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JP2004068927A - 車両用の油圧緩衝器 - Google Patents

車両用の油圧緩衝器 Download PDF

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JP2004068927A
JP2004068927A JP2002229313A JP2002229313A JP2004068927A JP 2004068927 A JP2004068927 A JP 2004068927A JP 2002229313 A JP2002229313 A JP 2002229313A JP 2002229313 A JP2002229313 A JP 2002229313A JP 2004068927 A JP2004068927 A JP 2004068927A
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Abstract

【課題】油圧緩衝器において、プラグボルトによるエア抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすること。
【解決手段】車体側チューブ101の上端部に設けたキャップ104のエア通路119にプラグボルト120を設けた車両用の油圧緩衝器10において、プラグボルト120が、一端をエア室12Bに開口し、他端を環状シール部材144より先端部側の外周に開口する流路145を形成し、キャップ104のエア通路119にねじ部143を一部螺着した状態で、エア通路119に対する環状シール部材144の封着を解除可能にしてなるもの。
【選択図】 図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用の油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフロード用のフロントフォークでは激しくストロークするため、外部エアが、アウタチューブの開口端内周に設けたオイルシールのリップを介してフロントフォークのエア室内に侵入して逐次蓄圧し、エア反力が高くなってしまう不都合がある。
【0003】
そこで、特開平6−109054に記載の従来技術では、車体側チューブの上端部のキャップにエア抜き用のプラグボルトを設け、エア室内の蓄圧がひどくなった時点で、プラグボルトを緩めて蓄圧したエアを抜くようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、プラグボルトのねじ部をキャップのエア通路から完全に取外し、該プラグボルトの環状シール部材とエア通路との封着を解除しなければ、エア室からのエア抜きを行なうことができない。従って、エア抜き作業性が悪いし、エア抜き作業中にプラグボルトを紛失する虞もある。
【0005】
本発明の課題は、油圧緩衝器において、プラグボルトによるエア抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすることにある。
【0006】
本発明の他の課題は、油圧緩衝器において、プラグボルトによる油抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体側チューブと車軸側チューブを、オイルシールを介して摺動自在に嵌合し、該車体側チューブと車軸側チューブ内に油室とエア室からなる油溜室を設け、該車体側チューブの上端部に該エア室を封止するキャップを設け、該キャップに設けた該エア室に連通するエア通路にプラグボルトを設け、該プラグボルトが頭部側の外周に備えた環状シール部材を前記キャップの前記エア通路に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部を該エア通路に螺着可能とする車両用の油圧緩衝器において、前記プラグボルトが、一端を前記エア室に開口し、他端を前記環状シール部材より先端部側の外周に開口する流路を形成し、前記キャップの前記エア通路に前記ねじ部を一部螺着した状態で、該エア通路に対する該環状シール部材の封着を解除可能にしてなるものである。
【0008】
