JP2004069865A - 多層膜光フィルタ及びその製造方法とそれを用いる光学部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板内の多重反射による干渉の影響を抑え、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも干渉が発生しにくい多層膜光フィルタを実現する。
【解決手段】基板1上に屈折率の異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層5からなる多層膜光フィルタ20において、基板1の両主表面に、基板間の多重反射を抑制する反射防止層4を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】基板1上に屈折率の異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層5からなる多層膜光フィルタ20において、基板1の両主表面に、基板間の多重反射を抑制する反射防止層4を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の波長の光を透過あるいは反射させ、バンドパスフィルタ、利得平坦化フィルタ等として用いられる、多層膜光フィルタ及びその製造方法とそれを用いる光学部品に関するものである。より詳しくは、基板の多重反射を抑制し、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも干渉が発生しない、多層膜光フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層膜光フィルタは、積層された膜のそれぞれの界面での光の干渉現象を利用して、対象とする光の波長範囲において所望の透過、あるいは反射の特性を得ようとするものである。図5に、一般的に用いられている多層膜光フィルタ10の例として、高屈折率層12として酸化タンタル(以下Ta2O5と記載)層を、低屈折率層13として酸化珪素(以下SiO2と記載)層を用いた例を示す。それぞれの層を、数十層から100層程度、ガラス基板1の上に交互に積層して構成されている。
【0003】
各層の膜厚は、透過あるいは反射の対象とする光の波長λに対して、光学厚みがλ/4となる厚みを中心に設計されている。ここで光学厚みとは、屈折率と物理的厚み(実際の膜厚)の積で定義される値である。例えば光通信用途の波長1.55μmの光を対象とする場合、実際の膜厚は、Ta2O5層が0.18μmの層を主体に0.05〜1.0μmの範囲に、SiO2層は0.26μmの層を主体に0.08〜1.5μmの範囲に分布させるものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような多膜光フィルタ10にあっては、ガラス基板1の多層膜光フィルタ層を設置した反対側の表面に反射防止コート層14(ARコート)を設け、基板裏面における反射光の影響を防いでいる。これは、基板をほぼ垂直に配置した際、基板内の多重反射による干渉でフィルタの分光特性に影響が出ることをある程度抑止するものである。しかしながら、従来の技術においてはARコートが多層膜光フィルタの形成される基板の裏面にのみ限定されるため、基板の多重反射は基板両面のそれぞれの反射率の積に関係しているので、フィルタ面の反射率が低い波長領域では干渉による影響が大きくなり、基板内の多重反射による干渉の影響を完全に抑えることができず、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合干渉が発生しやすいという問題点があった。
【0005】
また上記のような高精度の膜厚制御を要求される多層膜光フィルタは、光学的な膜厚測定システムを用いて、成膜中の膜厚を測定、監視しながら成膜する方法がとられている。これは成膜された各層を透過した後、基板を透過して測定器に入射してくる光量により膜厚を測定するものであるが、本来必要な各層からの透過光の他に、基板表面で一部の光が反射され、基板内を透過してくる光と干渉して透過光量が変化するため、成膜中の光学モニターの動作に影響を与えるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、前記基板と該多層膜光フィルタ層を構成する層群の間および該多層膜光フィルタ層の形成された基板の裏側の面に、反射防止の機能を有する反射防止コート層を備えることにより、基板内の反射を抑制した多層膜光フィルタを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と、該基板の一主表面に接して設けられた反射防止機能を有する第1の反射防止コート層と、該反射防止コート層の表面に接して設けられた屈折率の互いに異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に接して設けられた第2の反射防止コート層とからなることを特徴とする多層膜光フィルタである。
かかる構成によれば、反射防止コート層が基板に接した両面に設けられるので、多重反射による干渉の影響を極限まで小さくすることができ、高性能のフィルタを得ることが可能となる。
本発明の前記第1の反射防止コート層は屈折率が互いに異なる少なくとも2種類以上の誘電体材料層が繰り返し積層された構成を有することが好ましい。反射防止コート層用に特別の材料を用いることなく、通常の光フィルタ製造装置により、その製造条件を若干変えるだけで作ることができる。
【0008】
