JP2004001679A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラック軸のねじれを抑制し、低摩擦の支持を行える電動式パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジング1と、ラック歯10aを備え、ハウジング1に対して移動自在となっているラック軸10と、ラック歯10aに噛合するピニオン歯3aを備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸10に伝達する出力軸3と、ハウジング1に設けられ、ラック軸10を支持する支持装置20とを有し、ラック軸10は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面すなわち転動面10b、10bを有し、支持装置20は、ラック軸10を長手方向に見た場合において、各転動面10b、10bを互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する円筒ローラ23を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジング1と、ラック歯10aを備え、ハウジング1に対して移動自在となっているラック軸10と、ラック歯10aに噛合するピニオン歯3aを備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸10に伝達する出力軸3と、ハウジング1に設けられ、ラック軸10を支持する支持装置20とを有し、ラック軸10は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面すなわち転動面10b、10bを有し、支持装置20は、ラック軸10を長手方向に見た場合において、各転動面10b、10bを互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する円筒ローラ23を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動式パワーステアリング装置に関し、特にラック軸とピニオンとを備えた電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のステアリング装置の一タイプとして、ラック軸のラック歯にピニオンを噛合させることで、ピニオンの回転力と回転量(操舵馬力)をラック軸の軸線方向推力とストロークに変換するラックアンドピニオン式ステアリング装置が知られている。ここで、比較的車重の軽い車両においては、補助操舵力を出力しない、いわゆるマニュアルステアリング装置に、ラックアンドピニオン式ステアリング装置を組み込んだ構成を用いる場合がある。かかる場合、運転者の操舵によってのみ、操向輪を駆動しなければならないことから、ピニオン1回当たりのストローク量(ストロークレシオ)を小さくして、操舵トルクを軽減し、反面、操舵量を多くするように設定されている。更に、ラックを保持するラック保持機構においては、ラック軸の背面(ラック歯面側と反対側)を保持する保持部に、単一のローラ等で回転支持する転がり式ラックガイド(図3に示すごとく、ピニオン53とラック軸60の係合を確保するように単一ローラ73の円弧面73aをラック軸60の背面円筒面に押し当てたタイプ)を設ける等、伝達効率を向上させ、操舵トルクの低減を図っている。
【0003】
一方、比較的車重の重い車両においては、操舵馬力低減のため、一般的には、補助操舵力を出力する、いわゆるパワーステアリング装置を設ける必要がある。ここで、パワーステアリング装置には、大きく分けて、油圧式パワーステアリング装置と電動式パワーステアリング装置とがある。油圧式パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて、ピニオン軸上に設けられたコントロールバルブによって油圧を発生させ、ラック軸上に設けた油圧シリンダに油圧を作用させることで、ラック軸の移動方向に直接推力を発生させる。従って、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクは、コントロールバルブを作動させるに必要な小さいもので十分であり、更に操舵量をも軽減するために、マニュアルステアリング装置よりも大きなストロークレシオとされている。よって、ラックアンドピニオン装置を介して、ラック軸に伝達されるトルクは極めて小さいので、伝達効率が多少悪化しても、運転者の操舵を阻害しないので、ラックを保持するラック保持機構においては、転がり式ラックガイドよりも安価な滑動式ラックガイドを用いている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】
実開昭61−18976号公報
【特許文献2】
実開昭61−124471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、電動式パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクに応じて、電動モータにより補助操舵力を操舵軸やラック軸に出力するものであり、油圧式パワーステアリング装置に比較して、油圧ポンプ、油圧配管、作動油タンクなどを必要としないなど、コンパクトな構成を有する等の優れた特徴があり、当初は軽自動車などの軽量な車両に採用されていたが、近年は車重の重い車両にも適用されるようになってきている。ここで、電動式パワーステアリング装置は、ステアリングコラムに電動モータを取り付けることで、ステアリングシャフトに直接補助操舵力を出力する、いわゆるコラムアシストタイプの電動式パワーステアリング装置や、ラックアンドピニオン装置に電動モータを取り付けることで、ピニオン軸に直接補助操舵力を出力する、いわゆるピニオンアシスト式の電動式パワーステアリング装置がある。後者のタイプの電動式パワーステアリング装置によれば、電動モータの補助操舵力が付加された強大な力が、ピニオンとラック軸のラック歯との間で伝達されることとなる。
【0005】
更に、比較的車重が重い車両においては、ピニオンとラック軸のラック歯との間における、マニュアルステアリング装置や油圧式パワーステアリング装置より遙かに大きい強大な力の伝達が定常化するので、ピニオンもしくはラック歯に作用する曲げ応力や面圧が増大する。これに対し、それらの圧力角やネジレ角を大きくすることで、曲げ応力や面圧を低下させることはできる。特に、比較的小容量の電動モータの出力でも補助操舵力をまかなえるように、ラック歯の中央部付近のストロークレシオを大きくし、両端部ではストロークレシオを小さくした可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置においては、通常の走行で最も使用頻度の高いラック歯中央付近の圧力角は、更に大きくなる傾向にある。
【0006】
ここで、ピニオンとラック軸のラック歯との間で強大な力の伝達がなされると、ピニオンからラックを離隔させようとする離隔力も増大する。又、圧力角が増大すると、かかる離隔力は更に増大する。例えば、マニュアルステアリング装置或いは油圧式パワーステアリング装置の場合、一般的には、圧力角は20度程度であり、電動式パワーステアリング装置においては、ストロークレシオ一定タイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した場合でも、圧力角は30度程度、可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した場合では、圧力角は45度に達する。単純計算では、同一ラック推力の場合に、可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した電動式パワーステアリング装置は、マニュアルステアリング装置に比べ、tan45°/tan20°=2.75倍、油圧式パワーステアリング装置と比較した場合では、油圧アシストによる運転者の操舵トルクの増幅率を約10倍とすると、実に10×2.75=27.5倍の離隔力を受けることとなる。
【0007】
しかるに、かかる離隔力を受けるとした場合、ラック軸の背面を支持するのに滑りガイドを用いていては摩擦力が増大し、操舵力伝達効率が低下する。すなわち、マニュアルステアリング装置或いは油圧式パワーステアリング装置では、ラック軸の支持は、滑りガイドで足りるが、電動式パワーステアリング装置では、滑りガイドに代わる、より摩擦力が小さなラック支持装置が必要になるということになる。
【0008】
更に、電動式パワーステアリング装置においては、以上の離隔力増大に起因する問題の他に、ラック軸のラック歯のねじれ角に起因した問題もある。すなわち、ねじれ角が増大すると、ラック軸をその軸線周りに回転させる回転力も増大し、ラック歯とピニオンとの片当たりによるピニオン、ラック歯の摩滅、作動トルクの増大等の不具合を招来する。特に、ラック軸の周囲に電動モータを配置して、ボールネジとナットを含むボールネジ機構などを用いてラック軸に推力を与える、いわゆるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の場合には、ナット等の反力により更にラック軸がねじられ、ラック歯とピニオンとの片当たりはより顕著となる。しかるに、このようなラック軸のねじれは、従来の転がり式ラックガイドで適切に支持することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、ラック軸のねじれを抑制し、低摩擦の支持を行える電動式パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の本発明の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、
前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、
前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、
前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有することを特徴とする。
【0013】
【作用】
第1の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記転動体により前記ラック軸を低摩擦で支持できると共に、前記ラック軸の外周面に設けられた支持装置案内面を、前記転動体で押圧することで、異なる2方向から前記ラック軸の支持を行うことができ、従って、ラック軸の軸線とピニオンの軸線とが90度以外の角度で交差することにより、動作時に回転トルクが発生するラック軸を支持するのに好適な構成となっている。又、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心よりシフト(オフセット)しているので、ラック軸の回転を阻止し円滑な噛合を維持出来、かつ前記押圧力の合力により、安定した状態で前記ラック歯を前記ピニオン歯に対して押圧することができる。尚、ラック軸の軸線とは、ラック軸の長手方向直角断面の中心を通過する線(たとえば円筒状の素材からラック軸を形成する場合、元の素材の軸線)をいう。
【0014】
ところで、いわゆるラックアシスト式電動式パワーステアリング装置のあるタイプにおいては、ボールスクリューとナットとを用いて、電動モータの回転力をラック軸の軸線方向推力に変化するものがある。かかるタイプのラックアシスト式電動式パワーステアリング装置においては、ナットの回転反力により、本来的にラック軸の軸線周りに回転トルクが生じることとなる。
【0015】
これに対し、第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換するため、動作時に本来的に生じるラック軸の軸線周りの回転トルクを、前記支持装置案内面に異なる方向から当接する前記転動体により受けることができ、よって前記ラック軸の円滑な軸線方向移動を確保しつつ、適切に支持することができる。すなわち、シフトした前記転動体がなければ、ラック軸の軸線周りの回転トルクを受けることができないのである。
【0016】
ところで、上述した第1の本発明のごとく、前記転動体を複数設けることを考えると、転動体個々に、前記支持装置案内面を押圧する押圧力を調整することが必要となる。
【0017】
これに対し、第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有するので、前記付勢手段により、前記他端のみを適切な押圧力で付勢することにより、前記転動体を揺動させながら前記支持装置案内面に対して押圧させることができるため、簡素な構成で円滑な動作を確保できる。
【0018】
特に、前記付勢手段は、各軸部材の他端に当接する押圧部と、前記押圧部を弾性的に付勢する弾性部材を有すれば、例えば単一の前記押圧部を用いて各軸部材の付勢を一度に行うことができ、しかも、前記弾性部材による弾性力を用いることであり、前記転動体と前記支持装置案内面との間等に摩耗などが生じても安定した付勢力を供給できる。
【0019】
更に、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていると好ましい。
【0020】
又、前記ラック軸は、前記転動体の位置を規制する位置規制部を有すると好ましい。
【0021】
更に、前記転動体の少なくとも一方の端面に、外向きの円錐面を形成すると好ましい。
【0022】
又、前記支持装置の、少なくとも前記転動体を支持する部位は、型転写加工により形成されると好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図であり、図1(a)は支持装置を組み付けた状態を示し、図1(b)は支持装置を分解した状態を示しているが、理解しやすいように各部位の断面を組み合わせて示している(以下、同様な断面において同じ)。
【0024】
図1において、ハウジング1内を延在する出力軸(ピニオン)3は、不図示のステアリングシャフトに連結され、且つ軸受5,6によりハウジング1に対して回転自在に支承されている。軸受6の内輪は、ナット7により出力軸3の端部に固定され、軸受6の外輪は、固定部材8の螺合によりハウジング1に対して取り付けられている。
【0025】
ハウジング1は、ラック軸10の周囲から図で左方に延在する中空柱部1cを形成している。中空柱部1c内には、支持装置20が配置されている。支持装置20は、略円筒状の本体21と、本体21の袋孔内に取り付けられた2本の軸22と、各軸22に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ23と、本体21を中空柱部1cに取り付けるためのネジ部材24と、ネジ部材24と本体21との間に配置され、本体21をラック軸10側に付勢するための皿バネ25と、ネジ部材24のロック部材26とからなる。ネジ部材24のねじ込み量を調整することで、皿バネ25の圧縮量が変化し、ラック軸10の押圧力を調整することができる。調整後には、ロック部材26でネジ部材24をロック固定しその緩み止めを図ることができる。ラック軸10のラック歯10aと反対側の面(背面という)は、その断面において、図1で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)10b、10bが形成され、その間に隆起部10cが形成されている。転動面10b、10bは、ラック軸10の断面でその中心に対して対称に配置されている。ラック軸10の軸線は、ピニオン3の軸線に対して90度以外の角度で交差している。尚、ラック軸10は、素材としての丸棒に機械加工や冷間成形を施してラック歯10aを形成する。ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の場合、素材としての丸棒の外周面にネジ溝を形成する(不図示)。従って、ラック軸10の中心とは、丸棒の中心又はネジ溝の中心をいう。
【0026】
