JP2004000164A - α−グルコシダーゼ阻害剤及び組成物 - Google Patents
α−グルコシダーゼ阻害剤及び組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】原料の調達手段や加工形態に限定されず、簡便に摂取することが可能であり、且つ安全性、有効性に優れたα−グルコシダーゼ阻害剤、又は該α−グルコシダーゼ阻害剤を含有する飲食品若しくは飼料を提供する。
【解決手段】ウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤、及び該α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤、及び該α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、飼料、医薬品等に適用することが可能な、ブナ科に属する植物であるウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤、及び該α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料に関するものである。さらに詳しくは、食後の急激な血糖上昇を抑制及び遅延させる効果を有するα−グルコシダーゼ阻害剤、並びに飲食品又は飼料及び組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼ阻害剤は、食後の急激な血糖上昇を遅延させる作用があることが知られており、その結果過血糖症状及び過血糖に起因する糖尿病や肥満症、脂肪過多症等を予防・治療することが可能なものとして注目されている。その作用機序は、経口摂取した飲食品中の二糖類(スクロース、マルトース、イソマルトース、トレハロース等)を、単糖(グルコース、ガラクトース等)へ分解するα−グルコシダーゼを阻害することにある。すなわち、二糖類から単糖への分解が緩慢に起こるので、腸管より単糖の吸収が遅延し、血糖の上昇が抑制されるのである。
【0003】
現在までに、α−グルコシダーゼ阻害剤としてボグリボース(武田薬品)、アカルボース(バイエル薬品)等が知られている。これらの化合物は、動物試験や臨床試験において食後の血糖値の上昇抑制効果が確認されており、抗糖尿病、及び抗肥満への有効性が報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0004】
一方、食品成分に由来するα−グルコシダーゼ阻害剤としては、食用きのこを有効成分としたα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献1を参照。)、トウチの抽出物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献2を参照。)等が開示されている。また、植物由来としてラフマ、ケイヒ、ユーカリ、ビワの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献3を参照。)が開示されている。
【0005】
ウラジロガシ(Quercus salicina)はブナ(Fagaceae)科に属する常緑樹であり、日本では四国や九州地方等に自生している。ウラジロガシの浸出液には、結石形成を抑制する作用や排石促進効果が報告されており、古くから健康茶(排石茶)として飲用されている。しかしながら、従来、ブナ科の植物であるウラジロガシの抽出物にα−グルコシダーゼ阻害作用を有することは知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−63281号公報
【特許文献2】
特開2001−10965号公報
【特許文献3】
特開2001−163795号公報
【0007】
【非特許文献1】
日本農芸化学会誌、第63巻、1989年、第217ページ
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、現在までに多くのα−グルコシダーゼ阻害剤が開発されてきた。しかし、食品成分や植物由来のものにおいて、食品や医薬品等へ適応するためには、原料の調達手段や加工形態の確立、摂取方法や安全性等において実用化へ向けた課題も多く、これらの問題点は未だ解決されていないのが現状であった。
【0009】
本発明者等は、糖質分解消化酵素のひとつであるα−グルコシダーゼを効果的に阻害し、人体に副作用を有さない新規なα−グルコシダーゼ阻害物質を見出すべく鋭意研究を行った結果、ブナ科の植物であるウラジロガシの抽出物に強いα−グルコシダーゼ阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、原料の調達手段や加工形態に限定されず、簡便に摂取可能であり、且つ安全性が高く、有効性に優れたウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、摂食後の血糖値上昇を抑制又は遅延させることが可能な前記α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、ウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤であって、該ウラジロガシの抽出物を0.01質量%以上含有することを望ましい態様としている。
【0013】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、前記第一の発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品である。
【0014】
前記課題を解決する本発明の第三の発明は、前記第一の発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飼料である。
【0015】
前記課題を解決する本発明の第四の発明は、ウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物であって、該ウラジロガシの抽出物を0.1質量%以上含有することを望ましい態様としている。また、前記α−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は飲食品であることも望ましい態様としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0017】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、ブナ科に属する植物であるウラジロガシの抽出物を有効成分としており、ウラジロガシ以外のブナ科の植物であるシラカシ、コナラ等も本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として利用することが可能である。本発明に使用されるウラジロガシはブナ科コナラ属の植物であり、本州東北地方以南、四国、九州、沖縄等、国内に広く分布しているため、容易にしかも安価に入手することができる。また、ウラジロガシの浸出液は、結石形成を抑制する作用や排石促進効果が報告されており、古くから健康茶(排石茶)として飲用されていることから安全性が高い。
