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JP2004167680A - 研磨パッド - Google Patents

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JP2004167680A JP2004017219A JP2004017219A JP2004167680A JP 2004167680 A JP2004167680 A JP 2004167680A JP 2004017219 A JP2004017219 A JP 2004017219A JP 2004017219 A JP2004017219 A JP 2004017219A JP 2004167680 A JP2004167680 A JP 2004167680A
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polyurethane
polishing
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polyol
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JP2004017219A
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English (en)
Inventor
Takashi Masui
敬志 増井
Masahiko Nakamori
雅彦 中森
Takatoshi Yamada
孝敏 山田
Kazuyuki Ogawa
一幸 小川
Atsushi Kazuno
淳 数野
Yoshio Mimura
義雄 三村
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Toyobo Co Ltd
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】 プラナリティー向上とスクラッチ低減を両立できる研磨パッド、さらには研磨速度の観点でも満足できる研磨パッドを提供すること。
【解決手段】 ポリウレタンをマトリックス材料とする研磨層を有する研磨パッドにおいて、前記ポリウレタンは、有機ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、及び低分子量ポリオールを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との重合体であり、かつ20℃、pH11の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬したときの膨潤度が2〜15%であり、前記研磨層は、前記ポリウレタンを含有する平均気泡径70μm以下、かつ40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上である微発泡ポリウレタンからなることを特徴とする研磨パッド。
【選択図】 なし

Description

本発明は研磨パッドに関する。本発明の研磨パッドは、レンズ、反射ミラー等の光学材料、半導体ウエハ、ハードディスク用のガラス基板、情報記録用樹脂板およびセラミック板等の高度の表面平坦性が要求される材料の平坦化加工処理に用いられ、これら被研磨対象物の平坦化加工を安定、かつ高い研磨速度で行うものである。本発明の研磨パッドの被研磨対象物は、半導体ウエハ、特に半導体ウエハの上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスに、さらにこれらの層を積層・形成する前の平坦化に好適である。
高度な表面平坦性を要求される材料の代表的なものとしては、半導体集積回路(IC,LSI)の製造に用いられる半導体ウエハがあげられる。半導体ウエハとしては、シリコンウエハと呼ばれる単結晶シリコンの円盤があげられ、これらはIC、LSI等の製造工程において回路作成に使用する各種薄膜の信頼できる半導体接合を形成するために、各薄膜作成工程においてはその表面を高精度かつ平坦に仕上げることが要求される。
前記平坦化加工処理には一般的に研磨パッドが用いられ、研磨パッドはプラテンと呼ばれる回転可能な支持円盤に固着され、一方、半導体ウエハは自公転運動可能な研磨ヘッドと呼ばれる円盤に固着される。そして、双方の回転運動により、プラテンと研磨ヘッドとの間に相対速度を発生させ、研磨パッドと半導体ウエハとの間隙に微細な粒子(砥粒)を懸濁させた研磨スラリーを付加することで、研磨平坦化加工が実施される。この際、研磨パッドが半導体ウエハ表面上を移動する時、接触点で砥粒が半導体ウエハ表面上に押し付けられる。この半導体ウエハ表面と砥粒との間の滑り動摩擦的な作用により加工面の研磨が実行される。このような研磨平坦化加工は、通常CMP加工と称されている。
蔵書:土肥俊郎等「詳説半導体CMP技術」工業調査会17頁(2000年)にも記載されているように、次世代素子への展開を考慮すると、プラナリティーをさらに向上できるような硬い研磨パッドが必要となる。
プラナリティーを向上させるためには、無発泡系の硬い研磨パッドを用いることも可能である。しかし、前記蔵書(前記同頁)にもあるように、このような硬いパッドを用いた場合、加工対象物の被研磨面にスクラッチ(傷)を付けるといる問題が生じる。また、無発泡系の研磨パッドは、研磨操作時にパッド表面にスラリー中の砥粒を十分に保持することができないため、研磨速度の観点からも望ましくない。
また、非水溶性の熱可塑性重合体に水溶性物質を分散させた研磨パッドが提案されている(特許文献1)。この研磨パッドは、無発泡体であるが、研磨パッド中に分散させた水溶性物質が研磨時に溶解して研磨パッド表面に発泡体のような孔ができ、また研磨パッドが膨潤して研磨パッド表面の硬度が低下するため、プラナリティー向上と研磨速度の向上には非常に有効である。しかしながら、この研磨パッドの特性は、水溶性物質によるところが大であり、研磨パッドを主として形成している熱可塑性重合体によるスクラッチまで解決できるものではない。
特開2001−47355号公報
本発明は、従来の研磨パッドでは両立し得なかった、プラナリティー向上とスクラッチ低減を両立できる研磨パッドを提供することを目的とする。さらには本発明は、プラナリティー向上とスクラッチ低減に加えて、研磨速度の観点でも満足できる研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者等は、上述のような現状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、以下の技術的手段を用いることで、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリウレタンをマトリックス材料とする研磨層を有する研磨パッドにおいて、前記ポリウレタンの膨潤度が、20℃のpH11の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬したとき2〜15%であり、前記研磨層は前記ポリウレタンを含有する微発泡ポリウレタンからなり、かつ前記微発泡ポリウレタンの平均気泡径が70μm以下であることを特徴とする研磨パッド、に関する。