2つの軸22は、転動面10bに対して平行にかつラック軸線に垂直に配置され、軸受22aを介して円筒ローラ23を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ23を軸線方向に二分する等分線L(円筒ローラ23の転動面10bに対する押圧力の方向に一致)同士が交差する位置Kは、ラック軸10の中心Oよりラック歯10a側に、Δだけオフセットするように配置されている。等分線Lは、ここでは互いに直交している。円筒ローラ23の両端は、転動面10b、10bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ23が、ラック軸10を、出力軸3に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0027】
本実施の形態の動作を説明すると、不図示のステアリングホイールに操舵力が入力されたとき、かかる操舵力は、不図示のステアリングシャフトを介して,出力軸3に伝達され、互いに噛合するピニオン歯3aとラック歯10aを介して出力軸3の回転力がラック軸10の長手方向推力に変換され、かかる長手方向推力によりラック軸10が紙面垂直方向に移動するので、それにより不図示の車輪が転舵されることとなる。このとき、円筒ローラ23は、転動面10b上を転動し、低摩擦でラック軸10の移動を許容する。
【0028】
ここで、出力軸3とラック軸10との間で強大な力が伝達されたとき、ラック軸10を出力軸3より離隔させようとする離隔力が生じる。本実施の形態においては、ラック軸10の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ23により、この離隔力を適切に支持することができる。一方、出力軸3とラック軸10との間で強大な力が伝達されると、ラック軸10をその中心周りに回転させようとする回転力が生じる。かかる回転力は、ラック軸10の軸線が、ピニオン3の軸線に対して90度以外の角度で交差していると、特に大きくなる。本実施の形態においては、ラック軸10の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ23により、この回転力を支持することができる。尚、2つの円筒ローラ23の等分線Lが直角に交差しているので、一方の転動面10bを押圧する力は、他方の転動面10bと円筒ローラ23との間の押圧力に影響を与えないという利点もある。
【0029】
更に、本実施の形態においては、2つの円筒ローラ23の等分線L同士が交差する位置Kが、ラック軸10の中心Oよりラック歯10a側に、Δだけオフセットするように配置されているので、それらの合力は、ラック軸10を出力軸3に向かう方向に押圧するため、ラック軸10と出力軸3との係合を安定して行わせることが可能となる。
【0030】
本実施の形態において、本体21は、ロック部材26とネジ部材24とを緩めて皿バネ25と共に取り外すことで、図1(b)に示すように、円筒ローラ23と一体的に、中空柱部1cの左方端から取り外すことができるため、組み立てやメンテナンスの際の分解が容易である。
【0031】
図2は、ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第2の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。図2において、ハウジング101は、不図示のボルトを用いて固定される本体101aと蓋部材101bとからなる。ハウジング101内を、入力軸102および出力軸103が延在している。入力軸102は中空であって、入力軸102の図に示す上端は、図示しないステアリングシャフトに連結されるようになっており、更にステアリングシャフトは図示しないステアリングホイールに連結されるようになっている。入力軸102は、軸受104によりハウジング101に対して回転自在に支持されている。図に示す上端を入力軸102にピン結合させ、下端を出力軸103にセレーション結合させたトーションバー105が、入力軸102内を延在している。
【0032】
入力軸102の図に示す下方周囲において、受けたトルクに比例してトーションバー105がねじれることに基づき、操舵トルクを検出するトルクセンサ106が設けられている(一部のみ図示)。このトルクセンサ106は、トーションバー105のねじれに基づく入力軸102と出力軸103との相対角度変位を、機械的(電磁的でもよい)に検出し、電気信号として不図示の制御回路へ出力するものである。
【0033】
出力軸103は、軸受115、116により、ハウジング101に対して回転自在に支持されており、その中央部にピニオン歯103aを形成してなる、ピニオン歯103aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸110のラック歯110aに噛合している。ラック軸110の両端には、不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0034】
ハウジング101は、ラック軸110の周囲から図で左方に延在する中空柱部101cを形成している。中空柱部101c内には、支持装置120が配置されている。支持装置120は、略円筒状の本体121と、本体121の袋穴内に取り付けられた2本の軸122と、各軸122に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ123と、本体121を中空柱部101cに取り付けるためのネジ部材124と、ネジ部材124と本体121との間に配置され、本体121をラック軸110側に付勢するための皿バネ125と、ネジ部材124のロック部材126とからなる。ネジ部材124のねじ込み量を調整することで、皿バネ125の圧縮量が変化し、ラック軸110の押圧力を調整することができる。調整後には、ロック部材126でネジ部材124をロック固定しその緩み止めを図ることができる。ラック軸110のラック歯110aと反対側の面(背面という)は、その断面において、図2で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)110b、110bが形成され、その間に隆起部110cが形成されている。転動面110b、110bは、ラック軸110の断面でその中心に対して対称に配置されている。ラック軸110の軸線は、ピニオン103の軸線に対して90度以外の角度で交差している。
【0035】
2つの軸122は、転動面110bに対して平行かつラック軸線に垂直に配置され、軸受122aを介して円筒ローラ123を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ123の等分線(不図示)が直角に交差する位置は、第1の実施形態と同様にオフットしている。円筒ローラ123の両端は、転動面110bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ123が、ラック軸110を、出力軸103に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0036】
本実施の形態の動作を説明する。不図示のステアリングホイールに操舵力が入力されたとき、トルクセンサ106は、トーションバー105のネジレ量から操舵トルクを検出し、それに応じて不図示の電動モータから補助操舵力が出力されることとなる。ここで、出力軸103に操舵力が伝達されたとき、互いに噛合するピニオン歯103aとラック歯110aを介して出力軸103の回転力がラック軸110の長手方向推力に変換され、かかる長手方向推力によりラック軸110が紙面垂直方向に移動するので、それにより不図示の車輪が転舵されることとなる。このとき、円筒ローラ123は、転動面110b上を転動し、低摩擦でラック軸110の移動を許容する。
【0037】
上述した実施の形態と同様に、出力軸103とラック軸110との間で強大な力が伝達されたとき、ラック軸110を出力軸103より離隔させようとする離隔力が生じる。本実施の形態においては、ラック軸110の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ123により、この離隔力を適切に支持することができる。一方、出力軸103とラック軸110との間で強大な力が伝達されると、ラック軸110をその中心周りに回転させようとする回転力が生じる。かかる回転力は、ラック軸110の軸線が、ピニオン103の軸線に対して90度以外の角度で交差していると、特に大きくなる。本実施の形態においては、ラック軸110の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ123により、この回転力を支持することができる。尚、2つの円筒ローラ123の等分線Lが直角に交差しているので、一方の転動面110bを押圧する力は、他方の転動面110bと円筒ローラ123との間の押圧力に影響を与えないという利点もある。更に、本実施の形態においても、2つの円筒ローラ123の等分線同士が交差する位置、ラック軸110の中心よりラック歯110a側にオフセットするように配置されているので、ラック軸の回転を阻止し円滑な噛合い状態を維持することが出来、かつそれらの合力は、ラック軸110を出力軸103に向かう方向に押圧するため、ラック軸110と出力軸103との係合を安定して行わせることが可能となる。
【0038】
ところで、上述した実施の形態においては、円筒ローラ23,123と転動面10b、110bの押圧力の調整は、ネジ部材24,124をハウジング1,101に対して締め込む、或いは緩めることで、皿バネ25,125の弾性変形量を変更することにより行うことができ、皿バネ25,125の弾性変形量に基づく弾性力で、本体21,121が軸22,122を押圧し、それにより円筒ローラ23,123が転動面10b、110bに対して押しつけられるようになっている。
【0039】
図4は、第3の実施の形態にかかるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の部分省略断面図である。図4において、ハウジング201と一体形成されるラックハウジング201Aの右端には、間座部材201Bを介して、蓋部材201Cがボルト201Dにより取り付けられている。ラックハウジング201Aは、図示しない車体に固定されている。ラックハウジング201A内にラック軸210が挿通され、ラック軸210はその両端において、タイロッド208,209に連結されている。タイロッド208,209は、図示しない車輪転舵装置に連結されている。
【0040】
ラック軸210の図4で右端近傍において、その外周には螺旋状の外ネジ溝210dが形成されており、その周囲に、円筒状のボールスクリューナット230が配置され、間座部材201Bに対して軸受232により回転自在に支持され、且つ蓋部材201Cに対して軸受233,234により回転自在に支持されている。ボールスクリューナット230の内周には、螺旋状の内ネジ溝230aが形成されている。外ネジ溝210dと内ネジ溝230aとで転動路を形成し、かかる転動路内には、多数のボール231(一部のみ図示)が収容されている。
【0041】
ボール231は、ボールスクリューナット230とラック軸210が相対回転する際に生じる摩擦力を軽減する機能を有する。なお、ボールスクリューナット231は不図示の循環路を有しており、ボールスクリューナット230の回転時に、かかる循環路を介してボール231は循環可能となっている。
【0042】
ボールスクリューナット230の外周面と、ラックハウジング201Aに取り付けられた電動モータ235の回転軸235aの外周面とに、それぞれ転接するローラ236を介して、電動モータ235から出力される回転トルクは、いわゆるトラクションドライブ方式によりボールスクリューナット230に伝達されるようになっている。尚、トラクションドライブ方式でなくギヤ伝達方式により回転トルクの伝達を行っても良い。ボールスクリューナット230がナットを構成し、ボールスクリューナット230と、外ネジ210dを備えたラック軸210とで変換部材を構成する。
【0043】
図5は、図4の構成を入力軸202の軸線方向に切断して示す断面図である。図5において、ハウジング201内を、入力軸202および出力軸203が延在している。入力軸202は中空であって、入力軸202の図に示す上端は、図示しないステアリングシャフトに連結されるようになっており、更にステアリングシャフトは図示しないステアリングホイールに連結されるようになっている。入力軸202は、軸受204によりハウジング201に対して回転自在に支持されている。図に示す上端を入力軸202にピン結合させ、下端を出力軸203にセレーション結合させたトーションバー205が、入力軸202内を延在している。
【0044】
入力軸202の図に示す下方周囲において、受けたトルクに比例してトーションバー205がねじれることに基づき、操舵トルクを検出するトルクセンサ206が設けられている(一部のみ図示)。かかるトルクセンサ206は、上述した実施の形態のトルクセンサと同様なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
出力軸203は、軸受215、216により、ハウジング201に対して回転自在に支持されており、その中央部にピニオン歯203aを形成してなる、ピニオン歯203aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸210のラック歯210aに噛合している。ラック軸210の両端には、図4に示すごとく、タイロッド208,209を介して不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0046】
ハウジング201は、図におけるその下方部において、ラック軸210の周囲から図で左下方に延在する中空柱部201cと、左上方に延在する中空柱部201eを形成している。中空柱部201c、201e内には、同様の構成である支持装置220、220が配置されている。各支持装置220は、略円筒状の本体221と、本体221の袋穴内に取り付けられた軸222と、軸222に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ223と、本体221を中空柱部201c又は201eに取り付けるためのネジ部材224と、ネジ部材224と本体221との間に配置され、本体221をラック軸210側に付勢するための皿バネ225と、ネジ部材224のロック部材226とからなる。ネジ部材224のねじ込み量を調整することで、皿バネ225の圧縮量が変化し、ラック軸210に対する押圧力F1,F2(それらの上下方向成分が釣り合うように、ラック軸210が図で上下に変位するので押圧力F1,F2は互いに等しくなる)を調整することができる。調整後には、ロック部材226でネジ部材224をロック固定しその緩み止めを図ることができる。
【0047】
ラック軸210のラック歯210aと反対側の面(背面)は、その断面において、図4で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)210b、210bが形成され、その間に隆起部210cが形成されている。転動面210b、210bは、ラック軸210の断面でその二等分線(図では水平線)に対して対称に配置されている。ラック軸210の軸線は、ピニオン203の軸線に対して90度以外の角度で交差している。
【0048】
各支持装置220の軸222は、ラック軸線に垂直でかつ対向する転動面210bに対して平行に配置され、軸受222aを介して円筒ローラ223を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ223の等分線(押圧力F1,F2の方向に一致)が直角に交差する位置は、上述した実施形態と同様にオフセットしている。円筒ローラ223の両端は、転動面210bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ223が、ラック軸210を、出力軸203に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0049】
