JP2004039950A - 電磁波シールド成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い電磁波シールド性、成形品表面外観品位を有すると同時に、薄肉で、面弾性率に優れ、電気・電子機器の筐体に好適な電磁波シールド成形品を提供する。
【解決手段】少なくとも成分(A)熱可塑性樹脂25〜65重量%、(B)炭素繊維35〜75重量%から構成され、成形品を構成するうちの少なくとも1面の200cm2以上の略平面部の面弾性率が8GPa以上であり、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である電磁波シールド成形品。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも成分(A)熱可塑性樹脂25〜65重量%、(B)炭素繊維35〜75重量%から構成され、成形品を構成するうちの少なくとも1面の200cm2以上の略平面部の面弾性率が8GPa以上であり、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である電磁波シールド成形品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂からなる電磁波シールド成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体には、成形性、生産性、経済性に優れることから繊維強化プラスチックが頻繁に使用されている。
【0003】
特に高い機械特性、軽量性、導電性が要求される場合は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物(CFRP)が好ましく使用される。CFRPの中でも、優れた導電性を有するものは、得られる成形品にメッキなどの後処理を施すことなく、電磁波シールド性を達成することができるため、とりわけ好ましく使用される。
【0004】
しかしながら、近年パソコン、携帯電話、携帯情報端末やOA機器など電子機器の携帯化が進むにつれ、その内部部品や筐体に、薄肉化、軽量化が以前にも増して強く要求されるようになった。
【0005】
電子機器筐体の薄肉化に対しては、電子機器に荷重がかかった場合、筐体が大きく撓んで内部の電装部品と接触、破壊に至る問題から、これまでCFRPの薄肉化には限界があった。
【0006】
通常、成形品の剛性はASTM D790に基づく曲げ弾性率で評価される(例えば特開2000−95947号公報)が、この方法は一定以上の厚みを持つ棒状試験片を使用した強制的な荷重試験であり、電子機器の筐体のように薄肉で大きな投影面積を持っていたり、精密機器部品のように小型で複雑形状を有していたり、さらには1mmレベルの微少の撓みですら上記問題を生じる場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、成形品表面外観品位等を損なうことなく、電磁波シールド性及び実装する部材の保護性に優れた電磁波シールド成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、実用的な剛性の指標として、成形品天面の面弾性率を見出した。
【0009】
すなわち本発明は、少なくとも成分(A)熱可塑性樹脂25〜65重量%、(B)炭素繊維35〜75重量%から構成され、成形品を構成するうちの少なくとも1面の略平面部の面弾性率が8GPa以上、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である電磁波シールド成形品である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の電磁波シールド成形品は、成形品の破損、撓み、変形から実装する部材を保護するという観点から、成形品を構成するうちの少なくとも1面の略平面部の面弾性率として8GPa以上を必要とし、好ましくは10GPa以上、さらに好ましくは12GPa以上である。ここで略平面としては、例えば筐体等の成形品における天面すなわち成形品の最大の投影面積を有する面を挙げることができる。投影面積とは、成形品の外形寸法から求めた成形品面の大きさを表す尺度である。当該特性を有する面の面積としては、好ましくは200cm2以上、より好ましくは400cm2以上、さらに好ましくは600cm2以上である。
【0011】
一般に、電気・電子機器の筐体は内部に衝撃、荷重、電気的短絡に対しデリケートな電子回路や破損し易い部材などを保護するものであり、また過酷な荷重下に晒されることが予想される。このような用途では、破損は言うに及ばず、荷重による撓みや変形ですら内部の電子回路や部材に対して致命的なダメージを与える場合がある。
【0012】
面弾性率の測定方法については以下の通りである。
【0013】
試験機は、クロスヘッドの移動速度を一定に保ち、試験片に加えられた荷重および撓み量の経時変化を±1%またはそれ以上の精度で記録、指示できるものであれば、特に制限はない。
【0014】
試験には、電磁波シールド成形品の天面を切り出した平板を用いる。切り出す平板の形状としては正方形であることが好ましい。切り出す平面の寸法としては特に制限はないが、成形品の形状に合わせて、できるだけ大きい方が好ましい。この際、リブ、ヒンジ、ボスは付属していても構わないが、壁面となる面はすべて切除するものとする。
反りの測定方法は特に制限はなく、三次元測定機を用いた従来公知の方法で測定できる。反りの矯正方法も特に制限はなく、治具にセットして加熱処理する公知の方法で矯正できる。
【0015】
かくして得られた平板を図1、2に示すように3点の支持台にセットして、荷重試験を行う。セットする位置については3点の支持台に均等に接触し、セットされた平面板が水平であれば特に制限はないが、できるだけ平板の中心よりを選ぶと良い。また3つの支持点は各点を結ぶ正三角形の頂点に位置するよう設置する。尚、図2において荷重圧子の半径r1は10±1mm、支持台の支持半径r2は5±0.5mmとする。
【0016】
また、平板の厚みについては、リブ部、ヒンジ部、ボス部、ウェルドラインは除き、成形品点面の70%以上を占める部分の厚みt(mm)とする。
【0017】
荷重点は支持点を結ぶ正三角形の重心とし、リブやヒンジのある部分は極力避ける。さらに、支持点間の距離(スパン距離)a(mm)としては、平板が適切に設置できる範囲内で、できるだけ大きく、具体的には、試験片の幅b(mm)に対して、(b−20)mmとるのが良い。
【0018】
荷重速度は1mm以下の微少な撓み量が正確に検出できる範囲であれば良いが、通常、荷重速度として10mm/min.程度をとる。荷重試験を行い、荷重−撓み曲線から平板が、フラットな状態から1mm撓んだときの荷重を内挿する。同一平板で荷重位置を若干変更して同様の測定を少なくとも5回行い、その平均値から1mm撓むときの荷重p(N)を求める。
【0019】
上記測定により得られた、各数値を用いて、式1に示される計算式にて面弾性率Es(MPa)を算出する。
Es=(1/4)・(a3/bt3)・p 。
【0020】
面弾性率が大きいほど、実装した場合の荷重に対する撓みを小さく抑えることができ、8GPa未満の場合は電気・電子機器の筐体に適用した場合に、内部の電装部品が損傷する場合があり、近年の電気・電子機器の筐体用途などの厳しい要求に応えるには不十分である。
【0021】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、優れた電磁波シールド性を有することから、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である。好ましくは33dB以上、さらに好ましくは35dB以上であるのがよい。
【0022】
ここでKEC法とは、(財)関西電子工業振興センターによる測定方法で、上下もしくは左右対称に分割したシールドボックスに試験片をはさみこんで、スペクトラムアナライザーにて電磁波の減衰度を測定するものである。試験にあたっては、電磁波シールド成形品の一部から適当な面積の平板を切り出したものを測定に供する。
【0023】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、電気、電子機器の筐体などに使用することを想定した場合の薄肉・軽量性の観点から、天面の平均厚みは1.6mm以下であることがことが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.4mm以下であることがさらに好ましく、1.3mm以下であることがとりわけ好ましい。ここで、成形品の平均厚みは、面弾性率測定に使用する厚みt(mm)と同様に、リブ部、ヒンジ部、ボス部にウェルドラインを除いた部位で測定し、均等に分散した少なくとも5点の測定値の平均値である。
