JP2004074992A - 燃料電池車両の空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池3の発電電力によって電気ヒータ8に電力を供給して暖房を行う燃料電池車両1の空調装置2である。この車両1の外気温度と、燃料電池3の温度に応じて、電気ヒータ8への供給電力を制御する制御装置9を備えている。この制御装置9は、燃料電池3の温度が所定値より大きい通常時には、外気温度の高さに応じて電気ヒータ8への供給電力を低減するとともに、燃料電池3の温度が所定値より小さい冷間時には、外気温度の高さに関わらず電気ヒータ8への供給電力を通常時よりも増加させるように制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の発電電力によって電気ヒータに電力を供給して暖房を行う燃料電池車両の空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体高分子膜型の燃料電池が搭載された燃料電池車両(以下適宜「車両」という)として、燃料電池(FC)とキャパシタとを組み合わせたハイブリッド型のものが知られている。
このハイブリッド型の燃料電池車両は、燃料電池の発電電力をキャパシタで補って、駆動用モータやエアコンディショナなどの電動補機に必要電力を供給するものである。
【0003】
燃料電池車両の暖房装置として、燃料電池の発電電力を電気ヒータに供給して車室内を加熱するものがある。
暖房装置の温度制御としては、目標とする車室内温度と外気温度の関係によって、電気ヒータへ供給する電気量を制御しているため、外気温度が高いときは、暖房要求も少ないために、エアコンヒータ電力は低下させるような設定になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電気ヒータは、車両の暖房性能のみを満たすように制御されていた。
燃料電池の停止後は外気温度によって燃料電池が冷やされるため、早朝の燃料電池車両の始動(発電開始)時には、外気温度と燃料電池の温度がほぼ等しくなっている。しかしながら、その後の外気温度の上昇に対して、燃料電池の温度はただちに上昇しない。
よって、そのような、外気温度が比較的高い状態で燃料電池の温度が低い状態の時においては、従来のような車両の暖房性能のみを満たすように制御されていた電気ヒータでは、燃料電池の早期暖機に寄与させることはできなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、車両の暖房性能と、燃料電池の早期暖機性能の両立を図るための燃料電池車両の空調装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、燃料電池の発電電力によって電気ヒータに電力を供給して暖房を行う燃料電池車両の空調装置において、該車両の外気温度と、燃料電池の温度に応じて、電気ヒータへの供給電力を制御する制御手段(例えば、実施の形態における制御装置9)を備え、該制御手段は、燃料電池の温度が所定値より大きい通常時には、外気温度が高くなるにつれて電気ヒータへの供給電力を低減させるとともに、燃料電池の温度が所定値より小さい冷間時には、外気温度に関わらず電気ヒータへの供給電力を前記通常時よりも増加させるように制御を行うことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、燃料電池の温度が所定値より大きい通常状態にある時には、外気温度が高くなるにつれて電気ヒータへの供給電力を低減させる(エコノミー運転させる)ので、燃料電池の発電電力が抑えられ、これにより、発電用の空気供給コンプレッサの消費電力が少なくなるため、水素燃料の消費や、コンプレッサの駆動に伴う車両の振動および騒音が低減できる。
一方、燃料電池の温度が所定値より低い冷間状態にある時には、外気温度に関わらず電気ヒータの供給電力を通常時よりも増加させるので、電気ヒータへの供給電力を増加することにより、燃料電池の自己発熱量が増加し、燃料電池の暖機性能を向上し早期暖機を促進できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る燃料電池車両1を示す概略構成図である。また、図2は前記燃料電池車両1の空調装置2のブロック図である。なお、電流制限装置7と制御装置9は図1において図示を省略している。
本実施の形態に係る空調装置2は、例えば燃料電池3と蓄電装置であるキャパシタ4とから構成されたハイブリッド型の電源装置を備えている。
【0009】
燃料電池3は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟持してなる燃料電池セルを、複数積層させて一体化させた構造となっており、図1に示すように例えば車両1の床下部に配設されている。
【0010】
前記燃料電池3のアノード電極には水素タンク(図示せず)から水素ガスが供給され、カソード電極にはエアコンプレッサ(図示せず)から酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給される。アノード電極の反応面に水素が供給されると、ここで水素がイオン化され、固体高分子電解質膜を介してカソード電極の方に移動する。この間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。
