JP2004084568A - Multistage compression type rotary compressor and displacement capacity ratio setting method therefor - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の回転圧縮要素で圧縮されて吐出された冷媒ガスを第2の回転圧縮要素に吸引し、圧縮して吐出する多段圧縮式ロータリコンプレッサ及びその排除容積比の設定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の多段圧縮式ロータリコンプレッサでは、図5に示すように第1の回転圧縮要素232の吸入ポート262から冷媒ガスがシリンダ240の低圧室側に吸入され、ローラ248とベーン252の動作により圧縮されて中間圧となり、シリンダ240の高圧室側の吐出ポート272より吐出される。そして、中間圧となった冷媒ガスは第2の回転圧縮要素234の吸入ポート261からシリンダ238の低圧室側に吸入され、ローラ246とベーン250の動作により2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり、高圧室側の吐出ポート270より吐出される。そして、コンプレッサから吐出された冷媒は、放熱器に流入し、放熱した後、膨張弁で絞られて蒸発器で吸熱し、第1の回転圧縮要素232に吸入するサイクルを繰り返すものであった。尚、図5において、216は電動要素の回転軸であり、227、228は吐出消音室262、264内に設けられ、吐出ポート270、272を開閉自在に閉塞する吐出弁である。
【0003】
ここで、第2の回転圧縮要素234の排除容積は第1の回転圧縮要素232の排除容積より小さくなるように設定される。この場合、従来では第1の回転圧縮要素232のシリンダ240の厚さ(高さ)寸法を第2の回転圧縮要素234のシリンダ238の厚さ寸法より厚く(高く)したり、第2の回転圧縮要素234のシリンダ238の内径を第1の回転圧縮要素232のシリンダ240の内径より小さくしたり、第2の回転圧縮要素234のローラ246の偏心量を小さく(ローラ246の外径を大きく)したりすることにより、第2の回転圧縮要素234の排除容積が第1の回転圧縮要素232の排除容積より小さくなるように設定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような多段圧縮式ロータリコンプレッサの排除容積比は使用用途により最適値があり、その都度回転軸の偏心量、ローラの外径、或いはシリンダの内径・高さといった部品の変更(素材型、加工設備、計測器等の変更を含む)を行わなければならなかった。また、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素の回転軸の偏心量が異なることにより、回転軸の加工の段取り及び加工の工数が増大していた。
【0005】
そのため、部品変更に伴う作業時間の増大や部品の変更によってコスト(素材型、加工設備、計測器などの変更コストを含む)がかかるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、コストの削減及び作業性の向上を図りながら最適な排除容積比を容易に設定ことができる多段圧縮式ロータリコンプレッサ及びその排除容積比設定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1の発明の多段圧縮式ロータリコンプレッサでは、第1及び第2の偏心部と、第1及び第2のローラと、第1及び第2のシリンダとはそれぞれ同一寸法であり、第2のシリンダは、吸込ポートから第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張されているので、第2の回転圧縮要素のシリンダにおける冷媒の圧縮開始が遅れることになる。
【0008】
請求項2の発明の方法では、第2のシリンダを、吸込ポートから第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張し、第2の回転圧縮要素の圧縮開始角度を調整することにより、第1及び第2の回転圧縮要素の排除容積比を設定するようにしたので、第2の回転圧縮要素のシリンダにおける冷媒の圧縮開始を遅らせて、第2の回転圧縮要素の排除容積を縮小することができるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の多段圧縮式ロータリコンプレッサの実施例として、第1及び第2の回転圧縮要素32、34を備えた内部中間圧型多段(2段)圧縮式ロータリコンプレッサ10の縦断面図、図2は本発明を給湯装置153に適用した場合の冷媒回路図、図3は単段の2気筒型のロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素のシリンダの断面図、図4は本発明を適用した多段圧縮式ロータリコンプレッサ10の第1の回転圧縮要素32のシリンダ(第1のシリンダ)40及び第2の回転圧縮要素34のシリンダ(第2のシリンダ)38の断面図をそれぞれ示している。
【0010】
