JP2004024400A - ミシン、ミシン制御装置および位置関係変更プログラム - Google Patents
ミシン、ミシン制御装置および位置関係変更プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができ、かつ、従来より縫製を再開させるまでの手間を減らすことのできるミシンを提供すること。
【解決手段】マイコンは、後方検索キーのキー操作が行われたら(s370:YES)、第n−1ステップデータ以前のステップデータから該当するステップデータを検索する(s380)。この処理においては、s360の処理で条件指定キーの操作により指定された条件に該当するステップデータが、第n−1ステップから順番に遡りながら検索される。この処理で該当するステップデータが検出されたら(s390:YES)、縫製枠の位置を、検出された第iステップデータにおける位置まで移動させる(s400)。ここでは、縫製枠が第iステップデータまで各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動する。
【選択図】図3
【解決手段】マイコンは、後方検索キーのキー操作が行われたら(s370:YES)、第n−1ステップデータ以前のステップデータから該当するステップデータを検索する(s380)。この処理においては、s360の処理で条件指定キーの操作により指定された条件に該当するステップデータが、第n−1ステップから順番に遡りながら検索される。この処理で該当するステップデータが検出されたら(s390:YES)、縫製枠の位置を、検出された第iステップデータにおける位置まで移動させる(s400)。ここでは、縫製枠が第iステップデータまで各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動する。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製対象を縫い針により縫製するミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、縫製データに従って縫製対象(例えば、布など)を縫製するミシンとして、糸切れや糸抜けなどのトラブルが発生した際に縫製を停止させる機能を有するものがある。なお、縫製データは、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示したデータである。
【0003】
このようなミシンでは、トラブルの発生により縫製が停止された際、縫製を再開させるために、トラブルの発生したステップがトラブルの要因にならないように縫製データを修正するといった操作が行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなミシンでは、通常、トラブルが発生してから縫製を停止するまでに、数ステップ分の動作が行われてしまうため、縫製を再開させる際には、縫製データの中からトラブルが発生したと推定されるステップを探し出すと共に、このステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を戻しておくといった操作を行わなければならなかった。このとき、トラブルが発生したステップは、縫製が停止したステップから順に遡りながら各ステップの動作内容をチェックすることにより探し出される。
【0005】
具体的には、停止時の縫製データから逆にデータを1針ずつ読み出し、その読み出されたデータに従って、縫い針と縫製対象とを相対移動させ、縫い針の真下の縫製状況を利用者が目視する。その目視と共に、利用者は、縫製データの内容(移動量の大きさなど)を画面などで確認していた。
【0006】
このように、従来のミシンにおいては、各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要があったため、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すまでの操作が非常に面倒であるという問題があった。
また、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出した後、このステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるといった操作を行う必要もあったため、縫製を再開させるまでに手間がかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができ、従来より縫製を再開させるまでの手間を減らすことのできるミシンおよびミシン制御装置を提供すること、また、これらにおいて利用可能な位置関係変更プログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記問題を解決するため請求項1に記載のミシンは、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンであって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検出されたステップにおける位置関係に変更する変更手段とを備えている、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された動作内容のステップが、縫製の停止された以前のステップの中から検出手段により検索される。そのため、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手段によって検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。
【0010】
さらに、検索手段により検出されたステップにおける位置関係となるように、縫い針と縫製対象との位置関係が変更手段によって変更される。そのため、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0011】
なお、上述した変更手段は、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する手段であって、例えば、検索手段により検出されたステップまで終了した時点における位置関係(検出されたステップの動作が終了した状態に相当する位置関係)に変更するように構成すればよい。また、例えば、検索手段により検出されたステップの動作が開始される直前(縫製順での直前)における位置関係(例えば、検出されたステップの一つ前のステップまでが終了した時点における位置関係)に変更するように構成してもよい。
【0012】
また、上述の『所定の停止条件』とは、縫製が停止される条件であって、例えば、糸切れや糸抜けなどのトラブルが発生することや、縫製データにおける全ステップの動作が終了することである。
また、請求項2に記載のミシンは、前記検索手段は、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以降のステップについて、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索可能である、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された動作内容のステップが、縫製の停止された以降のステップの中から検出手段により検索される。そのため、縫製が停止された際に、トラブルの要因になると推定した動作内容を指定手段により指定することによって、縫製の停止された以降のステップの中からトラブルの要因になると推定されるステップを検索させることができる。
【0014】
さらに、トラブルの要因になると推定されるステップが検出された場合には、このステップがトラブルの要因にならないように縫製データをあらかじめ修正しておけば、トラブルが発生することを未然に防ぐことができる。
なお、検索手段がステップを検索する際の検索対象(縫製の停止された以前または以後のステップ)は、利用者が任意に選択できるように構成するとよい。具体的な構成としては、例えば、検索手段がステップを検索する際の検索対象を利用者に選択させる選択手段を備え、検索手段は、選択手段により選択された検索対象について該当するステップを検索する、といった構成とすればよい。このように構成すれば、検索手段によりステップを検索する際の検索対象を選択手段によって任意に選択することができる。
【0015】
ところで、上述した検索手段がステップを検索する手順については特に限定されないが、例えば、請求項3に記載のように、前記検索手段は、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから順に検索する、といった構成を考えることもできる。
【0016】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップから順番に該当するステップが検索されるため、縫製の停止されたステップに最も近いステップが検出される。そのため、トラブルの発生により縫製が停止された際、利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生した(トラブルの要因になる)と推定されるステップとして、縫製が停止されたステップに最も近いステップを検出することができる。
【0017】
通常、トラブルの発生により縫製が停止された場合、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでには、数ステップ分の動作が行われてしまう。そのため、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップではあるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。このことから、トラブルが発生したと推定されるステップは、縫製が停止されたステップ付近に存在していることになるため、縫製が停止されたステップから順番に該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すには好適である。
【0018】
ところで、上述した指定手段が利用者に指定させる『動作内容』としては、例えば、縫い針を往復移動させながら縫製対象を縫い針の移動方向と交差する平面に沿って移動させることによって、縫い針による縫目を縫製対象に形成する動作(いわゆるステッチ)がある。この場合、指定手段は、縫い針により縫製対象に形成される縫目の長さを利用者に指定させるように構成すればよい。このように、縫目の長さを利用者に指定させるための具体的な構成としては、請求項4に記載のような構成を考えることができる。
【0019】
請求項4に記載のミシンは、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記指定手段は、縫い針により縫製対象に形成される縫目の長さ範囲を利用者に指定させることを、該長さ範囲内の縫目が形成されるような動作内容として指定させて、前記検索手段は、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された前記長さ範囲内の縫目を形成する動作内容となっているステップを検索する、ことを特徴とする。
【0020】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された長さの範囲で縫目を形成する動作内容のステップが、検索手段により検索される。そのため、利用者は、縫目を形成する動作内容について、トラブルの要因になった(なる)と推定される縫目の長さを指定手段により指定することによって、トラブルの要因になった(なる)と推定される長さ範囲で縫目が形成されるステップを検索手段により検索させることができる。
【0021】
また、指定手段により利用者に指定させる『動作内容』としては、縫い針に対して縫製対象を相対的に移動させる動作(いわゆるフィード;縫目は形成しない)もある。この場合、指定手段によって縫製対象の相対的な移動距離を利用者に指定させるように構成すればよい。
【0022】
具体的な構成としては、例えば、縫製データで示される複数のステップには、縫い針に対して縫製対象を相対移動させるステップが含まれており、指定手段は、縫製対象が相対移動する距離範囲を利用者に指定させることを、この距離範囲内を縫製対象が相対移動する動作内容として指定させて、検索手段は、縫製対象が指定手段により指定された距離範囲内を相対移動する動作内容となっているステップを検索する、といった構成を考えることができる。
【0023】
このように構成すれば、指定手段により指定された距離範囲(距離の範囲)で縫製対象が相対移動する動作内容となっているステップを、検索手段によって検索させることができる。
また、請求項5に記載のミシンは、前記変更手段は、縫い針と縫製対象との位置関係を、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから前記検索手段により検索されたステップまで、それぞれのステップにおける位置関係に順次変更する、ことを特徴とする。
【0024】
このように構成されたミシンによれば、縫い針と縫製対象との位置関係を、縫製の停止されたステップから検索手段により検索されたステップまで、それぞれのステップについて順次確認することができる。
また、請求項6に記載のミシンは、縫い針と縫製対象との位置関係が、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更されたことを報知する報知手段を備えている、ことを特徴とする。
【0025】
このように構成されたミシンによれば、縫い針と縫製対象との位置関係が、検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更されたことを報知手段による報知によって確認することができる。
なお、報知手段により報知するための具体的な構成としては、例えば、検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更された旨のメッセージをスピーカーから出力したり、メッセージを表示装置に表示することによって報知するといった構成を考えることができる。
【0026】
ところで、上述のように、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップであるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。そのため、検索手段によってトラブルが発生したと推定されるステップが検出されたとしても、このステップが縫製の停止されたステップから大きく離れたステップであれば、実際にトラブルの発生したステップである可能性は低い。
【0027】
また、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係に縫い針と縫製対象との位置関係が変更手段により変更されたとしても、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係まで戻された場合、縫製対象に正常な縫目が形成されていれば、実際のトラブルが発生したステップにおける位置関係でないことは見た目にも明らかである。
【0028】
このように、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップを検出し、変更手段が、このステップにおける位置関係に縫い針と縫製対象との位置関係を変更した場合、縫製を再開するためには、再度、指定手段による動作内容の指定、検索手段によるステップの検索、および、変更手段による位置関係の変更を行う必要がある。
【0029】
そこで、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすためには、例えば、変更手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係への変更を行わないように構成することが考えられる。
具体的な構成としては、請求項7に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、ように構成すればよい。
【0030】
このように構成されたミシンによれば、検索手段により検出されたステップが縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ(異なる種類の糸で縫目を形成するステップであれば)、変更手段が位置関係の変更を行わない。
【0031】
通常、同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップの数は、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでのステップ数(数ステップ)よりも充分に大きな数になっている。そのため、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0032】
このことから、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップにおける位置関係への変更は、トラブルが発生したステップにおける位置関係へ変更させるうえでは無用な変更ということになる。
【0033】
よって、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ位置関係の変更を行わないことで、変更手段による無用な位置関係の変更を行わなくてよくなるため、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすことができる。
【0034】
また、変更手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係への変更を行わないようにする別の構成として、請求項8に記載のように、前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、といった構成を考えることもできる。
【0035】
このように構成されたミシンによれば、検索手段により検出されたステップが縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でなければ、変更手段が位置関係の変更を行わない。
そのため、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、所定数のステップまでの範囲外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0036】
このことから、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップにおける位置関係への変更は、トラブルが発生したステップにおける位置関係へ変更させるうえでは無用な変更ということになる。
よって、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内のステップでなければ位置関係の変更を行わないことで、変更手段による無用な位置関係の変更を行わなくてよくなるため、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすことができる。
【0037】
また、縫製を再開するまでの操作の手間を減らすための別の構成として、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップについては検索対象から除外するように構成することも考えられる。
具体的な構成としては、請求項9に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、といった構成を考えることができる。
【0038】
