JP2004028684A - 形状測定装置及び形状測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端にスタイラス12を他端にミラー面13を設けたスライド部11と、エア軸受31と弾性材14を介してスライド部11をその軸芯方向に移動可能に支持するガイド部15と、ミラー面13による反射光にてスライド部の11位置を測定する位置測定手段32と、スライド部11とガイド部15との相対位置を測定する相対位置測定手段27と、スタイラス12が被測定面2aを走査する時の被測定面2aの傾斜角度や測定方向を算出する算出手段33と、前記算出手段33による結果に応じてスライド部11とガイド部15の相対位置を制御するためガイド部15を位置調整する位置調整手段28、29とを備えた。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面形状測定、非球面レンズなどの自由曲面の形状測定、面粗さや段差の形状測定などの二次元ないし三次元の形状測定を高精度にかつ低い測定圧で行うことができる形状測定装置及び形状測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表面形状測定、非球面レンズ等の自由曲面形状測定や、表面粗さ測定において、サブミクロン(ノナメートル)程度の高精度で測定できる超高精度三次元測定機については、特開平4−2992064号公報や、特開平10−170243号公報に開示されている。
【0003】
その超高精度三次元測定機の構成例を図1を参照して説明する。図1において、石定盤1上に設置されたレンズ等の被測定物2の被測定面2aに、移動体3に取付けられた原子間力プローブ5の先端を追従させて、被測定面2aの表面形状を測定するように構成されている。
【0004】
詳細には、被測定物2が搭載されている石定盤1に、支持部を介してX参照ミラー6、Y参照ミラー7、Z参照ミラー8が配置されている。また、原子間力プローブ5が設けられた移動体3は、石定盤1上にXステージ9及びYステージ10を介して配設されており、被測定物2の被測定面2aの表面形状に追従してX軸方向、Y軸方向に移動体3と原子間力プローブ5を走査できる構成となっている。
【0005】
移動体3には、レーザ測長光学系4が設けられており、既知の光干渉法によりX参照ミラー6を基準とした原子間力プローブ5のX座標、Y参照ミラー7を基準とした原子間力プローブ5のY座標、Z参照ミラー8を基準とした原子間力プローブ5のZ座標をそれぞれ測長できる構成となっている。
【0006】
次に、上記原子間力プローブ5とこの原子間力プローブ5をオートフォーカス制御する構成例として、特許第2638157号明細書及び特許第3000819号明細書に記載されているものを、図2を参照して説明する。
【0007】
原子間力プローブ5は、ガイド部15にてエア軸受31を介してZ座標方向に移動可能に支持されたスライド部11と、このスライド部11の−Z方向端部に付けられたスタイラス12と、このスライド部11のZ座標を測定する位置測定手段を備えている。この位置測定手段は、スライド部11の他端をミラー面13とし、このミラー面13にレーザ光Fzを照射し、反射光からミラー面13の位置を測定するように構成されている。
【0008】
スライド部11とスタイラス12及びミラー面13から成る可動部の重量は、Z方向の移動を弾性的に規制する弾性材、具体的には板ばね14によって支えられ、スライド部11とスタイラス12は板ばね14に吊るされた状態で被測定面2aに追従して上下する。また、スライド部11はエア軸受31によりXY方向には剛性が高く、Z方向には自由に動く構成となっており、かつスライド部11は構造が簡単で軽量にできるため、傾きの大きな被測定面2aに対して測定押圧による横ずれを小さくでき、また測定押圧も小さくできるため、被測定面2aを高精度に傷を付けずに測定できる。
【0009】
さらに、スライド部11とガイド部15の相対位置を測定する相対位置測定手段と、相対位置測定手段から得られたスライド部11とガイド部15の相対位置がほぼ一定になるように、ガイド部15をZ方向に駆動するオートフォーカシング制御手段が設けられている。このオートフォーカシング制御手段にてスライド部11のガイド部15に対するZ方向の相対位置が所定位置に規制されることで、被測定面2aに対して常に一定の測定押圧で測定が行われる。
【0010】
