【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低反射ガラス(低反射率膜付きガラス)の製造方法に係り、さらに詳しくは低反射率で、耐摩耗性や耐薬品性などに優れた低反射ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、低反射ガラスの作製方法としては、次の如き方法が一般に行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、
(1)真空製膜法やスパッタリングなどの気相法により、酸化チタンなどの高屈折率材料と酸化珪素などの低屈折率材料とを、屈折率や膜厚を制御してガラス基板に膜同士の界面を明確になるよう積層し、光学干渉を利用した多層膜を積層して低反射ガラスを作製する方法、
(2)スパッタリングなどの気相法により、チタンの窒化物などの光吸収性材料と酸化珪素などの低屈折率材料とを、屈折率や膜厚を制御してガラス基板に2層以上を膜同士の界面を明確になるよう積層することにより、光学干渉を利用した低反射ガラスを作製する方法、
(3)金属アルコキシドなどを用いてゾル−ゲル法などにより、酸化チタンなどの高屈折率材料と酸化珪素などの低屈折率材料とを、屈折率や膜厚を制御してガラス基板に2層以上を膜同士の界面を明確になるよう積層することにより、光学干渉を利用した低反射ガラスを作製する方法、および
(4)金属イオン含有水溶液や金属アルコキシドなどを用いてゾル−ゲル法により、酸化チタンなどの高屈折率材料と酸化珪素などの低屈折率材料とを、屈折率や膜厚を制御してガラス基板に2層以上を膜同士の界面を明確になるように積層することにより、光学干渉を利用した低反射ガラスを作製する方法が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−194295号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の真空製膜法やスパッタリング法を使用する方法は、大掛かりな設備が必要となるため、コストが嵩むという問題がある。また、金属アルコキシドなどを使用したゾル−ゲル法などにより膜同士の界面を明確にし、光学干渉を利用した低反射ガラスは、膜同士の界面を明確にするため、各層への処理液塗布後に高温で乾燥する必要があり、生産性が悪くなる問題点がある。
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、低反射率で耐摩耗性や耐薬品性などに優れた低反射ガラスを生産性よく製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂B1および有機溶剤を含む処理液(1)を、透明ガラス基板の表面に塗布した後、50〜200℃で乾燥し、次いで、その表面に、樹脂B1より高温で熱分解する樹脂B2、有機珪素化合物、および有機溶剤を含む処理液(2)を、樹脂B1と樹脂B2との質量比がB2/B1=0.6〜3.0となるように塗布した後、50〜200℃で乾燥し、次いで400〜800℃で焼成することを特徴とする低反射ガラスの製造方法を提供する。
【0006】
上記本発明においては、前記樹脂B1がニトロセルロースであり、樹脂B2がエチルセルロースであること;前記処理液(1)が、さらに有機珪素化合物を含むものであること;前記処理液(1)が有機珪素化合物を含む場合は、前記処理液(1)からなる焼成後膜厚が5〜100nmであり、前記処理液(2)からなる焼成後膜厚が30〜150nmであること;前記透明ガラス基板が、熱線吸収ガラスまたは高熱線吸収ガラスであることが好ましい。
【0007】
上記本発明によれば、耐摩耗性や耐薬品性などの耐久性に優れた低反射ガラスを製造することができる。また、上記処理液(1)および処理液(2)によって作製した膜は、処理液塗布後に高温での乾燥を行わず、焼成を実施するため、膜の構成成分が膜の深さ方向に連続的に変化し、明確な界面がない低反射率膜となる。従って本発明により形成される膜は、膜厚方向に成分が変化する、すなわち、膜厚方向に屈折率が変化することを特徴とし、比較的フラットな反射特性を有する低反射ガラスを提供できる。
【0008】
また、前記処理液(1)が有機珪素化合物を含む場合は、前記処理液(1)からなる焼成後膜厚を5〜100nmとし、前記処理液(2)からなる焼成後膜厚を30〜150nmとすることにより、耐摩耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、かつ低反射率性能に優れた低反射ガラスが得られる。また、透明ガラス基板として、熱線カット効果を有する熱線吸収ガラスまたは高熱線吸収ガラス、例えば、グリーン色のガラス(グリーンガラス)を用いることにより、熱線カット効果を有する低反射ガラスが得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
処理液(1)に使用する、比較的低温で熱分解する樹脂B1は、有機溶剤に可溶で、処理液(1)の粘度を適度に維持して、ガラス基板への塗布、および塗布物の乾燥後の取扱を良好にし、かつ焼成時に比較的低温で熱分解することが必要である。樹脂B1の熱分解温度としては、150〜400℃の範囲が好ましい。熱分解温度が150℃未満では、塗布膜の乾燥工程で、樹脂B1が熱分解してしまう場合があるためである。一方、熱分解温度が400℃を超えると、処理液(1)に有機珪素化合物を含む場合に、焼成後の酸化珪素膜の強度が充分でなくなる場合があるためである。
【0010】
具体的な樹脂B1としては、例えば、ニトロセルロースなどの熱分解性のセルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル類などの樹脂が挙げられる。好ましい樹脂B1は、重量平均分子量2,000〜200,000、より好ましくは重量平均分子量が3,000〜150,000のニトロセルロースである。樹脂B1の添加量は、処理液(1)の粘度と、所望する膜厚によって決定され、特に限定されないが、一般的には処理液(1)において3〜30質量%を占める量である。この処理液(1)では、屈折率が1.4〜1.6である膜を形成できるよう、組成を調整することが好ましい。
【0011】
処理液(2)に使用する、樹脂B1よりも高温で熱分解する樹脂B2は、後述の有機溶剤に可溶で、処理液(2)の粘度を適度に維持して処理液のガラス基板への塗布、および処理液の乾燥後の取扱を良好にし、かつ焼成時に比較的高温で熱分解することが必要である。樹脂B2の熱分解温度としては、250〜500℃の範囲が好ましい。熱分解温度が250℃未満では、膜の低反射化が不充分となる場合があるためである。一方、熱分解温度が500℃を超えると、焼成後の酸化珪素膜強度が充分でなくなる場合があるためである。
【0012】