【0024】
同様に、本発明の電磁波シールド成形品の天面の投影面積は、200cm2以上であることが好ましく、400cm2以上であることがより好ましく、600cm2以上であることがさらに好ましい。
【0025】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、電気・電子機器、自動車などの部材、内部部品などに使用することを想定した場合の小型・軽量性の観点から、平均厚みは10mm以下であることがことが好ましく、5.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがさらに好ましく、1.0mm以下であることがとりわけ好ましい。
【0026】
本発明の電磁波シールド成形品は、成分(A)熱可塑性樹脂を25〜65重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは42〜58重量%と、成分(B)炭素繊維を35〜75重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは42〜58重量%とから構成されるものである。成分(B)が75重量%を越えると電磁波シールド成形品の表面外観品位が劣る場合があり、35重量%未満では十分な面弾性率が得られない場合がある。
【0027】
本発明の電磁波シールド成形品を構成する成分(A)熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアリーレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが例示され、本発明の特徴を損なわない範囲でこれらの1種または2種以上を併用しても良い。
【0028】
電磁波シールド成形品の耐熱性、耐薬品性の観点からはPPS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂が、表面外観品位、寸法安定性の観点からはポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂が好ましく用いられ、中でも強度、剛性、耐衝撃性などの機械特性、表面外観品位、経済性のバランスに優れたポリアミド樹脂がより好ましく用いられる。
【0029】
また、前述のような優れた面弾性率は、例えば成分(A)としてポリアミド樹脂を採用することで実現できることを見出している。
【0030】
かかるポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる成分とする重合体である。その具体例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、p−アミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、かつこれらの原料から誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。
【0031】
また、前述のような優れた面弾性率は例えば成分(A)のポリアミド樹脂として、少なくとも、(a1)ヘキサメチレンアジパミド単位を70〜99重量%と、(a2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位を1〜30重量%とを共重合成分とする共重合ポリアミド樹脂を採用することで実現できることを見出している。より好ましい共重合率は、(a1)が75〜90重量%、(a2)が10〜25重量%である。またさらに、(a3)カプロアミド単位1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%を共重合成分として含むのが好ましい。また、とりわけ好ましくは、構造単位(a2)と(a3)との重量比(a2)/(a3)が1〜30の範囲内である。
【0032】
これらポリアミド樹脂の分子量としては特に制限はないが、電磁波シールド成形品を薄肉化する上で、その好ましい目安としては相対粘度が1.5〜2.5の範囲であり、特に好ましい目安としては1.8〜2.3の範囲である。ここでいう相対粘度ηrは、成分(A)約1gを98%硫酸に溶解し試料濃度1%の100cc溶液とし、25℃下でオストワルド粘度計を使用して測定できる(98%硫酸法)。尚、成形材料、成形品として成分(B)と混合されている場合には、それらの一部を切り出し、成分(A)を溶解させる溶媒にて十分溶解させた後、濾過などの公知な操作により成分(B)を分離し、さらにポリアミド樹脂を抽出、相対粘度の測定に供する方法が例示できる。
【0033】
本発明の電磁波シールド成形品を構成する成分(B)炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系などを例示することができる。中でも、電磁波シールド成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。さらに、導電性向上を目的に、炭素繊維にニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した金属被覆炭素繊維なども本発明で使用することができる。成分(B)として、これらのうち1種を用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明の電磁波シールド成形品で採用する成分(B)は、その数平均繊維長を200μm以下、好ましくは180μm以下とすることで、前述のような優れた面弾性率を実現できることを見出している。
【0035】
ここで、数平均繊維長の測定方法は、成形品から分散している成分(B)のみを、無作為に少なくとも400本以上抽出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定してその平均長さを算出することにより行う。成分(B)の抽出方法としては、成形品の一部を切り出し、成分(A)を溶解させる溶媒により成分(A)を十分溶解させた後、濾過などの公知な操作により成分(B)と分離することができる。ただし、成形品を切り出す位置については、ウェルド周辺、ゲート周辺、リブ部、ヒンジ部および成形品端部は避けるものとする。
【0036】
また、成分(B)の平均単繊維直径は、得られる電磁波シールド成形品の機械特性と導電性及び表面外観品位の観点から、1〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜12μm、更に好ましくは3〜10μmの範囲内である。
【0037】
また、成分(B)の広角X線回折法により測定される結晶サイズ(以下、Lcと記す)についても特に制限はないが、得られる電磁波シールド成形品の機械特性や電磁波シールド性の観点から、1〜6nmの範囲内のものが好ましく使用される。より好ましくは1.6〜3nmの範囲内のものである。広角X線回折法によるLcの測定は、例えば日本学術振興会第117委員会,炭素,36,p25(1963)に記載された方法に基づいて行うことができる。
【0038】
また、成分(B)の引張破断伸度についても特に制限はないが、電磁波シールド成形品の機械特性の観点から、1.5%以上であることが好ましく、1.9%以上であることがより好ましい。
【0039】
なお、本発明で使用する成分(B)は、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エーテル系、フェノール系樹脂、液晶性樹脂などで集束処理されていてもよい。
【0040】
本発明の電磁波シールド成形品は、その電磁波シールド性を高める目的で、さらに成分(C)として、導電性付与剤を含有することが好ましい。その好ましい含有量としては、電磁波シールド成形品を形成する組成物100重量%中に、成分(C)を0.01〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜8重量%の範囲内である。
【0041】
導電性付与剤としては、例えばカーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが例として挙げられるが、その中でも導電性向上の観点からカーボンブラック、気相成長炭素繊維またはカーボンナノチューブが好ましい。
【0042】
かかるカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、これらの単独または2種類以上ブレンドしたカーボンブラックでもよい。中でも、価格、導電性付与効果などの総合的な面から、ファーネスブラックが好ましい。