上記相対位置測定手段及びオートフォーカシング制御手段は、ガイド部15が連結されかつZ方向に移動可能なプローブ本体16に配設されている。その構成を説明すると、半導体レーザ17から発したレーザ光Gが、コリメートレンズ18、偏光ビームスプリッタ19、λ/4波長板20を通過した後、ダイクロックミラー21で反射し、対物レンズ22によってスライド部11のミラー面13上に集光する。
【0011】
対物レンズ22に戻ったレーザ光Gの反射光は、ダイクロックミラー21及び偏光ビームスプリッタ19で全反射し、レンズ23で集光されるとともにハーフミラー24で2つに分離され、それぞれピンホール25a、25bを通過して2つの光検出器26a、26bで受光される。
【0012】
2つの光検出器26a、26bによる検出出力は誤差信号発生部27に入力されている。誤差信号発生部27からはフォーカス誤差信号がサーボ回路28に出力され、サーボ回路28にてリニアモータ29が駆動制御され、プローブ本体16の位置が所定の測定力が得られる位置にフォーカシングされる。なお、プローブ本体16を含むZ移動部の自重分はばね30により支持されている。
【0013】
次に、原子間力プローブ5に付けられたスタイラス12が、測定時に受ける力を説明する。以下、説明を簡単にするため、被測定物2は球とし、図3に示すように、被測定面2a上の任意点の傾きΦは、その被測定面2aの任意点における法線とZ軸がなす鋭角とする。また、今はX−Z面の二次元面で働く力を考える。Y−Z面にも同様な力が働くと考えられる。なお、X>0のときΦ>0、X<0のときΦ<0とする。
【0014】
図4は、被測定物2からスタイラス12が受ける抗力を説明する図である。測定時には、スタイラス12は、−Z方向に一定の力Fで被測定面2aに対して測定押圧を負荷する。そして、スタイラス12は被測定面2aからその面に対して法線方向に抗力FcosΦを受ける。よって、被測定面2aの傾きが大きくなるほど(傾きΦが大きくなるほど)スタイラス12に働く抗力は小さくなる。
【0015】
図5(a)は、測定方向上り時の被測定物2とスタイラス12との間に働く摩擦力を説明する図であり、図5(b)は、測定方向下り時の被測定物2とスタイラス12との間に働く摩擦力を説明する図である。スタイラス12は、常に、被測定面2aからその面に対して接線方向に摩擦力μFcosΦを受ける。ここで、μはスタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数を表す。よって、被測定面2aの傾きが大きくなるほど(傾きΦが大きくなるほど)、被測定面2aとスタイラス12との間に働く摩擦力は小さくなる。また、この摩擦力は、常に測定方向に逆向きにスタイラス12に働く。
【0016】
図6(a)は、測定方向上りで被測定面2aを測定するときに、スタイラス12が受けるトータルの力を説明する図であり、図6(b)は、測定方向下りで被測定面2aを測定するときに、スタイラス12が受けるトータルの力を説明する図である。スタイラス12は、被測定面2aの法線方向+Zφの方向に、抗力FcosΦ、被測定面2aの接線方向Xφに、被測定面2aとの間に働く摩擦力μFcosΦを受ける。また、この摩擦力は常に測定方向と逆方向にスタイラス12に働く。
【0017】
図7(a)は、測定方向上り時にスタイラス12に働く力の、X軸方向の分力を考えた図であり、図7(b)は、測定方向下り時にスタイラス12に働く力の、X軸方向の分力を考えた図である。被測定面2aを上りながら測定する時、スタイラス12には被測定面2aから抗力のX軸方向分力FcosΦ・sinΦと、摩擦力のX軸方向分力μFcosΦ・cosΦがそれぞれ同じ方向に働く。被測定面2aを下りながら測定する時、スタイラス12には被測定面2aから抗力のX軸方向分力FcosΦ・sinΦと、摩擦力のX軸方向分力μFcosΦ・cosΦがそれぞれ反対の方向に働く。
【0018】
以上より、被測定面2aを上りながら測定する時、スタイラス12の先端部に働くモーメントMU は、
MU =L×(FcosΦ・sinΦ+μFcosΦ・cosΦ) (1)
被測定面2aを下りながら測定する時、スタイラス12の先端部に働くモーメントMD は、
MD =L×(FcosΦ・sinΦ−μFcosΦ・cosΦ) (2)
がそれぞれ働くことになる。ここで、モーメントは反時計回りを正とする。また、Lは、スタイラス12とスライド部11の長さの和を表し、具体的な構成例では17mm〜22mmである。
【0019】
以上より、被測定面2aを上りながら測定する時と被測定面2aを下りながら測定する時のモーメントの左は、式(1) 、(2) より
MU −MD =2×L×μFcosΦ・cosΦ (3)
