【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、相対回転する軸受部の回転検出装置等に用いられる磁気エンコーダ、およびそれを備えた車輪用軸受に関し、例えば自動車のアンチロックブレーキシステムにおける前後の車輪回転数を検出する回転検出装置に装着されるベアリングシールの構成部品とされる磁気エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のスキッドを防止するためのアンチスキッド用回転検出装置として、次のような構造が多く用いられている。すなわち、前記回転検出装置は歯付ローターと感知センサからなっており、その際、軸受を密封するシール装置よりそれぞれ離間させて配置し、一つの独立した回転検出装置を構成しているものが一般的である。
このような従来例は、回転軸に嵌合された歯付ローターを、ナックルに取付られた回転検出センサで感知検出する構造を持ち、使われている軸受は、その側部に独立して設けられたシール装置によって、水分あるいは異物の侵入から守られる。
【0003】
その他の例として特許文献1には、回転検出装置の装着スペースを削減せしめ感知性能を飛躍的に向上させることを目的として、車輪回転検出のための回転検出装置を有したベアリングシールにおいて、そこに使用するスリンガーの径方向に磁性粉の混入された弾性部材を周状に加硫成形接着し、そこに交互に磁極を配設した構造が示されている。
また、特許文献2には、軸方向の寸法を小さくし、回転部材と固定部材との間の密閉度を良好にし、容易に取り付け可能にすることを目的として、回転部材と固定部材との間がシールされ、この回転部材に回転ディスクが取り付けられ、その回転ディスクに多極化されたコーダが取り付けられたコーダ内蔵密閉構造としたものが示されている。使用するコーダは、磁性粒子を添加したエラストマーからなるものが用いられ、このコーダの側面を固定部材の側面とほぼ同一平面としたシール手段とされている。
【0004】
磁性粉や磁性粒子を含有するプラスチック(プラストマー) 製のコーダは、やはり従来の射出成形や圧縮成形等のように、製品形状に適応した金型を使用して賦形したり、つまり金型どおりの形に成形したり、 T形のダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形でシートを成形し打ち抜き加工などにより製品形状にして、その後、金属基板上に接着剤などで接着固定し製作してもよい。またこの場合、インサート成形のようにあらかじめ金型内に金属基板を組込んでおき、その後、溶融樹脂を流し入れて接着工程を同時加工して製作してもよい。
【0005】
【特許文献1】
特許第2816783号公報
【特許文献2】
公開平6−281018
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のうち、特許文献1や特許文献2に示されるベアリングシールにおいては、そこに使用するスリンガーの径方向に磁性粉の混入された弾性部材を周状に加硫成形接着したり、または多極化されたコーダが取り付けられたコーダ内蔵密閉構造としてそのコーダを磁性粒子が添加したエラストマーにしようとすると、磁性粉や磁性粒子を保持するためのバインダとなるエラストマーや弾性部材成分が必要になる。しかしエラストマーや弾性部材成分をバインダに用いる場合、コーダ形状に賦形前に必ず磁性粉や磁性粒子とエラストマーや弾性部材の混練による分散工程が必要になるが、この工程ではコーダ中のバインダ成分に対する磁性粉や磁性粒子の相対含有率(体積分率)が上げにくいため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力を得ようとするにはコーダの厚み寸法を厚くする必要があった。
【0007】
また、 磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダの成形は、 射出成形や圧縮成形等のように製品形状に適応した金型を使用して賦形し、また加硫工程が必要な場合は金型内に必要とされる加硫時間だけ、加圧しながら保持しなければならず、生産上多くの工程を必要とした。
さらに磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダは、例えば車輪回転検出のための回転検出装置を有したベアリングシールにおいて、回転検出装置の装着スペースを削減せしめ、かつ感知性能を飛躍的に向上させるために、そこに使用するスリンガーの軸方向で近接かつ相対した部位に感知センサを配置しなければならない。しかしこの場合、車両走行中に回転側のベアリングシール表面と固定側の感知センサ表面の間隙に、砂粒などの異物粒子が侵入し噛み込まれると、弾性部材やエラストマー製のコーダ表面は摩耗などによる激しい損傷が認められることがあった。
【0008】
磁性粉や磁性粒子の含有するプラスチック(プラストマー)製のコーダの場合、上述した従来の射出成形や圧縮成形やT形ダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形、およびインサート成形で製造しようとすると、やはり磁性粉や磁性粒子を保持するためのバインダとなる合成樹脂成分が必要になる。しかし合成樹脂成分をバインダに用いる場合も、従来はエラストマーなどと同様に、コーダ形状に賦形前に必ず磁性粉や磁性粒子とプラストマーや弾性部材の混練による分散工程が必要になる。 やはりこの工程では、コーダ中のバインダ成分に対する磁性粉や磁性粒子の相対含有率(体積分率)が上げにくいため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力を得ようとするにはコーダの厚み寸法を厚くする必要があった。また、このように磁性粉や磁性粒子とプラストマーや弾性部材を従来の製造法で混練して製作した成形前材料を、金型内に射出( インジェクション)したり圧縮(コンプレッション)してコーダに賦形する時、またインサート成形などで賦形する時に、材料中に含有される磁性粒子成分は金属の酸化物であるため硬くて量産製造的には金型や成形機の摩耗が問題となり、また磁性粒子成分の含有が高い成形前材料は溶融粘度が高くなり、成形圧力や金型型締力などを上げるなど、成形上の負荷が大きくなるなどの問題があった。
【0009】
T形ダイスを用いた押出し成形やカレンダー成形のようなシート成形の場合でも、材料中に含有される磁性粒子成分は金属酸化物で硬いため、量産製造的にはT形ダイスやカレンダー成形機のロールの摩耗が問題となった。
【0010】
そこで、本出願人は、磁気エンコーダにおける多極磁石を、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体としたものを先に提案した(特願2001−290300号)。これには、磁性粉および非磁性金属粉につき、種々のものが記載されている。しかし、この出願に示された磁性粉では、薄肉大径のリングとするにつき、さらに強度を上げることが望まれる。
【0011】
この発明の目的は、薄肉化が可能で、かつ耐摩耗性に優れ、生産性、コスト面にも優れる磁気エンコーダを提供することである。
この発明の他の目的は、部品点数を増やすことなく、コンパクトな構成で回転検出が行え、かつ回転検出のための磁気エンコーダの耐久性に優れた車輪用軸受を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の磁気エンコーダは、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石と、この多極磁石を支持する芯金とを備えた磁気エンコーダにおいて、上記多極磁石が、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体であり、上記磁性粉が湿式異方性フェライトコア粉砕粉であることを特徴とする。多極磁石は、例えば円環状等の環状とされ、または円盤状とされる。上記芯金も円環状等の環状とされ、または円盤状とされる。湿式異方性フェライトコアの粉砕粉を用いる場合、この粉砕粉と非磁性金属粉の混合粉を磁場中でグリーン体に成形することが望まれる。このグリーン体を焼結させた焼結体により上記多極磁石を構成する。グリーン体は未焼結の圧粉体のことである。
この構成によると、多極磁石が、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体であるため、次の各利点が得られる。
▲1▼.従来のエラストマーやプラストマーに比べて磁性粉比率を高くすることができ、そのため、単位体積あたりの磁力を大きくすることができる。これにより検出感度の向上、薄肉化が可能になる。
▲2▼.従来の焼結磁石である磁性粉のみを焼結したものに比べて、バインダとなる非磁性金属粉の存在のために割れ難い。
▲3▼.従来のエラストマー等に比べて表面が硬いため、耐摩耗性に優れ、また損傷し難い。
▲4▼.従来のエラストマー等に比べて、生産性に優れる。
▲5▼.磁性粉が湿式異方性フェライトコア粉砕粉であるため、他の磁性粉に比べて安価であり、これを用いると磁気エンコーダを安価に製造できる。特に他のフェライト粉に比べて、高配向高強度な磁性粉とできて、より薄肉大径のリング状の焼結体とできる。
【0013】
このような作用の得られる理由を例示する。
上記磁性粉と非磁性金属粉とは、予め決められた配合比で粉体混合機を用いて混合し、この混合粉を常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得る。
このとき、非磁性金属粉をバインダとして磁性粉を混入した混合磁性粉からなる焼結体は、その非磁性金属粉と磁性粉の組成比を調整しながら粉体混合機で分散させた粉体同士のドライブレンドができるため、焼結体中の磁性粉の相対的な含有率(体積分率)を上げられる。このため、磁気センサに安定してセンシングされる磁力が容易に得られ、多極磁石を厚くする必要がない。
しかも、多極磁石とする焼結体の製造においても、粉体同士のドライブレンドによる混合粉の焼結成形法は、従来のエラストマーや弾性部材の場合の射出成形や圧縮成形に比べて加硫工程などがなく、また成形上の負荷が少ないため、生産工程を大幅に簡略化することができる。また、焼結加工での圧粉体の成形の場合、エラストマーや弾性部材の射出成形や圧縮成形に比べ、金型の摩耗などの問題は生じない。
また、この多極磁石とする焼結体の芯金への取付けは、簡便な加締加工や、圧入加工等の機械的固定法で行えることから、たとえ高低温環境下で過酷な条件にさらされても信頼性を保持することができる。
【0014】
この構成の磁気エンコーダは、多極磁石に磁気センサを対面させて回転検出に使用される。この磁気エンコーダを回転させると、多極磁石の各磁極の通過が磁気センサで検出され、パルスのかたちで回転が検出される。上記多極磁石は、磁性粉の混入した焼結体からなるため、上述したように、安定したセンシングの得られる磁力を確保しながら薄肉化できて、磁気エンコーダのコンパクト化が図れるうえ、耐摩耗性に優れ、また加締や圧入などの組付け方法で金属製の芯金と多極磁石とを一体化できるため、固定法としても優れたものとなる。
【0015】
上記非磁性金属粉はステンレス粉であっても良く、またスズ粉であっても良い。ステンレス粉は他の非磁性金属粉に比べて防錆性に優れ、これを用いた焼結体は、防錆性に優れたものとなる。
【0016】
上記混合粉に使用する磁性粉および非磁性金属粉は、いずれも平均粒径が10μm以上150μm以下であることが良い。