図1において、10は内部中間圧型多段圧縮式ロータリコンプレッサで、この多段圧縮式ロータリコンプレッサ10は、鋼板からなる円筒状の密閉容器12A、及びこの密閉容器12Aの上部開口を閉塞する略椀状のエンドキャップ(蓋体)12Bとで形成されるケースとしての密閉容器12と、この密閉容器12の容器本体12Aの内部空間の上側に配置収納された電動要素14と、この電動要素14の下側に配置され、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32及び第2の回転圧縮要素34からなる回転圧縮機構部18とにより構成されている。
【0011】
尚、密閉容器12は底部をオイル溜めとする。また、前記エンドキャップ12Bの上面中心には円形状の取付孔12Dが形成され、この取付孔12Dには電動要素14に電力を供給するためのターミナル(配線を省略)20が取り付けられている。
【0012】
電動要素14は、密閉容器12の上部空間の内面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の隙間を設けて挿入設置されたロータ24とからなる。そして、このロータ24には鉛直方向に延びる回転軸16が固定されている。
【0013】
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式によって巻装されたステータコイル28を有している。また、ロータ24もステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成され、この積層体30内に永久磁石MGを挿入して形成されている。そして、この積層体30内に永久磁石MGを挿入した後、この積層体30の上下端面を図示しない非磁性体の端面部材で覆い、この端面部材の積層体30とは接していない面にはバランスウエイト101(積層体30の下側のバランスウエイトは図示せず)を取り付け、更に、積層体30の上側に位置するバランスウエイト101の上側にオイル分離板102を重合して取り付けている。
【0014】
そして、これらのロータ24、バランスウエイト101・・及びオイル分離板102を貫通するリベット104にてそれらを一体に結合して構成されている。
【0015】
他方、前記第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34との間には中間仕切板36が狭持されている。即ち、第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34は、中間仕切板36と、この中間仕切板36の上下に配置された上下シリンダ38、40と、図3に示すように上下シリンダ38、40内を180度の位相差を有して回転するように回転軸16に設けられた偏心部(第2の偏心部)42、偏心部(第1の偏心部)44、に嵌合されて偏心回転する上ローラ(第2のローラ)46、下ローラ(第1のローラ)48と、この上下ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画するベーン50、52と、上シリンダ38の上側の開口面及び下シリンダ40の下側の開口面を閉塞して回転軸16の軸受けを兼用する支持部材としての上部支持部材54及び下部支持部材56にて構成される。
【0016】
ここで、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素32、34は図3に示すように、単段の2気筒型ロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素32、34に後述する拡張部100や第1の回転圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器内に吐出するための図示しない連通路等を加工形成したものを使用している。
【0017】
尚、前記単段の2気筒型ロータリコンプレッサは図示されない吸込通路から吸込ポート161、162を介して第1の回転圧縮要素32のシリンダ40の低圧室側又は、第2の回転圧縮要素34のシリンダ38の低圧室側に冷媒ガスがそれぞれ吸入される。そして、シリンダ40の低圧室側に吸入された冷媒ガスは、ローラ48とベーン52の動作により圧縮され高圧となり、シリンダ40の高圧室側より吐出ポート41を介して吐出消音室64に吐出された後、図示しない通路を経て吐出消音室62に吐出され、シリンダ38内で圧縮された冷媒ガスと合流する。
【0018】
一方、シリンダ38の低圧室側に吸入された冷媒ガスは、ローラ46とベーン50の動作により圧縮され高圧となり、シリンダ38の高圧室側より吐出ポート39を介して吐出消音室62に吐出され、前述するシリンダ40内で圧縮された冷媒ガスと合流する。そして、合流した高圧の冷媒ガスは図示しない吐出管から密閉容器12に吐出される構成となっている。
【0019】
そして、この単段の2気筒型ロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素32、34は同じ排除容積である。即ち、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の偏心部42、44とローラ46、48とシリンダ38、40はそれぞれ同一寸法である。
【0020】
このため、単段のロータリコンプレッサの回転圧縮要素32、34を多段圧縮式ロータリコンプレッサ10に用いる場合には、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の排除容積比を変えなければならない。即ち、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の排除容積を同じ容積とした場合、2段目の段差圧(第2の回転圧縮要素の吸入圧力と第2の回転圧縮要素の吐出圧力の差)が大きくなり、第2の回転圧縮要素の圧縮負荷が増大したり、差圧によって回転圧縮機構部18への給油能力が不足したりして、耐久性及び信頼性が低下するという問題が生じる。このため、第2の回転圧縮要素34の排除容積を第1の回転圧縮要素32の排除容積より小さくなるように設定して、2段目の段差圧を抑えなければならない。
