JP2004014603A - Suction chuck - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウェハの加工、搬送、検査の際に、半導体ウェハを吸引して保持することができる真空チャック等の吸着用チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば平板状の半導体ウェハ(シリコンウェハ)を研磨加工したり、搬送や検査をするために、真空引きの技術を利用して、シリコンウェハ等を着脱自在に吸引する真空吸引装置が使用されている。
【0003】
この真空吸引装置は、その本体の先端の吸引口側に、例えばセラミックス製の円盤状の吸着プレート(いわゆる真空チャック)が取り付けられたものであり、この真空チャックには、その板厚方向に貫通する多数の小径の吸着孔が設けられている。
【0004】
前記真空吸引装置では、真空ポンプ等によって真空吸引装置内の空気を吸引して気圧を低下させることにより、真空チャックの外側面である吸着面に、シリコンウェハ等を吸引して吸着(真空吸着)することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した真空チャックは、例えば絶縁性を有するコージェライト等のセラミックスからなるので、シリコンウェハ等を真空吸着する際などには、真空チャックに静電気が発生することがある。
【0006】
ところが、真空チャックに静電気が発生すると、その静電気力によって周囲のホコリやゴミ等を吸引してしまい、その結果、ホコリやゴミ等が吸着面などに付着するので、不具合が生じることがあった。
つまり、シリコンウェハと真空チャックとの間に、周囲のホコリや、コンタミネーション(摩耗による汚れ)や、パーティクル(微少なゴミ)などの異物が挟まると、真空チャックに吸着されたシリコンウェハの一部が盛り上がるので、その状態でシリコンウェハの研磨加工を行うと、シリコンウェハの加工後の面精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、異物が吸着面等に付着することを防止して、ワークの加工性等を高めることができる吸着用チャックを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明は、作業対象のワークを吸引して保持するセラミックス製の吸着用チャックに関するものであり、本発明では、吸着用チャックは、少なくともワークを吸引して保持する吸着面側に、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層が、少なくとも吸着面側に形成されているので、吸着用チャックのセラミックス部分に発生した静電気を、導電性を有するコーティング層を介して逃がすことができる。そのため、吸着用チャックには静電気が蓄積されず、吸着用チャックは静電気力によってホコリ等の異物を吸引することがないので、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難くなる。その結果、ワークは異物により歪んだりすることなく吸着面に密着するので、ワークの表面に研磨等の加工を行っても、ワークの加工精度(特にワークの表面の平面度)が低下することがない。
【0010】
また、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層は、その硬度が高く耐摩耗性に優れているので、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、その点からも、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという利点がある。
更に、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層の動摩擦係数は小さいので、ワークの摺動性が高まる。これにより、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、ワークの(吸着面と接する)裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0011】
尚、DLCコーティングとは、ダイアモンド状カーボンのコーティングのことであり、本発明では、このうち(導電性を有するDLCコーティングである)導電性DLCコーティングを行うことにより、導電性を有するコーティング層を形成したものである。
【0012】
(2)請求項2の発明では、吸着用チャックは、真空源による減圧を利用してワークを吸引して保持する真空チャックであることを特徴とする。
本発明は、吸着用チャックの種類を例示したものであり、ここでは、ワークの表面側と裏面側とに間に圧力差を発生させ(即ち裏面側を真空引きして減圧して)、ワークを吸着する真空チャックが挙げられる。
【0013】
ここで、真空源とは、所定領域を周囲よりも減圧することが可能な減圧源を示すものであり、例えば真空ポンプなどが挙げられる。
尚、吸着用チャックとしては、真空チャック以外に、静電力等を利用してワークを吸着する静電チャックが挙げられる。
【0014】
(3)請求項3の発明では、吸着用チャックは、アルミナを主成分とする材料からなることを特徴とする。