具体的な樹脂B2としては、例えば、エチルセルロースなどの熱分解性のセルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル類などの樹脂が挙げられる。好ましい樹脂B2は重量平均分子量が10,000〜120,000のエチルセルロースである。樹脂B2の添加量は、処理液(2)の粘度と、所望する膜厚によって決定され、特に限定されないが、一般的には処理液(2)において3〜20質量%を占める量である。この処理液(2)では、屈折率が1.3〜1.4である膜を形成できるよう、組成を調整することが好ましい。
【0013】
以上の樹脂B1と樹脂B2とは、樹脂B1の熱分解温度(T1)と樹脂B2の熱分解温度(T2)とが、T2−T1≧100℃であるように組み合わせて使用することが好ましい。上記熱分解温度の関係がT2−T1<100℃であると、低反射ガラス板の可視光反射率が高くなり過ぎる場合があるためである。尚、ここで樹脂の熱分解温度とは、樹脂の90質量%以上が焼失する温度(℃)をいう。
【0014】
本発明で使用する、処理液(2)に含まれる有機珪素化合物は、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどの珪素のアルコキシド類、ポリシロキサン骨格を持つ各種シリコンオイル、シリコンワニスなどを挙げることができる。これらの有機珪素化合物は、処理液(1)に含まれていてもよい。但し、処理液(1)に有機珪素化合物が含まれていると、樹脂B1の種類によっては相分離を起こしやすく、膜面平滑性が悪化してしまう場合もある。したがって、処理液(1)には、必ずしも有機珪素化合物を添加しなくてもよい。また、処理液(1)および処理液(2)において同一の化合物を用いてもよいし、異なる化合物を用いてもよい。また、それぞれ単独でも混合物としても使用できる。
【0015】
処理液(1)および処理液(2)に使用する有機溶剤は、有機珪素化合物(処理液(1)も含有する場合)、樹脂B1および樹脂B2を溶解できるものであれば特に制限はなく、処理液(1)または処理液(2)の塗布方法などにより適宜選択される。具体的には、メタクレゾール、ジメチルホルムアミド、カルビトール、α−テルピネオール、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、トルエンなどの高沸点溶剤が、前記処理液(1)および処理液(2)をガラス基板表面に塗布するうえで好ましい。これらの有機溶剤は、処理液(1)および処理液(2)において同一の溶剤を用いてもよいし、異なる溶剤を用いてもよい。また、それぞれ単独でも混合物としても使用できる。
【0016】
処理液(1)および処理液(2)の製造方法は特に限定されないが、例えば、溶剤と樹脂B1または樹脂B2を所定量はかりとり、60〜100℃(好ましくは70〜80℃)の温度のもとで、20〜40分間攪拌し、この溶液に有機珪素化合物を配合して(処理液(1)も含有する場合)60〜100℃(好ましくは70〜80℃)の温度のもとで、20〜40分間攪拌混合し、得られた処理液(1)または処理液(2)を保管容器に移して、自然冷却することで、本発明で用いる処理液(1)および処理液(2)を得ることができる。
【0017】
本発明に使用する透明ガラス基板としては、特に限定されないが、熱線吸収ガラスまたは、さらに熱線カット効果を高めた高熱線吸収ガラスを使用することが好ましい。例えば、自動車用窓ガラスなどの如く、熱線カット効果が要求される用途には、グリーンガラスが好ましい。グリーンガラスは、グリーン色を呈しているものであればいずれでもよく、例えば、ソーダ石灰シリカ系ガラス成分を基礎成分とし、Fe2O3、NiO、TiO2などを適宜配合したグリーン色を呈するガラス、ガラス成分中にFe2O3、CoO、Seなどを配合してグリーン色を呈するガラスなどが挙げられ、フロートガラスやアルカリガラスなどがある。また、熱線カット効果を有するグリーンガラスを使用することにより、本発明の方法により低反射ガラスを形成しても、熱線カット効果を維持する。
【0018】
本発明では、上記ガラス基板表面に処理液(1)を塗布した後、50〜200℃で乾燥し、次いで、その表面に処理液(2)を塗布した後、50〜200℃で乾燥し、次いで400〜800℃で焼成することにより、目的とする低反射ガラスが得られる。処理液(1)および処理液(2)の塗布方法としては、例えば、スプレー、ディップ、ロールコート、スピンコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法が何れも使用できる。
【0019】
さらに、処理液(1)および処理液(2)の塗布に際しては、処理液(1)中の樹脂B1と、処理液(2)中の樹脂B2との比率によって、得られる低反射率膜の透過率および反射率が異なる。本発明では、両処理液に含まれる樹脂B1と樹脂B2の濃度を調整し、処理液(1)および処理液(2)を塗布することにより形成されるウエット膜中の両者の質量比B2/B1が、0.6〜3.0の範囲になるように処理液(1)および処理液(2)を塗布する。B2/B1が3.0を超えると樹脂B2が多すぎて、膜の強度が弱くなり、耐薬品性や耐磨耗性などが悪くなる。逆にB2/B1が0.6未満になると、処理液(2)中の樹脂B1が多くなりすぎ、膜全体の屈折率が高くなりすぎて、低反射率膜としての機能を果たさなくなる。
【0020】
処理液(1)が有機珪素化合物を含有する場合、処理液(1)の塗布量は、該処理液(1)から構成される焼成後膜厚が、好ましくは5〜100nm、より好ましくは20〜50nmの範囲になる塗布量である。また、有機珪素化合物の配合量は、処理液100質量部中において0.5〜20質量部であることが好ましい。処理液(1)が有機珪素化合物を含有する場合は、焼成後膜厚が5nm未満になる塗布量または有機珪素化合物の濃度では、低反射率膜の製膜性が向上せず、有機珪素化合物を配合する実質的意味がなくなる場合があり、膜強度の高い膜が得られにくくなる。一方で、100nmを超える処理液(1)の塗布量または有機珪素化合物の濃度では、得られる膜の反射率が充分に低くならない場合がある。
【0021】
処理液(2)の塗布量は、該処理液(2)から構成される焼成後膜厚が、好ましくは30〜150nm、より好ましくは40〜100nmの範囲になる塗布量である。また、有機珪素化合物の配合量は、処理液100質量部中において0.5〜20質量部であることが好ましい。焼成後膜厚が30nm未満になる塗布量または有機珪素化合物の濃度では、低反射性能の悪い膜しか得られなくなる場合がある。一方で、150nmを超える塗布量または有機珪素化合物の濃度では、低反射率膜中に配合されている有機珪素化合物の配合量が多くなりすぎ、強度の低い膜しか得られなくなる場合がある。
【0022】