【0018】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤における有効成分は、前記ブナ科の植物であるウラジロガシを抽出処理して得られる抽出物である。前記抽出物の原料となるウラジロガシを使用する場合は、その枝、葉、根茎、木皮、樹、芽等の粗切り物を使用することができ、特に生葉又はその乾燥物の粗切り物を使用することが好ましい。また、風味を改善するために、ウラジロガシの枝、葉、根茎、木皮、樹、芽等を乾燥後、焙煎したものを原料として使用してもよい。
【0019】
本発明において抽出物とは、植物を極性又は非極性溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液、濃縮液、エキス又は乾燥物を意味する。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、水等を適宜選択して使用することができるが、抽出後の使用における安全性及び便宜の観点からはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、又は水が好ましい。
【0020】
本発明の抽出物は、例えば、原料である植物又はその乾燥物を裁断、破砕、粉砕し、これに極性又は非極性溶媒を加える。原料に対する極性又は非極性溶媒の使用量は、溶媒の種類、抽出温度及び抽出時間により異なるが、一般的には、該原料100質量部に対して極性又は非極性溶媒を200〜100,000質量部の割合で添加、好ましくは500〜2,000質量部の割合で添加し、極性又は非極性溶媒の沸点程度の温度にて還流下、5分〜12時間加熱する方法により抽出することができる。抽出温度は、格段の制限はなく、実用に供せられ得る範囲、すなわち、水を使用して抽出する場合、通常4〜130℃の範囲から選択される。尚、これとは別に、前記原料を水及び/又は有機溶媒中に沸点以下の温度で5分〜2週間浸漬させる方法、又は加圧下、即ち、0.1MPaから0.18MPaの範囲で5分〜3時間加熱する方法等により抽出することも可能である。抽出後、濾過、遠心分離等の操作を行い不溶物を除き、必要に応じて希釈、濾過、濃縮操作を行うことにより目的とする抽出物を得ることができる。必要ならば、不溶物を前記と同様の操作により抽出し、その抽出液を合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明の抽出物は、そのままでも使用することができるが、適当な溶媒で希釈又は濃縮することもでき、単独あるいは適当な担体とともに噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥等の公知の方法により粉末状とするか、慣用の添加剤を用いることにより液剤、錠剤若しくは顆粒剤等にして使用することができる。
【0022】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、薬剤として使用する場合、水、エタノール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール等の液状担体や、澱粉、セルロース、乳糖等の固体担体等の無毒性担体で希釈して顆粒剤、錠剤(タブレット)、丸剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤、ドリンク剤等の形態にすることができる。また、前記方法によって得られた抽出物の他に必要に応じて、甘味剤、保存剤、分散剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、ビタミン類、界面活性剤、賦形剤等を適宜配合することができる。更に、その他の公知のα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質、又はα−グルコシダーゼ阻害剤であるボグリボース又はアカルボース等と併用して使用することも可能である。
【0023】
尚、α−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分である前記抽出物は、α−グルコシダーゼ阻害剤に対して0.01質量%以上、特に0.1質量%以上の割合で含有していることが好ましい。本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、食前又は食間に服用することによって、喫食後の急激な血糖値の上昇を抑制又は遅延させることができる。
【0024】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品は、α−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分であるウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有していれば、その形態に特に制限されることはなく、飲料、固形食品、クリーム状又はジャム状の半流動食品、ゲル状食品等あらゆる食品形態に加工することが可能である。例えば、常用されている任意の基材を用いた惣菜、パン、パスタ、麺、ふりかけ、しゅうまい、調味料、ソース等、タブレット状及び液状の健康食品等、流動食、経腸栄養食品等に配合することができる。
【0025】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飼料は、その目的に応じて通常用いられる各種成分とともに本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分であるウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有させることにより製造することができ、例えば、家畜飼料やペットフード等とすることが可能である。
【0026】
