JP2004017705A - 作業用車両のメインフレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で車両の全幅寸法を大きくすることなくメインフレームの内幅寸法を大きくできると共に、各種搭載機器の搭載を容易にし、更にはメインフレームに対する付設部材の取付強度や剛性が確保され軽量であり、しかも製品コスト及び作業コストを大幅に低減できるブルドーザ、油圧ショベル等の建設・土木作業用車両のメインフレームを提供する。
【解決手段】フレーム本体(1a)の内側面の一部に固設された各種付設部材(11,15) を付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく各種付設部材(11,15) を付設する付設部の内側面とフレーム本体(1a)の固着部(16,18) の内側面とを必要な限り削り取って、締結部品等が突出しないように各種付設部材(11,15) を付設する付設部を固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続した搬入空間(A) を確保している。フレーム本体(1a)の外幅寸法を大きくすることなく内幅寸法を大きく設定することができ、メインフレーム(1) の重量も低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】フレーム本体(1a)の内側面の一部に固設された各種付設部材(11,15) を付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく各種付設部材(11,15) を付設する付設部の内側面とフレーム本体(1a)の固着部(16,18) の内側面とを必要な限り削り取って、締結部品等が突出しないように各種付設部材(11,15) を付設する付設部を固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続した搬入空間(A) を確保している。フレーム本体(1a)の外幅寸法を大きくすることなく内幅寸法を大きく設定することができ、メインフレーム(1) の重量も低減できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はブルドーザや油圧ショベル等の建設・土木機械等の作業用車両におけるメインフレームに係わり、特に、エンジン、トランスミッション等の各種の搭載機器を取り付ける作業を容易に且つ確実に行うことが可能な作業用車両のメインフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブルドーザや油圧ショベルなどの建設・土木工事用の各種の作業用車両における車体の主要部を構成するメインフレームに関しては、従来から様々な構造がある。この種のメインフレーム構造の一例として、例えば図6に示すようなブルドーザのメインフレームがある。この従来のメインフレーム1は、車体の前後方向にわたり平行に延在する左右一対の側板2,3を有しており、各側板2,3の前端部下端を連結部材4により連結すると共に、各側板2,3の後端部を底板5及び背板6により連結している。
【0003】
前記側板2,3の内側面の前部寄りには、図示せぬ左右トラックフレームを連結するイコライザバーを支持するクロスメンバー9が連結されており、同クロスメンバー9の後方に隣接して図示せぬ上部構造物を支持する左右1対のフェンダ支持部材10,10が上方に突出されている。前記側板2,3の前端部の外側面には、取付ボルトやナット等により固定される左右1対のラジエータガード部材11,11が配される。同ラジエータガード部材11の間の空間部には、図示せぬラジエータ、ラジエータファン、プーリ、駆動ベルト等が配される。
【0004】
前記側板2,3の後端部には、図示せぬステアリング装置のケースを取り付ける左右一対のステアリングケース固着部12,12が設けられると共に、図示せぬトラックフレームを支持するための左右一対のピボットシャフト13,13を固設するピボットシャフト固着部14,14が設けられている。同固着部14の真上であってメインフレーム1の内側面には、フレーム上下方向に延在する柱状をなす左右一対の保護部材固着部16,16がフレーム幅方向に対向して張り出している。各保護部材固着部16には、車体転倒時にオペレータを保護する柱状のオペレータ保護部材15がフレーム外方に傾斜した状態で固設される。前記側板2,3の後端部上面の一部は、前記保護部材固着部16の固設面と略同一平面上にフレーム幅方向に向けて突設されている。
【0005】
前記ステアリングケース、ピボットシャフト13、オペレータ保護部材15等の各種付設部材は各固着部12,14,16に複数の取付ボルト、ナット、ピン等による固着手段をもって固着一体化される。前記ラジエータガード部材11の間を除くメインフレーム1の内部には、フレーム前後方向にわたって図示せぬエンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置、作業機等を制御する各種の油圧機器や電子機器、配管、配線などの各種の搭載機器が搭載される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の上記メインフレームの内部構造は、ラジエータガード部材、オペレータ保護部材などの各種の付設部材を付設する付設部において、同付設部の一部や同付設部に取り付けられる取付ボルト、ナット、ピン等の各取付け部品がフレーム幅方向の内側面に突出している。
【0007】
このため、メインフレームの内側面の一部には、前記付設部の付設部材固着部の一部や、或いはボルトネジ部やナット等の締結部品の一部によって凹凸部分が数多く混在するようになり、メインフレーム内の構造及び形状を複雑化するばかりでなく、それらの凹凸部分がメインフレームの前後方向の全領域にわたり局部的に形成され、メインフレームに各種の油圧機器や電子機器、配管、配線などの搭載機器を搬入しようとする空間を特に入り口などで局部的に狭くし、その搬入作業を煩雑化している。
【0008】
すなわち、かかる従来のメインフレーム構造では、前記搭載機器の搬入時に、前記付設部の一部や各種締結部品と搭載機器とが互いに干渉し合い、搭載機器の搬入作業性を極めて悪化させているという問題を有している。このため、搭載機器を前記メインフレームの内部に取り付ける作業自体も、搭載機器の位置決めが容易でなく、同時に安全性をも確保しなければならず、極めて手間のかかるものであった。その結果、搭載機器の搭載作業に相当な時間と細心の注意が必要となる。しかも、上述のごとくメインフレームに、ラジエータガード部材やピボットシャフト、オペレータ保護部材等を取付ボルト等の締結部品により締結して固設するため、部品点数が多くなり、製品コストが極めて増加する。
