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JP2004035993A - 金属含浸カーボン摺動材 - Google Patents

金属含浸カーボン摺動材 Download PDF

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JP2004035993A JP2002198734A JP2002198734A JP2004035993A JP 2004035993 A JP2004035993 A JP 2004035993A JP 2002198734 A JP2002198734 A JP 2002198734A JP 2002198734 A JP2002198734 A JP 2002198734A JP 2004035993 A JP2004035993 A JP 2004035993A
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Abstract

【課題】鉛を含有せずに、鉛含浸カーボン摺動材と同等の摺動特性を有する金属含カーボン摺動材を提供する。
【解決手段】開気孔率が7体積%〜25体積%のカーボン基材に、Zn20重量%〜25重量%、Cu2重量%〜10重量%、残部Snを含む合金を含浸してなる金属含カーボン摺動材。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ポンプ、圧縮機等の軸受及びシール、真空ポンプのベーンなどに使用される金属含浸カーボン摺動材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金属含浸カーボン摺動材は、例えば(石川敏功、長沖通)著、近代編集社発行の「新炭素工業」などに示されるように、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラック、コークス、カーボンファイバー等の骨材の一種以上と、タールピッチ、コールタール、クレオソート等の結合剤の一種以上を適宜配合し、これらを混練機に投入し、最高温度150℃〜300℃の温度で混練する。
【0003】
次に、この混練物を室温まで冷却した後、平均粒径が10μm〜300μmに粉砕し、次いで50MPa〜200MPaの圧力で成形、800℃〜3000℃の非酸化雰囲気中で焼成又は必要に応じて黒鉛化し、さらにこの焼成品又は黒鉛化品に鉛、銅等の金属を含浸する。特に、鉛は低融点金属であり含浸作業が容易であるばかりでなく、摩擦係数を下げ、摩耗量を減少させ、さらに耐焼付性を向上させるため、水中ポンプなどの軸受として、鉛含浸カーボン摺動材が広く使用されている。
【0004】
前記に示す鉛含浸カーボン摺動材は、温度が400℃〜500℃、減圧真空度が5torr以下の条件で鉛溶融中に前記の焼成品又は黒鉛化品を浸漬した後、窒素、アルゴンガス等の不活性ガスにより0.5MPa〜1.0MPaまで加圧して、焼成品又は黒鉛化品に有する気孔に鉛を含浸させる。この後、鉛溶融中から引き上げて冷却した後、大気圧に戻して含浸を完了することにより得ることができる。そして得られた鉛含浸カーボン摺動材を機械加工して軸受などに供している。
【0005】
しかしながら、前記のような鉛含浸カーボン摺動材を用いると重金属である鉛は環境汚染が心配され、廃棄品の市場からの回収が必要となるばかりでなく、鉛そのものの使用を制限するか又は廃止するようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鉛を含有せずに、鉛含浸カーボン摺動材と同等の摺動特性を有する金属含浸カーボン摺動材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1)開気孔率が7体積%〜25体積%のカーボン基材に、Zn20重量%〜25重量%、Cu2重量%〜10重量%、残部Snを含む合金を含浸してなる金属含浸カーボン摺動材に関する。
(2)合金の含浸率が、カーボン基材に対して25重量%〜65重量%である前記の金属含浸カーボン摺動材に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明になる金属含浸カーボン摺動材は、鉛に替わる含浸金属として、Zn20重量%〜25重量%、Cu2重量%〜10重量%及び残部Snを含む合金、好ましくはZn21重量%〜24重量%、Cu3重量%〜9重量%及び残部Snを含む合金を使用することを特徴とするもので、Znの量が20重量%未満であると硬くて脆い合金になり、25重量%を超えると合金を溶解したときの流動性が悪くなるためカーボン基材の気孔深部へ浸入し難くなり、十分に含浸ができない(含浸率が低い)という問題点が生じる。またCuの量が2重量%未満であると柔らかい合金となり、10重量%を超えると逆に硬くて脆い合金となり、摺動材としての耐摩耗性、耐荷重性、なじみ性、埋収性等が損なわれる。
【0009】
カーボン基材の開気孔率は、7体積%〜25体積%、好ましくは7体積%〜23体積%の範囲とされ、7体積%未満であると溶融した合金が細孔に浸入できず、十分な含浸率が得られなくなり、摺動材として使用した場合に摩耗が大きくなる。一方、25体積%を超えるとカーボン基材の機械的強度が低くなり、かつ摩擦係数が大きくなる。前記の合金を含浸して機械的強度を向上させると共に耐摩耗性を向上させるためには、カーボン基材の気孔を合金によって埋めつくすことが重要であり、開気孔が少しでも残っていると十分な液膜の形成ができず、摩耗量の増大を引き起こすおそれがある。