これらの粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が10μmより小さいと、圧粉体を得るときに、金型内に混合粉が流れ込み難く、所定形状の圧粉体を形成できない。これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が150μmより大きいと、圧粉体強度が出ない。
【0017】
上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率は、1vol %以上で90vol %以下であることが良い。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が1vol %よりも少ないと、金属バインダとして非磁性金属粉が少ないため、焼結後得られた多極磁石は硬いが脆いものとなる。圧粉体が成形できない場合もある。磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が90vol %より多いと、相対的に磁性成分が少ないため、所望される安定したセンシングの得られる磁力を確保することが難しい。
【0018】
上記混合粉の焼結前の圧粉体は、5vol %以上30vol %以下の空孔を持つものとすることが良い。空孔率が5vol %より少ない場合、成形圧力を除圧する際に原料粉の弾性変形の回復により生じるスプリングバックにより、圧粉体(グリーン体)が破損する可能性がある。また、空孔が30vol %よりも多い場合、焼結体の機械的強度が弱くなるため、芯金上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定することが難しく、また粒子間の密着不足により、圧粉体が成形できない場合がある。
【0019】
上記多極磁石となる焼結体の板厚は、0.3mm以上でかつ5mm以下が良い。磁性粉および非磁性金属粉は高価であることから、板厚は薄い方が好ましいが、板厚が0.3mmよりも薄い場合、圧粉成形が困難である。また、厚すぎるとグリーン成形体の密度むらが発生しやすくなり、焼成後の変形が生じやすくなる。これらの点から、板厚は0.3mm〜5mmが好ましい。
【0020】
この発明の車輪用軸受は、この発明における上記いずれかの構成の磁気エンコーダを備えたものである。
車輪用軸受は、一般に路面の環境下にさらされた状態となり、磁気エンコーダとこれに対面させる磁気センサとの間に砂粒等の粒子が噛み込むことがあるが、この噛み込みに対して、次のように保護される。
すなわち、磁性粉と非磁性金属粉とからなる焼結体の多極磁石の表面硬度は、従来の磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダに比べて硬い。そのため、車輪回転検出のための磁気エンコーダを有した車輪用軸受において、車両走行中に回転側の多極磁石の表面と固定側の磁気センサの表面との間隙に、砂粒などの粒子が噛み込まれても、多極磁石の摩耗損傷に大幅な低減効果がある。
【0021】
この発明の車輪用軸受は、軸受空間をシールするシール装置の構成要素を磁気エンコーダとしても良い。例えば、この車輪用軸受は、複列の転走面を内周面に形成した外方部材と、この外方部材の転走面と対向する転走面を形成した内方部材と、これら両転走面間に介在された複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受であって、上記外方部材と内方部材との環状空間を密封するシール装置を設けても良い。
この場合に、上記シール装置は、上記外方部材または内方部材のうちの回転側部材に嵌合される第1のシール板と、この第1のシール板に対向し、上記外方部材または内方部材のうちの固定側部材に嵌合される断面L字状の第2のシール板とからなり、上記第1のシール板の立板部に摺接するサイドリップ、および円筒部に摺接するラジアルリップが上記第2のシール板に固着され、上記第1のシール板が上記磁気エンコーダにおける芯金となり、その立板部に少なくとも一部を重ねて上記多極磁石が設けられたものであっても良い。
【0022】
上記第1のシール板は、例えば断面概ね逆Z字状とされて、上記回転側部材に嵌合される嵌合側の円筒部と、立板部と、他筒部とでなるものであっても良い。また、第1のシール板は断面L字状のものとしても良い。
【0023】
これらの構成の車輪用軸受の場合、シール装置の構成要素を磁気エンコーダとしたため、部品点数を増やすことなく、より一層コンパクトな構成で車輪の回転を検出することができる。また、このようにシール装置に磁気エンコーダを構成した場合、上記の路面環境下にさらされることによる磁気エンコーダと磁気センサ間の砂粒等の噛み込みが問題となるが、この噛み込みに対して、上記と同様に多極磁石の表面硬度が硬いことにより、摩耗損傷の低減効果が得られる。また、この構成の場合、第2のシール板に固着されたサイドリップおよびラジアルリップが第1のシール板に摺接することに等により、優れたシール効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1に示すように、この磁気エンコーダ10は、金属製の環状の芯金11と、この芯金11の表面に周方向に沿って設けられた多極磁石14とを備える。多極磁石14は周方向に多極に磁化され、交互に磁極N,Sが形成された部材であり、多極に磁化された磁気ディスクからなる。磁極N,Sは、ピッチ円直径PCD(図2)において、所定のピッチpとなるように形成されている。この磁気エンコーダ10は、回転部材(図示せず)に取付けられ、図3に示すように多極磁石14に磁気センサ15を対面させて回転検出に使用されるものであり、磁気エンコーダ10と磁気センサ15とで回転検出装置20が構成される。同図は、磁気エンコーダ10を軸受(図示せず)のシール装置5の構成要素とした応用例を示し、磁気エンコーダ10は、軸受の回転側の軌道輪に取付けられる。シール装置5は、磁気エンコーダ10と、固定側のシール部材9とで構成される。シール装置5の具体構成については後に説明する。
【0025】
多極磁石14に混入する磁性粉としては、湿式異方性フェライトコアからなる粉砕粉を用いる。この湿式異方性フェライトコアからなる粉砕粉を用いる場合、非磁性金属粉との混合粉を磁場中で成形された異方性のグリーン体とする必要がある。
【0026】
多極磁石14を形成する非磁性金属粉には、スズ、銅、アルミ、ニッケル、亜鉛、タングステン、マンガンなどの粉体、または非磁性のステンレス系金属粉のいずれか単独(1種)の粉体、もしくは2種以上からなる混合した粉体、もしくは2種以上からなる合金粉末を使用することができる。
【0027】
磁性粉および非磁性金属粉はいずれも平均粒径で10μm以上150μm以下が良く、好ましくは20μm以上130μm以下が好適である。これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が10μmより小さいと、混合粉にして常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得ようとしても、金型内にうまく混合粉が流れ込まないことがあり、所定形状の圧粉体を形成できない。また、これら粉体のいずれか一方または両方の平均粒径が150μmより大きいと、混合粉にして常温下、金型内で加圧成形して圧粉体を得ようとしても、圧粉体強度が出ないために、金型から脱型できず成形できない。
上述した平均粒径範囲の磁性粉と非磁性金属粉を予め決められた配合比で粉体混合機を用いて混合し、この混合粉を常温下、金型内で加圧成形することにより圧粉体を得る。
【0028】
多極磁石14を形成する混合粉中の配合において、磁性粉でない非磁性金属粉の体積配合率は、1vol %以上で90vol %以下が良いが、望ましくは5vol %以上85vol %以下、さらに望ましくは10vol %以上80vol %以下が良い。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が1vol %よりも少ないと、金属バインダとして非磁性金属粉が少ないため、焼結後得られた多極磁石14は、硬いが脆い。このため、後述するように、多極磁石14とする焼結体を芯金11上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定しようとしても、割れてしまう。また、金属バインダとして少なすぎるために、圧粉体が成形できない場合がある。
磁性粉でない非磁性金属粉の体積含有率が90vol %より多いと、相対的に磁性成分が少ないため、焼結後、得られた多極磁石14の着磁強度を大きくできず、磁気エンコーダ10に所望される安定したセンシングの得られる磁力を確保することができない。
【0029】
焼結後得られた多極磁石14の線膨張係数は、0.5×10−5以上で9.0×10−5以下が良いが、望ましくは0.8×10−5以上で7×10−5以下、さらに望ましくは0.9×10−5以上で5×10−5以下が良い。
芯金11の材質となる金属材料の線膨張係数は、たとえばステンレス鋼(JIS規格のSUS430)の場合、1.0×10−5である。多極磁石14の線膨張係数が0.5×10−5より大きい場合、もしくは9×10−5より小さい場合、芯金11の材質となる金属材料との線膨張係数の差が大きいため、高低温環境下で使用されときの寸法変化量の差が大きくなり、多極磁石14と芯金11が干渉して多極磁石14が破損する場合がある。また、多極磁石14と芯金11の固定が確保できなくなる。
【0030】
圧粉体作成にあたり、磁性粉と非磁性金属粉の配合時に、例えば、ステアリン酸亜鉛などのような潤滑剤を添加して圧粉体成形性を改善することもできる。
これらの圧粉体(グリーン体)は、5〜30vol %の空孔を持つことが望ましい。好ましくは12〜22vol %、さらに好ましくは14〜19vol %である。空孔率が5vol %より少ない場合、成形圧力を除圧する際に原料粉の弾性変形の回復により生じるスプリングバックにより、圧粉体(グリーン体)が破損する可能性がある。また、空孔が30vol %よりも多い場合、焼結体の機械的強度が弱くなるため、後述するように、芯金11上に加締加工や圧入加工などで機械的に固定しようとしても割れてしまう。また、粒子間の密着不足により、圧粉体(グリーン体)が成形できない場合がある。
【0031】
磁性粉および非磁性金属粉は高価であることから、板厚は薄い方が好ましい。圧縮成形性およびハンドリングから、好ましい板厚は0.3mm〜5mm、さらに好ましくは0.6mm〜3mmである。板厚が0.3mmよりも薄い場合、金型内への充填が困難であり、グリーン成形体が得難い。また、得られたグリーン成形体もハンドリング時に破損してしまう可能性があるので好ましくない。一方、グリーン成形体の板厚が10mmよりも厚い場合、成形性やハンドリングは向上するが、コスト面では不利となる。また、厚すぎるとグリーン成形体の密度むらが発生しやすくなり、焼成後の変形が生じやすくなるという問題がある。これらの点から、板厚は0.3mm〜5mmが好ましい。
得られたグリーン成形体は、図4のように炉内で加熱焼結することで、ディスク形状の焼結体とされる。この炉内での加熱焼結は、大気中、電気炉で行っても良く、また真空炉により、または不活性ガスを流入しながらプッシャー炉、もしくはイナート炉で行っても良い。
【0032】
