JP2004012591A - サイドライト型バックライト装置および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導光板2の下に反射体が装備されたサイドライト型バックライト装置であって、導光板2の出光面側がプリズム形状を有し、反射体の波長550nmの光線における全反射率に対する拡散反射率の割合(拡散率)が1%〜50%の範囲であることを特徴とするサイドライト型バックライト装置。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝度が高く輝度ムラの少ない液晶表示装置などに適用されるサイドライト型のバックライト装置および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来技術】
液晶ディスプレイはこれまでのCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイに比べ、薄型であり省スペース化できること、また、低電圧で作動すること、消費電力が少なく省エネルギー化できるなどの特徴から、中小型機器のディスプレイを中心に広く用いられている。
【0003】
現在広く使用されている液晶ディスプレイは、光源にバックライトを用いる透過型液晶ディスプレイである。この液晶ディスプレイにおける表示の見やすさは、液晶自身の性能もさることながら、バックライトの性能によるところも大きくなっている。バックライトの方式は近年の液晶ディスプレイのさらなる軽量、薄型化が必須事項となっていることや、輝度の均一性や、光源からの熱が液晶パネルに伝達しにくいなどの理由より、光源の前方に反射板を置く直下型ではなく、導光板を用い、その一端に配置された光源からの光を多重反射させることで面光源化するサイドライト式バックライトが多く用いられている。
【0004】
導光板の下には、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等からなる乱反射部材が配設されている場合が多く、この乱反射部材で光を拡散させることにより、均一な輝度を得ることが出来る。しかしながら、この乱反射部材では、正反射成分が殆どないため、全体としては均一ではあるが十分な輝度は得ることができないという問題がある。また、透明性または透光性を有するPETフィルム上にアルミニウムを蒸着したシートを用いると、白色PETに比べ輝度は向上するものの、拡散反射成分が無いため、シートの僅かな歪みが輝度ムラに大きく影響してしまい、美しい画像を得ることができない。この問題を解決するため、表面を粗面化したフィルムに金属を蒸着したシートが開発されたが、用いる金属にアルミニウムを使うと、耐久性は優れるが輝度の改善は少ない。また、可視光域で最も反射率の高い銀を使うと、十分な輝度が得られるものの、銀は耐久性が乏しい為、劣化が早く、輝度が経時的に低下してしまうという問題があった。またこれらの反射シートを用いたバックライトは経時的に輝度ムラが増大するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高輝度で耐久性に優れ、さらに輝度ムラの無いサイドライト型バックライト装置および液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の形状を有する導光板を用い適度な拡散反射率を有する反射体を導光板の下に配置することにより、輝度ムラを解消もしくは著しく低減出来ること、高い輝度および耐久性を同時に実現出来ることを見出した。
【0007】
本発明は一つには導光板の下に反射体が装備されたサイドライト型バックライト装置であって、導光板の出光面側がプリズム形状を有し、反射体の波長550nmの光線における全反射率に対する拡散反射率の割合(拡散率)が1%〜50%であることを特徴とするサイドライト型バックライト装置であり、
一つには前記反射体が基板と反射層とからなり、反射層側に最大幅0.1μm〜50μm、高さ0.1μm〜45μmの突起物を1mm2当たり2個以上100個以下有することを特徴とするサイドライト型バックライト装置であり、
一つには前記反射体の波長550nmにおける全反射率が90%以上、かつ、拡散反射率が10%以下であることを特徴とするサイドライト型バックライト装置であり、
一つには前記導光板がプリズム形状を有する面の反対側の面に凹凸形状を有することを特徴とするサイドライト型バックライト装置であり、
一つには前記導光板のプリズム形状面と反対側の面の凹凸形状が俵型であることを特徴とするサイドライト型バックライト装置である。
【0008】
本発明に従えば、特定の形状を有する導光板と適度な拡散率を有する反射体を用いたバックライトは、輝度ムラを解消もしくは著しく低減すると共に、高い輝度、耐久性、広い視野角を同時に実現することが可能である。
【0009】
一つには前記サイドライト型バックライト装置を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0010】
