JP2004020854A - 光学部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロベンドロスを抑制し、伝送特性の安定した光学部品を提供すること。
【解決手段】光学部品P1では、ドーナツ型の光ファイバ収納ケース21内に光ファイバコイル31が収納される。光ファイバコイル31は、光ファイバ11がコイル状に巻き回されることにより構成され、その巻き歪みが実質的に解放されたコイル状態とされる。光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22内に配設される。光ファイバ収納ケース21内には、光ファイバ11を包み込むように光ファイバ11の外周面に直接に接する状態でクッション性の充填材41が充填される。また、充填材41は、光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21a及び外側壁部分21bに接している。光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間には、シールド材51が設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】光学部品P1では、ドーナツ型の光ファイバ収納ケース21内に光ファイバコイル31が収納される。光ファイバコイル31は、光ファイバ11がコイル状に巻き回されることにより構成され、その巻き歪みが実質的に解放されたコイル状態とされる。光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22内に配設される。光ファイバ収納ケース21内には、光ファイバ11を包み込むように光ファイバ11の外周面に直接に接する状態でクッション性の充填材41が充填される。また、充填材41は、光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21a及び外側壁部分21bに接している。光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間には、シールド材51が設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分散補償器、モード分散補償器、光増幅器、光ファイバジャイロ等に用いられる光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光増幅器、波長分散補償器、モード分散補償器、光ファイバジャイロ等に用いられる光学部品及びその製造方法としては、特開平10−123342号公報に記載されたもの等が知られている。光学部品に含まれる光ファイバコイルは、その光経路上で光信号に対して所望の作用を発揮する。たとえば、光増幅器に用いられる光ファイバコイルは、エルビウムをドーピングしたEDF(Erbium Doped optical−Fiber)をコイル化したもので、光ファイバの光経路上で光信号を増幅させる。
【0003】
ここで、光を増幅させるためには、ある程度の長さのEDFが必要となるが、光増幅器の内部に効率よく収納するにはEDFをコイル状態にするのがよい。このため、光ファイバをコイル状態にした光ファイバコイルが用いられている。光増幅器以外の波長分散補償器、モード分散補償器、光ファイバジャイロ等の他の光学部品に用いられる光ファイバコイルも同様である。従来の光ファイバコイルは、ボビンに光ファイバを巻きつけて構成されるのが一般的であった。
【0004】
しかし、巻き重ねられた光ファイバには張力が残っており、これがもとでマイクロベンドロスが発生する。また、ボビンと光ファイバとの線膨張係数の違いにより、光ファイバにボビン変形による応力がかかるため、伝送損失が温度によって変化してしまう。そこで、上述した公報に記載のもののように様々な工夫を施し、ボビンレスの光ファイバコイルやこれと同等の効果が得られるボビンの構造等も検討されている。
【0005】
その中の一つである特開平10−123342号公報に開示された技術は、ボビンに波長分散補償光ファイバ(Dispersion Compensation optical−Fiber)を巻きつけて光ファイバコイルを形成した後、光ファイバコイルを抜き取って巻きほぐし、コイル状にしてケースに収容するか、ボビン自体の径を小さくして、コイルをボビンに保持したまま巻きほぐすことにより、光ファイバに作用する側圧を低減させる技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、巻きほぐされた状態の光ファイバは自由に移動できる状態にあるため、振動や衝撃によりコイルが変形しやすく、コイルの変形によって曲げ損失が生ずるという問題点がある。こうしたコイルの変形を防ぐ技術として、特開平10−123342号公報には、束状のコイルを離散的に数箇所で固定したり、コイルをボビンを含む収納ケースにクッション材で固定する技術が開示されている。しかし、いずれも光ファイバを全長にわたって固定するわけではないので、振動が長期的に付加されると、振動ずれを生じ、局所的な曲げが発生して、曲げ損失が生ずるおそれがある。特開昭62−91810号公報には、ファイバの周囲及び接続部を樹脂で固定した光ファイバジャイロが開示されているが、DCFは曲げに弱く、光ファイバジャイロで用いられるファイバに比べてはるかに長尺であるため、この樹脂の押圧力でマイクロベンド損失が発生してしまう虞があり、この技術は適用できない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、マイクロベンドロスを抑制し、伝送特性の安定した光学部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学部品は、コイル状に巻き回された光ファイバより構成される光ファイバコイルと、光ファイバコイルを収納する収納ケースと、光ファイバコイルを覆い、光ファイバコイルを保持するためのクッション性の充填材と、収納ケースの底面と充填材との間に設けられ、充填材のヤング率よりも高く収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材とを備え、充填材は、収納ケースの側面と接していることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る光学部品では、光ファイバコイルを収納ケースに収納して、クッション性の充填材で光ファイバコイルを保持しているので、光ファイバをコイル状に巻き回したために光ファイバに及ぼす側圧は緩和される。そして、充填材がクッション性であるため、光ファイバに余計な側圧が付加されることがなく、長期的に付加される振動により光ファイバコイルの形状が変化するのを抑制することができる。また、シールド材が収納ケースの底面と充填材との間に設けられているので、収納ケースの底面から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのを抑制して、光ファイバ同士が接触することにより発生する側圧を低減することができる。
【0010】
ところで、収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けた場合、当該シールド材の温度変化による膨張・収縮が応力として光ファイバコイルにその径方向から作用することになり、マイクロベンドロスやその他の光学特性に影響を及ぼす。このため、本発明では、充填材が収納ケースの側面と接しており、上述した収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【0011】
これらの結果、本発明に係る光学部品においては、光ファイバコイルにおけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0012】
また、充填材の上面に設けられ、充填材のヤング率よりも高く収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材を更に備えることが好ましい。このように構成した場合、充填材はシールド材により収納ケース内に封止されて、その移動が規制されることになる。これにより、外部から振動、衝撃等が作用することにより充填材が移動して光ファイバ同士が接触することにより発生する側圧をより一層低減することができる。
【0013】
また、充填材及びシールド材は、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材の硬化後のヤング率が充填材の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0014】
また、シールド材は、硬化後のヤング率が9.80N/mm2以上490N/mm2以下である物性を有していることが好ましい。このように構成した場合、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのをより一層効果的に抑制することができる。
【0015】
また、シールド材は、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性を有するゲルであることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。シールド材の取り扱いも容易となる。
【0016】
また、シールド材は、高粘性ゲル状混和物であることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0017】
また、充填材とシールド材との密着力が98mN/cm以上に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、充填材とシールド材とが剥離するのを抑制でき、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができる。
【0018】
また、充填材による光ファイバコイルの被覆厚みは、シールド材の厚みの2倍以上に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0019】
また、シールド材の厚みは、光ファイバの被覆層の厚みよりも大きく設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0020】