【0021】
この場合、図4に示すように前記上シリンダ38に拡張部100を形成する。この拡張部100は、上シリンダ38の吸込ポート161からローラ46の回転方向における所定角度の範囲で上シリンダ38の外側を拡張させたものである。この拡張部100により、上シリンダ38での冷媒ガスの圧縮開始角度を拡張部100のローラ46の回転方向端まで遅らせることができる。即ち、上シリンダ38の拡張部100が形成されている角度分だけ、上シリンダ38における冷媒の圧縮開始を遅くすることができるようになる。
【0022】
従って、上シリンダ38内で圧縮される冷媒ガスの量を減らすことができるようになり、その結果、第2の回転圧縮要素34の排除容積を小さくすることができる。
【0023】
これにより、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の偏心部42、44とローラ46、48と上下シリンダ38、40をそれぞれ同一寸法としても、第2の回転圧縮要素34の排除容積を第1の回転圧縮要素32の排除容積より小さくして、2段目の段差圧(第2の回転圧縮要素の吸入圧力と第2の回転圧縮要素の吐出圧力の差)の増大を防ぐことができるようになる。
【0024】
即ち、上シリンダ38に拡張部100を形成するだけで第2の回転圧縮要素34の排除容積を小さくすることができるので、単段の2気筒型ロータリコンプレッサの第1及び第2回転圧縮要素32、34の部品を、一部加工するだけで、多段圧縮式ロータリコンプレッサ10に転用することができるようになる。
【0025】
このように、第2の回転圧縮要素34の上シリンダ38を適宜、拡張して拡張部100を形成するだけで第2の回転圧縮要素34の排除容積を第1の回転圧縮要素32よりも小さくすることができるようになるので、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の排除容積比を設定する際のコストの削減を図ることができるようになる。
【0026】
更に、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素32、34の回転軸16の偏心部42、44が同一寸法であるため、回転軸16の加工性が向上し、この点においてもコンプレッサの生産コストの削減及び生産性の向上を図ることができるようになる。
【0027】
前記上部支持部材54及び下部支持部材56には、吸込ポート161、162にて上下シリンダ38、40の内部とそれぞれ連通する吸込通路60(上側の吸込通路図示せず)と、上部支持部材54及び下部支持部材56の凹陥部を壁としてのカバーによって閉塞することにより形成された吐出消音室62、64とが設けられている。即ち、吐出消音室62は当該吐出消音室62を画成する壁としての上部カバー66にて閉塞され、吐出消音室64は下部カバー68にて閉塞される。
【0028】
この場合、上部支持部材54の中央には軸受け54A起立形成されている。又、下部支持部材56の中央には軸受け56Aが貫通形成されており、回転軸16は上部支持部材54の軸受け54Aと下部支持部材56の軸受け56Aにて保持されいる。
【0029】
そして、下部カバー68はドーナッツ状の円形鋼板から構成されており、周辺部の4カ所を主ボルト129・・・によって下から下部支持部材56に固定され、吐出ポート41にて第1の回転圧縮要素32の下シリンダ40内部と連通する吐出消音室64を画成する。この主ボルト129・・・の先端は上部支持部材54に螺合する。
【0030】
吐出消音室64の上面には、吐出ポート41を開閉可能に閉塞する吐出弁128(図3及び図4では説明のためにシリンダと同じ平面に示している。)が設けられている。この吐出弁128は縦長略矩形状の金属板からなる弾性部材にて構成されており、吐出弁128の一側が吐出ポート41に当接して密閉すると共に、他側は吐出ポート41と所定の間隔を存し、下部支持部材56の図示しない取付孔にカシメピンにより固着されている。
【0031】
また、この吐出弁128の下側には吐出弁抑え板としてのバッカーバルブ128Aが配置され、前記吐出弁128と同様に下部支持部材56に取り付けられている。
【0032】
そして、下シリンダ40内で圧縮され、所定の圧力に達した冷媒ガスが、吐出ポート41を閉じている吐出弁128を押して吐出ポート41を開き、吐出消音室64へ吐出させる。このとき、吐出弁128は他側を下部支持部材56に固着されているので吐出ポート41に当接している一側が反り曲がり、吐出弁128の開き量を規制しているバッカーバルブ128Aに当接する。冷媒ガスの吐出が終了する時期になると、吐出弁128がバッカーバルブ128Aから離れ、吐出ポート41を閉塞する。
【0033】
第1の回転圧縮要素32の吐出消音室64と密閉容器12内とは前述する連通路にて連通されており、この連通路は上部支持部材54、上部カバー66、上下シリンダ38、40、中間仕切板36を貫通する図示しない孔である。この場合、連通路の上端には中間吐出管121が立設されており、この中間吐出管121から密閉容器12内に中間圧の冷媒が吐出される。
