JP2004028200A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】全ブロック中に緩衝ブロックを所定割合配置することで、ベルト走行時の振動を吸収すると共にベルトが発生する騒音を低減させ、走行音の静かな高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】心体5を埋設したセンターベルト3a、3bと該センターベルトに設けた複数のブロック2とからなる高負荷伝動ベルト1において、ブロックは比較的硬度の高い硬質ブロック2aと、硬度が低く振動や騒音の吸収効果のある緩衝ブロック2bの2種類からなり、全ブロック個数中に緩衝ブロック2bの占める割合が30〜70%としている。
【選択図】 図1
【解決手段】心体5を埋設したセンターベルト3a、3bと該センターベルトに設けた複数のブロック2とからなる高負荷伝動ベルト1において、ブロックは比較的硬度の高い硬質ブロック2aと、硬度が低く振動や騒音の吸収効果のある緩衝ブロック2bの2種類からなり、全ブロック個数中に緩衝ブロック2bの占める割合が30〜70%としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを固定した高負荷伝動ベルトに係り、詳しくはこのようなベルトにおいて走行中の騒音を低減した高負荷伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものや、特開昭63−34342号公報に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0004】
このような引張伝動式の高負荷伝動ベルトの要求品質としては、上記のように無段変速の用途として使われる。無段変速ではベルトを巻きかけるプーリの有効径を変化させることによって変速するような仕組みとなっており、ベルトはプーリの径の変化に応じて大プーリ径や小プーリ径を行き来しながら用いられることになる。
【0005】
ブロックに用いられる素材としては、アルミニウムやそれらの合金などからなる芯材の少なくともプーリとの接触面やブロック同士の接触面にフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、またポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を被覆したものが用いられている。
【0006】
また、それらの樹脂素材中に炭素繊維やガラス繊維、またウィスカなどの補強材を混入して硬度を上げると共に摩擦係数を調整して、プーリからの側圧に十分耐えうるものとしている。
【0007】
以上のようなベルトはセンターベルトに多数のブロックを装着した構成からなるために従来からのゴムのみからなるベルトと比べるとコスト的には高価なものになってしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、ブロックを装着するピッチを大きくして同じ長さのセンターベルトであっても装着するブロックの個数を減らすことによって、コスト的に安価なベルトとすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなブロックを装着するピッチの大きいベルトの場合、コストの面では有利であるものの騒音の面では不利であり、従来からゴム製のベルトと比べる前記のような高度の高い素材をブロックとして用いていることから、プーリとの間で発生する騒音レベルが従来のベルトと比べると高いという問題があったにもかかわらず、更に騒音が大きくなるということで前にも増して低騒音化という課題が突きつけられることとなる。
【0010】
低騒音化を測るための手段としては、例えば特開昭60−49151号公報に記載されているように、センターベルトをブロックの側面から部分的に突出させて、なおかつプーリからの側圧がかかることによって突出した部分が圧縮変形してブロックと面一になるように構成することによって、最初にプーリにゴムなどの素材からなるセンターベルトを当接させてからブロックを接触させることができて、ブロックがプーリに接触する衝撃音を下げるといった方法が提案されている。
【0011】
また、特開平7−27180号公報ではプーリの表面硬度を所定の硬度以下とすることによってベルト走行時の騒音レベルの低減を図るとともに、長期間使用した場合でもベルトのスリップを生じないといったベルト駆動システムが提案されている。
【0012】
しかし、特開昭60−49151号公報の方法ではゴムからなるセンターベルトがプーリとの摩擦で摩耗してしまった後には騒音を低減する効果が見られなくなると共に、内部に埋設している心線がポップアウトしてしまうといった問題が考えられ、本発明ではそのような問題の解消と共に更なる騒音の低減をするための構成の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために本発明の請求項1では、エラストマー中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは硬質ブロックと緩衝ブロックとからなることを特徴とする。
【0014】
このように全ブロックを、今まで使用されてきたブロックと同等の硬質ブロックと騒音を低減する目的である緩衝ブロックとで構成することによってベルトが走行中に発生する騒音をその緩衝ブロックによって吸収することができ、騒音低減の効果を得ることができるものである。
【0015】
請求項2では硬質ブロックと緩衝ブロックとがある特定の並びを繰り返すように規則的に配置されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0016】
強度のある硬質ブロックと騒音を吸収する緩衝ブロックをある特定の並びを繰り返すように規則的に、例えば交互に配置することによって、強度の性能と騒音低減性能のバランスがとれた高負荷伝動ベルトとすることができる。
【0017】
請求項3では硬質ブロックの硬度は100°〜130°(ロックウェル硬度)、緩衝ブロックの硬度は30°〜80°(デュロメータ硬さ)である高負荷伝動ベルトとしている。