また、シールド材は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。なお、本明細書におけるちょう度の測定は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すい(1/4コーン:質量9.38g)を使用し、23℃下において当該コーンを落としてから5秒後のコーン進入量を測定することで行っている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による光学部品の好適な実施形態について詳細に説明する。以下、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、図1〜図7に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部品を示す概略平面図であり、図2は、同じく要部概略断面図である。図1は、光ファイバ収納ケース及び収納ケースの蓋を取り外した状態を示している。本第1実施形態の光学部品は、波長分散補償光ファイバ(以下、DCFとも言う)によるDCFM(Dispersion Compensation optical−Fiber Module)として用いられているものである。DCFは、シングルモード光ファイバなどの伝送路用光ファイバと逆符号の波長分散特性を持つ光ファイバで、光伝送路の波長分散を相殺させることができる光ファイバである。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本第1実施形態の光学部品P1は、ドーナツ型の光ファイバ収納ケース21内に光ファイバコイル31が収納されている。光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21aと外側壁部分21bと底面部分21cとを有している。光ファイバコイル31は、光ファイバ11がコイル状に巻き回されることにより構成され、その巻き歪みが実質的に解放されたコイル状態とされている。光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22内に配設されている。
【0024】
光ファイバ11(光ファイバコイル31)の両端は、光ファイバ収納ケース21の外側に出されており、収納ケース22内においてそれぞれピグテールファイバ61の一端に融着接続部62で接続されている。ピグテールファイバ61の他端には、収納ケース22に取り付けられたコネクタ63が接続されている。収納ケース22は蓋(図示せず)が取り付けられて、密封される。ここで、光ファイバ収納ケース21は、各請求項における収納ケースを構成している。
【0025】
光ファイバ収納ケース21内には、光ファイバ11を包み込むように光ファイバ11の外周面に直接に接する状態でクッション性の充填材41が充填されている。充填材41は、光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21a及び外側壁部分21bに接している。ここで、充填材41は、コイル状態の光ファイバ11の間にも入り込んでいることが好ましい。
【0026】
光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間には、シールド材51が設けられている。そして、光ファイバ収納ケース21は蓋21dが取り付けられて、密封される。なお、本第1実施形態においては、充填材41は、蓋21dとの間において充填材41上方に空間が形成されないように充填されているが、充填材41の上方に空間が形成されるように充填してもよい。
【0027】
光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22に固定してもよく、また、固定しなくてもよい。光ファイバ収納ケース21を収納ケース22に固定しない場合には、収納ケース22内に充填材41等を充填し、光ファイバ収納ケース21、融着接続部62、ピグテールファイバ61等を覆うことが好ましい。
【0028】
ここで、巻き歪みが実質的に解消された状態とは、巻き取りに伴う波長1.50μm以上の波長帯における伝送損失増加を0.1dB/km以上低減させた状態を指すものとする。本第1実施形態の光ファイバ11は、中心胴体としてのボビンに巻回された後に、ボビンから外されてコイル状態(光ファイバコイル31)にされたものである。ボビンから取り外して巻きほぐした状態の光ファイバ11の伝送損失増加は、特開平10−123342号公報に開示されているようにほとんど解消され、巻き歪みが解消されれば、それに伴う伝送損失も解消されるからである。
【0029】
図3は、この光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11の断面図であり、図4は、その屈折率プロフィールを示す一例の図であり、これ以外の屈折率プロフィールでもよい。図3に示されるように、この光ファイバ11は、ガラス部12を中心に同心円柱殻状の2層の樹脂製の被覆層13,14を有している。ガラス部12は、コア部の径aが2.7μm、ディプレスト部の径bが6.6μmの2重クラッド型DCFであり、その外径cは120μm、一次被覆層13の厚みdは15μm、二次被覆層14の厚みeも15μmであり、ファイバ外径fは190μmである。そして、クラッド部の屈折率に対するコア部、ディプレスト部のそれぞれの屈折率の増減であるΔ+、Δ−は、それぞれ1.9%、−0.4%である。なお、20℃において、一次被覆層13のヤング率は0.98N/mm2(0.1kgf/mm2)であり、二次被覆層14のヤング率は784N/mm2(80kgf/mm2)である。この光ファイバ11の波長分散、波長分散傾斜は、それぞれ波長1.55μmで−120ps/nm/km、−0.28ps/nm2/kmであり、伝送損失は0.40dB/kmである。
【0030】
この波長分散値及び波長分散傾斜値は、この光学部品P1に対して接続される伝送路用光ファイバのものと逆符号とされている。即ち、本第1実施形態の光学部品P1を用いることによって、伝送路の光ファイバによって生じた波長分散を補償できる。また、波長帯伝送用としては波長分散傾斜を逆符号とすることにより、波長帯にわたり波長分散を補償することができる。また、光ファイバ11の使用波長帯域が、1.50μm以上であると、通常光ファイバに見られる、アクリレート系紫外線硬化樹脂、シリコーン樹脂などの被覆によるマイクロベンドによる損失増が大きいため、本発明は非常に有効である。
【0031】
充填材41及びシールド材51としては、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性等の化学反応により硬化するシリコーン樹脂(たとえば、シリコーンゲル)、あるいは、ブタジエン、シリコーンなどのゴムをシリコーン、ナフテンなどの溶剤で膨潤させ、必要に応じて他の樹脂等を添加した高粘性ゲル状混和物などが使用できる。
【0032】
光ファイバコイル31は、光ファイバ収納ケース21の側壁に接触しない位置となるように、硬化された充填材41内で固定されている。このように、光ファイバコイル31が、光ファイバ収納ケース21の側壁に接触しない位置となるように、硬化された充填材41内で固定されることにより、光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11と光ファイバ収納ケース21の側壁との接触を確実に抑制することができる。
【0033】
充填材41は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて測定したちょう度が、測定温度−40℃で5以上であると共に、測定温度+100℃で200以下の二次被覆層14よりも十分に柔らかい(低ヤング率を有する)物性を有している。特に、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて測定したちょう度が測定温度+23℃で5以上200以下の物質である。なお、−40℃〜+100℃の温度範囲は、光学部品P1の実用使用温度範囲であり、+23℃は、光学部品P1の一般的な使用温度である。
【0034】
シールド材51は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されている。なお、シールド材51の硬化後のヤング率は、9.80N/mm2(1kgf/mm2)以上490N/mm2(50kgf/mm2)以下である物性を有している。また、シールド材51の硬化後のヤング率は、充填材41の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく、光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも小さくなっている。なお、貯蔵ちょう度とヤング率の関係は、図5に示される通りである。
【0035】
充填材41による光ファイバコイル31の被覆厚みA1は、シールド材51の厚みA2の2倍以上に設定されている。また、シールド材51の厚みは、光ファイバ11の被覆層13,14の厚みよりも大きく設定されている。更に、充填材41とシールド材51との密着力が98mN/cm以上に設定されている。
【0036】
充填材41及びシールド材51は、60℃24時間の温度劣化試験後の水素発生量が0.001ml/g以下である。
【0037】
コイル状の光ファイバ11を通常の接着剤や樹脂で固定すると、硬化後の樹脂のヤング率は500N/mm2以上に達するため、光ファイバ11に過大な押圧力がかかって、それに伴う曲げ歪みが発生して好ましくない。このようなクッション性を有する、すなわち柔軟性に富み、高粘性の物質を充填材41として使用することにより、光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11に曲げ歪みを加えるような過大な押圧力を及ぼすことなく、光ファイバ11を確実に固定することが可能である。
【0038】
これには、充填材41として上述したちょう度を有するものが好ましい。ちょう度が5未満であると、光ファイバ11(光ファイバコイル31)のマイクロベンドによる長波長側損失が大きくなりすぎ、実用に向かない。また、ちょう度が200を超えるようであると、充填材41によって光ファイバコイル31の形状を保持できないので、使用しているうちにコイル状態が巻き崩れるなどして伝送特性を安定化させることができない。
【0039】
そして、光ファイバ11間にも充填材41を充填させることで、各光ファイバ11にかかる押圧力が均等化されるので、不規則な側圧により発生するマイクロベンド損失を抑制でき、こうした曲げ歪みに弱いために従来使用が困難であった細径ファイバ(ガラス部分の外径100μm以下)や非線形性が改善されるΔnの小さいファイバを使用した光ファイバコイルを容易に作製することが可能となる。即ち、本第1実施形態の光学部品P1は、このような充填材41を備えているので、外径100μmの光ファイバの使用が可能となり、このような細径ファイバを用いることによって、光学部品P1のユニット全体を小型化することができる。
【0040】
また、同様に曲げ歪みに弱く、従来使用が困難であった光ファイバ、即ち、使用波長帯域内にある波長において直径20mmに曲げた際の曲げ損失が1dB以上の光ファイバの使用が可能になった。
【0041】
