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JP2004099532A - オリゴヌクレオチド合成法 - Google Patents

オリゴヌクレオチド合成法 Download PDF

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JP2004099532A
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Mitsuo Sekine
関根 光雄
Akihiro Okubo
大窪 章寛
Koji Kiyoo
清尾 康志
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Sigma Genosys Japan KK
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Abstract

【課題】塩基部分の保護を必要とせずに、ホスホロアミダイド法において収率の高いオリゴヌクレオチドの合成方法を提供する。
【解決手段】合成促進剤として、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いる。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、オリゴヌクレオチドの合成法およびこれに用いる反応促進剤に関する。更に詳しくは、塩基部を保護することなく、収率の高いオリゴヌクレオチドを合成する方法およびこれに用いる反応促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAなどのオリゴヌクレオチドの合成法としては、現在ホスホロアミダイド法がよく用いられている。このホスホロアミダイド法は、ヌクレオチドの亜リン酸アミドを用いて、順次ヌクレオチドを付加していく反応を行うものであるが、反応に用いる各ヌクレオチドの塩基部分を適当な保護基を用いて保護する必要がある。
しかし、これらの塩基の保護および、反応後にこれらの保護基をはずすことにより、操作が煩雑となり、収率低下の要因ともなる。
【0003】
塩基の保護を必要としない反応としては、塩化ピリジニウムを促進剤として用いる方法や(非特許文献1参照)、イミダゾリニウムトリフレート(IMT)を用いる方法が知られている(非特許文献2参照)。
しかし、この方法では、副反応としてN−リン酸化反応が起こり、これを分解する工程が必要であるという問題があった。
【0004】
【非特許文献1】
グリャズノフ(Gryaznov,S.M.)、レチンガー(Letsinger,R.L.)著、「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc)(米国)、1991年、113巻、p.5876−5877
【非特許文献2】
早川(Hayakawa,Y)、片岡(Kataoka,M)著、「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc)(米国)、1998年、120巻、p.12395−12401
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩基部分の保護を必要としない、収率の高いオリゴヌクレオチドの合成方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の反応促進剤を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ホスホロアミダイド法によるオリゴヌクレオチドの合成において、反応促進剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの合成法に関するものである。
また、本発明は、ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドの塩基を保護しない上記合成法に関するものである。
また、本発明は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールからなるオリゴヌクレオチド合成反応促進剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法においては、液相または固相の反応系において、第1剤のヌクレオシドと第2剤(伸長剤)のヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドとを1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で反応させることによりカップリングさせて、第1剤の5’位と第2剤の3’位とをホスホジエステル結合により連結させる。次に、第2剤のヌクレオシドの5’位の保護基を除去した後に、上述と同様の工程により次のヌクレオシドをカップリングさせる。このようにして、オリゴヌクレオチド鎖を順次伸長させることができる。