本実施の形態によれば、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、ネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、皿バネ225の弾性力の方向と、押圧力F1,F2の方向とが一致するので、かかる弾性力を全て(摩擦消失分除く)押圧力F1,F2として利用できるため、支持装置220の構成が小型化され、軽量化を図れる。又、ラック軸210は、3方向より支持されるため、十分な支持剛性が確保され、従来技術において通常用いられるブッシュのごとき部材を省略でき、スペースの有効活用が図れる。
【0050】
図6は、第4の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみがわずかに異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施の形態において、図6で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置220’は、皿バネを省略しているため、従ってネジ部材224が本体221を直接押圧している点のみが異なっている。本実施の形態によれば、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、図5の実施の形態と同様に、ネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより行うが、例えば振動などにより、上方の支持装置220’のネジ部材224と本体221との当接部等に摩耗が生じた場合には、下方の支持装置220の皿バネ225の付勢力により、ラック軸210が図で上方に押し上げられ、それにより上方の支持装置220’のネジ部材224と本体221との面圧がほぼ維持されるようになっているので、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸210の支持を行えるようになっている。
【0052】
図7は、第5の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態も、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施の形態において、図7で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置320は、押圧力を独立的に調整する機構を省略している。より具体的には、支持装置320は、中空柱部201e内に、スナップリング326で固定された略円筒状の本体321と、本体321の袋穴内に取り付けられた軸222と、軸222に対して軸上222aにより回転自在に支持された転動体である円筒ローラ223とからなる。尚、本体321と中空柱部201eとの間は、O−リング327により密封されている。
【0054】
本実施の形態においては、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、下方の支持装置220のネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、ラック軸210が図で上下に変位することで、押圧力F1,F2が等しくなる。
【0055】
図8は、第6の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態も、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施の形態において、図8で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置420は、円筒ローラ223を固定した構成となっている。より具体的には、支持装置420は、中空柱部201e内に形成された孔201f内に挿通された軸222と、軸222に対して軸受222aにより回転自在に支持された転動体である円筒ローラ223とからなる。尚、中空柱部201eの外方端は、カバー部材426により密封されている。
【0057】
本実施の形態においても、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、下方の支持装置220のネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、ラック軸210が図で上下に変位することで、押圧力F1,F2が等しくなる。又、例えば振動などにより、各部の摩耗が生じた場合には、下方の支持装置220の皿バネ225の付勢力により、ラック軸210が上方に押し上げられるため、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸210の支持を行えるようになっている。
【0058】
ところで、円筒ローラ223の転動を円滑に行わせるためには、円筒ローラ223の回転軸を、転動方向に対して精度良く直交させる必要がある。ここで、中空柱部201c、201eと、それに嵌合する本体221、321とは、共に円筒状であるから、円筒ローラ223の回転軸を位置決めするには、本体221の回り止めが必要となる。しかるに、回り止めを達成するには、円筒ローラ223を収納する中空柱部201c、201eに非円形内孔を形成することが考えられるが、手間がかかりコスト増を招く。そこで、以下の実施の形態では、後述のごとく本体221(説明は省略するが同様に本体321も可能)の回り止めを達成している。
【0059】
図9(a)は、第7の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図4と同様な方向から見た部分断面図であり、図9(b)は、図9(a)の構成をIXB−IXB線で切断して矢印方向に見た図であり、図9(c)は、図9(b)の構成をIXC−IXC線で切断して矢印方向に見た図であり、図9(d)は、図9(b)の構成をIXD−IXD線で切断して矢印方向に見た図である。図9に示す実施の形態は、図7に示す実施の形態に適用したものであるため、図7及び図9を参照して、本実施の形態を説明する。
【0060】
第7の実施の形態においては、2つの円筒ローラ223にキャスター角が付いている。より具体的には、図9(a)で上方の支持装置320の円筒ローラ223を支持する本体321の軸線は、図9(c)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図9(a)で見て右側に傾いている。従って、本体321が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P1を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P2に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体321の回り止めを達成できる。
【0061】
同様に、図9(a)で下方の支持装置220の円筒ローラ223を支持する本体221の軸線は、図9(d)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図9(a)で見て左側に傾いている。従って、本体221が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P3を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P4に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体221の回り止めを達成できる。尚、本実施の形態では、ピニオン歯203a(図7)とラック歯210aの噛合中心点P5(図9(a))と、点P1〜P4とが同一平面上になるように各部品を配置してなる。
【0062】
図10(a)は、第8の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図4と同様な方向から見た部分断面図であり、図10(b)は、図10(a)の構成をXB−XB線で切断して矢印方向に見た図であり、図10(c)は、図10(b)の構成をXC−XC線で切断して矢印方向に見た図であり、図10(d)は、図10(b)の構成をXD−XD線で切断して矢印方向に見た図である。図10に示す実施の形態も、図7に示す実施の形態に適用したものであるため、図7及び図10を参照して、本実施の形態を説明する。
【0063】
第8の実施の形態においても、2つの円筒ローラ223にキャスター角が付いている。より具体的には、図10(a)で上方の支持装置320の円筒ローラ223を支持する本体321の軸線は、図10(c)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図10(a)で見て右側に傾いている。従って、本体321が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P1を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P2に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体321の回り止めを達成できる。
【0064】
同様に、図10(a)で下方の支持装置220の円筒ローラ223を支持する本体221の軸線は、図10(d)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図10(a)で見て左側に傾いている。従って、本体221が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P3を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P4に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体221の回り止めを達成できる。尚、本実施の形態では、ピニオン歯203a(図7)とラック歯210aの噛合中心点P5(図10(a))に対して、点P1、P1及び点P3,P4は、互いに反対方向にそれぞれ距離Δだけシフトして各部品を配置してなる。
【0065】
図11は、ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第9の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の図9(a)と同様な図であり、図12は、かかる実施の形態の図1と同様な断面図である。図11において、ハウジング501内を、一部のみ図示する出力軸503が、図11で上下方向に延在し、軸受516により回転自在に支持されている。
【0066】
出力軸503は、その中央部にピニオン歯503aを形成してなる、ピニオン歯503aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸510のラック歯510aに噛合している。ラック軸510の両端には、不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0067】
ハウジング501は、ラック軸510の周囲から図12で左方に延在する中空柱部501cを形成している。中空柱部501c内には、支持装置520が配置されている。支持装置520は、略円板状の本体521と、ハウジング501に対してピン528により、一端を揺動自在に支持された2本の軸部材である揺動軸522と、各揺動軸522に対して軸受522aにより回転自在に支持されたり転動体である円筒ローラ523と、本体521を中空柱部501cに取り付けるためのネジ部材524と、ネジ部材524と本体521との間に配置され、本体521をラック軸510側に付勢するための弾性部材としての皿バネ525と、ネジ部材524のロック部材526とからなる。
【0068】
2本の揺動軸522は、組み付けた状態で、転動面510bに対して平行に配置されるようになっていると好ましい。このとき、2つの円筒ローラ523の等分線(不図示)が直角に交差する位置は、第1の実施形態と同様にオフットしている。円筒ローラ523の両端は、転動面510bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ523が、ラック軸510を、出力軸503に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0069】
本実施の形態においては、揺動軸522の他端となる自由側端部522bは、球面形状となっており、本体521の押圧部としての截頭円錐面521aに当接している。尚、揺動軸522は、中空柱部501cの開口端(ネジ部材524が螺合的に取り付けられる部分)から、内部に挿入され取り付けられるようになっている。本体521,皿バネ525,ネジ部材524で付勢手段を構成する。
【0070】
本実施の形態においては、2つの円筒ローラ523と転動面(支持装置案内面)510bの押圧力F1,F2(図12では反力で示す)の調整は、単一である支持装置520のネジ部材524をハウジング501に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ525の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、皿バネ525の付勢力に基づいて、本体521が図12で右方(転動面510bの法線方向のなす角を2等分した方向に略等しい)に移動し、截頭円錐面521aが揺動軸522の自由側端部522bを押圧する。それにより、2本の揺動軸522は、ピン528の中心周りに互いに反対方向に揺動し、2つの円筒ローラ523と転動面510bの押圧力F1,F2を均等に且つ適切に調整することができる。又、例えば振動などにより、各部の摩耗が生じた場合にも、支持装置520の皿バネ525の付勢力により、2本の揺動軸522は同時に揺動し、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸510の支持を行えるようになっている。尚、自由端522bは球面状となっており、又、截頭円錐面521aにおける自由側端部522bとの接線は、揺動軸522の軸線とほぼ平行であるため、揺動軸522が揺動しても、それにより生ずる不要な(すなわち円筒ローラ523の押圧に寄与しない)分力はわずかであり、更に截頭円錐面521aにエッジロードが加わることもない。
【0071】
本実施の形態によれば、図11に示すように、図1,2の構成と同程度に、支持装置520の構成を小型化でき、又、単一のネジ部材524の螺動だけで押圧力の調整を行えるという利点がある。以上の実施の形態において、本体221,521が保持部材を構成する。
【0072】
図13は、第10の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。本実施の形態は、図2に示す実施の形態に対して、主としてラック軸の構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。尚、図13においては、不図示の制御装置により制御駆動されるモータの回転軸21に形成されたウォーム22が、出力軸103の上端近傍に取り付けられたウォームホイール23に噛合しており、モータの補助動力をウォーム22,ウォームホイール23を介して出力軸103に伝達するようになっている。
【0073】
ところで、図2の実施の形態においては、支持装置120の転動体である一対の円筒ローラ123は、それぞれ軸122に対して、ニードル軸受122aにより回転自在に支持されているが、その軸線方向には軸122に対して拘束されていない。従って、軸線方向荷重がラック軸110から円筒ローラ123に入力された場合、円筒ローラ123が支持装置120の本体121に当接して、以下に述べる問題を引き起こす恐れがある。
【0074】
特に、図2に示すように、ラック軸110の円筒ローラ123、123の転動面110b、110bは、お互いに所定角度(図では90度)を成して配置されており、円筒ローラ123、123の回転軸は、ラック軸110の軸線に垂直で且つ転動面110b、110bに平行とされている。更に、2つの回転軸の二等分線方向に向かって付勢部材であるネジ部材124で押圧する事により、2個の円筒ローラ123、123を転動面110b、110bに押圧させている。
