JP2004029660A - Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film - Google Patents
Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004029660A JP2004029660A JP2002189750A JP2002189750A JP2004029660A JP 2004029660 A JP2004029660 A JP 2004029660A JP 2002189750 A JP2002189750 A JP 2002189750A JP 2002189750 A JP2002189750 A JP 2002189750A JP 2004029660 A JP2004029660 A JP 2004029660A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- refractive index
- optical film
- layer
- preferable
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Polarising Elements (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Moulding By Coating Moulds (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルムの製造方法、光学フィルム、光学フィルムを有する偏光板及び表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶画像表示装置(LCD)は、低電圧、低消費電力で、IC回路への直結が可能であり、そして、薄型化が可能であることから、ワードプロセッサーやパーソナルコンピュータ等の表示装置として広く使用されている。
【0003】
表示装置の高精細化、あるいは大画面化により、より優れた視認性を提供するため、反射防止性、あるいは導電性を付与した光学フィルムが求められている。反射防止層は屈折率の異なる複数の層を設けることによって形成され、金属酸化物層が好ましく用いられている。従来は蒸着あるいはスパッタ等の方法で設けられていたが、コストが高いという問題があった。これに対して、最近では塗布で形成する方法が提案されており、より安価に反射防止層を提供することができるようになった。しかしながら、膜厚0.1μm以下の薄膜の反射防止層を均一に設けることが困難であった。また、薄膜を設けた長尺樹脂フィルムの保管でクラックが発生するといった問題があり、その改善が求められていた。特に金属酸化物含有量が70質量%以上の金属酸化物層ではクラックが発生しやすく、また、金属酸化物層の幅手端部で筋状のムラが頻発し、その改善が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、筋ムラ及びクラックが少ない光学フィルム及びその製造方法、これを用いた偏光板及び表示装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0006】
1.溶液流延製膜法により樹脂溶液を金属支持体上に流延、剥離したフィルムを、幅手両端部を把持し、幅手寸法を規制しながら乾燥させ、さらに該フィルムの残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥し、巻き取られる間の工程で、前記式(1)で表される幅手方向の伸縮率Aと前記式(2)で表される搬送方向の伸縮率Bとの比(A/B)が2.0〜10.0であり、かつ該伸縮率Bが−0.5%以下となるようにして長尺樹脂フィルムを作製し、その上に直接または他の被覆層を介して金属酸化物層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0007】
2.金属支持体から剥離する際の残留溶媒量が20〜150質量%であることを特徴とする上記1記載の光学フィルムの製造方法。
【0008】
3.A/Bが2.5〜8.0であることを特徴とする上記1または2記載の光学フィルムの製造方法。
【0009】
4.金属酸化物層がプラズマCVDによって形成されることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0010】
5.金属酸化物層が金属酸化物を含有する組成物を塗設して形成されることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0011】
6.樹脂溶液がセルロースエステルまたはノルボルネン系樹脂を含有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0012】
7.上記1〜6のいずれか1項に記載の方法で製造されることを特徴とする光学フィルム。
【0013】
8.長尺樹脂フィルムの長手方向と面内遅相軸方向とのなす角度をθとするとき、θの絶対値が5°未満であり、かつ面内リターデーション値Roが0.5〜7nmである長尺樹脂フィルム上に直接または他の被覆層を介して金属酸化物層を有することを特徴とする光学フィルム。
【0014】
9.θの絶対値が1°未満であることを特徴とする上記8記載の光学フィルム。
【0015】
10.樹脂がセルロースエステルまたはノルボルネン系樹脂であることを特徴とする上記7〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【0016】
11.長尺樹脂フィルムの膜厚が10〜70μmであることを特徴とする上記7〜10のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【0017】
12.上記7〜11のいずれか1項に記載の光学フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【0018】
13.上記7〜11のいずれか1項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする表示装置。
【0019】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明者は上記問題を解決するために検討を重ねた結果、金属酸化物層を設ける樹脂フィルムの遅相軸角度を長手方向に対して絶対値が5°未満とし、かつ面内リターデーション値Roを0.5〜7nmとすることによって、著しく改善されることを見出した。遅相軸角度の絶対値は、好ましくは2°未満であり、特に好ましくは1°未満である。
【0020】
特に基材フィルムの膜厚が薄いと長尺フィルムとして保管している間にクラックが発生しやすかったが、本発明によって膜厚が10〜70μmといった薄膜の長尺フィルムを用いた場合であってもクラックの発生が著しく低減された。また、幅手端部においても筋状のムラが低減された。
【0021】
幅手における面内遅相軸角度θ及び面内リターデーション値Roを所定範囲にする方法としては特に限定はないが、溶液流延方法等によって長尺フィルムを製膜する際に、樹脂溶液を金属支持体上に流延、剥離したフィルムを、幅手両端部を把持し、幅手寸法を規制しながら乾燥させ、さらにフィルムの残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥し、巻き取られる間の工程で、前記式(1)で表される幅手方向の伸縮率Aと前記式(2)で表される搬送方向の伸縮率Bとの比(A/B)が2.0〜10.0であり、かつ伸縮率Bが−0.5%以下となるようにすることが好ましい。その長尺フィルム上に直接または他の被覆層を介して金属酸化物層を形成することが本発明の光学フィルムの製造方法である。
【0022】
ここで伸縮率Aを求めるときの金属支持体上のフィルム幅とは、実際の流延幅ではなく、巻き取られたフィルム幅の部分が金属支持体に接していたときの幅を意味する。すなわち、実際の製膜工程では、端部をスリッテイング加工して除去することが行われている。例えば、図2にはテンター乾燥装置8の前後にスリッターが設けられ端部を切除しているため、実際の流延幅とは異なっている。そのため、伸縮率Aを求めるため、金属支持体上のフィルムに幅方向に一定の間隔、例えば、1mのマーキングを行いこれをA1とし、巻き取りの際のこのマーキングの幅方向の間隔をA2としたとき、伸縮率A=(A2/A1−1)×100(%)として求めることができる。
【0023】
このようにして作製された金属酸化物層を有する光学フィルムはクラックが入りにくく、また幅手端部においても筋状のムラが低減された。この方法で作製した長尺樹脂フィルムは、遅相軸角度θを長手尺方向に対して絶対値が5°未満とし、かつ面内リターデーション値Roを0.5〜7nmとすることができる。この際、A/Bは2.5〜8.0であることが好ましい。また、好ましくは金属支持体上から剥離時の残留溶媒量は20〜150質量%である。この範囲内にあるとクラックがさらに入りにくくなる。
【0024】
ここで遅相軸とは光学フィルムにおいて、屈折率楕円体の主軸であるx軸を指し、遅相軸とフィルム製膜時の搬送方向(長手方向)のなす角度を遅相軸角度θと呼ぶ。
【0025】
本発明に係る長尺樹脂フィルムとは、具体的には、100〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。基材フィルムの膜厚が薄いと長尺樹脂フィルムとして保管している間にクラックが発生しやすいという問題があったが、本発明によって、膜厚10〜70μmといった薄い長尺樹脂フィルムを用いた場合であっても金属酸化物層のクラック発生が著しく低減された。また、幅手端部の金属酸化物層の筋状の膜厚ムラが低減された。
【0026】
面内の遅相軸角度の絶対値は1°未満であることがより好ましく、さらにクラックの発生が抑制される。
【0027】
長尺樹脂フィルム上に金属酸化物層を設ける方法は特に限定されないが、プラズマCVDまたは塗布で形成されることが好ましい。特にプラズマCVDで形成されることが好ましい。本発明によれば金属酸化物含有量が70質量%以上の金属酸化物層であってもクラックの発生を著しく低減することができる。特に幅手が1mを超える長尺樹脂フィルムの両端部近傍でクラックが発生しやすかったが、この部分におけるクラックの発生も十分に抑制することができる。また、幅手端部で発生しやすかった筋状のムラも著しく低減された。これにより、20型を超えるような大きさの大型の表示装置用であっても歩留まりに優れた反射防止フィルムを提供することができる。
【0028】
また、導電性フィルムではロールフィルムでの保管でも導電性の低下がなく、特に端部においても安定した導電性が得られ、歩留まりが著しく改善された。
【0029】
本発明の長尺樹脂フィルムの製造方法について説明する。長尺樹脂フィルムを構成する樹脂は特に限定されないが、セルロースエステルまたはノルボルネン系樹脂であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルローストリアセテートが好ましく用いられる。ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン構造を有するモノマーの重合体であり、そのうちでも好ましくはノルボルネン構造を有する非晶性ポリオレフィン類である。ノルボルネン系樹脂組成物の具体例としては、三井石油化学(株)製の「APO」や日本ゼオン(株)製の「ゼオックス」、JSR(株)製の「ARTON」等が挙げられる。
【0030】
以下、セルロースエステルを用いた長尺樹脂フィルムの製造方法について説明するが、ノルボルネン系樹脂を用いた場合も同様にして製造できる。
【0031】
溶液流延製膜方法による長尺樹脂フィルムの製造方法の一例としては、例えば、図1に示したようなセルロースエステルフィルムの製造装置により行われている。図1は、溶液流延製膜長尺樹脂フィルム製造装置の一例を示す概略図である。図1において、セルロースエステルを溶解する良溶媒及び溶解しない貧溶媒との混合溶媒に溶解し、この溶液に必要に応じて可塑剤や紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加してセルロースエステル溶液(以下、ドープともいう)を調製し、このドープを鏡面処理された表面を有する無限移行する無端の金属支持体1(例えば、ベルトあるいはドラム状で、金属支持体または単に支持体ということがある)上に、ダイ2から流延してフィルムF(ウェブ、あるいはドープ膜ともいう)を形成し、金属支持体1の上下に設けた乾燥工程3、4から温湿度を調整した空気を吹き付けて、冷却及び一定の乾燥を行った後、フィルムFを剥離ロール5で剥離し、ロール63で移送し、ロール乾燥装置6に導入し、ロール63によってフィルムFを引き回し、その間にフィルムFは導入された乾燥ガス風61によって乾燥されセルロースエステルフィルムとして、巻取り部7の巻取り機72で巻き取られて製造される。金属支持体としては特にベルトが好ましく用いられる。
【0032】
通常、乾燥工程では、図1に示すようなフィルムを多数のロール63を千鳥状に通し、乾燥風を当てるのが一般的であるが、米国特許第2,319,053号のように、赤外線等で乾燥する方法もある。更に、フィルムを直接ロールに掛けるのではなく、エアーを吹き出してその風圧でフィルムを浮上させることにより掛架体と非接触状態で移動させる方式、いわゆるエアーループ方式も開発されている(例えば、特開昭55−135046号公報等)。
【0033】
また、乾燥工程では、テンター装置等を用いて両端部を把持し幅規制しながら乾燥させることが好ましい。図2に上記のテンター乾燥装置を有する溶液流延製膜長尺樹脂フィルム製造装置の一例を示す。
【0034】
上記図1に記載の方法と同様にして、剥離ロール5で剥離されたフィルムFはテンター乾燥装置8に導入され、フィルムの両端をクリップで把持して幅を保持するか、または幅延伸を若干行って乾燥される。乾燥終了後、巻き取り長尺樹脂フィルムを得る。
【0035】
前述の方法で長尺樹脂フィルムを製造した場合、いくつかの問題があった。即ち、金属支持体上に流延されたドープを剥離した後、テンターで幅手方向に延伸することにより、平面性が向上するが、一方、幅手方向の端部において遅相軸角が大きくなる。
【0036】
また、偏光板に使用されているポリビニルアルコールフィルムは吸水性が大きく、高湿下に放置されると大きく縮み、両側に張り合わされた保護フィルムの機械強度が弱いと張り合わせたフィルムが剥がれる等の故障の原因となる場合がある。
【0037】
更に、液晶表示装置は薄型化、小型化が可能であることから、ノート型パーソナルコンピュータ、カーナビゲータ、携帯電話、ゲーム機等への応用が非常な早さで進行し、更に薄型化、小型化となってきている。それにより、従来使用されていた液晶画像表示装置の長尺樹脂フィルムに対しては、更なる薄膜フィルムの開発が要望されてきている。このような薄膜フィルムの場合、平面性を改良するためにテンターを用いると、遅相軸角が大きくなりやすかった。加えて薄膜フィルムの場合、フィルムの強度が弱くなるため、吸湿によるポリビニルアルコールフィルムの収縮を抑える力が更に弱くなる。
【0038】
本発明に用いられる長尺樹脂フィルムの製造方法において、その製造工程としては、図1、図2に記載のように、主に、ドープを金属支持体上に流延する工程、金属支持体上での乾燥工程、フィルムを金属支持体から剥離する剥離工程及びフィルムを乾燥する工程から構成されている。
【0039】
本発明で用いる金属支持体は、無限移送する無端の金属支持体の表面が鏡面となっていることが好ましい。流延工程は、ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、金属支持体、例えば、ステンレスベルトあるいは回転する金属ドラム上に加圧ダイからドープを流延する工程である。その他の流延する方法としては、例えば、流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調整でき、かつ膜厚を均一にしやすい観点から、加圧ダイを用いることが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等が挙げられるが、何れも好ましく用いられる。また、製膜速度を上げるため、加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等を適宜調整することにより行うことができる。
【0040】
金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、例えば、ウェブ側及び金属支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、金属支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。また、それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金属支持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なっていてもよい。
【0041】
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程で、その後フィルムは乾燥工程に送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。
【0042】
樹脂の種類にもよるが、後述の方法で測定する残留溶媒量が20〜150質量%でウェブの剥離が行われることが好ましい。20質量%で未満で剥離を行うと、長尺樹脂フィルムの機械強度を高くする目的で搬送方向の張力を高くした際に、長尺樹脂フィルムに残留応力が発生し、寸法安定性が劣化する。一方、150質量%を超えると剥離残りが発生し、長尺樹脂フィルムの表面欠陥の原因となり好ましくない。
【0043】
また、残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することにより、製膜速度を上げることができる方法の1つとして、残留溶媒量が多くとも剥離できるゲル流延法(ゲルキャスティング)を挙げることができる。ゲル流延法には、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後にゲル化する方法、あるいは金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。金属支持体上でゲル化させ、ドープ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、フィルムが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。
【0044】
本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはフィルムの任意時点での質量、NはMのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0045】
フィルム乾燥工程においては、金属支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。巻き取りの際の残留溶媒量は0.00〜0.10質量%であることが特に好ましい。また、幅手方向で残留溶媒量のムラがないことが好ましい。フィルム乾燥工程では、一般に、ロール懸垂方式、ピンテンター方式、またはクリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。本発明では、前記式(1)で表される幅手方向の伸縮率Aと前記式(2)で表される搬送方向の伸縮率Bとの比(A/B)が2.0〜10.0であり、かつ伸縮率Bが−0.5%以下となるようにしてテンター方式で幅手方向に延伸しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
【0046】
特に、本発明では、金属支持体より剥離した直後の残留溶媒量の多いところで幅保持もしくは延伸を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため好ましい。
【0047】
金属支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは巾方向に収縮しようとする。更に、高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は、可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性、寸法安定性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を巾方向にクリップでフィルムの巾両端を保持しつつ乾燥させる方法、いわゆるテンター方式を用いることが好ましい。
【0048】
本発明において、フィルムを乾燥させる手段としては、特に制限なく、例えば、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いて行うことができ、簡便さの観点からは熱風を用いて行う方法が好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、乾燥温度を徐々に高くしていくことが好ましく、更には、80〜140℃の範囲で行うことが、高い寸法安定性を実現する上で好ましい。
【0049】
上述した流延から後乾燥までの各工程は、空気雰囲気下であってもよいし、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下であってもよい。また、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することはもちろんのことである。
【0050】
本発明の長尺樹脂フィルムの製造に係る巻取り機は、一般的に使用されているものでよく、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0051】
本発明では、剥離してからフィルムの残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥し、巻き取られる間の工程で、前記式(1)で表される幅手方向の伸縮率Aと前記式(2)で表される搬送方向の伸縮率Bとの比(A/B)が2.0〜10.0であり、かつ伸縮率Bが−0.5%以下となるようにしてテンター方式で幅手方向に延伸しながら乾燥させることが特徴である。
【0052】
幅手方向の伸縮率Aについては、図1、図2で示すフィルムを形成する金属支持体の搬送速度(m/min)と、巻取り部7の巻取り機72の搬送速度とにより求めることができる。A/Bが2.0〜10.0をはずれると本発明の効果が認められず、10.0を越えるとクラックが悪化する。
【0053】
本発明において、上記で規定するA/Bの範囲となるように金属支持体あるいは巻取り部の搬送装置を最適に調整する方法として、特に制限はないが、各工程での乾燥条件、搬送張力条件等を適宜調整することが最も有効である。
【0054】
次に、本発明の長尺樹脂フィルムの詳細について、以下説明する。
本発明の長尺樹脂フィルムに使用するセルロースエステルは、リンターパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプから選ばれるセルロースを用い、それらに無水酢酸、無水プロピオン酸、または無水酪酸を常法により反応して得られるもので、セルロースの水酸基に対する全アシル基の置換度が2.5〜3.0のセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましく用いられる。
【0055】
本発明に係るセルロースエステルのアセチル基の置換度は、少なくとも1.5以上であることが好ましい。例えば、アセチル基置換度2.0、プロピオニル基置換度0.8のセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。これらのセルロースエステルの分子量は、数平均分子量として70,000〜300,000の範囲が、フィルムに成形した場合の機械的強度が強く好ましく、更に、80,000〜200,000が好ましい。通常、セルロースエステルは反応後の水洗等処理後において、フレーク状となり、その形状で使用されるが、粒子サイズとしては、平均粒径として0.05〜2.0mmの範囲とすることが、より溶解性を早める観点から好ましい。
【0056】
長尺樹脂フィルム中には、フタル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤等を含有することにより、長尺樹脂フィルムに起因する液晶画像表示装置の性能を向上させることができ好ましい。
【0057】
本発明において、長尺樹脂フィルム中に含有させることができる可塑剤としては、特に限定しないが、リン酸エステル系としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げることができる。この他、ジシクロヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート等が好ましく用いられる。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0058】
本発明の長尺樹脂フィルムで用いる場合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50質量%以下とすることが、長尺樹脂フィルムの加水分解を引き起こしにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エステル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、特には、フタル酸エステル系やグリコール酸エステル系等の非リン酸エステル系可塑剤だけを使用することが好ましい。可塑剤のセルロースエステルに対する添加量としては、0.5〜30質量%が好ましく、特に2〜15質量%が好ましい。
【0059】
また、本発明において、長尺樹脂フィルム中に含有させることができる紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の観点より、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波長370nmでの透過率が10%以下であることが必要となり、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。ベンゾトリアゾール系の市販の紫外線吸収剤として、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等を好ましく用いることができるが、これらには限定されない。紫外線吸収剤は、2種以上用いてもよい。
【0060】
紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等の有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。本発明において、紫外線吸収剤の使用量はセルロースエステルに対し0.5〜20質量%の範囲で添加することができ、0.6〜5.0質量%が好ましく、特に好ましくは0.6〜2.0質量%である。
【0061】
また、本発明において、長尺樹脂フィルム中に、微粒子のマット剤を含有することが好ましく、微粒子のマット剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズ(失透性)を小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒子としては、平均粒径で0.01〜1.0μmであることが好ましく、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.5質量%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子では、有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、例えば、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等が挙げられる。微粒子の平均粒径としては、大きい方がマット効果は大きく、逆に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径として5〜50nmで、より好ましくは7〜20nmである。これらの微粒子は、長尺樹脂フィルム中では、通常、凝集体として存在し長尺樹脂フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を形成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはAEROSIL 200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらのマット剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えば、AEROSIL 200Vと同R972Vとを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用してもよい。
【0062】
次に、本発明におけるセルロースエステルドープの調製方法について述べる。溶解釜中でセルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒を攪拌しながら、フレーク状のセルロースエステルを添加、溶解してドープを形成する。溶解方法としては、例えば、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下の温度で行う方法、主溶媒の沸点以上の温度で加圧しながら行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を挙げることができる。溶解したセルロールエステル溶液、いわゆるドープは、次いで濾材による濾過を施した後、脱泡してポンプにより次工程に送液される。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、一般には10〜35質量%であるが、好ましくは15〜25質量%である。本発明に有用なポリマーをセルロースエステルドープ中に含有させるには、予め有機溶媒にポリマーを溶解してから添加、セルロースエステルドープに直接添加等、添加方法として特に制限なく行うことができる。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相分離したりしないように注意して添加する必要がある。
【0063】
本発明で用いることのできる良溶媒としては、セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒であり、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、塩化メチレン、ブロモプロパン等を挙げることができ、特に、酢酸メチル、アセトン、塩化メチレンを好ましく用いることができる。しかし、近年の環境問題等から非塩素系の有機溶媒を用いることが好ましい。また、これらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用することにより、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減できるので好ましい。特に、沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。本発明に係るドープに使用する有機溶媒は、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。例えば、酢酸メチル70質量%、エタノール30質量%の混合溶媒が、好ましい溶媒の一例として挙げられる。本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独では溶解しないものを貧溶剤と定義している。本発明に係るドープに使用する貧溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等を好ましく使用し得る。本発明に有用なポリマーに対しても、有機溶媒の選定は、セルロースエステルの良溶媒を用いるのが好ましい。前述のように、低分子可塑剤を使用する場合には、通常の添加方法で行うことができ、ドープ中に直接添加しても、予め有機溶媒に溶解してからドープ中に注ぎ入れてもよい。
【0064】
本発明において、前記のような種々の添加剤溶液または分散液をセルロースエステルドープに添加する際、それぞれの移送系列より移送され、移送管が合流したところで各添加要素をドープ液とし合液させ、その直後に管内混合器で十分に混合する方法も好ましい。例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer 東レエンジニアリング製)のようなインラインミキサーを使用するのが好ましい。インラインミキサーを用いる場合、セルロースエステルを高圧下で濃縮溶解したドープに適用することもできる。
【0065】
本発明において、セルロースエステルドープの調製においては、異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識しやすい異物は除去しなければならない。本発明の長尺樹脂フィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、この濾過精度によって、その品質が決定されるといっても過言ではない。濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。このため、本発明に係るセルロースエステルドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好ましい。濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(R)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。本発明に係るセルロースエステルドープの濾過は、通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲であることが更に好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×106Pa以下であることが好ましく、1.2×106Pa以下であることがより好ましく、1.0×106Pa以下であることが更に好ましい。
【0066】
また、原料のセルロースエステルにアシル基の未置換もしくは低置換度のセルロースエステルが含まれていると、異物故障(以下、輝点故障ともいう)が発生することがある。輝点故障とは、直交状態(クロスニコル)の2枚の偏光板の間に長尺樹脂フィルムを置き、片側から光を照射して、その反対側から光学顕微鏡(50倍)で観察すると、正常な長尺樹脂フィルムであれば、光が遮断されていて、黒く何も見えないが、異物があるとそこから光が漏れて、スポット状に光って見え、異物と認識される現象である。輝点故障の直径が大きいほど、液晶画像表示装置とした場合の影響が大きく、直径は50μm以上のものが実質的に存在しないことが好ましい。50μm以下の輝点故障もできるだけ少ないことが好ましく、またその直径も小さいことが好ましい。好ましくは10〜50μmのものが200個/cm2以下であることが好ましく、さらに少ないほど好ましい。なお、輝点の直径とは、輝点を真円に近似して測定する直径を意味する。このような輝点故障の発生数及び大きさを減少させるために、細かい異物を十分濾過する必要がある。また、特開2000−137115に記載のように、一度製膜した長尺樹脂フィルムの粉砕品をドープにある割合再添加して、セルロースエステル及びその添加剤の原料とする方法は、輝点故障を低減することができる好ましい方法である。
【0067】
長尺樹脂フィルムの厚さとしては、一般的には、10〜200μmの厚みで使用されるが、LCD等に使用される偏光板の薄肉化、軽量化が要望から、本発明では10〜70μmであることが好ましく、より好ましくは、20〜60μm、更に好ましくは35〜50μmである。厚みが10μm未満では、フィルムの腰の強さが低下するため、偏光板の作製工程でシワ等の発生によるトラブルを起こしやすくなり好ましくない。また、70μm以下の薄い長尺樹脂フィルムを用いると金属酸化物層のクラックや筋ムラが発生しやすかったが、本発明ではこの点を改善したのである。
【0068】
発明の長尺樹脂フィルムでは、遅相軸角度が5°未満であり、かつ面内リターデーション値Roが0.5〜7nmであることが好ましい。
【0069】
本発明でいう遅相軸角度とは、製膜時のフィルム搬送方向と遅相軸方向とのなす角度(度)であり、面内リターデーション値Ro(nm)は、下式で表される。
【0070】
Ro=(Nx−Ny)×d
Nx:フィルムの面内での最大屈折率方向(遅相軸方向)の屈折率
Ny:遅相軸に直交するフィルム面内の方向(進相軸方向)の屈折率
d:フィルムの膜厚(nm)
本発明において、長尺樹脂フィルム全体の屈折率は、エリプソメーター等を用いて測定することができる。また、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて複屈折率測定を行い、Nx−Nyを求め、かつフィルムの厚さを測定してRo値と遅相軸角度を算出することができる。
【0071】
次に、本発明の光学フィルムの一つである反射防止フィルムについて述べる。本発明の反射防止フィルムにおいては、金属酸化物層を前述の長尺樹脂フィルムに直接形成させてもよいが、他の被覆層を少なくとも1層設け、凹凸面を有する長尺樹脂フィルム上に形成させてもよい。他の被覆層としては、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)が0.01〜1μmの硬化樹脂層が好ましい。これらは紫外線等の活性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ましい。このような紫外線で硬化された樹脂層の上に本発明に係る金属酸化物層を形成させることによって耐擦り傷性に優れた反射防止フィルムを得ることができる。
【0072】
金属酸化物層は高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の少なくともいずれかの1層に用いられることが好ましい。
【0073】
本発明では金属酸化物層を設ける方法は特に限定されず、塗布、CVD法、スパッタ、蒸着によって形成することができるが、塗布またはCVD中でもプラズマCVDによって形成されることが好ましい。
【0074】
金属酸化物層を塗設によって形成する方法について説明する。
本発明の反射防止フィルムの基本的な構成を説明する。例えば、好ましい反射防止フィルムは、透明支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順序の層構成を有する。透明支持体、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
【0075】
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<中屈折率層の屈折率<高屈折率層の屈折率
中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層を有する反射防止フィルムでは、特開昭59−50401号に記載されているように、中屈折率層が下記数式(1)を、高屈折率層が下記数式(2)を、低屈折率層が下記数式(3)をそれぞれ満足することにより、反射防止フィルムとしての平均反射率をさらに下げる設計が可能となり好ましい。
【0076】
(hλ/4)×0.7<n3d3<(hλ/4)×1.3 ・・・数式(1)
数式(1)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0077】
(jλ/4)×0.7<n4d4<(jλ/4)×1.3 ・・・数式(2)
数式(2)中、jは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0078】
(kλ/4)×0.7<n5d5<(kλ/4)×1.3 ・・・数式(3)
数式(3)中、kは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、350〜800(nm)の範囲の値である。
【0079】
また、本発明においては、ハードコート層あるいは高屈折率層に凹凸を付与して防眩性反射防止フィルムとすることも好ましい。
【0080】
この他、透明支持体、ハードコート層(防眩層)、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順の層構成も好ましい構成である。表面の低屈折率層に防汚性を付与することが好ましく、表面に防汚層を設けてもよい。
【0081】
〈高屈折率層及び中屈折率〉
本発明においては、反射率の低減のために、透明支持体若しくはハードコート層を付与した透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることが好ましい。また、透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層は、無機微粒子とバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
