JP2004147390A - 電力変換システム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の電力変換装置がインバータに並列接続されている電力変換システムにおいて、起動停止時などにインバータの運転開始と停止とを繰り返す現象を解消する。
【解決手段】複数のコンバータ7は時刻t0で運転待機状態になり、時刻t1でインバータ2を起動させると、複数のコンバータ7に起動と同時に運転開始(電力変換開始)の指示が送られ、その後、所定電圧以上となる時刻t2において、複数のコンバータ7が運転(電力変換)を開始する。そして、インバータ2の運転開始電圧となる時刻t3において、インバータ2が運転を開始する。その後、インバータ2の出力制御により、電圧Vdcはインバータ2の通常運転電圧範囲に収まるため本システムは定常運転状態を維持できる。
【選択図】 図10
【解決手段】複数のコンバータ7は時刻t0で運転待機状態になり、時刻t1でインバータ2を起動させると、複数のコンバータ7に起動と同時に運転開始(電力変換開始)の指示が送られ、その後、所定電圧以上となる時刻t2において、複数のコンバータ7が運転(電力変換)を開始する。そして、インバータ2の運転開始電圧となる時刻t3において、インバータ2が運転を開始する。その後、インバータ2の出力制御により、電圧Vdcはインバータ2の通常運転電圧範囲に収まるため本システムは定常運転状態を維持できる。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力変換に関し、より詳細には、電力変換を開始する際などに発生する運転開始と停止を繰り返す現象の抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力される直流電力を変換するコンバータ装置(以下コンバータ)と、複数のコンバータから出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置(以下インバータ)とを含む系統連系の電力変換システムでは、インバータの起動の前に複数のコンバータがまず起動して運転を開始し、次にコンバータの運転開始を確認したあとでインバータは起動して運転を開始するように制御されていた。
【0003】
例えば、上記の複数のコンバータがそれぞれ太陽電池(1枚の太陽電池モジュールや太陽電池モジュールを複数枚直並列接続したものなど)からの直流電力を入力し変換して出力する電力変換装置であり、かつ各コンバータの制御電源として各太陽電池から入力される電力を用いる太陽光発電システムの場合には、各太陽電池が日射を受けると初めにこれらのコンバータが起動して運転を開始する。そして、これらのコンバータからインバータの運転開始電圧を超える電圧が出力されると、インバータはこの電圧を検出し、その後に起動して運転を開始するように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各太陽電池や各コンバータの特性のばらつきや、各太陽電池の設置場所の違いによる日射のばらつき等が原因で、例えば朝や曇りなど日射が弱い状況下では複数のコンバータ全てが同時に起動して運転を開始せず、一部のコンバータのみが起動して運転を開始することがあった。
【0005】
このような状況下において、コンバータの出力電圧がインバータの通常の運転電圧範囲に到達しインバータが起動して運転を開始するものの起動した一部のコンバータの出力電力がまだ微小であるために、インバータの運転開始後すぐにコンバータの出力電圧がインバータの通常の運転電圧範囲以下となりインバータが停止する場合がしばしばあった。この場合には、インバータが停止後に上記の一部のコンバータの出力電圧が上昇し再びインバータの通常の運転電圧範囲以上となると、インバータは再び起動して運転を開始する。その結果、インバータは起動時に運転の開始と停止を繰り返えすという不具合を生じていた。
【0006】
この不具合を防止するための対策として、上記の電力変換装置(コンバータ)の製造上のばらつきや設置場所、さらには電力変換装置に取り付けられる太陽電池自体の特性のばらつきをすべて考慮して、上記太陽光発電システムの施工現場にて各電力変換装置の運転開始の基準値を調整する事が考えられる。しかしながら、上記の対策は、現場で複数の電力変換装置の運転の開始条件を調整するのは非常に手間がかかる上、太陽電池モジュールの特性は温度や汚れ等によっても変化するので、そのたびに調整を行う事は現実的ではなかった。
【0007】
また、別の対策として、各太陽電池の運転開始の基準値を十分に高い値に設定することで、上記の系統連系インバータ装置の運転開始と停止を繰り返す現象を緩和することもできる。しかし、太陽電池の特性は温度や汚れ等で変化するため、上記のように運転開始の基準値の設定を変えたとしても、各電力変換装置を同時に起動させることは実質的に不可能である。
【0008】
従って、上記の対策では、多かれ少なかれ、上記説明したような系統連系インバータの運転開始と停止を繰り返す現象が発生するため、この運転開始と停止を繰り返す現象を解決することがはできない。
【0009】
本発明は上記説明した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の電力変換装置がインバータ装置に並列接続されている電力変換システムにおいて、インバータ装置が運転の開始と停止とを繰り返す現象を解消することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の電力変換システムは、以下の構成を有する。すなわち、入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置とを含む電力変換システムであって、
前記インバータ装置は、
前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に起動開始または起動停止に関する制御情報を送信する制御情報送信手段を有し、
前記複数の電力変換装置はそれぞれ、
前記制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記電力変換手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記複数の電力変換装置は前記インバータ装置からの前記制御情報に基づいて、略同時にそれぞれ前記直流電力の変換を開始または終了することを特徴とする電力変換システム。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明に係る電力変換システムの一実施形態や実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0012】
以下の説明では、まず本発明に係る電力変換システムの一例として、入力される直流電圧を所定電圧値を有する直流電圧に変換して出力するコンバータ装置と、このコンバータ装置を複数並列接続し、各コンバータ装置から入力される直流電圧を交流電圧に変換して出力する系統連係インバータ装置とが交流商用系統に接続されている系統連系システムを用いてその概要を説明する。次に、本発明に係る電力変換システムの実施例として、上記の各コンバータ装置が太陽電池モジュールと接続されている系統連系システムを用いて説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0013】
[電力変換システム:図1]
まず、本発明に係る電力変換システムについて図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施形態の系統連系システムを用いた電力変換システムの概念図である。
【0014】
なお、図4〜図19を用いて後述する各実施例の説明では、図1〜図3を用いて説明したのと同様の構成については同じ符号を付けるものとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1において、系統1は交流商用系統である。系統連系インバータ装置2(以下インバータ2)はDCバスライン3の電力を入力して、系統1へ出力する。DCバスライン3は、インバータの入力とコンバータの出力を電気的に接続する電力バスであり、本実施の形態ではインバータ2の入力と10台のコンバータ装置4(以下コンバータ4)の出力を接続する。またコンバータ4はDCバスライン3へ出力するコンバータである。
【0016】
以下、インバータ2およびコンバータ4の詳細について図2〜図3を用いて説明する。
【0017】
[インバータの機能構成:図2]
図2にインバータ2の機能ブロック図を示す。インバータ2は主として、インバータ電力変換部21、インバータ制御部22、リアクトル23、連系スイッチ24、コンデンサ25、電圧検出部26、メインスイッチ27、スイッチ駆動回路28より構成される。
【0018】
インバータ電力変換部21は直流電力を入力して、後記するゲート信号S1によりゲート駆動されるスイッチ素子Q1〜Q4(以下Q1〜Q4)にて、矩形波状の交流電圧波形を生成し出力するフルブリッジ回路である。インバータ制御部22はインバータ2の制御手段であり、ゲート信号S1をインバータ電力変換部21へ出力する。
【0019】
また、後記するメインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力し、スイッチ駆動回路28へスイッチ制御信号S3を出力する。更に、後記する電圧検出部26が出力する電圧信号Vdc1を入力する。リアクトル23はインバータ2の連系リアクトルであり、出力交流電流波形を正弦波状に整形する。メインスイッチ27は手動でオン/オフできるインバータ2の機械式主電源スイッチであり、メインスイッチがオン状態になると起動信号S2をインバータ制御部22へ出力する。
【0020】
スイッチ駆動回路28は連系スイッチ24の駆動回路であり、スイッチ制御信号S3を入力して連系スイッチ24へ駆動信号S4を出力する。連系スイッチ24は駆動信号S4を入力するとスイッチはオン状態となり、インバータ2を系統1へ連系する。また、コンデンサ25はインバータ2の入力を平滑するコンデンサである。電圧検出部26はDCバスライン3の電圧を検出する電圧検出手段であり、電圧信号Vdc1をインバータ制御部22へ出力する。
【0021】
このように連系スイッチ24をONにする事により、DCバスライン3に対して系統1からスイッチ素子Q1〜Q4と並列に接続されたダイオードを介して全波整流された電流が流れ込む。そしてコンデンサ25はこの電流を平滑して充電されることで、平滑電圧がDCバスライン3に現れる。なお、この平滑電圧は、電圧検出部26に検知されインバータ制御部22に入力されるが、インバータのゲート駆動開始電圧(以下運転開始電圧)は、この平滑電圧値より高く設定されているので、この時点ではインバータ2のスイッチ素子Q1〜Q4にはゲート信号は供給されない仕組みになっている。
【0022】
なお、上記メインスイッチ27には蓄電池が内蔵されており、インバータ2の連系開始前においては上記起動信号S2と併せて、この蓄電池よりインバータ制御部22の制御電源を供給する。また、連系後は系統1より制御電源を供給する。
【0023】
[コンバータの機能構成:図3]
図3にコンバータ4の機能ブロック図を示す。
コンバータ4は主として、電圧検出部41、コンバータ制御部42、コンバータ電力変換部43より構成される。
【0024】
電圧検出部41はDCバスライン3の電圧を検出する電圧検出手段であり、電圧信号Vdc2をコンバータ制御部42へ出力する。コンバータ制御部42は電圧信号Vdc2を入力して、電圧信号Vdc2が予め設定したコンバータ4の運転開始電圧値以上の場合、ゲート信号S5をコンバータ電力変換部43へ出力する。コンバータ電力変換部43はコンバータ4の電力変換手段であり、ゲート信号S5を入力すると、電力変換動作を実行して上記DCバスライン3へ電力を出力する。
【0025】
このようにDCバスライン3にコンバータ4からの電力が出力されると、DCバスライン3の電圧は更に高くなり、前述したインバータ2の運転開始電圧を超える。そして、これによりインバータ2のスイッチ素子Q1〜Q4にゲート信号S5がインバータ制御部22から供給され、系統連系動作を開始するしくみとなっている。
【0026】
なお、上記インバータ電力変換部21やコンバータ電力変換部43はパワートランジスタ、MOSFET、IGBT、GTOなど、あるいはこれらの組み合わせを含めた各種自己消弧形スイッチ素子と、コイルやコンデンサあるいはダイオードといった素子等で構成される公知公用のインバータ回路やコンバータ回路である。
【0027】
また、以下の実施例におけるインバータやコンバータなどの電力変換手段も、公知公用のインバータ回路やコンバータ回路で構成される。また、本実施例において連系前のインバータ制御部22の制御電源の供給は、蓄電池にて行なうが、他の方法で実施しても構わない。なお、上記太陽光発電システムが発電電力を出力する時(連系する時)は日射がある時であるため、例えば太陽電池の電力を上記蓄電池の代わりとして用いてもよい。
【0028】
また、本実施の形態ではメインスイッチ27は一般的な機械式スイッチを用いたが、例えば、毎朝の運転開始のタイミングを記憶したタイマと組み合わせた電子スイッチ等でもよい。さらに、この電子スイッチの駆動電源を別途設けた太陽電池で賄ってもよい。
【0029】