このように、本第1実施形態においては、光ファイバコイル31を光ファイバ収納ケース21に収納して、クッション性の充填材41で光ファイバコイル31を保持しているので、光ファイバ11をコイル状に巻き回したために光ファイバ11に及ぼす側圧は緩和される。そして、充填材41がクッション性であるため、光ファイバ11に余計な側圧が付加されることがなく、長期的に付加される振動により光ファイバコイル31の形状が変化するのを抑制することができる。また、シールド材51が光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間に設けられているので、光ファイバ収納ケース21の底面部分21cから作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのを抑制して、光ファイバ11同士が接触することにより発生する側圧を低減することができる。
【0042】
ところで、光ファイバ収納ケース21の側面(内側壁部分21aと外側壁部分21b)と充填材41との間にシールド材51を設けた場合、当該シールド材51の温度変化による膨張・収縮が応力として光ファイバコイル31にその径方向から作用することになり、マイクロベンドロスやその他の光学特性に影響を及ぼすことになる。しかしながら、本第1実施形態では、充填材41が光ファイバ収納ケース21の側面(内側壁部分21aと外側壁部分21b)と接しており、上述した光ファイバ収納ケース21の側面と充填材41との間にシールド材51を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【0043】
これらの結果、光学部品P1においては、光ファイバコイル31におけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0044】
また、充填材41及びシールド材51は、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材51の硬化後のヤング率が充填材41の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく設定されている。これにより、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0045】
さらに、本第1実施形態の光学部品P1におけるシールド材51は、硬化後のヤング率が9.80N/mm2以上490N/mm2以下である物性を有している。これにより、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのをより一層効果的に抑制することができる。
【0046】
また、シールド材51は、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性を有するゲルである。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。シールド材51の取り扱いも容易となる。
【0047】
また、シールド材51として、高粘性ジェリー状混和物を用いた場合にも、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0048】
また、充填材41とシールド材51との密着力が98mN/cm以上に設定されている。これにより、充填材41とシールド材51とが剥離するのを抑制でき、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができる。
【0049】
また、充填材41による光ファイバコイル31の被覆厚みA1は、シールド材51の厚みA2の2倍以上に設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0050】
また、シールド材51の厚みは、光ファイバ11の被覆層13,14の厚みよりも大きく設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0051】
また、シールド材51は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0052】
また、本第1実施形態の光学部品P1における充填材41及びシールド材51は、上述したように、60℃24時間の温度劣化試験後の水素発生量が0.001ml/g以下である。水素が光ファイバ11のガラス部分(特にコア)に浸透すると伝送損失を悪化させてしまう。このため、60℃24時間の温度劣化試験を行った後の水素発生量が0.001ml/g以下のものを充填材41として用いることによって、光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性を良好なままに維持することが可能となる。上述した水素発生量が0.001ml/gを超えるようであると、充填材41からの水素発生量が多くなるので光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性が悪化してしまう。以上のことから、充填材41及びシールド材51から発生する水素が光ファイバ11に浸透することにより光ファイバ11の損失が増加するのを抑制することができ、実用に適した光学部品P1を得ることができる。
【0053】
なお、本第1実施形態においては、充填材41及びシールド材51自体を水素発生量の少ないものとするものであったが、充填材41及びシールド材51に水素を吸収する物質を含有させることによっても、同様の効果を得ることができる。充填材41及びシールド材51に水素吸収物質を含有させておけば、充填材41及びシールド材51が水素を発生させたとしても、含有させた水素吸収物質によって水素を吸着することができる。この結果、水素が光ファイバ11に作用することがなくなり、光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性を悪化させてしまうことを防止できる。水素吸収物質としては、Pd(パラジウム)合金、La(ランタノイド)−Ni合金、La−Ni−Mn合金、La−Ni−Al合金、V(バナジウム)−Ti−Cr合金などがある。
【0054】
本発明の光学部品において、充填材と光ファイバ収納ケースの底面との間にシールド材を設けると共に充填材を光ファイバ収納ケースの側面に接させたことによって得られる伝送損失低減効果を確認する試験を行った。試験には、実施例1として、長さ10kmの長尺光ファイバを胴径120mm(最外径200mm)のボビンに巻き取り、形成された光ファイバコイルをボビンから抜き取り巻きほぐしたコイル状態として、シールド材を底面に設けた光ファイバ収納ケースに略正円形状又は略長方形状の巻き形状で収納し、充填材を注入、硬化させたものを用いた。
【0055】
また、比較例1として、長さ10kmの長尺光ファイバを胴径120mm(最外径200mm)のボビンに巻き取り、形成された光ファイバコイルをボビンから抜き取り巻きほぐしたコイル状態として、光ファイバ収納ケースに略正円形状又は略長方形状の巻き形状で収納し、充填材を注入、硬化させ、その後シールド材を塗布し、充填材を光ファイバ収納ケース内に封止したものを用いた。
【0056】
なお、波長1.61μmにおける巻き取り前の長尺光ファイバの特性は、波長分散が−120ps/nm/km、波長分散傾斜−0.34ps/nm2/kmであった。
【0057】
ボビンに巻き取られた状態での長尺光ファイバの波長1.61μmにおける伝送損失は、0.63dB/kmであった。これに対して、実施例1は波長1.61μmにおける伝送損失が0.40dB/kmであり、比較例1は波長1.61μmにおける伝送損失が0.50dB/kmであった。このように、実施例1は、ボビンに巻き取られた状態のものに対して0.22dB/kmも損失を低減することでき、比較例2に対しても0.10dB/kmも損失を低減することでき、本発明の有効性が確認された。
【0058】
また、波長1.55μmでの伝送損失値を測定しても、伝送損失の増加はなく、また、70℃に72時間程度加熱放置した後に伝送損失を測定しても、長尺光ファイバが本質的に有する伝送損失の増加以外は見られなかった。更に、−20℃に72時間程度低温放置した後に伝送損失を測定しても、長尺光ファイバが本質的に有する伝送損失の増加以外は見られなかった。
【0059】
次に、充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間にシールド材を設け、当該シールド材の厚さを変更したときの伝送損失の変化を測定した。結果を図6に示す。図6に示されるように、充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間に設けられるシールド材の厚さを増加させるにしたがって、伝送損失が増加することが判明した。なお、シールド材の厚さが0mmである状態とは、充填材が光ファイバ収納ケースの側面に接している状態のことである。
【0060】
次に、図7に基づいて、上述した光学部品P1の製造方法について説明する。
【0061】
まず、光ファイバ11を中心胴体としてのボビンに複数回巻回させ、コイル状態とする(S101)。この際に、ボビンの手前に塗布手段を配置して液状の充填材41を光ファイバ11の外周に略均一に塗布して、光ファイバ11をボビンに巻回させてもよい。このように、光ファイバ11をボビンに巻回させる前に、液状の充填材41を塗布することにより、ボビンに巻き回された光ファイバ11はその隙間に充填材41が略均一に充填されることになる。
【0062】
次いで、ボビンから、コイル状態の光ファイバ11をコイル状態のまま取り外す(S103)。そして、取り外した状態で僅かな振動を与えるなどして、既に発生しているマイクロベンドを解消させる。
【0063】
コイル状態の光ファイバをボビンから取り外して巻きほぐすには、特開平10−123342号公報に開示されているように光ファイバをボビンに巻き回す前に、予めボビンの胴部に微粉末等の滑材を塗布しておいてから抜き取ることが好ましい。この滑材には、粉末無機質充填材として用いられるタルク(理化学辞典、四版、239頁)等が使用できる。あるいは、胴径を縮小できるボビンを用いて、光ファイバを巻き取った後にボビンの胴径を縮小することにより抜き取りを容易にしてもよい。なお、光ファイバをボビンに巻き取る時の張力は、小さい方が好ましく、0.4N以下であることが特に好ましい。
【0064】
そして、光ファイバ収納ケース21にシールド材51を注入し、光ファイバ収納ケース21の底面にシールド材51を付着させて、硬化させる(S105)。シールド材51を硬化させると、光ファイバ収納ケース21に液状の充填材41を少量注入し、充填材41の下地層を形成する(S107)。このように、光ファイバ収納ケース21に液状の充填材41を予め注入しておくことにより、光ファイバコイル31が光ファイバ収納ケース21の底面から受ける圧力も軽減できる。
【0065】
そして、コイル状態の光ファイバ11(光ファイバコイル31)を光ファイバ収納ケース21内に収納させ(S109)、光ファイバ収納ケース21内に残りの充填材41を注入し、光ファイバ11(光ファイバコイル31)の全体を充填材41によって包み込む。このとき、充填材41は、光ファイバ収納ケース21内に充填させ易い程度の流動性を有しており、光ファイバ11の全体を包み込むように光ファイバ収納ケース21内に充填された後に硬化され、光ファイバ11(光ファイバコイル31)を保持させる(S111)。
【0066】
