JP2004018828A - 抗酸化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗酸化剤。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全性が高く、優れた抗酸化作用を有する抗酸化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品、化粧品等の酸化を防止するための抗酸化剤として、ジブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキトルエン(BHT)等の合成系抗酸化剤と、ルチン、ケルセチン、クロロゲン酸、トコフェロール、アスコルビン酸等の天然物由来の抗酸化剤が知られている。近年、合成系抗酸化剤は、安全性の問題、法規制による使用の制限、消費者の天然志向の高まり等を背景として、その使用を控える傾向にあり、天然物由来の抗酸化剤の需要が増大している。
【0003】
しかしながら、トコフェロール、ルチン、ケルセチンは油溶性であるか或いは水に対する溶解性が低いため、これらを水性製品に使用して十分な抗酸化作用を発揮させることはできないといった欠点がある。又、アスコルビン酸は、水溶性であるため水性製品に適用することは可能であるが、抗酸化作用が弱く、時として風味変化を引き起こすといった問題点がある。このように、水性製品を含む幅広い製品に使用でき、優れた抗酸化作用を有する抗酸化剤については未だ見出されていないのが現状である。
【0004】
又、安全性が高く、優れた抗酸化作用を発揮する天然物由来の抗酸化剤は、上述したような各種製品の酸化を防止するための使用に止まらず、抗酸化作用に基づく効果を効能とする食品や医薬品等の主原料としても使用可能であり、抗酸化剤として一層有用である。
【0005】
このような従来技術を背景として、優れた抗酸化作用を発揮する天然物由来の物質を有効成分とするもので、幅広い製品の酸化防止に使用でき、又抗酸化作用に基づく効果を効能とする製品の主原料としても有用な抗酸化剤の開発が望まれている。
【0006】
一方、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンは、ヨーロッパで生食、酢漬け等として長年の食経験のあるアカザ科ビートに含有されている物質であり、水溶性の天然物由来成分として知られている。当該成分は、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会においてその安全性が評価され、食品の赤色着色料として日本、米国、EU諸国等の世界各国で広く使用されている。しかしながら、これらの成分が有する抗酸化作用については、これまでに報告されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消した抗酸化剤を提供することである。より詳細には、本発明は天然物に由来する人体に安全な物質を有効成分とするもので、水溶性で幅広い製品の酸化防止に使用でき、又抗酸化作用に基づく効果を主効能とする製品の主原料としても有用な抗酸化剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、天然物に由来する水溶性の成分であり、長年の食経験があり安全性が確認されているベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンに優れた抗酸化作用があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
即ち、本発明は以下に掲げる抗酸化剤である:
(1)ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗酸化剤。
(2)ベタニン及び/又はイソベタニンを有効成分とする(1)記載の抗酸化剤。
(3)ベタニンを有効成分とする(1)又は(2)記載の抗酸化剤。
(4)アカザ科ビート抽出物である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗酸化剤。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の抗酸化剤を含有する製品。
(6)食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品である、(5)記載の製品。
(7)水性製品である(5)又は(6)記載の製品。
(8)食品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%の割合で含有される、(5)乃至(7)のいずれかに記載の製品。
(9)医薬品又は医薬部外品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%の割合で含有される、(5)乃至(7)のいずれかに記載の製品。
(10)化粧品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%の割合で含有される、(5)乃至(7)のいずれかに記載の製品。
【0010】
又、本発明は、以下に掲げる酸化防止方法である:
(11)製品の製造に際して、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする、製品の酸化防止方法。
(12)ベタニン及び/又はイソベタニンを使用する、(11)記載の酸化防止方法。
(13)ベタニンを使用する、(11)又は(12)記載の酸化防止方法。
(14)アカザ科ビート抽出物を使用する、(11)乃至(13)のいずれかに記載の酸化防止方法。
(15)製品が、食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品である、(11)乃至(14)のいずれかに記載の酸化防止方法。
(16)製品が水性製品である、(11)乃至(15)のいずれかに記載の酸化防止方法。