上記本発明では、研磨パッドの研磨層を形成するマトリックス材料として、湿潤時に膨潤してその表面が軟らかくなる特定膨潤度のポリウレタンを用いている。かかる特定膨潤度のポリウレタンを含有する微発泡ポリウレタンを用いた研磨パッドはプラナリティーがよく、また、研磨工程においては、溶媒及び砥粒を含む水系スラリーの存在下に、研磨層表面が膨潤することにより柔軟化され、表面硬度が低下するためスクラッチの問題もない。以上の効果により、上記本発明の研磨パッドによればプラナリティー向上とスクラッチ低減の両立が可能となる。
前記ポリウレタンの膨潤度は、研磨層を形成するマトリックス材料であるポリウレタンが、研磨工程における水系スラリー存在下での膨潤程度を指標するために見積もった値である。具体的には、ポリウレタンを適当なサンプル片として切り出し、20℃のpH11の水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬して、下記式により求めた値である。
膨潤度(%)=〔{(24時間後重量)−(元の重量)}/(元の重量)〕×100
前記膨潤度は、2〜15%である。膨潤度が小さくなると、研磨工程での、研磨層の柔軟化が不十分であり、スクラッチ低減への寄与が小さいことから、前記膨潤度は2%以上、さらには2.5%以上、特に3%以上であるのが好ましい。一方、膨潤度が大きくなると、研磨工程での、研磨層の柔軟化が大きくなりすぎ、研磨パッド全体が軟らかくなり、プラナリティーの向上が不十分となってしまうおそれがあることから前記膨潤度は15%以下、さらには10%以下、特に8%以下が好ましい。
なお、前記膨潤度のポリウレタンを含有してなる微発泡ポリウレタンにより形成される研磨層表面の硬度(ショアD硬度)は、通常の状態では、プラナリティーの点からは、52〜75程度、さらには55〜70であるのが好ましい。研磨工程での、研磨層表面の硬度低下は膨潤度により推定できるものであるが、その程度は、前記膨潤度の測定条件(20℃のpH11の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬したとき)において、研磨層表面の硬度が膨潤前に比べて4〜10程度、さらには5〜8低下するものが好ましい。
前記研磨パッドにおいて、ポリウレタンの構成成分であるポリオール化合物として、水溶性高分子ポリオールを含有することが好ましい。特に、ポリオール化合物中に水溶性高分子ポリオールを1〜70重量%含有することが好ましい。
研磨パッド(研磨層)の研磨特性の一つであるプラナリティーを向上させるためには、研磨層全体を硬くする必要がある。これは、研磨層を形成する高分子材料として、硬い材料、すなわち高弾性率の材料を選択することで対応が可能である。ポリウレタンは、原料組成を種々変えることにより、所望の物性が得られることが大きな特徴であり、プラナリティーを向上させる最適な高弾性率の材料を選択することが容易である。また、ポリウレタンは耐摩耗性に優れた材料であり、研磨層の素材として最適である。また、ポリウレタンの前記膨潤度は、ポリウレタンに親水性化合物を構成成分として用いることにより調整できるが、ポリオール化合物として、水溶性高分子ポリオールを用いることにより調整するのが好ましい。
本発明においては、前記水溶性高分子ポリオールが、重合性モノマーとしてエチレンオキサイドを70モル%以上含有してなるポリエーテルポリオール及び/又はスルホ(塩)基を含有するポリエステルポリオールであることが好ましい。これらを用いることにより比較的容易に前記膨潤度に調整することができる。
また、微細気泡を取り込んだ微発泡ポリウレタンであることにより、研磨操作時にパッド表面にスラリー中の砥粒を十分に保持することができるため、満足のできる研磨速度が得られる。微発泡ポリウレタンは、均一な微細気泡を有しており同一密度のものよりも高硬度を有する。かかる微発泡ポリウレタンの微細発泡構造によりポリウレタンを高弾性率化しながら、研磨パッドとして用いる際の供給したスラリーを保持して研磨速度を確保できる。微細発泡構造は、微発泡部分の穴に、スラリー中の砥粒を保持し、研磨速度を安定化するのに非常に有効であり、そのため微細気泡により研磨速度が十分に大きくなり、また安定化する。微発泡ポリウレタンが有する微細気泡は平均気泡径が70μm以下であり、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下のものである。20〜40μmのものが特に好ましい。
研磨層のマトリックス材料である微発泡ポリウレタンの密度が小さくなるとプラナリティーが十分でなくなる傾向があるため、微発泡ポリウレタンの密度は0.67g/cm3 以上、さらには0.68g/cm3以上であるのが好ましい。一方、微発泡ポリウレタンの密度が大きくなると研磨層表面の微細気泡の数が少なくなり易く研磨速度の観点から好ましくない場合があることから、微発泡ポリウレタンの密度は0.90g/cm3 以下、さらには0.88g/cm3 以下であるのが好ましい。
前記研磨パッドにおいて、研磨層のマトリックス材料となる微発泡ポリウレタンが、整泡剤としてシリコン系界面活性剤を0.1〜4重量%未満含むことが好ましく、さらに好ましくは1〜3.5重量%である。微発泡ポリウレタンの製造にあたりポリウレタン原料に予め整泡剤としてシリコン系界面活性剤を混合しておくことは、平均気泡径70μm以下の微細気泡を安定的に作るのに有利であり、ポリウレタンの物理特性を損なうことなく、気泡が微細で均一な微発泡ポリウレタンが安定して得られる。
前記研磨パッドにおいて、研磨層の40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上であることが好ましい。
研磨層は、前記ポリウレタンをマトリックス材料としてなるが、前記貯蔵弾性率が270MPa以上の高弾性率とすることで、十分なプラナリティーが得られる。かかる高弾性率の微発泡ポリウレタンを用いた研磨パッドは、デバイス化ウエハ研磨の平坦化に有用であり、また高弾性率の研磨パッドが要求されているガラス研磨用途においても有用である。また、かかる研磨パッドは安定かつ高い研磨効率で研磨作業を行うことが可能である。前記貯蔵弾性率は、280MPa以上、さらには300MPa以上であるのが好ましい。