また、運転開始のタイミングを計る手段として、インバータ装置に太陽電池を設けてこの出力値を用いると、天候に左右されずに最適な時に系統連系できるシステムを構築できる。また、これら制御電源や運転開始のタイミングを計る用途の太陽電池を1つの太陽電池で賄うと、コストダウン効果が大きい。
【0030】
なお、これまでは運転の開始に関するシーケンスを説明したが、運転の停止においても従来の電力変換システムでは、各コンバータの停止設定のばらつきからインバータが運転の停止と開始を繰り返す問題が発生すると考えられる。しかし、本実施形態の電力変換システムでは、運転の停止の場合でも上記説明した運転の開始の場合と同様に、インバータから各コンバータの一括運転停止を行う事で、この問題は解消できる。
【0031】
具体的には、各コンバータにDCバスラインの電圧値が所定値を超えると運転を停止するような制御手段を設ける事で実現できる。なお、この所定値は、各コンバータの通常運転電圧範囲より高い電圧値である。このような制御手段をコンバータに設ければ、インバータが運転の停止をして連系スイッチをOFFにするだけで、軽負荷状態となった各コンバータの出力は上記の通常運転電圧範囲を越えて電圧上昇するため、コンバータは一斉に停止する。
【0032】
なお、各コンバータが停止すると、DCバスラインの電圧はインバータのコンデンサにより一旦は保持されるが、次第に自然放電して電圧値はゼロボルトまで低下する。そして各コンバータの制御手段はこのゼロボルト、あるいは所定の電圧値以下を検知すると、本発明の起動シーケンスに入るように構成するのは言うまでも無い。なお、このコンデンサの放電を強制放電しても構わない。その際、抵抗等の電流制限素子を介して放電してもよい。
【0033】
【実施例1】
次に、図1〜図3で説明した本実施形態の電力変換システムにおける各コンバータ装置が太陽電池モジュールと接続されている太陽光発電の実施例を以下説明する。まず、図2および図4〜図10を参照して実施例1について説明する。
【0034】
本発明の特徴的な要素は下記に示す系統連系システムの運転開始方法にある。
そこで、本システムの運転開始方法に関する部分を中心に、以下で本実施例を説明する。
【0035】
[太陽光発電システム(実施例1):図4]
図4は、実施例の系統連系型の太陽光発電システムの概念図であり、10台の太陽電池8が10台のコンバータ装置にそれぞれ接続され、10台のコンバータ装置7の出力がDCバスライン3へ並列接続されている。
【0036】
太陽電池8は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、あるいはこれらの組み合わせ、あるいは化合物半導体などを用いた各種太陽電池である。通常は複数の太陽電池モジュールを直並列に組み合わせて、所望の電圧および電流が得られるようにアレイ構成を行うが、本発明では構成や数量の制限はない。
【0037】
以下、インバータ装置2(以下インバータ2)やコンバータ装置7(コンバータ7)の詳細について、図2および図5〜図10を用いて説明する。
まず、インバータ2の詳細な構成と運転開始方法について説明する。
【0038】
[インバータの制御部(実施例1):図5]
インバータ2の基本構成は図2で説明したのでその説明は省略する。図5にインバータ2のインバータ制御部22の機能ブロック図を示す。インバータ制御部22は主として、AD変換器221、積分器222、比較器223、運転開始電圧値224、マイコン225、ゲート駆動回路226より構成される。
【0039】
AD変換器221はインバータ2の電圧検出部26が出力する電圧信号Vdc1を入力し、ディジタルデータD1を積分器222へ出力する。積分器222ではディジタルデータD1を入力して、積分して平均化した結果であるディジタルデータD2を比較器223へ出力する。運転開始電圧値224はインバータ2が運転を開始するDCバスライン3の電圧値であり、運転開始電圧値V2を比較器223へ出力する。
【0040】
比較器223はディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、同D2がV2以上の場合、運転開始信号S6をマイコン225へ出力する。マイコン225は運転開始信号S6を入力すると、ゲート制御信号S7をゲート駆動回路226へ出力する。また、メインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力すると、スイッチ制御信号S3をスイッチ駆動回路28へ出力する。そして、ゲート駆動回路226はゲート制御信号S7を入力して、インバータ電力変換部21へゲート信号S1を出力する。
【0041】
[インバータの起動および運転開始方法:図6]
図6はインバータ2の起動及び運転開始方法(電力変換動作の開始)について説明したフローチャートである。
【0042】
まずステップST0にてインバータ2のメインスイッチ27が入力された(オンとなった)のを受信すると、ステップST5では連系スイッチがオンとなる。
次に、ステップST6ではインバータ電力変換部21を介して系統の交流が全波整流されて、コンデンサ25は充電される。次にステップST7では、電圧検出部26にて前記Vdc1を検出する。そしてステップST8では、Vdc1の平均値であるディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、同D2がV2以上の場合、ステップST30に進み、インバータ2が運転を開始する。一方、同D2がV2未満の場合、ステップST7へ戻る。
【0043】
以上の制御により、メインスイッチ27を接続(オン)すると連系スイッチ24が接続(オン)して、インバータ2は系統1と連系する。また、DCバスライン3の電圧の平均値であるディジタルデータD2がインバータ2の運転開始電圧値V2以上となる条件で、インバータ2は運転を開始(電力変換動作を開始)する。
【0044】
なお、上記全波整流はインバータ電力変換部21のスイッチ素子Q1〜Q4に逆並列に接続されたダイオードを用いて実施する。また、コンデンサ25を充電する電力は上記で説明したように系統1の商用交流電力であるため、コンデンサ25の端子間電圧にはリップルが生じる。従って、積分器222における積分時間は、商用電力系統の周波数に対して十分大きな値を設定するとよい。例えば、0.5[秒]〜1[秒]程度あれば十分である。
【0045】
[コンバータの構成(実施例1):図7]
次に、コンバータ7の詳細な構成と起動および運転開始方法について説明する。まず、図7のコンバータ7の機能ブロック図を用いてコンバータ7の詳細な構成を説明する。本実施例のコンバータ7は太陽電池8から入力される電力をコンバータの制御電源として用いる。
【0046】
コンバータ制御電源75は太陽電池8の電力を入力して、コンバータ制御部42へ電源電圧Vccを供給する電源である。また、コンバータ制御電源75は内部の電圧検出器にて電源電圧Vccを検出して、電圧信号V3をコンバータ制御部42へ出力する。
【0047】
[コンバータ制御部(実施例1):図8]
次に、コンバータ制御部42について図8の機能ブロック図を用いて説明する。コンバータ制御部42はコンバータ7の制御手段であり、主としてAD変換器421、比較器422、起動電圧値423、AD変換器424、積分器425、比較器426、運転開始電圧値427、マイコン428、ゲート駆動回路429より構成される。
【0048】
AD変換器421は電圧信号V3を入力して、ディジタルデータD3を比較器422へ出力する。また起動電圧値423は、コンバータ7が起動する電源電圧V3の電圧値であり、起動電圧値V4を比較器422へ出力する。そして比較器422ではディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合、マイコン428へ起動信号S8を出力する。
【0049】
その一方、AD変換器424は電圧検出部41が出力する電圧信号Vdc2を入力して、ディジタルデータD4を積分器425へ出力する。そして、積分器425ではディジタルデータD4を入力して、積分して平均化した結果であるディジタルデータD5を比較器426へ出力する。また運転開始電圧値427はコンバータ7が運転を開始(出力を開始)するDCバスライン3の電圧値であり、運転開始電圧値V5を比較器426へ出力する。
【0050】
そして、比較器426ではディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、同D5がV5以上の場合、運転開始信号S9をマイコン428へ出力する。またマイコン428は起動信号S8を入力すると各種演算処理を開始する。さらに運転開始信号S9を併せて入力するとゲート制御信号S10をゲート駆動回路へ出力する。また、ゲート駆動回路429はゲート制御信号S10を入力して、ゲート信号S5をコンバータ電力変換部43へ出力する。
【0051】
[コンバータの起動及び運転開始方法:図9]
図9はコンバータ7の起動および運転開始方法について説明したフローチャートであり、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0052】
まず、ステップST0で太陽電池8が発電を開始し太陽電池8より電力が入力されると、ステップST10に進み、コンバータ制御電源75がオン(起動開始)して、電源電圧Vccをコンバータ制御部42へ出力する。
【0053】
次に、ステップST11ではコンバータ制御部42は電圧信号V3を検出すると、AD変換してディジタルデータD3を出力する。
【0054】
次に、ステップST12では電圧信号のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、D3がV4以上の場合はステップST14へ進み、同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。そして、ステップST14では電圧検出部41にてDCバスライン3の電圧Vdc2を検出する。
【0055】
次に、ステップST15ではDCバスライン3の電圧Vdc2の平均値であるディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、D5がV5以上の場合にはステップST16に進みコンバータ制御部42から電力変換部43による電力変換を開始するためのゲート信号S5を出力する。一方、ステップST15でD5がV5未満の場合にはステップST11へ戻り、上記説明した処理を継続して行う。
【0056】
次に、ステップS17では、電力変換部43による電力変換を開始する。
【0057】
以上の制御により、コンバータ制御電源75の出力電圧V3がコンバータ制御部42の起動電圧値V4以上の条件で、かつDCバスライン3の電圧の平均値が運転開始電圧値V5以上となる条件で、コンバータ7は運転を開始する。
【0058】
なお、コンバータ制御電源75が供給する上記の電圧V3は、少なくともコンバータ制御部42がオンしてVccを検出可能な電源電圧の下限値V6(以下電源電圧下限値V6)以上とする。
【0059】
[インバータとコンバータの起動および運転開始のタイミング:図10]
次に、上記説明したインバータ2およびコンバータ7の起動及び運転開始方法の詳細なタイミングについて、図10を参照して説明する。
【0060】
図10は、横軸が経過時間で縦軸がインバータ2およびコンバータ7の運転や連系スイッチの状態と各部電圧を示す状態遷移図である。
【0061】
まず期間T1では、太陽電池8に日射が少し照射した状態であり、コンバータ制御電源75が電源電圧下限値V6をわずかに越える電圧信号V3をコンバータ制御部42へ出力する。次に期間T2では、時刻t0で電圧信号V3が起動電圧値V4を越えて、コンバータ制御部42は運転待機状態となっている。
【0062】
さらに期間T3では、時刻t1においてインバータ2のメインスイッチ27をオン(起動)する。そして、これと同時に連系スイッチ24がオン状態となり、インバータ2のコンデンサ25が急速に充電される。またそれに伴いDCバスライン3の電圧Vdcが急上昇する。
【0063】
そして期間T6では、時刻t2において電圧Vdcがコンバータ7の運転開始電圧値V5を越えて、コンバータ7が運転を開始する。そして、コンバータ7がコンデンサ25を充電することにより、Vdcは更に上昇する。
【0064】
次に期間T7では、時刻t3において電圧信号Vdcはインバータ2の運転開始電圧V2に到達して、インバータ2が運転を開始する。また、インバータ2の出力制御により、電圧Vdcはインバータ2の通常運転電圧範囲に収まり、本システムは定常運転状態を維持する。
【0065】
以上説明したように、本実施例の運転開始方法を適用した太陽光発電システムでは、太陽電池8が発電を開始した後、太陽電池8から供給される電力をコンバータ制御電源75がコンバータ7の制御電源に変換して用いる(制御電源を確立する)。そしてコンバータ7のコンバータ制御部42は、DCバスラインの電圧Vdcがコンバータ7の運転開始電圧値V5以上となるまで運転待機状態を維持する。
【0066】
そして、インバータ2のメインスイッチ27を手動などで入力(オン)すると、インバータ2は系統1と連系され、インバータ2の入力部に並列接続されたコンデンサ25が充電される。その結果、DCバスライン3の電圧が上昇し、運転待機状態のコンバータ7が運転開始条件を満たすためコンバータ7の運転が開始する。そして、コンバータ7によるコンデンサ25の充電が開始され、更にDCバスライン電圧が上昇して、インバータ2が運転を開始することになる。
【0067】
