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JP2004170445A - 光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法 - Google Patents

光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法 Download PDF

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JP2004170445A JP2002332524A JP2002332524A JP2004170445A JP 2004170445 A JP2004170445 A JP 2004170445A JP 2002332524 A JP2002332524 A JP 2002332524A JP 2002332524 A JP2002332524 A JP 2002332524A JP 2004170445 A JP2004170445 A JP 2004170445A
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Takaaki Mori
高章 森
Takeshi Takahashi
高橋  健
Shigeru Suemori
茂 末森
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】風合いを柔らかくして、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことにより高品質な光ケーブルを製造することができる光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光ケーブルの製造装置30は、光ファイバ心線18の周りに衝撃吸収性充填材としてのポリプロピレン製ヤーン20を配置し、その外周を押さえ巻きし、その外側をシース21で被覆する。更に、製造装置30はポリプロピレン製ヤーン20を揉みほぐすためのほぐし部35、36を備えている。
また、本発明の光ケーブル製造方法は、光ファイバ心線18の周りに衝撃吸収性充填材としてのポリプロピレン製ヤーンを配置し、このポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐしつつ、光ファイバ心線18の周囲に充填する工程を有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光ファイバケーブルや架空光ファイバケーブル等の光ケーブルにおいて、光ファイバ心線の周りにポリプロピレン製ヤーンを配する光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバ心線の周りにポリプロピレン製ヤーンを配する光ケーブルが知られている。
【0003】
従来の光ケーブルを図4に示す。光ケーブル60は、支持線部61とケーブル本体62とが連結部63によって光ケーブル60の長手方向に沿って繋がれている。支持線部61は鋼撚線64の外周にシース65が被覆されることで構成されている。ケーブル本体62において、複数本の光ファイバ66は、一列に配列されて一括被覆67が施されることでテープ状光ファイバ心線68として構成されている。ケーブル本体62は、このテープ状光ファイバ心線68を複数枚積層した積層体69を有している。また、ケーブル本体62は、積層体69の外周を包む複数本のポリプロピレン製ヤーン70を有している。ポリプロピレン製ヤーン70の外周には押え巻を介してシース71が被覆されている。シース71には、テンションメンバー73と切り裂き紐72とが互いに間隔を空けて配設されている(例えば、特開2002−90598号公報参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−90598号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、衝撃緩衝材とするポリプロピレン製ヤーンは、ケブラー(デュポン社の商標)等の繊維状抗張力体に比べて安価なため、一般的に広く使用されている。このようなポリプロピレン製ヤーンは、光ファイバ心線に過度な応力が作用するのを抑制することにより、光ファイバ心線における光伝送損失の増加を抑えるようにすることが望まれている。
しかし、ポリプロピレン製ヤーンは、通常、堅さに相当する、いわゆる風合いが堅くなっていると、光ケーブルが側圧を受けたときに、衝撃吸収性が低下していることにより光伝送性が悪化したり、光ファイバ心線とポリプロピレン製ヤーンの接触が不足して摩擦抵抗が低下したりする。このため、光ファイバ心線の引抜力の低下やケーブル端末での心線移動を生じたりする可能性がある。図4は、ポリプロピレン製ヤーンの風合いが剛ばっているため、断面内に均一に分散されておらず、1本1本が塊になっている好ましくない状態を示している。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、風合いを柔らかくして、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことにより高品質な光ケーブルを製造することができる光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、光ファイバ心線の周りに衝撃吸収性充填材としてポリプロピレン製ヤーンを充填し、該ポリプロピレン製ヤーンの外周側をシースで被覆する光ケーブルの製造装置であって、前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐすためのほぐし部を設けたことを特徴とする光ケーブルの製造装置によって達成される。
