JP2004019338A - Pc鋼撚り線の定着具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート駆体の外側壁に当接したアンカ板10の通孔12に止水管14を嵌挿し、止水管14に被覆シース25に覆われたPC鋼撚り線20の端部を貫通する。外周面が円錐面8aをなしかつ周方向に分割された楔8によりPC鋼撚り線20を挟持し、締付スリーブ7の円錐面8aに楔8を嵌合し、締付スリーブ7の内端をアンカ板10に当接する。締付スリーブ7の外端部に閉鎖スリーブ2を螺合し、閉鎖スリーブ2のフランジ3を貫通する複数のボルト15をアンカ板10に螺合する。閉鎖スリーブ2の軸心に設けた注入孔4から締付スリーブ7とPC鋼撚り線20の間の隙間へ防錆材を充填した後、注入孔4にキヤツプを嵌合して閉鎖する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート橋桁などのコンクリート駆体の強度を高めるためのPC鋼撚り線、例えば橋桁の床板部分のコンクリート施工時、予め多数の横方向のPC鋼撚り線を、床板の長手方向に間隔を存して埋め込み、コンクリートの硬化後にPC鋼撚り線に緊張力を加えた状態に保持するための定着具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート橋桁の床板部分にはコンクリート打設前に、予め多数の横方向のPC鋼撚り線を配設し、コンクリート硬化後にPC鋼撚り線の一端に支持した定着具(固定側定着具)をコンクリート駆体の側壁に当接支持し、PC鋼撚り線の他端部から油圧ジヤツキにより予張力を加え、PC鋼撚り線の他端を別の定着具(締付側定着具)によりコンクリート駆体の他側壁に当接支持している。
【0003】
コンクリート駆体の内部に埋め込まれるPC鋼撚り線は、被覆シースにより覆われているので錆を生じることはない。しかし、従来のPC鋼撚り線の定着具は、PC鋼撚り線の端部を挟持する2つまたは3つの楔を締付スリーブの円錐孔へ係合して外気に曝されるだけか、締付スリーブを防錆剤と一緒にコンクリート駆体の側壁に固定した箱の内部に収容する程度のものであり、長期経過の内にPC鋼撚り線の端部が雨水に曝されて錆を生じ、やがてPC鋼撚り線がコンクリート駆体に及ぼす予張力に変化を来すという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は上述の問題に鑑み、PC鋼撚り線に予張力を加えた状態を維持し、かつコンクリート駆体から外部へ露出されるPC鋼撚り線の端部を錆びないように維持する、PC鋼撚り線の定着具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の構成はコンクリート駆体の外側壁に当接したアンカ板の通孔に止水管を嵌挿し、該止水管に被覆シースに覆われたPC鋼撚り線の端部を貫通し、外周面が円錐面をなしかつ周方向に分割された楔によりPC鋼撚り線を挟持し、締付スリーブの円錐孔に前記楔を嵌合し、前記締付スリーブの内端を前記アンカ板に当接する一方、前記締付スリーブの外端部に閉鎖スリーブを螺合し、該閉鎖スリーブのフランジを貫通する複数のボルトを前記アンカ板に螺合し、前記閉鎖スリーブの軸心に設けた注入孔から前記締付スリーブとPC鋼撚り線との間の隙間へ防錆材を充填した後、前記注入孔にキヤツプを嵌合して閉鎖することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明ではコンクリート駆体としてのコンクリート橋桁の床板部分の側壁にアンカ板を当接し、アンカ板の内面に鋼製または樹脂製の止水管の外端を当接し、被覆シースを剥したPC鋼撚り線の端部を止水管とアンカ板を貫通して楔に挟持する。つまり、コンクリート橋桁の床板部分に予め配設される横方向のPC鋼線撚り線について、PC鋼線撚り線の端部を定着具としての2分割または3分割された楔により挟持し、楔を締付スリーブの円錐孔へ嵌合して締め付ける。
【0007】
次いで、締付スリーブの端部にカツプ型の鋼製の閉鎖スリーブを螺合し、閉鎖スリーブが緩まないように、閉鎖スリーブのフランジの通孔に挿通した複数のボルトを、コンクリート駆体の側壁に当接した鋼製のアンカ板に螺合して固定する。さらに、閉鎖スリーブの軸心の注入孔からPC鋼撚り線と楔との隙間へエポキシ樹脂などの接着剤を注入した後、注入孔にキヤツプを嵌合して閉鎖する。
【0008】
