JP2004017668A - Runflat tire - Google Patents
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- B60C2017/0054—Physical properties or dimensions of the inserts
- B60C2017/0072—Thickness
Landscapes
- Tires In General (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーカスの内面側でかつ少なくともサイドウォール部に補強層を有するランフラットタイヤに関するものであり、特にかかるタイヤの耐久性の向上を図る。
【0002】
【従来の技術】
通常の空気入りラジアルタイヤでは、タイヤに必要とされる剛性を発現させるために、ビード部にビードコアやビードフィラーを埋設することでホイールのリムとの嵌合を強固にするとともに剛性を確保し、またカーカスのクラウン部外周にベルトを配置することでリング剛性を得ている。さらに、タイヤ内部に空気を充填することで、ベルトに張力が付与され、前述のリング剛性がより増大する。また、通常カーカスプライが主体となって構成されているサイドウォール部にも同様の張力が付与され、サイドウォール部は、かかる張力によって発現される剛性によってベルトとビード部との間をバネのように弾性的に結合する。このように通常の空気入りラジアルタイヤにおいては、サイドウォール部に付加的な部材をあえて配設しないことで、通常走行時の乗心地を確保している。
【0003】
しかし、車両の操縦安定性を向上させる等の理由から、空気入りラジアルタイヤのサイドウォール部の剛性を高める必要が生じることがある。
【0004】
特に、パンク時においてもある程度の距離の走行が可能な空気入りラジアルタイヤ、いわゆるランフラットタイヤでは、低内圧またはパンクした状態で荷重を負荷したときの撓み変形を抑制する必要があることから、空気圧に依存することなくタイヤ単体またはリムとの組み合わせ体で十分に剛性を発揮することが要求されている。
【0005】
タイヤの剛性を高めるための手段としては、例えば図5(a)に示すように、サイドウォール部101に断面が三日月状の補強層103をカーカス102の内面側に配置する。カーカス102が複数枚のプライで構成されているときには、図5(b)に示すように、プライの間にこの補強層103を挟み込んで配置するのが有用である。補強層103の材質としては硬質のゴム材料等が使用され、特に剛性を増大させる観点から引張りおよび圧縮剛性の高いものを用いるのが一般的である。また、補強層103はこれに隣接する部材との間に生じる剛性段差を小さくするため、補強層103の厚さが、図6に示すようにタイヤ径方向端縁104a、104bに向かって薄くなるように形成されてはいるものの、補強層103の端部105a、105b形状の適正化が図られていないため、剛性段差が依然として大きくなる傾向があり、補強層103の端部105a、105b近傍に応力が集中する結果、早期に故障が生じやすいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、この発明の目的は、補強層、特のその端部および移行部の厚さ方向の断面形状の適正化を図ることにより、補強層とこれに接する部材との間で生じる剛性段差を小さくして、優れた耐久性を有するランフラットタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、一対のビード部、ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部および両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部の各部にわたってトロイド状に延びる少なくとも1枚のプライからなるカーカスを配設し、カーカスのクラウン部とトレッド部との間に、タイヤ赤道面を挟んでコードが互いに交差するように積層した少なくとも2層のコード層からなるベルトを具え、カーカスの内面側および/またはプライ間でかつ少なくともサイドウォール部の範囲にわたって断面三日月状の補強層を具えるランフラットタイヤにおいて、補強層は、タイヤ幅方向断面で見て、補強層のタイヤ径方向端縁位置から補強層の外周面に沿って測定した距離を変数xとし、補強層の厚さをt1とするとき、前記厚さ(t1)が下記(1)式の関係式を満足するように漸増する一対の端部と、該端部との境界位置に変曲点を持ち、補強層の厚さが最大となる点に向かって厚さが漸増する一対の移行部と、両移行部間に位置する中央部とからなることを特徴とするランフラットタイヤである。
記
t1=axn ・・・・・(1)
但し、a>0、n>1である。
【0008】
ここにいう「変曲点」には、曲線の凹凸の状態が変わる点に加えて、曲線と直線の交点を含むものとする。
【0009】
なお、この発明において、タイヤの各部の寸法は、JATMAに規定された標準リムに組み付け、適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力に対応する空気圧を充填してタイヤをリムに嵌合した後、タイヤ内圧をこの空気圧の10%に相当する空気圧まで減圧した状態で測定するものとする。
【0010】
