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JP2004014134A - 非水系電解液二次電池およびそれに用いる電解液 - Google Patents

非水系電解液二次電池およびそれに用いる電解液 Download PDF

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JP2004014134A
JP2004014134A JP2002161707A JP2002161707A JP2004014134A JP 2004014134 A JP2004014134 A JP 2004014134A JP 2002161707 A JP2002161707 A JP 2002161707A JP 2002161707 A JP2002161707 A JP 2002161707A JP 2004014134 A JP2004014134 A JP 2004014134A
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carbonate
secondary battery
electrolyte secondary
solvent
aqueous electrolyte
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JP2002161707A
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Yukio Sasaki
佐々木 幸夫
Masahiro Takehara
竹原 雅裕
Makoto Ue
宇恵 誠
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】高温下でも充放電効率及び保存特性に優れた非水系電解液二次電池を提供する。
【解決手段】少なくとも、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な異元素材料を含む負極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な金属酸化物材料を含む正極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とから構成される非水系電解液二次電池において、該非水溶媒中に、飽和鎖状カーボネートの水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ化飽和鎖状カーボネートを、上記電解液の0.01〜5重量%含有する非水系電解液二次電池。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解液二次電池およびそれに用いる電解液に関する。詳しくは、本発明は、特定の非水系電解液を使用することにより、大電流時の充放電効率を向上させ、かつ高温下でも充放電効率、保持特性の優れた非水系電解液二次電池を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電気製品の軽量化、小型化にともない、高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池の開発が以前にもまして望まれており、また、リチウム二次電池の適用分野の拡大に伴い電池特性の改善も要望されている。
現在、正極には、LiCoO、LiMn、LiNiO等の金属酸化物塩が、負極には、金属リチウムの他、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素質材料や、Sn、Si等の金属酸化物材料といったリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な化合物を用いた非水系電解液二次電池が提案されている。
【0003】
しかしながら、これらリチウム二次電池においては、正極および/または負極上において電極表面での電解液の溶媒の分解が大小の差違はあれ起こることが知られており、このことが保存特性やサイクル特性の低下の原因となっている。
例えば、黒鉛系の種々の電極材を単独で、或いはリチウムを吸蔵及び放出することが可能な他の負極材と混合して負極とした非水系電解液二次電池を例に取ると、リチウム一次電池で一般に好んで使用されるプロピレンカーボネートを主溶媒とする電解液を用いた場合、黒鉛電極表面で溶媒の分解反応が激しく進行して黒鉛電極へのスムーズなリチウムの吸蔵及び放出が不可能になる。
【0004】
一方、エチレンカーボネートはこのような分解が少ないことから、非水系電解液二次電池の電解液の主溶媒として多用されている。しかしながら、エチレンカーボネートを主溶媒としても、充放電過程において電極表面で電解液が少量づつ分解を起こすために充放電効率の低下等が起こる問題があった。
これらの問題を解決する為に、ビニレンカーボネートを少量添加すると、初期充電時に負極表面において分解してその分解物が保護皮膜を作り、この保護皮膜の効果により保存特性やサイクル特性を向上させることが知られている。しかしながら、保護皮膜の存在故に、大電流放電特性が低下するという問題が発生することもまた知られていた。
【0005】
特開平10−144346号公報には、炭酸ジメチルの水素原子の少なくとも一部がフッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子で置換された炭酸ジメチル誘導体を含有する非水電解液が提案され、モデルセルによる検討結果が記載されている。
【0006】
また、特開平10−247519号公報には、炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチルの水素原子の少なくとも一部をフッ素、塩素または臭素の原子で置換したハロゲン化鎖状炭酸エステルを含有する溶媒に特定のLi塩を溶質として用いた非水電解液が記載されている。
しかしながら、特開平10−144346号公報記載の発明においては、炭酸ジメチル誘導体は、溶媒としての記載があるのみで、実施例で具体的に記載されているのは、溶媒の50容量%以上を占めている。また、特開平10−247519号公報記載の発明においても、ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、総量で20体積%以上含有する溶媒として記述されており、実施例で具体的に記載されているものは、電解液溶媒の50容量%以上を占めているものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非水系電解液二次電池中の電解液の分解を最小限に抑えて、充放電効率が高く、高温下でも保存特性に優れ、大電流放電時の放電容量の大きい高エネルギー密度の非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。本発明においては、特定の電解液を用いることにより、負極上にリチウムイオン透過性が高く安定性のよい保護皮膜が生成されているものと推定される。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、非水系電解液二次電池の電解液として、特定の化合物を特定量含有する電解液を使用することにより、初期の充電によって負極表面に過度の電解液の分解を抑制するリチウムイオン透過性で安定性のよい被膜を効率よく生成させると共に、該化合物が初期充電時にほぼ全量皮膜生成に消費されてしまうようにすることにより、これらの効果が最大限に発現されることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち本発明の要旨は、少なくとも、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な異元素材料を含む負極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な金属酸化物材料を含む正極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とから構成される非水系電解液二次電池において、該非水溶媒中に、飽和鎖状カーボネートの水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換された化合物(以下、フッ化飽和鎖状カーボネートという)を、上記電解液の0.01〜5重量%含有することを特徴とする非水系電解液二次電池、に存する。