となり、測定押圧Fが一定であれば、スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数μが大きいほど、式(3) より被測定面2aを上りながら測定する時のモーメントMU と、被測定面2aを下りながら測定する時のモーメントMD の差が無視できなくなる。
【0020】
図8は、スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数μが大きい時、被測定面2aの測定点A(XA 、ZA )を通過するときのスタイラス12の傾きを表す。12aは、スタイラス12に対して抗力及び摩擦力が働いていない理想的な状態を表す。12bは、被測定面2aを上りながら測定する時のスタイラスを、12cは被測定面2aを下りながら測定する時のスタイラスをそれぞれ表す。また、スタイラス12aと被測定面2aとの接点A(XA 、ZA )と、スタイラス12bと被測定面2aとの接点B(XB 、ZB )とのX軸方向の差をΔX1 、Z軸方向の差をΔZ1 とする。同様に、A(XA 、ZA )と、スタイラス12cと被測定面2aとの接点C(XC 、ZC )とのX軸方向の差をΔX2 、Z軸方向の差をΔZ2 とする。
【0021】
今、ΔZ1 とΔZ2 をそれぞれΔX1 とΔX2 により表すために、図9のモデルを考える。12a’、12b’は、それぞれスタイラス12a、スタイラス12bの中心軸を表す。また、12a’と12b’の成す角をα、12a’と12c’の成す角をβとすると、ΔX1 とΔX2 はそれぞれ以下のように表すことができる。
【0022】
ΔX1 =Lcosα (4)
ΔX2 =Lcosβ (5)
また、被測定面2aのX座標に対するZの値を表す設計式をZ=f(X)とすると、
ΔZ1 =L(1−cosα)+f(XA )−f(XA +ΔX1 ) (6)
ΔZ2 =L(1−cosβ)+f(XA )−f(XA +ΔX2 ) (7)
となる。なお、|ΔX1 |>|ΔX2 |、及びα>βである。
【0023】
よって、測定点A(XA ,ZA )の測定値ZA は、式(6) 、式(7) の誤差が含まれることになる。被測定面2aを上りながら測定する時は、式(6) より、
ZA1=ZA −ΔZ1 =−L(1−cosα)+f(XA +ΔX1 ) (8)
と表すことができる。
【0024】
同様に、被測定面2aを下りながら測定する時は、式(7) より、
ZA2=ZA −ΔZ2 =−L(1−cosβ)+f(XA +ΔX2 ) (9)
となる。
【0025】
以上より、被測定面2aを上りながら測定する時と、被測定面2aを下りながら測定する時の測定点A(XA ,ZA )の測定値の差は、式(8) 、式(9) より
となり、特に被測定物2が球の時、
と表すことができる。
【0026】
スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数μが大きい時、測定押圧が一定であれば、被測定面を上りながら測定する時のモーメントM1 と、被測定面を下りながら測定する時のモーメントM2 との差が式(3) より大きくなる。そして、モーメントの差が大きくなることにより、スタイラス12の傾き量α、βの差が大きくなり、式(4) 、(5) よりX軸方向の誤差の差(ΔX1 −ΔX2 )及びスタイラス12の傾きの差(cosα−cosβ)が大きくなり、式(11)より(ZA1−ZA2)が大きくなる。さらに、測定点の傾きΦA が大きくなると、式(11)より(ZA1−ZA2)がさらに大きくなる。
【0027】
例えば、球面上の測定において、スタイラス12とスライド部11の長さの和をL=20mmとし、測定面の傾斜角度がΦA =60°における、上りと下りのスタイラスの傾きを、それぞれα=0.3°、β=0.2°とすると、
L(cosα−cosβ)=−0.152μm
ΔX1 −ΔX2 =34.906μm
となり、ΦA =60°における
となる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
図10は、横軸に被測定面の傾斜角度、縦軸に設計式Z=f(X)と測定値との差Zd(μm)を表記し、球を測定したときの結果を示す。
【0029】
図10から明らかなように、ナノオーダーの測定においては、スタイラス12の傾きの差が、微小角度であっても、傾斜が大きい被測定面では、測定値の誤差が無視できなくなるほど大きくなる。例えば、測定方向が上り場合と下りの場合ともに、被測定面の傾斜角度が30°より大きくなると、測定値と設計値との差が大きくなる傾向が認められる。また、スタイラス12に働く摩擦力は、測定方向で働く向きが異なり、動摩擦係数μが大きい面の測定では無視できない。このように、同じ測定点を測定しても、測定方向により測定値の誤差が大きくなる傾向にあり、この同じ測定点の測定値が測定方向により異なる現象(これを「ヒステリシス」と呼ぶ。)が生じることになる。
