JP2004172502A - 表面実装用抵抗器 - Google Patents
表面実装用抵抗器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004172502A JP2004172502A JP2002338559A JP2002338559A JP2004172502A JP 2004172502 A JP2004172502 A JP 2004172502A JP 2002338559 A JP2002338559 A JP 2002338559A JP 2002338559 A JP2002338559 A JP 2002338559A JP 2004172502 A JP2004172502 A JP 2004172502A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resistor
- metal plate
- terminal portion
- type
- welded
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Details Of Resistors (AREA)
Abstract
【課題】溶接性に優れ、比抵抗値のバラツキが少なく、しかもゼーベック効果が実質的に発生しないかまたは発生し難い表面実装用抵抗器を提供する。
【解決手段】抵抗体1の両端にスポット溶接する端子11を、抵抗体1に溶接される第1の種類の金属板3と、第1の種類の金属板3よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板5とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成する。該第1の種類の金属板3を抵抗体1に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板5を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力と等しくなるかまたはそれよりも小さくなる金属材料により第1の種類の金属板3を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】抵抗体1の両端にスポット溶接する端子11を、抵抗体1に溶接される第1の種類の金属板3と、第1の種類の金属板3よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板5とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成する。該第1の種類の金属板3を抵抗体1に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板5を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力と等しくなるかまたはそれよりも小さくなる金属材料により第1の種類の金属板3を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板に直接実装することができる表面実装用抵抗器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−162720号公報(特許文献1)等には、金属製の板状の抵抗体と、この抵抗体の裏面にそれぞれ抵抗溶接すなわちスポット溶接により接続された金属製の端子とを具備する表面実装用抵抗器(一般的にシャント抵抗と呼ばれている抵抗器)が開示されている。金属端子は、横断面形状がコ字状になるように曲げられている。平坦な金属端子が用いられる場合もある。そして抵抗体は電気絶縁材料からなるモールドによって覆われる場合もある。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−162720号公報(図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の表面実装用抵抗器の開発においては、抵抗体と端子との間の溶接性の改善、比抵抗値のバラツキの抑制、半田付け性の向上等が主たる課題になっていた。しかしながら最近になって、抵抗体と端子との間でゼーベック効果(異種金属の接合面に熱起電力が発生する現象)により局部電池が形成され、この局部電池による電位差がこの種の抵抗器を使用する機器の精度に悪影響を与える課題があり、抵抗器の用途によってはこの課題の解消も大きな問題となっている。
【0005】