本発明は、吸着用チャックを構成するセラミックス成分を例示したものであり、ここでは、吸着用チャックの主成分としてアルミナを採用している。
【0015】
このアルミナを主成分とする場合には、熱に対する寸法安定性が高く(熱膨張係数が金属より低い)、耐食性に優れているので好適である。
(4)請求項4の発明では、コーティング層のビッカース硬度Hvは、3000以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明は、コーティング層の硬度を例示したものであり、ビッカース硬度Hvが、3000以上であれば、十分な硬度を有し摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面とワークとの間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0017】
ここで、ビッカース硬度Hvとは、試験荷重98.07Nにおける値を示している(以下同様)。
尚、前記硬度の上限値としては、例えばHv5000を採用できる。
(5)請求項5の発明では、コーティング層の体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明は、コーティング層の体積抵抗率ρを例示したものであり、体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下であれば、十分な導電性を有する。そのため、吸着用チャックに静電気が蓄積されることを防止できるので、吸着用チャックが静電気力によってホコリ等の異物を吸引し難くなる。その結果、吸着面とワークとの間に異物が入り込むことを防止できるので、ワークの表面を加工する際に、ワークの加工精度を高く保つことができる。
【0019】
ここで、体積抵抗率ρの値とは、JIS−K6911により求めたものである(以下同様)。
(6)請求項6の発明では、コーティング層の動摩擦係数μは、0.2未満であることを特徴とする。
【0020】
本発明は、コーティング層の動摩擦係数μを例示したものであり、動摩擦係数μが0.2未満であれば、高い摺動性を有する。このため、ウェハ等のワークを吸着面からスムーズに脱着することが可能になり、また、ワークの裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0021】
(7)請求項7の発明では、吸着用チャックの吸着面側に、ワークと吸着面との間隔を保持する多数のピンを設けたことを特徴とする。
本発明は、吸着用チャックの形状の特徴を例示したものである。この様に吸着面側に多数のピンを設けることにより、仮に吸着面側に異物が入り込んだ場合でも、異物はワークと吸着面との隙間に存在するので、ワークが歪んだりすることがない。その結果、ワークを加工する際の加工精度を高く保持することができる。
【0022】
(8)請求項8の発明では、コーティング層の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下であることを特徴とする。
本発明は、コーティング層の色調を例示したものであり、この様な色調(例えばグレーや黒)にすることにより、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
【0023】
尚、前記色に関する定義は、JIS Z 8721(1993年)によるものである(以下同様)
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空チャックの実施の形態の例(実施例)を、図面を参照して説明する。
(実施例1)
ここでは、シリコンウェハを吸引して保持し(即ち吸着し)研磨するために用いられる真空チャックを例に挙げる。
【0025】
a)まず、本実施例の真空チャックが装着されるポリッシングマシンの全体構成について、図1に基づいて説明する。尚、図1はポリッシングマシンによる研磨状態を示す説明図である。
▲1▼図1に示す様に、ポリッシングマシン1は、半導体ウェハであるシリコンウェハ3に対して、化学的機械的研磨(CMP)を行うCMP装置であり、主として、回転可能に配置されたプラテン5と、その上面側に配置された真空吸引装置である研磨ヘッド7とから構成されている。
【0026】
前記プラテン5は円盤状であり、その上部には上面の全体を覆うように研磨パッド9が設けられている。この研磨パッド9の上面には、研磨時にCMP用のスラリー11が供給される。
また、研磨ヘッド7は、主として、筒状の金属製(例えばJIS SUS304)の研磨ヘッド本体(真空吸引装置本体)13と、円盤状のセラミックス製(例えば主成分がアルミナ)の吸着プレート(いわゆる真空チャック)17とから構成されている。
【0027】
前記研磨ヘッド本体13は、その内部の減圧空間19が、真空ポンプ(図示せず)に接続されて、真空引きされる構成となっている。この研磨ヘッド本体13の下端には、その外周から外側に向かって鍔状に突出する取付部21が設けられ、この取付部21にて真空チャック17がネジ(図示せず)により固定されている。従って、真空チャック17は、研磨ヘッド本体13の下方の吸引口15を覆うように装着される。
【0028】
