JP2004141341A - 超音波手術装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設する挿入部外套管内の洗滌効率を向上させる。
【解決手段】ロッド保持部材50aは、略逆Ω形状をなしており、振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数スポット溶接により内面壁に固定され、ロッド保持部材50aと挿入部外套管4の内面壁が作り出す空間内に操作ロッド50を挿通させることで、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持している。
【選択図】 図5
【解決手段】ロッド保持部材50aは、略逆Ω形状をなしており、振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数スポット溶接により内面壁に固定され、ロッド保持部材50aと挿入部外套管4の内面壁が作り出す空間内に操作ロッド50を挿通させることで、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持している。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持しながら超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波手術装置として、例えばUSP5,322,055、USP5,873,873、特表平8−505801号公報、特開2000−33092号公報などに示されている装置がある。この超音波手術装置には、挿入部外套管の基端部に手元側の操作部が連結され、この操作部に超音波振動を発生する超音波振動子が配設されるとともに、挿入部外套管の先端部に生体組織を処理するための処置部が配設されている。
【0003】
また、挿入部外套管の内部には超音波振動子からの超音波振動を処置部側の超音波プローブに伝達する振動伝達部材が挿通されている。この振動伝達部材の基端部は超音波振動子に接続されている。さらに、処置部には超音波プローブに対峙して回動自在に支持されるジョーが配設されている。
【0004】
また、操作部にはジョーを超音波プローブに対して開閉操作する操作ハンドルが配設されている。さらに、挿入部外套管の内部にはジョーの操作ロッドが軸方向に進退可能に挿入されている。そして、操作ハンドルの操作にともない操作ロッドが軸方向に進退され、この操作ロッドの進退動作に連動して処置部のジョーを超音波プローブに対して開閉操作し、ジョーの閉操作にともない超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持するようになっている。続いて、この状態で、超音波振動子からの超音波振動を振動伝達部材を介して処置部側の超音波プローブに伝達することにより、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行うようになっている。
【0005】
【特許文献1】
USP5,322,055
【0006】
【特許文献2】
USP5,873,873
【0007】
【特許文献3】
特表平8−505801号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2000−33092号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波手術装置では、上述したように、挿入部外套管内に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設するためにそれぞれを挿通させるチャンネルとなる専用の中空管部材を挿入部外套管内に設けているが、このような中空管部材を挿入部外套管内に設けると、処置後に挿入部外套管内を洗滌する際に、それぞれの中空管部材内に洗滌流体を流し専用のブラシ等を用いて洗滌しなければならず、洗浄作業が煩雑化し洗滌効率が悪いと行った問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内部に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設する挿入部外套管内の洗滌効率を向上させることのできる超音波手術装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波手術装置は、処置部に把持した生体組織に超音波振動子からの超音波振動を加えることで処置を行う超音波処置具と、前記超音波処置具の前記超音波振動子を超音波振動させる超音波駆動装置とを備え、前記超音波処置具が、前記超音波振動子を挿入部外套管の基端部に連結された操作部に設け、前記挿入部外套管の内部に前記超音波振動子からの超音波振動を前記処置部側に伝達する超音波プローブを挿通するとともに、前記超音波プローブの先端部に対峙して回動自在に支持され、前記超音波プローブの先端部との間に前記生体組織を把持するジョーと、前記操作部に配設され、前記ジョーを前記超音波プローブに対して開閉操作する操作手段と、前記ジョーと前記操作手段との間を連結し、前記操作手段からの操作力を前記ジョー側に伝達する操作力伝達部材を備えた超音波手術装置において、前記超音波プローブの振動の節位置となる前記挿入部外套管の内部の複数の位置に、前記操作力伝達部材を前記超音波プローブと分離して保持する複数の保持手段を設けて構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0013】
図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は超音波手術装置の構成を示す構成図、図2は図1の装置本体1の構成を示すブロック図、図3は図1の超音波処置具の分解状態を示す側面図、図4は図1の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図、図5は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第1の図、図6は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持するロッド保持部材を説明する第2の図、図7は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持するロッド保持部材を説明する第3の図(図5のA−A線断面図)、図8は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第1の図、図9は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第2の図(図8のB−B線断面図)である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の超音波手術装置の装置本体1には超音波処置具2およびフットスイッチ3がそれぞれ接続されている。
【0015】
また、超音波処置具2には細長いシース状の挿入部外套管4の先端部に処置部5、基端部に手元側の操作部6がそれぞれ配設されている。ここで、操作部6には超音波振動を発生する図示しない超音波振動子が内蔵され、処置部5を操作する操作ハンドル8とが設けられている。
【0016】
さらに、挿入部外套管4の内部には超音波振動子からの超音波振動を処置部5に伝える振動伝達部材9(超音波プローブ)が配設されている。この振動伝達部材9の先端部は挿入部外套管4の先端から外部側に露出される。
【0017】