【0018】
ブロックの硬度を上記のような範囲とすることによって、より確実に騒音の低減という課題を高いレベルで解決することができるものである。
【0019】
請求項4では、全ブロック個数の30〜70%を緩衝ブロックとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0020】
全ブロック中に占める緩衝ブロックを所定割合とすることによって、ベルトの耐久性を必要以上に低下させることなく、騒音低減の効果を得ることができる
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2はその側断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bの上下面6、7に所定ピッチで形成された凹条部18、19に嵌合し、係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面8、9は、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
【0023】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面にはセンターベルト3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17にはセンターベルト3a、3bの上面6に設けた凹条部18と下面7に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21が設けられている。
【0024】
また、本発明においてブロック2は少なくとも2種類のブロック2a、2bからなっており、1つは硬度の高い硬質ブロック2aであり、もう1つは硬度の低い緩衝ブロック2bである。硬度の低い緩衝ブロック2bを配置することによって硬質ブロック2aにて発生する振動や騒音を吸収することができ、ベルト走行時の騒音を低減することができる。
【0025】
硬質ブロック2aは硬度が100°〜130°(ロックウェル硬度 Rスケール)の範囲のものであり、従来からこのタイプのベルトに用いられているものと同じブロックを使用している。硬度が100°未満になると強度が不足してベルトの寿命が短くなってしまい、130°を超えると硬度は高くなるが逆にブロックが脆くなってしまう。
【0026】
もう1つの緩衝ブロック2bの硬度は30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)〜80°(デュロメータ硬さ JIS K 6301A型)と硬質ブロック2aと比べるとやわらかい素材を用いており、ベルト走行時に発生する振動や騒音を吸収することができて騒音の低減に寄与するものである。硬度が30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)未満になると軟らかすぎて振動や騒音の吸収効果が少なく、80°(デュロメータ硬さ JIS K 6301 A型)を超えてもやはり硬すぎて同様に十分な振動や騒音の吸収効果が得られないので好ましくない。
【0027】
これらの硬質ブロック2aと緩衝ブロック2bの割合であるが、全ブロック個数の中で緩衝ブロック2bの個数が30〜70%、より好ましくは40〜60%の範囲とすることが好ましい。30%未満になると振動や騒音の吸収効果が得られず、70%を超えるとベルトの強度が不足して寿命が短くなるので好ましくない。硬質ブロック2aと緩衝ブロック2bとは両者の個数の割合に応じて規則的に並べてもよいしランダムに並べてもよい。両者がちょうど同数である場合には交互に配置することが重量などのバランスがよく性能を全体で均等にすることができるので好ましい。
【0028】
このブロック2は合成樹脂素材のみからなっているもの、もしくはアルミニウム合金などの金属などからなるインサート材は一切埋設されたもののいずれでもよい。
【0029】
このようなインサート材を埋設していないブロックを用いたベルトの場合、インサート材を埋設したブロックを用いたベルトよりも、軽量化が可能なので高回転で使用してもベルトに発生する遠心力が小さいという優位点があるが、自動二輪などの比較的軽負荷で高回転の用途に向いている。
【0030】
ただし、ここで金属などからなるインサート材というのは、それだけでほぼブロックの形状を呈する骨組的なものことを指し、例えば合成樹脂素材中に配合する形で加える短繊維やウィスカなどの補強材を添加することはインサート材を埋設することを意味するものではない。
【0031】
硬質ブロック2aの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられるが、中でも低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよく、ポリアミド樹脂なかでもナイロン46が好ましいといえる。
【0032】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐摩耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になったり射出成形が困難になったりするなどの問題があるので好ましくない。
【0033】
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例であるナイロン46と炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維がナイロン46の吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つナイロン46の有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。炭素繊維の中でも、PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維と組み合わせてアラミド繊維を配合することによってブロックの靭性が向上し、耐摩耗性や、耐衝撃性を一層向上させることができる。