▲2▼ここで、上述したポリッシングマシン1の使用方法について、簡単に説明する。
図1に示す様に、真空ポンプを作動させて、研磨ヘッド7内の減圧空間19の気圧を下げる。これにより、真空チャック17の吸着孔33の内外に気圧差を発生させて、真空チャック17の吸着面Kにシリコンウェハ3を吸着させる。
【0029】
そして、プラテン5の研磨パッド9と真空チャック17との間にシリコンウェハ3を配置した状態で、研磨パッド9の表面にCMP用のスラリー11を供給し、プラテン5及び研磨ヘッド7を図示の方向に回転させて、シリコンウェハ3の下面側の研磨を行う。
【0030】
b)次に、本実施例の要部である真空チャック17について、図2〜図4に基づいて説明する。尚、図2は真空チャック17の斜視図、図3は真空チャック17の平面図、図4はそのA−A断面図である。
図2に示す様に、本実施例では、真空チャック17の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハを吸着保持する吸着面Kであり、(吸着面Kと反対側の)図の下方の表面が非吸着面Hである。
【0031】
また、図3に示す様に、非吸着面Hのうち、取付部21と接する環状の表面が装着面S(図で斜線で示す領域)である。尚、図3では、真空チャック17の両側面のうち、紙面の手前側が非吸着面Hであり、紙面の裏側が吸着面kである。
ここでは、真空チャック17の吸着面Kの直径は、φ200mmであり、吸着面Kの(装着前の)平面度は、例えば約1μmに加工されている。一方、真空チャック17の装着面Sの(装着前の)平面度は、吸着面Kの平面度の2倍以下の範囲(例えば1.5μm)に加工されている。
【0032】
前記真空チャック17は、直径φ200mm×厚み20mmの部材であり、真空チャック17の非吸着面H側には、その外周の近傍に、複数(例えば6箇所)の固定部25が設けられている。つまり、環状の装着面Sに含まれる様に、等間隔に固定部25が配置されている。尚、この固定部25とは、真空チャック17と取付部21にネジ止めするためのものある。
【0033】
また、真空チャック17には、その厚み方向に貫通する多数の小径の吸着孔33が形成されている。この吸着孔33は、図4に示す様に、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方が大きくされている。
【0034】
特に、本実施例では、真空チャック17の基体を構成するセラミックス部分(セラミックス本体)18の表面全体、即ち、吸着面K、非吸着面H、及び側面(外周面)35に導電性DLCコーティングが施され、それにより、セラミックス本体18の表面全体に(例えば膜厚1.0μm程度の)コーティング層37が形成されている。つまり、真空チャック17の表面全体には、導電性のあるダイアモンド状カーボンによるDLCコーティングが施されている。
【0035】
このコーティング層37においては、そのビッカース硬度Hvは、3000以上(例えばHv4000)であり、体積抵抗率ρは、10−6Ω・cm以下(例えば9×10−7Ω・cm)である。また、動摩擦係数μは、0.2未満(例えば0.17)であり、色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下の色調(例えばグレー)である。
【0036】
c)次に、本実施例の真空チャック17の製造方法を説明する。
▲1▼まず、真空チャック17のセラミックス本体18の製造方法について説明する。
アルミナ(Al2O3)のセラミックス粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
【0037】
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャック17の形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。特に、吸着面K及び(装着面Sを含む)非吸着面Hは、その平面度を確認しながら、吸着面Kの平面度を1μm、非吸着面Hの平面度を1.5μmに研磨する。これにより、セラミックス本体18が形成される。
【0038】
尚、平面度の測定は、例えば平面度測定機、光干渉計などのような機器を用いて行うことができる。
▲2▼次に、真空チャック17のセラミックス本体18の表面に、導電性DLCコーティングを施す方法(イオン化蒸着法)について説明する。
【0039】
このイオン化蒸着法とは、Wフィラメントから生じる熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン:C6H6)を分解・イオン化し、セラミックス本体18に加えたバイアス電圧によって、セラミックス本体18表面にコーティング層37を堆積させる方法である。
【0040】
詳しくは、図5に示す様に、フィラメント電源101によりWフィラメント103に所定の電圧を印加し、バイアス電源105によりセラミック本体18に所定のバイアス電圧を印加し、アノード電源107によりアノード109に所定の電圧を印加し、リフレクタ電源111により、リフレクタ113に所定の電圧を印加する。この状態で、リフレクタ113内にベンゼンを供給することにより、Wフィラメント103の熱電子によってベンゼンをイオン化し、セラミックス本体18表面にDLC膜(コーティング層37)を形成する。尚、成膜温度は200℃未満である。