本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、具体的には飲食品を例示することが可能であって、甘味飲食品等、特に血糖値が高い人や太り気味の人向けの甘味ダイエット飲食品〔菓子類(ビスケット、チューインガム、チョコレート、キャンディー等)、氷菓子(アイスクリーム等)、清涼飲料、ジュース、コーヒー、リキュール、乳飲料、乳酸菌飲料、シロップ、ジャム、グミ、ゼリー、ヨーグルト、プディング〕や健康食品等として、血糖値の急激な上昇を心配せずに飲食することができる。また、糖尿病の予備軍といわれるようなに人にも、食事の制限をあまり気にすることなく甘味飲食品等を飲食する場合に好適に利用することができる。尚、本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、ウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有していることが好ましい。また、糖類の含量は特に限定されず、一般的な甘味飲食品や甘さひかえめと表示されるような飲食品等に含有されている糖分(例えば、スクロース、マルトース、イソマルトース、トレハロース等を例示することができる。)含量を含んでいればよく、食品の甘さの程度に応じて自由に設定することができる。
【0027】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、食前又は食間に摂取することによって血糖値の急激な上昇を抑制し、且つ遅延させる効果も併せ持っているので、インスリンの過剰な分泌を抑制することが可能である。食後の過剰なインスリン分泌は内臓脂肪の蓄積を促進して肥満の原因となり、肥満はインスリン抵抗性を増大させて、結果として糖尿病を引き起こすとされている。本発明のウラジロガシ抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤は、糖質の消化吸収を遅延することにより食後の急激な血糖上昇を抑制しつつインスリンの分泌も抑制することで、糖尿病の予防に有効である。尚、本発明において血糖値の上昇を遅延させる効果とは、一般的に飲食後10〜90分以内に見られる血糖値が最大となる時間を10〜60分間遅延させる効果を意味する。したがって、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、食後の血糖値の上昇を抑制する作用を有する飲食品等の他に、食後の血糖値の上昇を遅延させる作用を有する飲食品等としても有用的である。
【0028】
本発明におけるα−グルコシダーゼ阻害活性測定は、ブナ科の植物の抽出物を用いて、基質としてマルトース、スクロース等を使用し、抽出物とラット小腸粗酵素液を反応させ、生じたグルコース量をグルコースオキシダーゼを用いた酵素法により定量する方法を用いることができる。酵素液にはラット小腸由来のものを使用したが、豚、牛由来のものでもよい。尚、本法はα−グルコシダーゼ阻害活性試験として一般的に用いられている方法であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤による血糖値上昇抑制・遅延作用は、日本栄養・食糧学会誌、第54巻、第3号、2001年、p.131−137に記載の各種糖質負荷後の血糖値上昇抑制作用の検討方法と同様の方法に基づいた試験を行うことによって評価した。
【0030】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本試験は、ウラジロガシの抽出物のα−グルコシダーゼ阻害作用を検討するために行った。
(1)試料の調製
a)試料溶液
後記する実施例1で製造したウラジロガシ抽出物を用いて、0.5mg/ml、2.0mg/ml、8.0mg/mlとなるように蒸留水を添加して試料溶液を調製して試験試料1〜3とした。対照試料は蒸留水を用いた。
b)酵素溶液
ラット小腸アセトン粉末(シグマ社製)を生理食塩水(大塚製薬社製)にて100mg/mlに溶解し、超音波処理(60秒、3回)した後、3000rpmで30分間遠心分離して上清を回収した。これを0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)で10倍希釈して酵素溶液を調製した。
c)基質溶液
マルトース、スクロースをそれぞれ22mM、292mMとなるように0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)で溶解したものを使用した。
【0031】
(2)試験方法
50μlの試験試料1〜3、及び50μlの対照試料に、それぞれに酵素溶液を50μl添加し、37℃で5分間反応させた後、マルトース溶液をそれぞれに50μl添加し、さらに37℃で30分間反応を行った。生成したグルコース量はグルコースBテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定し、下記の式からα−グルコシダーゼ阻害活性を算出した。また、基質溶液をスクロース溶液に代えて、同様の方法によりα−グルコシダーゼ阻害活性を測定した。尚、酵素溶液を0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に変更して、試験試料1〜3及び対照試料のブランク試験を行った。
【0032】
〔α−グルコシダーゼ阻害活性の算出方法〕
阻害活性率(%)=[(A−B)−(C−D)]/(A−B)×100
A:対照試料溶液の吸光度
B:対照試料溶液のブランクの吸光度
C:試験試料溶液の吸光度
D:試験試料溶液のブランクの吸光度
【0033】
(3)試験結果
本試験の結果を表1及び表2に示す。表1はウラジロガシ抽出物のマルターゼ阻害作用及びスクラーゼ阻害作用を示した表である。表2はウラジロガシ抽出物のマルターゼ及びスクラーゼに対する50%阻害活性濃度(IC50:mg/ml)を示した表である。表1から明らかなとおり、ウラジロガシ抽出物は、マルターゼ及びスクラーゼのどちらの酵素活性も阻害することが確認された。また、表2から明らかなとおり、ウラジロガシ抽出物のマルターゼ及びスクラーゼに対する50%阻害活性濃度は、それぞれ0.83mg/ml及び0.63mg/mlであった。以上の結果から、ウラジロガシ抽出物は、マルターゼ及びスクラーゼの酵素活性を効果的に抑制するα−グルコシダーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
[試験例2]
本試験は、糖質負荷後による本発明の有効成分であるウラジロガシ抽出物の血糖値上昇抑制・遅延効果を検討するために行った。
(1)試験動物
18時間絶食した6週齢のSD系雄性ラット(体重約200g)を各試験群当たり4匹ずつ4群に群分けして使用した。
【0037】
(2)試料の調製