本発明の前記第1の反射防止コート層及び前記多層膜光フィルタ層は共に、同じ2種類の誘電体材料からなり、一方が高屈折率層、他方が低屈折率層を形成してそれぞれの層が交互に積層されることが好ましい。2種類の誘電体材料を用いた場合においても、適切な膜厚と層数を選択することにより、所望の性能を有する反射防止コート層及び多層膜光フィルタ層を得ることができる。
本発明は前記高屈折率層の材料が酸化タンタル(Ta2O5)または酸化チタン(TiO2)のどちらか一方であり、前記低屈折率層の材料が酸化珪素(SiO2)であることが好ましい。これらの材料は薄膜の層としての物性が安定しており、構成材料として適当である。
【0009】
本発明は基板の一主表面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層して前記第1の反射防止コート層を形成する第1の工程と、該反射防止コート層の上面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層し多層膜光フィルタ層を積層する第2の工程と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に前記第2の反射防止コート層を形成する第3の工程とからなり、前記第2の工程は前記第1の工程に引き続いて行われることを特徴とする、多層膜光フィルタの製造方法である。
この製造方法によれば、光学モニタによる膜厚測定を行いながら連続して成膜を行うことができ、高精度に膜厚制御された高性能の特性の多層膜光フィルタを得ることが容易になる。またこの方法によれば、第1の工程から第2の工程へ移る際に、被加工物を成膜装置から取り外す必要がないので、大気暴露による酸化を防ぐことができるばかりでなく、被加工物の治工具への取り付け精度のバラツキによる成膜精度への影響も発生しないので、より高性能の多層膜光フィルタを得ることができ、また製造時間の短縮を図ることもできる。
【0010】
また本発明の多層膜光フィルタを構成要素とすることを特徴とする光学部品は、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも、基板裏面における反射による透過率の少ない多層膜光フィルタを用いるので干渉が発生せず、多層膜光フィルタ部品としての性能が安定する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
〔第1の実施形態〕図1は、本発明の第1の実施形態である多層膜光フィルタ20の膜構成を示すもので、波長1.55μmの光を対象とした光通信用の利得平坦化フィルタとして設計、製造したものである。
【0012】
厚さ6mmのガラス基板1に接する最下層に、本発明に係わる、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を各2層、計4層を積層して反射防止コート層4が設けられている。反射防止コート層4上に、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を各35層、計70層を積層して、多層膜光フィルタ層5を構成している。ここで高屈折率層2にはTa2O5(屈折率2.05)を、低屈折率層3にはSiO2(屈折率1.46)を採用している。反射防止コート層4の材料は高屈折率層2と同じTa2O5と、低屈折率層3と同じSiO2を採用している。
【0013】
本実施の形態の多層膜光フィルタ20は、イオンビームスパッタ(IBS)により各薄膜層を形成した。真空チャンバ内にタンタル(Ta)とシリコン(Si)、2個のターゲットを置き、反応ガスとして酸素を供給して、それぞれの酸化物の薄膜を基板1上に設けられた反射防止層4上に堆積させる。成膜装置には膜厚の測定手段を配置して成膜中の膜厚を監視する。ターゲットのどちらか一方を選択して成膜を行い、所定の膜厚になった時点で他方のターゲットに切り換える。この作業を所定回数繰り返して目的とする多層膜光フィルタ20が得られる。
【0014】
反射防止膜は、屈折率の異なる薄膜、高屈折率層2にはTa2O5(屈折率2.05)を、低屈折率層3にはSiO2(屈折率1.46)を反射防止として機能する所定の膜厚(0.1〜0.5μm)で交互に2層づつ、計4層積層することにより、表面反射率を低く抑えようとするものである。本発明では、多層膜光フィルタ層と同一の薄膜を用いて、反射防止層を形成することにより、従来は別工程で形成されていた反射防止層を多層膜光フィルタ層形成と同じ工程にて形成できる。
【0015】
本実施例では、ARコートを構成する積層数は4層であることを示したが、4層に限らず形成することができる。またARコート層と多層膜光フィルタ層群との間が、層構成の関係から高屈折率層、低屈折率層の交互の順序にならない場合、交互の順序の関係を満たすように高屈折率層もしくは低屈折率層のバッファ層を設けてもよい。また高屈折率層の材料は、酸化チタン(TiO2)など、別の材質であってもよい。
裏面に設置されるARコート層4’の形成は、多層膜光フィルタ層を形成する前に行ってもよく、また多層膜光フィルタ層を形成した後に行ってもよい。
また図1では、光多層膜光フィルタ層側に設置したARコートと同一材質であることを示したが、効果がある場合には材質が異なってもよい。
【0016】
図2は本発明におけるARコートの設置位置による基板内反射光の強度を示す模式図である。入射光は、基板に対しほぼ垂直に入射し、基板の両表面で反射する。ARコートを設置していない面での反射率は通常約4%である。また本発明の4層積層によるARコートの反射率は約0.02%を代表値とし、0.01%から0.1%に調整される。本実施例では0.1%とした。なお図示した光の進行方向の矢印やその太さについては、説明のために用いたものであり、光の強度や反射方向を直接表すものではない。
