JP2004149447A - ニコチン含有軟膏剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ安全な方法により、優れた禁煙効果を得ることができるニコチン含有軟膏剤を提供する。
【解決手段】ニコチン又はニコチンの塩、並びに水、湿潤剤及び増粘剤を含有する軟膏基材を含有することを特徴とするニコチン含有軟膏剤。
【選択図】 なし。
【解決手段】ニコチン又はニコチンの塩、並びに水、湿潤剤及び増粘剤を含有する軟膏基材を含有することを特徴とするニコチン含有軟膏剤。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた禁煙効果を有する、ニコチンまたはニコチンの塩を含有してなる軟膏剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、喫煙をやめたいと希望する人に対して、ニコチン渇望を削減するという目的で、ニコチンを含有する組成物を投与する禁煙療法が知られている。かかる組成物としては、例えば、特許文献1,2に記載の咀嚼可能組成物、特許文献3に記載の高粘度ニコチン点鼻組成物、特許文献4に記載のニコチン含有唾液可溶性軟膏、特許文献5に記載の鼻腔スプレイ投与に適した低粘度ニコチン含有組成物、特許文献6,7に記載の吸入エアロゾル、特許文献8,9に記載の液状エアロゾル製剤、特許文献10に記載のニコチン薬用ドロップなどが挙げられる。
しかしながら、これらのニコチン製剤は、実際に喫煙した場合に比して、体内へのニコチンの吸収速度が遅いため、十分な禁煙効果を得ることができない場合があった。
【0003】
この問題を解決すべく、特許文献11には、約25℃ないし約45℃、好ましくは約33℃ないし約45℃の融点範囲を有するニコチンのデリバリー用ニコチン含有医薬用組成物が提案されている。この医薬用組成物は、例えば、ニコチン含有錠剤を頬の粘膜と歯茎の間に押し込んで、頬の内側からニコチンを急速粘膜吸収させることにより、あるいはニコチン含有パッチ(シート状物)として皮膚に貼り付けてニコチンを経皮吸収させて、実際に喫煙した場合と同程度のニコチンの吸収速度を達成することを目的としている。
【0004】
しかしながら、この方法においては、禁煙治療の対象となる人がニコチン含有錠剤を噛みすぎると、ニコチンが溶出して、のどの痛みや胃痛を引き起こす場合があった。また、皮膚にパッチを貼り付ける場合には、皮膚がかぶれる場合があり、問題となっていた。
したがって、より簡便で安全に使用でき、かつ皮膚のかぶれなどを引き起こすことがない、優れた禁煙効果を得ることができるニコチン含有製剤の開発が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
USP.3,845,217号公報
【特許文献2】
WO88/03803号公報
【特許文献3】
USP.4,579,858号公報
【特許文献4】
USP.5,525,351号公報
【特許文献5】
USP.5,656,255号公報
【特許文献6】
USP.4,920,989号公報
【特許文献7】
USP.4,953,572号公報
【特許文献8】
BP.1,528,391号公報
【特許文献9】
BP.2,030,862号公報
【特許文献10】
英国特許出願 GB.2230439A
【特許文献11】
特表2002−530335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、簡便かつ安全な方法により、優れた禁煙効果を得ることができるニコチン含有軟膏剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ニコチンまたはニコチンの塩および軟膏基材を含有してなるニコチン含有軟膏剤を調製した。そして、この軟膏剤を人間の皮膚、特に皮膚の薄い部分に塗布する(塗り込む)と、極めて短時間にニコチンが体内吸収され、優れた禁煙効果を得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
かくして本発明によれば、ニコチンまたはニコチンの塩および軟膏基材を含有することを特徴とするニコチン含有軟膏剤が提供される。
本発明の軟膏剤においては、前記軟膏基材が、少なくとも水、湿潤剤および増粘剤を含有するものであるのが好ましい。
また、本発明の軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩の含有量が、軟膏剤全体に対して、1〜5重量%であるのがより好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のニコチン含有軟膏剤を詳細に説明する。
本発明のニコチン含有軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩、および軟膏基材を含有してなることを特徴とする。
本発明の軟膏剤は、いわゆるニコチン中毒にあり、禁煙を希望する人の体内にニコチンまたはニコチンの塩を速やかに吸収させることにより、喫煙渇望を削減して、優れた禁煙効果を得ることができるものである。
【0010】
(1)ニコチンまたはニコチンの塩
本発明の軟膏剤は、必須成分としてニコチンまたはニコチンの塩を含有する。