【0008】
上記の光ケーブルの製造装置によれば、ほぐし部により、ポリプロピレン製ヤーンは、揉みほぐされてから、光ファイバ心線の周囲へ充填が行われる。このため、ポリプロピレン製ヤーンは、ほぐし部により、光ケーブルの径方向により多くの空間を介してばらされることによって(つまり、ポリプロピレン製ヤーンを構成する繊維同士がばらされ、所定範囲内の密度が均一になることによって)、風合いが柔らかくされてから光ファイバ心線に接触するので、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことにより高品質な光ケーブルを製造することができる。
【0009】
上記の光ケーブルの製造装置では、ポリプロピレン製ヤーンを走行させるガイドローラを有する構成とすることが望ましい。
【0010】
このような構成を有する光ケーブルの製造装置によれば、ガイドローラによりポリプロピレン製ヤーンをS字状に蛇行走行させることによって、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを柔らかくする揉みほぐしが行われる。これらのガイドローラはポリプロピレン製ヤーンが走行する経路(パスライン)に沿って設けるだけでよく、設備を大幅に変更することなく、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを柔らかくすることができる。
【0011】
上記の光ケーブルの製造装置では、ほぐし部がポリプロピレン製ヤーンを内周部に通過させるポリシャーを有する構成とすることが望ましい。ポリシャーとは、外形が円筒形状で中心部に丸孔の開いたガイドダイスで、孔の部分は滑らかな局面よりなるものをいう。
【0012】
こうすれば、ポリシャーにポリプロピレン製ヤーンを通過させる際に、ポリプロピレン製ヤーンとポリシャーの内周面とが摺接することで、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを柔らかくする揉みほぐしが行われる。これらのポリシャーはポリプロピレン製ヤーンのパスラインに沿って設けるだけでよいので、設備を大幅に変更を要せずに、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを柔らかくすることができる。
【0013】
上記の光ケーブルの製造装置では、ほぐし部が一対の棒ローラでポリプロピレン製ヤーンを挟み、その棒ローラを往復運動させる構成としてもよい。
【0014】
こうすれば、棒ローラを往復運動させて強制的に、ポリプロピレン製ヤーンの揉みほぐしを行うため、より安定的に効率よく行うことができる。また、ポリプロピレン製ヤーンに対し極度な通過抵抗を与えることなく風合いを柔らかくすることができる。
【0015】
上記の光ケーブルの製造装置では、棒ローラをポリプロピレン製ヤーンの幅方向に沿って往復駆動させるエアシリンダまたはカム機構を有する構成とすることができる。
【0016】
こうすれば、比較的安価で簡潔な機構で、且つ、メンテナンス面でも容易なエアシリンダやカム機構を用いることにより、例えば、油圧機構等を用いた場合の廃油対策等を必要とせずに、多大な設備投資をすることなくポリプロピレン製ヤーンの揉みほぐしを実現できる。
【0017】
上記の光ケーブルの製造装置は、棒ローラによってポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす圧力を調整可能な押圧力調整機構を備える構成とすることが望ましい。
【0018】
こうすれば、ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす圧力を変更することで、ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす圧力が極度に高くなり、ポリプロピレン製ヤーンと棒ローラとの抵抗が増加してポリプロピレン製ヤーンが切断することや、または、揉みほぐす圧力が低下して揉みほぐしが不十分になることを防止することができる。
棒ローラは、棒状に形成されているので、ヤーンを揉みほぐす領域を棒ローラの軸方向(棒状部分の長手方向)に拡大することができる。このため、ヤーンを揉みほぐす際に、棒ローラの回転方向に対して垂直の方向にずれた場合でも適切に棒ローラによってヤーンを揉みほぐすことができる。
【0019】
また、本発明の上記目的は、ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐし、このポリプロピレン製ヤーンの複数本を光ファイバ心線の周囲に充填する工程を有することを特徴とする光ケーブルの製造方法によって達成される。
このような構成を有する光ケーブルの製造方法によれば、ポリプロピレン製ヤーンは、揉みほぐされた状態で光ファイバ心線の周囲に充填される。このため、ポリプロピレン製ヤーンは、径方向により多くの空間を介してばらされることによって(つまり、ポリプロピレン製ヤーンを構成する繊維同士が積極的にばらされ、所定範囲内の密度が均一になることによって)、風合いが柔らかくされてから光ファイバ心線に接触するので、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことにより高品質な光ケーブルを製造することができる。
【0020】
上記の光ケーブルの製造方法によれば、ポリプロピレン製ヤーンを走行させるガイドローラを用いてポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす構成とすることが望ましい。