【0010】
また、本発明の他の要旨は、上記非水系電解液二次電池に用いる電解液、に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
本発明の非水系電解液二次電池に使用できる非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、ラクトン化合物(環状エステル)類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒等が挙げられる。
【0012】
これらの溶媒は単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で好ましいものは、総炭素数がそれぞれ3〜9の環状カーボネート、鎖状カーボネート、ラクトン化合物、鎖状カルボン酸エステル及び鎖状エーテル類であり、総炭素数がそれぞれ3〜9の環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ一種以上含むことが望ましい。
【0013】
総炭素数がそれぞれ3〜9である環状カーボネート、鎖状カーボネート、ラクトン化合物、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル類の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
1)総炭素数が3〜9の環状カーボネート:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。この中で、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートがより好ましい。
【0014】
2)総炭素数が3〜9の鎖状カーボネート:ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、n−ブチルイソブチルカーボネート、n−ブチル−t−ブチルカーボネート、イソブチル−t−ブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート、n−ブチル−n−プロピルカーボネート、イソブチル−n−プロピルカーボネート、t−ブチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルイソプロピルカーボネート、イソブチルイソプロピルカーボネート、t−ブチルイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。これらの中で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
【0015】
3)総炭素数が3〜9のラクトン化合物:γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等を挙げることができ、これらの中で、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
4)総炭素数3〜9の鎖状カルボン酸エステル:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチルを挙げることができる。これらの中で、酢酸エチル、プロピオン酸メチル及びプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0016】
5)総炭素数3〜6の鎖状エーテル:ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等を挙げることができる。これらの中で、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
本発明においては、非水溶媒が総炭素数3〜9のラクトン化合物、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル及び鎖状カルボン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を非水溶媒の70容量%以上含有し、かつ非水溶媒の20容量%以上が総炭素数3〜9のラクトン化合物及び総炭素数3〜9の環状カーボネートからなる群から選ばれる溶媒であることが望ましい。
【0017】
本発明で使用される電解液の溶質としては、リチウム塩が用いられる。該リチウム塩としては、非水系電解液二次電池の溶質として使用し得るものであれば特に限定はされない。その具体例としては、例えば次のような化合物が挙げられる。
1)無機リチウム塩:LiPF、LiAsF、LiBF、LiAlF等の無機フッ化物塩、LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩。
【0018】
2)有機リチウム塩:LiCFSO等の有機スルホン酸塩、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルキルスルホン酸イミド塩、LiC(CFSO等のパーフルオロアルキルスルホン酸メチド塩、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(C、LiPF(n−C、LiPF(n−C、LiPF(n−C、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C、LiB(CF、LiBF(CF、LiBF(CF、LiBF(CF)、LiB(C、LiBF(C、LiBF(C、LiBF(C)、LiB(n−C、LiBF(n−C、LiBF(n−C、LiBF(n−C)、LiB(iso−C、LiBF(iso−C、LiBF(iso−C、LiBF(iso−C)等の、フッ素原子の一部をパーフルオロアルキル基で置換した無機フッ化物塩、等の含フッ素有機リチウム塩が挙げられる。これらの中、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiPF(CF、LiPF(C、LiBF(Cがより好ましい。
【0019】
なおこれらの溶質は2種類以上を混合して用いてもよい。
電解液中の溶質リチウム塩のモル濃度は、0.5〜3モル/リットルであることが望ましい。濃度が低すぎると、絶対的な濃度不足により電解液の電気伝導率が不十分であり、濃度が高すぎると、粘度上昇の為電気伝導率が低下し、また低温での析出が起こりやすくなる為、電池の性能が低下する傾向がある。
【0020】
本発明に用いられる電解液は、その非水溶媒中に、飽和鎖状カーボネートの水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ化飽和鎖状カーボネートを、電解液の0.01〜5重量%含有することを特徴とするものである。