【0075】
すなわち、ネジ部材124の押圧方向と、円筒ローラ123,123の転動面110b、110bへの押圧方向とは一致していないので、円筒ローラ123,123の端面が、ネジ部材124に当接した場合、円筒ローラ123とラック軸110との摩擦状態によって、転動面110b、110bに作用する押圧力に応じた軸線方向摩擦力が生じ、円筒ローラ123,123の端面がその軸線方向摩擦力より、本体121に対して強く押しつけられ摩擦摺動する事になり、円筒ローラ123,123の円滑な回転が阻害され、ラック軸110の作動抵抗が大きくなり、また、円筒ローラ123,123の端面が磨耗したり異音を招く恐れがある。
【0076】
そこで、図13に示す実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、ラック軸610の隆起部610cの幅を広げ、両側面610d、610dの付け根を位置規制部として、円筒面123,123の端面に当接させる構成となっている(矢印A)。このように、円筒ローラ123,123の軸線方向の移動規制を、ラック軸610に設けた移動規制部(側面610d、610dの付け根)に、円筒ローラ123,123の端面を当接させることにより行ない、円筒ローラ123,123と本体121との間に間隙を形成し、それによりローラ端面の摩擦摺動を生じさせない様にしている。
【0077】
尚、ラック軸610の転動面610b、610bと円筒ローラ123,123との接触半径と、円筒ローラ123,123と、側面610d、610dとの接触半径とは若干異なるので、円筒ローラ123,123と移動規制部(側面610d、610dの付け根)とは若干の速度差が生じ滑りを伴うことになるが、ローラ端面全体を摺動接触させる場合に比べれば、滑り損失は低減され、ラック軸610の摺動抵抗を低減させることが出来る。
【0078】
図14は、第11の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図12と同様な断面図である。本実施の形態は、図12に示す実施の形態に対して、主としてラック軸の構成が異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図14に示す実施の形態においては、図12の実施の形態に対し、ラック軸610の隆起部610cの幅を広げ、両側面610d、610を位置規制部として、円筒面123,123の端面に当接させる構成となっている(矢印B)。このように、円筒ローラ123,123の軸線方向の移動規制を、ラック軸610に設けた移動規制部610d、610dに、円筒ローラ123,123の端面を当接させることにより行ない、円筒ローラ123,123と本体121との間に間隙を形成し、それによりローラ端面の摩擦摺動を生じさせない様にしている。
【0080】
図15は、第12の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図13と同様な断面図である。本実施の形態は、図13に示す実施の形態に対して、主として円筒ローラの構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
上述したように、図1の実施の形態においては、ラック軸110の円筒ローラ123、123の転動面110b、110bは、お互いに所定角度(図では90度)を成して配置されており、円筒ローラ123の回転軸は、ラック軸110の軸線に垂直で且つ転動面110b、110bに平行とされている。更に、2つの回転軸の二等分線方向に向かって付勢部材であるネジ部材124で押圧する事により、2個の円筒ローラ123、123を転動面110b、110bに押圧させている。すなわち、ネジ部材124の押圧方向と、円筒ローラ123,123の転動面110b、110bへの押圧方向とは一致していない。
【0082】
ラック軸110とピニオン103aの噛合い動力転達によって生じるピニオン103aからラック軸110を引き離そうとする離間力は、それぞれの円筒ローラ123からラック軸110の転動面110b、110bに作用する押圧力の合力で支持しているので、ニードル軸受122aが負荷する荷重は、円筒ローラ123,123の押圧力作用方向と離間力との成す角をαとすれば、押圧力に対し1/sinα倍(本例のごとくα=45度の場合、√2倍)と大きくなってしまう。
【0083】
また、円筒ローラ123,123の回転軸が、離間力の方向に対して傾いているので、ハウジング101に設けた取り付け孔に挿入されて円筒ローラ123,123を支持する支持装置120の本体121は、本体121の軸線方向から見て、円筒ローラ123,123の外接円より大径で無ければ成り立たないので、ラック支持部をコンパクトにする為には、円筒ローラ123,123は軸方向にも径方向にも小さくしなければならず、大型で大容量のニードルベアリング122aが採用出来ないということがある。しかるに、構成がコンパクトでないと車両への搭載性が悪くなり、又、本体1が大型で重量が大きいとラック軸への追従性が損なわれ、ラック軸110とピニオン103a又はラック軸110と円筒ローラ123,123との打撃音が発生してしまう恐れがある。
【0084】
更に、円筒ローラ123,123の外径は、出来るだけ小さく設定しなければならないが、円筒ローラ123,123の外径が小径化すると、円筒ローラ123,123の回転速度が高くなり、ニードル軸受122aの荷重が大なることと共にその回転寿命が低下し、耐久性が損なわれてしまう恐れがある。
【0085】
これに対し、図15に示す実施の形態によれば、ラック支持部をコンパクトにし、搭載性の改善と軽量化による追従性の向上を図りつつ、ニードル軸受の耐久性を向上させることができる。
【0086】
より具体的には、本実施の形態においては、円筒ローラ723,723の端面に、外縁を削り取るようにして外向きの円錐面723a、723aを形成している。図15の断面で見たときに、円錐面723a、723aの外形状(本体712の軸線から離れた側)は、本体721の外周面と平行となっている。かかる構成によれば、円筒ローラ723,723の外径を大径化させても、本体721の軸線方向から見た時の円筒ローラ723,723の外接円を小さくする事が出来、ニードル軸受122a、122aの総回転数を低減させる事で、耐久寿命を延ばすことが出来る。
【0087】
図16は、第13の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図15と同様な断面図である。本実施の形態は、図15に示す実施の形態に対して、主として支持装置の本体の構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態においては、図15に示す実施の形態と同様な特徴を有するから、外径の大きな定格負荷容量の大きいニードル軸受722a、722aを採用する事が出来、それによりにニードル軸受122a、122aの耐久寿命を更に延長することが出来る。
【0088】
ここで、支持装置の組み付け手順について説明する。図1,2における実施の形態においては、円筒ローラ123,123を支持する軸122,122は、その両端部を本体121に支持されているので、本体121の外周側の軸支持部を、本体121を大径化させずに確保するためには、本体121のローラ収納部は、軸122,122と垂直の方向から組み付ける様にしなければならない。
【0089】
より具体的に説明する。まず、単体の本体121において、ローラ収納部121gと、軸孔121hとを、それぞれ鍛造や機械加工で1セット形成する(図17(a))。かかる本体121を図17の矢印XVIII方向に見た図が、図18である。かかる状態の本体121に対し、ニードル軸受122aを組み込んだ一方の円筒ローラ123を,一方のローラ収納部121gに収納しつつ、軸孔121hに差し込んだ軸122で串刺しにするように嵌合させる(図17(b))。更に、ニードル軸受122aを組み込んだ他方の円筒ローラ123を,他方のローラ収納部121gに収納しつつ、軸孔121hに差し込んだ軸122で串刺しにするように嵌合させる(図17(c))。このようにして本体121のアッセンブリが完成する(図17(d))。しかしながら、図18から明らかなように、本体121は、複雑な機械加工を要し、無駄肉が多くて重く、且つ製作コスト嵩むものとなっている。
【0090】
これに対し、図15,16の実施の形態においては、組み付け状態において、円筒ローラ723,723に円錐面723a、723aを設けることによって、本体721のの軸線方向からローラを組み付けることができる。
【0091】
より具体的に説明する。まず、単体の本体721において、ローラ収納部721gと、軸収容部721hとを、それぞれ1セット形成する(図19(a))。かかる本体721を図19の矢印XX方向に見た図が図20であり、図19の矢印XXI方向に見た図が図21であり、図19の矢印XXII方向に見た図が図22であり、図22の本体をXXIII−XXIII線で切断して矢印方向に見た図が図23である。
【0092】
かかる状態の本体721に対し、軸122及びニードル軸受122aを組み込んだ円筒ローラ723を2個並行に(別々でも良い)、ローラ収納部721g及び軸収容部721hに収容し、本体721のアッセンブリが完成する(図19(c))。従って、本体721(少なくとも転動体を支持する部位)を、軸線方向に型成形可能な形状とすることが出来、それ故、機械加工を行うことなく、冷間鍛造、焼結、金属インジェクション成形や樹脂インジェクション成形等の型転写加工によって製造することが可能となるので、無駄肉を除去し軽量化を果たしつつ、大幅なコスト低減ができる。尚、本体121の背面に肉盗み部721sを設けると、本体1の軽量化をより図ることができる。
【0093】
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。例えば、押圧部の押圧方向は3方向以上でもよい。又、本発明は、可変ストロークレシオタイプの電動式パワーステアリング装置に限らず、一定ストロークレシオタイプの電動式パワーステアリング装置、コラムアシストタイプ、ピニオンアシストタイプ或いはラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置にも好適である。
【0094】
【発明の効果】
第1の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記転動体により前記ラック軸を低摩擦で支持できると共に、前記ラック軸の外周面に設けられた支持装置案内面を、前記転動体で押圧することで、異なる2方向から前記ラック軸の支持を行うことができ、従って、ラック軸の軸線とピニオンの軸線とが90度以外の角度で交差することにより、動作時に回転トルクが発生するラック軸を支持するのに好適な構成となっている。又、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心よりシフト(オフセット)しているので、ラック軸の回転を阻止出来、円滑な噛み合い状態を維持でき、かつ前記押圧力の合力により、安定した状態で前記ラック歯を前記ピニオン歯に対して押圧することができる。
【0095】
第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を備えているので、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換するので、動作時に本来的に生じるラック軸の軸線周りの回転トルクを、前記支持装置案内面に異なる方向から当接する前記転動体により受けることができ、よって前記ラック軸の円滑な軸線方向移動を確保しつつ、適切に支持することができる。
【0096】
第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有するので、前記付勢手段により、前記他端のみを適切な押圧力で付勢することにより、前記転動体を揺動させながら前記支持装置案内面に対して押圧させることができるため、簡素な構成で円滑な動作を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図2】第2の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図3】従来技術にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図4】第3の実施の形態にかかるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の部分省略断面図である。
【図5】図4の構成を入力軸202の軸線方向に切断して示す断面図である。
【図6】第4の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図7】第5の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図8】第6の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図9】第7の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置を示す図である。
【図10】第8の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置を示す図である。
【図11】ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第9の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の図9(a)と同様な図である。
【図12】第9の実施の形態における図1と同様な断面図である。
【図13】第10の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図14】第11の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図15】第12の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図16】第13の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図17】図1,2の実施の形態にかかる本体の組み付け手順を示す図である。
【図18】図17(a)の構成を矢印XVIII方向に見た図である。
【図19】図15,16の実施の形態にかかる本体の組み付け手順を示す図である。
【図20】図19(a)の構成を矢印XX方向に見た図である。
【図21】図19(a)の構成を矢印XXI方向に見た図である。
【図22】図19(a)の構成を矢印XXII方向に見た図である。
【図23】図22の本体をXXIII−XXIII線で切断して矢印方向に見た図である。
【符号の説明】
1、101、201,501 ハウジング
3,103、203、503 出力軸
10,110、210、510、610 ラック軸
20,120、320,420,520 支持装置
23,123、223,523、723 円筒ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動式パワーステアリング装置に関し、特にラック軸とピニオンとを備えた電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のステアリング装置の一タイプとして、ラック軸のラック歯にピニオンを噛合させることで、ピニオンの回転力と回転量(操舵馬力)をラック軸の軸線方向推力とストロークに変換するラックアンドピニオン式ステアリング装置が知られている。ここで、比較的車重の軽い車両においては、補助操舵力を出力しない、いわゆるマニュアルステアリング装置に、ラックアンドピニオン式ステアリング装置を組み込んだ構成を用いる場合がある。かかる場合、運転者の操舵によってのみ、操向輪を駆動しなければならないことから、ピニオン1回当たりのストローク量(ストロークレシオ)を小さくして、操舵トルクを軽減し、反面、操舵量を多くするように設定されている。更に、ラックを保持するラック保持機構においては、ラック軸の背面(ラック歯面側と反対側)を保持する保持部に、単一のローラ等で回転支持する転がり式ラックガイド(図3に示すごとく、ピニオン53とラック軸60の係合を確保するように単一ローラ73の円弧面73aをラック軸60の背面円筒面に押し当てたタイプ)を設ける等、伝達効率を向上させ、操舵トルクの低減を図っている。
