JP2004090547A - Inkjet recording head, its manufacturing process and surface treating process, and inkjet printer - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマル方式のインクジェットプリンタに用いられるインクジェット記録ヘッド、特に、サーマル方式インクジェットプリンタに特有の問題であるコゲーションと呼ばれる現象の発生を大きく抑制できるインクジェット記録ヘッド、及びその製造方法並びにインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像処理などの分野において、ハードコピーのカラー化に対するニーズが高まっている。このようなニーズに対して、従来、昇華型熱転写記録方法、溶融熱転写記録方法、インクジェット記録方法、電子写真記録方法、熱現像銀塩記録方法等が提案されている。
【0003】
これらの方法のうちインクジェット記録方法に使用するインクジェットプリンタは、インクジェット記録ヘッドに並べて設けられたノズルから、インクの液滴を吐出して記録用紙などの記録媒体に着弾させることにより、ドットと呼ばれる点を形成し、文字や画像などを記録する方式のプリンタである。インクジェットプリンタは、他の記録方法に使用するプリンタと比較して、低コスト、高品質で、カラー化が容易であるという特長を有している。ここで、インクジェット記録方法で使用するインクは、水および水溶性有機溶剤を含有する溶媒中に、各種の水溶性の染料または顔料が溶解または分散されたものであり、必要に応じて界面活性剤などの添加剤などが添加されているものである。
【0004】
ところで、このインクジェットプリンタは、インクを液滴として吐出させる方式の相違によって、圧電素子を用いて吐出を行うピエゾ方式、ヒーターである発熱素子を用いてインクの吐出を行うサーマル方式などに分類される。
【0005】
これらの方式のうち、サーマル方式とは、インクジェット記録ヘッドに設けられたインク室のインクに対し局所的に加熱することにより気泡を発生させ、この気泡により、インク室中のインクをノズルと呼ばれる吐出口からインク液滴として飛翔させて記録媒体に着弾させて記録を行う方式である。このサーマル方式を適用したプリンタは、インク室中にインクを加熱する発熱素子を有しており、その発熱素子を駆動するロジック集積回路による駆動回路等を備えているインクジェット記録ヘッドを用いて構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェットプリンタの使用に伴い、染料の合成時に混入する金属イオンなどの不純物や染料の熱分解物などの異物が、発熱素子表面に堆積付着するコゲーション(kogation)と呼ばれる現象が発生するという問題がある。コゲーションが発生すると、発熱素子によるインクの局所的加熱が不十分となり、気泡の発生が阻害され、インクの吐出速度が低減し、インクの液滴の吐出が阻害されるという問題がある。
【0007】
コゲーションの発生防止のために、染料から金属イオン不純物を除去することも試みられているが、インクの構成材料である染料の熱分解を完全に無くすことはできないため、金属イオン不純物を高レベルで除去した精製インクを用いたとしても染料の分解物が発熱素子に堆積するという問題がある。
【0008】
このように、染料、水および有機溶剤からなる従来のインクジェット記録インクを使用する限り、コゲーションの発生を完全に防止することができないというのが現状である。
【0009】
本発明の目的は、従来の技術の課題を解決することであり、サーマル方式のインクジェットプリンタにおけるコゲーションの発生を大きく抑制して、ノズルからのインクの液滴の吐出を長期に渡り良好に維持できるインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インクジェット記録ヘッドの発熱素子の表面を特定の有機ホスホン酸化合物で表面処理することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、発熱素子からの熱でインク室内のインクを加熱することによりノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、該発熱素子が式(1)
【0012】
【化4】
の有機ホスホン酸化合物で表面処理されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッドを提供する。
【0013】