ニコチンの塩としては特に制限されず、例えば、無機酸の塩、有機酸の塩、複塩、およびこれらの水和物などが挙げられる。ニコチンの塩の具体例としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などのニコチンの無機酸の塩;酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩などの脂肪族カルボン酸の塩;安息香酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩などの芳香族カルボン酸の塩;塩化亜鉛との複塩(double salt);などが挙げられる。これらの中でも、人間の皮膚に対する刺激が少なく、優れた禁煙効果を得る観点から、有機酸の塩が好ましく、芳香族カルボン酸の塩がより好ましく、サリチル酸塩の使用が特に好ましい。ニコチンまたはニコチンの塩は、市販されているものをそのまま用いることができる。また、ニコチンの塩は、ニコチンと対応する酸とを反応させて製造したものを用いることもできる。
【0011】
ニコチンまたはニコチンの塩の軟膏剤中の含有量は、特に制限されないが、安定なペーストを形成し、かつ、優れた禁煙効果を得る観点から、軟膏剤全体に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1.5〜3重量%、特に好ましくは2〜3重量%である。
【0012】
(2)軟膏基材
本発明の軟膏剤は必須成分として、軟膏基材を含有する。軟膏基材は、活性成分(ニコチンまたはニコチンの塩)を溶解または練り込ませるための原料となるものである。
軟膏基材の成分は重要であり、皮膚の状態に適応したものを選択する必要がある。軟膏基材は、油脂性基材、乳剤性基材、水溶性基材などに分類できるが、軟膏剤を皮膚に塗布することにより、ニコチンまたはニコチンの塩を速やかに経皮吸収させる上では、皮膚浸透作用が優れる乳剤性基材または水溶性基材が好ましく、乳剤性基材がより好ましい。
【0013】
なかでも、本発明に用いる軟膏基材としては、少なくとも水、湿潤剤および増粘剤を含有するものであるのが特に好ましい。このような軟膏基材を用いることにより、皮膚に刺激がなく、伸びがよく、かつ、ニコチンまたはニコチンの塩が速やかに経皮吸収され、優れた禁煙効果を発揮する軟膏剤を得ることができる。
【0014】
湿潤剤は、水分の保持を促進する化合物であり、加湿剤とも呼ばれる。湿潤剤としては、例えば、エトキシジグリコール、ソルビトール、グリセリン、グリセレス(glycereth)5乳酸塩、グリセレス7三酢酸塩、グリセレス7ジイソナノエート、ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、アルコキシル化グルコース、D−パンテノールおよびそれらの誘導体、ヒアルロン酸、グリセリンのプロピレンオキシド、加水分解コーンスターチ、加水分解コムギタンパク質/コムギオリゴ糖、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解コムギグルテン、加水分解酵母タンパク質、加水分解植物タンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解米タンパク質、加水分解ジャガイモタンパク質などが挙げられる。これらの湿潤剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
増粘剤は、水に溶解または分散して粘稠性を生じる高分子物質である。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;いなごまめガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、ポリアクリル酸またはその塩、ラノリン、ギルセロールポリ(メタ)アクリレートポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルアミドとアンモニウムアクリレートとの架橋ポリマー、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホニックアシッドの架橋ポリマーおよびその一部または完全中和物、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの架橋ポリマー、アクリル酸より誘導されるホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタンラテックスなどが挙げられる。これらの増粘剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
軟膏基材中の水の含有量は、軟膏剤全体に対し、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。
湿潤剤の含有量は、軟膏剤全体に対し、通常1〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。湿潤剤の含有量がこの範囲にあるときに、皮膚との親和性が高く、伸びの良い軟膏剤を得ることができる。
また、増粘剤の含有量は、軟膏剤全体に対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