【0034】
ここで、使用されるPAN系炭素繊維は、熱可塑性樹脂と相性が良く、用いる炭素繊維の長さは1〜5mmのものが好ましい。1mm未満であると、ブロックの補強が十分になされず、また、5mmを越えると、樹脂との混練が困難になること、また、混練時に折れて短くなってしまうので好ましくない。
【0035】
また、前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では、酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が延びた立体的形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体的形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。さらに、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性等の強度についての異方性も低減することができ、かつ、摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0036】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練できず、成形することが困難となる。
【0037】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3a、3bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0038】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0039】
次に緩衝ブロック2bはブロック2aと同様にアルミ合金などからなるインサート材を埋設してもしてないものでもよいが、プーリとの接触面およびブロック同士の接触面を構成する素材は前記のように硬度が30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)〜80°(デュロメータ硬さ JIS K6301 A型)となっており、素材の種類としてはクロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴム材料やポリウレタンや熱可塑性エラストマー材料などの弾性に富んだエラストマー材を用いることができる。このような材料を用いることによって振動の吸収性能を有しており、ブロックがプーリに当たったり擦れたりすることによって発生する騒音をその振動吸収性能で吸収することができるので、ベルト走行時における騒音を大幅に低減することができるものである。
【0040】
また、ブロック2の下ビームは屈曲を許容しベルトがプーリに巻きかかることができるようにしなければならず、ベルト走行方向の前後面の少なくともいずれか一方に傾斜面を設けている。傾斜面を設けることによってブロック同士が緩衝することなくベルトが屈曲することができる。逆に上ビームは厚みを持たせているのでブロック同士が緩衝しあってベルトの逆曲げができない状態になっているということである。このように逆曲げが防止されるとプーリのスパン間でのベルトの振れも発生しなくなり、センターベルトの疲労が低減されてベルトの寿命が延びることになる。また、ベルトの振れがなくなるとベルトのプーリへの侵入もスムーズになることから伝動効率も向上させることができる。
【0041】
センターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心体5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編布や金属薄板等を使用することもできる。
【0042】
図3は、別のベルトの例であり、ビーム部31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー32、33が延びており、このサイドピラー32、33の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部34、35が対向するように設けられている。そして、これらビーム部31、サイドピラー32、33及びロック部34、35によってセンターベルト3a、3bが嵌合する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、センターベルト3a、3bが、ロック部34、35間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、この凸部37が、センターベルト3a、3bに所定ピッチで設けられている凹部36に嵌合する。これによって、センターベルト3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。
【0043】
なお、本発明にかかる高負荷伝動ベルトに用いられるブロックには、本実施形態に示した形態に限定されるものではない。
【0044】
【実施例】
実施例1〜3はブロックの硬度は通常ブロックおよび緩衝ブロックのそれぞれで一定とし、通常ブロックと緩衝ブロックの個数の割合を本発明の範囲内で変えて試験を行った。
【0045】
(実施例)
全ブロック数230個のうち硬度が120°(ロックウェル硬度 Rスケール)の硬質ブロックを115個とし、硬度が40°(デュロメータ硬さ JIS K 6301 A型)の緩衝ブロックを115個使用して、硬質ブロックと緩衝ブロックを交互に配置した状態でベルトを組み立てて表1に示す走行条件でベルトを走行させた。またセンターベルトにはエラストマーとして水素化ニトリルゴムを用い、心体としてはアラミド繊維からなるロープをエラストマー中にスパイラル状に埋設した。走行開始後2時間後の騒音を測定すると共にベルトが寿命となる時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
(比較例)