【0082】
高屈折率層及び中屈折率層に用いる無機微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることがさらに好ましい。無機微粒子の一次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での無機微粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。無機微粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。無機微粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
【0083】
無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成された粒子であることが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例として、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム及び硫化亜鉛が挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSが挙げられる。
【0084】
無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。なかでもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤が最も好ましい。2種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。2種類以上の無機微粒子を高屈折率層及び中屈折率層に併用してもよい。
【0085】
高屈折率層及び中屈折率層中の無機微粒子の割合は、5〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10〜60体積%であり、さらに好ましくは20〜55体積%である。
【0086】
無機微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。無機微粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。なかでも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
【0087】
無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
【0088】
高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下、ポリオレフィンと総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物がさらに好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーがアニオン性基を有することは更に好ましい。アニオン性基は無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造はポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
【0089】
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)及びリン酸基(ホスホノ)が挙げられる。なかでも、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。ここで、アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。アニオン性基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。好ましいバインダーポリマーである架橋ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。この場合、コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2以上のアニオン性基を有していてもよい。
【0090】
アニオン性基を有する架橋ポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造も有しない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。なお、アミノ基、4級アンモニウム基及びベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
【0091】
上記アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を構成単位として含有する架橋ポリマーにおいて、アミノ基または4級アンモニウム基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、あるいは連結基を介し側鎖としてポリマー鎖に結合していてもよいが、後者がより好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが好ましく、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることがさらに好ましい。2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基の窒素原子に結合している基としては、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。4級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる2価の基であることが好ましい。架橋ポリマーが、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
【0092】
架橋ポリマーは、架橋ポリマーを生成するためのモノマーを配合して高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を調製し、塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって生成させることが好ましい。架橋ポリマーの生成と共に、各層が形成される。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーは、無機微粒子に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%使用される。また、アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、アニオン性基を有するモノマーに対して、好ましくは3〜33質量%使用される。塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって架橋ポリマーを生成する方法により、塗布液の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
【0093】
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0094】
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることができる。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる前述した熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
【0095】
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
【0096】
中屈折率層及び高屈折率層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高く用いることができる。
【0097】
金属酸化物層は金属酸化物を含む無機微粒子を含有する塗布液を塗設することによって設けることが好ましい。
【0098】
被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。
【0099】
有機金属化合物は、適当な媒体に分散し得るか、あるいは液状であることが好ましい。有機金属化合物の例としては、金属アルコレート(例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド)、キレート化合物(例えば、ジ−イソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩(例えば、炭酸ジルコニールアンモニウム)及びジルコニウム等が挙げられる。
【0100】
低屈折率層としては、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層、ゾルゲル法による低屈折率層、及び粒子とバインダーポリマーを用い、粒子間または粒子内部に空隙を有する低屈折率層等が用いられる。低屈折率層の屈折率は、低ければ反射防止性能が良化するため好ましいが、低屈折率層の強度付与の観点では困難となる。このバランスから、低屈折率層の屈折率は1.30〜1.50であることが好ましく、1.35〜1.49であることがさらに好ましい。
【0101】
架橋前の含フッ素樹脂として、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることができる。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、もしくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤もしくはエポキシ基と熱酸発生剤等の相み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤もしくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
【0102】
また上記モノマー加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
【0103】
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
【0104】
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることができる。
【0105】
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することができる。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(R)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
【0106】
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
【0107】
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層が無機粒子を含有することは、強度向上の点から好ましい。低屈折率層に用いられる無機微粒子としては、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、なかでも金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNiが好ましく、Mg、Ca、B及びSiがさらに好ましい。2種以上の金属を含む無機微粒子を用いてもよい。特に好ましい無機微粒子は、二酸化ケイ素微粒子、すなわちシリカ微粒子である。無機微粒子の平均粒径は0.001〜0.2μmであることが好ましく、0.005〜0.05μmであることがより好ましい。微粒子の粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましい。無機微粒子の粒径は大きすぎると光が散乱し、フィルムが不透明になり、小さすぎるものは凝集しやすく合成及び取り扱いが困難である。
【0108】
無機微粒子の配合量は、低屈折率層の全質量の5〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜70質量%であり、特に好ましくは10〜50質量%である。無機微粒子は、表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップリング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシ金属化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。無機微粒子がシリカの場合はシランカップリング剤による処理が特に有効である。
【0109】
また、低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
【0110】
低屈折率層として、無機もしくは有機の微粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして形成した層を用いることも好ましい。微粒子の平均粒径は、0.5〜200nmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜70nmであることがさらに好ましく、5〜40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
【0111】
無機微粒子としては、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNiが好ましく、Mg、Ca、B及びSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリカである。
【0112】
無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号に記載)または析出法(APPLIED OPTICS,27巻,3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
【0113】
有機微粒子も非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜80質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがさらに好ましい。また、有機微粒子内に、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小させることによりミクロボイドを形成させることも好ましい。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30〜80モル%であることがさらに好ましく、35〜50モル%であることが最も好ましい。上記有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例として、フルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類及びフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例としては、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例えば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類及びアクリルニトリル類が挙げられる。多官能モノマーの例としては、ジエン類(例えば、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例えば、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びビスメタクリルアミド類が挙げられる。
【0114】
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。粒子間ミクロボイドは、微粒子及びポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
【0115】
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
【0116】
低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つまたは全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)全てを組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
【0117】
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0118】
また、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
【0119】
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0120】
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
【0121】
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
【0122】
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
【0123】
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただし、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることがさらに好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
【0124】
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
【0125】
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0126】
反射防止フィルムの各層またはその塗布液には、前述した成分(無機微粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号)により、塗布により形成することができる。2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0127】
次に、金属酸化物層をプラズマCVDによって形成する方法を図3、4を用いて説明する。
【0128】
本発明の金属酸化物層を形成する方法としての大気圧もしくはその近傍の圧力下のプラズマCVD(プラズマ放電)処理は、下記のごときプラズマCVD処理装置を用いることによって行われることが好ましい。
【0129】
図3は、本発明の金属酸化物層を形成するのに用いられるプラズマCVD処理装置の一例を示す図である。
【0130】
図3においては、この装置は一対の回転電極110Aと110Bを有し、回転電極110Aと110Bには、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電圧供給手段182によって接続され、181によってアースされている。
【0131】
回転電極110Aと110Bは長尺樹脂フィルムを巻き回しながら搬送するもので、ロール電極もしくはベルト状の電極であることが好ましく、図3ではロール電極を示している。
【0132】
これらの回転電極間の間隙(電極間隙)は放電が行われる場所であり、長尺樹脂フィルムPが搬送できる間隔に設定されている。この電極間の間隙が放電部150となる。
【0133】
この電極間隙は大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下に維持されており、ここに反応ガス供給部130より反応ガスGが供給され、長尺樹脂フィルムPの表面がプラズマ放電処理される。
【0134】
ここで、元巻きロールから巻き出された長尺樹脂フィルムPまたは前工程から搬送されてくる長尺樹脂フィルムPがガイドロール120を経て、まず、移送方向に回転する回転電極110Aに接しながら移送され、放電部150を通過して、長尺樹脂フィルムPの表面に薄膜が形成される。
【0135】
一旦放電部150から出た長尺樹脂フィルムPは、Uターンロール111A〜111DでUターンされて、今度は、長尺樹脂フィルムPは回転電極110Aと反対方向に回転している回転電極110Bに接しながら移送され、再び前記放電部150を通過して、先ほど薄膜が形成された長尺樹脂フィルムPの表面に更にプラズマ放電処理され薄膜が形成される。Uターンは通常0.1秒〜1分程度で行なわれる。
【0136】
処理に使用された反応ガスGはガス排出口140より反応後の排ガスG′として排出される。
【0137】
図では長尺樹脂フィルムP上に形成された薄膜は省略してある。表面に薄膜が形成された長尺樹脂フィルムPは、ガイドローラ121を介して次工程または巻き取りロール(図示してない)方向に搬送される。
【0138】
従って、長尺樹脂フィルムPは回転電極110A、110Bに密着した状態で放電部150を往復してプラズマ放電処理されることとなる。
【0139】
なお、図示してないが、回転電極110Aと110B、ガイドロール120、121、Uターンロール111A〜111D、反応ガス供給部130、ガス排出口140等の装置はプラズマ放電処理容器内に囲まれて納められていることが好ましい。
【0140】
また、図示してないが、必要に応じて、回転電極110Aと110Bの温度制御をするための温度制御用媒体が循環され、各々の電極表面温度を所定の値に制御するようになっている。また、必要に応じて複数のプラズマCVD処理装置を直列に配置して異なる膜を連続的に形成することもできる。
【0141】
図4は本発明の金属酸化物層を形成するのに有用な回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【0142】
回転電極210とそれに対向して配置された複数の固定電極211を有し、図示されていない元巻きロールまたは前工程からから搬送されて来る長尺樹脂フィルムPがガイドロール220、ニップロール222を経て回転電極210に導かれ、長尺樹脂フィルムPは回転電極210に接した状態で回転電極210の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電部250に反応ガス発生装置231で調製された反応ガスGが給気管230から供給され、固定電極211に対向している長尺樹脂フィルム面に薄膜が形成される。
【0143】
回転電極210と固定電極には、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源280が電圧供給手段281によって接続され、282によってアースされている。
【0144】
また、回転電極210、固定電極211、放電部250はプラズマCVD処理容器290で覆われている。処理された排ガスG′は処理室の下部にあるガス排気口240から排出される。あるいは、各固定電極211の間に給気管230とガス排出口240を交互に設けてもよい。
【0145】
プラズマ放電処理された長尺樹脂フィルムPはニップロール223及びガイドロール221を経て次工程または図示してない巻き取りロールへ搬送される。
【0146】
長尺樹脂フィルムPがプラズマ放電処理容器の出入り部分のニップロール222及び223のところに外界との仕切板224及び225が設けられており、外界からニップロール222と共に長尺樹脂フィルムPに同伴して来る空気を遮断し、また出口においては、反応ガスGまたは排ガスG′が外界に漏れないようにすることが好ましい。なお、図示してないが、必要に応じて、回転電極210及び固定電極211は温度調節のための温度制御された媒体を循環するようになっている。
【0147】
このように、本発明において、薄膜が形成される長尺樹脂フィルムは回転電極上で移送しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0148】
回転電極が長尺樹脂フィルムと接する表面は高い平滑性が求められ、回転電極の表面の表面粗さがJIS−B−0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは5μm以下であり、特に好ましくは1μm以下である。
【0149】
本発明に用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙げることができる。
【0150】
特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
【0151】
また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすいので、更に好ましく用いられる。
【0152】
本発明において、電極は、その裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度及び長尺樹脂フィルムの温度を制御することが好ましい。
【0153】
媒体としては、蒸留水、油特にシリコンオイル等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0154】
放電処理の際の長尺樹脂フィルムの温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃以下が好ましく、より好ましくは室温〜120℃以下であり、更に好ましくは50〜110℃である。
【0155】
放電処理の際に長尺樹脂フィルム面の特に幅手方向で温度ムラが生じないようにすることが望ましく、±5℃以内とすることが好ましく、より好ましくは±1℃以内であり、特に好ましくは±0.1℃以内である。
【0156】
本発明において、電極間隙は、固体誘電体の厚さ、印加電圧や周波数、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電プラズマを発生させるという観点から0.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。
【0157】
本発明において、電極間隙の放電部には、ガス発生装置で発生させた混合ガスを流量制御して、反応ガス供給口よりプラズマ放電部に導入される。反応ガスの濃度や流量は適宜調整されるが、長尺樹脂フィルムの搬送速度に対して十分な速度で処理用ガスを電極間隙に供給することが好ましい。放電部では供給した反応ガスのほとんどが反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件が設定するのが望ましい。反応ガスにパーティクルが含まれていると異物故障の原因となることがあるため、予めろ過等によってパーティクルを除去した反応ガスを用いることが好ましい。また、反応ガスは20〜200℃、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは70〜120℃に加温して供給することが、形成される膜の物性が向上するため好ましい。
【0158】
放電部に大気が混入したり、反応ガスが装置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中の長尺樹脂フィルムは全体を囲んで外界から遮蔽することが好ましい。長尺樹脂フィルムは空気の同伴を防止しながらプラズマ放電装置内の放電部に導入されることが好ましい。本発明において、放電部の気圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持されることが特に好ましい。
【0159】
ここで大気圧近傍とは、20〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93〜110kPaが好ましい。装置外の大気圧力に対して、放電部がやや陽圧であることが好ましくプラズマ装置外の大気圧力+0.1kPa〜5kPaであることがより好ましい。
【0160】
本発明に有用なプラズマ放電処理装置では、一方の電極は電源に接続して電圧を印加し、もう一方の電極はアースに接地し放電プラズマを発生させることが安定したプラズマを発生させるために好ましい。
【0161】
本発明で用いる高周波電源より電極に印加する電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、印加する周波数は1kHz〜150MHzに調整し、波形をパルス波であってもサイン波としてもよい。特に周波数を100kHzを超えて50MHz以下とすることが好ましい放電部(放電空間)が得られるため好ましい。
【0162】
放電部における放電密度は5〜1000W・min/m2であることが好ましく、特に50〜500W・min/m2であることが望ましい。
【0163】
プラズマ放電処理部はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等で適宜囲まれていることが望ましく、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。また、放電部や回転電極の側面部、長尺樹脂フィルム搬送部等の側面を囲むことによって、反応ガスや排ガスを適切に放電部に供給したり排気することもできる。
【0164】
本発明の金属酸化物層の形成方法に用いる反応ガスについて説明する。
金属酸化物層を形成するための反応ガスは、窒素もしくは希ガスを含むことが好ましい。つまり、反応ガスは窒素もしくは希ガスと後述の反応性ガスの混合ガスであることが好ましい。ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の各元素を挙げることができるが、本発明においては、中でもヘリウム元素、アルゴン元素を好ましく用いることができる。反応ガス中の希ガスの濃度は90体積%以上であることが安定したプラズマ放電を発生させるために好ましく、90〜99.99体積%であることが望ましい。希ガスは安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、プラズマ中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、基材表面に堆積あるいは付着する等して薄膜が形成される。
【0165】
本発明に有用な反応ガスは、さまざまな物質の反応性ガスを添加したものを用いることによって、さまざまな機能を持った薄膜を長尺樹脂フィルム上に形成することができる。例えば、反応性ガスとして、フッ素含有有機化合物、珪素化合物を用いて反射防止層の低屈折率層を形成することもできる。
【0166】
また、Ti、Zr、In、Sn、Zn、Ge、Siあるいはその他の金属を含有する有機金属化合物、金属水素化合物、金属ハロゲン化物を用いて、これらの金属酸化物層(金属酸化物窒化物層も含む)または金属窒化物層等を形成することができ、これらの層は反射防止層の低屈折率層、中屈折率層または高屈折率層としたり、あるいは導電層または帯電防止層とすることもできる。例えば、酸化錫層、酸化インジウム層を設けることによって表面比抵抗10−3〜1011Ω/cm2の層を形成することができる。これらは公知の方法でドープしていることが好ましい。
【0167】
また、フッ素含有有機化合物で防汚層や低屈折率層を形成することもでき、珪素化合物でガスバリア層や低屈折率層を形成することもできる。本発明は、高、中屈折率層と低屈折率層を交互に多層を積層して形成される反射防止層の形成に特に好ましく用いられる。
【0168】
本発明で形成される金属酸化物層の膜厚としては、1〜1000nmの範囲のものが好ましく得られる。
【0169】
大気圧プラズマ処理では原料ガスにフッ素含有有機化合物を用いることでフッ素化合物含有層を形成することもできる。フッ素含有有機化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。具体的には、フッ素含有有機化合物としては、例えば、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物、アルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体等を挙げることができる。
【0170】
これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等の各ガスを挙げることができる。
【0171】
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0172】
また、これらの化合物は分子内にエチレン性不飽和基を有していてもよい。また、上記の化合物は混合して用いてもよい。
【0173】
本発明に有用な反応性ガスにフッ素含有有機化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により長尺樹脂フィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしてのフッ素含有有機化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいく、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0174】
また、本発明に好ましく用いられるフッ素含有、有機化合物が常温常圧で気体である場合は、反応性ガスの成分としてそのまま使用できる。
【0175】
また、フッ素含有有機化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0176】
本発明に有用な反応性ガスとしての珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等の有機金属化合物、モノシラン、ジシラン等の金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シラン、四フッ化珪素等の金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、等のアルコキシシラン、オルガノシラン等を用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0177】
また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。あるいは別の有機化合物を添加して膜の物性を変化あるいは制御することもできる。
【0178】
本発明において、反応性ガスとして珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ放電処理により長尺樹脂フィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしての珪素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0179】
本発明に有用な反応性ガスとしての有機金属化合物としては、特に限定されないが、Al、As、Au、B、Bi、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Se、Si、Sn、Ti、Zr、Y、V、W、Zn等の金属酸化物を形成するための金属化合物を挙げることができる。
【0180】
例えば、反射防止層の高屈折率層を形成するには、チタン化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラジメチルアミノチタン等の有機アミノ金属化合物、モノチタン、ジチタン等の金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等の金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等の金属アルコキシド等を挙げることができる。
【0181】
本発明において、前記の珪素化合物、有機金属化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れ等も少ないことから、中でも金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0182】
本発明において、反応性ガスとして有機金属化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により長尺樹脂フィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしての有機金属化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0183】
また、珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を放電部へ導入するには、両者は常温常圧で気体、液体または固体いずれの状態であっても使用し得る。
【0184】
気体の場合は、そのまま放電部に導入できるが、液体や固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の気化手段により気化させて使用することができる。
【0185】
珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタン等のように常温で液体で、且つ、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが本発明の金属酸化物薄膜層の形成する方法に好適である。上記金属アルコキシドは、有機溶媒によって希釈して使用しても良く、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒またはこれらの混合有機溶媒を使用することができる。
【0186】
更に、反応ガス中に酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、二酸化窒素、一酸化窒素、アンモニア等を0.1〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することができる。
【0187】
以上の方法により酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の非晶性の金属酸化物層を好ましく作製することができる。これらの金属酸化物層は表面粗さRaが0.1〜10nmであることが好ましい。
【0188】
本発明の光学フィルムは、例えば低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層を有する光学フィルムまたは導電層、帯電防止層を有する光学フィルム等に好ましく用いることができる。
【0189】
本発明において、プラズマ放電装置を複数設けることによって、多層の薄膜を連続的に設けることができ、薄膜のムラもなく多層の積層体を形成することができる。
【0190】
例えば、長尺樹脂フィルム上に反射防止層を有する光学フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.3の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を長尺樹脂フィルム表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0191】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化ケイ素を有する金属酸化物層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された金属酸化物層、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する層が好ましい。
【0192】
上述の金属酸化物層等の形成方法は好ましい方法の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にフッ素含有有機化合物ガス存在下で大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理して防汚層を設けてもよい。
【0193】
上記の方法により、本発明においては、多層の薄膜を積層することができ、各層の膜厚ムラもなく、均一な光学フィルムを得ることができる。
【0194】
本発明の光学フィルムは、長尺樹脂フィルム上に直接または他の層を介して金属酸化物層を形成することを特徴としているが、樹脂硬化層あるいは他の層を介して形成することがより好ましい。上記のようにして得られた長尺樹脂フィルム上には、熱硬化樹脂層あるいは活性線硬化樹脂層を形成することが好ましく、特に紫外線硬化樹脂層を設けることが好ましい。
【0195】
樹脂硬化層は、種々の機能を有していてもよく、例えば、防眩層やクリアハードコート層であってもよい。樹脂硬化層はエチレン性不飽和結合を有するモノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するモノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂を硬化させて形成された層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
