JP2004082386A - Method for polishing forged article and process for manufacturing liquid discharge head - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体噴射ヘッド等の部品製造に使用される鍛造加工品の研磨方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鍛造加工は種々な製品分野で活用されているが、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室を金属素材に鍛造で成形することが考えられる。上記液体噴射ヘッドは、加圧された液体をノズル開口から液滴として吐出させるものであり、種々な液体を対象にしたものが知られている。そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録ヘッドをあげることができる。そこで、従来の技術を上記インクジェット式記録ヘッドを例にとって説明する。
【0003】
インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称する。)は、共通インク室から溝状窪部の形状とされた圧力発生室を経てノズル開口に至る一連の流路を、ノズル開口に対応させて複数備えている。そして、小型化の要請から各圧力発生室は、記録密度に対応した細かいピッチで形成する必要がある。このため、隣り合う圧力発生室同士を区画する隔壁部の肉厚は極めて薄くなっている。また、圧力発生室と共通インク室とを連通するインク供給口は、圧力発生室内のインク圧力をインク滴の吐出に効率よく使用するため、その流路幅が圧力発生室よりもさらに絞られている。このような微細形状の圧力発生室及びインク供給口を寸法精度良く作製する観点から、従来の記録ヘッドでは、シリコン基板が好適に用いられている。すなわち、シリコンの異方性エッチングにより結晶面を露出させ、この結晶面で圧力発生室やインク供給口を区画形成している。
【0004】
また、ノズル開口が形成されるノズルプレートは、加工性等の要請から金属板により作製されている。そして、圧力発生室の容積を変化させるためのダイヤフラム部は、弾性板に形成されている。この弾性板は、金属製の支持板上に樹脂フィルムを貼り合わせた二重構造であり、圧力発生室に対応する部分の支持板を除去することで作製されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなシリコン基板においては、加工工程が複雑であること等により製造上の問題がある。そこで、従来の記録ヘッドの圧力発生室を、金属素材に鍛造加工を施して成形することが注目されるが、この場合には溝状の窪みを鍛造加工パンチで加圧成形をする関係上、加圧時に金属素材が流動して圧力発生室の周辺が隆起したりする現象が発生する。このような隆起部分を除去して精度の高い圧力発生室を形成するために、鍛造加工後に研磨加工を行う必要がある。特に、この研磨加工においては、圧力発生室の空間寸法や形状がより高精度なものとなるように細心の注意をはらった手法が要求される。
【0006】
また、シリコンと金属との線膨張率の差が大きいため、シリコン基板、ノズルプレート及び弾性板の各部材を貼り合わせるにあたり、比較的低温の下で長時間をかけて接着する必要があった。このため、生産性の向上が図り難く、製造コストが嵩む一因となっていた。このため、塑性加工によって圧力発生室を金属製基板に形成する試みがなされているが、圧力発生室が極めて微細であること、及び、インク供給口の流路幅を圧力発生室よりも狭くする必要があること等から高精度の加工が困難であり、ヘッドの組立精度の向上も図り難いという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属素材に鍛造加工を行ったものにおいて、加工形状部にとってよりすぐれた研磨加工を行うことをその主たる目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の鍛造加工品の研磨方法は、鍛造加工パンチを金属素材に押付けて鍛造加工品を成形した後、研磨加工を行う上記鍛造加工品の研磨方法であって、上記鍛造加工品の加工形状部を研磨治具との位置決めとして用いて研磨加工が行われることを要旨とする。
【0009】
すなわち、上記鍛造加工品の加工形状部を研磨治具との位置決めとして用いて研磨加工が行われる。
【0010】
上記加工形状部は一般的に凹凸のある形状とされており、この凹凸部分により鍛造加工品と研磨治具との相対位置が決定づけられる。したがって、研磨加工時には研磨工具から外力を受ける鍛造加工品が研磨治具から位置がずれるようなことがなく、所期の研磨精度が確保できる。さらに、加工形状部と研磨治具との組合わせであるから、この組合わせの仕方を選択することにより、加工形状部と研磨治具との相対位置を適宜選定して、鍛造加工品にとって最も相応しい研磨を行うことができる。また、加工形状部を利用した状態で鍛造加工品と研磨治具との相対位置が決定づけられるので、鍛造加工品に特別な形状部分を設ける必要がなく、製造原価の低減において有利である。
【0011】
さらに、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室のような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の金属素材への鍛造加工とその後の研磨加工を採用すれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
【0012】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記位置決めを鍛造加工品の加工形状部に研磨治具を合致させることにより、鍛造加工品と研磨治具との相対位置を決定する場合には、上記位置決めが鍛造加工品の加工形状部と研磨治具との合致によってなされるので、加工形状部と研磨治具との確実な合致状態によってこれら両者の相対位置が正確に設定される。
【0013】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記金属素材は板状部材であり、上記加工形状部が鍛造加工品の表面とされ、上記加工形状部の反対側が鍛造加工品の裏面とされ、上記研磨治具に設けた位置決め突起が上記加工形状部で位置決めされた状態で上記裏面の研磨が行われる場合には、板状部材である鍛造加工品の加工形状部が研磨治具の位置決め突起と一体化されるので、鍛造加工品を確実に研磨治具で保持したまま上記裏面の研磨をすることができ、高い研磨精度を維持することができる。すなわち、加工形状部の凹凸形状部に研磨治具の位置決め突起が合致するので、鍛造加工品と研磨治具との相対位置が一層確実に決定づけられる。また、鍛造加工品が板状部材であるので、研磨治具に表面側を保持させ、裏面側を研磨するという板状部材の形状に即した利点がえられる。
【0014】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記加工形状部は所定ピッチで配列された窪部であり、上記鍛造加工パンチで上記窪部を成形するときに各窪部のあいだに成形された隔壁部の頂部が、上記位置決め突起に対する加工形状部の深さ方向の基準位置とされている場合には、鍛造加工パンチで成形された窪部と隔壁部は、窪部の底部から隔壁部の頂部までの高さが隔壁部の長さ方向において可及的に均一であるとともに、各隔壁部同士の上記高さも可及的に均一である。したがって、隔壁部の頂部は1仮想平面上に実質的に整然と整列した状態になっている。このような状態の隔壁部の頂部に上記位置決め突起が接触して、頂部が加工形状部の深さ方向の基準位置となっているので、鍛造加工品が研磨治具に対して傾いた姿勢で両者間の位置決めがなされるようなことがない。
【0015】
こうすることにより、鍛造加工品の裏面が研磨されたときには、その研磨面と窪部の底部との素材厚さが均一になり、部品精度の向上にとって有効である。また、加工形状部は所定ピッチで配列された窪部であるから、各窪部の成形時に流動する素材の移動方向やその量が均一になるので、上記隔壁部の頂部が形成される位置も均一化されることとなり、上記のように位置決め突起との位置関係が良好に維持できる。
【0016】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記窪部を成形するときに各窪部の周辺部の一部に成形された上記隔壁部よりも隆起した部分の窪部側内壁が、上記位置決め突起に対する窪部の開口面方向の基準位置とされている場合には、各窪部を加圧成形するときに金属素材が流動して、隔壁部よりもさらに隆起した部分が形成される。この隆起した部分の窪部側内壁に研磨治具の位置決め突起が受止められることにより、研磨治具は窪部の開口面方向に変位することが制約されて、上記窪部側内壁が上記位置決め突起に対する窪部の開口面方向の基準位置となる。したがって、例えば、板状部材とされた鍛造加工品は、窪部の開口面方向の位置決めが、上記加工形状部の深さ方向の位置決めとともに果たされ、鍛造加工品が研磨工具から外力を受けても、位置ずれを起すようなことがなく、高精度の研磨がえられる。
【0017】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記位置決め突起が、上記窪部の列設方向に配列された隔壁部の頂部に接触する長尺な形状とされている場合には、多数の頂部に対して一時に接触できる接触長さが位置決め突起に付与されているので、鍛造加工品と研磨治具との相対位置をより一層正確に決定づけることが可能となる。
【0018】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記位置決め突起の表面が平坦面とされている場合には、位置決め突起の平坦面が1仮想平面上に整列した隔壁部の頂部に正確に接触するので、鍛造加工品と研磨治具との相対位置が一層安定した状態で決定づけられる。さらに、多数の頂部が位置決め突起の平坦面に接触するので、頂部の列設方向の接触摩擦が大きくなり、この列設方向への研磨治具の位置ずれを防止するのにも有効である。
【0019】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記裏面の研磨後に上記表面の研磨を行うことにより、所定ピッチで配列された窪部の深さが均一に設定される場合には、まず最初に鍛造加工品の加工形状部と研磨治具との相対位置が正しく維持された状態で上記裏面の研磨がなされ、この研磨面と各窪部の底部との素材厚さが均一に仕上げられる。その後、鍛造加工品の表裏を反転して上記表面すなわち加工形状部を研磨する。このときには、上記裏面研磨で仕上げられた平坦面を基準として表面研磨が行われるので、裏面研磨面と表面研磨面を完全に平行な関係とすることができ、結果的には、窪部の深さが均一に設定される。
【0020】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記裏面の研磨によって裏面を平坦面に成形し、該裏面の平坦面を位置決めとし、上記表面における隔壁部の頂部および隔壁部よりも隆起した部分を研磨して窪部以外の部分を平坦面に形成する場合には、鍛造加工品の表裏両面が平坦面となるので、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室形成板のように、隣接する他の部品との密着性が良好になる。
【0021】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記研磨治具には、平板状の部材に多数の上記位置決め突起が所定の間隔で配置され、位置決め突起によって複数の鍛造加工品が研磨治具上に位置決めされる場合には、上記研磨治具上に多数の鍛造加工品が位置決めされ、多数の鍛造加工品を一時に研磨することが可能となり、生産性向上にとって有効である。また、上記のように加工形状部の凹凸形状に対して位置決め突起を係合させる方法であるから、多数の鍛造加工品を確実に研磨治具に保持することができる。
【0022】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記研磨治具から鍛造加工品がはずれることを防止する一体化手段が研磨治具に設けられている場合には、鍛造加工品と研磨治具との相対位置や一体性が確実に維持されるので、研磨工具等による外力が鍛造加工品に作用しても、鍛造加工品の位置が狂ったりせず、研磨精度を高いレベルに維持することができる。
【0023】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記一体化手段が、研磨治具に取付けられたマグネットシートである場合には、磁石の吸引力で確実に鍛造加工品を研磨治具に保持することができる。また、シート状の部材が研磨治具に取付けてあるので、研磨治具と鍛造加工品との相対位置を大きく狂わせるような要素がなく、また、マグネットシートの配置空間も最小限で済み、鍛造加工品が板状部材であるようなときに、一層使い勝手がよくなる。
【0024】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記研磨治具上に複数の鍛造加工品を位置決めしてから、鍛造加工品の上記裏面を露出させる開口が設けられたスペーサプレートを研磨治具に固定した後、上記裏面を研磨する場合には、スペーサプレートの板厚を選定することにより、研磨除去量が所定量に設定できて、裏面研磨を高精度で行うことができる。また、上記開口に鍛造加工品がはめ込まれたような状態なので、万一、鍛造加工品と研磨治具との一体性が緩んだりしても、上記開口が鍛造加工品を保持する機能を果たすので、鍛造加工品が研磨治具から外れたりすることがない。
【0025】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記裏面の研磨終了後、平坦面とされた表面研磨用の研磨治具に上記スペーサプレートを固定した後、上記開口に鍛造加工品をはめ込んで上記表面を露出させて表面の研磨を行う場合には、平坦面とされた表面研磨用の研磨治具のあらかじめスペーサプレートを固定して上記開口を研磨治具上に準備し、それから各開口に表面を露出させた状態で鍛造加工品をはめ込む。このときにはすでに完了した裏面研磨による平坦な裏面が上記研磨治具の平坦面に密着していて、鍛造加工品と表面研磨用の研磨治具との相対位置が正確に設定される。この状態でスペーサプレートの板厚にしたがって研磨を行うことにより、表面研磨が完了する。
【0026】
このような表面研磨の際には、鍛造加工品の裏面と窪部の底部との素材厚さが均一にされた鍛造加工品が表面研磨用の研磨治具に密着され、この状態で表面側が裏面と平行に研磨されるので、各窪部の深さは均一に揃うこととなる。
【0027】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記鍛造加工品の一部に研磨量を低減させる開口または凹部が設けられている場合には、上記開口や凹部の面積に相当する面積分の研磨量が低減するので、研磨工程の短縮化等が図られて、製造原価の低減に役立つのである。
【0028】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記鍛造加工品が、平行に配列された突条部および各突条部のあいだに形成された空隙部が設けられた第1金型と、上記空隙部と対応する部分に、上記突条部の配列方向に延びる凹部が設けられている第2金型により成形されている場合には、空隙部内に流動する素材量が空隙部の長手方向にわたって可及的に均一になるので、隔壁部の頂部の形状がほぼ直線的な状態になり、研磨治具の位置決め突起と隔壁部の頂部との接触が頂部全体にわたってなされる。したがって、上記のように第1金型と第2金型を使用することにより、研磨治具の位置決め突起と隔壁部の頂部との接触が良好な状態でえられる。さらに、第2金型の凹部によって鍛造加工品の裏面には隆起部が残存するが、これは上記裏面の研磨の際に完全に平面化されて、上記表面の研磨の際には支障を来すことがない。
【0029】
本発明の鍛造加工品の研磨方法において、上記窪部が、液体噴射ヘッドに組み付けられる圧力発生室形成板に成形した圧力発生室である場合には、微細形状の溝状窪部部分を高精度で研磨仕上げをすることができ、列設された圧力発生室の深さが均一に製作され、各圧力発生室における液体の噴射特性を均一に揃えることができる。
【0030】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室となる溝状窪部が列設されると共に、各溝状窪部の一端に板厚方向に貫通する連通口を形成した金属製の圧力発生室形成板と、溝状窪部の開口面を封止すると共に、溝状窪部の他端に対応する位置に液体供給口を穿設した金属材製の封止板と、前記連通口と対応する位置にノズル開口が穿設されて溝状窪部の反対側に接合された金属製のノズルプレートとを含む流路ユニットを備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記圧力発生室形成板は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の鍛造加工品の研磨方法で研磨することによりつくることを要旨とする。