【0017】
図2(A)は基板に多層膜光フィルタ層を設け、ARコートを設置しない場合である。多層膜膜光フィルタ層を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面で入射光の約4%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面でやはり同様に約4%反射される。前記界面を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約4%はさらに基板表面で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.16%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0018】
図2(B)は基板1に多層膜膜光フィルタ層5を設け、多層膜膜光フィルタ層を設置しない基板表面にARコート4を設置した場合である。多層膜膜光フィルタ層を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面のARコート4により入射光の約0.1%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で約4%反射される。前記界面を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約0.1%はさらに基板表面のARコート4で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.004%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0019】
図2(C)は基板1にARコート4を設置し、このARコート4上に多層膜膜光フィルタ層5を設けた場合である。多層膜膜光フィルタ層5を設置した基板の反対側から入射した入射光の約4%は基板表面で反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4により約0.1%反射される。前記ARコート4を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。ARコートで反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約4%はさらに基板表面で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.004%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0020】
図2(d)は基板1の両面にARコート4を設置し多層膜膜光フィルタ層5を設けた場合である。多層膜膜光フィルタ層5を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面のARコート4により入射光の約0.1%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4により約0.1%反射される。前記ARコート4を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約0.1%はさらに基板表面のARコート4で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.0001%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0021】
上記で示す通り、基板表面に設置されたARコートにより基板中を多重反射する光を減衰させる効果は、ARコートを基板両面に設置した場合が最も優れ、基板片面に設置されたARコートの効果は多層膜膜光フィルタ層を設置した側及び多層膜膜光フィルタ層を設置した側の反対側ともにほぼ等しい減衰の効果であるが、両面に設置した場合と比べるとはるかに及ばない。またARコートを設置しない場合光を減衰させる効果はさらに小さいものとなる。
【0022】
ARコート層が、基板の両面に形成される本発明においては、多層膜光フィルタの基板内の多重反射を極限まで抑制し、干渉を低減させるので、フィルタの分光特性に影響を与えていた基板内多重反射の影響を無視できるまでに性能を向上させることができる。これにより高性能光多層膜フィルタを光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも干渉が発生しない多層膜光フィルタが実現できる。また基板内多重反射を抑制することにより、多層膜光フィルタの製造においても光モニタリングによる膜厚測定の精度を向上させることが可能となるため、より高精度の光多層膜フィルタ層の形成が可能となる。
【0023】
図3(A)、(B)は、上記の製造方法における、途中の工程での膜構成を示す断面である。図3(A)は、予め基板の裏面にTa2O5とSiO2とからなる反射防止コート層4’を設けておき、第1の工程であるTa2O5とSiO2とからなる反射防止コート層4の成膜が終了した段階を示している。図3(B)は、第2の工程である、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を繰り返し積層する工程の、最初の2層が成膜された段階を示す。以後同様の条件で低屈折率層3と高屈折率層2を交互に積層し、最終的に図1の構成となる。
【0024】