【0009】
近年、作業用車両の性能や機能の向上を図るため、各種の搭載機器の数が多くなり、そのため大型化し、付随して部品点数も多くなってきている。このため、メインフレームの内幅寸法を広くすることが要求されている。しかしながら、仮に、各種の搭載機器をメインフレームの内部に容易に搬入して設置しようとすると、メインフレームの内幅方向の寸法を大きくせざるを得ず、その結果、車両の全幅寸法も必然的に大きくなり、それだけ車両の重量も重くなるという問題等を有している。
【0010】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、簡単な構造で車両の全幅寸法を大きくすることなくメインフレームの内幅寸法を大きくできると共に、各種搭載機器の搭載を容易にし、更にはメインフレームに対する付設部材の取付強度や剛性が確保され、軽量であり、しかも製品コスト及び作業コストが大幅に低減できるブルドーザ、油圧ショベル等の建設・土木作業用車両のメインフレームを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、フレーム本体に各種の付設部材を付設した作業用車両のメインフレームであって、メインフレームの前記付設部材を付設する付設部と前記付設部材との固着部におけるフレーム幅方向の内側面が、搭載機器搬入時の各種搭載機器に対する非干渉面とされてなることを特徴とする作業用車両のメインフレームにある。
【0012】
本発明の作業用車両のメインフレームにあっても、従来と同様に、左右一対の側板の内側面の一部に、ラジエータガード部材、オペレータ保護部材等の各種付設部材が固設される。そして本発明にあっては、搭載機器搬入時に各種付設部材の付設部の各種搭載機器搬入空間において搭載機器と干渉しないように、左右一対の側板の内側面から全ての突出部分を排除して、滑らかな連続面としている。すなわち、本発明のメインフレームは、各種付設部材の付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく、その搬入空間を形成する付設部の内側面とフレーム本体の固着部における内側面から突出する部分とを、固着強度と剛性を確保するに十分な必要最小限の突出量に抑え、同時にそこから締結部品等が突出しないようにして、両者を固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間を確保している。
【0013】
このように本発明にあっては、前記メインフレーム内に各種搭載機器を搬入して設置するとき、各種の付設部材を付設する付設部が搭載機器と干渉することなく、各種搭載機器を搭載空間に搬入することができるようになるため、その搭載作業も極めて円滑に且つ効率よく行うことができる。その結果、搭載機器の搬入時における安全性が確保されると共に、前記メインフレームに対する各種搭載機器の位置決めも容易にでき、安定して固設できるようになり、各種搭載機器のメインフレーム内への設置工数をも大幅に削減することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記メインフレームの外郭寸法形態が通常の寸法形態を備えており、前記付設部材を付設する付設部における相対する内側面間の寸法が、前記搭載機器の搬入空間の幅寸法よりも大きく設定されるとともに、その相対する内側面が各種搭載機器との非干渉面とされていることを特徴としている。この発明は、既述したように、メインフレームの左右一対の側板の内側面から全ての突出部分を排除することにより、メインフレームの外幅寸法を大きくすることなく、左右一対の前記付設部材の付設部における相対する内側面間の寸法を、搭載機器の搬入空間の幅寸法よりも大きく設定できるようになり、前記付設部材の付設部における各種搭載機器の搬入時の様々な障害が排除される。更に、前記メインフレームの内側面から内側に突設する部分がなくなるため、メインフレームの重量が減少でき、その製作自体も容易で且つ安価となる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記付設部材が前記フレーム本体に溶接により固設されていることを特徴としている。
この発明は、上記固着部に対する付設部材の固着手段として、溶接による固着を採用している。かかる構成により、前記メインフレーム及び付設部材の固着部の内側面から突出する突出部分を排除できると共に、前記固着部のフレーム幅方向の内側面を連続する滑らかな表面としてメインフレームに付設部材を固設することができる。
【0016】
既述したように前記メインフレーム内における搭載機器の搬入空間が拡大できるため、溶接治具等の使用時に前記メインフレームの内側面や付設部材の付設部などに干渉することが少なくなり、溶接治具等の位置決めが容易にできると共に、溶接作業を安定して容易に且つ効率的に行うことができる。また、各種の付設部材を付設する付設部からボルト締着部や、ボルト、ナット、カラー等を排除できるため、前記メインフレーム内の構造及び形状の簡略化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である作業用車両のメインフレームの一例を概略的に示す斜視図、図2は同メインフレームの側面図、図3は同メインフレームの平面図、図4は同メインフレームの後端部の構造と搭載機器の配置とを示す要部拡大平面図である。なお、これらの図にあって上記従来技術と実質的に同じ部材に関しては、図6に付した符号と同一の符号を付している。また、本実施形態では、ブルドーザのメインフレームを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば油圧ショベル等の建設・土木機械や運搬機械等の作業用車両のメインフレームにも効果的に使用できる。
【0018】
以下に説明する実施形態において「固着部」とは、フレーム本体の一部に形成され、ラジエータガード部材、ステアリングケース及びオペレータ保護部材などの各種付設部材を付設するための取付座面を有する部位をいい、「付設部」とは、付設部材を取り付けるメインフレームの領域をいう。
【0019】
これらの図において、本実施形態に係るメインフレーム1のフレーム本体1aは、図示せぬ車体の下部に配されており、車体の主要部を構成する。このメインフレーム1は溶接構造用鋳鋼材及び圧延鋼材により構成されており、車体幅方向に所定の間隔をもって車体前後方向にわたり平行に延在する左右一対の側板2,3と、各側板2,3の前端部の下端両側を連結する連結部材4と、各側板2,3の後端部を連結する底板5及び背板6とを有している。前記側板2,3の上面寄りには、図示せぬエンジンやステアリング装置等を取り付けるための左右一対の各種の固着部7,7がフレーム幅方向の内側面に突設されている。前記側板2,3の下面には同様の左右一対の各種の固着部8,8がフレーム幅方向の内側面に突設されている。