【0031】
すなわち、上記圧力発生室形成板を、請求項1〜17のいずれか一項に記載の鍛造加工品の研磨方法で研磨した上で液体噴射ヘッドをつくるのである。
【0032】
鍛造加工パンチで成形された圧力発生室と隔壁部は、圧力発生室の底部から隔壁部の頂部までの高さが隔壁部の長さ方向において可及的に均一であるとともに、各隔壁部同士の上記高さも可及的に均一である。したがって、隔壁部の頂部は1仮想平面上に実質的に整然と整列した状態になっている。このような状態の隔壁部の頂部に研磨治具の上記位置決め突起が接触して、頂部が圧力発生室の深さ方向の基準位置となっているので、圧力発生室形成板が研磨治具に対して傾いた姿勢で両者間の位置決めがなされるようなことがない。
【0033】
こうすることにより、圧力発生室形成板の裏面が研磨されたときには、その研磨面と圧力発生室の底部との素材厚さが均一になり、部品精度の向上にとって有効である。また、圧力発生室は所定ピッチで配列された溝状窪部であるから、各圧力発生室の成形時に流動する素材の移動方向やその量が均一になるので、上記隔壁部の頂部が形成される位置も均一化されることとなり、上記のように位置決め突起との位置関係が良好に維持できる。
【0034】
さらに、各圧力発生室を加圧成形するときに金属素材が流動して、隔壁部よりもさらに隆起した部分が形成される。この隆起した部分の窪部側内壁に研磨治具の位置決め突起が受止められることにより、研磨治具は圧力発生室の開口面方向に変位することが制約されて、上記窪部側内壁が上記位置決め突起に対する圧力発生室の開口面方向の基準位置となる。したがって、板状部材とされた圧力発生室形成板は、圧力発生室の開口面方向の位置決めが、上記圧力発生室の深さ方向の位置決めとともに果たされ、圧力発生室形成板が研磨工具から外力を受けても、位置ずれを起すようなことがなく、高精度の研磨がえられる。
【0035】
上述の利点は、請求項1〜17項に記載の鍛造加工品の研磨方法を採用することによってえられる作用効果の一部であり、これ以外にも各請求項の内容に応じた良好な液体噴射ヘッドの製造方法がえられる。
【0036】
さらに、液体噴射ヘッドの圧力発生室は微細な加工成形であるため、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の金属素材への鍛造加工とその後の研磨加工を採用すれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。
【0037】
また、圧力発生室形成板を、例えば、ニッケルを素材として製作すれば、流路ユニットを構成する圧力発生室形成板,弾性板及びノズルプレートの線膨張係数が略揃うので、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッドの作動時に圧電振動子が発熱し、この熱によって流路ユニットが加熱されたとしても、流路ユニットを構成する各部材が均等に膨張する。このため、記録ヘッドの作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニットを構成する各部材に剥離等の不具合は生じにくくなる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
本発明による鍛造加工品の研磨方法は、種々な対象部材に適用することができるが、上記対象部材の代表的なものとして液体噴射ヘッドの圧力発生室形成板が挙げられる。したがって、図示の実施の形態においては、液体噴射ヘッドの代表的な具体事例として、インクジェット式記録ヘッドの例を示している。
【0040】
図1及び図2に示すように、記録ヘッド1は、ケース2と、このケース2内に収納される振動子ユニット3と、ケース2の先端面に接合される流路ユニット4と、先端面とは反対側のケース2の取付面上に配置される接続基板5と、ケース2の取付面側に取り付けられる供給針ユニット6等から概略構成されている。
【0041】
上記の振動子ユニット3は、図3に示すように、圧電振動子群7と、この圧電振動子群7が接合される固定板8と、圧電振動子群7に駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル9とから概略構成される。
【0042】
圧電振動子群7は、列状に形成された複数の圧電振動子10…を備える。各圧電振動子10…は、圧力発生素子の一種であり、電気機械変換素子の一種でもある。これらの各圧電振動子10…は、列の両端に位置する一対のダミー振動子10a,10aと、これらのダミー振動子10a,10aの間に配置された複数の駆動振動子10b…とから構成されている。そして、各駆動振動子10b…は、例えば、50μm〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に切り分けられ、180本設けられる。また、ダミー振動子10aは、駆動振動子10bよりも十分広い幅であり、駆動振動子10bを衝撃等から保護する保護機能と、振動子ユニット3を所定位置に位置付けるためのガイド機能とを有する。
【0043】
各圧電振動子10…は、固定端部を固定板8上に接合することにより、自由端部を固定板8の先端面よりも外側に突出させている。すなわち、各圧電振動子10…は、いわゆる片持ち梁の状態で固定板8上に支持されている。そして、各圧電振動子10…の自由端部は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成されており、対向する電極間に電位差を与えることで素子長手方向に伸縮する。
【0044】
フレキシブルケーブル9は、固定板8とは反対側となる固定端部の側面で圧電振動子10と電気的に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル9の表面には、圧電振動子10の駆動等を制御するための制御用IC11が実装されている。また、各圧電振動子10…を支持する固定板8は、圧電振動子10からの反力を受け止め得る剛性を備えた板状部材であり、ステンレス板等の金属板が好適に用いられる。
【0045】
上記のケース2は、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で成型されたブロック状部材である。ここで、ケース2を熱硬化性樹脂で成型しているのは、この熱硬化性樹脂は、一般的な樹脂よりも高い機械的強度を有しており、線膨張係数が一般的な樹脂よりも小さく、周囲の温度変化による変形が小さいからである。そして、このケース2の内部には、振動子ユニット3を収納可能な収納空部12と、インクの流路の一部を構成するインク供給路13とが形成されている。また、ケース2の先端面には、共通インク室(リザーバ)14となる先端凹部15が形成されている。
【0046】
収納空部12は、振動子ユニット3を収納可能な大きさの空部である。この収納空部12の先端側部分はケース内壁が側方に向けて部分的に突出しており、この突出部分の上面が固定板当接面として機能する。そして、振動子ユニット3は、各圧電振動子10の先端が開口から臨む状態で収納空部12内に収納される。この収納状態において、固定板8の先端面は固定板当接面に当接した状態で接着されている。
【0047】
先端凹部15は、ケース2の先端面を部分的に窪ませることにより作製されている。本実施形態の先端凹部15は、収納空部12よりも左右外側に形成された略台形状の凹部であり、収納空部12側に台形の下底が位置するように形成されている。
【0048】
インク供給路13は、ケース2の高さ方向を貫通するように形成され、先端が先端凹部15に連通している。また、インク供給路13における取付面側の端部は、取付面から突設した接続口16内に形成されている。
【0049】
上記の接続基板5は、記録ヘッド1に供給する各種信号用の電気配線が形成されると共に、信号ケーブルを接続可能なコネクタ17が取付けられた配線基板である。そして、この接続基板5は、ケース2における取付面上に配置され、フレキシブルケーブル9の電気配線が半田付け等によって接続される。また、コネクタ17には、制御装置(図示せず)からの信号ケーブルの先端が挿入される。
【0050】
上記の供給針ユニット6は、インクカートリッジ(図示せず)が接続される部分であり、針ホルダ18と、インク供給針19と、フィルタ20とから概略構成される。
【0051】
インク供給針19は、インクカートリッジ内に挿入される部分であり、インクカートリッジ内に貯留されたインクを導入する。このインク供給針19の先端部は円錐状に尖っており、インクカートリッジ内に挿入し易くなっている。また、この先端部には、インク供給針19の内外を連通するインク導入孔が複数穿設されている。そして、本実施形態の記録ヘッド1は2種類のインクを吐出可能であるため、このインク供給針19を2本備えている。
【0052】
針ホルダ18は、インク供給針19を取付けるための部材であり、その表面にはインク供給針19の根本部分を止着するための台座21を2本分横並びに形成している。この台座21は、インク供給針19の底面形状に合わせた円形状に作製されている。また、台座底面の略中心には、針ホルダ18の板厚方向を貫通するインク排出口22を形成している。また、この針ホルダ18には、フランジ部を側方に延出している。
【0053】
フィルタ20は、埃や成型時のバリ等のインク内の異物の通過を阻止する部材であり、例えば、目の細かな金属網によって構成される。このフィルタ20は、台座21内に形成されたフィルタ保持溝に接着されている。
【0054】
そして、この供給針ユニット6は、図2に示すように、ケース2の取付面上に配設される。この配設状態において、供給針ユニット6のインク排出口22とケース2の接続口16とは、パッキン23を介して液密状態で連通する。
【0055】
次に、上記の流路ユニット4について説明する。この流路ユニット4は、圧力発生室形成板30の一方の面にノズルプレート31を、圧力発生室形成板30の他方の面に弾性板32を接合した構成である。
【0056】
圧力発生室形成板30は、図4に示すように、溝状窪部33と、連通口34と、逃げ凹部35とを形成した金属製の板状部材である。本実施形態では、この圧力発生室形成板30を、厚さ0.35mmのニッケル製の基板を加工することで作製している。
【0057】
ここで、基板としてニッケルを選定した理由について説明する。第1の理由は、このニッケルの線膨張係数が、ノズルプレート31や弾性板32の主要部を構成する金属(本実施形態では後述するようにステンレス)の線膨張係数と略等しいからである。すなわち、流路ユニット4を構成する圧力発生室形成板30、弾性板32及びノズルプレート31の線膨張係数が揃うと、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッド1の作動時に圧電振動子10が発熱し、この熱によって流路ユニット4が加熱されたとしても、流路ユニット4を構成する各部材30,31,32が均等に膨張する。このため、記録ヘッド1の作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニット4を構成する各部材30,31,32に剥離等の不具合は生じ難い。
【0058】
第2の理由は、防錆性に優れているからである。すなわち、この種の記録ヘッド1では水性インクが好適に用いられているので、長期間に亘って水が接触しても錆び等の変質が生じないことが肝要である。その点、ニッケルは、ステンレスと同様に防錆性に優れており、錆び等の変質が生じ難い。
【0059】
第3の理由は、展性に富んでいるからである。すなわち、圧力発生室形成板30を作製するにあたり、本実施形態では後述するように塑性加工(例えば、鍛造加工)で行っている。そして、圧力発生室形成板30に形成される溝状窪部33や連通口34は、極めて微細な形状であり、且つ、高い寸法精度が要求される。そして、基板にニッケルを用いると、展性に富んでいることから塑性加工であっても溝状窪部33や連通口34を高い寸法精度で形成することができる。
【0060】
なお、圧力発生室形成板30に関し、上記した各要件、すなわち、線膨張係数の要件、防錆性の要件、及び、展性の要件を満たすならば、ニッケル以外の金属で構成してもよい。
【0061】
溝状窪部33は、圧力発生室29となる溝状の窪部であり、図5に拡大して示すように、直線状の溝によって構成されている。本実施形態では、幅約0.1mm,長さ約1.5mm,深さ約0.1mmの溝を溝幅方向に180個列設している。この溝状窪部33の底面は、深さ方向(すなわち、奥側)に進むに連れて縮幅されてV字状に窪んでいる。底面をV字状に窪ませたのは、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁部28の剛性を高めるためである。すなわち、底面をV字状に窪ませることにより、隔壁部28の根本部分(底面側の部分)の肉厚が厚くなって隔壁部28の剛性が高まる。そして、隔壁部28の剛性が高くなると、隣の圧力発生室29からの圧力変動の影響を受け難くなる。すなわち、隣の圧力発生室29からのインク圧力の変動が伝わり難くなる。また、底面をV字状に窪ませることにより、溝状窪部33を塑性加工によって寸法精度よく形成することもできる(後述する)。そして、このV字の角度は、加工条件によって規定されるが、例えば90度前後である。さらに、隔壁部28における先端部分の肉厚が極く薄いことから、各圧力発生室29…を密に形成しても必要な容積を確保することができる。
【0062】
また、本実施形態における溝状窪部33に関し、その長手方向両端部は、奥側に進むにつれて内側に下り傾斜している。すなわち、溝状窪部33の長手方向両端部は、面取形状に形成されている。このように構成したのも、溝状窪部33を塑性加工によって寸法精度よく形成するためである。
【0063】
さらに、両端部の溝状窪部33,33に隣接させてこの溝状窪部33よりも幅広なダミー窪部36を1つずつ形成している。このダミー窪部36は、インク滴の吐出に関与しないダミー圧力発生室となる溝状の窪部である。本実施形態のダミー窪部36は、幅約0.2mm,長さ約1.5mm,深さ約0.1mmの溝によって構成されている。そして、このダミー窪部36の底面は、W字状に窪んでいる。これも、隔壁部28の剛性を高めるため、及び、ダミー窪部36を塑性加工によって寸法精度よく形成するためである。
【0064】
そして、各溝状窪部33…及び一対のダミー窪部36,36によって窪部列が構成される。本実施形態では、この窪部列を横並びに2列形成している。
【0065】
連通口34は、溝状窪部33の一端から板厚方向を貫通する貫通孔として形成している。この連通口34は、溝状窪部33毎に形成されており、1つの窪部列に180個形成されている。本実施形態の連通口34は、開口形状が矩形状であり、圧力発生室形成板30における溝状窪部33側から板厚方向の途中まで形成した第1連通口37と、溝状窪部33とは反対側の表面から板厚方向の途中まで形成した第2連通口38とから構成されている。
【0066】
そして、第1連通口37と第2連通口38とは断面積が異なっており、第2連通口38の内寸法が第1連通口37の内寸法よりも僅かに小さく設定されている。これは、連通口34をプレス加工によって作製していることに起因する。すなわち、この圧力発生室形成板30は、厚さ0.35mmのニッケル板を加工することで作製しているため、連通口34の長さは、溝状窪部33の深さを差し引いても0.25mm以上となる。そして、連通口34の幅は、溝状窪部33の溝幅よりも狭くする必要があるので、0.1mm未満に設定される。このため、連通口34を1回の加工で打ち抜こうとすると、アスペクト比の関係で雄型(ポンチ)が座屈するなどしてしまう。そこで、本実施形態では、加工を2回に分け、1回目の加工では第1連通口37を板厚方向の途中まで形成し、2回目の加工で第2連通口38を形成している。なお、この連通口34の加工手順については、後で説明する。
【0067】
また、ダミー窪部36にはダミー連通口39が形成されている。このダミー連通口39は、上記の連通口34と同様に、第1ダミー連通口40と第2ダミー連通口41とから構成されており、第2ダミー連通口41の内寸法が第1ダミー連通口40の内寸法よりも小さく設定されている。
【0068】
なお、本実施形態では、上記の連通口34及びダミー連通口39に関し、開口形状が矩形状の貫通孔によって構成されたものを例示したが、この形状に限定されるものではない。例えば、円形に開口した貫通孔によって構成してもよい。
【0069】
逃げ凹部35は、共通インク室14におけるコンプライアンス部の作動用空間を形成する。本実施形態では、ケース2の先端凹部15と略同じ形状であって、深さが溝状窪部33と等しい台形状の凹部によって構成している。
【0070】
次に、上記の弾性板32について説明する。この弾性板32は、封止板の一種であり、例えば、支持板42上に弾性体膜43を積層した二重構造の複合材(本発明の金属材の一種)によって作製される。本実施形態では、支持板42としてステンレス板を用い、弾性体膜43としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)を用いている。