本発明の目的は、溶接性に優れ、比抵抗値のバラツキが少ない表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、上記目的に加えてゼーベック効果が実質的に発生しないかまたは発生し難い表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、抵抗体と端子間の溶接性に優れた歩留まりの高い表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属製の板状の抵抗体と、該抵抗体にそれぞれスポット溶接により接続された金属製の複数の端子とを具備する表面実装用抵抗器を改良の対象とする。本発明においては、これら複数の端子を、抵抗体に溶接される第1の種類の金属板と、第1の種類の金属板よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成することを特徴とする。クラッド材を用いて端子を形成すると、抵抗体の材料に対して、第1の種類の金属板と第2の種類の金属板の材質をそれぞれ適宜に選択することにより、抵抗体との溶接性を高め、比抵抗値のバラツキを小さくして、しかもゼーベック効果の発生を抑制することが可能になる。またクラッド材を用いれば、同じ品質の端子の製造が容易であるため、価格の上昇を抑えてしかも品質のバラツキを抑制することができる。
【0009】
具体的には、第1の種類の金属板として、使用する抵抗体に対する溶接性に優れ且つ抵抗体との間でゼーベック効果の発生が少ないものを用いればよい。また第2の種類の金属板として、実質的にゼーベック効果の発生を考慮することなく、第1の種類の金属板よりも比抵抗値の低いものを用いればよい。換言すれば、第1の種類の金属板は、該第1の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力と同等またはそれよりも小さくなる金属材料により形成することになる。
【0010】
ゼーベック効果を低減できる抵抗体材料としては、Cu−Ni−Mn合金であるマンガニンがある。この抵抗体材料を用いる場合には、第1の種類の金属板をCu−Zn合金により形成し、第2の種類の金属板をCuにより形成するとよい。この場合、第1の種類の金属板の厚みは、0.02mm〜0.12mmとし、第2の種類の金属板の厚みを0.08mm〜0.28mmとすると、ゼーベック効果の効果的に発生を抑制して、しかも比抵抗値の上昇を阻止することができる。
【0011】
さらに抵抗体をNi−Cr合金により形成し、第1の種類の金属板をFe、第2の種類の金属板をCuにより形成してもよいのは勿論である。
【0012】
端子の形状は任意である。例えば、端子を抵抗体に溶接される第1の端子部分と、第1の端子部分の端部と連続して第1の端子部分が延びる方向と交差する方向に延びる第2の端子部分と、第2の端子部分と連続して第1の端子部分と所定の間隔をあけて並ぶように延びる第3の端子部分とを備えた構造とすることができる。この場合には、抵抗体と端子の第1の端子部分、第2の端子部分及び第3の端子部分の内面とを電気絶縁材料によりモールドしたモールド部を形成することができる。そして第2の端子部分及び第3の端子部分を、モールド部によって支持すれば端子の変形を防止できる。また第2の端子部分及び第3の端子部分の露出部分を、半田付け性を向上させる金属材料からなる薄膜によって覆えば、半田付け性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の表面実装用抵抗器の第1の実施の形態の断面図である。この表面実装用抵抗器は、金属製の矩形状の抵抗体1と、抵抗体1の長手方向の両端の裏面1bにスポット溶接により接合された2つの金属製の端子11,11とを備えている。端子11は、後に詳しく説明するように、抵抗体1との溶接性に優れ且つ抵抗体1との間でゼーベック効果が発生し難い第1の種類の金属板3と第1の種類の金属板3よりも比抵抗値の低い第2の種類の金属板5とをクラッド接合してなるクラッド材を用いて形成されている。
【0014】
この実施の形態では、抵抗体1は、マンガニンと呼ばれるCu(銅)−Ni(ニッケル)−Mn(マンガン)合金により形成されている。ちなみに好ましいCu−Ni−Mn合金の各金属の含有比率は、合金中のMn+Ni+Cuが98重量%であり、その合金中のMnが10〜16%、Niが1〜5%の範囲に入るものである。Mnを含む銅合金は、Mnを含まない銅合金と比べてゼーベック効果が発生し難いことが知られている。しかしながらMnを含む銅合金は、Mnを含まない銅合金と比べて、銅または銅を主成分とする金属との溶接性は劣る。
【0015】
そこで抵抗体1としてマンガニン(Cu−Ni−Mn合金)を用いる本実施の形態では、端子11,11を形成するために用いるクラッド材を構成する第1の種類の金属板3をCu−Zn合金により形成し、第2の種類の金属板5をCuにより形成している。好ましいCu−Zn合金の金属含有比率は、Znが15重量%〜40重量%の範囲に入るものであり、好ましくは35重量%以下のものである。また第1の種類の金属板3の好ましい厚みは、0.02mm〜0.12mmであり、第2の種類の金属板5の好ましい厚みは0.08mm〜0.28mmである。第1の種類の金属板3の厚みは薄いほどよいがあまり薄くなるとスポット溶接の際に部分的に接合部で破れが生じするおそれがあるので、上記の範囲の値が好ましい。第2の種類の金属板の厚みは、端子の強度と加工性との観点から定められる。