磁気エンコーダ10を形成する焼結体は、防錆処理のために、例えば図5のように防錆被膜22を施しても良い。この防錆被膜22は換言すれば防食被膜である。この防錆被膜22には、クリヤー系の高防食性塗料を用いることができる。この塗料は芯金11と焼結体間の接着剤としての効果も期待でき、また焼結多孔質体表層の空孔内部に浸入し、クリヤー塗膜成分のアンカー効果により表面で好適に保持され、長期間の使用においても防錆被膜層として良好な密着性を維持することができる。
【0033】
芯金11の材質となる金属は、磁性体、特に強磁性体となる金属が好ましく、例えば磁性体でかつ防錆性を有する鋼板が用いられる。このような鋼板として、フェライト系のステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)や、防錆処理された圧延鋼板等を用いることができる。
【0034】
芯金11の形状は、種々の円環状の形状とできるが、多極磁石14を固定できる形状が好ましい。特に、加締固定や嵌合固定等の機械的な固定が行える形状が好ましい。
加締固定の場合、芯金11は、例えば図1(B)に示すように、嵌合側となる内径側の円筒部11aと、その一端から外径側へ延びる立板部11bと、外径縁の他筒部11cとでなる断面概ね逆Z字状の円環状とする。
円筒部11a、立板部11b、および他筒部11cは、鋼板等の金属板から一体にプレス成形されたものである。立板部11bは平坦に形成されており、その平坦な立板部11bの表面に重ねて多極磁石14の未着磁の焼結体を組み込み、外周縁の他筒部11cを加締めることで、芯金11の立板部11bに重なり状態に多極磁石14が固定される。上記他筒部11cは、その断面における先端側部分または略全体が、加締部となる。また、この加締部は、芯金11の円周方向の全周に渡って延び、したがって円環状となっている。多極磁石14の加締部である他筒部11cにより固定される部分は、多極磁石14の被検出面となる表面よりも凹む凹み部14aとなっていて、芯金11の加締部である他筒部11cが、多極磁石14の被検出面となる表面から突出しないようにされている。上記凹み部14aは、多極磁石14の被検出面となる表面よりも若干背面側に後退した段差部として形成されている。多極磁石14の外周縁における凹み部14aよりも裏面側の部分は、断面が円弧状の曲面とされ、この曲面部分に沿うように、他筒部11cの加締部分が形成される。なお、加締固定は、円周方向の複数箇所で部分的に行うようにしても良い。
【0035】
なお、例えば図6に示すように、芯金11を、内径側の円筒部11aと、その一端から外径側へ延びる立板部11b”とでなる断面L字状の円環状としても良い。円筒部11aと立板部11b”とは、鋼板等の金属板から一体にプレス成形されたものである。立板部11b”は平坦に形成されており、その平坦な立板部11b”まで、多極磁石14となるディスク状の焼結体を円筒部11aの外周に圧入して固定する。立板部11b”の高さは、多極磁石14の内周部付近が当たる高さとされる。
【0036】
また、上記各例では芯金11を鋼板プレス成形品製としたが、図11に示すように、芯金11は、鋼材等の削り出し品からなるものとしても良い。同図の例の芯金11は立板部11bの溝部11baを切削加工溝としている。
【0037】
上記のように金属環状部材である芯金11に周方向に沿って設けられた混合磁性粉焼結磁石ディスクは、周方向に多極に着磁することにより多極磁石14となり、この多極磁石14と芯金11とで磁気エンコーダ10が構成される。この場合に、非磁性金属粉をバインダとして磁性粉を混入した混合磁性粉焼結磁石ディスク(焼結体)は、その非磁性金属粉と磁性粉の組成比を調整しながら粉体混合機で分散させることで粉体同士のドライブレンドとすることができる。そのため焼結体中の磁性粉の相対的な含有率(体積分率)を上げられる。したがって、磁気センサ15(図3)に安定してセンシングされる磁力が容易に得られ、多極磁石14を厚くする必要がない。
【0038】
この構成の磁気エンコーダ10は、図3と共に前述したように、多極磁石14に磁気センサ15を対面させて回転検出に使用される。磁気エンコーダ10を回転させると、多極磁石14の多極に磁化された各磁極N,Sの通過が磁気センサ15で検出され、パルスのかたちで回転が検出される。磁極N,Sのピッチp(図2)は細かく設定でき、例えばピッチpが1.5mm、ピッチ相互差±3%という精度を得ることもでき、これにより精度の高い回転検出が行える。ピッチ相互差は、磁気エンコーダ10から所定距離だけ離れた位置で検出される各磁極間の距離の差を目標ピッチに対する割合で示した値である。磁気エンコーダ10が図3のように軸受のシール装置5に応用されたものである場合、磁気エンコーダ10の取付けられた軸受の回転が検出されることになる。
多極磁石14は、磁性粉の混入した焼結体(混合磁性粉焼結ディスク)からなるため、次に示すように、安定したセンシングの得られる磁力を確保しながら薄肉化できて、磁気エンコーダ10のコンパクト化が図れるうえ、耐摩耗性に優れ、また生産性にも優れたものとなる。
【0039】
さらに、多極磁石14の表面硬度は、従来の磁性粉や磁性粒子の含有する弾性部材やエラストマー製のコーダに比べて硬い。そのため、車輪回転検出のための回転検出装置20に応用した場合に、車両走行中に回転側の多極磁石14の表面と固定側の磁気センサ15の表面の間隙に、砂粒などの粒子が噛み込まれても、多極磁石14の摩耗損傷が生じ難く、従来の弾性体製としたものに比べて、摩耗の大幅な低減効果がある。
また、磁性粉として湿式異方性フェライトコア粉砕粉を用いるため、他のフェライト系磁性粉に比べて次の点で優れている。フェライト系磁性粉は、一般的に残留磁束密度(Br)が低く、かつ平均粒径は1μm程度の微粉である。フェライト系磁性粉中にバリウムやストロンチウム等の元素を微量に添加した異方性フェライト粉を湿式で磁場成形および焼結することで、フェライトの磁化容易軸が硬度に配向された強力な湿式異方性のハードフェライトコアの焼結体が得られる。しかし、このハードフェライトコアは、例えば肉厚2.5mm以下の外径80mm程度、巾5mm前後の薄肉大径リングの成形は、材料的に割れやすいためにできない。予め、その厚肉リングを焼結し、削り出しで薄肉リングを得ることはできるが、非常に煩雑な工程となり経済的でない。このため、この実施形態では高度に配向させた湿式異方性ハードフェライトコアの割れやすさを逆に利用し、所望の粒径まで粉砕し、フェライト粉としては、高配向高強度な磁性粉を得た。そして、この磁性粉を、スズ粉をバインダとして焼結することで、上記薄肉大径リングの焼結体を得た。一般に混合粉の粉末成形では、混合する粉末の粒径が違いすぎると分散が悪く、均一な成形体は得られない。また、粒子が1μm程度と微粉末であると流動が悪い事があり、成形サイクルが長くなる事が多い。この実施形態では、上述したようにスズ粉の粒径に合わせて湿式異方性ハードフェライトコアを粉砕加工して、このフェライト粉を得るため、分散性、流動性等の問題を回避できる。
磁性粉として湿式異方性フェライトコア粉砕分を用いた場合を、フェライト系以外の磁性粉、例えば希土類系の磁性粉を用いた場合と比べると、次の利点がある。このフェライト粉およびスズ粉は、本発明品の原料粉として所定の使用条件下では、発錆しない。比較して、希土類系磁性粉を原料粉に用いた場合、錆やすいため、必ず、防錆処理が必要となる。この防錆処理は、本発明品の使用条件に耐える処理でなければならず、非常に高度な防錆能力が要求される。つまり、煩雑かつ、経済的に高コストな処理となる。本件のフェライト粉を用いた場合、このような防錆処理は不要となる。
なお、金属環状部材である芯金11に周方向に沿って設けられた多極磁石14となる混合磁性粉焼結磁石ディスク表面の平坦度は、200μm以下が良いが、望ましくは100μm以下が良い。ディスク表面の平坦度が200μmより上である場合、磁気センサ15とディスク面の間隙(エアギャップ)が、磁気エンコーダ10の回転中に変化することで、センシング精度を悪化させてしまう。
同様の理由で、磁気エンコーダ10の回転中における、混合磁性粉焼結磁石ディスク表面の面振れも、200μm以下が良く、望ましくは100μm以下が良い。
【0040】
つぎに、この磁気エンコーダ10を備えた車輪用軸受の一例、およびそのシール装置5の例を、図8,図9と共に説明する。図8に示すように、この車輪用軸受は、内方部材1および外方部材2と、これら内外の部材1,2間に収容される複数の転動体3と、内外の部材1,2間の端部環状空間を密封するシール装置5,13とを備える。一端のシール装置5は、磁気エンコーダ10付きのものである。内方部材1および外方部材2は、転動体3の軌道面1a,2aを有しており、各軌道面1a,2aは溝状に形成されている。内方部材1および外方部材2は、各々転動体3を介して互いに回転自在となった内周側の部材および外周側の部材のことであり、軸受内輪および軸受外輪の単独であっても、これら軸受内輪や軸受外輪と別の部品とが組合わさった組立部材であっても良い。また、内方部材1は、軸であっても良い。転動体3は、ボールまたはころからなり、この例ではボールが用いられている。
【0041】
この車輪用軸受は、複列の転がり軸受、詳しくは複列のアンギュラ玉軸受とされていて、その軸受内輪は、各転動体列の軌道面1a,1aがそれぞれ形成された一対の分割型の内輪18,19からなる。これら内輪18,19は、ハブ輪6の軸部の外周に嵌合し、ハブ輪6と共に上記内方部材1を構成する。なお、内方部材1は、上記のようにハブ輪6および一対の分割型の内輪18,19からなる3部品の組立部品とする代わりに、ハブ輪6および片方の内輪18が一体化された軌道面付きのハブ輪と、もう片方の内輪19とで構成される2部品からなるものとしても良い。
【0042】
ハブ輪6には、等速自在継手7の一端(例えば外輪)が連結され、ハブ輪6のフランジ部6aに車輪(図示せず)がボルト8で取付けられる。等速自在継手7は、その他端(例えば内輪)が駆動軸に連結される。
外方部材2は、軸受外輪からなり、懸架装置におけるナックル等からなるハウジング(図示せず)に取付けられる。転動体3は各列毎に保持器4で保持されている。
【0043】
図9は、磁気エンコーダ付きのシール装置5を拡大して示す。このシール装置5は、図3に示したものと同じであり、その一部を前述したが、図9において、詳細を説明する。このシール装置5は、磁気エンコーダ10またはその芯金11がスリンガとなり、内方部材1および外方部材2のうちの回転側の部材に取付けられる。この例では、回転側の部材は内方部材1であるため、磁気エンコーダ10は内方部材1に取付けられる。
【0044】
このシール装置5は、内方部材1と外方部材2に各々取付けられた第1および第2の金属板製の環状のシール板(11),12を有する。第1のシール板(11)は、上記磁気エンコーダ10における芯金11のことであり、以下、芯金11として説明する。磁気エンコーダ10は、図1ないし図3と共に前述した第1の実施形態にかかるものであり、その重複する説明を省略する。この磁気エンコーダ10における多極磁石14に対面して、同図のように磁気センサ15を配置することにより、車輪回転速度の検出用の回転検出装置20が構成される。
【0045】