フッ化飽和鎖状カーボネートの種類は特に限定されないが、通常、総炭素数が3〜9、好ましくは3〜7のものが好適に用いられる。
【0021】
また、上記フッ化飽和鎖状カーボネートとして、飽和鎖状カーボネートの同一炭素原子に結合する水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されたフッ化飽和鎖状カーボネートも好適に用いられる。
上記フッ化飽和鎖状カーボネートとしては、例えばフルオロメチルメチルカーボネート、(ジフルオロメチル)メチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、(1−フルオロエチル)メチルカーボネート、(2−フルオロエチル)メチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、(1−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(2−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(1,2−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(1,1−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(1−フルオロエチル)エチルカーボネート、(2−フルオロエチル)エチルカーボネート、エチル(1,1−ジフルオロエチル)カーボネート、エチル(1,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(1−フルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、(1−フルオロエチル)(2−フルオロエチル)カーボネート等が挙げられ、好ましくはフルオロメチルメチルカーボネート、(1−フルオロエチル)メチルカーボネート、(2−フルオロエチル)メチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、(1−フルオロエチル)エチルカーボネート、(2−フルオロエチル)エチルカーボネート等が挙げられる。
【0022】
上記フッ化飽和鎖状カーボネートは、単独でも、2種類以上を併用してもよい。また、非水溶媒中の存在量が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、また通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下となるように用いられる。
上記フッ化飽和鎖状カーボネートは、初期の充電時に負極表面にリチウムイオン透過性で安定性のよい被膜を効率よく生成し、過度の電解液の分解を抑制する為に、大電流放電特性、サイクル特性及び保存特性を向上させるものと推定される。電解液中の存在量が少なすぎると皮膜の形成が不完全となり、所期の効果が十分に発現しない。逆に多すぎて初期の充電時に皮膜生成に十分に使用されず余る量が多いと電池特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0023】
本発明のリチウム二次電池用非水系電解液には、更に、公知の皮膜生成剤、過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤等を添加してもよい。
公知の皮膜生成剤としては、ビニレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート;ビニルエチレンカーボネート等のアルケニル基を有する飽和環状カーボネート;フェニルエチレンカーボネート等のアリール基を有する飽和環状カーボネート;エチレンサルファイト等の環状サルファイト;プロパンスルトン等の環状スルホネート;無水コハク酸、無水マロン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の環状カルボン酸無水物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。このような皮膜生成剤を含有していると、それらを含まない場合と比較して、容量維持特性及びサイクル特性がより良好となる。皮膜生成剤は、非水溶媒中に、0.1〜5重量%となるように添加されるのが好ましい。
【0024】
また、例えば、特開平8−203560号、特開平7−302614号、特開平9−50822号、特開平8−273700号、特開平9−17447号の各公報等に記載されているベンゼン誘導体;特開平9−106835号、特開平9−171840号、特開平10−321258号、特開平7−302614号、特開平7−302614号、特開平11−162512号、特許2939469号、特許2963898号の各公報等に記載されているビフェニル及びその誘導体;特開平9−45369号、特開平10−321258号の各公報等に記載されているピロール誘導体;特開平7−320778号、特開平7−302614号の各公報等に記載されているアニリン誘導体等の芳香族化合物;特許2983205号公報等に記載されているエーテル系化合物;特開2001−15158号に記載されている化合物などの過充電防止剤を含有していると、それらを含まない場合よりも過充電状態を防止することができる。過充電防止剤は、非水溶媒中に、0.1〜5重量%となるように添加されるのが好ましい。
【0025】
本発明の二次電池を構成する負極の材料としては、リチウムを吸蔵及び放出し得る異元素材料を含むものであれば特に限定されないが、その具体例としては、例えば様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素質材料、金属酸化物材料、更には種々のリチウム合金が挙げられる。
これらの内、炭素質材料として好ましいものは、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温熱処理によって製造された人造黒鉛及び精製天然黒鉛或いはこれらの黒鉛にピッチを含む種々の表面処理を施した材料である。これらの炭素質材料は学振法によるX線回折で求めた格子面(002)面のd値(層間距離)が0.335〜0.34nm、より好ましくは0.335〜0.337nmであるものが好ましい。これら炭素質材料は、灰分が1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下であるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)が30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上であるものが好ましい。また、メジアン径は、レーザー回折・散乱法によるメジアン径で、通常1〜100μm、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは7〜30μmである。また、BET法比表面積は、通常0.5〜25.0m/gであり、好ましくは0.5〜20.0m/g、より好ましくは0.6〜15.0m/g、更に好ましくは0.6〜10.0m/gである。また、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1580〜1620cm−1の範囲のピークP(ピーク強度I)及び1350〜1370cm−1の範囲のピークP(ピーク強度I)の強度比R=I/Iが0〜0.5、1580〜1620cm−1の範囲のピークの半値幅が26cm−1以下、更には25cm−1以下がより好ましい。