また、装置本体1の前面には操作盤12が設けられている。この操作盤12には電源スイッチ13と、操作表示パネル14と、超音波処置具2の接続部15とが設けられている。ここで、超音波処置具2の操作部6にはハンドピースコード16の一端が連結されている。そして、このハンドピースコード16の他端部に配設されたハンドピースプラグ17が装置本体1の超音波処置具2の接続部15に着脱可能に接続されるようになっている。
【0018】
また、装置本体1の操作表示パネル14には超音波処置を行う際の通常運転時の超音波出力の大きさを設定する設定スイッチ18と、この設定スイッチ18で設定される超音波出力の大きさをデジタル表示する表示部19とが設けられている。この設定スイッチ18には超音波出力の大きさを変更(増減)する出力増加スイッチ18aと、出力低減スイッチ18bとが設けられている。
【0019】
さらに、装置本体1の内部には図2に示すように超音波処置具2内の超音波振動子に電気エネルギを供給するための駆動回路20が内蔵されている。この駆動回路20には超音波周波数の交流信号を発生する発振回路21と、超音波出力の大きさを指示する信号を生成するD/Aコンバータ22と、このD/Aコンバータ22からの信号に基づいて発振回路21の交流信号の大きさを制御するVCA回路23と、VCA回路23の出力を増幅して超音波処置具2内の超音波振動子を駆動する電力を生成するパワーアンプ24と、駆動回路20の出力ラインを入切するリレー25と、超音波手術装置の動作を制御する制御回路26と、フットスイッチ3からの操作信号を制御回路26およびリレー25に伝達するインターフェース(I/F)回路27とが設けられている。
【0020】
また、制御回路26にはフットスイッチ3の操作による超音波処置の開始時に超音波処置具2内の超音波振動子からの超音波出力を設定スイッチ18による設定出力値よりも大きくし、超音波処置開始後、予め設定された所定の設定時間が経過した時点で、超音波振動子からの超音波出力が設定出力値になるように制御する運転状態切換え手段が内蔵されている。なお、駆動回路20のリレー25は超音波処置具接続部15とパワーアンプ24との間に介設されている。
【0021】
超音波処置具2は、図3及び図4に示すように、超音波処置処置具2は、3つのユニットに分解可能な3つの組み立てユニット、即ち、ハンドルユニット31と、プローブユニット32と、振動子ユニット33とから構成される。これらの3つのユニット31〜33は、図4で示す状態に組み立てられるようになっている。
【0022】
振動子ユニット33は、ハンドルユニット31に着脱可能に連結されるハンドピース34が設けられている。このハンドピース34は、円筒状カバー34a内に超音波振動を発生するための超音波振動子(不図示)が内蔵されている。
【0023】
この超音波振動子は、先端側に振幅拡大を行なうホーン(不図示)が連結され、このホーンの先端側がプローブの基端側に取り付けられるようになっている。
【0024】
また、円筒状カバー34aは、この先端部にハンドルユニット31の後述する操作部本体6aの振動子接続部6bに着脱可能に連結されるユニット連結部34bが設けられている。このユニット連結部34bの外周面は、リングの一部を切り離したC字型の形状をしている係合リング39(所謂Cリング)が装着されている。尚、係合リング39は、この断面形状が外周を円弧とする略半月状の断面形状に形成されている。
【0025】
また、円筒状カバー34aの後端部は、端部にハンドピースプラグ17を設けたハンドピースコード16が接続されている。
【0026】
また、プローブユニット32は、振動子ユニット33における図示しないホーンの先端側に着脱可能に連結される細長い略棒状の振動伝達部材9が設けられている。
【0027】
この振動伝達部材9の基端部は、ホーンのプローブ取付部36aに連結される取付けねじ41aが形成されている。そして、この取付けねじ41aが振動子ユニット13におけるプローブ取付部36aのねじ穴部にねじ込み固定されている。これにより、プローブユニット32と、振動子ユニット33との間が一体的に組み付けられている。
【0028】
更に、振動伝達部材9は、基端側から伝達される超音波振動の節の位置(複数個所)にフランジ状の支持体41bが設けられている。この支持体41bは、弾性部材でリング状に形成されている。
【0029】
また、本実施の形態の振動伝達部材9は、基端部側から2つ目の節の前方に第2段階の振幅拡大を行なう基端側ホーン41cが配設されている。更に、この基端側ホーン41cの先端部側は、超音波振動の伝達を行う中間部41d、最終的な振幅拡大を行う先端側ホーン41e、処置部41fが順次配設されている。ここで、振動伝達部材9の最先端部に配置された処置部41fは、略円形の断面形状に形成されている。
【0030】
また、ハンドルユニット31は、細長い挿入シース部31aと、この挿入シース部31aの先端部に配設された先端作用部31bと、挿入シース部31aの基端部に配設された操作部6とから構成される。ここで、ハンドルユニット31の操作部6は、略円筒状の操作部本体6aが設けられている。そして、この操作部本体6aの基端部に振動子接続部6bが形成されている。
【0031】
また、操作部本体6aの外周面は、固定ハンドル42と、操作手段を構成する回動可能な可動ハンドル43とが設けられ、固定ハンドル42及び可動ハンドル43によって操作ハンドル8(図1参照)が構成される。操作部本体6aは、図示しない高周波電源装置が接続される高周波接続用の電極ピン44が設けられている。
【0032】
また、固定ハンドル42の上側部分は、円筒状の操作部本体6aと一体成形されている。更に、固定ハンドル42の操作端部は、親指以外の指の複数のものを選択的に差し込める指掛け孔42aが設けられ、可動ハンドル43の操作端部は、同じ手の親指を掛ける指掛け孔43aが設けられている。
【0033】
また、可動ハンドル43の上端部側は、二股状の連結部43bが形成されている。これらの二股状の連結部43bは、操作部本体6aの両側に配置されている。更に、各連結部43bの上端部は、ハンドル枢支軸45が内方向に向けて突設されている。これらのハンドル枢支軸45は、挿入部外套管4の軸線より上側位置の支点で操作部本体6aに連結されている。これにより、可動ハンドル43は、ハンドル枢支軸45によって回動可能に枢支されている。そして、ハンドル枢支軸45は、可動ハンドル43のハンドル操作に対して前後方向に進退可能に保持されている。なお、ハンドル枢支軸45には高周波絶縁用の絶縁キャップが取り付けられている。
【0034】
更に、可動ハンドル43の各連結部43bは、ハンドル枢支軸45の下側に作動軸47が設けられている。この作動軸47は、挿入部外套管4内を挿通する操作ロッド50(図5参照:操作力伝達部材)に進退力を伝達するためのものである。そして、操作ロッド50は、軸方向に進退させる動作に伴い、処置部41fに対して後述のジョー51の開閉操作が行われるようになっている。即ち、可動ハンドル43と作動軸47とは、操作手段を構成している。なお、作動軸47は挿入部外套管4の略軸線上に配置されている。
【0035】
本実施の形態では、超音波処置具2は、ハンドルを握って可動ハンドル43を閉操作すると、ハンドル枢支軸45に後向きの力が加わり作動軸47が前側に移動することで、操作ロッド50を前側に押し出し、処置部41fに対してジョー51が閉じるように構成されている。
【0036】
また、挿入シース部31aは、上述したように、挿入部外套管4が設けら、この挿入部外套管4の基端部は、回転ノブ48と共に、操作部本体6aの先端部にこの操作部本体6aの中心線の軸回り方向に回転可能に取付けられている。ここで、挿入部外套管4は、図示しない金属管の外周面に絶縁チューブ49が装着されて形成されている。この絶縁チューブ49は、挿入部外套管4の外周面全体を基端部までの大部分被覆する状態に設けられる。