本発明に従えば、輝度、耐久性が高く、輝度ムラが著しく低減され、視野角の広い視認性に優れた液晶ディスプレイを提供することができる。従って、長期にわたり均一で高輝度な光を得られる為、液晶の表示能力を向上させることができる本発明の工業的意義は大きい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参考にして本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0012】
本明細書においては、後述する反射体の反射層を形成する側の面をA面、反対側をB面と呼ぶことがある。また、導光板の出光面をC面、出光面と反対側の面を反射入光面またはD面と呼ぶことがある。
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態である反射体1の例を示す断面図である。
本発明の反射体は基板10と反射層20とからなり、A面側に粒子30を塗布して突起物を形成し、B面側に易滑面40を形成する。
【0014】
図2は、本発明の実施の一形態である導光板2の断面図である。出光面がプリズム形状に成形されている。
【0015】
図3は、本発明の実施の一形態である導光板2の反射入光面の平面図である。俵型の凹形状が規則的な配列で形成されている。
【0016】
図4は、反射体1を備えたサイドライト型バックライト装置3の斜視図である。サイドライト型バックライト装置3は、導光板2の反射入光面に、反射層20が接するように反射体1が配置され、出光面側に下向きプリズムシート70、拡散シート80が順次設置され、側面に光源50とランプリフレクター60とが備えられている。光源50からの光は、反射体1によって反射され、液晶表示パネルの背面に取り付けることで面光源装置として機能する。
【0017】
使用される導光板2は、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネートやポリカーボネート・ポリスチレン組成物などのポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂などの透明性または透光性樹脂やガラスなどの約400nm〜700nmの波長域において透明性を有するものが好ましく用いられるが、光源の波長領域に応じて透明性を示す材料であれば必ずしもこれらに限定される訳ではない。
【0018】
導光板2の厚さは、使用目的の導光板のサイズや、光源の大きさなどにより適宜に決定することができるが、好ましくは5mm以下、より好ましくは1〜4mmである。また、厚みは一様である必要はなく、光源50付近が厚く、光源50から離れるに連れ、薄くなる形状が好ましい場合がある。
【0019】
導光板2の出光面側はプリズム形状が形成されている。このプリズム形状は、台形型、山型等があるが、山型であることが好ましい。また上記プリズム形状は連続していても不連続でも良いが、連続した形状であることが成形、集光効率等の点で好ましい。更に、上記プリズム形状は光源側の面と垂直に並ぶように形成されることが好ましい。この際のピッチは10〜300μm、好ましくは15〜200μm、更に好ましくは20〜150μmである。
【0020】
導光板2の反射入光面は、ドット形状の凹凸を有するのが好ましい。該凹凸形状は、ドーム型、俵型、台形、くさび形、箱形、円筒型、角錐型、円錐型等が例示できるが、ドーム型、箱形、俵型であることが好ましく、更に好ましくは俵型である。この凹凸高さ(深さ)は100μm以下、好ましくは1〜50μmであり、最大幅は、300μm以下、好ましくは10〜200μmであり、アスペクト比は1〜10、好ましくは1〜6である。またピッチは1〜700μm、好ましくは10〜500μm、更に好ましくは50μm〜400μmである。突起の密度は一様である必要はなく光源付近が密であったり、周辺部が密であることが好ましい場合がある。また上記の凹凸はランダムに配置されていても規則的に整列していても良いが、上記のプリズム形状と直行する方向に整列していること、更には光源側の面と平行方向に整列していることが好ましい。
【0021】
導光板2のプリズム形状および凹凸形状の形成は、予め目的とする表面形状の金型を用意し、射出成形法により成型する方法や、金型が比較的安価な平滑な表面の射出成形体を得た後に、熱変形、切削加工、印刷により所定の表面形状を形成する方法、所定の表面形状を有するシートを貼合する方法等を例示することが出来る。
【0022】
本発明において、反射体1の少なくともA面側、B面側のいずれかから測定した反射率の波長550nmにおける拡散反射率と全反射率の比(拡散反射率/全反射率:拡散率)は1〜50%であり、好ましくは1〜20%、特に好ましくは1〜17%、更に好ましくは1〜15%である。また、全反射率は通常85%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは90〜99%であり、拡散反射率は50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは17%以下、特に好ましくは1〜10%である。なお、550nmは、人間の眼の受光感度が最も高くなる波長であり、実際の視認性を評価するに適している。