【0003】
一方、比較的車重の重い車両においては、操舵馬力低減のため、一般的には、補助操舵力を出力する、いわゆるパワーステアリング装置を設ける必要がある。ここで、パワーステアリング装置には、大きく分けて、油圧式パワーステアリング装置と電動式パワーステアリング装置とがある。油圧式パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて、ピニオン軸上に設けられたコントロールバルブによって油圧を発生させ、ラック軸上に設けた油圧シリンダに油圧を作用させることで、ラック軸の移動方向に直接推力を発生させる。従って、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクは、コントロールバルブを作動させるに必要な小さいもので十分であり、更に操舵量をも軽減するために、マニュアルステアリング装置よりも大きなストロークレシオとされている。よって、ラックアンドピニオン装置を介して、ラック軸に伝達されるトルクは極めて小さいので、伝達効率が多少悪化しても、運転者の操舵を阻害しないので、ラックを保持するラック保持機構においては、転がり式ラックガイドよりも安価な滑動式ラックガイドを用いている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】
実開昭61−18976号公報
【特許文献2】
実開昭61−124471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、電動式パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクに応じて、電動モータにより補助操舵力を操舵軸やラック軸に出力するものであり、油圧式パワーステアリング装置に比較して、油圧ポンプ、油圧配管、作動油タンクなどを必要としないなど、コンパクトな構成を有する等の優れた特徴があり、当初は軽自動車などの軽量な車両に採用されていたが、近年は車重の重い車両にも適用されるようになってきている。ここで、電動式パワーステアリング装置は、ステアリングコラムに電動モータを取り付けることで、ステアリングシャフトに直接補助操舵力を出力する、いわゆるコラムアシストタイプの電動式パワーステアリング装置や、ラックアンドピニオン装置に電動モータを取り付けることで、ピニオン軸に直接補助操舵力を出力する、いわゆるピニオンアシスト式の電動式パワーステアリング装置がある。後者のタイプの電動式パワーステアリング装置によれば、電動モータの補助操舵力が付加された強大な力が、ピニオンとラック軸のラック歯との間で伝達されることとなる。
【0005】
更に、比較的車重が重い車両においては、ピニオンとラック軸のラック歯との間における、マニュアルステアリング装置や油圧式パワーステアリング装置より遙かに大きい強大な力の伝達が定常化するので、ピニオンもしくはラック歯に作用する曲げ応力や面圧が増大する。これに対し、それらの圧力角やネジレ角を大きくすることで、曲げ応力や面圧を低下させることはできる。特に、比較的小容量の電動モータの出力でも補助操舵力をまかなえるように、ラック歯の中央部付近のストロークレシオを大きくし、両端部ではストロークレシオを小さくした可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置においては、通常の走行で最も使用頻度の高いラック歯中央付近の圧力角は、更に大きくなる傾向にある。
【0006】
ここで、ピニオンとラック軸のラック歯との間で強大な力の伝達がなされると、ピニオンからラックを離隔させようとする離隔力も増大する。又、圧力角が増大すると、かかる離隔力は更に増大する。例えば、マニュアルステアリング装置或いは油圧式パワーステアリング装置の場合、一般的には、圧力角は20度程度であり、電動式パワーステアリング装置においては、ストロークレシオ一定タイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した場合でも、圧力角は30度程度、可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した場合では、圧力角は45度に達する。単純計算では、同一ラック推力の場合に、可変ストロークレシオタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置を適用した電動式パワーステアリング装置は、マニュアルステアリング装置に比べ、tan45°/tan20°=2.75倍、油圧式パワーステアリング装置と比較した場合では、油圧アシストによる運転者の操舵トルクの増幅率を約10倍とすると、実に10×2.75=27.5倍の離隔力を受けることとなる。
【0007】
しかるに、かかる離隔力を受けるとした場合、ラック軸の背面を支持するのに滑りガイドを用いていては摩擦力が増大し、操舵力伝達効率が低下する。すなわち、マニュアルステアリング装置或いは油圧式パワーステアリング装置では、ラック軸の支持は、滑りガイドで足りるが、電動式パワーステアリング装置では、滑りガイドに代わる、より摩擦力が小さなラック支持装置が必要になるということになる。
【0008】
更に、電動式パワーステアリング装置においては、以上の離隔力増大に起因する問題の他に、ラック軸のラック歯のねじれ角に起因した問題もある。すなわち、ねじれ角が増大すると、ラック軸をその軸線周りに回転させる回転力も増大し、ラック歯とピニオンとの片当たりによるピニオン、ラック歯の摩滅、作動トルクの増大等の不具合を招来する。特に、ラック軸の周囲に電動モータを配置して、ボールネジとナットを含むボールネジ機構などを用いてラック軸に推力を与える、いわゆるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の場合には、ナット等の反力により更にラック軸がねじられ、ラック歯とピニオンとの片当たりはより顕著となる。しかるに、このようなラック軸のねじれは、従来の転がり式ラックガイドで適切に支持することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、ラック軸のねじれを抑制し、低摩擦の支持を行える電動式パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の本発明の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、
前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、
前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、
前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、
電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有することを特徴とする。
【0013】
【作用】
第1の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記転動体により前記ラック軸を低摩擦で支持できると共に、前記ラック軸の外周面に設けられた支持装置案内面を、前記転動体で押圧することで、異なる2方向から前記ラック軸の支持を行うことができ、従って、ラック軸の軸線とピニオンの軸線とが90度以外の角度で交差することにより、動作時に回転トルクが発生するラック軸を支持するのに好適な構成となっている。又、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心よりシフト(オフセット)しているので、ラック軸の回転を阻止し円滑な噛合を維持出来、かつ前記押圧力の合力により、安定した状態で前記ラック歯を前記ピニオン歯に対して押圧することができる。尚、ラック軸の軸線とは、ラック軸の長手方向直角断面の中心を通過する線(たとえば円筒状の素材からラック軸を形成する場合、元の素材の軸線)をいう。
【0014】
ところで、いわゆるラックアシスト式電動式パワーステアリング装置のあるタイプにおいては、ボールスクリューとナットとを用いて、電動モータの回転力をラック軸の軸線方向推力に変化するものがある。かかるタイプのラックアシスト式電動式パワーステアリング装置においては、ナットの回転反力により、本来的にラック軸の軸線周りに回転トルクが生じることとなる。
【0015】
これに対し、第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換するため、動作時に本来的に生じるラック軸の軸線周りの回転トルクを、前記支持装置案内面に異なる方向から当接する前記転動体により受けることができ、よって前記ラック軸の円滑な軸線方向移動を確保しつつ、適切に支持することができる。すなわち、シフトした前記転動体がなければ、ラック軸の軸線周りの回転トルクを受けることができないのである。
【0016】
ところで、上述した第1の本発明のごとく、前記転動体を複数設けることを考えると、転動体個々に、前記支持装置案内面を押圧する押圧力を調整することが必要となる。
【0017】
これに対し、第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有するので、前記付勢手段により、前記他端のみを適切な押圧力で付勢することにより、前記転動体を揺動させながら前記支持装置案内面に対して押圧させることができるため、簡素な構成で円滑な動作を確保できる。
【0018】
特に、前記付勢手段は、各軸部材の他端に当接する押圧部と、前記押圧部を弾性的に付勢する弾性部材を有すれば、例えば単一の前記押圧部を用いて各軸部材の付勢を一度に行うことができ、しかも、前記弾性部材による弾性力を用いることであり、前記転動体と前記支持装置案内面との間等に摩耗などが生じても安定した付勢力を供給できる。
【0019】
更に、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていると好ましい。
【0020】
又、前記ラック軸は、前記転動体の位置を規制する位置規制部を有すると好ましい。
【0021】
更に、前記転動体の少なくとも一方の端面に、外向きの円錐面を形成すると好ましい。
【0022】
又、前記支持装置の、少なくとも前記転動体を支持する部位は、型転写加工により形成されると好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図であり、図1(a)は支持装置を組み付けた状態を示し、図1(b)は支持装置を分解した状態を示しているが、理解しやすいように各部位の断面を組み合わせて示している(以下、同様な断面において同じ)。
【0024】
図1において、ハウジング1内を延在する出力軸(ピニオン)3は、不図示のステアリングシャフトに連結され、且つ軸受5,6によりハウジング1に対して回転自在に支承されている。軸受6の内輪は、ナット7により出力軸3の端部に固定され、軸受6の外輪は、固定部材8の螺合によりハウジング1に対して取り付けられている。
【0025】
ハウジング1は、ラック軸10の周囲から図で左方に延在する中空柱部1cを形成している。中空柱部1c内には、支持装置20が配置されている。支持装置20は、略円筒状の本体21と、本体21の袋孔内に取り付けられた2本の軸22と、各軸22に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ23と、本体21を中空柱部1cに取り付けるためのネジ部材24と、ネジ部材24と本体21との間に配置され、本体21をラック軸10側に付勢するための皿バネ25と、ネジ部材24のロック部材26とからなる。ネジ部材24のねじ込み量を調整することで、皿バネ25の圧縮量が変化し、ラック軸10の押圧力を調整することができる。調整後には、ロック部材26でネジ部材24をロック固定しその緩み止めを図ることができる。ラック軸10のラック歯10aと反対側の面(背面という)は、その断面において、図1で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)10b、10bが形成され、その間に隆起部10cが形成されている。転動面10b、10bは、ラック軸10の断面でその中心に対して対称に配置されている。ラック軸10の軸線は、ピニオン3の軸線に対して90度以外の角度で交差している。尚、ラック軸10は、素材としての丸棒に機械加工や冷間成形を施してラック歯10aを形成する。ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の場合、素材としての丸棒の外周面にネジ溝を形成する(不図示)。従って、ラック軸10の中心とは、丸棒の中心又はネジ溝の中心をいう。
【0026】
2つの軸22は、転動面10bに対して平行にかつラック軸線に垂直に配置され、軸受22aを介して円筒ローラ23を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ23を軸線方向に二分する等分線L(円筒ローラ23の転動面10bに対する押圧力の方向に一致)同士が交差する位置Kは、ラック軸10の中心Oよりラック歯10a側に、Δだけオフセットするように配置されている。等分線Lは、ここでは互いに直交している。円筒ローラ23の両端は、転動面10b、10bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ23が、ラック軸10を、出力軸3に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0027】
本実施の形態の動作を説明すると、不図示のステアリングホイールに操舵力が入力されたとき、かかる操舵力は、不図示のステアリングシャフトを介して,出力軸3に伝達され、互いに噛合するピニオン歯3aとラック歯10aを介して出力軸3の回転力がラック軸10の長手方向推力に変換され、かかる長手方向推力によりラック軸10が紙面垂直方向に移動するので、それにより不図示の車輪が転舵されることとなる。このとき、円筒ローラ23は、転動面10b上を転動し、低摩擦でラック軸10の移動を許容する。
【0028】
ここで、出力軸3とラック軸10との間で強大な力が伝達されたとき、ラック軸10を出力軸3より離隔させようとする離隔力が生じる。本実施の形態においては、ラック軸10の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ23により、この離隔力を適切に支持することができる。一方、出力軸3とラック軸10との間で強大な力が伝達されると、ラック軸10をその中心周りに回転させようとする回転力が生じる。かかる回転力は、ラック軸10の軸線が、ピニオン3の軸線に対して90度以外の角度で交差していると、特に大きくなる。本実施の形態においては、ラック軸10の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ23により、この回転力を支持することができる。尚、2つの円筒ローラ23の等分線Lが直角に交差しているので、一方の転動面10bを押圧する力は、他方の転動面10bと円筒ローラ23との間の押圧力に影響を与えないという利点もある。
【0029】
更に、本実施の形態においては、2つの円筒ローラ23の等分線L同士が交差する位置Kが、ラック軸10の中心Oよりラック歯10a側に、Δだけオフセットするように配置されているので、それらの合力は、ラック軸10を出力軸3に向かう方向に押圧するため、ラック軸10と出力軸3との係合を安定して行わせることが可能となる。
【0030】