以上の本発明の方法によって得られる低反射ガラス板は、次の如き用途において有用である。すなわち、近年、車輌の窓や建築物、ドア、ショーウインドウなどの透明部材の大型化が一段と進み、太陽光、照明などの反射や写り込みなどが問題になるケースが増えている。また、太陽光を利用する太陽電池などの需要も増加しているが、受光部の反射損失を低減することが必要である。さらに車輌のインパネ部の各種表示装置、例えば、メーターカバーガラスなどをより見やすくするために反射を低減することも求められている。本発明の方法によって得られる低反射ガラス板は、上記の輸送機器用、特に車輌用の窓や建築用窓、ショーウインドウ、太陽電池のカバーガラス、車輌用のインパネ部のメーターカバーガラスなどの用途に有用である。
【0023】
本発明の低反射ガラス板は、JIS−R3106(1999年)に規定される可視光透過率が30〜85%であることが好ましい。自動車用窓ガラス(特に、自動車用ウインドシールドまたは自動車用フロントドアガラス)に使用する場合には、70〜85%であることが好ましい。また、自動車用窓ガラスとして使用する場合、ガラス面の反射率が高いとぎらぎらした印象を与え、高級感が損われることから、JIS−R3106(1999年)に規定されるガラス面の可視光反射率は5.5%以下であることが好ましく、特に5.0%以下であることが好ましい。
【0024】
さらに本発明により形成される低反射ガラス板は、積層体を構成する基板として使用することもできる。積層体は第一および第二の基板の間に中間膜または断熱層を挟み込んだ構造であり、本発明の低反射ガラス板を第一および/または第二の基板として用いることができる。また、ガラス板の積層に際しては、ガラス板の低反射率膜が形成された面を内側に配することが、低反射率膜の耐久性の面から好ましい。前記中間膜としては、例えば、透明または着色されたポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテート共重合体などが挙げられる。前記断熱層としては、例えば、不活性ガス、空気あるいは窒素などを充填してなる層または真空層などが挙げられる。
【0025】
前記積層体としては、例えば、第一および第二の基板として低反射熱線吸収ガラス、高熱線吸収ガラスおよび紫外線吸収ガラスのいずれかを用い、中間膜としてポリビニルブチラールを用いた合わせガラスが挙げられる。第一および第二の基板として低反射高熱線吸収ガラスを用い、中間膜としてポリビニルブチラールを用いた合わせガラスにおいては、前記高熱線吸収ガラスの透過率が低いため、膜面から入射する光の非膜面側における反射率を低下させることができ、特に好ましい。前記合わせガラスは、輸送機器用窓(例えば、車輌用窓)やメータ機器のカバーガラスに好適に用いられる。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を具体的な例によりさらに詳細に説明する。なお、文中「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。後述の例で得られた低反射ガラスの評価方法は以下の通りである。
【0027】
1.光学特性
色差計NDH−300A(日本電色(株)製)および濁度計ZE2000(日本電色(株)製)を使用して、各試料のHz率(JIS K6714(1994年))、透過率および透過色調(JIS Z8729(1999年))の測定を行い、分光光度計UV3100Ps(SIMADZU製)により各試料の透過率および反射率を測定し、各試料の可視光透過率および可視光反射率(JIS−R3106(1999年))を算出した。
【0028】
2.耐アルカリ性
各試料を3%の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、浸漬する前後の各試料の透過率および反射率を分光光度計で測定し、各試料の可視光透過率変化および可視光反射率変化を算出した。実用上1.0%以下であることが好ましい。
3.耐酸性
各試料を3%の硫酸水溶液に2時間浸漬し、浸漬する前後の各試料の透過率および反射率を分光光度計で測定し、各試料の可視光透過率変化および可視光反射率変化を算出した。実用上1.0%以下であることが好ましい。
【0029】
4.製膜性
ラビング試験機(ラビングテスター、大平理化工業社製)の支持棒接点部にウエスを取付け、適宜水を滴下しながら、荷重1.0kgで移動台を支持棒に対して3,000回前後に動かし摩耗試験を実施した。その試験後における膜面の状態を目視観察した。なお、表1および表2における「○」は摩耗試験後においても膜面の変化がない場合であり、「×」は摩耗試験後において膜が剥離した場合を示す。
【0030】
実施例1〜9、比較例1〜9
表1および表2に示す配合の処理液(1)および処理液(2)を前記の方法で調製した。なお、表中の各成分の使用量は固形分基準である。上記処理液(1)を、厚み3.5mmグリーン熱線吸収ガラス基板上に、表中の焼成後膜厚になる塗布量でスクリーン印刷方式により塗布し、150℃の熱風循環式オーブンで5分間乾燥して有機溶剤を除去し、その後、処理液(1)と同じ質量の上記処理液(2)を、上記乾燥塗膜上に表中の焼成後膜厚になる塗布量で塗布し、150℃の熱風循環式オーブンで大気雰囲気中で5分間乾燥して有機溶剤を除去した。その後、600℃のマッフル炉中で5分間焼成し、実施例1〜9および比較例2〜9の低反射ガラスを得、これらを試験用試料とした。なお、用いたニトロセルロース、エチルセルロースの熱分解温度はそれぞれ190℃、330℃であった。
【0031】
なお、比較例1は、グリーンガラス基板それ自体であり、表面に何れの処理液も塗布していない。比較例2は、ニトロセルロースの量を多くした処理液(1)を用いて作製した低反射ガラスであり、比較例3は、エチルセルロースの量を多くした処理液(2)を用いて作製した低反射ガラスであり、比較例4、5、および7〜9は、処理液(1)および処理液(2)が、同一のセルロース系樹脂を含む処理液を用いて作製した低反射ガラスを示す。また比較例6は、処理液(1)を用いずに作製した低反射ガラスを示す。
【0032】
表1および表2に、実施例1〜9および比較例2〜9で使用した処理液(1)および処理液(2)を示し、かつ、前記試験方法で試験して得られた各試料のHz率、可視光透過率、可視光反射率、透過色調、耐アルカリ性試験、耐酸性試験および製膜性の評価結果を示す。
【0033】
なお、上記実施例および比較例の低反射膜の1層目および2層目は、その界面が明確ではなく、焼成して膜形成した後には、各層の膜厚の測定が困難である。表中の膜厚は、図1に示すようにガラス基板の上に処理液(1)と処理液(2)との一部が重複するように塗布し、前記と同一の条件で乾燥および焼成し、処理液が重複していない部分の膜厚を測定して1層目および2層目の膜厚とした。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