【0020】
前記側板2,3の内側面の前部寄りには、下方に開放したコ字状部材からなるクロスメンバー9が溶接等の一般的な固着手段をもって固着一体化されている。同クロスメンバー9の後方に近接して、図示せぬ上部構造物を支持する左右1対のフェンダ支持部材10,10が上方側に向けて同様の固着手段をもって固着一体化されている。前記側板2,3の前端部の外側面には左右1対のラジエータガード部材11,11が設けられている。
【0021】
前記側板2,3の後端部の外側面には、図示せぬステアリング装置の一部を構成するケースを取り付けるための左右一対のステアリングケース固着部12,12、及び図示せぬトラックフレームを支持するための左右一対のピボットシャフト13,13を固設するピボットシャフト固着部14,14が設けられている。同固着部14の真上であってメインフレーム1の内側面にはフレーム上下方向に延在する柱状をなす左右一対の保護部材固着部16,16が設けられると共に、保護部材固着部16には、車体転倒時にオペレータを保護する柱状のオペレータ保護部材15がフレーム外方に傾斜した状態で設けられている。
【0022】
上記のごとく構成されたメインフレーム1は、従来から広く知られた周知の構造及び構成部材を有しており、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の最も特徴とするところは、ラジエータ、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置等の機器、作業機等を制御する油圧機器及び電子機器、配管、配線などの各種の搭載機器を前記メインフレーム1の内部に搬入するにあたり、搭載機器の搬入に障害が少ないメインフレーム1の内部の構造及び形状にある。
【0023】
本実施形態にあっては、前記ラジエータガード部材11や前記オペレータ保護部材15の付設部材を付設する付設部におけるメインフレーム1の内側面の構造及び形状を例に挙げて説明する。なお、メインフレーム1の付設部材の左右両側ともに略同一構造を有しているため、本実施形態では片側の付設部材のみを説明する。
【0024】
本実施形態のメインフレーム1は、搬入時の各種搭載機器に対する非干渉面を形成すべく左右一対の側板2,3の内側面から全ての突出部分を排除して滑らかな連続面としている。このメインフレーム1は、前記ラジエータガード部材11、オペレータ保護部材15、図示せぬステアリングケースの付設部材を付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく、その搬入空間Aを形成する付設部の内側面とフレーム本体1aの固着部における内側面から突出する部分とを、固着強度と剛性を確保するに十分な必要最小限の突出量に抑え、各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間Aを確保している。
【0025】
図示例によれば、前記メインフレーム1の前端部は、その上面側の一部が下方に滑らかな曲線状に傾斜して延在するラジエータガード固着部18とされ、同固着部18の外側面がラジエータガード部材11との固設面とされている。この固着部18のフレーム幅方向の内側面とラジエータガード部材11の内側面とを滑らかな連続面にして連結すべく前記ラジエータガード部材11がメインフレーム1の前端部の少なくとも内側面に溶接による固着手段をもって固着一体化され、ラジエータガード固着部18のフレーム幅方向の内側面とラジエータガード部材11のフレーム幅方向の内側面とが各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間Aを確保している。
【0026】
左右一対のラジエータガード部材11の内側面には、図示せぬラジエータファンを支持するためのラジエータファンケース17が固設されている。同ラジエータファンケース17の後方側は、図示せぬラジエータが前記側板2,3の下面側の固着部8等にボルト及びピン等による固定手段をもって固定される。上述のようにラジエータガード部材11を固設する固設部が滑らかな連続面とされているため、ラジエータガード部材11を固設する固設部とラジエータ等の搭載機器とが互いに干渉し合うことなく搭載作業を極めて円滑に且つ効率よく行うことができる。
【0027】
本実施形態にあっては、図示せぬラジエータファンが同じく図示を省略した油圧ポンプを介して駆動される。エンジンにより駆動するラジエータファンを使用すると、メインフレームの前端部の間の空間部にラジエータ及びラジエータ後方側のラジエータファンを配したのちにエンジンを搭載し、そののちファン駆動用のプーリやベルト等の各種部品を取り付けなければならないが、これらの部品点数は多くなり、それらの取付けや調整に相当な時間と手間がかかる。その結果、組立ライン上での組立工数が増大するため好ましくない。
【0028】
本実施形態にあっては、図示せぬ油圧ポンプを駆動源としたラジエータファン(油圧駆動ファン)を使用することによりエンジンとの連結を行う必要がなくなり、ファン駆動用のプーリやベルト等の各種部品を排除することができるため、部品点数を大幅に削減することができる。このため、上述のように前記ラジエータガード部材11をメインフレーム1のラジエータガード固着部18に溶接による固着を行うことができるようになり、組立ライン上での組立工数を大幅に軽減することができる。その結果、メインフレーム1に対する搭載機器の搭載作業の自動化を容易に達成することができるようになる。
【0029】
前記ピボットシャフト13は、前記側板2,3の前端部の外側面に設けられたピボットシャフト固着部14に溶接による固着手段をもって固着一体化されている。本実施形態では、前記ピボットシャフト固着部14のフレーム幅方向の内側面はメインフレーム1の内側面の造形ラインに融和して滑らかに連続している。上記ステアリングケース固着部12のフレーム幅方向の内側面にあっても、ピボットシャフト固着部14の内側面と同様にメインフレーム1の内側面に滑らかに連続する連続面を有している。図示せぬステアリングケースを付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、メインフレーム1内への搭載機器と干渉しない連続した搬入空間Aを確保して図示せぬステアリング装置等との干渉を回避している。