【0037】
また、ハンドルユニット31は、先端作用部31bに生体組織を把持するための片開き型のジョー51が回動自在に取り付けられている。
【0038】
挿入部外套管4は、この先端部にジョー51を保持するジョー保持部52が設けられている。このジョー保持部52は、略管状の保持部材本体52aの先端部が絶縁カバー53で被覆され、高周波電流に対する絶縁が行われている。更に、ジョー51は、生体組織(臓器)を把持する把持部材54が取り付けられている。この把持部材54は、略鋸歯状の歯部55が形成されている。尚、把持部材54は、例えばPTFE(テフロン:デュポン社商標名)等の低摩擦材料で形成されている。また、把持部材54は、単体では、剛性に乏しいので、図示しない金属製の強度部材を取り付けて剛性を確保しても良い。
【0039】
また、ジョー51は、把持部材54の図示しない支持用の支持ピンがそれぞれ内向きに突設されている。更に、このジョー51は、操作ロッド50が係合するようになっている。
【0040】
また、把持部材54と振動伝達部材9の処置部41fとは、広い面積で接触し、間に挟んだ生体組織を広く緩やかに温度上昇させることが可能であり、効果的な凝固を実現できる。ここで、把持部材54の把持面と振動伝達部材9の処置部41fとの間は、円弧状の曲面同士で接触していることにより自然に中心を一致させる効果が発生する。これにより、処置部41fの偏心や傾斜をキャンセルすることができる。
【0041】
また、挿入部外套管4の内部は、プローブユニット32の振動伝達部材9が挿通されている。また、この挿入部外套管4の内部は、振動伝達部材9に併設されて、操作ロッド50が進退自在に挿通されている。尚、操作ロッド50は、挿入部外套管4に隙間を残して配置されている。
【0042】
ジョー51の閉操作時は、プローブユニット32の処置部41fに対してジョー51の把持部材54を押し付けることにより、処置部41fとジョー51の把持部材54との間で生体組織を把持するようになっている。そして、把持された生体組織は、高速で振動する処置部41fとの摩擦によって凝固或いは切開等も超音波処置を施される。尚、ジョー51は、生体組織の剥離にも使用されるようになっている。
【0043】
振動伝達部材9及び操作ロッド50は、図5に示すように、挿入部外套管4内に挿通されており、操作ロッド50は、複数のロッド保持部材50aにより挿入部外套管4内に保持されている。
【0044】
このロッド保持部材50aは、図6に示すように、略逆Ω形状をなしており、図5のように振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数の部材がスポット溶接により内面壁に固定され、ロッド保持部材50aと挿入部外套管4の内面壁が作り出す空間内に操作ロッド50を挿通することで、図7に示すように、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持している。
【0045】
このように本実施の形態によれば、振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数設けたロッド保持部材50aにより操作ロッド50を挿入部外套管4内に保持しているので、処置が終わった後の洗滌においては、挿入部外套管4内に水を流しブラシを用いるだけで容易に挿入部外套管4内部を洗滌することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、操作ロッド50の挿入部外套管4内での保持手段として、振動伝達部材9の振動の節となる位置にロッド保持部材50aをスポット溶接により設けるとしたが、これに限らず、例えば図8及び図9に示すように、挿入部外套管4外表面の振動伝達部材9の振動の節となる複数の位置に前後が内部と連通した操作ロッド50が配置可能な凹部60を形成し、この凹部60の後端から前端に操作ロッド50を通すことで操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持するようにしても、本実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0047】
図10ないし図19は本発明の第2の実施の形態に係わり、図10は超音波処置具の分解状態を示す側面図、図11は図10の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図、図12は図10の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の構成を示す構成図、図13は図12の保持手段の作用を説明する図、図14は図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の先端側断面を示す断面図、図15は図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の基端側断面を示す断面図、図16は図14のC−C線断面を示す断面図、図17は図14のD−D線断面を示す断面図、図18は図12の操作ロッドを保持する保持手段の変形例の要部構成を示す構成図、図19は図12の保持手段の挿入部外套管の先端側での作用を説明する図である。
【0048】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態は、図10及び図11に示すように、ハンドルを握ると操作ロッド50を後側に引っ張ることによってジョー51が閉じるタイプの超音波処置具を備えた超音波処置装置に本発明を適用する。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成は、同じ符号を付して説明する。
【0050】
即ち、図10及び図11に示すように本第2の実施の形態の超音波処置装置は、ハンドル枢支軸45が作動軸47より下側にある超音波処置具2Bを備えて構成される。
【0051】
超音波処置具2Bは、円筒状カバー34aの後端部にハンドピースコード16に隣設して高周波接続用の電極ピン44が設けられている。そして、超音波処置具2Bは、高周波電極ピン44に図示しない高周波電源装置が接続され、高周波電力を振動伝達部材9に供給するようになっている。尚、この超音波処置具2Bを制御するための装置本体1は、上記第1の実施の形態で説明したのとほぼ同様な構成である。
【0052】
この超音波処置具2Bは、ハンドルを握って可動ハンドル43を閉操作すると、ハンドル枢支軸45に前向きに力が加わり作動軸47が後側に移動することで、操作ロッド50を後側に引っ張り処置部41fに対してジョー51が閉じるタイプのものである。
【0053】
図12に示すように、本実施の形態の操作ロッド50を保持する保持手段は、振動伝達部材9の振動の節となる複数の位置に穴部100が設けられた長手方向が挿入部外套管4の挿入軸方向に形成された板状部材101と、該穴部100に勘合し穴部100から突出した部分に操作ロッド50が挿通可能な挿通穴102を有するスペーサ部材103とにより、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持するように構成される。ここで、スペーサ部材103は例えばPTFE(テフロン:デュポン社登録商標)等の低摩擦材料で形成されている。
【0054】
すなわち、図13に示すように、板状部材101の穴部100にスペーサ部材103を着脱自在に勘合させ、板状部材101より突出させたスペーサ部材103の突出位置に設けられた挿通穴102に操作ロッド50を挿通させる。これにより、図14及び図15に示すように、挿入部外套管4の基端から先端に至るスペーサ部材103の位置は振動伝達部材9の振動の節となる位置に位置決めされ、さらに操作ロッド50がスペーサ部材103により振動伝達部材9と分離・保持される。