【0010】
本発明において、合金を含浸するカーボン基材には、必要に応じて鉛が有していた摩擦係数低減効果を得るために、二硫化モリブデン、滑石、雲母等、所謂潤滑性のある固体潤滑剤を該カーボン基材全組成物中に1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜7重量%、さらに好ましくは2重量%〜5重量%配合される。上記の固体潤滑剤の配合量が1重量%未満であると十分な摩擦係数低減効果が得られない傾向があり、10重量%を超えるとカーボン基材の機械的強度が低下する傾向がある。
【0011】
本発明において、カーボン基材への合金の含浸率は、25重量%〜65重量%の範囲が好ましく、30重量%〜60重量%の範囲がさらに好ましい。含浸率が25重量%未満であると開気孔が残っており、十分な被膜が形成できず摩耗量が増大する傾向があり、65重量%を超えると摺動面でのカーボンの比率が小さく、摩擦係数が増大する傾向がある。
【0012】
本発明におけるカーボン基材を製造するための原料としては、平均粒径が1μm〜50μm程度の各種黒鉛粉、油煙等のカーボン材を骨材として使用し、それに必要に応じて固体潤滑剤として二硫化モリブデン、滑石、雲母等を配合し、さらに結合剤としてタールピッチ、コールタール等が使用される。
【0013】
本発明におけるカーボン基材は、上記の各原料を配合し、加熱混練、粉砕、成形、焼成することにより製造することができる。
加熱混練は、双腕型ニーダーなどを用いて、各原料を好ましくは150℃〜300℃、より好ましくは180℃〜270℃、さらに好ましくは200℃〜250℃の温度で混練する。この際、混練温度が高いと機械的強度が低下する傾向があり、反対に低いと混練時間が長くなる傾向がある。なお混練時間については、混練物の量、骨材、結合剤等の配合割合により変化するので、その都度適宜選定する。また上記の他に例えば170℃で第一段階の混練を行った後、温度を250℃に上げて第二段階の混練をするなど、混練温度を段階的に引き上げることも可能である。ただし、前記の第一段階及び第二段階の混練温度は最高温度を示す。
【0014】
粉砕は、加熱混練で得られたものを、各種粉砕機を用いて行うことができる。このとき平均粒径が10μm〜300μm程度、より好ましくは20μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmの程度になるように粉砕することが好ましい。10μm未満であると機械強度が低下する傾向があり、300μmを超えると緻密性が損なわれる傾向がある。なお平均粒径は、後工程の成形方法や焼成又は黒鉛化後に得られるカーボン基材の特性を考慮し、適宜選択することが可能である。
【0015】
成形は、粉砕して得られた粉体を、ブロック状に金型プレス等の方法でふ形することにより行われる。成形圧力は、50MPa〜200MPaが好ましく、60MPa〜150MPaがより好ましく、80MPa〜130MPaがさらに好ましい。成形圧力が50MPa未満であると機械的強度が低下する傾向があり、200MPaを超えると焼成中に揮発分の散逸が抑制されて成形品に内部圧力が生じ、割れ易くなる傾向がある。
【0016】
次に、上記により得られた成形品を焼成する。焼成は、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いた非酸化雰囲気下又は成形品の周囲に炭素粉を詰めて還元雰囲気下で焼成することができる。焼成時の最高到達温度は800℃〜1000℃が好ましく、850℃〜1000℃がより好ましく、900℃〜1000℃がさらに好ましい。焼成温度が800℃未満であると、炭素化が不充分で十分な摺動特性が得られ難い傾向があり、1000℃を超えると焼成炉が劣化し易くなる傾向がある。
【0017】
焼成時間は、原料の配合割合や製品形状又は炉の能力などにより決められ特に制限はないが、生産性及び生産コストの点からできるだけ短時間で終了することがよく、具体的には5時間〜500時間が好ましく、10時間〜400時間がより好ましく、20時間〜350時間がさらに好ましい。得られた焼成品をさらに1000℃以上の高温で黒鉛化してもよい。黒鉛化することによりさらに潤滑性に優れる。この場合の最高温度は1200℃〜3000℃が好ましく、1500℃〜3000℃がより好ましく、2500℃〜3000℃がさらに好ましい。
得られた焼成品又は黒鉛化品の開気孔率は、水中置換法で測定することができる。
【0018】
次いで上記で得られた焼成品又は黒鉛化品(カーボン基材)に合金を含浸する。含浸方法としては、次の方法が好ましい。即ち焼成品又は黒鉛化品を、金属含浸容器に入れ5torr以下に減圧脱気した後、Zn20重量%〜25重量%、Cu2重量%〜10重量%及び残部Snを含む合金溶湯物を該容器に注入し、上記焼成品又は黒鉛化品を浸漬させる。この後、窒素ガスにより0.5MPa〜5.0MPaに加圧して金属含浸カーボン摺動材を得ることができる。
このようにして得られた金属含浸カーボン摺動材を機械加工して、軸受、シール、ベーン等所望の製品形状にすることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
骨材として、平均粒径が20μmの自家製人造黒鉛粉43重量%に、固体潤滑剤として二硫化モリブデン粉末2重量%、結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKL)45重量%及びコールタール10重量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間加熱混練した。