【0030】
前記メインフレーム1の後端部の内側面にあって前記ピボットシャフト固着部14の真上には、オペレータ保護部材15(所謂、ROPS)を支持するための保護部材固着部16がオペレータ保護部材15を支持し得るに十分な最小限の大きさ、形態、取付強度及び剛性をもってフレーム幅方向に対向して張り出している。同固着部16のフレーム幅方向の内側面はフレーム本体1aの内側面に滑らかに連続している。
【0031】
前記保護部材固着部16の固設面は、図4に示すように側板2,3の後端部上面よりも僅かに突出して配されている。同固着部16の固設面と側板2,3の後端部上面とは、メインフレーム1の後端部の内幅寸法を必要な限り拡大すべく車体前後方向にわたり異なる曲率で連続的な変化により得られる湾曲状の連続面によって滑らかに連続している。メインフレーム1は、その外幅寸法を大きくすることなく内幅寸法を大きい寸法に設定することによりメインフレーム1内の搬入空間Aを合理的に拡大している。図示例によるオペレータ保護部材15を付設する付設部は溶接による固着手段をもって固着一体化されており、その付設部と保護部材固着部16とのフレーム幅方向の内側面がメインフレーム1の内側面に融和して滑らかな連続面をなしている。
【0032】
この実施形態にあっても、上記各実施形態と同様に各種搭載機器との干渉面を排除すべくオペレータ保護部材15の付設部の内側面と保護部材固着部16の内側面とを必要最小限に削り取り、オペレータ保護部材15と保護部材固着部16とを固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続した搬入空間Aを確保している。このため、メインフレーム1に対する各種搭載機器の設置工数が大幅に削減できる。また、取付ボルトやナット等の締結部品、前記フレーム本体1a、ラジエータガード部材11の固着部18、オペレータ保護部材15の固着部16の内側面から突出する突出部分等を排除することができるため、部品点数が少なくなり、製品コスト及び作業コストを低減できると共に、メインフレーム1の重量も軽くなり、その製作自体も容易で且つ安価となる。
【0033】
上記のごとく構成されたラジエータガード部材11、オペレータ保護部材15とそれらの固着部16,18とは、フレーム幅方向の内側面に沿って滑らかな連続面を有している。このため、前記メインフレーム1のフレーム前後方向にわたってラジエータ、ラジエータファン、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置等の大型の機器、作業機等を制御する油圧機器や電子機器、配管や配線等の各種の搭載機器における多様な設置作業を極めて円滑に且つ効率よく行うことができると共に、前記メインフレーム1に対する搭載機器の搭載作業を容易に自動化することができる。
【0034】
次に、図5を参照してフレーム本体1aに固設されるオペレータ保護部材15の保護部材固着部16の他の実施形態を説明する。図5はフレーム本体1aの保護部材固着部16、及び同固着部16に対するオペレータ保護部材15の固着の一例を示している。同図において、実線で示す付設部材は本実施形態に係るオペレータ保護部材15及び保護部材固着部16の一例を示している。二点鎖線で示す付設部材は、従来のオペレータ保護部材15及び保護部材固着部16の一例を示している。
【0035】
同図において、本実施形態による溶接は少なくともオペレータ保護部材15の固設部の内側面になされている。図示例にあっては、保護部材固着部16は、その中間部を切り欠いた門型形状をなしており、メインフレーム1内の搬入空間Aをさらにいっそう拡大している。二点鎖線で示す従来のメインフレーム1と比較すると、図示例によるオペレータ保護部材15を固設する固設部は、同図から明らかなように二点鎖線で示す従来のメインフレーム1の内側面に突出する保護部材固着部16及びオペレータ保護部材15の各ボルト締着部分15a,16aの双方を削り取って全ての突出部分を排除している。
【0036】
図示例による保護部材固着部16の外郭形状は異なる曲率で連続的な変化により得られる湾曲面をなしており、メインフレーム1の内側面に沿って滑らかに連続した連続面とされている。この保護部材固着部16の外郭形態は、従来のメインフレーム1よりも必要な限りスリム化されており、メインフレーム1の重量が軽量化されている。図示例によるオペレータ保護部材15を固設する固設部にあっても、上記各実施形態と同様にメインフレーム1内の搬入空間Aが拡大できるため、溶接治具等の使用時にメインフレーム1の内側面と保護部材固着部16の内側面とに干渉するような妨害が少なくなり、溶接治具等の位置決めが容易にできると共に、溶接作業を安定して円滑に且つ効率的に行うことができる。
【0037】
なお、保護部材固着部16等の大きさ及び形態は図示例に限定されるものではない。本発明にあっては、オペレータ保護部材15等の付設部材の大きさ及び形態によって任意に決定でき、同付設部材等を介してメインフレーム1に取着すべき上記搭載機器を支持し得るに十分な最小限の大きさ及び形態とすることが可能であることは勿論である。また、上記各種付設部材の付設部におけるフレーム幅方向の内側面の構造及び形状を各種搭載機器の配置や外郭形状等に応じて任意に設定することができる。このため、設計の自由度は大きくなり、経済的な効果も顕著に得られる。
【0038】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態に係る作業用車両のメインフレーム1は、各種搭載機器の搬入空間Aが連続して確保されているため、メインフレーム1内に各種の搭載機器を搬入して設置するとき、メインフレーム1内の付設部と搭載機器とが互いに干渉し合うことはない。このため、各種の搭載機器を搬入空間Aに確実に且つ安定して搬入することができるようになり、各種搭載機器の搭載作業を極めて容易に且つ効率よく行うことができる。その結果、各種搭載機器の搬入時における安全性が十分に確保できると共に、前記メインフレーム1に対する搭載機器の位置決めが容易にでき、しかも安定して固定できるようになり、前記搭載機器のメインフレーム1内への設置工数を大幅に削減することができる。なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である作業用車両のメインフレームの一例を概略的に示す斜視図である。
【図2】同メインフレームの側面図である。
【図3】同メインフレームの平面図である。
【図4】同メインフレームの後端部の構造と搭載機器の配置とを示す要部拡大平面図である。