【0055】
また、図16に示すように、スペーサ部材103の勘合下面には、振動伝達部材9の外周面形状に合わせた溝部104が設けられており、この溝部104が振動伝達部材9の外周面に当接することで、操作ロッド50と振動伝達部材9とが分離されるようになっている。
【0056】
図17に示すように、先端の振動の節となる位置の振動伝達部材9の断面形状は、他の位置の断面形状(円形)とは異なり5角形状をなしており、側面形状が略長方形状の節位置120で振動伝達部材9は、挿入向き設定部材121により挿入部外套管4内に配置・固定されている。挿入向き設定部材121によって、振動伝達部材9の挿入回転向きが規定される。
【0057】
このように、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0058】
なお、板状部材101は、穴部100によってスペーサ部材103を振動伝達部材9の振動の節となる位置に位置決めしているため、その形状は板状に限らず、図18に示すように、穴部100を形成した複数の板部131を振動伝達部材9の振動の節となる位置に一体連結した連結部133を有した位置決め部材132を用いても同様な作用効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、図19に示すように、操作ロッド50を進退操作し、ジョー51と振動伝達部材9の先端を当接させると、振動伝達部材9には挿入向き設定部材121を支点として基端側に反力が作用するが、スペーサ部材103により該反力をうち消す抗力が発生するために振動伝達部材9を挿入部外套管4内の所定位置に収納させることができる。
【0060】
なお、図19に示すように、挿入向き設定部材121を挿入部外套管4の先端まで延長させ挿入部外套管4先端内面を被覆させることで、挿入部外套管4先端で発生する熱の挿入部外套管4外表面への伝達を低減し、挿入部外套管4先端を低温に保つように構成してもよい。挿入向き設定部材121は、節位置120近傍に限定してもよい。
【0061】
なお、上記各実施の形態では、ジョー51の開閉状態を調整するために、操作ロッド50の基端位置を調整する調整機構を有しており、この調整機構200は、図20に示すように、操作ロッド50の基端に係合させた調整部材211をスライダ252の調節部212に螺合させ、ロックナット213で固定する、または図21のようにロックナット213とロックネジ214とで固定することで、操作ロッド50の基端位置を進退させ、ジョー51の開閉状態を調整することができるようになっている。
【0062】
図21の調整機構200は、操作ロッド50の基端に雌ネジを形成し、先端側、基端側の両端で異なるピッチのネジを形成した調整部材211を取り付け、またスライダ252に調整部材211を取り付ける取り付け用の雌ネジを形成し、さらに調整部材211の基端側に雌ネジを形成したロックナット213を取り付けて構成されている。
【0063】
また、上記各実施の形態では、上述したように、挿入部外套管4が回転ノブ48とともに操作部本体6aの中心線の軸回り方向に回転可能に取付けられているが、操作部本体6aの回転力を挿入部外套管4に伝達するために、例えば図20に示すように、操作部本体6aと回転ノブ48との間に固定ハンドル42に対して回転可能に筒状部材250を取り付け、筒状部材250に長手方向に長い長円形の位置決め穴部251を形成する。また、操作ロッド50の基端が取り付けられた、可動ハンドル43からの回転力を伝達するスライダ252に位置決め穴部251に係合するピン状位置決め部材253を設ける。位置決め穴部251の形状(長さ、開始位置、終了位置)により可動ハンドル43の動作を規定すると共に、操作部本体6aの回転力を挿入部外套管4に伝達するようになっている。
【0064】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設する挿入部外套管内の洗滌効率を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波手術装置の構成を示す構成図
【図2】図1の装置本体1の構成を示すブロック図
【図3】図1の超音波処置具の分解状態を示す側面図
【図4】図1の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図
【図5】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第1の図
【図6】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第2の図
【図7】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第3の図(図5のA−A線断面図)
【図8】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第1の図
【図9】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第2の図(図8のB−B線断面図)
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る超音波処置具の分解状態を示す側面図、
【図11】図10の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図
【図12】図10の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の構成を示す構成図
【図13】図12の保持手段の作用を説明する図
【図14】図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の基端側断面を示す断面図
【図15】図13の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の先端側断面を示す断面図
【図16】図14のB−B線断面を示す断面図
【図17】図14のC−C線断面を示す断面図
【図18】図12の操作ロッドを保持する保持手段の変形例の要部構成を示す構成図
【図19】図12の保持手段の挿入部外套管の先端側での作用を説明する図
【図20】本発明の各実施の形態に係る操作ロッドの基端位置を調整する調整機構を説明する図
【図21】図20の操作ロッドの基端位置を調整する調整機構の変形例を説明する図
【符号の説明】
1…装置本体
2…超音波処置具
3…フットスイッチ
4…挿入部外套管
5…処置部
6…操作部
9…振動伝達部材(超音波プローブ)
32…ハンドルユニット
33…プローブユニット
34…振動子ユニット
50…操作ロッド
50a…ロッド保持部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持しながら超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行う超音波手術装置として、例えばUSP5,322,055、USP5,873,873、特表平8−505801号公報、特開2000−33092号公報などに示されている装置がある。この超音波手術装置には、挿入部外套管の基端部に手元側の操作部が連結され、この操作部に超音波振動を発生する超音波振動子が配設されるとともに、挿入部外套管の先端部に生体組織を処理するための処置部が配設されている。
【0003】