以上で説明したように、図4で示す本発明の系統連系システムでは、インバータ2が起動するまで全てのコンバータ7は運転を開始しない。従って、朝、太陽電池に日射が照射してもコンバータ7はインバータ2が起動するまで運転(電力変換)を開始しない。このため、インバータ2を起動させた後に全てのコンバータ7の運転を開始するので、インバータ2は一旦運転を開始すると運転を安定して継続できるとともに全ての太陽電池の発電電力を無駄にすることなく有効に利用できる。
【0068】
従って、ごく一部の太陽電池のみしか運転を開始できないような日射条件を除いて、インバータを起動すれば、従来問題となっていたような一部のコンバータのみが運転開始するために発生していたインバータの運転開始と停止を繰り返す現象をを防止することができる。
【0069】
なお以上で説明したように、本実施例では、図4の10台のコンバータ7の運転を開始するDCバスライン3の電圧は、図2のインバータ2のインバータ電力変換部21の整流により系統1の電圧を全波整流して用いる。そのため、図4のコンバータ7の運転開始電圧値V5は、全波整流により得られる平均電圧以下の電圧を選択するようにする。例えば、系統1が200[V]の交流系統の場合には180[V]程度に設定する。
【0070】
また、インバータ2は、コンバータ7が運転を開始してDCバスラインの電圧Vdcが上昇することを検出して運転を開始する。従ってインバータ2の運転開始電圧値V2は、全波整流により得られる電圧より大きい電圧で、かつコンバータ7が出力可能な電圧を選択する。例えば系統1が200[V]の交流系統の場合、コンバータ7が出力可能であれば300[V]程度とすればよい。
【0071】
【実施例2】
次に、実施例1と異なる太陽光発電システムについて図11〜図17を用いて説明する。図11は、太陽光発電システムの別の実施例の概念図である。
【0072】
なお、実施例1の太陽光発電システムと本実施例の同システムの主な相違点は、実施例1では系統連系スイッチ24をオンした際に系統1からインバータ2へ突入電流が生じるので、本実施例ではこの突入電流を抑制するために、図2のコンデンサ25を図12のように抵抗を介して充電可能とするように変更した点である。
【0073】
詳細には、実施例1のインバータ2とコンバータ7を、本実施例では図11に示す10台の系統連系インバータ装置9(以下インバータ9)と10台のコンバータ装置10(コンバータ10)に変更した点である。
【0074】
さらに詳細には、インバータ9がインバータ2と異なる点は、図5のインバータ制御部22の代わりに図13に示すインバータインバータ制御部92を用いた点と、さらに電流制限素子930と選択部931および選択部駆動回路933を加えた点である。また、コンバータ10がコンバータ7と異なる点は、図8のコンバータ制御部42の代わりに図15のコンバータ制御部102を用いた点である。そこで、以下、これら変更点を中心として本実施例を説明する。
【0075】
[インバータ(実施例2):図12]
まず、インバータ9の詳細な構成と運転開始方法について説明する。
【0076】
図12にインバータ9の機能ブロック図を示す。インバータ制御部92は選択部駆動回路933へ選択制御信号S11および選択制御信号S12を出力する。選択部駆動回路933は選択部931の駆動回路であり、選択制御信号S11および選択制御信号S12を入力して、選択信号S13および選択信号S14を選択部931へ出力する。
【0077】
選択部931は、P、Q、Rの3端子を有する選択スイッチであり、選択信号S13を入力してR端子とQ端子を接続する。また選択信号S14を入力してR端子とP端子を接続する。なお、P端子はインバータ9の入力の片側バスに接続されている。電流制限素子930は、P端子と同一側のバスと選択部931のQ端子間に直列接続された抵抗器である。またコンデンサ25は、実施例1のコンデンサ25と同一構成の入力平滑コンデンサであり、電流制限素子930が接続するインバータ9の入力バスとは別の片側バスと上記R端子間に直列接続される。
【0078】
[インバータ制御部(実施例2):図13]
図13にインバータ制御部92の機能ブロック図を示す。
インバータ制御部92は実施例1のインバータ制御部22(図5)に対して、マイコン225をマイコン925に変更して、かつカウンタ921、所定値922、比較器923を追加している。
【0079】
マイコン925はメインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力すると、カウンタ921へカウント開始信号S15を出力する。さらに、後記する選択完了信号S16を入力すると、スイッチ制御信号S3をスイッチ駆動回路28へ出力すると共に、選択制御信号S12を選択部駆動回路933へ出力する。また、マイコン225と同様に比較器223が出力する運転開始信号S6を入力すると、ゲート制御信号S7をゲート駆動回路226へ出力する。
【0080】
また、カウント921は、カウント開始信号S15を入力してゼロよりカウントする。そして、カウント結果であるカウント信号n1を比較器923へ出力する。また所定値922は予め設定した選択部931の選択動作の完了を待つ時間であり、所定値N1を比較器923へ出力する。比較器923ではカウント信号n1と所定値N1を比較して、同n1がN1以上の場合、マイコン1125へ選択完了信号S15を出力する。
【0081】
[インバータの運転開始方法:図14]
図14はインバータ11の運転開始方法について説明したフローチャートである。なお図14のステップST5〜ステップST8は実施例1の図6のステップST5〜ステップST8と同一の処理である。
【0082】
まず、ステップST0でインバータ9のメインスイッチ27がオン(起動)されたことを受信する。
【0083】
次に、ステップST1では、選択部931がQ端子を選択する。次にステップST2では、カウンタ921のカウントn1をゼロクリアする。次にステップST3では、前記カウントn1を1つインクリメントする。
【0084】
次にステップST4では、前記カウントn1と所定値N1を比較して、同n1がN1未満の場合はステップST3へ戻り、同n1がN1以上の場合はステップST5へ進む。
【0085】
次に、ステップST5では連系スイッチがオンとなる。次に、ステップST6ではインバータ電力変換部21を介して系統の交流が全波整流されて、コンデンサ25は充電される。次にステップST7では、電圧検出部26にてVdc1を検出する。
【0086】
そしてステップST8では、Vdc1の平均値であるディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、D2がV2未満の場合には、ステップST8へ戻って待機し、D2がV2以上となると、ステップST9に進み、選択部931がP端子を選択してからステップST30に進みインバータ9が運転を開始する。
【0087】
以上の制御により、インバータ11はメインスイッチ27をオンした後、選択部931は電流制限素子930が接続されたQ端子を選択する。そして、選択部931の駆動完了を待つ所定値N1後に連系スイッチ24はオンする。これにより、系統1から供給される全波整流された電流は電流制限素子930により制限されてコンデンサ25を充電することで、系統1からインバータ9へ流入する突入電流が防止される。その後、電流制限素子930での損失を回避するため、選択部931はP端子を選択する。このように選択部931における端子切り換え動作が完了する時間を待って系統連系スイッチをオンするため、確実にコンデンサ25を電流制限素子930に接続して充電できる。
【0088】
[コンバータの構成(実施例2):図15]
次に、コンバータ10の詳細な構成と起動方法や運転開始方法について説明する。図15にコンバータ制御部102の機能ブロック図を示す。
【0089】
コンバータ10の基本構成はコンバータ制御部102を除いて図7と同様である。コンバータ制御部102は実施例1のコンバータ制御部42(図8)に対して、マイコン428をマイコン1028に変更して、かつカウンタ1021、所定値1022、比較器1023を追加している。なお、コンバータ制御部102の機能上の変更点は、実施例1のコンバータ7の運転開始条件(電源電圧V3が起動電圧値V4以上でかつ、DCバス電圧が運転開始電圧値V5以上)が成立後に、インバータ9の連系準備時間を待つ連系待機時間を設けた点である。
【0090】
マイコン1028はマイコン428と同様に、比較器422が出力する起動信号S8を入力する。また、比較器426が出力する運転開始信号S9を入力する。そして、これら起動信号S8と運転開始信号S9の双方を入力すると、カウンタ1021へカウント開始信号S16を出力する。また、カウント1021はコンバータ10が運転開始を待機している時間をカウントする計測手段であり、カウント開始信号S16を入力してゼロよりカウントする。そして、カウント結果であるカウント信号n2を比較器1023へ出力する。
【0091】
また所定値1022は、コンバータ10の連系待機時間であり、所定値N2を比較器1023へ出力する。比較器1023ではカウント信号n2と所定値N2を比較して、同n2がN2以上の場合、マイコン1028へ待機状態解除信号S17を出力する。そしてマイコン1028は待機状態解除信号S17を入力して、ゲート駆動回路429へゲート制御信号S10を出力する。
【0092】
[コンバータの起動および運転開始方法:図16]
図16はコンバータ10の起動方法や運転開始方法について説明したフローチャートであり、図15を参照しながら説明する。なお図9と同一のステップには同一の符号を付ける。
【0093】
まず、ステップST0で太陽電池8が発電を開始し太陽電池8より電力が入力されると、ステップST10に進み、コンバータ制御電源75がオン(起動開始)して、電源電圧Vccをコンバータ制御部42へ出力する。
【0094】
次に、ステップST11ではコンバータ制御部42は電圧信号V3を検出すると、AD変換してディジタルデータD3を出力する。
【0095】
次に、ステップST12では電圧信号のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合はステップST130へ進み、同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。
【0096】
ステップST130では、カウンタ1021のカウントn2をゼロクリアする。そして、ステップST14では電圧検出部41にてDCバスライン3の電圧Vdc2を検出する。
【0097】
次に、ステップST15ではDCバスライン3の電圧Vdc2の平均値であるディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、同D5がV5以上の場合にはステップST160に進み、ステップST15で同D5がV5未満の場合にはステップST11へ戻り、上記説明した処理を継続して行う。
【0098】
次にステップST160では、前記カウントn2を1つインクリメントする。そしてステップST170では、前記カウントn2と連系待機時間である所定値N2を比較して同n2がN2以上の場合、ステップST16に進みコンバータ制御部102から電力変換部43による電力変換を開始するためのゲート信号S5を出力する。次に、ステップS17では、電力変換部43による電力変換を開始する。
【0099】
一方、ステップST170で同n2がN2未満の場合、ステップST180へ進む。ステップST180では、電圧信号V3を検出する。そしてステップST190では、電圧信号V3のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合はステップST14へ戻る。また同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。
【0100】
以上の制御により、コンバータ制御電源75の出力電圧V3がコンバータ制御部42の起動電圧値V4以上の条件で、かつDCバスライン3の電圧の平均値が運転開始電圧値V5以上となる条件で、コンバータ7は運転を開始する。
【0101】
なお、コンバータ制御電源75が供給する上記の電圧V3は、少なくともコンバータ制御部42がオンしてVccを検出可能な電源電圧の下限値V6(以下電源電圧下限値V6)以上とする。
【0102】
以上、ステップST130およびステップST160〜ステップST190の処理により、実施例1のコンバータの運転開始条件(電源電圧V3が起動電圧値V4以上でかつ、DCバス電圧が運転開始電圧値V5以上)が成立後に、カウントn2が所定値N2以上となるまでコンバータ10は連系待機状態となる。
【0103】
[インバータとコンバータの起動および運転開始のタイミング:図17]
以上で示したインバータ11とコンバータ10の各起動や運転開始のタイミング関係について、図17を参照して説明する。
【0104】
図17は、横軸が経過時間で縦軸がインバータ11およびコンバータ10の運転や連系スイッチの状態と、また各部電圧を示す状態遷移図である。
【0105】
なお、期間T1〜T2は実施例1の図10の期間T1〜T2と同一である。
【0106】
期間T4では、時刻t1においてインバータ11のメインスイッチがオンされ、上記所定値N1で規定した所定期間X1後の時刻t4に連系スイッチ24がオンになる。そして期間T5では、電流制限素子930を介してコンデンサ25が充電される。
【0107】
また時刻t7において、DCバスライン3の電圧Vdcはコンバータ10の運転開始電圧値V5を越えた後、系統1が全波整流された電圧の平均値を維持する。そして期間T6では時刻t7より所定値N2で規定した所定期間X2後の時刻t5において、コンバータ10は運転を開始する。