【0034】
また、上部カバー66は第2の回転圧縮要素34の上シリンダ38内部と吐出ポート39にて連通する吐出消音室62を画成し、この上部カバー66の上側には、上部カバー66と所定間隔を存して、電動要素14が設けられている。この上部カバー66は前記上部支持部材54の軸受け54Aが貫通する孔が形成された略ドーナッツ状の円形鋼板から構成されており、周辺部が4本の主ボルト78・・・により、上から上部支持部材54に固定されている。この主ボルト78・・・の先端は下部支持部材56に螺合する。
【0035】
吐出消音室62の下面には、吐出ポート39を開閉可能に閉塞する吐出弁127(図3及び図4では説明のためにシリンダと同じ平面に示している。)が設けられている。この吐出弁127は縦長略矩形状の金属板からなる弾性部材にて構成されており、吐出弁127の一側が吐出ポート39に当接して密閉すると共に、他側は吐出ポート39と所定の間隔を存し、上部支持部材54の図示しない取付孔にカシメピンにより固着されている。
【0036】
また、この吐出弁127の上側には吐出弁抑え板としてのバッカーバルブ127Aが配置され、前記吐出弁127と同様に上部支持部材54に取り付けられている。
【0037】
そして、上シリンダ38内で圧縮され、所定の圧力に達した冷媒ガスが、吐出ポート39を閉じている吐出弁127(図3及び図4では説明のためにシリンダと同じ平面に示している。)を押して吐出ポート39を開き、吐出消音室62へ吐出させる。このとき、吐出弁127は他側を上部支持部材54に固着されているので吐出ポート39に当接している一側が反り曲がり、吐出弁127の開き量を規制しているバッカーバルブ127Aに当接する。冷媒ガスの吐出が終了する時期になると、吐出弁127がバッカーバルブ127Aから離れ、吐出ポート39を閉塞する。
【0038】
一方、上下シリンダ38、40内にはベーン50、52を収納する図示しない案内溝と、この案内溝の外側に位置してバネ部材としてのスプリング76、78を収納する収納部70、72が形成されている。この収納部70、72は案内溝側と密閉容器12(容器本体12A)側に開口している。前記スプリング76、78はベーン50、52の外側端部に当接し、常時ベーン50、52をローラ46、48側に付勢する。そして、このスプリング76、78の密閉容器12側の収納部70、72内には金属製のプラグ137、140が設けられ、スプリング76、78の抜け止めの役目を果たす。
【0039】
そして、この場合冷媒としては、例えばHC冷媒、HC系の混合冷媒、CO2冷媒、CO2の混合冷媒等既存の冷媒が使用される。
【0040】
また、密閉容器12の容器本体12Aの側面には、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路60(上側は図示せず)、吐出消音室62、上部カバー66の上側(電動要素14の下端に略対応する位置)に対応する位置に、スリーブ141、142、143及び144がそれぞれ溶接固定されている。スリーブ141と142は上下に隣接すると共に、スリーブ143はスリーブ141の略対角線上にある。また、スリーブ144はスリーブ141と略90度ずれた位置にある。
【0041】
そして、スリーブ141内には上シリンダ38に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の図示しない吸込通路と連通する。この冷媒導入管92は密閉容器12の上側を通過してスリーブ144に至り、他端はスリーブ144内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
【0042】
また、スリーブ142内には下シリンダ40に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路60と連通する。この冷媒導入管94の他端は図示しないアキュムレータの下端に接続されている。また、スリーブ143内には冷媒吐出管96が挿入接続され、この冷媒導入管96の一端は吐出消音室62と連通する。
【0043】
次に、図2において上述した多段圧縮式ロータリコンプレッサ10は図2に示す給湯装置153の冷媒回路の一部を構成する。
【0044】
即ち、多段圧縮式ロータリコンプレッサ10の冷媒吐出管96はガスクーラ154に接続される。このガスクーラ154は水を加熱して温水を生成するため、給湯装置153の図示しない貯湯タンクに設けられている。ガスクーラ154を出た配管は減圧装置としての膨張弁156を経て蒸発器157に接続され、蒸発器157は図示しないアキュムレータを介して冷媒導入管94に接続される。
【0045】
以上の構成で次に動作を説明する。ターミナル20及び図示されない配線を介して電動要素14のステータコイル28に通電されると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。この回転により回転軸16と一体に設けられた上下偏心部42、44に嵌合されて上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を偏心回転する。
【0046】
これにより、下部支持部材56に形成された吸込通路60を経由して吸込ポート162から下シリンダ40の低圧室側に吸入された低圧の冷媒は、下ローラ48と下ベーン52の動作により圧縮されて中間圧となる。これにより吐出消音室64内に設けられた吐出弁128が開放され、吐出消音室64と吐出ポート41とが連通するため、下シリンダ40の高圧室側から吐出ポート41内を通り下部支持部材56に形成された吐出消音室64に吐出される。吐出消音室64内に吐出された冷媒ガスは図示しない連通孔を経て中間吐出管121から密閉容器12内に吐出される。