これらのガイドローラはポリプロピレン製ヤーンのパスラインに沿って設けるだけでよいので、設備の大幅な変更をすることなく、同一の工程内でポリプロピレン製ヤーンの風合いを効率良く柔らかくすることができる。
【0021】
上記の光ケーブルの製造方法では、ポリプロピレン製ヤーンを略円筒状のポリシャーの内周部と摺接するように通過させて揉みほぐす構成としてもよい。
ポリシャーにポリプロピレン製ヤーンを通過させる際に、ポリプロピレン製ヤーンとポリシャーの内周部とが摺接することで、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを柔らかくする揉みほぐしが行われる。これらのポリシャーはポリプロピレン製ヤーンのパスラインに沿って設けるだけでよいので、設備を大幅に変更することなく、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを効率良く柔らかくすることができる。
【0022】
上記の光ケーブルの製造方法では、一対の棒ローラでポリプロピレン製ヤーンを挟み、その棒ローラを往復運動させてポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす構成としてもよい。
こうすれば、棒ローラを往復運動させて強制的に、ポリプロピレン製ヤーンの揉みほぐしを行うため、より安定的に効率よく行うことができる。また、ポリプロピレン製ヤーンに対し極度な通過抵抗を与えることなく風合いを柔らかくすることができる。
【0023】
さらに、本発明の上記目的は、上記の構成を有する光ケーブルの製造装置を用いてポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす工程を含むことを特徴とする光ケーブルの製造方法によって達成することができる。
このような構成によれば、ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす処理と、そして光ファイバ心線の周囲に充填する処理とを同一の工程中に行うことができるため、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを改善させつつ、より一層効率良く光ケーブルを製造することができる。
上記光ケーブルの製造方法では、棒ローラを用いることが好ましい。こうすれば、棒ローラにおける、ヤーンを揉みほぐす領域が、その軸方向(棒状部分の長手方向)に拡大される。このため、ヤーンが揉みほぐす際に、棒ローラの回転方向に対して垂直の方向にずれた場合でも適切に棒ローラによってヤーンを揉みほぐすことができる。従って、ヤーンを効率良く揉みほぐすことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法の実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法を用いて製造した光ケーブルの断面図である。図2は、本発明の一実施形態の光ケーブルの製造方法を実施する光ケーブルの製造装置のうちパスライン部の概略図である。図3は、本発明の一実施形態の光ケーブルの製造方法を実施する光ケーブルの製造装置に用いられるほぐし部の概略図である。
【0025】
図1に示すように、光ケーブル10は、支持線部11とケーブル本体12とが連結部13によって長手方向沿って繋がれてなる架空布設タイプである。
【0026】
支持線部11は、複数本(図1において7本)の鋼線を撚り合わせてなる綱撚線14の外周に、連結部13を介してケーブル本体12と一体にシース15が被覆されている。
【0027】
ケーブル本体12は、複数本の光ファイバ16を一列に配列して一括被覆17を施したテープ状光ファイバ心線18を複数枚(図1において6枚の外側に2枚づつ直交配置した。)積層した積層体19と、揉みほぐす工程によって成形されて積層体19の外周に充填され、その外周にナイロン糸が押え巻きされた複数本のポリプロピレン製ヤーン(以下、「ヤーン」ともいう。)20と、ヤーン20の外周に被覆されたシース21とを有している。
【0028】
シース21には、ヤーン20の外周部の図1における縦方向の対向位置に一対のテンションメンバー23が配設されている。また、シース21には、テンションメンバー23の配設位置から90度ずれて一対の切り裂き紐22が配設されている。
【0029】
シース15,21及び連結部13は、例えば、ポリエチレンからなる。テンションメンバー23は、例えば、細径の単鋼線が用いられている。切り裂き紐22としては、例えばアミラド繊維からなるヤーンが用いられている。
【0030】
上記の光ケーブル10のケーブル本体12は、図2に示す光ケーブルの製造装置によって作成される。図示する光ケーブルの製造装置30は、主にポリプロピレン製ヤーンと積層体のパスライン部を示したものである。
【0031】
パスライン部は、中央を搬送される積層体19の図2の上方側に第一のヤーン搬送部31が配され、積層体19の図2の下方側に第二のヤーン搬送部32が配されている。同様にして第三、第四と複数のヤーン搬送部が積層体周囲に放射状に配されていてもよい。
【0032】
積層体19、第一のヤーン搬送部31により搬送されるヤーン20及び、第二のヤーン搬送部32により搬送されるヤーン20は、終端部において集合ダイス33によって纏められ、各積層体19の外周に螺旋状に巻き回される。ポリプロピレン製ヤーンの充填形態は、このように、らせん状の巻き回しであってもよい。
【0033】
第一のヤーン搬送部31では、紙芯34に巻回されたヤーン20が、5個のガイドローラ35に巻き掛けられながら搬送され、その後に、4個のポリシャー36内を通過する。ポリシャー36は、円筒形状を有する、丸孔の開いたガイドダイスである。ポリシャー36は、それぞれの孔方向がずれて配置されているため、ポリシャー36内を通過することによってヤーン20が蛇行走行される。このとき、ガイドローラ35及びポリシャー36は、ヤーン20を揉みほぐすのと実質的に同じ状態になるように加工を施す、ほぐし部として機能している。