【0043】
また、カーボンナノチューブとしては、例えば、単層ナノチューブ、多層ナノチューブなどを使用することができ、これらを2種以上併用したものでも良い。また、カーボンナノチューブの添加効果を高めるために、カーボンナノチューブの表面を官能基で修飾したり、プラズマ処理を施すなどしてもよい。特に好ましいカーボンナノチューブとしては、導電性の観点からは単層ナノチューブ、二層ナノチューブであり、供給性、経済性の観点からは多層ナノチューブである。
【0044】
本発明の電磁波シールド成形品は、難燃性を付与する目的で、さらに成分(D)として、難燃剤を含有することが好ましい。その好ましい含有量としては、機械特性の観点から、電磁波シールド成形品を形成する組成物100重量%中に成分(D)を0.1〜20重量%の範囲内であり、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲内である。
【0045】
難燃剤には特に制限はなく、ハロゲン系、燐系、無機系などの難燃剤を使用できる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、デカブロモジフェニルエーテル、ブロモビスフェノールS、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボランジカルモキシルイミド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、臭素化ポリフェニレンオキサイド系難燃剤、臭素化スチレン系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、赤燐、アルキルホスフェート、アリルホスフェート、アルキルアリルフォスフェート、芳香族縮合燐酸エステル、塩化ホスフォニトリル誘導体、ホスフォノアミド系難燃剤、ビニルホスフォネート、アリルホスフォネート、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、メラミンホスフェートなどの燐系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、アルミン酸カルシウム、クレーなどの無機系難燃剤、さらにはメラミン、メラミンシアヌレートなどの含窒素系、シリコーン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの難燃助剤を挙げることができる。環境負荷と難燃性の観点からは燐系難燃剤、とりわけ赤燐が好ましい。
【0046】
本発明の電磁波シールド成形品として好ましい難燃性の程度は、UL−94(アンダーライターズ・ラボラトリーズで定められたプラスチック材料の燃焼性試験の規格)における難燃性評価試験においてV−0である。すなわち、電磁波シールド成形品を形成する樹脂組成物を用い、別途特定厚みの試験片に成形して、UL−94の難燃性評価試験に供するものである。尚、試験片厚みは、実際の成形品の厚みにほぼ対応させるようにし、それができない場合には、0.8〜1.6mmに成形する。
【0047】
さらに、本発明の電磁波シールド成形品には、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で他の無機充填材や添加剤を含有しても良い。
【0048】
他の無機充填材としては特に制限はなく、例えば、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維、層状珪酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母)、焼成クレイ、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸カルシウム、金属ウィスカー、ワラステナイト、ゼオライト、セリナイト、カオリン、ベントナイト、アルミナシリコート、マイカ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、フェライト、金属粉、水酸化鉄、窒化硼素などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用してもよい。その形状としても制限はなく、パウダー状、フレーク状、繊維状、ウィスカーバルーン状などを採用できる。
【0049】
無機充填材として、層状珪酸塩に属するものは、その層間を有機オニウムイオン化処理したものを使用しても良い。有機オニウムイオンとしては、特に制限はないがアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。有機オニウム化処理は、元来層間に存在する交換性陽イオンを有機オニウムイオンで交換することを意味する。その方法としては特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法や、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させる方法などが挙げられる。
【0050】
添加剤としては、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、耐電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが使用できる。
【0051】
本発明の電磁波シールド成形品は、通常公知の射出成形、押出成形および圧縮成形などの方法によって得られる。なかでも射出成形が生産性が高く工業的に特に好適であり、かつリブ、ヒンジ、ボスを有する成形品やインサート成形品などの複雑な形状の成形加工品、薄肉成形品にも好適である。
【0052】
電磁波シールド成形品の形状には特に制限はなく、曲面、リブ、ヒンジ、ボス、中空部を有していてもよい。また、成形品にはメッキ、塗装、蒸着、インサート、スタンピング、レーザー照射などにより表面加飾の処理が施されていてもよい。
【0053】
なお、成形品が大きく反っている場合は、反りを矯正した後、電気・電子機器等の実装に供することが好ましい。好ましい反りの範囲については、±1.0mm以内、より好ましくは±0.8mm以内、さらに好ましくは±0.5mm以内である。
【0054】
電磁波シールド成形品の用途としては、例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体及びトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、自動車や航空機の電装部材、内部部品などが挙げられる。
【0055】
中でも、本発明の電磁波シールド成形品はその優れた面弾性率を生かして、電気、電子機器用の筐体や外部部材用に好適であり、さらには薄肉で広い投影面積を必要とするノート型パソコンや携帯情報端末などの筐体として好適である。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。尚、実施例及び比較例中に示された配合割合において特に注釈のない「%」は全て重量%を意味する。
【0057】
[評価方法]
(1)成形品厚み
筐体としての厚みは、図3における厚み測定点11をマイクロメーターにて測定し、平均したものを天面厚み(mm)とした。
【0058】
また、成形品を構成する面の厚みも、測定点位置、マイクロメータ等これに準じて測定した。
【0059】
(2)数平均繊維長
成形品の天面の一部から約1gを切り出し、蟻酸100ccに溶解して12時間放置した。成分(A)が完全に溶解したのを確認した後、ペーパーフィルターを用いて成分(B)を濾過した。フィルター残査を顕微鏡にて観察し、無作為抽出した400本の成分(B)の繊維長(μm)を測定し、数平均値を算出した。
【0060】
(3)面弾性率
まず、反りが0±1.0mm以内であることを確認し、この範囲を外れる場合には、その範囲内になるまで矯正する。
【0061】
成形品より150mm×150mmの平板を切り出し、図1、2に示す支持台をスパン距離130mmに調整し、平板が水平になるようセットした。荷重圧子の半径r1は11mm、支点半径r2は5mmとし、荷重速度10mm/min.にて荷重試験を行った。平板が3mm撓んだ時点で荷重を除去し、撓み量1mmのときの荷重p(N)を内挿し、前述の式1に従い面弾性率(a)を算出した。
【0062】
また、モデル筐体より200mm×200mmの平板を切り出し、スパン距離180mmに調整した以外は、上記と同様の方法で、面弾性率(b)を算出した。
【0063】
(4)電磁波シールド性