このように構成されたミシンによれば、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップの範囲内でのみ、検索手段が該当するステップの検索を行う。このように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは検索対象から除外されている。
【0039】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。
このことから、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップの中から、該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0040】
よって、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップを検索対象から除外することで、検索手段による無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0041】
また、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップについては検索対象から除外する別の構成として、請求項10に記載のように、前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、といった構成を考えることもできる。
【0042】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でのみ、検索手段が該当するステップの検索を行う。このように、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップは検索対象から除外される。
【0043】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、上述したように、所定数のステップまでの範囲外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0044】
このことから、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップについて、該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを検索するうえでは無用な検索ということになる。
よって、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップを検索対象から除外することで、検索手段による無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0045】
また、縫製を再開するまでの手間を減らすための別の構成として、指定手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップの動作内容を指定させないように構成することも考えられる。
具体的な構成としては、請求項11に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記指定手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で縫目を形成する動作内容を利用者に指定させる、といった構成を考えることができる。
【0046】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることができる。
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。
【0047】
このことから、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップについて、このステップの動作内容を利用者に指定させることは、利用者に無用な操作を行わせることになる。
よって、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることで、利用者に無用な操作を行わせることがなくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われることがなく、縫製を再開するまでの手間を低減することができる。
【0048】
また、請求項12に記載のミシン制御装置は、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンを制御するミシン制御装置であって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更させる変更手段とを備えている、ことを特徴とする。
【0049】
このように構成されたミシン制御装置によれば、請求項1に記載のミシンの一部を構成することができる。そのため、請求項1と同様に、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手段によって検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。さらに、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0050】
また、このミシン制御装置においては、各手段が請求項2から請求項5、および、請求項7から請求項11に記載のミシンが備える各手段と同様に構成すれば、これらのミシンと同様の作用・効果を得ることができる。さらに、請求項6に記載のミシンが備える報知手段と同様の手段を備えていてもよく、この場合、このミシンと同様の作用・効果を得ることができる。
【0051】
また、請求項13に記載の位置関係変更プログラムは、縫製対象を縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンにおいて、縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための各種処理を、コンピュータシステムに実行させるための位置関係変更プログラムであって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定処理と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定処理において指定された動作内容となっているステップを検索する検索処理と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索処理において検索されたステップにおける位置関係に変更する変更処理とを含んでいる、ことを特徴とする。
【0052】
この位置関係変更プログラムによって縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるコンピュータシステムは、請求項1に記載のミシンの一部を構成することができる。そのため、請求項1と同様に、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手順において指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手順において検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。さらに、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0053】
また、この位置関係変更プログラムにおいては、各手順が請求項2から請求項5、および、請求項7から請求項11に記載のミシンが備える各手段と同様に機能する手順が含まれていれば、これらのミシンと同様の作用・効果を得ることができる。さらに、請求項6に記載のミシンが備える報知手段と同様に機能する手順が含まれていてもよく、この場合、このミシンと同様の作用・効果を得ることができる。
【0054】
なお、上述した位置関係変更プログラムは、例えば、FD、CD−ROMなどの記録媒体やインターネットなどの通信回線網を介して、ミシン、ミシン制御装置自身、コンピュータシステム、または、これらを利用する利用者に提供されるものである。
【0055】
また、上述した位置関係変更プログラムを実行するコンピュータシステムとしては、例えば、ミシンやミシン制御装置に内蔵されたコンピュータシステム、ミシンやミシン制御装置に無線または有線の通信路を介してデータ通信可能に接続されたコンピュータシステムなどを利用することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について例を挙げて説明する。
ミシン1は、それぞれ色の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製する多針ミシンであって、図1に示すように、縫い針駆動部10、縫製対象駆動部20、制御部30などからなる。
【0057】
縫い針駆動部10は、それぞれが縫い針100を保持する複数の針棒11、針棒11をz軸方向に往復移動させる主軸モータ12、主軸モータ12を駆動する主軸駆動回路13、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11(縫製に使用する縫い針100)を切り替える切替機構14、切替機構14を駆動する切替駆動回路15、縫い針100にセットされている糸を切断する切断機構16、切断機構16を駆動する切断駆動回路17、糸の送り量を検出する糸センサ18などを備えている。
【0058】
これらのうち、各駆動回路13、15、17は、制御部30からの制御信号を受けて各駆動対象(主軸モータ12、切替機構14、切断機構16)を駆動する。
また、糸センサ18は、縫い針100の往復移動に伴って糸供給部(図示されない)から供給される糸の送り量を検出するセンサである。
【0059】
縫製対象駆動部20は、縫製対象200を取り付ける縫製枠21、縫製枠21をx軸方向に移動させるx軸モータ22、x軸モータ22を駆動するx軸駆動回路23、縫製枠21をy軸方向に移動させるy軸モータ24、y軸モータ24を駆動するy軸駆動回路25などを備えている。
【0060】
これらのうち、各駆動回路23、25は、制御部30からの制御信号を受けて各モータ22、24を駆動する。
制御部30は、マイクロコンピュータ(以降、マイコンとする)31、記憶装置32、表示パネル33、入力パネル34、記録用ディスク300を介してデータを入出力可能なディスクドライブ35、スピーカ36、マイコン31からの制御信号を受けてスピーカ36を駆動するスピーカ駆動回路37などを備えている。
【0061】
これらのうち、マイコン31は、糸センサ18からの検出信号によって「糸切れ」や「糸抜け」といったトラブルの発生を検出する。ここで、「糸切れ」とは、二点間に縫目を形成する際、第1の針落ち点と第2の針落ち点が近接していることによって、縫い針100が糸を切断してしまうトラブルである。また、「糸抜け」とは、二点間に縫目を形成する際、縫い針100が第1の針落ち点から第2の針落ち点に至る過程において縫製対象200から糸が抜けてしまうトラブルである。このようなトラブルが発生した際、針棒11(縫い針100)が往復移動しているにも拘わらず、糸の送り量が急激に少なくなるため、マイコン31は、針棒11を所定回数(本実施の形態においては、5回)往復移動させる間に糸センサ18により検出される糸の送り量が所定の基準量(本実施の形態においては、1mm)以下となったことをトラブルが発生したこととして検出する。
【0062】
また、マイコン31は、記憶装置32に記憶されている縫製データ、または、ディスクドライブ35を介して記録用ディスク300から入力された縫製データに従い後述する縫製処理(図2)を実行することによってミシン1の動作を制御する。縫製データは、縫製対象200を縫い針100により縫製する手順を連続する複数のステップ(第1から第kステップ)で示したデータであって、各ステップに対応する複数のステップデータ(第1から第kステップデータ)で構成されている。これらステップデータは、それぞれがミシン1の動作内容を示しており、マイコン31は、各ステップデータで示される動作内容を行わせるための制御信号を、縫い針駆動部10および縫製対象駆動部20のいずれか一方または両方に出力する。こうして、この制御信号を入力した各駆動部10、20が制御信号に基づく動作を行うことによって、縫製対象200が縫い針100によって縫製される。
【0063】
以下に縫製データを構成するステップデータで示される動作内容を示す。
(1)『ステッチ』:ステッチは、縫い針100による縫目を縫製対象200に形成させる動作内容である。このステッチを示すステップデータは、縫製対象200に形成させるべき縫目の長さを特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、主軸モータ12を駆動させて針棒11(縫い針100)を往復移動させるための制御信号を主軸駆動回路13へ出力すると共に、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、ステップデータにより特定される縫目の長さ分の距離だけ移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫い針100が往復移動しながら、縫製枠21(縫製対象200)が縫目の長さ分だけ移動することにより、縫製対象200に縫い針100による縫目が形成される。
(2)『フィード』:フィードは、縫い針100に対して縫製対象200を相対移動させる動作内容である。このフィードを示すステップデータは、縫製対象200の移動量を特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、ステップデータにより特定される移動量分だけ移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が移動量分だけ移動する。
(3)『針棒切替』:針棒切替は、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11を切り替えることによって、縫製に使用する針棒11(縫い針100)を切り替える動作内容である。各針棒11に取り付けられている各縫い針100には、それぞれ異なる色の糸がセットされているため、縫製に使用する針棒11を切り替えることは、縫目を形成する際の糸の色を変えることになる。この針棒切替を示すステップデータは、切り替えるべき針棒11を特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、切替機構14を駆動させて縫製に使用する針棒11を切り替えるための制御信号を切替駆動回路15へ出力する。これによって、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11が切り替えられる。
(4)『糸切り』:糸切りは、縫い針100にセットされている糸を切断する動作内容である。この糸切りを示すステップデータに対してマイコン31は、切断機構16を駆動させて縫い針100にセットされている糸を切断するための制御信号を切断駆動回路17へ出力する。これによって、縫い針100にセットされている糸が切断される。
(5)『縫製終了』:縫製終了は、縫製データに従って行われる縫製を終了させる動作内容である。この縫製終了を示すステップデータに対してマイコン31は、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を所定の初期位置まで移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が初期位置まで移動して縫製が終了する。
【0064】
[マイコン31による縫製処理]
以下に、制御部30のマイコン31が実行する縫製処理を図2に基づいて説明する。この縫製処理は、入力パネル34によって縫製を開始するための操作が行われた際に開始される。
【0065】
まず、マイコン31は、縫製枠21を所定の初期位置へ移動させる(s110)。この処理においては、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を所定の初期位置まで移動させるための制御信号が各駆動回路23、25へ出力される。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が初期位置まで移動する。
【0066】
次に、マイコン31は、変数Nを初期化する(s120)。この処理においては、変数Nに「1」がセット(1→N)される。この変数Nは、ステップを示す値(1からk)がセットされる変数である。なお、以降に記載の「n」は変数Nにセットされている値を示すものとする。
【0067】
次に、マイコン31は、縫製データを構成する第nステップデータを読み出す(s130)。
次に、マイコン31は、s130の処理で読み出された第nステップデータで示される動作内容が『縫製終了』かどうかをチェックする(s140)。
【0068】
このs140の処理で、動作内容が『縫製終了』でなければ(s140:NO)、マイコン31は、s130の処理で読み出された第nステップデータで示される動作内容を行わせる(s150)。この処理においては、第nステップデータで示される動作内容の動作を行わせるための制御信号が、縫い針駆動部10および縫製対象駆動部20のいずれか一方または両方へ出力され、これによって、『ステッチ』、『フィード』、『針棒切替』、『糸切り』のうちのいずれかの動作が行われる。
【0069】
次に、マイコン31は、変数Nに「1」を加算する(n+1→N)する(s160)。
次に、マイコン31は、縫製を停止する要因があるかどうかをチェックする(s170)。縫製を停止する要因(停止条件)には、トラブルの発生を検出したこと、および、入力パネル34により縫製を一時中断させるための操作が行われたことであり、このs170の処理においては、糸センサ18によりトラブルの発生を検出したかどうか、または、縫製を一時停止させるための操作が行われたかどうかをチェックすることによって、縫製を停止する要因があるかどうかがチェックされる。
【0070】
このs170の処理で、縫製を停止する要因がある場合(s170:YES)、マイコン31は、縫製を停止させる(s180)。この処理においては、縫製データに従った縫製が一時停止される。
なお、上述のs170の処理で縫製を停止する要因として、トラブルの発生が検出される際、マイコン31は、糸センサ18により検出された糸の送り量が基準量以下となったことをトラブルが発生したこととして検出するため、実際にトラブルが発生して糸の送り量が基準量以下になるまでの間、数ステップ分の動作が行われることになる。よって、実際にトラブルが発生したステップは、トラブルの発生が検出された際のステップよりも前のステップであり、縫製が停止されるステップについても、実際にトラブルが発生したステップよりも後である。
【0071】
こうして、縫製が一時停止された後、利用者は、入力パネル34によって、後述するステップ検索処理(s210の処理)を開始するための操作(以降、ステップ検索操作とする)や、一時停止された縫製を再開させるための操作(以降、縫製再開操作とする)などの操作を行うことができる。
【0072】
次に、マイコン31は、入力パネル34による操作が行われるまで待機する(s190:NO)。ここでは、ステップ検索操作または縫製再開操作が行われるまで待機することになる。
このs190の処理で、ステップ検索操作が行われた場合(s190:YES、s200:YES)、マイコン31は、ステップ検索処理を行う(s210)。この処理は、s180の処理でトラブルの発生により縫製が停止された場合などに、縫製データの中からトラブルの要因になったと推定されるステップデータを検索したり、このステップデータがトラブルの要因にならないように修正するために行われる処理である。なお、このステップ検索処理の詳細な処理手順は、後述する[マイコン31のステップ検索処理](図3)において説明する。