なお、光ファイバ収納ケース21内に充填する際の充填材41は、コイル状態の光ファイバ11の間での気泡等の発生を防止するため、その表面張力が400μN/cm2以下とされていることが好ましい。また、充填材41が光ファイバ11間に十分に浸透するように、その粘度が10N・s/m2以下に保つことも好ましい。更に、充填材41の硬化の際、硬化開始から二時間以上、その粘度が10N・s/m2以下に保たれていることが好ましい。このようであると、充填材41は、光ファイバ11間に充分に浸透し、かつ、光ファイバ11に無用なマイクロベンドを発生させることを防止できる。
【0067】
充填材41及びシールド材51の硬化方法であるが、充填材41及びシールド材51として用いる樹脂の性質により、熱硬化、紫外線硬化等がある。そして、熱硬化の場合には、一例として、50℃24時間加熱することにより樹脂を硬化させる。また、上述した好ましいちょう度は、硬化後の充填材41及びシールド材51に関するものである。
【0068】
そして、光ファイバ11(光ファイバコイル31)の両端を、光ファイバ収納ケース21の外側において、それぞれピグテールファイバ61の一端に融着接続する(S113)。更に、ピグテールファイバ61の他端に、コネクタ63が接続して取り付ける(S115)。最後に、光ファイバ収納ケース21及び収納ケース22をそれぞれの蓋で閉じる(S117)。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図8に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品を示す要部概略断面図である。
【0070】
本第2実施形態にあっては、充填材41の上面には、シールド材53が充填されて更に設けられている。このシールド材53は、シールド材51と協働して充填材41を光ファイバ収納ケース21内に封止して、充填材41の移動を規制する。このシールド材53は、上述した第1実施形態のシールド材51と同じ物性を有し、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材53の硬化後のヤング率が充填材41の硬化後のヤング率よりも大きく(たとえば、5倍以上大きい)且つ光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも小さいことにより、充填材41の移動を確実に規制しつつ、充填材41を光ファイバ収納ケース21内により一層確実に封止することができる。なお、本第2実施形態においては、シールド材53は、蓋21dとの間においてシールド材53上方に空間が形成されないように充填されているが、シールド材53の上方に空間が形成されるように充填してもよい。
【0071】
このように、本第2実施形態においては、上述した第1実施形態と同様に、光ファイバコイル31におけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0072】
更に、充填材41の上面に設けられ、充填材41のヤング率よりも高く光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材53を更に備えているので、充填材41はシールド材53により光ファイバ収納ケース21内に封止されて、その移動が規制されることになる。これにより、外部から振動、衝撃等が作用することにより充填材41が移動して光ファイバ11同士が接触することにより発生する側圧をより一層低減することができる。
【0073】
なお、本第2実施形態における光学部品の製造方法は、図7に示された本第1実施形態における光学部品の製造方法に対して、充填材41の注入/硬化ステップ(S111)の後に、シールド材を注入、硬化させるステップを追加することで実現できる。
【0074】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態には、波長分散補償光ファイバ(DCF)を用いた光ファイバコイルであったが、その他の光ファイバを用いたものであってもよい。例えば、シングルモード光ファイバ、波長分散シフト光ファイバ、NZ型波長分散シフト光ファイバ、エルビウム添加光ファイバ又は偏波保持光ファイバなどを用いた光ファイバコイルであってもよい。
【0075】
シングルモード光ファイバ(Single Mode optical−Fiber:SMFとも言う)は、1.3μmの波長帯域で光信号の伝送を行うことを主目的に設計された光ファイバである。この光ファイバを用いて1.55μmの波長帯域で光信号の伝送を行うと波長分散という現象を起こす。この波長分散は、波長分散補償光ファイバをモジュール化したもの(DCFM)などで補償される。これとは反対に、SMFは、上述したDCFなどによって負の波長分散となった光信号をそれ自身の正の波長分散で補償する場合などにも用いられる。この場合、使用にあたってはモジュール化される場合がある。
【0076】
波長分散シフト光ファイバ(Dispersion Shifted optical−Fiber:DSFとも言う)は、1.55μmの波長帯域で光信号の伝送を行うことを主目的に設計されて光ファイバである。1.55μmの波長帯域に対する波長分散値が零であるという特性を有している。DSFは、ラマン散乱励起用光ファイバとして用いられる場合がある。使用にあたってはモジュール化される場合がある。
【0077】
NZ型波長分散シフト光ファイバ(Non Zero Dispersion Shifted optical−Fiber:NZ−DSFとも言う)は、上述したDSFの場合に起こる非線形現象を低減するため、波長分散が零となる波長を1.55μmから多少ずらして設計した光ファイバである。NZ−DSFは、ラマン散乱励起用光ファイバとして用いられる場合がある。
【0078】
エルビウム添加光ファイバ(Erbium Doped optical−Fiber:EDFとも言う)は、コアにエルビウムイオンを添加した光ファイバである。波長0.98μm,1.48μmの光を吸収した状態で1.53〜1.61μmの波長帯域の信号光を入射させると誘導放出を起こし、信号光のパワーを増幅させることができる。通常は、モジュール化された形態で、光アンプ(Erbium Doped optical−Fiber Amplifier:EDFAとも言う)などとして利用される。
【0079】
偏波保持光ファイバ(Polarization Maintaining optical−Fiber:PMFとも言う)は、直線偏波を保持したまま伝送する光ファイバであり、光ファイバジャイロや偏波モード分散補償器などに利用される。通常は、モジュール化してPMFM(Polarization Maintaining optical−Fiber Module)として用いる。
【0080】
また、上述した実施形態においては、光ファイバコイル31を構成している光ファイバ11間に位置する充填材41の比重は、光ファイバコイル31の下方に位置する充填材41(下地層)の比重と同等又は小さいことが好ましく、このように、光ファイバコイル31を構成している光ファイバ11間に位置する充填材41の比重が、光ファイバコイル31の下方に位置する充填材41(下地層)の比重と同等又は小さいことにより、光ファイバコイル31の自重により光ファイバコイル31が光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22と接触するのを抑制して、上下方向の振動、衝撃等による伝送損失の増大を確実に抑制することができる。
【0081】
また、光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22の形態は、上述した実施形態のものに限定されず、底面が平面ではなく曲面となっているものなどでもよい。
【0082】
また、被覆層13,14を有した光ファイバ11をコイル状に巻き回すことにより光ファイバコイルを構成し、この光ファイバコイル31を光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22に収納するようにしているが、これに限られることなく、被覆層13,14を除去した光ファイバを用いて、被覆層13,14を除去した光ファイバをコイル状に巻き回すことにより光ファイバコイルを構成し、この光ファイバコイルを収納ケースに収納するようにしてもよい。
【0083】
また、シールド材51,53を多層構造で構成するようにしてもよい。シールド材51,53を多層した場合、各シールド材の硬化後のヤング率が外層に向って徐々に大きくなるように、ヤング率の勾配を持たせることが好ましい。これにより、外部からの振動、衝撃等が多層のシールド材により緩衝されることになり、充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を抑制することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、マイクロベンドロスを抑制し、伝送特性の安定した光学部品を提供することができる。特に、本発明では、充填材が収納ケースの側面と接しており、収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品(蓋を外した状態)の概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学部品での要部概略断面図ある。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光学部品に用いられる光ファイバの断面図である。
【図4】図3の光ファイバの断面方向の屈折率差を示す模式図である。
【図5】貯蔵ちょう度とヤング率との関係を示す線図である。
【図6】充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間に設けられたシールド材の厚さと伝送損失との関係を示す図表である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る光学部品の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光学部品での要部概略断面図ある。
【符号の説明】
11…光ファイバ、21…光ファイバ収納ケース、21a…内側壁部分、21b…外側壁部分、21c…底面部分、21d…蓋、31…光ファイバコイル、41…充填材、51,53…シールド材、P1…光学部品。
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分散補償器、モード分散補償器、光増幅器、光ファイバジャイロ等に用いられる光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光増幅器、波長分散補償器、モード分散補償器、光ファイバジャイロ等に用いられる光学部品及びその製造方法としては、特開平10−123342号公報に記載されたもの等が知られている。光学部品に含まれる光ファイバコイルは、その光経路上で光信号に対して所望の作用を発揮する。たとえば、光増幅器に用いられる光ファイバコイルは、エルビウムをドーピングしたEDF(Erbium Doped optical−Fiber)をコイル化したもので、光ファイバの光経路上で光信号を増幅させる。