〔第2の実施形態〕図4は、本発明の多層膜光フィルタ20を用いた光学部品の例として、光ファイバ32、レンズ31と組み合わせて光フィルタモジュール30を構成した例を示す。フィルタの配置は従来例と全く同様に行うことができる。
これによれば、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも、基板裏面における反射による透過率の少ない多層膜光フィルタを用いるので干渉が発生せず、多層膜光フィルタ部品としての性能が安定する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層膜光フィルタ20は、基板と、該基板の一主表面に接して設けられた反射防止機能を有する第1の反射防止コート層と、該反射防止コート層の表面に接して設けられた屈折率の互いに異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層と、前記基板の他の主表面に接して設けられた第2の反射防止コート層とからなることを特徴とする多層膜光フィルタである。
かかる構成によれば、反射防止コート層を基板両面に接して設けることが可能となるので、多重反射による干渉の影響を極限まで小さくすることができ、高性能の光フィルタを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の多層膜光フィルタの、膜構成を示す図である。
【図2】本発明におけるARコートの設置位置による基板内反射光の強度を示す模式図である。
【図3】本発明の多層膜光フィルタの製造方法を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施形態の多層膜光フィルタを用いた光フィルタモジュールの、構成を示す図である。
【図5】従来例の多層膜光フィルタの膜構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、12 高屈折率層
3、13 低屈折率層
4、4’、14 反射防止コート層 (ARコート)
5 多層膜光フィルタ層
10 従来例の多層膜光フィルタ
20 本発明の多層膜光フィルタ
30 光フィルタモジュール
31 レンズ
32 光ファイバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の波長の光を透過あるいは反射させ、バンドパスフィルタ、利得平坦化フィルタ等として用いられる、多層膜光フィルタ及びその製造方法とそれを用いる光学部品に関するものである。より詳しくは、基板の多重反射を抑制し、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも干渉が発生しない、多層膜光フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層膜光フィルタは、積層された膜のそれぞれの界面での光の干渉現象を利用して、対象とする光の波長範囲において所望の透過、あるいは反射の特性を得ようとするものである。図5に、一般的に用いられている多層膜光フィルタ10の例として、高屈折率層12として酸化タンタル(以下Ta2O5と記載)層を、低屈折率層13として酸化珪素(以下SiO2と記載)層を用いた例を示す。それぞれの層を、数十層から100層程度、ガラス基板1の上に交互に積層して構成されている。
【0003】
各層の膜厚は、透過あるいは反射の対象とする光の波長λに対して、光学厚みがλ/4となる厚みを中心に設計されている。ここで光学厚みとは、屈折率と物理的厚み(実際の膜厚)の積で定義される値である。例えば光通信用途の波長1.55μmの光を対象とする場合、実際の膜厚は、Ta2O5層が0.18μmの層を主体に0.05〜1.0μmの範囲に、SiO2層は0.26μmの層を主体に0.08〜1.5μmの範囲に分布させるものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような多膜光フィルタ10にあっては、ガラス基板1の多層膜光フィルタ層を設置した反対側の表面に反射防止コート層14(ARコート)を設け、基板裏面における反射光の影響を防いでいる。これは、基板をほぼ垂直に配置した際、基板内の多重反射による干渉でフィルタの分光特性に影響が出ることをある程度抑止するものである。しかしながら、従来の技術においてはARコートが多層膜光フィルタの形成される基板の裏面にのみ限定されるため、基板の多重反射は基板両面のそれぞれの反射率の積に関係しているので、フィルタ面の反射率が低い波長領域では干渉による影響が大きくなり、基板内の多重反射による干渉の影響を完全に抑えることができず、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合干渉が発生しやすいという問題点があった。
【0005】
また上記のような高精度の膜厚制御を要求される多層膜光フィルタは、光学的な膜厚測定システムを用いて、成膜中の膜厚を測定、監視しながら成膜する方法がとられている。これは成膜された各層を透過した後、基板を透過して測定器に入射してくる光量により膜厚を測定するものであるが、本来必要な各層からの透過光の他に、基板表面で一部の光が反射され、基板内を透過してくる光と干渉して透過光量が変化するため、成膜中の光学モニターの動作に影響を与えるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、前記基板と該多層膜光フィルタ層を構成する層群の間および該多層膜光フィルタ層の形成された基板の裏側の面に、反射防止の機能を有する反射防止コート層を備えることにより、基板内の反射を抑制した多層膜光フィルタを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と、該基板の一主表面に接して設けられた反射防止機能を有する第1の反射防止コート層と、該反射防止コート層の表面に接して設けられた屈折率の互いに異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に接して設けられた第2の反射防止コート層とからなることを特徴とする多層膜光フィルタである。