【0108】
そしてコンバータ10がコンデンサ25を充電することにより、Vdcは更に上昇する。次に期間T7では時刻t6において、Vdcはインバータ11の運転開始電圧値V2に到達してインバータ11は運転を開始する。また、インバータ11の出力制御により、電圧Vdcは通常運転電圧範囲に収まり、本システムは定常運転状態を維持する。
【0109】
以上より、本実施例の電力変換システムでは、インバータの入力部に並列接続されたコンデンサを電流抑制素子を介して充電するため、実施例1の系統連系スイッチ24をオンした際に生じる系統1からインバータ2への突入電流が抑制される。
【0110】
なお、電流制限素子930は本実施例の抵抗器に限定されない。要は、系統連系スイッチがオンした際に生じる系統1からインバータ9に流入する突入電流を抑制できる素子であればよく、例えばインダクタでもよい。
【0111】
【実施例3】
次に、実施例1および実施例2と異なる太陽光発電システムについて図18〜図19を用いて説明する。図18は、本実施例の太陽光発電システムの概念図である。
【0112】
なお、実施例1の太陽光発電システムと本実施例の同システムの相違点は、実施例1のインバータ2と太陽電池8を、本実施例では系統連系インバータ装置11(以下インバータ11)と太陽電池12(太陽電池8の1/2の発電容量)に変更した点である。
【0113】
さらに詳細には、インバータ11は、インバータ電力変換部21の代わりにインバータ電力変換部1121を用いた点と、インバータ制御部22の代わりにインバータ制御部1122を用いた点がインバータ2と異なる。
【0114】
また、太陽電池12は、太陽電池8の1/2の発電容量にした太陽電池である点が異なる。また、コンバータ7を20台並列にして1台のインバータ11へ出力する点が異なる。
【0115】
[インバータ(実施例3):図19]
図19はインバータ11の機能ブロック図である。
【0116】
インバータ11のインバータ電力変換部1121は公知公用のハーフブリッジ回路であり、図2のインバータ電力変換部21のQ1およびQ2の代わりにコンデンサC1およびC2で構成されている。また、インバータ電力制御部1122はゲート信号S18をインバータ電力変換部1121へ出力する。
【0117】
以上、本発明の電力変換システムの運転の開始方法では、インバータ電力変換部の回路構成は実施例1や実施例2で示したフルブリッジ回路に限定されず、上記のようなハーフブリッジ回路にも適用できる。また、太陽電池の発電容量に限定されない。また、本実施例のように太陽電池の発電容量が小さくコンバータや太陽電池の台数が多くなる場合には、実施例1に比較し本発明の効果がより大きくなる。
【0118】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0119】
また、本発明の目的は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0120】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体およびプログラム自体が本発明を構成することになる。
【0121】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0122】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図6、9、14、16に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0125】
以上説明したように、本発明の電力変換システムでは、以下の効果が得られる。インバータが全てのコンバータの運転開始を同時に許可するまで全てのコンバータは運転を開始しない。よって、従来のようにごく一部のコンバータのみが運転を開始することない。そのため従来問題となっていたような、インバータが運転の開始と停止などを繰り返すことを防止することができる。
【0126】
また、コンバータの台数が増えるほど一般的にそれらの稼働開始時間のばらつきは大きくなるので、コンバータの台数が多い電力変換システムでは起動停止時におけるインバータの運転開始と停止を繰り返す現象を解消する効果をより大きくすることができる。
【0127】
また、上記インバータでは複数のコンバータの運転開始の同時許可手段として系統連系スイッチを用い、コンバータはこの系統連系スイッチが作動するときに生じる電圧変動を検知すると、コンバータの運転開始を許可する。このコンバータの運転開始の許可手段には、一般的な系統連系インバータが具備する系統連系スイッチを流用するので、製造コストの上昇につながる新たな部品点数の増加は不要であり、上記システムを安価に実現できるという効果が得られる。
【0128】
以上説明した本発明の実施態様をまとめると以下のようになる。
【0129】
[実施態様1] 入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置とを含む電力変換システムであって、
前記インバータ装置は、
前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を送信する制御情報送信手段を有し、
前記複数の電力変換装置はそれぞれ、
前記制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記電力変換手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記複数の電力変換装置は前記インバータ装置からの前記制御情報に基づいて、略同時にそれぞれ前記直流電力の変換を開始または終了することを特徴とする電力変換システム。
【0130】
[実施態様2] 前記制御情報は前記直流電力の変換開始情報であり、前記複数の電力変換装置は前記変換開始情報をそれぞれ受信すると、略同時に前記直流電圧の変換を開始することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0131】
[実施態様3] 前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して太陽電池が接続されていることを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0132】
[実施態様4] 前記電力変換装置は制御電源として前記太陽電池から出力される直流電力を用いることを特徴とする実施態様3に記載の電力変換システム。
【0133】
[実施態様5] 前記インバータ装置はスイッチを有し、前記スイッチを介して前記インバータ装置と前記電力系統とが接続されていることを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0134】
[実施態様6] 前記制御情報受信手段は、前記インバータ装置の電圧値の変化を検出する検出手段を有し、前記制御手段は該電圧値が所定電圧以上の場合に前記電力変換手段が前記直流電圧の変換を開始するまたは終了するように制御することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0135】
[実施態様7] 前記制御手段は前記電圧値が所定電圧以上の場合が所定時間経過した後に前記直流電圧の変換を開始するまたは終了するように制御することを特徴とする実施態様6に記載の電力変換システム。
【0136】
[実施態様8] 前記電圧値の変化は、前記スイッチが閉じられて前記インバータ装置と前記商用電力系統とが接続されたときに、前記商用電力系統から前記前記インバータ装置に供給される交流電力に基づいた電圧変化であることを特徴とする実施態様6に記載の電力変換システム。
【0137】
[実施態様9] 前記インバータ装置はDC/ACインバータ回路を有し、前記商用電力系統から前記インバータ装置に供給される交流電力は、前記DC/ACインバータ回路によって整流されることを特徴とする実施態様8に記載の電力変換システム。
【0138】
[実施態様10] 前記DC/ACインバータ回路は、前記整流された電流を平滑化するコンデンサを有することを特徴とする実施態様9に記載の電力変換システム。
【0139】
[実施態様11] 前記インバータ装置は、前記複数の電力変換装置から入力される電圧値の変化を検出する電圧検出手段と、直流電力を交流電力に変換するインバータ電力変換手段と、前記入力される電圧値が所定値を超えた場合に前記変換を開始するように前記インバータ電力変換手段を制御するインバータ制御手段とを有することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0140】
[実施態様12] 入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置であって、
前記インバータ装置を前記電力系統に接続するスイッチ回路と、
前記インバータ装置が前記電力系統に接続されると、前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を送信する制御情報送信手段と、
を有することを特徴とするインバータ装置。
【0141】
[実施態様13] 入力される直流電力を変換する電力変換装置であって、
前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記直流電圧の変換を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電力変換装置。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、複数の電力変換装置がインバータ装置に並列接続されている電力変換システムにおいて、インバータ装置が運転の開始と停止とを繰り返す現象を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に関わる電力変換システムの概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロックである。
【図3】本発明の実施の形態に関わるコンバータ装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に関わる電力変換システムの概念図である。
【図5】本発明の実施例1に関わる系統連系インバータ装置のインバータ制御部22の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施例1に関わる系統連系インバータ装置の運転の開始方法を説明したフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図9】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の起動方法を説明したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1に関わる電力変換システムの運転の各部電圧および起動方法や開始方法に関する状態遷移図である。
【図11】本発明の実施例2に関わる電力変換システムの概念図である。
【図12】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロック図である。
【図13】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図14】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の運転の開始方法を説明したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例2に関わるコンバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図16】本発明の実施例2に関わるコンバータ装置の起動方法を説明したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例2に関わる電力変換システムの各部電圧および起動方法や運転の開始方法に関する状態遷移図である。
【図18】本発明の実施例3に関わる電力変換システムの概念図である。
【図19】本発明の実施例3に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
1:系統、
2:系統連系インバータ装置、
3:DCバスライン、
4−1〜4−10:コンバータ装置、
4−1〜4−20:コンバータ装置、
7−1〜7−10:コンバータ装置、
8−1〜8−10:太陽電池、
9:系統連系インバータ装置、
10:コンバータ装置、
11:系統連系インバータ装置、
12−1〜12−20:太陽電池、
21:インバータ電力変換部、
22:インバータ制御部、
23:リアクトル、
24:連系スイッチ、
25:コンデンサ、
26:電圧検出部、
27:メインスイッチ、
28:スイッチ駆動回路、
41:電圧検出部、
42:コンバータ制御部、
43:コンバータ電力変換部、
221:AD変換器、
222:積分器、
223:比較器、
224:起動電圧値、
225:マイコン、
226:ゲート駆動回路、
75:コンバータ制御電源、
421:AD変換器、
422:比較器、
423:コンバータ起動電圧値、
424:AD変換器、
425:積分器、