表2より、比較例2で得られた低反射ガラスは、可視光反射率が、ガラス基板であるグリーンガラスよりも低いが、その低下の程度は充分とは言えないことがわかる。比較例3で得られた低反射ガラスは、処理液(2)中に配合するエチルセルロースの量が多くなりすぎており、焼成後の膜面の強度が充分とはいえず、ガラス基板との密着性が悪くなり、低反射率性能はあるが実用的に使用できない。また、比較例4、8及び9は、処理液(1)および処理液(2)のいずれもがニトロセルロースを使用しており、可視光反射率の低下が不充分であり、また、比較例5及び7は、処理液(1)および処理液(2)のいずれもがエチルセルロースを使用しており、可視光反射率の低下が充分であるが、製膜性が劣る。また、比較例6は処理液を2種類用いていないためにHz率が高過ぎ、製膜性も劣る。これに対して実施例1〜9で得られた低反射ガラスは、膜強度が強い状態で低反射率機能を有し、耐アルカリ性および耐酸性も良好な低反射ガラスであることが分かる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、処理液(1)と処理液(2)とを使用し、透明ガラス基板に低反射率膜を形成することにより、優れた低反射性と優れた耐アルカリ性や耐酸性、さらに低いHz率を有する低反射ガラスを製造することができる。また、膜厚を所定の膜厚に設定することにより、製膜性に優れ、耐アルカリ性や耐酸性が良好で、所望の低い反射率を有する低反射ガラスが得られる。
【0042】
また、熱線吸収ガラスまたは高熱線吸収ガラス、例えば、本来の熱線カット効果を有するグリーンガラスを基板として使用することにより、熱線カット効果をも有する低反射ガラスを提供できる。また、本発明により形成される膜は、膜厚方向に成分が変化する、即ち、膜厚方向に屈折率が変化することを特徴とし、比較的フラットな反射特性を有する低反射ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において形成される1層目および2層目の膜厚を説明する図。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing low-reflection glass (glass with a low reflectance film), and more particularly, to a method for producing low-reflection glass having low reflectance and excellent wear resistance and chemical resistance.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, the following method is generally performed as a method for producing a low reflection glass (see, for example, Patent Document 1). That is,
(1) A high refractive index material such as titanium oxide and a low refractive index material such as silicon oxide are formed on a glass substrate by controlling the refractive index and film thickness by a vapor deposition method such as vacuum film formation or sputtering. A method for producing a low-reflection glass by laminating the interface of the substrate so as to be clear and laminating a multilayer film using optical interference,
(2) Two or more layers of a light-absorbing material such as titanium nitride and a low refractive index material such as silicon oxide are formed on a glass substrate by controlling the refractive index and film thickness by a vapor phase method such as sputtering. A method of producing a low reflection glass using optical interference by laminating the interface between each other to be clear,
(3) Two layers of a glass substrate with a high refractive index material such as titanium oxide and a low refractive index material such as silicon oxide controlled by a sol-gel method using a metal alkoxide and the like while controlling the refractive index and film thickness. By laminating the above so that the interface between the films becomes clear, a method for producing a low-reflection glass using optical interference, and (4) a sol-gel method using a metal ion-containing aqueous solution or metal alkoxide, By laminating a high refractive index material such as titanium oxide and a low refractive index material such as silicon oxide on a glass substrate by controlling the refractive index and film thickness so that the interface between the films becomes clear. And a method of producing a low reflection glass using optical interference.