【0071】
図6に示すように、弾性板32には、ダイヤフラム部44と、インク供給口45と、コンプライアンス部46とを形成している。
【0072】
ダイヤフラム部44は、圧力発生室29の一部を区画する部分である。すなわち、ダイヤフラム部44は溝状窪部33の開口面を封止し、この溝状窪部33と共に圧力発生室29を区画形成する。このダイヤフラム部44は、図7(a)に示すように、溝状窪部33に対応した細長い形状であり、溝状窪部33を封止する封止領域に対し、各溝状窪部33…毎に形成されている。具体的には、ダイヤフラム部44の幅は溝状窪部33の溝幅と略等しく設定され、ダイヤフラム部44の長さは溝状窪部33の長さよりも多少短く設定されている。長さに関し、本実施形態では、溝状窪部33の長さの約2/3に設定されている。そして、形成位置に関し、図2に示すように、ダイヤフラム部44の一端を、溝状窪部33の一端(連通口34側の端部)に揃えている。
【0073】
このダイヤフラム部44は、図7(b)に示すように、溝状窪部33に対応する部分の支持板42をエッチング等によって環状に除去して弾性体膜43のみとすることで作製され、この環内には島部47を形成している。この島部47は、圧電振動子10の先端面が接合される部分である。
【0074】
インク供給口45は、圧力発生室29と共通インク室14とを連通するための孔であり、弾性板32の板厚方向を貫通している。このインク供給口45も、ダイヤフラム部44と同様に、溝状窪部33に対応する位置に各溝状窪部33…毎に形成されている。このインク供給口45は、図2に示すように、連通口34とは反対側の溝状窪部33の他端に対応する位置に穿設されている。また、このインク供給口45の直径は、溝状窪部33の溝幅よりも十分に小さく設定されている。本実施形態では、23ミクロンの微細な貫通孔によって構成している。
【0075】
このようにインク供給口45を微細な貫通孔にした理由は、圧力発生室29と共通インク室14との間に流路抵抗を付与するためである。すなわち、この記録ヘッド1では、圧力発生室29内のインクに付与した圧力変動を利用してインク滴を吐出させている。このため、インク滴を効率よく吐出させるためには、圧力発生室29内のインク圧力をできるだけ共通インク室14側に逃がさないようにすることが肝要である。この観点から本実施形態では、インク供給口45を微細な貫通孔によって構成している。
【0076】
そして、本実施形態のように、インク供給口45を貫通孔によって構成すると、加工が容易であり、高い寸法精度が得られるという利点がある。すなわち、このインク供給口45は貫通孔であるため、レーザー加工による作製が可能である。従って、微細な直径であっても高い寸法精度で作製でき、作業も容易である。
【0077】
コンプライアンス部46は、共通インク室14の一部を区画する部分である。すなわち、コンプライアンス部46と先端凹部15とで共通インク室14を区画形成する。このコンプライアンス部46は、先端凹部15の開口形状と略同じ台形状であり、支持板42の部分をエッチング等によって除去し、弾性体膜43だけにすることで作製される。
【0078】
なお、弾性板32を構成する支持板42及び弾性体膜43は、この例に限定されるものではない。例えば、弾性体膜43としてポリイミドを用いてもよい。また、この弾性板32を、ダイヤフラム部44になる厚肉部及び該厚肉部周辺の薄肉部と、コンプライアンス部46になる薄肉部とを設けた金属板で構成してもよい。
【0079】
次に、上記のノズルプレート31について説明する。ノズルプレート31は、ノズル開口48を列設した金属製の板状部材である。本実施形態ではステンレス板を用い、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口48…を開設している。本実施形態では、合計180個のノズル開口48…を列設してノズル列を構成し、このノズル列を2列横並びに形成している。そして、このノズルプレート31を圧力発生室形成板30の他方の表面、すなわち、弾性板32とは反対側の表面に接合すると、対応する連通口34に各ノズル開口48…が臨む。
【0080】
そして、上記の弾性板32を、圧力発生室形成板30の一方の表面、すなわち、溝状窪部33の形成面に接合すると、ダイヤフラム部44が溝状窪部33の開口面を封止して圧力発生室29が区画形成される。同様に、ダミー窪部36の開口面も封止されてダミー圧力発生室が区画形成される。また、上記のノズルプレート31を圧力発生室形成板30の他方の表面に接合するとノズル開口48が対応する連通口34に臨む。この状態で島部47に接合した圧電振動子10を伸縮すると、島部47周辺の弾性体膜43が変形し、島部47が溝状窪部33側に押されたり、溝状窪部33側から離隔する方向に引かれたりする。この弾性体膜43の変形により、圧力発生室29が膨張したり収縮したりして圧力発生室29内のインクに圧力変動が付与される。
【0081】
さらに、弾性板32(すなわち、流路ユニット4)をケース2に接合すると、コンプライアンス部46が先端凹部15を封止する。このコンプライアンス部46は、共通インク室14に貯留されたインクの圧力変動を吸収する。すなわち、貯留されたインクの圧力に応じて弾性体膜43が膨張したり収縮したりして変形する。そして、上記の逃げ凹部35は、弾性体膜43の膨張時において、弾性体膜43が膨らむための空間を形成する。
【0082】
上記構成の記録ヘッド1は、インク供給針19から共通インク室14までの共通インク流路と、共通インク室14から圧力発生室29を通って各ノズル開口48…に至る個別インク流路とを有する。そして、インクカートリッジに貯留されたインクは、インク供給針19から導入されて共通インク流路を通って共通インク室14に貯留される。この共通インク室14に貯留されたインクは、個別インク流路を通じてノズル開口48から吐出される。
【0083】
例えば、圧電振動子10を収縮させると、ダイヤフラム部44が振動子ユニット3側に引っ張られて圧力発生室29が膨張する。この膨張により圧力発生室29内が負圧化されるので、共通インク室14内のインクがインク供給口45を通って各圧力発生室29に流入する。その後、圧電振動子10を伸張させると、ダイヤフラム部44が圧力発生室形成板30側に押されて圧力発生室29が収縮する。この収縮により、圧力発生室29内のインク圧力が上昇し、対応するノズル開口48からインク滴が吐出される。
【0084】
そして、この記録ヘッド1では、圧力発生室29(溝状窪部33)の底面がV字状に窪んでいる。このため、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁部28は、その根本部分の肉厚が先端部分の肉厚よりも厚く形成される。これにより、隔壁部28の剛性を従来よりも高めることができる。従って、インク滴の吐出時において、圧力発生室29内にインク圧力の変動が生じたとしても、その圧力変動を隣の圧力発生室29に伝わり難くすることができる。その結果、所謂隣接クロストークを防止でき、インク滴の吐出を安定化できる。
【0085】
また、本実施形態では、共通インク室14と圧力発生室29とを連通するインク供給口45を、弾性板32の板厚方向を貫通する微細孔によって構成したので、レーザー加工等によって高い寸法精度が容易に得られる。これにより、各圧力発生室29…へのインクの流入特性(流入速度や流入量等)を高いレベルで揃えることができる。さらに、レーザー光線によって加工を行った場合には、加工も容易である。
【0086】
また、本実施形態では、列端部の圧力発生室29,29に隣接させてインク滴の吐出に関与しないダミー圧力発生室(すなわち、ダミー窪部36と弾性板32とによって区画される空部)を設けたので、これらの両端の圧力発生室29,29に関し、片側には隣りの圧力発生室29が形成され、反対側にはダミー圧力発生室が形成されることになる。これにより、列端部の圧力発生室29,29に関し、その圧力発生室29を区画する隔壁の剛性を、列途中の他の圧力発生室29…における隔壁の剛性に揃えることができる。その結果、一列全ての圧力発生室29のインク滴吐出特性を揃えることができる。
【0087】
さらに、このダミー圧力発生室に関し、列設方向側の幅を各圧力発生室29…の幅よりも広くしている。換言すれば、ダミー窪部36の幅を溝状窪部33の幅よりも広くしている。これにより、列端部の圧力発生室29と列途中の圧力発生室29の吐出特性をより高い精度で揃えることができる。
【0088】
さらに、本実施形態では、ケース2の先端面を部分的に窪ませて先端凹部15を形成し、この先端凹部15と弾性板32とにより共通インク室14を区画形成しているので、共通インク室14を形成するための専用部材が不要であり、構成の簡素化が図れる。また、このケース2は樹脂成型によって作製されているので、先端凹部15の作製も比較的容易である。
【0089】
次に、上記記録ヘッド1の製造方法について説明する。なお、この製造方法では、上記の圧力発生室形成板30の製造工程に特徴を有しているので、圧力発生室形成板30の製造工程を中心に説明することにする。なお、この圧力発生室形成板30は、順送り型による鍛造加工によって作製される。また、圧力発生室形成板30の素材として使用する帯板は、上記したようにニッケル製である。
【0090】
圧力発生室形成板30の製造工程は、溝状窪部33を形成する溝状窪部形成工程と、連通口34を形成する連通口形成工程とからなり、順送り型によって行われる。
【0091】
溝状窪部形成工程では、図8に示す雄型51と図9に示す雌型52とを用いる。この雄型51は、溝状窪部33を形成するための金型である。この雄型には、溝状窪部33を形成するための突条部53を、溝状窪部33と同じ数だけ列設してある。また、列設方向両端部の突条部53に隣接させてダミー窪部36を形成するためのダミー突条部(図示せず)も設ける。突条部53の先端部分53aは先細りした山形とされており、例えば図8(b)に示すように、幅方向の中心から45度程度の角度で面取りされている。すなわち、突条部53の先端に形成した山形の斜面により楔状の先端部分53aが形成されている。これにより、長手方向から見てV字状に尖っている。また、先端部分53aにおける長手方向の両端は、図8(a)に示すように、45度程度の角度で面取りしてある。このため、突条部53の先端部分53aは、三角柱の両端を面取りした形状となっている。
【0092】
また、雌型52には、その上面に筋状突起54が複数形成されている。この筋状突起54は、隣り合う圧力発生室29,29同士を区画する隔壁の形成を補助するものであり、溝状窪部33,33同士の間に位置する。この筋状突起54は四角柱状であり、その幅は、隣り合う圧力発生室29,29同士の間隔(隔壁の厚み)よりも若干狭く設定されており、高さは幅と同程度である。また、筋状突起54の長さは溝状窪部33(突条部53)の長さと同程度に設定されている。
【0093】
そして、溝状窪部形成工程では、まず、図10(a)に示すように、雌型52の上面に素材であるとともに圧力発生室形成板である帯板55を載置し、帯板55の上方に雄型51を配置する。次に、図10(b)に示すように、雄型51を下降させて突条部53の先端部を帯板55内に押し込む。このとき、突条部53の先端部分53aをV字状に尖らせているので、突条部53を座屈させることなく先端部分53aを帯板55内に確実に押し込むことができる。この突条部53の押し込みは、図10(c)に示すように、帯板55の板厚方向の途中まで行う。
【0094】
突条部53の押し込みにより、帯板55の一部分が流動し、溝状窪部33が形成される。ここで、突条部53の先端部分53aがV字状に尖っているので、微細な形状の溝状窪部33であっても、高い寸法精度で作製することができる。すなわち、先端部分53aで押された部分が円滑に流れるので、形成される溝状窪部33は突条部53の形状に倣った形状に形成される。このときに、先端部分53aで押し分けられるようにして流動した素材55は、突条部53のあいだに設けられた空隙部53b内に流入し隔壁部28が成形される。さらに、先端部分53aにおける長手方向の両端も面取りしてあるので、当該部分で押圧された帯板55も円滑に流れる。従って、溝状窪部33の長手方向両端部についても高い寸法精度で作製できる。
【0095】
また、突条部53の押し込みを板厚方向の途中で止めているので、貫通孔として形成する場合よりも厚い帯板55を用いることができる。これにより、圧力発生室形成板30の剛性を高めることができ、インク滴の吐出特性の向上が図れる。また、圧力発生室形成板30の取り扱いも容易になる。
【0096】
また、突条部53で押圧されたことにより、帯板55の一部は隣り合う突条部53,53の空間内に隆起する。ここで、雌型52に設けた筋状突起54は、突条部53,53同士の間に対応する位置に配置されているので、この空間内への帯板55の流れを補助する。これにより、突条部53間の空間に対して効率よく帯板55を導入することができ、隆起部を高く形成できる。
【0097】
上記圧力発生室29を構成するための基本的な形状すなわち溝状窪部33の成形は、上述のとおりである。このようにして圧力発生室形成板30に成形された圧力発生室29は、それに続いて行われる研磨加工との関係で、その成形精度、とりわけ各隔壁部28の頂部の形状を可及的に真直ぐな形状で各頂部が均一に揃っていることが重要となる。このような要請に応えるために、鍛造加工パンチに第1金型と、仮成形金型と仕上げ金型からなる第2金型を保有させ、第2金型に特殊な形状を付与して、適正な隔壁部28の頂部を成形するようにしている。それと同時に、圧力発生室29が成形されるときに、隔壁部28の頂部よりも隆起した部分が素材55の流動によって形成されるのであるが、この隆起した部分を活用することも、研磨工程において重要である。
【0098】
上記の隔壁部28の頂部を適正な状態で構成するための加工方法を図11〜図14に示す。なお、すでに説明された部位と同じ機能を果たす部位については、同一の符号を図中に記載してある。
【0099】
なお、前述の雄型51および雌型52により帯板(素材)55に塑性加工を行うときには、常温の温度条件下であり、また、以下に説明する塑性加工においても同様に常温の温度条件で塑性加工を行っている。
【0100】
雄型51aすなわち第1金型に、多数の成形パンチ51bが所定ピッチで配列されている。溝状窪部33を成形するために、この成形パンチ51bを細長く変形して、所定ピッチの突条部53cとされている。また、隔壁部28を成形するために、上記成形パンチ51bのあいだに空隙部53b(図8,図10参照)が設けられている。上記第1金型51aが素材である圧力発生室形成板30(55)に押込まれた状態が、図12(C)に示してある。
【0101】
一方、上記雌型52aすなわち第2金型は、上記突条部53cの長手方向における中間部に対応する部分に、突条部53cの配列方向に延びる凹部54aが設けられている。そして、第2金型52aには、仮成形金型56と仕上げ金型57の2種類の金型が準備されている。
【0102】
上記仮成形金型56には上記空隙部53bに対向するとともにこの空隙部53bと略同じ長さの筋状突起54が形成されている。そして、この筋状突起54にはその長さ方向における中間部の高さが低く設定された凹部54aが設けられている。図14は、多数配列されている筋状突起54のなかの1つを示す側面図であり、同図(A)では中央部に円弧状の凹部54aが形成されている。
【0103】
上記筋状突起54は、図9や図10に示したものは、高さの低い突条のような部材形状であるが、凹部54aを形成するためには、筋状突起54に図12〜図14に示すような所要の高さが必要とされている。したがって、このような凹部54aが形成された筋状突起54は、高さのある「突条」が多数平行に配列されたもので、図12では断面形状が先端の尖った楔形状とされている。この楔形状部分の楔角度は、90度以下の鋭角とされている。なお、筋状突起54の配列により谷部56aが形成されている。また、圧力発生室形成板55の裏面に後述の仮成形工程で成形される隆起部55aが図示されている。
【0104】
上記筋状突起54の長手方向の凹部54aの長さは、筋状突起54の長さの約1/2以下に設定してある。また、筋状突起54のピッチは0.14mmである。この筋状突起54のピッチについては、0.3mm以下とすることにより、液体噴射ヘッド等の部品加工等においてより好適な予備成形となる。このピッチは好ましくは0.2mm以下,より好ましくは0.15mm以下である。さらに、筋状突起54の少なくとも凹部54aの部分は、その表面が平滑に仕上げられている。この仕上げとしては、鏡面仕上げが適しているが、他に例えば、クロム鍍金を施してもよい。
【0105】
上記楔形状部分の稜線部分を削り取るようにして形成されたのが、図14の(A)〜(F)に示すような凹部54aである。(A)は前述のように円弧状,(B)は平面で構成された凹部形状,(C)は両端部が小さな曲面とされ大部分が平面とされた凹部形状,(D)は両端部が平坦な傾斜面とされ中央部が平面とされた凹部形状,(E)(F)は凹部の中間部分に隆起形状部54bが設けられている凹部形状である。上記のように楔形状部分の稜線部分を削り取って凹部54aが形成されているので、凹部54aの頂面は図14(A2)のように断面で見ると平面となり、凹部全体では細長い円弧面になっている。