【0016】
この例では、スポット溶接を容易にするために端子11,11に予め、抵抗体1側に向かって突出する1以上の凸部7を形成してある。このような凸部7を形成しておくと、スポット溶接の際に凸部7に電流が集中して溶接性が高くなる。
凸部7は、図3(A)及び(B)に示すように、金型Dを用いて形成することができる。凸部7の形状は、任意である。なおこのような凸部7を有しない、単なる平板状の端子を用いてもよいは勿論である。
【0017】
抵抗体1の表面1a全体、抵抗体1の長手方向と直交する幅方向の両側に位置する両側面及び裏面1bの露出部分は、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料によって形成された絶縁層9,9によって覆われている。この絶縁層9,9は、抵抗体1に接合された端子11,11の表面をメッキする際のマスクとして機能している。絶縁層9,9を設けた結果、抵抗体1の長手方向の側面と端子11,11の露出面がメッキ層6によって被覆されている。メッキ層6は、端子の半田付け性を向上させる薄膜であり、例えばSnPbやSnCu等の半田メッキにより構成されている。
【0018】
また、抵抗体1として、Ni−Cr合金を用いる場合には、第1の種類の金属板3をFeを主成分とする金属により形成し、第2の種類の金属板5をCuにより形成すればよい。
【0019】
また、抵抗体1には比抵抗値の調整を行うためのトリミング溝を形成してもよいのは勿論である。
【0020】
図2は本発明の第2の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。この実施の形態においては、端子11は、抵抗体1の表面1a上に溶接される第1の端子部分101と、第1の端子部分101の端部と連続して第1の端子部分101が延びる方向と交差する方向に延びる第2の端子部分103と、第2の端子部分103と連続して第1の端子部分101と所定の間隔をあけて並ぶように延びる第3の端子部分105とを備えている。抵抗体1と端子11の第1の端子部分101、第2の端子部分103及び第3の端子部分105の内面は電気絶縁材料によりモールドされて形成されたモールド部109によって覆われている。第2の端子部分103及び第3の端子部分105は、このモールド部109によって内側に向かって変形しないように支持されている。
【0021】
第2の端子部分103及び第3の端子部分105の露出部分(モールド部109と接触していない部分)は、実装用の回路基板(図示されず)上に形成した電極との半田付け性を向上させるために、半田メッキ等の金属材料からなるメッキ層6によって覆われている。この実施の形態においても、比抵抗値の調整を行うためのトリミング溝を抵抗体1に形成してもよいのは勿論である。
【0022】
上記各実施の形態では、端子11を覆う薄膜をメッキ層6により形成しているが、スパッタリングや蒸着等によってこの薄膜を形成してもよいのは勿論である。
【0023】
また上記各実施の形態では、端子11の数は2つの場合で説明したが、複合抵抗器として4つあるいはそれ以上の端子を抵抗体1に溶接するようにしてもよいのは勿論である。
【0024】
上記実施の形態によれば、端子は2種類の金属からなるクラッド材であり、抵抗体と溶接される第1の種類の金属板は、この第1の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板を抵抗体に直接溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力より小さくなるように選択され、かつ第1の種類の金属板は、抵抗体との溶接性が優れているため、歩留まりの高い、ゼーベック効果を防止できる表面実装用抵抗器を提供できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の端子を、抵抗体に溶接される第1の種類の金属板と、第1の種類の金属板よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成したので、抵抗体の材料に対して、第1の種類の金属板と第2の種類の金属板の材質をそれぞれ適宜に選択することにより、抵抗体との溶接性を高め、金属と金属との接合性を高め、比抵抗値のバラツキを小さくして、しかもゼーベック効果の発生を抑制することが可能になる利点が得られる。またクラッド材を用いれば、同じ品質の端子の製造が容易であるため、価格の上昇を抑えてしかも品質のバラツキを抑制することができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、凸部を形成する方法を説明するために用いる図である。
【符号の説明】
1 抵抗体
3 第1の種類の金属板
5 第2の種類の金属板
6 メッキ層
7 凸部
1 1 端子
101 第1の端子部分
103 第2の端子部分
105 第3の端子部分
109 モールド部