【図5】同メインフレームに固設される付設部材の付設部の他の実施形態を概略的に示す要部拡大図である。
【図6】従来の作業用車両のメインフレームを概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 メインフレーム
1a フレーム本体
2,3 側板
4 連結部材
5 底板
6 背板
7,8 固着部
9 クロスメンバー
10 フェンダ支持部材
11 ラジエータガード部材
12 ステアリングケース固着部
13 ピボットシャフト
14 ピボットシャフト固着部
15 オペレータ保護部材
15a,16a ボルト締着部
16 保護部材固着部
17 ラジエータファンケース
18 ラジエータガード固着部
A 搬入空間
【発明の属する技術分野】
本発明はブルドーザや油圧ショベル等の建設・土木機械等の作業用車両におけるメインフレームに係わり、特に、エンジン、トランスミッション等の各種の搭載機器を取り付ける作業を容易に且つ確実に行うことが可能な作業用車両のメインフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブルドーザや油圧ショベルなどの建設・土木工事用の各種の作業用車両における車体の主要部を構成するメインフレームに関しては、従来から様々な構造がある。この種のメインフレーム構造の一例として、例えば図6に示すようなブルドーザのメインフレームがある。この従来のメインフレーム1は、車体の前後方向にわたり平行に延在する左右一対の側板2,3を有しており、各側板2,3の前端部下端を連結部材4により連結すると共に、各側板2,3の後端部を底板5及び背板6により連結している。
【0003】
前記側板2,3の内側面の前部寄りには、図示せぬ左右トラックフレームを連結するイコライザバーを支持するクロスメンバー9が連結されており、同クロスメンバー9の後方に隣接して図示せぬ上部構造物を支持する左右1対のフェンダ支持部材10,10が上方に突出されている。前記側板2,3の前端部の外側面には、取付ボルトやナット等により固定される左右1対のラジエータガード部材11,11が配される。同ラジエータガード部材11の間の空間部には、図示せぬラジエータ、ラジエータファン、プーリ、駆動ベルト等が配される。
【0004】
前記側板2,3の後端部には、図示せぬステアリング装置のケースを取り付ける左右一対のステアリングケース固着部12,12が設けられると共に、図示せぬトラックフレームを支持するための左右一対のピボットシャフト13,13を固設するピボットシャフト固着部14,14が設けられている。同固着部14の真上であってメインフレーム1の内側面には、フレーム上下方向に延在する柱状をなす左右一対の保護部材固着部16,16がフレーム幅方向に対向して張り出している。各保護部材固着部16には、車体転倒時にオペレータを保護する柱状のオペレータ保護部材15がフレーム外方に傾斜した状態で固設される。前記側板2,3の後端部上面の一部は、前記保護部材固着部16の固設面と略同一平面上にフレーム幅方向に向けて突設されている。
【0005】
前記ステアリングケース、ピボットシャフト13、オペレータ保護部材15等の各種付設部材は各固着部12,14,16に複数の取付ボルト、ナット、ピン等による固着手段をもって固着一体化される。前記ラジエータガード部材11の間を除くメインフレーム1の内部には、フレーム前後方向にわたって図示せぬエンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置、作業機等を制御する各種の油圧機器や電子機器、配管、配線などの各種の搭載機器が搭載される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の上記メインフレームの内部構造は、ラジエータガード部材、オペレータ保護部材などの各種の付設部材を付設する付設部において、同付設部の一部や同付設部に取り付けられる取付ボルト、ナット、ピン等の各取付け部品がフレーム幅方向の内側面に突出している。
【0007】
このため、メインフレームの内側面の一部には、前記付設部の付設部材固着部の一部や、或いはボルトネジ部やナット等の締結部品の一部によって凹凸部分が数多く混在するようになり、メインフレーム内の構造及び形状を複雑化するばかりでなく、それらの凹凸部分がメインフレームの前後方向の全領域にわたり局部的に形成され、メインフレームに各種の油圧機器や電子機器、配管、配線などの搭載機器を搬入しようとする空間を特に入り口などで局部的に狭くし、その搬入作業を煩雑化している。
【0008】
すなわち、かかる従来のメインフレーム構造では、前記搭載機器の搬入時に、前記付設部の一部や各種締結部品と搭載機器とが互いに干渉し合い、搭載機器の搬入作業性を極めて悪化させているという問題を有している。このため、搭載機器を前記メインフレームの内部に取り付ける作業自体も、搭載機器の位置決めが容易でなく、同時に安全性をも確保しなければならず、極めて手間のかかるものであった。その結果、搭載機器の搭載作業に相当な時間と細心の注意が必要となる。しかも、上述のごとくメインフレームに、ラジエータガード部材やピボットシャフト、オペレータ保護部材等を取付ボルト等の締結部品により締結して固設するため、部品点数が多くなり、製品コストが極めて増加する。
【0009】
近年、作業用車両の性能や機能の向上を図るため、各種の搭載機器の数が多くなり、そのため大型化し、付随して部品点数も多くなってきている。このため、メインフレームの内幅寸法を広くすることが要求されている。しかしながら、仮に、各種の搭載機器をメインフレームの内部に容易に搬入して設置しようとすると、メインフレームの内幅方向の寸法を大きくせざるを得ず、その結果、車両の全幅寸法も必然的に大きくなり、それだけ車両の重量も重くなるという問題等を有している。
【0010】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、簡単な構造で車両の全幅寸法を大きくすることなくメインフレームの内幅寸法を大きくできると共に、各種搭載機器の搭載を容易にし、更にはメインフレームに対する付設部材の取付強度や剛性が確保され、軽量であり、しかも製品コスト及び作業コストが大幅に低減できるブルドーザ、油圧ショベル等の建設・土木作業用車両のメインフレームを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、フレーム本体に各種の付設部材を付設した作業用車両のメインフレームであって、メインフレームの前記付設部材を付設する付設部と前記付設部材との固着部におけるフレーム幅方向の内側面が、搭載機器搬入時の各種搭載機器に対する非干渉面とされてなることを特徴とする作業用車両のメインフレームにある。