本発明でいう貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定装置で引っ張り試験用治具を用い、正弦波振動を加え、周波数1Hzで測定した際の40℃での貯蔵弾性率をいう。貯蔵弾性率の測定条件は、研磨時の条件を参考にしている。つまり、貯蔵弾性率の測定条件は、研磨時において研磨パッドは被加工物に押し付けられ、双方が回転運動しているが、この運動がほぼ1Hzに相当すること、またその際の摩擦熱により、研磨パッドは約40℃になっていると言われていることから、これらの条件に準じている。ただし、引っ張り試験での測定に関しては、本発明者らの検討により、圧縮試験での測定値と引っ張り試験での測定値が、ほぼ同じであることを見出しており、より簡便な引っ張り試験での測定を採用している。
また、本発明は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分もしくは活性水素基含有化合物を含む第2成分の少なくとも一方に、水酸基を有しないシリコン系界面活性剤を第1成分と第2成分の合計量に対して0.1〜4重量%未満添加し、さらに前記界面活性剤を添加した成分を非反応性気体と攪拌して前記非反応性気体を微細気泡として分散させた気泡分散液を調製した後、前記気泡分散液に残りの成分を混合して硬化させる微発泡ポリウレタンを製造する工程を含む研磨パッドの製造方法、に関する。
本発明の研磨パッドにおいて、研磨層のマトリックス材料となるポリウレタンは、前記膨潤度を有するポリウレタンであれば、特に限定されるものではない。
ポリウレタンは、有機ポリイソシアネート、ポリオール化合物および鎖延長剤からなるものである。
有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に制限なく使用できる。有機ポリイソシアネートとしては、たとえば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加m−キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類等があげられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
有機ポリイソシアネートとしては、上記ジイソシアネート化合物のほかに、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能性のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社)や商品名デュラネート(旭化成工業製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
ポリオール化合物としては、ポリウレタンの技術分野において通常ポリオール化合物として用いられているものがあげられる。ポリオール化合物としては、たとえば、以下の高分子量ポリオールを例示できる。
1.ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイドを付加して得られるポリオキシプロピレンポリオール類、エチレンオキサイドを付加して得られるポリオキシエチレンポリオール類、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加して得られるポリオール類、および、前記多価アルコールにテトラヒドロフランを開環重合により付加して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール類が例示できる。上述の環状エーテルを2種以上使用した共重合体も使用可能である。
2.ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールあるいはその他の低分子量多価アルコールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸あるいはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体、プロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等の環状エステル類の開環重合体等のポリオール類が例示できる。ポリエステルポリオールとしては、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンポリオールがその代表例としてあげられる。
3.ポリカーボネートポリオール
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコ−ルと反応させ、次いでえられた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリヒドキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるものなどがあげられる。
4.アクリルポリオール
アクリル共重合体において、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸β−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸β−ヒドロキシペンチル等のアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸の同様なヒドロキシアルキルエステル、さらにグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールのアクリル酸モノエステル又はこれらと同様なメタクリル酸モノエステル、N−メチロールアクリルアミド又はN−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーを共重合モノマー等の1分子中に2以上の水酸基を有するアクリルポリールが使用できる。
なお、アクリルポリオールとしては、テレケリックアクリルポリオールも使用可能である。かかるテレケリックアクリルポリオールは、アルコール化合物の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含む不飽和単量体を有機スルホン酸化合物の存在下に、有機過酸化物含有開始剤により重合して得られる水酸基含有アクリル系重合体である。アルコール化合物としてはメタノール、エタノール等の脂肪族ないし脂環式アルコール類が好ましく、アルコール化合物として単官能のアルコールを使用すると得られる活性水素基含有アクリル系重合体は実質的に2官能となり、アルコール化合物としてジオールを使用すると活性水素基含有アクリル系重合体は実質的に4官能となる。
5.その他のポリオール