本実施の形態において、本体21は、ロック部材26とネジ部材24とを緩めて皿バネ25と共に取り外すことで、図1(b)に示すように、円筒ローラ23と一体的に、中空柱部1cの左方端から取り外すことができるため、組み立てやメンテナンスの際の分解が容易である。
【0031】
図2は、ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第2の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。図2において、ハウジング101は、不図示のボルトを用いて固定される本体101aと蓋部材101bとからなる。ハウジング101内を、入力軸102および出力軸103が延在している。入力軸102は中空であって、入力軸102の図に示す上端は、図示しないステアリングシャフトに連結されるようになっており、更にステアリングシャフトは図示しないステアリングホイールに連結されるようになっている。入力軸102は、軸受104によりハウジング101に対して回転自在に支持されている。図に示す上端を入力軸102にピン結合させ、下端を出力軸103にセレーション結合させたトーションバー105が、入力軸102内を延在している。
【0032】
入力軸102の図に示す下方周囲において、受けたトルクに比例してトーションバー105がねじれることに基づき、操舵トルクを検出するトルクセンサ106が設けられている(一部のみ図示)。このトルクセンサ106は、トーションバー105のねじれに基づく入力軸102と出力軸103との相対角度変位を、機械的(電磁的でもよい)に検出し、電気信号として不図示の制御回路へ出力するものである。
【0033】
出力軸103は、軸受115、116により、ハウジング101に対して回転自在に支持されており、その中央部にピニオン歯103aを形成してなる、ピニオン歯103aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸110のラック歯110aに噛合している。ラック軸110の両端には、不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0034】
ハウジング101は、ラック軸110の周囲から図で左方に延在する中空柱部101cを形成している。中空柱部101c内には、支持装置120が配置されている。支持装置120は、略円筒状の本体121と、本体121の袋穴内に取り付けられた2本の軸122と、各軸122に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ123と、本体121を中空柱部101cに取り付けるためのネジ部材124と、ネジ部材124と本体121との間に配置され、本体121をラック軸110側に付勢するための皿バネ125と、ネジ部材124のロック部材126とからなる。ネジ部材124のねじ込み量を調整することで、皿バネ125の圧縮量が変化し、ラック軸110の押圧力を調整することができる。調整後には、ロック部材126でネジ部材124をロック固定しその緩み止めを図ることができる。ラック軸110のラック歯110aと反対側の面(背面という)は、その断面において、図2で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)110b、110bが形成され、その間に隆起部110cが形成されている。転動面110b、110bは、ラック軸110の断面でその中心に対して対称に配置されている。ラック軸110の軸線は、ピニオン103の軸線に対して90度以外の角度で交差している。
【0035】
2つの軸122は、転動面110bに対して平行かつラック軸線に垂直に配置され、軸受122aを介して円筒ローラ123を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ123の等分線(不図示)が直角に交差する位置は、第1の実施形態と同様にオフットしている。円筒ローラ123の両端は、転動面110bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ123が、ラック軸110を、出力軸103に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0036】
本実施の形態の動作を説明する。不図示のステアリングホイールに操舵力が入力されたとき、トルクセンサ106は、トーションバー105のネジレ量から操舵トルクを検出し、それに応じて不図示の電動モータから補助操舵力が出力されることとなる。ここで、出力軸103に操舵力が伝達されたとき、互いに噛合するピニオン歯103aとラック歯110aを介して出力軸103の回転力がラック軸110の長手方向推力に変換され、かかる長手方向推力によりラック軸110が紙面垂直方向に移動するので、それにより不図示の車輪が転舵されることとなる。このとき、円筒ローラ123は、転動面110b上を転動し、低摩擦でラック軸110の移動を許容する。
【0037】
上述した実施の形態と同様に、出力軸103とラック軸110との間で強大な力が伝達されたとき、ラック軸110を出力軸103より離隔させようとする離隔力が生じる。本実施の形態においては、ラック軸110の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ123により、この離隔力を適切に支持することができる。一方、出力軸103とラック軸110との間で強大な力が伝達されると、ラック軸110をその中心周りに回転させようとする回転力が生じる。かかる回転力は、ラック軸110の軸線が、ピニオン103の軸線に対して90度以外の角度で交差していると、特に大きくなる。本実施の形態においては、ラック軸110の中心に対して対称位置に配置された一対の円筒ローラ123により、この回転力を支持することができる。尚、2つの円筒ローラ123の等分線Lが直角に交差しているので、一方の転動面110bを押圧する力は、他方の転動面110bと円筒ローラ123との間の押圧力に影響を与えないという利点もある。更に、本実施の形態においても、2つの円筒ローラ123の等分線同士が交差する位置、ラック軸110の中心よりラック歯110a側にオフセットするように配置されているので、ラック軸の回転を阻止し円滑な噛合い状態を維持することが出来、かつそれらの合力は、ラック軸110を出力軸103に向かう方向に押圧するため、ラック軸110と出力軸103との係合を安定して行わせることが可能となる。
【0038】
ところで、上述した実施の形態においては、円筒ローラ23,123と転動面10b、110bの押圧力の調整は、ネジ部材24,124をハウジング1,101に対して締め込む、或いは緩めることで、皿バネ25,125の弾性変形量を変更することにより行うことができ、皿バネ25,125の弾性変形量に基づく弾性力で、本体21,121が軸22,122を押圧し、それにより円筒ローラ23,123が転動面10b、110bに対して押しつけられるようになっている。
【0039】
図4は、第3の実施の形態にかかるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の部分省略断面図である。図4において、ハウジング201と一体形成されるラックハウジング201Aの右端には、間座部材201Bを介して、蓋部材201Cがボルト201Dにより取り付けられている。ラックハウジング201Aは、図示しない車体に固定されている。ラックハウジング201A内にラック軸210が挿通され、ラック軸210はその両端において、タイロッド208,209に連結されている。タイロッド208,209は、図示しない車輪転舵装置に連結されている。
【0040】
ラック軸210の図4で右端近傍において、その外周には螺旋状の外ネジ溝210dが形成されており、その周囲に、円筒状のボールスクリューナット230が配置され、間座部材201Bに対して軸受232により回転自在に支持され、且つ蓋部材201Cに対して軸受233,234により回転自在に支持されている。ボールスクリューナット230の内周には、螺旋状の内ネジ溝230aが形成されている。外ネジ溝210dと内ネジ溝230aとで転動路を形成し、かかる転動路内には、多数のボール231(一部のみ図示)が収容されている。
【0041】
ボール231は、ボールスクリューナット230とラック軸210が相対回転する際に生じる摩擦力を軽減する機能を有する。なお、ボールスクリューナット231は不図示の循環路を有しており、ボールスクリューナット230の回転時に、かかる循環路を介してボール231は循環可能となっている。
【0042】
ボールスクリューナット230の外周面と、ラックハウジング201Aに取り付けられた電動モータ235の回転軸235aの外周面とに、それぞれ転接するローラ236を介して、電動モータ235から出力される回転トルクは、いわゆるトラクションドライブ方式によりボールスクリューナット230に伝達されるようになっている。尚、トラクションドライブ方式でなくギヤ伝達方式により回転トルクの伝達を行っても良い。ボールスクリューナット230がナットを構成し、ボールスクリューナット230と、外ネジ210dを備えたラック軸210とで変換部材を構成する。
【0043】
図5は、図4の構成を入力軸202の軸線方向に切断して示す断面図である。図5において、ハウジング201内を、入力軸202および出力軸203が延在している。入力軸202は中空であって、入力軸202の図に示す上端は、図示しないステアリングシャフトに連結されるようになっており、更にステアリングシャフトは図示しないステアリングホイールに連結されるようになっている。入力軸202は、軸受204によりハウジング201に対して回転自在に支持されている。図に示す上端を入力軸202にピン結合させ、下端を出力軸203にセレーション結合させたトーションバー205が、入力軸202内を延在している。
【0044】
入力軸202の図に示す下方周囲において、受けたトルクに比例してトーションバー205がねじれることに基づき、操舵トルクを検出するトルクセンサ206が設けられている(一部のみ図示)。かかるトルクセンサ206は、上述した実施の形態のトルクセンサと同様なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
出力軸203は、軸受215、216により、ハウジング201に対して回転自在に支持されており、その中央部にピニオン歯203aを形成してなる、ピニオン歯203aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸210のラック歯210aに噛合している。ラック軸210の両端には、図4に示すごとく、タイロッド208,209を介して不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0046】
ハウジング201は、図におけるその下方部において、ラック軸210の周囲から図で左下方に延在する中空柱部201cと、左上方に延在する中空柱部201eを形成している。中空柱部201c、201e内には、同様の構成である支持装置220、220が配置されている。各支持装置220は、略円筒状の本体221と、本体221の袋穴内に取り付けられた軸222と、軸222に対して取り付けられた転動体である円筒ローラ223と、本体221を中空柱部201c又は201eに取り付けるためのネジ部材224と、ネジ部材224と本体221との間に配置され、本体221をラック軸210側に付勢するための皿バネ225と、ネジ部材224のロック部材226とからなる。ネジ部材224のねじ込み量を調整することで、皿バネ225の圧縮量が変化し、ラック軸210に対する押圧力F1,F2(それらの上下方向成分が釣り合うように、ラック軸210が図で上下に変位するので押圧力F1,F2は互いに等しくなる)を調整することができる。調整後には、ロック部材226でネジ部材224をロック固定しその緩み止めを図ることができる。
【0047】
ラック軸210のラック歯210aと反対側の面(背面)は、その断面において、図4で左上部及び左下部が切り欠かれた形状となっており、ここに、それぞれ長手方向に延在する2つの転動面(すなわち長手方向に延在する支持装置案内面)210b、210bが形成され、その間に隆起部210cが形成されている。転動面210b、210bは、ラック軸210の断面でその二等分線(図では水平線)に対して対称に配置されている。ラック軸210の軸線は、ピニオン203の軸線に対して90度以外の角度で交差している。
【0048】
各支持装置220の軸222は、ラック軸線に垂直でかつ対向する転動面210bに対して平行に配置され、軸受222aを介して円筒ローラ223を回転自在に支承している。2つの円筒ローラ223の等分線(押圧力F1,F2の方向に一致)が直角に交差する位置は、上述した実施形態と同様にオフセットしている。円筒ローラ223の両端は、転動面210bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ223が、ラック軸210を、出力軸203に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0049】
本実施の形態によれば、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、ネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、皿バネ225の弾性力の方向と、押圧力F1,F2の方向とが一致するので、かかる弾性力を全て(摩擦消失分除く)押圧力F1,F2として利用できるため、支持装置220の構成が小型化され、軽量化を図れる。又、ラック軸210は、3方向より支持されるため、十分な支持剛性が確保され、従来技術において通常用いられるブッシュのごとき部材を省略でき、スペースの有効活用が図れる。
【0050】
図6は、第4の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみがわずかに異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施の形態において、図6で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置220’は、皿バネを省略しているため、従ってネジ部材224が本体221を直接押圧している点のみが異なっている。本実施の形態によれば、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、図5の実施の形態と同様に、ネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより行うが、例えば振動などにより、上方の支持装置220’のネジ部材224と本体221との当接部等に摩耗が生じた場合には、下方の支持装置220の皿バネ225の付勢力により、ラック軸210が図で上方に押し上げられ、それにより上方の支持装置220’のネジ部材224と本体221との面圧がほぼ維持されるようになっているので、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸210の支持を行えるようになっている。
【0052】
図7は、第5の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態も、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施の形態において、図7で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置320は、押圧力を独立的に調整する機構を省略している。より具体的には、支持装置320は、中空柱部201e内に、スナップリング326で固定された略円筒状の本体321と、本体321の袋穴内に取り付けられた軸222と、軸222に対して軸上222aにより回転自在に支持された転動体である円筒ローラ223とからなる。尚、本体321と中空柱部201eとの間は、O−リング327により密封されている。
【0054】