(17)食品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%となるように使用する、(11)乃至(16)のいずれかに記載の酸化防止方法。
(18)医薬品又は医薬部外品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%となるように使用する、(11)乃至(16)のいずれかに記載の酸化防止方法。
(19)化粧品100重量%中にベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種が、総量で約0.001〜約5重量%となるように使用する、(11)乃至(16)のいずれかに記載の酸化防止方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
(A)抗酸化剤
本発明の抗酸化剤は、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン又はイソベタニジンを有効成分とすることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の抗酸化剤の有効成分として使用されるベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジン(以下、これらの物質を抗酸化物質という。)は、ベタシアニン系の赤色を呈する化合物であり、アカザ科ビート(Beta vulgaris)、ヒユ科ホウキギ(Kocihia scoparia)、オシロイバナ科オシロイバナ(Mirabilis j alapa)、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca Americana)、スベリヒユ科マツバボタン(Portulaca grandiflora)等の植物中に存在する天然物由来成分であることが知られている。これらの抗酸化物質は、いずれも単独で抗酸化作用を発揮する。故に、本発明の抗酸化剤は、有効成分として、上記抗酸化物質を1種単独で使用することもでき、又2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。上記抗酸化物質の中で、好ましくはベタニン又はイソベタニンであり、更に好ましくはベタニンを使用することができる。
【0013】
また、本発明の抗酸化剤の有効成分は、抗酸化作用が発揮される限りは、上記抗酸化物質を含有する植物の抽出物であってもよい。このような抽出物としては、例えばアカザ科ビート抽出物、ヒユ科ホウキギ抽出物、オシロイバナ科オシロイバナ抽出物、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウ抽出物、スベリヒユ科マツバボタン抽出物等を挙げることができる。これらの中で、好ましいものはアカザ科ビート抽出物である。尚、当該抽出物の抽出対象となる上記植物は、野生種或いは改良品種の別を問わず使用することができる。又、抽出対象となる上記植物の抽出対象部位としては、上記抗酸化物質を含有している限りは特に制限されず、例えば当該植物の全草、或いは花、花弁、実、根及び根茎等の当該植物の一部をいずれも使用することができる。具体的には、当該抽出対象部位として、アカザ科ビートの塊根、ヒユ科ホウキギの花弁、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウの実、スベリヒユ科マツバボタンの花弁等を例示することができる。
【0014】
本発明の抗酸化剤の有効成分として使用される上記抗酸化物質は、上記抗酸化物質を含有する植物の抽出対象部位をそのまま或いは必要に応じて、乾燥、細切、破砕或いは煮沸したものを搾汁或いは抽出することによって取得することができる。
【0015】
以下、上記抗酸化物質を取得する方法について、アカザ科ビートを使用する場合を例にとって具体的に説明する。まず、アカザ科ビートの赤色塊根を搾汁或いは抽出処理に供する。ここで、搾汁処理方法としては、例えば圧搾機等の装置を用いてアカザ科ビートの赤色塊根から液体成分を搾汁する方法を挙げることができる。又、抽出処理方法としては、例えばアカザ科ビートの赤色塊根1重量部を裁断し、これに0.5〜100重量部、好ましくは1〜30重量部の抽出溶媒を添加して、室温、攪拌条件下で抽出する方法を挙げることができる。尚、抽出処理に使用する抽出溶媒としては、例えば、水又は極性有機溶媒、或いは水と極性有機溶媒の混合液を挙げることができる。当該極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、酢酸エチル等の単独或いは2種以上の組み合わせを挙げることができる。上記溶媒の中で、人体に対する安全性の観点から、好ましくは水又はエタノール或いはこれらの混合液、更に好ましくは水とエタノールの混合液を挙げることができる。次いで、得られた搾汁液或いは抽出液を濾過やフィルタープレス等の手段により固液分離処理に供し、固形分を除去することによって抗酸化物質を含有するアカザ科ビート抽出物を得ることができる。斯くして得られるアカザ科ビート抽出物は液体状であり、そのまま本発明の抗酸化剤として使用することができるが、必要に応じてこれを濃縮又は凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥等により乾燥して、濃縮液又は乾燥粉末として使用することもできる。更に、必要に応じて、当該アカザ科ビート抽出物をオルガノ社製アンバーライトXAD−7吸着樹脂及びワイエムシィ社製ODS−Aオクダデシル基化学結合型シリカの2種の樹脂を用いて、上記抗酸化物質を分離・精製処理に供してもよい。
【0016】