その他、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、アクリロニトリルやスチレン等の重合体をビニル付加ないし分散せしめたポリマーポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等が本発明のポリオールとして使用することが可能である。また、これらのポリオール化合物をp−アミノ安息香酸と縮合し、活性水素基を芳香族アミノ基としたポリオール化合物も使用可能である。
これら高分子量ポリオールの数平均分子量は特に限定するものではないが、得られるポリウレタンの弾性特性等の観点から、500〜2000程度であることが望ましい。高分子量ポリオールの数平均分子量が500未満であると、これを用いて得られるポリウレタンは十分な弾性特性を有さず、また脆いポリマーとなり磨耗し易くなるため、研磨パッドの寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いて得られるポリウレタンをマトリックスとする研磨層が軟らかくなり、十分に満足のいくプラナリティーが得られない場合がある。
また、ポリオール化合物としては、上述した高分子量ポリオールの他に、ポリエステルポリオールで例示した低分子量ポリオールを併用してもよい。これらポリオール化合物は1種で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。また、ポリオール化合物中の、高分子量ポリオールと低分子量ポリオールの比は、特に限定されるものではなく、これらから製造されるポリウレタンについて研磨パッドの研磨層に要求される特性により決められる。
本発明では、前記ポリオール化合物に、水溶性高分子ポリオールを含有させ、ポリウレタンを前記膨潤度に調整するのが好ましい。なお、水溶性高分子ポリオールにおける、「水溶性」の定義は、高分子ポリオールが同容量の水と完全に混ざり合う性質を有することをいう。また、水溶性高分子ポリオールの数平均分子量は特に制限されないが、前記のように500〜2000程度であることが好ましい。
水溶性高分子ポリオールとしては、重合性モノマーとしてエチレンオキサイドを70モル%以上含有してなるポリエーテルポリオール及び/又はスルホ(塩)基を含有するポリエステルポリオールであることが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特にポリエチレングリコールが好ましい。また、スルホ(塩)基を含有するポリエステルポリオールとしては、スルホ(塩)基を有する二塩基酸(例えば、5−(テトラ−n−ブチルホスホニウム)スルホイソフタル酸)などのイオン性官能基を有するモノマーを共重合したポリエステルポリオールがあげられる。また、アミノ基、アミド基、イミノ基、四級アンモニウム塩基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、硫酸エステル基(−O−SO3 H)、又はリン酸エステル基(−O−PO(OH)2 )などのイオン性官能基を有するモノマーを(共)重合させて水溶性高分子ポリオールを調製してもよい。
全ポリオール化合物中の水溶性高分子ポリオールの割合は特に制限されないが、1〜70重量%が好ましい。水溶性高分子ポリオールの割合が少なくなると得られるポリウレタンの膨潤度が小さくなり、スラリー供給下における湿潤環境でも十分に膨潤せず、研磨層表面が十分軟らかくならず、スクラッチの原因となるおそれがある。そのため、水溶性高分子ポリオールの割合は1重量%以上、さらには5重量%以上、特に10重量%以上であるのが好ましい。一方、水溶性高分子ポリオールの割合が多くなると、ポリウレタンの膨潤度が大きくなり、スラリー供給下における湿潤環境で表面のみならず内部まで湿潤が進行して、研磨層全体が軟らかくなり、プラナリティーの向上が不十分となる傾向があるため、水溶性高分子ポリオールの割合は70重量%以下、さらには65重量%以下、特に60重量%以下であるのが好ましい。
鎖延長剤は少なくとも2以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)などが例示される。また、鎖延長剤は分子量が500程度以下の化合物である。具体的には上述した低分子量ポリオール、4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン等の芳香族または脂環族ジアミン類、1,4−ビスヒドロキシエトキシベンゼン(キュアミンH(イハラケミカル社製))、m−キシリレンジオール(三菱ガス化学社製)等の芳香族系ジオール類等を例示できる。これら鎖延長剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
また、四級アンモニウム塩基、スルホ塩基、カルボン酸塩などのイオン性官能基を含有する鎖延長剤を用いてポリウレタンの膨潤度を調整することも好ましい態様である。
イオン性官能基を含有する鎖延長剤とは、イソシアネート官能基と反応する活性水素基を2個以上有し、かつアニオン性官能基又はカチオン性官能基を形成することのできる化合物をいう。
アニオン性型としては、カルボキシル基を含有するものが挙げられ、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、1 −カルボキシ−1,5−ジアミノペンタン、ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、ポリオキシプロピレントリオールと無水マレイン酸や無水フタル酸とのハーフエステル化合物などが挙げられる。スルホ塩基を有するものとしては、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩、5−スルホ−ジ−β−ヒドロキシエチルイソフタレートナトリウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸ベンジルトリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。カルボキシル基を含有する化合物を使用する場合には、カルボキシル塩基を形成しイオン化させるために、中和剤としてトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物を用いることが好ましく、特にアミン類を用いることが好ましい。カルボキシル基に対する中和率は通常50〜100モル%である。
カチオン性型としては、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。これらアミン化合物を使用する場合には、中和剤として塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等を用いることが好ましい。アミノ基に対する中和率は通常50〜100モル%である。また、アミノ基をヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキルを用いて四級アンモニウム塩にしてもよい。