水、湿潤剤および増粘剤の含有量がこれらの範囲にあるときに、保湿性に優れ、皮膚との親和性が高く、伸びがよく、かつ、ニコチンまたはニコチンの塩の経皮吸収性に優れた軟膏剤を得ることができる。
【0017】
前記軟膏基材には、水、湿潤剤および増粘剤に加えて、所望により他の成分を含有せしめることができる。他の成分としては、通常の軟膏剤や化粧品に用いられるもの、例えば、安息香酸エステル、高級脂肪酸エステル、ポリシロキサン化合物、アルコール類、合成高分子、無機塩類、ビタミン類、植物由来物、香料類、アミノ酸類、油類、界面活性剤(乳化剤)などを使用できる。
【0018】
安息香酸エステルとしては、例えば、安息香酸の炭素数1〜20のアルキルエステルが挙げられる。なかでも、安息香酸の炭素数12〜15のアルキルエステルが好ましい。安息香酸の炭素数12〜15のアルキルエステルの具体例としては、安息香酸ドデシル、安息香酸トリデシル、安息香酸テトラデシル、安息香酸ペンタデシル、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸のグリセロールやコレステロールのエステルが挙げられる。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸のエステル;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸(α、γ異性体)などの不飽和脂肪酸のエステル;などが挙げられる。
【0020】
ポリシロキサン化合物は、主鎖にシロキサン結合(−Si−O−)を有する重合体である。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0021】
アルコール類としては、例えば、エタノール、フェノキシエタノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール、セテアリルアルコール(Cetearyl Alcohol)などが挙げられる。
【0022】
合成高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアミドなどが挙げられる。
無機塩類としては、例えば、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、ウォスラナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛、マイカなどが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA パルミテート、ビタミンE アセテート(トコフェリルアセテート)、ビタミンC パルミテートなどが挙げられる。
【0023】
植物由来物としては、通常の化粧品に用いることができるものが使用できる。例えば、アロエ・ベラ(または抽出液)、ブドウの実の抽出物(Vitis Vinifera seed extract)、コムギ胚芽油(Triticum Vulgare Germ Oil)、ウィートエキストラクト、アカブドウエキス、アセンヤクエキス、アボガドオイル、アルテアエキス、アルニカエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オリザノール、カミツレエキス、クインスシードエキス、ヤグルマエキス、アシタバエキス、ニンジンエキスなどが挙げられる。
【0024】
香料類は、植物性香料、動物性香料、合成香料の種々のものが使用できる。例えば、ピネン、リネモール、アネトール、シネオール、青葉アルコール、ゲラニオール、シトロネロール、テルピネオール、フェネチルアルコール、メントール、リナロール、オイゲノール、シンナミルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、シンナミルアルデヒド、リラール、イオノン、ジャスモン、クマリンなどが挙げられる。
【0025】
アミノ酸類としては、ヒドロキシメチルグリシン ナトリウム塩、グリシン、メチオニン、イソロイシン、アルギニンなどが挙げられる。
油類としては、カーネル油(Kernel oil)、アーモンドオイル、オリーブオイル、椿油、ヒマシ油、ココナッツ油、マカデミアンナッツ油、ミンク油、ヤシ油、ラノリン、ゴマ油、スクワランオイルなどが挙げられる。
【0026】
界面活性剤(乳化剤)としては、その性質により、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤の種々のものが使用できる。例えば、セテアリルグルコシド(Cetearyl Glucoside)、EDTA四ナトリウム塩、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
これら他の成分は、それぞれ1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
これらの他の成分の合計含有量は、軟膏剤全体に対して、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下である。また、個々の他の成分の含有量は、それぞれ0.1重量%以下であるのが好ましい。
【0028】
(3)軟膏剤の調製方法