ラット1匹あたりの経口投与量1.8ml中に、ラットの体重1kg当たり2.0gのスクロース(ナカライテスク社製)が投与されるように濃度を調整したスクロース水溶液を対照試料aとし、ラットの体重1kg当たり2.0gのスクロース及び1.0gのウラジロガシ抽出物(実施例1に基づいて製造したもの)が投与されるように濃度を調整したスクロース・ウラジロガシ抽出物水溶液を試験試料aとして調製した。これら対照試料a及び試験試料aを投与したラットの試験群をスクロース負荷試験群とした。
【0038】
同様にして、ラット1匹あたりの経口投与量1.8ml中に、ラットの体重1kg当たり1.0gの可溶性デンプン(和光純薬工業社製。商品名:でんぷん[溶性])が投与されるように濃度を調整した可溶性デンプン水溶液を対照試料bとし、ラットの体重1kg当たり1.0gの可溶性デンプン及び1.0gのウラジロガシ抽出物が投与されるように濃度を調整した可溶性デンプン・ウラジロガシ抽出物水溶液を試験試料bとして調製した。これら対照試料b及び試験試料bを投与したラットの試験群を可溶性デンプン負荷試験群とした。
【0039】
(3)試験方法
対照試料a、試験試料a、対照試料b、試験試料bを、それぞれ各群のラットに胃ゾンデを用いて経口投与し、投与前、投与後15分、30分、60分、120分にラットの尾静脈より採血し、試験例1と同様のグルコースオキシダーゼ法により血糖値を測定した。
【0040】
(4)試験結果
本試験の結果は、図1及び図2に示すとおりである。図1はスクロース負荷試験群におけるウラジロガシ抽出物による血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフであり、図中○は対照試料aの結果を示し、●は試験試料aの結果を示している。また、図2は可溶性デンプン負荷試験群におけるウラジロガシ抽出物による血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフであり、図中○は対照試料bの結果を示し、●は試験試料bの結果を示している。
【0041】
図1及び図2の結果より、スクロース負荷試験群又は可溶性デンプン負荷試験群のいずれの場合も、ウラジロガシ抽出物を含まない対照試料の経口投与により、投与後15〜30分で血糖値は急激に上昇することが確認された。これに対し、糖質と共にウラジロガシ抽出物を含む試験試料を経口投与した場合は、血糖値の急激な上昇は有意に抑制され、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間は対照試料を投与した場合に比して15〜30分遅延することが判明した。したがって、本発明の有効成分であるウラジロガシ抽出物は、スクロースや可溶性デンプン等の糖質負荷後による血糖値の急激な上昇を抑制し、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間を遅延させることが明らかとなった。
【0042】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1
ウラジロガシの乾燥した小枝付き葉を粗切りした原料成分500gに、蒸留水を10kg添加し、沸点付近の温度で、10分間加熱処理してウラジロガシの抽出液を調製した。該抽出液について、膜濾過により不純物の除去を行った後、減圧濃縮し、続いて減圧乾燥してウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を製造した。
【0044】
実施例2
実施例1で製造したウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を使用して、一錠当たり下記の割合の各原料を常法により均一に混合し、造粒した後に乾燥して、打錠機にて打錠して錠剤を製造した。なお、ウラジロガシ以外の原料はいずれも市販品を用いた。
ウラジロガシ抽出物 50.0mg
結晶セルロース 236.0mg
タルク 11.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0045】
実施例3
実施例1で製造したウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を使用して、下記のビスケット、チョコレートを、下記の成分に従って常法により製造した。いずれの食品も異味を呈さず、α−グルコシダーゼ阻害作用を有することが確認された。
(1)ビスケット
ウラジロガシ抽出物 10質量部
砂糖 200質量部
無塩バター 145質量部
全卵 145質量部
小麦粉 500質量部
フレーバー 適量
(2)チョコレート
ウラジロガシ抽出物 10質量部
カカオマス 450質量部
砂糖 430質量部
カカオバター 110質量部
レシチン 適量
フレーバー 適量
【0046】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明はα−グルコシダーゼ阻害剤及び組成物に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)本発明の有効成分であるウラジロガシの抽出物は、安全性が高く、α−グルコシダーゼを効果的に阻害する。
(2)本発明の有効成分であるウラジロガシの抽出物は、添加剤として、食品、飼料、及び医薬品等に配合することが可能である。
(3)本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、飲食品等に配合して摂取した場合、摂取後の血糖値の上昇を抑制し、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間を遅延させることが可能であるので、糖尿病の予防に有効である。
(4)本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有する飲食品は、血糖値が高い人や太り気味の人向けの甘味ダイエット飲食品又は健康食品等として有用的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スクロース負荷試験群におけるウラジロガシの抽出物の血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフである。