なお、本実施形態において、ガイドローラ35とポリシャー36とは直列に配列されているが、ガイドローラ35のみの列であってもよく、また、ポリシャー36のみの列であってもよい。
【0034】
第二のヤーン搬送部32は、第一のヤーン搬送部31と一対に構成されているため、紙芯34と、5個のガイドローラ35と、4個のポリシャー36とを有する。
既に述べたように、ガイドローラ35及びポリシャー36はヤーン20が蛇行走行させるように配されている。こうすることで、ヤーン20は、積極的にその堅さがほぐされる。つまり、ヤーン20の風合いが改善されている。
ガイドローラ及びポリシャーの数は任意に設定することができる。また、ガイドローラ及びポリシャーは、図2に示す配置に限られず、ヤーン20を適宜にほぐすことができる範囲で自由に配置することができる。
【0035】
また、図3に示す棒ローラを用いたほぐし部40は、上述した光ケーブルの製造装置30のパスラインの中に配設される構成としてもよい。
【0036】
ほぐし部40は、一対の第一,第二のエアシリンダ41,42と、同じく一対の第一,第二の移動部材43,44と、一対の第一,第二の保持部材45,46と、一対の第一,第二の棒ローラ47,48と、一対の第一,第二の押圧機構49,50とから構成されている。
【0037】
第一,第二のエアシリンダ41,42は、パスライン部内を通過するヤーン20を中心にして図3に示すように上下に配置されている。第一,第二のエアシリンダ41,42に取り付けられた各ロッド51,52は、パスラインを通過するヤーン20の移動方向に対して垂直に、且つ、互いに相反する進行方向で、所定の範囲内を往復駆動する。
【0038】
第一,第二の移動部材43,44は、第一,第二のエアシリンダ41,42のロッド51,52の先端部に結合されている。そのため、ロッド51,52の動きに同期して往復駆動する。
【0039】
第一,第二の保持部材45,46は、ガイドローラ保持部45a,46aと、ガイドローラ保持部45a,46aの中央位置に配設されたボルト45b,46bとを備えている。ガイドローラ保持部45a,46aは、第一,第二のガイドローラ47,48を回転自在に保持している。ボルト45b,46bは、第一,第二の押圧機構49,50を介して第一,第二の移動部材43,44にナット45c,46cにより連結されている。
【0040】
第一,第二の押圧機構49,50は、弾性的押圧手段となるねじりコイルばねである。第一,第二の押圧機構49,50は、第一,第二の移動部材43,44とガイドローラ保持部45a,46aとの間に弾性反発力を蓄積した状態で組込まれているため、ガイドローラ保持部45a,46aを介して各ガイドローラ47,48を密着させるように付勢する。第一,第二の押圧機構49,50の付勢力は、ヤーン20の厚みや風合いに応じて調整される。この調整は、ナット45c、46cの締め加減を変えることによって行われる。
【0041】
このような構造のほぐし部40では、風合いの堅いヤーン20が図3中の後方から搬送されて各棒ローラ47,48の間に、第一,第二の押圧機構49,50の付勢力によって挟み込まれる。このとき、各エアシリンダ41,42の各ロッド51,52が互いに相反する進行方向に往復運動するため、各移動部材43,44を介して棒ローラ47,48が回転し、かつ、往復運動しながらヤーン20を挟み込むことによって揉みほぐす。それにより、搬送される以前に風合いが堅かったヤーン20は、この揉みほぐし工程により、その風合いが柔らかくなって、集合ダイス33(図2参照)へと搬送される。そして、積層体19の外周に巻き回され、ヤーン20の外周は、ナイロン糸等で押え巻きされた後、シース21により被覆される。それにより、伝送特性等が良好となる。
【0042】
このような構造のほぐし部40において、棒ローラ47,48に代えて、図2に示すパスライン部の2個のガイドローラ35をS字状に対向配置させて前記の往復運動をさせてもよい。パスラインとして用いるガイドローラ35を併用すれば、設備を大幅に変更することなく、ヤーン20の風合いを柔らかくすることができる。
【0043】
また、ほぐし部として、図2に示すポリシャー36内にヤーン20を蛇行走行させることにより、揉みほぐしを行うようにしてもよい。パスラインとして配されるポリシャー36を併用すれば、設備を大幅に変更することなく、ヤーン20の風合いを柔らかくすることができる。
【0044】
また更に、カム機構を用いてガイドローラ47,48をヤーン20の幅方向に沿って相対的に往復駆動させたり、速度を任意に変更させたりしてもよい。
【0045】
そして更に、押圧機構49,50の押圧力を任意に調整できるようにする押圧力調整機構を用いても良い。そうすれば、ヤーン20を揉みほぐす圧力が極度に高くなって、ヤーン20の通過抵抗が増えて切断したり、或いは、揉みほぐす圧力が低下してヤーン20の揉みほぐしが不十分にならないように調整したりすることができる。
【0046】
本実施形態の光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法によれば、ほぐし部40により、ヤーン20は、揉みほぐされてから、光ファイバ心線18の周囲への巻き回しが行われる。
したがって、ヤーン20は、ほぐし部40により、径方向により多くの空間を介してばらまかれることによって、図1に示すようにヤーン20は断面内均一に分散し、風合いが柔らかくされてから光ファイバ心線18に接触するので、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線18の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことができ、高品質な光ケーブル10を製造することができる。