また、本発明は、発熱素子からの熱でインク室内のインクを加熱することによりノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドの当該インク室内に上述の式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液を導入し、その表面処理液に接触している発熱素子を加熱することにより有機ホスホン酸化合物で発熱素子の表面処理を行うことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、発熱素子からの熱でインク室内のインクを加熱することによりノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドの当該インク室内に、インクを充填する前に、上述の式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液を導入し、その表面処理液に接触している発熱素子を加熱することにより有機ホスホン酸化合物で発熱素子の表面処理を行うことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの表面処理方法を提供する。
【0015】
更に、本発明は、上述のインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、サーマル方式の本発明のインクジェット記録ヘッド1の一例を示す斜視図である。このインクジェット記録ヘッド1のヘッドフレーム2には、中央にスリット状のインク供給孔2aが形成されており、ヘッドフレーム2の一方の面には、Si基板で構成された複数個のヘッドチップ3が貼りつけられている。ヘッドチップ3は、ヘッドフレーム2上のインク供給孔2aの両側に配列されている。そして、図2に示すように、ヘッドチップ3上のインク供給孔2a側には、複数個の発熱素子3aが一列に配列され、反対側には、発熱素子3aに対応した接続端子3bが一列に配列されている。
【0018】
また、ヘッドチップ3上には、図3に示すように、複数個のインク室4aとインク流路4bを形成するためのインク室部材4を介して、複数個のノズル5aを有するノズルプレート5が配設されている。インク室部材4は、いわゆるドライフィルムフォトレジストなどの感光性樹脂により、各インク室4aがヘッドチップ3に配列された各発熱素子3aに対応し、かつ各インク流路4bが各インク室4aからヘッドチップ3の端部まで延びるように形成されている。
【0019】
ノズルプレート5は、ニッケルの電鋳等により作製され、インクによる腐食を防ぐため、通常は金あるいはパラジウムなどの耐蝕メッキがされており、インク供給孔2aを塞ぎ且つ各ノズル5aが各発熱素子3aに一対一で対応するように形成されており、従って、各インク室4aは、インク室部材4に形成されたインク流路4bおよびノズルプレート5に形成されたノズル5aに連通している。
【0020】
また、ヘッドフレーム2の他方の面には、フィルタ6を介してインクタンク7が貼り付けられている。フィルタ6は、インク供給孔2aを覆うように貼りつけられており、インクタンク7からゴミやインクの成分の凝集物などがノズル5a側に混入することを防止する役目を果たす。インクタンク7は、袋7aと外筐7bとの二重構造になっている。
【0021】
袋7aと外筐7bとの間には、袋7aを外側に広げるように働くバネ部材(図示せず)が入っている。これにより、インクには負圧が掛かるようになり、インクがノズル5aから自然に漏れ出すことを防止することができる。また、この負圧は、ノズル5aの毛細管力よりは小さくなるよう設定されているため、インクがノズル5aに引き込まれてしまうことを防止することができる。
【0022】
そして、ヘッドチップ3上からヘッドフレーム2の外側を通ってインクタンク7の外周面に至る部分には、いわゆるFPC(フレキシブルプリント基板)でなる電気配線8が貼りつけられている。電気配線8は、ヘッドチップ3に電源や電気信号を供給するものであり、ヘッドチップ3の接続端子3bに接続されている。
【0023】
また、発熱素子3aは、半導体形成のプロセスで広く使用されているスパッタリング法によりタンタル、タンタルアルミ、窒化チタンなどの抵抗材料を所定の基板上に堆積し、その上層にAl等の電極を形成した後、シリコン窒化膜などの保護層を作製して形成されたものである。インクジェット記録ヘッド1は、この保護層の上層にタンタル膜等による耐キャビテーション層、インク室4a、ノズル5aが形成され、これにより発熱素子3aの発熱によりインク室4aのインクを加熱できるように形成される。更にインクジェット記録ヘッド1は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型、バイポーラ型のトランジスタにより発熱素子3aに電力を供給できるように構成され、さらに所定の駆動回路により発熱素子3aに電力を供給できるように構成され、これらにより駆動してインク液滴を記録媒体に付着できるようになされている。
【0024】
以上説明した構成を有する本発明のインクジェット記録ヘッド1においては、発熱素子3aが、防錆効果を有する式(1)
【0025】
【化5】
の有機ホスホン酸化合物で表面処理されている。これにより、発熱素子3aの表面は、インクに含有されている染料の分解物や不純物などの種々の異物が堆積しがたい状態になる。従って、インクが加熱されて染料の分解物や不純物などの異物が生じても、発熱素子3a表面におけるコゲーションの発生、堆積が抑制されるので、長期に渡り、インクの吐出速度が高く、インク液滴の吐出が良好で、高画質記録が可能となる。この理由は明確ではないが、発熱素子3aの表面に式(1)の有機ホスホン酸化合物の防錆効果を有する皮膜が形成されるためであると考えられる。