かかる構成によれば、反射防止コート層が基板に接した両面に設けられるので、多重反射による干渉の影響を極限まで小さくすることができ、高性能のフィルタを得ることが可能となる。
本発明の前記第1の反射防止コート層は屈折率が互いに異なる少なくとも2種類以上の誘電体材料層が繰り返し積層された構成を有することが好ましい。反射防止コート層用に特別の材料を用いることなく、通常の光フィルタ製造装置により、その製造条件を若干変えるだけで作ることができる。
【0008】
本発明の前記第1の反射防止コート層及び前記多層膜光フィルタ層は共に、同じ2種類の誘電体材料からなり、一方が高屈折率層、他方が低屈折率層を形成してそれぞれの層が交互に積層されることが好ましい。2種類の誘電体材料を用いた場合においても、適切な膜厚と層数を選択することにより、所望の性能を有する反射防止コート層及び多層膜光フィルタ層を得ることができる。
本発明は前記高屈折率層の材料が酸化タンタル(Ta2O5)または酸化チタン(TiO2)のどちらか一方であり、前記低屈折率層の材料が酸化珪素(SiO2)であることが好ましい。これらの材料は薄膜の層としての物性が安定しており、構成材料として適当である。
【0009】
本発明は基板の一主表面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層して前記第1の反射防止コート層を形成する第1の工程と、該反射防止コート層の上面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層し多層膜光フィルタ層を積層する第2の工程と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に前記第2の反射防止コート層を形成する第3の工程とからなり、前記第2の工程は前記第1の工程に引き続いて行われることを特徴とする、多層膜光フィルタの製造方法である。
この製造方法によれば、光学モニタによる膜厚測定を行いながら連続して成膜を行うことができ、高精度に膜厚制御された高性能の特性の多層膜光フィルタを得ることが容易になる。またこの方法によれば、第1の工程から第2の工程へ移る際に、被加工物を成膜装置から取り外す必要がないので、大気暴露による酸化を防ぐことができるばかりでなく、被加工物の治工具への取り付け精度のバラツキによる成膜精度への影響も発生しないので、より高性能の多層膜光フィルタを得ることができ、また製造時間の短縮を図ることもできる。
【0010】
また本発明の多層膜光フィルタを構成要素とすることを特徴とする光学部品は、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも、基板裏面における反射による透過率の少ない多層膜光フィルタを用いるので干渉が発生せず、多層膜光フィルタ部品としての性能が安定する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
〔第1の実施形態〕図1は、本発明の第1の実施形態である多層膜光フィルタ20の膜構成を示すもので、波長1.55μmの光を対象とした光通信用の利得平坦化フィルタとして設計、製造したものである。
【0012】
厚さ6mmのガラス基板1に接する最下層に、本発明に係わる、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を各2層、計4層を積層して反射防止コート層4が設けられている。反射防止コート層4上に、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を各35層、計70層を積層して、多層膜光フィルタ層5を構成している。ここで高屈折率層2にはTa2O5(屈折率2.05)を、低屈折率層3にはSiO2(屈折率1.46)を採用している。反射防止コート層4の材料は高屈折率層2と同じTa2O5と、低屈折率層3と同じSiO2を採用している。
【0013】
本実施の形態の多層膜光フィルタ20は、イオンビームスパッタ(IBS)により各薄膜層を形成した。真空チャンバ内にタンタル(Ta)とシリコン(Si)、2個のターゲットを置き、反応ガスとして酸素を供給して、それぞれの酸化物の薄膜を基板1上に設けられた反射防止層4上に堆積させる。成膜装置には膜厚の測定手段を配置して成膜中の膜厚を監視する。ターゲットのどちらか一方を選択して成膜を行い、所定の膜厚になった時点で他方のターゲットに切り換える。この作業を所定回数繰り返して目的とする多層膜光フィルタ20が得られる。
【0014】
反射防止膜は、屈折率の異なる薄膜、高屈折率層2にはTa2O5(屈折率2.05)を、低屈折率層3にはSiO2(屈折率1.46)を反射防止として機能する所定の膜厚(0.1〜0.5μm)で交互に2層づつ、計4層積層することにより、表面反射率を低く抑えようとするものである。本発明では、多層膜光フィルタ層と同一の薄膜を用いて、反射防止層を形成することにより、従来は別工程で形成されていた反射防止層を多層膜光フィルタ層形成と同じ工程にて形成できる。
【0015】