[0003]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-194295
[Problems to be solved by the invention]
However, the method using the above-described vacuum film forming method or sputtering method has a problem that the cost is increased because large-scale equipment is required. In addition, the low-reflection glass that uses optical interference to clarify the interface between films by sol-gel method using a metal alkoxide or the like is used to clarify the interface between films. There is a problem that the productivity is deteriorated.
Accordingly, an object of the present invention is to solve the above-mentioned problems of the prior art and to provide a method for producing a low-reflectivity glass having low reflectivity and excellent wear resistance and chemical resistance with high productivity.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, a treatment liquid (1) containing a resin B1 and an organic solvent is applied to the surface of a transparent glass substrate, dried at 50 to 200 ° C., and then thermally decomposed on the surface at a temperature higher than that of the resin B1. After applying the treatment liquid (2) containing the resin B2, the organosilicon compound, and the organic solvent so that the mass ratio of the resin B1 to the resin B2 is B2 / B1 = 0.6 to 3.0, 50 to Provided is a method for producing a low reflection glass characterized by drying at 200 ° C. and then baking at 400 to 800 ° C.
[0006]
In the present invention, the resin B1 is nitrocellulose and the resin B2 is ethylcellulose; the treatment liquid (1) further contains an organosilicon compound; the treatment liquid (1) is an organosilicon compound. When the film thickness after baking which consists of the said processing liquid (1) is 5-100 nm, and the film thickness after baking which consists of the said processing liquid (2) is 30-150 nm; It is preferably a heat ray absorbing glass or a high heat ray absorbing glass.
[0007]
According to the present invention, a low reflection glass excellent in durability such as wear resistance and chemical resistance can be produced. Moreover, since the film produced by the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) is fired without drying at a high temperature after the treatment liquid is applied, the constituent components of the film are continuous in the depth direction of the film. Change to a low reflectivity film without a clear interface. Therefore, the film formed by the present invention is characterized in that the component changes in the film thickness direction, that is, the refractive index changes in the film thickness direction, and can provide a low reflection glass having a relatively flat reflection characteristic.
[0008]
Moreover, when the said processing liquid (1) contains an organosilicon compound, the film thickness after baking which consists of the said processing liquid (1) shall be 5-100 nm, and the film thickness after baking which consists of the said processing liquid (2) is 30-. By setting the thickness to 150 nm, a low reflection glass excellent in durability such as wear resistance and chemical resistance and excellent in low reflectance performance can be obtained. Moreover, the low reflection glass which has a heat ray cut effect is obtained by using the heat ray absorption glass or high heat ray absorption glass which has a heat ray cut effect, for example, green glass (green glass), as a transparent glass substrate.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail with reference to preferred embodiments.
Resin B1, which is used for the treatment liquid (1) and is thermally decomposed at a relatively low temperature, is soluble in an organic solvent and maintains a suitable viscosity of the treatment liquid (1), and is applied to a glass substrate, and a coated product. It is necessary to improve the handling after drying and to thermally decompose at a relatively low temperature during firing. As thermal decomposition temperature of resin B1, the range of 150-400 degreeC is preferable. This is because if the thermal decomposition temperature is less than 150 ° C., the resin B1 may be thermally decomposed in the coating film drying step. On the other hand, if the thermal decomposition temperature exceeds 400 ° C., the strength of the fired silicon oxide film may not be sufficient when the treatment liquid (1) contains an organosilicon compound.
[0010]
Specific examples of the resin B1 include resins such as thermally decomposable celluloses such as nitrocellulose, polyacryls such as polyvinyl chloride, and polymethyl methacrylate. Preferred resin B1 is nitrocellulose having a weight average molecular weight of 2,000 to 200,000, more preferably a weight average molecular weight of 3,000 to 150,000. The addition amount of the resin B1 is determined by the viscosity of the treatment liquid (1) and the desired film thickness, and is not particularly limited, but is generally an amount that occupies 3 to 30% by mass in the treatment liquid (1). In the treatment liquid (1), the composition is preferably adjusted so that a film having a refractive index of 1.4 to 1.6 can be formed.