移行部の厚さの変化率は、変曲点から補強層の厚さが最大となる点に向かって漸減することが好ましい。ここで「厚さの変化率」とは、タイヤ幅方向断面内での補強層に対する接線の傾きのことであり、具体的には、補強層のタイヤ幅方向断面を表す式の微分係数として求めることができる。
【0011】
また、累乗の指数nは4/3以上であることが好ましい。
【0012】
加えて、補強層の一方の端部とこれに隣接する移行部とを合わせた幅が前記補強層の幅の0.2倍以上であることが好ましい。
【0013】
さらにまた、補強層の厚さの最大値が補強層の幅の0.14倍以上であることが好ましい。
【0014】
ここで、「端部の幅」および「補強層の幅」とは、タイヤ幅方向断面で見て、補強層の外周面に沿ってそれぞれ測定したときの幅をいい、「補強層の厚さ」とは補強層の外周面に立てた法線上で測定した補強層の外周面と内周面との間の距離をいう。
【0015】
また、変曲点の位置は、補強層の厚さの最大値の70%以下の範囲にあることが好ましい。
【0016】
さらに、補強層の中央部の厚さはほぼ一定であることが好ましい。
【0017】
加えて、補強層の中央部を中央域と両端域に区分するとき、中央域の厚さが両端域のそれに比べて薄いことが好ましい。
【0018】
さらにまた、補強層は、そのタイヤ径方向外側に位置する端部をベルトの端部下方にオーバーラップさせて配設し、かかるオーバーラップ範囲をタイヤ幅方向に測定したときの幅が、カーカス高さの0.2倍以上であることが好ましい。
【0019】
また、タイヤを標準リムに装着した状態にて、補強層のタイヤ径方向縁とリム径ラインとの間のタイヤ径方向距離が、標準リムのフランジ高さの1.3倍以上であることが好ましい。ここで「リム径ライン」とは、リム径を測定する位置を意味する。
【0020】
さらに、補強層が硬質ゴムであることが好ましい。
【0021】
加えて、補強層の100%モジュラスが4MPa以上であることが好ましい。
【0022】
さらにまた、カーカスを構成する少なくとも1枚のプライが、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、レーヨン、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびアラミドからなる群より選択されたコードを有することが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的なランフラットタイヤ(以下、「タイヤ」という。)の幅方向半断面を示した図である。
【0024】
図1に示すタイヤ1は、一対のビード部2、ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3および両サイドウォール3部間にまたがって延びるトレッド部4の各部にわたってトロイド状に延びる少なくとも1枚のプライ、図1では2枚のプライからなるカーカス5を配設し、カーカス5のクラウン部6とトレッド部4との間に、タイヤ赤道面7を挟んでコードが互いに交差するように積層した少なくとも2層のコード層、図1では2層のコード層8a、8bからなるベルト9を具え、カーカス5の内面側でかつ少なくともサイドウォール部3の範囲にわたって断面三日月状の補強層10を具えており、いわゆるサイド補強タイプのランフラットタイヤの構造を有する。
【0025】
そして、この発明の構成上の主な特徴は、補強層10、特にその端部13a、13bおよび移行部16a、16bの厚さ方向の断面形状の適正化を図ることにあり、具体的には、補強層10が、タイヤ幅方向断面で見て、補強層10のタイヤ径方向端縁11a、11b位置から補強層10の外周面12に沿って測定した距離を変数xとし、補強層10の厚さをt1とするとき、厚さt1が下記(1)式の関係式を満足するように漸増する一対の端部13a、13bと、端部13a、13bとの境界位置14a、14bに変曲点を持ち、補強層10の厚さが最大となる点12に向かって厚さが漸増する一対の移行部16a、16bと、両移行部16a、16b間に位置する中央部17とを有することにある。
記
t1=axn ・・・・・(1)
但し、a>0、n>1である。
【0026】
以下、この発明が上記構成を採用するに至った経緯を作用とともに説明する。発明者は、サイドウォール部3をタイヤ周方向に単位長さ切り出し、これを円弧状の梁とみなしてモデル化し、タイヤに負荷荷重Wが適用されたときに生じる曲げと軸力による最大圧縮応力σを解析した。すなわち、タイヤ幅方向断面内において、円弧の中心を通りタイヤ回転軸に平行な線Lから角度θの位置における最大圧縮応力σは、サイドウォール部3の、曲率半径、タイヤ周方向断面積および断面係数、ならびに開き角をそれぞれR、A、Zおよびφとすると、次式のように表される。
【0027】
【数1】
但し、−φ/2≦θ≦φ/2である。
【0028】
上式より、最大圧縮応力σは、θ=−φ/2またはφ/2において最小となり、θ=0において最大となることが分かる。
【0029】
また、サイドウォール部3の剛性を高めるため、カーカス5内面側に補強層10を配設した場合の最大圧縮応力σ′は、補強層10のタイヤ周方向断面積をaとすると、次式のように表される。
【0030】
【数2】
【0031】
