JP2004165156A - リチウム二次電池用正極活物質の製造方法及びこれを用いた正極活物質並びに非水系リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 原料粉に混入されている金属粉及びその後の製造工程で混入する金属粉を低減する正極活物質の製造方法、その正極活物質及びリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 リチウム塩と遷移金属酸化物を溶媒中へ分散させスラリー状の混合物となし、当該スラリー中に磁場発生部表面近傍が0.6テスラ以上の磁場発生部材を通過させ、当該磁場発生部材に磁化吸引される金属粉および不可避的に吸引される遷移金属酸化物粉を除去する工程を有し、金属粉除去後の原料粉をスプレイドライヤ−を用いて乾燥させ顆粒状にした後、大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて800℃〜1100℃の温度で焼成を行い、これを解砕し、その後大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて400℃〜800℃の温度で熱処理を行い、含有する金属粉は50ppm以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 リチウム塩と遷移金属酸化物を溶媒中へ分散させスラリー状の混合物となし、当該スラリー中に磁場発生部表面近傍が0.6テスラ以上の磁場発生部材を通過させ、当該磁場発生部材に磁化吸引される金属粉および不可避的に吸引される遷移金属酸化物粉を除去する工程を有し、金属粉除去後の原料粉をスプレイドライヤ−を用いて乾燥させ顆粒状にした後、大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて800℃〜1100℃の温度で焼成を行い、これを解砕し、その後大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて400℃〜800℃の温度で熱処理を行い、含有する金属粉は50ppm以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、小型携帯情報端末、電力貯蔵電源あるいは電気自動車等に使用されるリチウム二次電池の正極活物質及びその製造方法に関し、特に使用中の電池が内部ショ−トを起こす頻度を大幅に低減させ信頼性を改善したリチウムイオン二次電池に関するものである。
一般に、リチウム二次電池は正極、負極およびセパレ−タを容器内に配置し、有機溶媒による非水電解液を満たして構成される。正極材はアルミニウム箔等の集電体に正極活物質を塗布したものである。この正極活物質の電気伝導性は10−1〜10−6S/cm2と一般の導体と比べて低い値であるため、アルミニウム等の集電体と正極活物質間もしくは活物質相互間の電気伝導性を高めるように、正極活物質より電気伝導性の良い炭素粉等の導電助材が使用される(例えば特許文献1参照)。実際には、正極材に重量比で数〜数十%程度の炭素粉を混ぜ、さらにPVdF(ホ゜リフッ化ヒ゛ニリテ゛ン)、PTFE(ホ゜リテトラフルオロエチレン)等の結着材と混練した後、ペ−スト状に練り上げて集電体箔に厚み100μm程度で塗布し、乾燥、プレス工程を経て正電極が製造される。
この正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等に代表されるようにリチウムと遷移金属の酸化物からなる粉体が主として用いられ、例えば特許文献2によればその製法が詳しく開示されている。これら正極材活物質の合成は、一般にリチウム塩粉末(LiOH、Li2CO3等)と遷移金属酸化物(MnO2、CoO、NiO等)粉末を混合し、焼成する方法が広く採用されている。
一般に工業用で市販されているリチウム塩粉末(LiOH、Li2CO3等)や遷移金属酸化物(MnO2、Co3O4、NiO等)粉末には数十〜数百ppmの鉄成分が混入している。その殆どが、製造装置の磨耗粉などであって製造工程で混入するFe粉あるいはFeCr合金等のステンレス系の金属粒子(SUS粉)である。従って、これらの原料粉を使って正極活物質を合成すると、原料に混入している金属粒子はほぼそのままの状態で正極活物質中に存在する。正極活物質が電池に組み込まれると、充電時に電位がかかるが、混入している金属粒子にも電位がかかるため、充電時に電解液中へ溶け出し、負極側へ析出する。この析出が進行すると、析出物が正極、負極間を絶縁しているセパレ−タ−を突き破り、電池内部において正極、負極が電気的に接触する。この場合、内部ショ−トとなり電池電圧が下降し、電池が使用できなくなる。このため、正極材に混入する金属粉を低減する必要がある。
そこで、例えば特許文献3では、原料の二酸化マンガンを粉砕する工程で、粒子同士を対向衝突させる方式を採用し、粉砕機から混入する鉄粉を排除することが提案されている。