実施例とベルトの周長および硬質ブロックの個数は同じで緩衝ブロックを配置せず全ブロック個数を115個とした以外はやはり実施例と同様としたベルトを組み立てて走行させた。走行開始後2時間後の騒音を測定すると共にベルトが寿命となる時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果からわかるように本発明の実施例では騒音が低くなっており、それに対して緩衝ブロックを配置していない比較例は騒音が大きい結果となっており、緩衝ブロックを用いることによって騒音に対して大きな効果があるということができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、エラストマー中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは硬質ブロックと緩衝ブロックとからなることを特徴とする。
【0051】
このように全ブロックを、今まで使用されてきたブロックと同等の硬質ブロックと騒音を低減する目的である緩衝ブロックとで構成することによってベルトが走行中に発生する騒音をその緩衝ブロックによって吸収することができ、騒音低減の効果を得ることができるものである。
【0052】
請求項2では硬質ブロックと緩衝ブロックとがある特定の並びを繰り返すように規則的に配置されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0053】
強度のある硬質ブロックと騒音を吸収する緩衝ブロックをある特定の並びを繰り返すように規則的に、例えば交互に配置することによって、強度の性能と騒音低減性能のバランスがとれた高負荷伝動ベルトとすることができる。
【0054】
請求項3では硬質ブロックの硬度は100°(ロックウェル硬度)〜130°(ロックウェル硬度)、緩衝ブロックの硬度は30°〜80°(デュロメータ硬さ)である高負荷伝動ベルトとしている。
【0055】
ブロックの硬度を上記のような範囲とすることによって、より確実に騒音の低減という課題を高いレベルで解決することができるものである。
【0056】
請求項4では、全ブロック個数の30〜70%を緩衝ブロックとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0057】
全ブロック中に占める緩衝ブロックを所定割合とすることによって、ベルトの耐久性を必要以上に低下させることなく、騒音低減の効果を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】高負荷伝動ベルトの側断面図である。
【図3】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
2a 硬質ブロック
2b 緩衝ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 エラストマー
5 心体
6 上面
7 下面
11 上ビーム部
12 下ビーム部ー
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを固定した高負荷伝動ベルトに係り、詳しくはこのようなベルトにおいて走行中の騒音を低減した高負荷伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものや、特開昭63−34342号公報に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0004】
このような引張伝動式の高負荷伝動ベルトの要求品質としては、上記のように無段変速の用途として使われる。無段変速ではベルトを巻きかけるプーリの有効径を変化させることによって変速するような仕組みとなっており、ベルトはプーリの径の変化に応じて大プーリ径や小プーリ径を行き来しながら用いられることになる。
【0005】
ブロックに用いられる素材としては、アルミニウムやそれらの合金などからなる芯材の少なくともプーリとの接触面やブロック同士の接触面にフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、またポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を被覆したものが用いられている。
【0006】
また、それらの樹脂素材中に炭素繊維やガラス繊維、またウィスカなどの補強材を混入して硬度を上げると共に摩擦係数を調整して、プーリからの側圧に十分耐えうるものとしている。
【0007】
以上のようなベルトはセンターベルトに多数のブロックを装着した構成からなるために従来からのゴムのみからなるベルトと比べるとコスト的には高価なものになってしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、ブロックを装着するピッチを大きくして同じ長さのセンターベルトであっても装着するブロックの個数を減らすことによって、コスト的に安価なベルトとすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなブロックを装着するピッチの大きいベルトの場合、コストの面では有利であるものの騒音の面では不利であり、従来からゴム製のベルトと比べる前記のような高度の高い素材をブロックとして用いていることから、プーリとの間で発生する騒音レベルが従来のベルトと比べると高いという問題があったにもかかわらず、更に騒音が大きくなるということで前にも増して低騒音化という課題が突きつけられることとなる。
【0010】
低騒音化を測るための手段としては、例えば特開昭60−49151号公報に記載されているように、センターベルトをブロックの側面から部分的に突出させて、なおかつプーリからの側圧がかかることによって突出した部分が圧縮変形してブロックと面一になるように構成することによって、最初にプーリにゴムなどの素材からなるセンターベルトを当接させてからブロックを接触させることができて、ブロックがプーリに接触する衝撃音を下げるといった方法が提案されている。
【0011】