[0011]
Resin B2, which is used for the treatment liquid (2) and thermally decomposes at a temperature higher than that of the resin B1, is soluble in an organic solvent described later, and maintains the viscosity of the treatment liquid (2) to a glass substrate for the treatment liquid. It is necessary to improve the handling of the coating liquid and the treatment liquid after drying, and to thermally decompose at a relatively high temperature during firing. As thermal decomposition temperature of resin B2, the range of 250-500 degreeC is preferable. This is because if the thermal decomposition temperature is less than 250 ° C., the low reflection of the film may be insufficient. On the other hand, if the thermal decomposition temperature exceeds 500 ° C., the strength of the silicon oxide film after firing may not be sufficient.
[0012]
Specific examples of the resin B2 include resins such as thermally decomposable celluloses such as ethyl cellulose, polyacryls such as polyvinyl chloride and polymethyl methacrylate. A preferred resin B2 is ethylcellulose having a weight average molecular weight of 10,000 to 120,000. The addition amount of the resin B2 is determined by the viscosity of the treatment liquid (2) and the desired film thickness, and is not particularly limited, but is generally an amount that occupies 3 to 20% by mass in the treatment liquid (2). In the treatment liquid (2), the composition is preferably adjusted so that a film having a refractive index of 1.3 to 1.4 can be formed.
[0013]
It is preferable to use the resin B1 and the resin B2 in combination such that the thermal decomposition temperature (T1) of the resin B1 and the thermal decomposition temperature (T2) of the resin B2 are T2−T1 ≧ 100 ° C. It is because the visible light reflectance of a low reflection glass plate may become too high that the relationship of the said thermal decomposition temperature is T2-T1 <100 degreeC. Here, the thermal decomposition temperature of the resin means a temperature (° C.) at which 90% by mass or more of the resin is burned out.
[0014]
Examples of the organic silicon compound contained in the treatment liquid (2) used in the present invention include silicon alkoxides such as ethoxide, propoxide, butoxide, various silicon oils having a polysiloxane skeleton, and silicon varnish. These organosilicon compounds may be contained in the treatment liquid (1). However, if the treatment liquid (1) contains an organosilicon compound, phase separation is likely to occur depending on the type of the resin B1, and the film surface smoothness may be deteriorated. Therefore, it is not always necessary to add an organosilicon compound to the treatment liquid (1). Moreover, the same compound may be used in a processing liquid (1) and a processing liquid (2), and a different compound may be used. Each of them can be used alone or as a mixture.
[0015]
The organic solvent used in the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) is not particularly limited as long as it can dissolve the organosilicon compound (when the treatment liquid (1) is also contained), the resin B1 and the resin B2. It is appropriately selected depending on the application method of the treatment liquid (1) or the treatment liquid (2). Specifically, a high boiling point solvent such as metacresol, dimethylformamide, carbitol, α-terpineol, diacetone alcohol, triethylene glycol, paraxylene, toluene and the like, the treatment liquid (1) and treatment liquid (2) are used. It is preferable when applied to the surface of the glass substrate. As these organic solvents, the same solvent may be used in the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2), or different solvents may be used. Each of them can be used alone or as a mixture.
[0016]
Although the manufacturing method of a processing liquid (1) and a processing liquid (2) is not specifically limited, For example, a solvent and resin B1 or resin B2 are measured in a predetermined amount, and the temperature of 60-100 degreeC (preferably 70-80 degreeC) is measured. Originally, it is stirred for 20 to 40 minutes, and an organosilicon compound is added to this solution (when the treatment liquid (1) is also contained) at a temperature of 60 to 100 ° C. (preferably 70 to 80 ° C.). The mixture is stirred and mixed for 20 to 40 minutes, and the resulting treatment liquid (1) or treatment liquid (2) is transferred to a storage container and naturally cooled, whereby the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) used in the present invention. ) Can be obtained.
[0017]
Although it does not specifically limit as a transparent glass substrate used for this invention, It is preferable to use the heat ray absorption glass or the high heat ray absorption glass which improved the heat ray cut effect further. For example, green glass is preferable for applications that require a heat ray cutting effect, such as automotive window glass. The green glass may be any glass as long as it exhibits a green color. For example, a glass having a green color in which a soda-lime-silica glass component is a basic component and Fe 2 O 3 , NiO, TiO 2 and the like are appropriately blended. Examples thereof include glass exhibiting a green color by blending Fe 2 O 3 , CoO, Se and the like into a glass component, and examples thereof include float glass and alkali glass. Moreover, even if a low reflection glass is formed by the method of the present invention by using green glass having a heat ray cut effect, the heat ray cut effect is maintained.
[0018]
In this invention, after apply | coating the process liquid (1) to the said glass substrate surface, it dries at 50-200 degreeC, Then, after apply | coating the process liquid (2) to the surface, it dries at 50-200 degreeC, Subsequently, the objective low reflection glass is obtained by baking at 400-800 degreeC. As a coating method of the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2), for example, any of methods such as spraying, dipping, roll coating, spin coating, flexographic printing, and screen printing can be used.
[0019]
Furthermore, when the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) are applied, the low reflectance film obtained can be obtained depending on the ratio of the resin B1 in the treatment liquid (1) and the resin B2 in the treatment liquid (2). Transmittance and reflectivity are different. In the present invention, the mass ratio B2 / B in the wet film formed by adjusting the concentrations of the resin B1 and the resin B2 contained in both treatment liquids and applying the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2). The treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) are applied so that B1 is in the range of 0.6 to 3.0. When B2 / B1 exceeds 3.0, the resin B2 is too much, the strength of the film becomes weak, and chemical resistance and wear resistance are deteriorated. On the other hand, if B2 / B1 is less than 0.6, the amount of resin B1 in the treatment liquid (2) will be excessive, the refractive index of the entire film will be too high, and the function as a low reflectance film will not be achieved.