【0073】
一方、s190の処理で、縫製再開操作が行われた場合(s190:YES、s200:NO)、または、s170の処理で縫製を停止する要因がない場合(s170:NO)、s130の処理へ戻る。なお、s180の処理において、トラブルの発生により縫製が停止されている場合、利用者は、縫製再開操作を行う前に、正常に縫製が再開できるように糸を正しくセットし直しておく必要がある。
【0074】
こうして、s130からs210の処理までが繰り返し行われた後、s140の処理で、動作内容が『縫製終了』であれば(s140:YES)、マイコン31は、縫い針100にセットされている糸を切断する(s220)。この処理においては、切断機構16を駆動させて縫い針100にセットされている糸を切断するための制御信号が切断駆動回路17へ出力され、これによって、縫い針100にセットされている糸が切断される。
【0075】
そして、マイコン31は、縫製枠21を所定の初期位置へ移動させた後(s230)、本縫製処理を終了する。このs230の処理は、s110の処理と同様の処理である。
[マイコン31のステップ検索処理]
以下に、マイコン31が実行するステップ検索処理を図3に基づいて説明する。このステップ検索処理は、図2におけるs210の処理の詳細な処理手順である。
【0076】
まず、マイコン31は、変数Nにセットされている値「n」を変数Mにセット(n→M)する(s310)。こうして、変数Mには、本ステップ検索処理の開始時におけるステップを示す値がセットされる。なお、以降に記載の「m」(長さを示す「mm」は除く)は変数mにセットされている値を示すものとする。
【0077】
次に、マイコン31は、ステップ表示画面を表示パネル33に表示させる(s320)。この処理においては、図4(a)に示したように、第nステップデータを中心にして、第n−1から第n+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示したステップ表示画面が表示される。
【0078】
次に、マイコン31は、ステップ表示画面と共に、条件指定画面を表示パネル33に表示させる(s330)。条件指定画面は、以降の処理(s380、s440の処理)で縫製データを構成する各ステップデータの中から検索すべきステップデータの条件を利用者に指定させるための画面であって、図4(b)に示したように、動作内容を条件として指定させるための動作内容表示領域aと、縫製対象200の移動量を条件として指定させるための移動量表示領域bとからなる。
【0079】
動作内容表示領域aには、動作内容を指定するためのキー(本実施の形態においては、「*」キー)が操作(押下)される毎に、動作内容が『ステッチ』、『フィード』、『糸切り』、『ステッチ』、・・・の順で強調表示される。なお、初期状態においては『ステッチ』が強調表示されている。そして、強調表示されている動作内容が、検索すべきステップデータの条件として指定されたことになる。
【0080】
また、移動量表示領域bには、縫製対象200(縫製枠21)の移動量を指定するためのキー(本実施の形態においては、「↑」キー、「↓」キー)が操作(押下)される毎に、表示されている移動量が0.1ずつ増減(「↑」で増加:「12.7」が上限、「↓」で減少:「0.0」が下限)され、また、移動量の境界条件(以上、以下、一致)を指定するためのキー(本実施の形態においては、「#」キー)が操作(押下)される毎に、境界条件が『以下』、『以上』、『一致』、『以下』、・・・の順で強調表示される。なお、初期状態においては移動量の表示が『0.3mm』となっており、境界条件は『以下』が強調表示されている。そして、表示されている移動量および強調表示されている境界条件により決まる長さの範囲が、検索すべきステップデータの条件として指定されたことになる。
【0081】
なお、上述の「動作内容を指定するためのキー」、「移動量を指定するためのキー」および「境界条件を指定するためのキー」は、以降、「条件指定キー」とする。
この条件指定画面が表示された後、利用者は、入力パネル34によって、条件指定キーの他、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から該当するステップデータを検索させるためのキー(本実施形態においては「←」キー;以降、後方検索キーとする)、第n+1ステップデータ以降のステップデータの中から該当するステップデータを検索させるためのキー(本実施形態においては「→」キー;以降、前方検索キーとする)、縫製データを編集するためのキー(以降、編集キーとする)、縫製枠21の位置を本ステップ検索処理開始時の位置に戻すためのキー(本実施形態においては「cancel」キー;以降、位置復帰キーとする)、本ステップ検索処理を終了させるためのキー(以降、終了キーとする)などのキー操作が可能である。
【0082】
次に、マイコン31は、入力パネル34によるキー操作が行われるまで待機する(s340:NO)。ここでは、条件指定キー、後方検索キー、前方検索キー、編集キー、位置復帰キー、終了キーのうちのいずれかのキー操作が行われるまで待機する。
【0083】
このs340の処理でキー操作が行われた際(s340:YES)、このキー操作が「条件指定キー」の操作であれば(s350:YES)、マイコン31は、表示パネル33に表示された条件指定画面のうち、操作された条件指定キーに対応する表示内容を変更する(s360)。この処理においては、操作された条件指定キーが、「動作内容を指定するためのキー」であれば、動作内容表示領域aのうち強調表示される動作内容が変更される。また、「移動量を指定するためのキー」であれば、移動量表示領域bのうち、表示されている移動量が増減される。そして、「境界条件を指定するためのキー」であれば、移動量表示領域bのうち強調表示される境界条件が変更される。こうして、このs360の処理において、条件指定キーが操作されることによって、検索すべきステップデータの条件が指定されたことになる。
【0084】
また、s340の処理で行われたキー操作が後方検索キーであれば(s350:NO、s370:YES)、マイコン31は、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から該当するステップデータを検索する(s380)。この処理においては、動作内容表示領域aに強調表示されている動作内容、移動量表示領域bに表示されている移動量および強調表示されている境界条件で示される条件に該当するステップデータが、第n−1ステップから順番に遡りながら検索される。
【0085】
例えば、強調表示されている動作内容が『ステッチ』、表示されている移動量が『0.3mm』、強調表示されている境界条件が『以下』であれば、0.3mm以下の縫目を形成する動作内容(ステッチ)のステップデータが検索される。また、強調表示されている動作内容が『フィード』、表示されている移動量が『5.0mm』、強調表示されている境界条件が『以下』であれば、縫製対象200が5.0mm以下の移動を行う動作内容(フィード)のステップデータが検索される。また、強調表示されている動作内容が『糸切り』であれば、糸を切断する動作内容(糸切り)のステップデータが検索される。
【0086】
このs380の処理による検索で、該当するステップデータが検出されたら(s390:YES)、マイコン31は、縫製枠21の位置を、検出されたステップデータ(以降、第iステップデータとする)の動作が開始される直前における位置まで移動させる(s400)。この処理においては、縫製枠21(縫製対象200)が、第n−1ステップデータから第iステップデータまでの各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動するように、各ステップデータそれぞれで特定される縫目の長さ、または、縫製枠21の移動量だけ縫製枠21の位置を戻すための制御信号が各駆動回路23、25へ順次出力される。これによって、縫製枠21は各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動しながら、第iステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動する。
【0087】
また、このs400の処理では、縫製枠21の移動に伴って、s320の処理で表示パネル33に表示されたステップ表示画面(図4(a)参照)の表示内容についても、各ステップデータに対応する動作内容に順次変更されていき、最終的には、第iステップデータを中心にして、第i−1から第i+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示した表示内容になる。
【0088】
次に、マイコン31は、縫製枠21が第iステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動した際に、縫製枠21の移動が終了したことを報知する(s410)。この処理においては、縫製枠21の移動が終了したことを報知する旨の音声をスピーカ36から出力させるための制御信号がスピーカ駆動回路37へ出力される。これによって、スピーカ36から音声が出力される。
【0089】
そして、マイコン31は、s380の処理で検出されたステップデータのステップを示す値「i」を変数Nにセット(i→N)する(s420)。これによって、以降の処理(s520の処理)で終了キーが操作されて、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻った際には、第iステップから縫製が再開される。
【0090】
また、s340の処理で行われたキー操作が前方検索キーであれば(s350−s380:NO、s430:YES)、マイコン31は、第n+1ステップデータ以降のステップデータから該当するステップデータを検索する(s440)。この処理においては、動作内容表示領域aに強調表示されている動作内容であって、かつ、移動量表示領域bに表示されている移動量および強調表示されている境界条件で示される条件に該当するステップデータが、第n+1ステップから順番に検索される。
【0091】
このs440の処理による検索で、該当するステップデータが検出されたら(s450:YES)、マイコン31は、検出されたステップデータ(以降、第jステップデータとする)の動作が開始される直前における位置まで縫製枠21を移動させる(s460)。この処理においては、縫製枠21(縫製対象200)が、第n+1ステップデータから第jステップデータまでの各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前における位置へ順次移動するように、各ステップデータそれぞれで特定される縫目の長さ、または、縫製枠21の移動量だけ縫製枠21の位置を進めるための制御信号が各駆動回路23、25へ順次出力される。これによって、縫製枠21は各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前における位置へ順次移動しながら、第jステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動する。
【0092】
また、このs460の処理では、縫製枠21の移動に伴って、s320の処理で表示パネル33に表示されたステップ表示画面(図4(a)参照)の表示内容についても、各ステップデータに対応する動作内容に順次変更されていき、最終的には、第jステップデータを中心にして、第j−1から第j+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示した表示内容になる。
【0093】
次に、マイコン31は、縫製枠21が第jステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動した際に、縫製枠21の移動が終了したことを報知する(s470)。この処理においては、縫製枠21の移動が終了した旨を報知するための音声をスピーカ36から出力させるための制御信号がスピーカ駆動回路37へ出力される。これによって、スピーカ36から音声が出力される。
【0094】
そして、マイコン31は、s430の処理で検出されたステップデータのステップを示す値「j」を変数Nにセット(j→N)する(s480)。これによって、以降の処理(s510の処理)で終了キーが操作され、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻った際には、第jステップから縫製が再開される。
【0095】
また、s340の処理で行われたキー操作が編集キーであれば(s350−s370−s430:NO、s490:YES)、マイコン31は、利用者に縫製データを編集させる(s500)。この処理においては、まず、縫製データ編集用の画面が表示パネル33に表示される。この画面は、入力パネル34による操作で編集を終了するための操作が行われるまで表示され続け、利用者は、この間に入力パネル34による操作で縫製データを編集することになる。なお、縫製データの編集とは、ステップデータの動作内容および移動量を修正したり、ステップデータを追加または削除するといったことである。
【0096】
なお、上述したs350の処理で利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定された条件を指定し、この条件に該当するステップデータがs380またはs440の処理で検出された場合、このs500の処理において、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻る前に、検出されたステップデータがトラブルの要因にならないように修正することが望ましい。
【0097】
また、s340の処理で行われたキー操作が位置復帰キーであれば(s350−s370−s430−s490:NO、s510:YES)、マイコン31は、縫製枠21の位置を本ステップ検索処理の開始時における位置へ戻す(s520)。この処理においては、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、第mステップデータの動作が行われる直前における位置まで移動させるための制御信号が、各駆動回路23、25へ出力される。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が第mステップデータの動作が行われる直前における位置まで移動する。変数Mにセットされている値「m」は、本ステップ検索処理開始時におけるステップを示す値であるため、上述したように縫製枠21を第mステップデータの動作が行われる直前における位置へ移動させることによって、縫製枠21を本ステップ検索処理の開始時における位置へ戻すことができる。
【0098】
そして、マイコン31は、変数Mにセットされている値「m」を変数Nにセット(m→N)する(s530)。
こうして、s360、s420、s480、s500、s520の処理を終えた後、または、s390、s450の処理で該当するステップデータが検出されないとき(s390、s450:NO)、s340の処理へ戻る。
【0099】
また、s340の処理で行われたキー操作が終了キーであれば(s350−s370−s430−s490−s510:NO)、本ステップ検索処理を終了する。
[本発明との対応関係]
以上説明したミシン1において、マイコン31および入力パネル34は、図3におけるs350の処理で本発明における指定手段として機能している。
【0100】
また、マイコン31は、図3におけるs380、s440の処理で本発明における検索手段として機能している。
また、マイコン31、または、マイコン31および各駆動回路13、23、25は、図3におけるs400、s460、s520の処理で本発明における変更手段として機能している。
【0101】
また、マイコン31およびスピーカ36は、s410、s470の処理で本発明における報知手段として機能している。
また、制御部30、または、制御部30および各駆動回路13、23、25は、本発明におけるミシン制御装置を構成するものである。
【0102】
[効果]
このように構成されたミシン1によれば、図3のステップ検索処理で、後方検索キーを操作(s370の処理)することによって、条件指定キーの操作により指定(s350の処理)された条件のステップデータが、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から検索される(s380の処理)。ここで、第nステップデータは、図2におけるs180の処理で縫製が停止されたステップデータである。そのため、縫製の停止がトラブルの発生に起因する場合、利用者は、図3のステップ検索処理でトラブルの要因になったと推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップ(ステップデータ)をマイコン31に検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップ(ステップデータ)を容易に探し出すことができる。
【0103】
さらに、図3のステップ検索処理では、縫製枠21の位置が、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置に移動する(s400の処理)。そのため、トラブルが発生したと推定されるステップデータの動作が開始される直前における位置まで縫製枠21を移動させるための操作を行う必要がないため、図2の縫製処理で縫製を再開させる(図2におけるs200の処理)までに要する手間を減らすことができる。
【0104】
また、図3のステップ検索処理で、前方検索キーを操作(s430の処理)することによって、条件指定キーの操作により指定(s350の処理)された条件のステップデータが、第n+1ステップデータ以前のステップデータの中から検索される(s440の処理)。そのため、図2の縫製処理で縫製が停止された際(s180の処理)、図3のステップ検索処理でトラブルの要因になると推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定することによって、縫製の停止された以降のステップ(ステップデータ)の中に、トラブルの要因になると推定されるステップ(ステップデータ)が含まれているかどうかをマイコン31にチェックさせることができる。
【0105】
さらに、トラブルの要因になると推定されるステップデータが検出された際には(s450の処理)、このステップデータがトラブルの要因にならないように縫製データをあらかじめ修正しておくことによって(s500の処理)、トラブルが発生することを未然に防ぐことができる。
【0106】
また、図3のステップ検索処理では、ステップデータを検索する際の検索対象を、第n−1ステップデータ以前(s380の処理)および第n+1ステップ以降(s440の処理)のいずれにするかを、後方検索キー(s370の処理)を操作するか、前方検索キー(s430の処理)を操作するかによって、利用者が任意に選択することができる。
【0107】
また、図3のステップ検索処理では、第n−1またはn+1ステップデータから順番に該当するステップデータが検索されるため(s380、s440の処理)、第nステップデータに最も近いステップデータを検出することができる。そのため、図2におけるs180の処理でトラブルの発生により縫製が停止された際、図3のステップ検索処理で、利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定する(s350の処理)ことによって、トラブルが発生した(トラブルの要因になる)と推定されるステップデータとして、第nステップデータに最も近いステップデータを検出することができる。
【0108】