【0008】
本発明に用いるヌクレオシド骨格しては、特に制限はないが、例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン、イノシン、キサントシンなどのリボヌクレオシド、2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシン、チミジン、2’−デオキシイノシン、2’−デオキシキサントシンなどの2’−デオキシリボヌクレオシド、2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルイノシン、2’−O−メチルキサントシン、2’−O−メトキシエチルアデノシン、2’−O−メトキシエチルグアノシン、2’−O−メトキシエチルシチジン、2’−O−メトキシエチルウリジン、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルキサントシンなどの2’−O−メトキシアルキルリボヌクレオシドなどを挙げることができる。好ましいヌクレオシド骨格としては、デオキシリボヌクレオシドが挙げられる。即ち、本発明は、好ましくは、DNAの合成法として用いることができる。
【0009】
これらのヌクレオシド骨格は、反応の目的にあわせて、5’位および3’位を適宜保護または活性化して用いられる。
即ち、液相反応において第1剤として用いる場合は、例えば、3’位をO−tert−ブチルジメチルシリル(OtBDMS)化し、固相反応において第1剤として用いる場合は、例えば、3’位をO−固体担体に結合するなどする。また、液相、固相いずれの反応においても、第2剤(伸長剤)として用いる場合は、例えば、3’位をO−ホスホルアミダイド化し、 5’位をジメトキシトリチル(DMTr)化して用いる。
【0010】
本発明に用いられる反応促進剤は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)であり、以下の構造のものであるが、本発明の効果を妨げない範囲であれば、置換基を有していても差し支えない。
【0011】
【化1】
Figure 2004099532
【0012】
本発明の合成法は、液相反応、固相反応のいずれにも用いることができる。
液相反応に用いる場合は、第1剤1当量に対して、第2剤(伸長剤)は一般的に0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2当量、さらに好ましくは1.1〜1.3当量が用いられ、HOBtは一般的に0.5〜5当量、好ましくは1〜3当量、より好ましくは1.5〜2.8当量、さらに好ましくは2〜2.5当量が用いられる。また、反応溶媒としては、通常用いられるものであれば、特に限定はないが、例えばアクリロニトリルなどを挙げることができる。また、伸長反応の後、ヨウ素等で酸化することにより、ホスホトリエステルとすることができる。
【0013】
固相反応に用いる場合は、第1剤1当量に対して、第2剤(伸長剤)は一般的に0.5〜30当量、好ましくは2〜20当量、より好ましくは5〜15、さらに好ましくは8〜12当量、HOBtは一般的に0.5〜40当量、好ましくは5〜35当量、より好ましくは10〜30当量、さらに好ましくは15〜25当量が用いられる。
【0014】
また、固相反応の伸長反応では、トリクロロ酢酸等による脱トリチル化、ジクロロメタン、アセトニトリル等による洗浄、HOBt存在下でのカップリング、アセトニトリル等による洗浄、ヨウ素等による酸化、ピリジン等による洗浄の工程を行う。ここで反応収率をあげるために、カップリングとその後の洗浄の工程を複数回、好ましくは2回行うことが望ましい。
【0015】
本発明の方法は、塩基部に保護基を必要とせずにオリゴヌクレオチドを合成できるものであるが、塩基部に保護基を導入して本方法を用いることも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
【0017】
<実施例1> N−無保護による d[TpA]誘導体4の液相合成
図1に示すように、チミジン3’−O−ホスホロアミダイド誘導体1(267mg、0.36mmol)および3’−O(tert−ブチルジメチルシリル)デオキシアデノシン2(109mg、0.3mmol)の混合物を乾燥ピリジン(x3)、乾燥トルエン(x3)、乾燥CHCCl(x3)により共沸を繰り返して無水物とし、乾燥CHCN(5mL)に溶解した。この混合物にHOBt(97mg、0.72mmol)を添加した。室温で5分間撹拌し、I(ピリジン−水、9:1、v/v、3mL)の1M溶液を混合物に添加した。室温で2分間撹拌した後、混合物をCHCl(50mL)と5%Na水溶液(30mL)に分けた。有機相を集めて、5%Na水溶液(30mL)で2回洗浄してろ過し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラム(10g)で、1%ピリジン含有ヘキサン−CHCl(50:50−0:100,v/v)、その後1%ピリジン含有CHCl−MeOH(100:0−97:3,v/v)でクロマトグラフし、誘導体4を含む分画を得た。