本実施例では、ARコートを構成する積層数は4層であることを示したが、4層に限らず形成することができる。またARコート層と多層膜光フィルタ層群との間が、層構成の関係から高屈折率層、低屈折率層の交互の順序にならない場合、交互の順序の関係を満たすように高屈折率層もしくは低屈折率層のバッファ層を設けてもよい。また高屈折率層の材料は、酸化チタン(TiO2)など、別の材質であってもよい。
裏面に設置されるARコート層4’の形成は、多層膜光フィルタ層を形成する前に行ってもよく、また多層膜光フィルタ層を形成した後に行ってもよい。
また図1では、光多層膜光フィルタ層側に設置したARコートと同一材質であることを示したが、効果がある場合には材質が異なってもよい。
【0016】
図2は本発明におけるARコートの設置位置による基板内反射光の強度を示す模式図である。入射光は、基板に対しほぼ垂直に入射し、基板の両表面で反射する。ARコートを設置していない面での反射率は通常約4%である。また本発明の4層積層によるARコートの反射率は約0.02%を代表値とし、0.01%から0.1%に調整される。本実施例では0.1%とした。なお図示した光の進行方向の矢印やその太さについては、説明のために用いたものであり、光の強度や反射方向を直接表すものではない。
【0017】
図2(A)は基板に多層膜光フィルタ層を設け、ARコートを設置しない場合である。多層膜膜光フィルタ層を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面で入射光の約4%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面でやはり同様に約4%反射される。前記界面を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約4%はさらに基板表面で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.16%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0018】
図2(B)は基板1に多層膜膜光フィルタ層5を設け、多層膜膜光フィルタ層を設置しない基板表面にARコート4を設置した場合である。多層膜膜光フィルタ層を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面のARコート4により入射光の約0.1%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で約4%反射される。前記界面を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との界面で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約0.1%はさらに基板表面のARコート4で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.004%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0019】
図2(C)は基板1にARコート4を設置し、このARコート4上に多層膜膜光フィルタ層5を設けた場合である。多層膜膜光フィルタ層5を設置した基板の反対側から入射した入射光の約4%は基板表面で反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4により約0.1%反射される。前記ARコート4を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。ARコートで反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約4%はさらに基板表面で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.004%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0020】
図2(d)は基板1の両面にARコート4を設置し多層膜膜光フィルタ層5を設けた場合である。多層膜膜光フィルタ層5を設置した基板の反対側から入射した入射光は、基板表面のARコート4により入射光の約0.1%が反射される。さらに基板中を通過した入射光は、基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4により約0.1%反射される。前記ARコート4を通過した入射光は多層膜膜光フィルタ層5を通過し所定の特性の透過光となる。基板1と多層膜膜光フィルタ層5との間に存在するARコート4で反射した光は基板中を入射光と反対の方向に進み、基板表面より出るが、約0.1%はさらに基板表面のARコート4で反射し基板中を進む。このとき反射光の強度は、入射光の約0.0001%となる。このように、基板の両表面で減衰しながら反射光が基板中を反射しつづける。
【0021】
上記で示す通り、基板表面に設置されたARコートにより基板中を多重反射する光を減衰させる効果は、ARコートを基板両面に設置した場合が最も優れ、基板片面に設置されたARコートの効果は多層膜膜光フィルタ層を設置した側及び多層膜膜光フィルタ層を設置した側の反対側ともにほぼ等しい減衰の効果であるが、両面に設置した場合と比べるとはるかに及ばない。またARコートを設置しない場合光を減衰させる効果はさらに小さいものとなる。
【0022】