したがって、任意の角度θにおける最大圧縮応力σ′を均一にするためには、上式の右辺第二項が右辺第一項に反比例して変化する必要がある。すなわち、cosθが最小のときにW/(A+a)が最大になる、すなわちaが最小となり、cosθが最大のときにW/(A+a)が最小になる、すなわちaが最大となる必要がある。このような断面積aの変化を有する補強層10のタイヤ幅方向断面形状は三日月状となる。
【0032】
しかしながら、このような断面形状の補強層10を用いたとしても、補強層10がサイドウォール部3と接合する両端縁11においては、補強層10とこれに隣接する部材との間に剛性段差を生じやすいため、補強層10の端縁11近傍に応力が集中し、早期に故障が生じやすいという問題があった。
【0033】
発明者は、この問題を解決するためには、補強層10とこれに隣接する部材との間で剛性が連続的に変化するように端部13a、13bの形状を加工すればよいことを見出した。そこで、材料力学の断面二次モーメントを用いて曲げ剛性を考慮し、補強層10とこれに隣接する部材との間で剛性が連続的に変化するには、両端部13a、13bにおいて断面二次モーメントの2階微分が連続であり、かつ両端縁11a、11bにおいて実質上零となればよいことを見出した。
【0034】
すなわち、補強層10の一方の端部13aまたは13bについて考察すると、補強層10のタイヤ径方向端縁11から補強層の外周面12に沿って測定した距離を変数xとし、補強層10の厚さをt1とするとき、0≦x≦1/2の領域において、曲げ剛性として周方向単位幅あたりの断面二次モーメントIは次のように表される。
【0035】
【数3】
【0036】
ここで、x<0でt1=0、I=0の領域を含めてx=0でIおよび1階微分、2階微分が常に実質上連続となる、すなわちI(0)=I(1)(0)=I(2)(0)=0となる取扱いの簡便な一般関数形としては、定数項を含まない工事関数形が考えられる。さらに、ここでは端部領域についてのみ議論しているので、この領域では変曲点を含まない漸増状態を常に満足することが好ましい。ここで高次多項式について考えると、最高次数項についてのみ取り上げると前述の条件が満足されるので、t1はxの累乗、すなわちt1=axnと表すことができる。これを上式に代入し、1階微分および2階微分を求めると次のようになる。
【0037】
【数4】
【0038】
補強層10とこれに隣接する部材との間で剛性が連続的に変化するためには、0≦x≦1/2の領域において、少なくとも上記3つの式が連続であることが必要である。さらに、端縁11において剛性段差を生じないためには、xの減少に伴ってIも漸減して零に収束すること、すなわち2階微分が1次関数系よりも大きいこと、望ましくは2次関数以上であることが必要である。
【0039】
したがって、I(2)の累乗の指数部について、
3n−2>1、 ∴n>1
望ましくは、
3n−2≧2、 ∴n≧4/3
であることが必要である。
【0040】
移行部16a、16bの形状は、特に限定されず、曲線状、直線状等とすることができるが、移行部16a、16bの厚さの変化率が、変曲点から補強層10の厚さが最大となる点に向かって漸減する、例えば上に凸形状の曲線であると、剛性段差をより一層回避できることから、好ましい。
【0041】
よってこの発明では、端部13a、13bの形状の適正化を図ることにより、補強層10とこれに接する部材との間で生じる剛性段差を小さくすることができる。
【0042】
また、一方の端部13a、13bとこれに隣接する移行部16a、16bとを合わせた幅が補強層10の幅W1の0.2倍以上であることが好ましい。剛性段差に起因する応力の集中現象を回避するには、剛性が漸増する断面形状を有することが重要であるが、一方の端部13a、13bとこれに隣接する移行部16a、16bとを合わせた幅が補強層10の幅の0.2倍未満では、その効果は不十分であり、補強層10全体として十分に応力の集中を抑制することができなくなるおそれがあるからである。
【0043】
さらに、補強層10の厚さの最大値tmaxが補強層10の幅W1の0.14倍以上であることが好ましい。厚さの最大値tmaxが幅W1の0.14倍より小さいと、ランフラットタイヤに必要とされるタイヤの剛性が不足する傾向があるからである。なお、補強層10の厚さの最大値tmaxとは、図2に示すように、タイヤ貼り付け前の補強層10の形状で測定したときの厚さの最大値tmaxを意味する。
【0044】
さらにまた、変曲点の位置は、補強層10の厚さの最大値の70%以下の範囲にあることが好ましい。変曲点の位置を補強層10の厚さの最大値の70%以下の範囲とすることで、移行部分16a、16bにおける補強層10の厚さをなだらかに漸増させることが可能となり、補強層10の厚さの変化が急激となる部分が無くなり、タイヤのランフラット性能を向上させることができるからである。
【0045】
さらにまた、補強層10の中央部17においては、端部13a、13bに比べると曲げ剛性が十分に大きくなっており、実質上応力の集中は発生しないため、端部13a、13bや移行部16a、16bのように必ずしも曲げ剛性が上述した3つの式で連続である必要はなく、少なくとも曲げ剛性、すなわち厚さの分布が連続していればよい。したがって、中央部17は平坦であってもよく、または角部や凹部を有していてもよいが、加工適正の観点からは図2に示すように中央部17の厚さはほぼ一定であることが好ましく、タイヤの軽量化の観点からは図3に示すように中央部17の中央域19の厚さが両端域18のそれに比べて薄いことが好ましい。