【0030】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、ヒステリシスの影響を小さくすることができる形状測定装置及び形状測定方法を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の形状測定装置は、一端にスタイラスを他端にミラー面を設けたスライド部と、エア軸受と弾性材を介してスライド部をその軸芯方向に移動可能に支持するガイド部と、第1の光源からの光を光学素子を介してミラー面に向けて照射し、ミラー面の移動方向の位置をミラー面による反射光から測定するスライド部の位置測定手段と、第2の光源からの光を光学素子を介してミラー面に向けて照射し、スライド部とガイド部とのミラー面の移動方向の相対位置を測定する相対位置測定手段と、スタイラスが被測定面を走査する時の被測定面の傾斜角度や傾斜に対する測定方向を算出する算出手段と、前記算出手段による結果に応じてスライド部とガイド部の相対位置を制御するためガイド部を位置調整する位置調整手段とを備えたものであり、任意の測定点において測定方向の違いにより生じる測定値の差(ヒステリシス)を小さくすることができる。
【0032】
また、本発明の形状測定方法は、一端にスタイラスを他端にミラー面を設けたスライド部の軸芯方向の位置を、ミラー面に向けて照射した第1の光源からの光の反射光から測定する工程と、スライド部をエア軸受と弾性材を介して移動可能に支持するガイド部とスライド部との相対位置を、ミラー面に向けて照射した第2の光源からの光の反射光から測定する工程と、スタイラスが被測定面を走査する時の被測定面の傾斜角度や傾斜に対する測定方向を算出する工程と、前記算出結果に応じて被測定面に対するスタイラスの測定押圧を制御する工程を備えているものであり、任意の測定点において測定方向の違いにより生じる測定値の差(ヒステリシス)を小さくすることができる。
【0033】
また、前記測定押圧はスライド部とガイド部の間に介装した弾性材の変位量にて設定し、その変位量を、スライド部とガイド部の相対位置の測定に基づいて制御すると、スタイラスの測定押圧を自動制御できて好適である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の形状測定装置及び形状測定方法の一実施形態について、図11〜図19を参照して説明する。なお、形状測定装置の全体構成及び基本的な測定方法は、図1、図2を参照して説明した従来例と同一であり、その説明を援用すし、主として相違点について説明する。
【0035】
本実施形態においては、図11に示すように、第1に測定時に任意の測定点の傾斜角度と、スタイラス12が被測定面2aの斜面を上りながらの測定か、下りながらの測定かといった測定方向を算出するための算出手段33を設け、第2に算出手段33により求められた測定点の傾斜角度や測定方向と、スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数に応じて、スタイラス12が被測定面2aに負荷する測定押圧を変えるように、サーボ回路28に対して出力を指示する誤差信号を設定するように誤差信号発生部27を構成している。なお、図11において、32はミラー面13の位置を測定する位置測定手段であり、その測定結果が算出手段33に入力されている。以下、上記算出手段33における算出方法及び誤差信号発生部27からの出力信号の設定方法について、順次説明する。
【0036】
まず、被測定面2aの任意の測定点における傾斜角度と測定方向を自動的に算出する測定手段33の算出アルゴリズムを説明する。ここで、傾斜角度は測定点における法線とZ軸がなす鋭角とする。なお、本発明の測定方法においては、連続面の測定に限定される。また、常に被測定面2aの測定原点を決めてから測定を開始する。例えば、被測定物2が球であれば、球の頂点を原点として測定を開始し、また特公平7−69158号公報に開示された方法により自動的に測定原点を求める機能を備えている。
【0037】
図12において、スタイラス12は被測定面2aの形状に追随しながら走査している。スタイラス12の現在の測定位置における測定値をA1(X1,Z1)、ΔX離れた1つ前の測定値をA0(X0,Z0)、ΔX離れた次の測定値をA2(X2,Z2)とすると、ΔXが非常に小さいとき、測定点A2(X2,Z2)の傾斜角度と測定方向は次のように近似することができる。
【0038】
傾斜角度ΦA =tan−1|(Z1 −Z0 )/(X1 −X2 )| (12)