【0041】
本実施例では、このイオン化蒸着法によって得られたコーティング層37は、水素含有量が例えば15atm%以下と少なく、よって導電性を有する。
d)次に、本実施例の真空チャック17の効果について説明する。
本実施例では、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層37は、真空チャック17のセラミックス本体18の表面全体を覆っており、しかも、その体積抵抗率ρが10−6Ω・cm以下と小さく、十分な導電性を有している。
【0042】
そのため、真空チャック17を研磨ヘッド7に装着した場合には、真空チャック17に発生した静電気はコーティング層37を介して研磨ヘッド7等に逃がされるので、真空チャック17には静電気が蓄積されず、静電気力によってホコリ等の異物が真空チャック17に吸引されるの防止できる。その結果、吸着面Hとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難くなるので、シリコンウェハ3は吸着面Kに密着し、シリコンウェハ3の表面研磨を行う際に、シリコンウェハ3の高い面精度を実現することができる。
【0043】
また、本実施例では、真空チャック17はアルミナを主成分とするので、熱に対する寸法安定性が高く、耐食性に優れている。
更に、本実施例では、コーティング層37のビッカース硬度Hvは、3000以上であるので、十分な硬度を有しており、摩耗し難いという利点がある。そのため、摩耗によりゴミ等の異物が発生し難く、吸着面Kとシリコンウェハ3との間に異物が入り込み難いという効果が得られる。
【0044】
しかも、本実施例では、コーティング層37の動摩擦係数μが0.2未満であるので、高い摺動性を有する。このため、シリコンウェハ3を吸着面Kからスムーズに脱着することが可能になり、シリコンウェハ3の裏側のキズの発生も抑えることができる。
【0045】
その上、本実施例では、コーティング層37の色調は、明度5.0以下で、且つ、全ての有彩色の彩度2.5以下のグレーであるので、汚れが目立ち難くなり、商品価値が高まるという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0046】
本実施例2の真空チャックは、前記実施例1とは、吸着面側の構成が大きく異なるので、その点を詳細に説明する。
a)まず、本実施例の真空チャックの構成について説明する。
図6に示す様に、本実施例では、真空チャック41の上下の表面のうち、図の上方の表面がシリコンウェハ43を吸着保持する吸着面K(基板表面)であり、吸着面Kと反対側の図の下方の表面が非吸着面H(基板裏面)である。尚、図6では、シリコンウェハ43を吸着した状態を示している(但し半分のみを図示)。
【0047】
以下詳細に説明する。
図7に平面を示す様に、真空チャック41は、直径φ200mm×厚み20mmの円盤状の基板42を有し、その基板42の吸着面K側に多数の突起部(ピン)45が格子状に配置され、その突起部45の周囲を囲む様に環状に突出した土手であるシール部47が形成されている。尚、ここでは、基板表面のうち、シール部47で囲まれた表面を吸着面Kとするが、この吸着面Kの直径は、φ198mmである。
【0048】
前記突起部45は、高さ0.1〜0.5mm、頂上部の直径0.15〜0.5mmの円錐台の形状をしており、1mmの間隔(ピッチ)で多数が配置されている。特に、突起部45の頂上部の角部は、R半径が0.01〜0.05mmのR面取りが施されて、滑らかな面取り部となっている。
【0049】
前記シール部47は、全ての突起部45を囲むようにリング状に配置されており、シリコンウェハ43を吸着する場合には、突起部45が形成された吸着面Kの内側と外側とをほぼ気密状態で分離する(シールする)ことができる。
また、前記真空チャック41には、中央とその周囲の8カ所の合計9カ所に、その厚み方向に貫通する小径の吸着孔49が形成されている。この吸着孔49は、同一の内径の円柱形状でもよいが、吸着面K側の内径(例えばφ0.5mm)よりも、吸着面Kと反対側の非吸着面H側の内径(例えばφ3mm)の方を大きくしてもよい。
【0050】
更に、本実施例では、前記実施例1と同様に、真空チャック41のセラミックス部分(セラミックス本体:図示せず)の表面全体に、導電性DLCコーティングによって、コーティング層53が形成されている。
b)次に、本実施例の真空チャック41の製造方法について説明する。
【0051】
▲1▼アルミナ(Al2O3)のセラミック粉末に、焼結助剤、成形助剤等を添加し、粉砕混合した後、噴霧乾燥を行い、成形粉末を作製する。
この成形粉末を、ラバープレス法、金型プレス法等により、本実施例の真空チャックの形状に成形する。更に、必要に応じて、成形後に生加工を行う。
【0052】
次に、この成形体を焼成し、セラミックス焼結体を得る。
このセラミックス焼結体に対し、ダイヤ砥粒による研磨を行い、所要の精度に仕上げる。
▲2▼本実施例では、吸着面K側に、突起部21及びシール部23の形成位置を覆うマスキングを行ってから、サンドブラストにより、突起部45及びシール部47の形成部分以外を所定の深さ(つまり前記高さ)となるまで除去し、突起部45及びシール部47を形成する。これにより、セラミックス本体が形成される。