第2のシール板12は、上記シール部材9(図3)を構成する部材であり、第1のシール板である芯金11の立板部11bに摺接するサイドリップ16aと円筒部11aに摺接するラジアルリップ16b,16cとを一体に有する。これらリップ16a〜16cは、第2のシール板12に加硫接着された弾性部材16の一部として設けられている。これらリップ16a〜16cの枚数は任意で良いが、図9の例では、1枚のサイドリップ16aと、軸方向の内外に位置する2枚のラジアルリップ16c,16bとを設けている。第2のシール板12は、固定側部材である外方部材2との嵌合部に弾性部材16を抱持したものとしてある。すなわち、弾性部材16は、円筒部12aの内径面から先端部外径までを覆う先端覆い部16dを有するものとし、この先端覆い部16dが、第2のシール板12と外方部材2との嵌合部に介在する。
第2のシール板12の円筒部12aと第1のシール板である芯金11の他筒部11cとは僅かな径方向隙間をもって対峙させ、その隙間でラビリンスシール17を構成している。
【0046】
この構成の車輪用軸受によると、車輪と共に回転する内方部材1の回転が、この内方部材1に取付けられた磁気エンコーダ10を介して、磁気センサ15で検出され、車輪回転速度が検出される。
磁気エンコーダ10は、シール装置5の構成要素としたため、部品点数を増やすことなく、車輪の回転を検出することができる。車輪用軸受は、一般に路面の環境下にさらされた状態となり、磁気エンコーダ10とこれに対面させる磁気センサ15との間に砂粒等の粒子が噛み込むことがあるが、上記のように磁気エンコーダ10の多極磁石14は焼結体からなるものであって硬質であるため、多極磁石14の表面の摩耗損傷は従来の弾性体製のものに比べて大幅に低減される。また車輪用軸受5における軸受端部の空間は、周辺に等速ジョイント7や軸受支持部材(図示せず)があって限られた狭い空間となるが、磁気エンコーダ10の多極磁石14が上記のように薄肉化できるため、回転検出装置20の配置が容易になる。
内外の部材1,2間のシールについては、第2のシール板12に設けられた各シールリップ16a〜16cの摺接と、第2のシール板12の円筒部12aに第1のシール板である芯金11の他筒部11cが僅かな径方向隙間で対峙することで構成されるラビリンスシール17とで得られる。
【0047】
なお、図8および図9に示す車輪用軸受では、磁気エンコーダ10の芯金11を、図1の形状のものとした場合について示しているが、磁気エンコーダ10として図5〜図7に示した各例のものを用いても良い。
また、磁気エンコーダ10を軸受のシール装置5の構成要素とする場合等において、多極磁石14を、上記各実施形態とは逆に軸受に対して内向きに設けても良い。すなわち、多極磁石14を芯金11の軸受内側の面に設けても良い。その場合、芯金11は非磁性体製のものとすることが好ましい。
【0048】
さらに、磁気エンコーダ10は、上記各実施形態のように多極磁石14を軸方向に向けたものに限らず、例えば図10に示すように、径方向に向けて設けても良い。同図の例は、シール装置5のスリンガとなるシール板である芯金11Aに、その立板部11bから軸方向の外側へ延びる第2の円筒部11dを設け、第2の円筒部11dの外周に多極磁石14を固定している。すなわち、第2の円筒部11dの先端には外径側へ延びる加締板部11eを一体に設け、この加締板部11eを加締ることで、多極磁石14に第2の円筒部11dの外周面に固定している。立板部11bは円筒部11aから外径側に延びている。すなわち、この例の芯金11Aは、円筒部11a、立板部11b、および第2の円筒部11dが順次続く断面概ね逆Z字状の部分に、その第2の円筒部11dの先端から加締板部11eが外径側へ一体に延びた形状のものとされている。磁気センサ15は、多極磁石14に対して径方向に対面配置する。
【0049】
なお、上記各実施形態の磁気エンコーダ10は、いずれも軸受のシール装置5の構成部品とした場合につき説明したが、これら各実施形態の磁気エンコーダ10は、シール装置5の構成部品とするものに限らず、単独で回転検出に利用することができる。例えば、図1の実施形態における磁気エンコーダ10を、シール装置5とは別に軸受に設けても良い。
また、図11に示すように、磁気エンコーダ10Aは、多極磁石14が径方向に向くように、円筒状の芯金11Cの外径面に多極磁石14を設けた構成のものとしても良い。その場合に、磁気エンコーダ10を、車輪用軸受における外方部材2Aの外径面に嵌合させて設けても良い。同図の車輪用軸受は、内方部材1Aおよび外方部材2Aのうちの外方部材2Aを回転側の部材とし、外方部材2Aに車輪取付フランジ26を設けたものである。シール装置5Aは、磁気エンコーダ10Aとは別に軸受に設けられる。外方部材2Aは一対の分割内輪18A,19Aからなる。
【0050】
【発明の効果】
この発明の磁気エンコーダは、円周方向に交互に磁極を形成した多極磁石と、この多極磁石を支持する芯金とを備えた磁気エンコーダにおいて、上記多極磁石を、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体からなるものとし、上記磁性粉を湿式異方性フェライトコア粉砕粉としたため、安定したセンシングの得られる磁力を確保しながら薄肉化できて、磁気エンコーダのコンパクト化が図られ、また耐摩耗性が優れたものとなる。しかも、コーダ部分となる多極磁石の製造においても粉体同士のドライブレンドによる混合粉の焼結成形法は、従来のエラストマーや弾性部材の場合の射出成形や圧縮成形に比べて加硫工程などがなく、また成形上の負荷が少ないため生産工程を大幅に簡略化することができる。また、この多極磁石の芯金への取付けは、簡便な加締加工や圧入加工等の機械的固定法で行えることから、たとえ高低温環境下で過酷な条件にさらされても信頼性を保持することができる。さらに、磁性粉として湿式異方性フェライトコア粉砕粉を用いるため、材料コストが安価となる。
この発明の車輪用軸受は、この発明の磁気エンコーダを備えたものであるため、コンパクトな構成で回転検出が行え、かつ回転検出のための磁気エンコーダの耐久性に優れたものとなる。特に、シール装置の構成要素を磁気エンコーダとした場合は、部品点数を増やすことなく、車輪の回転を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の第1の実施形態にかかる磁気エンコーダの部分斜視図、(B)は同磁気エンコーダの組立過程を示す部分斜視図である。
【図2】同磁気エンコーダを正面から示す磁極の説明図である。
【図3】同磁気エンコーダを備えたシール装置と磁気センサとを示す部分破断正面図である。
【図4】グリーン体を焼結体とする工程図である。
【図5】この発明の他に実施形態にかかる磁気エンコーダの部分斜視図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態にかかる磁気エンコーダの部分斜視図である。
【図7】この発明のさらに他の実施形態にかかる磁気エンコーダの部分斜視図である。
【図8】第1の実施形態にかかる磁気エンコーダを備えた車輪用軸受の全体の断面図である。
【図9】同車輪用軸受の部分断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の磁気エンコーダ部分の断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受の断面図である。
【符号の説明】
1…内方部材
2…外方部材
1A…内方部材
2A…外方部材
3…転動体
5…シール装置
10…磁気エンコーダ
11,11A,11B…芯金(第1のシール板)
11a…円筒部
11b…立板部
11c…他筒部
12…第2のシール板
14…多極磁石
15…磁気センサ
16a…サイドリップ
16b,16c…ラジアルリップ
20…回転検出装置[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a magnetic encoder used for a rotation detecting device or the like of a bearing portion that rotates relatively, and a wheel bearing provided with the magnetic encoder. For example, the present invention relates to a rotation detecting device that detects front and rear wheel rotation speeds in an antilock brake system of an automobile. The present invention relates to a magnetic encoder which is a component of a bearing seal to be mounted.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, the following structure is often used as an anti-skid rotation detecting device for preventing a skid of an automobile. That is, the rotation detecting device is composed of a toothed rotor and a sensing sensor. At this time, the rotation detecting device is generally separated from the sealing device for sealing the bearing and constitutes one independent rotation detecting device. It is a target.
Such a conventional example has a structure in which a toothed rotor fitted to a rotating shaft is detected and detected by a rotation detecting sensor attached to a knuckle, and a bearing used is provided independently on its side. The sealing device provided protects against ingress of moisture or foreign matter.
[0003]
As another example, Patent Document 1 discloses a bearing seal having a rotation detecting device for detecting wheel rotation for the purpose of reducing the mounting space of the rotation detecting device and dramatically improving the sensing performance. An elastic member mixed with magnetic powder is radially vulcanized and bonded in the radial direction of a slinger to be used, and a magnetic pole is alternately arranged there.