また、被測定面2aが設計式にほぼ一致する場合、被測定面2aのX座標に対するZの値を表す式をZ=f(X)とすると、
傾斜角度ΦA =tan−1|df(X)/dX| (13)
と表すことができる。
【0039】
測定方向は、Z1 −Z0 >0のときは上り、Z1 −Z0 <0のときは下りとする。
【0040】
次に、任意の測定点の、測定方向の違いにより生じるヒステリシスを小さくする測定押圧の設定方法について説明する。ヒステリシスを小さくするためには、任意の測定点を通過するときに、スタイラス12先端が受ける曲げモーメントが、その任意の点において測定方向にかかわらず一定であれば良い。すなわち、測定方向と測定面の傾きに応じて、ある一定の法則で、スタイラス12が測定面2aに負荷する測定押圧を変えながら測定することで実現できる。
【0041】
被測定面2aの傾きがΦA2の任意の点A2(X2,Z2)を、Z1 −Z0 >0の方向で測定する時と、Z1 −Z0 <0の方向で測定する時のスタイラス12の先端部に働くモーメントは以下のようになる。
【0042】
Z1 −Z0 >0の方向の測定で、測定押圧をFu とすると、スタイラス12の先端部には、
が働く。
【0043】
同様に、Z1 −Z0 <0の方向の測定で、測定押圧をFD とすると、スタイラス12の先端部には、
が働く。ここで、Lはスタイラス12とスライド部11の長さの和である。
【0044】
よって、ヒステリシスを無くすためには、
MU =L×Fu (cosΦA2・sinΦA2+μcosΦA2・cosΦA2)
=MD =L×FD (cosΦA2・sinΦA2−μcosΦA2・cosΦA2)
であれば良い。その1つの実施例としては、
Z1 −Z0 >0の方向の測定時の測定押圧FU は、
Fu =F×(cosΦA2・sinΦA2−μcosΦA2・cosΦA2) (16)
Z1 −Z0 <0の方向の測定時の測定押圧FD は、
FD =F×(cosΦA2・sinΦA2+μcosΦA2・cosΦA2) (17)
というように、測定押圧を測定点の傾きΦA2と、動摩擦係数μによって切り換えることで、ヒステリシスを小さくすることができる。
【0045】
さらに、プローブが被測定面2aに追随し、被測定面2aに傷を付けずに測定するために、Fu 、FD ともに、以下の条件を満たすことが推奨される。
【0046】
20〔mgf〕<Fu <50〔mgf〕
20〔mgf〕<FD <50〔mgf〕 (18)
なお、式(16)、式(17)のFは一定値とする。
【0047】
図13、図14に、スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数がμ=0.1、μ=0.3のとき例について、ヒシテリシスを小さくするための測定押圧Fu 及びFD の値を、測定点の傾きΦA をパラメータとして表している。なお、このときF=80〔mgf〕として算出した。
【0048】
次に、上記のようにスタイラス12の測定押圧を制御するための構成について説明する。
【0049】
図15は、ミラー面13で反射し、ピンホール25a、25bを通過し、2つの光検出器26a、26bに到達するレーザ光Gの光量を説明する図で、(a)はスライド部11が上昇した時の、(b)はスライド部11が下降した時の状態を示す。(a)での光検出器26a、26bが受光する光量をA1、B1、(b)での光検出器26a、26bが受光する光量をA2、B2とすると、(a)ではA1<B1、(b)ではA2<B2となる。
【0050】
2つの光検出器26a、26bの受光出力は、誤差信号発生部27によりフォーカス誤差信号(FE〔V〕)として検出される。このFE信号は、横軸に板ばね14の変位量ΔX(μm)、縦軸にFE信号を取り、かつスライド部11、スタイラス12、ミラー面13から成る可動部の重量により伸びた自然状態におけるFE信号の値を−1〔V〕とすると、図16に示すようなS字形状の特性を示す。ただし、本実施形態では図16の主に原点付近の範囲の信号を用いるため、図17に示すように、FE信号と板ばね14の変位量はほぼ比例関係にある。
【0051】
従って、今、板ばね14のばね定数を200〔mgf/mm〕とし、横軸にFE信号〔V〕、縦軸に被測定物2の被測定面2aに負荷される測定押圧〔mgf〕をとると、図18に示すような関係になる。
【0052】
かくして、スタイラス12の先端部に対する被測定面2aの動摩擦係数がμ=0.1の場合には、測定点の傾きΦA に応じて、図13に示したような測定押圧を負荷して、測定方向の違いによるヒステリシスを小さくするため、誤差信号発生部27から、測定点の傾きΦA に応じて、図19に示すようなFEU 信号、FED 信号を出力し、これらFEU 信号、FED 信号に基づいてサーボ回路28にてリニアモータ29を制御するように構成されている。