請求項2の発明は、ダンパのシリンダに形成した油室に作動油を封入し、該シリンダに設けた該油室に連通する油路にプラグボルトを設け、該プラグボルトが頭部側の外周に備えた環状シール部材を前記シリンダの前記油路に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部を該油路に螺着可能とする車両用の油圧緩衝器において、前記プラグボルトが、一端を前記油室に開口し、他端を前記環状シール部材より先端部側の外周に開口する流路を形成し、前記シリンダの前記油路に前記ねじ部を一部螺着した状態で、該油路に対する該環状シール部材の封着を解除可能にしてなるものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、記流路が、前記ねじ部の外周に形成した溝からなるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記溝が、V字溝状をなし、前記環状シール部材の側に向かうに従い、溝の深さが浅くなるように形成されたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は油圧緩衝装置を示す全体断面図、図2は左右一方の油圧緩衝器を示す断面図、図3は図2の上部拡大断面図、図4は図3はばね荷重調整装置を取出して示す断面図、図5は図4の平面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図、図7はばね荷重特性を示す線図、図8はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は(B)のC−C線に沿う断面図、図9はばねアジャスタを示し、(A)は断面図、(B)は平面図、図10は操作子を示し、(A)は断面図、(B)は平面図、図11はストッパボルトを示す断面図、図12はプラグボルトを示し、(A)は断面図、(B)は上端面図、(C)は下端面図、図13は左右他方の油圧緩衝器を示す断面図、図14は図13の上部拡大断面図、図15は図13の下部拡大断面図である。
【0012】
車両の油圧緩衝装置1は、図1に示す如く、車両の左右両側に設けられる左右の油圧緩衝器10、20からなる。この油圧緩衝装置1は、二輪車等のフロントフォークのように、左右の油圧緩衝器の車軸側チューブが共通の車軸の両側に取付けられるもの、又は二輪車等の後輪側油圧緩衝装置のように、左右の油圧緩衝器が共通のスイングアームに取付けられて構成される。
【0013】
左右いずれか一方の油圧緩衝器10は図2〜図12に示す如く構成され、左右いずれか他方の油圧緩衝器20は図13〜図15に示す如く構成される。油圧緩衝装置1は、一方の油圧緩衝器10に車両が路面から受ける衝撃力を緩衝する懸架スプリング11を内蔵し、他方の油圧緩衝器20に懸架スプリング11の伸縮振動を制振する減衰力発生装置21を内蔵する。油圧緩衝装置1は、懸架スプリング11の設置と減衰力発生装置21の設置を油圧緩衝器10と油圧緩衝器20のそれぞれに分担させ、コスト低減を図るものである。
【0014】
(油圧緩衝器10)(図1〜図12)
油圧緩衝器10は、図1〜図3に示す如く、車体側に支持される車体側チューブ(アウタチューブ)101内に、車軸に結合される車軸側チューブ(インナチューブ)102を摺動自在に嵌合し、両チューブ101、102の間に懸架スプリング11を介装している。尚、車体側チューブ101の下端内周には車軸側チューブ102の外周に摺接するブッシュ101Aが、車軸側チューブ102の上端外周には車体側チューブ101の内周に摺接するブッシュ102Aが設けられる。車体側チューブ101の下端内周には、車軸側チューブ102の外周に摺接する、オイルシール(シール部材)103A、ダストシール103Bも設けられる。
【0015】
油圧緩衝器10は、車体側チューブ101と車軸側チューブ102の内部に油室12Aとエア室12Bからなる油溜室12を設けている。
【0016】
車体側チューブ101の上部開口端には、エア室12Bを封止するキャップ104が設けられる。キャップ104はOリングを介して車体側チューブ101の内周に螺着される。キャップ104の中央部には、ばね荷重調整装置を構成するばねアジャスタ105が回転自在かつディテント機構部107を介して係止可能に設けられる。ばねアジャスタ105には筒形フォルダ108を構成する筒状スプリングカラー109が螺着される。スプリングカラー109はばねアジャスタ105に植設されたキー110により回り止めされ、結果としてばねアジャスタ105に設けた操作子106の回転操作によりスプリングカラー109を軸方向に上下移動可能としている。
【0017】