【0047】
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、冷媒配管92を通って、上部支持部材54に形成された図示しない吸込通路を経由して吸込ポート161から上シリンダ38の低圧室側に吸入される。吸入された中間圧の冷媒ガスは、上ローラ46と上べーン50の動作により2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなる。これにより、吐出消音室62内に設けられた吐出弁127が開放され、吐出消音室62と吐出ポート39とが連通するため、上シリンダ38の高圧室側から吐出ポート39内を通り上部支持部材54に形成された吐出消音室62に吐出される。
【0048】
そして、吐出消音室62に吐出された高圧の冷媒ガスは冷媒吐出管96を経てガスクーラ154内に流入する。このときの冷媒温度は略+100℃まで上昇しており、係る高温高圧の冷媒ガスはガスクーラ154から放熱し、図示しない貯湯タンク内の水を加熱して約+90℃の温水を生成する。
【0049】
このガスクーラ154において冷媒自体は冷却され、ガスクーラ154を出る。そして、膨張弁156で減圧された後、蒸発器157に流入して蒸発し(このときに周囲から吸熱する)、図示しないアキュムレータを経て冷媒導入管94から第1の回転圧縮要素32内に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
【0050】
このように、単段の2気筒型ロータリコンプレッサの回転圧縮要素を多段圧縮式ロータリコンプレッサに使用する場合には、第2の回転圧縮要素34を構成するシリンダ38を、吸込ポート161からローラ46の回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張し、第2の回転圧縮要素34の圧縮開始角度を調整して、第2の回転圧縮要素34のシリンダ38における冷媒の圧縮開始を遅らせることにより、第2の回転圧縮要素34の排除容積を小さくすることができるようになる。
【0051】
これにより、第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34とでシリンダ38、40やローラ46、48などの部品を変更すること無く、第2の回転圧縮要素34の排除容積を第1の回転圧縮要素32よりも小さくすることができるようになるので、第1及び第2の回転圧縮要素32、34の排除容積比を設定する際のコストの削減を図ることができるようになる。
【0052】
特に、第2の回転圧縮要素34の排除容積と第1の回転圧縮要素32の排除容積が近い(高容積比)2段圧縮式ロータリコンプレッサに有効である。
【0053】
尚、実施例では単段の2気筒型ロータリコンプレッサの回転圧縮要素を多段圧縮式ロータリコンプレッサの部品として使用したが、これに限らず単段の3気筒以上の回転圧縮要素を備えたロータリコンプレッサの回転圧縮要素を使用する場合にも本発明は有効である。
【0054】
また、回転軸16を縦置型とした多段圧縮式ロータリコンプレッサ10について説明したが、この発明は回転軸を横置型とした多段圧縮式ロータリコンプレッサにも適応できることは云うまでもない。
【0055】
更に、多段圧縮式ロータリコンプレッサを第1及び第2の回転圧縮要素を備えた2段圧縮式ロータリコンプレッサで説明したが、これに限らず回転圧縮要素を3段、4段或いはそれ以上の回転圧縮要素を備えた多段圧縮式ロータリコンプレッサに適応しても差し支えない。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、第1及び第2の偏心部と、第1及び第2のローラと、第1及び第2のシリンダとはそれぞれ同一寸法であり、第2のシリンダは、吸込ポートから第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張されているので、第2の回転圧縮要素のシリンダにおける冷媒の圧縮開始が遅れることになる。
【0057】
これにより、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素とでシリンダやローラなどの部品を変更すること無く、第2の回転圧縮要素の排除容積を第1の回転圧縮要素よりも小さくすることができるようになるので、第1及び第2の回転圧縮要素の排除容積比を設定する際のコストの削減を図ることができるようになる。
【0058】
更に、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素の回転軸の偏心部が同一寸法であるため、回転軸の加工性が向上し、この点においてもコンプレッサの生産コストの削減及び生産性の向上を図ることができるようになる。
【0059】
請求項2の発明によれば、第2のシリンダを、吸込ポートから第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張し、第2の回転圧縮要素の圧縮開始角度を調整することにより、第1及び第2の回転圧縮要素の排除容積比を設定するようにしたので、第2の回転圧縮要素のシリンダにおける冷媒の圧縮開始を遅らせて、第2の回転圧縮要素の排除容積を縮小することができるようになる。
【0060】