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板に直接実装することができる表面実装用抵抗器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−162720号公報(特許文献1)等には、金属製の板状の抵抗体と、この抵抗体の裏面にそれぞれ抵抗溶接すなわちスポット溶接により接続された金属製の端子とを具備する表面実装用抵抗器(一般的にシャント抵抗と呼ばれている抵抗器)が開示されている。金属端子は、横断面形状がコ字状になるように曲げられている。平坦な金属端子が用いられる場合もある。そして抵抗体は電気絶縁材料からなるモールドによって覆われる場合もある。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−162720号公報(図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の表面実装用抵抗器の開発においては、抵抗体と端子との間の溶接性の改善、比抵抗値のバラツキの抑制、半田付け性の向上等が主たる課題になっていた。しかしながら最近になって、抵抗体と端子との間でゼーベック効果(異種金属の接合面に熱起電力が発生する現象)により局部電池が形成され、この局部電池による電位差がこの種の抵抗器を使用する機器の精度に悪影響を与える課題があり、抵抗器の用途によってはこの課題の解消も大きな問題となっている。
【0005】
本発明の目的は、溶接性に優れ、比抵抗値のバラツキが少ない表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、上記目的に加えてゼーベック効果が実質的に発生しないかまたは発生し難い表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、抵抗体と端子間の溶接性に優れた歩留まりの高い表面実装用抵抗器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属製の板状の抵抗体と、該抵抗体にそれぞれスポット溶接により接続された金属製の複数の端子とを具備する表面実装用抵抗器を改良の対象とする。本発明においては、これら複数の端子を、抵抗体に溶接される第1の種類の金属板と、第1の種類の金属板よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成することを特徴とする。クラッド材を用いて端子を形成すると、抵抗体の材料に対して、第1の種類の金属板と第2の種類の金属板の材質をそれぞれ適宜に選択することにより、抵抗体との溶接性を高め、比抵抗値のバラツキを小さくして、しかもゼーベック効果の発生を抑制することが可能になる。またクラッド材を用いれば、同じ品質の端子の製造が容易であるため、価格の上昇を抑えてしかも品質のバラツキを抑制することができる。
【0009】
具体的には、第1の種類の金属板として、使用する抵抗体に対する溶接性に優れ且つ抵抗体との間でゼーベック効果の発生が少ないものを用いればよい。また第2の種類の金属板として、実質的にゼーベック効果の発生を考慮することなく、第1の種類の金属板よりも比抵抗値の低いものを用いればよい。換言すれば、第1の種類の金属板は、該第1の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力と同等またはそれよりも小さくなる金属材料により形成することになる。
【0010】
ゼーベック効果を低減できる抵抗体材料としては、Cu−Ni−Mn合金であるマンガニンがある。この抵抗体材料を用いる場合には、第1の種類の金属板をCu−Zn合金により形成し、第2の種類の金属板をCuにより形成するとよい。この場合、第1の種類の金属板の厚みは、0.02mm〜0.12mmとし、第2の種類の金属板の厚みを0.08mm〜0.28mmとすると、ゼーベック効果の効果的に発生を抑制して、しかも比抵抗値の上昇を阻止することができる。
【0011】
さらに抵抗体をNi−Cr合金により形成し、第1の種類の金属板をFe、第2の種類の金属板をCuにより形成してもよいのは勿論である。
【0012】
端子の形状は任意である。例えば、端子を抵抗体に溶接される第1の端子部分と、第1の端子部分の端部と連続して第1の端子部分が延びる方向と交差する方向に延びる第2の端子部分と、第2の端子部分と連続して第1の端子部分と所定の間隔をあけて並ぶように延びる第3の端子部分とを備えた構造とすることができる。この場合には、抵抗体と端子の第1の端子部分、第2の端子部分及び第3の端子部分の内面とを電気絶縁材料によりモールドしたモールド部を形成することができる。そして第2の端子部分及び第3の端子部分を、モールド部によって支持すれば端子の変形を防止できる。また第2の端子部分及び第3の端子部分の露出部分を、半田付け性を向上させる金属材料からなる薄膜によって覆えば、半田付け性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の表面実装用抵抗器の第1の実施の形態の断面図である。この表面実装用抵抗器は、金属製の矩形状の抵抗体1と、抵抗体1の長手方向の両端の裏面1bにスポット溶接により接合された2つの金属製の端子11,11とを備えている。端子11は、後に詳しく説明するように、抵抗体1との溶接性に優れ且つ抵抗体1との間でゼーベック効果が発生し難い第1の種類の金属板3と第1の種類の金属板3よりも比抵抗値の低い第2の種類の金属板5とをクラッド接合してなるクラッド材を用いて形成されている。