KEC法にて評価を行った。成形品の、面弾性率の測定に用いた試験片を切り出したのと同じ面から120mm×120mmを切出して試験片とした。評価にあたり、試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させた。スペクトラムアナライザーにて周波数1GHzでの電波シールド性(dB)を測定し、電磁波シールド性とした。電波シールド性が高いほど、電磁波シールド性に優れていることを表している。
【0064】
(5)表面外観品位
モデル筐体の天面全体を目視にて評価した。目安としては、表面のCF隠蔽性、ウェルドラインの隠蔽性、光沢感、フローマークの有無であり、全て合格であれば良好、一つ劣るものは可、二つ以上劣るものは不可とした。
【0065】
(6)難燃性
UL−94規格に基づいた難燃性試験にて評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。用いた試験片の厚みは1.2mmである。
【0066】
[各成分の調製]
成分(A)熱可塑性樹脂
A−1:ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当モル塩76重量%、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との当モル塩16重量%およびε−カプロラクタム8重量%を重合缶内に順次投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を充分に窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大20kg/cm2に調節しながら最終到達温度は270℃とした。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたポリアミド樹脂の相対粘度ηrを98%硫酸法にて測定したところ2.1であった。
【0067】
A−2:A−1と同様の方法にて、重合時間を延長した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度は2.5であった。
【0068】
A−3:ポリアミド6ホモポリマー
東レ(株)製ナイロン樹脂(ηr=2.35)をA−3とした。
【0069】
成分(B)炭素繊維
B−1:ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数24,000本の炭素繊維を得た。この炭素繊維の特性は、比重1.8、引張強度5.0GPa、引張弾性率250GPaである。サイジング剤として、エポキシ樹脂(商品名Ep828(油化シェル製)および商品名Ep1001(油化シェル製)の等量混合品)を炭素繊維に予め付着させた後に、ウレタン樹脂(1,6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着させた後、カートリッジカッターにて6mmの長さにカットしてチョップド糸を作成した。さらに、熱風乾燥機にて190℃で5分間乾燥して使用した。
【0070】
B−2:東レ(株)製チョップド“トレカ” TS−12をB−2とした。
【0071】
成分(C)導電性付与剤
C−1:
平均粒径50μm、DBP吸収量130cm3/100gのファーネスブラックをC−1とした。
【0072】
C−2:
平均繊維径10nmのカーボンナノチューブをC−2とした。
成分(D)難燃剤
燐化学工業(株)製の、平均粒径30μm、伝導率200μS/cmの赤燐を採用した。
【0073】
[成形品の作製]
日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリアミド樹脂(A)及び成分(C)、成分(D)をメインホッパーより供給し、次いでその下流のサイドホッパーから炭素繊維(B)を供給し、バレル温度260℃、回転数150rpmにて十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。供給は重量フィーダーにより表1に示す重量割合となるよう調整した。溶融樹脂をダイス口(φ5mm)より吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターにて切断してペレットとした。
【0074】
得られたペレットを熱風乾燥で90℃×3hr、さらに真空乾燥で80℃×6hrの乾燥を行い、水分率0.1%以下になるよう十分乾燥させた後、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて図3に示すような電気・電子機器用電磁波シールド成形品のモデル成形品8を成形した。かかるモデル筐体は長さL300mm×幅W250mmの天面9を有し、H高さ12mmであって筐体天面面積の70%以上の厚みが約1.2mmであり、リブ、ヒンジ、ボスは含まない。また、射出成形においては6点のゲート点数にて成形したため、図3におけるウェルドライン10が発生する。
【0075】
同様に日本製鋼所(株)製J150EII−P型射出成形機を用いて難燃性評価用テストピースを成形した。条件はいずれもシリンダー温度:300℃、金型温度:90℃とした。
【0076】
得られたモデル筐体は23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。また、得られた難燃性評価用テストピースは真空下で80℃、12時間の乾燥を行い、かつデシケーター中で室温、3時間保管した乾燥状態として難燃性評価を行った。
【0077】
尚、いずれの実施例、比較例についても、成形品の反りが0±0.4mm以内であることを確認した。
【0078】
実施例1〜5、比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1より以下のことが明らかである。
実施例1〜5の電磁波シールド成形品は、1.2mmの薄肉成形品にもかかわらず、電磁波シールド性、表面外観品位、難燃性に優れるだけでなく、極めて高い面弾性率を達成し、電気・電子機器に実装した場合に内部の電子回路の破損を防止する上で極めて有用である。
【0081】
中でも、実施例1は熱可塑性樹脂をとりわけ好ましいポリアミド樹脂とすることで、実施例4、5よりも表面外観品位の点で好ましい。
【0082】
また、実施例3では導電性付与剤としてカーボンナノチューブを用いることで、電磁波シールド性の点で好ましい。
【0083】
一方、比較例1、2では、電磁波シールド性、面弾性率が不十分であり、電気・電子機器に実装した場合に、電磁波障害、内部の電子回路の保護など、近年の電気・電子機器の筐体用途などの厳しい要求に応えるには不十分である。特に、比較例2ではウェルドラインの隠蔽が不十分であり表面外観品位に劣り、かつ難燃性も低い結果となる。
【0084】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド成形品は、高い電磁波シールド性、成形品表面外観品位を有すると同時に、薄肉で、面弾性率に優れ、パソコン、ディスプレイや携帯情報端末などの電気・電子機器の筐体に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】面弾性率の測定における平板の俯瞰図である。
【図2】面弾性率の測定のイメージ図である。
【図3】電磁波シールド成形品のモデル筐体の斜視図である。
【符号の説明】
1:電磁波シールド成形品のモデル筐体から切り出した平板
2:荷重点
3:支持点
a:スパン距離
b:平板長さ
4:電磁波シールド成形品のモデル筐体から切り出した平板
5:荷重圧子
6:支持台
7:台座
t:平板厚み
8:電気・電子機器用のモデル筐体
9:天面
10:ウェルドライン
11:厚み測定点
L:長さ
W:幅
H:高さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂からなる電磁波シールド成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体には、成形性、生産性、経済性に優れることから繊維強化プラスチックが頻繁に使用されている。
【0003】
特に高い機械特性、軽量性、導電性が要求される場合は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物(CFRP)が好ましく使用される。CFRPの中でも、優れた導電性を有するものは、得られる成形品にメッキなどの後処理を施すことなく、電磁波シールド性を達成することができるため、とりわけ好ましく使用される。
【0004】
しかしながら、近年パソコン、携帯電話、携帯情報端末やOA機器など電子機器の携帯化が進むにつれ、その内部部品や筐体に、薄肉化、軽量化が以前にも増して強く要求されるようになった。