Japanese Patent Application Laid-Open No. H11-163873 discloses a method for reducing the size in the axial direction, improving the degree of sealing between the rotating member and the fixed member, and enabling easy attachment. A rotary disk is mounted on the rotating member, and a coder built-in hermetically sealed structure in which a multi-polar coder is mounted on the rotary disk is shown. The coder to be used is made of an elastomer to which magnetic particles are added, and is a sealing means in which the side surface of the coder is substantially flush with the side surface of the fixing member.
[0004]
A plastic (plastomer) coder containing magnetic powder or magnetic particles can be shaped using a mold that matches the product shape, as in conventional injection molding and compression molding. The sheet is formed by extruding using a T-shaped die or sheet forming such as calendering, and is formed into a product shape by punching, and then adhesively fixed on a metal substrate with an adhesive or the like It may be manufactured. Further, in this case, the metal substrate may be assembled in a mold in advance as in the case of insert molding, and thereafter, a molten resin may be poured into the metal substrate and the bonding process may be performed at the same time.
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2816783 [Patent Document 2]
Published Hei 6-281018
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, among the conventional examples described above, in the bearing seals disclosed in Patent Literature 1 and Patent Literature 2, an elastic member mixed with magnetic powder is circumferentially vulcanized and bonded in a radial direction of a slinger used therein. If the coder is made into an elastomer with magnetic particles added as a coder built-in sealed structure with a multi-polar coder attached, an elastomer or elastic member component that serves as a binder for holding magnetic powder or magnetic particles is required. Become. However, when an elastomer or an elastic member component is used as a binder, a dispersion step by kneading magnetic powder or magnetic particles with an elastomer or an elastic member is always required before shaping into a coder shape. Since it is difficult to increase the relative content (volume fraction) of the magnetic powder and the magnetic particles, it is necessary to increase the thickness of the coder in order to obtain a magnetic force stably sensed by the magnetic sensor.
[0007]
In addition, the molding of an elastic member or elastomer coder containing magnetic powder or magnetic particles is performed using a mold suitable for the product shape, such as injection molding or compression molding. If necessary, the mold had to be held under pressure for the required vulcanization time, which required many steps in production.
Furthermore, coder made of an elastic member or elastomer containing magnetic powder or magnetic particles can reduce the mounting space for the rotation detector and increase the sensing performance, for example, in a bearing seal with a rotation detector for wheel rotation detection. In order to improve the performance, the sensing sensor must be arranged at a position close to and axially opposed to the slinger used therein. However, in this case, if foreign particles such as sand particles enter and are caught in the gap between the bearing seal surface on the rotating side and the sensing sensor surface on the fixed side while the vehicle is traveling, the elastic member or the coder surface made of elastomer may be worn. Severe damage was sometimes noted.
[0008]
In the case of plastic (plastomer) coders containing magnetic powder or magnetic particles, they are manufactured by sheet molding such as the above-mentioned conventional injection molding, compression molding, extrusion molding using a T-die, calendar molding, and insert molding. If this is attempted, a synthetic resin component serving as a binder for holding the magnetic powder and the magnetic particles is also required. However, even when a synthetic resin component is used as a binder, a dispersion step by kneading magnetic powder or magnetic particles with a plastomer or an elastic member is always required before forming into a coder shape, similarly to an elastomer or the like. After all, in this process, it is difficult to increase the relative content (volume fraction) of the magnetic powder and the magnetic particles with respect to the binder component in the coder. The dimensions had to be increased. In addition, the material before molding produced by kneading the magnetic powder or the magnetic particles with the plastomer or the elastic member by the conventional manufacturing method is injected (injected) into a mold or compressed (compressed) and applied to a coder. When forming, or when shaping by insert molding etc., the magnetic particle component contained in the material is a metal oxide, so it is hard, and in mass production, wear of molds and molding machines becomes a problem, and The pre-molding material having a high content of the magnetic particle component has a problem that the melt viscosity is high and the molding load is increased, for example, the molding pressure and the mold clamping force are increased.
[0009]
Even in the case of sheet molding such as extrusion molding and calendar molding using a T-shaped die, the magnetic particle component contained in the material is a metal oxide and is hard. Roll wear was a problem.
[0010]
Therefore, the present applicant has previously proposed a multi-pole magnet in a magnetic encoder which is a sintered body obtained by sintering a mixed powder of a magnetic powder and a non-magnetic metal powder (Japanese Patent Application No. 2001-290300). . It describes various types of magnetic powder and non-magnetic metal powder. However, in the magnetic powder disclosed in this application, it is desired to further increase the strength in order to form a thin-walled large-diameter ring.
[0011]
An object of the present invention is to provide a magnetic encoder which can be made thinner, has excellent wear resistance, and is excellent in productivity and cost.
Another object of the present invention is to provide a wheel bearing capable of performing rotation detection with a compact configuration without increasing the number of parts, and having excellent durability of a magnetic encoder for rotation detection.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
A magnetic encoder according to the present invention is a magnetic encoder including a multi-pole magnet having magnetic poles alternately formed in a circumferential direction and a metal core supporting the multi-pole magnet, wherein the multi-pole magnet is made of a magnetic powder and a non-magnetic material. A sintered body obtained by sintering a mixed powder with a metal powder, wherein the magnetic powder is a wet-type anisotropic ferrite core ground powder. The multi-pole magnet is formed in an annular shape such as an annular shape, or in a disk shape. The core metal is also formed in an annular shape such as an annular shape or in a disk shape. When a pulverized powder of a wet anisotropic ferrite core is used, it is desired to form a mixed powder of the pulverized powder and a nonmagnetic metal powder into a green body in a magnetic field. The multi-pole magnet is constituted by a sintered body obtained by sintering the green body. A green body is a green compact.
According to this configuration, since the multipolar magnet is a sintered body obtained by sintering a mixed powder of a magnetic powder and a nonmagnetic metal powder, the following advantages can be obtained.
▲ 1 ▼. The ratio of magnetic powder can be increased as compared with conventional elastomers and plastomers, and therefore, the magnetic force per unit volume can be increased. Thereby, the detection sensitivity can be improved and the thickness can be reduced.
▲ 2 ▼. Compared to a conventional sintered magnet obtained by sintering only magnetic powder, it is less likely to break due to the presence of nonmagnetic metal powder as a binder.
(3). Since the surface is harder than conventional elastomers and the like, it has excellent wear resistance and is hardly damaged.
▲ 4 ▼. Excellent productivity compared to conventional elastomers.
▲ 5 ▼. Since the magnetic powder is a wet-type anisotropic ferrite core pulverized powder, it is inexpensive as compared with other magnetic powders, and if it is used, a magnetic encoder can be manufactured at low cost. In particular, compared to other ferrite powders, magnetic powders with high orientation and high strength can be formed, and thinner, large-diameter ring-shaped sintered bodies can be formed.
[0013]
The reason why such an action is obtained will be exemplified.
The magnetic powder and the nonmagnetic metal powder are mixed at a predetermined mixing ratio using a powder mixer, and the mixed powder is subjected to pressure molding in a mold at normal temperature to obtain a green compact.
At this time, the sintered body composed of the mixed magnetic powder mixed with the magnetic powder using the non-magnetic metal powder as a binder is dispersed in a powder mixer while adjusting the composition ratio of the non-magnetic metal powder and the magnetic powder. Since the dry blending can be performed, the relative content (volume fraction) of the magnetic powder in the sintered body can be increased. Therefore, a magnetic force stably sensed by the magnetic sensor can be easily obtained, and it is not necessary to make the multipole magnet thick.
Moreover, even in the production of sintered bodies as multi-pole magnets, the sintering of mixed powders by dry blending of powders is more vulcanized than injection molding and compression molding of conventional elastomers and elastic members. Since there are no processes and the load on molding is small, the production process can be greatly simplified. Further, in the case of molding a green compact by sintering, there is no problem such as wear of a mold as compared with injection molding or compression molding of an elastomer or an elastic member.
In addition, since the multi-pole magnet sintered body can be attached to the core metal by a simple crimping process or a mechanical fixing method such as press-fitting, even under severe conditions in a high-low temperature environment. Even if it is done, reliability can be maintained.
[0014]
The magnetic encoder having this configuration is used for rotation detection with a magnetic sensor facing a multipolar magnet. When this magnetic encoder is rotated, the passage of each magnetic pole of the multipolar magnet is detected by a magnetic sensor, and the rotation is detected in the form of a pulse. Since the multi-pole magnet is made of a sintered body mixed with magnetic powder, as described above, it is possible to reduce the thickness while securing the magnetic force for obtaining stable sensing, and to reduce the size of the magnetic encoder and to reduce wear. Since the metal core and the multi-pole magnet can be integrated with each other by an assembling method such as caulking or press-fitting, it is also excellent as a fixing method.
[0015]
The nonmagnetic metal powder may be stainless steel powder or tin powder. Stainless steel powder is more excellent in rust prevention than other non-magnetic metal powders, and a sintered body using the same is excellent in rust prevention.
[0016]
Both the magnetic powder and the non-magnetic metal powder used in the mixed powder preferably have an average particle size of 10 μm or more and 150 μm or less.
If the average particle size of one or both of these powders is smaller than 10 μm, the mixed powder hardly flows into the mold when obtaining a green compact, and a green compact having a predetermined shape cannot be formed. If the average particle size of one or both of these powders is larger than 150 μm, no green compact strength is obtained.
[0017]
In the composition in the mixed powder, the volume content of the nonmagnetic metal powder is preferably 1 vol% or more and 90 vol% or less.
If the volume content of the non-magnetic metal powder that is not a magnetic powder is less than 1 vol%, the non-magnetic metal powder as a metal binder is small, and the multipolar magnet obtained after sintering is hard but brittle. In some cases, a green compact cannot be formed. If the volume content of the non-magnetic metal powder which is not a magnetic powder is more than 90 vol%, it is difficult to secure a magnetic force for obtaining a desired stable sensing because the magnetic component is relatively small.