イオン性官能基の種類は特に限定されるものではないが、カルボキシル基を含有するアニオン性型のもの又は四級アンモニウム塩を含有するカチオン性型のものが原料の入手、取り扱い易さ、及び樹脂の製造し易さの観点から好ましい。
本発明における有機ポリイソシアネート、ポリオール化合物、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量やこれらから製造されるポリウレタンの所望物性などにより種々変化させることができる。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール化合物と鎖延長剤の合計官能基(水酸基、アミノ基等の活性水素基の合計)数に対する有機ポリイソシアネートのイソシアネート基数は0.95〜1.15の範囲が望ましく、好ましくは、0.99〜1.10であることがより望ましい。なお、ポリオール化合物中の、高分子量成分と低分子量成分の比は、これらから製造されるポリウレタンに要求される特性により決められる。
ポリウレタンは、溶融法、溶液法などのウレタン化技術を応用して製造することができるが、コスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
ポリウレタンの製造は、プレポリマー法、ワンショット法のいずれも採用できるが、予め有機ポリイソシアネートとポリオール化合物からイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が、得られるポリウレタンの物理的特性が優れており好適である。なお、有機ポリイソシアネートとポリオール化合物から製造されるイソシアネート末端プレポリマーで市販されているものは、本発明に適合するものであれは、それらをプレポリマー法によるポリウレタンの製造法に適用することも可能である。イソシアネート末端プレポリマーは、分子量が800〜5000程度のものが加工性、物理的特性等が優れており、好適である。
前記ポリウレタンの製造は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分および活性水素基含有化合物を含む第2成分を混合して硬化させるものである。プレポリマー法では、イソシアネート末端プレポリマーがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤(必要によりポリオール化合物)が活性水素基含有化合物となる。ワンショット法では有機ポリイソシアネートがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤およびポリオール化合物が活性水素基含有化合物となる。
微発泡ポリウレタンの製造では、前記ポリウレタン原料(イソシアネート基含有化合物を含む第1成分および活性水素基含有化合物を含む第2成分)を混合、撹拌する前に、または混合、撹拌する際にポリウレタン原料中に、非反応性気体により微細気泡を取り込んだのち、硬化・発泡させ微発泡状態のポリウレタンブロックを作製する手法を採用するのが一般的である。その際に、ポリウレタン原料(イソシアネート基含有化合物を含む第1成分および/または活性水素基含有化合物を含む第2成分)に整泡剤を添加しておき、前記整泡剤を添加した成分を非反応性気体と攪拌して微細気泡として分散させた後、または分散させながら、これに残りの成分を混合するのが好ましい。整泡剤をポリウレタン原料に予め混合しておくことは、微細気泡を安定的に作るのに非常に有効な手段である。
整泡剤としては、前記第1成分または第2成分を非反応性気体の存在下に攪拌した場合に、微細な気泡を安定的に形成するものを特に制限なく使用できる。整泡剤としては、シリコン系界面活性剤が好適である。特に、ポリオール化合物やイソシアネートプレポリマーとの相溶性が良い点でポリウレタンの技術分野において整泡剤として使用されているシリコン系界面活性剤であって、イソシアネート基と反応する水酸基等の活性水素基を有しないものが使用される。特に、シリコンとポリエーテルの共重合体の界面活性剤が良い。ここでポリエーテルとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、これらの共重合体などが例示できる。具体的には、シリコン整泡剤SH−190、SH−192(トーレダウコーニングシリコン(株)製)、L−5340(日本ユニカー(株))等のシリコン系ノニオン界面活性剤が例示される。水酸基を有しないシリコン系ノニオン界面活性剤は、ポリウレタンの物理特性が損なわれることなく、また気泡が微細で均一性な微発泡ポリウレタンが安定して得られる。
前記シリコン系界面活性剤の添加量は、ポリウレタン原料(第1成分および第2成分の合計量)に対して0.1〜4重量%未満であることが好ましい。0.1重量%未満では気泡の微細な発泡体が得られない場合がある。かかる観点から、整泡剤の添加量は1重量%以上とするのが好ましい。一方、4重量%以上になると微発泡ポリウレタン中のセル数が多くなり、高硬度の微発泡ポリウレタンを得難い傾向にある。かかる観点から、シリコン系界面活性剤の添加量は3.5重量%以下とするのが好ましい。
前記非反応性気体は、イソシアネート基または活性水素基と反応しない常温気体成分のみから構成されている気体である。気体は積極的に液中に送り込んでもよく、また攪拌中に気体が自然に巻き込まれる状況のみであってもよい。微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的に最も好ましい。
非反応性気体を微細気泡状にして第1成分および/または第2成分に分散させる攪拌装置としては、公知の攪拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的には、ホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。攪拌装置の攪拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の攪拌翼の使用が微細気泡が得られ好ましい。微細気泡の形成条件は、微細気泡が形成され、所定形状の硬化物が得られる限り特に限定されるものではないが、温度は、第1成分、第2成分の融点以上であり、イソシアネート基と活性水素基の硬化反応が急速に進行しない温度以下であることが必要である。好ましくは0℃〜140℃、より好ましくは、10〜120℃である。なお、イソシアネート基と活性水素基の硬化反応は発熱反応であり、選択するイソシアネート化合物と活性水素化合物の種類、組合せ等により発熱の程度は異なり適宜に温度調節を行う。