【0020】
この後、上記の混練物を、平均粒径13μmに粉砕した。この粉砕粉を寸法が150×250×50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaの条件で成形した。得られた成形品を、還元雰囲気下で1000℃まで350時間かけて昇温した後冷却した。得られた焼成品(カーボン基材)の開気孔率を水中置換法で測定した結果、7体積%であった。
【0021】
この焼成品を金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、焼成品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ25重量%であった。
【0022】
実施例2
骨材として、平均粒径が20μmの自家製人造黒鉛粉50重量%に、結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKL)40重量%及びコールタール10重量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度170℃で1時間加熱混練し、次いで250℃で5時間加熱混練した。
【0023】
この後、上記の混練物を、平均粒径300μmに粉砕した。この粉砕粉を寸法が150×250×50mmの金型に入れ、成形圧力110MPaの条件で成形した。得られた成形品を、還元雰囲気下で1000℃まで400時間かけて昇温した後冷却し、次いで2800℃で黒鉛化を行った。得られた黒鉛化品(カーボン基材)の開気孔率を水中置換法で測定した結果、25体積%であった。
【0024】
この黒鉛化品を金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ65重量%であった。
【0025】
実施例3
骨材として、平均粒径が20μmの自家製人造黒鉛粉45重量%に、結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKL)45重量%及びコールタール10重量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて250℃で5時間加熱混練した。
【0026】
この後、上記の混練物を、平均粒径300μmに粉砕した。この粉砕粉を寸法が150×250×50mmの金型に入れ、成形圧力110MPaの条件で成形した。得られた成形品を、還元雰囲気下で1000℃まで400時間かけて昇温した後冷却し、次いで2800℃で黒鉛化を行った。得られた黒鉛化品の開気孔率を水中置換法で測定した結果、13体積%であった。
【0027】
この黒鉛化品を金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ48重量%であった。
【0028】
実施例4
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn70重量%、Zn25重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ33重量%であった。
【0029】
実施例5
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn76重量%、Zn22重量%及びCu2重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで浸漬して窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ40重量%であった。
【0030】
実施例6
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn68重量%、Zn22重量%及びCu10重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ44重量%であった。
【0031】
実施例7
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、5torrに減圧脱気した後、Sn68重量%、Zn22重量%及びCu10重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.5MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ26重量%であった。
【0032】
実施例8
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、0.5torrに減圧脱気した後、Sn68重量%、Zn22重量%及びCu10重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材についてカーボン基材の含浸率を求めたところ59重量%であった。
【0033】
比較例1
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、鉛の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して鉛含浸カーボン材を得た。得られた鉛含浸カーボン材について合金の含浸率を求めたところ64重量%であった。
【0034】
比較例2
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn76重量%、Zn19重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ18重量%であった。