[0018]
It is preferable that the green compact before sintering of the mixed powder has pores of 5 vol% or more and 30 vol% or less. If the porosity is less than 5 vol%, the green compact may be damaged by springback caused by recovery of the elastic deformation of the raw material powder when the molding pressure is released. On the other hand, if the number of pores is more than 30 vol%, the mechanical strength of the sintered body becomes weak, so that it is difficult to mechanically fix the core on the core metal by crimping or press-fitting, and the adhesion between particles is also difficult. Due to the shortage, the green compact may not be formed.
[0019]
The thickness of the sintered body to be the multipole magnet is preferably 0.3 mm or more and 5 mm or less. Since the magnetic powder and the non-magnetic metal powder are expensive, it is preferable that the plate thickness is thin. However, if the plate thickness is smaller than 0.3 mm, it is difficult to perform compacting. On the other hand, if the thickness is too large, uneven density of the green molded body is likely to occur, and deformation after firing tends to occur. From these points, the plate thickness is preferably 0.3 mm to 5 mm.
[0020]
A wheel bearing according to the present invention includes the magnetic encoder having any one of the above-described configurations according to the present invention.
Wheel bearings are generally exposed to the environment of the road surface, and particles such as sand particles may bite between the magnetic encoder and the magnetic sensor facing the wheel encoder. Like protected.
That is, the surface hardness of the multi-pole magnet of the sintered body composed of the magnetic powder and the non-magnetic metal powder is harder than that of a conventional elastic member or elastomer coder containing magnetic powder or magnetic particles. Therefore, in a wheel bearing with a magnetic encoder for detecting wheel rotation, particles such as sand particles enter the gap between the surface of the rotating multipole magnet and the surface of the fixed magnetic sensor during vehicle running. Even in rare cases, there is a significant effect of reducing wear damage of the multipolar magnet.
[0021]
In the wheel bearing of the present invention, a component of the sealing device for sealing the bearing space may be a magnetic encoder. For example, this wheel bearing includes an outer member having a double-row rolling surface formed on an inner peripheral surface, an inner member having a rolling surface opposed to the rolling surface of the outer member, and both of these. A wheel bearing for supporting a wheel rotatably with respect to a vehicle body, comprising a double row of rolling elements interposed between rolling surfaces, and sealing an annular space between the outer member and the inner member. A sealing device may be provided.
In this case, the seal device includes a first seal plate fitted to a rotation side member of the outer member or the inner member, and the outer member or the first seal plate opposed to the first seal plate. A second seal plate having an L-shaped cross section fitted to the fixed side member of the inner member, and a side lip that slides on the upright plate portion of the first seal plate and a cylindrical portion that slides on the first seal plate. A radial lip is fixed to the second seal plate, the first seal plate serves as a metal core of the magnetic encoder, and the multipole magnet is provided at least partially on an upright portion thereof. May be.
[0022]
The first seal plate has, for example, a substantially inverted Z-shape in cross section, and includes a fitting-side cylindrical portion fitted to the rotating-side member, a standing plate portion, and another cylindrical portion. May be. The first seal plate may have an L-shaped cross section.
[0023]
In the case of the wheel bearing having such a configuration, since the constituent elements of the sealing device are magnetic encoders, the rotation of the wheel can be detected with a more compact configuration without increasing the number of parts. Further, when a magnetic encoder is configured in the sealing device in this manner, biting of sand particles or the like between the magnetic encoder and the magnetic sensor due to being exposed to the above road surface environment becomes a problem. As described above, since the surface hardness of the multipolar magnet is hard, an effect of reducing wear damage can be obtained. In addition, in the case of this configuration, an excellent sealing effect can be obtained by, for example, sliding the side lip and the radial lip fixed to the second seal plate on the first seal plate.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
A first embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. As shown in FIG. 1, the magnetic encoder 10 includes an annular metal core 11 made of metal, and a multipolar magnet 14 provided on the surface of the metal core 11 along the circumferential direction. The multipole magnet 14 is a member that is magnetized to be multipolar in the circumferential direction, and has magnetic poles N and S formed alternately, and is made of a multipole magnetized magnetic disk. The magnetic poles N and S are formed to have a predetermined pitch p in the pitch circle diameter PCD (FIG. 2). This magnetic encoder 10 is attached to a rotating member (not shown), and is used for rotation detection with a magnetic sensor 15 facing a multipolar magnet 14 as shown in FIG. The rotation detection device 20 is configured by the sensor 15. The figure shows an application example in which the magnetic encoder 10 is a component of the sealing device 5 for a bearing (not shown), and the magnetic encoder 10 is attached to a bearing ring on the rotating side of the bearing. The sealing device 5 includes a magnetic encoder 10 and a fixed sealing member 9. The specific configuration of the sealing device 5 will be described later.
[0025]
As the magnetic powder mixed into the multipole magnet 14, a pulverized powder composed of a wet anisotropic ferrite core is used. In the case of using the pulverized powder comprising the wet anisotropic ferrite core, it is necessary to form an anisotropic green body formed by mixing a mixed powder with a non-magnetic metal powder in a magnetic field.
[0026]
The non-magnetic metal powder forming the multi-pole magnet 14 may be a powder of tin, copper, aluminum, nickel, zinc, tungsten, manganese, or the like, or a non-magnetic stainless steel powder alone (one type). A body, a mixed powder of two or more kinds, or an alloy powder of two or more kinds can be used.
[0027]
The average particle diameter of both the magnetic powder and the non-magnetic metal powder is preferably 10 μm or more and 150 μm or less, and more preferably 20 μm or more and 130 μm or less. If the average particle size of one or both of these powders is smaller than 10 μm, even if an attempt is made to obtain a green compact by forming a mixed powder and pressing it in a mold at room temperature, it is well mixed in the mold. In some cases, the powder does not flow, and a green compact having a predetermined shape cannot be formed. If the average particle size of one or both of these powders is larger than 150 μm, the powder compact strength may be obtained by forming a mixed powder under pressure in a mold at room temperature. Since no mold is produced, the mold cannot be removed from the mold and molding cannot be performed.
The magnetic powder and the non-magnetic metal powder having the above-mentioned average particle size range are mixed at a predetermined mixing ratio using a powder mixer, and the mixed powder is subjected to pressure molding in a mold at normal temperature. Obtain powder.
[0028]
In the mixing in the powder mixture forming the multipole magnet 14, the volume mixing ratio of the nonmagnetic metal powder that is not a magnetic powder is preferably 1 vol% or more and 90 vol% or less, but is preferably 5 vol% or more and 85 vol% or less, more preferably. 10 vol% or more and 80 vol% or less are good.
If the volume content of the non-magnetic metal powder that is not a magnetic powder is less than 1 vol%, the non-magnetic metal powder as a metal binder is small, so that the multipolar magnet 14 obtained after sintering is hard but brittle. For this reason, as will be described later, even if the sintered body to be the multipolar magnet 14 is mechanically fixed on the metal core 11 by caulking or press-fitting, it will be broken. Further, there is a case where the green compact cannot be formed because the amount is too small as the metal binder.
If the volume content of the non-magnetic metal powder which is not a magnetic powder is more than 90 vol%, since the magnetic component is relatively small, the magnetized strength of the obtained multipolar magnet 14 cannot be increased after sintering. However, it is not possible to secure the magnetic force for obtaining the desired stable sensing.
[0029]
The linear expansion coefficient of the multipolar magnet 14 obtained after sintering is preferably 0.5 × 10 −5 or more and 9.0 × 10 −5 or less, and more preferably 0.8 × 10 −5 or more and 7 × It is preferably 10-5 or less, more preferably 0.9 × 10-5 or more and 5 × 10-5 or less.
The linear expansion coefficient of the metal material used as the material of the cored bar 11 is, for example, 1.0 × 10 −5 in the case of stainless steel (SUS430 of JIS standard). When the coefficient of linear expansion of the multipole magnet 14 is larger than 0.5 × 10 −5 or smaller than 9 × 10 −5, the difference between the coefficient of linear expansion of the core metal 11 and the metal material is large. When used in a high-low temperature environment, the difference in dimensional change becomes large, and the multipole magnet 14 and the metal core 11 may interfere with each other and damage the multipole magnet 14. In addition, it becomes impossible to secure the fixation of the multipole magnet 14 and the core metal 11.
[0030]
In preparing the green compact, a lubricant such as zinc stearate may be added at the time of mixing the magnetic powder and the non-magnetic metal powder to improve the green compactability.
It is desirable that these green compacts (green bodies) have pores of 5 to 30 vol%. Preferably it is 12 to 22 vol%, more preferably 14 to 19 vol%. If the porosity is less than 5 vol%, the green compact may be damaged by springback caused by recovery of the elastic deformation of the raw material powder when the molding pressure is released. If the number of vacancies is more than 30 vol%, the mechanical strength of the sintered body is weakened. Therefore, as described later, the sintered body is cracked even if it is mechanically fixed on the metal core 11 by crimping or press-fitting. Would. Further, there is a case where a green compact cannot be formed due to insufficient adhesion between particles.
[0031]
Since the magnetic powder and the non-magnetic metal powder are expensive, it is preferable that the plate thickness is thin. From the viewpoint of compression moldability and handling, the preferred thickness is 0.3 mm to 5 mm, and more preferably 0.6 mm to 3 mm. If the plate thickness is less than 0.3 mm, it is difficult to fill the mold, and it is difficult to obtain a green molded body. Further, the obtained green molded body is not preferable because the green molded body may be damaged during handling. On the other hand, when the plate thickness of the green molded body is larger than 10 mm, the moldability and the handling are improved, but the cost is disadvantageous. On the other hand, if the thickness is too large, the density unevenness of the green molded body is likely to occur, and there is a problem that deformation after firing tends to occur. From these points, the plate thickness is preferably 0.3 mm to 5 mm.
The obtained green compact is heated and sintered in a furnace as shown in FIG. 4 to obtain a disc-shaped sintered body. The heat sintering in the furnace may be performed in the air in an electric furnace, or may be performed in a vacuum furnace or in a pusher furnace or an inert furnace while flowing an inert gas.