ピリジンの最後のトレースを取り除くため、分画を集め、減圧下で蒸発させ、最後にトルエンおよびCHClでそれぞれ3回共沸させ、誘導体4を得た(280mg、91%)。31PNMRおよびHPLCにより、N−リン酸化の副生成物が生成していないことを確認した。
H NMR(CDCl)δ0.11(s、6H),0.90(s,6H),1.40(s,3H),2.30−2.95(m,6H),3.28−3.47(m,2H),3.76(s,6H),4.01−4.30(m,6H),4.73(d,1H,J=2.4Hz),5.11(s,1H),6.33−6.52(m、4H),6.80(dd,4H,J=3.0Hz,J=9.0Hz)、7.23−7.33(m、9H),8.02(d,1H,J=2.7Hz),8.36(d,1H,J=4.59Hz):31PNMR(CDCl)δ−2.19、−1.84:13CNMR(CDCl)δ−4.7、−4.5、11.7、11.8、17.9、19.1、19.4、19.5、19.6、25.7、39.8、39.9、55.2、62.0、62.1、62.3、63.1、71.5、71.7、77.2、79.1、79.4、83.8、83.9、84.2、84.4、85.1、86.9、87.0、111.4、111.5、113.2、115.9、116.2、119.4、119.6、125.1、127.0、127.8、128.0、128.9、129.9、134.9、139.3、139.5、143.8、143.9、148.9、151.1、151.3、152.6、155.7、158.5、164.5、164.7:MS m/z M+Hの計算値;1025.3994、測定値;1025.3987。
【0018】
<実施例2> N−無保護による d[TpC]誘導体5の液相合成
同じく図1に示すように、チミジン3’−O−ホスホロアミダイド誘導体1(300mg、0.403mmol)および3’−O(tert−ブチルジメチルシリル)デオキシシチジン3(116mg、0.336mmol)の混合物を乾燥ピリジン(x3)、乾燥トルエン(x3)、乾燥CHCl(x3)により共沸を繰り返して無水物とし、乾燥CHCN(5mL)に溶解した。この混合物にHOBt(108mg、0.8mmol)を添加した。室温で5分間撹拌し、I(ピリジン−水、9:1、v/v、3mL)の1M溶液を混合物に添加した。室温で2分間撹拌した後、混合物をCHCl(50mL)と5%Na水溶液(30mL)に分けた。有機相を集めて、5%Na水溶液(30mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥してろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラム(10g)で、1%ピリジン含有ヘキサン−CHCl(50:50−0:100,v/v)、その後1%ピリジン含有CHCl−MeOH(100:0−97:3,v/v)でクロマトグラフし、誘導体5を含む分画を得た。ピリジンの最後のトレースを取り除くため、分画を集め、減圧下で蒸発させ、最後にトルエンおよびCHClでそれぞれ3回共沸させ、誘導体5を得た(309mg、92%)。31PNMRおよびHPLCにより、N−リン酸化の副生成物が生成していないことを確認した。
H NMR(CDCl)δ−0.11(s、6H),0.86(s,9H),1.29(s,3H),2.11−2.71(m,6H),3.33(d,1H,J=8.6Hz),3.45(d、1H,J=9.7Hz),3.67(s,6H),3.92(s,1H),4.13−4.23(m,5H),5.10−5.22(m,1H),5.92(dd,1H,J=7.1Hz,J=17.6Hz),6.15(m,1H),6.36(dd,1H,J=5.1Hz,J=8.9Hz),6.77(d,4H,J=8.9Hz),7.23−7.33(m,9H),7.47(s,1H),7.61(dd,1H,J=4.3Hz,J=7.3Hz);31PNMR(CDCl)δ−1.67、−1.58:13CNMR(CDCl)δ−4.8、−4.6、11.8、17.9、19.6、19.7、19.8、25.7、39.0、41.2、55.3、62.5、62.6、63.3、70.0、70.4、77.2、79.9、84.2、84.4、86.1、94.9、111.8、113.2、116.2、116.4、123.6、127.1、127.9、128.0、128.9、129.9、134.8、134.9、135.8、140.3、143.8、149.6、150.6、150.7、155.3、158.6、163.7、163.8、165.5:MS m/z M+Hの計算値;1001.3882、測定値;1001.3876。