【0196】
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0197】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0198】
具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0199】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
【0200】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
【0201】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
【0202】
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。
【0203】
上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0204】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0205】
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
【0206】
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することができる。
【0207】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0208】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることができる。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【0209】
硬化樹脂層塗布液には、ブロッキングを防止するために、また対擦り傷性等を高めるために、無機化合物あるいは有機化合物の微粒子を加えることもでき、それらの種類としては、前述のマット剤の微粒子とほぼ同様である。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、該樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0210】
紫外線硬化樹脂層はJIS−B−0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μmの防眩層であってもよい。また、紫外線硬化樹脂層の屈折率は1.5〜1.7、好ましくは1.52〜1.65であることが好ましい。また、紫外線硬化樹脂層は2層以上を積層してもよい。
【0211】
本発明によれば、幅手1m以上の長尺樹脂フィルム上に少なくとも1層の金属酸化物層を設けた反射防止フィルムにおいて、金属酸化物層のクラックの発生が少なく、金属酸化物層を設ける際に端部に発生する筋状ムラを著しく減少することができるのである。これにより、20型を越えるような大型の表示装置用としても収率よく提供することが可能となった。本発明の反射防止フィルムは公知の方法により偏光板として大型液晶表示装置に用いることができ、あるいは有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置に好ましく用いることができる。
【0212】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0213】
上記各組成を、順次密閉容器中に投入し、釜内温度を70℃まで昇温した後、70℃で3時間攪拌を行って、各組成物を完全に溶解した。その後、攪拌を停止し、液温を43℃まで下げてドープを調製した後、直ちに連結した配管を経て後述の濾過工程に送液し、絶対濾過精度0.005mmの濾紙を用い、濾過流量300L/m2・時、濾圧1.0×106Paで濾過を行った。
【0214】
《セルロースエステルフィルム1〜9の作製》
上記調製したドープを、図2に記載のテンター乾燥装置を有する溶液流延製膜セルロースエステルフィルム製造装置を用いて、流延及び乾燥を行いセルロースエステルフィルムを作製した。但し、図2に記載の第1番目のロール乾燥装置6を除いたものを使用した。
【0215】
上記調製したドープ液を、ダイ2を通して、ステンレスベルト製の金属支持体1の上に流延し、ステンレスベルトの温度を25℃に制御し、フィルムF側の乾燥工程4からは45℃の風を10m/秒の風速で斜めにあて、ステンレスベルト側の乾燥工程3からは、前半を40℃の風を10m/秒で垂直にあてフィルムを乾燥し、フィルム中の残留溶媒量が25質量%になるまで溶媒を蒸発した後、剥離ロール5にて剥離した。
【0216】
次いで、テンター乾燥装置8及びロール乾燥装置9にフィルムを導入して、テンター乾燥装置8にて、幅保持しながら105℃で乾燥し、続いてフィルムを千鳥状に配置したロール乾燥装置9で120℃で乾燥し、巻取り部7の巻取り機72で巻き取り、最終的に20℃に冷却して、厚さ60μm、幅1.4mのセルロースエステルフィルム1(フィルム試料1ともいう)を作製した。なお、上記全工程を通じてフィルムの搬送時の張力として、196N/幅となるように、ステンレスベルトの搬送速度及び巻取り機の巻取り速度を適宜調整した。
【0217】
次いで、上記フィルム試料1の作製において、幅手方向の伸縮率A、搬送方向の伸縮率B、その比(A/B)が表1に記載の値となるように、各搬送張力条件、剥離時の残留溶媒量、テンターでの延伸条件、乾燥温度及び膜厚を適宜調整して、セルロースエステルフィルム2〜9(フィルム試料2〜9)を作製した。
【0218】
(幅手方向の伸縮率A、搬送方向の伸縮率Bの測定)
幅手方向の伸縮率A及び搬送方向の伸縮率Bは下式に従い測定した。
【0219】
式(1)
幅手方向の伸縮率A=(巻き取り時のフィルム幅/金属支持体上のフィルム幅−1)×100(%)
式(2)
搬送方向の伸縮率B=(巻き取り時のフィルム搬送速度/金属支持体上のフィルム搬送速度−1)×100(%)
上記式(1)において、図2に記載の金属支持体上のフィルムの幅方向に一定幅のマーキングを行った。次いで、テンター乾燥装置8、ロール乾燥装置6、9を経て、フィルムの残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥させた後、巻取り部7の巻取り機72の直前で、試料をサンプリングし、そのマーキングの長さをメジャーにより測定し、これを用いて幅手方向の伸縮率Aを算出した。また、金属支持体上でのフィルム搬送速度及び巻き取り時のフィルム搬送速度は、196N/幅の張力で搬送した際に、搬送しているフィルムが弛まず全ての搬送ロールが正常に追従している状態で、フィルムが過度に引っ張られないように、あるいはフィルム端が過度の張力で折れジワが発生しないように搬送速度を最適に調整し、その時の搬送速度を求めた。
【0220】
《セルロースエステルフィルムの評価》
以上のようにして作製した各セルロースエステルフィルムについて、以下の方法に従って、リターデーション値Ro、遅相軸角度θの測定及び寸法安定性の評価を行った。
【0221】
(平均膜厚d、リターデーション値Ro、遅相軸角度θの測定)
リターデーション値Roの測定には、自動副屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定し、キーエンス社製のレーザフォーカス変位計LT−8010によりフィルムの膜厚を測定し、その平均膜厚dを求め、前述の方法に従って、試料の幅手方向で10箇所測定し、リターデーション値Roの最大値及び搬送方向の遅相軸角度θを0度としたときの幅手方向の遅相軸角度θの最大値を測定した。測定結果を表1に示す。
【0222】
【表1】
【0223】
このセルロースエステルフィルム1〜9上に、下記のクリアハードコート層を形成し、さらにその上にプラズマ処理で酸化錫層を形成し、層構成がセルロースエステルフィルム/クリアハードコート層/酸化錫層となる光学フィルム1〜9を作製した。
【0224】
(クリアハードコート層)
セルロースエステルフィルムのB面側(ステンレスベルトにウェブが接していた側のフィルムの面)に下記のクリアハードコート層塗布組成物を液膜厚が13μmとなるように押し出しコーターで塗布し、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの中心線平均粗さ(Ra)13nmのクリアハードコート層を設けた。
【0225】
(酸化錫層)
大気圧プラズマCVDによりセルロースエステルフィルム上に酸化錫層(金属酸化物層)を形成した。大気圧プラズマ放電処理は図3に記載の装置を使用した。ロール電極には、シリコンオイルを循環させることによる冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材を用いた。
【0226】
これにセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その上にテトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行いRmax、1μmの誘電体を有するロール電極を製作しアース(接地)した。
【0227】
一方、対向電極としては、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、相対する電極群とした。プラズマCVD処理装置の電源は、パール工業製高周波電源を使用し、連続周波数を2MHzとし、4W/cm2の電力を供給した。但し、ロール電極は、ドライブを用いて長尺樹脂フィルムの搬送に同期して回転させた。
【0228】
なお、電極間隙は2mm、反応ガスの圧力を大気圧に対して+1kPaとして膜厚0.1μmの金属酸化物層(酸化錫層、表面比抵抗1010Ω/cm2未満)を形成した。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。
【0229】
〈金属酸化物層形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.2体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.4体積%
反応ガス(テトラブチル錫蒸気) 0.4体積%
作製した光学フィルムについて、以下の方法に従って、端部のクラック及び筋ムラを評価した。評価の結果を表2に示す。
【0230】
(クラック)
光学フィルムを80℃、90%RHで72時間処理し、フィルム端部より10cmの部分のフィルム表面に形成された金属酸化物層(反射防止層)に発生したクラックを目視及び顕微鏡で観察した。評価ランクは以下の通りである。
【0231】
◎:クラックはほとんど認められず、透明性に優れる
○:クラックは認められるが、白濁はない
△:クラックが認められ、僅かに白濁している
×:著しくクラックが入り、白濁している
(筋ムラ)
光学フィルムの幅手の端部に発生する筋状のムラを目視で下記のように評価した。
【0232】
◎:長尺方向に100m以上で目視で確認されるムラは認められない
○:端部より10cm程度の部分に数10mごとに弱いムラが認められる
△:端部より10cm程度の部分に断続的にムラが認められる
×:端部より10cm程度の部分に断続的に強いムラが認められる。
【0233】
【表2】
【0234】
表2より明らかなように、本発明で規定する前記式(1)で表される幅手方向の伸縮率Aと前記式(2)で表される搬送方向の伸縮率Bとの比(A/B)が、2.0〜10.0で、かつ搬送方向の伸縮率Bが−0.5%以下であるセルロースエステルフィルムを用いて、その上に金属酸化物層を形成した光学フィルムは端部でのクラックの発生が抑制され、端部での筋状ムラの発生が少ないことが確認された。
【0235】
実施例2
〈防眩層の形成〉
実施例1で作製したセルロースエステルフィルム1〜9の一方の面に、下記に従って防眩層(紫外線硬化樹脂層)を形成した。
【0236】
を溶媒(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合して揮発分濃度50質量%の均質な分散液を調製した。
【0237】
これを上記フィルム上に塗布し、90℃で2分間乾燥させた後、110mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ膜厚3μmの防眩層を形成した。これを、50℃の2mol/LのNaOH水溶液に90秒間浸漬して、アルカリ処理(鹸化)した後、水洗・乾燥させた。
【0238】
〈反射防止層の形成〉
上記作製した防眩層の上に、下記層(金属酸化物層)を順に形成し反射防止層を形成し、光学フィルム10〜18を得た。
【0239】
(反射防止層)
酸化チタン層(屈折率2.10、膜厚0.02μm)
酸化ケイ素層(屈折率1.45、膜厚0.03μm)
酸化チタン層(屈折率2.10、膜厚0.12μm)
酸化ケイ素層(屈折率1.45、膜厚0.08μm)
実施例1で使用したプラズマ放電処理装置を使用し、金属酸化物層形成用反応ガスとして以下のものを用いた以外は実施例1と同様にして上記酸化物層を形成した。
【0240】
〈酸化チタン層形成用反応ガス〉
ヘリウム 99.4体積%
酸素 0.3体積%
テトライソプロポキシチタン 0.3体積%
〈酸化ケイ素層形成用反応ガス〉
ヘリウム 99.3体積%
酸素 0.4体積%
テトラエトキシシラン 0.3体積%
作製した光学フィルムについて、実施例1と同様にして、端部のクラック及び筋ムラを評価した。評価の結果を表3に示す。
【0241】
【表3】
【0242】
実施例3
《偏光板の作製》
実施例2で作製した光学フィルム10〜18を用いて、下記に記載の方法に従って、それぞれ偏光板10A〜18Aを作製した。
【0243】
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し、50℃で6倍に延伸して偏光膜を作った。この偏光膜の片面に、光学フィルム10を使用し、もう一方の面に光学フィルム10の基材として使用したセルロースエステルフィルム(光学フィルム10の場合はセルロースエステルフィルム1)を下記アルカリケン化処理を行った後、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせ長尺偏光板10Aを作製した。
【0244】
上記条件で各セルロースエステルフィルムを、ケン化、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
【0245】
光学フィルム10を光学フィルム11〜18に変更し、セルロースエステルフィルムもそれに用いたセルロースエステルフィルム2〜9に変更し、偏光板11A〜18Aを得た。
【0246】
本発明に係る偏光板10A〜15Aは端部までムラやクラックが少ないため、20型用以上のサイズに切り出しても、歩留まりに優れていた。これに対して、比較の偏光板16A〜18Aは端部に筋ムラが目立ち、またクラックも著しいためこの部分が使用できなくなり、歩留まりが著しく低下した。
【0247】
実施例4
セルロースエステルに変えて、ノルボルネン樹脂を用いて、下記組成のドープを調製した以外は実施例1と同様にして溶液流延法によりノルボルネン樹脂フィルムを作製した。フィルムの作製において、幅手方向の伸縮率A、搬送方向の伸縮率B、その比(A/B)が表4に記載の値となるように、各搬送張力条件、剥離時の残留溶媒量、テンターでの延伸条件、乾燥温度及び膜厚を適宜調整した。
【0248】
《ノルボルネン樹脂溶液(ドープ)》
ノルボルネン樹脂(アートンG、ジェイエスアール社製) 100質量部
メチレンクロライド 233質量部
得られたノルボルネン樹脂フィルムを実施例1と同様にして、リターデーション値Ro、遅相軸角度θの測定及び寸法安定性の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0249】
【表4】
【0250】
得られたノルボルネン樹脂フィルムに実施例1と同様にしてクリアハードコート層を設け、その上に酸化錫層を形成して光学フィルム19〜25を得た。この光学フィルムについて実施例1と同様にして端部のクラックや、筋ムラを評価した。その結果を表5に示す。
【0251】
【表5】
【0252】
本発明の光学フィルムでは幅1m越えるフィルムでも端部でのクラックや筋ムラが認められなかったのに対して、比較のフィルムではクラックや筋ムラのため、歩留まりが著しく低下した。
【0253】
【発明の効果】
本発明により、筋ムラ及びクラックが少ない光学フィルム及びその製造方法、これを用いた偏光板及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜長尺樹脂フィルム製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】テンター乾燥装置を有する溶液流延製膜長尺樹脂フィルム製造装置の一例を示す概略図である。
【図3】
本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに用いられるプラズマCVD処理装置の一例を示す図である。
【図4】本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに有用な回転電極と固定電極を有するプラズマCVD処理装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
F フィルム(ウェブともいう)
P 長尺樹脂フィルム
G 反応ガス
G′ 排ガス
1 金属支持体
2 ダイ
3、4 乾燥工程
5 剥離ロール
6、9 ロール乾燥装置
7 巻取り部
8 テンター乾燥装置
61 乾燥ガス風
63 ロール
72 巻取り機
110A、110B、110 回転電極
111A、111B、111C、111D Uターンロール
120、121 ガイドロール
130 反応ガス供給部
140、240 ガス排気口
150、250 放電部
180、280 電源
182、281 電圧供給手段
210 回転電極
211 固定電極
220、221 ガイドロール
222、223 ニップロール
224、225 仕切板
230 給気管
231 反応ガス発生装置
290 プラズマCVD処理容器[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing an optical film, an optical film, a polarizing plate having the optical film, and a display device.
[0002]
[Prior art]
Liquid crystal display devices (LCDs) are widely used as display devices for word processors and personal computers because of their low voltage, low power consumption, direct connection to IC circuits, and thinness. ing.
[0003]
In order to provide higher visibility with higher definition and larger screen of a display device, an optical film having antireflection property or conductivity is required. The antireflection layer is formed by providing a plurality of layers having different refractive indexes, and a metal oxide layer is preferably used. Conventionally, it was provided by a method such as vapor deposition or sputtering, but there was a problem that the cost was high. On the other hand, recently, a method of forming by coating has been proposed, and an antireflection layer can be provided at lower cost. However, it has been difficult to uniformly provide a thin antireflection layer having a thickness of 0.1 μm or less. In addition, there is a problem that cracks occur during storage of a long resin film provided with a thin film, and improvement thereof has been demanded. In particular, cracks are likely to occur in the metal oxide layer having a metal oxide content of 70% by mass or more, and streak-like unevenness frequently occurs at the width end of the metal oxide layer. .
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide an optical film with less stripe unevenness and cracks, a method for manufacturing the same, a polarizing plate and a display device using the same.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The above object of the present invention has been achieved by the following configurations.
[0006]
1. The resin solution was cast on a metal support by a solution casting film forming method, and the peeled film was dried while gripping both ends of the width and regulating the width dimensions. In the process during which the film is dried until it is not more than mass% and wound up, the expansion and contraction ratio A in the width direction represented by the above formula (1) and the expansion and contraction ratio B in the transport direction represented by the above formula (2) are obtained. To produce a long resin film such that the ratio (A / B) is 2.0 to 10.0 and the expansion / contraction ratio B is -0.5% or less. A method for producing an optical film, comprising forming a metal oxide layer via a coating layer.
[0007]
2. 2. The method for producing an optical film as described in 1 above, wherein the amount of the residual solvent when peeled from the metal support is 20 to 150% by mass.
[0008]
3. 3. The method for producing an optical film according to 1 or 2, wherein A / B is 2.5 to 8.0.
[0009]
4. The method for producing an optical film according to any one of the above items 1 to 3, wherein the metal oxide layer is formed by plasma CVD.
[0010]
5. The method for producing an optical film according to any one of the above items 1 to 4, wherein the metal oxide layer is formed by applying a composition containing a metal oxide.
[0011]
6. 6. The method for producing an optical film according to any one of the above items 1 to 5, wherein the resin solution contains a cellulose ester or a norbornene resin.
[0012]
7. An optical film produced by the method according to any one of the above items 1 to 6.
[0013]
8. When the angle between the longitudinal direction of the long resin film and the in-plane slow axis direction is θ, the absolute value of θ is less than 5 °, and the in-plane retardation value Ro is 0.5 to 7 nm. An optical film having a metal oxide layer directly on a long resin film or via another coating layer.
[0014]
9. 9. The optical film according to the above item 8, wherein the absolute value of θ is less than 1 °.
[0015]
10. 10. The optical film according to any one of the
[0016]
11. The optical film according to any one of the
[0017]
12. A polarizing plate comprising the optical film according to any one of the
[0018]
13. A display device comprising the optical film according to any one of the
[0019]
Hereinafter, details of the present invention will be described.
The present inventor has conducted repeated studies to solve the above problem, and as a result, the absolute value of the slow axis angle of the resin film provided with the metal oxide layer with respect to the longitudinal direction is less than 5 °, and the in-plane retardation value. It has been found that remarkably improved by setting Ro to 0.5 to 7 nm. The absolute value of the slow axis angle is preferably less than 2 °, particularly preferably less than 1 °.
[0020]
Especially when the thickness of the base film was thin and cracks were easily generated during storage as a long film, the present invention was applied when a long film having a thickness of 10 to 70 μm was used. Also, the occurrence of cracks was significantly reduced. In addition, streak-like unevenness was also reduced at the width end.
[0021]
There is no particular limitation on the method for setting the in-plane slow axis angle θ and the in-plane retardation value Ro in the width to a predetermined range, but when forming a long film by a solution casting method or the like, the resin solution is used. The film cast and peeled on a metal support is dried while holding the both ends of the width and regulating the width dimensions, and further dried until the residual solvent amount of the film becomes 1% by mass or less, and wound up. In the process during which the ratio (A / B) of the expansion / contraction ratio A in the width direction represented by the above formula (1) to the expansion / contraction ratio B in the transport direction represented by the above formula (2) is 2.0. It is preferable to set the expansion / contraction ratio B to -0.5% or less. Forming a metal oxide layer on the long film directly or via another coating layer is a method for producing an optical film of the present invention.
[0022]
Here, the film width on the metal support when calculating the expansion / contraction A means not the actual casting width but the width when the wound film width portion is in contact with the metal support. That is, in the actual film forming process, the edge is removed by slitting. For example, in FIG. 2, since a slitter is provided before and after the tenter drying device 8 and an end is cut off, the actual casting width is different. Therefore, in order to obtain the expansion / contraction ratio A, the film on the metal support is marked at a fixed interval in the width direction, for example, 1 m, and this is designated as A1, and the interval in the width direction of the marking at the time of winding is A2. Then, the expansion ratio A can be obtained as A = (A2 / A1-1) × 100 (%).
[0023]
The optical film having the metal oxide layer produced in this manner was hardly cracked, and the streak-like unevenness was reduced at the width end. In the long resin film produced by this method, the absolute value of the slow axis angle θ with respect to the longitudinal direction can be less than 5 °, and the in-plane retardation value Ro can be 0.5 to 7 nm. At this time, it is preferable that A / B is 2.5 to 8.0. Preferably, the amount of residual solvent when peeled off from the metal support is 20 to 150% by mass. When it is within this range, cracks are more difficult to be formed.
[0024]
Here, the slow axis refers to the x-axis which is the main axis of the refractive index ellipsoid in the optical film, and the angle between the slow axis and the transport direction (longitudinal direction) during film formation is called the slow axis angle θ. .
[0025]
The long resin film according to the present invention specifically refers to a film having a length of about 100 to 5000 m, and is usually provided in a roll form. Although there was a problem that cracks easily occurred during storage as a long resin film when the thickness of the base film was thin, according to the present invention, a thin long resin film having a thickness of 10 to 70 μm was used. Even in this case, the occurrence of cracks in the metal oxide layer was significantly reduced. In addition, the streak-like film thickness unevenness of the metal oxide layer at the width end was reduced.
[0026]
The absolute value of the in-plane slow axis angle is more preferably less than 1 °, and the occurrence of cracks is further suppressed.
[0027]
The method for providing the metal oxide layer on the long resin film is not particularly limited, but is preferably formed by plasma CVD or coating. In particular, it is preferably formed by plasma CVD. According to the present invention, cracks can be significantly reduced even in a metal oxide layer having a metal oxide content of 70% by mass or more. In particular, cracks were likely to occur near both ends of the long resin film having a width exceeding 1 m, but the occurrence of cracks in this portion can be sufficiently suppressed. In addition, streak-like unevenness that was likely to occur at the width end was also significantly reduced. This makes it possible to provide an antireflection film excellent in yield even for a large display device having a size exceeding 20 inches.
[0028]
In addition, in the case of the conductive film, the conductivity did not decrease even when stored in a roll film, and stable conductivity was obtained especially at the end portion, and the yield was remarkably improved.
[0029]
The method for producing a long resin film of the present invention will be described. The resin constituting the long resin film is not particularly limited, but is preferably a cellulose ester or a norbornene resin. Cellulose triacetate is preferably used as the cellulose ester. The norbornene-based resin is a polymer of a monomer having a norbornene structure, and among them, an amorphous polyolefin having a norbornene structure is preferable. Specific examples of the norbornene-based resin composition include “APO” manufactured by Mitsui Petrochemical Co., Ltd., “ZEOX” manufactured by Zeon Corporation, and “ARTON” manufactured by JSR Corporation.
[0030]
Hereinafter, a method for manufacturing a long resin film using a cellulose ester will be described. However, a similar method can be used when a norbornene-based resin is used.