これにより、第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素とでシリンダやローラなど部品を変更すること無く、第1及び第2の回転圧縮要素の排除容積比を変更することができるようになるので、部品変更に伴うコスト増を解消することができるようになる。
【0061】
更に、前述同様第1の回転圧縮要素と第2の回転圧縮要素の回転軸の偏心部が同一寸法であるため、回転軸の加工性が向上し、この点においてもコンプレッサの生産コストの削減及び作業性の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の多段圧縮式ロータリコンプレッサの縦断面図である。
【図2】本発明のロータリコンプレッサを適用した実施例の給油装置の冷媒サイクルを示す図である。
【図3】単段の2気筒型ロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素のシリンダの縦断面図である。
【図4】本発明を適用した図1のロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素のシリンダの縦断面図である。
【図5】従来における多段圧縮式ロータリコンプレッサの第1及び第2の回転圧縮要素のシリンダの縦断面図である。
【符号の説明】
10 多段圧縮式ロータリコンプレッサ
12 密閉容器
14 電動要素
16 回転軸
18 回転圧縮機構部
20 ターミナル
22 ステータ
24 ロータ
26 積層体
28 ステータコイル
30 積層体
32 第1の回転圧縮要素
34 第2の回転圧縮要素
38、40 シリンダ
39、41 吐出ポート
54 上部支持部材
56 下部支持部材
62、64 吐出消音室
66 上部カバー
68 下部カバー
100 拡張部
101 バランスウエイト
102 オイル分離板
127、128 吐出弁
153 給湯装置
154 ガスクーラ
156 膨張弁
157 蒸発器
161、162 吸込ポート[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a multi-stage compression type rotary compressor which sucks refrigerant gas compressed and discharged by a first rotary compression element into a second rotary compression element, compresses and discharges the refrigerant gas, and a method of setting an excluded volume ratio thereof. It is.
[0002]
[Prior art]
In this type of conventional multi-stage compression type rotary compressor, as shown in FIG. , And becomes an intermediate pressure, and is discharged from the
[0003]
Here, the excluded volume of the second
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, the rejection volume ratio of such a multi-stage compression type rotary compressor has an optimum value depending on the application, and in each case, the parts such as the eccentricity of the rotating shaft, the outer diameter of the roller, or the inner diameter and height of the cylinder are changed (material type). , Changes in processing equipment, measuring instruments, etc.). Further, since the eccentric amounts of the rotating shafts of the first rotary compression element and the second rotary compression element are different, the setup and processing man-hours for processing the rotary shaft have been increased.
[0005]
For this reason, there has been a problem that costs (including costs for changing material types, processing equipment, measuring instruments, and the like) are increased due to an increase in working time and a change in parts due to the change of parts.