【0014】
この実施の形態では、抵抗体1は、マンガニンと呼ばれるCu(銅)−Ni(ニッケル)−Mn(マンガン)合金により形成されている。ちなみに好ましいCu−Ni−Mn合金の各金属の含有比率は、合金中のMn+Ni+Cuが98重量%であり、その合金中のMnが10〜16%、Niが1〜5%の範囲に入るものである。Mnを含む銅合金は、Mnを含まない銅合金と比べてゼーベック効果が発生し難いことが知られている。しかしながらMnを含む銅合金は、Mnを含まない銅合金と比べて、銅または銅を主成分とする金属との溶接性は劣る。
【0015】
そこで抵抗体1としてマンガニン(Cu−Ni−Mn合金)を用いる本実施の形態では、端子11,11を形成するために用いるクラッド材を構成する第1の種類の金属板3をCu−Zn合金により形成し、第2の種類の金属板5をCuにより形成している。好ましいCu−Zn合金の金属含有比率は、Znが15重量%〜40重量%の範囲に入るものであり、好ましくは35重量%以下のものである。また第1の種類の金属板3の好ましい厚みは、0.02mm〜0.12mmであり、第2の種類の金属板5の好ましい厚みは0.08mm〜0.28mmである。第1の種類の金属板3の厚みは薄いほどよいがあまり薄くなるとスポット溶接の際に部分的に接合部で破れが生じするおそれがあるので、上記の範囲の値が好ましい。第2の種類の金属板の厚みは、端子の強度と加工性との観点から定められる。
【0016】
この例では、スポット溶接を容易にするために端子11,11に予め、抵抗体1側に向かって突出する1以上の凸部7を形成してある。このような凸部7を形成しておくと、スポット溶接の際に凸部7に電流が集中して溶接性が高くなる。
凸部7は、図3(A)及び(B)に示すように、金型Dを用いて形成することができる。凸部7の形状は、任意である。なおこのような凸部7を有しない、単なる平板状の端子を用いてもよいは勿論である。
【0017】
抵抗体1の表面1a全体、抵抗体1の長手方向と直交する幅方向の両側に位置する両側面及び裏面1bの露出部分は、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料によって形成された絶縁層9,9によって覆われている。この絶縁層9,9は、抵抗体1に接合された端子11,11の表面をメッキする際のマスクとして機能している。絶縁層9,9を設けた結果、抵抗体1の長手方向の側面と端子11,11の露出面がメッキ層6によって被覆されている。メッキ層6は、端子の半田付け性を向上させる薄膜であり、例えばSnPbやSnCu等の半田メッキにより構成されている。
【0018】
また、抵抗体1として、Ni−Cr合金を用いる場合には、第1の種類の金属板3をFeを主成分とする金属により形成し、第2の種類の金属板5をCuにより形成すればよい。
【0019】
また、抵抗体1には比抵抗値の調整を行うためのトリミング溝を形成してもよいのは勿論である。
【0020】
図2は本発明の第2の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。この実施の形態においては、端子11は、抵抗体1の表面1a上に溶接される第1の端子部分101と、第1の端子部分101の端部と連続して第1の端子部分101が延びる方向と交差する方向に延びる第2の端子部分103と、第2の端子部分103と連続して第1の端子部分101と所定の間隔をあけて並ぶように延びる第3の端子部分105とを備えている。抵抗体1と端子11の第1の端子部分101、第2の端子部分103及び第3の端子部分105の内面は電気絶縁材料によりモールドされて形成されたモールド部109によって覆われている。第2の端子部分103及び第3の端子部分105は、このモールド部109によって内側に向かって変形しないように支持されている。
【0021】
第2の端子部分103及び第3の端子部分105の露出部分(モールド部109と接触していない部分)は、実装用の回路基板(図示されず)上に形成した電極との半田付け性を向上させるために、半田メッキ等の金属材料からなるメッキ層6によって覆われている。この実施の形態においても、比抵抗値の調整を行うためのトリミング溝を抵抗体1に形成してもよいのは勿論である。
【0022】
上記各実施の形態では、端子11を覆う薄膜をメッキ層6により形成しているが、スパッタリングや蒸着等によってこの薄膜を形成してもよいのは勿論である。
【0023】
また上記各実施の形態では、端子11の数は2つの場合で説明したが、複合抵抗器として4つあるいはそれ以上の端子を抵抗体1に溶接するようにしてもよいのは勿論である。
【0024】