本発明の軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩の所定量と、軟膏基材の所定量とを混合して、十分に混練することにより調製することができる。混練方法は特に制約されず、公知の混練機を用いて行うことができる。また、少量の場合には、例えば、ニコチンまたはニコチンの塩の所定量と軟膏基材の所定量を、乳鉢またはミキサー内に入れ、全体が均一になるまで十分に練り合わせればよい。
【0029】
以上のようにして得られる軟膏剤は、適度な稠度(consistency)を有する略均一(homogeneous)な半固形状(semi solid)に製剤化された、皮膚に塗布する外用剤である。
【0030】
本発明の軟膏剤は、禁煙を希望する人間の皮膚、特に上腕部の内側、顎の下、下瞼部分などの皮の薄い部分に所定量を塗布する(塗り込む)ことにより、速やかにニコチンまたはニコチンの塩が体内に吸収される。いわゆるニコチン中毒と呼ばれる症状の人は、血中のニコチン濃度が低下すると、ニコチンを渇望する(すなわち、喫煙を欲求する)。本発明の軟膏剤を皮膚に塗布すると、血中濃度が喫煙したときと同程度にまで高められるために、喫煙渇望を削減できると考えられる。
【0031】
本発明の軟膏剤を使用する時期は特に制約されず、喫煙を欲求するときに所定量を皮膚に塗布すればよい。例えば、就寝前に喫煙する習慣のある人の場合には就寝前、起床直後に喫煙する習慣のある人の場合には起床直後、食後に喫煙する習慣がある人の場合には食後である。本発明の軟膏剤の塗布量は特に制限されず、禁煙を希望する人のニコチン依存度にもよるが、通常0.1g〜2g程度である。
【0032】
本発明の軟膏剤を塗布後、喫煙願望がなくなる状態(禁煙効果)が認められるまでの時間は、通常、塗布後30分以内、好適には塗布後20分以内である。また、効果の持続時間は個人差があるが、通常3時間〜12時間である。
【0033】
本発明の軟膏剤を使用することにより、軟膏剤を使用後、次の喫煙渇望が現れるまでの時間が次第に長くなる傾向が一般的に認められる。その結果、喫煙量(喫煙するタバコの本数)を約半分以下に低減させることができる。
喫煙する習慣を完全に絶ち、禁煙を完全に達成するためには、ニコチン依存症も治癒しなければならない。そのためには、本発明の軟膏剤を使用することによって、先ず、喫煙する習慣をやめさせ、次いで、本発明の軟膏剤の使用量(塗布量、使用回数など)を徐々に減らしていけばよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されず、ニコチンの塩の種類、軟膏基材の組成、組成割合などを、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更することができる。
【0035】
実施例 ニコチン含有軟膏剤の製造
水22重量部、軟膏基材75.6重量部およびニコチンのサリチル酸塩2.4重量部を乳鉢内で混合し、十分に練り合わせて、淡黄色のニコチン含有軟膏剤を得た。
軟膏基材としては、以下の成分からなるものを用いた。
グリセリン18重量%、炭素数12〜15のアルキルベンゾエート15重量%、ステアリン酸グリセリル12重量%,ジメチルポリシロキサン8.75重量%、セテアリルアルコール4.5重量%、セテアリルグルコシド3.5重量%、ポリアクリルアミド、ヘキサデカノール2.5重量%、マグネシウムケイ酸塩1.5重量%、ギンサンガム(高分子多糖)1.5重量%、アロエエキス(アロエ・バルバデンス)1重量%、ビタミンEの酢酸エステル(酢酸トコフェロール)0.5重量%、プラナス・アミガダルス・アマラ(香料ハーブの1種)0.25重量%、カーネル油0.2重量%、エトキシジグリコール1.25重量%、乳化剤(商品名:Krisgel 100、Professional Compounding Centers of America社製)0.3重量%
【0036】
禁煙効果試験
喫煙習慣のある20才から40才までの女性30人、および40才から60才までの男性5人を被試験者とした。実施例で得たニコチン含有軟膏剤の0.5gを、喫煙欲求がある被試験者の皮膚の上腕部内側に塗布した(塗り込んだ)。軟膏剤を塗布後15分〜20分以内に、すべての被試験者には喫煙渇望がなくなった。また、外見上も、喫煙習慣のある人に顕著に認められる、喫煙渇望時のイライラなどがなくなっていた。
【0037】
その後、喫煙欲求がある度に、各被試験者の皮膚にニコチン含有軟膏剤を塗布した。軟膏剤の塗布は、被試験者の上腕部の内側の皮膚部分と顎の下の皮膚部分とに交互に行った。
ニコチン含有軟膏剤を塗布してから、次の喫煙欲求までの間隔は、平均で3〜4時間であった。また、この間隔は実施例の軟膏剤の塗布を繰り返すたびに長くなる傾向にあった。
【0038】
喫煙欲求がある度にニコチン含有軟膏剤を塗布することを1ヶ月間継続した結果、被試験者の全員について、タバコの喫煙本数が半分以下に減少した。また、この効果の男女間差はなく、軟膏剤を塗布することにより、皮膚にかぶれなどの異常が生じた人もいなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の軟膏剤によれば、皮膚に塗布するという極めて簡便、かつ安全な方法により、優れた禁煙効果を得ることができる。
