容器の胴部の部分断面図である。
【符号の説明】
1 :容器本体
2 :内層(ライナー)
3 :繊維強化樹脂層
4 :ガス流入・流出口
5a:ライナー内径 Di
5b:ライナー外径 Do
6 :円筒部分長さ
7 :金属部品
8 :樹脂ライナー
10 :子午線方向
11 :赤道方向
12 :強化繊維
13 :積層角度
14 :Z軸方向
15 :積層角度±α層
16 :積層角度±β層
17 :積層角度±γ層
18 :積層角度±η層
19 :Z座標基準「ゼロ」点
T :繊維強化樹脂層の合計厚み
Tα :厚み
Tγ :厚み
Tβ :厚み
Tη :厚み
Claims (7)
- 気密性を有する容器本体と、前記本体にガスを流入・流出させる少なくとも一つのガス流入・流出口とを備え、前記容器本体が、ガスに直接接触する内層と、容器本体軸に対する積層角が0〜20°のヘリカル角を有する繊維強化樹脂層からなる第1層と、積層角が80〜90°のフープ角を有する繊維強化樹脂層からなる第2層とを含む高圧ガス貯蔵容器において、さらに20〜80°の積層角を有する繊維強化樹脂層からなる第3層を設けるとともに、第3層の容器本体の胴部における厚みが第1層から第3層までの全体厚みの2〜80%の範囲内であることを特徴とする高圧ガス貯蔵容器。
- 少なくとも一つの繊維強化樹脂層中の強化繊維の引張強さが1500MPa〜7000MPaであることを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス貯蔵容器。
- 強化繊維は、炭素繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ガス貯蔵容器。
- 内層が金属材料から構成されているとともに、ガス流入・流出口に雌ネジを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高圧ガス貯蔵容器。
- 内層が樹脂材料から構成されているとともに、ガス流入・流出口に、雌ネジを有する金属部材が付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高圧ガス貯蔵容器。
- ガスが水素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高圧ガス貯蔵容器。
- 内層の少なくとも一部が気体封止剤であるエチレンビニルアルコール(EVOH)から構成されているとともに、該エチレンビニルアルコールの厚みt(mm)が、次の式を満足することを特徴とする請求項1、2、3または5に記載の高圧ガス貯蔵容器。
t(mm)≧7×10-8 ・Suf・Vol
但し、Sufは容器外表面積(cm2)、Volは容器内容積(litter)とする。
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