[0006]
The present invention has been made in order to solve the problems of the related art, and has a multi-stage compression type rotary compressor which can easily set an optimum excluded volume ratio while reducing costs and improving workability. An object of the present invention is to provide a method for setting the excluded volume ratio.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
That is, in the multistage compression type rotary compressor according to the first aspect of the present invention, the first and second eccentric portions, the first and second rollers, and the first and second cylinders have the same dimensions, respectively. Since the second cylinder is extended outward from the suction port within a range of a predetermined angle in the rotation direction of the second roller, the compression of the refrigerant in the cylinder of the second rotary compression element is delayed.
[0008]
In the method according to the second aspect of the present invention, the second cylinder is extended outward from the suction port within a range of a predetermined angle in the rotation direction of the second roller, and the compression start angle of the second rotary compression element is adjusted. Thus, the ratio of the excluded volume of the first and second rotary compression elements is set, so that the compression start of the refrigerant in the cylinder of the second rotary compression element is delayed, and the excluded volume of the second rotary compression element is reduced. It can be reduced.
[0009]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an internal intermediate pressure type multi-stage (two-stage) compression type
[0010]
In FIG. 1,
[0011]
The closed
[0012]
The
[0013]
The
[0014]
The
[0015]
On the other hand, an
[0016]
Here, as shown in FIG. 3, the first rotary compression element and the second
[0017]
The single-stage two-cylinder rotary compressor is connected to a low-pressure chamber side of the
[0018]
On the other hand, the refrigerant gas sucked into the low pressure chamber side of the
[0019]
The first and second
[0020]
Therefore, when the
[0021]
In this case, an extension 100 is formed in the
[0022]
Therefore, the amount of the refrigerant gas compressed in the
[0023]
Thus, even if the
[0024]
That is, since the displacement volume of the second
[0025]
As described above, by merely expanding the
[0026]
Further, since the
[0027]
The
[0028]
In this case, a
[0029]
The
[0030]
A discharge valve 128 (shown on the same plane as the cylinder for description in FIGS. 3 and 4) is provided on the upper surface of the
[0031]
A
[0032]
Then, the refrigerant gas compressed in the
[0033]
The
[0034]
The
[0035]
A discharge valve 127 (shown on the same plane as the cylinder in FIGS. 3 and 4 for explanation) is provided on the lower surface of the
[0036]
A
[0037]
The refrigerant gas which has been compressed in the
[0038]
On the other hand, in the upper and
[0039]
In this case, as the refrigerant, an existing refrigerant such as an HC refrigerant, an HC-based mixed refrigerant, a CO 2 refrigerant, and a CO 2 mixed refrigerant is used.
[0040]
Further, on the side surface of the
[0041]
One end of a
[0042]
One end of a
[0043]
Next, the multi-stage compression
[0044]
That is, the
[0045]
Next, the operation of the above configuration will be described. When the
[0046]
Accordingly, the low-pressure refrigerant sucked from the
[0047]
Then, the intermediate-pressure refrigerant gas in the sealed
[0048]
Then, the high-pressure refrigerant gas discharged into the
[0049]
In the
[0050]
As described above, when the rotary compression element of the single-stage two-cylinder rotary compressor is used for the multi-stage compression type rotary compressor, the
[0051]
Thus, the displacement volume of the second
[0052]
In particular, it is effective for a two-stage compression type rotary compressor in which the excluded volume of the second
[0053]
In the embodiment, the rotary compression element of the single-stage two-cylinder type rotary compressor is used as a part of the multi-stage compression type rotary compressor. However, the present invention is not limited to this. The present invention is also effective when a rotary compression element is used.
[0054]
Further, although the multistage compression
[0055]
Further, the multi-stage compression type rotary compressor has been described as a two-stage compression type rotary compressor having first and second rotary compression elements. However, the present invention is not limited to this, and three-stage, four-stage or more rotary compression elements may be used. It may be applied to a multi-stage compression type rotary compressor having components.
[0056]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the first aspect of the present invention, the first and second eccentric portions, the first and second rollers, and the first and second cylinders have the same dimensions, respectively. Is extended outward from the suction port within a range of a predetermined angle in the rotation direction of the second roller, so that the start of compression of the refrigerant in the cylinder of the second rotary compression element is delayed.