【0023】
基板10は、引っ張り弾性率は2000MPa以上、好ましくは2500MPa以上、更に好ましくは3000MPa以上、特に好ましくは3500MPa以上であることを特徴とする。引っ張り弾性率は、ASTM D−882規格にて主に測定される。
【0024】
具体的には物理的、化学的に安定なガラス板、セラミック板等の板状、シート状の無機材料、高分子シート、高分子フィルム等の有機材料等が適宜用いられる。これらの中でも、形状の自由度が高く、例えば反射層20を作成する際にロールツーロールプロセスが適用できる高分子フィルムが望ましい。
【0025】
本発明の反射体1において、使用するに好ましい高分子フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ビスフェノールA系ポリカーボネートなどのポリカーボネート類、環状オレフィン共重合体、ポリイミド類、ナイロン等のポリアミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテルーテルケトン類、ポバール等のポリアセタール類等各種プラスチックからなるフィルムが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、結晶化温度やガラス転移点が高く、平滑な表面を持つものであれば使用できる。なかでもポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類が好ましい。
【0026】
使用される高分子フィルムの厚みは、通常は1〜250μmであり、好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜200μmである。
【0027】
本発明の反射体1は、基板10上の後述する反射層20を有する面側に好ましくは突起物を有している。上記の突起物は基板10に直接形成させることも出来るし、別途作製した突起物層フィルムやシートを基板10に貼り合わせることも出来る。また、後述する反射層20の上に形成することも可能である。
【0028】
上記の突起物の最大幅は0.1〜50μmであり、好ましくは1〜50μm、より好ましくは10〜50μm、更に好ましくは15〜45μm、特に好ましくは20〜40μmである。また上記突起物の高さは、0.1〜45μmであり、好ましくは1〜45μm、より好ましくは5〜45μm、更に好ましくは10〜40μm、特に好ましくは15〜35μmである。また、突起物の形状は特に制限はなく、粒子型、ドーム型、山型、ピラミッド型、円柱型、角柱型、台形、プリズム型、不定形等を例示することが出来る。また単段形状であっても多段形状であっても良くこれらの形状が混在していたり、多段に組み合わさっていても良い。突起物は、1mm2当たり2個以上、100個以下有することが好ましく、更に好ましくは5個以上90個以下である。
【0029】
これらの突起物の作成方法に関しても特に制限はないが、(1)粒子等の固形物を塗布させる方法、(2)粒子などの固形物を樹脂と混練してフィルム、シート状に成形する方法、(3)粒子などの固形物を半溶融状態のフィルム、シートに散布後冷却して定着させる方法、(4)スクリーン印刷の様な印刷技術を利用して突起物を形成する方法、(5)熱可塑性樹脂をシート、フィルムに成型する際に凹凸形状を有する冷却ロールを使用し、ロールの凹凸形状を突起物として転写する方法、(6)マイクロ金型を利用して形成する方法(7)サンドブラスト法などの研磨、摩擦行程を有する方法(8)フォトリソグラフィーを利用して形成する方法(9)エッチング法を利用して形成する方法等を適用させることが出来る。また上記等の方法で得られる突起物を熱処理等で変形させることも可能である。
【0030】
上記の突起物を形成する方法の中でも特に表面状態の調整が比較的容易な、粒子30を塗布することにより形成する方法が好ましい。塗布する粒子としては、例えば、アクリル、ポリスチレン、ビニルベンゼン、スチレンメタクリレート、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン等の高分子(有機)粒子をはじめ、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉛(鉛白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸ソーダなどからなる無機微粒子や、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンなどの導電性透明微粒子なども用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。特にアクリル樹脂またはシリカを用いることが好ましい。