【0106】
上記の筋状突起54は楔形状で先端部が尖っているが、素材55の移動状態等により図14(G)に示すように平坦な頂面54cまたは丸みのある先端部の形状にしてもよい。
【0107】
つぎに、上記第2金型52aの仕上げ金型57は、上記仮成形金型56による仮成形後に使用されるもので、この仕上げ金型57には仮成形金型56の筋状突起54が除去された平坦面57aが形成され、また、仮成形金型56の凹部54aに対応する箇所に収容凹部57bが形成されている。すなわち、仕上げ金型57の成形面の幅方向で見て、中央部に収容凹部57bが形成され、この収容凹部57bの両側に平坦面57aが設けられている。
【0108】
上記平坦面57aは、上記突条部53の配列方向における端部近傍の箇所が端部に向かって低くなる表面形状とされている。図13(A)に示す表面形状は上記平坦面57aに連続した傾斜面57cである。
【0109】
第1金型51aと第2金型52aは、金型が進退動作をする通常の鍛造加工装置(図示していない)に固定され、両金型51aと52aのあいだに圧力発生室形成板30(55)を配置して、順次加工がなされる。また、第2金型52aは仮成形金型56と仕上げ金型57が組になって構成されているので、仮成形金型56と仕上げ金型57を隣合わせて配列し、圧力発生室形成板30(55)を順次移行させるのが適当である。
【0110】
つぎに、上記の第1金型51a,第2金型52aによって構成された鍛造加工パンチの加工動作を説明する。
【0111】
上記両金型51a,52aのあいだで加圧された金属素材板55は、第1金型51aの空隙部53bに押し込まれるようにして素材55の流入移動がなされる。このとき、第2金型52aには中間部の高さが低くされた凹部54aが設けられているので、上記凹部54a両側の第2金型52aの端部に近い箇所56b,56b(図12(D)参照)においては、両金型51a,52a間の間隔D1が中間部(凹部)の間隔D2よりも狭くなっていて、この狭い部分においては素材の加圧量が多くなる。このようにして加圧された金属素材板55は、加圧方向に略直交する方向へ押し出されるようにして流動させられ、両金型51a,52a間の間隔が広くなった加圧量の少ない凹部54aの方へより多くの素材移動がなされる。換言すると、上記素材流動において、凹部54aが素材55の逃げ込み場所を提供しているような機能を果たしている。このような素材移動は、主として、上記突条部53cや空隙部53bの長手方向に沿って行われ、また、素材55の一部が凹部54aの方へ膨出した隆起部55aとなる。
【0112】
したがって、上記加圧量の多い箇所56bにおいては強い素材加圧により、空隙部53bへの素材流入が積極的に行われ、また、加圧量の少ない凹部54aの方へはより多くの素材55が流動してくるので、凹部54aに対応した箇所の空隙部53bに対しても多くの素材流入が行われる。このようにして、凹部54aの両側56b,56bで素材の流動を凹部54a側へ仕向けつつ空隙部の全域にわたってより多くの素材流入がなされる。
【0113】
上記の空隙部53bに流入した素材55が溝状窪部33の隔壁部28を構成するので、溝状窪部33の空間形状を正確に形成することができる。さらに、このような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の鍛造加工パンチを金属製のニッケル等の素材に使用すれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。
【0114】
上記の加工動作は、第2金型52aの凹部54aの動作機能に重点を置いて説明したものであるが、図示の筋状突起54およびその凹部54aによる動作機能はつぎのとおりである。図12(B)は、第1金型51aと第2金型52aとのあいだで素材55が加圧される直前の状態を示している。この状態から(C)(D)に示すように両金型51a,52a間で素材55が加圧されると、筋状突起54が素材55に突き刺さるようにして圧入されて行くのと同時に、空隙部53b内への素材流動がなされて、隔壁部28の仮成形がなされる。
【0115】
上記の仮成形の段階においては、筋状突起54の凹部54aにより、上述の場合と同様に加圧量の少ない凹部54aの方へはより多くの素材55が流動して行くので、凹部54aに対応した箇所の空隙部53bに対しても多くの素材流入が行われる。このようにして、凹部54aの両側56b,56bで素材の流動を凹部側へ仕向けつつ空隙部53bの全域にわたってより多くの素材流入がなされる。さらに、筋状突起54自体の突起高さが相乗して、より一層多くの素材55が空隙部53b内に積極的に押し込まれる。このような仮成形状態における隔壁部28の高さは、図12(D)に示すように、低い部分28a,28aと高い部分28bが形成される。このように高低差ができるのは、端部に近い箇所56b,56bにおいて加圧された素材55が凹部54aの箇所へより多く流動して、そのときに多くの素材55が空隙部53b内に流動するからである。
【0116】
図12(C)(D)に示す仮成形が完了すると、仮成形状態の素材55は図13(B)に示すように、第1金型51aと仕上げ金型57のあいだに移送され、そこで両金型51a,52aで(C)に示すように加圧される。仕上げ金型57には収容凹部57bの両側に平坦面57aが形成してあるので、上記の低い隔壁部の部分28a,28aにおける空隙部53b内への素材55の流動量が多くなり、部分28a,28aの高さが高くなる。このとき、上記隆起部55aは収容凹部57b内に収容されて仕上げ金型57から加圧力を受けることがないので、上記の高い部分28bの高さはほとんど変わらない。したがって、最終的には(D)に示すように、隔壁部28の高さが略均一な高さとなる。
【0117】
また、仕上げ成形の段階においては、上記傾斜面57cが形成されているので、各空隙部53b内への素材55の流入量が全ての空隙部53bにおいて可及的に均一化される。すなわち、上記突条部53の配列方向に流動した素材55が突条部53の配列中央部から端部の方へ少しずつ流動して集積的に偏った状態になり、端部付近がいわゆる多肉状態になる。このように集積的に偏った素材量を端部が低くなった傾斜面57cで加圧するので、多肉状態の素材を過度に空隙部53b内に流動させることが防止される。したがって、各空隙部53b内への素材55の流入量が全ての空隙部53bにおいて可及的に均一化される。
【0118】
上記筋状突起54は、先端の尖った楔形状としてあるので、上記楔形状の部分が素材55に確実に食い込むので、空隙部53bに対向した箇所の素材55を正確に加圧することができ、空隙部53bへの素材流動が確実になされる。また、楔角がいわゆる90度以下の鋭角とされていることにより、素材55への食い込みがより一層確実に達成される。上記筋状突起54のピッチが、0.3mm以下とされていることにより、この鍛造加工パンチでインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室をきわめて精巧な鍛造加工で製作することができる。
【0119】
上記凹部54aが、円弧状の凹部形状とされていることにより、第2金型中間部の高さが徐々に緩やかに変化をするので、上記空隙部53bに流入する素材55の量が空隙部53bの長さ方向で見て、可及的に均一なものとなる。また、凹部54aが、複数の平面で構成された凹部形状とされていることにより、平面の傾斜角度を選定することにより、第2金型中間部の高さを徐々に緩やかに変化させることができ、空隙部53bに流入する素材55の量が空隙部53bの長さ方向で見て、可及的に均一なものとなる。
【0120】
上記凹部54aの中間部分に隆起形状部54bが設けられている場合には、上記隆起形状部54bと第2金型52aの端部に近い箇所において両金型51a,52aの間隔(上記間隔D1に相当)が狭くなるとともに、上記凹部54aが複数化されるので、加圧量の多い箇所と加圧量の少ない箇所が交互に複数配置される。したがって、加圧量の多い箇所(上記56bに相当)と素材55の流動先となる凹部54aが交互に小刻みに配置されるので、空隙部53bに流動する素材55の量が空隙部53bの長さ方向で見て略均一になる。
【0121】
上記筋状突起54の長手方向の凹部54aの長さを、筋状突起54の長さの約1/2以下に設定することにより、加圧方向に略直交する方向への素材流動量とそれを受け入れる凹部54aの空間を、加圧ストロークの大きさとの兼ね合いにおいて、程よくバランスさせることができ、空隙部53b内への素材流動が最適化される。
【0122】
上記筋状突起54の少なくとも凹部54aの部分が、鏡面仕上げやクロム鍍金等でその表面が平滑に仕上げられているので、加圧方向に略直交する方向に流動してきた素材55が凹部54aにおいてその平滑な表面状態により、積極的に空隙部53bの方へ変向され、空隙部53b内への素材流入がより一層積極的に行われる。
【0123】
上述の溝状窪部33の鍛造加工により成形された隔壁部28の頂部28cは、図13(D)に示すように、隔壁部28の端縁部すなわち隔壁部28の稜線のような形態であり、その長さ方向全域にわたって略直線的な形状となる。なお、同図(D)の場合はわずかに膨らんだ形に図示してあるが、実際には略直線的な頂部28cの形状である。そして、溝状窪部33の底部33aから頂部28cまでの高さは溝状窪部33の長手方向において略均一である。なお、ここでは溝状窪部33の底部形状はV字型であるので、上記底部33aはV字型部分の最も深い隅角部の箇所とされている。同時に所定ピッチで配列されている各頂部28cは、1仮想平面上に整然と整列している。
【0124】
上記の鍛造工程において、図13に示すように突条部53cが仕上げ工程として予備成形品に押込まれると、同図(D)に示すような隆起した部分63が成形される。これは、溝状窪部33の長手方向端部すなわち突条部53cの長手方向端部の近傍に形成されるもので、溝状窪部33の長手方向に流動した素材が頂部28cよりもさらに隆起した形状となっている。この隆起した部分63は、溝状窪部33の長手方向端部に形成されるので、図16(C)に示すように平面的に見ると、頂部28cと隆起した部分63はずれた位置関係となっている。隆起した部分63の溝状窪部33側には窪部側内壁63aが形成されていて、各窪部側内壁63aは1直線上に整列した状態になっている。したがって、溝空間64として仮想的に見ると、整列した頂部28cが溝空間64の仮想底面を形成し、同様に整列した窪部側内壁63aが溝空間64の仮想内側壁を形成していることになる。
【0125】
圧力発生室形成板30を研磨加工するとき、圧力発生室形成板30を正しく支持したり、その位置がずれたりしないようにするために、研磨治具65が設けられている。この研磨治具65には細長い位置決め突起66が形成され、ここでは、列設された圧力発生室29(溝状窪部33)の列が図15に示すように、2列が1組になっているので、各圧力発生室29の列に合致する位置決め突起66も2列が1組になっている。位置決め突起66の表面66aは平坦面とされ、上記の整列状態の頂部28cに接触できるようになっており、また、位置決め突起66の側面66b,66bは上記窪部側内壁63a,63aと略密着できるように位置決め突起66の幅が設定されている。
【0126】
上記のように第1金型51a,第2金型52aによって加工されて鍛造加工品は金属材料製の板状部材であり、圧力発生室29が成形された加工形状部68が鍛造加工品の表面69であり、その反対側が鍛造加工品の裏面70である。
【0127】
後述のように研磨治具65を鍛造加工品すなわち圧力発生室形成板30に合致させたときに、研磨治具65から圧力発生室形成板30がはずれることを防止するために、図17,図18,図19に示す一体化手段であるマグネットシート71が研磨治具65の表面に取付けられている。
【0128】
上記研磨治具65の位置決め突起66を上記溝空間64に相対的に挿入すると、位置決め突起66の表面66aが整列状態の頂部28cに接触し、また、位置決め突起66の両側面66b,66bが窪部側内壁63a,63aと略密着した状態になる。したがって、上記頂部28cが位置決め突起66に対する加工形状部68の深さ方向の基準位置になっており、他方、窪部側内壁63a,63aが位置決め突起66に対する圧力発生室29の開口面方向の基準位置になっている。
【0129】
図17および図18は、位置決め突起66が加工形状部68に合致しきった状態を示している。したがって、多数の頂部28cに対して一時に接触できる接触長さが位置決め突起66に付与されているので、鍛造加工品すなわち圧力発生室形成板30と研磨治具65との相対位置をより一層正確に決定づけることが可能となる。また、位置決め突起66の平坦な表面66aが1仮想平面上に整列した隔壁部28の頂部28cに正確に接触するので、鍛造加工品30と研磨治具65との相対位置が一層安定した状態で決定づけられる。さらに、多数の頂部28cが位置決め突起66の平坦面(66a)に接触するので、頂部28cの列設方向の接触摩擦が大きくなり、この列設方向への研磨治具65の位置ずれを防止するのにも有効である。
【0130】
図示していないが、ここで使用される研磨加工機は、研磨工具が回転あるいは往復する通常の形式のものであり、圧力発生室形成板30がセットされた研磨治具65を研磨加工機に取付けて研磨加工を行うものである。
【0131】
図17から図21における符号72は、研磨治具65に取付けられるスペーサプレートであり、そこにあけた開口73内に圧力発生室形成板30が略ぴったりとはめ込まれ、最初に研磨される裏面70が開口73から露出している。スペーサプレート72の厚さを選定することにより、研磨代T(図18参照)が設定される。
【0132】
図18のセット状態で裏面70の研磨代Tが研磨されて上記隆起部55aもともに除去されると、裏面70は平坦な面となる。その後、全面が平坦面とされた表面研磨用の研磨治具74にスペーサプレート72を図20に示すように固定してから、今度は開口73に圧力発生室形成板30の表面69を露出させて同形成板30を図21に示すようにはめ込む。その後、圧力発生室形成板30の表面を研磨すると、上記の隆起した部分63や隔壁部28の頂部28cが研磨されて、表面69の研磨が完了する。
【0133】
なお、スペーサプレート72を研磨治具65や表面研磨用の研磨治具74に固定する方法としては、種々なものが採用できるが、ここでは図18に示すようにスペーサプレート72の周縁に係合縁72aを設け、この係合縁72aを各研磨治具65や74の周縁に合致させるようにした。また、圧力発生室形成板30の研磨された面の平面度は著しく高いので、研磨治具74の平坦面に対しては、両面間には空気層がなく密着性が良好であるので、圧力発生室形成板30が開口73からはずれたりしないのである。
【0134】
図19は、1つの研磨治具65に多数(ここでは9枚)の圧力発生室形成板30が保持されている場合であり、このような集合体75を複数配列して研磨することが、生産性を向上させる点で有効である。その具体例が図22に示されている。この事例は、ターンテーブルの方式であり、中心に公転軸76を有する親テーブル77があり、その上に自転軸78を有する子テーブル79が設けられている。この子テーブル79上に上記の集合体75が6枚固定されている。このようなターンテーブルを研磨工具に対面させて集合体75に自転と公転の複合運動を付与することにより、全ての圧力発生室形成板30には均一な研磨が施される。したがって、研磨治具65上に多数の圧力発生室形成板30が位置決めされ、多数の圧力発生室形成板30を一時に研磨することが可能となり、生産性向上にとって有効である。また、上記のように加工形状部68の凹凸形状に対して位置決め突起66を係合させる方法であるから、多数の鍛造加工品30を確実に研磨治具65に保持することができる。
【0135】
上記圧力発生室形成板30の一部に研磨量を低減させる開口80が設けられている。こうすることにより、上記開口80の面積に相当する面積分の研磨量が低減するので、研磨工程の短縮化等が図られて、製造原価の低減に役立つのである。この開口80を凹部に置き換えても同じ作用効果がえられる。
【0136】
上記のような裏面70,表面69の研磨が完了したらインクジェット式記録ヘッド1の流路ユニット4の1部品として組立てられるのであるが、組立て前に必要に応じてさらに表裏両面69,70の両面研磨を行ってもよい。
【0137】
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室29となる溝状窪部33が列設されると共に、各溝状窪部33の一端に板厚方向に貫通する連通口34を形成した金属製の圧力発生室形成板30と、溝状窪部33の開口面を封止すると共に、溝状窪部33の他端に対応する位置に液体供給口45を穿設した金属材製の封止板と、前記連通口34と対応する位置にノズル開口48が穿設されて溝状窪部33の反対側に接合された金属製のノズルプレート31とを含む流路ユニット4を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記圧力発生室形成板30は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の鍛造加工品の研磨方法で研磨することにより液体噴射ヘッドがつくられる。