また、挿入部外套管の内部には超音波振動子からの超音波振動を処置部側の超音波プローブに伝達する振動伝達部材が挿通されている。この振動伝達部材の基端部は超音波振動子に接続されている。さらに、処置部には超音波プローブに対峙して回動自在に支持されるジョーが配設されている。
【0004】
また、操作部にはジョーを超音波プローブに対して開閉操作する操作ハンドルが配設されている。さらに、挿入部外套管の内部にはジョーの操作ロッドが軸方向に進退可能に挿入されている。そして、操作ハンドルの操作にともない操作ロッドが軸方向に進退され、この操作ロッドの進退動作に連動して処置部のジョーを超音波プローブに対して開閉操作し、ジョーの閉操作にともない超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持するようになっている。続いて、この状態で、超音波振動子からの超音波振動を振動伝達部材を介して処置部側の超音波プローブに伝達することにより、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行うようになっている。
【0005】
【特許文献1】
USP5,322,055
【0006】
【特許文献2】
USP5,873,873
【0007】
【特許文献3】
特表平8−505801号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2000−33092号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波手術装置では、上述したように、挿入部外套管内に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設するためにそれぞれを挿通させるチャンネルとなる専用の中空管部材を挿入部外套管内に設けているが、このような中空管部材を挿入部外套管内に設けると、処置後に挿入部外套管内を洗滌する際に、それぞれの中空管部材内に洗滌流体を流し専用のブラシ等を用いて洗滌しなければならず、洗浄作業が煩雑化し洗滌効率が悪いと行った問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内部に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設する挿入部外套管内の洗滌効率を向上させることのできる超音波手術装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波手術装置は、処置部に把持した生体組織に超音波振動子からの超音波振動を加えることで処置を行う超音波処置具と、前記超音波処置具の前記超音波振動子を超音波振動させる超音波駆動装置とを備え、前記超音波処置具が、前記超音波振動子を挿入部外套管の基端部に連結された操作部に設け、前記挿入部外套管の内部に前記超音波振動子からの超音波振動を前記処置部側に伝達する超音波プローブを挿通するとともに、前記超音波プローブの先端部に対峙して回動自在に支持され、前記超音波プローブの先端部との間に前記生体組織を把持するジョーと、前記操作部に配設され、前記ジョーを前記超音波プローブに対して開閉操作する操作手段と、前記ジョーと前記操作手段との間を連結し、前記操作手段からの操作力を前記ジョー側に伝達する操作力伝達部材を備えた超音波手術装置において、前記超音波プローブの振動の節位置となる前記挿入部外套管の内部の複数の位置に、前記操作力伝達部材を前記超音波プローブと分離して保持する複数の保持手段を設けて構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
【0013】
図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は超音波手術装置の構成を示す構成図、図2は図1の装置本体1の構成を示すブロック図、図3は図1の超音波処置具の分解状態を示す側面図、図4は図1の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図、図5は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第1の図、図6は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持するロッド保持部材を説明する第2の図、図7は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持するロッド保持部材を説明する第3の図(図5のA−A線断面図)、図8は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第1の図、図9は図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第2の図(図8のB−B線断面図)である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の超音波手術装置の装置本体1には超音波処置具2およびフットスイッチ3がそれぞれ接続されている。
【0015】
また、超音波処置具2には細長いシース状の挿入部外套管4の先端部に処置部5、基端部に手元側の操作部6がそれぞれ配設されている。ここで、操作部6には超音波振動を発生する図示しない超音波振動子が内蔵され、処置部5を操作する操作ハンドル8とが設けられている。
【0016】
さらに、挿入部外套管4の内部には超音波振動子からの超音波振動を処置部5に伝える振動伝達部材9(超音波プローブ)が配設されている。この振動伝達部材9の先端部は挿入部外套管4の先端から外部側に露出される。
【0017】
また、装置本体1の前面には操作盤12が設けられている。この操作盤12には電源スイッチ13と、操作表示パネル14と、超音波処置具2の接続部15とが設けられている。ここで、超音波処置具2の操作部6にはハンドピースコード16の一端が連結されている。そして、このハンドピースコード16の他端部に配設されたハンドピースプラグ17が装置本体1の超音波処置具2の接続部15に着脱可能に接続されるようになっている。
【0018】
また、装置本体1の操作表示パネル14には超音波処置を行う際の通常運転時の超音波出力の大きさを設定する設定スイッチ18と、この設定スイッチ18で設定される超音波出力の大きさをデジタル表示する表示部19とが設けられている。この設定スイッチ18には超音波出力の大きさを変更(増減)する出力増加スイッチ18aと、出力低減スイッチ18bとが設けられている。
【0019】
さらに、装置本体1の内部には図2に示すように超音波処置具2内の超音波振動子に電気エネルギを供給するための駆動回路20が内蔵されている。この駆動回路20には超音波周波数の交流信号を発生する発振回路21と、超音波出力の大きさを指示する信号を生成するD/Aコンバータ22と、このD/Aコンバータ22からの信号に基づいて発振回路21の交流信号の大きさを制御するVCA回路23と、VCA回路23の出力を増幅して超音波処置具2内の超音波振動子を駆動する電力を生成するパワーアンプ24と、駆動回路20の出力ラインを入切するリレー25と、超音波手術装置の動作を制御する制御回路26と、フットスイッチ3からの操作信号を制御回路26およびリレー25に伝達するインターフェース(I/F)回路27とが設けられている。
【0020】
また、制御回路26にはフットスイッチ3の操作による超音波処置の開始時に超音波処置具2内の超音波振動子からの超音波出力を設定スイッチ18による設定出力値よりも大きくし、超音波処置開始後、予め設定された所定の設定時間が経過した時点で、超音波振動子からの超音波出力が設定出力値になるように制御する運転状態切換え手段が内蔵されている。なお、駆動回路20のリレー25は超音波処置具接続部15とパワーアンプ24との間に介設されている。