【0011】
前記燃料電池3には電流制限装置7が接続されている。前記電流制限装置7は、キャパシタ4や駆動用モータ5、エアコンディショナ6に搭載された電気ヒータ8にも接続され、燃料電池3からの出力を必要に応じて制限してこれらの機器4、5、6、8に供給する。
【0012】
また、前記電流制限装置7は、燃料電池3に反応ガス(酸化剤ガス)を供給するためのエアコンプレッサを駆動するエアコンプレッサ用モータ(図示せず)にも接続されている。このため、燃料電池3で発電する電力の一部は、反応ガス(酸化剤ガス)を供給するエアコンプレッサを駆動するために使用される。
なお、前記電流制限装置7は、前記エアコンディショナ6、電気ヒータ8に加えヘッドランプなどの電動補機にも接続され、各電動補機に電力を供給する。
【0013】
キャパシタ4は例えば電気二重層キャパシタとされ、前記燃料電池3の発電電流で充電されるとともに、燃料電池3を補助して駆動用モータ5やエアコンディショナ6などの電動補機に電力を供給する。
【0014】
前記駆動用モータ5は燃料電池3やキャパシタ4から供給される電力により駆動力を発生し、この駆動力は、リダクション或いはトランスミッションT/Mを介して駆動輪(図示せず)に伝達され、これにより、燃料電池車両1が走行するのである。
【0015】
燃料電池車両1の減速時に駆動輪から駆動用モータ5に駆動力が伝達されると、駆動用モータ5は発電機として機能し、いわゆる回生制動力を発生する。これにより、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することができ、キャパシタ4に電気エネルギーが蓄電される。
【0016】
前記エアコンディショナ6は、車両1室内の空気を調整するためのものであり、該エアコンディショナ6に搭載された電気ヒータ8を作動させることにより、車両1室内の空気を加温することができる。したがって、車両1室内の温度は電気ヒータ8に供給する電力に応じて調整可能である。
【0017】
前記燃料電池3や電流制限装置7、駆動用モータ5、電気ヒータ8には制御装置9が接続してある。この制御装置9は、アクセルペダルの踏み込み量Apや車速Vcなどから電動補機の作動に必要な電力を算出して、この算出した電力に基づいて燃料電池3や電流制限装置7、駆動用モータ5、電気ヒータ8を搭載したエアコンディショナ6にそれぞれ制御信号を送信する。
【0018】
具体的には、制御装置9から燃料電池3に対して目標発電量が送信され、該目標発電量に応じて前記燃料電池3に供給される反応ガス量が制御される。また、制御装置9から電流制限装置7に対して電流値が送信され、これにより、電流制限装置7は、燃料電池3で発電した電力を前記電流値となるように制限した状態でキャパシタ4や駆動用モータ5、電気ヒータ8を搭載したエアコンディショナ6に供給する。また、制御装置9から前記駆動用モータ5に対して駆動電力量が送信され、これにより、必要に応じて駆動電力が制限される。そして、前記電気ヒータ8を搭載したエアコンディショナ6に作動信号が送信され、これに応じてエアコンディショナ6や電気ヒータ8が作動する。
【0019】
また、燃料電池3には、その温度を測定する温度センサS1が設けられ、該温度センサS1により測定された燃料電池3の温度が制御装置9に送信される。この温度センサS1の取り付け位置は、燃料電池3から排出される循環水(冷却水)経路上であってもよく、燃料電池3から排出される反応済ガス(オフガス)経路上であってもよい。また、車両1には、外気温度センサS2が設けられ、該外気温度センサS2により測定された外気温度が制御装置9に送信される。制御装置9は、これらの温度センサS1、S2から送信された温度に基づいて、以下に述べるような制御を行う。
【0020】
図3は本実施の形態に係る燃料電池車両1の空調装置2のフローチャートである。まず、ステップS02で、外気温度センサS2で検知した車両1の外気温が所定値(例えば0度)よりも大きいかどうかを判定する。判定結果がYESの場合には、車両1室内を急速に暖機する必要があるため、ステップS04の処理を行う。これについて図4を用いて説明する。
【0021】
図4は外気温とエアコンディショナ6の目標消費電力との関係を示すグラフである。同図において、横軸は車両1の外気温度であり、横軸は電気ヒータ8の目標消費電力である。図4の線Lに示したように、外気温が所定値(この場合は0度)以下の場合には、ステップS04で、電気ヒータ8の消費電力を最大値Pmaxに設定する。これにより、エアコンディショナ6に搭載された電気ヒータ8による発熱量も最大となり、車両1室内を速やかに加温する。
【0022】