【0026】
またこれらの炭素質材料にリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物を混合して用いることもできる。
上記炭素質材料以外のリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Al、Ag、Zn、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Cu、Ni、Sr、Ba等の金属とLiの合金、またはこれら金属の金属酸化物材料が挙げられるが、好ましくは、Si酸化物、Ge酸化物及びSn酸化物、並びに、Al、Si、Ge或いはSnのリチウム合金が挙げられる。
【0027】
これらの負極材料は2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの負極材料を用いて負極を製造する方法は特に限定されない。例えば、負極材料に、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し、乾燥することにより負極を製造することができるし、また、該負極材料をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
【0028】
電極の製造に結着剤を用いる場合には、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。
【0029】
電極の製造に増粘剤を用いる場合には、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
【0030】
電極の製造に導電材を用いる場合には、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、銅やニッケル等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック等のような炭素材料が挙げられる。
負極用集電体の材質は、銅、ニッケル、ステンレス等の金属が使用され、これらの中で薄膜に加工しやすいという点とコストの点から銅箔が好ましい。
【0031】
本発明の二次電池を構成する正極の材料としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料等のリチウムを吸蔵及び放出可能な材料を使用することができる。
正極の製造方法については、特に限定されず、上記の負極の製造方法に準じて製造することができる。また、その形状については、正極材料に必要に応じて結着剤、導電材、溶媒等を加えて混合後、集電体の基板に塗布してシート電極としたり、プレス成形を施してペレット電極とすることができる。
【0032】
正極用集電体の材質は、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属またはその合金が用いられる。これらの中で、特にアルミニウムまたはその合金が軽量であるためエネルギー密度の点で望ましい。
本発明の電池に使用するセパレータの材質や形状については、特に限定されない。但し、電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シートまたは不織布等を用いるのが好ましい。
【0033】
少なくとも負極、正極及び非水系電解液を構成要素とする本発明の二次電池を製造する方法については、特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
また、電池の形状については特に限定されず、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が使用可能である。
【0034】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明の具体的態様を更に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例によって限定されるものではない。
[正極の作製]
正極活物質としてLiCoO85重量%にカーボンブラック6重量%、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名KF−1000)9重量%を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散し、スラリー状としたものを正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に均一に塗布し、乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて正極とした。
[負極の作製]
X線回折における格子面(002)面のd値が0.336nm、晶子サイズ(Lc)が、100nm以上(264nm)、灰分が0.04重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が17μm、BET法比表面積が8.9m/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1580〜1620cm−1の範囲のピークP(ピーク強度I)及び1350〜1370cm−1の範囲のピークP(ピーク強度I)の強度比R=I/Iが0.15、1580〜1620cm−1の範囲のピークの半値幅が22.2cm−1である人造黒鉛粉末(ティムカル社製、商品名KS−44)94重量%に蒸留水で分散させたスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を固形分で6重量%となるように加えてディスパーザーで混合し、スラリー状としたものを負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布し、乾燥後、直径12.5mmの円盤状に打ち抜いて電極を作製し負極として用いた。
【0035】
[コイン型セルの作製]
上記の正極、負極及び電解液を用いて、正極導電体を兼ねるステンレス鋼製の缶体に正極を収容し、その上に電解液を含浸させたポリエチレン製のセパレータを介して負極を載置した。この缶体と負極導電体を兼ねる封口板とを、絶縁用のガスケットを介してかしめて密封し、コイン型セルを作製した。
【0036】
[コイン型セルの評価]
25℃において、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.5Vで0.5mA定電流で4サイクル充放電試験を行い、再度充電状態として85℃で72時間保存した後、放電させ、次いで7サイクル目の充電及び放電を行なった。この7サイクル目の放電容量を4サイクル目の放電容量で割った値を保存特性と定義した。
[実施例1]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒に乾燥アルゴン雰囲気下で十分に乾燥を行った六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶質として1モル/リットルの割合で溶解し、更にフルオロメチルメチルカーボネートを電解液に対し2重量%の割合で溶解し、上記の方法にてコイン型セルを作製し、初期充放電効率、保存特性に関し、評価を行なった。