【0021】
超音波処置具2は、図3及び図4に示すように、超音波処置処置具2は、3つのユニットに分解可能な3つの組み立てユニット、即ち、ハンドルユニット31と、プローブユニット32と、振動子ユニット33とから構成される。これらの3つのユニット31〜33は、図4で示す状態に組み立てられるようになっている。
【0022】
振動子ユニット33は、ハンドルユニット31に着脱可能に連結されるハンドピース34が設けられている。このハンドピース34は、円筒状カバー34a内に超音波振動を発生するための超音波振動子(不図示)が内蔵されている。
【0023】
この超音波振動子は、先端側に振幅拡大を行なうホーン(不図示)が連結され、このホーンの先端側がプローブの基端側に取り付けられるようになっている。
【0024】
また、円筒状カバー34aは、この先端部にハンドルユニット31の後述する操作部本体6aの振動子接続部6bに着脱可能に連結されるユニット連結部34bが設けられている。このユニット連結部34bの外周面は、リングの一部を切り離したC字型の形状をしている係合リング39(所謂Cリング)が装着されている。尚、係合リング39は、この断面形状が外周を円弧とする略半月状の断面形状に形成されている。
【0025】
また、円筒状カバー34aの後端部は、端部にハンドピースプラグ17を設けたハンドピースコード16が接続されている。
【0026】
また、プローブユニット32は、振動子ユニット33における図示しないホーンの先端側に着脱可能に連結される細長い略棒状の振動伝達部材9が設けられている。
【0027】
この振動伝達部材9の基端部は、ホーンのプローブ取付部36aに連結される取付けねじ41aが形成されている。そして、この取付けねじ41aが振動子ユニット13におけるプローブ取付部36aのねじ穴部にねじ込み固定されている。これにより、プローブユニット32と、振動子ユニット33との間が一体的に組み付けられている。
【0028】
更に、振動伝達部材9は、基端側から伝達される超音波振動の節の位置(複数個所)にフランジ状の支持体41bが設けられている。この支持体41bは、弾性部材でリング状に形成されている。
【0029】
また、本実施の形態の振動伝達部材9は、基端部側から2つ目の節の前方に第2段階の振幅拡大を行なう基端側ホーン41cが配設されている。更に、この基端側ホーン41cの先端部側は、超音波振動の伝達を行う中間部41d、最終的な振幅拡大を行う先端側ホーン41e、処置部41fが順次配設されている。ここで、振動伝達部材9の最先端部に配置された処置部41fは、略円形の断面形状に形成されている。
【0030】
また、ハンドルユニット31は、細長い挿入シース部31aと、この挿入シース部31aの先端部に配設された先端作用部31bと、挿入シース部31aの基端部に配設された操作部6とから構成される。ここで、ハンドルユニット31の操作部6は、略円筒状の操作部本体6aが設けられている。そして、この操作部本体6aの基端部に振動子接続部6bが形成されている。
【0031】
また、操作部本体6aの外周面は、固定ハンドル42と、操作手段を構成する回動可能な可動ハンドル43とが設けられ、固定ハンドル42及び可動ハンドル43によって操作ハンドル8(図1参照)が構成される。操作部本体6aは、図示しない高周波電源装置が接続される高周波接続用の電極ピン44が設けられている。
【0032】
また、固定ハンドル42の上側部分は、円筒状の操作部本体6aと一体成形されている。更に、固定ハンドル42の操作端部は、親指以外の指の複数のものを選択的に差し込める指掛け孔42aが設けられ、可動ハンドル43の操作端部は、同じ手の親指を掛ける指掛け孔43aが設けられている。
【0033】
また、可動ハンドル43の上端部側は、二股状の連結部43bが形成されている。これらの二股状の連結部43bは、操作部本体6aの両側に配置されている。更に、各連結部43bの上端部は、ハンドル枢支軸45が内方向に向けて突設されている。これらのハンドル枢支軸45は、挿入部外套管4の軸線より上側位置の支点で操作部本体6aに連結されている。これにより、可動ハンドル43は、ハンドル枢支軸45によって回動可能に枢支されている。そして、ハンドル枢支軸45は、可動ハンドル43のハンドル操作に対して前後方向に進退可能に保持されている。なお、ハンドル枢支軸45には高周波絶縁用の絶縁キャップが取り付けられている。
【0034】
更に、可動ハンドル43の各連結部43bは、ハンドル枢支軸45の下側に作動軸47が設けられている。この作動軸47は、挿入部外套管4内を挿通する操作ロッド50(図5参照:操作力伝達部材)に進退力を伝達するためのものである。そして、操作ロッド50は、軸方向に進退させる動作に伴い、処置部41fに対して後述のジョー51の開閉操作が行われるようになっている。即ち、可動ハンドル43と作動軸47とは、操作手段を構成している。なお、作動軸47は挿入部外套管4の略軸線上に配置されている。
【0035】
本実施の形態では、超音波処置具2は、ハンドルを握って可動ハンドル43を閉操作すると、ハンドル枢支軸45に後向きの力が加わり作動軸47が前側に移動することで、操作ロッド50を前側に押し出し、処置部41fに対してジョー51が閉じるように構成されている。
【0036】
また、挿入シース部31aは、上述したように、挿入部外套管4が設けら、この挿入部外套管4の基端部は、回転ノブ48と共に、操作部本体6aの先端部にこの操作部本体6aの中心線の軸回り方向に回転可能に取付けられている。ここで、挿入部外套管4は、図示しない金属管の外周面に絶縁チューブ49が装着されて形成されている。この絶縁チューブ49は、挿入部外套管4の外周面全体を基端部までの大部分被覆する状態に設けられる。
【0037】
また、ハンドルユニット31は、先端作用部31bに生体組織を把持するための片開き型のジョー51が回動自在に取り付けられている。
【0038】
挿入部外套管4は、この先端部にジョー51を保持するジョー保持部52が設けられている。このジョー保持部52は、略管状の保持部材本体52aの先端部が絶縁カバー53で被覆され、高周波電流に対する絶縁が行われている。更に、ジョー51は、生体組織(臓器)を把持する把持部材54が取り付けられている。この把持部材54は、略鋸歯状の歯部55が形成されている。尚、把持部材54は、例えばPTFE(テフロン:デュポン社商標名)等の低摩擦材料で形成されている。また、把持部材54は、単体では、剛性に乏しいので、図示しない金属製の強度部材を取り付けて剛性を確保しても良い。
【0039】
また、ジョー51は、把持部材54の図示しない支持用の支持ピンがそれぞれ内向きに突設されている。更に、このジョー51は、操作ロッド50が係合するようになっている。
【0040】
また、把持部材54と振動伝達部材9の処置部41fとは、広い面積で接触し、間に挟んだ生体組織を広く緩やかに温度上昇させることが可能であり、効果的な凝固を実現できる。ここで、把持部材54の把持面と振動伝達部材9の処置部41fとの間は、円弧状の曲面同士で接触していることにより自然に中心を一致させる効果が発生する。これにより、処置部41fの偏心や傾斜をキャンセルすることができる。
【0041】
また、挿入部外套管4の内部は、プローブユニット32の振動伝達部材9が挿通されている。また、この挿入部外套管4の内部は、振動伝達部材9に併設されて、操作ロッド50が進退自在に挿通されている。尚、操作ロッド50は、挿入部外套管4に隙間を残して配置されている。
【0042】