【図2】図2は、可溶性デンプン負荷試験群におけるウラジロガシの抽出物の血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、飼料、医薬品等に適用することが可能な、ブナ科に属する植物であるウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤、及び該α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料に関するものである。さらに詳しくは、食後の急激な血糖上昇を抑制及び遅延させる効果を有するα−グルコシダーゼ阻害剤、並びに飲食品又は飼料及び組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼ阻害剤は、食後の急激な血糖上昇を遅延させる作用があることが知られており、その結果過血糖症状及び過血糖に起因する糖尿病や肥満症、脂肪過多症等を予防・治療することが可能なものとして注目されている。その作用機序は、経口摂取した飲食品中の二糖類(スクロース、マルトース、イソマルトース、トレハロース等)を、単糖(グルコース、ガラクトース等)へ分解するα−グルコシダーゼを阻害することにある。すなわち、二糖類から単糖への分解が緩慢に起こるので、腸管より単糖の吸収が遅延し、血糖の上昇が抑制されるのである。
【0003】
現在までに、α−グルコシダーゼ阻害剤としてボグリボース(武田薬品)、アカルボース(バイエル薬品)等が知られている。これらの化合物は、動物試験や臨床試験において食後の血糖値の上昇抑制効果が確認されており、抗糖尿病、及び抗肥満への有効性が報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0004】
一方、食品成分に由来するα−グルコシダーゼ阻害剤としては、食用きのこを有効成分としたα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献1を参照。)、トウチの抽出物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献2を参照。)等が開示されている。また、植物由来としてラフマ、ケイヒ、ユーカリ、ビワの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、特許文献3を参照。)が開示されている。
【0005】
ウラジロガシ(Quercus salicina)はブナ(Fagaceae)科に属する常緑樹であり、日本では四国や九州地方等に自生している。ウラジロガシの浸出液には、結石形成を抑制する作用や排石促進効果が報告されており、古くから健康茶(排石茶)として飲用されている。しかしながら、従来、ブナ科の植物であるウラジロガシの抽出物にα−グルコシダーゼ阻害作用を有することは知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−63281号公報
【特許文献2】
特開2001−10965号公報
【特許文献3】
特開2001−163795号公報
【0007】
【非特許文献1】
日本農芸化学会誌、第63巻、1989年、第217ページ
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、現在までに多くのα−グルコシダーゼ阻害剤が開発されてきた。しかし、食品成分や植物由来のものにおいて、食品や医薬品等へ適応するためには、原料の調達手段や加工形態の確立、摂取方法や安全性等において実用化へ向けた課題も多く、これらの問題点は未だ解決されていないのが現状であった。
【0009】
本発明者等は、糖質分解消化酵素のひとつであるα−グルコシダーゼを効果的に阻害し、人体に副作用を有さない新規なα−グルコシダーゼ阻害物質を見出すべく鋭意研究を行った結果、ブナ科の植物であるウラジロガシの抽出物に強いα−グルコシダーゼ阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、原料の調達手段や加工形態に限定されず、簡便に摂取可能であり、且つ安全性が高く、有効性に優れたウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、摂食後の血糖値上昇を抑制又は遅延させることが可能な前記α−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品又は飼料、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、ウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤であって、該ウラジロガシの抽出物を0.01質量%以上含有することを望ましい態様としている。
【0013】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、前記第一の発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品である。
【0014】
前記課題を解決する本発明の第三の発明は、前記第一の発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飼料である。
【0015】
前記課題を解決する本発明の第四の発明は、ウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物であって、該ウラジロガシの抽出物を0.1質量%以上含有することを望ましい態様としている。また、前記α−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は飲食品であることも望ましい態様としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0017】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、ブナ科に属する植物であるウラジロガシの抽出物を有効成分としており、ウラジロガシ以外のブナ科の植物であるシラカシ、コナラ等も本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として利用することが可能である。本発明に使用されるウラジロガシはブナ科コナラ属の植物であり、本州東北地方以南、四国、九州、沖縄等、国内に広く分布しているため、容易にしかも安価に入手することができる。また、ウラジロガシの浸出液は、結石形成を抑制する作用や排石促進効果が報告されており、古くから健康茶(排石茶)として飲用されていることから安全性が高い。
【0018】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤における有効成分は、前記ブナ科の植物であるウラジロガシを抽出処理して得られる抽出物である。前記抽出物の原料となるウラジロガシを使用する場合は、その枝、葉、根茎、木皮、樹、芽等の粗切り物を使用することができ、特に生葉又はその乾燥物の粗切り物を使用することが好ましい。また、風味を改善するために、ウラジロガシの枝、葉、根茎、木皮、樹、芽等を乾燥後、焙煎したものを原料として使用してもよい。