また、本発明の軟膏剤は、皮膚との親和性に優れ、伸びがよく、ニコチンまたはニコチンの塩が速やかに経皮吸収される。従って、本発明の軟膏剤を人間の皮膚、特に皮膚の薄い部分に塗布することにより、極めて短時間にニコチンが体内吸収され、優れた禁煙効果を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた禁煙効果を有する、ニコチンまたはニコチンの塩を含有してなる軟膏剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、喫煙をやめたいと希望する人に対して、ニコチン渇望を削減するという目的で、ニコチンを含有する組成物を投与する禁煙療法が知られている。かかる組成物としては、例えば、特許文献1,2に記載の咀嚼可能組成物、特許文献3に記載の高粘度ニコチン点鼻組成物、特許文献4に記載のニコチン含有唾液可溶性軟膏、特許文献5に記載の鼻腔スプレイ投与に適した低粘度ニコチン含有組成物、特許文献6,7に記載の吸入エアロゾル、特許文献8,9に記載の液状エアロゾル製剤、特許文献10に記載のニコチン薬用ドロップなどが挙げられる。
しかしながら、これらのニコチン製剤は、実際に喫煙した場合に比して、体内へのニコチンの吸収速度が遅いため、十分な禁煙効果を得ることができない場合があった。
【0003】
この問題を解決すべく、特許文献11には、約25℃ないし約45℃、好ましくは約33℃ないし約45℃の融点範囲を有するニコチンのデリバリー用ニコチン含有医薬用組成物が提案されている。この医薬用組成物は、例えば、ニコチン含有錠剤を頬の粘膜と歯茎の間に押し込んで、頬の内側からニコチンを急速粘膜吸収させることにより、あるいはニコチン含有パッチ(シート状物)として皮膚に貼り付けてニコチンを経皮吸収させて、実際に喫煙した場合と同程度のニコチンの吸収速度を達成することを目的としている。
【0004】
しかしながら、この方法においては、禁煙治療の対象となる人がニコチン含有錠剤を噛みすぎると、ニコチンが溶出して、のどの痛みや胃痛を引き起こす場合があった。また、皮膚にパッチを貼り付ける場合には、皮膚がかぶれる場合があり、問題となっていた。
したがって、より簡便で安全に使用でき、かつ皮膚のかぶれなどを引き起こすことがない、優れた禁煙効果を得ることができるニコチン含有製剤の開発が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
USP.3,845,217号公報
【特許文献2】
WO88/03803号公報
【特許文献3】
USP.4,579,858号公報
【特許文献4】
USP.5,525,351号公報
【特許文献5】
USP.5,656,255号公報
【特許文献6】
USP.4,920,989号公報
【特許文献7】
USP.4,953,572号公報
【特許文献8】
BP.1,528,391号公報
【特許文献9】
BP.2,030,862号公報
【特許文献10】
英国特許出願 GB.2230439A
【特許文献11】
特表2002−530335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、簡便かつ安全な方法により、優れた禁煙効果を得ることができるニコチン含有軟膏剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ニコチンまたはニコチンの塩および軟膏基材を含有してなるニコチン含有軟膏剤を調製した。そして、この軟膏剤を人間の皮膚、特に皮膚の薄い部分に塗布する(塗り込む)と、極めて短時間にニコチンが体内吸収され、優れた禁煙効果を得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
かくして本発明によれば、ニコチンまたはニコチンの塩および軟膏基材を含有することを特徴とするニコチン含有軟膏剤が提供される。
本発明の軟膏剤においては、前記軟膏基材が、少なくとも水、湿潤剤および増粘剤を含有するものであるのが好ましい。
また、本発明の軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩の含有量が、軟膏剤全体に対して、1〜5重量%であるのがより好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のニコチン含有軟膏剤を詳細に説明する。
本発明のニコチン含有軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩、および軟膏基材を含有してなることを特徴とする。
本発明の軟膏剤は、いわゆるニコチン中毒にあり、禁煙を希望する人の体内にニコチンまたはニコチンの塩を速やかに吸収させることにより、喫煙渇望を削減して、優れた禁煙効果を得ることができるものである。
【0010】
(1)ニコチンまたはニコチンの塩
本発明の軟膏剤は、必須成分としてニコチンまたはニコチンの塩を含有する。
ニコチンの塩としては特に制限されず、例えば、無機酸の塩、有機酸の塩、複塩、およびこれらの水和物などが挙げられる。ニコチンの塩の具体例としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などのニコチンの無機酸の塩;酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩などの脂肪族カルボン酸の塩;安息香酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩などの芳香族カルボン酸の塩;塩化亜鉛との複塩(double salt);などが挙げられる。これらの中でも、人間の皮膚に対する刺激が少なく、優れた禁煙効果を得る観点から、有機酸の塩が好ましく、芳香族カルボン酸の塩がより好ましく、サリチル酸塩の使用が特に好ましい。ニコチンまたはニコチンの塩は、市販されているものをそのまま用いることができる。また、ニコチンの塩は、ニコチンと対応する酸とを反応させて製造したものを用いることもできる。