【0031】
本発明において塗布される粒子30は、平均粒子径が0.1〜50μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは10〜50μm、更に好ましくは15〜45μm、特に好ましくは20〜40μmの粒子を使用することが好ましい。
【0032】
上記粒子30の粒径分布は小さい方が好ましく、平均粒子径に対する粒子径の標準偏差の割合は50%以下であることが好ましい。さらに好ましくは40%以下である。 但し、必要に応じて2種以上の粒子を用いることも出来る。この場合、主成分の粒子の割合は50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0033】
平均粒子径の分布は、少量の粒子を分散させた溶液を動的光散乱法により測定することで求めることができる。また、粒子を撮影したSEM(Scanning Electron Microscope)写真から無作為に選んだ100個の粒子径より求めることもできる。また、粒子径は、SEM写真以外に光学顕微鏡を用いても読みとることができる。また、得られた写真または像を、画像処理することからも粒径分布を求めることができる。
【0034】
前記粒子30は、通常、バインダーとして用いられる樹脂中に分散させた状態で塗布される。バインダー樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタアクリルニトリル樹脂、エチルシリケートより得られる重合体などの珪素樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂や、これらの混合物などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定される物ではない。これらは基板10及び粒子30との密着性を考慮して選択される。なかでも、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
【0035】
通常これらの粒子30をバインダー樹脂に分散させるためには溶媒を用いる。溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどが好ましく用いられる。これらは塗布作業に一般的に用いられる溶媒であり、これら以外でも基板10や粒子30に影響を与えない溶媒であれば、問題なく使用できる。また、必要に応じてイソシアネート類やメラミン類などの架橋剤、ぬれ剤や増粘剤、分散剤、消泡剤、などの添加剤を加えてもよい。
【0036】
粒子30のバインダー樹脂に対する配合率は、粒子30がバインダー樹脂に対して0.1wt%以上10wt%以下であることが好ましい。配合率が、0.1wt%より小さい場合、必要な反射光の拡散特性が得られないため好ましくない場合がある。また、10wt%より大きい場合は、光の拡散性が強くなり過ぎるため好ましくない場合がある。
【0037】
粒子30を含む塗工液は、基板10上にwet状態で塗工量10g/m2以上、40g/m2で塗布することが好ましい。粒子の配合率は、反射体1表面の粒子密度に反映され、反射体1の拡散率に影響を及ぼす。また塗布量は、基板10上のバインダー層の厚みに反映され、粒子30の頂上と反射層20との高さの差つまり、導光板2と反射体1との接触時の間隔に影響を及ぼす。塗布液量を10g/m2より小さくすると、塗布液中に含まれる粒子30の量が不足し、必要な反射光の拡散特性が得られない場合があり好ましくない。また、塗布液量を40g/m2より大きくすると、粒子30がバインダー樹脂に埋もれてしまい、必要な突起高さが得られない場合があり好ましくない。つまり、上述範囲で粒子配合量と塗布液の塗布量とを調整することで、基板10上に1mm2当たり、2個以上100個以下の突起物を得ることができる。また、バインダー樹脂表面から粒子頂部までの突起物高さは、触診粗さ計や表面形状測定装置などにより容易に測定することができる。
【0038】
上記の粒子30とバインダー樹脂を含む混合液を基板10に塗布する方法としては、広い粘度範囲にわたって塗布が可能であり、塗工中にも塗膜厚さを調整でき、また塗膜厚さを大幅に変えることが出来るなどの特徴をもつ、ロールコータ法、リバースロールコータ法があり、比較的運転技術を要さず、幅広でも塗工厚さが均一で、薄膜コーティング出来るなどの特徴をもつクラビアコータ法、高速塗工、高生産性や、塗工厚さの均一性、広範囲に塗装が出来るなどの特徴をもつダイコート(押出)法、などが挙げられるが、いずれの方法においても上記の突起物密度および突起物高さを実現できる。
【0039】
他に好ましい突起物の作成方法として、基板10である高分子フィルム中に粒子を添加する方法を用いてもよい。
粒子を添加する方法で使用される粒子としては、上述した塗工法に記載の粒子と同様の材料を用いることが出来る。
これらの粒子を溶融状態の樹脂と混練してフィルム、シート状に成形したり、半溶融状態のフィルムやシートに上記の粒子を散布し、必要に応じてプレス、冷却処理を行うことで粒子を定着し、突起物層を形成させることが出来る。