上記実施の形態によれば、端子は2種類の金属からなるクラッド材であり、抵抗体と溶接される第1の種類の金属板は、この第1の種類の金属板を抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、第2の種類の金属板を抵抗体に直接溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力より小さくなるように選択され、かつ第1の種類の金属板は、抵抗体との溶接性が優れているため、歩留まりの高い、ゼーベック効果を防止できる表面実装用抵抗器を提供できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の端子を、抵抗体に溶接される第1の種類の金属板と、第1の種類の金属板よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成したので、抵抗体の材料に対して、第1の種類の金属板と第2の種類の金属板の材質をそれぞれ適宜に選択することにより、抵抗体との溶接性を高め、金属と金属との接合性を高め、比抵抗値のバラツキを小さくして、しかもゼーベック効果の発生を抑制することが可能になる利点が得られる。またクラッド材を用いれば、同じ品質の端子の製造が容易であるため、価格の上昇を抑えてしかも品質のバラツキを抑制することができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の表面実装用抵抗器の断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、凸部を形成する方法を説明するために用いる図である。
【符号の説明】
1 抵抗体
3 第1の種類の金属板
5 第2の種類の金属板
6 メッキ層
7 凸部
1 1 端子
101 第1の端子部分
103 第2の端子部分
105 第3の端子部分
109 モールド部
Claims (7)
- 金属製の板状の抵抗体と、
前記抵抗体にそれぞれスポット溶接により接続された金属製の複数の端子とを具備する表面実装用抵抗器において、
前記複数の端子が、前記抵抗体に溶接される第1の種類の金属板と、前記第1の種類の金属板よりも比抵抗値が低い第2の種類の金属板とがクラッド接合されて構成されたクラッド材により形成されていることを特徴とする表面実装用抵抗器。 - 前記第1の種類の金属板は、該第1の種類の金属板を前記抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力が、前記第2の種類の金属板を前記抵抗体に溶接した場合において溶接部で生じるゼーベック効果により発生する起電力と同等またはそれよりも小さくなる金属材料により形成されている請求項1に記載の表面実装用抵抗器。
- 前記抵抗体が、マンガニンにより形成されており、
前記第1の種類の金属板がCu−Zn合金により形成され、
第2の種類の金属板がCuにより形成されている請求項2に記載の表面実装用抵抗器。 - 前記第1の種類の金属板の厚みが、0.02mm〜0.12mmであり、
前記第2の種類の金属板の厚みが0.08mm〜0.28mmである請求項3に記載の表面実装用抵抗器。 - 前記抵抗体が、Ni−Cr合金により形成されており、
前記第1の種類の金属板がFeにより形成され、
第2の種類の金属板がCuにより形成されている請求項2に記載の表面実装用抵抗器。 - 前記端子は前記抵抗体に溶接される第1の端子部分と、前記第1の端子部分の端部と連続して前記第1の端子部分が延びる方向と交差する方向に延びる第2の端子部分と、前記第2の端子部分と連続して前記第1の端子部分と所定の間隔をあけて並ぶように延びる第3の端子部分とを備えており、
前記抵抗体と、前記端子の前記第1の端子部分と、前記第2の端子部分及び前記第3の端子部分の内面とが電気絶縁材料によりモールドされてモールド部が形成されており、
前記第2の端子部分及び前記第3の端子部分が前記モールド部によって支持されており、
前記第2の端子部分及び前記第3の端子部分の露出部分が、半田付け性を向上させる金属材料からなる薄膜によって覆われている請求項1に記載の表面実装用抵抗器。 - 前記薄膜は、SnPbまたはSnCuのメッキ薄膜である請求項6に記載の表面実装用抵抗器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002338559A JP2004172502A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 表面実装用抵抗器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002338559A JP2004172502A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 表面実装用抵抗器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004172502A true