本発明の抗酸化剤は、例えば食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等の各種製品の原料として配合されることによって、製品の酸化を防止して品質劣化を抑制することができる。本発明の酸化防止剤は、酸化防止を必要とする製品であれば、その形状・形態・属性等を問わず使用することができる。本発明の抗酸化剤の対象製品に対する配合量については、対象製品の種類、形態、期待される効果等に応じて適宜設定することができる。一例として、対象製品が食品である場合には、食品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜0.5重量%;医薬品又は医薬部外品である場合には、医薬品又は医薬部外品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜約0.5重量%;及び化粧品である場合には、化粧品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜約0.5重量%となる範囲を挙げることができる。
【0017】
又、本発明の抗酸化剤は、優れた抗酸化作用を有しているので、抗酸化作用に基づく各種の効果を効能とする食品(例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等)、内用の医薬品又は医薬部外品等の各種製品の主原料としても有用である。このように本発明の抗酸化剤を主原料として使用した製品は、摂取されると生体内で、例えば、細胞の老化、炎症、発癌等の原因となる過酸化物から生体を防御する効果等の抗酸化作用に基づく有用な効果を奏することができる。ここで、上記食品としては、例えば飲料、菓子類、パン、麺類、シリアル、サプリメント等を挙げることができる。又、上記内用の医薬品又は医薬部外品としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤、エキス剤等を挙げることができる。このように、抗酸化作用に基づく効果を効能とする製品の主原料として本発明の抗酸化剤を使用する場合、当該抗酸化剤の使用量としては、製品の剤型、形態、期待される効果等によって異なり、一律に規定することはできないが、例えば該製品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.005〜100重量%、好ましくは約0.5〜約80重量%となる範囲を挙げることができる。又、当該製品の1日当たりの摂取量については制限されず、当該製品の形態、期待される効果等に応じて適当量、適当回数、摂取することができる。
(B)酸化防止方法
前述するように、上記抗酸化物質(ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジン)は、それぞれ優れた抗酸化作用を有している。即ち、本発明は、製品の製造に際して、原料としてベタニン、ベタニジン、イソベタニン又はイソベタニジンを使用することによって製品の酸化を防止する方法を提供するものである。
【0018】
本発明の酸化防止方法は、製造に際して、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を酸化防止を必要とする製品の原料として使用することによって実施することができる。好ましくはベタニン及び/又はイソベタニンを使用する方法であり、更に好ましくはベタニンを使用する方法である。又、本発明の酸化防止方法において、上記抗酸化物質として当該物質を含有する植物の抽出物を使用することもできる。
【0019】
本発明の酸化防止方法において、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジン、並びに上記抗酸化物質を含有する植物の抽出物については前記抗酸化剤で用いたものと同じものを使用でき、又酸化防止の対象となる製品についても前記抗酸化剤が使用される製品と同様である。
【0020】
本発明の酸化防止方法において、上記抗酸化物質を使用する方法としては、当業界で慣用されている原料の配合方法に従って製造工程中に所要量を製品に配合することにより行うことができる。
【0021】
本発明の酸化防止方法において、上記抗酸化物質の使用量は、対象となる製品の種類、形状、属性、期待される効果等に応じて、任意に設定することができる。具体的には上記抗酸化物質の使用量として、製品が食品である場合には、食品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜約0.5重量%;医薬品又は医薬部外品である場合には、医薬品又は医薬部外品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜約0.5重量%;及び化粧品である場合には、化粧品100重量%中に上記抗酸化物質が総量で約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.025〜約0.5重量%となる範囲を挙げることができる。
【0022】
尚、本発明の酸化防止方法において、対象となる製品に使用可能であることを限度として、上記抗酸化物質と共に、ルチン、ケルセチン、アスコルビン酸等の他の公知の抗酸化剤を任意に組み合わせて添加することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、製造例及び実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等に限定されるものではない。
【0024】
製造例1
アカザ科ビート(Beta vulgaris LINNE)の赤い根1Kgを裁断し、これに水10Lを加えて抽出して、アカザ科ビート抽出液を得た。このアカザ科ビート抽出液を濾紙にて濾過した後、濾液をオルガノ社製アンバーライトXAD−7吸着樹脂500mL(ベットボリューム)に通液した。次にイオン交換水500mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液500mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収し、真空濃縮器を用いて回収液からエタノールを留去した。更に、得られた回収液をワイエムシィ社製ODS−Aオクダデシル基化学結合型シリカ200mL(ベットボリューム)に通液した。次いで、イオン交換水400mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液200mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収した。斯くして得られた回収液から真空濃縮器でエタノールを留去した後、これを凍結乾燥し、アカザ科ビート抽出物粉末0.15gを得た。得られた粉末中にベタニンは90重量%含まれていた。