【0012】
本発明の作業用車両のメインフレームにあっても、従来と同様に、左右一対の側板の内側面の一部に、ラジエータガード部材、オペレータ保護部材等の各種付設部材が固設される。そして本発明にあっては、搭載機器搬入時に各種付設部材の付設部の各種搭載機器搬入空間において搭載機器と干渉しないように、左右一対の側板の内側面から全ての突出部分を排除して、滑らかな連続面としている。すなわち、本発明のメインフレームは、各種付設部材の付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく、その搬入空間を形成する付設部の内側面とフレーム本体の固着部における内側面から突出する部分とを、固着強度と剛性を確保するに十分な必要最小限の突出量に抑え、同時にそこから締結部品等が突出しないようにして、両者を固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間を確保している。
【0013】
このように本発明にあっては、前記メインフレーム内に各種搭載機器を搬入して設置するとき、各種の付設部材を付設する付設部が搭載機器と干渉することなく、各種搭載機器を搭載空間に搬入することができるようになるため、その搭載作業も極めて円滑に且つ効率よく行うことができる。その結果、搭載機器の搬入時における安全性が確保されると共に、前記メインフレームに対する各種搭載機器の位置決めも容易にでき、安定して固設できるようになり、各種搭載機器のメインフレーム内への設置工数をも大幅に削減することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記メインフレームの外郭寸法形態が通常の寸法形態を備えており、前記付設部材を付設する付設部における相対する内側面間の寸法が、前記搭載機器の搬入空間の幅寸法よりも大きく設定されるとともに、その相対する内側面が各種搭載機器との非干渉面とされていることを特徴としている。この発明は、既述したように、メインフレームの左右一対の側板の内側面から全ての突出部分を排除することにより、メインフレームの外幅寸法を大きくすることなく、左右一対の前記付設部材の付設部における相対する内側面間の寸法を、搭載機器の搬入空間の幅寸法よりも大きく設定できるようになり、前記付設部材の付設部における各種搭載機器の搬入時の様々な障害が排除される。更に、前記メインフレームの内側面から内側に突設する部分がなくなるため、メインフレームの重量が減少でき、その製作自体も容易で且つ安価となる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記付設部材が前記フレーム本体に溶接により固設されていることを特徴としている。
この発明は、上記固着部に対する付設部材の固着手段として、溶接による固着を採用している。かかる構成により、前記メインフレーム及び付設部材の固着部の内側面から突出する突出部分を排除できると共に、前記固着部のフレーム幅方向の内側面を連続する滑らかな表面としてメインフレームに付設部材を固設することができる。
【0016】
既述したように前記メインフレーム内における搭載機器の搬入空間が拡大できるため、溶接治具等の使用時に前記メインフレームの内側面や付設部材の付設部などに干渉することが少なくなり、溶接治具等の位置決めが容易にできると共に、溶接作業を安定して容易に且つ効率的に行うことができる。また、各種の付設部材を付設する付設部からボルト締着部や、ボルト、ナット、カラー等を排除できるため、前記メインフレーム内の構造及び形状の簡略化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である作業用車両のメインフレームの一例を概略的に示す斜視図、図2は同メインフレームの側面図、図3は同メインフレームの平面図、図4は同メインフレームの後端部の構造と搭載機器の配置とを示す要部拡大平面図である。なお、これらの図にあって上記従来技術と実質的に同じ部材に関しては、図6に付した符号と同一の符号を付している。また、本実施形態では、ブルドーザのメインフレームを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば油圧ショベル等の建設・土木機械や運搬機械等の作業用車両のメインフレームにも効果的に使用できる。
【0018】
以下に説明する実施形態において「固着部」とは、フレーム本体の一部に形成され、ラジエータガード部材、ステアリングケース及びオペレータ保護部材などの各種付設部材を付設するための取付座面を有する部位をいい、「付設部」とは、付設部材を取り付けるメインフレームの領域をいう。
【0019】
これらの図において、本実施形態に係るメインフレーム1のフレーム本体1aは、図示せぬ車体の下部に配されており、車体の主要部を構成する。このメインフレーム1は溶接構造用鋳鋼材及び圧延鋼材により構成されており、車体幅方向に所定の間隔をもって車体前後方向にわたり平行に延在する左右一対の側板2,3と、各側板2,3の前端部の下端両側を連結する連結部材4と、各側板2,3の後端部を連結する底板5及び背板6とを有している。前記側板2,3の上面寄りには、図示せぬエンジンやステアリング装置等を取り付けるための左右一対の各種の固着部7,7がフレーム幅方向の内側面に突設されている。前記側板2,3の下面には同様の左右一対の各種の固着部8,8がフレーム幅方向の内側面に突設されている。
【0020】
前記側板2,3の内側面の前部寄りには、下方に開放したコ字状部材からなるクロスメンバー9が溶接等の一般的な固着手段をもって固着一体化されている。同クロスメンバー9の後方に近接して、図示せぬ上部構造物を支持する左右1対のフェンダ支持部材10,10が上方側に向けて同様の固着手段をもって固着一体化されている。前記側板2,3の前端部の外側面には左右1対のラジエータガード部材11,11が設けられている。
【0021】
前記側板2,3の後端部の外側面には、図示せぬステアリング装置の一部を構成するケースを取り付けるための左右一対のステアリングケース固着部12,12、及び図示せぬトラックフレームを支持するための左右一対のピボットシャフト13,13を固設するピボットシャフト固着部14,14が設けられている。同固着部14の真上であってメインフレーム1の内側面にはフレーム上下方向に延在する柱状をなす左右一対の保護部材固着部16,16が設けられると共に、保護部材固着部16には、車体転倒時にオペレータを保護する柱状のオペレータ保護部材15がフレーム外方に傾斜した状態で設けられている。
【0022】