【0019】
<実施例3>N−無保護によるd[ApT],d[CpT],d[GpT],TpTの固相合成
図2に概略を示すが、おのおのの鎖長の伸長反応は、次のように行った。
脱トリチル化:CHCl中の3%トリクロロ酢酸、2mL,1分間
洗浄:CHCl(1mLで3回)、CHCN(1mLで3回)
カップリング:CHCN(200μL)中の各ヌクレオチドのホスホルアミダイド(20μmol)、CHCN(200μL)中のHOBt(12.5mh、40μmol)で1分間
洗浄:CHCN(1mLで3回)
カップリング:CHCN(200μL)中の各ヌクレオチドのホスホルアミダイド(20μmol)、CHCN(200μL)中のHOBt(12.5mh、40μmol)で1分間
洗浄:CHCN(1mLで3回)
酸化:0.1MのI、ピリジン−水(9/1,v/v)、2分間
洗浄:ピリジン(1mLで3回)、CHCN(1mLで3回)、CHCl(1mLで3回)
鎖長の伸長反応の後、CHCl(2mL)中の3%トリクロロ酢酸で1分間処理することにより、DMTr基を除去し、樹脂をCHCl(1mLで3回)、CHCN(1mLで3回)で洗浄した。オリゴマーは、濃NH水溶液(500μL)で40分間処理し、脱保護とポリマー担体からの脱離を行った。ポリマー担体はろ過により取り除き、CHCN(1mLで3回)で洗浄した。ろ液を蒸発させ、逆相HPLCまたは陰イオン交換HPLCにより精製した。
d[ApT],d[CpT],d[GpT],TpTの収率は、それぞれ、92%、94%、90%、92%であった。
また、MSによる結果は、以下の通りであり、計算値とほぼ一致した。
d[ApT];計算値(M+H)556.1558、測定値556.1522
d[CpT];計算値(M+H)532.1445、測定値532.1443
d[GpT];計算値(M+H)572.1507、測定値572.1494
TpT;計算値(M+H)572.1441、測定値547.1439
また、図3のc〜fに示すように、N−リン酸化誘導体の副生成物は生成しなかった。
【0020】
<比較例1>IMTを用いたd[ApT]およびd[CpT]の固相合成。
実施例3と同様にHOBtのかわりにIMTを用いて合成を行ったところ、図3のa,bに示すように、デオキシアデノシンおよびデオキシシチジンのN−リン酸化誘導体が11%および8%の収率で生成した。
【0021】
<実施例4>オリゴヌクレオチドの固相合成
実施例3と同様にして、d[AAAAAAT](7量体)、d[CCCCCCT](7量体)、d[CAGTCAGTCAGT](12量体)を合成した。収率は、それぞれ、48%、67%、36%であり、これまでのものに比較して高い収率であった。
また、MSによる結果は、以下の通りであり、計算値とほぼ一致した。
d[AAAAAAT];計算値(M−H)2119.43、測定値2119.12
d[CCCCCCT];計算値(M−H)1975.36、測定値1975.22
d[CAGTCAGTCAGT];計算値(M−H)3643.65、測定値3642.62
さらに、得られたオリゴヌクレオチドを酵素により分解し、逆相HPLCにより各ヌクレオチド量を測定した結果は以下の通りであり、適性割合でヌクレオチドを有していることがわかった。
d[AAAAAAT];dA:T=6.00:0.97
d[CCCCCCT];dC:T=6.00:1.03
d[CAGTCAGTCAGT];dA:dG:dC:T=1.00:1.20:0.95:0.94
また、図4に示すようにN−リン酸化副生成物の生成が抑えられていることがわかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明により、N−保護を必要とせずに、収率の高いオリゴヌクレオチド合成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液相反応における本発明の例である。
【図2】図2は、固相反応における本発明の例である。
【図3】図3は、実施例3、比較例1の結果を示すHPLCチャートである。
【図4】図4は、実施例4の結果を示すHPLCチャートである。

Claims (4)

  1. ホスホロアミダイド法によるオリゴヌクレオチドの合成において、反応促進剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの合成法。
  2. ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドの塩基を保護しない請求項1記載の合成法。
  3. オリゴヌクレオチドがDNAである請求項1または2記載の合成法。
  4. 1−ヒドロキシベンゾトリアゾールからなるオリゴヌクレオチド合成反応促進剤。
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