本実施の形態においては、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、下方の支持装置220のネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、ラック軸210が図で上下に変位することで、押圧力F1,F2が等しくなる。
【0055】
図8は、第6の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。本実施の形態も、図5に示す実施の形態に対して、支持装置の構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施の形態において、図8で下方の支持装置220は、図5の実施の形態にかかるものと同じであるが、上方の支持装置420は、円筒ローラ223を固定した構成となっている。より具体的には、支持装置420は、中空柱部201e内に形成された孔201f内に挿通された軸222と、軸222に対して軸受222aにより回転自在に支持された転動体である円筒ローラ223とからなる。尚、中空柱部201eの外方端は、カバー部材426により密封されている。
【0057】
本実施の形態においても、2つの円筒ローラ223の転動面210bに対する押圧力F1,F2の調整は、下方の支持装置220のネジ部材224をハウジング201に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ225の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、ラック軸210が図で上下に変位することで、押圧力F1,F2が等しくなる。又、例えば振動などにより、各部の摩耗が生じた場合には、下方の支持装置220の皿バネ225の付勢力により、ラック軸210が上方に押し上げられるため、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸210の支持を行えるようになっている。
【0058】
ところで、円筒ローラ223の転動を円滑に行わせるためには、円筒ローラ223の回転軸を、転動方向に対して精度良く直交させる必要がある。ここで、中空柱部201c、201eと、それに嵌合する本体221、321とは、共に円筒状であるから、円筒ローラ223の回転軸を位置決めするには、本体221の回り止めが必要となる。しかるに、回り止めを達成するには、円筒ローラ223を収納する中空柱部201c、201eに非円形内孔を形成することが考えられるが、手間がかかりコスト増を招く。そこで、以下の実施の形態では、後述のごとく本体221(説明は省略するが同様に本体321も可能)の回り止めを達成している。
【0059】
図9(a)は、第7の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図4と同様な方向から見た部分断面図であり、図9(b)は、図9(a)の構成をIXB−IXB線で切断して矢印方向に見た図であり、図9(c)は、図9(b)の構成をIXC−IXC線で切断して矢印方向に見た図であり、図9(d)は、図9(b)の構成をIXD−IXD線で切断して矢印方向に見た図である。図9に示す実施の形態は、図7に示す実施の形態に適用したものであるため、図7及び図9を参照して、本実施の形態を説明する。
【0060】
第7の実施の形態においては、2つの円筒ローラ223にキャスター角が付いている。より具体的には、図9(a)で上方の支持装置320の円筒ローラ223を支持する本体321の軸線は、図9(c)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図9(a)で見て右側に傾いている。従って、本体321が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P1を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P2に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体321の回り止めを達成できる。
【0061】
同様に、図9(a)で下方の支持装置220の円筒ローラ223を支持する本体221の軸線は、図9(d)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図9(a)で見て左側に傾いている。従って、本体221が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P3を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P4に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体221の回り止めを達成できる。尚、本実施の形態では、ピニオン歯203a(図7)とラック歯210aの噛合中心点P5(図9(a))と、点P1〜P4とが同一平面上になるように各部品を配置してなる。
【0062】
図10(a)は、第8の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図4と同様な方向から見た部分断面図であり、図10(b)は、図10(a)の構成をXB−XB線で切断して矢印方向に見た図であり、図10(c)は、図10(b)の構成をXC−XC線で切断して矢印方向に見た図であり、図10(d)は、図10(b)の構成をXD−XD線で切断して矢印方向に見た図である。図10に示す実施の形態も、図7に示す実施の形態に適用したものであるため、図7及び図10を参照して、本実施の形態を説明する。
【0063】
第8の実施の形態においても、2つの円筒ローラ223にキャスター角が付いている。より具体的には、図10(a)で上方の支持装置320の円筒ローラ223を支持する本体321の軸線は、図10(c)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図10(a)で見て右側に傾いている。従って、本体321が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P1を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P2に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体321の回り止めを達成できる。
【0064】
同様に、図10(a)で下方の支持装置220の円筒ローラ223を支持する本体221の軸線は、図10(d)に示すように、ラック軸210の転動面210bに直交する方向に対して角度θだけ、図10(a)で見て左側に傾いている。従って、本体221が円筒ローラ223を押圧する力は、円筒ローラの中心中央P3を通り、円筒ローラ223と転動面210bとの接点中央P4に対してズレた位置で、転動面210bに交差する。このズレを利用し、転動面210b上を円筒ローラ223が転動する際に、転動方向に対して円筒ローラ223の軸線が直交するように、円筒ローラ223の姿勢を自律的に調整することができるので、複雑な加工や別な部品を設けることなく本体221の回り止めを達成できる。尚、本実施の形態では、ピニオン歯203a(図7)とラック歯210aの噛合中心点P5(図10(a))に対して、点P1、P1及び点P3,P4は、互いに反対方向にそれぞれ距離Δだけシフトして各部品を配置してなる。
【0065】
図11は、ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第9の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の図9(a)と同様な図であり、図12は、かかる実施の形態の図1と同様な断面図である。図11において、ハウジング501内を、一部のみ図示する出力軸503が、図11で上下方向に延在し、軸受516により回転自在に支持されている。
【0066】
出力軸503は、その中央部にピニオン歯503aを形成してなる、ピニオン歯503aは、紙面に対し垂直方向に延在するラック軸510のラック歯510aに噛合している。ラック軸510の両端には、不図示の車輪転舵装置に連結されている。
【0067】
ハウジング501は、ラック軸510の周囲から図12で左方に延在する中空柱部501cを形成している。中空柱部501c内には、支持装置520が配置されている。支持装置520は、略円板状の本体521と、ハウジング501に対してピン528により、一端を揺動自在に支持された2本の軸部材である揺動軸522と、各揺動軸522に対して軸受522aにより回転自在に支持されたり転動体である円筒ローラ523と、本体521を中空柱部501cに取り付けるためのネジ部材524と、ネジ部材524と本体521との間に配置され、本体521をラック軸510側に付勢するための弾性部材としての皿バネ525と、ネジ部材524のロック部材526とからなる。
【0068】
2本の揺動軸522は、組み付けた状態で、転動面510bに対して平行に配置されるようになっていると好ましい。このとき、2つの円筒ローラ523の等分線(不図示)が直角に交差する位置は、第1の実施形態と同様にオフットしている。円筒ローラ523の両端は、転動面510bに対するエッジロードを緩和すべくクラウニング加工が施されていると好ましい。2つの円筒ローラ523が、ラック軸510を、出力軸503に向かうように二方向から押圧する押圧手段を構成する。
【0069】
本実施の形態においては、揺動軸522の他端となる自由側端部522bは、球面形状となっており、本体521の押圧部としての截頭円錐面521aに当接している。尚、揺動軸522は、中空柱部501cの開口端(ネジ部材524が螺合的に取り付けられる部分)から、内部に挿入され取り付けられるようになっている。本体521,皿バネ525,ネジ部材524で付勢手段を構成する。
【0070】
本実施の形態においては、2つの円筒ローラ523と転動面(支持装置案内面)510bの押圧力F1,F2(図12では反力で示す)の調整は、単一である支持装置520のネジ部材524をハウジング501に対して締め込む、或いは緩めることにより、皿バネ525の弾性変形量を変更して行うことができる。かかる場合、皿バネ525の付勢力に基づいて、本体521が図12で右方(転動面510bの法線方向のなす角を2等分した方向に略等しい)に移動し、截頭円錐面521aが揺動軸522の自由側端部522bを押圧する。それにより、2本の揺動軸522は、ピン528の中心周りに互いに反対方向に揺動し、2つの円筒ローラ523と転動面510bの押圧力F1,F2を均等に且つ適切に調整することができる。又、例えば振動などにより、各部の摩耗が生じた場合にも、支持装置520の皿バネ525の付勢力により、2本の揺動軸522は同時に揺動し、押圧力F1,F2は偏ることなく、長期間安定したラック軸510の支持を行えるようになっている。尚、自由端522bは球面状となっており、又、截頭円錐面521aにおける自由側端部522bとの接線は、揺動軸522の軸線とほぼ平行であるため、揺動軸522が揺動しても、それにより生ずる不要な(すなわち円筒ローラ523の押圧に寄与しない)分力はわずかであり、更に截頭円錐面521aにエッジロードが加わることもない。
【0071】
本実施の形態によれば、図11に示すように、図1,2の構成と同程度に、支持装置520の構成を小型化でき、又、単一のネジ部材524の螺動だけで押圧力の調整を行えるという利点がある。以上の実施の形態において、本体221,521が保持部材を構成する。
【0072】
図13は、第10の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。本実施の形態は、図2に示す実施の形態に対して、主としてラック軸の構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。尚、図13においては、不図示の制御装置により制御駆動されるモータの回転軸21に形成されたウォーム22が、出力軸103の上端近傍に取り付けられたウォームホイール23に噛合しており、モータの補助動力をウォーム22,ウォームホイール23を介して出力軸103に伝達するようになっている。
【0073】
ところで、図2の実施の形態においては、支持装置120の転動体である一対の円筒ローラ123は、それぞれ軸122に対して、ニードル軸受122aにより回転自在に支持されているが、その軸線方向には軸122に対して拘束されていない。従って、軸線方向荷重がラック軸110から円筒ローラ123に入力された場合、円筒ローラ123が支持装置120の本体121に当接して、以下に述べる問題を引き起こす恐れがある。
【0074】
特に、図2に示すように、ラック軸110の円筒ローラ123、123の転動面110b、110bは、お互いに所定角度(図では90度)を成して配置されており、円筒ローラ123、123の回転軸は、ラック軸110の軸線に垂直で且つ転動面110b、110bに平行とされている。更に、2つの回転軸の二等分線方向に向かって付勢部材であるネジ部材124で押圧する事により、2個の円筒ローラ123、123を転動面110b、110bに押圧させている。
【0075】
すなわち、ネジ部材124の押圧方向と、円筒ローラ123,123の転動面110b、110bへの押圧方向とは一致していないので、円筒ローラ123,123の端面が、ネジ部材124に当接した場合、円筒ローラ123とラック軸110との摩擦状態によって、転動面110b、110bに作用する押圧力に応じた軸線方向摩擦力が生じ、円筒ローラ123,123の端面がその軸線方向摩擦力より、本体121に対して強く押しつけられ摩擦摺動する事になり、円筒ローラ123,123の円滑な回転が阻害され、ラック軸110の作動抵抗が大きくなり、また、円筒ローラ123,123の端面が磨耗したり異音を招く恐れがある。
【0076】
そこで、図13に示す実施の形態においては、図1の実施の形態に対し、ラック軸610の隆起部610cの幅を広げ、両側面610d、610dの付け根を位置規制部として、円筒面123,123の端面に当接させる構成となっている(矢印A)。このように、円筒ローラ123,123の軸線方向の移動規制を、ラック軸610に設けた移動規制部(側面610d、610dの付け根)に、円筒ローラ123,123の端面を当接させることにより行ない、円筒ローラ123,123と本体121との間に間隙を形成し、それによりローラ端面の摩擦摺動を生じさせない様にしている。
【0077】
尚、ラック軸610の転動面610b、610bと円筒ローラ123,123との接触半径と、円筒ローラ123,123と、側面610d、610dとの接触半径とは若干異なるので、円筒ローラ123,123と移動規制部(側面610d、610dの付け根)とは若干の速度差が生じ滑りを伴うことになるが、ローラ端面全体を摺動接触させる場合に比べれば、滑り損失は低減され、ラック軸610の摺動抵抗を低減させることが出来る。
【0078】
図14は、第11の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図12と同様な断面図である。本実施の形態は、図12に示す実施の形態に対して、主としてラック軸の構成が異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図14に示す実施の形態においては、図12の実施の形態に対し、ラック軸610の隆起部610cの幅を広げ、両側面610d、610を位置規制部として、円筒面123,123の端面に当接させる構成となっている(矢印B)。このように、円筒ローラ123,123の軸線方向の移動規制を、ラック軸610に設けた移動規制部610d、610dに、円筒ローラ123,123の端面を当接させることにより行ない、円筒ローラ123,123と本体121との間に間隙を形成し、それによりローラ端面の摩擦摺動を生じさせない様にしている。
【0080】
図15は、第12の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図13と同様な断面図である。本実施の形態は、図13に示す実施の形態に対して、主として円筒ローラの構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