車軸側チューブ102の下端外周には車軸ブラケット111が螺着され、車軸側チューブ102の下端内周にはボトムピース112を液密に係着し、車軸ブラケット111のボルト挿入孔にOリングを介して液密に係着されるボトムボルト113をボトムピース112に螺着することにより、車軸側チューブ102の底部にボトムピース112を固定配置する。111Aは車軸ブラケット111のボルト挿入孔に係着されるカバーである。
【0018】
尚、ボトムピース112は裏面側に軽量化のための肉抜き環状溝112Aを備え、油室12Aからボトムボルト113の螺合部を経て環状溝112Aに侵入した作動油を該油室12Aに戻すための複数の油孔112Bを備える。
【0019】
油圧緩衝器10は、スプリングカラー109が構成する筒形フォルダ108に後述する如くに装填したゴム状弾性体133及びプランジャ135に支持させた上スプリングシート117と、ボトムピース112に支持させた下スプリングシート118の間に、前述の懸架スプリング11を介装している。そして、ばねアジャスタ105の回転操作によりスプリングカラー109を上下移動することにより、懸架スプイリング11の初期長さ、ひいては初期ばね荷重を調整可能とする。
【0020】
油圧緩衝器10は、懸架スプリング11と、エア室12Bに閉じ込められているエア反力に起因の気体ばねにより、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0021】
尚、油圧緩衝器10は、激しい伸縮ストロークにより、車体側チューブ101の下端内周に設けたオイルシール103Aのリップを介して油室12B内に侵入して逐次蓄圧されたエアを抜くため、キャップ104に設けた油室12Bに連通するエア通路119にプラグボルト120を螺着している。
【0022】
以下、油圧緩衝器10において、(A)ばねアジャスタ105の構造、(B)筒形フォルダ108の構造、(C)プラグボルト120の構造について説明する。
【0023】
(A)ばねアジャスタ105の構造(図3〜図6、図8〜図11)
ばねアジャスタ105が設けられるキャップ104は、図8に示す如く、車体側チューブ101に螺着されるねじ部104A、ばねアジャスタ105を液密に支持する環状支持部104B、キー110を植設するキー固定孔104C、車体側チューブ101に対し螺着操作するための工具係合孔104D、軽量化のための肉抜き溝104E、プラグボルト120のためのエア通路119を備える。エア通路119はキャップ104の直径上の2位置のそれぞれに設けられる。キャップ104のキー固定孔104Cに植設されたキー110は、スプリングカラー109の軸方向に沿って設けたキー摺動孔109Aに係入される。
【0024】
ばねアジャスタ105は、キャップ104の環状支持部104Bに液密に枢着される枢着部105A、操作子106が固定される固定部105B、操作子106を固定部105Bに回り止めする回り止めピン122が係合するピン溝105C、操作子106を固定部105Bに抜け止めするストッパボルト121が螺着するねじ孔105D、スプリングカラー109が螺着されるねじ部105E、枢着部105Aとねじ部105Eの間で枢着部105A、ねじ部105Eより大径をなす大外径部においてディテント機構部107を構成するディテント部105Fを備える。ディテント部105Fは、ばね107A、該ばね107Aにより付勢されるボール107Bが装填されるディテント孔105Gを備える。キャップ104は、ディテント機構部107のボール107Bが係合するディテント凹部107Cを環状支持部104Bの下部の環状支持部104Bより大径をなす大内径部の複数位置(例えば4位置)に備える。
【0025】
操作子106は、図10に示す如く、ばねアジャスタ105の固定部105Bに嵌着される孔を持つボス部106A、ボス部106Aの外周から径方向に延びる複数(例えば4個)の把手部106B、ばねアジャスタ105のピン溝105Cとともに前述の回り止めピン122を係入させるピン溝106C、ボス部106Aの上面においてストッパボルト121の頭部121Aを埋込み可能とする埋込み凹部106D、各把手部106Bに設けた軽量化のための肉抜き孔106Eを備える。
【0026】
操作子106の埋込み凹部106Dに埋め込まれたストッパボルト121の頭部121Aの上面と操作子106のボス部106Aの上面は面一をなし、ボス部106Aの上面と各把手部106Bの上面は滑らかに連続する。
【0027】