426:比較器、
427:コンバータ運転開始電圧値、
428:マイコン、
429:ゲート駆動回路、
930:電流制限素子、
931:選択部、
933:選択部駆動回路、
92:インバータ制御部、
921;カウンタ、
922:所定値、
923:比較器、
925:マイコン、
1021:カウンタ、
1022:所定値、
1023:比較器、
1028:マイコン、
1121:インバータ電力変換部、
1122:インバータ制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力変換に関し、より詳細には、電力変換を開始する際などに発生する運転開始と停止を繰り返す現象の抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力される直流電力を変換するコンバータ装置(以下コンバータ)と、複数のコンバータから出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置(以下インバータ)とを含む系統連系の電力変換システムでは、インバータの起動の前に複数のコンバータがまず起動して運転を開始し、次にコンバータの運転開始を確認したあとでインバータは起動して運転を開始するように制御されていた。
【0003】
例えば、上記の複数のコンバータがそれぞれ太陽電池(1枚の太陽電池モジュールや太陽電池モジュールを複数枚直並列接続したものなど)からの直流電力を入力し変換して出力する電力変換装置であり、かつ各コンバータの制御電源として各太陽電池から入力される電力を用いる太陽光発電システムの場合には、各太陽電池が日射を受けると初めにこれらのコンバータが起動して運転を開始する。そして、これらのコンバータからインバータの運転開始電圧を超える電圧が出力されると、インバータはこの電圧を検出し、その後に起動して運転を開始するように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各太陽電池や各コンバータの特性のばらつきや、各太陽電池の設置場所の違いによる日射のばらつき等が原因で、例えば朝や曇りなど日射が弱い状況下では複数のコンバータ全てが同時に起動して運転を開始せず、一部のコンバータのみが起動して運転を開始することがあった。
【0005】
このような状況下において、コンバータの出力電圧がインバータの通常の運転電圧範囲に到達しインバータが起動して運転を開始するものの起動した一部のコンバータの出力電力がまだ微小であるために、インバータの運転開始後すぐにコンバータの出力電圧がインバータの通常の運転電圧範囲以下となりインバータが停止する場合がしばしばあった。この場合には、インバータが停止後に上記の一部のコンバータの出力電圧が上昇し再びインバータの通常の運転電圧範囲以上となると、インバータは再び起動して運転を開始する。その結果、インバータは起動時に運転の開始と停止を繰り返えすという不具合を生じていた。
【0006】
この不具合を防止するための対策として、上記の電力変換装置(コンバータ)の製造上のばらつきや設置場所、さらには電力変換装置に取り付けられる太陽電池自体の特性のばらつきをすべて考慮して、上記太陽光発電システムの施工現場にて各電力変換装置の運転開始の基準値を調整する事が考えられる。しかしながら、上記の対策は、現場で複数の電力変換装置の運転の開始条件を調整するのは非常に手間がかかる上、太陽電池モジュールの特性は温度や汚れ等によっても変化するので、そのたびに調整を行う事は現実的ではなかった。
【0007】
また、別の対策として、各太陽電池の運転開始の基準値を十分に高い値に設定することで、上記の系統連系インバータ装置の運転開始と停止を繰り返す現象を緩和することもできる。しかし、太陽電池の特性は温度や汚れ等で変化するため、上記のように運転開始の基準値の設定を変えたとしても、各電力変換装置を同時に起動させることは実質的に不可能である。
【0008】
従って、上記の対策では、多かれ少なかれ、上記説明したような系統連系インバータの運転開始と停止を繰り返す現象が発生するため、この運転開始と停止を繰り返す現象を解決することがはできない。
【0009】
本発明は上記説明した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の電力変換装置がインバータ装置に並列接続されている電力変換システムにおいて、インバータ装置が運転の開始と停止とを繰り返す現象を解消することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の電力変換システムは、以下の構成を有する。すなわち、入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置とを含む電力変換システムであって、
前記インバータ装置は、
前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に起動開始または起動停止に関する制御情報を送信する制御情報送信手段を有し、
前記複数の電力変換装置はそれぞれ、
前記制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記電力変換手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記複数の電力変換装置は前記インバータ装置からの前記制御情報に基づいて、略同時にそれぞれ前記直流電力の変換を開始または終了することを特徴とする電力変換システム。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明に係る電力変換システムの一実施形態や実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0012】
以下の説明では、まず本発明に係る電力変換システムの一例として、入力される直流電圧を所定電圧値を有する直流電圧に変換して出力するコンバータ装置と、このコンバータ装置を複数並列接続し、各コンバータ装置から入力される直流電圧を交流電圧に変換して出力する系統連係インバータ装置とが交流商用系統に接続されている系統連系システムを用いてその概要を説明する。次に、本発明に係る電力変換システムの実施例として、上記の各コンバータ装置が太陽電池モジュールと接続されている系統連系システムを用いて説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0013】
[電力変換システム:図1]
まず、本発明に係る電力変換システムについて図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施形態の系統連系システムを用いた電力変換システムの概念図である。
【0014】
なお、図4〜図19を用いて後述する各実施例の説明では、図1〜図3を用いて説明したのと同様の構成については同じ符号を付けるものとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1において、系統1は交流商用系統である。系統連系インバータ装置2(以下インバータ2)はDCバスライン3の電力を入力して、系統1へ出力する。DCバスライン3は、インバータの入力とコンバータの出力を電気的に接続する電力バスであり、本実施の形態ではインバータ2の入力と10台のコンバータ装置4(以下コンバータ4)の出力を接続する。またコンバータ4はDCバスライン3へ出力するコンバータである。
【0016】
以下、インバータ2およびコンバータ4の詳細について図2〜図3を用いて説明する。
【0017】
[インバータの機能構成:図2]
図2にインバータ2の機能ブロック図を示す。インバータ2は主として、インバータ電力変換部21、インバータ制御部22、リアクトル23、連系スイッチ24、コンデンサ25、電圧検出部26、メインスイッチ27、スイッチ駆動回路28より構成される。
【0018】
インバータ電力変換部21は直流電力を入力して、後記するゲート信号S1によりゲート駆動されるスイッチ素子Q1〜Q4(以下Q1〜Q4)にて、矩形波状の交流電圧波形を生成し出力するフルブリッジ回路である。インバータ制御部22はインバータ2の制御手段であり、ゲート信号S1をインバータ電力変換部21へ出力する。
【0019】
また、後記するメインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力し、スイッチ駆動回路28へスイッチ制御信号S3を出力する。更に、後記する電圧検出部26が出力する電圧信号Vdc1を入力する。リアクトル23はインバータ2の連系リアクトルであり、出力交流電流波形を正弦波状に整形する。メインスイッチ27は手動でオン/オフできるインバータ2の機械式主電源スイッチであり、メインスイッチがオン状態になると起動信号S2をインバータ制御部22へ出力する。
【0020】
スイッチ駆動回路28は連系スイッチ24の駆動回路であり、スイッチ制御信号S3を入力して連系スイッチ24へ駆動信号S4を出力する。連系スイッチ24は駆動信号S4を入力するとスイッチはオン状態となり、インバータ2を系統1へ連系する。また、コンデンサ25はインバータ2の入力を平滑するコンデンサである。電圧検出部26はDCバスライン3の電圧を検出する電圧検出手段であり、電圧信号Vdc1をインバータ制御部22へ出力する。
【0021】
このように連系スイッチ24をONにする事により、DCバスライン3に対して系統1からスイッチ素子Q1〜Q4と並列に接続されたダイオードを介して全波整流された電流が流れ込む。そしてコンデンサ25はこの電流を平滑して充電されることで、平滑電圧がDCバスライン3に現れる。なお、この平滑電圧は、電圧検出部26に検知されインバータ制御部22に入力されるが、インバータのゲート駆動開始電圧(以下運転開始電圧)は、この平滑電圧値より高く設定されているので、この時点ではインバータ2のスイッチ素子Q1〜Q4にはゲート信号は供給されない仕組みになっている。
【0022】
なお、上記メインスイッチ27には蓄電池が内蔵されており、インバータ2の連系開始前においては上記起動信号S2と併せて、この蓄電池よりインバータ制御部22の制御電源を供給する。また、連系後は系統1より制御電源を供給する。
【0023】
[コンバータの機能構成:図3]
図3にコンバータ4の機能ブロック図を示す。
コンバータ4は主として、電圧検出部41、コンバータ制御部42、コンバータ電力変換部43より構成される。
【0024】
電圧検出部41はDCバスライン3の電圧を検出する電圧検出手段であり、電圧信号Vdc2をコンバータ制御部42へ出力する。コンバータ制御部42は電圧信号Vdc2を入力して、電圧信号Vdc2が予め設定したコンバータ4の運転開始電圧値以上の場合、ゲート信号S5をコンバータ電力変換部43へ出力する。コンバータ電力変換部43はコンバータ4の電力変換手段であり、ゲート信号S5を入力すると、電力変換動作を実行して上記DCバスライン3へ電力を出力する。
【0025】
このようにDCバスライン3にコンバータ4からの電力が出力されると、DCバスライン3の電圧は更に高くなり、前述したインバータ2の運転開始電圧を超える。そして、これによりインバータ2のスイッチ素子Q1〜Q4にゲート信号S5がインバータ制御部22から供給され、系統連系動作を開始するしくみとなっている。
【0026】
なお、上記インバータ電力変換部21やコンバータ電力変換部43はパワートランジスタ、MOSFET、IGBT、GTOなど、あるいはこれらの組み合わせを含めた各種自己消弧形スイッチ素子と、コイルやコンデンサあるいはダイオードといった素子等で構成される公知公用のインバータ回路やコンバータ回路である。
【0027】
また、以下の実施例におけるインバータやコンバータなどの電力変換手段も、公知公用のインバータ回路やコンバータ回路で構成される。また、本実施例において連系前のインバータ制御部22の制御電源の供給は、蓄電池にて行なうが、他の方法で実施しても構わない。なお、上記太陽光発電システムが発電電力を出力する時(連系する時)は日射がある時であるため、例えば太陽電池の電力を上記蓄電池の代わりとして用いてもよい。
【0028】
また、本実施の形態ではメインスイッチ27は一般的な機械式スイッチを用いたが、例えば、毎朝の運転開始のタイミングを記憶したタイマと組み合わせた電子スイッチ等でもよい。さらに、この電子スイッチの駆動電源を別途設けた太陽電池で賄ってもよい。
【0029】
また、運転開始のタイミングを計る手段として、インバータ装置に太陽電池を設けてこの出力値を用いると、天候に左右されずに最適な時に系統連系できるシステムを構築できる。また、これら制御電源や運転開始のタイミングを計る用途の太陽電池を1つの太陽電池で賄うと、コストダウン効果が大きい。
【0030】
なお、これまでは運転の開始に関するシーケンスを説明したが、運転の停止においても従来の電力変換システムでは、各コンバータの停止設定のばらつきからインバータが運転の停止と開始を繰り返す問題が発生すると考えられる。しかし、本実施形態の電力変換システムでは、運転の停止の場合でも上記説明した運転の開始の場合と同様に、インバータから各コンバータの一括運転停止を行う事で、この問題は解消できる。
【0031】
具体的には、各コンバータにDCバスラインの電圧値が所定値を超えると運転を停止するような制御手段を設ける事で実現できる。なお、この所定値は、各コンバータの通常運転電圧範囲より高い電圧値である。このような制御手段をコンバータに設ければ、インバータが運転の停止をして連系スイッチをOFFにするだけで、軽負荷状態となった各コンバータの出力は上記の通常運転電圧範囲を越えて電圧上昇するため、コンバータは一斉に停止する。