[実施例2]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒にLiPFを1モル/リットルの割合で溶解し、更にエチル(1−フルオロエチル)カーボネートを電解液に対し2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[実施例3]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒にLiPFを1モル/リットルの割合で溶解し、更にビス(フルオロメチル)カーボネートを電解液に対し2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[比較例1]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒に、LiPFを1モル/リットルの割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
【0037】
[実施例4]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒にLiBFとLiPFをそれぞれ0.5モル/リットルずつの割合で溶解し、更にフルオロメチルメチルカーボネートを電解液に対し2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[比較例2]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒に、LiBFとLiPFをそれぞれ0.5モル/リットルずつの割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[実施例5]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒にLiPFを1モル/リットルの割合で溶解し、更にフルオロメチルメチルカーボネートとビニレンカーボネートとを電解液に対しそれぞれ2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[比較例3]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した溶媒にLiPFを1モル/リットルの割合で溶解し、更にビニレンカーボネートを電解液に対し2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[実施例6]
エチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとを重量比で3:7に混合した溶媒にLiBFとLiPFをmol比で9:1、合計1.5モル/リットルの割合になるように溶解し、更にフルオロメチルメチルカーボネートとビニレンカーボネートとを電解液に対しそれぞれ2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
[比較例4]
エチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとを重量比で3:7に混合した溶媒にLiBFとLiPFをmol比で9:1、合計1.5モル/リットルの割合になるように溶解し、ビニレンカーボネートを電解液に対しそれぞれ2重量%の割合で溶解して調製した電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコイン型セルを作製し、評価を行なった。
上記の評価結果を表−1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004014134
【0039】
【発明の効果】
本発明により、充放電効率及び保存特性が向上した非水系電解液二次電池を提供することができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な異元素材料を含む負極と、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な金属酸化物材料を含む正極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液とから構成される非水系電解液二次電池において、該非水溶媒中に、飽和鎖状カーボネートの水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換された化合物(以下、フッ化飽和鎖状カーボネートという)を、上記電解液の0.01〜5重量%含有することを特徴とする非水系電解液二次電池。
  2. フッ化飽和鎖状カーボネートはその総炭素数が3〜9である、請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
  3. フッ化飽和鎖状カーボネートが、飽和鎖状カーボネートの同一炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換されたものである、請求項1又は2に記載の非水系電解液二次電池。
  4. 非水溶媒が、総炭素数3〜9のラクトン化合物、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル及び鎖状カルボン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を上記非水溶媒の70容量%以上含有し、かつ上記非水溶媒の20容量%以上が総炭素数3〜9のラクトン化合物及び総炭素数3〜9の環状カーボネートからなる群から選ばれる溶媒である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解液二次電池。
  5. ラクトン化合物が、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、環状カーボネートがエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、かつ鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項4に記載の非水系電解液二次電池。
  6. リチウム塩としてLiBF及びLiPFからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を電解液中の総リチウム塩中5〜100mol%含む、請求項1〜5のいずれかに記載の非水系電解液二次電池。
  7. 電解液中に、ビニレンカーボネート、エチレンサルファイト、ビニルエチレンカーボネート、プロパンスルトン、フェニルエチレンカーボネート及び環状カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.1〜5重量%含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の非水系電解液二次電池。
  8. 負極を構成するリチウムを吸蔵及び放出することが可能な材料が、X線回折における格子面(002)面のd値が0.335〜0.34nmの炭素質物を含有するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の非水系電解液二次電池。
  9. 負極を構成するリチウムを吸蔵及び放出することが可能な材料が、Al、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するもの、またはこれらと炭素質材料との混合物とである、請求項1〜7のいずれかに記載の非水系電解液二次電池。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の非水系電解液二次電池に用いる電解液。
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