【0053】
▲3▼次に、前記実施例1と同様な方法により、真空チャック41のセラミックス本体の表面全体に導電性DLCコーティングを施す。
c)本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、特に、吸着面Hとシリコンウェハ3との間は、多数の突起部45により所定の隙間があるので、万一、異物がその隙間に入り込んでも、シリコンウェハ43の研磨加工の際の面精度が低下しないという利点がある。
【0054】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば前記実施例1、2では、真空チャックを例に挙げたが、静電チャックに、上述した導電性DLCコーティングを施してもよい。
【0055】
(2)また、前記実施例1、2では、真空チャックの表面全体に導電性DLCコーティングを施した例を挙げたが、静電気によりホコリ等の異物が吸着面に付着することが防止できれば良いので、少なくとも吸着面に導電性DLCコーティングが施されていれば効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の真空チャックが用いられるポリッシングマシンの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の真空チャックを示す斜視図である。
【図3】実施例1の真空チャックの装着面側を示す平面図である。
【図4】図3における真空チャックのA−A断面図である。
【図5】イオン化蒸着法を示す説明図である。
【図6】実施例2の真空チャック及びシリコンウェハを示す斜視図である。
【図7】実施例2の真空チャックを示す平面図である。
【符号の説明】
1…ポリッシングマシン(CPM装置)
3、43…シリコンウェハ(半導体ウェハ)
7…研磨ヘッド
13…研磨ヘッド本体
17、41…真空チャック(吸着プレート)
18、51…セラミックス本体
37、53…コーティング層
45…突起部(ピン)
47…シール部
K…吸着面
H…非吸着面
S…装着面[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a suction chuck such as a vacuum chuck that can suck and hold a semiconductor wafer when processing, transporting, and inspecting a semiconductor wafer, for example.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, a vacuum suction device that detachably suctions a silicon wafer or the like using a vacuuming technique has been used for polishing, transporting, or inspecting, for example, a flat semiconductor wafer (silicon wafer). Have been.
[0003]
This vacuum suction device has a disk-shaped suction plate (a so-called vacuum chuck) made of, for example, ceramics attached to the suction port side at the tip of the main body, and penetrates through the vacuum chuck in the thickness direction. Many small-diameter suction holes are provided.
[0004]
In the vacuum suction device, a silicon wafer or the like is suctioned and sucked (vacuum suction) on a suction surface, which is an outer surface of a vacuum chuck, by sucking air in the vacuum suction device with a vacuum pump or the like to reduce the air pressure. can do.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
Since the above-described vacuum chuck is made of, for example, an insulating ceramic such as cordierite, static electricity may be generated in the vacuum chuck when a silicon wafer or the like is vacuum-adsorbed.