ステップS02の判定結果がNOの場合には、ステップS06で、燃料電池温度センサS1で検知した燃料電池3の温度が所定値(例えば0度)以上かどうかを判定する。判定結果がYESの時には、燃料電池3の温度は十分高く、早期暖機の必要がないため、電気ヒータ8による自己発熱の増加の必要がない。この場合には、ステップS12で、電気ヒータ8への供給電力を外気温度の高さに応じて低減する(図4の線N参照)。このように、暖房を行うための電気ヒータ8への供給電力が外気温度の高さに応じて低減されるため、発電に必要な反応ガスの量を低減させることができ、これにより燃費を向上することが可能となる。
【0023】
ステップS06の判定結果がNOの場合には、燃料電池3の温度が所定値(0度)より低い冷間時であり、電気ヒータ8により燃料電池3の自己発熱の増加を行わせる。この場合には、ステップS08で、電気ヒータ8への供給電力を通常時よりも増加させることで、燃料電池3への要求発電量を通常時よりも多くする(図4の線M参照)。燃料電池3は発電に発熱を伴うため、発電量を多くすることにより発熱量を増大させることができる。これにより、燃料電池3自身が速やかに加温され、冷間時から通常時に早期に移行させることができる。本実施の形態においては、ステップS08において、電気ヒータ8の消費電力が最大値Pmaxになるように設定しており、これにより、燃料電池3自身の加温をより迅速に行えるようにしている。
【0024】
このように、燃料電池3の温度が所定値よりも低い冷間時であっても、通常時に速やかに移行でき、冷間時のように余分に反応ガスを供給する必要が無くなる。したがって、燃費を向上させることができるとともに、反応ガスを燃料電池に供給するエアコンプレッサ等の燃料電池用補機の作動量を冷間時よりも低減できるため、燃料電池用補機からの発生音を低減することができる。なお、前記所定値には、燃料電池3の作動温度(反応ガスを有効に発電に利用できる温度)の下限値を用いることが好ましい。
【0025】
上述した処理(ステップS08、ステップS12)により、燃料電池3の温度が所定値以上になった後に、ステップS14で、燃料電池セルの電圧値が低下したかどうかを判定する。前記燃料電池セルの電圧が低下しているときに急激な負荷変動をかけると燃料電池3に大きな負担がかかってしまい、これを防止するために上記判定を行う。判定結果がYESの場合には、ステップS16で電気ヒータ8の作動を停止して、一連の処理を終了する。これにより、燃料電池3に要求される発電電力量が低減され、燃料電池3の負担を低減させることができる。
【0026】
ステップS14における判定結果がNOの場合には、電気ヒータ8に供給可能な電力を設定する。ここで、電動補機や駆動用モータ5に必要な電力全体が、燃料電池3で発電可能な電力より大きい場合に、電気ヒータ8に供給する電力が制限される(図4のP’参照)。これにより、燃料電池3に過度な負担がかかることを防止することができる。なお、この処理を行う場合には、既に車両1室内の温度は一定以上になっているため、電気ヒータ8に供給する電力が制限されても問題はない。
【0027】
以上のように、本発明における燃料電池車両の空調装置を実施の形態において説明したが、本発明はこの内容に限定されない。例えば、キャパシタではなくバッテリを用いてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、暖房を行うための電気ヒータへの供給電力を外気温度の高さに応じて低減して、発電に用いる反応ガスの量を低減させることで燃費を向上することが可能となる。また、前記冷間時においては、電気ヒータへの供給電力を通常時よりも増加させることで燃料電池への要求発電量を通常時よりも多くするで、燃料電池自身が速やかに加温され、冷間時から通常時に移行させることができる。よって、燃費を向上させることができるとともに、燃料電池用補機の作動量を冷間時よりも低減できるため、燃料電池用補機からの発生音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料電池車両の空調装置の配置形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る燃料電池車両の空調装置を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る燃料電池車両の空調装置のフローチャートである。
【図4】外気温とエアコンディショナの目標消費電力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料電池車両
2 空調装置
3 燃料電池
6 エアコンディショナ
8 電気ヒータ
9 制御装置
Claims (1)
- 燃料電池の発電電力によって電気ヒータに電力を供給して暖房を行う燃料電池車両の空調装置において、
該車両の外気温度と、燃料電池の温度に応じて、電気ヒータへの供給電力を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、
燃料電池の温度が所定値より大きい通常時には、外気温度が高くなるにつれて電気ヒータへの供給電力を低減させるとともに、
燃料電池の温度が所定値より小さい冷間時には、外気温度に関わらず電気ヒータへの供給電力を前記通常時よりも増加させるように制御を行うことを特徴とする燃料電池車両の空調装置。
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