【0040】
本発明の反射体1は、例えば上記の様な方法により作製した突起物上に反射層20を形成する事によって得られる。また、基板10上に反射層20を形成した後、突起物を形成することも出来る、反射層上に更に突起物を形成することも可能である。
【0041】
反射層20は、基板10側から順に、(a)下地層、(b)銀を主体とする金属層、(c)保護層を積層したものであることが好ましい。
【0042】
(a)下地層の好ましい例としては、銀とは異なる金属層や金属酸化物層を挙げることが出来る。具体的には、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウム、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウムなどの金属単体、もしくは2種以上からなる合金、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、これら酸化物の混合物や硫化亜鉛等の金属化合物が例示できる。これらの中でも金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウム単体、またはこれらの2種類以上からなる合金、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化珪素が好ましく、特に好ましくは酸化アルミニウムが5重量%以下でドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下でドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズとの酸化物(ITO)または二酸化珪素などの透明性および透光性を有する酸化物を挙げることが出来る。またこれらの2種類以上を組み合わせたり、多層化して用いることも出来る。
【0043】
(b)銀を主体とする金属層には、銀単体或いは、不純物として金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどを少量含有しているものや銀を主体とした合金が好ましく用いられる。これらの不純物の含有量は、金属の種類によって異なるが、0.002〜8重量%であり、好ましくは0.004〜5重量%、特に好ましくは0.005〜4重量%である。
【0044】
(c)保護層には上記(a)下地層と同様の金属や酸化物の他、これらと銀を主体とした合金から選ばれる2種類以上を組み合わせたり、多層化して用いることが出来る。
【0045】
これらの中でも金属酸化物、好ましくは、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、これら酸化物の混合物、特に好ましくは酸化アルミニウムが5重量%以下でドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下でドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズとの酸化物(ITO)、二酸化珪素などの透明酸化物が用いられる。
【0046】
上記の下地層、銀を主体とする金属層および保護層である金属薄膜層の形成法としては、湿式法及び乾式法がある。湿式法とはメッキ法の総称であり、溶液から金属を析出させて膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロール・ツー・ロール方式が可能な真空成膜法が好ましく用いられる。
【0047】
真空蒸着法では、金属の原材料を電子ビーム、抵抗加熱、誘導加熱などで溶融させ、蒸気圧を上昇させ、好ましくは13.3mPa(0.1mTorr)以下で基材表面に蒸発させる。この際に、アルゴンなどのガスを13.3mPa以上で導入し、高周波もしくは直流のグロー放電を起こしても良い。
【0048】
スパッタ法には、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ECRスパッタ法、コンベンショナルRFスパッタ法、コンベンショナルDCスパッタ法などを用いる。
スパッタ法においては、原材料として金属の板状のターゲットを用いればよく、スパッタガスにはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを使用するが、好ましくはアルゴンを用いる。ガスの純度は99%以上が好ましいが、より好ましくは99.5%以上である。また、透明酸化膜の形成には、真空成膜法が好ましく用いられる。主に、スパッタ法が使用され、スパッタガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを使用し、条件によっては酸素ガスを用いて行うこともある。
【0049】