【0138】
上記の実施の形態による作用効果を列記するとつぎのとおりである。
【0139】
上記加工形状部68は一般的に凹凸のある形状とされており、この凹凸部分である加工形状部68を研磨治具65との位置決めとして用いている。具体的には、研磨治具65を加工形状部68に合致させることにより、鍛造加工品30と研磨治具65との相対位置が決定づけられる。したがって、研磨加工時には研磨工具から外力を受ける鍛造加工品30が研磨治具65から位置がずれるようなことがなく、所期の研磨精度が確保できる。さらに、加工形状部68と研磨治具65との組合わせであるから、この組合わせの仕方を選択することにより、加工形状部68と研磨治具65との相対位置を適宜選定して、鍛造加工品30にとって最も相応しい研磨を行うことができる。また、加工形状部68を利用した状態で鍛造加工品30と研磨治具65との相対位置が決定づけられるので、鍛造加工品30に特別な形状部分を設ける必要がなく、製造原価の低減において有利である。
【0140】
板状部材である鍛造加工品すなわち圧力発生室形成板30の加工形状部68が研磨治具65の位置決め突起66と一体化されるので、鍛造加工品30を確実に研磨治具65で保持したまま上記裏面70の研磨をすることができ、高い研磨精度を維持することができる。すなわち、加工形状部68の凹凸形状部に研磨治具65の位置決め突起66が合致するので、鍛造加工品30と研磨治具65との相対位置が一層確実に決定づけられる。また、鍛造加工品30が板状部材であるので、研磨治具65に表面69側を保持させ、裏面70側を研磨するという板状部材の形状に即した利点がえられる。
【0141】
鍛造加工パンチで成形された圧力発生室29と隔壁部28は、圧力発生室29の底部33aから隔壁部28の頂部28cまでの高さが隔壁部28の長さ方向において可及的に均一であるとともに、各隔壁部28同士の上記高さも可及的に均一である。したがって、隔壁部28の頂部28cは1仮想平面上に実質的に整然と整列した状態になっている。このような状態の隔壁部28の頂部28cに上記位置決め突起66が接触して、頂部28cが加工形状部68すなわち圧力発生室29の深さ方向の基準位置となっているので、鍛造加工品30が研磨治具65に対して傾いた姿勢で両者間の位置決めがなされるようなことがない。
【0142】
各圧力発生室29を加圧成形するときに金属素材が流動して、隔壁部28よりもさらに隆起した部分63が形成される。この隆起した部分63の窪部側内壁63a,63aに研磨治具65の位置決め突起66が受止められることにより、研磨治具65は圧力発生室29の開口面方向に変位することが制約されて、上記窪部側内壁63a,63aが上記位置決め突起66に対する圧力発生室29の開口面方向の基準位置となる。したがって、板状部材とされた鍛造加工品30は、圧力発生室30の開口面方向の位置決めが、上記加工形状部68の深さ方向の位置決めとともに果たされ、鍛造加工品30が研磨工具から外力を受けても、位置ずれを起すようなことがなく、高精度の研磨がえられる。
【0143】
研磨工程の順序としては、まず最初に鍛造加工品30の加工形状部68と研磨治具65との相対位置が正しく維持された状態で上記裏面70の研磨がなされ、この研磨面と各圧力発生室29の底部33aとの素材厚さが、図18の符号Dで示すように均一に仕上げられる。その後、鍛造加工品30の表裏を反転して上記表面69すなわち加工形状部68を研磨する。このときには、上記裏面研磨で仕上げられた平坦面を基準として表面研磨が行われるので、裏面研磨面と表面研磨面を完全に平行な関係とすることができ、結果的には、圧力発生室29の深さが均一に設定される。
【0144】
組立て精度の観点からすると、鍛造加工品30の表裏両面が平坦面となるので、インクジェット式記録ヘッド1の圧力発生室形成板30のように、隣接する他の部品との密着性が良好になり、高精度の組立て品質がえられる。
【0145】
上記研磨治具65から圧力発生室形成板30がはずれることを防止する一体化手段がマグネットシート71の態様で研磨治具65に設けられているので、圧力発生室形成板30と研磨治具65との相対位置や一体性が確実に維持されるので、研磨工具等による外力が圧力発生室形成板30に作用しても、圧力発生室形成板30の位置が簡単に狂ったりせず、研磨精度を高いレベルに維持することができる。また、磁石の吸引力で確実に圧力発生室形成板30を研磨治具65に保持することができる。そして、シート状の部材が研磨治具65に取付けてあるので、研磨治具65と圧力発生室形成板30との相対位置を大きく狂わせるような要素がなく、また、マグネットシート71の配置空間も最小限で済み、圧力発生室形成板30が板状部材であるようなときに、一層使い勝手がよくなる。
【0146】
上記裏面70の研磨終了後、平坦面とされた表面研磨用の研磨治具74に上記スペーサプレート72を固定した後、上記開口73に圧力発生室形成板30をはめ込んで上記表面69を露出させて表面69の研磨を行うものであるから、平坦面とされた表面研磨用の研磨治具74にあらかじめスペーサプレート72を固定して上記開口73を研磨治具74上に準備し、それから各開口73に表面69を露出させた状態で圧力発生室形成板30をはめ込む。このときにはすでに完了した裏面研磨による平坦な裏面が上記研磨治具74の平坦面に密着していて、圧力発生室形成板30と表面研磨用の研磨治具74との相対位置が正確に設定される。この状態でスペーサプレート72の板厚にしたがって研磨を行うことにより、表面研磨が完了する。
【0147】
このような表面研磨の際には、圧力発生室形成板30の裏面70と圧力発生室29の底部33aとの素材厚さが均一にされた圧力発生室形成板30が表面研磨用の研磨治具74に密着され、この状態で表面69側が裏面70と平行に研磨されるので、各圧力発生室29の深さは均一に揃うこととなる。
【0148】
上記圧力発生室形成板30が、平行に配列された突条部53cおよび各突条部53cのあいだに形成された空隙部53bが設けられた第1金型51aと、上記突条部53cの長手方向における中間部に対応する部分に、突条部53cの配列方向に延びる凹部54aが設けられている第2金型52aにより成形されることにより、空隙部53b内に流動する素材量が空隙部53bの長手方向にわたって可及的に均一になるので、隔壁部28の頂部28cの形状がほぼ直線的な状態になり、研磨治具65の位置決め突起66と隔壁部28の頂部28cとの接触が頂部28c全体にわたってなされる。したがって、上記のように第1金型51aと第2金型52aを使用することにより、研磨治具65の位置決め突起66と隔壁部28の頂部28cとの接触が良好な状態でえられる。さらに、第2金型52aの凹部54aによって圧力発生室形成板30の裏面70には隆起部55aが残存するが、これは上記裏面70の研磨の際に完全に平面化されて、上記表面の研磨の際には支障を来すことがない。
【0149】
上記窪部が、インクジェット式記録ヘッド1に組付けられる圧力発生室形成板30に成形した圧力発生室29である場合には、微細形状の圧力発生室29を高精度で研磨仕上げをすることができ、列設された圧力発生室29の深さが均一に製作され、各圧力発生室29におけるインクの吐出特性を均一に揃えることができる。
【0150】
また、液体噴射ヘッドの製造方法に関しては、つぎのような作用効果がえられる。すなわち、鍛造加工パンチで成形された圧力発生室29と隔壁部28は、圧力発生室29の底部33aから隔壁部28の頂部28cまでの高さが隔壁部28の長さ方向において可及的に均一であるとともに、各隔壁部28同士の上記高さも可及的に均一である。したがって、隔壁部28の頂部28cは1仮想平面上に実質的に整然と整列した状態になっている。このような状態の隔壁部28の頂部28cに研磨治具65の上記位置決め突起66が接触して、頂部28cが圧力発生室29の深さ方向の基準位置となっているので、圧力発生室形成板30が研磨治具65に対して傾いた姿勢で両者間の位置決めがなされるようなことがない。
【0151】
こうすることにより、圧力発生室形成板30の裏面70が研磨されたときには、その研磨面と圧力発生室29の底部33aとの素材厚さが均一になり、部品精度の向上にとって有効である。また、圧力発生室29は所定ピッチで配列された溝状窪部33であるから、各圧力発生室29の成形時に流動する素材の移動方向やその量が均一になるので、上記隔壁部28の頂部28cが形成される位置も均一化されることとなり、上記のように位置決め突起66との位置関係が良好に維持できる。
【0152】
さらに、各圧力発生室29を加圧成形するときに金属素材55が流動して、隔壁部28よりもさらに隆起した部分63が形成される。この隆起した部分63の窪部側内壁63aに研磨治具65の位置決め突起66が受止められることにより、研磨治具65は圧力発生室29の開口面方向に変位することが制約されて、上記窪部側内壁63aが上記位置決め突起66に対する圧力発生室29の開口面方向の基準位置となる。したがって、板状部材とされた圧力発生室形成板30は、圧力発生室29の開口面方向の位置決めが、上記圧力発生室29の深さ方向の位置決めとともに果たされ、圧力発生室形成板30が研磨工具から外力を受けても、位置ずれを起すようなことがなく、高精度の研磨がえられる。
【0153】
上述の利点は、請求項1〜16項に記載の鍛造加工品の研磨方法を採用することによってえられる作用効果の一部であり、これ以外にも各請求項の内容に応じた良好な液体噴射ヘッドの製造方法がえられる。
【0154】
さらに、液体噴射ヘッドの圧力発生室29は微細な加工成形であるため、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の金属素材55への鍛造加工とその後の研磨加工を採用すれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。
【0155】
また、圧力発生室形成板30を、例えば、ニッケルを素材として製作すれば、流路ユニット4を構成する圧力発生室形成板30,弾性板32及びノズルプレート31の線膨張係数が略揃うので、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材30,32,31を支障なく接着することができる。また、記録ヘッド1の作動時に圧電振動子10が発熱し、この熱によって流路ユニット4が加熱されたとしても、流路ユニット4を構成する各部材が均等に膨張する。このため、記録ヘッド1の作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニット4を構成する各部材に剥離等の不具合は生じにくくなる。
【0156】
図23に例示した記録ヘッド1´は、本発明を適用することのできる事例であり、圧力発生素子として発熱素子61を用いたものである。この例では、上記の弾性板32に代えて、コンプライアンス部46とインク供給口45とを設けた封止基板62を用い、この封止基板62によって圧力発生室形成板30における溝状窪部33側を封止している。また、この例では、圧力発生室29内における封止基板62の表面に発熱素子61を取り付けている。この発熱素子61は電気配線を通じて給電されて発熱する。なお、圧力発生室形成板30やノズルプレート31等、その他の構成は上記実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0157】
この記録ヘッド1´では、発熱素子61への給電により、圧力発生室29内のインクが突沸し、この突沸によって生じた気泡が圧力発生室29内のインクを加圧する。この加圧により、ノズル開口48からインク滴が吐出される。そして、この記録ヘッド1´でも、圧力発生室形成板30を金属の塑性加工で作製しているので、上記した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0158】
また、連通口34に関し、上記実施形態では、溝状窪部33の一端部に設けた例を説明したが、これに限らない。例えば、連通口34を溝状窪部33における長手方向略中央に形成して、溝状窪部33の長手方向両端にインク供給口45及びそれと連通する共通インク室14を配置してもよい。このようにすることにより、インク供給口45から連通口34に至る圧力発生室29内におけるインクの淀みを防止できるので、好ましい。
【0159】
上述の実施の形態は、インクジェット式記録装置に使用される記録ヘッドであるが、本発明における液体噴射ヘッドは、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。
【0160】
【発明の効果】
以上のように、本発明の鍛造加工品の研磨方法によれば、上記加工形状部は一般的に凹凸のある形状とされており、この凹凸部分により鍛造加工品と研磨治具との相対位置が決定づけられる。したがって、研磨加工時には研磨工具から外力を受ける鍛造加工品が研磨治具から位置がずれるようなことがなく、所期の研磨精度が確保できる。さらに、加工形状部と研磨治具との組合わせであるから、この組合わせの仕方を選択することにより、加工形状部と研磨治具との相対位置を適宜選定して、鍛造加工品にとって最も相応しい研磨を行うことができる。また、加工形状部を利用した状態で鍛造加工品と研磨治具との相対位置が決定づけられるので、鍛造加工品に特別な形状部分を設ける必要がなく、製造原価の低減において有利である。
【0161】
さらに、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室のような微細な構造の加工成形としては、一般に、異方性エッチングの手法が採用されるのであるが、このような手法は加工工数が多大なものとなるので、製造原価の面で不利である。それに対して、上記の金属素材への鍛造加工とその後の研磨加工を採用すれば、加工工数が大幅に削減され、原価的にも極めて有利である。さらに、各窪部の容積を均一に加工できるので、例えば、液体噴射ヘッドの圧力発生室等を成形するような場合においては、液体噴射ヘッドの噴射特性を安定させる等の面で非常に有効である。
【0162】
また、圧力発生室形成板を、例えば、ニッケルを素材として製作すれば、流路ユニットを構成する圧力発生室形成板,弾性板及びノズルプレートの線膨張係数が略揃うので、これらの各部材を加熱接着した際において、各部材は均等に膨張する。このため、膨張率の相違に起因する反り等の機械的ストレスが発生し難い。その結果、接着温度を高温に設定しても各部材を支障なく接着することができる。また、記録ヘッドの作動時に圧電振動子が発熱し、この熱によって流路ユニットが加熱されたとしても、流路ユニットを構成する各部材が均等に膨張する。このため、記録ヘッドの作動に伴う加熱と作動停止に伴う冷却とが繰り返し行われても、流路ユニットを構成する各部材に剥離等の不具合は生じにくくなる。
【0163】
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法によれば、鍛造加工パンチで成形された圧力発生室と隔壁部は、圧力発生室の底部から隔壁部の頂部までの高さが隔壁部の長さ方向において可及的に均一であるとともに、各隔壁部同士の上記高さも可及的に均一である。したがって、隔壁部の頂部は1仮想平面上に実質的に整然と整列した状態になっている。このような状態の隔壁部の頂部に研磨治具の上記位置決め突起が接触して、頂部が圧力発生室の深さ方向の基準位置となっているので、圧力発生室形成板が研磨治具に対して傾いた姿勢で両者間の位置決めがなされるようなことがない。
【0164】
こうすることにより、圧力発生室形成板の裏面が研磨されたときには、その研磨面と圧力発生室の底部との素材厚さが均一になり、部品精度の向上にとって有効である。また、圧力発生室は所定ピッチで配列された溝状窪部であるから、各圧力発生室の成形時に流動する素材の移動方向やその量が均一になるので、上記隔壁部の頂部が形成される位置も均一化されることとなり、上記のように位置決め突起との位置関係が良好に維持できる。
【0165】
さらに、各圧力発生室を加圧成形するときに金属素材が流動して、隔壁部よりもさらに隆起した部分が形成される。この隆起した部分の窪部側内壁に研磨治具の位置決め突起が受止められることにより、研磨治具は圧力発生室の開口面方向に変位することが制約されて、上記窪部側内壁が上記位置決め突起に対する圧力発生室の開口面方向の基準位置となる。したがって、例えば、板状部材とされた圧力発生室形成板は、圧力発生室の開口面方向の位置決めが、上記圧力発生室の深さ方向の位置決めとともに果たされ、圧力発生室形成板が研磨工具から外力を受けても、位置ずれを起すようなことがなく、高精度の研磨がえられる。
【0166】
上述の利点は、請求項1〜17項に記載の鍛造加工品の研磨方法を採用することによってえられる作用効果の一部であり、これ以外にも各請求項の内容に応じた良好な液体噴射ヘッドの製造方法がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】インクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、振動子ユニットを説明する図である。
【図4】圧力発生室形成板の平面図である。