また、特許文献4では、リチウム化合物と遷移金属化合物を含む混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造する方法において、焼成前に、リチウム化合物及び/又は遷移金属化合物を、100ガウス以上、磁場を通過させる該化合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁束密度未満の磁場を通過させることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法が記載されている。
しかしながら、これら従来の製造方法では製造コストのアップや適応できる原料に限りがあるため、量産性に問題が生じたり、除去効果が不十分など金属粉除去対策として課題があった。
そこで、本発明は工業用に市販されている原料粉を使って、その中に既に混入されてしまっている金属粉及びその後の製造工程で混入する金属粉を低減するための正極活物質の製造方法およびその正極活物質、またこの正極活物質を用いた内部ショ−トの頻度が非常に少ないリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本願発明者らは、原料であるリチウム塩粉末(LiOH、Li2CO3等)と遷移金属酸化物(MnO2、CoO、NiO等)粉末を混合し、焼成して正極活物質を合成する際、焼成前のリチウム塩粉末と遷移金属酸化物粉末に純水を加えてスラリ−となす過程において、特にこのスラリー中に磁場発生部表面近傍が0.6テスラ以上の磁場発生部材を通過させることによりFe粉、SUS粉などの金属粉粒子を除去することを要旨とするものである。しかし本発明では、磁気的に吸引される金属粉粒子だけでなく不可避的に吸引される遷移金属酸化物の原料粒子に及ぶことを妨げないこと、およびスラリー中で磁気吸引作用を働かせることに考慮したものである。即ち、原料として使われる遷移金属酸化物の中には、MnO2、Co3O4、NiOなど若干の磁性を持つものがあるが、その原料粒子をも吸引するような磁力となすことを特徴としている。即ち、本発明は、リチウム塩と遷移金属酸化物を溶媒中へ分散させスラリー状の混合物となし、当該スラリー中に0.6テスラ以上の磁場発生部材を通過させ、当該磁場発生部材に不可避的に吸引される原料である一部の遷移金属酸化物粉ともども磁化吸引される金属粉を除去する工程を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法である。ここで、磁場発生部材は永久磁石を利用した、例えば棒状、櫛状の部材を用いることが出来る。このような磁場発生部材をスラリー中に配置し、スラリー側を流動させ、磁場発生部材に接触あるいは周辺を通る磁性を帯びた異物粉を吸引するのである。このような粘度が比較的高い(5dpa・s程度)スラリー中では磁力が0.6テスラ以下では金属粉の除去量を満足することができず、望ましくは0.6テスラ以上、さらに望ましくは0.8テスラ以上である。ただし、1.5テスラ以上としてもその効果は飽和するので、0.8〜1.5テスラの範囲から選択すればよい。
前記磁場による金属粉などの除去工程を経た原料粉は、スプレイドライヤ−を用いて乾燥させ顆粒状にした後、大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて800℃〜1100℃の温度で焼成を行い、これを解砕し、その後大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて400℃〜800℃の温度で熱処理を行うことが望ましい。ここで焼成後に解砕を行う理由は、高い出力が得られる粒度に調整するためである。混合した原料粉を焼成して正極活物質とする場合、反応を完結させる条件で焼成すると、焼結が進み、かなり解砕し難い状態になる。この状態を避ける為、原料粉はスプレイドライヤ−を用いて乾燥させ一旦顆粒状にする。これにより、焼成して得られた正極活物質の解砕をより簡単に行うことができる。次に、解砕後に熱処理を行う理由は、熱処理を施すと解砕時に活物質に生じた歪を取り除く効果があると考えられ、電池特性が安定する。この解砕を、樹脂コ−トしたボ−ルをメディアとして用いることが望ましい。コ−トする材料はナイロン等があるが、これにより、前記金属粉除去工程後の正極活物質合成プロセスからステンレス系金属粒子、SUS粉の混入を防ぐことができる。尚、解砕時にボ−ルから入る有機不純物は後の熱処理工程で焼き飛ばすことができる。
上記した第1の発明は、磁気吸引されたFe粉、SUS粉等の金属粉以外に吸引される遷移金属酸化物粉を無理に分別することなく除去工程に加えるものである。但し、遷移金属酸化物粉の吸引除去は積極的に行うと言うものではなく、効果的に金属粉を吸引する上で避けられない程度の吸引量を意図しており、これを不可避的に吸引されると表現している。もっとも金属粉とともに吸引されてしまう遷移金属酸化物粉は仕込み量に比べて少量であって、原料スラリ−中の金属粉に由来するFe成分を100ppm程度から30ppm程度に低下させるための上記金属粉除去プロセスでは主組成の変化が問題になる事態には至らない。しかし、スラリーの組成が変わってしまう程吸引される磁場条件や原料粉の場合は、積極的に遷移金属酸化物粉を除去することは避けなければならない。