[0006]
However, when static electricity is generated in the vacuum chuck, the dust, dirt, and the like around the vacuum chuck are attracted by the electrostatic force, and as a result, dust, dirt, and the like adhere to the suction surface and the like, which may cause a problem.
That is, when foreign matter such as dust, contamination (dirt due to abrasion), or particles (fine dust) is sandwiched between the silicon wafer and the vacuum chuck, a part of the silicon wafer adsorbed by the vacuum chuck is trapped. If the silicon wafer is polished in this state, the surface accuracy of the silicon wafer after processing is reduced.
[0007]
The present invention has been made to solve the above-described problems, and an object of the present invention is to provide a chuck for suction capable of preventing foreign substances from adhering to a suction surface or the like and improving workability and the like of a work. That is.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
(1) The invention of claim 1 relates to a ceramic suction chuck for sucking and holding a work to be worked, and in the present invention, the suction chuck has at least a suction surface for sucking and holding the work. On the side, a coating layer formed by a conductive DLC coating is provided.
[0009]
In the present invention, since the coating layer formed by the conductive DLC coating is formed at least on the suction surface side, static electricity generated in the ceramic portion of the chuck for suction is released through the coating layer having conductivity. Can be. For this reason, static electricity is not accumulated in the chuck for suction, and the chuck for suction does not suck foreign matter such as dust due to electrostatic force, so that it is difficult for foreign matter to enter between the suction surface and the work. As a result, the work adheres to the suction surface without being distorted by foreign matter, and therefore, even if the work surface is polished or the like, the processing accuracy of the work (particularly, the flatness of the work surface) may be reduced. Absent.
[0010]
In addition, the coating layer formed by the conductive DLC coating has high hardness and excellent abrasion resistance, so that it is difficult for foreign substances such as dust to be generated due to abrasion. There is an advantage that foreign matter is unlikely to enter the inside.
Further, since the dynamic friction coefficient of the coating layer formed by the conductive DLC coating is small, the slidability of the work is improved. Accordingly, a work such as a wafer can be smoothly attached to and detached from the suction surface, and generation of a scratch on the back side of the work (in contact with the suction surface) can be suppressed.
[0011]
The DLC coating is a coating of diamond-like carbon. In the present invention, a conductive DLC coating (which is a DLC coating having conductivity) is performed to form a coating layer having conductivity. It was done.
[0012]
(2) The invention according to claim 2 is characterized in that the chuck for suction is a vacuum chuck for sucking and holding a work by utilizing reduced pressure by a vacuum source.
The present invention exemplifies the type of the chuck for suction. Here, a pressure difference is generated between the front side and the back side of the work (that is, the back side is evacuated to reduce the pressure), and the work is performed. And a vacuum chuck for adsorbing.
[0013]
Here, the vacuum source refers to a decompression source capable of depressurizing a predetermined region below its surroundings, and includes, for example, a vacuum pump.
In addition, as the chuck for suction, an electrostatic chuck that sucks a workpiece by using an electrostatic force or the like other than the vacuum chuck is used.
[0014]
(3) In the invention of
The present invention exemplifies a ceramic component constituting the chuck for suction, and here, alumina is employed as a main component of the chuck for suction.
[0015]
The use of alumina as a main component is preferable because it has high dimensional stability to heat (having a lower coefficient of thermal expansion than metal) and excellent corrosion resistance.
(4) The invention according to claim 4 is characterized in that the Vickers hardness Hv of the coating layer is 3000 or more.
[0016]
The present invention exemplifies the hardness of the coating layer. If the Vickers hardness Hv is 3000 or more, there is an advantage that the coating layer has sufficient hardness and is hardly worn. Therefore, it is possible to obtain an effect that foreign matter such as dust is hardly generated due to abrasion, and foreign matter is hard to enter between the suction surface and the work.
[0017]
Here, the Vickers hardness Hv indicates a value at a test load of 98.07 N (the same applies hereinafter).