【0032】
なお、各コンバータが停止すると、DCバスラインの電圧はインバータのコンデンサにより一旦は保持されるが、次第に自然放電して電圧値はゼロボルトまで低下する。そして各コンバータの制御手段はこのゼロボルト、あるいは所定の電圧値以下を検知すると、本発明の起動シーケンスに入るように構成するのは言うまでも無い。なお、このコンデンサの放電を強制放電しても構わない。その際、抵抗等の電流制限素子を介して放電してもよい。
【0033】
【実施例1】
次に、図1〜図3で説明した本実施形態の電力変換システムにおける各コンバータ装置が太陽電池モジュールと接続されている太陽光発電の実施例を以下説明する。まず、図2および図4〜図10を参照して実施例1について説明する。
【0034】
本発明の特徴的な要素は下記に示す系統連系システムの運転開始方法にある。
そこで、本システムの運転開始方法に関する部分を中心に、以下で本実施例を説明する。
【0035】
[太陽光発電システム(実施例1):図4]
図4は、実施例の系統連系型の太陽光発電システムの概念図であり、10台の太陽電池8が10台のコンバータ装置にそれぞれ接続され、10台のコンバータ装置7の出力がDCバスライン3へ並列接続されている。
【0036】
太陽電池8は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、あるいはこれらの組み合わせ、あるいは化合物半導体などを用いた各種太陽電池である。通常は複数の太陽電池モジュールを直並列に組み合わせて、所望の電圧および電流が得られるようにアレイ構成を行うが、本発明では構成や数量の制限はない。
【0037】
以下、インバータ装置2(以下インバータ2)やコンバータ装置7(コンバータ7)の詳細について、図2および図5〜図10を用いて説明する。
まず、インバータ2の詳細な構成と運転開始方法について説明する。
【0038】
[インバータの制御部(実施例1):図5]
インバータ2の基本構成は図2で説明したのでその説明は省略する。図5にインバータ2のインバータ制御部22の機能ブロック図を示す。インバータ制御部22は主として、AD変換器221、積分器222、比較器223、運転開始電圧値224、マイコン225、ゲート駆動回路226より構成される。
【0039】
AD変換器221はインバータ2の電圧検出部26が出力する電圧信号Vdc1を入力し、ディジタルデータD1を積分器222へ出力する。積分器222ではディジタルデータD1を入力して、積分して平均化した結果であるディジタルデータD2を比較器223へ出力する。運転開始電圧値224はインバータ2が運転を開始するDCバスライン3の電圧値であり、運転開始電圧値V2を比較器223へ出力する。
【0040】
比較器223はディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、同D2がV2以上の場合、運転開始信号S6をマイコン225へ出力する。マイコン225は運転開始信号S6を入力すると、ゲート制御信号S7をゲート駆動回路226へ出力する。また、メインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力すると、スイッチ制御信号S3をスイッチ駆動回路28へ出力する。そして、ゲート駆動回路226はゲート制御信号S7を入力して、インバータ電力変換部21へゲート信号S1を出力する。
【0041】
[インバータの起動および運転開始方法:図6]
図6はインバータ2の起動及び運転開始方法(電力変換動作の開始)について説明したフローチャートである。
【0042】
まずステップST0にてインバータ2のメインスイッチ27が入力された(オンとなった)のを受信すると、ステップST5では連系スイッチがオンとなる。
次に、ステップST6ではインバータ電力変換部21を介して系統の交流が全波整流されて、コンデンサ25は充電される。次にステップST7では、電圧検出部26にて前記Vdc1を検出する。そしてステップST8では、Vdc1の平均値であるディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、同D2がV2以上の場合、ステップST30に進み、インバータ2が運転を開始する。一方、同D2がV2未満の場合、ステップST7へ戻る。
【0043】
以上の制御により、メインスイッチ27を接続(オン)すると連系スイッチ24が接続(オン)して、インバータ2は系統1と連系する。また、DCバスライン3の電圧の平均値であるディジタルデータD2がインバータ2の運転開始電圧値V2以上となる条件で、インバータ2は運転を開始(電力変換動作を開始)する。
【0044】
なお、上記全波整流はインバータ電力変換部21のスイッチ素子Q1〜Q4に逆並列に接続されたダイオードを用いて実施する。また、コンデンサ25を充電する電力は上記で説明したように系統1の商用交流電力であるため、コンデンサ25の端子間電圧にはリップルが生じる。従って、積分器222における積分時間は、商用電力系統の周波数に対して十分大きな値を設定するとよい。例えば、0.5[秒]〜1[秒]程度あれば十分である。
【0045】
[コンバータの構成(実施例1):図7]
次に、コンバータ7の詳細な構成と起動および運転開始方法について説明する。まず、図7のコンバータ7の機能ブロック図を用いてコンバータ7の詳細な構成を説明する。本実施例のコンバータ7は太陽電池8から入力される電力をコンバータの制御電源として用いる。
【0046】
コンバータ制御電源75は太陽電池8の電力を入力して、コンバータ制御部42へ電源電圧Vccを供給する電源である。また、コンバータ制御電源75は内部の電圧検出器にて電源電圧Vccを検出して、電圧信号V3をコンバータ制御部42へ出力する。
【0047】
[コンバータ制御部(実施例1):図8]
次に、コンバータ制御部42について図8の機能ブロック図を用いて説明する。コンバータ制御部42はコンバータ7の制御手段であり、主としてAD変換器421、比較器422、起動電圧値423、AD変換器424、積分器425、比較器426、運転開始電圧値427、マイコン428、ゲート駆動回路429より構成される。
【0048】
AD変換器421は電圧信号V3を入力して、ディジタルデータD3を比較器422へ出力する。また起動電圧値423は、コンバータ7が起動する電源電圧V3の電圧値であり、起動電圧値V4を比較器422へ出力する。そして比較器422ではディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合、マイコン428へ起動信号S8を出力する。
【0049】
その一方、AD変換器424は電圧検出部41が出力する電圧信号Vdc2を入力して、ディジタルデータD4を積分器425へ出力する。そして、積分器425ではディジタルデータD4を入力して、積分して平均化した結果であるディジタルデータD5を比較器426へ出力する。また運転開始電圧値427はコンバータ7が運転を開始(出力を開始)するDCバスライン3の電圧値であり、運転開始電圧値V5を比較器426へ出力する。
【0050】
そして、比較器426ではディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、同D5がV5以上の場合、運転開始信号S9をマイコン428へ出力する。またマイコン428は起動信号S8を入力すると各種演算処理を開始する。さらに運転開始信号S9を併せて入力するとゲート制御信号S10をゲート駆動回路へ出力する。また、ゲート駆動回路429はゲート制御信号S10を入力して、ゲート信号S5をコンバータ電力変換部43へ出力する。
【0051】
[コンバータの起動及び運転開始方法:図9]
図9はコンバータ7の起動および運転開始方法について説明したフローチャートであり、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0052】
まず、ステップST0で太陽電池8が発電を開始し太陽電池8より電力が入力されると、ステップST10に進み、コンバータ制御電源75がオン(起動開始)して、電源電圧Vccをコンバータ制御部42へ出力する。
【0053】
次に、ステップST11ではコンバータ制御部42は電圧信号V3を検出すると、AD変換してディジタルデータD3を出力する。
【0054】
次に、ステップST12では電圧信号のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、D3がV4以上の場合はステップST14へ進み、同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。そして、ステップST14では電圧検出部41にてDCバスライン3の電圧Vdc2を検出する。
【0055】
次に、ステップST15ではDCバスライン3の電圧Vdc2の平均値であるディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、D5がV5以上の場合にはステップST16に進みコンバータ制御部42から電力変換部43による電力変換を開始するためのゲート信号S5を出力する。一方、ステップST15でD5がV5未満の場合にはステップST11へ戻り、上記説明した処理を継続して行う。
【0056】
次に、ステップS17では、電力変換部43による電力変換を開始する。
【0057】
以上の制御により、コンバータ制御電源75の出力電圧V3がコンバータ制御部42の起動電圧値V4以上の条件で、かつDCバスライン3の電圧の平均値が運転開始電圧値V5以上となる条件で、コンバータ7は運転を開始する。
【0058】
なお、コンバータ制御電源75が供給する上記の電圧V3は、少なくともコンバータ制御部42がオンしてVccを検出可能な電源電圧の下限値V6(以下電源電圧下限値V6)以上とする。
【0059】
[インバータとコンバータの起動および運転開始のタイミング:図10]
次に、上記説明したインバータ2およびコンバータ7の起動及び運転開始方法の詳細なタイミングについて、図10を参照して説明する。
【0060】
図10は、横軸が経過時間で縦軸がインバータ2およびコンバータ7の運転や連系スイッチの状態と各部電圧を示す状態遷移図である。
【0061】
まず期間T1では、太陽電池8に日射が少し照射した状態であり、コンバータ制御電源75が電源電圧下限値V6をわずかに越える電圧信号V3をコンバータ制御部42へ出力する。次に期間T2では、時刻t0で電圧信号V3が起動電圧値V4を越えて、コンバータ制御部42は運転待機状態となっている。
【0062】
さらに期間T3では、時刻t1においてインバータ2のメインスイッチ27をオン(起動)する。そして、これと同時に連系スイッチ24がオン状態となり、インバータ2のコンデンサ25が急速に充電される。またそれに伴いDCバスライン3の電圧Vdcが急上昇する。
【0063】
そして期間T6では、時刻t2において電圧Vdcがコンバータ7の運転開始電圧値V5を越えて、コンバータ7が運転を開始する。そして、コンバータ7がコンデンサ25を充電することにより、Vdcは更に上昇する。
【0064】
次に期間T7では、時刻t3において電圧信号Vdcはインバータ2の運転開始電圧V2に到達して、インバータ2が運転を開始する。また、インバータ2の出力制御により、電圧Vdcはインバータ2の通常運転電圧範囲に収まり、本システムは定常運転状態を維持する。
【0065】
以上説明したように、本実施例の運転開始方法を適用した太陽光発電システムでは、太陽電池8が発電を開始した後、太陽電池8から供給される電力をコンバータ制御電源75がコンバータ7の制御電源に変換して用いる(制御電源を確立する)。そしてコンバータ7のコンバータ制御部42は、DCバスラインの電圧Vdcがコンバータ7の運転開始電圧値V5以上となるまで運転待機状態を維持する。
【0066】
そして、インバータ2のメインスイッチ27を手動などで入力(オン)すると、インバータ2は系統1と連系され、インバータ2の入力部に並列接続されたコンデンサ25が充電される。その結果、DCバスライン3の電圧が上昇し、運転待機状態のコンバータ7が運転開始条件を満たすためコンバータ7の運転が開始する。そして、コンバータ7によるコンデンサ25の充電が開始され、更にDCバスライン電圧が上昇して、インバータ2が運転を開始することになる。
【0067】
以上で説明したように、図4で示す本発明の系統連系システムでは、インバータ2が起動するまで全てのコンバータ7は運転を開始しない。従って、朝、太陽電池に日射が照射してもコンバータ7はインバータ2が起動するまで運転(電力変換)を開始しない。このため、インバータ2を起動させた後に全てのコンバータ7の運転を開始するので、インバータ2は一旦運転を開始すると運転を安定して継続できるとともに全ての太陽電池の発電電力を無駄にすることなく有効に利用できる。
【0068】
従って、ごく一部の太陽電池のみしか運転を開始できないような日射条件を除いて、インバータを起動すれば、従来問題となっていたような一部のコンバータのみが運転開始するために発生していたインバータの運転開始と停止を繰り返す現象をを防止することができる。
【0069】
なお以上で説明したように、本実施例では、図4の10台のコンバータ7の運転を開始するDCバスライン3の電圧は、図2のインバータ2のインバータ電力変換部21の整流により系統1の電圧を全波整流して用いる。そのため、図4のコンバータ7の運転開始電圧値V5は、全波整流により得られる平均電圧以下の電圧を選択するようにする。例えば、系統1が200[V]の交流系統の場合には180[V]程度に設定する。