【0026】
本発明のインクジェット記録ヘッド1は、次のように製造することができる。即ち、発熱素子3aからの熱でインク室4a内のインクを加熱することによりノズル5aから吐出させるインクジェット記録ヘッド1の当該インク室4a内に式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液を導入し、その表面処理液に接触している発熱素子3aを加熱することにより有機ホスホン酸化合物で発熱素子3aの表面処理を行えばよい。ここで、表面処理液は、水に式(1)の有機ホスホン酸化合物を、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%で溶解させたものである。この表面処理液には、必要に応じて、イソプロピルアルコール、グリセリンなどの水混和性有機溶媒を含有させてもよい。
【0027】
なお、未使用(インクカセットを装着する前)のインクジェットプリンタのインクジェット記録ヘッドのインク室4a内に表面処理液を充填し、通常のインク吐出操作を行うことにより発熱素子3aの表面を処理することもできる。この場合には、インクジェット記録ヘッドの表面処理方法という位置づけとなる。
【0028】
本発明のインクジェット記録ヘッドを用いる以外、従来と同様の構成部材を利用することによりサーマル方式のインクジェットプリンタを構成することができる。このようなインクジェットプリンタは、本発明のインクジェット記録ヘッドを使用しているので、インクが加熱されて染料の分解物や不純物などの異物が生じても、発熱素子表面におけるコゲーションの発生、堆積が抑制され、長期に渡り、インクの吐出速度が高く、インク液滴の吐出が良好で、高画質記録が可能となる。
【0029】
本発明のインクジェット記録ヘッドを使用するサーマル方式のインクジェットプリンタでインクジェット記録は、次のように行われる。即ち、インクは、インクタンク7からインク供給孔2aに供給され、インク流路4bを通ってインク室4aに供給される。ここで、ノズル5aは通常、円形状に形成されており、ノズル5a先端ではインクの負圧によりインク面の中央部が凹んだ、いわゆるメニスカスが形成される。そして、発熱素子3aに駆動電圧がかかることにより、発熱素子3aが発熱して、インクを局所的に加熱する。インクジェット記録ヘッド1では、この加熱により、インク室4aの発熱素子3a側面に核気泡が発生し、この気泡が合体して膜気泡となって成長する。この気泡による圧力の増大により、インクの液滴がノズル5aから吐出してインクジェット記録紙に飛翔し、付着しする。これによりインクジェット記録紙上でインク画像が形成される。
【0030】
なお、本発明のインクジェット記録ヘッドで吐出するインクとしては、従来公知のインクジェットインクを使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0032】
実施例1
式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)を0.05重量%となるように水に溶解させることにより発熱素子表面処理用の表面処理液を調製した。この表面処理液を、未使用のインクジェットプリンタ(MPR−501、ソニー株式会社)のインクジェット記録ヘッドのインク室に充填し、発熱素子の表面処理を行った。
【0033】
実施例2
式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)を0.1重量%となるように水に溶解させること以外、実施例1と同様に発熱素子用の表面処理液を調製し、インクジェット記録ヘッドの発熱素子の表面処理を行った。
【0034】
実施例3
式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)を5.0重量%となるように水に溶解させること以外、実施例1と同様に発熱素子用の表面処理液を調製し、インクジェット記録ヘッドの発熱素子の表面処理を行った。
【0035】
実施例4
式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)を10.0重量%となるように水に溶解させること以外、実施例1と同様に発熱素子用の表面処理液を調製し、インクジェット記録ヘッドの発熱素子の表面処理を行った。
【0036】
参考例1
式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)を0.01重量%となるように水に溶解させること以外、実施例1と同様に発熱素子用の表面処理液を調製し、インクジェット記録ヘッドの発熱素子の表面処理を行った。
【0037】
(評価)
実施例1〜4のインクジェット記録ヘッド、参考例1のインクジェット記録ヘッド、及び式(1)の有機ホスホン酸化合物(キレストPH430、キレスト社)で発熱素子の表面処理を行っていないインクジェット記録ヘッド(対照例)を備えたインクジェットプリンタ(MPR−501、ソニー株式会社)を用いて、表1及び表2のインクA及びインクB並びに市販インクC(PM750C、エプソン社)を、市販のインクジェット記録紙(PM写真用紙、エプソン社)に吐出させてインクジェット記録を行った。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