[0031]
As an example of a method for producing a long resin film by a solution casting method, a method for producing a cellulose ester film as shown in FIG. 1 is used. FIG. 1 is a schematic view showing an example of an apparatus for producing a long resin film by solution casting. In FIG. 1, a cellulose ester solution is dissolved in a mixed solvent of a good solvent that dissolves a cellulose ester and a poor solvent that does not dissolve, and various additives such as a plasticizer and an ultraviolet absorber are added to the solution as needed. In the following, the dope is prepared, and the dope is provided with a mirror-finished surface, and has an infinitely moving endless metal support 1 (for example, a metal support or simply a support in a belt or drum shape). A film F (also referred to as a web or a dope film) is formed by casting from a die 2 and air with adjusted temperature and humidity is blown from drying steps 3 and 4 provided above and below the metal support 1, After cooling and constant drying, the film F is peeled off by the peeling roll 5, transferred by the
[0032]
Usually, in the drying step, a film as shown in FIG. 1 is generally passed through a large number of
[0033]
Further, in the drying step, it is preferable to hold the both ends using a tenter device or the like and to dry while regulating the width. FIG. 2 shows an example of an apparatus for producing a long casting resin film for solution casting having the above tenter drying apparatus.
[0034]
In the same manner as in the method described in FIG. 1 described above, the film F peeled off by the peeling roll 5 is introduced into a tenter drying device 8 and both ends of the film are held with clips to maintain the width, or the width is slightly stretched. Go and dry. After the drying is completed, a rolled long resin film is obtained.
[0035]
When a long resin film is manufactured by the above-described method, there are some problems. That is, after peeling the dope cast on the metal support, by stretching in the width direction with a tenter, the flatness is improved, while the slow axis angle is large at the end in the width direction. Become.
[0036]
In addition, the polyvinyl alcohol film used for the polarizing plate has high water absorption, shrinks greatly when left under high humidity, and failures such as peeling of the laminated film if the mechanical strength of the protective film laminated on both sides is weak. May cause.
[0037]
Furthermore, since liquid crystal display devices can be made thinner and smaller, their application to notebook personal computers, car navigators, mobile phones, game consoles, etc. is proceeding at a very rapid pace. It is becoming. Accordingly, there has been a demand for further development of a thin film for a long resin film of a liquid crystal image display device conventionally used. In the case of such a thin film, the use of a tenter to improve the flatness tends to increase the slow axis angle. In addition, in the case of a thin film, the strength of the film is weakened, and the force of suppressing the shrinkage of the polyvinyl alcohol film due to moisture absorption is further weakened.
[0038]
In the method for producing a long resin film used in the present invention, the production steps mainly include a step of casting a dope on a metal support as shown in FIG. 1 and FIG. , A peeling step of peeling the film from the metal support, and a step of drying the film.
[0039]
In the metal support used in the present invention, it is preferable that the surface of the endless metal support for infinite transfer is a mirror surface. In the casting step, the dope is fed to a pressurized die through a pressurized metering gear pump, and at the casting position, the dope is cast from the pressurized die onto a metal support, for example, a stainless steel belt or a rotating metal drum. It is. Other methods of casting include, for example, a doctor blade method of adjusting the film thickness of the cast dope film with a blade, and a method of using a reverse roll coater to adjust the film with a counter-rotating roll. From the viewpoint that the slit shape can be adjusted and the film thickness can be easily made uniform, it is preferable to use a pressure die. Examples of the pressure die include a coat hanger die and a T die, and any of them is preferably used. Further, in order to increase the film forming speed, two or more pressure dies may be provided on the metal support, and the doping amount may be divided to form a multilayer film. Adjustment of the film thickness is performed by appropriately adjusting the dope concentration, the liquid feed amount of the pump, the slit gap of the die cap, the extrusion pressure of the die, the speed of the metal support, etc. so that the desired thickness is obtained. be able to.
[0040]
The drying step on the metal support is a step of heating a web (the web is referred to as a dope film after casting on the metal support) on the metal support to evaporate the solvent. To evaporate the solvent, for example, a method in which heated air is blown from the web side and the back side of the metal support, a method in which heat is transferred from the back side of the metal support by a heating liquid, a method in which heat is transferred from the front and back sides by radiant heat, and the like. Can be. Further, a method of appropriately selecting and combining them is also preferable. In addition, if the thickness of the web is thin, drying is quick. The temperature of the metal support may be the same as a whole or different depending on the position.
[0041]
The peeling step is a step of evaporating the organic solvent on the metal support and peeling the web before the metal support goes around, and then the film is sent to a drying step. The position at which the web is peeled off from the metal support is referred to as a peeling point, and the roll which assists peeling is referred to as a peeling roll. Although it depends on the thickness of the web, if the residual solvent amount of the web at the peeling point (the following formula) is too large, it is difficult to peel off, or conversely, if the web is sufficiently dried on a metal support and then peeled off, Some parts of the web may peel off.
[0042]
Although it depends on the type of the resin, it is preferable that the web is peeled off when the amount of the residual solvent measured by the method described later is 20 to 150% by mass. When the peeling is performed at less than 20% by mass, when the tension in the transport direction is increased for the purpose of increasing the mechanical strength of the long resin film, residual stress is generated in the long resin film, and the dimensional stability is deteriorated. . On the other hand, if it exceeds 150% by mass, peeling residue is generated, which is not preferable because it causes surface defects of the long resin film.
[0043]
Further, as one of the methods capable of increasing the film forming speed by peeling while the residual solvent amount is as large as possible, there is a gel casting method capable of peeling even if the residual solvent amount is large. . The gel casting method includes a method in which a poor solvent for the cellulose ester is added to the dope to form a gel after casting the dope, or a method in which the temperature of the metal support is lowered to form a gel. There is also a method of adding a metal salt to the dope. By gelling on the metal support and strengthening the doped film, peeling can be accelerated and the film forming speed can be increased. If the film is peeled at a point where the residual solvent amount is larger, if the film is too soft, the flatness at the time of peeling will be impaired, or shear or vertical stripes will easily occur due to peeling tension, and the residual solvent amount will be determined in consideration of economic speed and quality Can be
[0044]
The residual solvent amount used in the present invention can be represented by the following equation.
Residual solvent amount (% by mass) = {(M−N) / N} × 100
Here, M is the mass of the film at an arbitrary point in time, and N is the mass when the M is dried at 110 ° C. for 3 hours.
[0045]
In the film drying step, it is preferable to further dry the film peeled from the metal support and reduce the amount of the residual solvent to 1% by mass or less in order to obtain a film having good dimensional stability. It is particularly preferable that the residual solvent amount at the time of winding is 0.00 to 0.10% by mass. Further, it is preferable that there is no unevenness in the residual solvent amount in the width direction. In the film drying step, generally, a method of drying while transporting a film by a roll suspension method, a pin tenter method, or a clip tenter method is employed. In the present invention, the ratio (A / B) of the expansion / contraction ratio A in the width direction represented by the above formula (1) to the expansion / contraction ratio B in the transport direction represented by the above formula (2) is 2.0 to 10%. It is preferable to dry while stretching in the width direction by a tenter method so that the expansion and contraction ratio B is -0.5% or less, in order to improve dimensional stability.
[0046]
In particular, in the present invention, it is preferable to carry out width holding or stretching where the amount of the residual solvent immediately after peeling from the metal support is large, since the effect of improving the dimensional stability is further exhibited.
[0047]
In the drying step after peeling from the metal support, the film tends to shrink in the width direction due to evaporation of the solvent. Furthermore, the shrinkage increases as the temperature increases. Drying while suppressing this shrinkage as much as possible is preferable for improving the flatness and dimensional stability of the resulting film. From this point, for example, a method of drying all the steps or a part of the steps as described in JP-A-62-46625 while holding both ends of the film widthwise with clips in the width direction, that is, a so-called tenter method is used. Preferably, it is used.
[0048]
In the present invention, the means for drying the film is not particularly limited, and for example, can be performed using hot air, infrared rays, a heating roll, a microwave, or the like, and from the viewpoint of simplicity, a method using hot air is preferable. . It is preferable that the drying temperature is divided into three to five stages within a temperature range of 40 to 150 ° C., and the drying temperature is gradually increased. It is preferable to realize the property.
[0049]
Each step from the casting to the post-drying may be performed under an air atmosphere or under an inert gas atmosphere such as nitrogen gas. In addition, it is needless to say that the drying atmosphere is performed in consideration of the explosive limit concentration of the solvent.
[0050]
The winding machine according to the present invention for producing a long resin film may be a commonly used one, for example, a constant tension method, a constant torque method, a taper tension method, a program tension control method with a constant internal stress, and the like. Can be wound up.
[0051]
In the present invention, the film is dried until the residual solvent amount of the film becomes 1% by mass or less after peeling, and in a process during winding, the stretching ratio A in the width direction represented by the formula (1) and The tenter is set so that the ratio (A / B) to the expansion and contraction ratio B in the transport direction represented by the formula (2) is 2.0 to 10.0 and the expansion and contraction ratio B is -0.5% or less. It is characterized by drying while stretching in the width direction by the method.
[0052]
The expansion / contraction rate A in the width direction is obtained from the transport speed (m / min) of the metal support forming the film shown in FIGS. 1 and 2 and the transport speed of the
[0053]
In the present invention, there is no particular limitation on a method for optimally adjusting the transport device of the metal support or the winding section so as to be in the range of A / B defined above, but the drying conditions and transport tension in each step are not particularly limited. It is most effective to appropriately adjust the conditions and the like.
[0054]
Next, details of the long resin film of the present invention will be described below.
Cellulose ester used in the long resin film of the present invention is obtained by reacting acetic anhydride, propionic anhydride, or butyric anhydride by a conventional method using cellulose selected from linter pulp, wood pulp and kenaf pulp. Preferably, cellulose triacetate, cellulose acetate propionate, cellulose acetate butyrate, and cellulose acetate propionate butyrate having a degree of substitution of all acyl groups with respect to hydroxyl groups of cellulose of 2.5 to 3.0 are used.
[0055]
The substitution degree of the acetyl group of the cellulose ester according to the present invention is preferably at least 1.5 or more. For example, cellulose acetate propionate having an acetyl group substitution degree of 2.0 and a propionyl group substitution degree of 0.8 is preferably used. The method for measuring the degree of substitution of the acyl group of the cellulose ester can be carried out according to ASTM D-817-91. The molecular weight of these cellulose esters is preferably in the range of 70,000 to 300,000 as the number average molecular weight, because the mechanical strength when formed into a film is strong, and more preferably 80,000 to 200,000. Usually, the cellulose ester is in the form of flakes after treatment such as washing with water after the reaction, and is used in that shape.As the particle size, it is more preferable that the average particle size is in the range of 0.05 to 2.0 mm. It is preferable from the viewpoint of accelerating the solubility.
[0056]
The long resin film contains a plasticizer such as phthalic acid ester and phosphate ester, an ultraviolet absorber, an antioxidant, a matting agent, etc., so that the performance of the liquid crystal image display device caused by the long resin film is obtained. Can be improved, which is preferable.
[0057]
In the present invention, the plasticizer that can be contained in the long resin film is not particularly limited. Examples of the phosphoric acid ester type include triphenyl phosphate, tricresyl phosphate, cresyl diphenyl phosphate, and octyl diphenyl. Phosphate, diphenyl biphenyl phosphate, trioctyl phosphate, tributyl phosphate, etc., as phthalic acid esters, such as diethyl phthalate, dimethoxyethyl phthalate, dimethyl phthalate, dioctyl phthalate, dibutyl phthalate, di-2-ethylhexyl phthalate, glycolic acid ester, etc. Are triacetin, tributyrin, butylphthalylbutyl glycolate, ethylphthalylethyl glycolate, methylphthalylethyl glycolate, It can be exemplified Le phthalyl butyl glycolate and the like. In addition, dicyclohexyl phthalate, dibenzyl phthalate, trimethylolpropane tribenzoate and the like are preferably used. If necessary, two or more plasticizers may be used in combination.
[0058]
When used in the long resin film of the present invention, the use ratio of the phosphate ester-based plasticizer is preferably 50% by mass or less because hydrolysis of the long resin film hardly occurs and the durability is excellent. It is more preferable that the ratio of the phosphate ester plasticizer is small, and it is particularly preferable to use only a non-phosphate ester plasticizer such as a phthalate ester or a glycolate ester. The amount of the plasticizer added to the cellulose ester is preferably 0.5 to 30% by mass, and particularly preferably 2 to 15% by mass.
[0059]
Further, in the present invention, from the viewpoint of preventing the deterioration of the liquid crystal, the ultraviolet absorber which can be contained in the long resin film is excellent in the ability to absorb ultraviolet light having a wavelength of 370 nm or less and has a good liquid crystal display property. Those that absorb as little as possible visible light having a wavelength of 400 nm or more are preferably used. In particular, the transmittance at a wavelength of 370 nm needs to be 10% or less, preferably 5% or less, more preferably 2% or less. In the present invention, examples of the ultraviolet absorber that can be used include oxybenzophenone-based compounds, benzotriazole-based compounds, salicylate-based compounds, benzophenone-based compounds, triazine-based compounds, cyanoacrylate-based compounds, nickel complex-based compounds, and the like. However, a less colored benzotriazole-based compound is preferable. As a commercially available benzotriazole-based ultraviolet absorber, for example, Tinuvin 109, Tinuvin 171, Tinuvin 326, Tinuvin 327, Tinuvin 328, and the like manufactured by Ciba Specialty Chemicals can be preferably used, but not limited thereto. Two or more ultraviolet absorbers may be used.
[0060]
As a method of adding the ultraviolet absorber to the dope, the ultraviolet absorber may be added after dissolving the ultraviolet absorber in an organic solvent such as alcohol, methylene chloride, methyl acetate, or dioxolane, or may be directly added to the dope composition. Those that do not dissolve in an organic solvent, such as inorganic powders, are dispersed in an organic solvent and a cellulose ester using a dissolver or a sand mill, and then added to the dope. In the present invention, the amount of the ultraviolet absorber used can be added in the range of 0.5 to 20% by mass relative to the cellulose ester, preferably 0.6 to 5.0% by mass, particularly preferably 0.6 to 5.0% by mass. 2.0% by mass.
[0061]
In the present invention, the long resin film preferably contains a fine particle matting agent. Examples of the fine particle matting agent include silicon dioxide, titanium dioxide, aluminum oxide, zirconium oxide, calcium carbonate, kaolin, It is preferable to include inorganic fine particles such as talc, calcined calcium silicate, hydrated calcium silicate, aluminum silicate, magnesium silicate, and calcium phosphate, and crosslinked polymer fine particles. Among them, silicon dioxide is preferable because the haze (devitrification) of the film can be reduced. The secondary particles of the fine particles preferably have an average particle size of 0.01 to 1.0 μm, and the content thereof is preferably 0.005 to 0.5% by mass based on the cellulose ester. Fine particles such as silicon dioxide are often surface-treated with an organic substance, but such particles are preferable because the haze of the film can be reduced. Preferred organic substances for the surface treatment include, for example, halosilanes, alkoxysilanes, silazane, siloxane and the like. As the average particle size of the fine particles, the larger the larger, the greater the matting effect, and the smaller the average particle size, the better the transparency. Therefore, the average primary particle size of the fine particles is preferably 5 to 50 nm, more preferably 7 to 50 nm. 2020 nm. These fine particles are usually present as an aggregate in the long resin film, and it is preferable to form irregularities of 0.01 to 1.0 μm on the surface of the long resin film. Examples of the fine particles of silicon dioxide include AEROSIL 200, 200V, 300, R972, R972V, R974, R202, R812, OX50, and TT600 manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd., and preferably AEROSIL 200V, R972, and the like. R972V, R974, R202, and R812. Two or more of these matting agents may be used in combination. When two or more kinds are used in combination, they can be used by mixing at an arbitrary ratio. In this case, a matting agent having a different average particle size or a different material, for example, AEROSIL 200V and R972V may be used in a mass ratio of 0.1: 99.9 to 99.9: 0.1.
[0062]
Next, a method for preparing a cellulose ester dope in the present invention will be described. While stirring an organic solvent mainly composed of a good solvent for cellulose ester in a dissolving vessel, a flake-shaped cellulose ester is added and dissolved to form a dope. As the dissolution method, for example, a method at normal pressure, a method at a temperature lower than the boiling point of the main solvent, a method at a pressure higher than the boiling point of the main solvent, JP-A-9-95544 and JP-A-9-95557 Alternatively, various dissolving methods such as a method performed by a cooling dissolution method described in JP-A-9-95538 and a method performed at a high pressure as described in JP-A-11-21379 can be exemplified. The dissolved cellulose ester solution, so-called dope, is then filtered by a filter medium, defoamed, and sent to the next step by a pump. The concentration of the cellulose ester in the dope is generally 10 to 35% by mass, preferably 15 to 25% by mass. In order to incorporate the polymer useful in the present invention into the cellulose ester dope, the polymer may be dissolved in an organic solvent in advance and then added, or the polymer may be directly added to the cellulose ester dope. In this case, it is necessary to add the polymer with care so that the polymer does not become cloudy or phase-separated in the dope.
[0063]
The good solvent that can be used in the present invention is an organic solvent having good solubility in cellulose ester, for example, methyl acetate, ethyl acetate, amyl acetate, ethyl formate, acetone, cyclohexanone, methyl acetoacetate, Tetrahydrofuran, 1,3-dioxolan, 4-methyl-1,3-dioxolan, 1,4-dioxane, 2,2,2-trifluoroethanol, 2,2,3,3-hexafluoro-1-propanol, 1 , 3-Difluoro-2-propanol, 1,1,1,3,3,3-hexafluoro-2-methyl-2-propanol, 1,1,1,3,3,3-hexafluoro-2-propanol 2,2,3,3,3-pentafluoro-1-propanol, nitroethane, 2-pyrrolidone, N-methyl-2-pyrrolidone, , 3-dimethyl-2-imidazolidinone, there may be mentioned methylene chloride, bromo propane, in particular, methyl acetate, acetone, are preferably used methylene chloride. However, it is preferable to use a non-chlorine organic solvent in view of recent environmental problems. Further, it is preferable to use a lower alcohol such as methanol, ethanol, or butanol in combination with these organic solvents, because the solubility of the cellulose ester in the organic solvent can be improved and the viscosity of the dope can be reduced. In particular, ethanol having a low boiling point and low toxicity is preferred. The organic solvent used in the dope according to the present invention is preferably used from the viewpoint of production efficiency by mixing a good solvent and a poor solvent for the cellulose ester, and a preferable range of the mixing ratio of the good solvent and the poor solvent is a good solvent. Is 70 to 98% by mass, and the poor solvent is 2 to 30% by mass. For example, a mixed solvent of 70% by mass of methyl acetate and 30% by mass of ethanol is mentioned as an example of a preferable solvent. The good solvent and the poor solvent used in the present invention are defined as a good solvent that dissolves the cellulose ester used alone and a poor solvent that does not dissolve the cellulose ester alone. The poor solvent used in the dope according to the present invention is not particularly limited. For example, methanol, ethanol, n-butanol, cyclohexane, acetone, cyclohexanone, and the like can be preferably used. For the polymer useful in the present invention, it is preferable to select an organic solvent using a good solvent for the cellulose ester. As described above, when a low-molecular plasticizer is used, it can be performed by a usual addition method, even if it is directly added to the dope, or it is dissolved in an organic solvent and then poured into the dope. Good.
[0064]
In the present invention, when the various additive solutions or dispersions as described above are added to the cellulose ester dope, they are transferred from the respective transfer series, and when the transfer pipes are joined, the respective addition elements are combined as a dope solution, Immediately thereafter, a method of sufficiently mixing with a mixer in a tube is also preferable. For example, it is preferable to use an inline mixer such as a static mixer SWJ (Toray static type in-pipe mixer Hi-Mixer manufactured by Toray Engineering). When an in-line mixer is used, a cellulose ester can be applied to a dope in which the cellulose ester is concentrated and dissolved under high pressure.
[0065]
In the present invention, in the preparation of the cellulose ester dope, it is necessary to remove foreign matter, particularly foreign matter that is easily recognized as an image in a liquid crystal image display device. When the long resin film of the present invention is used as a protective film for a polarizing plate, it is no exaggeration to say that the quality is determined by the filtration accuracy. It is preferable that the filtration media used for filtration have a small absolute filtration accuracy.However, if the absolute filtration accuracy is too small, clogging of the filtration media is likely to occur, and frequent replacement of the filtration media is required. There is a problem to make it. For this reason, the filter medium used for the cellulose ester dope according to the present invention preferably has an absolute filtration accuracy of 0.008 mm or less, more preferably 0.001 to 0.008 mm, and more preferably 0.003 to 0.006 mm. Is more preferable. There is no particular limitation on the material of the filter medium, and a normal filter medium can be used. However, a filter medium made of a plastic fiber such as polypropylene or Teflon (R) or a metal filter medium such as a stainless steel fiber may cause the fiber to fall off. Preferred. Filtration of the cellulose ester dope according to the present invention can be performed by a normal method, but a method of filtering while heating under pressure at a temperature not lower than the boiling point of the solvent at normal pressure and a range in which the solvent does not boil, filtration is The rise in differential pressure before and after the material (hereinafter sometimes referred to as filtration pressure) is small, which is preferable. A preferred temperature range is 45 to 120 ° C, more preferably 45 to 70 ° C, and even more preferably 45 to 55 ° C. The smaller the filtration pressure, the better. Filtration pressure is 1.6 × 10 6 Pa or less, preferably 1.2 × 10 6 Pa or less, more preferably 1.0 × 10 6 More preferably, it is Pa or less.
[0066]
Further, when the cellulose ester of the raw material contains a cellulose ester having an unsubstituted or low-substituted acyl group, a foreign substance failure (hereinafter also referred to as a bright spot failure) may occur. The bright spot failure means that when a long resin film is placed between two polarizing plates in a crossed state (crossed Nicols), light is irradiated from one side, and observed with an optical microscope (50 ×) from the other side. In the case of a long resin film, the light is blocked and nothing looks black. However, if there is a foreign substance, the light leaks from it and appears as a spot-like light, which is recognized as a foreign substance. The larger the diameter of the bright spot failure, the greater the effect of the liquid crystal image display device, and it is preferable that there is substantially no device having a diameter of 50 μm or more. It is preferable that the bright spot failure of 50 μm or less is as small as possible, and that the diameter thereof is also small. Preferably 10/50 μm 200 / cm 2 The following is preferable, and the smaller the value, the better. The diameter of a bright point means a diameter measured by approximating the bright point to a perfect circle. In order to reduce the number and magnitude of such bright spot failures, it is necessary to sufficiently filter fine foreign matter. Further, as described in JP-A-2000-137115, a method in which a pulverized product of a long resin film formed once is re-added to a dope at a certain ratio and used as a raw material for a cellulose ester and its additive, Is a preferred method that can reduce the
[0067]
As the thickness of the long resin film, generally, a thickness of 10 to 200 μm is used. However, in order to reduce the thickness and weight of a polarizing plate used for an LCD or the like, the thickness is 10 to 70 μm in the present invention. Is more preferably, 20 to 60 μm, further preferably 35 to 50 μm. If the thickness is less than 10 μm, the stiffness of the film is reduced, so that it is easy to cause troubles such as wrinkles in the production process of the polarizing plate, which is not preferable. Further, when a thin long resin film having a thickness of 70 μm or less was used, cracks and uneven stripes in the metal oxide layer were likely to occur, but the present invention has improved this point.
[0068]
In the long resin film of the present invention, it is preferable that the slow axis angle is less than 5 ° and the in-plane retardation value Ro is 0.5 to 7 nm.