【0046】
加えて、補強層10は、そのタイヤ径方向外側に位置する端部13bをベルト9の端部下方にオーバーラップさせて配設し、かかるオーバーラップ範囲をタイヤ幅方向に測定したときの幅W2が、カーカス高さHcの0.2倍以上であることが好ましい。補強層10とベルト9とがオーバーラップしていないと、ベルト9の端部直下での剛性が相対的に低くなる結果、この領域に応力が集中して早期に故障することがあるからである。
【0047】
また、補強層10のタイヤ径方向内端縁11aとリム径ライン20との間のタイヤ径方向距離dが、標準リムのフランジ高さの1.3倍以上であることが好ましい。ビード部2には、ビードワイヤ、ビードフィラー等の補強部材が埋設されている上、リムと嵌合することでビード部はリムフランジからも支持されるので、標準リムのフランジ高さの1.3倍未満の領域にまで補強層10を配設してもタイヤ重量を増加させるばかりで、十分な剛性増大効果は得られない傾向があるからである。
【0048】
さらに、補強層10の材質は、ゴム、樹脂またはこれらの材料中に大量の空隙部を有するもの、例えば発泡ゴム、発泡ウレタン等を用いることが可能であるが、操縦安定性と乗心地性の双方をバランスよく確保する観点からは硬質ゴムであることが好ましい。
【0049】
さらにまた、補強層10の100%モジュラスが4MPa以上であることが好ましい。100%モジュラスが4MPa未満の場合には、ランフラット走行に必要な剛性を確保できないからである。
【0050】
加えて、カーカスを構成する少なくとも1枚のプライが、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、レーヨン、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびアラミドからなる群より選択されたコードを有することが好ましい。ランフラット走行時にはタイヤ内圧がほぼ零となり、カーカスに張力が付与されない状態で走行するため、柔軟性および耐摩耗性を具えたカーカスコードが必要となるからである。
【0051】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0052】
補強層は、図1ではカーカス5の内面側に配設した例を示したが、例えば図4に示すようにカーカス5が2枚以上のプライから構成される場合には、補強層10aをカーカスプライの間に挟んで配設してもよく、また、双方に配設してもよい。双方に配設する場合には、2つの補強層10a、10bを合わせて寸法を測定する。
【0053】
【実施例】
次に、この発明に従うランフラットタイヤを試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
【0054】
(試験例1)
実施例1〜4のタイヤは、図1に示す幅方向断面を有し、タイヤサイズが245/45R18であるランフラットタイヤであって、補強層は、100%モジュラスが10.5MPaである硬質ゴムで構成され、補強層の幅が80mmであり、補強層の端部と移行部とを合わせた幅は補強層の幅の0.22倍であり、補強層の端部における厚さt1は、
t1=axn
で表され、nが表1に示す値をとり、x=0で実質t1=0、x=0.2でt1=6.0mmであり、補強層は、中央部の厚さが一定であって、厚さの最大値が8mmであり、カーカスはレーヨンコードからなる2枚のプライで構成され、補強層とベルトとのオーバーラップ範囲をタイヤ幅方向に測定したときの幅がカーカス高さの0.25倍であるランフラットタイヤである。
【0055】
比較のため、図6に示す補強層を用いた従来タイヤ(従来例)と、累乗の指数nがこの発明の適正範囲外であるタイヤ(比較例1および2)についても併せて試作した。
【0056】
(試験方法)
前記各供試タイヤを標準リム(8JJ)に組み付けてタイヤ車輪とし、空気圧0kPa(相対圧)、試験負荷荷重5290N、走行速度90km/hの条件下でドラム試験機上を走行させ、タイヤが故障するまでの走行距離を測定し、この測定値によって耐久性を評価した。その評価結果を表1に示す。なお、表1中の耐久性は従来例の耐久性を100としたときの指数比で示してあり、数値の大きいほど耐久性が優れている。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示す結果から、補強層の端部の形状がこの発明の累乗の指数nの適正範囲を満足する場合に耐久性が優れている。
【0059】
(試験例2)
次に、実施例5〜9のタイヤは、タイヤサイズが225/50R16であり、補強層の幅が75mmであり、補強層の厚さの最大値が9mmであり、端部および移行部の補強層幅に対する比が表2に示す値であること以外は実施例3のタイヤと同様の構造を有するランフラットタイヤである。
【0060】
(試験方法)
前記各供試タイヤを標準リム(7JJ)に組み付けてタイヤ車輪とし、空気圧0kPa(相対圧)、試験負荷荷重5290N、走行速度80km/hの条件下でドラム試験機上を走行させ、タイヤが故障するまでの走行距離を測定し、この測定値によって耐久性を評価した。その評価結果を表2に示す。なお、表2中の耐久性は実施例5の耐久性を100としたときの指数比で示してあり、数値の大きいほど耐久性が優れている。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示す結果から、実施例5〜9のタイヤのうち、特に補強層の端部の幅が補強層の幅の0.2倍以上である実施例7〜9は耐久性が格段に向上している。