まず、インクジェット記録初期のインク液滴の吐出速度及び1億パルス吐出後のインク液滴の吐出速度を測定し、初期インク液滴吐出速度に対する1億パルス吐出後インク液滴吐出速度の低下割合(%)を算出した。得られた結果を表3に示す。
【0041】
また、1億パルス吐出後における発熱素子の表面を観察し、堆積物、すなわちコゲーションの有無を確認した。なお、発熱素子表面において、堆積物がほとんど認められない状態を「〇」、若干の堆積物が認められる状態を「△」、堆積物が認められる状態を「×」と評価した。さらに堆積物の厚みを、カラーレーザ顕微鏡(商品名:VK−8500、(株)キーエンス製)を用いて測定した。以上の測定結果および評価結果を、下記表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3から、式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液で表面処理を施した実施例1〜4のインクジェット記録ヘッドは、1億パルス印画後における吐出速度の変化量が20%以下であり、低下の割合としては実用可能な範囲であることがわかる。また、発熱素子表面に付着した堆積物の厚みは、いずれも0.8μm以下であり、発熱素子表面における堆積物量は、非常に少ないことがわかる。とくに実施例1では、若干の堆積物のみが確認され、実施例2では、ほとんど認められず、実施例3および4では、堆積物はほとんどない状態であり、発熱素子表面に色がついた程度であることが確認された。
【0044】
なお、参考例1及び実施例1の結果から、式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液の有機ホスホン酸化合物の濃度が0.05重量%以上が好ましいことがわかる。
【0045】
一方、式(1)の有機ホスホン酸化合物を含有する表面処理液で表面処理を施していない対照例のインクジェット記録ヘッドを使用すると、1億パルス印画後における吐出速度の変化量が20%を超えてしまい、吐出速度の低下の割合が大きすぎて実用不可能であることがわかる。また、発熱素子表面に付着した堆積物の厚みが0.8μmを越えており、発熱素子表面における堆積物量が非常に多いことがわかる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、発熱素子の表面が式(1)の有機ホスホン酸化合物で表面処理されているので、コゲーションの発生を低コストで十分に抑制でき、従って、サーマル方式のインクジェットプリンタにおいて、ノズルからのインクの液滴の吐出を長期に渡り良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッドの部分拡大図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッドの部分拡大透視図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド、2 ヘッドフレーム、2a インク供給孔、3 ヘッドチップ、3a 発熱素子、4 インク室部材、4a インク室、4bインク流路、5 ノズルプレート、5a ノズル、6 フィルタ、7 インクタンク、7a 袋、7b 外筐、8 電気配線[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet recording head used in a thermal ink jet printer, in particular, an ink jet recording head capable of greatly suppressing the occurrence of a phenomenon called kogation, which is a problem unique to a thermal ink jet printer, a method of manufacturing the same, and an ink jet printer About.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In recent years, in fields such as image processing, needs for hard copy colorization have been increasing. To meet such needs, sublimation thermal transfer recording methods, melt thermal transfer recording methods, ink jet recording methods, electrophotographic recording methods, thermally developed silver salt recording methods, and the like have been proposed.