[0069]
The slow axis angle in the present invention is an angle (degree) between a film transport direction and a slow axis direction during film formation, and an in-plane retardation value Ro (nm) is represented by the following equation. .
[0070]
Ro = (Nx−Ny) × d
Nx: refractive index in the maximum refractive index direction (slow axis direction) in the plane of the film
Ny: refractive index in the direction in the film plane orthogonal to the slow axis (fast axis direction)
d: film thickness (nm)
In the present invention, the refractive index of the entire long resin film can be measured using an ellipsometer or the like. Further, using an automatic birefringence meter KOBRA-21ADH (manufactured by Oji Scientific Instruments), the birefringence index was measured at a wavelength of 590 nm under an environment of 23 ° C. and 55% RH to obtain Nx-Ny. The Ro value and the slow axis angle can be calculated by measuring the thickness of the film.
[0071]
Next, an antireflection film which is one of the optical films of the present invention will be described. In the antireflection film of the present invention, the metal oxide layer may be directly formed on the long resin film described above, but at least one other coating layer is provided and formed on the long resin film having an uneven surface. You may let it. As the other coating layer, a cured resin layer having a center line average surface roughness (Ra) of 0.01 to 1 μm specified in JIS B 0601 is preferable. These are preferably actinic ray-curable resin layers that are cured by actinic rays such as ultraviolet rays. By forming the metal oxide layer according to the present invention on such a resin layer cured by ultraviolet rays, an antireflection film having excellent scratch resistance can be obtained.
[0072]
The metal oxide layer is preferably used for at least one of a high refractive index layer, a medium refractive index layer, and a low refractive index layer.
[0073]
In the present invention, the method for forming the metal oxide layer is not particularly limited, and the metal oxide layer can be formed by coating, CVD, sputtering, or vapor deposition, but is preferably formed by plasma CVD even during coating or CVD.
[0074]
A method for forming a metal oxide layer by coating will be described.
The basic structure of the antireflection film of the present invention will be described. For example, a preferable antireflection film has a layer structure in the order of a transparent support, a hard coat layer, a medium refractive index layer, a high refractive index layer, and a low refractive index layer. The transparent support, the middle refractive index layer, the high refractive index layer and the low refractive index layer have a refractive index satisfying the following relationship.
[0075]
Refractive index of low refractive index layer <refractive index of transparent support <refractive index of medium refractive index layer <refractive index of high refractive index layer
In an antireflection film having a middle refractive index layer, a high refractive index layer, and a low refractive index layer, as described in JP-A-59-50401, the medium refractive index layer satisfies the following formula (1). When the refractive index layer satisfies the following mathematical formula (2) and the low refractive index layer satisfies the following mathematical formula (3), it is possible to further reduce the average reflectance as an antireflection film, which is preferable.
[0076]
(Hλ / 4) × 0.7 <n 3 d 3 <(Hλ / 4) × 1.3 Expression (1)
In the formula (1), h is a positive integer (generally 1, 2 or 3), and n 3 Is the refractive index of the middle refractive index layer, and d 3 Is the thickness (nm) of the middle refractive index layer. Λ is a wavelength and is a value in the range of 350 to 800 (nm).
[0077]
(Jλ / 4) × 0.7 <n 4 d 4 <(Jλ / 4) × 1.3 Expression (2)
In the formula (2), j is a positive integer (generally 1, 2 or 3), and n 4 Is the refractive index of the high refractive index layer and d 4 Is the thickness (nm) of the high refractive index layer. Λ is a wavelength and is a value in the range of 350 to 800 (nm).
[0078]
(Kλ / 4) × 0.7 <n 5 d 5 <(Kλ / 4) × 1.3 Expression (3)
In equation (3), k is a positive odd number (generally 1) and n 5 Is the refractive index of the low refractive index layer and d 5 Is the thickness (nm) of the low refractive index layer. Λ is a wavelength and is a value in the range of 350 to 800 (nm).
[0079]
Further, in the present invention, it is also preferable to provide irregularities on the hard coat layer or the high refractive index layer to form an antiglare antireflection film.
[0080]
In addition, a layer configuration in the order of the transparent support, the hard coat layer (anti-glare layer), the high refractive index layer, the low refractive index layer, the high refractive index layer, and the low refractive index layer is also a preferable configuration. It is preferable to impart antifouling properties to the low refractive index layer on the surface, and an antifouling layer may be provided on the surface.
[0081]
<High refractive index layer and medium refractive index>
In the present invention, in order to reduce the reflectance, it is preferable to provide a high refractive index layer between the transparent support or the transparent support provided with the hard coat layer and the low refractive index layer. It is preferable to provide a middle refractive index layer between the transparent support and the high refractive index layer in order to reduce the reflectance. The refractive index of the high refractive index layer is preferably from 1.55 to 2.30, and more preferably from 1.57 to 2.20. The refractive index of the middle refractive index layer is adjusted to be an intermediate value between the refractive index of the transparent support and the refractive index of the high refractive index layer. The refractive index of the middle refractive index layer is preferably from 1.55 to 1.80. The thickness of the high refractive index layer and the middle refractive index layer is preferably from 5 nm to 1 μm, more preferably from 10 nm to 0.2 μm, and most preferably from 30 nm to 0.1 μm. The haze of the high refractive index layer and the middle refractive index layer is preferably 5% or less, more preferably 3% or less, and most preferably 1% or less. The strength of the high refractive index layer and the medium refractive index layer is preferably H or more, more preferably 2H or more, and most preferably 3H or more at a pencil hardness of 1 kg load. The high refractive index layer and the medium refractive index layer preferably contain inorganic fine particles and a binder polymer.
[0082]
The inorganic fine particles used for the high refractive index layer and the medium refractive index layer preferably have a refractive index of 1.80 to 2.80, and more preferably 1.90 to 2.80. The weight average diameter of the primary particles of the inorganic fine particles is preferably from 1 to 150 nm, more preferably from 1 to 100 nm, and most preferably from 1 to 80 nm. The weight average diameter of the inorganic fine particles in the layer is preferably 1 to 200 nm, more preferably 5 to 150 nm, further preferably 10 to 100 nm, and most preferably 10 to 80 nm. . The average particle diameter of the inorganic fine particles is measured by a light scattering method when it is 20 to 30 nm or more, and by an electron micrograph when it is 20 to 30 nm or less. The specific surface area of the inorganic fine particles is 10 to 400 m as a value measured by the BET method. 2 / G, preferably 20 to 200 m 2 / G, more preferably 30 to 150 m 2 / G is most preferred.
[0083]
The inorganic fine particles are preferably particles formed from a metal oxide or sulfide. Examples of metal oxides or sulfides include titanium dioxide (eg, rutile, a mixed crystal of rutile / anatase, anatase, amorphous structure), tin oxide, indium oxide, zinc oxide, zirconium oxide, and zinc sulfide. Among them, titanium oxide, tin oxide and indium oxide are particularly preferred. The inorganic fine particles contain oxides or sulfides of these metals as main components and may further contain other elements. The main component means a component having the largest content (% by mass) of the components constituting the particles. Examples of other elements include Ti, Zr, Sn, Sb, Cu, Fe, Mn, Pb, Cd, As, Cr, Hg, Zn, Al, Mg, Si, P and S.
[0084]
The inorganic fine particles may be surface-treated. The surface treatment can be performed using an inorganic compound or an organic compound. Examples of the inorganic compound used for the surface treatment include alumina, silica, zirconium oxide, and iron oxide. Of these, alumina and silica are preferred. Examples of organic compounds used for the surface treatment include polyols, alkanolamines, stearic acid, silane coupling agents, and titanate coupling agents. Among them, a silane coupling agent is most preferable. The surface treatment may be performed by combining two or more types of surface treatments. The shape of the inorganic fine particles is preferably a rice grain, a sphere, a cube, a spindle, or an irregular shape. Two or more kinds of inorganic fine particles may be used in combination with the high refractive index layer and the medium refractive index layer.
[0085]
The ratio of the inorganic fine particles in the high refractive index layer and the medium refractive index layer is preferably from 5 to 65% by volume, more preferably from 10 to 60% by volume, and still more preferably from 20 to 55% by volume.
[0086]
The inorganic fine particles are provided in the form of a dispersion dispersed in a medium to a coating liquid for forming a high refractive index layer and a medium refractive index layer. As a dispersion medium of the inorganic fine particles, it is preferable to use a liquid having a boiling point of 60 to 170 ° C. Specific examples of the dispersion solvent include water, alcohol (eg, methanol, ethanol, isopropanol, butanol, benzyl alcohol), ketone (eg, acetone, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, cyclohexanone), ester (eg, methyl acetate, ethyl acetate) , Propyl acetate, butyl acetate, methyl formate, ethyl formate, propyl formate, butyl formate), aliphatic hydrocarbons (eg, hexane, cyclohexane), halogenated hydrocarbons (eg, methylene chloride, chloroform, carbon tetrachloride), aroma Group hydrocarbons (eg, benzene, toluene, xylene), amides (eg, dimethylformamide, dimethylacetamide, n-methylpyrrolidone), ethers (eg, diethyl ether, dioxane, tetrahydrofuran), ether alcohols (eg, 1-methoxy-2-propanol). Among them, toluene, xylene, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, cyclohexanone and butanol are particularly preferred.
[0087]
The inorganic fine particles can be dispersed in the medium using a disperser. Examples of the disperser include a sand grinder mill (eg, a bead mill with pins), a high-speed impeller mill, a pebble mill, a roller mill, an attritor, and a colloid mill. Sand grinder mills and high speed impeller mills are particularly preferred. Further, a preliminary dispersion process may be performed. Examples of the disperser used for the preliminary dispersion treatment include a ball mill, a three-roll mill, a kneader, and an extruder.
[0088]
The high refractive index layer and the middle refractive index layer preferably use a polymer having a crosslinked structure (hereinafter, also referred to as a crosslinked polymer) as a binder polymer. Examples of the crosslinked polymer include crosslinked products of polymers having a saturated hydrocarbon chain such as polyolefin (hereinafter collectively referred to as polyolefin), polyether, polyurea, polyurethane, polyester, polyamine, polyamide and melamine resin. Of these, a crosslinked product of polyolefin, polyether and polyurethane is preferred, a crosslinked product of polyolefin and polyether is more preferred, and a crosslinked product of polyolefin is most preferred. Further, it is more preferable that the crosslinked polymer has an anionic group. The anionic group has a function of maintaining the dispersed state of the inorganic fine particles, and the crosslinked structure has a function of imparting a film-forming ability to the polymer to strengthen the film. The anionic group may be directly bonded to the polymer chain, or may be bonded to the polymer chain via a linking group, but is bonded to the main chain as a side chain via the linking group. Is preferred.
[0089]
Examples of the anionic group include a carboxylic acid group (carboxyl), a sulfonic acid group (sulfo) and a phosphoric acid group (phosphono). Among them, a sulfonic acid group and a phosphoric acid group are preferable. Here, the anionic group may be in a salt state. The cation forming a salt with the anionic group is preferably an alkali metal ion. Further, the proton of the anionic group may be dissociated. The linking group that bonds the anionic group and the polymer chain is preferably a divalent group selected from —CO—, —O—, an alkylene group, an arylene group, and a combination thereof. The crosslinked polymer which is a preferred binder polymer is preferably a copolymer having a repeating unit having an anionic group and a repeating unit having a crosslinked structure. In this case, the proportion of the repeating unit having an anionic group in the copolymer is preferably from 2 to 96% by mass, more preferably from 4 to 94% by mass, and most preferably from 6 to 92% by mass. preferable. The repeating unit may have two or more anionic groups.
[0090]
The crosslinked polymer having an anionic group may contain another repeating unit (a repeating unit having neither an anionic group nor a crosslinked structure). As other repeating units, a repeating unit having an amino group or a quaternary ammonium group and a repeating unit having a benzene ring are preferable. The amino group or the quaternary ammonium group has a function of maintaining the dispersed state of the inorganic fine particles, similarly to the anionic group. The benzene ring has a function of increasing the refractive index of the high refractive index layer. The same effect can be obtained even when the amino group, the quaternary ammonium group and the benzene ring are contained in the repeating unit having an anionic group or the repeating unit having a crosslinked structure.
[0091]
In the crosslinked polymer containing a repeating unit having an amino group or a quaternary ammonium group as a constituent unit, the amino group or the quaternary ammonium group may be directly bonded to a polymer chain, or may be a side chain via a linking group. May be bonded to the polymer chain, but the latter is more preferred. The amino group or the quaternary ammonium group is preferably a secondary amino group, a tertiary amino group or a quaternary ammonium group, and more preferably a tertiary amino group or a quaternary ammonium group. The group bonded to the nitrogen atom of the secondary amino group, tertiary amino group or quaternary ammonium group is preferably an alkyl group, more preferably an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, and further preferably an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms. 1 to 6 alkyl groups. The counter ion of the quaternary ammonium group is preferably a halide ion. The linking group that bonds the amino group or the quaternary ammonium group to the polymer chain is a divalent group selected from -CO-, -NH-, -O-, an alkylene group, an arylene group, and a combination thereof. Is preferred. When the crosslinked polymer contains a repeating unit having an amino group or a quaternary ammonium group, the proportion is preferably from 0.06 to 32% by mass, more preferably from 0.08 to 30% by mass, Most preferably, it is 0.1 to 28% by mass.
[0092]
A crosslinked polymer is prepared by blending a monomer for generating a crosslinked polymer to prepare a coating liquid for forming a high refractive index layer and a medium refractive index layer, and by performing a polymerization reaction simultaneously with or after the application of the coating liquid. Is preferred. Each layer is formed with the formation of the crosslinked polymer. The monomer having an anionic group functions as a dispersant for inorganic fine particles in the coating solution. The monomer having an anionic group is preferably used in an amount of 1 to 50% by mass, more preferably 5 to 40% by mass, and still more preferably 10 to 30% by mass, based on the inorganic fine particles. The monomer having an amino group or a quaternary ammonium group functions as a dispersing aid in the coating solution. The monomer having an amino group or a quaternary ammonium group is preferably used in an amount of 3 to 33% by mass based on the monomer having an anionic group. A method of producing a crosslinked polymer by a polymerization reaction at the same time as or after the application of the coating liquid allows these monomers to function effectively before the application of the coating liquid.
[0093]
Examples of monomers having two or more ethylenically unsaturated groups include esters of polyhydric alcohol and (meth) acrylic acid (eg, ethylene glycol di (meth) acrylate, 1,4-dichlorohexane diacrylate, pentane). Erythritol tetra (meth) acrylate), pentaerythritol tri (meth) acrylate, trimethylolpropane tri (meth) acrylate, trimethylolethanetri (meth) acrylate, dipentaerythritol tetra (meth) acrylate, dipentaerythritol penta (meth) Acrylate, pentaerythritol hexa (meth) acrylate, 1,2,3-cyclohexanetetramethacrylate, polyurethane polyacrylate, polyester polyacrylate, vinylbenzene and derivatives thereof ( , 1,4-divinylbenzene, 4-vinylbenzoic acid-2-acryloylethyl ester, 1,4-divinylcyclohexanone), vinylsulfone (eg, divinylsulfone), acrylamide (eg, methylenebisacrylamide), methacrylamide, and the like. No. As the monomer having an anionic group and the monomer having an amino group or a quaternary ammonium group, commercially available monomers may be used. Preferable commercially available monomers having an anionic group include KAYAMARPM-21, PM-2 (manufactured by Nippon Kayaku Co., Ltd.), AntoxMS-60, MS-2N, and MS-NH4 (manufactured by Nippon Emulsifier Co., Ltd.) Aronix M-5000, M-6000, M-8000 series (manufactured by Toagosei Chemical Industry Co., Ltd.), VISCOAT # 2000 series (manufactured by Osaka Organic Chemical Industry Co., Ltd.), New Frontier GX-8289 (Daiichi Kogyo Pharmaceutical Co., Ltd.) NK Ester CB-1, A-SA (manufactured by Shin-Nakamura Chemical Co., Ltd.), AR-100, MR-100, MR-200 (manufactured by Daihachi Chemical Industry Co., Ltd.) and the like. Can be Further, preferably used commercially available monomers having an amino group or a quaternary ammonium group include DMAA (manufactured by Osaka Organic Chemical Industry Co., Ltd.), DMAEA, DMAPAA (manufactured by Kojin Co., Ltd.), and Blemmer QA (manufactured by NOF Corporation. )), New Frontier C-1615 (Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.) and the like.
[0094]
As the polymerization reaction of the polymer, a photopolymerization reaction or a thermal polymerization reaction can be used. Particularly, a photopolymerization reaction is preferable. It is preferable to use a polymerization initiator for the polymerization reaction. For example, the above-mentioned thermal polymerization initiator and photopolymerization initiator used for forming the binder polymer of the hard coat layer can be used.
[0095]
A commercially available polymerization initiator may be used as the polymerization initiator. A polymerization accelerator may be used in addition to the polymerization initiator. The addition amount of the polymerization initiator and the polymerization accelerator is preferably in the range of 0.2 to 10% by mass of the total amount of the monomers. The coating liquid (dispersion of inorganic fine particles containing a monomer) may be heated to promote polymerization of the monomer (or oligomer). Further, heating may be performed after the photopolymerization reaction after the application, and the thermosetting reaction of the formed polymer may be additionally treated.
[0096]
It is preferable to use a polymer having a relatively high refractive index for the middle refractive index layer and the high refractive index layer. Examples of polymers having a high refractive index include polystyrene, styrene copolymer, polycarbonate, melamine resin, phenolic resin, epoxy resin, and polyurethane obtained by reacting a cyclic (alicyclic or aromatic) isocyanate with a polyol. . Other polymers having a cyclic (aromatic, heterocyclic, alicyclic) group or polymers having a halogen atom other than fluorine as a substituent can also be used with a high refractive index.
[0097]
The metal oxide layer is preferably provided by applying a coating solution containing inorganic fine particles containing a metal oxide.
[0098]
A high refractive index layer or a medium refractive index layer may be formed from an organometallic compound having a film forming ability.
[0099]
Preferably, the organometallic compound can be dispersed in a suitable medium or is in a liquid state. Examples of the organometallic compound include metal alcoholates (eg, titanium tetraethoxide, titanium tetra-i-propoxide, titanium tetra-n-propoxide, titanium tetra-n-butoxide, titanium tetra-sec-butoxide, titanium Tetra-tert-butoxide, aluminum triethoxide, aluminum tri-i-propoxide, aluminum tributoxide, antimony triethoxide, antimony tributoxide, zirconium tetraethoxide, zirconium tetra-i-propoxide, zirconium tetra-n- Propoxide, zirconium tetra-n-butoxide, zirconium tetra-sec-butoxide, zirconium tetra-tert-butoxide, chelating compounds (eg, di-isopropoxytitanium bi Acetylacetonate, di-butoxytitanium bisacetylacetonate, di-ethoxytitanium bisacetylacetonate, bisacetylacetone zirconium, aluminum acetylacetonate, aluminum di-n-butoxide monoethylacetoacetate, aluminum di-i-propoxide monomethyl Acetoacetate, tri-n-butoxide zirconium monoethyl acetoacetate), organic acid salts (eg, zirconyl ammonium carbonate), zirconium, and the like.
[0100]
The low-refractive-index layer includes a low-refractive-index layer formed by crosslinking a fluorine-containing resin that is crosslinked by heat or ionizing radiation (hereinafter also referred to as “fluorinated resin before crosslinking”), a low-refractive-index layer formed by a sol-gel method, and particles. And a binder polymer, and a low refractive index layer or the like having a void between particles or inside the particles is used. It is preferable that the refractive index of the low refractive index layer is low, because the antireflection performance is improved, but it is difficult from the viewpoint of imparting strength to the low refractive index layer. From this balance, the refractive index of the low refractive index layer is preferably from 1.30 to 1.50, and more preferably from 1.35 to 1.49.
[0101]
As the fluorine-containing resin before crosslinking, a fluorine-containing copolymer formed from a fluorine-containing vinyl monomer and a monomer for providing a crosslinking group can be preferably exemplified. Specific examples of the fluorine-containing vinyl monomer unit include, for example, fluoroolefins (for example, fluoroethylene, vinylidene fluoride, tetrafluoroethylene, hexafluoroethylene, hexafluoropropylene, perfluoro-2,2-dimethyl-1,3 -Dioxole, etc.), partially or fully fluorinated alkyl ester derivatives of (meth) acrylic acid (for example, Biscoat 6FM (manufactured by Osaka Organic Chemicals) and M-2020 (manufactured by Daikin)), fully or partially fluorinated vinyl ethers, etc. Is mentioned. Examples of the monomer for providing a crosslinkable group include glycidyl methacrylate, vinyl trimethoxysilane, γ-methacryloyloxypropyltrimethoxysilane, vinyl glycidyl ether, and other vinyl monomers having a crosslinkable functional group in the molecule in advance. , A vinyl monomer having a carboxyl group, a hydroxyl group, an amino group, a sulfonic acid group, etc. (for example, (meth) acrylic acid, methylol (meth) acrylate, hydroxyalkyl (meth) acrylate, allyl acrylate, hydroxyalkyl vinyl ether, hydroxyalkylallyl Ether and the like). JP-A-10-25388 and JP-A-10-147739 disclose that the latter can introduce a crosslinked structure by adding a compound having a group that reacts with a functional group in the polymer and at least one more reactive group after copolymerization. No. Examples of the crosslinkable group include acryloyl, methacryloyl, isocyanate, epoxy, aziridine, oxazoline, aldehyde, carbonyl, hydrazine, carboxyl, methylol, active methylene group and the like. When the fluorinated copolymer is crosslinked by heating, due to a crosslinkable group that reacts by heating, or a combination of an ethylenically unsaturated group and a thermal radical generator or an epoxy group and a thermal acid generator, a thermosetting type When cross-linking by irradiation of light (preferably ultraviolet light, electron beam, or the like) with a combination of an ethylenically unsaturated group and a photo radical generator or an epoxy group and a photo acid generator, it is an ionizing radiation-curable type. .
[0102]
Further, in addition to the above monomers, a fluorine-containing copolymer formed by using a fluorine-containing vinyl monomer and a monomer other than a monomer for providing a crosslinkable group in combination may be used as a fluorine-containing resin before crosslinking. There are no particular limitations on the monomers that can be used in combination, and for example, olefins (ethylene, propylene, isoprene, vinyl chloride, vinylidene chloride, etc.), acrylates (methyl acrylate, methyl acrylate, ethyl acrylate, acrylic acid 2- Ethylhexyl), methacrylates (methyl methacrylate, ethyl methacrylate, butyl methacrylate, ethylene glycol dimethacrylate, etc.), styrene derivatives (styrene, divinylbenzene, vinyltoluene, α-methylstyrene, etc.), vinyl ethers (methyl vinyl ether) ), Vinyl esters (vinyl acetate, vinyl propionate, vinyl cinnamate, etc.), acrylamides (N-tertbutylacrylamide, N-cyclohexylacrylamide, etc.), methacrylamides, Ronitoriru derivatives and the like can be mentioned. It is also preferable to introduce a polyorganosiloxane skeleton or a perfluoropolyether skeleton into the fluorinated copolymer for imparting slipperiness and antifouling property. This includes, for example, polymerization of a polyorganosiloxane or perfluoropolyether having an acrylic group, a methacryl group, a vinyl ether group, a styryl group or the like at the terminal with the above-mentioned monomer, or a polyorganosiloxane or perfluoropolyether having a radical generating group at the terminal. It can be obtained by polymerization of the above monomers with ether, reaction of a polyorganosiloxane or perfluoropolyether having a functional group with a fluorinated copolymer, or the like.