[0032]
The sintered body forming the magnetic encoder 10 may be provided with, for example, a rust-proof coating 22 as shown in FIG. This rust prevention coating 22 is, in other words, an anticorrosion coating. A clear anticorrosive paint of a clear system can be used for the rust preventive coating 22. This paint can also be expected to have an effect as an adhesive between the cored bar 11 and the sintered body, penetrates into the pores of the surface layer of the sintered porous body, and is suitably held on the surface by the anchor effect of the clear coating film component. Even when used for a long period of time, good adhesion can be maintained as a rust preventive coating layer.
[0033]
The metal used as the material of the cored bar 11 is preferably a magnetic material, particularly a metal that is a ferromagnetic material. For example, a magnetic steel plate having rustproofing properties is used. As such a steel sheet, a ferritic stainless steel sheet (such as SUS430 based on JIS), a rust-proofed rolled steel sheet, or the like can be used.
[0034]
The shape of the metal core 11 can be various annular shapes, but a shape that can fix the multipolar magnet 14 is preferable. In particular, a shape capable of mechanical fixing such as crimping fixing or fitting fixing is preferable.
In the case of caulking and fixing, for example, as shown in FIG. 1B, the core metal 11 includes a cylindrical portion 11a on the inner diameter side which is a fitting side, a standing plate portion 11b extending from one end to the outer diameter side, It has a substantially inverted Z-shape in cross section formed with the other cylindrical portion 11c of the rim.
The cylindrical portion 11a, the standing plate portion 11b, and the other cylindrical portion 11c are integrally formed by pressing a metal plate such as a steel plate. The standing plate portion 11b is formed flat, and a non-magnetized sintered body of the multi-pole magnet 14 is assembled on the surface of the flat standing plate portion 11b so as to crimp the outer cylindrical portion 11c. Thus, the multipolar magnet 14 is fixed so as to overlap the standing plate portion 11b of the metal core 11. The distal end portion or substantially the entirety of the other cylindrical portion 11c in the cross section serves as a caulking portion. The caulking portion extends over the entire circumference of the cored bar 11 in the circumferential direction, and thus has an annular shape. The portion fixed by the other cylindrical portion 11c, which is the caulking portion of the multipole magnet 14, is a concave portion 14a that is recessed from the surface of the multipole magnet 14 that is to be the detection surface. Is prevented from protruding from the surface of the multipole magnet 14 which is to be detected. The concave portion 14a is formed as a stepped portion that is slightly receded to the rear side from the surface of the multipole magnet 14 that is to be detected. A portion of the outer peripheral edge of the multipole magnet 14 on the back surface side from the recessed portion 14a has an arc-shaped curved surface, and a crimped portion of the other cylindrical portion 11c is formed along this curved surface portion. The caulking fixation may be partially performed at a plurality of locations in the circumferential direction.
[0035]
As shown in FIG. 6, for example, the cored bar 11 may be formed in an annular shape having an L-shaped cross section including a cylindrical portion 11a on the inner diameter side and a standing plate portion 11b ″ extending from one end to the outer diameter side. The cylindrical portion 11a and the upright portion 11b "are formed by pressing integrally from a metal plate such as a steel plate. The upright portion 11b "is formed flat, and the disc-shaped sintered body to be the multipolar magnet 14 is pressed into the outer periphery of the cylindrical portion 11a and fixed up to the flat upright portion 11b". The height of the standing plate portion 11b ″ is set to a height at which the vicinity of the inner peripheral portion of the multipole magnet 14 hits.
[0036]
In each of the above examples, the core metal 11 is made of a steel plate press-formed product. However, as shown in FIG. 11, the core metal 11 may be made of a machined product such as a steel material. In the example of the core metal 11 shown in the figure, the groove 11ba of the upright portion 11b is used as a cutting groove.
[0037]
As described above, the mixed magnetic powder sintered magnet disk provided along the circumferential direction on the core metal 11 which is a metal annular member is magnetized into multiple poles in the circumferential direction to become the multi-pole magnet 14, and this multi-pole magnet 14 is formed. The magnet 14 and the metal core 11 constitute the magnetic encoder 10. In this case, the mixed magnetic powder sintered magnet disk (sintered body) in which the magnetic powder is mixed with the nonmagnetic metal powder as a binder is mixed with a powder mixer while adjusting the composition ratio of the nonmagnetic metal powder and the magnetic powder. By dispersing, a dry blend of powders can be obtained. Therefore, the relative content (volume fraction) of the magnetic powder in the sintered body can be increased. Therefore, a magnetic force stably sensed by the magnetic sensor 15 (FIG. 3) can be easily obtained, and it is not necessary to make the multipolar magnet 14 thick.
[0038]
As described above with reference to FIG. 3, the magnetic encoder 10 having this configuration is used for rotation detection with the magnetic sensor 15 facing the multipolar magnet 14. When the magnetic encoder 10 is rotated, the passage of each of the multipole magnetized magnetic poles N and S of the multipole magnet 14 is detected by the magnetic sensor 15, and the rotation is detected in the form of a pulse. The pitch p (FIG. 2) of the magnetic poles N and S can be finely set, and for example, a pitch p of 1.5 mm and a pitch difference of ± 3% can be obtained, thereby enabling highly accurate rotation detection. The pitch difference is a value indicating the difference in the distance between the magnetic poles detected at a position separated from the magnetic encoder 10 by a predetermined distance as a ratio to the target pitch. When the magnetic encoder 10 is applied to the bearing seal device 5 as shown in FIG. 3, the rotation of the bearing to which the magnetic encoder 10 is attached is detected.
Since the multi-pole magnet 14 is made of a sintered body (mixed magnetic powder sintered disk) mixed with magnetic powder, as shown below, it is possible to reduce the thickness while securing the magnetic force for obtaining stable sensing, and 10 can be made compact, and has excellent wear resistance and excellent productivity.
[0039]
Further, the surface hardness of the multipole magnet 14 is higher than that of a conventional elastic member or elastomer coder containing magnetic powder or magnetic particles. Therefore, when applied to the rotation detecting device 20 for detecting wheel rotation, particles such as sand particles may be caught in the gap between the surface of the multipole magnet 14 on the rotating side and the surface of the magnetic sensor 15 on the fixed side while the vehicle is running. Even if it is inserted, the multipole magnet 14 is hardly damaged by abrasion, and has an effect of greatly reducing abrasion as compared with the conventional elastic body.
Also, since a wet anisotropic ferrite core ground powder is used as the magnetic powder, it is superior to other ferrite-based magnetic powders in the following points. Ferrite-based magnetic powder is generally a fine powder having a low residual magnetic flux density (Br) and an average particle size of about 1 μm. Strong wet anisotropy in which the easy axis of ferrite is oriented to hardness by magnetically forming and sintering anisotropic ferrite powder in which a small amount of elements such as barium and strontium are added to ferrite magnetic powder. A hard ferrite core sintered body is obtained. However, this hard ferrite core cannot be formed into a thin large-diameter ring having a thickness of about 2.5 mm or less and an outer diameter of about 80 mm and a width of about 5 mm, for example, because the material is easily broken. Although the thick ring can be sintered in advance and a thin ring can be obtained by shaving, it is a very complicated process and is not economical. For this reason, in this embodiment, a highly oriented wet anisotropic hard ferrite core is used, on the contrary, to be crushed to a desired particle size by utilizing the easiness of cracking. Obtained. Then, the magnetic powder was sintered using tin powder as a binder to obtain a sintered body of the thin large-diameter ring. Generally, in powder molding of a mixed powder, if the particle diameters of the powders to be mixed are too different, the dispersion is poor and a uniform molded product cannot be obtained. Further, when the particles are fine powder of about 1 μm, the flow may be poor, and the molding cycle is often lengthened. In this embodiment, as described above, the wet anisotropic hard ferrite core is pulverized in accordance with the particle size of the tin powder to obtain the ferrite powder, so that problems such as dispersibility and fluidity can be avoided.
The following advantages are obtained when a wet anisotropic ferrite core pulverized component is used as the magnetic powder, as compared with a case where a magnetic powder other than ferrite, for example, a rare earth magnetic powder is used. The ferrite powder and the tin powder do not rust under the predetermined use conditions as the raw material powder of the product of the present invention. In comparison, when a rare-earth magnetic powder is used as a raw material powder, rust is likely to occur, so that rust prevention treatment is always required. This rust prevention treatment must be a treatment that can withstand the use conditions of the product of the present invention, and requires a very high rust prevention ability. That is, the processing is complicated and economically expensive. When the ferrite powder of the present case is used, such a rust preventive treatment becomes unnecessary.
The flatness of the surface of the mixed magnetic powder sintered magnet disk serving as the multipole magnet 14 provided along the circumferential direction on the metal core 11 which is a metal annular member is preferably 200 μm or less, and more preferably 100 μm or less. . If the flatness of the disk surface is higher than 200 μm, the gap (air gap) between the magnetic sensor 15 and the disk surface changes during the rotation of the magnetic encoder 10, thereby deteriorating the sensing accuracy.
For the same reason, the surface runout of the surface of the mixed magnetic powder sintered magnet disk during rotation of the magnetic encoder 10 is preferably 200 μm or less, and more preferably 100 μm or less.
[0040]
Next, an example of a wheel bearing provided with the magnetic encoder 10 and an example of the sealing device 5 will be described with reference to FIGS. As shown in FIG. 8, the wheel bearing includes an inner member 1 and an outer member 2, a plurality of rolling elements 3 housed between the inner and outer members 1 and 2, and an inner member 1 and an outer member 2. And sealing devices 5 and 13 for sealing the end annular space. The sealing device 5 at one end has a magnetic encoder 10. The inner member 1 and the outer member 2 have the raceway surfaces 1a, 2a of the rolling elements 3, and each raceway surface 1a, 2a is formed in a groove shape. The inner member 1 and the outer member 2 are inner and outer members rotatable with respect to each other via the rolling elements 3, respectively. Alternatively, it may be an assembly member in which the bearing inner ring or the bearing outer ring is combined with another component. Further, the inner member 1 may be a shaft. The rolling element 3 is formed of a ball or a roller. In this example, a ball is used.