ディテント機構部107は、ばねアジャスタ105のディテント部105Fに備えたディテント孔105Gに装填されたばね107A、ボール107Bと、キャップ104に設けた各ディテント凹部107Cとから構成され、ばねアジャスタ105の回転とともにボール107Bがディテント凹部107Cに順に係合する周方向の4位置のそれぞれにおいて、該ばねアジャスタ105をキャップ104に対し節度感を持って係止可能とする。
【0028】
ストッパボルト121は、図11に示す如く、頭部121Aの中央部に工具係合用六角孔121Bを備える。
【0029】
従って、ばねアジャスタ105等はキャップ104に以下の如くに組付けられて車体側チューブ101に組込まれる。
【0030】
(1)キャップ104の環状支持部104Bにばねアジャスタ105の枢着部105Aを差し込む。このとき、キャップ104とばねアジャスタ105の間にディテント機構部107を組込む。
【0031】
(2)キャップ104の環状支持部104Bから突出したばねアジャスタ105の固定部105Bに操作子106の凸部106Aを嵌着し、ばねアジャスタ105のピン溝105Cと操作子106のピン溝106Cに回り止めピン122を係入する。
【0032】
(3)操作子106の埋込み凹部106Dにストッパボルト121の頭部121Aを埋込み、ストッパボルト121をばねアジャスタ105のねじ孔105Dに螺着する。これにより、ばねアジャスタ105と操作子106は、キャップ104に対し回転可能かつ抜け止め可能になる。
【0033】
(4)ばねアジャスタ105のねじ部105Eにスプリングカラー109の上端めねじ部を螺着し、キャップ104のキー固定孔104Cにキー110を植設し、キー110の突出端をスプリングカラー109のキー摺動孔109Aに係入する。
【0034】
これにより、ばねアジャスタ105の操作子106を回転操作すると、ばねアジャスタ105に螺着しているスプリングカラー109のキー摺動孔109Aがキャップ104のキー110に案内され、スプリングカラー109が軸方向に上下動し、前述の如く、懸架スプリング11の初期ばね荷重が調整可能になる。ばねアジャスタ105はディテント機構部107により節度感をもってキャップ104に対する周方向の4位置に順に位置付けられる。
【0035】
しかるに、ばねアジャスタ105がディテント機構部107によってキャップ104に係止したときに、操作子106の相隣る把手部106Bと把手部106Bの間に、該キャップ104に螺着してあるプラグボルト120の頭部141を位置せしめる(図5)。
【0036】
操作子100の各把手部106Bは、ボス部106Aの外周に沿う4等分位置のそれぞれに形成される。
【0037】
操作子106の各把手部106Bは、ボス部106Aの側から径方向の外方に進むに従い、上面Aを下り勾配状に傾斜して肉厚を薄くしている。上面Aは直線状の下り勾配をなす他、曲面状の下り勾配をなすものでも良い。
【0038】
油圧緩衝器10にあっては、ばねアジャスタ105を上述の如くに構成したから、以下の作用がある。
【0039】
▲1▼ばねアジャスタ105の操作子106が、ボス部106Aと複数の把手部106Bとを有してなり、ばねアジャスタ105がディテント機構部107によってキャップ104に係止したときに、操作子106の把手部106Bと把手部106Bの間にプラグボルト120が位置するように形成した。従って、油圧緩衝器10のエア室12Bからのエア抜き時に、プラグボルト120が操作子106の把手部106Bの背部に隠れてしまうことがなく、従って、操作子106を取外すことなく、容易にエア抜き操作できる。
【0040】
▲2▼操作子106の各把手部106Bが、ボス部106Aの外周に沿う4等分位置のそれぞれに形成された。従って、操作子106の操作機能を向上し、製作コストも低減できる。
【0041】
▲3▼操作子106の各把手部106Bが、ボス部106Aの側から径方向の外方に行くに従い、上面Aを下り勾配状に傾斜して肉厚を薄くした。従って、各把手部106Bによって形成される操作子106の上面が球面状に近くなり、出っ張りがなくなり、操作感を向上できる。
【0042】
(B)筒形フォルダ108の構造(図3、図4、図7)
車体側チューブ101(車体側部材)と車軸側チューブ102(車軸側部材)との間に前述の如くに懸架スプリング11を介装するに際し、車体側チューブ101に前述のキャップ104、ばねアジャスタ105を介して筒状のスプリングカラー109を軸方向に移動可能に設け、スプリングカラー109の外周に環状のハウジング131を設け、スプリングカラー109とハウジング131とで、一端に開口をもつ他端有底状の筒形フォルダ108を形成する。
【0043】