As the upper limit of the hardness, for example, Hv5000 can be adopted.
(5) In the invention of
[0018]
The present invention exemplifies the volume resistivity ρ of the coating layer. If the volume resistivity ρ is 10 −6 Ω · cm or less, the coating layer has sufficient conductivity. Therefore, accumulation of static electricity on the chuck for suction can be prevented, and it becomes difficult for the chuck for suction to suck foreign matter such as dust due to the electrostatic force. As a result, it is possible to prevent foreign matter from entering between the suction surface and the work, so that when processing the surface of the work, the processing accuracy of the work can be kept high.
[0019]
Here, the value of the volume resistivity ρ is determined according to JIS-K6911 (the same applies hereinafter).
(6) The invention according to claim 6 is characterized in that the dynamic friction coefficient μ of the coating layer is less than 0.2.
[0020]
The present invention exemplifies the dynamic friction coefficient μ of the coating layer. If the dynamic friction coefficient μ is less than 0.2, the coating layer has high slidability. For this reason, a work such as a wafer can be smoothly attached to and detached from the suction surface, and the occurrence of scratches on the back side of the work can be suppressed.
[0021]
(7) The invention of
The present invention exemplifies the characteristics of the shape of the chuck for suction. By providing a large number of pins on the suction surface side as described above, even if foreign matter enters the suction surface side, the foreign matter is present in the gap between the work and the suction surface, so that the work is not distorted. As a result, it is possible to maintain high processing accuracy when processing the work.
[0022]
(8) The invention according to claim 8 is characterized in that the color tone of the coating layer has a brightness of 5.0 or less and a saturation of all chromatic colors of 2.5 or less.
The present invention exemplifies the color tone of the coating layer. By using such a color tone (for example, gray or black), there is an advantage that dirt becomes less noticeable and commercial value is increased.
[0023]
The color definition is based on JIS Z 8721 (1993) (the same applies hereinafter).
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, an example (example) of a vacuum chuck according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings.
(Example 1)
Here, a vacuum chuck used for sucking and holding (ie, sucking) and polishing a silicon wafer will be described as an example.
[0025]
a) First, the overall configuration of a polishing machine to which the vacuum chuck of this embodiment is mounted will be described with reference to FIG. FIG. 1 is an explanatory diagram showing a polishing state by a polishing machine.
{Circle over (1)} As shown in FIG. 1, a polishing machine 1 is a CMP apparatus that performs chemical mechanical polishing (CMP) on a
[0026]
The
The polishing
[0027]
The polishing head
[0028]
{Circle over (2)} Here, a method of using the above-described polishing machine 1 will be briefly described.
As shown in FIG. 1, the vacuum pump is operated to lower the pressure in the
[0029]
Then, with the
[0030]
b) Next, the
As shown in FIG. 2, in the present embodiment, of the upper and lower surfaces of the
[0031]
In addition, as shown in FIG. 3, the annular surface of the non-sucking surface H that is in contact with the mounting
Here, the diameter of the suction surface K of the
[0032]
The
[0033]
The
[0034]
In particular, in this embodiment, the entire surface of the ceramic portion (ceramic body) 18 constituting the base of the
[0035]
In this
[0036]
c) Next, a method for manufacturing the
(1) First, a method of manufacturing the
A sintering aid, a molding aid, and the like are added to ceramic powder of alumina (Al 2 O 3 ), pulverized and mixed, and then spray-dried to produce a molded powder.
[0037]
This molding powder is formed into the shape of the
Next, the formed body is fired to obtain a ceramic sintered body.
This ceramic sintered body is polished with diamond abrasive grains to finish it to the required accuracy. In particular, the suction surface K and the non-suction surface H (including the mounting surface S) are polished so that the flatness of the suction surface K is 1 μm and the flatness of the non-suction surface H is 1.5 μm while checking the flatness. . Thereby, the ceramic
[0038]
The flatness can be measured using a device such as a flatness measuring device and an optical interferometer.