【0019】
本発明において抽出物とは、植物を極性又は非極性溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液、濃縮液、エキス又は乾燥物を意味する。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、水等を適宜選択して使用することができるが、抽出後の使用における安全性及び便宜の観点からはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、又は水が好ましい。
【0020】
本発明の抽出物は、例えば、原料である植物又はその乾燥物を裁断、破砕、粉砕し、これに極性又は非極性溶媒を加える。原料に対する極性又は非極性溶媒の使用量は、溶媒の種類、抽出温度及び抽出時間により異なるが、一般的には、該原料100質量部に対して極性又は非極性溶媒を200〜100,000質量部の割合で添加、好ましくは500〜2,000質量部の割合で添加し、極性又は非極性溶媒の沸点程度の温度にて還流下、5分〜12時間加熱する方法により抽出することができる。抽出温度は、格段の制限はなく、実用に供せられ得る範囲、すなわち、水を使用して抽出する場合、通常4〜130℃の範囲から選択される。尚、これとは別に、前記原料を水及び/又は有機溶媒中に沸点以下の温度で5分〜2週間浸漬させる方法、又は加圧下、即ち、0.1MPaから0.18MPaの範囲で5分〜3時間加熱する方法等により抽出することも可能である。抽出後、濾過、遠心分離等の操作を行い不溶物を除き、必要に応じて希釈、濾過、濃縮操作を行うことにより目的とする抽出物を得ることができる。必要ならば、不溶物を前記と同様の操作により抽出し、その抽出液を合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明の抽出物は、そのままでも使用することができるが、適当な溶媒で希釈又は濃縮することもでき、単独あるいは適当な担体とともに噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥等の公知の方法により粉末状とするか、慣用の添加剤を用いることにより液剤、錠剤若しくは顆粒剤等にして使用することができる。
【0022】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、薬剤として使用する場合、水、エタノール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール等の液状担体や、澱粉、セルロース、乳糖等の固体担体等の無毒性担体で希釈して顆粒剤、錠剤(タブレット)、丸剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤、ドリンク剤等の形態にすることができる。また、前記方法によって得られた抽出物の他に必要に応じて、甘味剤、保存剤、分散剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、ビタミン類、界面活性剤、賦形剤等を適宜配合することができる。更に、その他の公知のα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質、又はα−グルコシダーゼ阻害剤であるボグリボース又はアカルボース等と併用して使用することも可能である。
【0023】
尚、α−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分である前記抽出物は、α−グルコシダーゼ阻害剤に対して0.01質量%以上、特に0.1質量%以上の割合で含有していることが好ましい。本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、食前又は食間に服用することによって、喫食後の急激な血糖値の上昇を抑制又は遅延させることができる。
【0024】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品は、α−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分であるウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有していれば、その形態に特に制限されることはなく、飲料、固形食品、クリーム状又はジャム状の半流動食品、ゲル状食品等あらゆる食品形態に加工することが可能である。例えば、常用されている任意の基材を用いた惣菜、パン、パスタ、麺、ふりかけ、しゅうまい、調味料、ソース等、タブレット状及び液状の健康食品等、流動食、経腸栄養食品等に配合することができる。
【0025】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飼料は、その目的に応じて通常用いられる各種成分とともに本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分であるウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有させることにより製造することができ、例えば、家畜飼料やペットフード等とすることが可能である。
【0026】
本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、具体的には飲食品を例示することが可能であって、甘味飲食品等、特に血糖値が高い人や太り気味の人向けの甘味ダイエット飲食品〔菓子類(ビスケット、チューインガム、チョコレート、キャンディー等)、氷菓子(アイスクリーム等)、清涼飲料、ジュース、コーヒー、リキュール、乳飲料、乳酸菌飲料、シロップ、ジャム、グミ、ゼリー、ヨーグルト、プディング〕や健康食品等として、血糖値の急激な上昇を心配せずに飲食することができる。また、糖尿病の予備軍といわれるようなに人にも、食事の制限をあまり気にすることなく甘味飲食品等を飲食する場合に好適に利用することができる。尚、本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、ウラジロガシ抽出物を0.1質量%以上含有していることが好ましい。また、糖類の含量は特に限定されず、一般的な甘味飲食品や甘さひかえめと表示されるような飲食品等に含有されている糖分(例えば、スクロース、マルトース、イソマルトース、トレハロース等を例示することができる。)含量を含んでいればよく、食品の甘さの程度に応じて自由に設定することができる。