【0063】
【発明の効果】
この発明によれば、耐久性に優れたランフラットタイヤを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う代表的なランフラットタイヤの幅方向半断面図である。
【図2】この発明に従う補強層10のタイヤ貼付け前の幅方向断面図である。
【図3】この発明に従う他の補強層10のタイヤ貼付け前の幅方向断面図である。
【図4】この発明に従う他のランフラットタイヤの幅方向半断面図である。
【図5】(a)および(b)はいずれも従来のランフラットタイヤの幅方向半断面図である。
【図6】図5(a)に示す従来タイヤの補強層103のみを抜き出して示した拡大図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 トレッド部
5 カーカス
6 クラウン部
7 タイヤ赤道面
8a、8b コード層
9 ベルト
10 補強層
11a、11b タイヤ径方向端縁
12 外周面
13a、13b 端部
14a、14b 境界位置
15 タイヤ径方向中心位置
16a、16b 移行部
17 中央部
18 中央部両端域
19 中央部中央域
20 リム径ライン[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a run flat tire having a reinforcing layer on the inner surface side of a carcass and at least on a side wall portion, and in particular, aims to improve the durability of such a tire.
[0002]
[Prior art]
In a normal pneumatic radial tire, in order to express the rigidity required for the tire, a bead core or bead filler is embedded in the bead part to secure the fitting with the rim of the wheel and secure the rigidity, Ring rigidity is obtained by arranging the belt around the crown of the carcass. Further, by filling the inside of the tire with air, tension is applied to the belt, and the above-described ring rigidity is further increased. A similar tension is also applied to the side wall portion, which is usually formed mainly of the carcass ply, and the side wall portion has a stiffness developed by the tension, such as a spring between the belt and the bead portion. Elastically coupled to As described above, in a normal pneumatic radial tire, the ride comfort during normal running is ensured by not arranging an additional member on the sidewall portion.
[0003]
However, it may be necessary to increase the rigidity of the sidewall portion of the pneumatic radial tire for reasons such as improving the steering stability of the vehicle.
[0004]
In particular, pneumatic radial tires that can travel for a certain distance even during puncturing, so-called run-flat tires, need to suppress bending deformation when a load is applied under a low internal pressure or punctured state. It is required that the tire alone or a combination with a rim exhibit sufficient rigidity without depending on the tire.