ジョー51の閉操作時は、プローブユニット32の処置部41fに対してジョー51の把持部材54を押し付けることにより、処置部41fとジョー51の把持部材54との間で生体組織を把持するようになっている。そして、把持された生体組織は、高速で振動する処置部41fとの摩擦によって凝固或いは切開等も超音波処置を施される。尚、ジョー51は、生体組織の剥離にも使用されるようになっている。
【0043】
振動伝達部材9及び操作ロッド50は、図5に示すように、挿入部外套管4内に挿通されており、操作ロッド50は、複数のロッド保持部材50aにより挿入部外套管4内に保持されている。
【0044】
このロッド保持部材50aは、図6に示すように、略逆Ω形状をなしており、図5のように振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数の部材がスポット溶接により内面壁に固定され、ロッド保持部材50aと挿入部外套管4の内面壁が作り出す空間内に操作ロッド50を挿通することで、図7に示すように、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持している。
【0045】
このように本実施の形態によれば、振動伝達部材9の振動の節となる位置に複数設けたロッド保持部材50aにより操作ロッド50を挿入部外套管4内に保持しているので、処置が終わった後の洗滌においては、挿入部外套管4内に水を流しブラシを用いるだけで容易に挿入部外套管4内部を洗滌することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、操作ロッド50の挿入部外套管4内での保持手段として、振動伝達部材9の振動の節となる位置にロッド保持部材50aをスポット溶接により設けるとしたが、これに限らず、例えば図8及び図9に示すように、挿入部外套管4外表面の振動伝達部材9の振動の節となる複数の位置に前後が内部と連通した操作ロッド50が配置可能な凹部60を形成し、この凹部60の後端から前端に操作ロッド50を通すことで操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持するようにしても、本実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0047】
図10ないし図19は本発明の第2の実施の形態に係わり、図10は超音波処置具の分解状態を示す側面図、図11は図10の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図、図12は図10の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の構成を示す構成図、図13は図12の保持手段の作用を説明する図、図14は図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の先端側断面を示す断面図、図15は図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の基端側断面を示す断面図、図16は図14のC−C線断面を示す断面図、図17は図14のD−D線断面を示す断面図、図18は図12の操作ロッドを保持する保持手段の変形例の要部構成を示す構成図、図19は図12の保持手段の挿入部外套管の先端側での作用を説明する図である。
【0048】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態は、図10及び図11に示すように、ハンドルを握ると操作ロッド50を後側に引っ張ることによってジョー51が閉じるタイプの超音波処置具を備えた超音波処置装置に本発明を適用する。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成は、同じ符号を付して説明する。
【0050】
即ち、図10及び図11に示すように本第2の実施の形態の超音波処置装置は、ハンドル枢支軸45が作動軸47より下側にある超音波処置具2Bを備えて構成される。
【0051】
超音波処置具2Bは、円筒状カバー34aの後端部にハンドピースコード16に隣設して高周波接続用の電極ピン44が設けられている。そして、超音波処置具2Bは、高周波電極ピン44に図示しない高周波電源装置が接続され、高周波電力を振動伝達部材9に供給するようになっている。尚、この超音波処置具2Bを制御するための装置本体1は、上記第1の実施の形態で説明したのとほぼ同様な構成である。
【0052】
この超音波処置具2Bは、ハンドルを握って可動ハンドル43を閉操作すると、ハンドル枢支軸45に前向きに力が加わり作動軸47が後側に移動することで、操作ロッド50を後側に引っ張り処置部41fに対してジョー51が閉じるタイプのものである。
【0053】
図12に示すように、本実施の形態の操作ロッド50を保持する保持手段は、振動伝達部材9の振動の節となる複数の位置に穴部100が設けられた長手方向が挿入部外套管4の挿入軸方向に形成された板状部材101と、該穴部100に勘合し穴部100から突出した部分に操作ロッド50が挿通可能な挿通穴102を有するスペーサ部材103とにより、操作ロッド50を振動伝達部材9と分離した状態で挿入部外套管4内に軸方向に進退自在に保持するように構成される。ここで、スペーサ部材103は例えばPTFE(テフロン:デュポン社登録商標)等の低摩擦材料で形成されている。
【0054】
すなわち、図13に示すように、板状部材101の穴部100にスペーサ部材103を着脱自在に勘合させ、板状部材101より突出させたスペーサ部材103の突出位置に設けられた挿通穴102に操作ロッド50を挿通させる。これにより、図14及び図15に示すように、挿入部外套管4の基端から先端に至るスペーサ部材103の位置は振動伝達部材9の振動の節となる位置に位置決めされ、さらに操作ロッド50がスペーサ部材103により振動伝達部材9と分離・保持される。
【0055】
また、図16に示すように、スペーサ部材103の勘合下面には、振動伝達部材9の外周面形状に合わせた溝部104が設けられており、この溝部104が振動伝達部材9の外周面に当接することで、操作ロッド50と振動伝達部材9とが分離されるようになっている。
【0056】
図17に示すように、先端の振動の節となる位置の振動伝達部材9の断面形状は、他の位置の断面形状(円形)とは異なり5角形状をなしており、側面形状が略長方形状の節位置120で振動伝達部材9は、挿入向き設定部材121により挿入部外套管4内に配置・固定されている。挿入向き設定部材121によって、振動伝達部材9の挿入回転向きが規定される。
【0057】
このように、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0058】
なお、板状部材101は、穴部100によってスペーサ部材103を振動伝達部材9の振動の節となる位置に位置決めしているため、その形状は板状に限らず、図18に示すように、穴部100を形成した複数の板部131を振動伝達部材9の振動の節となる位置に一体連結した連結部133を有した位置決め部材132を用いても同様な作用効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、図19に示すように、操作ロッド50を進退操作し、ジョー51と振動伝達部材9の先端を当接させると、振動伝達部材9には挿入向き設定部材121を支点として基端側に反力が作用するが、スペーサ部材103により該反力をうち消す抗力が発生するために振動伝達部材9を挿入部外套管4内の所定位置に収納させることができる。
【0060】