JP2004172502A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32701764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002338559A Withdrawn JP2004172502A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 表面実装用抵抗器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004172502A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103021598A (zh) * | 2011-09-26 | 2013-04-03 | 聚鼎科技股份有限公司 | 过电流保护元件 |
WO2013146671A1 (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | コーア株式会社 | 抵抗器およびその実装構造 |
-
2002
- 2002-11-21 JP JP2002338559A patent/JP2004172502A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103021598A (zh) * | 2011-09-26 | 2013-04-03 | 聚鼎科技股份有限公司 | 过电流保护元件 |
CN103021598B (zh) * | 2011-09-26 | 2016-05-25 | 聚鼎科技股份有限公司 | 过电流保护元件 |
WO2013146671A1 (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | コーア株式会社 | 抵抗器およびその実装構造 |
JP2013201339A (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | Koa Corp | 抵抗器およびその実装構造 |
US9437352B2 (en) | 2012-03-26 | 2016-09-06 | Koa Corporation | Resistor and structure for mounting same |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4000956B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP4939899B2 (ja) | 導電端子の溶接方法、および導電端子構造 | |
JP5970695B2 (ja) | 電流検出用抵抗器およびその実装構造 | |
JP5237299B2 (ja) | 抵抗器(特にsmd抵抗器)及びその製造方法 | |
US9589711B2 (en) | Resistor and manufacturing method thereof | |
JPWO2007060966A1 (ja) | 電子部品実装基板及び該基板の製造方法 | |
KR20020032368A (ko) | 고체 전해 콘덴서 및 그 제조 방법 | |
JP3848286B2 (ja) | チップ抵抗器 | |
EP1024507A1 (en) | Ceramic electronic part | |
JPH0525368B2 (ja) | ||
US11908608B2 (en) | Coil component | |
JP2004172502A (ja) | 表面実装用抵抗器 | |
JP4391918B2 (ja) | 電流検出用抵抗器 | |
JPH09153419A (ja) | チップ形巻線回路部品 | |
JP3848247B2 (ja) | チップ抵抗器およびその製造方法 | |
TW201835955A (zh) | 帶狀接點材、帶狀接點材的製造方法、片狀的接點構件、電氣接點的製造方法、及繼電器 | |
JP3838559B2 (ja) | 低い抵抗値を有するチップ抵抗器とその製造方法 | |
US20220076879A1 (en) | Coil device | |
JP2005197394A (ja) | 金属抵抗器 | |
JP2008010895A (ja) | 低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法 | |
JP2007103976A (ja) | チップ抵抗器 | |
JP2001168487A (ja) | ジャンパ素子 | |
WO2023026809A1 (ja) | シャント抵抗器 | |
JP3838560B2 (ja) | 低い抵抗値を有するチップ抵抗器とその製造方法 | |
JP2006060126A (ja) | 抵抗器の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |