【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱源として照射されたレーザー光により形成された溶融池にフィラーを供給してレーザー溶接を行うレーザー溶接方法に関し、詳しくは、溶接後のビードの盛り上がりの高さが低く抑えられたレーザーフィラー溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、金属材の接合にレーザー溶接が用いられるようになってきている。レーザー溶接は、非常に高い熱エネルギーを加工部に加えることができるため、エネルギーのロス、熱による歪みを最小限に抑えることができ、かつ溶け込みの深い溶接ができる効果を有している。
【0003】
そして、レーザー溶接の1つの形態としてレーザーフィラー溶接がある。レーザーフィラー溶接は、フィラーを供給することで、溶接不良の発生を抑える溶接方法である。すなわち、レーザー光の照射により形成された溶融池から金属材の溶融液が流れ出し、この状態で溶融池が凝固すると、溶接部の金属量の不足から十分な溶接強度が得られないという問題があった。レーザーフィラー溶接は、フィラーの供給によりこの金属量の不足分を補うことで溶接不良の発生を抑える溶接方法である。(たとえば、特許文献1参照。)
レーザーフィラー溶接は、溶接される二つの溶接材の間にすき間が存在した状態での溶接に特に効果を発揮する。
【0004】
また、レーザーフィラー溶接は、高エネルギーを集中させる溶接方法であるため、フィラーをレーザー光の直下に供給する必要があった。しかしながら、フィラーの先端部をレーザー光の直下に供給することは難しかった。具体的には、フィラーは、通常リール等に巻かれたワイヤ状を有しており、フィラーワイヤの巻き癖や、フィラーとフィラー供給装置のフィラーガイドとのすき間などにより、フィラーワイヤの先端部の位置が一定しないためである。
【0005】
さらに、レーザーフィラー溶接においては、溶接される二つの金属材のすき間が小さい場合には、溶接部に形成されるビードの高さが高くなり、外観の不良や他部品への干渉といった問題が生じていた。ここで、他部品への干渉とは、ビードの高さがその後の加工において邪魔となる場合を示し、具体的には、溶接された金属材の表面に他の部材を取り付けたときに金属材と他の部材との密着性を低下させる等の不具合を示す。
【0006】
溶接材のすき間が小さくなると、溶融池からの溶融液の流れ出しが少なくなる。この溶接材のすき間が小さい状態でレーザーフィラー溶接が行われると、フィラーが溶融池へ供給されることで溶融池の溶融液の液量が過剰となる。そして、レーザーフィラー溶接において形成される溶融池は小さいため、この溶融池が凝固することで表面からの突出高さが高いビードが形成される。
【0007】
【特許文献1】
特許第2711655号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、溶接不良を生じることなく溶接できるとともに溶接後の溶接部に形成されるビードの高さが低いレーザーフィラー溶接を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者は、レーザーフィラー溶接時にシールドガスを制御することで上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明のレーザーフィラー溶接方法は、溶接材にレーザー光を照射して溶融池を形成し、溶融池にフィラーを供給するレーザーフィラー溶接であって、レーザー光の照射が、全体を100vol%としたときに、30vol%以上の酸素ガスを含有するシールドガスが供給された状態で行われることを特徴とする。
【0011】
本発明のレーザーフィラー溶接方法は、酸化性を有するガスをシールドガスとして用いていることで、高温かつ大きな溶融池を形成できる。この結果、溶接部に形成されるビードの高さを低くすることができる。
【0012】
また、本発明のレーザーフィラー溶接方法は、溶接材にレーザー光を照射して溶融池を形成し、溶融池にフィラーを供給するレーザーフィラー溶接であって、フィラーが線状であり、かつフィラーと同軸的に溶融池にシールドガスが供給されたことを特徴とする。
【0013】
本発明のレーザーフィラー溶接方法は、大きな溶融池を形成できる。この結果、溶接部に形成されるビードの高さを低くすることができる。さらに、フィラーの溶融不良による溶接不良の発生を抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第一発明)
本発明の溶接方法は、溶接材にレーザー光を照射して溶融池を形成し、溶融池にフィラーを供給するレーザーフィラー溶接において、レーザー光の照射が、全体を100vol%としたときに、30vol%以上の酸素ガスを含有するシールドガスが供給された状態で行われる。
【0015】
本発明の溶接方法は、酸素ガスを含有することでシールドガスが酸化性を有している。そして、シールドガスは、レーザー光が照射されるキーホールの近傍に供給される。キーホールの近傍は、溶融池が形成されている。溶融池に酸素を有するシールドガスが供給されると、溶接材の溶融液がシールドガス中の酸素と反応する。この反応は酸化反応であり、反応熱により溶融池の温度が上昇する。溶融池の温度が上昇すると、溶融池の大きさが大きくなる。溶融池が大きくなると、凝固したときに生じるビードの高さが低くなる。
【0016】
そして、溶融池が高温になると、溶融液自身の粘性が低下して溶融液が移動しやすくなっており、表面側のビードの高さが低くなる。
【0017】
加えて、本発明の溶接方法においては、溶融池が高温となっているため、フィラーを溶融池の広い範囲に供給することができる。具体的には、従来のレーザーフィラー溶接においては、レーザー光の直下にフィラーを供給しなければフィラーが溶融しなかったが、本発明の溶接方法では溶融池が高温となっているため、フィラー先端部がレーザー光の直下からはずれていてもフィラーが溶融する。
【0018】
シールドガスに含まれる酸素ガスが30vol%未満となると、溶融液の酸化反応が十分に進行せず、大きな溶融池が形成されなくなる。そして、結果として、溶接不良が生じるようになる。
【0019】
シールドガスを構成するガスとは、従来のレーザー溶接においてシールドガスとして用いられているガスを用いることができる。たとえば、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスあるいはCO2ガスをあげることができる。
【0020】
シールドガスは、レーザー光と同軸で溶接材に吹き付けられることが好ましい。すなわち、本発明の溶接方法において、レーザー光と同軸でシールドガスを吹き付けることで、キーホールの近傍へのシールドガスの供給が容易となる。
【0021】
本発明の溶接方法において、レーザーフィラー溶接される溶接材は特に限定されるものではなく、従来のレーザーフィラー溶接により溶接される溶接材を用いることができる。この溶接材としては、金属材であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の溶接方法において、溶接材の厚さはレーザー光を照射されたときに溶融できる厚さであれば特に限定されるものではない。また、溶接材は、板状を有することが好ましい。
【0023】
本発明の溶接方法においては、溶接材の数は特に限定されない。すなわち、溶接材が二層だけでなく、三層以上であってもよい。
【0024】
本発明の溶接方法において、溶融池に供給されるフィラーは特に限定されるものではなく、従来公知のフィラーを用いることができる。フィラーは、ワイヤ状を有することが好ましい。フィラーがワイヤ状を有することで、フィラーワイヤの先端を溶融池に浸漬することで、フィラーの供給ができる。
【0025】
レーザー光が溶接材の表面を走査することが好ましい。すなわち、レーザー光を走査することで、線状に溶接を行うことができ、溶接部の長さを長くすることができる。このことは、溶接強度を増加させる。なお、レーザー光が走査されるときには、シールドガスが吹き付けられる位置がレーザー光の走査と同様に移動する。
【0026】
本発明の溶接方法において、溶接に用いられるレーザー光は、溶接される溶接材にエネルギーを付与できるレーザー光であれば特に限定されない。たとえば、ガラス:ネオジム3+レーザー、YAG:ネオジム3+レーザー、CO2レーザー、半導体レーザー等のレーザー光をあげることができる。より好ましいレーザーとしては、YAG:ネオジム3+レーザーやCO2レーザーをあげることができる。
【0027】
また、シールドガスの供給は、従来公知のレーザー溶接装置のシールドガスの供給方法であり、本発明の溶接方法を従来公知の溶接装置を用いて行うことができる。すなわち、本発明の溶接方法の実施には、特別な装置の追加を必要としないため、低コストで溶接不良の生じない溶接を行うことができる。
【0028】
本発明のレーザーフィラー溶接方法は、酸化性を有するガスをシールドガスとして用いていることで、高温かつ大きな溶融池を形成できる。この結果、溶接部に形成されるビードの高さを低くすることができる。
【0029】
(第二発明)
本発明の溶接方法は、溶接材にレーザー光を照射して溶融池を形成し、溶融池にフィラーを供給するレーザーフィラー溶接であって、フィラーが線状であり、かつフィラーと同軸的に溶融池にシールドガスが供給される。
【0030】
本発明の溶接方法は、溶接材にレーザー光を照射して溶融池を形成し、溶融池にフィラーを供給する溶接方法である。
【0031】
本発明の溶接方法は、線状のフィラーが用いられる。線状のフィラーは、その先端を溶融池に浸漬させることで、溶融池への供給を行うことができる。また、フィラーが線状を有することで、フィラーの先端位置の調節(溶融池への浸漬位置の制御)が可能となる。
【0032】
フィラーの線状とは、先端位置を溶融池に連続的に供給できる形態であれば、その断面形状等は限定されない。すなわち、フィラーは、略円柱状や略帯状を有していてもよい。
【0033】
本発明の溶接方法は、フィラーと同軸的に溶融池にシールドガスが供給される。フィラーと同軸的にシールドガスが溶融池に供給されることで、フィラーの先端位置にシールドガスを供給することができる。フィラーの先端位置にシールドガスが供給されることで、フィラーの先端部が溶融池に溶融するようになる。すなわち、フィラーが残留して溶接部のビードの不良の発生が抑えられる。
【0034】
本発明の溶接方法において、シールドガスは特に限定されるものではない。
【0035】
シールドガスは、全体を100vol%としたときに、30vol%以上の酸素ガスを含有することが好ましい。シールドガスが酸素ガスを含有することで、溶融池の大きさが大きくなるとともに、溶融池の温度が高くなる。溶融池の温度が高温となることで、溶接不良の発生が抑えられる。
【0036】
シールドガスに含まれる酸素ガスが30vol%未満となると、溶融液の酸化反応が十分に進行せず、大きな溶融池が形成されなくなる。そして、結果として、溶接不良が生じるようになる。
【0037】
シールドガスを構成するガスとは、従来のレーザー溶接においてシールドガスとして用いられているガスを用いることができる。たとえば、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスあるいはCO2ガスをあげることができる。
【0038】
本発明の溶接方法において、レーザーフィラー溶接される溶接材は特に限定されるものではなく、従来のレーザーフィラー溶接により溶接される溶接材を用いることができる。この溶接材としては、金属材であることが好ましい。
【0039】
また、本発明の溶接方法において、溶接材の厚さはレーザー光を照射されたときに溶融できる厚さであれば特に限定されるものではない。また、溶接材は、板状を有することが好ましい。
【0040】
本発明の溶接方法においては、溶接材の数は特に限定されない。すなわち、溶接材が二層だけでなく、三層以上であってもよい。
【0041】
本発明の溶接方法において、フィラーの材質は特に限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。
【0042】
レーザー光が溶接材の表面を走査することが好ましい。すなわち、レーザー光を走査することで、線状に溶接を行うことができ、溶接部の長さを長くすることができる。このことは、溶接強度を増加させる。なお、レーザー光が走査されるときには、シールドガスが吹き付けられる位置がレーザー光の走査と同様に移動する。
【0043】
本発明の溶接方法において、溶接に用いられるレーザー光は、溶接される溶接材にエネルギーを付与できるレーザー光であれば特に限定されない。
【0044】
本発明のレーザーフィラー溶接方法は、大きな溶融池を形成できる。この結果、溶接部に形成されるビードの高さを低くすることができる。さらに、フィラーの溶融不良による溶接不良の発生を抑えることができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0046】
本発明の実施例として、鋼板のレーザーフィラー溶接を行った。
【0047】
(実施例1)
溶接される鋼板は厚さが0.8mmの鋼板であり、レーザー光は最大出力6kWのYAGレーザー溶接機から照射された。
【0048】
レーザーフィラー溶接は、二枚の鋼板を密着状態で積層させ、シールドガスとともにレーザー光を照射して行われた。また、レーザーフィラー溶接は、レーザーの出力が2.5kW、レーザー光の走査速度が2m/minで行われた。
【0049】
レーザーフィラー溶接において、シールドガスは、レーザー光が発せられるレーザートーチから、レーザー光と同軸的に吹き出された。また、シールドガスは、100%酸素ガスが、10l/minの流速でレーザー光と同軸に吹き出された。
【0050】
実施例のレーザーフィラー溶接においては、溶融池にフィラーワイヤが供給された。フィラーは、φ1.2mmの鋼線が用いられた。
【0051】
実施例のレーザーフィラー溶接は、以下のように進行した。
【0052】
まず、積層した鋼板にシールドガスと同軸に進行するレーザー光を照射して鋼板に溶融池を形成した。このとき、溶融池は積層した鋼板を貫通した状態で形成される。そして、この溶融池にフィラーワイヤの先端部を供給し、フィラーワイヤを溶融池に溶融させた。その後、この溶融池が凝固して積層した鋼板を貫通した溶接部が形成された。
【0053】
(比較例)
シールドガスとして100%アルゴンガスを用いた以外は、実施例と同様に重ね溶接を行った。
【0054】
(評価)
実施例および比較例において溶接された鋼板の溶接部の断面写真を撮影し、図1および2に示した。
【0055】
図1および2より、実施例の溶接部のビードの高さが比較例よりかなり低くなっていることがわかる。すなわち、実施例の溶接部のビードは、比較例のビードと比較して、溶接後の溶接部の外観が向上しているだけでなく、溶接された部材のビードが他の部材に干渉することが抑えられている。
【0056】
また、図1および2より、レーザー溶接時に形成される溶融池の大きさが、比較例に比べて実施例のほうが大きいことが確認できる。すなわち、大きな溶融池が形成されることで、溶接材の表面からの突出高さが低くなる。
【0057】
さらに、キーホールからのフィラーワイヤの先端部の位置を様々に変化させてレーザーフィラー溶接を行った。
【0058】
具体的には、図3に示したように、レーザー光の進行方向をX方向、X方向に垂直な方向をY方向として、XおよびYを変化させてレーザーフィラー溶接を行った。具体的な溶接条件は実施例および比較例と同様にして行われた。溶接結果を図4および5に示した。なお、図4および5において溶け残り発生とは、フィラーワイヤが溶融池に溶融しきらずに残留する状態であり、図6にその様子を示した。
【0059】
図4より、実施例のレーザーフィラー溶接においては、キーホールから離れた位置にフィラーワイヤの先端部が位置するようになっても、良好な溶接結果が得られた。これに対して、図5に示された従来例では、レーザー光の直下においてのみ良好な溶接結果が得られている。すなわち、実施例のレーザーフィラー溶接においては、大きな溶融池が形成されるだけでなく、形成された大きな溶融池がフィラーワイヤの溶融に十分な熱量を有していることがわかる。
【0060】
すなわち、実施例のレーザーフィラー溶接においては、フィラーワイヤの先端部の位置(フィラーワイヤの溶融池への供給位置)の自由度が高くなっている。このことは、フィラーワイヤ自身にそりや曲がりがあっても、フィラーワイヤの溶け残りが生じにくくなることを示す。すなわち、レーザーフィラー溶接を簡単に行うことができる。
【0061】
(実施例2)
実施例2として、シールドガスの供給をフィラーワイヤと同軸にした以外は実施例1と同様にしてレーザーフィラー溶接を行った。実施例2のレーザーフィラー溶接を図6に示した。
【0062】
なお、実施例2のレーザーフィラー溶接において、シールドガスは、100%酸素ガスが用いられた。
【0063】
実施例2のレーザーフィラー溶接においても、実施例1と同様に低いビードの溶接部が得られた。
【0064】
実施例2のレーザーフィラー溶接はフィラーワイヤの供給装置とシールドガスの供給装置とが一体に形成されている。すなわち、レーザートーチ近傍の装置の構成が複雑となっていないため、メンテナンス等に要するコストを低減できる効果を有する。
【0065】
【発明の効果】
本発明のレーザーフィラー溶接は、溶接不良を生じさせることなく溶接部に形成されるビードの突出高さを低くできる。また、本発明のレーザーフィラー溶接は、フィラーの供給位置の自由度が高くなっているため、フィラーの供給に高い制御が必要とされなくなっている。すなわち、本発明のレーザーフィラー溶接は、簡便かつ安価にレーザーフィラー溶接を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の鋼板の溶接部の断面写真である。
【図2】比較例の鋼板の溶接部の断面写真である。
【図3】実施例1のレーザーフィラー溶接を示した図である。
【図4】実施例1のレーザーフィラー溶接におけるフィラーワイヤの先端部の位置による溶接性を示した図である。
【図5】比較例のレーザーフィラー溶接におけるフィラーワイヤの先端部の位置による溶接性を示した図である。
【図6】フィラーワイヤの溶け残りの状態を示した図である。
【図7】実施例2のレーザーフィラー溶接を示した図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a laser welding method for performing laser welding by supplying a filler to a molten pool formed by a laser beam irradiated as a heating source. Specifically, the height of the swell of a bead after welding is suppressed to a low level. The present invention relates to a laser filler welding method.
[0002]
[Prior art]
In recent years, laser welding has been used for joining metal materials. Since laser welding can apply very high heat energy to the processed part, it has the effect of minimizing energy loss and distortion caused by heat and enabling deep welding.
[0003]
One form of laser welding is laser filler welding. Laser filler welding is a welding method that suppresses the occurrence of poor welding by supplying filler. That is, when the molten metal flows out of the molten pool formed by laser light irradiation and the molten pool solidifies in this state, there is a problem that sufficient weld strength cannot be obtained due to a lack of metal in the weld. It was. Laser filler welding is a welding method that suppresses the occurrence of poor welding by compensating for the shortage of this metal amount by supplying filler. (For example, see Patent Document 1.)
Laser filler welding is particularly effective for welding in the presence of a gap between two welded materials to be welded.
[0004]
Further, since laser filler welding is a welding method that concentrates high energy, it is necessary to supply the filler directly under the laser beam. However, it has been difficult to supply the tip of the filler directly under the laser beam. Specifically, the filler usually has a wire shape wound around a reel or the like. The filler wire has a wire shape wound around the filler wire or a gap between the filler and the filler guide of the filler supply device. This is because the position is not constant.
[0005]
Furthermore, in laser filler welding, if the gap between the two metal materials to be welded is small, the height of the bead formed in the welded portion increases, causing problems such as poor appearance and interference with other parts. It was. Here, the interference with other parts indicates a case where the height of the bead becomes an obstacle in the subsequent processing. Specifically, when other members are attached to the surface of the welded metal material, the metal material And other problems such as lowering the adhesion between other members.
[0006]
When the gap of the welding material is reduced, the flow of the molten liquid from the molten pool is reduced. When laser filler welding is performed in a state where the gap of the welding material is small, the amount of the molten liquid in the molten pool becomes excessive by supplying the filler to the molten pool. And since the molten pool formed in laser filler welding is small, a bead with high protrusion height from the surface is formed when this molten pool solidifies.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2711655 gazette
[Problems to be solved by the invention]
This invention is made | formed in view of the said actual condition, and makes it a subject to provide the laser filler welding in which the height of the bead formed in the weld part after welding is low while it can weld without producing a welding defect.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present inventor has found that the above problems can be solved by controlling the shielding gas during laser filler welding.
[0010]
That is, the laser filler welding method of the present invention is laser filler welding in which a welding material is irradiated with a laser beam to form a molten pool and a filler is supplied to the molten pool, and the irradiation of the laser beam is 100 vol% in total. It is characterized by being performed in the state where the shielding gas containing oxygen gas of 30 vol% or more was supplied.
[0011]
The laser filler welding method of the present invention can form a high-temperature and large molten pool by using an oxidizing gas as a shielding gas. As a result, the height of the bead formed in the welded portion can be reduced.
[0012]
The laser filler welding method of the present invention is laser filler welding in which a welding material is irradiated with laser light to form a molten pool, and the filler is supplied to the molten pool, the filler is linear, and the filler The shield gas is coaxially supplied to the molten pool.
[0013]
The laser filler welding method of the present invention can form a large molten pool. As a result, the height of the bead formed in the welded portion can be reduced. Furthermore, it is possible to suppress the occurrence of poor welding due to poor melting of the filler.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(First invention)
In the welding method of the present invention, in laser filler welding in which a welding material is irradiated with a laser beam to form a molten pool and a filler is supplied to the molten pool, the laser beam irradiation is 30 vol. It is performed in a state in which a shield gas containing oxygen gas of at least% is supplied.
[0015]
In the welding method of the present invention, the shield gas has oxidizing properties by containing oxygen gas. The shield gas is supplied in the vicinity of the keyhole irradiated with the laser beam. A molten pool is formed in the vicinity of the keyhole. When the shielding gas having oxygen is supplied to the molten pool, the molten liquid of the welding material reacts with oxygen in the shielding gas. This reaction is an oxidation reaction, and the temperature of the molten pool rises due to the reaction heat. As the temperature of the molten pool rises, the size of the molten pool increases. When the molten pool becomes large, the height of the bead generated when solidified becomes low.
[0016]
And when a molten pool becomes high temperature, the viscosity of molten liquid itself will fall, it will become easy to move a molten liquid, and the height of the bead on the surface side will become low.
[0017]
In addition, in the welding method of the present invention, since the molten pool is at a high temperature, the filler can be supplied to a wide range of the molten pool. Specifically, in conventional laser filler welding, the filler would not melt unless the filler was supplied directly under the laser beam, but in the welding method of the present invention, the molten pool was at a high temperature. The filler melts even if the part is not directly under the laser beam.
[0018]
When the oxygen gas contained in the shield gas is less than 30 vol%, the oxidation reaction of the melt does not proceed sufficiently and a large molten pool is not formed. As a result, poor welding occurs.
[0019]
As the gas constituting the shield gas, a gas used as a shield gas in conventional laser welding can be used. For example, an inert gas such as argon gas or nitrogen gas, or CO 2 gas can be used.
[0020]
The shield gas is preferably sprayed on the welding material coaxially with the laser beam. That is, in the welding method of the present invention, the shielding gas is blown coaxially with the laser beam, so that the shielding gas can be easily supplied to the vicinity of the keyhole.
[0021]
In the welding method of the present invention, the welding material to be laser filler welded is not particularly limited, and a welding material to be welded by conventional laser filler welding can be used. The welding material is preferably a metal material.
[0022]
In the welding method of the present invention, the thickness of the welding material is not particularly limited as long as it can be melted when irradiated with laser light. Moreover, it is preferable that a welding material has plate shape.
[0023]
In the welding method of the present invention, the number of welding materials is not particularly limited. That is, the welding material may be not only two layers but also three or more layers.
[0024]
In the welding method of the present invention, the filler supplied to the molten pool is not particularly limited, and a conventionally known filler can be used. The filler preferably has a wire shape. Since the filler has a wire shape, the filler can be supplied by immersing the tip of the filler wire in the molten pool.
[0025]
It is preferable that the laser beam scans the surface of the welding material. That is, by scanning with laser light, welding can be performed linearly, and the length of the welded portion can be increased. This increases the weld strength. When the laser beam is scanned, the position where the shield gas is sprayed moves in the same manner as the laser beam scan.
[0026]
In the welding method of the present invention, the laser beam used for welding is not particularly limited as long as the laser beam can impart energy to the welded material to be welded. For example, laser light such as glass: neodymium 3+ laser, YAG: neodymium 3+ laser, CO 2 laser, semiconductor laser, and the like can be given. More preferable lasers include YAG: neodymium 3+ laser and CO 2 laser.
[0027]
The supply of shield gas is a conventionally known method for supplying shield gas of a laser welding apparatus, and the welding method of the present invention can be performed using a conventionally known welding apparatus. That is, since the implementation of the welding method of the present invention does not require the addition of a special device, it is possible to perform welding that does not cause poor welding at low cost.
[0028]
The laser filler welding method of the present invention can form a high-temperature and large molten pool by using an oxidizing gas as a shielding gas. As a result, the height of the bead formed in the welded portion can be reduced.
[0029]
(Second invention)
The welding method of the present invention is laser filler welding in which a welding material is irradiated with laser light to form a molten pool, and a filler is supplied to the molten pool, and the filler is linear and melts coaxially with the filler. Shield gas is supplied to the pond.
[0030]
The welding method of the present invention is a welding method in which a weld pool is irradiated with laser light to form a molten pool and a filler is supplied to the molten pool.
[0031]
In the welding method of the present invention, a linear filler is used. The linear filler can be supplied to the molten pool by immersing its tip in the molten pool. Moreover, adjustment of the front-end | tip position of a filler (control of the immersion position to a molten pool) is attained because a filler has linear shape.
[0032]
The shape of the filler is not limited as long as the shape of the filler can be continuously supplied to the molten pool. That is, the filler may have a substantially cylindrical shape or a substantially band shape.
[0033]
In the welding method of the present invention, the shielding gas is supplied to the molten pool coaxially with the filler. The shield gas can be supplied to the tip position of the filler by supplying the shield gas coaxially with the filler to the molten pool. By supplying the shielding gas to the tip position of the filler, the tip part of the filler is melted in the molten pool. That is, the filler remains and the occurrence of defective weld beads is suppressed.
[0034]
In the welding method of the present invention, the shielding gas is not particularly limited.
[0035]
The shielding gas preferably contains 30 vol% or more oxygen gas when the whole is 100 vol%. When the shield gas contains oxygen gas, the size of the molten pool increases and the temperature of the molten pool increases. Generation | occurrence | production of a welding defect is suppressed because the temperature of a molten pool becomes high temperature.
[0036]
When the oxygen gas contained in the shield gas is less than 30 vol%, the oxidation reaction of the melt does not proceed sufficiently and a large molten pool is not formed. As a result, poor welding occurs.
[0037]
As the gas constituting the shield gas, a gas used as a shield gas in conventional laser welding can be used. For example, an inert gas such as argon gas or nitrogen gas, or CO 2 gas can be used.
[0038]
In the welding method of the present invention, the welding material to be laser filler welded is not particularly limited, and a welding material to be welded by conventional laser filler welding can be used. The welding material is preferably a metal material.
[0039]
In the welding method of the present invention, the thickness of the welding material is not particularly limited as long as it can be melted when irradiated with laser light. Moreover, it is preferable that a welding material has plate shape.
[0040]
In the welding method of the present invention, the number of welding materials is not particularly limited. That is, the welding material may be not only two layers but also three or more layers.
[0041]
In the welding method of the present invention, the material of the filler is not particularly limited, and a conventionally known material can be used.
[0042]
It is preferable that the laser beam scans the surface of the welding material. That is, by scanning with laser light, welding can be performed linearly, and the length of the welded portion can be increased. This increases the weld strength. When the laser beam is scanned, the position where the shield gas is sprayed moves in the same manner as the laser beam scan.
[0043]
In the welding method of the present invention, the laser beam used for welding is not particularly limited as long as the laser beam can impart energy to the welded material to be welded.
[0044]
The laser filler welding method of the present invention can form a large molten pool. As a result, the height of the bead formed in the welded portion can be reduced. Furthermore, it is possible to suppress the occurrence of poor welding due to poor melting of the filler.
[0045]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described using examples.
[0046]
As an example of the present invention, laser filler welding of a steel plate was performed.
[0047]
(Example 1)
The steel plate to be welded was a steel plate having a thickness of 0.8 mm, and laser light was applied from a YAG laser welder with a maximum output of 6 kW.
[0048]
Laser filler welding was performed by laminating two steel plates in close contact and irradiating a laser beam with a shielding gas. Laser filler welding was performed at a laser output of 2.5 kW and a laser beam scanning speed of 2 m / min.
[0049]
In laser filler welding, the shielding gas was blown out coaxially with the laser light from a laser torch that emitted laser light. Further, as the shielding gas, 100% oxygen gas was blown out coaxially with the laser beam at a flow rate of 10 l / min.
[0050]
In the laser filler welding of the example, a filler wire was supplied to the molten pool. As the filler, a steel wire of φ1.2 mm was used.
[0051]
The laser filler welding of the example proceeded as follows.
[0052]
First, a molten pool was formed in the steel sheet by irradiating the laminated steel sheet with laser light that traveled coaxially with the shielding gas. At this time, a molten pool is formed in the state which penetrated the laminated steel plate. And the front-end | tip part of the filler wire was supplied to this molten pool, and the filler wire was fuse | melted in the molten pool. Thereafter, the weld pool was formed by solidifying and laminating the molten pool.
[0053]
(Comparative example)
Lap welding was performed in the same manner as in the example except that 100% argon gas was used as the shielding gas.
[0054]
(Evaluation)
Cross-sectional photographs of the welded portions of the steel plates welded in the examples and comparative examples were taken and shown in FIGS.
[0055]
1 and 2, it can be seen that the bead height of the welded part of the example is considerably lower than that of the comparative example. That is, the bead of the welded part of the example not only improves the appearance of the welded part after welding compared to the bead of the comparative example, but also the bead of the welded member interferes with other members. Is suppressed.
[0056]
Moreover, from FIG. 1 and 2, it can confirm that the magnitude | size of the molten pool formed at the time of laser welding is larger in an Example than a comparative example. That is, by forming a large molten pool, the protruding height from the surface of the welding material is lowered.
[0057]
Furthermore, laser filler welding was performed by changing the position of the tip of the filler wire from the keyhole in various ways.
[0058]
Specifically, as shown in FIG. 3, laser filler welding was performed by changing the X and Y directions with the traveling direction of the laser light as the X direction and the direction perpendicular to the X direction as the Y direction. The specific welding conditions were the same as in the examples and comparative examples. The welding results are shown in FIGS. In FIGS. 4 and 5, the occurrence of unmelted residue is a state in which the filler wire remains in the molten pool without being completely melted, and this is shown in FIG.
[0059]
As can be seen from FIG. 4, in the laser filler welding of the example, good welding results were obtained even when the tip of the filler wire was positioned away from the keyhole. On the other hand, in the conventional example shown in FIG. 5, a good welding result is obtained only under the laser beam. That is, it can be seen that in the laser filler welding of the example, not only a large molten pool is formed, but also the formed large molten pool has a sufficient amount of heat for melting the filler wire.
[0060]
That is, in the laser filler welding of the embodiment, the degree of freedom of the position of the tip end portion of the filler wire (the supply position of the filler wire to the molten pool) is high. This indicates that the filler wire is less likely to remain undissolved even if the filler wire itself is warped or bent. That is, laser filler welding can be easily performed.
[0061]
(Example 2)
As Example 2, laser filler welding was performed in the same manner as in Example 1 except that the shield gas was supplied coaxially with the filler wire. The laser filler welding of Example 2 is shown in FIG.
[0062]
In the laser filler welding of Example 2, 100% oxygen gas was used as the shielding gas.
[0063]
Also in the laser filler welding of Example 2, a low bead weld was obtained as in Example 1.
[0064]
In the laser filler welding of the second embodiment, a filler wire supply device and a shield gas supply device are integrally formed. That is, since the configuration of the apparatus in the vicinity of the laser torch is not complicated, the cost required for maintenance and the like can be reduced.
[0065]
【The invention's effect】
The laser filler welding of the present invention can reduce the protruding height of the beads formed in the welded portion without causing poor welding. Moreover, since the laser filler welding of the present invention has a high degree of freedom in the filler supply position, high control is not required for filler supply. That is, the laser filler welding of the present invention can be performed easily and inexpensively.
[Brief description of the drawings]
1 is a cross-sectional photograph of a welded portion of a steel plate of Example 1. FIG.
FIG. 2 is a cross-sectional photograph of a welded portion of a steel plate of a comparative example.
3 is a view showing laser filler welding in Example 1. FIG.
4 is a view showing weldability according to the position of the tip end portion of the filler wire in laser filler welding of Example 1. FIG.
FIG. 5 is a diagram showing the weldability according to the position of the tip of a filler wire in laser filler welding of a comparative example.
FIG. 6 is a view showing a state in which a filler wire remains undissolved.
7 is a view showing laser filler welding in Example 2. FIG.