[0020]
When the treatment liquid (1) contains an organosilicon compound, the coating amount of the treatment liquid (1) is preferably a film thickness after firing composed of the treatment liquid (1), preferably 5 to 100 nm, more preferably 20 The coating amount is in the range of ˜50 nm. Moreover, it is preferable that the compounding quantity of an organosilicon compound is 0.5-20 mass parts in 100 mass parts of process liquids. When the treatment liquid (1) contains an organosilicon compound, the film-formability of the low reflectivity film is not improved by the coating amount or the organosilicon compound concentration at which the film thickness after firing is less than 5 nm. In some cases, it is difficult to obtain a film having high film strength. On the other hand, when the coating amount of the treatment liquid (1) exceeds 100 nm or the concentration of the organosilicon compound, the reflectance of the obtained film may not be sufficiently lowered.
[0021]
The coating amount of the treatment liquid (2) is a coating amount such that the film thickness after firing composed of the treatment liquid (2) is preferably in the range of 30 to 150 nm, more preferably 40 to 100 nm. Moreover, it is preferable that the compounding quantity of an organosilicon compound is 0.5-20 mass parts in 100 mass parts of process liquids. If the coating amount or the concentration of the organosilicon compound is such that the film thickness after firing is less than 30 nm, only a film with poor low reflection performance may be obtained. On the other hand, when the coating amount exceeds 150 nm or the concentration of the organosilicon compound, the blending amount of the organosilicon compound blended in the low reflectance film becomes too large, and only a low strength film may be obtained.
[0022]
The low reflection glass plate obtained by the above-described method of the present invention is useful in the following applications. In other words, in recent years, the size of transparent members such as vehicle windows, buildings, doors, and show windows has further increased, and reflection and reflection of sunlight, lighting, and the like have become a problem. Moreover, although the demand for solar cells using sunlight is increasing, it is necessary to reduce the reflection loss of the light receiving unit. Furthermore, it is also required to reduce reflection in order to make it easier to see various display devices such as a meter cover glass in an instrument panel portion of a vehicle. The low reflection glass plate obtained by the method of the present invention is used for the above-mentioned transportation equipment, in particular, windows for vehicles, windows for construction, show windows, cover glass for solar cells, meter cover glass for instrument panel parts for vehicles, etc. Useful for.
[0023]
The low reflection glass plate of the present invention preferably has a visible light transmittance of 30 to 85% as defined in JIS-R3106 (1999). When used for window glass for automobiles (particularly, windshield for automobiles or front door glass for automobiles), it is preferably 70 to 85%. In addition, when used as a window glass for automobiles, a high glare impression is given when the reflectance of the glass surface is high, and the sense of quality is impaired. Therefore, the visible light reflection of the glass surface defined in JIS-R3106 (1999). The rate is preferably 5.5% or less, and particularly preferably 5.0% or less.
[0024]
Furthermore, the low reflection glass plate formed by the present invention can also be used as a substrate constituting a laminate. The laminate has a structure in which an intermediate film or a heat insulating layer is sandwiched between the first and second substrates, and the low reflection glass plate of the present invention can be used as the first and / or second substrate. In addition, when the glass plates are laminated, it is preferable from the viewpoint of durability of the low reflectance film that the surface of the glass plate on which the low reflectance film is formed is arranged on the inner side. Examples of the intermediate film include transparent or colored polyvinyl butyral, ethylene vinyl acetate copolymer, and the like. Examples of the heat insulating layer include a layer filled with an inert gas, air, nitrogen, or the like, or a vacuum layer.
[0025]
Examples of the laminate include laminated glass using any one of low reflection heat ray absorbing glass, high heat ray absorbing glass and ultraviolet ray absorbing glass as the first and second substrates and polyvinyl butyral as the intermediate film. In the laminated glass using low reflection high heat ray absorbing glass as the first and second substrates and polyvinyl butyral as the intermediate film, the transmittance of the high heat ray absorbing glass is low, so that the light incident from the film surface is not blocked. The reflectance on the film surface side can be lowered, which is particularly preferable. The said laminated glass is used suitably for the cover glass of transportation equipment windows (for example, window for vehicles) and meter equipment.
[0026]
【Example】
Next, the present invention will be described in more detail by way of specific examples. In the text, “%” is based on mass unless otherwise specified. The evaluation method of the low reflection glass obtained in the example described later is as follows.
[0027]
1. Using an optical property color difference meter NDH-300A (Nippon Denshoku Co., Ltd.) and a turbidimeter ZE2000 (Nippon Denshoku Co., Ltd.), the Hz rate of each sample (JIS K6714 (1994)), transmission The transmittance and the color tone (JIS Z8729 (1999)) are measured, the transmittance and reflectance of each sample are measured with a spectrophotometer UV3100Ps (manufactured by SIMADZU), and the visible light transmittance and visible light reflectance of each sample are measured. (JIS-R3106 (1999)) was calculated.
[0028]
2. Alkali resistance Each sample was immersed in 3% aqueous sodium hydroxide solution for 2 hours, and the transmittance and reflectance of each sample before and after immersion were measured with a spectrophotometer, and the change in visible light transmittance and visible light reflection of each sample were measured. The rate change was calculated. It is preferable that it is 1.0% or less practically.