このような場合は、磁場と超音波を併用することが望ましい。この場合、磁石棒等の磁場発生部材を超音波を印加した水中で超音波の出力を調整しながら水洗してやると、磁気の弱い遷移金属酸化物は磁石から離れる。この水洗した水を元のスラリ−へ戻して組成ずれを防ぐことが出来る。また、あらかじめ組成がずれる量を測定しておき、はじめから目標組成よりも多く、遷移金属酸化物を秤量しておくことでも良い。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物からなり、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)、層状岩塩構造のリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)やリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)等の全般組成に及ぶものであり、これらのリチウム遷移金属複合酸化物中の金属粉は50ppm以下であることを特徴としている。望ましくは40ppm以下、さらには30ppm以下である。さらに望ましいのは1〜10ppmの範囲に抑えることである。
特に、正極活物質として、組成式LiaMnxNiyXzO2(X=Co、Alのうち少なくとも一種)で表され、1≦a≦1.2、0≦x≦0.65、0.35≦y≦1、0≦z≦0.65の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有する複合酸化物であることは望ましい。
さらに、正極活物質として、組成式LiaMnxNiyXzO2(X:CoもしくはAlの少なくとも1種)で表され、1≦a≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.35≦y≦0.5、0.1≦z≦0.45の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有するものは望ましい。
これらの組成は、基本的にMnやNi、Coの三元系であるがその配合比と焼成雰囲気、焼成温度によってスピネル構造や層状構造を形成するものである。
さらに、正極活物質として、組成式LiaMnxNiyXzO2(X:CoもしくはAlの少なくとも1種)で表され、1≦a≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.35≦y≦0.5、0.1≦z≦0.45の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有するものは望ましい。
これらの組成は、基本的にMnやNi、Coの三元系であるがその配合比と焼成雰囲気、焼成温度によってスピネル構造や層状構造を形成するものである。
以上のような製造工程及び正極活物質を用いると内部ショ−トの原因になる金属粉が50ppm以下と極めて少なく、耐内部ショ−ト性に優れた非水系リチウム二次電池を製造することが可能である。
本発明によれば、使用する原料ならびに正極活物質製造工程から、Fe粉、SUS粉などの金属粉粒子の排除、混入防止が行われ信頼性の高い正極活物質を得ることが出来る。このとき、金属粉と最小限で不可避的に吸引されてしまった原料粉を区別することなく排除する場合、簡素で安価な製造プロセスとなる。以上により、内部ショートの生じ難い高品質の非水系リチウム二次電池を提供できるものである。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法は、少なくともリチウム塩粉末(LiOH、Li2CO3、LiNO3)と遷移金属酸化物(Mn3O4、MnO2、Co3O4、CoO、NiO)原料粉末を混合し、焼成する過程において、焼成前のリチウム塩粉末と遷移金属酸化物粉末に純水を加え、スラリ−とした後、当該スラリー中から、Fe粉、SUS粉等の金属粉を磁力で捕集し除去する。しかし、このとき原料粉中の遷移金属酸化物、例えばMn3O4、MnO2、Co3O4、CoO、NiO等の捕集量が多く合成される正極活物資組成に支障をきたす場合は、超音波を併用する。次にスプレイドライヤ−を用いてスラリ−を乾燥し、顆粒状とする。これを焼成し、樹脂等をコ−トしたメディアを用いたボ−ルミル粉砕を行う。その後、粉砕した正極活物質に熱処理を施し、分級して正極活物質とする。以上の製造プロセスによって製造される。
(実施例)
以下に本発明の一実施例を基に図2に示す流れに沿って説明する。
先ず、出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(Co3O4)、酸化ニッケル(NiO)の各粉末を、正極活物質の組成がLi1.08Mn0.33Ni0.36Co0.31O2になるように秤量した。その後の混合については、ジルコニア(ZrO2)を主成分とするメディアを使用した。ボ−ルミルのポットに、原料粉、純水、メディアを投入し湿式で24時間混合した。このときの原料スラリーのメジアン粒径D50は0.5μmであった。混合後、PVA(ポリビニルアルコ−ル)を溶かした水溶液を適量加え、更に1時間混合した。このスラリ−をポットから取り出し、貯蔵タンクへ移し変えた。