【0005】
電子機器筐体の薄肉化に対しては、電子機器に荷重がかかった場合、筐体が大きく撓んで内部の電装部品と接触、破壊に至る問題から、これまでCFRPの薄肉化には限界があった。
【0006】
通常、成形品の剛性はASTM D790に基づく曲げ弾性率で評価される(例えば特開2000−95947号公報)が、この方法は一定以上の厚みを持つ棒状試験片を使用した強制的な荷重試験であり、電子機器の筐体のように薄肉で大きな投影面積を持っていたり、精密機器部品のように小型で複雑形状を有していたり、さらには1mmレベルの微少の撓みですら上記問題を生じる場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、成形品表面外観品位等を損なうことなく、電磁波シールド性及び実装する部材の保護性に優れた電磁波シールド成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、実用的な剛性の指標として、成形品天面の面弾性率を見出した。
【0009】
すなわち本発明は、少なくとも成分(A)熱可塑性樹脂25〜65重量%、(B)炭素繊維35〜75重量%から構成され、成形品を構成するうちの少なくとも1面の略平面部の面弾性率が8GPa以上、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である電磁波シールド成形品である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の電磁波シールド成形品は、成形品の破損、撓み、変形から実装する部材を保護するという観点から、成形品を構成するうちの少なくとも1面の略平面部の面弾性率として8GPa以上を必要とし、好ましくは10GPa以上、さらに好ましくは12GPa以上である。ここで略平面としては、例えば筐体等の成形品における天面すなわち成形品の最大の投影面積を有する面を挙げることができる。投影面積とは、成形品の外形寸法から求めた成形品面の大きさを表す尺度である。当該特性を有する面の面積としては、好ましくは200cm2以上、より好ましくは400cm2以上、さらに好ましくは600cm2以上である。
【0011】
一般に、電気・電子機器の筐体は内部に衝撃、荷重、電気的短絡に対しデリケートな電子回路や破損し易い部材などを保護するものであり、また過酷な荷重下に晒されることが予想される。このような用途では、破損は言うに及ばず、荷重による撓みや変形ですら内部の電子回路や部材に対して致命的なダメージを与える場合がある。
【0012】
面弾性率の測定方法については以下の通りである。
【0013】
試験機は、クロスヘッドの移動速度を一定に保ち、試験片に加えられた荷重および撓み量の経時変化を±1%またはそれ以上の精度で記録、指示できるものであれば、特に制限はない。
【0014】
試験には、電磁波シールド成形品の天面を切り出した平板を用いる。切り出す平板の形状としては正方形であることが好ましい。切り出す平面の寸法としては特に制限はないが、成形品の形状に合わせて、できるだけ大きい方が好ましい。この際、リブ、ヒンジ、ボスは付属していても構わないが、壁面となる面はすべて切除するものとする。
反りの測定方法は特に制限はなく、三次元測定機を用いた従来公知の方法で測定できる。反りの矯正方法も特に制限はなく、治具にセットして加熱処理する公知の方法で矯正できる。
【0015】
かくして得られた平板を図1、2に示すように3点の支持台にセットして、荷重試験を行う。セットする位置については3点の支持台に均等に接触し、セットされた平面板が水平であれば特に制限はないが、できるだけ平板の中心よりを選ぶと良い。また3つの支持点は各点を結ぶ正三角形の頂点に位置するよう設置する。尚、図2において荷重圧子の半径r1は10±1mm、支持台の支持半径r2は5±0.5mmとする。
【0016】
また、平板の厚みについては、リブ部、ヒンジ部、ボス部、ウェルドラインは除き、成形品点面の70%以上を占める部分の厚みt(mm)とする。
【0017】
荷重点は支持点を結ぶ正三角形の重心とし、リブやヒンジのある部分は極力避ける。さらに、支持点間の距離(スパン距離)a(mm)としては、平板が適切に設置できる範囲内で、できるだけ大きく、具体的には、試験片の幅b(mm)に対して、(b−20)mmとるのが良い。
【0018】
荷重速度は1mm以下の微少な撓み量が正確に検出できる範囲であれば良いが、通常、荷重速度として10mm/min.程度をとる。荷重試験を行い、荷重−撓み曲線から平板が、フラットな状態から1mm撓んだときの荷重を内挿する。同一平板で荷重位置を若干変更して同様の測定を少なくとも5回行い、その平均値から1mm撓むときの荷重p(N)を求める。
【0019】
上記測定により得られた、各数値を用いて、式1に示される計算式にて面弾性率Es(MPa)を算出する。
Es=(1/4)・(a3/bt3)・p 。
【0020】
面弾性率が大きいほど、実装した場合の荷重に対する撓みを小さく抑えることができ、8GPa未満の場合は電気・電子機器の筐体に適用した場合に、内部の電装部品が損傷する場合があり、近年の電気・電子機器の筐体用途などの厳しい要求に応えるには不十分である。
【0021】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、優れた電磁波シールド性を有することから、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である。好ましくは33dB以上、さらに好ましくは35dB以上であるのがよい。
【0022】
ここでKEC法とは、(財)関西電子工業振興センターによる測定方法で、上下もしくは左右対称に分割したシールドボックスに試験片をはさみこんで、スペクトラムアナライザーにて電磁波の減衰度を測定するものである。試験にあたっては、電磁波シールド成形品の一部から適当な面積の平板を切り出したものを測定に供する。
【0023】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、電気、電子機器の筐体などに使用することを想定した場合の薄肉・軽量性の観点から、天面の平均厚みは1.6mm以下であることがことが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.4mm以下であることがさらに好ましく、1.3mm以下であることがとりわけ好ましい。ここで、成形品の平均厚みは、面弾性率測定に使用する厚みt(mm)と同様に、リブ部、ヒンジ部、ボス部にウェルドラインを除いた部位で測定し、均等に分散した少なくとも5点の測定値の平均値である。
【0024】
同様に、本発明の電磁波シールド成形品の天面の投影面積は、200cm2以上であることが好ましく、400cm2以上であることがより好ましく、600cm2以上であることがさらに好ましい。
【0025】
また、本発明の電磁波シールド成形品は、電気・電子機器、自動車などの部材、内部部品などに使用することを想定した場合の小型・軽量性の観点から、平均厚みは10mm以下であることがことが好ましく、5.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがさらに好ましく、1.0mm以下であることがとりわけ好ましい。
【0026】
本発明の電磁波シールド成形品は、成分(A)熱可塑性樹脂を25〜65重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは42〜58重量%と、成分(B)炭素繊維を35〜75重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは42〜58重量%とから構成されるものである。成分(B)が75重量%を越えると電磁波シールド成形品の表面外観品位が劣る場合があり、35重量%未満では十分な面弾性率が得られない場合がある。
【0027】
本発明の電磁波シールド成形品を構成する成分(A)熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアリーレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが例示され、本発明の特徴を損なわない範囲でこれらの1種または2種以上を併用しても良い。
【0028】
電磁波シールド成形品の耐熱性、耐薬品性の観点からはPPS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂が、表面外観品位、寸法安定性の観点からはポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂が好ましく用いられ、中でも強度、剛性、耐衝撃性などの機械特性、表面外観品位、経済性のバランスに優れたポリアミド樹脂がより好ましく用いられる。