また、特開平7−27180号公報ではプーリの表面硬度を所定の硬度以下とすることによってベルト走行時の騒音レベルの低減を図るとともに、長期間使用した場合でもベルトのスリップを生じないといったベルト駆動システムが提案されている。
【0012】
しかし、特開昭60−49151号公報の方法ではゴムからなるセンターベルトがプーリとの摩擦で摩耗してしまった後には騒音を低減する効果が見られなくなると共に、内部に埋設している心線がポップアウトしてしまうといった問題が考えられ、本発明ではそのような問題の解消と共に更なる騒音の低減をするための構成の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために本発明の請求項1では、エラストマー中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは硬質ブロックと緩衝ブロックとからなることを特徴とする。
【0014】
このように全ブロックを、今まで使用されてきたブロックと同等の硬質ブロックと騒音を低減する目的である緩衝ブロックとで構成することによってベルトが走行中に発生する騒音をその緩衝ブロックによって吸収することができ、騒音低減の効果を得ることができるものである。
【0015】
請求項2では硬質ブロックと緩衝ブロックとがある特定の並びを繰り返すように規則的に配置されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0016】
強度のある硬質ブロックと騒音を吸収する緩衝ブロックをある特定の並びを繰り返すように規則的に、例えば交互に配置することによって、強度の性能と騒音低減性能のバランスがとれた高負荷伝動ベルトとすることができる。
【0017】
請求項3では硬質ブロックの硬度は100°〜130°(ロックウェル硬度)、緩衝ブロックの硬度は30°〜80°(デュロメータ硬さ)である高負荷伝動ベルトとしている。
【0018】
ブロックの硬度を上記のような範囲とすることによって、より確実に騒音の低減という課題を高いレベルで解決することができるものである。
【0019】
請求項4では、全ブロック個数の30〜70%を緩衝ブロックとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0020】
全ブロック中に占める緩衝ブロックを所定割合とすることによって、ベルトの耐久性を必要以上に低下させることなく、騒音低減の効果を得ることができる
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2はその側断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bの上下面6、7に所定ピッチで形成された凹条部18、19に嵌合し、係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面8、9は、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
【0023】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面にはセンターベルト3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17にはセンターベルト3a、3bの上面6に設けた凹条部18と下面7に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21が設けられている。
【0024】
また、本発明においてブロック2は少なくとも2種類のブロック2a、2bからなっており、1つは硬度の高い硬質ブロック2aであり、もう1つは硬度の低い緩衝ブロック2bである。硬度の低い緩衝ブロック2bを配置することによって硬質ブロック2aにて発生する振動や騒音を吸収することができ、ベルト走行時の騒音を低減することができる。
【0025】
硬質ブロック2aは硬度が100°〜130°(ロックウェル硬度 Rスケール)の範囲のものであり、従来からこのタイプのベルトに用いられているものと同じブロックを使用している。硬度が100°未満になると強度が不足してベルトの寿命が短くなってしまい、130°を超えると硬度は高くなるが逆にブロックが脆くなってしまう。
【0026】
もう1つの緩衝ブロック2bの硬度は30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)〜80°(デュロメータ硬さ JIS K 6301A型)と硬質ブロック2aと比べるとやわらかい素材を用いており、ベルト走行時に発生する振動や騒音を吸収することができて騒音の低減に寄与するものである。硬度が30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)未満になると軟らかすぎて振動や騒音の吸収効果が少なく、80°(デュロメータ硬さ JIS K 6301 A型)を超えてもやはり硬すぎて同様に十分な振動や騒音の吸収効果が得られないので好ましくない。
【0027】
これらの硬質ブロック2aと緩衝ブロック2bの割合であるが、全ブロック個数の中で緩衝ブロック2bの個数が30〜70%、より好ましくは40〜60%の範囲とすることが好ましい。30%未満になると振動や騒音の吸収効果が得られず、70%を超えるとベルトの強度が不足して寿命が短くなるので好ましくない。硬質ブロック2aと緩衝ブロック2bとは両者の個数の割合に応じて規則的に並べてもよいしランダムに並べてもよい。両者がちょうど同数である場合には交互に配置することが重量などのバランスがよく性能を全体で均等にすることができるので好ましい。
【0028】
このブロック2は合成樹脂素材のみからなっているもの、もしくはアルミニウム合金などの金属などからなるインサート材は一切埋設されたもののいずれでもよい。
【0029】
このようなインサート材を埋設していないブロックを用いたベルトの場合、インサート材を埋設したブロックを用いたベルトよりも、軽量化が可能なので高回転で使用してもベルトに発生する遠心力が小さいという優位点があるが、自動二輪などの比較的軽負荷で高回転の用途に向いている。
【0030】