【0070】
また、インバータ2は、コンバータ7が運転を開始してDCバスラインの電圧Vdcが上昇することを検出して運転を開始する。従ってインバータ2の運転開始電圧値V2は、全波整流により得られる電圧より大きい電圧で、かつコンバータ7が出力可能な電圧を選択する。例えば系統1が200[V]の交流系統の場合、コンバータ7が出力可能であれば300[V]程度とすればよい。
【0071】
【実施例2】
次に、実施例1と異なる太陽光発電システムについて図11〜図17を用いて説明する。図11は、太陽光発電システムの別の実施例の概念図である。
【0072】
なお、実施例1の太陽光発電システムと本実施例の同システムの主な相違点は、実施例1では系統連系スイッチ24をオンした際に系統1からインバータ2へ突入電流が生じるので、本実施例ではこの突入電流を抑制するために、図2のコンデンサ25を図12のように抵抗を介して充電可能とするように変更した点である。
【0073】
詳細には、実施例1のインバータ2とコンバータ7を、本実施例では図11に示す10台の系統連系インバータ装置9(以下インバータ9)と10台のコンバータ装置10(コンバータ10)に変更した点である。
【0074】
さらに詳細には、インバータ9がインバータ2と異なる点は、図5のインバータ制御部22の代わりに図13に示すインバータインバータ制御部92を用いた点と、さらに電流制限素子930と選択部931および選択部駆動回路933を加えた点である。また、コンバータ10がコンバータ7と異なる点は、図8のコンバータ制御部42の代わりに図15のコンバータ制御部102を用いた点である。そこで、以下、これら変更点を中心として本実施例を説明する。
【0075】
[インバータ(実施例2):図12]
まず、インバータ9の詳細な構成と運転開始方法について説明する。
【0076】
図12にインバータ9の機能ブロック図を示す。インバータ制御部92は選択部駆動回路933へ選択制御信号S11および選択制御信号S12を出力する。選択部駆動回路933は選択部931の駆動回路であり、選択制御信号S11および選択制御信号S12を入力して、選択信号S13および選択信号S14を選択部931へ出力する。
【0077】
選択部931は、P、Q、Rの3端子を有する選択スイッチであり、選択信号S13を入力してR端子とQ端子を接続する。また選択信号S14を入力してR端子とP端子を接続する。なお、P端子はインバータ9の入力の片側バスに接続されている。電流制限素子930は、P端子と同一側のバスと選択部931のQ端子間に直列接続された抵抗器である。またコンデンサ25は、実施例1のコンデンサ25と同一構成の入力平滑コンデンサであり、電流制限素子930が接続するインバータ9の入力バスとは別の片側バスと上記R端子間に直列接続される。
【0078】
[インバータ制御部(実施例2):図13]
図13にインバータ制御部92の機能ブロック図を示す。
インバータ制御部92は実施例1のインバータ制御部22(図5)に対して、マイコン225をマイコン925に変更して、かつカウンタ921、所定値922、比較器923を追加している。
【0079】
マイコン925はメインスイッチ27が出力する起動信号S2を入力すると、カウンタ921へカウント開始信号S15を出力する。さらに、後記する選択完了信号S16を入力すると、スイッチ制御信号S3をスイッチ駆動回路28へ出力すると共に、選択制御信号S12を選択部駆動回路933へ出力する。また、マイコン225と同様に比較器223が出力する運転開始信号S6を入力すると、ゲート制御信号S7をゲート駆動回路226へ出力する。
【0080】
また、カウント921は、カウント開始信号S15を入力してゼロよりカウントする。そして、カウント結果であるカウント信号n1を比較器923へ出力する。また所定値922は予め設定した選択部931の選択動作の完了を待つ時間であり、所定値N1を比較器923へ出力する。比較器923ではカウント信号n1と所定値N1を比較して、同n1がN1以上の場合、マイコン1125へ選択完了信号S15を出力する。
【0081】
[インバータの運転開始方法:図14]
図14はインバータ11の運転開始方法について説明したフローチャートである。なお図14のステップST5〜ステップST8は実施例1の図6のステップST5〜ステップST8と同一の処理である。
【0082】
まず、ステップST0でインバータ9のメインスイッチ27がオン(起動)されたことを受信する。
【0083】
次に、ステップST1では、選択部931がQ端子を選択する。次にステップST2では、カウンタ921のカウントn1をゼロクリアする。次にステップST3では、前記カウントn1を1つインクリメントする。
【0084】
次にステップST4では、前記カウントn1と所定値N1を比較して、同n1がN1未満の場合はステップST3へ戻り、同n1がN1以上の場合はステップST5へ進む。
【0085】
次に、ステップST5では連系スイッチがオンとなる。次に、ステップST6ではインバータ電力変換部21を介して系統の交流が全波整流されて、コンデンサ25は充電される。次にステップST7では、電圧検出部26にてVdc1を検出する。
【0086】
そしてステップST8では、Vdc1の平均値であるディジタルデータD2と運転開始電圧値V2を比較して、D2がV2未満の場合には、ステップST8へ戻って待機し、D2がV2以上となると、ステップST9に進み、選択部931がP端子を選択してからステップST30に進みインバータ9が運転を開始する。
【0087】
以上の制御により、インバータ11はメインスイッチ27をオンした後、選択部931は電流制限素子930が接続されたQ端子を選択する。そして、選択部931の駆動完了を待つ所定値N1後に連系スイッチ24はオンする。これにより、系統1から供給される全波整流された電流は電流制限素子930により制限されてコンデンサ25を充電することで、系統1からインバータ9へ流入する突入電流が防止される。その後、電流制限素子930での損失を回避するため、選択部931はP端子を選択する。このように選択部931における端子切り換え動作が完了する時間を待って系統連系スイッチをオンするため、確実にコンデンサ25を電流制限素子930に接続して充電できる。
【0088】
[コンバータの構成(実施例2):図15]
次に、コンバータ10の詳細な構成と起動方法や運転開始方法について説明する。図15にコンバータ制御部102の機能ブロック図を示す。
【0089】
コンバータ10の基本構成はコンバータ制御部102を除いて図7と同様である。コンバータ制御部102は実施例1のコンバータ制御部42(図8)に対して、マイコン428をマイコン1028に変更して、かつカウンタ1021、所定値1022、比較器1023を追加している。なお、コンバータ制御部102の機能上の変更点は、実施例1のコンバータ7の運転開始条件(電源電圧V3が起動電圧値V4以上でかつ、DCバス電圧が運転開始電圧値V5以上)が成立後に、インバータ9の連系準備時間を待つ連系待機時間を設けた点である。
【0090】
マイコン1028はマイコン428と同様に、比較器422が出力する起動信号S8を入力する。また、比較器426が出力する運転開始信号S9を入力する。そして、これら起動信号S8と運転開始信号S9の双方を入力すると、カウンタ1021へカウント開始信号S16を出力する。また、カウント1021はコンバータ10が運転開始を待機している時間をカウントする計測手段であり、カウント開始信号S16を入力してゼロよりカウントする。そして、カウント結果であるカウント信号n2を比較器1023へ出力する。
【0091】
また所定値1022は、コンバータ10の連系待機時間であり、所定値N2を比較器1023へ出力する。比較器1023ではカウント信号n2と所定値N2を比較して、同n2がN2以上の場合、マイコン1028へ待機状態解除信号S17を出力する。そしてマイコン1028は待機状態解除信号S17を入力して、ゲート駆動回路429へゲート制御信号S10を出力する。
【0092】
[コンバータの起動および運転開始方法:図16]
図16はコンバータ10の起動方法や運転開始方法について説明したフローチャートであり、図15を参照しながら説明する。なお図9と同一のステップには同一の符号を付ける。
【0093】
まず、ステップST0で太陽電池8が発電を開始し太陽電池8より電力が入力されると、ステップST10に進み、コンバータ制御電源75がオン(起動開始)して、電源電圧Vccをコンバータ制御部42へ出力する。
【0094】
次に、ステップST11ではコンバータ制御部42は電圧信号V3を検出すると、AD変換してディジタルデータD3を出力する。
【0095】
次に、ステップST12では電圧信号のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合はステップST130へ進み、同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。
【0096】
ステップST130では、カウンタ1021のカウントn2をゼロクリアする。そして、ステップST14では電圧検出部41にてDCバスライン3の電圧Vdc2を検出する。
【0097】
次に、ステップST15ではDCバスライン3の電圧Vdc2の平均値であるディジタルデータD5と運転開始電圧値V5を比較して、同D5がV5以上の場合にはステップST160に進み、ステップST15で同D5がV5未満の場合にはステップST11へ戻り、上記説明した処理を継続して行う。
【0098】
次にステップST160では、前記カウントn2を1つインクリメントする。そしてステップST170では、前記カウントn2と連系待機時間である所定値N2を比較して同n2がN2以上の場合、ステップST16に進みコンバータ制御部102から電力変換部43による電力変換を開始するためのゲート信号S5を出力する。次に、ステップS17では、電力変換部43による電力変換を開始する。
【0099】
一方、ステップST170で同n2がN2未満の場合、ステップST180へ進む。ステップST180では、電圧信号V3を検出する。そしてステップST190では、電圧信号V3のディジタルデータD3と起動電圧値V4を比較して、同D3がV4以上の場合はステップST14へ戻る。また同D3がV4未満の場合はステップST11へ戻る。
【0100】
以上の制御により、コンバータ制御電源75の出力電圧V3がコンバータ制御部42の起動電圧値V4以上の条件で、かつDCバスライン3の電圧の平均値が運転開始電圧値V5以上となる条件で、コンバータ7は運転を開始する。
【0101】
なお、コンバータ制御電源75が供給する上記の電圧V3は、少なくともコンバータ制御部42がオンしてVccを検出可能な電源電圧の下限値V6(以下電源電圧下限値V6)以上とする。
【0102】
以上、ステップST130およびステップST160〜ステップST190の処理により、実施例1のコンバータの運転開始条件(電源電圧V3が起動電圧値V4以上でかつ、DCバス電圧が運転開始電圧値V5以上)が成立後に、カウントn2が所定値N2以上となるまでコンバータ10は連系待機状態となる。
【0103】
[インバータとコンバータの起動および運転開始のタイミング:図17]
以上で示したインバータ11とコンバータ10の各起動や運転開始のタイミング関係について、図17を参照して説明する。
【0104】
図17は、横軸が経過時間で縦軸がインバータ11およびコンバータ10の運転や連系スイッチの状態と、また各部電圧を示す状態遷移図である。
【0105】
なお、期間T1〜T2は実施例1の図10の期間T1〜T2と同一である。
【0106】
期間T4では、時刻t1においてインバータ11のメインスイッチがオンされ、上記所定値N1で規定した所定期間X1後の時刻t4に連系スイッチ24がオンになる。そして期間T5では、電流制限素子930を介してコンデンサ25が充電される。
【0107】
また時刻t7において、DCバスライン3の電圧Vdcはコンバータ10の運転開始電圧値V5を越えた後、系統1が全波整流された電圧の平均値を維持する。そして期間T6では時刻t7より所定値N2で規定した所定期間X2後の時刻t5において、コンバータ10は運転を開始する。
【0108】
そしてコンバータ10がコンデンサ25を充電することにより、Vdcは更に上昇する。次に期間T7では時刻t6において、Vdcはインバータ11の運転開始電圧値V2に到達してインバータ11は運転を開始する。また、インバータ11の出力制御により、電圧Vdcは通常運転電圧範囲に収まり、本システムは定常運転状態を維持する。
【0109】
以上より、本実施例の電力変換システムでは、インバータの入力部に並列接続されたコンデンサを電流抑制素子を介して充電するため、実施例1の系統連系スイッチ24をオンした際に生じる系統1からインバータ2への突入電流が抑制される。
【0110】
なお、電流制限素子930は本実施例の抵抗器に限定されない。要は、系統連系スイッチがオンした際に生じる系統1からインバータ9に流入する突入電流を抑制できる素子であればよく、例えばインダクタでもよい。
【0111】
【実施例3】
次に、実施例1および実施例2と異なる太陽光発電システムについて図18〜図19を用いて説明する。図18は、本実施例の太陽光発電システムの概念図である。
【0112】