[0005]
As a means for increasing the rigidity of the tire, for example, as shown in FIG. 5A, a crescent-
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, an object of the present invention is to reduce the rigidity step generated between the reinforcing layer and a member in contact with the reinforcing layer by optimizing the cross-sectional shape in the thickness direction of the reinforcing layer, particularly its end portion and the transition portion. Accordingly, it is an object of the present invention to provide a run flat tire having excellent durability.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention extends in a toroidal manner over a pair of beads, a pair of sidewalls extending radially outward from the beads and a tread portion extending between both sidewalls. A carcass comprising at least one ply is disposed, and a belt comprising at least two cord layers laminated so that cords intersect each other with a tire equatorial plane interposed between a crown portion and a tread portion of the carcass. In a run-flat tire having a crescent-shaped reinforcing layer across the inner surface side and / or ply of the carcass and at least over the area of the sidewall portion, the reinforcing layer is a tire of the reinforcing layer when viewed in a cross section in the tire width direction. The distance measured from the radial edge position along the outer peripheral surface of the reinforcing layer is defined as a variable x, and the thickness of the reinforcing layer is defined as t 1. When the thickness (t 1 ) has a pair of ends gradually increasing so as to satisfy the following relational expression (1), there is an inflection point at a boundary position with the ends, and the reinforcing layer has A run-flat tire comprising a pair of transition portions whose thickness gradually increases toward a point where the thickness becomes maximum, and a central portion located between the transition portions.
Note that t 1 = ax n (1)
However, a> 0 and n> 1.
[0008]
The “inflection point” here includes an intersection of a curve and a straight line, in addition to a point at which the state of unevenness of the curve changes.
[0009]
In the present invention, the dimensions of each part of the tire are determined by assembling the tire with the standard rim specified by JATMA, filling the tire with the air pressure corresponding to the maximum load capacity in the applicable size and ply rating, and then fitting the tire to the rim. The measurement is performed in a state where the internal pressure is reduced to an air pressure equivalent to 10% of the air pressure.
[0010]
It is preferable that the rate of change in the thickness of the transition portion gradually decreases from the inflection point to the point where the thickness of the reinforcing layer becomes maximum. Here, the “rate of change in thickness” refers to the inclination of a tangent to the reinforcing layer in the cross section in the tire width direction, and specifically, is calculated as a differential coefficient of an equation representing the cross section in the tire width direction of the reinforcing layer. be able to.
[0011]
Further, the exponent n is preferably 4/3 or more.
[0012]
In addition, it is preferable that the combined width of one end of the reinforcing layer and the transition part adjacent thereto is 0.2 times or more the width of the reinforcing layer.
[0013]
Furthermore, it is preferable that the maximum value of the thickness of the reinforcing layer is 0.14 times or more of the width of the reinforcing layer.
[0014]
Here, the “width of the end portion” and the “width of the reinforcing layer” refer to the width when measured along the outer peripheral surface of the reinforcing layer, respectively, when viewed in a cross section in the tire width direction, and the “thickness of the reinforcing layer”. "" Means the distance between the outer peripheral surface and the inner peripheral surface of the reinforcing layer measured on the normal to the outer peripheral surface of the reinforcing layer.
[0015]
Further, the position of the inflection point is preferably in a range of 70% or less of the maximum value of the thickness of the reinforcing layer.
[0016]
Further, it is preferable that the thickness of the central portion of the reinforcing layer is substantially constant.
[0017]
In addition, when dividing the central portion of the reinforcing layer into a central region and both end regions, it is preferable that the thickness of the central region is thinner than those of the both end regions.
[0018]
Furthermore, the reinforcing layer is disposed such that the end located outside in the tire radial direction is overlapped below the end of the belt, and the width when the overlapping range is measured in the tire width direction is equal to the carcass height. It is preferably at least 0.2 times the thickness.
[0019]
In addition, in a state where the tire is mounted on the standard rim, a tire radial distance between the tire radial edge of the reinforcing layer and the rim diameter line is at least 1.3 times the flange height of the standard rim. preferable. Here, the “rim diameter line” means a position where the rim diameter is measured.
[0020]
Further, it is preferable that the reinforcing layer is a hard rubber.
[0021]
In addition, the 100% modulus of the reinforcing layer is preferably 4 MPa or more.
[0022]
Furthermore, it is preferable that at least one ply constituting the carcass has a cord selected from the group consisting of
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a diagram showing a half cross section in the width direction of a typical run flat tire (hereinafter, referred to as “tire”) according to the present invention.
[0024]
The tire 1 shown in FIG. 1 has a toroidal shape over a pair of bead portions 2, a pair of sidewall portions 3 extending radially outward from the bead portion 2, and a tread portion 4 extending between the two sidewall portions 3. A
[0025]
The main feature of the configuration of the present invention is to optimize the cross-sectional shape in the thickness direction of the reinforcing
Note that t 1 = ax n (1)
However, a> 0 and n> 1.