ただし、ここで金属などからなるインサート材というのは、それだけでほぼブロックの形状を呈する骨組的なものことを指し、例えば合成樹脂素材中に配合する形で加える短繊維やウィスカなどの補強材を添加することはインサート材を埋設することを意味するものではない。
【0031】
硬質ブロック2aの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられるが、中でも低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよく、ポリアミド樹脂なかでもナイロン46が好ましいといえる。
【0032】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐摩耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になったり射出成形が困難になったりするなどの問題があるので好ましくない。
【0033】
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例であるナイロン46と炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維がナイロン46の吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つナイロン46の有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。炭素繊維の中でも、PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維と組み合わせてアラミド繊維を配合することによってブロックの靭性が向上し、耐摩耗性や、耐衝撃性を一層向上させることができる。
【0034】
ここで、使用されるPAN系炭素繊維は、熱可塑性樹脂と相性が良く、用いる炭素繊維の長さは1〜5mmのものが好ましい。1mm未満であると、ブロックの補強が十分になされず、また、5mmを越えると、樹脂との混練が困難になること、また、混練時に折れて短くなってしまうので好ましくない。
【0035】
また、前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では、酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が延びた立体的形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体的形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。さらに、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性等の強度についての異方性も低減することができ、かつ、摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0036】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練できず、成形することが困難となる。
【0037】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3a、3bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0038】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0039】
次に緩衝ブロック2bはブロック2aと同様にアルミ合金などからなるインサート材を埋設してもしてないものでもよいが、プーリとの接触面およびブロック同士の接触面を構成する素材は前記のように硬度が30°(デュロメータ硬さ SRIS 0101 アスカーC型)〜80°(デュロメータ硬さ JIS K6301 A型)となっており、素材の種類としてはクロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴム材料やポリウレタンや熱可塑性エラストマー材料などの弾性に富んだエラストマー材を用いることができる。このような材料を用いることによって振動の吸収性能を有しており、ブロックがプーリに当たったり擦れたりすることによって発生する騒音をその振動吸収性能で吸収することができるので、ベルト走行時における騒音を大幅に低減することができるものである。
【0040】
また、ブロック2の下ビームは屈曲を許容しベルトがプーリに巻きかかることができるようにしなければならず、ベルト走行方向の前後面の少なくともいずれか一方に傾斜面を設けている。傾斜面を設けることによってブロック同士が緩衝することなくベルトが屈曲することができる。逆に上ビームは厚みを持たせているのでブロック同士が緩衝しあってベルトの逆曲げができない状態になっているということである。このように逆曲げが防止されるとプーリのスパン間でのベルトの振れも発生しなくなり、センターベルトの疲労が低減されてベルトの寿命が延びることになる。また、ベルトの振れがなくなるとベルトのプーリへの侵入もスムーズになることから伝動効率も向上させることができる。
【0041】
センターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心体5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編布や金属薄板等を使用することもできる。
【0042】
図3は、別のベルトの例であり、ビーム部31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー32、33が延びており、このサイドピラー32、33の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部34、35が対向するように設けられている。そして、これらビーム部31、サイドピラー32、33及びロック部34、35によってセンターベルト3a、3bが嵌合する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、センターベルト3a、3bが、ロック部34、35間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、この凸部37が、センターベルト3a、3bに所定ピッチで設けられている凹部36に嵌合する。これによって、センターベルト3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。