[0103]
The proportion of each of the above monomers used to form the fluorine-containing copolymer before crosslinking is preferably such that the fluorine-containing vinyl monomer is 20 to 70 mol%, more preferably 40 to 70 mol%, The amount of the monomer is preferably 1 to 20 mol%, more preferably 5 to 20 mol%, and the other monomer used in combination is preferably 10 to 70 mol%, more preferably 10 to 50 mol%.
[0104]
The fluorinated copolymer can be obtained by polymerizing these monomers in the presence of a radical polymerization initiator by means such as solution polymerization, bulk polymerization, emulsion polymerization, and suspension polymerization.
[0105]
The fluorine-containing resin before crosslinking is commercially available and can be used. Examples of commercially available fluororesins before crosslinking include Cytop (manufactured by Asahi Glass), Teflon (R) AF (manufactured by Dupont), polyvinylidene fluoride, Lumiflon (manufactured by Asahi Glass), Opstar (manufactured by JSR), and the like. Can be
[0106]
The low refractive index layer containing a crosslinked fluorine-containing resin as a component preferably has a dynamic friction coefficient in a range of 0.03 to 0.15 and a contact angle with water in a range of 90 to 120 degrees.
[0107]
It is preferable that the low refractive index layer containing a crosslinked fluorine-containing resin as a component contains inorganic particles from the viewpoint of improving strength. As the inorganic fine particles used for the low refractive index layer, an amorphous fine particle is preferably used, and is preferably formed of a metal oxide, nitride, sulfide or halide, and among them, metal oxide is particularly preferable. As metal atoms, Na, K, Mg, Ca, Ba, Al, Zn, Fe, Cu, Ti, Sn, In, W, Y, Sb, Mn, Ga, V, Nb, Ta, Ag, Si, B , Bi, Mo, Ce, Cd, Be, Pb and Ni are preferred, and Mg, Ca, B and Si are more preferred. Inorganic fine particles containing two or more metals may be used. Particularly preferred inorganic fine particles are silicon dioxide fine particles, that is, silica fine particles. The average particle diameter of the inorganic fine particles is preferably from 0.001 to 0.2 μm, more preferably from 0.005 to 0.05 μm. It is preferable that the particle size of the fine particles is as uniform (monodispersed) as possible. If the particle size of the inorganic fine particles is too large, light is scattered, and the film becomes opaque. If the particle size is too small, the particles are easily aggregated and the synthesis and handling are difficult.
[0108]
The compounding amount of the inorganic fine particles is preferably 5 to 90% by mass, more preferably 10 to 70% by mass, and particularly preferably 10 to 50% by mass based on the total mass of the low refractive index layer. The inorganic fine particles are also preferably subjected to a surface treatment before use. As the surface treatment method, there are a physical surface treatment such as a plasma discharge treatment or a corona discharge treatment and a chemical surface treatment using a coupling agent, but the use of a coupling agent is preferable. As the coupling agent, an organoalkoxy metal compound (eg, a titanium coupling agent, a silane coupling agent, etc.) is preferably used. When the inorganic fine particles are silica, treatment with a silane coupling agent is particularly effective.
[0109]
Various sol-gel materials can also be used as the material for the low refractive index layer. As such a sol-gel material, metal alcoholates (alcoholates such as silane, titanium, aluminum and zirconium), organoalkoxy metal compounds and hydrolysates thereof can be used. In particular, alkoxysilanes, organoalkoxysilanes and hydrolysates thereof are preferred. Examples of these include tetraalkoxysilanes (tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, etc.), alkyltrialkoxysilanes (methyltrimethoxysilane, ethyltrimethoxysilane, etc.), aryltrialkoxysilanes (phenyltrimethoxysilane, etc.), dialkyl Dialkoxysilane, diaryldialkoxysilane, and the like. Also, organoalkoxysilanes having various functional groups (vinyl trialkoxysilane, methylvinyldialkoxysilane, γ-glycidyloxypropyl trialkoxysilane, γ-glycidyloxypropylmethyldialkoxysilane, β- (3,4-epoxy) Dicyclohexyl) ethyl trialkoxysilane, γ-methacryloyloxypropyl trialkoxysilane, γ-aminopropyl trialkoxysilane, γ-mercaptopropyl trialkoxysilane, γ-chloropropyl trialkoxysilane, etc.), perfluoroalkyl group-containing silane compound ( For example, it is also preferable to use (heptadecafluoro-1,1,2,2-tetradecyl) triethoxysilane, 3,3,3-trifluoropropyltrimethoxysilane, or the like. In particular, the use of a fluorine-containing silane compound is preferable in terms of lowering the refractive index of the layer and imparting water / oil repellency.
[0110]
It is also preferable to use inorganic or organic fine particles as the low refractive index layer, and to use a layer formed as microvoids between fine particles or within fine particles. The average particle size of the fine particles is preferably 0.5 to 200 nm, more preferably 1 to 100 nm, further preferably 3 to 70 nm, and most preferably 5 to 40 nm. The particle diameter of the fine particles is preferably as uniform (monodispersed) as possible.
[0111]
The inorganic fine particles are preferably amorphous. The inorganic fine particles are preferably made of metal oxide, nitride, sulfide or halide, more preferably made of metal oxide or metal halide, most preferably made of metal oxide or metal fluoride. . As metal atoms, Na, K, Mg, Ca, Ba, Al, Zn, Fe, Cu, Ti, Sn, In, W, Y, Sb, Mn, Ga, V, Nb, Ta, Ag, Si, B , Bi, Mo, Ce, Cd, Be, Pb and Ni are preferred, and Mg, Ca, B and Si are more preferred. An inorganic compound containing two kinds of metals may be used. A particularly preferred inorganic compound is silicon dioxide, ie, silica.
[0112]
The microvoids in the inorganic fine particles can be formed, for example, by crosslinking silica molecules forming the particles. Crosslinking silica molecules reduces the volume and makes the particles porous. The (porous) inorganic fine particles having microvoids can be obtained by a sol-gel method (described in JP-A-53-112732 and JP-B-57-9051) or a precipitation method (described in APPLIED OPTICS, vol. 27, p. 3356 (1988)). Can be directly synthesized as a dispersion. Further, the powder obtained by the drying / precipitation method can be mechanically pulverized to obtain a dispersion. Commercially available porous inorganic fine particles (for example, silicon dioxide sol) may be used. The inorganic fine particles having microvoids are preferably used in a state of being dispersed in an appropriate medium in order to form a low refractive index layer. As the dispersion medium, water, alcohol (eg, methanol, ethanol, isopropyl alcohol) and ketone (eg, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone) are preferable.
[0113]
Preferably, the organic fine particles are also amorphous. The organic fine particles are preferably polymer fine particles synthesized by a polymerization reaction of a monomer (for example, an emulsion polymerization method). The polymer of the organic fine particles preferably contains a fluorine atom. The proportion of fluorine atoms in the polymer is preferably from 35 to 80% by mass, more preferably from 45 to 75% by mass. It is also preferable to form microvoids in the organic fine particles by, for example, crosslinking the polymer forming the particles and reducing the volume. In order to crosslink the polymer forming the particles, it is preferable that 20 mol% or more of the monomer for synthesizing the polymer is a polyfunctional monomer. The proportion of the polyfunctional monomer is more preferably from 30 to 80 mol%, most preferably from 35 to 50 mol%. Examples of the monomer used for synthesizing the organic fine particles include fluoroolefins (for example, fluoroethylene, vinylidene fluoride, tetrafluoroethylene, hexafluoropropylene) as examples of a monomer containing a fluorine atom used for synthesizing a fluoropolymer. , Perfluoro-2,2-dimethyl-1,3-dioxole), fluorinated alkyl esters of acrylic acid or methacrylic acid and fluorinated vinyl ethers. A copolymer of a monomer containing a fluorine atom and a monomer containing no fluorine atom may be used. Examples of monomers containing no fluorine atom include olefins (eg, ethylene, propylene, isoprene, vinyl chloride, vinylidene chloride), acrylates (eg, methyl acrylate, ethyl acrylate, 2-ethylhexyl acrylate) , Methacrylates (eg, methyl methacrylate, ethyl methacrylate, butyl methacrylate), styrenes (eg, styrene, vinyltoluene, α-methylstyrene), vinyl ethers (eg, methyl vinyl ether), vinyl esters ( Examples include vinyl acetate, vinyl propionate), acrylamides (eg, N-tert-butylacrylamide, N-cyclohexylacrylamide), methacrylamides, and acrylonitriles. Examples of polyfunctional monomers include dienes (eg, butadiene, pentadiene), esters of polyhydric alcohol and acrylic acid (eg, ethylene glycol diacrylate, 1,4-cyclohexane diacrylate, dipentaerythritol hexaacrylate), Esters of polyhydric alcohol and methacrylic acid (eg, ethylene glycol dimethacrylate, 1,2,4-cyclohexanetetramethacrylate, pentaerythritol tetramethacrylate), divinyl compounds (eg, divinylcyclohexane, 1,4-divinylbenzene), divinyl Sulfones, bisacrylamides (eg, methylenebisacrylamide) and bismethacrylamides.
[0114]
Microvoids between particles can be formed by stacking at least two or more fine particles. When spherical particles having the same particle size (completely monodispersed) are closest packed, microvoids between particles having a porosity of 26% by volume are formed. When spherical particles having the same particle size are simply cubic-filled, microvoids between particles having a porosity of 48% by volume are formed. In an actual low refractive index layer, the porosity considerably fluctuates from the above theoretical value due to the distribution of the particle size of the fine particles and the presence of microvoids in the particles. Increasing the porosity lowers the refractive index of the low refractive index layer. By forming microvoids by stacking fine particles and adjusting the particle size of the fine particles, the size of the microvoids between particles can be easily set to an appropriate value (does not scatter light and does not cause a problem in the strength of the low refractive index layer). Can be adjusted. Further, by making the particle diameter of the fine particles uniform, an optically uniform low refractive index layer in which the size of microvoids between particles is also uniform can be obtained. Thus, the low refractive index layer can be a microvoid-containing porous film microscopically, but can be an optically or macroscopically uniform film. It is preferable that the interparticle microvoids are closed in the low refractive index layer by the fine particles and the polymer. The closed void also has the advantage that light is less scattered on the surface of the low-refractive-index layer compared to an opening opened on the surface of the low-refractive-index layer.
[0115]
By forming microvoids, the macroscopic refractive index of the low refractive index layer becomes a value lower than the sum of the refractive indices of the components constituting the low refractive index layer. The refractive index of a layer is the sum of the refractive indices per volume of the components of the layer. The refractive index of a component of the low refractive index layer such as a fine particle or a polymer is a value larger than 1, while the refractive index of air is 1.00. Therefore, a low refractive index layer having a very low refractive index can be obtained by forming microvoids.
[0116]
The low refractive index layer preferably contains the polymer in an amount of 5 to 50% by weight. The polymer has a function of adhering the fine particles and maintaining the structure of the low refractive index layer including voids. The amount of the polymer used is adjusted so that the strength of the low refractive index layer can be maintained without filling the void. The amount of the polymer is preferably 10 to 30% by mass of the total amount of the low refractive index layer. In order to adhere the fine particles with the polymer, (1) bonding the polymer to the surface treatment agent of the fine particles, (2) forming a polymer shell around the fine particles as a core, or (3) forming a polymer shell around the fine particles. It is preferable to use a polymer as the binder. The polymer to be bound to the surface treatment agent (1) is preferably the shell polymer (2) or the binder polymer (3). It is preferable that the polymer (2) is formed around the fine particles by a polymerization reaction before preparing the coating liquid for the low refractive index layer. The polymer of (3) is preferably formed by adding a monomer to the coating solution for the low refractive index layer and performing a polymerization reaction simultaneously with or after the coating of the low refractive index layer. It is preferable to carry out a combination of two or all of the above (1) to (3), and to carry out a combination of (1) and (3) or a combination of all (1) to (3). Particularly preferred. (1) Surface treatment, (2) Shell and (3) Binder will be described sequentially.
[0117]
(1) Surface treatment
The fine particles (particularly, inorganic fine particles) are preferably subjected to a surface treatment to improve the affinity with the polymer. The surface treatment can be classified into a physical surface treatment such as a plasma discharge treatment and a corona discharge treatment, and a chemical surface treatment using a coupling agent. It is preferable to carry out only a chemical surface treatment or a combination of a physical surface treatment and a chemical surface treatment. As the coupling agent, an organoalkoxy metal compound (eg, a titanium coupling agent, a silane coupling agent) is preferably used. When the fine particles are made of silicon dioxide, surface treatment with a silane coupling agent can be particularly effectively performed. Specific examples of silane coupling agents include methyltrimethoxysilane, methyltriethoxysilane, methyltrimethoxyethoxysilane, methyltriacetoxysilane, methyltributoxysilane, ethyltrimethoxysilane, ethyltriethoxysilane, and vinyltriethoxysilane. Methoxysilane, vinyltriethoxysilane, vinyltriacetoxysilane, vinyltrimethoxyethoxysilane, phenyltrimethoxysilane, phenyltriethoxysilane, phenyltriacetoxysilane, γ-chloropropyltrimethoxysilane, γ-chloropropyltriethoxysilane, γ-chloropropyltriacetoxysilane, 3,3,3-trifluoropropyltrimethoxysilane, γ-glycidyloxypropyltrimethoxysilane, γ-glycidyloxy Propyltriethoxysilane, γ- (β-glycidyloxyethoxy) propyltrimethoxysilane, β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane, β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltriethoxysilane, γ-acryloyloxypropyltrimethoxysilane, γ-methacryloyloxypropyltrimethoxysilane, γ-aminopropyltrimethoxysilane, γ-aminopropyltriethoxysilane, γ-mercaptopropyltrimethoxysilane, γ-mercaptopropyltriethoxysilane, N-β- (aminoethyl) -γ-aminopropyltrimethoxysilane and β-cyanoethyltriethoxysilane.
[0118]
Examples of silane coupling agents having a disubstituted alkyl group with respect to silicon include dimethyldimethoxysilane, phenylmethyldimethoxysilane, dimethyldiethoxysilane, phenylmethyldiethoxysilane, and γ-glycidyloxypropylmethyldiethoxysilane. Γ-glycidyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-glycidyloxypropylphenyldiethoxysilane, γ-chloropropylmethyldiethoxysilane, dimethyldiacetoxysilane, γ-acryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-acryloyloxypropylmethyldimethoxysilane Ethoxysilane, γ-methacryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-methacryloyloxypropylmethyldiethoxysilane, γ-mercaptopropylmethyldimethyl Kishishiran, .gamma.-mercaptopropyl methyl diethoxy silane, .gamma.-aminopropyl methyl dimethoxy silane, .gamma.-aminopropyl methyl diethoxy silane, methyl vinyl dimethoxy silane, and methyl vinyl diethoxy silane.
[0119]
Among them, vinyltrimethoxysilane having a double bond in the molecule, vinyltriethoxysilane, vinyltriacetoxysilane, vinyltrimethoxyethoxysilane, γ-acryloyloxypropyltrimethoxysilane and γ-methacryloyloxypropyltrimethoxysilane Γ-acryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-acryloyloxypropylmethyldiethoxysilane, γ-methacryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-methacryloyloxypropylmethyldiethoxysilane as those having a disubstituted alkyl group to silicon Silane, methylvinyldimethoxysilane and methylvinyldiethoxysilane are preferred, and γ-acryloyloxypropyltrimethoxysilane and γ-methacryloyloxy Propyltrimethoxysilane, γ-acryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, γ-acryloyloxypropylmethyldiethoxysilane, γ-methacryloyloxypropylmethyldimethoxysilane and γ-methacryloyloxypropylmethyldiethoxysilane are particularly preferred.
[0120]
Two or more coupling agents may be used in combination. Other silane coupling agents may be used in addition to the silane coupling agents shown above. Other silane coupling agents include alkyl esters of orthosilicic acid (e.g., methyl orthosilicate, ethyl orthosilicate, n-propyl orthosilicate, i-propyl orthosilicate, n-butyl orthosilicate, sec-butyl orthosilicate, ortho-silicate, T-butyl acid) and its hydrolyzate. The surface treatment with the coupling agent can be carried out by adding the coupling agent to the dispersion of fine particles and leaving the dispersion at a temperature from room temperature to 60 ° C. for several hours to 10 days. To promote the surface treatment reaction, inorganic acids (eg, sulfuric acid, hydrochloric acid, nitric acid, chromic acid, hypochlorous acid, boric acid, orthosilicic acid, phosphoric acid, carbonic acid), organic acids (eg, acetic acid, polyacrylic acid, Benzenesulfonic acid, phenol, polyglutamic acid), or salts thereof (eg, metal salts, ammonium salts) may be added to the dispersion.
[0121]
(2) Shell
The polymer forming the shell is preferably a polymer having a saturated hydrocarbon as a main chain. A polymer containing a fluorine atom in a main chain or a side chain is preferable, and a polymer containing a fluorine atom in a side chain is more preferable. Polyacrylates or polymethacrylates are preferred, and esters of fluorine-substituted alcohols with polyacrylic or polymethacrylic acid are most preferred. The refractive index of the shell polymer decreases as the content of fluorine atoms in the polymer increases. In order to lower the refractive index of the low refractive index layer, the shell polymer preferably contains 35 to 80% by mass of fluorine atoms, and more preferably 45 to 75% by mass. The polymer containing a fluorine atom is preferably synthesized by a polymerization reaction of an ethylenically unsaturated monomer containing a fluorine atom. Examples of ethylenically unsaturated monomers containing a fluorine atom include fluoroolefins (eg, fluoroethylene, vinylidene fluoride, tetrafluoroethylene, hexafluoropropylene, perfluoro-2,2-dimethyl-1,3-dioxole), Esters of fluorinated vinyl ether and fluorine-substituted alcohol with acrylic acid or methacrylic acid.
[0122]
The polymer forming the shell may be a copolymer composed of a repeating unit containing a fluorine atom and a repeating unit containing no fluorine atom. The repeating unit containing no fluorine atom is preferably obtained by a polymerization reaction of an ethylenically unsaturated monomer containing no fluorine atom. Examples of the ethylenically unsaturated monomer containing no fluorine atom include olefins (eg, ethylene, propylene, isoprene, vinyl chloride, vinylidene chloride), acrylates (eg, methyl acrylate, ethyl acrylate, acrylic acid 2- Ethylhexyl), methacrylates (eg, methyl methacrylate, ethyl methacrylate, butyl methacrylate, ethylene glycol dimethacrylate), styrene and its derivatives (eg, styrene, divinylbenzene, vinyltoluene, α-methylstyrene), vinyl ether ( For example, methyl vinyl ether), vinyl ester (for example, vinyl acetate, vinyl propionate, vinyl cinnamate), acrylamide (for example, N-tertbutylacrylamide, N-cyclohexylacryl) Amides), methacrylamide and acrylonitrile.
[0123]
When the binder polymer of (3) described later is used in combination, a crosslinkable functional group may be introduced into the shell polymer, and the shell polymer and the binder polymer may be chemically bonded by crosslinking. The shell polymer may have crystallinity. When the glass transition temperature (Tg) of the shell polymer is higher than the temperature at the time of forming the low refractive index layer, it is easy to maintain microvoids in the low refractive index layer. However, when Tg is higher than the temperature at the time of forming the low refractive index layer, the fine particles may not be fused and the low refractive index layer may not be formed as a continuous layer (as a result, the strength may be reduced). In that case, it is desirable to use the binder polymer of (3) described later in combination and form the low refractive index layer as a continuous layer with the binder polymer. By forming a polymer shell around the fine particles, core-shell fine particles are obtained. The core made of inorganic fine particles preferably contains 5 to 90% by volume of core fine particles, and more preferably 15 to 80% by volume. Two or more types of core-shell fine particles may be used in combination. Further, inorganic fine particles having no shell and core-shell particles may be used in combination.
[0124]
(3) Binder
The binder polymer is preferably a polymer having a saturated hydrocarbon or polyether as a main chain, and more preferably a polymer having a saturated hydrocarbon as a main chain. The binder polymer is preferably crosslinked. The polymer having a saturated hydrocarbon as a main chain is preferably obtained by a polymerization reaction of an ethylenically unsaturated monomer. In order to obtain a crosslinked binder polymer, it is preferable to use a monomer having two or more ethylenically unsaturated groups. Examples of the monomer having two or more ethylenically unsaturated groups include esters of polyhydric alcohol and (meth) acrylic acid (for example, ethylene glycol di (meth) acrylate, 1,4-dichlorohexane diacrylate, pentaerythritol Tetra (meth) acrylate), pentaerythritol tri (meth) acrylate, trimethylolpropane tri (meth) acrylate, trimethylolethanetri (meth) acrylate, dipentaerythritol tetra (meth) acrylate, dipentaerythritol penta (meth) acrylate Pentaerythritol hexa (meth) acrylate, 1,2,3-cyclohexanetetramethacrylate, polyurethane polyacrylate, polyester polyacrylate, vinylbenzene and derivatives thereof For example, 1,4-divinylbenzene, 4-vinylbenzoic acid-2-acryloylethyl ester, 1,4-divinylcyclohexanone), vinylsulfone (eg, divinylsulfone), acrylamide (eg, methylenebisacrylamide) and methacrylamide. No. The polymer having a polyether as a main chain is preferably synthesized by a ring-opening polymerization reaction of a polyfunctional epoxy compound. Instead of or in addition to the monomer having two or more ethylenically unsaturated groups, a crosslinked structure may be introduced into the binder polymer by a reaction of a crosslinkable group. Examples of the crosslinkable functional group include an isocyanate group, an epoxy group, an aziridine group, an oxazoline group, an aldehyde group, a carbonyl group, a hydrazine group, a carboxyl group, a methylol group, and an active methylene group. Vinyl sulfonic acid, acid anhydride, cyanoacrylate derivative, melamine, etherified methylol, ester and urethane can also be used as monomers for introducing a crosslinked structure. A functional group that exhibits crosslinkability as a result of a decomposition reaction, such as a block isocyanate group, may be used. Further, the cross-linking group is not limited to the above-mentioned compound, but may be one which shows reactivity as a result of decomposition of the above-mentioned functional group. As the polymerization initiator used for the polymerization reaction and the crosslinking reaction of the binder polymer, a thermal polymerization initiator and a photopolymerization initiator are used, and the photopolymerization initiator is more preferable. Examples of photopolymerization initiators include acetophenones, benzoins, benzophenones, phosphine oxides, ketals, anthraquinones, thioxanthones, azo compounds, peroxides, 2,3-dialkyldione compounds, disulfide compounds , Fluoroamine compounds and aromatic sulfoniums. Examples of acetophenones include 2,2-diethoxyacetophenone, p-dimethylacetophenone, 1-hydroxydimethylphenylketone, 1-hydroxycyclohexylphenylketone, 2-methyl-4-methylthio-2-morpholinopropiophenone and -Benzyl-2-dimethylamino-1- (4-morpholinophenyl) -butanone. Examples of benzoins include benzoin methyl ether, benzoin ethyl ether and benzoin isopropyl ether. Examples of benzophenones include benzophenone, 2,4-dichlorobenzophenone, 4,4-dichlorobenzophenone and p-chlorobenzophenone. Examples of phosphine oxides include 2,4,6-trimethylbenzoyldiphenylphosphine oxide.