残りの成分を添加した後の混合、攪拌は特に気泡を形成する攪拌でなくてもよく、大きな気泡を巻き込まない攪拌装置の使用が好ましい。このような攪拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。なお、微細気泡を分散させる前段の撹拌と残りの成分を添加して混合する後段の攪拌は、順次、または同時に行うことができ、前段と後段の攪拌装置を同一の攪拌装置を使用してもよい。必要に応じて攪拌翼の回転速度を調整する等の攪拌条件の調整を行って使用することも好適である。
微発泡ポリウレタンの製造にあたっては、ポリウレタン原液中に、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、界面活性剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えても差し支えない。
微発泡ポリウレタンの製造は、ポリウレタン原料を混合した混合液を金型に注入後、流動しなくなるまで反応させ硬化させて、微発泡ポリウレタンブロックを作製する。微発泡ポリウレタンとする場合には、硬化とともに発泡させる。得られた微発泡ポリウレタンブロックは加熱、ポストキュアーすることができ、かかる操作は微発泡ポリウレタンの物理的特性を向上する効果があり、極めて好適である。
微発泡ポリウレタンの製造にはポリウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。触媒の種類、添加量は適宜に選択する。なお、微発泡ポリウレタンの製造は、容器にポリウレタン原液の各成分を計量して投入し、混合液を攪拌するバッチ方式でもよく、攪拌装置にポリウレタン原液の各成分と非反応性気体を連続して供給して攪拌し、混合液を送り出して成形品を製造する連続生産方式のいずれであってもよい。
得られた微発泡ポリウレタンは、研磨パッド(研磨層)に適した厚みにスライスされる。また目的とする研磨層の厚みと同じキャビティーを備えた金型にポリウレタン成分を流し込んで微発泡ポリウレタンを製造してもよい。研磨層は厚さが通常0.8mm〜3mmであり、通常は1.2mm程度の厚さのシートが使用される。
研磨層表面には溝を付けたり、裏面に柔軟性多孔質シート等を貼り付けることができる。研磨層表面の条溝は、研磨屑や研磨剤を被研磨物と研磨シートの接触面から外方へ逃がす作用を有する。条溝の形状は、特に限定されるものではないが、断面が矩形、三角形、U字型、半円状等が例示され、微粉末が通過する断面積を有したものでよい。条溝はシート面上に同心円状、格子状等にて配置される。条溝の深さはシートの厚み等にもよるが0. 4〜0. 8mm程度である。
以下、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製造例1
(ポリウレタンブロックの作製)
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物:以下、TDIと略す)1566重量部、4,4′−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(以下、HMDIと略す)786重量部、数平均分子量が844のポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略す)790重量部、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)1310重量部、ジエチレングリコール(以下、DEGと略す)331重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマーを作製した。このイソシアネート末端プレポリマーを減圧脱泡した後、80℃に調整した。ここに、撹拌しながら予め120℃で溶融させておいた4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(以下、MBOCAと略す)を1520重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い無発泡ポリウレタンブロックを得た。
(膨潤度の測定)
得られた無発泡ポリウレタンブロックから、厚さ2mmの20mm×20mm角の試料片を切り出し、20℃のpH11の水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬して、下記式により膨潤度を求めたところ、膨潤度は7.5%であった。
膨潤度(%)=〔{(24時間後重量)−(元の重量)}/(元の重量)〕×100

実施例1
製造例1と同様にイソシアネート末端プレポリマーを作製した。その後、このプレポリマーに、シリコン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192:以下、SH−192と略す)210重量部を入れて混合し、80℃に温度調整した。撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1520重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、微発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた微発泡ポリウレタンの密度は、0.75g/cm3 であった。なお、密度の測定は、JIS K7222(発泡プラスチック及びゴム 見掛け密度の測定)に準じて行った。
(平均気泡径の測定)
作製した微発泡ポリウレタンブロックを厚み1mm程度になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出して平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、画像処理装置(東洋紡社製、Image Analyzer V10)を用いて、任意の0.2mm×0.2mm範囲の全気泡径を測定し、その平均気泡径を算出したところ、40μmであった。
(貯蔵弾性率の測定)
この微発泡ポリウレタンブロックを約50℃に加熱しながら、スライサー(アミテック社製,VGW−125)にて、厚さ1.27mmにスライスし、研磨シートを得た。このシートから5mm幅の短冊を切り出し、貯蔵弾性率を測定したところ、325MPaであった。
弾性率の測定方法は、動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(ユービーエム社製)で引っ張り試験用治具を用い、正弦波振動を加え、周波数1Hzで測定した。温度依存性モードで、−20℃から80℃まで測定し、40℃での貯蔵弾性率を弾性率とした。
(研磨パッドの作製)
得られた研磨シートに両面テープ(積水化学工業製,ダブルタックテープ#5782)を貼り合わせ、研磨パッドを完成させた。得られた研磨パッドの研磨特性の評価は、CMP研磨装置(岡本工作機械社製,SPP−600S)を用いて行った。研磨条件は、スラリーとして、pH11に調整されたシリカスラリー(フジミインコーポレーテット社製,RD97001)を150g/分の流量で流しながら、研磨荷重350g/cm2 、研磨パッド回転数35rpm、ウエハ回転数33rpmにて行った。