【0011】
ニコチンまたはニコチンの塩の軟膏剤中の含有量は、特に制限されないが、安定なペーストを形成し、かつ、優れた禁煙効果を得る観点から、軟膏剤全体に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1.5〜3重量%、特に好ましくは2〜3重量%である。
【0012】
(2)軟膏基材
本発明の軟膏剤は必須成分として、軟膏基材を含有する。軟膏基材は、活性成分(ニコチンまたはニコチンの塩)を溶解または練り込ませるための原料となるものである。
軟膏基材の成分は重要であり、皮膚の状態に適応したものを選択する必要がある。軟膏基材は、油脂性基材、乳剤性基材、水溶性基材などに分類できるが、軟膏剤を皮膚に塗布することにより、ニコチンまたはニコチンの塩を速やかに経皮吸収させる上では、皮膚浸透作用が優れる乳剤性基材または水溶性基材が好ましく、乳剤性基材がより好ましい。
【0013】
なかでも、本発明に用いる軟膏基材としては、少なくとも水、湿潤剤および増粘剤を含有するものであるのが特に好ましい。このような軟膏基材を用いることにより、皮膚に刺激がなく、伸びがよく、かつ、ニコチンまたはニコチンの塩が速やかに経皮吸収され、優れた禁煙効果を発揮する軟膏剤を得ることができる。
【0014】
湿潤剤は、水分の保持を促進する化合物であり、加湿剤とも呼ばれる。湿潤剤としては、例えば、エトキシジグリコール、ソルビトール、グリセリン、グリセレス(glycereth)5乳酸塩、グリセレス7三酢酸塩、グリセレス7ジイソナノエート、ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、アルコキシル化グルコース、D−パンテノールおよびそれらの誘導体、ヒアルロン酸、グリセリンのプロピレンオキシド、加水分解コーンスターチ、加水分解コムギタンパク質/コムギオリゴ糖、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解コムギグルテン、加水分解酵母タンパク質、加水分解植物タンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解米タンパク質、加水分解ジャガイモタンパク質などが挙げられる。これらの湿潤剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
増粘剤は、水に溶解または分散して粘稠性を生じる高分子物質である。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;いなごまめガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、ポリアクリル酸またはその塩、ラノリン、ギルセロールポリ(メタ)アクリレートポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルアミドとアンモニウムアクリレートとの架橋ポリマー、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホニックアシッドの架橋ポリマーおよびその一部または完全中和物、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの架橋ポリマー、アクリル酸より誘導されるホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタンラテックスなどが挙げられる。これらの増粘剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
軟膏基材中の水の含有量は、軟膏剤全体に対し、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。
湿潤剤の含有量は、軟膏剤全体に対し、通常1〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。湿潤剤の含有量がこの範囲にあるときに、皮膚との親和性が高く、伸びの良い軟膏剤を得ることができる。
また、増粘剤の含有量は、軟膏剤全体に対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
水、湿潤剤および増粘剤の含有量がこれらの範囲にあるときに、保湿性に優れ、皮膚との親和性が高く、伸びがよく、かつ、ニコチンまたはニコチンの塩の経皮吸収性に優れた軟膏剤を得ることができる。
【0017】
前記軟膏基材には、水、湿潤剤および増粘剤に加えて、所望により他の成分を含有せしめることができる。他の成分としては、通常の軟膏剤や化粧品に用いられるもの、例えば、安息香酸エステル、高級脂肪酸エステル、ポリシロキサン化合物、アルコール類、合成高分子、無機塩類、ビタミン類、植物由来物、香料類、アミノ酸類、油類、界面活性剤(乳化剤)などを使用できる。