【0029】
また、前述のような優れた面弾性率は、例えば成分(A)としてポリアミド樹脂を採用することで実現できることを見出している。
【0030】
かかるポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる成分とする重合体である。その具体例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、p−アミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、かつこれらの原料から誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。
【0031】
また、前述のような優れた面弾性率は例えば成分(A)のポリアミド樹脂として、少なくとも、(a1)ヘキサメチレンアジパミド単位を70〜99重量%と、(a2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位を1〜30重量%とを共重合成分とする共重合ポリアミド樹脂を採用することで実現できることを見出している。より好ましい共重合率は、(a1)が75〜90重量%、(a2)が10〜25重量%である。またさらに、(a3)カプロアミド単位1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%を共重合成分として含むのが好ましい。また、とりわけ好ましくは、構造単位(a2)と(a3)との重量比(a2)/(a3)が1〜30の範囲内である。
【0032】
これらポリアミド樹脂の分子量としては特に制限はないが、電磁波シールド成形品を薄肉化する上で、その好ましい目安としては相対粘度が1.5〜2.5の範囲であり、特に好ましい目安としては1.8〜2.3の範囲である。ここでいう相対粘度ηrは、成分(A)約1gを98%硫酸に溶解し試料濃度1%の100cc溶液とし、25℃下でオストワルド粘度計を使用して測定できる(98%硫酸法)。尚、成形材料、成形品として成分(B)と混合されている場合には、それらの一部を切り出し、成分(A)を溶解させる溶媒にて十分溶解させた後、濾過などの公知な操作により成分(B)を分離し、さらにポリアミド樹脂を抽出、相対粘度の測定に供する方法が例示できる。
【0033】
本発明の電磁波シールド成形品を構成する成分(B)炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系などを例示することができる。中でも、電磁波シールド成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。さらに、導電性向上を目的に、炭素繊維にニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した金属被覆炭素繊維なども本発明で使用することができる。成分(B)として、これらのうち1種を用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明の電磁波シールド成形品で採用する成分(B)は、その数平均繊維長を200μm以下、好ましくは180μm以下とすることで、前述のような優れた面弾性率を実現できることを見出している。
【0035】
ここで、数平均繊維長の測定方法は、成形品から分散している成分(B)のみを、無作為に少なくとも400本以上抽出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定してその平均長さを算出することにより行う。成分(B)の抽出方法としては、成形品の一部を切り出し、成分(A)を溶解させる溶媒により成分(A)を十分溶解させた後、濾過などの公知な操作により成分(B)と分離することができる。ただし、成形品を切り出す位置については、ウェルド周辺、ゲート周辺、リブ部、ヒンジ部および成形品端部は避けるものとする。
【0036】
また、成分(B)の平均単繊維直径は、得られる電磁波シールド成形品の機械特性と導電性及び表面外観品位の観点から、1〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜12μm、更に好ましくは3〜10μmの範囲内である。
【0037】
また、成分(B)の広角X線回折法により測定される結晶サイズ(以下、Lcと記す)についても特に制限はないが、得られる電磁波シールド成形品の機械特性や電磁波シールド性の観点から、1〜6nmの範囲内のものが好ましく使用される。より好ましくは1.6〜3nmの範囲内のものである。広角X線回折法によるLcの測定は、例えば日本学術振興会第117委員会,炭素,36,p25(1963)に記載された方法に基づいて行うことができる。
【0038】
また、成分(B)の引張破断伸度についても特に制限はないが、電磁波シールド成形品の機械特性の観点から、1.5%以上であることが好ましく、1.9%以上であることがより好ましい。
【0039】
なお、本発明で使用する成分(B)は、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エーテル系、フェノール系樹脂、液晶性樹脂などで集束処理されていてもよい。
【0040】
本発明の電磁波シールド成形品は、その電磁波シールド性を高める目的で、さらに成分(C)として、導電性付与剤を含有することが好ましい。その好ましい含有量としては、電磁波シールド成形品を形成する組成物100重量%中に、成分(C)を0.01〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜8重量%の範囲内である。
【0041】
導電性付与剤としては、例えばカーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが例として挙げられるが、その中でも導電性向上の観点からカーボンブラック、気相成長炭素繊維またはカーボンナノチューブが好ましい。
【0042】
かかるカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、これらの単独または2種類以上ブレンドしたカーボンブラックでもよい。中でも、価格、導電性付与効果などの総合的な面から、ファーネスブラックが好ましい。
【0043】
また、カーボンナノチューブとしては、例えば、単層ナノチューブ、多層ナノチューブなどを使用することができ、これらを2種以上併用したものでも良い。また、カーボンナノチューブの添加効果を高めるために、カーボンナノチューブの表面を官能基で修飾したり、プラズマ処理を施すなどしてもよい。特に好ましいカーボンナノチューブとしては、導電性の観点からは単層ナノチューブ、二層ナノチューブであり、供給性、経済性の観点からは多層ナノチューブである。
【0044】
本発明の電磁波シールド成形品は、難燃性を付与する目的で、さらに成分(D)として、難燃剤を含有することが好ましい。その好ましい含有量としては、機械特性の観点から、電磁波シールド成形品を形成する組成物100重量%中に成分(D)を0.1〜20重量%の範囲内であり、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲内である。
【0045】
難燃剤には特に制限はなく、ハロゲン系、燐系、無機系などの難燃剤を使用できる。具体的には、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、デカブロモジフェニルエーテル、ブロモビスフェノールS、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボランジカルモキシルイミド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、臭素化ポリフェニレンオキサイド系難燃剤、臭素化スチレン系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、赤燐、アルキルホスフェート、アリルホスフェート、アルキルアリルフォスフェート、芳香族縮合燐酸エステル、塩化ホスフォニトリル誘導体、ホスフォノアミド系難燃剤、ビニルホスフォネート、アリルホスフォネート、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、メラミンホスフェートなどの燐系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、アルミン酸カルシウム、クレーなどの無機系難燃剤、さらにはメラミン、メラミンシアヌレートなどの含窒素系、シリコーン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの難燃助剤を挙げることができる。環境負荷と難燃性の観点からは燐系難燃剤、とりわけ赤燐が好ましい。