【0025】
実施例1
上記製造例1で製造したアカザ科ビート抽出物粉末、DHA(docosahexaenoic acid)エチルエステル(以下、単にDHAという。)、エタノール、及び脱塩蒸留水を混合して、0.5mMベタニン・1mM DHA/80容量%エタノール水溶液(試験溶液)を調製した。次いで、γ線照射装置(線源:137Cs、線量率:100Gy/h)を用いて、空気存在下で0.5、1、2、3及び4kGyのγ線を照射した。ガンマ線照射後の試験溶液中に残存するDHAの濃度をHPLC[カラム:Inertcil ODS(φ4.0mm×150mm)、移動相:アセトニトリル、流量:1mL/min、検出波長:210nm]にて測定した。又、比較として、アカザ科ビート抽出物無添加のもの(コントロール)、及びアカザ科ビート抽出物の代わりに公知の抗酸化剤(BHA、ルチン又はケルセチン)を上記試験溶液中のベタニンと同濃度(0.5mM)となるように添加したものを試験溶液として、同様に試験を行った。
【0026】
結果を図1に示す。図1には、各線量のγ線照射後における各種試験溶液中のDHAの濃度(mM)を示す。図1から分かるように、コントロールと比較してベタニン存在下ではDHAのγ線照射による酸化分解が抑制されており、その酸化抑制効果はBHTに比して優れており、優れた抗酸化作用が認められているケルセチンやルチンと同程度であることが明らかとなった。
【0027】
実施例2
製造例1で得られたアカザ科ビート抽出物粉末を脱塩蒸留水に溶解し4mMベタニン溶液を調製した。次に4mMベタニン溶液50μL、200mM MES(2−Morpholinoethanesulphonic acid)buffer(pH6.0)250μL、エタノール500μL及び脱塩蒸留水200μLを混合して試験溶液を調製し、当該試験溶液を用いて、ベタニンのラジカル消去能の測定を行った。
【0028】
ラジカル消去能の測定は、DPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)ラジカル消去能を「食品の機能性評価マニュアル集」(農林水産省農林水産技術会議事務局編集、発行、1999年、第16−18頁)に記載の「分光高度計によるDPPHラジカル消去能の測定方法」に準じて測定することによって行った。
【0029】
具体的には、10本の試験管を用意し、各々の試験管に200μM DPPH 300μL、200mM MES buffer(pH6.0)150μL、脱塩蒸留水150μL、50mM MES buffer(pH6.0)/50容量%エタノール600、585、570、555、540、510、480、420、360、300μLを加えた。次にこの試験管10本に上記試験溶液をそれぞれ0、15、30、45、60、90、120、180、240、300μL添加して、各種濃度(0〜50μM)のベタニン及び一定濃度(50μM)のDPPHを含有する溶液(全量120μL)を調製し、試験溶液の添加から2分後に650nmの吸光度を測定した。測定値から、50%のDPPHラジカル活性を消失させるのに必要なベタニン濃度(以下、DPPH 50%消失量という)を算出した。尚、比較として、アカザ科ビート抽出物粉末の代わりに公知の抗酸化剤(BHA、ルチン、ケルセチン)を上記試験溶液中のベタニンと同濃度となるように添加したものについて、同様に試験を行った。
【0030】
得られた結果を図2に示す。図2には、各種抗酸化剤のDPPH 50%消失量(μM)を示す。図2から分かるように、ベタニンのDPPH 50%消失量はBHTに比してはるかに少なく、優れた抗酸化作用が認められているケルセチンやルチンと同程度であることが確認された。以上の結果から、ベタニンには、優れたラジカル消去作用があり、抗酸化剤として有用であることが明らかとなった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の抗酸化剤の有効成分であるベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンは、天然物由来成分であり、安全性が高く、実施例に示すように優れた抗酸化作用を発揮するため、該剤を食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等の酸化防止を必要とする製品に広く使用することができる。又、本発明の抗酸化剤は、酸化作用に基づく各種効果を効能とする食品、医薬品等の製品の主原料として使用することも可能であり、抗酸化剤として有用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、各種抗酸化剤を添加した溶液中の各線量のγ線照射後におけるDHAの濃度(mM)の変化を示す図である。尚、本図において、横軸はガンマ線の照射量(kGy)を示し、縦軸はDHAの濃度(mM)を示す。
【図2】実施例2において、各種抗酸化剤のDPPH 50%消失量(μM)を示す図である。
Claims (5)
- ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗酸化剤。
- ベタニンを有効成分とする請求項1記載の抗酸化剤。
- アカザ科ビート抽出物である、請求項1又は2記載の抗酸化剤。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の抗酸化剤を含有する製品。
- 食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品である、請求項4記載の製品。
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