上記の(a)下地層、(b)銀を主体とする層、(c)保護層は(a)(b)(c)の順に積層されるが3層に限定されるものではなく(a)(b)(c)(b)(c)(a)(b)(c)(b)(a)(b)(c)の様な最外層が保護層であれば多層構造であっても良いが、層数が増えると生産効率が低下する傾向にあるので、好ましくは3〜20層より好ましくは3〜15層である。
【0050】
突起物上や基板上などに成形する薄膜の厚さは、反射体1を構成した際に光線透過率が1%未満になるように考慮して決められる。
【0051】
本発明の反射層における各層の厚みは、以下のようにすることが好ましい。
【0052】
(a)下地層の厚みは、金属層を用いた場合、5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上30nm以下である。該層の厚みが5nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、(b)銀を主体とする金属層に凝集を発生させる場合がある。また、50nmより厚くしてもその効果に変化が無い。また、透明酸化物を用いた場合、透明酸化物層の厚みは、1nm以上20nm以下が好ましく、さらに好ましくは、2nm以上10nm以下である。透明酸化物層の厚みが1nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、(b)銀を主体とする金属層に凝集を発生させる。また、10nmより厚くしてもその効果に変化が無い。
【0053】
(b)銀を主体とする金属層の厚みは、70nm以上400nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以上300nm以下、さらに好ましくは120nm以上250nm以下である。銀を主体とする層の厚みが70nmより薄い場合は、十分な金属層の形成が出来ていないため、所望の反射率を得ることが出来ない場合がある。また、400nmより厚くしてもその効果に変化はない。
【0054】
(c)保護層の厚みは、金属層を用いた場合、5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上30nm以下である。該層の厚みが5nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、(b)銀を主体とする金属層に凝集を発生させる場合がある。また、50nmより厚くしてもその効果に変化が無い。また、透明酸化物を用いた場合、該層の厚みは、1nm以上20nm以下が好ましく、さらに好ましくは、2nm以上10nm以下である。透明酸化物層の厚みが1nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、(b)銀を主体とする金属層に凝集を発生させる。また、10nmより厚くしてもその効果に変化が無い。
【0055】
前記各層の膜厚の測定方法としては、触針粗さ計、繰り返し反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法などの方法があり、特に水晶振動子法では成膜中に膜厚が測定可能であるため所望の膜厚を得るのに適している。また、前もって成膜の条件を定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方法もある。
【0056】
本発明の反射体は、引っ張り弾性率が高い基板を用いているので、後述するサイドライト型バックライト装置に用いた場合でも凹凸層樹脂のひずみに対する影響も受けにくいことが、経時的に輝度ムラの増大を押さえていると考えられる。
【0057】
本発明のサイドライト型バックライト装置3では、上記のように作製した反射体1を導光板2の下面に配置し、金属薄膜層側もしくは基板10側を上面として設置することを特徴とする。バックライト装置としては、サイドライト型として一般的に用いられているものであればよい。
【0058】
使用する光源50としては、例えば、白熱電球、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光ランプ、メタルハイドライドランプなどが挙げられ、中でも蛍光ランプが好ましく用いられる。蛍光ランプにはその電極構造、点灯方式により熱陰極型と、冷陰極型に大別され、電極、インバーターとも熱陰極型の方が大きくなる傾向にある。熱陰極型は、発光に寄与しない電極近傍の電飾損失が小さく効率がよく、冷陰極型に比べ数倍優れた発光効率を示し、発光も強いが、寿命は冷陰極型の方が優れており、低消費電力性、耐久性などの点から冷陰極型がより好ましく用いられる。
【0059】
通常、サイドライト型バックライト装置には、集光のためランプ面と垂直方向にプリズム形状が形成されたプリズムシートとランプ面と平行方向にプリズム形状が形成されたプリズムシート各1枚が使用される。
【0060】
本発明のサイドライト型バックライト装置3には、導光板にプリズム形状が形成されているので、プリズムシート70は1枚で良い場合が多く、この際には導光板のプリズムとは垂直方向にプリズム形状が形成されたプリズムシート70が用いられることが好ましい。プリズムシート70は通常導光板の上側に配置される。