(プラナリティー)
プラナリティーの評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜を0.5μm堆積させた後、L/S(ライン・アンド・スペース)=25μm/5μm及び、L/S=5μm/25μmのパターンニングを行い、さらに酸化膜(TEOS)を1μm堆積させて、初期段差0.5μmのパターン付きウエハを製作する。このウエハを上述研磨条件にて研磨を行って、グローバル段差が2000Å以下になる時の、25μmスペースの底部分の削れ量を測定することで評価した。得られた研磨パッドのプラナリティーは、75nmであった。プラナリティーは値が小さいほど、優れていると言える。
(スクラッチ)
スクラッチの評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用い、上述研磨条件にて熱酸化膜が0.5μmになるまで研磨を行った後、ウエハを洗浄、乾燥し、KLA(ケーエルエー・テンコール社製,KLA2112)によって、マイクロスクラッチを測定することで評価した。スクラッチは、ウエハ1枚に10個見られた。
(研磨速度)
研磨速度の評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用い、上述研磨条件にて熱酸化膜が0.5μmになるまで研磨を行い、その際の研磨時間から研磨速度を求めた。得られた研磨パッドの研磨速度は、115nm/分であった。研磨速度は値が大きいほど、優れていると言える。
比較例1
製造例1で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度1.18g/cm3 、貯蔵弾性率は970MPaであった。
製造例2
(ポリウレタンブロックの作製)
容器にTDIを1566重量部、HMDIを786重量部、数平均分子量が844のPTMGを1580重量部、数平均分子量が600のPEGを749重量部、DEGを331重量部入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマーを得た。このイソシアネート末端プレポリマーを減圧脱泡した後、80℃に調整した。ここに、撹拌しながら予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1520重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い無発泡ポリウレタンブロックを得た。得られた無発泡ポリウレタンブロックの膨潤度を測定したところ、2.8%であった。
実施例2
製造例2と同様にイソシアネート末端プレポリマーを作製した。その後、このプレポリマーに、SH−192を210重量部入れて混合し、80℃に温度調整した。撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1520重量部を添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、微発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた微発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に平均気泡径、密度、及び貯蔵弾性率を測定したところ、平均気泡径は40μm、密度は0.74g/cm3 、及び貯蔵弾性率は310MPaであった。実施例1と同様に、研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。
比較例2
製造例2で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度1.17g/cm3 、貯蔵弾性率は929MPaであった。
製造例3
(ポリウレタンブロックの作製)
容器にTDIを1479重量部、HMDIを393重量部、数平均分子量が1000のPTMGを1250重量部、数平均分子量が1000のPEGを1250重量部、N−メチルジエタノールアミンを290重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマーを作製した。作製したイソシアネート末端プレポリマーにヨウ化メチルを352重量部添加し、N−メチルジエタノールアミンのアミノ基を四級アンモニウム塩にした。このイソシアネート末端プレポリマーを減圧脱泡した後、80℃に調整した。ここに、撹拌しながら予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1230重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い無発泡ポリウレタンブロックを得た。得られた無発泡ポリウレタンブロックの膨潤度を測定したところ、10.8%であった。
実施例3
製造例3と同様にイソシアネート末端プレポリマーを作製した。作製したイソシアネート末端プレポリマーにヨウ化メチルを352重量部添加し、N−メチルジエタノールアミンのアミノ基を四級アンモニウム塩にした。その後、このプレポリマーにSH−192を140重量部加えて混合し、80℃に温度調整した。撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1230重量部を添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、微発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた微発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に平均気泡径、密度、及び貯蔵弾性率を測定したところ、平均気泡径は45μm、密度は0.76g/cm3 、及び貯蔵弾性率は290MPaであった。実施例1と同様に、研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。
比較例3
製造例3で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度1.18g/cm3 、貯蔵弾性率は950MPaであった。
製造例4
(ポリウレタンブロックの作製)
5−(テトラ−n−ブチルホスホニウム)スルホイソフタル酸とジエチレングリコールとを重縮合させたポリエステルポリオール(数平均分子量1000、ケン化価113mgKOH/g)を調製した。