次に、貯蔵タンク中のスラリ−を攪拌羽で攪拌しながらスラリ−中へ磁場発生部材を挿入し、スラリ−中の主にFe粉やSUS粉を磁場発生部材表面へ付着させた。ここでは磁場発生部材として永久磁石棒(表面磁力:1テスラ、サイズ:Φ22-300L)を用いた。棒表面にはN極とS極が交互に並んでいる。磁石棒を挿入する時間は適宜であるが、ここでは1分間とした。次に、磁石棒をスラリ−から引き抜き、スラリ−が付着した磁石棒を水洗した。原料の遷移金属酸化物のうちMnO2やCo3O4粉は、弱いながら磁性を持っているので、磁石に付着してくる。この原料粉の付着は水洗いである程度取り除けるが、取り除けない分は無理に分けなくとも良い。なぜなら、この合計量は0.1wt%以下に収まるのが通常であるので金属粉と共に排除しても問題ない範囲である。ただし、水洗中に超音波を適度にかけると、きれいに取り除くことが可能であり、金属粉のみが磁石上に残るので、この工程を加えても良い。そして、磁石上に残った金属粉等を除去し、更にスラリ−中へ磁石棒を挿入し、この除去作業を繰り返した。
以下に本発明の一実施例を基に図2に示す流れに沿って説明する。
先ず、出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(Co3O4)、酸化ニッケル(NiO)の各粉末を、正極活物質の組成がLi1.08Mn0.33Ni0.36Co0.31O2になるように秤量した。その後の混合については、ジルコニア(ZrO2)を主成分とするメディアを使用した。ボ−ルミルのポットに、原料粉、純水、メディアを投入し湿式で24時間混合した。このときの原料スラリーのメジアン粒径D50は0.5μmであった。混合後、PVA(ポリビニルアルコ−ル)を溶かした水溶液を適量加え、更に1時間混合した。このスラリ−をポットから取り出し、貯蔵タンクへ移し変えた。
次に、貯蔵タンク中のスラリ−を攪拌羽で攪拌しながらスラリ−中へ磁場発生部材を挿入し、スラリ−中の主にFe粉やSUS粉を磁場発生部材表面へ付着させた。ここでは磁場発生部材として永久磁石棒(表面磁力:1テスラ、サイズ:Φ22-300L)を用いた。棒表面にはN極とS極が交互に並んでいる。磁石棒を挿入する時間は適宜であるが、ここでは1分間とした。次に、磁石棒をスラリ−から引き抜き、スラリ−が付着した磁石棒を水洗した。原料の遷移金属酸化物のうちMnO2やCo3O4粉は、弱いながら磁性を持っているので、磁石に付着してくる。この原料粉の付着は水洗いである程度取り除けるが、取り除けない分は無理に分けなくとも良い。なぜなら、この合計量は0.1wt%以下に収まるのが通常であるので金属粉と共に排除しても問題ない範囲である。ただし、水洗中に超音波を適度にかけると、きれいに取り除くことが可能であり、金属粉のみが磁石上に残るので、この工程を加えても良い。そして、磁石上に残った金属粉等を除去し、更にスラリ−中へ磁石棒を挿入し、この除去作業を繰り返した。
図1にスラリ−中への磁石挿入回数(挿入時間は1分/回)とスラリ−を乾燥して焼成した正極活物質に含まれるFe、SUS成分を分析した結果を示す。この操作を繰り返すと、スラリ−中の金属粉が低減できることが分かる。実際は顧客の要求値になるように挿入回数を調整する。少なくとも50ppm以下とし、40ppm以下、さらには30ppm以下が望ましい。磁石表面の磁場の強さは0.8〜1テスラが望ましい。また、水洗した水は原料のMnO2やCo3O4粉を含んでいるため、組成ずれを防ぐためスラリ−貯蔵タンクに戻す。なお、本工程は上記操作に限定されるものでなく、磁石棒を格子状に組んでそれに、スラリ−を通す方法や、ステンレス等の磁場を印加すると磁化する材料で構成したメッシュに磁場を印加してメシュを磁化させ、それにスラリ−を通して金属粉を除去する等の手段を用いても良い。この場合、磁場を印加する方法は、電磁石が望ましい。
次に、スラリ−をスプレードライヤにより造粒し乾燥させて10〜100μmの顆粒を作成する。この操作は、スラリ−中の成分であるリチウム塩粉末(LiOH、Li2CO3等)と遷移金属酸化物(MnO2、Co3O4、NiO等)粉末はそれぞれ比重が異なるため、混合したこれら成分が乾燥により分離するのを防ぐ為と、後に焼成後、樹脂コ−ト球を使って粉砕する際、均一に粉砕を進行させるためである。次に顆粒を900〜1050℃の間で焼成する。焼成後、樹脂コ−ト(ナイロン)等を施したメディアを使い所定の粒度分布が得られるまでボ−ルミル粉砕を行う。次に、400〜900℃の間で熱処理を行い、分級して正極活物質とする。