トラブルの発生により縫製が停止された場合、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでには、数ステップ分の動作が行われてしまう。そのため、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップではあるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。このことから、トラブルが発生したと推定されるステップは、縫製が停止されたステップ付近に存在していることになるため、縫製が停止されたステップに対応するステップデータから順番に該当するステップデータを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すには好適である。
【0109】
また、図3のステップ検索処理では、条件指定キーによる操作で指定(s350の処理)された長さの範囲で縫目が形成される動作内容(ステッチ)のステップデータがマイコン31により検索される(s380、s440の処理)。そのため、利用者が、縫目を形成する動作内容について、トラブルの要因になった(なる)と推定される縫目の長さを条件指定キーの操作により指定することによって、トラブルの要因になった(なる)と推定される長さ範囲で縫目が形成されるステップ(ステップデータ)をマイコン31により検索させることができる。
【0110】
また、図3のステップ検索処理では、利用者が、条件指定キーによる操作で指定(s350の処理)した長さの範囲で縫製枠21が移動する動作内容(フィード)のステップデータを、マイコン31により検索させることができる(s380、s440の処理)。
【0111】
また、図3のステップ検索処理では、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで、縫製枠21が各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置まで順次移動する(s400、s460の処理)。そのため、縫製枠21の移動に伴って、縫い針100と縫製対象200との位置関係が変更されていく様子を各ステップについて順次確認することができる。
【0112】
また、図3のステップ検索処理では、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで縫製枠21が移動したことが報知されるため(s410、s470の処理)、縫製枠21の移動が終了したことを確認することができる。
【0113】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、ミシン1がそれぞれ色の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製する多針ミシンであるものを例示した。しかし、ミシン1が、色以外に太さや材質といった種類の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製するように構成してもよい。この場合、上記実施形態において「色」との記載を、「太さ」または「材質」と読み替えるものとする。
【0114】
また、上記実施形態においては、縫製データが記憶装置32に記憶されている、または、記録用ディスク300から入力されるように構成されたものを例示した。しかし、制御部30が無線または有線の通信路を介して他のコンピュータシステムなどとデータ通信可能に構成されていれば、縫製データが通信路経由で入力されるように構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、図2の縫製処理および図3のステップ検索処理を、制御部30の備えるマイコン31が実行するように構成されたものを例示した。しかし、図2の縫製処理および図3のステップ検索処理を、無線または有線の通信路を介してミシン1とデータ通信可能に接続された他のコンピュータシステムが実行するように構成してもよい。
【0116】
また、上記実施形態においては、縫製枠21を移動させることによって、縫い針100と縫製対象200との位置関係を変更させるように構成されたものを例示した。しかし、縫い針100と縫製対象200との位置関係を変更させるために、縫製枠21だけでなく、針棒11がx軸およびy軸方向に移動できるように構成してもよい。
【0117】
また、上記実施形態においては、図3のステップ検索処理が、図2の縫製処理において縫製が停止された後(s180の処理)に実行されるように構成されたものを例示した。しかし、図3のステップ検索処理は、縫製データに従った縫製が終了した後、または、縫製データに従った縫製を開始する前であっても、ステップ検索操作が行われることによって実行されるように構成してもよい。
【0118】
また、上記実施形態においては、図2におけるs170の処理で縫製を停止する要因として、トラブルの発生を検出したかどうか、および、入力パネル34により縫製を一時中断させるための操作が行われたかどうかをチェックするように構成されたものを例示した。しかし、s170の処理において、縫製を停止する要因として他の状態をも検出するように構成してもよい。
【0119】
また、上記実施形態においては、図3におけるs380(s440)の処理で、該当するステップデータを第n−1(第n+1)ステップから順番に検索するように構成されたものを例示した。しかし、該当するステップデータは、第nステップデータから順番に検索するように構成してもよい。
【0120】
また、該当するステップデータの検索を開始するのは、第n−1(第n+1)ステップからでなくてもよく、例えば、ステップと異なる色の糸で縫目を形成する動作内容のステップデータ、つまり、第n−1(第n+1)ステップデータに最も近いステップデータで動作内容が『針棒切替』となっているステップデータから検索を開始するように構成してもよい。また、縫製データが複数の刺繍模様を縫製対象Cに形成するためのデータであれば、第n−1(第n+1)ステップデータに最も近いステップデータで各刺繍模様における縫製開始位置(または、縫製終了位置、縫製途中(模様の中央)の位置)に対応するステップデータから検索を開始するように構成してもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、図3におけるs380(s440)の処理で該当するステップデータを検索し、該当するステップデータが検出された場合に、s400(s460)の処理で、縫製枠21の位置を検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動させるように構成されたものを例示した。しかし、s380からs420(s440からs480)の処理の替わりに、以下に示すような処理を行うように構成してもよい。まず、第n−1(第n+1)ステップデータが該当するステップデータかどうかのチェックを行うと共に、縫製枠21を第n−1(第n+1)ステップデータの動作が開始される直前における位置に移動し、変数Nに「n−1(n+1)」をセットする。そして、ここまでの処理を、第n−1(第n+1)ステップデータから順に各ステップデータに対して順次行い、ステップデータのチェックにおいて該当するステップデータである場合に、縫製枠21の移動が終了したことを報知した後、s340の処理に戻る。
【0122】
また、上記実施形態においては、図3におけるs400、s460の処理で、縫製枠21が各ステップデータの動作が開始される直前(縫製順での直前)の位置(検出されたステップデータの一つ前のステップデータの動作までが終了した時点における位置関係)に順次移動するように構成されたものを例示した。しかし、s400、s460の処理において、縫製枠21が各ステップデータの動作が終了した時点における位置(ステップデータの動作が終了した状態に相当する位置)まで移動するように構成してもよい。また、s400、s460の処理では、s390、s450の処理で検出されたステップデータの動作が開始される直前の位置に直接移動するように構成してもよい。
【0123】
また、上記実施形態においては、図3におけるs410、s470の処理で、スピーカ36から音声を出力することによって縫製枠21の移動が終了したことを報知するように構成されたものを例示した。しかし、縫製枠21の移動が終了したことを報知するためには、例えば、縫製枠21の移動が終了した旨のメッセージを表示パネル33に表示させるように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態の図3におけるs400の処理で縫製枠21を移動させる際、縫製の停止(図2におけるs180の処理)されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内、つまり、第nステップデータから遡って動作内容が『針棒切替』となっているステップデータまでの範囲内でなければ縫製枠21を移動させないようにし、この範囲外のステップデータである場合には、s400、s410、s420の処理を行うことなくs340の処理に戻るように構成してもよい。
【0125】
通常、同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップの数は、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでのステップ数よりも充分に大きな数になっている。そのため、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。このことから、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップにおける位置への縫製枠21の移動は、トラブルが発生したステップにおける位置へ縫製枠21を移動させるうえでは無用な移動ということになる。
【0126】
よって、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ縫製枠21を移動させないように構成すれば、縫製枠21の無用な移動が行わなくなるため、トラブルの発生したステップから縫製を再開させるまでに要する操作の手間をさらに減らすことができる。
【0127】
また、上記実施形態の図3におけるs400の処理で縫製枠21を移動させる際、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でなければ縫製枠21を移動させないようにし、この範囲外のステップデータである場合には、s410、s420の処理を行うことなくs340の処理に戻るように構成してもよい。
【0128】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、所定数のステップまでの範囲外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。このことから、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップにおける縫製枠21の移動は、トラブルが発生したステップにおける位置へ縫製枠21を移動させるうえでは無用な移動ということになる。
【0129】
よって、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内のステップでなければ縫製枠21を移動させないように構成すれば、縫製枠21の無用な移動が行われなくなるため、トラブルの発生したステップから縫製を再開するまでに要する操作の手間をさらに減らすことができる。
【0130】
また、上記実施形態の図3におけるs380の処理で該当するステップデータを検索する際、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内、つまり、第nステップデータから遡って動作内容が『針棒切替』となっているステップデータまでの範囲内で該当するステップを検索するように構成してもよい。
【0131】
このように構成すれば、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップの範囲内でのみ、該当するステップの検索が行われる。このように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは検索対象から除外されている。
【0132】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップの中から、該当するステップを検索することは、トラブルの要因になったステップデータを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0133】
よって、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップを検索対象から除外することで、無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0134】
また、上記実施形態の図3におけるs380の処理で該当するステップデータを検索する際、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内で該当するステップを検索するように構成してもよい。
このように構成すれば、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でのみ、該当するステップの検索が行われる。このように、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップは検索対象から除外される。
【0135】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、上述したように、所定数のステップまでの範囲外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップについて、該当するステップを検索することは、トラブルの要因になったステップデータを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0136】
よって、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップを検索対象から除外することで、無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0137】
また、s330の処理で表示パネル33に表示される条件指定画面において、図5に示すように、s380の処理で検索べきステップデータの条件として検索対象の範囲を指定させるための範囲指定領域cを設け、検索対象の範囲を指定するためのキー(条件指定キー;例えば、「+」キー)が操作(押下)される毎に、検索対象の範囲が『同じ糸色』、『異なる糸色』、『全て』、『同じ糸色』、・・・の順で強調表示されるように構成し、強調表示されている検索対象の範囲が、検索すべきステップデータの条件として指定されたこととなるようにしてもよい。なお、『同じ糸色』とは、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で縫い目を形成するステップまでの範囲、つまり、第nステップデータから動作内容が『針棒切替』となるまでのステップデータである。また、『異なる糸色』とは、縫製が停止されたステップと異なる色の糸で縫い目を形成するステップ、つまり、第nステップデータから動作内容が『針棒切替』となっているステップデータ以後または以前のステップデータのことである。そして、『全て』は、『同じ糸色』、『異なる糸色』を含む全てのステップデータのことである。
【0138】
このように構成すれば、条件指定キーの操作によって検索対象の範囲を指定することができる。
特に、これら検索対象の範囲のうち『同じ糸色』によって、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることができる。
【0139】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップをも検索対象とすることは、利用者に無用な操作を行わせてしまうことになる。
【0140】
よって、『同じ糸色』を検索対象として利用者に指定させることで、利用者に無用な操作を行わせることがなくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミシンの制御系統を示すブロック図
【図2】縫製処理の処理手順を示すフローチャート
【図3】ステップ検索処理の処理手順を示すフローチャート
【図4】ステップ表示画面(a)、条件指定画面(b)を示す図
【図5】別の実施の形態における条件指定画面を示す図
【符号の説明】
1・・・ミシン、10・・・縫い針駆動部、11・・・針棒、12・・・主軸モータ、13・・・主軸駆動回路、14・・・切替機構、15・・・切替駆動回路、16・・・切断機構、17・・・切断駆動回路、18・・・糸センサ、20・・・縫製対象駆動部、21・・・縫製枠、22・・・x軸モータ、23・・・x軸駆動回路、24・・・y軸モータ、25・・・y軸駆動回路、30・・・制御部、31・・・マイクロコンピュータ、32・・・記憶装置、33・・・表示パネル、34・・・入力パネル、35・・・ディスクドライブ、36・・・スピーカ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製対象を縫い針により縫製するミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、縫製データに従って縫製対象(例えば、布など)を縫製するミシンとして、糸切れや糸抜けなどのトラブルが発生した際に縫製を停止させる機能を有するものがある。なお、縫製データは、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示したデータである。
【0003】
このようなミシンでは、トラブルの発生により縫製が停止された際、縫製を再開させるために、トラブルの発生したステップがトラブルの要因にならないように縫製データを修正するといった操作が行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなミシンでは、通常、トラブルが発生してから縫製を停止するまでに、数ステップ分の動作が行われてしまうため、縫製を再開させる際には、縫製データの中からトラブルが発生したと推定されるステップを探し出すと共に、このステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を戻しておくといった操作を行わなければならなかった。このとき、トラブルが発生したステップは、縫製が停止したステップから順に遡りながら各ステップの動作内容をチェックすることにより探し出される。
【0005】
具体的には、停止時の縫製データから逆にデータを1針ずつ読み出し、その読み出されたデータに従って、縫い針と縫製対象とを相対移動させ、縫い針の真下の縫製状況を利用者が目視する。その目視と共に、利用者は、縫製データの内容(移動量の大きさなど)を画面などで確認していた。
【0006】
このように、従来のミシンにおいては、各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要があったため、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すまでの操作が非常に面倒であるという問題があった。