【0018】
安息香酸エステルとしては、例えば、安息香酸の炭素数1〜20のアルキルエステルが挙げられる。なかでも、安息香酸の炭素数12〜15のアルキルエステルが好ましい。安息香酸の炭素数12〜15のアルキルエステルの具体例としては、安息香酸ドデシル、安息香酸トリデシル、安息香酸テトラデシル、安息香酸ペンタデシル、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸のグリセロールやコレステロールのエステルが挙げられる。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸のエステル;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸(α、γ異性体)などの不飽和脂肪酸のエステル;などが挙げられる。
【0020】
ポリシロキサン化合物は、主鎖にシロキサン結合(−Si−O−)を有する重合体である。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0021】
アルコール類としては、例えば、エタノール、フェノキシエタノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール、セテアリルアルコール(Cetearyl Alcohol)などが挙げられる。
【0022】
合成高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアミドなどが挙げられる。
無機塩類としては、例えば、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、ウォスラナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛、マイカなどが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA パルミテート、ビタミンE アセテート(トコフェリルアセテート)、ビタミンC パルミテートなどが挙げられる。
【0023】
植物由来物としては、通常の化粧品に用いることができるものが使用できる。例えば、アロエ・ベラ(または抽出液)、ブドウの実の抽出物(Vitis Vinifera seed extract)、コムギ胚芽油(Triticum Vulgare Germ Oil)、ウィートエキストラクト、アカブドウエキス、アセンヤクエキス、アボガドオイル、アルテアエキス、アルニカエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オリザノール、カミツレエキス、クインスシードエキス、ヤグルマエキス、アシタバエキス、ニンジンエキスなどが挙げられる。
【0024】
香料類は、植物性香料、動物性香料、合成香料の種々のものが使用できる。例えば、ピネン、リネモール、アネトール、シネオール、青葉アルコール、ゲラニオール、シトロネロール、テルピネオール、フェネチルアルコール、メントール、リナロール、オイゲノール、シンナミルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、シンナミルアルデヒド、リラール、イオノン、ジャスモン、クマリンなどが挙げられる。
【0025】
アミノ酸類としては、ヒドロキシメチルグリシン ナトリウム塩、グリシン、メチオニン、イソロイシン、アルギニンなどが挙げられる。
油類としては、カーネル油(Kernel oil)、アーモンドオイル、オリーブオイル、椿油、ヒマシ油、ココナッツ油、マカデミアンナッツ油、ミンク油、ヤシ油、ラノリン、ゴマ油、スクワランオイルなどが挙げられる。
【0026】
界面活性剤(乳化剤)としては、その性質により、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤の種々のものが使用できる。例えば、セテアリルグルコシド(Cetearyl Glucoside)、EDTA四ナトリウム塩、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
これら他の成分は、それぞれ1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
これらの他の成分の合計含有量は、軟膏剤全体に対して、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下である。また、個々の他の成分の含有量は、それぞれ0.1重量%以下であるのが好ましい。
【0028】
(3)軟膏剤の調製方法
本発明の軟膏剤は、ニコチンまたはニコチンの塩の所定量と、軟膏基材の所定量とを混合して、十分に混練することにより調製することができる。混練方法は特に制約されず、公知の混練機を用いて行うことができる。また、少量の場合には、例えば、ニコチンまたはニコチンの塩の所定量と軟膏基材の所定量を、乳鉢またはミキサー内に入れ、全体が均一になるまで十分に練り合わせればよい。
【0029】
以上のようにして得られる軟膏剤は、適度な稠度(consistency)を有する略均一(homogeneous)な半固形状(semi solid)に製剤化された、皮膚に塗布する外用剤である。
【0030】