【0027】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、食前又は食間に摂取することによって血糖値の急激な上昇を抑制し、且つ遅延させる効果も併せ持っているので、インスリンの過剰な分泌を抑制することが可能である。食後の過剰なインスリン分泌は内臓脂肪の蓄積を促進して肥満の原因となり、肥満はインスリン抵抗性を増大させて、結果として糖尿病を引き起こすとされている。本発明のウラジロガシ抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤は、糖質の消化吸収を遅延することにより食後の急激な血糖上昇を抑制しつつインスリンの分泌も抑制することで、糖尿病の予防に有効である。尚、本発明において血糖値の上昇を遅延させる効果とは、一般的に飲食後10〜90分以内に見られる血糖値が最大となる時間を10〜60分間遅延させる効果を意味する。したがって、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品、並びにウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物は、食後の血糖値の上昇を抑制する作用を有する飲食品等の他に、食後の血糖値の上昇を遅延させる作用を有する飲食品等としても有用的である。
【0028】
本発明におけるα−グルコシダーゼ阻害活性測定は、ブナ科の植物の抽出物を用いて、基質としてマルトース、スクロース等を使用し、抽出物とラット小腸粗酵素液を反応させ、生じたグルコース量をグルコースオキシダーゼを用いた酵素法により定量する方法を用いることができる。酵素液にはラット小腸由来のものを使用したが、豚、牛由来のものでもよい。尚、本法はα−グルコシダーゼ阻害活性試験として一般的に用いられている方法であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤による血糖値上昇抑制・遅延作用は、日本栄養・食糧学会誌、第54巻、第3号、2001年、p.131−137に記載の各種糖質負荷後の血糖値上昇抑制作用の検討方法と同様の方法に基づいた試験を行うことによって評価した。
【0030】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本試験は、ウラジロガシの抽出物のα−グルコシダーゼ阻害作用を検討するために行った。
(1)試料の調製
a)試料溶液
後記する実施例1で製造したウラジロガシ抽出物を用いて、0.5mg/ml、2.0mg/ml、8.0mg/mlとなるように蒸留水を添加して試料溶液を調製して試験試料1〜3とした。対照試料は蒸留水を用いた。
b)酵素溶液
ラット小腸アセトン粉末(シグマ社製)を生理食塩水(大塚製薬社製)にて100mg/mlに溶解し、超音波処理(60秒、3回)した後、3000rpmで30分間遠心分離して上清を回収した。これを0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)で10倍希釈して酵素溶液を調製した。
c)基質溶液
マルトース、スクロースをそれぞれ22mM、292mMとなるように0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)で溶解したものを使用した。
【0031】
(2)試験方法
50μlの試験試料1〜3、及び50μlの対照試料に、それぞれに酵素溶液を50μl添加し、37℃で5分間反応させた後、マルトース溶液をそれぞれに50μl添加し、さらに37℃で30分間反応を行った。生成したグルコース量はグルコースBテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定し、下記の式からα−グルコシダーゼ阻害活性を算出した。また、基質溶液をスクロース溶液に代えて、同様の方法によりα−グルコシダーゼ阻害活性を測定した。尚、酵素溶液を0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に変更して、試験試料1〜3及び対照試料のブランク試験を行った。
【0032】
〔α−グルコシダーゼ阻害活性の算出方法〕
阻害活性率(%)=[(A−B)−(C−D)]/(A−B)×100
A:対照試料溶液の吸光度
B:対照試料溶液のブランクの吸光度
C:試験試料溶液の吸光度
D:試験試料溶液のブランクの吸光度
【0033】
(3)試験結果
本試験の結果を表1及び表2に示す。表1はウラジロガシ抽出物のマルターゼ阻害作用及びスクラーゼ阻害作用を示した表である。表2はウラジロガシ抽出物のマルターゼ及びスクラーゼに対する50%阻害活性濃度(IC50:mg/ml)を示した表である。表1から明らかなとおり、ウラジロガシ抽出物は、マルターゼ及びスクラーゼのどちらの酵素活性も阻害することが確認された。また、表2から明らかなとおり、ウラジロガシ抽出物のマルターゼ及びスクラーゼに対する50%阻害活性濃度は、それぞれ0.83mg/ml及び0.63mg/mlであった。以上の結果から、ウラジロガシ抽出物は、マルターゼ及びスクラーゼの酵素活性を効果的に抑制するα−グルコシダーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
[試験例2]
本試験は、糖質負荷後による本発明の有効成分であるウラジロガシ抽出物の血糖値上昇抑制・遅延効果を検討するために行った。
(1)試験動物
18時間絶食した6週齢のSD系雄性ラット(体重約200g)を各試験群当たり4匹ずつ4群に群分けして使用した。
【0037】
(2)試料の調製
ラット1匹あたりの経口投与量1.8ml中に、ラットの体重1kg当たり2.0gのスクロース(ナカライテスク社製)が投与されるように濃度を調整したスクロース水溶液を対照試料aとし、ラットの体重1kg当たり2.0gのスクロース及び1.0gのウラジロガシ抽出物(実施例1に基づいて製造したもの)が投与されるように濃度を調整したスクロース・ウラジロガシ抽出物水溶液を試験試料aとして調製した。これら対照試料a及び試験試料aを投与したラットの試験群をスクロース負荷試験群とした。
【0038】
同様にして、ラット1匹あたりの経口投与量1.8ml中に、ラットの体重1kg当たり1.0gの可溶性デンプン(和光純薬工業社製。商品名:でんぷん[溶性])が投与されるように濃度を調整した可溶性デンプン水溶液を対照試料bとし、ラットの体重1kg当たり1.0gの可溶性デンプン及び1.0gのウラジロガシ抽出物が投与されるように濃度を調整した可溶性デンプン・ウラジロガシ抽出物水溶液を試験試料bとして調製した。これら対照試料b及び試験試料bを投与したラットの試験群を可溶性デンプン負荷試験群とした。