また、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出した後、このステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるといった操作を行う必要もあったため、縫製を再開させるまでに手間がかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができ、従来より縫製を再開させるまでの手間を減らすことのできるミシンおよびミシン制御装置を提供すること、また、これらにおいて利用可能な位置関係変更プログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記問題を解決するため請求項1に記載のミシンは、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンであって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検出されたステップにおける位置関係に変更する変更手段とを備えている、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された動作内容のステップが、縫製の停止された以前のステップの中から検出手段により検索される。そのため、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手段によって検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。
【0010】
さらに、検索手段により検出されたステップにおける位置関係となるように、縫い針と縫製対象との位置関係が変更手段によって変更される。そのため、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0011】
なお、上述した変更手段は、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する手段であって、例えば、検索手段により検出されたステップまで終了した時点における位置関係(検出されたステップの動作が終了した状態に相当する位置関係)に変更するように構成すればよい。また、例えば、検索手段により検出されたステップの動作が開始される直前(縫製順での直前)における位置関係(例えば、検出されたステップの一つ前のステップまでが終了した時点における位置関係)に変更するように構成してもよい。
【0012】
また、上述の『所定の停止条件』とは、縫製が停止される条件であって、例えば、糸切れや糸抜けなどのトラブルが発生することや、縫製データにおける全ステップの動作が終了することである。
また、請求項2に記載のミシンは、前記検索手段は、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以降のステップについて、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索可能である、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された動作内容のステップが、縫製の停止された以降のステップの中から検出手段により検索される。そのため、縫製が停止された際に、トラブルの要因になると推定した動作内容を指定手段により指定することによって、縫製の停止された以降のステップの中からトラブルの要因になると推定されるステップを検索させることができる。
【0014】
さらに、トラブルの要因になると推定されるステップが検出された場合には、このステップがトラブルの要因にならないように縫製データをあらかじめ修正しておけば、トラブルが発生することを未然に防ぐことができる。
なお、検索手段がステップを検索する際の検索対象(縫製の停止された以前または以後のステップ)は、利用者が任意に選択できるように構成するとよい。具体的な構成としては、例えば、検索手段がステップを検索する際の検索対象を利用者に選択させる選択手段を備え、検索手段は、選択手段により選択された検索対象について該当するステップを検索する、といった構成とすればよい。このように構成すれば、検索手段によりステップを検索する際の検索対象を選択手段によって任意に選択することができる。
【0015】
ところで、上述した検索手段がステップを検索する手順については特に限定されないが、例えば、請求項3に記載のように、前記検索手段は、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから順に検索する、といった構成を考えることもできる。
【0016】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップから順番に該当するステップが検索されるため、縫製の停止されたステップに最も近いステップが検出される。そのため、トラブルの発生により縫製が停止された際、利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生した(トラブルの要因になる)と推定されるステップとして、縫製が停止されたステップに最も近いステップを検出することができる。
【0017】
通常、トラブルの発生により縫製が停止された場合、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでには、数ステップ分の動作が行われてしまう。そのため、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップではあるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。このことから、トラブルが発生したと推定されるステップは、縫製が停止されたステップ付近に存在していることになるため、縫製が停止されたステップから順番に該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すには好適である。
【0018】
ところで、上述した指定手段が利用者に指定させる『動作内容』としては、例えば、縫い針を往復移動させながら縫製対象を縫い針の移動方向と交差する平面に沿って移動させることによって、縫い針による縫目を縫製対象に形成する動作(いわゆるステッチ)がある。この場合、指定手段は、縫い針により縫製対象に形成される縫目の長さを利用者に指定させるように構成すればよい。このように、縫目の長さを利用者に指定させるための具体的な構成としては、請求項4に記載のような構成を考えることができる。
【0019】
請求項4に記載のミシンは、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記指定手段は、縫い針により縫製対象に形成される縫目の長さ範囲を利用者に指定させることを、該長さ範囲内の縫目が形成されるような動作内容として指定させて、前記検索手段は、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された前記長さ範囲内の縫目を形成する動作内容となっているステップを検索する、ことを特徴とする。
【0020】
このように構成されたミシンによれば、指定手段により指定された長さの範囲で縫目を形成する動作内容のステップが、検索手段により検索される。そのため、利用者は、縫目を形成する動作内容について、トラブルの要因になった(なる)と推定される縫目の長さを指定手段により指定することによって、トラブルの要因になった(なる)と推定される長さ範囲で縫目が形成されるステップを検索手段により検索させることができる。
【0021】
また、指定手段により利用者に指定させる『動作内容』としては、縫い針に対して縫製対象を相対的に移動させる動作(いわゆるフィード;縫目は形成しない)もある。この場合、指定手段によって縫製対象の相対的な移動距離を利用者に指定させるように構成すればよい。
【0022】
具体的な構成としては、例えば、縫製データで示される複数のステップには、縫い針に対して縫製対象を相対移動させるステップが含まれており、指定手段は、縫製対象が相対移動する距離範囲を利用者に指定させることを、この距離範囲内を縫製対象が相対移動する動作内容として指定させて、検索手段は、縫製対象が指定手段により指定された距離範囲内を相対移動する動作内容となっているステップを検索する、といった構成を考えることができる。
【0023】
このように構成すれば、指定手段により指定された距離範囲(距離の範囲)で縫製対象が相対移動する動作内容となっているステップを、検索手段によって検索させることができる。
また、請求項5に記載のミシンは、前記変更手段は、縫い針と縫製対象との位置関係を、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから前記検索手段により検索されたステップまで、それぞれのステップにおける位置関係に順次変更する、ことを特徴とする。
【0024】
このように構成されたミシンによれば、縫い針と縫製対象との位置関係を、縫製の停止されたステップから検索手段により検索されたステップまで、それぞれのステップについて順次確認することができる。
また、請求項6に記載のミシンは、縫い針と縫製対象との位置関係が、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更されたことを報知する報知手段を備えている、ことを特徴とする。
【0025】
このように構成されたミシンによれば、縫い針と縫製対象との位置関係が、検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更されたことを報知手段による報知によって確認することができる。
なお、報知手段により報知するための具体的な構成としては、例えば、検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更された旨のメッセージをスピーカーから出力したり、メッセージを表示装置に表示することによって報知するといった構成を考えることができる。
【0026】
ところで、上述のように、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップであるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。そのため、検索手段によってトラブルが発生したと推定されるステップが検出されたとしても、このステップが縫製の停止されたステップから大きく離れたステップであれば、実際にトラブルの発生したステップである可能性は低い。
【0027】
また、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係に縫い針と縫製対象との位置関係が変更手段により変更されたとしても、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係まで戻された場合、縫製対象に正常な縫目が形成されていれば、実際のトラブルが発生したステップにおける位置関係でないことは見た目にも明らかである。
【0028】
このように、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップを検出し、変更手段が、このステップにおける位置関係に縫い針と縫製対象との位置関係を変更した場合、縫製を再開するためには、再度、指定手段による動作内容の指定、検索手段によるステップの検索、および、変更手段による位置関係の変更を行う必要がある。
【0029】
そこで、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすためには、例えば、変更手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係への変更を行わないように構成することが考えられる。
具体的な構成としては、請求項7に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、ように構成すればよい。
【0030】
このように構成されたミシンによれば、検索手段により検出されたステップが縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ(異なる種類の糸で縫目を形成するステップであれば)、変更手段が位置関係の変更を行わない。
【0031】
通常、同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップの数は、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでのステップ数(数ステップ)よりも充分に大きな数になっている。そのため、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0032】
このことから、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップにおける位置関係への変更は、トラブルが発生したステップにおける位置関係へ変更させるうえでは無用な変更ということになる。
【0033】
よって、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ位置関係の変更を行わないことで、変更手段による無用な位置関係の変更を行わなくてよくなるため、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすことができる。
【0034】
また、変更手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップにおける位置関係への変更を行わないようにする別の構成として、請求項8に記載のように、前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、といった構成を考えることもできる。
【0035】
このように構成されたミシンによれば、検索手段により検出されたステップが縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でなければ、変更手段が位置関係の変更を行わない。
そのため、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、所定数のステップまでの範囲外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0036】
このことから、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップにおける位置関係への変更は、トラブルが発生したステップにおける位置関係へ変更させるうえでは無用な変更ということになる。
よって、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内のステップでなければ位置関係の変更を行わないことで、変更手段による無用な位置関係の変更を行わなくてよくなるため、縫製を再開するまでの操作の手間をさらに減らすことができる。
【0037】
また、縫製を再開するまでの操作の手間を減らすための別の構成として、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップについては検索対象から除外するように構成することも考えられる。
具体的な構成としては、請求項9に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、といった構成を考えることができる。
【0038】
このように構成されたミシンによれば、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップの範囲内でのみ、検索手段が該当するステップの検索を行う。このように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは検索対象から除外されている。
【0039】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。
このことから、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップの中から、該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0040】
よって、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップを検索対象から除外することで、検索手段による無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0041】
また、検索手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップについては検索対象から除外する別の構成として、請求項10に記載のように、前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、といった構成を考えることもできる。
【0042】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でのみ、検索手段が該当するステップの検索を行う。このように、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップは検索対象から除外される。
【0043】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、上述したように、所定数のステップまでの範囲外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。
【0044】
このことから、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップについて、該当するステップを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを検索するうえでは無用な検索ということになる。
よって、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップを検索対象から除外することで、検索手段による無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0045】
また、縫製を再開するまでの手間を減らすための別の構成として、指定手段が、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップの動作内容を指定させないように構成することも考えられる。
具体的な構成としては、請求項11に記載のように、前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記指定手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で縫目を形成する動作内容を利用者に指定させる、といった構成を考えることができる。
【0046】
このように構成されたミシンによれば、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることができる。
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。
【0047】
このことから、縫製の停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップについて、このステップの動作内容を利用者に指定させることは、利用者に無用な操作を行わせることになる。
よって、縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることで、利用者に無用な操作を行わせることがなくなるため、結果的に縫い針と縫製対象との無用な位置関係の変更が行われることがなく、縫製を再開するまでの手間を低減することができる。
【0048】
また、請求項12に記載のミシン制御装置は、縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンを制御するミシン制御装置であって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更させる変更手段とを備えている、ことを特徴とする。