3. Soak each acid-resistant sample in a 3% sulfuric acid aqueous solution for 2 hours, measure the transmittance and reflectance of each sample before and after immersion with a spectrophotometer, and change the visible light transmittance and visible light reflectance of each sample. Was calculated. It is preferable that it is 1.0% or less practically.
[0029]
4). Attach a waste cloth to the support bar contact part of a film-forming rubbing tester (rubbing tester, manufactured by Ohira Rika Kogyo Co., Ltd.), and 3,000 times the moving table against the support bar with a load of 1.0 kg while dripping water appropriately The wear test was carried out by moving back and forth. The state of the film surface after the test was visually observed. In Tables 1 and 2, “◯” indicates a case where the film surface does not change even after the wear test, and “X” indicates a case where the film peels after the wear test.
[0030]
Examples 1-9, Comparative Examples 1-9
The treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) having the formulations shown in Table 1 and Table 2 were prepared by the method described above. In addition, the usage-amount of each component in a table | surface is a solid content basis. The above treatment liquid (1) is applied on a 3.5 mm thick green heat ray absorbing glass substrate by a screen printing method at a coating amount that becomes a film thickness after firing in the table, and dried in a hot air circulation oven at 150 ° C. for 5 minutes. Then, the organic solvent is removed, and then the treatment liquid (2) having the same mass as the treatment liquid (1) is applied onto the dried coating film at a coating amount that results in a film thickness after firing in the table, and 150 ° C. The organic solvent was removed by drying in an air atmosphere for 5 minutes in a hot air circulation oven. Then, it baked for 5 minutes in a 600 degreeC muffle furnace, the low reflection glass of Examples 1-9 and Comparative Examples 2-9 was obtained, and these were made into the sample for a test. The thermal decomposition temperatures of nitrocellulose and ethylcellulose used were 190 ° C. and 330 ° C., respectively.
[0031]
Comparative Example 1 is a green glass substrate itself, and no treatment liquid is applied to the surface. Comparative Example 2 is a low reflection glass produced using the treatment liquid (1) having an increased amount of nitrocellulose, and Comparative Example 3 is a low reflection glass produced using the treatment liquid (2) having an increased amount of ethyl cellulose. It is reflection glass, and Comparative Examples 4, 5, and 7-9 show the low reflection glass produced using the processing liquid (1) and the processing liquid (2) containing the same cellulose resin. Comparative Example 6 shows a low reflection glass produced without using the treatment liquid (1).
[0032]
Tables 1 and 2 show the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) used in Examples 1 to 9 and Comparative Examples 2 to 9, and for each sample obtained by testing by the test method. The evaluation results of Hz rate, visible light transmittance, visible light reflectance, transmission color tone, alkali resistance test, acid resistance test, and film forming property are shown.
[0033]
In addition, the interface of the first and second layers of the low reflection films of the above-mentioned examples and comparative examples is not clear, and it is difficult to measure the film thickness of each layer after baking and forming the film. As shown in FIG. 1, the film thicknesses in the table are applied on a glass substrate so that a part of the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) overlap, and dried and fired under the same conditions as described above. And the film thickness of the part which the process liquid does not overlap was measured, and it was set as the film thickness of the 1st layer and the 2nd layer.
[0034]
[0035]
[0036]
[0037]
[0038]
[0039]
[0040]
From Table 2, it can be seen that the low reflection glass obtained in Comparative Example 2 has a lower visible light reflectance than that of green glass as a glass substrate, but the degree of the reduction is not sufficient. In the low reflection glass obtained in Comparative Example 3, the amount of ethyl cellulose blended in the treatment liquid (2) is too large, and the strength of the film surface after firing cannot be said to be sufficient, and adhesion with the glass substrate. However, although it has low reflectivity, it cannot be used practically. In Comparative Examples 4, 8, and 9, both the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) use nitrocellulose, and the visible light reflectance is not sufficiently lowered. In both Nos. 5 and 7, the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) use ethyl cellulose, and the visible light reflectance is sufficiently lowered, but the film forming property is inferior. Moreover, since the comparative example 6 does not use two types of processing liquids, the Hz rate is too high and the film-forming property is also inferior. On the other hand, it turns out that the low reflection glass obtained in Examples 1-9 is a low reflection glass which has a low reflectance function in the state where film | membrane intensity | strength is strong, and has favorable alkali resistance and acid resistance.
[0041]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, by using the treatment liquid (1) and the treatment liquid (2) and forming a low reflectance film on the transparent glass substrate, excellent low reflectivity and excellent alkali resistance. In addition, low reflection glass having acid resistance and a low Hz rate can be produced. Moreover, by setting the film thickness to a predetermined film thickness, it is possible to obtain a low reflection glass having excellent film forming properties, good alkali resistance and acid resistance, and a desired low reflectance.
[0042]
Moreover, the low reflection glass which also has a heat ray cut effect can be provided by using heat ray absorption glass or high heat ray absorption glass, for example, the green glass which has the original heat ray cut effect, as a board | substrate. Further, the film formed according to the present invention is characterized in that the component changes in the film thickness direction, that is, the refractive index changes in the film thickness direction, and can provide a low reflection glass having a relatively flat reflection characteristic. .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram for explaining the film thicknesses of a first layer and a second layer formed in the present invention.