[0125]
The binder polymer is preferably formed by adding a monomer to the coating solution for the low-refractive-index layer, and simultaneously or after the application of the low-refractive-index layer, by a polymerization reaction (and a crosslinking reaction if necessary). Even if a small amount of polymer (for example, polyvinyl alcohol, polyoxyethylene, polymethyl methacrylate, polymethyl acrylate, diacetyl cellulose, triacetyl cellulose, nitrocellulose, polyester, alkyd resin) is added to the coating solution for the low refractive index layer Good.
[0126]
Each layer of the antireflection film or its coating solution contains, in addition to the above-mentioned components (inorganic fine particles, polymer, dispersion medium, polymerization initiator, polymerization accelerator), a polymerization inhibitor, a leveling agent, a thickener, a coloring inhibitor, An ultraviolet absorber, a silane coupling agent, an antistatic agent and an adhesion-imparting agent may be added. Each layer of the antireflection film may be formed by application by a dip coating method, an air knife coating method, a curtain coating method, a roller coating method, a wire bar coating method, a gravure coating method or an extrusion coating method (US Patent No. 2,681,294). Can be. Two or more layers may be applied simultaneously. The method of simultaneous coating is described in U.S. Pat. Nos. 2,761,791, 2,918,898, 3,508,947, 3,526,528 and Yuji Harazaki, Coating Engineering, page 253, Asakura Shoten (1973).
[0127]
Next, a method for forming a metal oxide layer by plasma CVD will be described with reference to FIGS.
[0128]
The plasma CVD (plasma discharge) treatment under atmospheric pressure or a pressure close to the atmospheric pressure as a method for forming a metal oxide layer of the present invention is preferably performed by using a plasma CVD treatment apparatus as described below.
[0129]
FIG. 3 is a diagram showing an example of a plasma CVD apparatus used for forming the metal oxide layer of the present invention.
[0130]
In FIG. 3, the apparatus has a pair of
[0131]
The
[0132]
The gap (electrode gap) between these rotating electrodes is a place where discharge is performed, and is set to an interval at which the long resin film P can be transported. The gap between the electrodes becomes the
[0133]
The electrode gap is maintained at an atmospheric pressure or a pressure close to the atmospheric pressure. The reactive gas G is supplied from the reactive
[0134]
Here, the long resin film P unwound from the original roll or the long resin film P conveyed from the previous process is transported via the
[0135]
The long resin film P once discharged from the
[0136]
The reaction gas G used for the treatment is discharged from the
[0137]
In the figure, the thin film formed on the long resin film P is omitted. The long resin film P having a thin film formed on the surface is conveyed through a
[0138]
Therefore, the long resin film P is reciprocated through the
[0139]
Although not shown, devices such as the
[0140]
Further, although not shown, a temperature control medium for controlling the temperature of the
[0141]
FIG. 4 is a diagram showing an example of a plasma discharge processing apparatus having a rotating electrode and a fixed electrode useful for forming a metal oxide layer of the present invention.
[0142]
It has a
[0143]
A
[0144]
Further, the rotating
[0145]
The long resin film P subjected to the plasma discharge treatment is conveyed to the next step or a winding roll (not shown) via the
[0146]
The long resin film P is provided with
[0147]
As described above, in the present invention, it is preferable that the long resin film on which the thin film is formed is subjected to the plasma discharge treatment while being transferred on the rotating electrode.
[0148]
The surface where the rotating electrode is in contact with the long resin film is required to have high smoothness, and the surface roughness of the rotating electrode is 10 μm or less as the maximum surface roughness (Rmax) specified in JIS-B-0601. Preferably, it is 5 μm or less, more preferably 1 μm or less.
[0149]
The surface of the electrode used in the present invention is desirably coated with a solid dielectric, and particularly desirably, a conductive base material such as a metal is coated with a solid dielectric. Examples of the solid dielectric include plastics such as polytetrafluoroethylene and polyethylene terephthalate, glass, silicon dioxide, and aluminum oxide (Al 2 O 3 ), Zirconium oxide (ZrO) 2 ), Titanium oxide (TiO) 2 ), And double oxides such as barium titanate.
[0150]
It is particularly preferable to use a ceramic-coated dielectric material which is obtained by spraying ceramics and then sealing with an inorganic material. Here, examples of the conductive base material such as a metal include metals such as silver, platinum, stainless steel, aluminum, and iron, and stainless steel is preferable from the viewpoint of processing.
[0151]
As the lining material, silicate glass, borate glass, phosphate glass, germanate glass, tellurite glass, aluminate glass, vanadate glass and the like are preferably used. However, among these, borate glass is more preferably used because it is easy to process.
[0152]
In the present invention, the electrode can be heated or cooled as necessary from the back side (inside). When the electrode is a belt, it can be cooled by gas from the back surface, but in the case of a rotating electrode using a roll, it is possible to supply a medium inside and control the temperature of the electrode surface and the temperature of the long resin film. preferable.
[0153]
As the medium, an insulative material such as distilled water or oil, particularly silicone oil, is preferably used.
[0154]
The temperature of the long resin film at the time of the discharge treatment varies depending on the treatment conditions, but is preferably room temperature to 200 ° C or lower, more preferably room temperature to 120 ° C or lower, and further preferably 50 to 110 ° C.
[0155]
It is desirable to prevent temperature unevenness from occurring particularly in the width direction of the long resin film surface during the discharge treatment, preferably within ± 5 ° C, more preferably within ± 1 ° C, and particularly preferably. Is within ± 0.1 ° C.
[0156]
In the present invention, the electrode gap is determined in consideration of the thickness of the solid dielectric, applied voltage and frequency, the purpose of utilizing plasma, and the like. The shortest distance between the solid dielectric and the electrode when the solid dielectric is installed on one of the electrodes, and the distance between the solid dielectrics when the solid dielectric is installed on both of the electrodes is uniform in each case. From the viewpoint of generating discharge plasma, the thickness is preferably 0.5 to 20 mm, particularly preferably 1 ± 0.5 mm.
[0157]
In the present invention, the flow rate of the mixed gas generated by the gas generator is controlled to the discharge portion in the electrode gap, and is introduced into the plasma discharge portion from the reaction gas supply port. The concentration and flow rate of the reaction gas are appropriately adjusted, but it is preferable to supply the processing gas to the electrode gap at a speed sufficient for the transport speed of the long resin film. In the discharge unit, it is desirable to set the flow rate and discharge conditions so that most of the supplied reaction gas reacts and is used for forming a thin film. If the reaction gas contains particles, it may cause a foreign substance failure. Therefore, it is preferable to use a reaction gas from which particles have been removed in advance by filtration or the like. Further, it is preferable to supply the reaction gas while heating it at 20 to 200 ° C., preferably 50 to 150 ° C., and more preferably 70 to 120 ° C. because the physical properties of the formed film are improved.
[0158]
In order to prevent the atmosphere from entering the discharge portion and prevent the reaction gas from leaking out of the apparatus, it is preferable that the electrodes and the long resin film being transferred are entirely surrounded and shielded from the outside. It is preferable that the long resin film is introduced into the discharge portion in the plasma discharge device while preventing entrainment of air. In the present invention, it is particularly preferable that the pressure of the discharge unit is maintained at or near atmospheric pressure.
[0159]
The term "atmospheric pressure" means a pressure of 20 to 200 kPa, and preferably 93 to 110 kPa in order to preferably obtain the effects described in the present invention. It is preferable that the discharge part has a slightly positive pressure with respect to the atmospheric pressure outside the apparatus, and it is more preferable that the atmospheric pressure outside the plasma apparatus be +0.1 kPa to 5 kPa.
[0160]
In the plasma discharge processing apparatus useful in the present invention, it is preferable to connect one of the electrodes to a power supply to apply a voltage, and to ground the other electrode to the ground to generate a discharge plasma, in order to generate a stable plasma. .
[0161]
The value of the voltage applied to the electrodes from the high-frequency power supply used in the present invention is appropriately determined. For example, the voltage is about 0.5 to 10 kV, the applied frequency is adjusted to 1 kHz to 150 MHz, and the waveform is a pulse wave. Or a sine wave. In particular, it is preferable to obtain a discharge part (discharge space) having a frequency of more than 100 kHz and not more than 50 MHz, which is preferable.
[0162]
The discharge density in the discharge part is 5 to 1000 W · min / m 2 And particularly preferably 50 to 500 W · min / m 2 It is desirable that
[0163]
It is desirable that the plasma discharge processing unit is appropriately surrounded by a processing container made of Pyrex (R) glass or the like, and a metal made of metal can be used as long as insulation from the electrodes can be obtained. For example, a polyimide resin or the like may be attached to the inner surface of an aluminum or stainless steel frame, and the metal frame may be sprayed with ceramics to obtain insulation. Further, by surrounding the side surfaces of the discharge unit, the side surface of the rotating electrode, the long resin film transport unit, and the like, the reaction gas and the exhaust gas can be appropriately supplied to and discharged from the discharge unit.
[0164]
The reaction gas used in the metal oxide layer forming method of the present invention will be described.
The reaction gas for forming the metal oxide layer preferably contains nitrogen or a rare gas. That is, the reaction gas is preferably a mixed gas of nitrogen or a rare gas and a reactive gas described below. Here, the rare gas may be an element belonging to Group 18 of the periodic table, specifically, each element such as helium, neon, argon, krypton, xenon, and radon. An element and an argon element can be preferably used. The concentration of the rare gas in the reaction gas is preferably at least 90% by volume in order to generate a stable plasma discharge, and is preferably from 90 to 99.99% by volume. The rare gas is used to generate a stable plasma discharge. In the plasma, the reactive gas is ionized or radicalized, and a thin film is formed by depositing or attaching to the surface of the base material.
[0165]
By using a reactive gas useful in the present invention to which reactive gases of various substances are added, thin films having various functions can be formed on a long resin film. For example, a low refractive index layer of an antireflection layer can be formed using a fluorine-containing organic compound or a silicon compound as a reactive gas.
[0166]
Further, by using an organometallic compound, a metal hydride, or a metal halide containing Ti, Zr, In, Sn, Zn, Ge, Si or another metal, these metal oxide layers (metal oxide nitride layers) are used. Or a metal nitride layer, etc., which may be a low-refractive-index layer, a medium-refractive-index layer, or a high-refractive-index layer of an antireflection layer, or a conductive layer or an antistatic layer. You can also. For example, by providing a tin oxide layer and an indium oxide layer, a surface resistivity of 10 -3 -10 11 Ω / cm 2 Can be formed. These are preferably doped by a known method.
[0167]
Further, the antifouling layer and the low refractive index layer can be formed of a fluorine-containing organic compound, and the gas barrier layer and the low refractive index layer can be formed of a silicon compound. The present invention is particularly preferably used for forming an antireflection layer formed by alternately stacking high and medium refractive index layers and low refractive index layers.
[0168]
The thickness of the metal oxide layer formed in the present invention is preferably in the range of 1 to 1000 nm.
[0169]
In the atmospheric pressure plasma treatment, a fluorine compound-containing layer can be formed by using a fluorine-containing organic compound as a source gas. As the fluorine-containing organic compound, a fluorocarbon gas, a fluorohydrocarbon gas, or the like is preferable. Specifically, examples of the fluorine-containing organic compound include carbon fluoride compounds such as carbon tetrafluoride, carbon hexafluoride, ethylene tetrafluoride, propylene hexafluoride, and cyclobutane octafluoride; Fluorohydrocarbon compounds such as ethane tetrafluoride, propylene tetrafluoride, propylene trifluoride, and cyclobutane octafluoride; furthermore, methane monofluoride trifluoride, dichloromethane monofluoride, cyclobutane dichloride and the like And fluorine-substituted organic compounds such as alcohols, acids and ketones.
[0170]
These may be used alone or as a mixture. Examples of the fluorinated hydrocarbon gas include methane difluoride, ethane tetrafluoride, propylene tetrafluoride, and propylene trifluoride.
[0171]
Further, it is possible to use a fluoride of a hydrocarbon compound such as trifluoromethane trifluoride, methane dichloride methane, or cyclobutane difluoride or a fluorine-substituted organic compound such as alcohol, acid or ketone. Although possible, the present invention is not limited to these.
[0172]
Further, these compounds may have an ethylenically unsaturated group in the molecule. Further, the above compounds may be used as a mixture.
[0173]
When using a fluorine-containing organic compound as a reactive gas useful in the present invention, from the viewpoint of forming a uniform thin film on a long resin film by plasma discharge treatment, the fluorine-containing organic compound as a reactive gas in the reaction gas The content is preferably from 0.01 to 10% by volume, more preferably from 0.1 to 5% by volume.
[0174]
When the fluorine-containing organic compound preferably used in the present invention is a gas at normal temperature and normal pressure, it can be used as it is as a reactive gas component.
[0175]
Further, when the fluorine-containing organic compound is a liquid or solid at normal temperature and normal pressure, it may be used by evaporating it by a vaporizing means, for example, heating, reducing pressure, or the like, or may be used by dissolving in an appropriate organic solvent. .
[0176]
Examples of the silicon compound as a reactive gas useful in the present invention include, for example, dimethylsilane, organometallic compounds such as tetramethylsilane, metal hydrogen compounds such as monosilane and disilane, silane dichloride, silane trichloride, and silicon tetrafluoride. It is preferable to use, but not limited to, metal halogen compounds such as, for example, tetramethoxysilane, tetraethoxysilane, tetrapropoxysilane, dimethyldiethoxysilane, methyltrimethoxysilane, ethyltriethoxysilane, and other alkoxysilanes, and organosilanes. Not done.
[0177]
These can be used in appropriate combination. Alternatively, the properties of the film can be changed or controlled by adding another organic compound.
[0178]
In the present invention, when using a silicon compound as the reactive gas, from the viewpoint of forming a uniform thin film on the long resin film by discharge plasma discharge treatment, the content of the silicon compound as a reactive gas in the reaction gas is: It is preferably from 0.01 to 10% by volume, and more preferably from 0.1 to 5% by volume.
[0179]
The organometallic compound as a reactive gas useful in the present invention is not particularly limited, but Al, As, Au, B, Bi, Sb, Ca, Cd, Cr, Co, Cu, Fe, Ga, Ge, Hg , In, Li, Mg, Mn, Mo, Na, Ni, Pb, Pt, Rh, Se, Si, Sn, Ti, Zr, Y, V, W, Zn, etc. Can be mentioned.
[0180]
For example, in order to form a high refractive index layer as an antireflection layer, a titanium compound is preferable, and specifically, for example, an organic amino metal compound such as tetradimethylaminotitanium, a metal hydrogen compound such as monotitanium and dititanium, Examples thereof include metal halides such as titanium chloride, titanium trichloride, and titanium tetrachloride, and metal alkoxides such as tetraethoxytitanium, tetraisopropoxytitanium, and tetrabutoxytitanium.
[0181]
In the present invention, the silicon compound and the organometallic compound are preferably a metal hydrogen compound and a metal alkoxide from the viewpoint of handling. Alkoxides are preferably used.
[0182]
In the present invention, when an organometallic compound is used as the reactive gas, from the viewpoint of forming a uniform thin film on the long resin film by plasma discharge treatment, the content of the organometallic compound as the reactive gas in the reactive gas is: , 0.01 to 10% by volume, more preferably 0.1 to 5% by volume.
[0183]
In order to introduce a metal compound such as a silicon compound or a titanium compound into the discharge part, both can be used in a gas, liquid or solid state at normal temperature and normal pressure.
[0184]
In the case of gas, it can be directly introduced into the discharge section, but in the case of liquid or solid, it can be used after being vaporized by vaporizing means such as heating, decompression, and ultrasonic irradiation.
[0185]
When a metal compound such as a silicon compound or a titanium compound is vaporized by heating and used, a metal alkoxide which is liquid at ordinary temperature, such as tetraethoxysilane or tetraisopropoxytitanium, and has a boiling point of 200 ° C. or less is used in the present invention. It is suitable for a method of forming a metal oxide thin film layer. The metal alkoxide may be used after being diluted with an organic solvent. As the organic solvent, an organic solvent such as methanol, ethanol, isopropanol, butanol, n-hexane or a mixed organic solvent thereof can be used.
[0186]
Further, by including oxygen, hydrogen, carbon dioxide, carbon monoxide, nitrogen, nitrogen dioxide, nitrogen monoxide, ammonia and the like in the reaction gas in an amount of 0.1 to 10% by volume, physical properties such as hardness and density of the thin film layer can be improved. Can be controlled.
[0187]
By the above method, an amorphous metal oxide layer of silicon oxide, zirconium oxide, tin oxide, indium oxide, titanium oxide, zinc oxide, or the like can be preferably formed. These metal oxide layers preferably have a surface roughness Ra of 0.1 to 10 nm.
[0188]
The optical film of the present invention can be preferably used, for example, as an optical film having an antireflection layer in which a low refractive index layer and a high refractive index layer are laminated, or a conductive layer or an optical film having an antistatic layer.
[0189]
In the present invention, by providing a plurality of plasma discharge devices, a multilayer thin film can be continuously provided, and a multilayer laminate can be formed without unevenness of the thin film.
[0190]
For example, when producing an optical film having an antireflection layer on a long resin film, a high refractive index layer having a refractive index of 1.6 to 2.3 and a low refractive index layer having a refractive index of 1.3 to 1.5 are used. It can be laminated efficiently on the surface of a long resin film and efficiently produced.
[0191]
As the low refractive index layer, a fluorine-containing compound layer formed by plasma discharge treatment of a gas containing a fluorine-containing organic compound, or silicon oxide formed mainly by plasma discharge treatment using an organosilicon compound such as alkoxysilane is used. A metal oxide layer having a metal oxide layer formed by plasma discharge treatment of a gas containing an organometallic compound, such as a layer having titanium oxide, zirconium oxide, tin oxide, or zinc oxide, is preferable as the high refractive index layer. Is preferred.
[0192]
The above-described method for forming the metal oxide layer and the like is an example of a preferable method, and the present invention is not limited to these, and the layer configuration is not limited to these. For example, the antifouling layer may be provided on the outermost surface by performing a plasma discharge treatment in the presence of a fluorine-containing organic compound gas at or near atmospheric pressure.
[0193]
According to the present invention, in the present invention, a multilayer thin film can be laminated, and a uniform optical film can be obtained without unevenness in the thickness of each layer.
[0194]
The optical film of the present invention is characterized in that a metal oxide layer is formed directly or via another layer on a long resin film, but it is more preferable that the metal oxide layer is formed via a cured resin layer or another layer. preferable. It is preferable to form a thermosetting resin layer or an actinic ray curable resin layer on the long resin film obtained as described above, and it is particularly preferable to provide an ultraviolet curable resin layer.
[0195]
The cured resin layer may have various functions, for example, an antiglare layer or a clear hard coat layer. The cured resin layer is preferably a layer formed by polymerizing a component containing at least one monomer having an ethylenically unsaturated bond. As the resin layer formed by polymerizing a component containing a monomer having an ethylenically unsaturated bond, a layer formed by curing an active ray-curable resin or a thermosetting resin is preferably used, and particularly preferably used. An actinic radiation curable resin layer. Here, the actinic radiation-curable resin layer refers to a layer mainly composed of a resin which cures through a crosslinking reaction or the like by irradiation with actinic rays such as ultraviolet rays or electron beams.
[0196]
Typical examples of the actinic radiation curable resin include an ultraviolet curable resin and an electron beam curable resin, but a resin which is cured by irradiation with actinic rays other than ultraviolet rays and electron beams may be used.
[0197]
Examples of the ultraviolet-curable resin include an ultraviolet-curable acrylic urethane-based resin, an ultraviolet-curable polyester acrylate-based resin, an ultraviolet-curable epoxy acrylate-based resin, an ultraviolet-curable polyol acrylate-based resin, and an ultraviolet-curable epoxy resin. Can be.
[0198]
Specific examples include, for example, trimethylolpropane triacrylate, ditrimethylolpropane tetraacrylate, pentaerythritol triacrylate, pentaerythritol tetraacrylate, dipentaerythritol hexaacrylate, and alkyl-modified dipentaerythritol pentaacrylate.
[0199]
As the UV-curable acrylic urethane resin, generally, a product obtained by reacting an isocyanate monomer or a prepolymer with a polyester polyol is further added with 2-hydroxyethyl acrylate and 2-hydroxyethyl methacrylate (hereinafter, acrylate includes methacrylate). And acrylate-based monomers having a hydroxyl group such as 2-hydroxypropyl acrylate, which are easily formed, and those described in JP-A-59-151110. Can be used.
[0200]
Examples of the UV-curable polyester acrylate resin include those easily formed by reacting a polyester polyol with 2-hydroxyethyl acrylate and 2-hydroxy acrylate monomers, as disclosed in JP-A-59-151112. Those described can be used.
[0201]
Specific examples of the ultraviolet-curable epoxy acrylate-based resin include those formed by making epoxy acrylate an oligomer, adding a reactive diluent and a photoreaction initiator thereto, and reacting the oligomer. No. 105738 can be used.
[0202]
Specific examples of these photoreaction initiators include benzoin and derivatives, acetophenone, benzophenone, hydroxybenzophenone, Michler's ketone, α-amyloxime ester, thioxanthone, and the like, and derivatives thereof. You may use together with a photosensitizer.
[0203]
The above-mentioned photoinitiator can also be used as a photosensitizer. When an epoxy acrylate photoreactive agent is used, a sensitizer such as n-butylamine, triethylamine, and tri-n-butylphosphine can be used.
[0204]
Examples of the resin monomer include, as one monomer having one unsaturated double bond, general monomers such as methyl acrylate, ethyl acrylate, butyl acrylate, benzyl acrylate, cyclohexyl acrylate, vinyl acetate, and styrene. Further, monomers having two or more unsaturated double bonds include ethylene glycol diacrylate, propylene glycol diacrylate, divinylbenzene, 1,4-cyclohexane diacrylate, 1,4-cyclohexyldimethyl adiacrylate, and the above-mentioned trimethylolpropane. Examples thereof include triacrylate and pentaerythritol tetraacrylic ester.
[0205]
Commercially available UV curable resins that can be used in the present invention include ADEKA OPTOMER KR / BY series: KR-400, KR-410, KR-550, KR-566, KR-567, BY-320B (Asahi Denka ( Koeihard A-101-KK, A-101-WS, C-302, C-401-N, C-501, M-101, M-102, T-102, D-102, NS -101, FT-102Q8, MAG-1-P20, AG-106, M-101-C (manufactured by Koei Chemical Co., Ltd.); Seika Beam PHC2210 (S), PHC X-9 (K-3), PHC2213, DP -10, DP-20, DP-30, P1000, P1100, P1200, P1300, P1400, P1500, P1600, SCR900 (manufactured by Dainichi Seika Kogyo Co., Ltd.) KRM7033, KRM7039, KRM7130, KRM7131, UVECRYL29201, UVECRYL29202 (manufactured by Daicel UCB); RC-5015, RC-5016, RC-5020, RC-5031, RC-5100, RC-5102, RC-5120. , RC-5122, RC-5152, RC-5171, RC-5180, RC-5181 (manufactured by Dainippon Ink and Chemicals, Inc.); 340 Clear (China Paint Co., Ltd.); Sunrad H-601 (Sanyo Chemical Industry Co., Ltd.); SP-1509, SP-1507 (Showa Kogaku Co., Ltd.); RCC-15C (Grace Japan ( Co., Ltd.), Aronix M-6100, M-8030, M-8060 (manufactured by Toagosei Co., Ltd.) and the like can be appropriately selected and used.