[0026]
Hereinafter, a description will be given of how the present invention adopts the above configuration together with its operation. The inventor cuts out the sidewall portion 3 in a unit length in the tire circumferential direction, models the sidewall portion 3 as an arc-shaped beam, and obtains a maximum compressive stress due to bending and axial force generated when a load W is applied to the tire. σ was analyzed. That is, in the cross section in the tire width direction, the maximum compressive stress σ at a position at an angle θ from the line L passing through the center of the arc and parallel to the tire rotation axis is the radius of curvature, the tire circumferential cross-sectional area and the cross-sectional area of the sidewall portion 3. Assuming that the coefficient and the opening angle are R, A, Z, and φ, respectively, they are represented by the following equations.
[0027]
(Equation 1)
However, -φ / 2 ≦ θ ≦ φ / 2.
[0028]
From the above equation, it can be seen that the maximum compressive stress σ is minimum at θ = −φ / 2 or φ / 2, and is maximum at θ = 0.
[0029]
The maximum compressive stress σ ′ when the reinforcing
[0030]
(Equation 2)
[0031]
Therefore, in order to make the maximum compressive stress σ ′ uniform at an arbitrary angle θ, the second term on the right side of the above equation needs to change in inverse proportion to the first term on the right side. That is, W / (A + a) must be maximum when cos θ is minimum, that is, a must be minimum, and W / (A + a) must be minimum when cos θ is maximum, that is, a must be maximum. The cross-sectional shape in the tire width direction of the reinforcing
[0032]
However, even if the reinforcing
[0033]
The inventor has found that in order to solve this problem, the shape of the
[0034]
That is, when considering one
[0035]
[Equation 3]
[0036]
Here, I and the first and second derivatives are always substantially continuous at x = 0 including the region of t 1 = 0 and I = 0 when x <0, that is, I (0) = I (1 ) (0) = I (2 ) (0) = 0 and becomes as a simple general functional form of handling, it is conceivable construction functional form without the constant term. Furthermore, since only the end region is discussed here, it is preferable that the region in this region always satisfies the gradually increasing state that does not include the inflection point. Here, considering the high-order polynomial, if only the highest-order term is taken, the above condition is satisfied, so that t 1 can be expressed as a power of x, that is, t 1 = ax n . By substituting this into the above equation and obtaining the first and second derivatives, the following is obtained.
[0037]
(Equation 4)
[0038]
In order for the stiffness to change continuously between the reinforcing
[0039]
Therefore, for the exponent part of the power of I (2) ,
3n-2> 1, ∴n> 1
Preferably,
3n-2 ≧ 2, Δn ≧ 4/3
It is necessary to be.
[0040]
The shape of the
[0041]
Therefore, in the present invention, by optimizing the shapes of the
[0042]
Further, one
[0043]
Further, it is preferable that the maximum value t max of the thickness of the reinforcing
[0044]
Furthermore, it is preferable that the position of the inflection point is in a range of 70% or less of the maximum value of the thickness of the reinforcing
[0045]
Furthermore, in the
[0046]
In addition, the reinforcing
[0047]
Further, it is preferable that the tire radial direction distance d between the tire radial
[0048]
Further, the material of the reinforcing
[0049]
Furthermore, it is preferable that the 100% modulus of the reinforcing
[0050]
In addition, it is preferable that at least one ply constituting the carcass has a cord selected from the group consisting of
[0051]
The above description is only an example of the embodiment of the present invention, and various changes can be made within the scope of the claims.
[0052]
FIG. 1 shows an example in which the reinforcing layer is disposed on the inner side of the
[0053]
【Example】
Next, a trial manufacture of a run flat tire according to the present invention was performed, and its performance was evaluated.
[0054]
(Test Example 1)
The tires of Examples 1 to 4 are run-flat tires having the cross-section in the width direction shown in FIG. 1 and the tire size is 245 / 45R18, and the reinforcing layer is a hard rubber having a 100% modulus of 10.5 MPa. The width of the reinforcing layer is 80 mm, the total width of the end of the reinforcing layer and the transition portion is 0.22 times the width of the reinforcing layer, and the thickness t 1 at the end of the reinforcing layer is ,
t 1 = ax n
Where n takes the value shown in Table 1, and when x = 0, substantially t 1 = 0, and when x = 0.2, t 1 = 6.0 mm, and the reinforcing layer has a constant thickness at the center. Wherein the maximum thickness is 8 mm, the carcass is composed of two plies of rayon cord, and the width of the carcass height measured when the overlapping range between the reinforcing layer and the belt is measured in the tire width direction. This is a run-flat tire that is 0.25 times the height.