一方、止水管の内端部とPC鋼撚り線の被覆シースとを接着剤により覆い、コンクリートを打設してコンクリート駆体の内部に埋め込む。コンクリートの硬化後に、油圧ジヤツキによりPC鋼撚り線の他端部に引張力を加えて、別の定着具により挟持して、コンクリート駆体の他側壁に支持する。
【0009】
【実施例】
図6,7に示すように、コンクリート駆体としてのコンクリート橋桁31は、路面を構成する床板32と、床板32から下方へ突出する側壁34と、下壁35とからなる閉断面をなし、好ましくは内空部36の左右中心に中央壁33が設けられる。床板32は上下中心部分に横方向に延びる多数のPC鋼撚り線20が、床板32の長手方向に間隔を存して配設され、PC鋼撚り線20よりも上側に、前後左右に交差する長手方向鉄筋37bと横方向鉄筋37aとからなる上部鉄筋37が配設され、同様に、PC鋼撚り線20よりも下側にも、前後左右に交差する長手方向鉄筋と横方向鉄筋とからなる下部鉄筋38が配設される。
【0010】
図7に示すように、横方向に配設されるPC鋼撚り線20は、長手方向に50〜100cmの間隔をもつて多数配設されるが、一部のPC鋼撚り線20の端部の固定側定着具Aはコンクリートの内部に埋め込まれることもある。しかし、普通には、PC鋼撚り線20の固定側定着具Aは、コンクリート橋桁31の一側壁に配設され、コンクリートが硬化した後、図6,7に示すように、PC鋼撚り線20の他端部に公知の油圧ジヤツキにより張力を加え、緊張状態を維持するために、固定側定着具Aと同様の締付側定着具Bをコンクリート駆体の他側壁に当接するものである。好ましくは、固定側定着具Aは予め工場でPC鋼撚り線20に取り付けて工事現場へ搬入し、コンクリートを打設する前に型枠の内部に配設される。この場合に、PC鋼撚り線20は両端を仮固定し、中間部分が幾分下方へ懸垂線状に弛んだ状態に配設し、PC鋼撚り線20に緊張力を加えた時、床板の中央部を押し上げるような力が及ぶようにするのが好ましい。
【0011】
図4,5に示すように、PC鋼撚り線20は中心の心線21に、小径の9本の素線22を螺旋状に巻き付け、さらに素線22の外側に素線22よりも大径の9本の素線23を螺旋状に巻き付けてなる。PC鋼撚り線20の心線21と各素線22,23の隙間にエポキシ樹脂などの接着剤を充填し、合成樹脂からなる円筒状の被覆シース25により被覆される。被覆シース25にはねじれを抑え、かつコンクリートとの馴染みを高めるために、1対の軸方向の突条28が設けられるとともに、長手方向に間隔を存して肉厚の厚い環状突条27と肉厚の薄い環状溝26とが交互に形成される。
【0012】
本発明は上述の被覆シース25を備えたPC鋼撚り線20の端部を、コンクリート駆体の側壁34に固定するための固定側定着具Aを提供するものである。図1に示すように、床板32の側壁面に鋼製のアンカ板10が当てられ、PC鋼撚り線20の端部がアンカ板10の通孔12を経て外部へ突出される。PC鋼撚り線20に予張力を与えるために、被覆シース25はアンカ板10の通孔12を貫通する止水管14には挿通されず、被覆シース25を剥した部分がアンカ板10の内面に当接した止水管14に挿通される。止水管14の内端と被覆シース25との接続部は、エポキシ樹脂などの接着剤により覆われ、好ましくは接着テープを巻き付けて、コンクリート駆体からの水がPC鋼撚り線20へ浸入しないように覆われる。つまり、止水管14はPC鋼撚り線20を覆いかつ通孔12の内部へ突出され、かつ定着具Aの締付スリーブ7の端面に当接されるか、または締付スリーブ7の円筒部へ僅かに嵌合される。被覆シース25を剥されたPC鋼撚り線20は、2つの断面半円形をなす楔8の円筒面8bに挟持される。
【0013】
図1〜3に示すように、楔8の外周面は円錐面8aをなし、外端側厚肉部分の周方向中心に軸方向のスリツト8cを設けて、1対の楔8がPC鋼撚り線20を固く挟持するように構成される。好ましくは、円筒面8bには凹凸を設けるのがよい。図示の実施例では、楔8は2分割体からなるが、3分割体に構成してもよい。
【0014】
