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JP2004168991A - 植物性材料を主成分とする成型可能な発泡シート - Google Patents

植物性材料を主成分とする成型可能な発泡シート Download PDF

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修史 北村
Yuji Matsumoto
雄二 松本
Tetsuji Tanamachi
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Abstract

【課題】澱粉および木粉あるいは紙粉等の植物性材料を主成分とする環境負荷の小さいトレイ等に成型することが可能な発泡シートを提供する。
【解決手段】澱粉および木粉あるいは紙粉等の植物性材料を主成分とし、これにこの材料の2分の1未満のポリオレフィン樹脂あるいは生分解性樹脂を加え、さらに水を加え押出機により押出発泡し、直ちに圧縮することにより、トレイ等に成型するこことが可能な機械的強度を有する発泡シートを得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物性材料である澱粉および木粉あるいは紙粉等を主原料とする成型可能なシート状発泡体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、澱粉を主成分とし、ポリプロピレンやポリビニルアルコール等の合成樹脂あるいは生分解性樹脂を混合したものを原料とする発泡体が製造、販売されているが、その用途のほとんどは包装材料としてのバラ状緩衝材である。
【0003】
上記の澱粉およびポリプロピレン等を原料とする板状あるいはシート状の発泡体も製造されているが、澱粉を主成分とする場合、発泡体は引張強度および伸びが小さく、柔軟性に乏しいので脆く、トレイ状に成型することは難しかった。
【0004】
従来、包装材料として使用されている板状あるいはシート状の発泡体および食品容器に広く使用されているトレイは、殆どポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレン等の石油を出発原料とする合成樹脂から製造されたものである。
【0005】
しかし、これらの合成樹脂から造られた製品は、使用後廃棄された場合、自然界に存在する微生物により容易に分解されないので環境問題になっている。また、燃焼しようとした場合、発生熱量が高いために焼却炉を傷め易いという問題がある。そこで、これらの問題を解決すべく新しい包装材料やトレイの開発が望まれている。
【0006】
特開2001−011226は、澱粉を主成分とし、強度材としてポリビニルアルコールを、気泡調整材として炭酸カルシウムを添加したものを原料として押出機により発泡体を得る際に、多価アルコールを添加することにより可撓性を有する発泡体が得られることを開示している。
【0007】
特開2001−011221は、酢酸セルロースを主成分とし、澱粉およびタルクや卵殻等の改質材を含有する発泡体に、ポリエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコールを加えることにより柔軟性が向上し、カップ麺の容器や食品トレイへの加工性が向上したとしている。
【0008】
しかし、カップ麺の容器の成型加工についての実施例は示されていない。また、特開2001−011226においても、得られた発泡シート材は食品トレイへの適用が可能となると記載されているが、実施例は示されていない。
【0009】
特開2001−011221は、発泡体に可撓性を付与する物質として、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールを使用している。そして、これらの物質は分子量400以下のものであることが望ましいとしている。
【0010】
また、特開2001−011226は、発泡体に可撓性を付与する物質として、多価アルコールを使用している。そして、多価アルコールとしては3価のアルコールであるグリセリンが好適であるとしている。
【0011】
しかし、これらのポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールあるいは多価アルコールを添加したシート状発泡体を食品用トレイに使用した場合、これらの物質が食品へ移行する恐れがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、石油を出発原料とする合成樹脂から造られたトレイや食品容器は使用後廃棄された場合、自然界に存在する微生物により容易に分解されないという環境上の問題がある。
【0013】
一方、澱粉を主成分とする発泡体は脆く、可撓性に欠けるためにシート状に加工することが難しかった。そして、トレイ状に成型加工することは更に難しかった。そのゆえに、発泡体に可撓性を付与するための方法として、特開2001−011221あるいは特開2001−011226に開示されているようにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいは多価アルコール等を添加する方法があった。
【0014】
本発明は、これらの点に着目し、澱粉を主成分とする発泡体にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいは多価アルコール等の可撓性付与剤を添加することなく、成型可能なシート状発泡体を製造する方法を提供するものである。
【0015】
さらに、その澱粉を主成分とするシート状発泡体を使用することにより、環境負荷の小さいトレイ状成型品を提供することが出来る。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、澱粉を主成分とする発泡体および澱粉と木粉あるいは紙粉等とを主成分とする発泡体を、トレイ状に成型加工することが可能なシート状発泡体に加工する方法を見出した。
【0017】
すなわち、澱粉と樹脂とに水を加えて、あるいは澱粉と木粉等と樹脂とに水を加えて、押出機により押出し、板状の発泡体を製造し、この板状発泡体の押出工程に連続して板状発泡体を圧縮する工程を設けることにより、トレイ状に成型加工することが可能なシート状発泡体の製造方法を見出した。
【0018】
澱粉と樹脂とに水を加えて押出機により得られる発泡体および澱粉と木粉あるいは紙粉等と樹脂とに水を加えて押出機により得られる発泡体は、原材料に予め水を加えて2軸あるいは単軸の押出機を用いて製造することが出来る。