上述したように、図1の実施の形態においては、ラック軸110の円筒ローラ123、123の転動面110b、110bは、お互いに所定角度(図では90度)を成して配置されており、円筒ローラ123の回転軸は、ラック軸110の軸線に垂直で且つ転動面110b、110bに平行とされている。更に、2つの回転軸の二等分線方向に向かって付勢部材であるネジ部材124で押圧する事により、2個の円筒ローラ123、123を転動面110b、110bに押圧させている。すなわち、ネジ部材124の押圧方向と、円筒ローラ123,123の転動面110b、110bへの押圧方向とは一致していない。
【0082】
ラック軸110とピニオン103aの噛合い動力転達によって生じるピニオン103aからラック軸110を引き離そうとする離間力は、それぞれの円筒ローラ123からラック軸110の転動面110b、110bに作用する押圧力の合力で支持しているので、ニードル軸受122aが負荷する荷重は、円筒ローラ123,123の押圧力作用方向と離間力との成す角をαとすれば、押圧力に対し1/sinα倍(本例のごとくα=45度の場合、√2倍)と大きくなってしまう。
【0083】
また、円筒ローラ123,123の回転軸が、離間力の方向に対して傾いているので、ハウジング101に設けた取り付け孔に挿入されて円筒ローラ123,123を支持する支持装置120の本体121は、本体121の軸線方向から見て、円筒ローラ123,123の外接円より大径で無ければ成り立たないので、ラック支持部をコンパクトにする為には、円筒ローラ123,123は軸方向にも径方向にも小さくしなければならず、大型で大容量のニードルベアリング122aが採用出来ないということがある。しかるに、構成がコンパクトでないと車両への搭載性が悪くなり、又、本体1が大型で重量が大きいとラック軸への追従性が損なわれ、ラック軸110とピニオン103a又はラック軸110と円筒ローラ123,123との打撃音が発生してしまう恐れがある。
【0084】
更に、円筒ローラ123,123の外径は、出来るだけ小さく設定しなければならないが、円筒ローラ123,123の外径が小径化すると、円筒ローラ123,123の回転速度が高くなり、ニードル軸受122aの荷重が大なることと共にその回転寿命が低下し、耐久性が損なわれてしまう恐れがある。
【0085】
これに対し、図15に示す実施の形態によれば、ラック支持部をコンパクトにし、搭載性の改善と軽量化による追従性の向上を図りつつ、ニードル軸受の耐久性を向上させることができる。
【0086】
より具体的には、本実施の形態においては、円筒ローラ723,723の端面に、外縁を削り取るようにして外向きの円錐面723a、723aを形成している。図15の断面で見たときに、円錐面723a、723aの外形状(本体712の軸線から離れた側)は、本体721の外周面と平行となっている。かかる構成によれば、円筒ローラ723,723の外径を大径化させても、本体721の軸線方向から見た時の円筒ローラ723,723の外接円を小さくする事が出来、ニードル軸受122a、122aの総回転数を低減させる事で、耐久寿命を延ばすことが出来る。
【0087】
図16は、第13の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図15と同様な断面図である。本実施の形態は、図15に示す実施の形態に対して、主として支持装置の本体の構成が特徴的に異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態においては、図15に示す実施の形態と同様な特徴を有するから、外径の大きな定格負荷容量の大きいニードル軸受722a、722aを採用する事が出来、それによりにニードル軸受122a、122aの耐久寿命を更に延長することが出来る。
【0088】
ここで、支持装置の組み付け手順について説明する。図1,2における実施の形態においては、円筒ローラ123,123を支持する軸122,122は、その両端部を本体121に支持されているので、本体121の外周側の軸支持部を、本体121を大径化させずに確保するためには、本体121のローラ収納部は、軸122,122と垂直の方向から組み付ける様にしなければならない。
【0089】
より具体的に説明する。まず、単体の本体121において、ローラ収納部121gと、軸孔121hとを、それぞれ鍛造や機械加工で1セット形成する(図17(a))。かかる本体121を図17の矢印XVIII方向に見た図が、図18である。かかる状態の本体121に対し、ニードル軸受122aを組み込んだ一方の円筒ローラ123を,一方のローラ収納部121gに収納しつつ、軸孔121hに差し込んだ軸122で串刺しにするように嵌合させる(図17(b))。更に、ニードル軸受122aを組み込んだ他方の円筒ローラ123を,他方のローラ収納部121gに収納しつつ、軸孔121hに差し込んだ軸122で串刺しにするように嵌合させる(図17(c))。このようにして本体121のアッセンブリが完成する(図17(d))。しかしながら、図18から明らかなように、本体121は、複雑な機械加工を要し、無駄肉が多くて重く、且つ製作コスト嵩むものとなっている。
【0090】
これに対し、図15,16の実施の形態においては、組み付け状態において、円筒ローラ723,723に円錐面723a、723aを設けることによって、本体721のの軸線方向からローラを組み付けることができる。
【0091】
より具体的に説明する。まず、単体の本体721において、ローラ収納部721gと、軸収容部721hとを、それぞれ1セット形成する(図19(a))。かかる本体721を図19の矢印XX方向に見た図が図20であり、図19の矢印XXI方向に見た図が図21であり、図19の矢印XXII方向に見た図が図22であり、図22の本体をXXIII−XXIII線で切断して矢印方向に見た図が図23である。
【0092】
かかる状態の本体721に対し、軸122及びニードル軸受122aを組み込んだ円筒ローラ723を2個並行に(別々でも良い)、ローラ収納部721g及び軸収容部721hに収容し、本体721のアッセンブリが完成する(図19(c))。従って、本体721(少なくとも転動体を支持する部位)を、軸線方向に型成形可能な形状とすることが出来、それ故、機械加工を行うことなく、冷間鍛造、焼結、金属インジェクション成形や樹脂インジェクション成形等の型転写加工によって製造することが可能となるので、無駄肉を除去し軽量化を果たしつつ、大幅なコスト低減ができる。尚、本体121の背面に肉盗み部721sを設けると、本体1の軽量化をより図ることができる。
【0093】
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。例えば、押圧部の押圧方向は3方向以上でもよい。又、本発明は、可変ストロークレシオタイプの電動式パワーステアリング装置に限らず、一定ストロークレシオタイプの電動式パワーステアリング装置、コラムアシストタイプ、ピニオンアシストタイプ或いはラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置にも好適である。
【0094】
【発明の効果】
第1の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしているので、前記転動体により前記ラック軸を低摩擦で支持できると共に、前記ラック軸の外周面に設けられた支持装置案内面を、前記転動体で押圧することで、異なる2方向から前記ラック軸の支持を行うことができ、従って、ラック軸の軸線とピニオンの軸線とが90度以外の角度で交差することにより、動作時に回転トルクが発生するラック軸を支持するのに好適な構成となっている。又、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心よりシフト(オフセット)しているので、ラック軸の回転を阻止出来、円滑な噛み合い状態を維持でき、かつ前記押圧力の合力により、安定した状態で前記ラック歯を前記ピニオン歯に対して押圧することができる。
【0095】
第2の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を備えているので、前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換するので、動作時に本来的に生じるラック軸の軸線周りの回転トルクを、前記支持装置案内面に異なる方向から当接する前記転動体により受けることができ、よって前記ラック軸の円滑な軸線方向移動を確保しつつ、適切に支持することができる。
【0096】
第3の本発明の電動式パワーステアリング装置は、電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、ハウジングと、ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有するので、前記付勢手段により、前記他端のみを適切な押圧力で付勢することにより、前記転動体を揺動させながら前記支持装置案内面に対して押圧させることができるため、簡素な構成で円滑な動作を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図2】第2の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図3】従来技術にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の断面図である。
【図4】第3の実施の形態にかかるラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置の部分省略断面図である。
【図5】図4の構成を入力軸202の軸線方向に切断して示す断面図である。
【図6】第4の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図7】第5の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図8】第6の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の図5と同様な断面図である。
【図9】第7の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置を示す図である。
【図10】第8の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置を示す図である。
【図11】ラックアシストタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した第9の実施の形態にかかるラックアンドピニオン式ステアリング装置の図9(a)と同様な図である。
【図12】第9の実施の形態における図1と同様な断面図である。
【図13】第10の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図14】第11の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図15】第12の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図16】第13の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の、図2と同様な断面図である。
【図17】図1,2の実施の形態にかかる本体の組み付け手順を示す図である。
【図18】図17(a)の構成を矢印XVIII方向に見た図である。
【図19】図15,16の実施の形態にかかる本体の組み付け手順を示す図である。
【図20】図19(a)の構成を矢印XX方向に見た図である。
【図21】図19(a)の構成を矢印XXI方向に見た図である。
【図22】図19(a)の構成を矢印XXII方向に見た図である。
【図23】図22の本体をXXIII−XXIII線で切断して矢印方向に見た図である。
【符号の説明】
1、101、201,501 ハウジング
3,103、203、503 出力軸
10,110、210、510、610 ラック軸
20,120、320,420,520 支持装置
23,123、223,523、723 円筒ローラ
Claims (8)
- 電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸の軸線と、前記ピニオンの軸線とは、90度以外の角度で交差しており、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を有し、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。 - 電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯とネジ部を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、
前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置と、
前記電動モータの回転力を前記ネジ部に螺合したナットを用いて、前記ラック軸の推力に変換する変換部材とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体を備え、前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。 - 電動モータにより補助操舵力を出力可能となっている電動式パワーステアリング装置において、
ハウジングと、
ラック歯を備え、前記ハウジングに対して移動自在となっているラック軸と、前記ラック歯に噛合するピニオン歯を備え、ステアリングホイールからの操舵力をラック軸に伝達するピニオンと、
前記ハウジングに設けられ、前記ラック軸を支持する支持装置とを有し、
前記ラック軸は、外周面の少なくとも2カ所に長手方向に延在する支持装置案内面を有し、
前記支持装置は、前記ラック軸を長手方向に見た場合において、各支持装置案内面を互いに交差する方向に沿って押圧しながら転動する転動体と、一端を前記ハウジングに対して揺動自在に支承され且つ前記転動体を回転自在に支持する軸部材と、前記軸部材の他端を付勢することで、前記転動体を前記ラック軸の支持装置案内面に向かって押圧するようになっている付勢手段とを有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。 - 前記付勢手段は、各軸部材の他端に当接する押圧部と、前記押圧部を弾性的に付勢する弾性部材とを有することを特徴とする請求項3に記載の電動式パワーステアリング装置。
- 前記転動体から前記支持装置案内面に付与される押圧力の方向をそれぞれ線で示したときに、前記線の交点は、前記ラック軸の中心からシフトしていることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の電動式パワーステアリング装置。
- 前記ラック軸は、前記転動体の位置を規制する位置規制部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電動式パワーステアリング装置。
- 前記転動体の少なくとも一方の端面に、外向きの円錐面を形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動式パワーステアリング装置。
- 前記支持装置の、少なくとも前記転動体を支持する部位は、型転写加工により形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電動式パワーステアリング装置。
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- 2002-12-03 JP JP2002351753A patent/JP2004001679A/ja active Pending
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