PC鋼撚り線20を挟む楔8は、締付スリーブ7の円錐孔7aへ挿通される。予め工場でPC鋼撚り線20に引張力(図1において右方向の張力)を加えれば、楔8が円錐孔7aへ引き込まれて、締付スリーブ7により固く挟持される。締付スリーブ7の外端側のねじ部に、ねじ孔6を有する閉鎖スリーブ2を螺合する。閉鎖スリーブ2はねじ孔6よりも外端側にPC鋼撚り線20を覆う円筒部5と、防錆剤を注入する注入孔4とが設けられる。注入孔4からPC鋼撚り線20の内部へ防錆剤を充填した後に、注入孔4は図示してないキヤツプを嵌合して閉鎖する。さらに、閉鎖スリーブ2のフランジ3に周方向等間隔に設けた複数の通孔3aへボルト15を挿通し、ボルト15の先端をアンカ板10のねじ孔13へ螺合する。こうして、PC鋼撚り線20を挟持する楔8と、楔8を係合する締付スリーブ7は閉鎖スリーブ2により覆われ、かつ閉鎖スリーブ2を貫通する複数のボルト15がアンカ板10のねじ孔13へ螺合されて、PC鋼撚り線20の端部が水密に覆われる。アンカ板10はボルト15により締付スリーブ7の内端面に押し付けられる。PC鋼撚り線20と被覆シース25を覆う止水管14も通孔12を経て締付スリーブ7の端壁面に押し付けられるか、締付スリーブ7の円筒部へ嵌合される。止水管14の内端は接着剤により互いに結合され、さらに樹脂性テープにより覆われる。
【0015】
上述のように、橋梁工事現場においてアンカ板10がコンクリート駆体の側壁面に当てられ、つまり床板32の側壁面に当接した状態に配設され、コンクリートを打ち込んで固化した後に、PC鋼撚り線20の他端部が同様の定着具Bに挟持され、かつ床板32の他側壁面に当てたうえ、PC鋼撚り線20に油圧ジヤツキにより予張力を加えられる。
【0016】
被覆シース25の軸方向突条28は、被覆シース25がコンクリートの内部でねじれないようにする。楔8のスリツト8cは楔8が締付スリーブ7の円錐孔7aへ押し込まれる時、PC鋼撚り線20に円滑に挟持力を与える。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上述のように、コンクリート駆体の外側壁に当接したアンカ板の通孔に止水管を嵌挿し、該止水管に被覆シースに覆われたPC鋼撚り線の端部を貫通し、外周面が円錐面をなしかつ周方向に分割された楔によりPC鋼撚り線を挟持し、締付スリーブの円錐孔に前記楔を嵌合し、前記締付スリーブの内端を前記アンカ板に当接する一方、前記締付スリーブの外端部に閉鎖スリーブを螺合し、該閉鎖スリーブのフランジを貫通する複数のボルトを前記アンカ板に螺合し、前記閉鎖スリーブの軸心に設けた注入孔から前記締付スリーブとPC鋼撚り線との間の隙間へ防錆材を充填した後、前記注入孔にキヤツプを嵌合して閉鎖するものであるから、PC鋼撚り線に予張力を加えた状態が維持され、かつコンクリート駆体から外部へ露出するPC鋼撚り線の端部が錆びないように維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPC鋼撚り線の定着具の側面断面図である。
【図2】同PC鋼撚り線の定着具における楔の正面断面図である。
【図3】同楔の側面断面図である。
【図4】同PC鋼撚り線の定着具における被覆シースを備えたPC鋼撚り線の側面図である。
【図5】同PC鋼撚り線の正面断面図である。
【図6】本発明に係る定着具を用いてPC鋼撚り線を配設したコンクリート橋桁の正面断面図である。
【図7】同コンクリート橋桁の平面断面図である。
【符号の説明】
A:固定側定着具 B:締付側定着具 2:閉鎖スリーブ 3:フランジ 3a:通孔 4:注入孔 5:円筒部 6:ねじ孔 7:締付スリーブ 7a:円錐孔 8:楔 8a:円錐面 8b:円筒面 8c:スリツト 10:アンカ板 12:通孔 13:ねじ孔 14:止水管 15:ボルト 20:PC鋼撚り線20a:端部 21:心線 22:素線 23:素線 25:被覆シース 26:環状溝 27:環状突条 28:軸方向突条 31:橋桁 32:床板 33:中央壁 34:側壁 35:下壁 36:内空部 37:上部鉄筋 37a:横方向鉄筋 37b:長手方向鉄筋 38:下部鉄筋
Claims (2)
- コンクリート駆体の外側壁に当接したアンカ板の通孔に止水管を嵌挿し、該止水管に被覆シースに覆われたPC鋼撚り線の端部を貫通し、外周面が円錐面をなしかつ周方向に分割された楔によりPC鋼撚り線を挟持し、締付スリーブの円錐孔に前記楔を嵌合し、前記締付スリーブの内端を前記アンカ板に当接する一方、前記締付スリーブの外端部に閉鎖スリーブを螺合し、該閉鎖スリーブのフランジを貫通する複数のボルトを前記アンカ板に螺合し、前記閉鎖スリーブの軸心に設けた注入孔から前記締付スリーブとPC鋼撚り線との間の隙間へ防錆材を充填した後、前記注入孔にキヤツプを嵌合して閉鎖することを特徴とする、PC鋼撚り線の定着具。
- 前記止水管の内端部と被覆シースとを接着剤により覆つた、請求項1に記載のPC鋼撚り線の定着具。
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