ARコート層が、基板の両面に形成される本発明においては、多層膜光フィルタの基板内の多重反射を極限まで抑制し、干渉を低減させるので、フィルタの分光特性に影響を与えていた基板内多重反射の影響を無視できるまでに性能を向上させることができる。これにより高性能光多層膜フィルタを光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも干渉が発生しない多層膜光フィルタが実現できる。また基板内多重反射を抑制することにより、多層膜光フィルタの製造においても光モニタリングによる膜厚測定の精度を向上させることが可能となるため、より高精度の光多層膜フィルタ層の形成が可能となる。
【0023】
図3(A)、(B)は、上記の製造方法における、途中の工程での膜構成を示す断面である。図3(A)は、予め基板の裏面にTa2O5とSiO2とからなる反射防止コート層4’を設けておき、第1の工程であるTa2O5とSiO2とからなる反射防止コート層4の成膜が終了した段階を示している。図3(B)は、第2の工程である、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層2)を繰り返し積層する工程の、最初の2層が成膜された段階を示す。以後同様の条件で低屈折率層3と高屈折率層2を交互に積層し、最終的に図1の構成となる。
【0024】
〔第2の実施形態〕図4は、本発明の多層膜光フィルタ20を用いた光学部品の例として、光ファイバ32、レンズ31と組み合わせて光フィルタモジュール30を構成した例を示す。フィルタの配置は従来例と全く同様に行うことができる。
これによれば、基板を光軸に対してほぼ垂直に配置した場合でも、基板裏面における反射による透過率の少ない多層膜光フィルタを用いるので干渉が発生せず、多層膜光フィルタ部品としての性能が安定する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層膜光フィルタ20は、基板と、該基板の一主表面に接して設けられた反射防止機能を有する第1の反射防止コート層と、該反射防止コート層の表面に接して設けられた屈折率の互いに異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層と、前記基板の他の主表面に接して設けられた第2の反射防止コート層とからなることを特徴とする多層膜光フィルタである。
かかる構成によれば、反射防止コート層を基板両面に接して設けることが可能となるので、多重反射による干渉の影響を極限まで小さくすることができ、高性能の光フィルタを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の多層膜光フィルタの、膜構成を示す図である。
【図2】本発明におけるARコートの設置位置による基板内反射光の強度を示す模式図である。
【図3】本発明の多層膜光フィルタの製造方法を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施形態の多層膜光フィルタを用いた光フィルタモジュールの、構成を示す図である。
【図5】従来例の多層膜光フィルタの膜構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、12 高屈折率層
3、13 低屈折率層
4、4’、14 反射防止コート層 (ARコート)
5 多層膜光フィルタ層
10 従来例の多層膜光フィルタ
20 本発明の多層膜光フィルタ
30 光フィルタモジュール
31 レンズ
32 光ファイバ
Claims (6)
- 基板と、該基板の一主表面に接して設けられた反射防止機能を有する第1の反射防止コート層と、該反射防止コート層の表面に接して設けられた屈折率の互いに異なる複数の誘電体材料の薄膜が繰り返し積層された多層膜光フィルタ層と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に接して設けられた第2の反射防止コート層とからなることを特徴とする多層膜光フィルタ。
- 前記第1の反射防止コート層は屈折率が互いに異なる少なくとも2種類以上の誘電体材料層が繰り返し積層された構成を有することを特徴とする請求項1記載の多層膜光フィルタ。
- 前記第1の反射防止コート層及び前記多層膜光フィルタ層は共に、同じ2種類の誘電体材料からなり、一方が高屈折率層、他方が低屈折率層を形成してそれぞれの層が交互に積層されたことを特徴とする、請求項2記載の多層膜光フィルタ。
- 前記高屈折率層の材料が酸化タンタル(Ta2O5)または酸化チタン(TiO2)のどちらか一方であり、前記低屈折率層の材料が酸化珪素(SiO2)であることを特徴とする請求項3記載の多層膜光フィルタ。
- 基板の一主表面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層して前記第1の反射防止コート層を形成する第1の工程と、該反射防止コート層の上面に、屈折率の互いに異なる2種類の誘電体材料の薄膜を交互に積層し多層膜光フィルタ層を積層する第2の工程と、前記基板の前記主表面と反対側の主表面に前記第2の反射防止コート層を形成する第3の工程とからなり、前記第2の工程は前記第1の工程に引き続いて行われることを特徴とする、多層膜光フィルタの製造方法。
- 請求項1乃至4記載の多層膜光フィルタを構成要素とすることを特徴とする光学部品。
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-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002226661A patent/JP2004069865A/ja not_active Withdrawn
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