上記のごとく構成されたメインフレーム1は、従来から広く知られた周知の構造及び構成部材を有しており、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の最も特徴とするところは、ラジエータ、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置等の機器、作業機等を制御する油圧機器及び電子機器、配管、配線などの各種の搭載機器を前記メインフレーム1の内部に搬入するにあたり、搭載機器の搬入に障害が少ないメインフレーム1の内部の構造及び形状にある。
【0023】
本実施形態にあっては、前記ラジエータガード部材11や前記オペレータ保護部材15の付設部材を付設する付設部におけるメインフレーム1の内側面の構造及び形状を例に挙げて説明する。なお、メインフレーム1の付設部材の左右両側ともに略同一構造を有しているため、本実施形態では片側の付設部材のみを説明する。
【0024】
本実施形態のメインフレーム1は、搬入時の各種搭載機器に対する非干渉面を形成すべく左右一対の側板2,3の内側面から全ての突出部分を排除して滑らかな連続面としている。このメインフレーム1は、前記ラジエータガード部材11、オペレータ保護部材15、図示せぬステアリングケースの付設部材を付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、各種搭載機器との干渉を排除すべく、その搬入空間Aを形成する付設部の内側面とフレーム本体1aの固着部における内側面から突出する部分とを、固着強度と剛性を確保するに十分な必要最小限の突出量に抑え、各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間Aを確保している。
【0025】
図示例によれば、前記メインフレーム1の前端部は、その上面側の一部が下方に滑らかな曲線状に傾斜して延在するラジエータガード固着部18とされ、同固着部18の外側面がラジエータガード部材11との固設面とされている。この固着部18のフレーム幅方向の内側面とラジエータガード部材11の内側面とを滑らかな連続面にして連結すべく前記ラジエータガード部材11がメインフレーム1の前端部の少なくとも内側面に溶接による固着手段をもって固着一体化され、ラジエータガード固着部18のフレーム幅方向の内側面とラジエータガード部材11のフレーム幅方向の内側面とが各種搭載機器と干渉しない連続する搬入空間Aを確保している。
【0026】
左右一対のラジエータガード部材11の内側面には、図示せぬラジエータファンを支持するためのラジエータファンケース17が固設されている。同ラジエータファンケース17の後方側は、図示せぬラジエータが前記側板2,3の下面側の固着部8等にボルト及びピン等による固定手段をもって固定される。上述のようにラジエータガード部材11を固設する固設部が滑らかな連続面とされているため、ラジエータガード部材11を固設する固設部とラジエータ等の搭載機器とが互いに干渉し合うことなく搭載作業を極めて円滑に且つ効率よく行うことができる。
【0027】
本実施形態にあっては、図示せぬラジエータファンが同じく図示を省略した油圧ポンプを介して駆動される。エンジンにより駆動するラジエータファンを使用すると、メインフレームの前端部の間の空間部にラジエータ及びラジエータ後方側のラジエータファンを配したのちにエンジンを搭載し、そののちファン駆動用のプーリやベルト等の各種部品を取り付けなければならないが、これらの部品点数は多くなり、それらの取付けや調整に相当な時間と手間がかかる。その結果、組立ライン上での組立工数が増大するため好ましくない。
【0028】
本実施形態にあっては、図示せぬ油圧ポンプを駆動源としたラジエータファン(油圧駆動ファン)を使用することによりエンジンとの連結を行う必要がなくなり、ファン駆動用のプーリやベルト等の各種部品を排除することができるため、部品点数を大幅に削減することができる。このため、上述のように前記ラジエータガード部材11をメインフレーム1のラジエータガード固着部18に溶接による固着を行うことができるようになり、組立ライン上での組立工数を大幅に軽減することができる。その結果、メインフレーム1に対する搭載機器の搭載作業の自動化を容易に達成することができるようになる。
【0029】
前記ピボットシャフト13は、前記側板2,3の前端部の外側面に設けられたピボットシャフト固着部14に溶接による固着手段をもって固着一体化されている。本実施形態では、前記ピボットシャフト固着部14のフレーム幅方向の内側面はメインフレーム1の内側面の造形ラインに融和して滑らかに連続している。上記ステアリングケース固着部12のフレーム幅方向の内側面にあっても、ピボットシャフト固着部14の内側面と同様にメインフレーム1の内側面に滑らかに連続する連続面を有している。図示せぬステアリングケースを付設する付設部を必要最少限の大きさに設定すると共に、メインフレーム1内への搭載機器と干渉しない連続した搬入空間Aを確保して図示せぬステアリング装置等との干渉を回避している。
【0030】
前記メインフレーム1の後端部の内側面にあって前記ピボットシャフト固着部14の真上には、オペレータ保護部材15(所謂、ROPS)を支持するための保護部材固着部16がオペレータ保護部材15を支持し得るに十分な最小限の大きさ、形態、取付強度及び剛性をもってフレーム幅方向に対向して張り出している。同固着部16のフレーム幅方向の内側面はフレーム本体1aの内側面に滑らかに連続している。
【0031】
前記保護部材固着部16の固設面は、図4に示すように側板2,3の後端部上面よりも僅かに突出して配されている。同固着部16の固設面と側板2,3の後端部上面とは、メインフレーム1の後端部の内幅寸法を必要な限り拡大すべく車体前後方向にわたり異なる曲率で連続的な変化により得られる湾曲状の連続面によって滑らかに連続している。メインフレーム1は、その外幅寸法を大きくすることなく内幅寸法を大きい寸法に設定することによりメインフレーム1内の搬入空間Aを合理的に拡大している。図示例によるオペレータ保護部材15を付設する付設部は溶接による固着手段をもって固着一体化されており、その付設部と保護部材固着部16とのフレーム幅方向の内側面がメインフレーム1の内側面に融和して滑らかな連続面をなしている。
【0032】