ハウジング131は、基部131Aをスプリングカラー109の下端側小外径部109Bが該スプリングカラー109の外周に中間部に形成する段差部109C(又はスプリングカラー109の外周に係着した止め輪でも可)に突き当て保持される。ハウジング131は、基部131Aの内周のOリング溝にOリング132を装填され、スプリングカラー109の外周に液密に嵌着される。ハウジング131は、基部131Aから立ち上がる外周壁131Bを有し、外周壁131Bとスプリングカラー109の外周との間に環状間隙を形成する。
【0044】
筒形フォルダ108は、ハウジング131の外周壁131Bがスプリングカラー109の外周との間に形成する環状間隙をゴム状弾性体133の装填室134とする。ゴム状弾性体133は、ウレタンゴム等、非線形のばね特性を示す弾性体であり、装填室134に装填可能な環状をなす。
【0045】
筒形フォルダ108は、装填室134にゴム状弾性体133を装填した状態で、一端開口部からプランジャ135を滑らかに進退自在となるように挿入し、プランジャ135の挿入端によりゴム状弾性体133を圧縮するとともに、プランジャ135の突出端のフランジ135Aにワッシャ136を介して着座させた前述の上スプリングシート117にて懸架スプリング11を支持する。懸架スプリング11とゴム状弾性体133が車体側チューブ101と車軸側チューブ102の間で直列配置されることになる。上スプリングシート117は、スプリングカラー109の小外径部109Bに摺接可能に延在する摺動ガイド117Aを備え、摺動ガイド117Aの延在端を小外径部109Bの外周に係着した止め輪137に衝合可能としている。
【0046】
プランジャ135はスプリングカラー109の外周に摺接するブッシュ135Bを内周に備えるとともに、スプリングカラー109の外周に液密に接するOリング138Aを内周のOリング溝に備え、ハウジング131の外周壁131Bの内周に液密に接するOリング138Bを外周のOリング溝に備える。これにより、筒形フォルダ108の内部のプランジャ135によって区画されるゴム状弾性体133のための装填室134を、油溜室12に対し液密に密封する。
【0047】
プランジャ135はフランジ135Aの外径をハウジング131の外周壁131Bの少なくとも内径より大径に、本実施形態では外周壁131Bの外径より大径にしている。ゴム状弾性体133の最圧縮時に、プランジャ135のフランジ135Aを外周壁131Bの端面に突き当てることにより、プランジャ135の最大ストロークSを規制する。プランジャ135の最大ストロークを規制することで、ゴム状弾性体133が老朽化したときも、プランジャ135を過大ストロークさせず、懸架スプリング11及びゴム状弾性体133の使用当初のばね特性を維持する。
【0048】
油圧緩衝器10にあっては、筒形フォルダ108を備え、車体側チューブ101と車軸側チューブ102の間に懸架スプリング11とゴム状弾性体133を上述の如くに直列配置したから、以下の作用がある。
【0049】
▲1▼図7において、K1は懸架スプリング11単独のばね荷重特性であり、K2はゴム状弾性体133単独のばね荷重特性である。油圧緩衝器10の初期ストロークSではゴム状弾性体133と懸架スプリング11が圧縮されて非線形の合成ばね荷重(図7のばね定数K)を生じ、初期ストロークS後には懸架スプリング11のみが圧縮されて線形のばね荷重(図7のばね定数K1)を生ずる。即ち、初期ストロークのソフトかつ滑らかなばね荷重特性をゴム状弾性体133と懸架スプリング11の組合わせによって得ることができる。また、初期ストロークSのばね荷重特性をゴム状弾性体133と懸架スプリング11の合成ばね荷重によってソフトに立ち上げることができるから、懸架スプリング11のばね定数を従来よりも高く設定でき、中間ストローク〜最圧縮ストロークのばね荷重特性を懸架スプリング11によって硬くして腰感を得ることができる。
【0050】
▲2▼ゴム状弾性体133を筒形フォルダ108に装填して圧縮するものであり、ゴム状弾性体133の中心軸に直交する横方向への胴曲がり等を阻止し、ゴム状弾性体133の軸方向の弾性たわみを安定的に生成できる。
【0051】
▲3▼車体側チューブ101の軸方向に移動可能に設けたスプリングカラー109と、スプリングカラー109の外周に設けた環状ハウジング131とで筒形フォルダ108を形成し、該フォルダ108にゴム状弾性体133、プランジャ135を介して懸架スプリング11を支持した。従って、ばねアジャスタ105によるスプリングカラー109の移動量の調整により懸架スプリング11の初期荷重を調整できるし、このスプリングカラー109を利用して安価に筒形フォルダ108を構成できる。