【図5】圧力発生室形成板の説明図であり、(a)は図4におけるX部分の拡大図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は(a)におけるB−B断面図である。
【図6】弾性板の平面図である。
【図7】弾性板の説明図であり、(a)は図6におけるY部分の拡大図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、溝状窪部の形成に用いる雄型を説明する図である。
【図9】(a)及び(b)は、溝状窪部の形成に用いる雌型を説明する図である。
【図10】(a)〜(c)は、溝状窪部の形成を説明する模式図である。
【図11】金型と素材との関係を示す斜視図である。
【図12】仮成形の進行状態を示す斜視図と断面図である。
【図13】仕上げ成形の進行状態を示す斜視図と断面図である。
【図14】筋状突起の凹部形状を示す側面図と断面図である。
【図15】圧力発生室形成板の斜視図である。
【図16】圧力発生室形成板と研磨治具との関係を示す断面図,平面図である。
【図17】圧力発生室形成板に研磨治具が合致した状態を示す断面図である。
【図18】圧力発生室形成板に研磨治具が合致した状態を示す断面図である。
【図19】研磨治具に多数の圧力発生室形成板が合致している状態を示す平面図である。
【図20】表面研磨用の研磨治具にスペーサプレートが固定された状態を示す部分的な平面図である。
【図21】スペーサプレートに表面研磨のために圧力発生室形成板がはめ込まれた状態を示す部分的な平面図である。
【図22】研磨用ターンテーブルを示す平面図である。
【図23】変形例のインクジェット式記録ヘッドを説明する断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録ヘッド
1´ インクジェット式記録ヘッド
2 ケース
3 振動子ユニット
4 流路ユニット
5 接続基板
6 供給針ユニット
7 圧電振動子群
8 固定板
9 フレキシブルケーブル
10 圧電振動子
10a ダミー振動子
10b 駆動振動子
11 制御用IC
12 収納空部
13 インク供給路
14 共通インク室
15 先端凹部
16 接続口
17 コネクタ
18 針ホルダ
19 インク供給針
20 フィルタ
21 台座
22 インク排出口
23 パッキン
28 隔壁部
28a 隔壁部の低い部分
28b 隔壁部の高い部分
28c 頂部
29 圧力発生室
30 圧力発生室形成板
31 ノズルプレート
32 弾性板
33 溝状窪部
33a 底部
34 連通口
35 逃げ凹部
36 ダミー窪部
37 第1連通口
38 第2連通口
39 ダミー連通口
40 第1ダミー連通口
41 第2ダミー連通口
42 支持板
43 弾性体膜
44 ダイヤフラム部
45 インク供給口
46 コンプライアンス部
47 島部
48 ノズル開口
51 雄型
51a 第1金型
51b 成形パンチ
52 雌型
52a 第2金型
53 突条部
53a 先端部分
53b 空隙部
53c 突条部
54 筋状突起
54a 凹部
54b 隆起形状部
54c 頂面
55 帯板,素材,金属素材板,(圧力発生室形成板)
55a 隆起部
56 仮成形金型
56a 谷部
56b 端部に近い箇所
57 仕上げ金型
57a 平坦面
57b 収容凹部
57c 傾斜面
61 発熱素子
62 封止基板
63 隆起した部分
63a 窪部側内壁
64 溝空間
65 研磨治具
66 位置決め突起
66a 表面
66b 側面
68 加工形状部
69 表面
70 裏面
71 マグネットシート
72 スペーサプレート
72a 係合縁
73 開口
74 表面研磨用の研磨治具
75 集合体
76 公転軸
77 親テーブル
78 自転軸
79 子テーブル
80 開口
T 裏面の研磨代
D 研磨裏面と底部とのあいだの素材厚さ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for polishing a forged product used for manufacturing components such as a liquid jet head.
[0002]
[Prior art]
Forging is used in various product fields. For example, forging a pressure generating chamber of a liquid jet head into a metal material by forging can be considered. The liquid ejecting head discharges pressurized liquid as liquid droplets from nozzle openings, and is known to target various liquids. Among them, a typical one is an ink jet recording head. Therefore, a conventional technique will be described by taking the above-mentioned ink jet recording head as an example.
[0003]
An ink jet recording head (hereinafter, referred to as a recording head) includes a plurality of flow passages extending from a common ink chamber to a nozzle opening through a pressure generating chamber formed in a groove-like concave portion, corresponding to the nozzle opening. Have. Then, from the demand for miniaturization, it is necessary to form each pressure generating chamber at a fine pitch corresponding to the recording density. For this reason, the thickness of the partition part which partitions the adjacent pressure generating chambers is extremely small. In addition, the ink supply port communicating the pressure generating chamber and the common ink chamber has a narrower flow path width than the pressure generating chamber in order to efficiently use the ink pressure in the pressure generating chamber for ejecting ink droplets. I have. A silicon substrate is preferably used in a conventional recording head from the viewpoint of manufacturing the pressure generating chamber and the ink supply port having such a fine shape with high dimensional accuracy. That is, the crystal plane is exposed by anisotropic etching of silicon, and the pressure generation chamber and the ink supply port are defined by the crystal plane.
[0004]
Further, the nozzle plate in which the nozzle openings are formed is made of a metal plate due to a demand for workability or the like. The diaphragm for changing the volume of the pressure generating chamber is formed on the elastic plate. This elastic plate has a double structure in which a resin film is bonded on a metal support plate, and is manufactured by removing a portion of the support plate corresponding to the pressure generating chamber.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The above-mentioned silicon substrate has a problem in manufacturing due to complicated processing steps and the like. Therefore, it has been noted that the pressure generating chamber of the conventional recording head is formed by forging a metal material to be formed. In this case, however, the groove-shaped dent is subjected to pressure forming with a forging punch. A phenomenon occurs in which the metal material flows at the time of pressurization and the periphery of the pressure generating chamber rises. In order to form such a pressure generating chamber with high accuracy by removing such raised portions, it is necessary to perform polishing after forging. In particular, in this polishing process, a technique that pays close attention is required so that the space dimension and shape of the pressure generating chamber become more accurate.
[0006]
Further, since the difference between the coefficients of linear expansion of silicon and metal is large, it was necessary to bond the silicon substrate, the nozzle plate, and the elastic plate over a long period of time at a relatively low temperature. For this reason, it has been difficult to improve the productivity, and this has been a factor that increases the manufacturing cost. For this reason, attempts have been made to form the pressure generating chamber on the metal substrate by plastic working. However, the pressure generating chamber is extremely fine, and the flow width of the ink supply port is made narrower than the pressure generating chamber. Due to the necessity and the like, there is a problem that it is difficult to perform high-precision machining, and it is also difficult to improve the head assembly accuracy.
[0007]
The present invention has been made in view of such circumstances, and a main object of the present invention is to perform better polishing for a processed shape portion in a forged metal material.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the method for polishing a forged product of the present invention is a method for polishing a forged product in which a forged punch is pressed against a metal material to form a forged product, and then the polishing process is performed. The gist is that polishing is performed using the processed shape portion of the forged product as a positioning with a polishing jig.
[0009]
That is, polishing is performed using the processed shape portion of the forged product as a positioning with the polishing jig.
[0010]
The above-mentioned processed shape portion is generally formed into a shape having unevenness, and the relative position between the forged product and the polishing jig is determined by the uneven portion. Therefore, at the time of polishing, a forged product which receives an external force from the polishing tool does not shift from the polishing jig, and the desired polishing accuracy can be secured. Furthermore, since it is a combination of the processing shape part and the polishing jig, by selecting the method of this combination, the relative position between the processing shape part and the polishing jig is appropriately selected, and the most suitable for the forged product. Appropriate polishing can be performed. In addition, since the relative position between the forged product and the polishing jig is determined in a state in which the processed shape portion is used, it is not necessary to provide a specially shaped portion in the forged product, which is advantageous in reducing manufacturing costs.