【0003】
ここで、光を増幅させるためには、ある程度の長さのEDFが必要となるが、光増幅器の内部に効率よく収納するにはEDFをコイル状態にするのがよい。このため、光ファイバをコイル状態にした光ファイバコイルが用いられている。光増幅器以外の波長分散補償器、モード分散補償器、光ファイバジャイロ等の他の光学部品に用いられる光ファイバコイルも同様である。従来の光ファイバコイルは、ボビンに光ファイバを巻きつけて構成されるのが一般的であった。
【0004】
しかし、巻き重ねられた光ファイバには張力が残っており、これがもとでマイクロベンドロスが発生する。また、ボビンと光ファイバとの線膨張係数の違いにより、光ファイバにボビン変形による応力がかかるため、伝送損失が温度によって変化してしまう。そこで、上述した公報に記載のもののように様々な工夫を施し、ボビンレスの光ファイバコイルやこれと同等の効果が得られるボビンの構造等も検討されている。
【0005】
その中の一つである特開平10−123342号公報に開示された技術は、ボビンに波長分散補償光ファイバ(Dispersion Compensation optical−Fiber)を巻きつけて光ファイバコイルを形成した後、光ファイバコイルを抜き取って巻きほぐし、コイル状にしてケースに収容するか、ボビン自体の径を小さくして、コイルをボビンに保持したまま巻きほぐすことにより、光ファイバに作用する側圧を低減させる技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、巻きほぐされた状態の光ファイバは自由に移動できる状態にあるため、振動や衝撃によりコイルが変形しやすく、コイルの変形によって曲げ損失が生ずるという問題点がある。こうしたコイルの変形を防ぐ技術として、特開平10−123342号公報には、束状のコイルを離散的に数箇所で固定したり、コイルをボビンを含む収納ケースにクッション材で固定する技術が開示されている。しかし、いずれも光ファイバを全長にわたって固定するわけではないので、振動が長期的に付加されると、振動ずれを生じ、局所的な曲げが発生して、曲げ損失が生ずるおそれがある。特開昭62−91810号公報には、ファイバの周囲及び接続部を樹脂で固定した光ファイバジャイロが開示されているが、DCFは曲げに弱く、光ファイバジャイロで用いられるファイバに比べてはるかに長尺であるため、この樹脂の押圧力でマイクロベンド損失が発生してしまう虞があり、この技術は適用できない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、マイクロベンドロスを抑制し、伝送特性の安定した光学部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学部品は、コイル状に巻き回された光ファイバより構成される光ファイバコイルと、光ファイバコイルを収納する収納ケースと、光ファイバコイルを覆い、光ファイバコイルを保持するためのクッション性の充填材と、収納ケースの底面と充填材との間に設けられ、充填材のヤング率よりも高く収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材とを備え、充填材は、収納ケースの側面と接していることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る光学部品では、光ファイバコイルを収納ケースに収納して、クッション性の充填材で光ファイバコイルを保持しているので、光ファイバをコイル状に巻き回したために光ファイバに及ぼす側圧は緩和される。そして、充填材がクッション性であるため、光ファイバに余計な側圧が付加されることがなく、長期的に付加される振動により光ファイバコイルの形状が変化するのを抑制することができる。また、シールド材が収納ケースの底面と充填材との間に設けられているので、収納ケースの底面から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのを抑制して、光ファイバ同士が接触することにより発生する側圧を低減することができる。
【0010】
ところで、収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けた場合、当該シールド材の温度変化による膨張・収縮が応力として光ファイバコイルにその径方向から作用することになり、マイクロベンドロスやその他の光学特性に影響を及ぼす。このため、本発明では、充填材が収納ケースの側面と接しており、上述した収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【0011】
これらの結果、本発明に係る光学部品においては、光ファイバコイルにおけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0012】
また、充填材の上面に設けられ、充填材のヤング率よりも高く収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材を更に備えることが好ましい。このように構成した場合、充填材はシールド材により収納ケース内に封止されて、その移動が規制されることになる。これにより、外部から振動、衝撃等が作用することにより充填材が移動して光ファイバ同士が接触することにより発生する側圧をより一層低減することができる。
【0013】
また、充填材及びシールド材は、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材の硬化後のヤング率が充填材の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0014】
また、シールド材は、硬化後のヤング率が9.80N/mm2以上490N/mm2以下である物性を有していることが好ましい。このように構成した場合、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバに伝わるのをより一層効果的に抑制することができる。
【0015】
また、シールド材は、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性を有するゲルであることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。シールド材の取り扱いも容易となる。
【0016】
また、シールド材は、高粘性ゲル状混和物であることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0017】
また、充填材とシールド材との密着力が98mN/cm以上に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、充填材とシールド材とが剥離するのを抑制でき、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができる。
【0018】
また、充填材による光ファイバコイルの被覆厚みは、シールド材の厚みの2倍以上に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0019】
また、シールド材の厚みは、光ファイバの被覆層の厚みよりも大きく設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が充填材及び光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0020】
また、シールド材は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されていることが好ましい。このように構成した場合、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイルに伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイルの損失特性の変動を確実に抑制することができる。なお、本明細書におけるちょう度の測定は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すい(1/4コーン:質量9.38g)を使用し、23℃下において当該コーンを落としてから5秒後のコーン進入量を測定することで行っている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による光学部品の好適な実施形態について詳細に説明する。以下、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、図1〜図7に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部品を示す概略平面図であり、図2は、同じく要部概略断面図である。図1は、光ファイバ収納ケース及び収納ケースの蓋を取り外した状態を示している。本第1実施形態の光学部品は、波長分散補償光ファイバ(以下、DCFとも言う)によるDCFM(Dispersion Compensation optical−Fiber Module)として用いられているものである。DCFは、シングルモード光ファイバなどの伝送路用光ファイバと逆符号の波長分散特性を持つ光ファイバで、光伝送路の波長分散を相殺させることができる光ファイバである。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本第1実施形態の光学部品P1は、ドーナツ型の光ファイバ収納ケース21内に光ファイバコイル31が収納されている。光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21aと外側壁部分21bと底面部分21cとを有している。光ファイバコイル31は、光ファイバ11がコイル状に巻き回されることにより構成され、その巻き歪みが実質的に解放されたコイル状態とされている。光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22内に配設されている。
【0024】
光ファイバ11(光ファイバコイル31)の両端は、光ファイバ収納ケース21の外側に出されており、収納ケース22内においてそれぞれピグテールファイバ61の一端に融着接続部62で接続されている。ピグテールファイバ61の他端には、収納ケース22に取り付けられたコネクタ63が接続されている。収納ケース22は蓋(図示せず)が取り付けられて、密封される。ここで、光ファイバ収納ケース21は、各請求項における収納ケースを構成している。
【0025】
光ファイバ収納ケース21内には、光ファイバ11を包み込むように光ファイバ11の外周面に直接に接する状態でクッション性の充填材41が充填されている。充填材41は、光ファイバ収納ケース21は、内側壁部分21a及び外側壁部分21bに接している。ここで、充填材41は、コイル状態の光ファイバ11の間にも入り込んでいることが好ましい。