本発明の軟膏剤は、禁煙を希望する人間の皮膚、特に上腕部の内側、顎の下、下瞼部分などの皮の薄い部分に所定量を塗布する(塗り込む)ことにより、速やかにニコチンまたはニコチンの塩が体内に吸収される。いわゆるニコチン中毒と呼ばれる症状の人は、血中のニコチン濃度が低下すると、ニコチンを渇望する(すなわち、喫煙を欲求する)。本発明の軟膏剤を皮膚に塗布すると、血中濃度が喫煙したときと同程度にまで高められるために、喫煙渇望を削減できると考えられる。
【0031】
本発明の軟膏剤を使用する時期は特に制約されず、喫煙を欲求するときに所定量を皮膚に塗布すればよい。例えば、就寝前に喫煙する習慣のある人の場合には就寝前、起床直後に喫煙する習慣のある人の場合には起床直後、食後に喫煙する習慣がある人の場合には食後である。本発明の軟膏剤の塗布量は特に制限されず、禁煙を希望する人のニコチン依存度にもよるが、通常0.1g〜2g程度である。
【0032】
本発明の軟膏剤を塗布後、喫煙願望がなくなる状態(禁煙効果)が認められるまでの時間は、通常、塗布後30分以内、好適には塗布後20分以内である。また、効果の持続時間は個人差があるが、通常3時間〜12時間である。
【0033】
本発明の軟膏剤を使用することにより、軟膏剤を使用後、次の喫煙渇望が現れるまでの時間が次第に長くなる傾向が一般的に認められる。その結果、喫煙量(喫煙するタバコの本数)を約半分以下に低減させることができる。
喫煙する習慣を完全に絶ち、禁煙を完全に達成するためには、ニコチン依存症も治癒しなければならない。そのためには、本発明の軟膏剤を使用することによって、先ず、喫煙する習慣をやめさせ、次いで、本発明の軟膏剤の使用量(塗布量、使用回数など)を徐々に減らしていけばよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されず、ニコチンの塩の種類、軟膏基材の組成、組成割合などを、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更することができる。
【0035】
実施例 ニコチン含有軟膏剤の製造
水22重量部、軟膏基材75.6重量部およびニコチンのサリチル酸塩2.4重量部を乳鉢内で混合し、十分に練り合わせて、淡黄色のニコチン含有軟膏剤を得た。
軟膏基材としては、以下の成分からなるものを用いた。
グリセリン18重量%、炭素数12〜15のアルキルベンゾエート15重量%、ステアリン酸グリセリル12重量%,ジメチルポリシロキサン8.75重量%、セテアリルアルコール4.5重量%、セテアリルグルコシド3.5重量%、ポリアクリルアミド、ヘキサデカノール2.5重量%、マグネシウムケイ酸塩1.5重量%、ギンサンガム(高分子多糖)1.5重量%、アロエエキス(アロエ・バルバデンス)1重量%、ビタミンEの酢酸エステル(酢酸トコフェロール)0.5重量%、プラナス・アミガダルス・アマラ(香料ハーブの1種)0.25重量%、カーネル油0.2重量%、エトキシジグリコール1.25重量%、乳化剤(商品名:Krisgel 100、Professional Compounding Centers of America社製)0.3重量%
【0036】
禁煙効果試験
喫煙習慣のある20才から40才までの女性30人、および40才から60才までの男性5人を被試験者とした。実施例で得たニコチン含有軟膏剤の0.5gを、喫煙欲求がある被試験者の皮膚の上腕部内側に塗布した(塗り込んだ)。軟膏剤を塗布後15分〜20分以内に、すべての被試験者には喫煙渇望がなくなった。また、外見上も、喫煙習慣のある人に顕著に認められる、喫煙渇望時のイライラなどがなくなっていた。
【0037】
その後、喫煙欲求がある度に、各被試験者の皮膚にニコチン含有軟膏剤を塗布した。軟膏剤の塗布は、被試験者の上腕部の内側の皮膚部分と顎の下の皮膚部分とに交互に行った。
ニコチン含有軟膏剤を塗布してから、次の喫煙欲求までの間隔は、平均で3〜4時間であった。また、この間隔は実施例の軟膏剤の塗布を繰り返すたびに長くなる傾向にあった。
【0038】
喫煙欲求がある度にニコチン含有軟膏剤を塗布することを1ヶ月間継続した結果、被試験者の全員について、タバコの喫煙本数が半分以下に減少した。また、この効果の男女間差はなく、軟膏剤を塗布することにより、皮膚にかぶれなどの異常が生じた人もいなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の軟膏剤によれば、皮膚に塗布するという極めて簡便、かつ安全な方法により、優れた禁煙効果を得ることができる。
また、本発明の軟膏剤は、皮膚との親和性に優れ、伸びがよく、ニコチンまたはニコチンの塩が速やかに経皮吸収される。従って、本発明の軟膏剤を人間の皮膚、特に皮膚の薄い部分に塗布することにより、極めて短時間にニコチンが体内吸収され、優れた禁煙効果を得ることができる。
Claims (3)
- ニコチンまたはニコチンの塩、および軟膏基材を含有することを特徴とするニコチン含有軟膏剤。
- 軟膏基材が、水、湿潤剤および増粘剤を含有するものである請求項1に記載のニコチン含有軟膏剤。
- ニコチンまたはニコチンの塩の含有量が、軟膏剤全体に対して、1〜5重量%である請求項1または2に記載のニコチン含有軟膏剤。
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