【0053】
このようにFE信号の目標値を受けて、スライド部11とガイド部15の相対位置を制御し、被測定面2aに対するスタイラス12の測定押圧を変えながら測定することで、被測定面2aの傾きが大きい場合にも、測定方向の違いによるヒステリシスが小さい状態で高精度の測定を行うことができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の形状測定装置及び形状測定方法によれば、従来よりはるかに高精度で、より傾きの大きな面形状を非常に広範囲に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来例の形状測定装置の一構成例を示す全体概略斜視図。
【図2】従来例の形状測定装置におけるオートフォーカス制御部の構成図。
【図3】被測定面上の任意点の傾きの説明図。
【図4】被測定物からスタイラスが受ける抗力の説明図。
【図5】(a)は測定方向が上り時に被測定物とスタイラスとの間に働く摩擦力の説明図、(b)は測定方向が下り時に被測定物とスタイラスとの間に働く摩擦力の説明図。
【図6】(a)は測定方向が上り時にスタイラスが受けるトータルの力の説明図、(b)は測定方向が下り時にスタイラスが受けるトータルの力の説明図。
【図7】(a)は測定方向が上り時にスタイラスに働くX方向の分力の説明図、(b)は測定方向が下り時にスタイラスに働くX方向の分力の説明図。
【図8】スタイラスの傾きを表す模式図。
【図9】スタイラスの傾きを表す別の模式図。
【図10】球を測定した時の測定結果を示すグラフ。
【図11】本実施形態の形状測定装置における測定押圧制御部の構成図。
【図12】測定面上の任意点の傾斜角度と測定方向の算出方法の説明図。
【図13】動摩擦係数がμ=0.1の時にヒステリシスを小さくする測定押圧の特性図。
【図14】動摩擦係数がμ=0.3の時にヒステリシスを小さくする測定押圧の特性図。
【図15】(a)はスライド部が上昇した時に光検出器に到達するレーザ光の光量の説明図、(b)はスライド部が上昇した時の光検出器に到達するレーザ光の光量の説明図。
【図16】フォーカス誤差信号と板ばねの変位量の関係を示す図。
【図17】図16の原点付近の拡大図。
【図18】測定押圧とフォーカス誤差信号の関係を示す図。
【図19】ヒステリシスを小さくするためのフォーカス誤差信号の値の説明図。
【符号の説明】
2 被測定物
2a 被測定面
4 レーザ測長光学系
5 原子間力プローブ
11 スライド部
12 スタイラス
13 ミラー面
14 板ばね(弾性材)
15 ガイド部
27 誤差信号発生部(相対位置測定手段)
28 サーボ回路(位置調整手段)
29 リニアモータ(位置調整手段)
31 エア軸受
32 位置測定手段
33 算出手段
Claims (3)
- 一端にスタイラスを他端にミラー面を設けたスライド部と、エア軸受と弾性材を介してスライド部をその軸芯方向に移動可能に支持するガイド部と、第1の光源からの光を光学素子を介してミラー面に向けて照射し、ミラー面の移動方向の位置をミラー面による反射光から測定するスライド部の位置測定手段と、第2の光源からの光を光学素子を介してミラー面に向けて照射し、スライド部とガイド部とのミラー面の移動方向の相対位置を測定する相対位置測定手段と、スタイラスが被測定面を走査する時の被測定面の傾斜角度や傾斜に対する測定方向を算出する算出手段と、前記算出手段による結果に応じてスライド部とガイド部の相対位置を制御するためガイド部を位置調整する位置調整手段とを備えたことを特徴とする形状測定装置。
- 一端にスタイラスを他端にミラー面を設けたスライド部の軸芯方向の位置を、ミラー面に向けて照射した第1の光源からの光の反射光から測定する工程と、スライド部をエア軸受と弾性材を介して移動可能に支持するガイド部とスライド部との相対位置を、ミラー面に向けて照射した第2の光源からの光の反射光から測定する工程と、スタイラスが被測定面を走査する時の被測定面の傾斜角度や傾斜に対する測定方向を算出する工程と、前記算出結果に応じて被測定面に対するスタイラスの測定押圧を制御する工程を備えていることを特徴とする形状測定方法。
- 前記測定押圧はスライド部とガイド部の間に介装した弾性材の変位量にて設定し、その変位量を、スライド部とガイド部の相対位置の測定に基づいて制御することを特徴とする請求項2記載の形状測定方法。
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