【0052】
▲4▼筒形フォルダ108の内部のプランジャ135によって区画されるゴム状弾性体133の装填室134を液密に密封した。従って、筒形フォルダ108の内部への作動油の侵入を阻止し、ゴム状弾性体133の作動油による劣化を防止でき、ゴム状弾性体133を油溜室12の中にも配置できる。
【0053】
(プラグボルト120の構造)(図3〜図6、図12)
キャップ104に設けたエア通路119に螺着されるプラグボルト120は、図12に示す如く、頭部141、首部142、ねじ部143を備える。プラグボルト120は、首部142における頭部141の側の外周に設けたOリング溝142Aに嵌着したOリング144(環状シール部材)をエア通路119のシール孔119Aに気密に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部143をエア通路119のねじ孔119B(シール孔119Aより小径)に螺着可能とする。
【0054】
プラグボルト120は、一端をエア室12Bに開口し、他端をOリング144より先端部側の首部142又はねじ部143の外周に開口する流路145を備える。プラグボルト120は、キャップ104のエア通路119のねじ孔119Bからねじ部143を緩め、ねじ部143をねじ孔119Bに未だ一部螺着した状態で、エア通路119のシール孔119Aに対するOリング144の封着を解除可能にしている。
【0055】
プラグボルト120は、ねじ部143の外周に刻設した溝により流路145を形成できる。流路145を形成する溝断面形状は、V字溝のほか、四角溝、円形溝等であっても良い。図12に示した流路145は、V字溝状をなし、ねじ部143の先端部側からOリング144の側に向かうに従い、溝の深さが漸次浅くなるように形成される。プラグボルト120は、図12に示す如く、ねじ部143の外周の周方向に沿う一位置に1個の流路145を設ける他、周方向に沿う複数位置に複数個の流路145を設けても良い。
【0056】
プラグボルト120は、ねじ部143の外周に流路145を刻設する他、ねじ部143〜首部142の中実部に孔状流路145を穿設し、該流路145の一端をエア室12Bに開口し、他端をOリング144より先端部側の首部142又はねじ部143の外周に開口するものでも良い。
【0057】
油圧緩衝器10にあっては、キャップ104に設けたエア通路119に螺着されるプラグボルト120を上述の如くに構成したから、以下の作用がある。
【0058】
▲1▼キャップ104のエア通路119に対するプラグボルト120の螺合を緩めると、プラグボルト120のねじ部143が一部螺着した状態で、流路145の他端が大気中に連通する。従って、プラグボルト120をキャップ104のエア通路119から完全に取外すことなく、エア室12Bからのエア抜きを流路145によってスムースに行なうことができる。従って、エア抜き作業性が良い、またエア抜き作業中にプラグボルト120をキャップ104のエア通路119から完全に取外して落とし、紛失する如くがない。
【0059】
▲2▼プラグボルト120のねじ部143の外周に形成した溝により流路145を形成可能にするから、流路145の加工が容易になる。
【0060】
▲3▼プラグボルト120の流路145を構成する溝がV字溝状をなし、Oリング144の側に向かうに従い、溝の深さが漸次浅くなるように形成された。流路145を構成する溝をV字溝状に形成したから、加工が容易になる。また、溝の深さをOリング144の側に向かうに従い浅くなるように形成したから、プラグボルト120を緩めたときに、流路145からいきなりエアが吹出すことがなく、エアを徐々に抜くことができてエア抜き作業性が良い。
【0061】
(油圧緩衝器20)(図13〜図15)
油圧緩衝器20は、図13、図14に示す如く、車体側に支持される車体側チューブ(アウタチューブ)201内に、車軸に支持される車軸側チューブ(インナチューブ)202を摺動自在に嵌合し、単筒形ダンパ204を倒立にして内装している。即ち、ダンパ204は、後に詳述する如く、ダンパシリンダ206とピストンロッド210を有して構成され、ダンパシリンダ206を車体側チューブ201に取付け、ピストンロッド210を車軸側チューブ202に取付けて構成される。尚、車体側チューブ201の下端内周には車軸側チューブ202の外周に摺接するブッシュ201Aが、車軸側チューブ202の上端外周には車体側チューブ201の内周に摺接するブッシュ202Aが設けられる。車体側チューブ201の下端内周には、車軸側チューブ202の外周に摺接する、オイルシール(シール部材)203A、ダストシール203Bも設けられる。