(2) Next, a method of applying a conductive DLC coating to the surface of the
[0039]
This ionization vapor deposition method uses thermal electrons generated from a W filament to decompose and ionize a raw material gas (benzene: C 6 H 6 ), and coats the surface of the
[0040]
Specifically, as shown in FIG. 5, a predetermined voltage is applied to the
[0041]
In this embodiment, the
d) Next, the effect of the
In this embodiment, the
[0042]
Therefore, when the
[0043]
Further, in this embodiment, since the
Furthermore, in this embodiment, the Vickers hardness Hv of the
[0044]
Moreover, in the present embodiment, since the dynamic friction coefficient μ of the
[0045]
In addition, in the present embodiment, the color tone of the
(Example 2)
Next, a second embodiment will be described, but the description of the same parts as in the first embodiment will be omitted.
[0046]
The vacuum chuck according to the second embodiment differs greatly from the first embodiment in the configuration of the suction surface side, so that point will be described in detail.
a) First, the configuration of the vacuum chuck of the present embodiment will be described.
As shown in FIG. 6, in the present embodiment, of the upper and lower surfaces of the
[0047]
The details will be described below.
As shown in a plan view in FIG. 7, the
[0048]
The
[0049]
The
Further, the
[0050]
Further, in this embodiment, as in the first embodiment, a
b) Next, a method for manufacturing the
[0051]
{Circle around (1)} A sintering aid, a forming aid, and the like are added to ceramic powder of alumina (Al 2 O 3 ), pulverized and mixed, and then spray-dried to prepare a formed powder.
This molding powder is formed into the shape of the vacuum chuck of the present embodiment by a rubber press method, a mold press method, or the like. Further, if necessary, raw processing is performed after molding.
[0052]
Next, the formed body is fired to obtain a ceramic sintered body.
This ceramic sintered body is polished with diamond abrasive grains to finish it to the required accuracy.
{Circle around (2)} In this embodiment, masking is performed on the suction surface K side to cover the formation positions of the
[0053]
(3) Next, a conductive DLC coating is applied to the entire surface of the ceramic body of the
c) According to the present embodiment, the same effects as those of the first embodiment can be obtained. In particular, since a predetermined gap is formed between the suction surface H and the
[0054]
It should be noted that the present invention is not limited to the above-described embodiment at all, and it goes without saying that the present invention can be implemented in various modes without departing from the gist of the present invention.
(1) For example, in the first and second embodiments, the vacuum chuck is described as an example. However, the above-described conductive DLC coating may be applied to the electrostatic chuck.
[0055]
(2) In the first and second embodiments, the example in which the conductive DLC coating is applied to the entire surface of the vacuum chuck has been described. However, it is only necessary to prevent foreign matter such as dust from adhering to the adsorption surface due to static electricity. It is effective if at least the conductive surface is coated with a conductive DLC coating.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory diagram illustrating a configuration of a polishing machine using a vacuum chuck according to a first embodiment.
FIG. 2 is a perspective view showing a vacuum chuck according to the first embodiment.
FIG. 3 is a plan view showing a mounting surface side of the vacuum chuck according to the first embodiment.
FIG. 4 is a sectional view of the vacuum chuck taken along the line AA in FIG. 3;
FIG. 5 is an explanatory view showing an ionization vapor deposition method.
FIG. 6 is a perspective view showing a vacuum chuck and a silicon wafer according to a second embodiment.
FIG. 7 is a plan view showing a vacuum chuck according to a second embodiment.
[Explanation of symbols]
1. Polishing machine (CPM device)
3, 43 ... silicon wafer (semiconductor wafer)
7 Polishing
18, 51:
47: seal portion K: suction surface H: non-suction surface S: mounting surface
Claims (8)
前記吸着用チャックは、少なくとも前記ワークを吸引して保持する吸着面側に、導電性DLCコーティングにより形成されたコーティング層を備えたことを特徴とする吸着用チャック。In a suction chuck made of ceramics that sucks and holds the work to be worked,
The chuck for suction according to claim 1, wherein the chuck for suction includes a coating layer formed of a conductive DLC coating on at least a suction surface side for sucking and holding the work.
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