【0047】
上記のように図2に示す光ケーブルの製造装置を用いてポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす工程を有する製造方法とすれば、ポリプロピレン製ヤーンの風合いを改善しつつ、より一層効率良く光ケーブルを製造することができる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、ガイドローラに代えて、駆動ローラを介して回転する一対の無端状のベルトを配し、そのベルトによりヤーンを挟み込むようにしてもよい。
また、光ファイバ心線の形態も、テープ状光ファイバ心線に限定されるものではない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、風合いを柔らかくして、光伝送特性を劣化させることがなく、光ファイバ心線の引抜力低下やケーブル端末での心線移動を防ぐことにより高品質な光ケーブルを製造することができる光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光ケーブルの製造装置及び光ケーブルの製造方法を用いて作成した光ケーブルの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の光ケーブルの製造方法を実施する光ケーブルの製造装置のうちパスライン部の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態の光ケーブルの製造方法を実施する光ケーブルの製造装置に用いられるほぐし部の概略図である。
【図4】光ケーブルの断面図である。
【符号の説明】
10 光ケーブル
18 テープ状光ファイバ心線(光ファイバ心線)
20 ヤーン(ポリプロピレン製ヤーン)
21 シース
30 光ケーブルの製造装置
35 ガイドローラ
36 ポリシャー
40 ほぐし部
41,42 エアシリンダ
47,48 棒ローラ

Claims (13)

  1. 光ファイバ心線の周りに衝撃吸収性充填材としてポリプロピレン製ヤーンを充填し、該ポリプロピレン製ヤーンの外周側をシースで被覆する光ケーブルの製造装置であって、
    前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐすためのほぐし部を設けたことを特徴とする光ケーブルの製造装置。
  2. 前記ほぐし部が、前記ポリプロピレン製ヤーンを走行させるガイドローラを有することを特徴とする請求項1に記載の光ケーブルの製造装置。
  3. 前記ほぐし部が、前記ポリプロピレン製ヤーンを内周部に通過させるポリシャーを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブルの製造装置。
  4. 前記ほぐし部が、一対の棒ローラで前記ポリプロピレン製ヤーンを挟み、該棒ローラを往復運動させることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブルの製造装置。
  5. 前記棒ローラを前記ポリプロピレン製ヤーンの幅方向に沿って往復駆動させるエアシリンダ又はカム機構を有することを特徴とする請求項4に記載の光ケーブルの製造装置。
  6. 前記棒ローラによって前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす圧力を調整可能な押圧力調整機構を備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ケーブルの製造装置。
  7. 光ファイバ心線の周りに衝撃吸収性充填材としてのポリプロピレン製ヤーンを配置し、該ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐし、該ポリプロピレン製ヤーンを前記光ファイバ心線の周囲に充填する工程を有することを特徴とする光ケーブルの製造方法。
  8. 前記ポリプロピレン製ヤーンを走行させるガイドローラを用いて前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐすことを特徴とする請求項7に記載の光ケーブルの製造方法。
  9. 前記ポリプロピレン製ヤーンを略円筒状のポリシャーの内周部と摺接するように通過させて揉みほぐすことを特徴とする請求項7又は8に記載の光ケーブルの製造方法。
  10. 棒ローラを往復運動させて前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐすことを特徴とする請求項7に記載の光ケーブルの製造方法。
  11. 前記棒ローラをエアシリンダ又はカム機構によって前記ポリプロピレン製ヤーンの幅方向に沿って往復駆動させることで前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐすことを特徴とする請求項10に記載の光ケーブルの製造方法。
  12. 前記ポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす圧力を押圧力調整機構を用いて調整することを特徴とする請求項7、10、11のいずれか1つに記載の光ケーブルの製造方法
  13. 上記請求項1から6にいずれか1つに記載の光ケーブルの製造装置を用いてポリプロピレン製ヤーンを揉みほぐす工程を有することを特徴とする光ケーブルの製造方法。
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