【0061】
本発明のバックライト装置3には、拡散シート80が配置される事が好ましい。上記拡散シートには、導光板やプリズムシートの形状が表示画面に像として現れることや、僅かに残る可能性のある輝度ムラ等の発生を防ぐ等の効果がある。このため、上記拡散シート80は導光板2、プリズムシート70の上側に配置される事が好ましい。
【0062】
本発明のサイドライト型バックライト装置3では、驚くべきことに導光板2と反射層20との間に特定の間隔をおいて反射体1を設置することで輝度ムラを抑制することが出来る。この間隔は、具体的には導光板2から見た反射層20の凹部と導光板2との間隔である。通常、導光板2と本発明の反射体1とは直接接しているので、この間隔はA面を導光板2側に配置した場合、突起物の高さで制御でき、B面を導光板側に配置した場合、基板10の厚みと突起物の高さで制御することが出来る。またスペーサーなどをこれらの間に挿入してこの間隔を調整することも出来る。この間隔は、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜90μm、更に好ましくは15〜85μmである。
これらの配置の内、A面を導光板2側に配置する方法がより好ましい。
【0063】
本発明の反射体1および反射体基板10は基板側の面(B面)に易滑処理がなされていても良い。易滑処理を施すことで、液晶表示装置を組み付ける際の作業性が向上する。
易滑処理の方法について特に制限はないが、具体的には微粒子を含む塗工液を塗布する方法、エンボス加工に寄り凹凸を形成する方法。シリカなどの粒子を基板10表面に高圧空気と共に吹き付けるサンドブラスト法、エッチング等の化学的方法などを用いることできる。この中でも塗工液を塗布する方法が好ましく用いられる。
本発明のサイドライト型バックライト装置では、上述したような方法で作成された反射体1を使用することで、反射面に歪みが生じた場合でも、輝度ムラが発生し難く、また、従来の装置に比べ格段の輝度向上を実現することができる。
【0064】
【実施例】
実施例1
突起物となる粒子として平均粒子径が30μmであるアクリル粒子を6部、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂(Tg:20℃、分子量:50000)100部、硬化剤として脂肪族イソシアネートを20部、バインダー樹脂に対し粒子の配合量を6.0wt%とし、固形分比が24wt%になるようにトルエンとエチルメチルケトンからなる溶剤を用いて溶液を調合した後、厚さ188μmのPETフィルム(引っ張り弾性率:4500MPa)上に塗布を行いA面側の突起物を得た。次に、平均粒子径が1.5μmのアクリル粒子、バインダー樹脂としてアクリル/メラミン樹脂を用い、バインダー樹脂に対し、粒子の配合量を、2.0wt%とし、固形分比が15wt%になるようにトルエンとエチルメチルケトンからなる溶剤を用いて溶液を調合した後、PETフィルムのB面側に塗布を行い、易滑面を得た。
次にA面側に、DCマグネトロンスパッタ法で、2%のAl2O3がドープされた酸化亜鉛(純度99.9%)をターゲットとし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして、酸化亜鉛を膜厚5nmになるように下地層を形成した。続いて、このフィルムをスパッタ装置から取り出すことなく、同様にDCマグネトロンスパッタ法で、純度99.9%の銀をターゲットととし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして銀を膜厚200nmになるように成形した。続いて、このフィルムをスパッタ装置から取り出すことなく、DCマグネトロンスパッタ法で、2%のAl2O3がドープされた酸化亜鉛(純度99.9%)をターゲットとし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして、酸化亜鉛を膜厚5nmになるように保護層を形成し、図1に示すような所望の反射体1を得た。この反射体1を日立自記分光光度計(型式U―3400)に150φの積分球を設置し、波長550nmにおける各反射率を金属層側から測定したところ、全反射率、拡散反射率はそれぞれ96.4%、5.0%であり、拡散率は5.2%であった。次にA面側の突起物の高さを表面形状測定装置(DEKTAK3:Veeco社製)で10点測定したところ、その平均値は、25.8μm、光学顕微鏡で最大幅を10点測定したところ、その平均値は31.2μmであった。また、1mm2当たり最大幅20〜40μm、高さ15〜35μmの粒子数は25個存在した。測定後の反射体1を、恒温恒湿槽に入れ、60℃、90%RHの湿熱条件で500時間放置した。500時間経過後、反射体1を取り出して表面を観察したところ、金属の凝集は見られなかった。また、再度分光光度計により、全反射率、拡散反射率を測定した結果、反射率が96.0%、拡散反射率が5.4%と湿熱前とほとんどかわらなかった。