【0026】
光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間には、シールド材51が設けられている。そして、光ファイバ収納ケース21は蓋21dが取り付けられて、密封される。なお、本第1実施形態においては、充填材41は、蓋21dとの間において充填材41上方に空間が形成されないように充填されているが、充填材41の上方に空間が形成されるように充填してもよい。
【0027】
光ファイバ収納ケース21は、収納ケース22に固定してもよく、また、固定しなくてもよい。光ファイバ収納ケース21を収納ケース22に固定しない場合には、収納ケース22内に充填材41等を充填し、光ファイバ収納ケース21、融着接続部62、ピグテールファイバ61等を覆うことが好ましい。
【0028】
ここで、巻き歪みが実質的に解消された状態とは、巻き取りに伴う波長1.50μm以上の波長帯における伝送損失増加を0.1dB/km以上低減させた状態を指すものとする。本第1実施形態の光ファイバ11は、中心胴体としてのボビンに巻回された後に、ボビンから外されてコイル状態(光ファイバコイル31)にされたものである。ボビンから取り外して巻きほぐした状態の光ファイバ11の伝送損失増加は、特開平10−123342号公報に開示されているようにほとんど解消され、巻き歪みが解消されれば、それに伴う伝送損失も解消されるからである。
【0029】
図3は、この光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11の断面図であり、図4は、その屈折率プロフィールを示す一例の図であり、これ以外の屈折率プロフィールでもよい。図3に示されるように、この光ファイバ11は、ガラス部12を中心に同心円柱殻状の2層の樹脂製の被覆層13,14を有している。ガラス部12は、コア部の径aが2.7μm、ディプレスト部の径bが6.6μmの2重クラッド型DCFであり、その外径cは120μm、一次被覆層13の厚みdは15μm、二次被覆層14の厚みeも15μmであり、ファイバ外径fは190μmである。そして、クラッド部の屈折率に対するコア部、ディプレスト部のそれぞれの屈折率の増減であるΔ+、Δ−は、それぞれ1.9%、−0.4%である。なお、20℃において、一次被覆層13のヤング率は0.98N/mm2(0.1kgf/mm2)であり、二次被覆層14のヤング率は784N/mm2(80kgf/mm2)である。この光ファイバ11の波長分散、波長分散傾斜は、それぞれ波長1.55μmで−120ps/nm/km、−0.28ps/nm2/kmであり、伝送損失は0.40dB/kmである。
【0030】
この波長分散値及び波長分散傾斜値は、この光学部品P1に対して接続される伝送路用光ファイバのものと逆符号とされている。即ち、本第1実施形態の光学部品P1を用いることによって、伝送路の光ファイバによって生じた波長分散を補償できる。また、波長帯伝送用としては波長分散傾斜を逆符号とすることにより、波長帯にわたり波長分散を補償することができる。また、光ファイバ11の使用波長帯域が、1.50μm以上であると、通常光ファイバに見られる、アクリレート系紫外線硬化樹脂、シリコーン樹脂などの被覆によるマイクロベンドによる損失増が大きいため、本発明は非常に有効である。
【0031】
充填材41及びシールド材51としては、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性等の化学反応により硬化するシリコーン樹脂(たとえば、シリコーンゲル)、あるいは、ブタジエン、シリコーンなどのゴムをシリコーン、ナフテンなどの溶剤で膨潤させ、必要に応じて他の樹脂等を添加した高粘性ゲル状混和物などが使用できる。
【0032】
光ファイバコイル31は、光ファイバ収納ケース21の側壁に接触しない位置となるように、硬化された充填材41内で固定されている。このように、光ファイバコイル31が、光ファイバ収納ケース21の側壁に接触しない位置となるように、硬化された充填材41内で固定されることにより、光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11と光ファイバ収納ケース21の側壁との接触を確実に抑制することができる。
【0033】
充填材41は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて測定したちょう度が、測定温度−40℃で5以上であると共に、測定温度+100℃で200以下の二次被覆層14よりも十分に柔らかい(低ヤング率を有する)物性を有している。特に、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて測定したちょう度が測定温度+23℃で5以上200以下の物質である。なお、−40℃〜+100℃の温度範囲は、光学部品P1の実用使用温度範囲であり、+23℃は、光学部品P1の一般的な使用温度である。
【0034】
シールド材51は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されている。なお、シールド材51の硬化後のヤング率は、9.80N/mm2(1kgf/mm2)以上490N/mm2(50kgf/mm2)以下である物性を有している。また、シールド材51の硬化後のヤング率は、充填材41の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく、光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも小さくなっている。なお、貯蔵ちょう度とヤング率の関係は、図5に示される通りである。
【0035】
充填材41による光ファイバコイル31の被覆厚みA1は、シールド材51の厚みA2の2倍以上に設定されている。また、シールド材51の厚みは、光ファイバ11の被覆層13,14の厚みよりも大きく設定されている。更に、充填材41とシールド材51との密着力が98mN/cm以上に設定されている。
【0036】
充填材41及びシールド材51は、60℃24時間の温度劣化試験後の水素発生量が0.001ml/g以下である。
【0037】
コイル状の光ファイバ11を通常の接着剤や樹脂で固定すると、硬化後の樹脂のヤング率は500N/mm2以上に達するため、光ファイバ11に過大な押圧力がかかって、それに伴う曲げ歪みが発生して好ましくない。このようなクッション性を有する、すなわち柔軟性に富み、高粘性の物質を充填材41として使用することにより、光ファイバコイル31を構成する光ファイバ11に曲げ歪みを加えるような過大な押圧力を及ぼすことなく、光ファイバ11を確実に固定することが可能である。
【0038】
これには、充填材41として上述したちょう度を有するものが好ましい。ちょう度が5未満であると、光ファイバ11(光ファイバコイル31)のマイクロベンドによる長波長側損失が大きくなりすぎ、実用に向かない。また、ちょう度が200を超えるようであると、充填材41によって光ファイバコイル31の形状を保持できないので、使用しているうちにコイル状態が巻き崩れるなどして伝送特性を安定化させることができない。
【0039】
そして、光ファイバ11間にも充填材41を充填させることで、各光ファイバ11にかかる押圧力が均等化されるので、不規則な側圧により発生するマイクロベンド損失を抑制でき、こうした曲げ歪みに弱いために従来使用が困難であった細径ファイバ(ガラス部分の外径100μm以下)や非線形性が改善されるΔnの小さいファイバを使用した光ファイバコイルを容易に作製することが可能となる。即ち、本第1実施形態の光学部品P1は、このような充填材41を備えているので、外径100μmの光ファイバの使用が可能となり、このような細径ファイバを用いることによって、光学部品P1のユニット全体を小型化することができる。
【0040】
また、同様に曲げ歪みに弱く、従来使用が困難であった光ファイバ、即ち、使用波長帯域内にある波長において直径20mmに曲げた際の曲げ損失が1dB以上の光ファイバの使用が可能になった。
【0041】
このように、本第1実施形態においては、光ファイバコイル31を光ファイバ収納ケース21に収納して、クッション性の充填材41で光ファイバコイル31を保持しているので、光ファイバ11をコイル状に巻き回したために光ファイバ11に及ぼす側圧は緩和される。そして、充填材41がクッション性であるため、光ファイバ11に余計な側圧が付加されることがなく、長期的に付加される振動により光ファイバコイル31の形状が変化するのを抑制することができる。また、シールド材51が光ファイバ収納ケース21の底面部分21cと充填材41との間に設けられているので、光ファイバ収納ケース21の底面部分21cから作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのを抑制して、光ファイバ11同士が接触することにより発生する側圧を低減することができる。
【0042】
ところで、光ファイバ収納ケース21の側面(内側壁部分21aと外側壁部分21b)と充填材41との間にシールド材51を設けた場合、当該シールド材51の温度変化による膨張・収縮が応力として光ファイバコイル31にその径方向から作用することになり、マイクロベンドロスやその他の光学特性に影響を及ぼすことになる。しかしながら、本第1実施形態では、充填材41が光ファイバ収納ケース21の側面(内側壁部分21aと外側壁部分21b)と接しており、上述した光ファイバ収納ケース21の側面と充填材41との間にシールド材51を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【0043】
これらの結果、光学部品P1においては、光ファイバコイル31におけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0044】
また、充填材41及びシールド材51は、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材51の硬化後のヤング率が充填材41の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく設定されている。これにより、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0045】
さらに、本第1実施形態の光学部品P1におけるシールド材51は、硬化後のヤング率が9.80N/mm2以上490N/mm2以下である物性を有している。これにより、外部から作用する振動、衝撃等が光ファイバ11(光ファイバコイル31)に伝わるのをより一層効果的に抑制することができる。
【0046】
また、シールド材51は、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性を有するゲルである。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。シールド材51の取り扱いも容易となる。
【0047】