【0019】
また、水添加装置を備えた2軸あるいは単軸の押出機を用いて製造することも出来る。ここで得られる発泡体は、押出機先端に取り付けられたダイと板状に賦形するためのサイジングと呼ぶ金型を経て押し出される。
【0020】
押し出された発泡体は、押出し時の流れ方向の機械的強度と流れ方向に直角する方向のそれとに大きな差があった。即ち、流れ方向に直角する方向の引張強度が非常に低かった。
【0021】
そのために、このようにして得られた発泡体を用いてトレイ状に成型使用としても、成型時に、発泡体製造時の流れ方向に直角する方向に働いた応力により、発泡体が破損しトレイを得ることが出来なかった。
【0022】
本発明者らは鋭意研究を重ね、澱粉と樹脂とを原料とし、あるいは澱粉と木粉等の植物性材料と樹脂とを原料とし、トレイ状に成型可能な発泡体シートを製造する方法を見出した。
【0023】
即ち、澱粉と樹脂とを原料とし、あるいは澱粉と木粉等と樹脂とを原料とし、水を加えて押し出された板状発泡体を、発泡体の水分が蒸発し温度が下がる前に圧縮することにより、トレイ状に成型可能なシート状発泡体を得ることが出来た。
【0024】
板状発泡体が押出機から押し出された後これを圧縮するまでの時間は、板状発泡体の大きさや押出し速度および製造場所の気温や湿度により左右される。押し出された発泡体は、押し出された直後から時間とともに水分が蒸発し、温度が低下する。
【0025】
そして、押し出された発泡体はサイジングを通過した直後は塑性体であるが、時間とともに水分率および温度が低下すると、弾性を示すようになる。即ち、押し出された発泡体が弾性を示すようになる前に圧縮する必要がある。
【0026】
圧縮して得られるシート状発泡体の厚さは、圧縮される前の板状発泡体の厚さの2分の1以下であることが望ましい。圧縮率が低く、シート状発泡体の厚さが元の板状発泡体の厚さの2分の1より厚い場合、得られたシート状発泡体の押出し方向に直角する方向の機械的強度がシート成型に十分な強度に達しない。
【0027】
本発明において、原料として使用する澱粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉等市販の澱粉を用いることが出来る。木粉および紙粉等の植物性材料としては、これらの材料以外に、茶あるいはい草等を粉末化して使用することが出来る。植物性材料の粉末の大きさは特に限定されるものではないが、粒子径0.3mm以下であることが望ましい。
【0028】
本発明において使用する樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の熱可塑性合成樹脂およびポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等の生分解性樹脂を使用することが出来る。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
【0030】
【実施例1】
0.5部のタルクを添加したコーンスターチ65部と、メルトインデックスが12g/10分であるパウダー状ポリプロピレンホモポリマー35部を(株)日本製鋼所製2軸押出機TEX69FCT−21AWに別々に投入し、更に押出機に設置された水添加装置により上記原料の10重量%の水を添加した。
【0031】
押出機先端には厚さ10mm、幅300mmの連続する板状発泡体を得るためのダイとサイジング金型を取り付け、サイジング金型から50cm離れたところに発泡体を圧縮するための装置を設置した。
【0032】
原料の合計投入量200kg/時、シリンダー先端の設定温度180℃、スクリュー回転数250rpmで押出した厚さ10mmの板状発泡体を直ちに圧縮装置で圧縮し、厚さ3mm、幅300mmのシート状発泡体を得た。
【0033】
得られたシート状発泡体の押出方向に直角する方向の引張破断強度は幅50mmの試験片で29.3Nであった。圧縮せずにサンプリングした厚さ10mmの板状発泡体の引張破断強度を同様に測定した結果、6.9Nであった。
【0034】
得られたシート状発泡体を、150℃に加熱したアルミニウム製金型を用いてプレス成型したところ、破れのない深さ3cmのトレイが得られた。圧縮せずにサンプリングした厚さ10mmの板状発泡体を用いて、同様に成型したところ3箇所に幅2mm、長さ2〜3cmの亀裂が見られた。
【0035】
【実施例2】
杉の板材を粉砕して得られた平均粒子径33ミクロンの木粉100重量部にコーンスターチ200重量部と水200重量部を加え、よく混合した後造粒し、風乾により水分含有率9.5%とした。
【0036】
ここで得られた木粉とコーンスターチとから成る細粒65部と、メルトインデックスが12g/10分であるパウダー状ポリプロピレンホモポリマー35部を用い、実施例1と同様に押出発泡を行い厚さ3mm、幅300mmのシート状発泡体と比較のためのサンプルとして圧縮する前の厚さ10mm、幅300mmの板状発泡体を得た。
【0037】
実施例1と同様にこれらのサンプルの引張破断強度を測定した結果、シート状発泡体の引張破断強度は31.6N、板状発泡体のそれは7.1Nであった。
【0038】
実施例1と同様にプレス成型したところ、シート状発泡体からは破損のないトレイを得ることができたが、板状発泡体を成型したものには2箇所に亀裂が見られた。
【0039】
【発明の効果】
従来、コーンスターチを主成分とする発泡体およびコーンスターチと木粉あるいは紙粉とを主成分とする発泡体は比較的脆くトレイへの成型が難しかったが、本発明のシート状発泡体はトレイへの成型が可能である。

Claims (3)

  1. 51重量%以上の澱粉と49重量%以下の合成樹脂あるいは生分解性樹脂とを混合し、水を加えて押出機により押出発泡させ、その直後に発泡体を圧縮することにより得られるシート状発泡体およびその製法。
  2. 木材の粉末と澱粉との合計が51重量%である木材の粉末と澱粉と合成樹脂あるいは生分解性樹脂との3成分混合物を原料とし、水を加えて押出機により押出発泡させ、その直後に発泡体を圧縮することにより得られるシート状発泡体およびその製法。
  3. 請求項2に記載の木材の粉末の代わりに、紙の粉末あるいは茶、い草等の植物性材料あるいはこれらと木材の粉末との中から選ばれた2種類以上の混合物を用いた請求項2に記載のシート状発泡体およびその製法。
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