また、この反射体1を導光板2の下面に金属層側が上になるようにセットし、導光板2の上にはランプ側の面と平行にプリズム形状が形成されたプリズムシート、拡散シートを配置し、図4のようなサイドライト型バックライト装置3を得た。導光板はランプリフレクター側が厚さ3mm、反対側が厚さ1mmとなる形状であり、反射体側に俵型の突起が形成されている。この突起の平均長さは100μm、平均アスペクト比が3.5、平均ピッチは100μmであり、該突起はランプ側の面と平行の向きに整列している。また出光面側は山型プリズム形状で、ランプ側の面と垂直の方向に整列している。平均ピッチは100μmである。この状態で、光源50を点灯し、面中央での正面方向に得られる輝度を測定するとともに、セットした反射体1に故意に歪みを与えた場合および60℃90%の湿熱層に500時間放置した後の面光源の輝度ムラについて観察した結果を表1に示す。
【0065】
実施例2
突起物となる粒子として平均粒子径35μmのアクリル粒子を用いた以外は実施例1と同様にして反射体を得、評価を行った。結果を表1に示した。
【0066】
実施例3
厚さ188μmのPETフィルム(引っ張り弾性率:4500MPa)上のA面側に、DCマグネトロンスパッタ法で、2%のAl2O3がドープされた酸化亜鉛(純度99.9%)をターゲットとし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして、上記酸化亜鉛を膜厚5nmになるように下地層を形成した。続いて、このフィルムをスパッタ装置から取り出すことなく、同様にDCマグネトロンスパッタ法で、純度99.9%の銀をターゲットととし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして銀を膜厚150nmになるように成形した。続いて、このフィルムをスパッタ装置から取り出すことなく、DCマグネトロンスパッタ法で、2%のAl2O3がドープされた酸化亜鉛(純度99.9%)をターゲットとし、純度99.5%のアルゴンをスパッタガスとして、酸化亜鉛を膜厚5nmになるように保護層を形成し反射層20とした。
【0067】
続いてこのスパッタ面上に実施例1と同様の方法でアクリル粒子とバインダー樹脂を含む塗工液を用いて塗工し、突起を得た。突起物を顕微鏡で観察したところ、1mm2当たり20個の粒子が確認された。
【0068】
次に、実施例1と同様にして、PETフィルム上のB面側に塗布を行い反射体を得た。結果を表1に示した。
【表1】
比較例1
反射入光面側、出光面側のいずれもが平滑な導光板を用い、ランプと平行方向にプリズム形状が形成されたプリズムシートとランプと垂直方向にプリズム形状が形成されたプリズムシートを各1枚用いた以外は実施例1と同様にしてバックライトの作製および評価を行った。結果を表1に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明における反射体1の一例を示す断面図である。
【図2】は、本発明における導光板2の一例を示す断面図である。
【図3】は、本発明における導光板2の一例を示す平面図である。
【図4】は、本発明のサイドライト型バックライト装置3の一例を示す斜視図である。
(符号の説明)
1:反射体
2:導光板
3:バックライト
10:基板
20:反射層
30:粒子
40:易滑層
50:光源
60:ランプリフレクター
70:プリズムシート
80:拡散シート
Claims (6)
- 導光板の下に反射体が装備されたサイドライト型バックライト装置であって、導光板の出光面側がプリズム形状を有し、反射体の波長550nmの光線における全反射率に対する拡散反射率の割合(拡散率)が1%〜50%の範囲であることを特徴とするサイドライト型バックライト装置。
- 前記反射体が基板と反射層とからなり、反射層側に最大幅0.1μm〜50μm、高さ0.1μm〜45μmの突起物を1mm2当たり2個以上100個以下有することを特徴とする請求項1に記載のサイドライト型バックライト装置。
- 前記反射体の波長550nmにおける全反射率が90%以上であり、かつ、拡散反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のサイドライト型バックライト装置。
- 前記導光板がプリズム形状を有する面の反対側の面に凹凸形状を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のサイドライト型バックライト装置。
- 前記導光板のプリズム形状面と反対側の面の凹凸形状が俵型であることを特徴とする請求項4に記載のサイドライト型バックライト装置。
- 請求項1〜5いずれかに記載のサイドライト型バックライト装置を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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