また、シールド材51として、高粘性ジェリー状混和物を用いた場合にも、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0048】
また、充填材41とシールド材51との密着力が98mN/cm以上に設定されている。これにより、充填材41とシールド材51とが剥離するのを抑制でき、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができる。
【0049】
また、充填材41による光ファイバコイル31の被覆厚みA1は、シールド材51の厚みA2の2倍以上に設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0050】
また、シールド材51の厚みは、光ファイバ11の被覆層13,14の厚みよりも大きく設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0051】
また、シールド材51は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されている。これにより、外部からの振動、衝撃等が光ファイバコイル31に伝わるのを確実に抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を確実に抑制することができる。
【0052】
また、本第1実施形態の光学部品P1における充填材41及びシールド材51は、上述したように、60℃24時間の温度劣化試験後の水素発生量が0.001ml/g以下である。水素が光ファイバ11のガラス部分(特にコア)に浸透すると伝送損失を悪化させてしまう。このため、60℃24時間の温度劣化試験を行った後の水素発生量が0.001ml/g以下のものを充填材41として用いることによって、光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性を良好なままに維持することが可能となる。上述した水素発生量が0.001ml/gを超えるようであると、充填材41からの水素発生量が多くなるので光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性が悪化してしまう。以上のことから、充填材41及びシールド材51から発生する水素が光ファイバ11に浸透することにより光ファイバ11の損失が増加するのを抑制することができ、実用に適した光学部品P1を得ることができる。
【0053】
なお、本第1実施形態においては、充填材41及びシールド材51自体を水素発生量の少ないものとするものであったが、充填材41及びシールド材51に水素を吸収する物質を含有させることによっても、同様の効果を得ることができる。充填材41及びシールド材51に水素吸収物質を含有させておけば、充填材41及びシールド材51が水素を発生させたとしても、含有させた水素吸収物質によって水素を吸着することができる。この結果、水素が光ファイバ11に作用することがなくなり、光ファイバコイル31(光学部品P1)の伝送特性を悪化させてしまうことを防止できる。水素吸収物質としては、Pd(パラジウム)合金、La(ランタノイド)−Ni合金、La−Ni−Mn合金、La−Ni−Al合金、V(バナジウム)−Ti−Cr合金などがある。
【0054】
本発明の光学部品において、充填材と光ファイバ収納ケースの底面との間にシールド材を設けると共に充填材を光ファイバ収納ケースの側面に接させたことによって得られる伝送損失低減効果を確認する試験を行った。試験には、実施例1として、長さ10kmの長尺光ファイバを胴径120mm(最外径200mm)のボビンに巻き取り、形成された光ファイバコイルをボビンから抜き取り巻きほぐしたコイル状態として、シールド材を底面に設けた光ファイバ収納ケースに略正円形状又は略長方形状の巻き形状で収納し、充填材を注入、硬化させたものを用いた。
【0055】
また、比較例1として、長さ10kmの長尺光ファイバを胴径120mm(最外径200mm)のボビンに巻き取り、形成された光ファイバコイルをボビンから抜き取り巻きほぐしたコイル状態として、光ファイバ収納ケースに略正円形状又は略長方形状の巻き形状で収納し、充填材を注入、硬化させ、その後シールド材を塗布し、充填材を光ファイバ収納ケース内に封止したものを用いた。
【0056】
なお、波長1.61μmにおける巻き取り前の長尺光ファイバの特性は、波長分散が−120ps/nm/km、波長分散傾斜−0.34ps/nm2/kmであった。
【0057】
ボビンに巻き取られた状態での長尺光ファイバの波長1.61μmにおける伝送損失は、0.63dB/kmであった。これに対して、実施例1は波長1.61μmにおける伝送損失が0.40dB/kmであり、比較例1は波長1.61μmにおける伝送損失が0.50dB/kmであった。このように、実施例1は、ボビンに巻き取られた状態のものに対して0.22dB/kmも損失を低減することでき、比較例2に対しても0.10dB/kmも損失を低減することでき、本発明の有効性が確認された。
【0058】
また、波長1.55μmでの伝送損失値を測定しても、伝送損失の増加はなく、また、70℃に72時間程度加熱放置した後に伝送損失を測定しても、長尺光ファイバが本質的に有する伝送損失の増加以外は見られなかった。更に、−20℃に72時間程度低温放置した後に伝送損失を測定しても、長尺光ファイバが本質的に有する伝送損失の増加以外は見られなかった。
【0059】
次に、充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間にシールド材を設け、当該シールド材の厚さを変更したときの伝送損失の変化を測定した。結果を図6に示す。図6に示されるように、充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間に設けられるシールド材の厚さを増加させるにしたがって、伝送損失が増加することが判明した。なお、シールド材の厚さが0mmである状態とは、充填材が光ファイバ収納ケースの側面に接している状態のことである。
【0060】
次に、図7に基づいて、上述した光学部品P1の製造方法について説明する。
【0061】
まず、光ファイバ11を中心胴体としてのボビンに複数回巻回させ、コイル状態とする(S101)。この際に、ボビンの手前に塗布手段を配置して液状の充填材41を光ファイバ11の外周に略均一に塗布して、光ファイバ11をボビンに巻回させてもよい。このように、光ファイバ11をボビンに巻回させる前に、液状の充填材41を塗布することにより、ボビンに巻き回された光ファイバ11はその隙間に充填材41が略均一に充填されることになる。
【0062】
次いで、ボビンから、コイル状態の光ファイバ11をコイル状態のまま取り外す(S103)。そして、取り外した状態で僅かな振動を与えるなどして、既に発生しているマイクロベンドを解消させる。
【0063】
コイル状態の光ファイバをボビンから取り外して巻きほぐすには、特開平10−123342号公報に開示されているように光ファイバをボビンに巻き回す前に、予めボビンの胴部に微粉末等の滑材を塗布しておいてから抜き取ることが好ましい。この滑材には、粉末無機質充填材として用いられるタルク(理化学辞典、四版、239頁)等が使用できる。あるいは、胴径を縮小できるボビンを用いて、光ファイバを巻き取った後にボビンの胴径を縮小することにより抜き取りを容易にしてもよい。なお、光ファイバをボビンに巻き取る時の張力は、小さい方が好ましく、0.4N以下であることが特に好ましい。
【0064】
そして、光ファイバ収納ケース21にシールド材51を注入し、光ファイバ収納ケース21の底面にシールド材51を付着させて、硬化させる(S105)。シールド材51を硬化させると、光ファイバ収納ケース21に液状の充填材41を少量注入し、充填材41の下地層を形成する(S107)。このように、光ファイバ収納ケース21に液状の充填材41を予め注入しておくことにより、光ファイバコイル31が光ファイバ収納ケース21の底面から受ける圧力も軽減できる。
【0065】
そして、コイル状態の光ファイバ11(光ファイバコイル31)を光ファイバ収納ケース21内に収納させ(S109)、光ファイバ収納ケース21内に残りの充填材41を注入し、光ファイバ11(光ファイバコイル31)の全体を充填材41によって包み込む。このとき、充填材41は、光ファイバ収納ケース21内に充填させ易い程度の流動性を有しており、光ファイバ11の全体を包み込むように光ファイバ収納ケース21内に充填された後に硬化され、光ファイバ11(光ファイバコイル31)を保持させる(S111)。
【0066】
なお、光ファイバ収納ケース21内に充填する際の充填材41は、コイル状態の光ファイバ11の間での気泡等の発生を防止するため、その表面張力が400μN/cm2以下とされていることが好ましい。また、充填材41が光ファイバ11間に十分に浸透するように、その粘度が10N・s/m2以下に保つことも好ましい。更に、充填材41の硬化の際、硬化開始から二時間以上、その粘度が10N・s/m2以下に保たれていることが好ましい。このようであると、充填材41は、光ファイバ11間に充分に浸透し、かつ、光ファイバ11に無用なマイクロベンドを発生させることを防止できる。
【0067】
充填材41及びシールド材51の硬化方法であるが、充填材41及びシールド材51として用いる樹脂の性質により、熱硬化、紫外線硬化等がある。そして、熱硬化の場合には、一例として、50℃24時間加熱することにより樹脂を硬化させる。また、上述した好ましいちょう度は、硬化後の充填材41及びシールド材51に関するものである。
【0068】
そして、光ファイバ11(光ファイバコイル31)の両端を、光ファイバ収納ケース21の外側において、それぞれピグテールファイバ61の一端に融着接続する(S113)。更に、ピグテールファイバ61の他端に、コネクタ63が接続して取り付ける(S115)。最後に、光ファイバ収納ケース21及び収納ケース22をそれぞれの蓋で閉じる(S117)。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図8に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品を示す要部概略断面図である。
【0070】
本第2実施形態にあっては、充填材41の上面には、シールド材53が充填されて更に設けられている。このシールド材53は、シールド材51と協働して充填材41を光ファイバ収納ケース21内に封止して、充填材41の移動を規制する。このシールド材53は、上述した第1実施形態のシールド材51と同じ物性を有し、化学反応により硬化する樹脂であり、シールド材53の硬化後のヤング率が充填材41の硬化後のヤング率よりも大きく(たとえば、5倍以上大きい)且つ光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも小さいことにより、充填材41の移動を確実に規制しつつ、充填材41を光ファイバ収納ケース21内により一層確実に封止することができる。なお、本第2実施形態においては、シールド材53は、蓋21dとの間においてシールド材53上方に空間が形成されないように充填されているが、シールド材53の上方に空間が形成されるように充填してもよい。