[0003]
Among these methods, an ink jet printer used for an ink jet recording method is a method called a dot by ejecting ink droplets from nozzles arranged in an ink jet recording head and landing them on a recording medium such as recording paper. And a printer that records characters and images. Ink jet printers have the features of being low cost, of high quality, and of being easily colorized, as compared with printers used for other recording methods. Here, the ink used in the ink jet recording method is one in which various water-soluble dyes or pigments are dissolved or dispersed in a solvent containing water and a water-soluble organic solvent. And the like.
[0004]
By the way, this ink jet printer is classified into a piezo method in which ink is ejected by using a piezoelectric element and a thermal method in which ink is ejected by using a heating element as a heater, depending on a method of ejecting ink as droplets. .
[0005]
Among these methods, a thermal method is a method in which ink in an ink chamber provided in an ink jet recording head is locally heated to generate air bubbles, and the ink in the ink chamber is ejected by the air bubbles called nozzles. In this method, ink droplets are ejected from an outlet and land on a recording medium to perform recording. A printer to which the thermal method is applied has a heating element for heating ink in an ink chamber, and is configured using an ink jet recording head including a drive circuit of a logic integrated circuit for driving the heating element. ing.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, with the use of an ink jet printer, a phenomenon called kogation occurs in which impurities such as metal ions mixed during the synthesis of a dye and foreign substances such as a thermal decomposition product of the dye accumulate and adhere to the surface of the heating element. There's a problem. When kogation occurs, there is a problem that the local heating of the ink by the heating element becomes insufficient, the generation of bubbles is hindered, the discharge speed of the ink is reduced, and the discharge of the ink droplets is hindered.
[0007]
Attempts have been made to remove metal ion impurities from dyes in order to prevent the occurrence of kogation.However, thermal decomposition of dyes, which are constituents of ink, cannot be completely eliminated. Even if the purified ink removed in step (1) is used, there is a problem that a decomposition product of the dye is deposited on the heating element.
[0008]
As described above, at present, the occurrence of kogation cannot be completely prevented as long as a conventional ink jet recording ink comprising a dye, water and an organic solvent is used.
[0009]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to solve the problems of the conventional technology, and greatly suppresses the occurrence of kogation in a thermal inkjet printer, and maintains the ejection of ink droplets from nozzles well over a long period of time. It is an object of the present invention to provide an ink jet recording head capable of performing the above.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have found that the above object can be achieved by performing a surface treatment on the surface of the heating element of the ink jet recording head with a specific organic phosphonic acid compound, and completed the present invention.
[0011]
That is, according to the present invention, in an ink jet recording head for discharging ink from a nozzle by heating ink in an ink chamber with heat from a heating element, the heating element is expressed by the formula (1).
[0012]
Embedded image
An ink jet recording head characterized in that the surface is treated with an organic phosphonic acid compound of the formula (1).
[0013]
Further, the present invention provides a surface treatment liquid containing an organic phosphonic acid compound of the above formula (1) in the ink chamber of an ink jet recording head that discharges from a nozzle by heating ink in the ink chamber with heat from a heating element. And heating the heating element that is in contact with the surface treatment liquid to perform a surface treatment of the heating element with an organic phosphonic acid compound.
[0014]
Further, the present invention provides an ink jet recording head which discharges ink from a nozzle by heating ink in an ink chamber with heat from a heating element, before filling the ink into the ink chamber of the above formula (1). Introducing a surface treatment liquid containing an acid compound, and heating the heating element in contact with the surface treatment liquid to perform a surface treatment of the heating element with an organic phosphonic acid compound, wherein the surface of the ink jet recording head is characterized in that Provide a processing method.