[0011]
Further, for example, as a process forming of a fine structure such as a pressure generating chamber of a liquid jet head, an anisotropic etching method is generally adopted, but such a method requires a large number of processing steps. This is disadvantageous in terms of manufacturing cost. On the other hand, if the forging process and the subsequent polishing process for the metal material described above are employed, the number of processing steps is greatly reduced, and the cost is extremely advantageous. Furthermore, since the volume of each concave portion can be uniformly processed, for example, in the case of forming a pressure generating chamber or the like of the liquid ejecting head, it is very effective in stabilizing the ejection characteristics of the liquid ejecting head. is there.
[0012]
In the method of polishing a forged product according to the present invention, by matching the above-mentioned positioning with a polishing jig to a processed shape portion of the forged product, when determining a relative position between the forged product and the polishing jig, Since the positioning is performed by matching the processed shape portion of the forged product and the polishing jig, the relative position between the processed shape portion and the polishing jig is accurately set by a reliable matching state between the two.
[0013]
In the method of polishing a forged product of the present invention, the metal material is a plate-like member, the processed shape portion is a front surface of the forged product, and the opposite side of the processed shape portion is a back surface of the forged product, When the back surface is polished in a state where the positioning projections provided on the polishing jig are positioned at the processing shape portions, the processing shape portions of the plate-shaped forged product are the positioning projections of the polishing jig. Since it is integrated, the back surface can be polished while the forged product is securely held by the polishing jig, and high polishing accuracy can be maintained. In other words, since the positioning projections of the polishing jig match the concave and convex portions of the processed shape portion, the relative position between the forged product and the polishing jig can be determined more reliably. Further, since the forged product is a plate-shaped member, an advantage in conformity with the shape of the plate-shaped member can be obtained, in which the polishing jig holds the front side and the back side is polished.
[0014]
In the method for polishing a forged product according to the present invention, the processed shape portion is a concave portion arranged at a predetermined pitch, and the partition wall formed between the concave portions when the forged punch is used to form the concave portion. When the top of the portion is a reference position in the depth direction of the processed shape portion with respect to the positioning protrusion, the recess formed by the forging punch and the partition are moved from the bottom of the recess to the top of the partition. Is as uniform as possible in the length direction of the partition walls, and the above-described height of each partition wall is also as uniform as possible. Therefore, the tops of the partition portions are substantially aligned in one virtual plane. Since the positioning protrusion contacts the top of the partition in such a state, and the top is the reference position in the depth direction of the processed shape portion, the forged product is inclined with respect to the polishing jig. There is no positioning between them.
[0015]
By doing so, when the back surface of the forged product is polished, the material thickness between the polished surface and the bottom of the recess becomes uniform, which is effective for improving the precision of parts. In addition, since the processed shape portions are concave portions arranged at a predetermined pitch, the moving direction and the amount of the material flowing at the time of forming each concave portion become uniform, so the position where the top of the partition portion is formed is also provided. As a result, the positional relationship with the positioning projections can be favorably maintained as described above.
[0016]
In the method for polishing a forged product of the present invention, when forming the recesses, the recess-side inner wall of a portion that is more protruding than the partition wall formed on a part of the periphery of each recess is formed by the positioning protrusion. When the recess is set as the reference position in the direction of the opening surface of the recess, the metal material flows when the recess is pressed and formed, and a portion further raised than the partition is formed. The positioning jig of the polishing jig is received on the inner wall of the concave portion of the raised portion, so that the polishing jig is restricted from being displaced in the direction of the opening surface of the concave portion. This is a reference position in the direction of the opening surface of the recess relative to the projection. Therefore, for example, in the forged product formed as a plate-shaped member, the positioning of the recess in the opening surface direction is performed together with the positioning of the processed shape portion in the depth direction, and the forged product receives an external force from the polishing tool. However, high-precision polishing can be obtained without causing a positional shift.
[0017]
In the method of polishing a forged product according to the present invention, when the positioning protrusions are formed in a long shape that comes into contact with the tops of the partition walls arranged in the direction in which the recesses are arranged, a large number of tops are formed. On the other hand, since the contact length that can be contacted at one time is provided to the positioning projection, the relative position between the forged product and the polishing jig can be more accurately determined.
[0018]
In the method for polishing a forged product according to the present invention, when the surface of the positioning projection is a flat surface, the flat surface of the positioning projection accurately contacts the top of the partition wall portion aligned on one virtual plane. The relative position between the forged product and the polishing jig is determined in a more stable state. Furthermore, since a large number of tops contact the flat surfaces of the positioning projections, the contact friction in the direction in which the tops are arranged increases, which is also effective in preventing the polishing jig from being displaced in the direction in which the tops are arranged.
[0019]
In the method of polishing a forged product of the present invention, by polishing the front surface after polishing the back surface, when the depths of the recesses arranged at a predetermined pitch are set to be uniform, first forging is performed. The back surface is polished in a state where the relative position between the processed shape portion of the processed product and the polishing jig is correctly maintained, and the material thickness of the polished surface and the bottom of each recess is uniformly finished. After that, the forged product is turned upside down, and the surface, that is, the processed shape portion is polished. At this time, since the front surface is polished based on the flat surface finished by the back surface polishing, the back surface polished surface and the surface polished surface can be completely parallel to each other. Are set uniformly.
[0020]
In the method of polishing a forged product of the present invention, the back surface is formed into a flat surface by polishing the back surface, the flat surface of the back surface is positioned, and the top of the partition wall portion on the front surface and a portion raised from the partition wall portion are polished. When the portion other than the recess is formed on a flat surface by doing so, the front and back surfaces of the forged product are flat surfaces, and therefore, for example, other adjacent components such as a pressure generating chamber forming plate of a liquid jet head. And the adhesion to the film is improved.
[0021]
In the method for polishing a forged product according to the present invention, the polishing jig has a plurality of positioning projections arranged at predetermined intervals on a flat plate-like member, and a plurality of forged products are positioned on the polishing jig by the positioning projections. In the case of positioning, a large number of forged products are positioned on the polishing jig, and a large number of forged products can be polished at once, which is effective for improving productivity. In addition, since the positioning projection is engaged with the uneven shape of the processed shape portion as described above, a large number of forged products can be reliably held on the polishing jig.
[0022]
In the method of polishing a forged product of the present invention, when an integrated means for preventing the forged product from coming off from the polishing jig is provided in the polishing jig, the forging product and the polishing jig may be combined with each other. Since the relative position and the integrity are reliably maintained, even if an external force from a polishing tool or the like acts on the forged product, the position of the forged product does not change, and the polishing accuracy can be maintained at a high level. .
[0023]
In the method for polishing a forged product of the present invention, when the integrating means is a magnet sheet attached to the polishing jig, the forged product is securely held on the polishing jig by the attraction force of the magnet. Can be. In addition, since the sheet-like member is attached to the polishing jig, there is no element that greatly disturbs the relative position between the polishing jig and the forged product. When the processed product is a plate-like member, the usability is further improved.
[0024]
In the method for polishing a forged product of the present invention, after positioning a plurality of forged products on the polishing jig, a spacer plate provided with an opening for exposing the back surface of the forged product is fixed to the polishing jig. After that, when the back surface is polished, the removal amount can be set to a predetermined amount by selecting the thickness of the spacer plate, and the back surface can be polished with high accuracy. In addition, since the forged product is fitted into the opening, the opening functions to hold the forged product even if the integrity of the forged product and the polishing jig is loosened. Therefore, the forged product does not come off the polishing jig.
[0025]
In the method of polishing a forged product of the present invention, after the polishing of the back surface is completed, the spacer plate is fixed to a polishing jig for flattening the surface, and then the forged product is fitted into the opening and the front surface is fixed. When the surface is polished by exposing the surface, the spacer plate of the polishing jig for flattening the surface is fixed in advance and the openings are prepared on the polishing jig. Insert the forged product in the exposed state. At this time, the flat back surface of the completed back surface polishing is in close contact with the flat surface of the polishing jig, and the relative position between the forged product and the polishing jig for surface polishing is accurately set. In this state, the surface is polished according to the thickness of the spacer plate, thereby completing the surface polishing.
[0026]
At the time of such surface polishing, a forged product having a uniform material thickness between the back surface of the forged product and the bottom of the concave portion is brought into close contact with a polishing jig for surface polishing, and in this state, the front side is Since the polishing is performed in parallel with the back surface, the depths of the recesses are evenly uniform.
[0027]
In the method for polishing a forged product of the present invention, when an opening or a concave portion for reducing the polishing amount is provided in a part of the forged product, the polishing amount for an area corresponding to the area of the opening or the concave portion is provided. As a result, the polishing process can be shortened and the like, which helps to reduce the manufacturing cost.
[0028]
In the method of polishing a forged product according to the present invention, the forged product is provided with a first die having a plurality of ridges arranged in parallel and a void formed between the ridges; In the case where the portion corresponding to the portion is formed by a second mold provided with a concave portion extending in the arrangement direction of the ridge portion, the amount of the material flowing into the void portion can be extended in the longitudinal direction of the void portion. Since the shape is as uniform as possible, the shape of the top of the partition is substantially linear, and the positioning protrusion of the polishing jig contacts the top of the partition over the entire top. Therefore, by using the first mold and the second mold as described above, good contact between the positioning projection of the polishing jig and the top of the partition wall can be obtained. Further, a raised portion remains on the back surface of the forged product due to the concave portion of the second mold, but this is completely planarized when polishing the back surface, and hinders polishing when polishing the front surface. I can't.
[0029]
In the method for polishing a forged product of the present invention, when the recess is a pressure generating chamber formed on a pressure generating chamber forming plate to be assembled to a liquid jet head, the groove-shaped concave portion having a fine shape is formed with high precision. Thus, the depth of the pressure generating chambers arranged in a row can be made uniform, and the ejection characteristics of the liquid in each pressure generating chamber can be made uniform.
[0030]
In order to achieve the above object, a method of manufacturing a liquid ejecting head according to the present invention is characterized in that a groove-shaped recess serving as a pressure generating chamber is arranged in a row, and a communication port penetrating through one end of each groove-shaped recess in a plate thickness direction. A metal pressure generating chamber forming plate formed with a groove, and a metal material seal having a liquid supply port formed at a position corresponding to the other end of the groove-shaped recess while sealing the opening surface of the groove-shaped recess. A method for manufacturing a liquid jet head, comprising: a flow path unit including a stop plate and a metal nozzle plate having a nozzle opening formed at a position corresponding to the communication port and joined to an opposite side of the groove-shaped recess. The gist is that the pressure generating chamber forming plate is formed by polishing by the polishing method of a forged product according to any one of
[0031]
That is, the pressure generation chamber forming plate is polished by the method for polishing a forged product according to any one of
[0032]
The pressure-generating chamber and the partition formed by the forging punch have a uniform height from the bottom of the pressure-generating chamber to the top of the partition in the longitudinal direction of the partition as much as possible. Is as uniform as possible. Therefore, the tops of the partition portions are substantially aligned in one virtual plane. The positioning projection of the polishing jig contacts the top of the partition in such a state, and the top is at the reference position in the depth direction of the pressure generating chamber. There is no case where positioning between the two is performed in an inclined posture.
[0033]
By doing so, when the back surface of the pressure generating chamber forming plate is polished, the material thickness between the polished surface and the bottom of the pressure generating chamber becomes uniform, which is effective for improving the precision of parts. Further, since the pressure generating chambers are groove-shaped concave portions arranged at a predetermined pitch, the moving direction and the amount of the material flowing at the time of molding each pressure generating chamber become uniform, so that the top of the partition portion is formed. Position is also uniformed, and the positional relationship with the positioning projections can be favorably maintained as described above.
[0034]
Further, when the pressure generating chambers are pressed, the metal material flows to form portions that are further raised than the partition walls. The positioning jig of the polishing jig is received on the inner wall of the recessed portion of the raised portion, so that the polishing jig is restricted from being displaced in the direction of the opening surface of the pressure generating chamber, and the inner wall of the recessed portion has It is a reference position in the direction of the opening surface of the pressure generating chamber with respect to the positioning projection. Therefore, in the pressure generating chamber forming plate which is a plate-shaped member, positioning in the opening surface direction of the pressure generating chamber is performed together with positioning in the depth direction of the pressure generating chamber, and the pressure generating chamber forming plate is moved from the polishing tool. Even if it receives an external force, it does not cause a displacement and high-precision polishing can be obtained.
[0035]
The above advantages are a part of the effects obtained by employing the method for polishing a forged product according to any one of
[0036]
Further, since the pressure generating chamber of the liquid jet head is formed by fine processing, anisotropic etching is generally employed, but such a method requires a large number of processing steps. It is disadvantageous in terms of cost. On the other hand, if the forging process and the subsequent polishing process for the metal material described above are employed, the number of processing steps is greatly reduced, and the cost is extremely advantageous.
[0037]
If the pressure generating chamber forming plate is made of, for example, nickel, the linear expansion coefficients of the pressure generating chamber forming plate, the elastic plate, and the nozzle plate constituting the flow path unit are substantially the same. When heated and bonded, each member expands uniformly. For this reason, mechanical stress such as warpage due to a difference in expansion rate is unlikely to occur. As a result, the members can be bonded without any trouble even if the bonding temperature is set to a high temperature. In addition, even when the piezoelectric vibrator generates heat during the operation of the recording head and the flow path unit is heated by this heat, the members constituting the flow path unit expand evenly. For this reason, even if the heating accompanying the operation of the recording head and the cooling accompanying the stop of the operation are repeatedly performed, problems such as peeling of each member constituting the flow path unit are less likely to occur.
[0038]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0039]
The method of polishing a forged product according to the present invention can be applied to various target members. A representative example of the target member is a pressure generating chamber forming plate of a liquid jet head. Therefore, in the illustrated embodiment, an example of an ink jet recording head is shown as a typical specific example of the liquid ejecting head.