【0071】
このように、本第2実施形態においては、上述した第1実施形態と同様に、光ファイバコイル31におけるマイクロベンドロスを抑制することができると共に、伝送特性を安定化させることができる。
【0072】
更に、充填材41の上面に設けられ、充填材41のヤング率よりも高く光ファイバ収納ケース21のヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材53を更に備えているので、充填材41はシールド材53により光ファイバ収納ケース21内に封止されて、その移動が規制されることになる。これにより、外部から振動、衝撃等が作用することにより充填材41が移動して光ファイバ11同士が接触することにより発生する側圧をより一層低減することができる。
【0073】
なお、本第2実施形態における光学部品の製造方法は、図7に示された本第1実施形態における光学部品の製造方法に対して、充填材41の注入/硬化ステップ(S111)の後に、シールド材を注入、硬化させるステップを追加することで実現できる。
【0074】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態には、波長分散補償光ファイバ(DCF)を用いた光ファイバコイルであったが、その他の光ファイバを用いたものであってもよい。例えば、シングルモード光ファイバ、波長分散シフト光ファイバ、NZ型波長分散シフト光ファイバ、エルビウム添加光ファイバ又は偏波保持光ファイバなどを用いた光ファイバコイルであってもよい。
【0075】
シングルモード光ファイバ(Single Mode optical−Fiber:SMFとも言う)は、1.3μmの波長帯域で光信号の伝送を行うことを主目的に設計された光ファイバである。この光ファイバを用いて1.55μmの波長帯域で光信号の伝送を行うと波長分散という現象を起こす。この波長分散は、波長分散補償光ファイバをモジュール化したもの(DCFM)などで補償される。これとは反対に、SMFは、上述したDCFなどによって負の波長分散となった光信号をそれ自身の正の波長分散で補償する場合などにも用いられる。この場合、使用にあたってはモジュール化される場合がある。
【0076】
波長分散シフト光ファイバ(Dispersion Shifted optical−Fiber:DSFとも言う)は、1.55μmの波長帯域で光信号の伝送を行うことを主目的に設計されて光ファイバである。1.55μmの波長帯域に対する波長分散値が零であるという特性を有している。DSFは、ラマン散乱励起用光ファイバとして用いられる場合がある。使用にあたってはモジュール化される場合がある。
【0077】
NZ型波長分散シフト光ファイバ(Non Zero Dispersion Shifted optical−Fiber:NZ−DSFとも言う)は、上述したDSFの場合に起こる非線形現象を低減するため、波長分散が零となる波長を1.55μmから多少ずらして設計した光ファイバである。NZ−DSFは、ラマン散乱励起用光ファイバとして用いられる場合がある。
【0078】
エルビウム添加光ファイバ(Erbium Doped optical−Fiber:EDFとも言う)は、コアにエルビウムイオンを添加した光ファイバである。波長0.98μm,1.48μmの光を吸収した状態で1.53〜1.61μmの波長帯域の信号光を入射させると誘導放出を起こし、信号光のパワーを増幅させることができる。通常は、モジュール化された形態で、光アンプ(Erbium Doped optical−Fiber Amplifier:EDFAとも言う)などとして利用される。
【0079】
偏波保持光ファイバ(Polarization Maintaining optical−Fiber:PMFとも言う)は、直線偏波を保持したまま伝送する光ファイバであり、光ファイバジャイロや偏波モード分散補償器などに利用される。通常は、モジュール化してPMFM(Polarization Maintaining optical−Fiber Module)として用いる。
【0080】
また、上述した実施形態においては、光ファイバコイル31を構成している光ファイバ11間に位置する充填材41の比重は、光ファイバコイル31の下方に位置する充填材41(下地層)の比重と同等又は小さいことが好ましく、このように、光ファイバコイル31を構成している光ファイバ11間に位置する充填材41の比重が、光ファイバコイル31の下方に位置する充填材41(下地層)の比重と同等又は小さいことにより、光ファイバコイル31の自重により光ファイバコイル31が光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22と接触するのを抑制して、上下方向の振動、衝撃等による伝送損失の増大を確実に抑制することができる。
【0081】
また、光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22の形態は、上述した実施形態のものに限定されず、底面が平面ではなく曲面となっているものなどでもよい。
【0082】
また、被覆層13,14を有した光ファイバ11をコイル状に巻き回すことにより光ファイバコイルを構成し、この光ファイバコイル31を光ファイバ収納ケース21あるいは収納ケース22に収納するようにしているが、これに限られることなく、被覆層13,14を除去した光ファイバを用いて、被覆層13,14を除去した光ファイバをコイル状に巻き回すことにより光ファイバコイルを構成し、この光ファイバコイルを収納ケースに収納するようにしてもよい。
【0083】
また、シールド材51,53を多層構造で構成するようにしてもよい。シールド材51,53を多層した場合、各シールド材の硬化後のヤング率が外層に向って徐々に大きくなるように、ヤング率の勾配を持たせることが好ましい。これにより、外部からの振動、衝撃等が多層のシールド材により緩衝されることになり、充填材41及び光ファイバコイル31に伝わるのを抑制することができ、光ファイバコイル31の損失特性の変動を抑制することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、マイクロベンドロスを抑制し、伝送特性の安定した光学部品を提供することができる。特に、本発明では、充填材が収納ケースの側面と接しており、収納ケースの側面と充填材との間にシールド材を設けることによる影響を排除して、伝送特性の温度依存性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品(蓋を外した状態)の概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学部品での要部概略断面図ある。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光学部品に用いられる光ファイバの断面図である。
【図4】図3の光ファイバの断面方向の屈折率差を示す模式図である。
【図5】貯蔵ちょう度とヤング率との関係を示す線図である。
【図6】充填材と光ファイバ収納ケースの側面との間に設けられたシールド材の厚さと伝送損失との関係を示す図表である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る光学部品の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光学部品での要部概略断面図ある。
【符号の説明】
11…光ファイバ、21…光ファイバ収納ケース、21a…内側壁部分、21b…外側壁部分、21c…底面部分、21d…蓋、31…光ファイバコイル、41…充填材、51,53…シールド材、P1…光学部品。
Claims (10)
- コイル状に巻き回された光ファイバより構成される光ファイバコイルと、
前記光ファイバコイルを収納する収納ケースと、
前記光ファイバコイルを覆い、前記光ファイバコイルを保持するためのクッション性の充填材と、
前記収納ケースの底面と前記充填材との間に設けられ、前記充填材のヤング率よりも高く前記収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材とを備え、
前記充填材は、前記収納ケースの側面と接していることを特徴とする光学部品。 - 前記充填材の上面に設けられ、前記充填材のヤング率よりも高く前記収納ケースのヤング率よりも低いヤング率を有するシールド材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
- 前記充填材及び前記シールド材は、化学反応により硬化する樹脂であり、
前記シールド材の硬化後のヤング率が前記充填材の硬化後のヤング率よりも5倍以上大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学部品。 - 前記シールド材は、硬化後のヤング率が9.80N/mm2以上490N/mm2以下である物性を有していることを特徴とする請求項3に記載の光学部品。
- 前記シールド材は、熱硬化性、湿度硬化性あるいは紫外線硬化性を有するゲルであることを特徴とする請求項3に記載の光学部品。
- 前記シールド材は、高粘性ゲル状混和物であることを特徴とする請求項3に記載の光学部品。
- 前記充填材と前記シールド材との密着力が98mN/cm以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
- 前記充填材による前記光ファイバコイルの被覆厚みは、シールド材の厚みの2倍以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
- 前記シールド材の厚みは、前記光ファイバの被覆層の厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
- 前記シールド材は、JIS K 2220−1993に規定される1/4に縮小した規定円すいを用いて23℃で測定したちょう度が0.1以上20以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
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JP2009086512A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Aomori Fujikura Kanaya:Kk | 分散補償光ファイバモジュール |
WO2012070295A1 (ja) * | 2010-11-26 | 2012-05-31 | 古河電気工業株式会社 | 光ファイバモジュール |
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- 2002-06-14 JP JP2002174786A patent/JP2004020854A/ja active Pending
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