この実施形態にあっても、上記各実施形態と同様に各種搭載機器との干渉面を排除すべくオペレータ保護部材15の付設部の内側面と保護部材固着部16の内側面とを必要最小限に削り取り、オペレータ保護部材15と保護部材固着部16とを固着一体化し、各種搭載機器と干渉しない連続した搬入空間Aを確保している。このため、メインフレーム1に対する各種搭載機器の設置工数が大幅に削減できる。また、取付ボルトやナット等の締結部品、前記フレーム本体1a、ラジエータガード部材11の固着部18、オペレータ保護部材15の固着部16の内側面から突出する突出部分等を排除することができるため、部品点数が少なくなり、製品コスト及び作業コストを低減できると共に、メインフレーム1の重量も軽くなり、その製作自体も容易で且つ安価となる。
【0033】
上記のごとく構成されたラジエータガード部材11、オペレータ保護部材15とそれらの固着部16,18とは、フレーム幅方向の内側面に沿って滑らかな連続面を有している。このため、前記メインフレーム1のフレーム前後方向にわたってラジエータ、ラジエータファン、エンジン、トルクコンバータ、トランスミッション、ステアリング装置等の大型の機器、作業機等を制御する油圧機器や電子機器、配管や配線等の各種の搭載機器における多様な設置作業を極めて円滑に且つ効率よく行うことができると共に、前記メインフレーム1に対する搭載機器の搭載作業を容易に自動化することができる。
【0034】
次に、図5を参照してフレーム本体1aに固設されるオペレータ保護部材15の保護部材固着部16の他の実施形態を説明する。図5はフレーム本体1aの保護部材固着部16、及び同固着部16に対するオペレータ保護部材15の固着の一例を示している。同図において、実線で示す付設部材は本実施形態に係るオペレータ保護部材15及び保護部材固着部16の一例を示している。二点鎖線で示す付設部材は、従来のオペレータ保護部材15及び保護部材固着部16の一例を示している。
【0035】
同図において、本実施形態による溶接は少なくともオペレータ保護部材15の固設部の内側面になされている。図示例にあっては、保護部材固着部16は、その中間部を切り欠いた門型形状をなしており、メインフレーム1内の搬入空間Aをさらにいっそう拡大している。二点鎖線で示す従来のメインフレーム1と比較すると、図示例によるオペレータ保護部材15を固設する固設部は、同図から明らかなように二点鎖線で示す従来のメインフレーム1の内側面に突出する保護部材固着部16及びオペレータ保護部材15の各ボルト締着部分15a,16aの双方を削り取って全ての突出部分を排除している。
【0036】
図示例による保護部材固着部16の外郭形状は異なる曲率で連続的な変化により得られる湾曲面をなしており、メインフレーム1の内側面に沿って滑らかに連続した連続面とされている。この保護部材固着部16の外郭形態は、従来のメインフレーム1よりも必要な限りスリム化されており、メインフレーム1の重量が軽量化されている。図示例によるオペレータ保護部材15を固設する固設部にあっても、上記各実施形態と同様にメインフレーム1内の搬入空間Aが拡大できるため、溶接治具等の使用時にメインフレーム1の内側面と保護部材固着部16の内側面とに干渉するような妨害が少なくなり、溶接治具等の位置決めが容易にできると共に、溶接作業を安定して円滑に且つ効率的に行うことができる。
【0037】
なお、保護部材固着部16等の大きさ及び形態は図示例に限定されるものではない。本発明にあっては、オペレータ保護部材15等の付設部材の大きさ及び形態によって任意に決定でき、同付設部材等を介してメインフレーム1に取着すべき上記搭載機器を支持し得るに十分な最小限の大きさ及び形態とすることが可能であることは勿論である。また、上記各種付設部材の付設部におけるフレーム幅方向の内側面の構造及び形状を各種搭載機器の配置や外郭形状等に応じて任意に設定することができる。このため、設計の自由度は大きくなり、経済的な効果も顕著に得られる。
【0038】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態に係る作業用車両のメインフレーム1は、各種搭載機器の搬入空間Aが連続して確保されているため、メインフレーム1内に各種の搭載機器を搬入して設置するとき、メインフレーム1内の付設部と搭載機器とが互いに干渉し合うことはない。このため、各種の搭載機器を搬入空間Aに確実に且つ安定して搬入することができるようになり、各種搭載機器の搭載作業を極めて容易に且つ効率よく行うことができる。その結果、各種搭載機器の搬入時における安全性が十分に確保できると共に、前記メインフレーム1に対する搭載機器の位置決めが容易にでき、しかも安定して固定できるようになり、前記搭載機器のメインフレーム1内への設置工数を大幅に削減することができる。なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である作業用車両のメインフレームの一例を概略的に示す斜視図である。
【図2】同メインフレームの側面図である。
【図3】同メインフレームの平面図である。
【図4】同メインフレームの後端部の構造と搭載機器の配置とを示す要部拡大平面図である。
【図5】同メインフレームに固設される付設部材の付設部の他の実施形態を概略的に示す要部拡大図である。
【図6】従来の作業用車両のメインフレームを概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 メインフレーム
1a フレーム本体
2,3 側板
4 連結部材
5 底板
6 背板
7,8 固着部
9 クロスメンバー
10 フェンダ支持部材
11 ラジエータガード部材
12 ステアリングケース固着部
13 ピボットシャフト
14 ピボットシャフト固着部
15 オペレータ保護部材
15a,16a ボルト締着部
16 保護部材固着部
17 ラジエータファンケース
18 ラジエータガード固着部
A 搬入空間
Claims (3)
- フレーム本体(1a)に各種の付設部材(11,15) を付設した作業用車両のメインフレーム(1) であって、
メインフレーム(1) の前記付設部材(11,15) を付設する付設部と前記付設部材(11,15) との固着部(16,18) におけるフレーム幅方向の内側面が、搭載機器搬入時の各種搭載機器に対する非干渉面とされてなることを特徴とする作業用車両のメインフレーム。 - 前記メインフレーム(1) の外郭寸法形態が通常の寸法形態を備えており、
前記付設部材(11,15) を付設する付設部における相対する内側面間の寸法が、前記搭載機器の搬入空間(A) の幅寸法より大きく設定されるとともに、その相対する内側面が各種搭載機器との非干渉面とされてなることを特徴とする請求項1記載のメインフレーム。 - 前記付設部材(11,15) が前記フレーム本体(1a)に溶接により固設されてなることを特徴とする請求項2記載のメインフレーム。
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