【0039】
(3)試験方法
対照試料a、試験試料a、対照試料b、試験試料bを、それぞれ各群のラットに胃ゾンデを用いて経口投与し、投与前、投与後15分、30分、60分、120分にラットの尾静脈より採血し、試験例1と同様のグルコースオキシダーゼ法により血糖値を測定した。
【0040】
(4)試験結果
本試験の結果は、図1及び図2に示すとおりである。図1はスクロース負荷試験群におけるウラジロガシ抽出物による血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフであり、図中○は対照試料aの結果を示し、●は試験試料aの結果を示している。また、図2は可溶性デンプン負荷試験群におけるウラジロガシ抽出物による血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフであり、図中○は対照試料bの結果を示し、●は試験試料bの結果を示している。
【0041】
図1及び図2の結果より、スクロース負荷試験群又は可溶性デンプン負荷試験群のいずれの場合も、ウラジロガシ抽出物を含まない対照試料の経口投与により、投与後15〜30分で血糖値は急激に上昇することが確認された。これに対し、糖質と共にウラジロガシ抽出物を含む試験試料を経口投与した場合は、血糖値の急激な上昇は有意に抑制され、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間は対照試料を投与した場合に比して15〜30分遅延することが判明した。したがって、本発明の有効成分であるウラジロガシ抽出物は、スクロースや可溶性デンプン等の糖質負荷後による血糖値の急激な上昇を抑制し、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間を遅延させることが明らかとなった。
【0042】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1
ウラジロガシの乾燥した小枝付き葉を粗切りした原料成分500gに、蒸留水を10kg添加し、沸点付近の温度で、10分間加熱処理してウラジロガシの抽出液を調製した。該抽出液について、膜濾過により不純物の除去を行った後、減圧濃縮し、続いて減圧乾燥してウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を製造した。
【0044】
実施例2
実施例1で製造したウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を使用して、一錠当たり下記の割合の各原料を常法により均一に混合し、造粒した後に乾燥して、打錠機にて打錠して錠剤を製造した。なお、ウラジロガシ以外の原料はいずれも市販品を用いた。
ウラジロガシ抽出物 50.0mg
結晶セルロース 236.0mg
タルク 11.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0045】
実施例3
実施例1で製造したウラジロガシ抽出粉末(抽出物)を使用して、下記のビスケット、チョコレートを、下記の成分に従って常法により製造した。いずれの食品も異味を呈さず、α−グルコシダーゼ阻害作用を有することが確認された。
(1)ビスケット
ウラジロガシ抽出物 10質量部
砂糖 200質量部
無塩バター 145質量部
全卵 145質量部
小麦粉 500質量部
フレーバー 適量
(2)チョコレート
ウラジロガシ抽出物 10質量部
カカオマス 450質量部
砂糖 430質量部
カカオバター 110質量部
レシチン 適量
フレーバー 適量
【0046】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明はα−グルコシダーゼ阻害剤及び組成物に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)本発明の有効成分であるウラジロガシの抽出物は、安全性が高く、α−グルコシダーゼを効果的に阻害する。
(2)本発明の有効成分であるウラジロガシの抽出物は、添加剤として、食品、飼料、及び医薬品等に配合することが可能である。
(3)本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、飲食品等に配合して摂取した場合、摂取後の血糖値の上昇を抑制し、且つ血糖値が最大値に到達するまでに要する時間を遅延させることが可能であるので、糖尿病の予防に有効である。
(4)本発明のウラジロガシの抽出物及び糖類を含有する飲食品は、血糖値が高い人や太り気味の人向けの甘味ダイエット飲食品又は健康食品等として有用的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スクロース負荷試験群におけるウラジロガシの抽出物の血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフである。
【図2】図2は、可溶性デンプン負荷試験群におけるウラジロガシの抽出物の血糖値上昇抑制・遅延作用を示したグラフである。
Claims (7)
- ウラジロガシの抽出物を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤。
- ウラジロガシの抽出物を0.01質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載のα−グルコシダーゼ阻害剤。
- 請求項1又は請求項2に記載のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飲食品。
- 請求項1又は請求項2に記載のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有してなる飼料。
- ウラジロガシの抽出物及び糖類を含有することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物。
- ウラジロガシの抽出物を0.1質量%以上含有することを特徴とする請求項5に記載のα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物。
- 組成物が飲食品である請求項5又は請求項6に記載のα−グルコシダーゼ阻害活性を有する組成物。
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