なお、図19に示すように、挿入向き設定部材121を挿入部外套管4の先端まで延長させ挿入部外套管4先端内面を被覆させることで、挿入部外套管4先端で発生する熱の挿入部外套管4外表面への伝達を低減し、挿入部外套管4先端を低温に保つように構成してもよい。挿入向き設定部材121は、節位置120近傍に限定してもよい。
【0061】
なお、上記各実施の形態では、ジョー51の開閉状態を調整するために、操作ロッド50の基端位置を調整する調整機構を有しており、この調整機構200は、図20に示すように、操作ロッド50の基端に係合させた調整部材211をスライダ252の調節部212に螺合させ、ロックナット213で固定する、または図21のようにロックナット213とロックネジ214とで固定することで、操作ロッド50の基端位置を進退させ、ジョー51の開閉状態を調整することができるようになっている。
【0062】
図21の調整機構200は、操作ロッド50の基端に雌ネジを形成し、先端側、基端側の両端で異なるピッチのネジを形成した調整部材211を取り付け、またスライダ252に調整部材211を取り付ける取り付け用の雌ネジを形成し、さらに調整部材211の基端側に雌ネジを形成したロックナット213を取り付けて構成されている。
【0063】
また、上記各実施の形態では、上述したように、挿入部外套管4が回転ノブ48とともに操作部本体6aの中心線の軸回り方向に回転可能に取付けられているが、操作部本体6aの回転力を挿入部外套管4に伝達するために、例えば図20に示すように、操作部本体6aと回転ノブ48との間に固定ハンドル42に対して回転可能に筒状部材250を取り付け、筒状部材250に長手方向に長い長円形の位置決め穴部251を形成する。また、操作ロッド50の基端が取り付けられた、可動ハンドル43からの回転力を伝達するスライダ252に位置決め穴部251に係合するピン状位置決め部材253を設ける。位置決め穴部251の形状(長さ、開始位置、終了位置)により可動ハンドル43の動作を規定すると共に、操作部本体6aの回転力を挿入部外套管4に伝達するようになっている。
【0064】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部に操作ロッド及び超音波プローブを分離・配設する挿入部外套管内の洗滌効率を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波手術装置の構成を示す構成図
【図2】図1の装置本体1の構成を示すブロック図
【図3】図1の超音波処置具の分解状態を示す側面図
【図4】図1の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図
【図5】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第1の図
【図6】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第2の図
【図7】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段であるロッド保持部材を説明する第3の図(図5のA−A線断面図)
【図8】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第1の図
【図9】図1の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の変形例を説明する第2の図(図8のB−B線断面図)
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る超音波処置具の分解状態を示す側面図、
【図11】図10の超音波処置具全体の組立状態を示す側面図
【図12】図10の超音波処置具の操作ロッドを保持する保持手段の構成を示す構成図
【図13】図12の保持手段の作用を説明する図
【図14】図12の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の基端側断面を示す断面図
【図15】図13の保持手段の作用を説明する挿入部外套管の先端側断面を示す断面図
【図16】図14のB−B線断面を示す断面図
【図17】図14のC−C線断面を示す断面図
【図18】図12の操作ロッドを保持する保持手段の変形例の要部構成を示す構成図
【図19】図12の保持手段の挿入部外套管の先端側での作用を説明する図
【図20】本発明の各実施の形態に係る操作ロッドの基端位置を調整する調整機構を説明する図
【図21】図20の操作ロッドの基端位置を調整する調整機構の変形例を説明する図
【符号の説明】
1…装置本体
2…超音波処置具
3…フットスイッチ
4…挿入部外套管
5…処置部
6…操作部
9…振動伝達部材(超音波プローブ)
32…ハンドルユニット
33…プローブユニット
34…振動子ユニット
50…操作ロッド
50a…ロッド保持部材
Claims (1)
- 処置部に把持した生体組織に超音波振動子からの超音波振動を加えることで処置を行う超音波処置具と、
前記超音波処置具の前記超音波振動子を超音波振動させる超音波駆動装置と
を備え、
前記超音波処置具は、
前記超音波振動子を挿入部外套管の基端部に連結された操作部に設け、
前記挿入部外套管の内部に前記超音波振動子からの超音波振動を前記処置部側に伝達する超音波プローブを挿通するとともに、
前記超音波プローブの先端部に対峙して回動自在に支持され、前記超音波プローブの先端部との間に前記生体組織を把持するジョーと、
前記操作部に配設され、前記ジョーを前記超音波プローブに対して開閉操作する操作手段と、
前記ジョーと前記操作手段との間を連結し、前記操作手段からの操作力を前記ジョー側に伝達する操作力伝達部材と
を備えた
超音波手術装置において、
前記超音波プローブの振動の節位置となる前記挿入部外套管の内部の複数の位置に、前記操作力伝達部材を前記超音波プローブと分離して保持する複数の保持手段を設けた
ことを特徴とする超音波手術装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308689A JP2004141341A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 超音波手術装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308689A JP2004141341A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 超音波手術装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004141341A true JP2004141341A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32454764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002308689A Withdrawn JP2004141341A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 超音波手術装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004141341A (ja) |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308689A patent/JP2004141341A/ja not_active Withdrawn
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