[0055]
For comparison, a conventional tire (conventional example) using the reinforcing layer shown in FIG. 6 and a tire (Comparative Examples 1 and 2) whose exponent n is outside the appropriate range of the present invention were also trial manufactured.
[0056]
(Test method)
Each of the test tires was mounted on a standard rim (8JJ) to form a tire wheel, and was run on a drum test machine under the conditions of air pressure 0 kPa (relative pressure), test load 5290 N, and running speed 90 km / h, and the tire failed. The running distance was measured until the endurance was reached, and the durability was evaluated based on the measured values. Table 1 shows the evaluation results. The durability in Table 1 is indicated by an index ratio when the durability of the conventional example is set to 100, and the larger the numerical value, the better the durability.
[0057]
[Table 1]
[0058]
From the results shown in Table 1, the durability is excellent when the shape of the end portion of the reinforcing layer satisfies the proper range of the exponent n of the present invention.
[0059]
(Test Example 2)
Next, in the tires of Examples 5 to 9, the tire size is 225 / 50R16, the width of the reinforcing layer is 75 mm, the maximum value of the thickness of the reinforcing layer is 9 mm, and the reinforcement of the end portion and the transition portion is performed. A run flat tire having the same structure as the tire of Example 3 except that the ratio to the layer width is a value shown in Table 2.
[0060]
(Test method)
Each of the test tires was mounted on a standard rim (7JJ) to form a tire wheel, and was run on a drum test machine under the conditions of air pressure 0 kPa (relative pressure), test load 5290 N, and running speed 80 km / h, and the tire failed. The running distance was measured until the endurance was reached, and the durability was evaluated based on the measured values. Table 2 shows the evaluation results. The durability in Table 2 is indicated by an index ratio when the durability of Example 5 is set to 100, and the larger the value, the better the durability.
[0061]
[Table 2]
[0062]
From the results shown in Table 2, among the tires of Examples 5 to 9, the durability of Examples 7 to 9 in which the width of the end portion of the reinforcing layer is 0.2 times or more the width of the reinforcing layer is particularly improved. are doing.
[0063]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, it became possible to provide the run flat tire excellent in durability.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a half sectional view in the width direction of a typical run flat tire according to the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view in the width direction of the reinforcing
FIG. 3 is a cross-sectional view in the width direction of another reinforcing
FIG. 4 is a cross-sectional half-sectional view of another run flat tire according to the present invention.
5A and 5B are half sectional views in the width direction of a conventional run flat tire.
FIG. 6 is an enlarged view showing only the reinforcing
[Explanation of symbols]
Reference Signs List 1 tire 2 bead portion 3 sidewall portion 4
Claims (13)
補強層は、タイヤ幅方向断面で見て、
補強層のタイヤ径方向端縁位置から補強層の外周面に沿って測定した距離を変数xとし、補強層の厚さをt1とするとき、前記厚さ(t1)が下記(1)式の関係式を満足するように漸増する一対の端部と、
該端部との境界位置に変曲点を持ち、補強層の厚さが最大となる点に向かって厚さが漸増する一対の移行部と、
両移行部間に位置する中央部とを有することを特徴とするランフラットタイヤ。
記
t1=axn ・・・・・(1)
但し、a>0、n>1である。A carcass comprising at least one ply extending in a toroidal shape over a pair of bead portions, a pair of sidewall portions extending radially outward from the bead portion and a tread portion extending between both sidewall portions is provided. A belt comprising at least two cord layers laminated so that the cords intersect each other with the tire equatorial plane interposed between the crown portion and the tread portion of the carcass. And in a run-flat tire having a crescent-shaped reinforcing layer in cross-section over at least the side wall portion,
The reinforcing layer is seen in the cross section in the tire width direction,
The distance measured along the outer peripheral surface of the reinforcing layer from the tire radial end edge position of the reinforcing layer a variable x, when the thickness of the reinforcing layer and t 1, the thickness (t 1) is the following (1) A pair of ends that gradually increase to satisfy the relational expression;
A pair of transition portions having an inflection point at a boundary position with the end portion and gradually increasing in thickness toward a point where the thickness of the reinforcing layer is maximum,
A run flat tire having a central portion located between both transition portions.
Note that t 1 = ax n (1)
However, a> 0 and n> 1.
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