【0049】
このように構成されたミシン制御装置によれば、請求項1に記載のミシンの一部を構成することができる。そのため、請求項1と同様に、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手段により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手段によって検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。さらに、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0050】
また、このミシン制御装置においては、各手段が請求項2から請求項5、および、請求項7から請求項11に記載のミシンが備える各手段と同様に構成すれば、これらのミシンと同様の作用・効果を得ることができる。さらに、請求項6に記載のミシンが備える報知手段と同様の手段を備えていてもよく、この場合、このミシンと同様の作用・効果を得ることができる。
【0051】
また、請求項13に記載の位置関係変更プログラムは、縫製対象を縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンにおいて、縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための各種処理を、コンピュータシステムに実行させるための位置関係変更プログラムであって、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定処理と、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定処理において指定された動作内容となっているステップを検索する検索処理と、縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索処理において検索されたステップにおける位置関係に変更する変更処理とを含んでいる、ことを特徴とする。
【0052】
この位置関係変更プログラムによって縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるコンピュータシステムは、請求項1に記載のミシンの一部を構成することができる。そのため、請求項1と同様に、トラブルの発生により縫製が停止された際に、利用者がトラブルの要因になったと推定した動作内容を指定手順において指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップを検索手順において検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を利用者が逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップを容易に探し出すことができる。さらに、トラブルが発生したと推定されるステップにおける位置関係まで縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための操作を行う必要がないため、縫製を再開させるまでに要する手間を減らすことができる。
【0053】
また、この位置関係変更プログラムにおいては、各手順が請求項2から請求項5、および、請求項7から請求項11に記載のミシンが備える各手段と同様に機能する手順が含まれていれば、これらのミシンと同様の作用・効果を得ることができる。さらに、請求項6に記載のミシンが備える報知手段と同様に機能する手順が含まれていてもよく、この場合、このミシンと同様の作用・効果を得ることができる。
【0054】
なお、上述した位置関係変更プログラムは、例えば、FD、CD−ROMなどの記録媒体やインターネットなどの通信回線網を介して、ミシン、ミシン制御装置自身、コンピュータシステム、または、これらを利用する利用者に提供されるものである。
【0055】
また、上述した位置関係変更プログラムを実行するコンピュータシステムとしては、例えば、ミシンやミシン制御装置に内蔵されたコンピュータシステム、ミシンやミシン制御装置に無線または有線の通信路を介してデータ通信可能に接続されたコンピュータシステムなどを利用することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について例を挙げて説明する。
ミシン1は、それぞれ色の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製する多針ミシンであって、図1に示すように、縫い針駆動部10、縫製対象駆動部20、制御部30などからなる。
【0057】
縫い針駆動部10は、それぞれが縫い針100を保持する複数の針棒11、針棒11をz軸方向に往復移動させる主軸モータ12、主軸モータ12を駆動する主軸駆動回路13、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11(縫製に使用する縫い針100)を切り替える切替機構14、切替機構14を駆動する切替駆動回路15、縫い針100にセットされている糸を切断する切断機構16、切断機構16を駆動する切断駆動回路17、糸の送り量を検出する糸センサ18などを備えている。
【0058】
これらのうち、各駆動回路13、15、17は、制御部30からの制御信号を受けて各駆動対象(主軸モータ12、切替機構14、切断機構16)を駆動する。
また、糸センサ18は、縫い針100の往復移動に伴って糸供給部(図示されない)から供給される糸の送り量を検出するセンサである。
【0059】
縫製対象駆動部20は、縫製対象200を取り付ける縫製枠21、縫製枠21をx軸方向に移動させるx軸モータ22、x軸モータ22を駆動するx軸駆動回路23、縫製枠21をy軸方向に移動させるy軸モータ24、y軸モータ24を駆動するy軸駆動回路25などを備えている。
【0060】
これらのうち、各駆動回路23、25は、制御部30からの制御信号を受けて各モータ22、24を駆動する。
制御部30は、マイクロコンピュータ(以降、マイコンとする)31、記憶装置32、表示パネル33、入力パネル34、記録用ディスク300を介してデータを入出力可能なディスクドライブ35、スピーカ36、マイコン31からの制御信号を受けてスピーカ36を駆動するスピーカ駆動回路37などを備えている。
【0061】
これらのうち、マイコン31は、糸センサ18からの検出信号によって「糸切れ」や「糸抜け」といったトラブルの発生を検出する。ここで、「糸切れ」とは、二点間に縫目を形成する際、第1の針落ち点と第2の針落ち点が近接していることによって、縫い針100が糸を切断してしまうトラブルである。また、「糸抜け」とは、二点間に縫目を形成する際、縫い針100が第1の針落ち点から第2の針落ち点に至る過程において縫製対象200から糸が抜けてしまうトラブルである。このようなトラブルが発生した際、針棒11(縫い針100)が往復移動しているにも拘わらず、糸の送り量が急激に少なくなるため、マイコン31は、針棒11を所定回数(本実施の形態においては、5回)往復移動させる間に糸センサ18により検出される糸の送り量が所定の基準量(本実施の形態においては、1mm)以下となったことをトラブルが発生したこととして検出する。
【0062】
また、マイコン31は、記憶装置32に記憶されている縫製データ、または、ディスクドライブ35を介して記録用ディスク300から入力された縫製データに従い後述する縫製処理(図2)を実行することによってミシン1の動作を制御する。縫製データは、縫製対象200を縫い針100により縫製する手順を連続する複数のステップ(第1から第kステップ)で示したデータであって、各ステップに対応する複数のステップデータ(第1から第kステップデータ)で構成されている。これらステップデータは、それぞれがミシン1の動作内容を示しており、マイコン31は、各ステップデータで示される動作内容を行わせるための制御信号を、縫い針駆動部10および縫製対象駆動部20のいずれか一方または両方に出力する。こうして、この制御信号を入力した各駆動部10、20が制御信号に基づく動作を行うことによって、縫製対象200が縫い針100によって縫製される。
【0063】
以下に縫製データを構成するステップデータで示される動作内容を示す。
(1)『ステッチ』:ステッチは、縫い針100による縫目を縫製対象200に形成させる動作内容である。このステッチを示すステップデータは、縫製対象200に形成させるべき縫目の長さを特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、主軸モータ12を駆動させて針棒11(縫い針100)を往復移動させるための制御信号を主軸駆動回路13へ出力すると共に、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、ステップデータにより特定される縫目の長さ分の距離だけ移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫い針100が往復移動しながら、縫製枠21(縫製対象200)が縫目の長さ分だけ移動することにより、縫製対象200に縫い針100による縫目が形成される。
(2)『フィード』:フィードは、縫い針100に対して縫製対象200を相対移動させる動作内容である。このフィードを示すステップデータは、縫製対象200の移動量を特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、ステップデータにより特定される移動量分だけ移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が移動量分だけ移動する。
(3)『針棒切替』:針棒切替は、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11を切り替えることによって、縫製に使用する針棒11(縫い針100)を切り替える動作内容である。各針棒11に取り付けられている各縫い針100には、それぞれ異なる色の糸がセットされているため、縫製に使用する針棒11を切り替えることは、縫目を形成する際の糸の色を変えることになる。この針棒切替を示すステップデータは、切り替えるべき針棒11を特定可能なデータとなっており、このステップデータに対してマイコン31は、切替機構14を駆動させて縫製に使用する針棒11を切り替えるための制御信号を切替駆動回路15へ出力する。これによって、主軸モータ12の駆動力を伝達する針棒11が切り替えられる。
(4)『糸切り』:糸切りは、縫い針100にセットされている糸を切断する動作内容である。この糸切りを示すステップデータに対してマイコン31は、切断機構16を駆動させて縫い針100にセットされている糸を切断するための制御信号を切断駆動回路17へ出力する。これによって、縫い針100にセットされている糸が切断される。
(5)『縫製終了』:縫製終了は、縫製データに従って行われる縫製を終了させる動作内容である。この縫製終了を示すステップデータに対してマイコン31は、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を所定の初期位置まで移動させるための制御信号を各駆動回路23、25へ出力する。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が初期位置まで移動して縫製が終了する。
【0064】
[マイコン31による縫製処理]
以下に、制御部30のマイコン31が実行する縫製処理を図2に基づいて説明する。この縫製処理は、入力パネル34によって縫製を開始するための操作が行われた際に開始される。
【0065】
まず、マイコン31は、縫製枠21を所定の初期位置へ移動させる(s110)。この処理においては、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を所定の初期位置まで移動させるための制御信号が各駆動回路23、25へ出力される。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が初期位置まで移動する。
【0066】
次に、マイコン31は、変数Nを初期化する(s120)。この処理においては、変数Nに「1」がセット(1→N)される。この変数Nは、ステップを示す値(1からk)がセットされる変数である。なお、以降に記載の「n」は変数Nにセットされている値を示すものとする。
【0067】
次に、マイコン31は、縫製データを構成する第nステップデータを読み出す(s130)。
次に、マイコン31は、s130の処理で読み出された第nステップデータで示される動作内容が『縫製終了』かどうかをチェックする(s140)。
【0068】
このs140の処理で、動作内容が『縫製終了』でなければ(s140:NO)、マイコン31は、s130の処理で読み出された第nステップデータで示される動作内容を行わせる(s150)。この処理においては、第nステップデータで示される動作内容の動作を行わせるための制御信号が、縫い針駆動部10および縫製対象駆動部20のいずれか一方または両方へ出力され、これによって、『ステッチ』、『フィード』、『針棒切替』、『糸切り』のうちのいずれかの動作が行われる。
【0069】
次に、マイコン31は、変数Nに「1」を加算する(n+1→N)する(s160)。
次に、マイコン31は、縫製を停止する要因があるかどうかをチェックする(s170)。縫製を停止する要因(停止条件)には、トラブルの発生を検出したこと、および、入力パネル34により縫製を一時中断させるための操作が行われたことであり、このs170の処理においては、糸センサ18によりトラブルの発生を検出したかどうか、または、縫製を一時停止させるための操作が行われたかどうかをチェックすることによって、縫製を停止する要因があるかどうかがチェックされる。
【0070】
このs170の処理で、縫製を停止する要因がある場合(s170:YES)、マイコン31は、縫製を停止させる(s180)。この処理においては、縫製データに従った縫製が一時停止される。
なお、上述のs170の処理で縫製を停止する要因として、トラブルの発生が検出される際、マイコン31は、糸センサ18により検出された糸の送り量が基準量以下となったことをトラブルが発生したこととして検出するため、実際にトラブルが発生して糸の送り量が基準量以下になるまでの間、数ステップ分の動作が行われることになる。よって、実際にトラブルが発生したステップは、トラブルの発生が検出された際のステップよりも前のステップであり、縫製が停止されるステップについても、実際にトラブルが発生したステップよりも後である。
【0071】
こうして、縫製が一時停止された後、利用者は、入力パネル34によって、後述するステップ検索処理(s210の処理)を開始するための操作(以降、ステップ検索操作とする)や、一時停止された縫製を再開させるための操作(以降、縫製再開操作とする)などの操作を行うことができる。
【0072】
次に、マイコン31は、入力パネル34による操作が行われるまで待機する(s190:NO)。ここでは、ステップ検索操作または縫製再開操作が行われるまで待機することになる。
このs190の処理で、ステップ検索操作が行われた場合(s190:YES、s200:YES)、マイコン31は、ステップ検索処理を行う(s210)。この処理は、s180の処理でトラブルの発生により縫製が停止された場合などに、縫製データの中からトラブルの要因になったと推定されるステップデータを検索したり、このステップデータがトラブルの要因にならないように修正するために行われる処理である。なお、このステップ検索処理の詳細な処理手順は、後述する[マイコン31のステップ検索処理](図3)において説明する。
【0073】
一方、s190の処理で、縫製再開操作が行われた場合(s190:YES、s200:NO)、または、s170の処理で縫製を停止する要因がない場合(s170:NO)、s130の処理へ戻る。なお、s180の処理において、トラブルの発生により縫製が停止されている場合、利用者は、縫製再開操作を行う前に、正常に縫製が再開できるように糸を正しくセットし直しておく必要がある。
【0074】
こうして、s130からs210の処理までが繰り返し行われた後、s140の処理で、動作内容が『縫製終了』であれば(s140:YES)、マイコン31は、縫い針100にセットされている糸を切断する(s220)。この処理においては、切断機構16を駆動させて縫い針100にセットされている糸を切断するための制御信号が切断駆動回路17へ出力され、これによって、縫い針100にセットされている糸が切断される。
【0075】
そして、マイコン31は、縫製枠21を所定の初期位置へ移動させた後(s230)、本縫製処理を終了する。このs230の処理は、s110の処理と同様の処理である。
[マイコン31のステップ検索処理]
以下に、マイコン31が実行するステップ検索処理を図3に基づいて説明する。このステップ検索処理は、図2におけるs210の処理の詳細な処理手順である。
【0076】
まず、マイコン31は、変数Nにセットされている値「n」を変数Mにセット(n→M)する(s310)。こうして、変数Mには、本ステップ検索処理の開始時におけるステップを示す値がセットされる。なお、以降に記載の「m」(長さを示す「mm」は除く)は変数mにセットされている値を示すものとする。
【0077】
次に、マイコン31は、ステップ表示画面を表示パネル33に表示させる(s320)。この処理においては、図4(a)に示したように、第nステップデータを中心にして、第n−1から第n+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示したステップ表示画面が表示される。
【0078】
次に、マイコン31は、ステップ表示画面と共に、条件指定画面を表示パネル33に表示させる(s330)。条件指定画面は、以降の処理(s380、s440の処理)で縫製データを構成する各ステップデータの中から検索すべきステップデータの条件を利用者に指定させるための画面であって、図4(b)に示したように、動作内容を条件として指定させるための動作内容表示領域aと、縫製対象200の移動量を条件として指定させるための移動量表示領域bとからなる。
【0079】
動作内容表示領域aには、動作内容を指定するためのキー(本実施の形態においては、「*」キー)が操作(押下)される毎に、動作内容が『ステッチ』、『フィード』、『糸切り』、『ステッチ』、・・・の順で強調表示される。なお、初期状態においては『ステッチ』が強調表示されている。そして、強調表示されている動作内容が、検索すべきステップデータの条件として指定されたことになる。
【0080】
また、移動量表示領域bには、縫製対象200(縫製枠21)の移動量を指定するためのキー(本実施の形態においては、「↑」キー、「↓」キー)が操作(押下)される毎に、表示されている移動量が0.1ずつ増減(「↑」で増加:「12.7」が上限、「↓」で減少:「0.0」が下限)され、また、移動量の境界条件(以上、以下、一致)を指定するためのキー(本実施の形態においては、「#」キー)が操作(押下)される毎に、境界条件が『以下』、『以上』、『一致』、『以下』、・・・の順で強調表示される。なお、初期状態においては移動量の表示が『0.3mm』となっており、境界条件は『以下』が強調表示されている。そして、表示されている移動量および強調表示されている境界条件により決まる長さの範囲が、検索すべきステップデータの条件として指定されたことになる。
【0081】
なお、上述の「動作内容を指定するためのキー」、「移動量を指定するためのキー」および「境界条件を指定するためのキー」は、以降、「条件指定キー」とする。