[0206]
These actinic ray-curable resin layers can be applied by a known method.
As a light source for curing the ultraviolet curable resin by a photocuring reaction, any light source that generates ultraviolet light can be used without limitation. For example, a low-pressure mercury lamp, a medium-pressure mercury lamp, a high-pressure mercury lamp, an ultra-high-pressure mercury lamp, a carbon arc lamp, a metal halide lamp, a xenon lamp, and the like can be used. Irradiation conditions differ depending on each lamp, but the irradiation light amount is 20 to 10000 mJ / cm. 2 About 50 to 2000 mJ / cm. 2 It is. In the region from the near ultraviolet region to the visible light region, it can be efficiently formed by using a sensitizer having an absorption maximum in that region.
[0207]
As the organic solvent of the UV curable resin layer composition coating liquid, for example, hydrocarbons, alcohols, ketones, esters, glycol ethers, and other organic solvents are appropriately selected or mixed and used. it can. For example, propylene glycol monoalkyl ether (1 to 4 as the number of carbon atoms in the alkyl group) or propylene glycol monoalkyl ether acetate (1 to 4 as the number of carbon atoms in the alkyl group) is 5% by mass or more, more preferably 5% by mass or more. It is preferable to use the above-mentioned organic solvent containing 80% by mass.
[0208]
As the method of applying the ultraviolet-curable resin composition coating solution, the above-described methods can be used. The coating amount is appropriately from 0.1 to 30 μm as a wet film thickness, and preferably from 0.5 to 15 μm. The ultraviolet curable resin composition is preferably irradiated with ultraviolet light during or after coating and drying, and the irradiation time is preferably 0.5 seconds to 5 minutes, and 3 seconds from the viewpoint of curing efficiency or work efficiency of the ultraviolet curable resin. ~ 2 minutes is more preferred.
[0209]
In order to prevent blocking, and to enhance abrasion resistance, etc., fine particles of an inorganic compound or an organic compound can be added to the coating solution of the cured resin layer. It is almost the same as The average particle size of these fine particle powders is preferably from 0.005 to 5 μm, particularly preferably from 0.01 to 1 μm. The ratio of the ultraviolet curable resin composition to the fine particle powder is preferably 0.1 to 20 parts by mass based on 100 parts by mass of the resin composition.
[0210]
Even if the ultraviolet curable resin layer is a clear hard coat layer having a center line average roughness (Ra) defined by JIS-B-0601 of 1 to 50 nm, it is an antiglare layer having a Ra of 0.1 to 1 μm. Is also good. Further, the refractive index of the ultraviolet curable resin layer is preferably from 1.5 to 1.7, and more preferably from 1.52 to 1.65. Further, two or more ultraviolet curable resin layers may be laminated.
[0211]
According to the present invention, in an antireflection film in which at least one metal oxide layer is provided on a long resin film having a width of 1 m or more, the occurrence of cracks in the metal oxide layer is small, and the metal oxide layer is provided. In this case, streak unevenness occurring at the end can be significantly reduced. As a result, it is possible to provide a large-sized display device exceeding 20 inches in high yield. The antireflection film of the present invention can be used as a polarizing plate in a large liquid crystal display device by a known method, or can be preferably used in various display devices such as an organic EL display, an inorganic EL display, and a plasma display.
[0212]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to examples, but embodiments of the present invention are not limited thereto.
[0213]
Each of the above compositions was put into a closed vessel in order, and the temperature in the kettle was raised to 70 ° C., followed by stirring at 70 ° C. for 3 hours to completely dissolve each composition. Thereafter, the stirring was stopped, the liquid temperature was lowered to 43 ° C., and the dope was prepared. Then, the liquid was immediately sent to a filtration step described below through a connected pipe, using a filter paper having an absolute filtration accuracy of 0.005 mm and a filtration flow rate of 300 L. / M 2 ・ Time, filtration pressure 1.0 × 10 6 Filtration was performed with Pa.
[0214]
<< Preparation of Cellulose Ester Films 1-9 >>
The dope prepared above was cast and dried using a solution casting film-forming cellulose ester film production apparatus having a tenter drying apparatus shown in FIG. 2 to produce a cellulose ester film. However, the one except for the first roll drying device 6 shown in FIG. 2 was used.
[0215]
The dope solution prepared above is cast on a metal support 1 made of a stainless steel belt through a die 2, the temperature of the stainless steel belt is controlled to 25 ° C., and a 45 ° C. Is applied obliquely at a wind speed of 10 m / sec, and from the drying step 3 on the stainless steel belt side, the first half is vertically blown with a wind of 40 ° C. at 10 m / sec to dry the film. After evaporating the solvent until the peeling, the film was peeled off by the peeling roll 5.
[0216]
Next, the film is introduced into the tenter drier 8 and the roll drier 9 and dried at 105 ° C. while maintaining the width in the tenter drier 8. Dried at 20 ° C., wound up by the
[0219]
Next, in the production of the above film sample 1, each transport tension condition and peeling were performed so that the expansion ratio A in the width direction, the expansion ratio B in the transport direction, and the ratio (A / B) became the values shown in Table 1. The amount of residual solvent at the time, the stretching conditions in a tenter, the drying temperature and the film thickness were appropriately adjusted to produce cellulose ester films 2 to 9 (film samples 2 to 9).
[0218]
(Measurement of expansion ratio A in the width direction and expansion ratio B in the transport direction)
The expansion ratio A in the width direction and the expansion ratio B in the transport direction were measured according to the following formula.
[0219]
Equation (1)
Expansion / contraction ratio A in the width direction = (film width at winding / film width on metal support−1) × 100 (%)
Equation (2)
Expansion / contraction ratio B in the transport direction = (film transport speed at winding / film transport speed on metal support-1) × 100 (%)
In the above formula (1), marking of a constant width was performed in the width direction of the film on the metal support shown in FIG. Next, the film is dried through a tenter drying device 8 and roll drying devices 6 and 9 until the residual solvent amount of the film becomes 1% by mass or less, and a sample is sampled immediately before the
[0220]
<< Evaluation of cellulose ester film >>
The retardation value Ro, the slow axis angle θ, and the dimensional stability of each cellulose ester film produced as described above were measured according to the following methods.
[0221]
(Measurement of average film thickness d, retardation value Ro, slow axis angle θ)
The retardation value Ro was measured using an automatic auxiliary refractometer KOBRA-21ADH (manufactured by Oji Scientific Instruments) in an environment of 23 ° C. and 55% RH, and a laser focus displacement meter LT- manufactured by Keyence Corporation was used. The film thickness of the film is measured by 8010, the average film thickness d is obtained, and the film thickness is measured at 10 points in the width direction of the sample according to the method described above, and the maximum retardation value Ro and the slow axis angle θ in the transport direction Was set to 0 degree, the maximum value of the slow axis angle θ in the width direction was measured. Table 1 shows the measurement results.
[0222]
[Table 1]
[0223]
The following clear hard coat layer is formed on the cellulose ester films 1 to 9, and a tin oxide layer is further formed thereon by a plasma treatment, and the layer structure includes a cellulose ester film / clear hard coat layer / tin oxide layer. Optical films 1 to 9 were prepared.
[0224]
(Clear hard coat layer)
The following clear hard coat layer coating composition was applied to the B side of the cellulose ester film (the side of the film where the web was in contact with the stainless steel belt) with an extrusion coater so that the liquid film thickness became 13 μm, and then 80 120mJ / cm after drying in the drying unit set at 2 And a clear hard coat layer having a center line average roughness (Ra) of 13 nm in a dry film thickness was provided.
[0225]
(Tin oxide layer)
A tin oxide layer (metal oxide layer) was formed on a cellulose ester film by atmospheric pressure plasma CVD. The apparatus shown in FIG. 3 was used for the atmospheric pressure plasma discharge treatment. As the roll electrode, a stainless steel jacket roll base material having a cooling function by circulating silicone oil was used.
[0226]
This was coated with alumina by ceramic spraying to a thickness of 1 mm, coated with a solution of tetramethoxysilane diluted with ethyl acetate, dried, cured by irradiation with ultraviolet light, sealed, and subjected to Rmax, a roll electrode having a 1 μm dielectric. Was manufactured and grounded.
[0227]
On the other hand, as a counter electrode, a hollow stainless steel pipe was coated with a dielectric material similar to the above under the same conditions to form an opposing electrode group. As the power source of the plasma CVD processing apparatus, a high frequency power source manufactured by Pearl Industries was used, the continuous frequency was set to 2 MHz, and 4 W / cm 2 Power was supplied. However, the roll electrode was rotated using a drive in synchronization with the conveyance of the long resin film.
[0228]
The electrode gap is 2 mm, the pressure of the reaction gas is +1 kPa with respect to the atmospheric pressure, and a 0.1 μm-thick metal oxide layer (tin oxide layer,
[0229]
<Reaction gas for forming metal oxide layer>
Inert gas (helium) 99.2% by volume
Reaction gas (oxygen gas) 0.4% by volume
Reaction gas (tetrabutyltin vapor) 0.4% by volume
With respect to the produced optical film, cracks at the end portions and stripe unevenness were evaluated according to the following methods. Table 2 shows the results of the evaluation.
[0230]
(crack)
The optical film was treated at 80 ° C. and 90% RH for 72 hours, and cracks generated in a metal oxide layer (anti-reflection layer) formed on the film surface at a
[0231]
:: Almost no cracks observed and excellent transparency
:: Cracks are observed but no cloudiness
Δ: Cracks were observed and slightly clouded
×: markedly cracked and clouded
(Streak unevenness)
The streak-like unevenness occurring at the end of the width of the optical film was visually evaluated as follows.
[0232]
:: No unevenness visually observed at a length of 100 m or more in the longitudinal direction.
:: Weak unevenness is observed every tens of meters in a portion about 10 cm from the end.
Δ: Intermittent unevenness is observed in a portion about 10 cm from the end.
×: Intermittently strong unevenness is observed in a portion about 10 cm from the end.
[0233]
[Table 2]
[0234]
As is clear from Table 2, the ratio (A) of the expansion / contraction rate A in the width direction represented by the above formula (1) defined in the present invention to the expansion / contraction rate B in the transport direction represented by the above equation (2) / B) is 2.0 to 10.0, and an optical film having a metal oxide layer formed thereon using a cellulose ester film having an expansion / contraction ratio B of -0.5% or less in the transport direction is It was confirmed that the occurrence of cracks at the ends was suppressed, and the occurrence of streak-like unevenness at the ends was small.
[0235]
Example 2
<Formation of anti-glare layer>
On one surface of the cellulose ester films 1 to 9 produced in Example 1, an antiglare layer (ultraviolet curable resin layer) was formed as described below.
[0236]
Was mixed with a solvent (ethyl acetate) using a homogenizer to prepare a homogeneous dispersion having a volatile matter concentration of 50% by mass.
[0237]
This was applied on the above film, dried at 90 ° C. for 2 minutes, and then dried at 110 mJ / cm. 2 To cure the film to form an antiglare layer having a thickness of 3 μm. This was immersed in a 2 mol / L NaOH aqueous solution at 50 ° C. for 90 seconds, alkali-treated (saponified), washed with water and dried.
[0238]
<Formation of antireflection layer>
On the antiglare layer produced above, the following layers (metal oxide layers) were sequentially formed to form an antireflection layer, and
[0239]
(Anti-reflective layer)
Titanium oxide layer (refractive index 2.10, thickness 0.02 μm)
Silicon oxide layer (refractive index: 1.45, film thickness: 0.03 μm)
Titanium oxide layer (refractive index 2.10, film thickness 0.12 μm)
Silicon oxide layer (refractive index: 1.45, thickness: 0.08 μm)
The oxide layer was formed in the same manner as in Example 1 except that the plasma discharge treatment apparatus used in Example 1 was used and the following gas was used as a reaction gas for forming a metal oxide layer.
[0240]
<Reaction gas for forming titanium oxide layer>
Helium 99.4% by volume
Oxygen 0.3% by volume
0.3 volume% of tetraisopropoxy titanium
<Reaction gas for forming silicon oxide layer>
Helium 99.3% by volume
0.4% oxygen
0.3% by volume of tetraethoxysilane
About the produced optical film, the crack of the edge part and the stripe unevenness were evaluated like Example 1. FIG. Table 3 shows the results of the evaluation.
[0241]
[Table 3]
[0242]
Example 3
<< Preparation of polarizing plate >>
Using the
[0243]
A polyvinyl alcohol film having a thickness of 120 μm was immersed in 100 kg of an aqueous solution containing 1 kg of iodine and 4 kg of boric acid, and stretched 6 times at 50 ° C. to form a polarizing film. An
[0244]
Under the above conditions, each cellulose ester film was subjected to saponification, water washing, neutralization, and water washing in this order, and then dried at 80 ° C.
[0245]
The
[0246]
Since the polarizing plates 10A to 15A according to the present invention have less unevenness and cracks up to the end, even when cut out to a size of 20 inches or more, the yield was excellent. On the other hand, in the comparative polarizing plates 16A to 18A, the stripe unevenness was conspicuous at the end and the crack was remarkable, so that this portion could not be used, and the yield was remarkably reduced.
[0247]
Example 4
A norbornene resin film was prepared by a solution casting method in the same manner as in Example 1 except that a dope having the following composition was prepared using a norbornene resin instead of the cellulose ester. In the production of the film, the transport tension conditions and the residual solvent amount at the time of peeling were set such that the stretch ratio A in the width direction, the stretch ratio B in the transport direction, and the ratio (A / B) became the values shown in Table 4. The stretching conditions in the tenter, the drying temperature and the film thickness were adjusted as appropriate.
[0248]
《Norbornene resin solution (dope)》
100 parts by mass of norbornene resin (ARTON G, manufactured by JSR Corporation)
233 parts by mass of methylene chloride
The obtained norbornene resin film was measured for retardation value Ro, slow axis angle θ, and evaluated for dimensional stability in the same manner as in Example 1. Table 4 shows the results.
[0249]
[Table 4]
[0250]
A clear hard coat layer was provided on the obtained norbornene resin film in the same manner as in Example 1, and a tin oxide layer was formed thereon to obtain optical films 19 to 25. With respect to this optical film, cracks at the end portions and stripe unevenness were evaluated in the same manner as in Example 1. Table 5 shows the results.
[0251]
[Table 5]
[0252]
In the optical film of the present invention, cracks and streak unevenness were not observed at the edges even with a film exceeding 1 m in width, whereas the yield of the comparative film was significantly reduced due to cracks and streak unevenness.
[0253]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide an optical film with less stripe unevenness and cracks, a method for manufacturing the same, a polarizing plate and a display device using the same.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing an example of an apparatus for producing a long resin film by solution casting.
FIG. 2 is a schematic view showing an example of a solution casting film forming long resin film manufacturing apparatus having a tenter drying apparatus.
FIG. 3
FIG. 2 is a view showing an example of a plasma CVD processing apparatus used for forming a metal oxide thin film layer of the present invention.
FIG. 4 is a diagram showing an example of a plasma CVD processing apparatus having a rotating electrode and a fixed electrode useful for forming a metal oxide thin film layer of the present invention.
[Explanation of symbols]
F film (also called web)
P Long resin film
G reaction gas
G 'exhaust gas
1 Metal support
2 dies
3, 4 drying process
5 Release roll
6, 9 roll dryer
7 Winding unit
8 Tenter dryer
61 Dry gas style
63 rolls
72 winder
110A, 110B, 110 rotating electrode
111A, 111B, 111C, 111D U-turn roll
120, 121 Guide roll
130 Reaction gas supply unit
140, 240 Gas exhaust port
150, 250 discharge unit
180, 280 power supply
182, 281 Voltage supply means
210 rotating electrode
211 fixed electrode
220, 221 Guide roll
222, 223 Nip roll
224, 225 partition plate
230 air supply pipe
231 Reaction gas generator
290 Plasma CVD processing container
Claims (13)
式(1)
幅手方向の伸縮率A=(巻き取り時のフィルム幅/金属支持体上のフィルム幅−1)×100(%)
式(2)
搬送方向の伸縮率B=(巻き取り時のフィルムの搬送速度/金属支持体上のフィルム搬送速度−1)×100(%)The resin solution was cast on a metal support by a solution casting film-forming method, and the peeled film was dried while gripping both ends of the width and regulating the width dimensions. In the process during which the film is dried to a mass% or less and wound up, the expansion and contraction ratio A in the width direction represented by the following formula (1) and the expansion and contraction ratio B in the transport direction represented by the following expression (2) are obtained. To produce a long resin film such that the ratio (A / B) is 2.0 to 10.0 and the expansion / contraction ratio B is -0.5% or less, and directly or on another resin film. A method for producing an optical film, comprising forming a metal oxide layer via a coating layer.
Equation (1)
Expansion / contraction ratio A in the width direction = (film width at winding / film width on metal support−1) × 100 (%)
Equation (2)
Expansion / contraction ratio B in the transport direction = (transport speed of film at winding / film transport speed on metal support-1) × 100 (%)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002189750A JP2004029660A (en) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002189750A JP2004029660A (en) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004029660A true JP2004029660A (en) | 2004-01-29 |
Family
ID=31184078
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002189750A Pending JP2004029660A (en) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004029660A (en) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005300576A (en) * | 2004-04-06 | 2005-10-27 | Konica Minolta Opto Inc | Glare-proof antireflection film, polarizing plate and display device |
JP2006138893A (en) * | 2004-11-10 | 2006-06-01 | Konica Minolta Opto Inc | Antireflection film, polarizer and display device |
JP2006187924A (en) * | 2005-01-05 | 2006-07-20 | Fuji Photo Film Co Ltd | Cellulose acylate film and its manufacturing method |
WO2007010738A1 (en) * | 2005-07-15 | 2007-01-25 | Konica Minolta Opto, Inc. | Optical film and process for producing the same |
WO2007026524A1 (en) * | 2005-08-30 | 2007-03-08 | Konica Minolta Opto, Inc. | Polarizing plate and liquid crystal display device manufactured using the same |
WO2010113547A1 (en) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | コニカミノルタオプト株式会社 | Hard coat film, polarizing plate, method for producing hard coat film, and method for producing liquid crystal panel |
WO2016163213A1 (en) * | 2015-04-10 | 2016-10-13 | コニカミノルタ株式会社 | Process for producing optical film |
WO2022176715A1 (en) * | 2021-02-17 | 2022-08-25 | 株式会社トッパンTomoegawaオプティカルフィルム | Method for producing optical film and method for producing polarizing plate |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189750A patent/JP2004029660A/en active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005300576A (en) * | 2004-04-06 | 2005-10-27 | Konica Minolta Opto Inc | Glare-proof antireflection film, polarizing plate and display device |
JP2006138893A (en) * | 2004-11-10 | 2006-06-01 | Konica Minolta Opto Inc | Antireflection film, polarizer and display device |
JP2006187924A (en) * | 2005-01-05 | 2006-07-20 | Fuji Photo Film Co Ltd | Cellulose acylate film and its manufacturing method |
WO2007010738A1 (en) * | 2005-07-15 | 2007-01-25 | Konica Minolta Opto, Inc. | Optical film and process for producing the same |
JP4905350B2 (en) * | 2005-07-15 | 2012-03-28 | コニカミノルタオプト株式会社 | Manufacturing method of optical film |
JP2012078862A (en) * | 2005-08-30 | 2012-04-19 | Konica Minolta Opto Inc | Polarizing plate and liquid crystal display device using the same |
WO2007026524A1 (en) * | 2005-08-30 | 2007-03-08 | Konica Minolta Opto, Inc. | Polarizing plate and liquid crystal display device manufactured using the same |
JPWO2007026524A1 (en) * | 2005-08-30 | 2009-03-05 | コニカミノルタオプト株式会社 | Polarizing plate and liquid crystal display device using the same |
WO2010113547A1 (en) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | コニカミノルタオプト株式会社 | Hard coat film, polarizing plate, method for producing hard coat film, and method for producing liquid crystal panel |
JP5532046B2 (en) * | 2009-03-31 | 2014-06-25 | コニカミノルタ株式会社 | Method for producing hard coat film and method for producing liquid crystal panel |
US9250359B2 (en) | 2009-03-31 | 2016-02-02 | Konica Minolta Opto, Inc. | Hard coat film, polarizing plate, method for producing hard coat film, and method for producing liquid crystal panel |
WO2016163213A1 (en) * | 2015-04-10 | 2016-10-13 | コニカミノルタ株式会社 | Process for producing optical film |
WO2022176715A1 (en) * | 2021-02-17 | 2022-08-25 | 株式会社トッパンTomoegawaオプティカルフィルム | Method for producing optical film and method for producing polarizing plate |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4479175B2 (en) | Hard coat film, method for producing the same, polarizing plate and display device | |
JP2007233129A (en) | Manufacturing method of glare-proof film, glare-proof film, glare-proof antireflection film and image display device | |
JP4400211B2 (en) | Low reflection laminate and method for producing low reflection laminate | |
JP4622472B2 (en) | Antiglare antireflection film, method for producing antiglare antireflection film, polarizing plate and display device | |
JP4000830B2 (en) | Plasma discharge treatment equipment | |
JP4885441B2 (en) | Antiglare antireflection film, polarizing plate and image display device | |
JP2006146027A (en) | Antiglare antireflection film, polarizing plate and display | |
JP2005148444A (en) | Clear hard coating member, antireflection layered body using the same, and manufacturing method thereof | |
JP4479260B2 (en) | Manufacturing method of optical film | |
JP2005070744A (en) | Optical film, method for manufacturing optical film, polarizing plate, and display apparatus | |
JP2004258469A (en) | Anti-reflection film, manufacturing method therefor, polarizer, and display device | |
JP2003201570A (en) | Apparatus and method for atmospheric plasma treatment, and long film manufactured thereby | |
JP2007098742A (en) | Manufacturing method of uneven pattern film | |
JP5017775B2 (en) | Antiglare antireflection film, method for producing antiglare antireflection film, polarizing plate and display device using the same | |
JP2005338549A (en) | Antireflection film, polarizing plate, and image display device | |
JP2005088578A (en) | Optical film, production method of optical film and antireflection film, polarizing plate and liquid crystal display device using the optical film | |
JP2004029660A (en) | Manufacturing method for optical film, optical film, and polarizing plate and display device provided with optical film | |
JP2006293201A (en) | Antireflection film, manufacturing method thereof, polarizing plate and liquid crystal display device | |
JP2009288412A (en) | Method for producing optical film, optical film, polarizing plate and liquid crystal display apparatus | |
WO2012108209A1 (en) | Method for producing optical film | |
JP2003337202A (en) | Antireflection film and method of manufacturing display device and optical film having the same | |
JP2005077795A (en) | Optical film and its manufacturing method | |
JP2004037618A (en) | Antireflection film, manufacture method for antireflection film and polarizing plate and display device | |
JP2005096095A (en) | Hard coat film and its manufacturing method | |
JP2006010923A (en) | Clear hard coat film, its manufacturing method, and antireflection film using the same |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050610 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080408 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081007 |