[0041]
This wheel bearing is a double-row rolling bearing, more specifically, a double-row angular ball bearing. The bearing inner ring has a pair of split-type bearings on which raceway surfaces 1a, 1a of each rolling element row are formed. It consists of inner rings 18 and 19. The inner rings 18 and 19 are fitted on the outer periphery of the shaft portion of the hub wheel 6, and constitute the inner member 1 together with the hub wheel 6. It should be noted that the inner member 1 is formed by integrating the hub wheel 6 and one inner ring 18 instead of the three-part assembled part including the hub wheel 6 and the pair of split inner rings 18 and 19 as described above. It may be composed of two parts including a hub ring with a raceway surface and the other inner ring 19.
[0042]
One end (for example, an outer ring) of a constant velocity universal joint 7 is connected to the hub wheel 6, and a wheel (not shown) is attached to a flange portion 6 a of the hub wheel 6 with a bolt 8. The other end (for example, the inner ring) of the constant velocity universal joint 7 is connected to the drive shaft.
The outer member 2 is formed of a bearing outer ring, and is attached to a housing (not shown) formed of a knuckle or the like in a suspension device. The rolling elements 3 are held by a holder 4 for each row.
[0043]
FIG. 9 shows the sealing device 5 with a magnetic encoder in an enlarged manner. This sealing device 5 is the same as that shown in FIG. 3, and a part thereof has been described above, but the details will be described with reference to FIG. In the sealing device 5, the magnetic encoder 10 or its core metal 11 serves as a slinger, and is attached to the rotating member of the inner member 1 and the outer member 2. In this example, since the member on the rotation side is the inner member 1, the magnetic encoder 10 is attached to the inner member 1.
[0044]
The seal device 5 has first and second annular metal seal plates (11) and 12 attached to the inner member 1 and the outer member 2, respectively. The first seal plate (11) is the core metal 11 in the magnetic encoder 10, and will be described below as the core metal 11. The magnetic encoder 10 according to the first embodiment described above with reference to FIGS. 1 to 3 will not be described. By arranging the magnetic sensor 15 as shown in FIG. 2 so as to face the multipolar magnet 14 in the magnetic encoder 10, a rotation detection device 20 for detecting the wheel rotation speed is configured.
[0045]
The second seal plate 12 is a member constituting the above-mentioned seal member 9 (FIG. 3), and slides on the side lip 16a and the cylindrical portion 11a which are in sliding contact with the upright plate portion 11b of the core metal 11, which is the first seal plate. It has radial lips 16b and 16c that are in contact with each other. These lips 16a to 16c are provided as a part of the elastic member 16 which is vulcanized and bonded to the second seal plate 12. The number of these lips 16a to 16c may be arbitrary, but in the example of FIG. 9, one side lip 16a and two radial lips 16c and 16b located inside and outside in the axial direction are provided. The second seal plate 12 holds the elastic member 16 in a fitting portion with the outer member 2 which is a fixed-side member. That is, the elastic member 16 has a tip covering portion 16d covering from the inner diameter surface of the cylindrical portion 12a to the outer diameter of the tip portion, and the tip covering portion 16d is provided between the second seal plate 12 and the outer member 2. Interposed in the fitting part.
The cylindrical portion 12a of the second seal plate 12 and the other cylindrical portion 11c of the core metal 11, which is the first seal plate, are opposed to each other with a small radial gap, and a labyrinth seal 17 is formed by the gap.
[0046]
According to the wheel bearing of this configuration, the rotation of the inner member 1 that rotates together with the wheel is detected by the magnetic sensor 15 via the magnetic encoder 10 attached to the inner member 1, and the wheel rotation speed is detected. You.
Since the magnetic encoder 10 is a component of the sealing device 5, the rotation of the wheel can be detected without increasing the number of parts. The wheel bearing is generally exposed to the road surface environment, and particles such as sand particles may bite between the magnetic encoder 10 and the magnetic sensor 15 facing the same. Since the ten multipole magnets 14 are made of a sintered body and are hard, wear damage on the surface of the multipole magnets 14 is greatly reduced as compared with a conventional elastic body made of an elastic body. Further, the space at the bearing end of the wheel bearing 5 is a limited narrow space due to the presence of the constant velocity joint 7 and the bearing support member (not shown) in the periphery, but the multipole magnet 14 of the magnetic encoder 10 , The arrangement of the rotation detecting device 20 becomes easy.
As for the seal between the inner and outer members 1 and 2, the first seal plate is in sliding contact with the seal lips 16 a to 16 c provided on the second seal plate 12 and the cylindrical portion 12 a of the second seal plate 12. It is obtained with a labyrinth seal 17 constituted by the other cylindrical portion 11c of a certain core metal 11 facing with a slight radial gap.
[0047]
In the wheel bearings shown in FIGS. 8 and 9, the core 11 of the magnetic encoder 10 has the shape shown in FIG. 1. However, the magnetic encoder 10 is shown in FIGS. 5 to 7. Each example may be used.
Further, in the case where the magnetic encoder 10 is a component of the seal device 5 for a bearing, the multipolar magnet 14 may be provided inwardly with respect to the bearing, contrary to the above embodiments. That is, the multipole magnet 14 may be provided on the surface of the cored bar 11 inside the bearing. In this case, the core 11 is preferably made of a non-magnetic material.
[0048]
Further, the magnetic encoder 10 is not limited to the multipole magnet 14 oriented in the axial direction as in each of the above embodiments, but may be provided radially, for example, as shown in FIG. In the example shown in the figure, a second cylindrical portion 11d extending outward in the axial direction from a standing plate portion 11b is provided on a core metal 11A which is a seal plate serving as a slinger of the sealing device 5, and a second cylindrical portion 11d is provided. The multipole magnet 14 is fixed to the outer periphery. That is, a crimping plate portion 11e extending to the outer diameter side is integrally provided at the tip of the second cylindrical portion 11d, and by crimping this crimping plate portion 11e, the second cylindrical portion is attached to the multipole magnet 14. It is fixed to the outer peripheral surface of 11d. The upright portion 11b extends outward from the cylindrical portion 11a. That is, the core metal 11A of this example is applied from the tip of the second cylindrical portion 11d to a generally inverted Z-shaped section in which the cylindrical portion 11a, the standing plate portion 11b, and the second cylindrical portion 11d successively follow. The fastening plate 11e has a shape integrally extending to the outer diameter side. The magnetic sensor 15 is arranged to face the multipole magnet 14 in the radial direction.
[0049]
Although the magnetic encoder 10 of each of the above embodiments has been described as being a component of the seal device 5 of the bearing, the magnetic encoder 10 of each of the embodiments is a component of the seal device 5. The present invention is not limited to this, and can be used alone for rotation detection. For example, the magnetic encoder 10 in the embodiment of FIG. 1 may be provided on a bearing separately from the sealing device 5.
As shown in FIG. 11, the magnetic encoder 10A may have a configuration in which the multipole magnet 14 is provided on the outer diameter surface of the cylindrical core metal 11C so that the multipole magnet 14 faces in the radial direction. . In this case, the magnetic encoder 10 may be provided by fitting to the outer diameter surface of the outer member 2A in the wheel bearing. The wheel bearing shown in the figure has a configuration in which the outer member 2A of the inner member 1A and the outer member 2A is a member on the rotation side, and a wheel mounting flange 26 is provided on the outer member 2A. The sealing device 5A is provided on a bearing separately from the magnetic encoder 10A. The outer member 2A includes a pair of split inner rings 18A, 19A.
[0050]
【The invention's effect】
The magnetic encoder of the present invention is a magnetic encoder including a multipole magnet having magnetic poles formed alternately in a circumferential direction, and a core metal supporting the multipole magnet. Since it is made of a sintered body obtained by sintering a mixed powder with metal powder, and the magnetic powder is a wet-type anisotropic ferrite core pulverized powder, it can be thinned while securing a magnetic force for obtaining stable sensing, The size of the magnetic encoder can be reduced and the wear resistance can be improved. In addition, even in the production of multi-pole magnets to be the coder, the sintering of mixed powders by dry blending of powders requires a vulcanization step compared to conventional injection molding and compression molding of elastomers and elastic members. And the production load can be greatly simplified since there is no molding load. In addition, since the multipole magnet can be attached to the core metal by a simple mechanical fixing method such as crimping or press-fitting, reliability can be improved even under severe conditions in a high-low temperature environment. Can be held. Furthermore, since the wet anisotropic ferrite core ground powder is used as the magnetic powder, the material cost is reduced.
Since the wheel bearing of the present invention includes the magnetic encoder of the present invention, rotation detection can be performed with a compact configuration, and the durability of the magnetic encoder for detecting rotation is excellent. In particular, when a component of the sealing device is a magnetic encoder, the rotation of the wheel can be detected without increasing the number of parts.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1A is a partial perspective view of a magnetic encoder according to a first embodiment of the present invention, and FIG. 1B is a partial perspective view showing a process of assembling the magnetic encoder.
FIG. 2 is an explanatory diagram of magnetic poles showing the magnetic encoder from the front.
FIG. 3 is a partially broken front view showing a sealing device provided with the magnetic encoder and a magnetic sensor.
FIG. 4 is a process chart for converting a green body into a sintered body.
FIG. 5 is a partial perspective view of a magnetic encoder according to another embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a partial perspective view of a magnetic encoder according to still another embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a partial perspective view of a magnetic encoder according to still another embodiment of the present invention.
FIG. 8 is an overall cross-sectional view of a wheel bearing including the magnetic encoder according to the first embodiment.
FIG. 9 is a partial sectional view of the wheel bearing.
FIG. 10 is a sectional view of a magnetic encoder portion of a wheel bearing according to still another embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a sectional view of a wheel bearing according to still another embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Inner member 2 ... Outer member 1A ... Inner member 2A ... Outer member 3 ... Rolling element 5 ... Seal device 10 ... Magnetic encoders 11, 11A and 11B ... Core metal (first seal plate)
11a ... cylindrical part 11b ... standing plate part 11c ... other cylindrical part 12 ... second seal plate 14 ... multi-pole magnet 15 ... magnetic sensor 16a ... side lip 16b, 16c ... radial lip 20 ... rotation detecting device