この条件指定画面が表示された後、利用者は、入力パネル34によって、条件指定キーの他、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から該当するステップデータを検索させるためのキー(本実施形態においては「←」キー;以降、後方検索キーとする)、第n+1ステップデータ以降のステップデータの中から該当するステップデータを検索させるためのキー(本実施形態においては「→」キー;以降、前方検索キーとする)、縫製データを編集するためのキー(以降、編集キーとする)、縫製枠21の位置を本ステップ検索処理開始時の位置に戻すためのキー(本実施形態においては「cancel」キー;以降、位置復帰キーとする)、本ステップ検索処理を終了させるためのキー(以降、終了キーとする)などのキー操作が可能である。
【0082】
次に、マイコン31は、入力パネル34によるキー操作が行われるまで待機する(s340:NO)。ここでは、条件指定キー、後方検索キー、前方検索キー、編集キー、位置復帰キー、終了キーのうちのいずれかのキー操作が行われるまで待機する。
【0083】
このs340の処理でキー操作が行われた際(s340:YES)、このキー操作が「条件指定キー」の操作であれば(s350:YES)、マイコン31は、表示パネル33に表示された条件指定画面のうち、操作された条件指定キーに対応する表示内容を変更する(s360)。この処理においては、操作された条件指定キーが、「動作内容を指定するためのキー」であれば、動作内容表示領域aのうち強調表示される動作内容が変更される。また、「移動量を指定するためのキー」であれば、移動量表示領域bのうち、表示されている移動量が増減される。そして、「境界条件を指定するためのキー」であれば、移動量表示領域bのうち強調表示される境界条件が変更される。こうして、このs360の処理において、条件指定キーが操作されることによって、検索すべきステップデータの条件が指定されたことになる。
【0084】
また、s340の処理で行われたキー操作が後方検索キーであれば(s350:NO、s370:YES)、マイコン31は、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から該当するステップデータを検索する(s380)。この処理においては、動作内容表示領域aに強調表示されている動作内容、移動量表示領域bに表示されている移動量および強調表示されている境界条件で示される条件に該当するステップデータが、第n−1ステップから順番に遡りながら検索される。
【0085】
例えば、強調表示されている動作内容が『ステッチ』、表示されている移動量が『0.3mm』、強調表示されている境界条件が『以下』であれば、0.3mm以下の縫目を形成する動作内容(ステッチ)のステップデータが検索される。また、強調表示されている動作内容が『フィード』、表示されている移動量が『5.0mm』、強調表示されている境界条件が『以下』であれば、縫製対象200が5.0mm以下の移動を行う動作内容(フィード)のステップデータが検索される。また、強調表示されている動作内容が『糸切り』であれば、糸を切断する動作内容(糸切り)のステップデータが検索される。
【0086】
このs380の処理による検索で、該当するステップデータが検出されたら(s390:YES)、マイコン31は、縫製枠21の位置を、検出されたステップデータ(以降、第iステップデータとする)の動作が開始される直前における位置まで移動させる(s400)。この処理においては、縫製枠21(縫製対象200)が、第n−1ステップデータから第iステップデータまでの各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動するように、各ステップデータそれぞれで特定される縫目の長さ、または、縫製枠21の移動量だけ縫製枠21の位置を戻すための制御信号が各駆動回路23、25へ順次出力される。これによって、縫製枠21は各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置へ順次移動しながら、第iステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動する。
【0087】
また、このs400の処理では、縫製枠21の移動に伴って、s320の処理で表示パネル33に表示されたステップ表示画面(図4(a)参照)の表示内容についても、各ステップデータに対応する動作内容に順次変更されていき、最終的には、第iステップデータを中心にして、第i−1から第i+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示した表示内容になる。
【0088】
次に、マイコン31は、縫製枠21が第iステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動した際に、縫製枠21の移動が終了したことを報知する(s410)。この処理においては、縫製枠21の移動が終了したことを報知する旨の音声をスピーカ36から出力させるための制御信号がスピーカ駆動回路37へ出力される。これによって、スピーカ36から音声が出力される。
【0089】
そして、マイコン31は、s380の処理で検出されたステップデータのステップを示す値「i」を変数Nにセット(i→N)する(s420)。これによって、以降の処理(s520の処理)で終了キーが操作されて、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻った際には、第iステップから縫製が再開される。
【0090】
また、s340の処理で行われたキー操作が前方検索キーであれば(s350−s380:NO、s430:YES)、マイコン31は、第n+1ステップデータ以降のステップデータから該当するステップデータを検索する(s440)。この処理においては、動作内容表示領域aに強調表示されている動作内容であって、かつ、移動量表示領域bに表示されている移動量および強調表示されている境界条件で示される条件に該当するステップデータが、第n+1ステップから順番に検索される。
【0091】
このs440の処理による検索で、該当するステップデータが検出されたら(s450:YES)、マイコン31は、検出されたステップデータ(以降、第jステップデータとする)の動作が開始される直前における位置まで縫製枠21を移動させる(s460)。この処理においては、縫製枠21(縫製対象200)が、第n+1ステップデータから第jステップデータまでの各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前における位置へ順次移動するように、各ステップデータそれぞれで特定される縫目の長さ、または、縫製枠21の移動量だけ縫製枠21の位置を進めるための制御信号が各駆動回路23、25へ順次出力される。これによって、縫製枠21は各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前における位置へ順次移動しながら、第jステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動する。
【0092】
また、このs460の処理では、縫製枠21の移動に伴って、s320の処理で表示パネル33に表示されたステップ表示画面(図4(a)参照)の表示内容についても、各ステップデータに対応する動作内容に順次変更されていき、最終的には、第jステップデータを中心にして、第j−1から第j+1ステップデータまでの動作内容をそれぞれ表示した表示内容になる。
【0093】
次に、マイコン31は、縫製枠21が第jステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動した際に、縫製枠21の移動が終了したことを報知する(s470)。この処理においては、縫製枠21の移動が終了した旨を報知するための音声をスピーカ36から出力させるための制御信号がスピーカ駆動回路37へ出力される。これによって、スピーカ36から音声が出力される。
【0094】
そして、マイコン31は、s430の処理で検出されたステップデータのステップを示す値「j」を変数Nにセット(j→N)する(s480)。これによって、以降の処理(s510の処理)で終了キーが操作され、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻った際には、第jステップから縫製が再開される。
【0095】
また、s340の処理で行われたキー操作が編集キーであれば(s350−s370−s430:NO、s490:YES)、マイコン31は、利用者に縫製データを編集させる(s500)。この処理においては、まず、縫製データ編集用の画面が表示パネル33に表示される。この画面は、入力パネル34による操作で編集を終了するための操作が行われるまで表示され続け、利用者は、この間に入力パネル34による操作で縫製データを編集することになる。なお、縫製データの編集とは、ステップデータの動作内容および移動量を修正したり、ステップデータを追加または削除するといったことである。
【0096】
なお、上述したs350の処理で利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定された条件を指定し、この条件に該当するステップデータがs380またはs440の処理で検出された場合、このs500の処理において、本ステップ検索処理から縫製処理(図2)へ戻る前に、検出されたステップデータがトラブルの要因にならないように修正することが望ましい。
【0097】
また、s340の処理で行われたキー操作が位置復帰キーであれば(s350−s370−s430−s490:NO、s510:YES)、マイコン31は、縫製枠21の位置を本ステップ検索処理の開始時における位置へ戻す(s520)。この処理においては、x軸モータ22およびy軸モータ24を駆動させて縫製枠21(縫製対象200)を、第mステップデータの動作が行われる直前における位置まで移動させるための制御信号が、各駆動回路23、25へ出力される。これによって、縫製枠21(縫製対象200)が第mステップデータの動作が行われる直前における位置まで移動する。変数Mにセットされている値「m」は、本ステップ検索処理開始時におけるステップを示す値であるため、上述したように縫製枠21を第mステップデータの動作が行われる直前における位置へ移動させることによって、縫製枠21を本ステップ検索処理の開始時における位置へ戻すことができる。
【0098】
そして、マイコン31は、変数Mにセットされている値「m」を変数Nにセット(m→N)する(s530)。
こうして、s360、s420、s480、s500、s520の処理を終えた後、または、s390、s450の処理で該当するステップデータが検出されないとき(s390、s450:NO)、s340の処理へ戻る。
【0099】
また、s340の処理で行われたキー操作が終了キーであれば(s350−s370−s430−s490−s510:NO)、本ステップ検索処理を終了する。
[本発明との対応関係]
以上説明したミシン1において、マイコン31および入力パネル34は、図3におけるs350の処理で本発明における指定手段として機能している。
【0100】
また、マイコン31は、図3におけるs380、s440の処理で本発明における検索手段として機能している。
また、マイコン31、または、マイコン31および各駆動回路13、23、25は、図3におけるs400、s460、s520の処理で本発明における変更手段として機能している。
【0101】
また、マイコン31およびスピーカ36は、s410、s470の処理で本発明における報知手段として機能している。
また、制御部30、または、制御部30および各駆動回路13、23、25は、本発明におけるミシン制御装置を構成するものである。
【0102】
[効果]
このように構成されたミシン1によれば、図3のステップ検索処理で、後方検索キーを操作(s370の処理)することによって、条件指定キーの操作により指定(s350の処理)された条件のステップデータが、第n−1ステップデータ以前のステップデータの中から検索される(s380の処理)。ここで、第nステップデータは、図2におけるs180の処理で縫製が停止されたステップデータである。そのため、縫製の停止がトラブルの発生に起因する場合、利用者は、図3のステップ検索処理でトラブルの要因になったと推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定することによって、トラブルが発生したと推定されるステップ(ステップデータ)をマイコン31に検索させることができる。よって、従来のように各ステップの動作内容を逐一チェックしていく必要がないため、トラブルが発生したと推定されるステップ(ステップデータ)を容易に探し出すことができる。
【0103】
さらに、図3のステップ検索処理では、縫製枠21の位置が、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置に移動する(s400の処理)。そのため、トラブルが発生したと推定されるステップデータの動作が開始される直前における位置まで縫製枠21を移動させるための操作を行う必要がないため、図2の縫製処理で縫製を再開させる(図2におけるs200の処理)までに要する手間を減らすことができる。
【0104】
また、図3のステップ検索処理で、前方検索キーを操作(s430の処理)することによって、条件指定キーの操作により指定(s350の処理)された条件のステップデータが、第n+1ステップデータ以前のステップデータの中から検索される(s440の処理)。そのため、図2の縫製処理で縫製が停止された際(s180の処理)、図3のステップ検索処理でトラブルの要因になると推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定することによって、縫製の停止された以降のステップ(ステップデータ)の中に、トラブルの要因になると推定されるステップ(ステップデータ)が含まれているかどうかをマイコン31にチェックさせることができる。
【0105】
さらに、トラブルの要因になると推定されるステップデータが検出された際には(s450の処理)、このステップデータがトラブルの要因にならないように縫製データをあらかじめ修正しておくことによって(s500の処理)、トラブルが発生することを未然に防ぐことができる。
【0106】
また、図3のステップ検索処理では、ステップデータを検索する際の検索対象を、第n−1ステップデータ以前(s380の処理)および第n+1ステップ以降(s440の処理)のいずれにするかを、後方検索キー(s370の処理)を操作するか、前方検索キー(s430の処理)を操作するかによって、利用者が任意に選択することができる。
【0107】
また、図3のステップ検索処理では、第n−1またはn+1ステップデータから順番に該当するステップデータが検索されるため(s380、s440の処理)、第nステップデータに最も近いステップデータを検出することができる。そのため、図2におけるs180の処理でトラブルの発生により縫製が停止された際、図3のステップ検索処理で、利用者がトラブルの要因になった(なる)と推定した動作内容を条件指定キーの操作により指定する(s350の処理)ことによって、トラブルが発生した(トラブルの要因になる)と推定されるステップデータとして、第nステップデータに最も近いステップデータを検出することができる。
【0108】
トラブルの発生により縫製が停止された場合、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでには、数ステップ分の動作が行われてしまう。そのため、縫製が停止されるステップは、トラブルの発生したステップより後のステップではあるが、トラブルの発生したステップから大きく離れることはない。このことから、トラブルが発生したと推定されるステップは、縫製が停止されたステップ付近に存在していることになるため、縫製が停止されたステップに対応するステップデータから順番に該当するステップデータを検索することは、トラブルが発生したと推定されるステップを探し出すには好適である。
【0109】
また、図3のステップ検索処理では、条件指定キーによる操作で指定(s350の処理)された長さの範囲で縫目が形成される動作内容(ステッチ)のステップデータがマイコン31により検索される(s380、s440の処理)。そのため、利用者が、縫目を形成する動作内容について、トラブルの要因になった(なる)と推定される縫目の長さを条件指定キーの操作により指定することによって、トラブルの要因になった(なる)と推定される長さ範囲で縫目が形成されるステップ(ステップデータ)をマイコン31により検索させることができる。
【0110】
また、図3のステップ検索処理では、利用者が、条件指定キーによる操作で指定(s350の処理)した長さの範囲で縫製枠21が移動する動作内容(フィード)のステップデータを、マイコン31により検索させることができる(s380、s440の処理)。
【0111】
また、図3のステップ検索処理では、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで、縫製枠21が各ステップデータそれぞれの動作が開始される直前の位置まで順次移動する(s400、s460の処理)。そのため、縫製枠21の移動に伴って、縫い針100と縫製対象200との位置関係が変更されていく様子を各ステップについて順次確認することができる。
【0112】
また、図3のステップ検索処理では、検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで縫製枠21が移動したことが報知されるため(s410、s470の処理)、縫製枠21の移動が終了したことを確認することができる。
【0113】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、ミシン1がそれぞれ色の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製する多針ミシンであるものを例示した。しかし、ミシン1が、色以外に太さや材質といった種類の異なる糸がセットされた複数の縫い針100を選択的に使用しながら縫製対象200を縫製するように構成してもよい。この場合、上記実施形態において「色」との記載を、「太さ」または「材質」と読み替えるものとする。
【0114】
また、上記実施形態においては、縫製データが記憶装置32に記憶されている、または、記録用ディスク300から入力されるように構成されたものを例示した。しかし、制御部30が無線または有線の通信路を介して他のコンピュータシステムなどとデータ通信可能に構成されていれば、縫製データが通信路経由で入力されるように構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、図2の縫製処理および図3のステップ検索処理を、制御部30の備えるマイコン31が実行するように構成されたものを例示した。しかし、図2の縫製処理および図3のステップ検索処理を、無線または有線の通信路を介してミシン1とデータ通信可能に接続された他のコンピュータシステムが実行するように構成してもよい。
【0116】
また、上記実施形態においては、縫製枠21を移動させることによって、縫い針100と縫製対象200との位置関係を変更させるように構成されたものを例示した。しかし、縫い針100と縫製対象200との位置関係を変更させるために、縫製枠21だけでなく、針棒11がx軸およびy軸方向に移動できるように構成してもよい。
【0117】
また、上記実施形態においては、図3のステップ検索処理が、図2の縫製処理において縫製が停止された後(s180の処理)に実行されるように構成されたものを例示した。しかし、図3のステップ検索処理は、縫製データに従った縫製が終了した後、または、縫製データに従った縫製を開始する前であっても、ステップ検索操作が行われることによって実行されるように構成してもよい。