容器にTDIを1479重量部、HMDIを393重量部、前記調製したポリエステルポリオールを1250重量部、数平均分子量が1000のPTMGを1250重量部、及びDEGを265重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマーを作製した。このイソシアネート末端プレポリマーを減圧脱泡した後、80℃に調整した。ここに、撹拌しながら予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1230重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い無発泡ポリウレタンブロックを得た。得られた無発泡ポリウレタンブロックの膨潤度を測定したところ、8.2%であった。
実施例4
5−(テトラ−n−ブチルホスホニウム)スルホイソフタル酸とジエチレングリコールとを重縮合させたポリエステルポリオール(数平均分子量1000、ケン化価113mgKOH/g)を調製した。
容器にTDIを1479重量部、HMDIを393重量部、前記調製したポリエステルポリオールを1250重量部、数平均分子量が1000のPTMGを1250重量部、及びDEGを265重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマーを作製した。その後、SH−192を140重量部加えて混合し、80℃に温度調整した。撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1230重量部を添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、微発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた微発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に平均気泡径、密度、及び貯蔵弾性率を測定したところ、平均気泡径は50μm、密度は0.78g/cm3 、及び貯蔵弾性率は315MPaであった。実施例1と同様に、研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。
比較例4
製造例4で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度1.12g/cm3 、貯蔵弾性率は985MPaであった。
製造例5
(ポリウレタンブロックの作製)
容器にポリエーテル系プレポリマー(ユニロイヤル社製,アジプレンL−325;イソシアネート基濃度2.22meq/g)500重量部を入れ、減圧脱泡した。ここに、撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを145重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い無発泡ポリウレタンブロックを得た。得られた無発泡ポリウレタンブロックの膨潤度を実施例1と同様にして測定したところ、1.8%であった。
比較例5
製造例5で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度は1.19g/cm3 、貯蔵弾性率は750MPaであった。
製造例6
(ポリウレタンブロックの作製)
容器にTDIを1566重量部、HMDIを786重量部、数平均分子量が844のPTMGを318重量部、数平均分子量が1000のPEGを2623重量部、DEGを318重量部入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。このプレポリマー混合物を減圧脱泡した後、80℃に調整しておき、撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1520重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、無発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた無発泡ポリウレタンブロックの膨潤度を実施例1と同様にして測定したところ、17.4%であった。
比較例6
製造例6と同様に、イソシアネート末端プレポリマーを作製した。その後、このプレポリマーに、SH−192を190重量部入れて混合し、80℃に温度調整した。撹拌しながら、予め120℃で溶融させておいたMBOCAを1520重量部添加した。約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃で、6時間ポストキュアを行い、微発泡ポリウレタンブロックを作製した。得られた微発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に平均気泡径、密度、及び貯蔵弾性率を測定したところ、平均気泡径は40μm、密度は0.84g/cm3 、及び貯蔵弾性率は271MPaであった。実施例1と同様に、研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。
比較例7
製造例6で得た無発泡ポリウレタンブロックから、実施例1と同様に研磨パッドを作製し、研磨特性を評価した。結果を表1に示す。また、この無発泡ポリウレタンについて、実施例1と同様に密度と貯蔵弾性率を測定したところ、密度は1.18g/cm3 、貯蔵弾性率は754MPaであった。
Figure 2004167680
表1から明らかなように、本発明により得られた研磨パッドは、プラナリティー向上とスクラッチ低減を両立している。さらに研磨速度も満足している。

Claims (3)

  1. ポリウレタンをマトリックス材料とする研磨層を有する研磨パッドにおいて、前記ポリウレタンは、有機ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、及び低分子量ポリオールを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との重合体であり、かつ20℃、pH11の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬したときの膨潤度が2〜15%であり、前記研磨層は、前記ポリウレタンを含有する平均気泡径70μm以下、かつ40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上である微発泡ポリウレタンからなることを特徴とする研磨パッド。
  2. 微発泡ポリウレタンの密度が、0.67〜0.90g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド。
  3. 微発泡ポリウレタンが、整泡剤としてシリコン系界面活性剤を0.1〜4重量%未満含むことを特徴とする請求項1又は2記載の研磨パッド。
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