【0046】
本発明の電磁波シールド成形品として好ましい難燃性の程度は、UL−94(アンダーライターズ・ラボラトリーズで定められたプラスチック材料の燃焼性試験の規格)における難燃性評価試験においてV−0である。すなわち、電磁波シールド成形品を形成する樹脂組成物を用い、別途特定厚みの試験片に成形して、UL−94の難燃性評価試験に供するものである。尚、試験片厚みは、実際の成形品の厚みにほぼ対応させるようにし、それができない場合には、0.8〜1.6mmに成形する。
【0047】
さらに、本発明の電磁波シールド成形品には、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で他の無機充填材や添加剤を含有しても良い。
【0048】
他の無機充填材としては特に制限はなく、例えば、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維、層状珪酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母)、焼成クレイ、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸カルシウム、金属ウィスカー、ワラステナイト、ゼオライト、セリナイト、カオリン、ベントナイト、アルミナシリコート、マイカ、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、フェライト、金属粉、水酸化鉄、窒化硼素などが挙げられる。これらは単独または2種以上を併用してもよい。その形状としても制限はなく、パウダー状、フレーク状、繊維状、ウィスカーバルーン状などを採用できる。
【0049】
無機充填材として、層状珪酸塩に属するものは、その層間を有機オニウムイオン化処理したものを使用しても良い。有機オニウムイオンとしては、特に制限はないがアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。有機オニウム化処理は、元来層間に存在する交換性陽イオンを有機オニウムイオンで交換することを意味する。その方法としては特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法や、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させる方法などが挙げられる。
【0050】
添加剤としては、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、耐電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが使用できる。
【0051】
本発明の電磁波シールド成形品は、通常公知の射出成形、押出成形および圧縮成形などの方法によって得られる。なかでも射出成形が生産性が高く工業的に特に好適であり、かつリブ、ヒンジ、ボスを有する成形品やインサート成形品などの複雑な形状の成形加工品、薄肉成形品にも好適である。
【0052】
電磁波シールド成形品の形状には特に制限はなく、曲面、リブ、ヒンジ、ボス、中空部を有していてもよい。また、成形品にはメッキ、塗装、蒸着、インサート、スタンピング、レーザー照射などにより表面加飾の処理が施されていてもよい。
【0053】
なお、成形品が大きく反っている場合は、反りを矯正した後、電気・電子機器等の実装に供することが好ましい。好ましい反りの範囲については、±1.0mm以内、より好ましくは±0.8mm以内、さらに好ましくは±0.5mm以内である。
【0054】
電磁波シールド成形品の用途としては、例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体及びトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、自動車や航空機の電装部材、内部部品などが挙げられる。
【0055】
中でも、本発明の電磁波シールド成形品はその優れた面弾性率を生かして、電気、電子機器用の筐体や外部部材用に好適であり、さらには薄肉で広い投影面積を必要とするノート型パソコンや携帯情報端末などの筐体として好適である。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。尚、実施例及び比較例中に示された配合割合において特に注釈のない「%」は全て重量%を意味する。
【0057】
[評価方法]
(1)成形品厚み
筐体としての厚みは、図3における厚み測定点11をマイクロメーターにて測定し、平均したものを天面厚み(mm)とした。
【0058】
また、成形品を構成する面の厚みも、測定点位置、マイクロメータ等これに準じて測定した。
【0059】
(2)数平均繊維長
成形品の天面の一部から約1gを切り出し、蟻酸100ccに溶解して12時間放置した。成分(A)が完全に溶解したのを確認した後、ペーパーフィルターを用いて成分(B)を濾過した。フィルター残査を顕微鏡にて観察し、無作為抽出した400本の成分(B)の繊維長(μm)を測定し、数平均値を算出した。
【0060】
(3)面弾性率
まず、反りが0±1.0mm以内であることを確認し、この範囲を外れる場合には、その範囲内になるまで矯正する。
【0061】
成形品より150mm×150mmの平板を切り出し、図1、2に示す支持台をスパン距離130mmに調整し、平板が水平になるようセットした。荷重圧子の半径r1は11mm、支点半径r2は5mmとし、荷重速度10mm/min.にて荷重試験を行った。平板が3mm撓んだ時点で荷重を除去し、撓み量1mmのときの荷重p(N)を内挿し、前述の式1に従い面弾性率(a)を算出した。
【0062】
また、モデル筐体より200mm×200mmの平板を切り出し、スパン距離180mmに調整した以外は、上記と同様の方法で、面弾性率(b)を算出した。
【0063】
(4)電磁波シールド性
KEC法にて評価を行った。成形品の、面弾性率の測定に用いた試験片を切り出したのと同じ面から120mm×120mmを切出して試験片とした。評価にあたり、試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させた。スペクトラムアナライザーにて周波数1GHzでの電波シールド性(dB)を測定し、電磁波シールド性とした。電波シールド性が高いほど、電磁波シールド性に優れていることを表している。
【0064】
(5)表面外観品位
モデル筐体の天面全体を目視にて評価した。目安としては、表面のCF隠蔽性、ウェルドラインの隠蔽性、光沢感、フローマークの有無であり、全て合格であれば良好、一つ劣るものは可、二つ以上劣るものは不可とした。
【0065】
(6)難燃性
UL−94規格に基づいた難燃性試験にて評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。用いた試験片の厚みは1.2mmである。
【0066】
[各成分の調製]
成分(A)熱可塑性樹脂
A−1:ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当モル塩76重量%、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との当モル塩16重量%およびε−カプロラクタム8重量%を重合缶内に順次投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を充分に窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大20kg/cm2に調節しながら最終到達温度は270℃とした。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたポリアミド樹脂の相対粘度ηrを98%硫酸法にて測定したところ2.1であった。
【0067】
A−2:A−1と同様の方法にて、重合時間を延長した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度は2.5であった。
【0068】
A−3:ポリアミド6ホモポリマー
東レ(株)製ナイロン樹脂(ηr=2.35)をA−3とした。
【0069】
成分(B)炭素繊維