【0118】
また、上記実施形態においては、図2におけるs170の処理で縫製を停止する要因として、トラブルの発生を検出したかどうか、および、入力パネル34により縫製を一時中断させるための操作が行われたかどうかをチェックするように構成されたものを例示した。しかし、s170の処理において、縫製を停止する要因として他の状態をも検出するように構成してもよい。
【0119】
また、上記実施形態においては、図3におけるs380(s440)の処理で、該当するステップデータを第n−1(第n+1)ステップから順番に検索するように構成されたものを例示した。しかし、該当するステップデータは、第nステップデータから順番に検索するように構成してもよい。
【0120】
また、該当するステップデータの検索を開始するのは、第n−1(第n+1)ステップからでなくてもよく、例えば、ステップと異なる色の糸で縫目を形成する動作内容のステップデータ、つまり、第n−1(第n+1)ステップデータに最も近いステップデータで動作内容が『針棒切替』となっているステップデータから検索を開始するように構成してもよい。また、縫製データが複数の刺繍模様を縫製対象Cに形成するためのデータであれば、第n−1(第n+1)ステップデータに最も近いステップデータで各刺繍模様における縫製開始位置(または、縫製終了位置、縫製途中(模様の中央)の位置)に対応するステップデータから検索を開始するように構成してもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、図3におけるs380(s440)の処理で該当するステップデータを検索し、該当するステップデータが検出された場合に、s400(s460)の処理で、縫製枠21の位置を検出されたステップデータの動作が開始される直前における位置まで移動させるように構成されたものを例示した。しかし、s380からs420(s440からs480)の処理の替わりに、以下に示すような処理を行うように構成してもよい。まず、第n−1(第n+1)ステップデータが該当するステップデータかどうかのチェックを行うと共に、縫製枠21を第n−1(第n+1)ステップデータの動作が開始される直前における位置に移動し、変数Nに「n−1(n+1)」をセットする。そして、ここまでの処理を、第n−1(第n+1)ステップデータから順に各ステップデータに対して順次行い、ステップデータのチェックにおいて該当するステップデータである場合に、縫製枠21の移動が終了したことを報知した後、s340の処理に戻る。
【0122】
また、上記実施形態においては、図3におけるs400、s460の処理で、縫製枠21が各ステップデータの動作が開始される直前(縫製順での直前)の位置(検出されたステップデータの一つ前のステップデータの動作までが終了した時点における位置関係)に順次移動するように構成されたものを例示した。しかし、s400、s460の処理において、縫製枠21が各ステップデータの動作が終了した時点における位置(ステップデータの動作が終了した状態に相当する位置)まで移動するように構成してもよい。また、s400、s460の処理では、s390、s450の処理で検出されたステップデータの動作が開始される直前の位置に直接移動するように構成してもよい。
【0123】
また、上記実施形態においては、図3におけるs410、s470の処理で、スピーカ36から音声を出力することによって縫製枠21の移動が終了したことを報知するように構成されたものを例示した。しかし、縫製枠21の移動が終了したことを報知するためには、例えば、縫製枠21の移動が終了した旨のメッセージを表示パネル33に表示させるように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態の図3におけるs400の処理で縫製枠21を移動させる際、縫製の停止(図2におけるs180の処理)されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内、つまり、第nステップデータから遡って動作内容が『針棒切替』となっているステップデータまでの範囲内でなければ縫製枠21を移動させないようにし、この範囲外のステップデータである場合には、s400、s410、s420の処理を行うことなくs340の処理に戻るように構成してもよい。
【0125】
通常、同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップの数は、トラブルが発生してから縫製が停止されるまでのステップ数よりも充分に大きな数になっている。そのため、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。このことから、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップにおける位置への縫製枠21の移動は、トラブルが発生したステップにおける位置へ縫製枠21を移動させるうえでは無用な移動ということになる。
【0126】
よって、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップでなければ縫製枠21を移動させないように構成すれば、縫製枠21の無用な移動が行わなくなるため、トラブルの発生したステップから縫製を再開させるまでに要する操作の手間をさらに減らすことができる。
【0127】
また、上記実施形態の図3におけるs400の処理で縫製枠21を移動させる際、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でなければ縫製枠21を移動させないようにし、この範囲外のステップデータである場合には、s410、s420の処理を行うことなくs340の処理に戻るように構成してもよい。
【0128】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、所定数のステップまでの範囲外のステップは、縫製の停止されたステップから大きく離れたステップとみなすことができ、このようなステップは実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低いことになる。このことから、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップにおける縫製枠21の移動は、トラブルが発生したステップにおける位置へ縫製枠21を移動させるうえでは無用な移動ということになる。
【0129】
よって、縫製の停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内のステップでなければ縫製枠21を移動させないように構成すれば、縫製枠21の無用な移動が行われなくなるため、トラブルの発生したステップから縫製を再開するまでに要する操作の手間をさらに減らすことができる。
【0130】
また、上記実施形態の図3におけるs380の処理で該当するステップデータを検索する際、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内、つまり、第nステップデータから遡って動作内容が『針棒切替』となっているステップデータまでの範囲内で該当するステップを検索するように構成してもよい。
【0131】
このように構成すれば、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップの範囲内でのみ、該当するステップの検索が行われる。このように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは検索対象から除外されている。
【0132】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップの中から、該当するステップを検索することは、トラブルの要因になったステップデータを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0133】
よって、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップを検索対象から除外することで、無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0134】
また、上記実施形態の図3におけるs380の処理で該当するステップデータを検索する際、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内で該当するステップを検索するように構成してもよい。
このように構成すれば、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲内でのみ、該当するステップの検索が行われる。このように、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップは検索対象から除外される。
【0135】
ここで、『所定数』として、トラブルが発生したステップから縫製が停止されるステップまでのステップ数として推定される数よりも充分に大きい数を設定しておけば、上述したように、所定数のステップまでの範囲外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップについて、該当するステップを検索することは、トラブルの要因になったステップデータを検索するうえでは無用な検索ということになる。
【0136】
よって、縫製が停止されたステップから所定数のステップまでの範囲外のステップを検索対象から除外することで、無用な検索を行わなくてよくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【0137】
また、s330の処理で表示パネル33に表示される条件指定画面において、図5に示すように、s380の処理で検索べきステップデータの条件として検索対象の範囲を指定させるための範囲指定領域cを設け、検索対象の範囲を指定するためのキー(条件指定キー;例えば、「+」キー)が操作(押下)される毎に、検索対象の範囲が『同じ糸色』、『異なる糸色』、『全て』、『同じ糸色』、・・・の順で強調表示されるように構成し、強調表示されている検索対象の範囲が、検索すべきステップデータの条件として指定されたこととなるようにしてもよい。なお、『同じ糸色』とは、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で縫い目を形成するステップまでの範囲、つまり、第nステップデータから動作内容が『針棒切替』となるまでのステップデータである。また、『異なる糸色』とは、縫製が停止されたステップと異なる色の糸で縫い目を形成するステップ、つまり、第nステップデータから動作内容が『針棒切替』となっているステップデータ以後または以前のステップデータのことである。そして、『全て』は、『同じ糸色』、『異なる糸色』を含む全てのステップデータのことである。
【0138】
このように構成すれば、条件指定キーの操作によって検索対象の範囲を指定することができる。
特に、これら検索対象の範囲のうち『同じ糸色』によって、縫製が停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成する動作内容のみを利用者に指定させることができる。
【0139】
上述したように、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップは、実際にトラブルの発生したステップになる可能性が低い。このことから、縫製の停止されたステップと同じ色の糸で連続して縫目を形成するステップ以外のステップをも検索対象とすることは、利用者に無用な操作を行わせてしまうことになる。
【0140】
よって、『同じ糸色』を検索対象として利用者に指定させることで、利用者に無用な操作を行わせることがなくなるため、結果的に縫製枠21の無用な移動が行われなくなり、縫製を再開するまでの手間をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミシンの制御系統を示すブロック図
【図2】縫製処理の処理手順を示すフローチャート
【図3】ステップ検索処理の処理手順を示すフローチャート
【図4】ステップ表示画面(a)、条件指定画面(b)を示す図
【図5】別の実施の形態における条件指定画面を示す図
【符号の説明】
1・・・ミシン、10・・・縫い針駆動部、11・・・針棒、12・・・主軸モータ、13・・・主軸駆動回路、14・・・切替機構、15・・・切替駆動回路、16・・・切断機構、17・・・切断駆動回路、18・・・糸センサ、20・・・縫製対象駆動部、21・・・縫製枠、22・・・x軸モータ、23・・・x軸駆動回路、24・・・y軸モータ、25・・・y軸駆動回路、30・・・制御部、31・・・マイクロコンピュータ、32・・・記憶装置、33・・・表示パネル、34・・・入力パネル、35・・・ディスクドライブ、36・・・スピーカ。
Claims (13)
- 縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンであって、
縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、
前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、
縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検出されたステップにおける位置関係に変更する変更手段とを備えている、ことを特徴とするミシン。 - 前記検索手段は、前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以降のステップについて、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
- 前記検索手段は、前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから順に検索する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミシン。
- 前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、
前記指定手段は、縫い針により縫製対象に形成される縫目の長さ範囲を利用者に指定させることを、該長さ範囲内の縫目が形成されるような動作内容として指定させて、前記検索手段は、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された前記長さ範囲内の縫目を形成する動作内容となっているステップを検索する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のミシン。 - 前記変更手段は、縫い針と縫製対象との位置関係を、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから前記検索手段により検索されたステップまで、それぞれのステップにおける位置関係に順次変更する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のミシン。
- 縫い針と縫製対象との位置関係が、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更されたことを報知する報知手段を備えている、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のミシン。
- 前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のミシン。
- 前記変更手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、縫い針と縫製対象との位置関係を変更する、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のミシン。
- 前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、
前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、該ステップと同じ種類の糸で連続して縫目を形成するステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のミシン。 - 前記検索手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップから、所定数のステップまでの範囲内で、該当するステップを検索する、ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のミシン。
- 前記縫製データで示される前記複数のステップには、縫い針により特定種類の糸で縫製対象に縫目を形成させるステップが含まれており、前記指定手段は、所定の停止条件に基づいて縫製が停止されたステップと同じ種類の糸で縫目を形成する動作内容を利用者に指定させる、ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のミシン。
- 縫製対象を縫い針により縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンを制御するミシン制御装置であって、
縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定手段と、
前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定手段により指定された動作内容となっているステップを検索する検索手段と、
縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索手段により検索されたステップにおける位置関係に変更させる変更手段とを備えている、ことを特徴とするミシン制御装置。 - 縫製対象を縫製する手順を連続する複数のステップで示した縫製データに従って縫製対象を縫製するミシンにおいて、縫い針と縫製対象との位置関係を変更させるための各種処理を、コンピュータシステムに実行させるための位置関係変更プログラムであって、
縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方の動作内容を利用者に指定させる指定処理と、
前記縫製データにおける前記複数のステップのうち、所定の停止条件に基づいて縫製が停止された以前のステップについて、縫い針および縫製対象のいずれか一方または両方が前記指定処理において指定された動作内容となっているステップを検索する検索処理と、
縫い針と縫製対象との位置関係を、前記検索処理において検索されたステップにおける位置関係に変更する変更処理とを含んでいる、ことを特徴とする位置関係変更プログラム。
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WO2011024761A1 (ja) | 2009-08-27 | 2011-03-03 | 住友化学株式会社 | 金属錯体組成物及び錯体高分子 |
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2002
- 2002-06-24 JP JP2002182954A patent/JP2004024400A/ja active Pending
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WO2011024761A1 (ja) | 2009-08-27 | 2011-03-03 | 住友化学株式会社 | 金属錯体組成物及び錯体高分子 |
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