[0015]
Further, the present invention provides an ink jet printer provided with the above ink jet recording head.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0017]
FIG. 1 is a perspective view showing an example of an ink
[0018]
As shown in FIG. 3, a nozzle plate 5 having a plurality of nozzles 5a is provided on the
[0019]
The nozzle plate 5 is formed by electroforming of nickel or the like, and is usually plated with a corrosion-resistant material such as gold or palladium in order to prevent corrosion by the ink. Therefore, each of the ink chambers 4a communicates with the ink flow path 4b formed in the
[0020]
An
[0021]
Between the
[0022]
An electric wiring 8 made of a so-called FPC (flexible printed circuit board) is attached to a portion extending from the
[0023]
The heating element 3a was formed by depositing a resistive material such as tantalum, tantalum aluminum, or titanium nitride on a predetermined substrate by a sputtering method widely used in a semiconductor forming process, and forming an electrode such as Al on an upper layer thereof. Thereafter, a protective layer such as a silicon nitride film is formed. In the ink
[0024]
In the ink
[0025]
Embedded image
Surface-treated with an organic phosphonic acid compound. As a result, the surface of the heating element 3a is in a state where it is difficult for various foreign substances such as decomposed substances and impurities contained in the ink to accumulate. Therefore, even if the ink is heated and foreign substances such as decomposed substances and impurities of the dye are generated, the occurrence and accumulation of kogation on the surface of the heating element 3a are suppressed. Discharge of droplets is good, and high-quality recording becomes possible. Although the reason for this is not clear, it is considered that this is because a film having an antirust effect of the organic phosphonic acid compound of the formula (1) is formed on the surface of the heating element 3a.
[0026]
The
[0027]
The surface treatment liquid is filled in the ink chamber 4a of the ink jet recording head of the unused (before installing the ink cassette) ink jet recording head, and the surface of the heating element 3a is processed by performing a normal ink discharge operation. You can also. In this case, it is positioned as a surface treatment method for an ink jet recording head.
[0028]
Except for using the ink jet recording head of the present invention, a thermal type ink jet printer can be formed by using the same constituent members as those of the related art. Since such an ink jet printer uses the ink jet recording head of the present invention, even if the ink is heated and foreign matter such as a decomposition product of a dye or an impurity is generated, kogation is generated and accumulated on the surface of the heating element. Suppressed, the ink ejection speed is high over a long period of time, the ejection of ink droplets is good, and high quality recording is possible.
[0029]
Ink jet recording is performed as follows by a thermal type ink jet printer using the ink jet recording head of the present invention. That is, the ink is supplied from the
[0030]
Note that as the ink ejected by the inkjet recording head of the present invention, conventionally known inkjet inks can be used.
[0031]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to examples.
[0032]
Example 1
A surface treatment liquid for surface treatment of a heating element was prepared by dissolving the organic phosphonic acid compound of formula (1) (Chillest PH430, Chillest) in water so as to have a concentration of 0.05% by weight. This surface treatment liquid was filled into an ink chamber of an unused inkjet recording head of an inkjet printer (MPR-501, Sony Corporation), and the heating element was subjected to surface treatment.
[0033]
Example 2
A surface treatment liquid for a heating element was prepared in the same manner as in Example 1, except that the organic phosphonic acid compound of the formula (1) (Chillest PH430, Chillest) was dissolved in water so as to have a concentration of 0.1% by weight. The surface treatment of the heating element of the ink jet recording head was performed.
[0034]
Example 3
A surface treatment liquid for a heating element was prepared in the same manner as in Example 1, except that the organic phosphonic acid compound of the formula (1) (Chillest PH430, manufactured by Chillest) was dissolved in water so as to have a concentration of 5.0% by weight. The surface treatment of the heating element of the ink jet recording head was performed.