[0040]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0041]
As shown in FIG. 3, the
[0042]
The
[0043]
Each of the
[0044]
The
[0045]
The
[0046]
The
[0047]
The
[0048]
The
[0049]
The
[0050]
The
[0051]
The
[0052]
The
[0053]
The
[0054]
The
[0055]
Next, the
[0056]
As shown in FIG. 4, the pressure generating
[0057]
Here, the reason why nickel is selected as the substrate will be described. The first reason is that the linear expansion coefficient of nickel is substantially equal to the linear expansion coefficient of the metal (stainless steel in the present embodiment, which will be described later) forming the main part of the
[0058]
The second reason is that it is excellent in rust prevention. In other words, since the aqueous ink is suitably used in this type of
[0059]
The third reason is that it is highly malleable. That is, in manufacturing the pressure generating
[0060]
The pressure generating
[0061]
The groove-shaped
[0062]
In addition, with respect to the groove-shaped
[0063]
Further, dummy recesses 36 wider than the groove-
[0064]
Each groove-shaped
[0065]
The
[0066]
The
[0067]
Further, a
[0068]
In the present embodiment, the above-described
[0069]
The
[0070]
Next, the
[0071]
As shown in FIG. 6, a
[0072]
The
[0073]
As shown in FIG. 7B, the
[0074]
The
[0075]
The reason why the
[0076]
When the
[0077]
The
[0078]
The
[0079]
Next, the
[0080]
When the
[0081]
Further, when the elastic plate 32 (that is, the flow path unit 4) is joined to the
[0082]
In the
[0083]
For example, when the
[0084]
In the
[0085]
Further, in the present embodiment, the
[0086]
Further, in the present embodiment, a dummy pressure generating chamber which is not involved in the ejection of ink droplets (that is, an empty space defined by the dummy recessed
[0087]
Further, with respect to the dummy pressure generating chambers, the width of the dummy pressure generating chambers in the row direction is wider than the width of each
[0088]
Further, in the present embodiment, the tip end surface of the
[0089]
Next, a method for manufacturing the
[0090]
The manufacturing process of the pressure generating
[0091]
In the groove-shaped recess forming step, a
[0092]
The
[0093]
Then, in the groove-shaped concave portion forming step, first, as shown in FIG. 10A, a
[0094]
When the protruding
[0095]
Further, since the pushing of the
[0096]
Further, by being pressed by the
[0097]
The basic shape for forming the
[0098]
FIGS. 11 to 14 show a processing method for forming the top of the
[0099]
The plastic working of the strip (material) 55 by the above-described
[0100]
A large number of forming
[0101]
On the other hand, the
[0102]
The temporary molding die 56 is formed with a streak-
[0103]
The streak-
[0104]
The length of the recess 54 a in the longitudinal direction of the
[0105]
The recesses 54a shown in FIGS. 14A to 14F are formed by shaving off the ridge portions of the wedge-shaped portions. (A) is an arcuate shape as described above, (B) is a concave shape composed of a flat surface, (C) is a concave shape in which both ends are small curved surfaces and most are flat, and (D) is both ends. Is a concave shape having a flat inclined surface and a flat central portion, and (E) and (F) are concave shapes in which a raised
[0106]
Although the above-mentioned streak-
[0107]
Next, the finishing die 57 of the
[0108]
The flat surface 57a has a surface shape in which a portion near the end in the arrangement direction of the
[0109]
The
[0110]
Next, the processing operation of the forging punch constituted by the
[0111]
The
[0112]
Therefore, in the
[0113]
Since the
[0114]
Although the above-described processing operation has been described with emphasis on the operation function of the concave portion 54a of the
[0115]
At the stage of the above-mentioned temporary forming, since
[0116]
When the temporary molding shown in FIGS. 12C and 12D is completed, the
[0117]
Also, at the stage of the finish molding, since the
[0118]
Since the streak-
[0119]
Since the concave portion 54a has an arcuate concave shape, the height of the intermediate portion of the second mold gradually changes gradually, so that the amount of the material 55 flowing into the
[0120]
In the case where the raised
[0121]
By setting the length of the concave portion 54a in the longitudinal direction of the
[0122]
Since the surface of at least the concave portion 54a of the streak-
[0123]
As shown in FIG. 13D, the
[0124]
In the above forging step, when the
[0125]
When the pressure generating
[0126]
The forged product processed by the
[0127]
17 and FIG. 17, in order to prevent the pressure generating
[0128]
When the
[0129]
FIGS. 17 and 18 show a state in which the
[0130]
Although not shown, the polishing machine used here is of a normal type in which a polishing tool rotates or reciprocates, and a polishing
[0131]
[0132]
When the polishing allowance T of the
[0133]
Various methods can be used to fix the
[0134]
FIG. 19 shows a case where a large number (in this case, nine) of pressure generating
[0135]
An
[0136]
When the polishing of the
[0137]
Further, in the method of manufacturing a liquid jet head according to the present invention, the groove-shaped
[0138]
The operational effects of the above embodiment are listed as follows.
[0139]
The processed
[0140]
Since the forged product as a plate-shaped member, that is, the processed
[0141]
In the
[0142]
When each of the
[0143]
As for the order of the polishing process, the
[0144]
From the viewpoint of assembling accuracy, since the front and back surfaces of the forged
[0145]
Since the integrated means for preventing the pressure generating
[0146]
After the polishing of the
[0147]
At the time of such surface polishing, the pressure generating
[0148]
The pressure generating
[0149]
When the recess is the
[0150]
In addition, the following operational effects can be obtained with respect to the manufacturing method of the liquid jet head. That is, the
[0151]
By doing so, when the
[0152]
Further, the
[0153]
The advantages described above are part of the effects obtained by employing the method for polishing a forged product according to
[0154]
Further, since the
[0155]
If the pressure generating
[0156]
The recording head 1 'illustrated in FIG. 23 is an example to which the present invention can be applied, and uses a
[0157]
In the
[0158]
In the above embodiment, the example in which the
[0159]
Although the above-described embodiment is a recording head used in an ink jet recording apparatus, the liquid ejecting head according to the present invention is not limited to ink for an ink jet recording apparatus, but includes glue, nail polish, and conductive ink. Liquid (liquid metal) or the like can be ejected.
[0160]
【The invention's effect】
As described above, according to the method for polishing a forged product of the present invention, the processed shape portion is generally formed into an uneven shape, and the relative position between the forged product and the polishing jig is determined by the uneven portion. Is determined. Therefore, at the time of polishing, a forged product which receives an external force from the polishing tool does not shift from the polishing jig, and the desired polishing accuracy can be secured. Furthermore, since it is a combination of the processing shape part and the polishing jig, by selecting the method of this combination, the relative position between the processing shape part and the polishing jig is appropriately selected, and the most suitable for the forged product. Appropriate polishing can be performed. In addition, since the relative position between the forged product and the polishing jig is determined in a state in which the processed shape portion is used, it is not necessary to provide a specially shaped portion in the forged product, which is advantageous in reducing manufacturing costs.
[0161]
Further, for example, as a process forming of a fine structure such as a pressure generating chamber of a liquid jet head, an anisotropic etching method is generally adopted, but such a method requires a large number of processing steps. This is disadvantageous in terms of manufacturing cost. On the other hand, if the forging process and the subsequent polishing process for the metal material described above are employed, the number of processing steps is greatly reduced, and the cost is extremely advantageous. Furthermore, since the volume of each concave portion can be uniformly processed, for example, in the case of forming a pressure generating chamber or the like of the liquid ejecting head, it is very effective in stabilizing the ejection characteristics of the liquid ejecting head. is there.
[0162]
If the pressure generating chamber forming plate is made of, for example, nickel, the linear expansion coefficients of the pressure generating chamber forming plate, the elastic plate, and the nozzle plate constituting the flow path unit are substantially the same. When heated and bonded, each member expands uniformly. For this reason, mechanical stress such as warpage due to a difference in expansion rate is unlikely to occur. As a result, the members can be bonded without any trouble even if the bonding temperature is set to a high temperature. In addition, even when the piezoelectric vibrator generates heat during the operation of the recording head and the flow path unit is heated by this heat, the members constituting the flow path unit expand evenly. For this reason, even if the heating accompanying the operation of the recording head and the cooling accompanying the stop of the operation are repeatedly performed, problems such as peeling of each member constituting the flow path unit are less likely to occur.
[0163]
Further, according to the liquid ejecting head manufacturing method of the present invention, the pressure generating chamber and the partition formed by the forging punch have a height from the bottom of the pressure generating chamber to the top of the partition which is equal to the length of the partition. The height is as uniform as possible in the direction, and the height between the partition walls is also as uniform as possible. Therefore, the tops of the partition portions are substantially aligned in one virtual plane. The positioning projection of the polishing jig contacts the top of the partition in such a state, and the top is at the reference position in the depth direction of the pressure generating chamber. There is no case where positioning between the two is performed in an inclined posture.
[0164]
By doing so, when the back surface of the pressure generating chamber forming plate is polished, the material thickness between the polished surface and the bottom of the pressure generating chamber becomes uniform, which is effective for improving the precision of parts. Further, since the pressure generating chambers are groove-shaped concave portions arranged at a predetermined pitch, the moving direction and the amount of the material flowing at the time of molding each pressure generating chamber become uniform, so that the top of the partition portion is formed. Position is also uniformed, and the positional relationship with the positioning projections can be favorably maintained as described above.
[0165]
Further, when the pressure generating chambers are pressed, the metal material flows to form portions that are further raised than the partition walls. The positioning jig of the polishing jig is received on the inner wall of the recessed portion of the raised portion, so that the polishing jig is restricted from being displaced in the direction of the opening surface of the pressure generating chamber, and the inner wall of the recessed portion has It is a reference position in the direction of the opening surface of the pressure generating chamber with respect to the positioning projection. Therefore, for example, in the pressure generating chamber forming plate which is a plate-shaped member, the positioning in the opening surface direction of the pressure generating chamber is performed together with the positioning in the depth direction of the pressure generating chamber, and the pressure generating chamber forming plate is polished. Even if an external force is applied from the tool, no positional displacement occurs, and high-precision polishing can be obtained.
[0166]
The above advantages are a part of the effects obtained by employing the method for polishing a forged product according to any one of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet recording head.
FIG. 2 is a sectional view of an ink jet recording head.
FIGS. 3A and 3B are diagrams illustrating a vibrator unit. FIGS.
FIG. 4 is a plan view of a pressure generating chamber forming plate.
5A and 5B are explanatory views of a pressure generating chamber forming plate, wherein FIG. 5A is an enlarged view of a portion X in FIG. 4, FIG. 5B is a cross-sectional view taken along the line AA in FIG. It is BB sectional drawing.
FIG. 6 is a plan view of an elastic plate.
7A and 7B are explanatory views of an elastic plate, wherein FIG. 7A is an enlarged view of a portion Y in FIG. 6, and FIG. 7B is a cross-sectional view taken along line CC in FIG.
FIGS. 8A and 8B are diagrams illustrating a male mold used for forming a groove-shaped recess.
FIGS. 9A and 9B are views for explaining a female mold used for forming a groove-shaped concave portion.
FIGS. 10A to 10C are schematic diagrams illustrating the formation of a groove-shaped depression.
FIG. 11 is a perspective view showing a relationship between a mold and a material.
FIGS. 12A and 12B are a perspective view and a cross-sectional view showing a progress state of temporary forming.
13A and 13B are a perspective view and a cross-sectional view illustrating a progress state of finish molding.
14A and 14B are a side view and a cross-sectional view illustrating a concave shape of the streak-like projection.
FIG. 15 is a perspective view of a pressure generating chamber forming plate.
FIG. 16 is a sectional view and a plan view showing a relationship between a pressure generating chamber forming plate and a polishing jig.
FIG. 17 is a cross-sectional view showing a state in which a polishing jig matches a pressure generating chamber forming plate.
FIG. 18 is a cross-sectional view showing a state in which a polishing jig matches a pressure generating chamber forming plate.
FIG. 19 is a plan view showing a state in which a large number of pressure generating chamber forming plates match the polishing jig.
FIG. 20 is a partial plan view showing a state in which a spacer plate is fixed to a polishing jig for surface polishing.
FIG. 21 is a partial plan view showing a state in which a pressure generating chamber forming plate is fitted into a spacer plate for surface polishing.
FIG. 22 is a plan view showing a polishing turntable.
FIG. 23 is a cross-sectional view illustrating an ink jet recording head according to a modification.
[Explanation of symbols]
1 inkjet recording head
1 'inkjet recording head
2 cases
3 vibrator unit
4 Channel unit
5 Connection board
6 Supply needle unit
7 Piezoelectric vibrator group
8 Fixing plate
9 Flexible cable
10 Piezoelectric vibrator
10a Dummy vibrator
10b Drive oscillator
11 Control IC
12 storage space
13 Ink supply path
14 Common ink chamber
15 Tip recess
16 Connection port
17 Connector
18 Needle holder
19 Ink supply needle
20 Filter
21 pedestal
22 Ink outlet
23 Packing
28 Partition
28a Lower part of partition
28b High part of partition
28c top
29 Pressure generating chamber
30 Pressure generating chamber forming plate
31 Nozzle plate
32 elastic plate
33 groove-shaped depression
33a bottom
34 Communication port
35 Escape recess
36 Dummy hollow
37 1st communication port
38 Second communication port
39 Dummy communication port
40 1st dummy communication port
41 2nd dummy communication port
42 support plate
43 elastic membrane
44 Diaphragm part
45 Ink supply port
46 Compliance Department
47 Shimabe
48 Nozzle opening
51 Male
51a First mold
51b forming punch
52 female type
52a Second mold
53 Ridge
53a Tip
53b void
53c ridge
54 Streak
54a recess
54b raised shape
54c top
55 strip, material, metal material, (pressure generating chamber forming plate)
55a ridge
56 Temporary Mold
56a Tanibe
56b Location near the end
57 Finishing mold
57a flat surface
57b accommodation recess
57c slope
61 Heating element
62 sealing substrate
63 raised part
63a Depressed side inner wall
64 groove space
65 Polishing jig
66 Positioning protrusion
66a surface
66b side view
68 Processed part
69 surface
70 Back
71 Magnet sheet
72 Spacer plate
72a engaging edge
73 opening
74 Polishing jig for surface polishing
75 Aggregate
76 orbital axis
77 Parent Table
78 Rotation axis
79 Child Table
80 opening
T Backside polishing allowance
D Material thickness between polished back and bottom
Claims (18)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002243482A JP2004082386A (en) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | Method for polishing forged article and process for manufacturing liquid discharge head |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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