本発明の正極活物質は、その中に含有する金属粉を50ppm以下としたものである。そして、特に適用する正極活物質としては、組成式LiaMnxNiyXzO2(X=Co、Alのうち少なくとも一種)で表され、1≦a≦1.2、0≦x≦0.65、0.35≦y≦1、0≦z≦0.65の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有するものが良い。その理由は、性能とコストのバランスが取れる組成だからである。この組成は、MnやNi、Coの配合比と焼成雰囲気、焼成温度によってスピネル構造や層状構造を形成するものである。しかし、本発明の正極活物質として、層状岩塩構造を有する多元系複合酸化物の組成が効果的であることが確認された。この組成においてMn量を多くすると、コスト的には有利になるが、スピネル相が生じてしまう傾向にあり容量、高温耐久性に問題が生じる。また、Ni量を多くすると安全性(過充電やクギ刺し、圧壊時に破裂、発火等)の問題がある。Coについては含有量が多いとコスト的に不利である。また、低コストであるためには大気中で合成できる組成が望ましい。容量、安全性およびコストとの兼ね合いで、Coの一部をAlで置換できる場合もある。ただし、Alを多く置換すると安全性が増し、コスト的にも有利になる。また吸着除去される原料粉量が減るので良いが、容量が減少する傾向にある。
さらに、大気中で焼成しても層状岩塩構造のみとなり、かつ容量、安全性、コスト的にもバランスが取れた組成としては、組成式LiaMnxNiyXzO2(X:CoもしくはAlの少なくとも1種)で表され、1≦a≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.35≦y≦0.5、0.1≦z≦0.45の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有する複合酸化物がある。尚、上記した組成は、図3の三元状態図の二重線内側の範囲、後者の組成は網掛けの範囲である。尚、実施例の組成の位置を●で示した。
さらに、大気中で焼成しても層状岩塩構造のみとなり、かつ容量、安全性、コスト的にもバランスが取れた組成としては、組成式LiaMnxNiyXzO2(X:CoもしくはAlの少なくとも1種)で表され、1≦a≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.35≦y≦0.5、0.1≦z≦0.45の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有する複合酸化物がある。尚、上記した組成は、図3の三元状態図の二重線内側の範囲、後者の組成は網掛けの範囲である。尚、実施例の組成の位置を●で示した。
Claims (8)
- リチウム塩と遷移金属酸化物を溶媒中へ分散させスラリー状の混合物となし、当該スラリー中に磁場発生部表面近傍が0.6テスラ以上の磁場発生部材を通過させ、当該磁場発生部材に磁化吸引される金属粉および不可避的に吸引される遷移金属酸化物粉を除去する工程を有することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記磁場による除去工程を経た原料粉をスプレイドライヤ−を用いて乾燥させ顆粒状にした後、大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて800℃〜1100℃の温度で焼成を行い、これを解砕し、その後大気中、窒素雰囲気中あるいは酸素雰囲気中にて400℃〜800℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記解砕を、樹脂でコ−トしたボ−ルをメディアとして用いて行うことを特徴とする請求項2記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記溶媒中へ原料粉末を分散させ、磁気を帯びる金属粉または遷移金属酸化物粉を除去する際、磁場と超音波を併用することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
- リチウム塩と遷移金属の複合酸化物からなる正極活物質において、含有する金属粉は50ppm以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
- 前記正極活物質は、組成式LiaMnxNiyXzO2(X=Co、Alのうち少なくとも一種)で表され、1≦a≦1.2、0≦x≦0.65、0.35≦y≦1、0≦z≦0.65の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有する複合酸化物であることを特徴とする請求項5記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 前記正極活物質は、組成式LiaMnxNiyXzO2(X:CoもしくはAlの少なくとも1種)で表され、1≦a≦1.2、0.2≦x≦0.5、0.35≦y≦0.5、0.1≦z≦0.45の範囲でかつx+y+z=1の層状岩塩構造を有する複合酸化物であることを特徴とする請求項6記載のリチウム二次電池用正極活物質。
- 正極活物質中の金属粉が50ppm以下であることを特徴とする内部ショ−トの危険性が少ない非水系リチウム二次電池。
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2003
- 2003-10-24 JP JP2003364435A patent/JP2004165156A/ja active Pending
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