[0035]
Example 4
A surface treatment liquid for a heating element was prepared in the same manner as in Example 1, except that the organic phosphonic acid compound of the formula (1) (Chillest PH430, Chillest) was dissolved in water so as to be 10.0% by weight. The surface treatment of the heating element of the ink jet recording head was performed.
[0036]
Reference Example 1
A surface treatment liquid for a heating element was prepared in the same manner as in Example 1, except that the organic phosphonic acid compound of the formula (1) (Chillest PH430, Chillest) was dissolved in water so as to be 0.01% by weight. The surface treatment of the heating element of the ink jet recording head was performed.
[0037]
(Evaluation)
The ink jet recording heads of Examples 1 to 4, the ink jet recording head of Reference Example 1, and the ink jet recording head in which the surface treatment of the heating element was not performed with the organic phosphonic acid compound of formula (1) (Chillest PH430, manufactured by Kyrest Co., Ltd.) Using an inkjet printer (MPR-501, Sony Corporation) equipped with an example), inks A and B in Tables 1 and 2 and a commercially available ink C (PM750C, Epson Corporation) were converted to commercially available inkjet recording paper (PM (Photo paper, Epson Corporation) to perform inkjet recording.
[0038]
[Table 1]
[0039]
[Table 2]
[0040]
First, the ejection speed of ink droplets at the beginning of ink jet recording and the ejection speed of ink droplets after 100 million pulse ejection were measured, and the decrease rate of the ink droplet ejection speed after 100 million pulse ejection to the initial ink droplet ejection speed ( %) Was calculated. Table 3 shows the obtained results.
[0041]
Further, the surface of the heating element after 100 million pulse ejection was observed, and the presence of deposits, that is, the presence or absence of kogation was confirmed. Note that, on the surface of the heating element, a state in which almost no deposits were observed was evaluated as “〇”, a state in which some deposits were observed was evaluated as “△”, and a state in which deposits were observed was evaluated as “x”. Further, the thickness of the deposit was measured using a color laser microscope (trade name: VK-8500, manufactured by Keyence Corporation). Table 3 below shows the above measurement results and evaluation results.
[0042]
[Table 3]
[0043]
From Table 3, it is found that the ink jet recording heads of Examples 1 to 4 which were subjected to the surface treatment with the surface treatment solution containing the organic phosphonic acid compound of the formula (1) had a change in the ejection speed after printing 100 million pulses of 20%. The results are as follows, and it can be seen that the rate of reduction is within a practical range. Further, the thickness of the deposits adhered to the surface of the heating element is 0.8 μm or less in each case, and it can be seen that the amount of the deposit on the surface of the heating element is extremely small. In particular, in Example 1, only a small amount of deposit was confirmed, in Example 2, almost no deposit was observed, and in Examples 3 and 4, almost no deposit was observed. Was confirmed.
[0044]
The results of Reference Example 1 and Example 1 show that the concentration of the organic phosphonic acid compound in the surface treatment solution containing the organic phosphonic acid compound of the formula (1) is preferably 0.05% by weight or more.
[0045]
On the other hand, when the ink jet recording head of the comparative example not subjected to the surface treatment with the surface treating solution containing the organic phosphonic acid compound of the formula (1) is used, the change in the ejection speed after printing 100 million pulses exceeds 20%. This indicates that the rate of decrease in the discharge speed is too large to be practical. In addition, the thickness of the deposit adhered to the surface of the heating element exceeded 0.8 μm, which indicates that the amount of the deposit on the surface of the heating element was extremely large.
[0046]
【The invention's effect】
In the ink jet recording head of the present invention, since the surface of the heating element is surface-treated with the organic phosphonic acid compound of the formula (1), the occurrence of kogation can be sufficiently suppressed at a low cost. In this case, the ejection of the ink droplets from the nozzles can be favorably maintained for a long period of time.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing an example of an ink jet recording head of the present invention.
FIG. 2 is a partially enlarged view of the inkjet recording head of the present invention.
FIG. 3 is a partially enlarged perspective view of the ink jet recording head of the present invention.
[Explanation of symbols]
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