JP2004143037A - セメント組成物及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セメント、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、特に、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるアルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、及び石炭灰、さらに、これらにアルミン酸塩と硫酸塩を含有してなる硬化促進剤を配合した、特に、セメント100部に対して、50部以上である石炭灰を含有してなるセメント組成物、セメント−石炭灰−水系のA液と、硬化促進剤と水との混合物とアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水との混合物とを混合したB液を使用直前に混合するか、該A液、硬化促進剤−水系のB液、及びアルカリ増粘型ポリマーエマルジョン−水系のC液を使用直前に混合するセメント組成物の使用方法を構成とする。
【選択図】 なし
Description
従来、裏込め材としては、通常、セメントベントナイトが用いられてきたが、流動性が大きすぎ、裏込め材が遠方まで不必要に逸流する、湧水があると裏込め材が流出するなどの課題があった。
しかしながら、強度発現性が小さいため、一次注入や二次注入に移るまでに時間がかかる、粘性が小さく、材料分離しやすいため、特殊スリーブ管の上部と下部に強度差が生じやすいなどの課題があった。
なお、本発明でいう部や%は特に規定のない限り質量基準である。
不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の方法により、共重合する方法等が挙げられる。
石炭灰は細かければ細かいほど可塑性の面で好ましい。具体的には、200メッシュなどの篩を通した微粉や、集塵機で得られたフライアッシュが好ましい。
石炭灰の使用量は、石炭灰の種類や品質により変わるため一義的に規定することはできないが、一般的には、セメント100部に対して、50〜500部が好ましく、100〜300部がより好ましい。50部未満では粘度が上昇せず、フローが大きくなり、水中不分離性が悪くなる場合があり、500部を超えると粘性が高くなり過ぎ、セメント組成物を混合できない場合がある。
アルミン酸カルシウムとは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAl2O3の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した物質、あるいは、CaOとAl2O3とを主成分とするものに、これらが固溶した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであってもよい。
これらの中では、反応活性の面で、非晶質のアルミン酸カルシウムが好ましく、12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のアルミン酸カルシウムがより好ましい。
アルミン酸カルシウムの粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が低下する場合がある。
硫酸カルシウムとしては、無水石膏、半水石膏、又は二水石膏等が挙げられ、これらの中では、強度発現性の面で、無水石膏が好ましい。
硫酸塩の粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が低下する場合がある。
セメント組成物の混合方法は特に規定されるものではないが、セメントと石炭灰をあらかじめ水と混合したセメント−石炭灰液をA液とし、アルミン酸塩と硫酸塩を含有してなる硬化促進剤と水との混合物(以下、硬化促進剤液という)と、本エマルジョンと水との混合物(以下、本エマルジョン液という)とを混合してB液とし、使用直前にこのA液とB液を混合することにより、また、セメント−石炭灰液をA液とし、硬化促進剤液をB液とし、本エマルジョン液をC液とし、使用直前にこのA液、B液、及びC液を混合することにより粘度を急激に上昇させる方法が好ましい。
なお、本エマルジョンと硬化促進剤をあらかじめ水と混合して溶液又は懸濁液とすることは、混合性が良好となり、増粘性の面から好ましい。
また、硬化促進剤は、水と混合すると硬化するおそれがあるので、硬化遅延剤を併用することが好ましい。
硬化遅延剤の使用量は、セメント100部に対して、0.01〜10部が好ましく、0.05〜5部がより好ましい。0.01部未満では遅延効果が小さい場合があり、10部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
その場合の水の使用量は特に限定されるものではないが、本エマルジョンの場合は、本エマルジョンの固形分の5倍から20倍の水で希釈することが好ましく、硬化促進剤の場合は、その1倍から3倍に希釈することが好ましい。水の量がこれより少ないと粘性が高くなり混合性が悪くなる場合があり、水の量が多くなると、その希釈水の希釈効果が多くなり、水中不分離性が悪くなる場合がある。
本発明において、セメント、石炭灰、及び水を混合したセメント-石炭灰液のA液と、本エマルジョン液-硬化促進剤液のB液を別々に圧送し、ノズル先端で合流混合しながら使用することも可能であるが、セメント-石炭灰液のA液、本エマルジョンと水とを混合して2倍量にした本エマルジョン液のB液、及び硬化促進剤と水とを混合して2倍量にした硬化促進剤液のC液の三種類の液を別々に圧送し、ノズル先端で合流混合しながら使用することがより好ましい。
また、セメント組成物をより均一に混合するため、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサをセットし、さらにセメント組成物を混合する方法も挙げられる。
次に、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部の本エマルジョンαと水5部を混合してB液とた。
A液とB液をミキサーに投入し、5秒間混練し、混練物を調製した。
調製した混練物の、フロー、水中不分離性、及び圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
本エマルジョンα:固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン
石炭灰ア :フライアッシュ、市販品
石炭灰イ :石炭灰原粉、市販品
フロー :内径80mm、高さ80mmのシリンダーに混練物を入れ、シリンダーを引き抜いた後の広がりを2分後に測定
水中不分離性:土木学会の水中不分離コンクリート設計施工指針付属書の水中分離度試験に準じて実施、水の濁りが全くない場合を優、水の濁りがわずかにある場合を良、水の濁りはあるが実用可能の場合を可、及び材料が分離し、水の濁りが大の場合を不可
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
次に、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部の本エマルジョンαと水5部を混合してB液とし、アルミン酸塩と硫酸塩の等量配合の硬化促進剤a5部と水10部を混合してC液とした。
A液、B液、及びC液をミキサーに続けて投入したこと以外は実施例1と同様に行った。
結果を表2に併記する。
アルミン酸塩:アルミン酸カルシウム、12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷したもの、非晶質、ブレーン値6,000cm2/g
硫酸塩 :無水石膏、ブレーン値5,400cm2/g
なお、比較のため、本エマルジョンの代わりにアルカリ増粘性を有さない非本エマルジョンを用いて同様な実験を行った。結果を表3に併記する。
本エマルジョンβ:固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチレン/酢酸ビニル共重合ポリマーエマルジョン70部と、エチレン:酢酸ビニル=18:82のエチルアクリレート/アクリル酸共重合ポリマーエマルジョン30部の混合物
非本エマルジョン:固形分濃度30%、スチレン:2-エチルヘキシルアクリレート=45:55のスチレン/2-エチルヘキシルアクリレート共重合ポリマーエマルジョン
硬化遅延剤:オキシカルボン酸塩、クエン酸ナトリウム、市販品
Claims (6)
- セメント、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、及び石炭灰を含有してなるセメント組成物。
- セメント、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、アルミン酸塩と硫酸塩を含有してなる硬化促進剤、及び石炭灰を含有してなるセメント組成物。
- 石炭灰が、セメント100部に対して、50部以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
- アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるポリマーエマルジョンであることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載のセメント組成物。
- セメント、石炭灰、及び水をあらかじめ混合してA液とし、アルミン酸塩と硫酸塩を含有してなる硬化促進剤と水とを混合してなる混合物と、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを混合してなる混合物とを混合してB液とし、使用直前に、A液とB液を混合することを特徴とするセメント組成物の使用方法。
- セメント、石炭灰、及び水をあらかじめ混合してA液とし、アルミン酸塩と硫酸塩を含有してなる硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をB液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をC液とし、使用直前に、A液、B液、及びC液を混合することを特徴とするセメント組成物の使用方法。
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