【0043】
なお、本発明にかかる高負荷伝動ベルトに用いられるブロックには、本実施形態に示した形態に限定されるものではない。
【0044】
【実施例】
実施例1〜3はブロックの硬度は通常ブロックおよび緩衝ブロックのそれぞれで一定とし、通常ブロックと緩衝ブロックの個数の割合を本発明の範囲内で変えて試験を行った。
【0045】
(実施例)
全ブロック数230個のうち硬度が120°(ロックウェル硬度 Rスケール)の硬質ブロックを115個とし、硬度が40°(デュロメータ硬さ JIS K 6301 A型)の緩衝ブロックを115個使用して、硬質ブロックと緩衝ブロックを交互に配置した状態でベルトを組み立てて表1に示す走行条件でベルトを走行させた。またセンターベルトにはエラストマーとして水素化ニトリルゴムを用い、心体としてはアラミド繊維からなるロープをエラストマー中にスパイラル状に埋設した。走行開始後2時間後の騒音を測定すると共にベルトが寿命となる時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
(比較例)
実施例とベルトの周長および硬質ブロックの個数は同じで緩衝ブロックを配置せず全ブロック個数を115個とした以外はやはり実施例と同様としたベルトを組み立てて走行させた。走行開始後2時間後の騒音を測定すると共にベルトが寿命となる時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果からわかるように本発明の実施例では騒音が低くなっており、それに対して緩衝ブロックを配置していない比較例は騒音が大きい結果となっており、緩衝ブロックを用いることによって騒音に対して大きな効果があるということができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、エラストマー中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは硬質ブロックと緩衝ブロックとからなることを特徴とする。
【0051】
このように全ブロックを、今まで使用されてきたブロックと同等の硬質ブロックと騒音を低減する目的である緩衝ブロックとで構成することによってベルトが走行中に発生する騒音をその緩衝ブロックによって吸収することができ、騒音低減の効果を得ることができるものである。
【0052】
請求項2では硬質ブロックと緩衝ブロックとがある特定の並びを繰り返すように規則的に配置されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0053】
強度のある硬質ブロックと騒音を吸収する緩衝ブロックをある特定の並びを繰り返すように規則的に、例えば交互に配置することによって、強度の性能と騒音低減性能のバランスがとれた高負荷伝動ベルトとすることができる。
【0054】
請求項3では硬質ブロックの硬度は100°(ロックウェル硬度)〜130°(ロックウェル硬度)、緩衝ブロックの硬度は30°〜80°(デュロメータ硬さ)である高負荷伝動ベルトとしている。
【0055】
ブロックの硬度を上記のような範囲とすることによって、より確実に騒音の低減という課題を高いレベルで解決することができるものである。
【0056】
請求項4では、全ブロック個数の30〜70%を緩衝ブロックとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0057】
全ブロック中に占める緩衝ブロックを所定割合とすることによって、ベルトの耐久性を必要以上に低下させることなく、騒音低減の効果を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】高負荷伝動ベルトの側断面図である。
【図3】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
2a 硬質ブロック
2b 緩衝ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 エラストマー
5 心体
6 上面
7 下面
11 上ビーム部
12 下ビーム部ー
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
Claims (4)
- エラストマー中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは硬質ブロックと緩衝ブロックとからなることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
- 硬質ブロックと緩衝ブロックとがある特定の並びを繰り返すように規則的に配置されている請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
- 硬質ブロックの硬度は100°〜130°(ロックウェル硬度)、緩衝ブロックの硬度は30°〜80°(デュロメータ硬さ)である請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルト。
- 全ブロック個数の30〜70%を緩衝ブロックとした請求項1〜3記載の高負荷伝動ベルト。
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2002
- 2002-06-25 JP JP2002184956A patent/JP2004028200A/ja active Pending
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