[0057]
Accordingly, the displacement volume of the second rotary compression element is made smaller than that of the first rotary compression element without changing parts such as cylinders and rollers between the first rotary compression element and the second rotary compression element. Therefore, it is possible to reduce the cost when setting the excluded volume ratio of the first and second rotary compression elements.
[0058]
Further, since the eccentric portions of the rotary shafts of the first rotary compression element and the second rotary compression element have the same dimensions, the workability of the rotary shaft is improved. Can be improved.
[0059]
According to the second aspect of the present invention, the second cylinder is extended outward from the suction port within a range of a predetermined angle in the rotation direction of the second roller to adjust the compression start angle of the second rotary compression element. Thus, the ratio of the excluded volume of the first and second rotary compression elements is set, so that the compression start of the refrigerant in the cylinder of the second rotary compression element is delayed, and the excluded volume of the second rotary compression element is reduced. It can be reduced.
[0060]
Thus, the exclusion volume ratio of the first and second rotary compression elements can be changed without changing parts such as cylinders and rollers between the first rotary compression element and the second rotary compression element. Therefore, it is possible to eliminate an increase in cost due to a component change.
[0061]
Further, as described above, since the eccentric portions of the rotary shafts of the first rotary compression element and the second rotary compression element have the same dimensions, the workability of the rotary shaft is improved. Workability can be improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of a multi-stage compression type rotary compressor according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a refrigerant cycle of an oil supply device of an embodiment to which the rotary compressor of the present invention is applied.
FIG. 3 is a longitudinal sectional view of cylinders of first and second rotary compression elements of a single-stage two-cylinder rotary compressor.
FIG. 4 is a vertical sectional view of a cylinder of first and second rotary compression elements of the rotary compressor of FIG. 1 to which the present invention is applied.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view of a cylinder of first and second rotary compression elements of a conventional multistage compression type rotary compressor.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (2)
前記第1及び第2の偏心部と、前記第1及び第2のローラと、前記第1及び第2のシリンダとはそれぞれ同一寸法であり、
前記第2のシリンダは、吸込ポートから前記第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張されていることを特徴とする多段圧縮式ロータリコンプレッサ。An electric element in a closed container, first and second rotary compression elements driven by a rotating shaft of the electric element, and first and second cylinders forming the first and second rotary compression elements And first and second eccentric portions provided on the rotation shaft so as to rotate with a phase difference in each cylinder, and inside the first and second cylinders fitted to the respective eccentric portions. A multistage compression type comprising: first and second rollers that rotate eccentrically, wherein the refrigerant gas compressed and discharged by the first rotary compression element is sucked into the second rotary compression element, compressed and discharged. In rotary compressors,
The first and second eccentric portions, the first and second rollers, and the first and second cylinders have the same dimensions, respectively.
The multi-stage compression type rotary compressor, wherein the second cylinder extends outward from a suction port within a range of a predetermined angle in a rotation direction of the second roller.
前記第1及び第2の偏心部と、前記第1及び第2のローラと、前記第1及び第2のシリンダとをそれぞれ同一寸法とし、
前記第2のシリンダを、吸込ポートから前記第2のローラの回転方向における所定角度の範囲で外側に拡張し、前記第2の回転圧縮要素の圧縮開始角度を調整することにより、前記第1及び第2の回転圧縮要素の排除容積比を設定することを特徴とする多段圧縮式ロータリコンプレッサの排除容積比設定方法。An electric element in a closed container, first and second rotary compression elements driven by a rotating shaft of the electric element, and first and second cylinders forming the first and second rotary compression elements And first and second eccentric portions provided on the rotation shaft so as to rotate with a phase difference in each cylinder, and inside the first and second cylinders fitted to the respective eccentric portions. A multistage compression type comprising: first and second rollers that rotate eccentrically, wherein the refrigerant gas compressed and discharged by the first rotary compression element is sucked into the second rotary compression element, compressed and discharged. In rotary compressors,
The first and second eccentric portions, the first and second rollers, and the first and second cylinders have the same dimensions, respectively,
The second cylinder is extended outward from a suction port within a predetermined angle range in the rotation direction of the second roller from the suction port, and the compression start angle of the second rotary compression element is adjusted, whereby the first and the second cylinders are compressed. A method for setting an excluded volume ratio of a multi-stage compression type rotary compressor, comprising setting an excluded volume ratio of a second rotary compression element.
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