なお、実施例1の太陽光発電システムと本実施例の同システムの相違点は、実施例1のインバータ2と太陽電池8を、本実施例では系統連系インバータ装置11(以下インバータ11)と太陽電池12(太陽電池8の1/2の発電容量)に変更した点である。
【0113】
さらに詳細には、インバータ11は、インバータ電力変換部21の代わりにインバータ電力変換部1121を用いた点と、インバータ制御部22の代わりにインバータ制御部1122を用いた点がインバータ2と異なる。
【0114】
また、太陽電池12は、太陽電池8の1/2の発電容量にした太陽電池である点が異なる。また、コンバータ7を20台並列にして1台のインバータ11へ出力する点が異なる。
【0115】
[インバータ(実施例3):図19]
図19はインバータ11の機能ブロック図である。
【0116】
インバータ11のインバータ電力変換部1121は公知公用のハーフブリッジ回路であり、図2のインバータ電力変換部21のQ1およびQ2の代わりにコンデンサC1およびC2で構成されている。また、インバータ電力制御部1122はゲート信号S18をインバータ電力変換部1121へ出力する。
【0117】
以上、本発明の電力変換システムの運転の開始方法では、インバータ電力変換部の回路構成は実施例1や実施例2で示したフルブリッジ回路に限定されず、上記のようなハーフブリッジ回路にも適用できる。また、太陽電池の発電容量に限定されない。また、本実施例のように太陽電池の発電容量が小さくコンバータや太陽電池の台数が多くなる場合には、実施例1に比較し本発明の効果がより大きくなる。
【0118】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0119】
また、本発明の目的は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0120】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体およびプログラム自体が本発明を構成することになる。
【0121】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0122】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図6、9、14、16に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0125】
以上説明したように、本発明の電力変換システムでは、以下の効果が得られる。インバータが全てのコンバータの運転開始を同時に許可するまで全てのコンバータは運転を開始しない。よって、従来のようにごく一部のコンバータのみが運転を開始することない。そのため従来問題となっていたような、インバータが運転の開始と停止などを繰り返すことを防止することができる。
【0126】
また、コンバータの台数が増えるほど一般的にそれらの稼働開始時間のばらつきは大きくなるので、コンバータの台数が多い電力変換システムでは起動停止時におけるインバータの運転開始と停止を繰り返す現象を解消する効果をより大きくすることができる。
【0127】
また、上記インバータでは複数のコンバータの運転開始の同時許可手段として系統連系スイッチを用い、コンバータはこの系統連系スイッチが作動するときに生じる電圧変動を検知すると、コンバータの運転開始を許可する。このコンバータの運転開始の許可手段には、一般的な系統連系インバータが具備する系統連系スイッチを流用するので、製造コストの上昇につながる新たな部品点数の増加は不要であり、上記システムを安価に実現できるという効果が得られる。
【0128】
以上説明した本発明の実施態様をまとめると以下のようになる。
【0129】
[実施態様1] 入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置とを含む電力変換システムであって、
前記インバータ装置は、
前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を送信する制御情報送信手段を有し、
前記複数の電力変換装置はそれぞれ、
前記制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記電力変換手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記複数の電力変換装置は前記インバータ装置からの前記制御情報に基づいて、略同時にそれぞれ前記直流電力の変換を開始または終了することを特徴とする電力変換システム。
【0130】
[実施態様2] 前記制御情報は前記直流電力の変換開始情報であり、前記複数の電力変換装置は前記変換開始情報をそれぞれ受信すると、略同時に前記直流電圧の変換を開始することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0131】
[実施態様3] 前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して太陽電池が接続されていることを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0132】
[実施態様4] 前記電力変換装置は制御電源として前記太陽電池から出力される直流電力を用いることを特徴とする実施態様3に記載の電力変換システム。
【0133】
[実施態様5] 前記インバータ装置はスイッチを有し、前記スイッチを介して前記インバータ装置と前記電力系統とが接続されていることを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0134】
[実施態様6] 前記制御情報受信手段は、前記インバータ装置の電圧値の変化を検出する検出手段を有し、前記制御手段は該電圧値が所定電圧以上の場合に前記電力変換手段が前記直流電圧の変換を開始するまたは終了するように制御することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0135】
[実施態様7] 前記制御手段は前記電圧値が所定電圧以上の場合が所定時間経過した後に前記直流電圧の変換を開始するまたは終了するように制御することを特徴とする実施態様6に記載の電力変換システム。
【0136】
[実施態様8] 前記電圧値の変化は、前記スイッチが閉じられて前記インバータ装置と前記商用電力系統とが接続されたときに、前記商用電力系統から前記前記インバータ装置に供給される交流電力に基づいた電圧変化であることを特徴とする実施態様6に記載の電力変換システム。
【0137】
[実施態様9] 前記インバータ装置はDC/ACインバータ回路を有し、前記商用電力系統から前記インバータ装置に供給される交流電力は、前記DC/ACインバータ回路によって整流されることを特徴とする実施態様8に記載の電力変換システム。
【0138】
[実施態様10] 前記DC/ACインバータ回路は、前記整流された電流を平滑化するコンデンサを有することを特徴とする実施態様9に記載の電力変換システム。
【0139】
[実施態様11] 前記インバータ装置は、前記複数の電力変換装置から入力される電圧値の変化を検出する電圧検出手段と、直流電力を交流電力に変換するインバータ電力変換手段と、前記入力される電圧値が所定値を超えた場合に前記変換を開始するように前記インバータ電力変換手段を制御するインバータ制御手段とを有することを特徴とする実施態様1に記載の電力変換システム。
【0140】
[実施態様12] 入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置であって、
前記インバータ装置を前記電力系統に接続するスイッチ回路と、
前記インバータ装置が前記電力系統に接続されると、前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を送信する制御情報送信手段と、
を有することを特徴とするインバータ装置。
【0141】
[実施態様13] 入力される直流電力を変換する電力変換装置であって、
前記直流電力の変換開始または終了に関する制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記直流電圧の変換を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電力変換装置。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、複数の電力変換装置がインバータ装置に並列接続されている電力変換システムにおいて、インバータ装置が運転の開始と停止とを繰り返す現象を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に関わる電力変換システムの概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロックである。
【図3】本発明の実施の形態に関わるコンバータ装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に関わる電力変換システムの概念図である。
【図5】本発明の実施例1に関わる系統連系インバータ装置のインバータ制御部22の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施例1に関わる系統連系インバータ装置の運転の開始方法を説明したフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図9】本発明の実施例1に関わるコンバータ装置の起動方法を説明したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1に関わる電力変換システムの運転の各部電圧および起動方法や開始方法に関する状態遷移図である。
【図11】本発明の実施例2に関わる電力変換システムの概念図である。
【図12】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロック図である。
【図13】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図14】本発明の実施例2に関わる系統連系インバータ装置の運転の開始方法を説明したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例2に関わるコンバータ装置の制御部の機能ブロック図である。
【図16】本発明の実施例2に関わるコンバータ装置の起動方法を説明したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例2に関わる電力変換システムの各部電圧および起動方法や運転の開始方法に関する状態遷移図である。
【図18】本発明の実施例3に関わる電力変換システムの概念図である。
【図19】本発明の実施例3に関わる系統連系インバータ装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
1:系統、
2:系統連系インバータ装置、
3:DCバスライン、
4−1〜4−10:コンバータ装置、
4−1〜4−20:コンバータ装置、
7−1〜7−10:コンバータ装置、
8−1〜8−10:太陽電池、
9:系統連系インバータ装置、
10:コンバータ装置、
11:系統連系インバータ装置、
12−1〜12−20:太陽電池、
21:インバータ電力変換部、
22:インバータ制御部、
23:リアクトル、
24:連系スイッチ、
25:コンデンサ、
26:電圧検出部、
27:メインスイッチ、
28:スイッチ駆動回路、
41:電圧検出部、
42:コンバータ制御部、
43:コンバータ電力変換部、
221:AD変換器、
222:積分器、
223:比較器、
224:起動電圧値、
225:マイコン、
226:ゲート駆動回路、
75:コンバータ制御電源、
421:AD変換器、
422:比較器、
423:コンバータ起動電圧値、
424:AD変換器、
425:積分器、
426:比較器、
427:コンバータ運転開始電圧値、
428:マイコン、
429:ゲート駆動回路、
930:電流制限素子、
931:選択部、
933:選択部駆動回路、
92:インバータ制御部、
921;カウンタ、
922:所定値、
923:比較器、
925:マイコン、
1021:カウンタ、
1022:所定値、
1023:比較器、
1028:マイコン、
1121:インバータ電力変換部、
1122:インバータ制御部
Claims (1)
- 入力される直流電力を変換する複数の電力変換装置と、前記複数の電力変換装置から出力される直流電力を並列に入力して交流電力に変換し電力系統に出力するインバータ装置とを含む電力変換システムであって、
前記インバータ装置は、
前記複数の電力変換装置のそれぞれに対して略同時に起動開始または起動停止に関する制御情報を送信する制御情報送信手段を有し、
前記複数の電力変換装置はそれぞれ、
前記制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報に基づいて前記電力変換手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記複数の電力変換装置は前記インバータ装置からの前記制御情報に基づいて、略同時にそれぞれ前記直流電力の変換を開始または終了することを特徴とする電力変換システム。
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