B−1:ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数24,000本の炭素繊維を得た。この炭素繊維の特性は、比重1.8、引張強度5.0GPa、引張弾性率250GPaである。サイジング剤として、エポキシ樹脂(商品名Ep828(油化シェル製)および商品名Ep1001(油化シェル製)の等量混合品)を炭素繊維に予め付着させた後に、ウレタン樹脂(1,6−ヘキサメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂)を付着させた後、カートリッジカッターにて6mmの長さにカットしてチョップド糸を作成した。さらに、熱風乾燥機にて190℃で5分間乾燥して使用した。
【0070】
B−2:東レ(株)製チョップド“トレカ” TS−12をB−2とした。
【0071】
成分(C)導電性付与剤
C−1:
平均粒径50μm、DBP吸収量130cm3/100gのファーネスブラックをC−1とした。
【0072】
C−2:
平均繊維径10nmのカーボンナノチューブをC−2とした。
成分(D)難燃剤
燐化学工業(株)製の、平均粒径30μm、伝導率200μS/cmの赤燐を採用した。
【0073】
[成形品の作製]
日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリアミド樹脂(A)及び成分(C)、成分(D)をメインホッパーより供給し、次いでその下流のサイドホッパーから炭素繊維(B)を供給し、バレル温度260℃、回転数150rpmにて十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。供給は重量フィーダーにより表1に示す重量割合となるよう調整した。溶融樹脂をダイス口(φ5mm)より吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターにて切断してペレットとした。
【0074】
得られたペレットを熱風乾燥で90℃×3hr、さらに真空乾燥で80℃×6hrの乾燥を行い、水分率0.1%以下になるよう十分乾燥させた後、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて図3に示すような電気・電子機器用電磁波シールド成形品のモデル成形品8を成形した。かかるモデル筐体は長さL300mm×幅W250mmの天面9を有し、H高さ12mmであって筐体天面面積の70%以上の厚みが約1.2mmであり、リブ、ヒンジ、ボスは含まない。また、射出成形においては6点のゲート点数にて成形したため、図3におけるウェルドライン10が発生する。
【0075】
同様に日本製鋼所(株)製J150EII−P型射出成形機を用いて難燃性評価用テストピースを成形した。条件はいずれもシリンダー温度:300℃、金型温度:90℃とした。
【0076】
得られたモデル筐体は23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。また、得られた難燃性評価用テストピースは真空下で80℃、12時間の乾燥を行い、かつデシケーター中で室温、3時間保管した乾燥状態として難燃性評価を行った。
【0077】
尚、いずれの実施例、比較例についても、成形品の反りが0±0.4mm以内であることを確認した。
【0078】
実施例1〜5、比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1より以下のことが明らかである。
実施例1〜5の電磁波シールド成形品は、1.2mmの薄肉成形品にもかかわらず、電磁波シールド性、表面外観品位、難燃性に優れるだけでなく、極めて高い面弾性率を達成し、電気・電子機器に実装した場合に内部の電子回路の破損を防止する上で極めて有用である。
【0081】
中でも、実施例1は熱可塑性樹脂をとりわけ好ましいポリアミド樹脂とすることで、実施例4、5よりも表面外観品位の点で好ましい。
【0082】
また、実施例3では導電性付与剤としてカーボンナノチューブを用いることで、電磁波シールド性の点で好ましい。
【0083】
一方、比較例1、2では、電磁波シールド性、面弾性率が不十分であり、電気・電子機器に実装した場合に、電磁波障害、内部の電子回路の保護など、近年の電気・電子機器の筐体用途などの厳しい要求に応えるには不十分である。特に、比較例2ではウェルドラインの隠蔽が不十分であり表面外観品位に劣り、かつ難燃性も低い結果となる。
【0084】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド成形品は、高い電磁波シールド性、成形品表面外観品位を有すると同時に、薄肉で、面弾性率に優れ、パソコン、ディスプレイや携帯情報端末などの電気・電子機器の筐体に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】面弾性率の測定における平板の俯瞰図である。
【図2】面弾性率の測定のイメージ図である。
【図3】電磁波シールド成形品のモデル筐体の斜視図である。
【符号の説明】
1:電磁波シールド成形品のモデル筐体から切り出した平板
2:荷重点
3:支持点
a:スパン距離
b:平板長さ
4:電磁波シールド成形品のモデル筐体から切り出した平板
5:荷重圧子
6:支持台
7:台座
t:平板厚み
8:電気・電子機器用のモデル筐体
9:天面
10:ウェルドライン
11:厚み測定点
L:長さ
W:幅
H:高さ
Claims (16)
- 少なくとも成分(A)熱可塑性樹脂25〜65重量%、(B)炭素繊維35〜75重量%から構成され、成形品を構成するうちの少なくとも1面の略平面部の面弾性率が8GPa以上、KEC法にて測定される周波数1GHzにおける電波シールド性が30dB以上である電磁波シールド成形品。
- 成形品天面の平均厚みが1.6mm以下である請求項1に記載の電磁波シールド成形品。
- 成形品天面の投影面積が200cm2以上である請求項1または2のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 成形品の平均厚みが10mm以下である請求項1に記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(A)がポリアミド樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(A)の98%硫酸法による相対粘度ηrが、1.5〜2.5の範囲内である請求項5に記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(A)が少なくとも、(a1)ヘキサメチレンジアミンアジパミド単位70〜99重量%、(a2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位が1〜30重量%を共重合成分とする共重合ポリアミド樹脂である請求項5または6のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(A)がさらに、(a3)カプロアミド単位1〜10重量%を共重合成分として含む、請求項7記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(A)の構造単位の(a2)と(a3)との重量比(a2)/(a3)が1〜30である請求項8に記載の電磁波シールド成形品。
- 成分(B)の数平均繊維長が200μm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- さらに、成分(C)として導電性付与剤を0.01〜10重量%含有してなる請求項1〜10のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- さらに、成分(D)として難燃剤を0.1〜20重量%含有してなる請求項1〜11のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- UL−94に基づく難燃性が、1.6mm厚以下の試験片でV−0である請求項1〜12のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 電気・電子機器用の筐体である請求項1〜13のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 電気・電子機器用の内部部品である請求項1〜13のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
- 自動車用の部材である請求項1〜13のいずれかに記載の電磁波シールド成形品。
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