【0035】
比較例3
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn76重量%、Zn19重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ67重量%であった。
【0036】
比較例4
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn76重量%、Zn23重量%及びCu1重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ40重量%であった。
【0037】
比較例5
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn66重量%、Zn23重量%及びCu11重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ45重量%であった。
【0038】
比較例6
骨材として、平均粒径が20μmの自家製人造黒鉛粉43重量%に、固体潤滑剤として二硫化モリブデン粉末2重量%、結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKL)45重量%及びコールタール10重量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間加熱混練した。
【0039】
この後、上記の混練物を、平均粒径13μmに粉砕した。この粉砕粉を寸法が150×250×50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaの条件で成形した。得られた成形品を、20MPaの条件で加圧しながら還元雰囲気下で1000℃まで350時間かけて昇温した後冷却した。得られた焼成品の開気孔率を水中置換法で測定した結果、6体積%であった。
【0040】
この焼成品を金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ12重量%であった。
【0041】
比較例7
骨材として、平均粒径が30μmの自家製人造黒鉛粉50重量%に、結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKL)40重量%及びコールタール10重量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度170℃で1時間加熱混練し、次いで250℃で5時間加熱混練した。
【0042】
この後、上記の混練物を、平均粒径300μmに粉砕した。この粉砕粉を寸法が150×250×50mmの金型に入れ、成形圧力110MPaの条件で成形した。得られた成形品を、還元雰囲気下で1000℃まで400時間かけて昇温した後冷却し、次いで2000℃で黒鉛化を行った。得られた黒鉛化品の開気孔率を水中置換法で測定した結果、27体積%であった。
【0043】
この黒鉛化品を金属含浸容器に入れ、3torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.98MPaまで加圧しして金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ69重量%であった。
【0044】
参考例1
実施例3で得た黒鉛化品を用い、これを金属含浸容器に入れ、5torrに減圧脱気した後、Sn75重量%、Zn20重量%及びCu5重量%からなる合金の溶湯物を注入し、黒鉛化品を浸漬させた。次いで窒素ガスにより0.3MPaまで加圧して金属含浸カーボン摺動材を得た。得られた金属含浸カーボン摺動材について合金の含浸率を求めたところ14重量%であった。
【0045】
次に、実施例1〜8、比較例2〜7及び参考例1で得られた金属含浸カーボン摺動材並びに比較例1で得られた鉛含浸カーボン材について、物理特性及び摩耗試験を行った。その結果を表1に示す。
なお、曲げ強さは、厚さが10mm、幅が10mm及び長さが50mmの直方体の試験片についてJCAS(炭素協会規格)−10−1968に準拠して測定した。
【0046】
また、硬さについては、ショア硬さ試験機で測定し、水中摩耗試験は、8×12×18mmの試験片(摺動面12×18mm)を水中で回転する外径寸法85mm(φ)の円板(材質SUS304)上で摺動させ、周速が10m/s及び面圧が0.98MPaの条件で100時間の試験を行って、摩擦係数及び摩耗量を測定した。
【0047】
【表1】
Figure 2004035993
【0048】
表1に示されるように、実施例1〜8の金属含浸カーボン摺動材は、曲げ強さ及び硬さについては何ら問題はなく、また比較例2〜7及び参考例1の金属含浸カーボン摺動材に比較して摩擦係数が小さく、かつ摩耗量も少なく、これらの値はほぼ比較例1の鉛含浸カーボン材と同等又はそれ以上の摺動特性が確認された。
【0049】
【発明の効果】
本発明の金属含浸カーボン摺動材は、鉛を含有せずに、優れた摺動特性を有し、工業的に極めて好適である。

Claims (2)

  1. 開気孔率が7体積%〜25体積%のカーボン基材に、Zn20重量%〜25重量%、Cu2重量%〜10重量%、残部Snを含む合金を含浸してなる金属含浸カーボン摺動材。
  2. 合金の含浸率が、カーボン基材に対して25重量%〜65重量%である請求項1記載の金属含浸カーボン摺動材。
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