【0062】
車体側チューブ201の上端部にはダンパ204のダンパシリンダ206の上端部がOリングを介して螺着され、ダンパシリンダ206の上部開口端はキャップ205により閉塞される。キャップ205は、Oリングを介してダンパシリンダ206の内周に挿入されて螺着される。
【0063】
車軸側チューブ202の下端底部内周にはオイルロックケース207がOリングを介して液密に嵌装され、このオイルロックケース207をボトムボルト208で車軸ブラケット209にOリングを介して液密に固定してある。209Aは車軸ブラケット209のボルト挿入孔に係着されるカバーである。また、ボトムボルト208にはダンパ204のピストンロッド(中空ロッド)210の基端部が螺着されるとともにロックナット208Aでロックされ、このピストンロッド210の先端部をダンパシリンダ206の軸方向の先端部に設けたオイルロックピース211の先端側から挿入してある。オイルロックピース211は基端筒状部211Aをダンパシリンダ206の先端開口部にOリングを介して液密に螺着して固定される。ピストンロッド210は、オイルロックピース211における筒状部211Aの下部に備えたロッドガイド部212のブッシュ210Aで支持され、シール部材212Bを貫通してダンパシリンダ206の内部に挿入されている。シール部材212Bは、ダンパシリンダ206の後述する油室233Bを密封し、油室233Bの油がダンパシリンダ206の外に逃げ出すのを阻止する一方向性のシール機能をもつ。また、オイルロックピース211における筒状部211Aの内部に設けたスプリング室213の下側端面にはシール押え212Cを介してリバウンドスプリング214が着座されている。リバウンドスプリング214はオイルロックピース211における筒状部211Aの上側内周面に係着した止め輪215により保持される状態で、スプリング室213に納められる。
【0064】
車体側チューブ201と車軸側チューブ202の内部で、ダンパ204の外側には油室221とエア室222とからなる油溜室223が設けられ、油室221とエア室222とは自由界面を介して接触し、エア室222に閉じ込められているエアが気体ばねを構成する。前述した油圧緩衝器10における懸架スプリング11及びエア室12Bの気体ばねと、油圧緩衝器20におけるエア室222の気体ばねが、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0065】
ダンパ204は、油圧緩衝器20の減衰力発生装置21を構成する、ピストンバルブ装置230と、ベースバルブ装置250とを有している。ダンパ204は、ピストンバルブ装置230とベースバルブ装置250の発生する減衰力により、油圧緩衝器10の懸架スプリング11と、油圧緩衝器10、20の気体ばねによる衝撃力の吸収に伴う、油圧緩衝器10のチューブ101、102、油圧緩衝器20のチューブ201、201の伸縮振動を抑制する。
【0066】
(ピストンバルブ装置230)
ピストンバルブ装置230は、ピストンロッド210の先端部にピストンホルダ231Aを装着し、このピストンホルダ231Aにナット231B等によりメインピストン232を保持している。メインピストン232は、ダンパシリンダ206の内部をピストンロッド210が収容されないピストン側油室233Aとピストンロッド210が収容されるロッド側油室233Bとに区画し、該ダンパシリンダ206の内部を摺動する。メインピストン232は、上下のピストン232A、232Bの組立体であり、多数枚の板バルブをピラミッド状に積層した伸側板バルブ234Aを備えてピストン側油室233Aとロッド側油室233Bとを連絡可能とする伸側ポート234と、中高速用圧側板バルブ235Aと低速用圧側板バルブ235Bとを備えてピストン側油室233Aとロッド側油室233Bとを連絡可能とする圧側ポート235とを備える。
【0067】
尚、ピストンバルブ装置230は、ピストンホルダ231Aに、バルブストッパ235C、圧側板バルブ235A、235B、メインピストン232(上下のピストン232A、232B)、伸側板バルブ234A、バルブストッパ234Bを挿着し、これらをナット231Bにより保持している。
【0068】
また、ピストンバルブ装置230は、筒形フォルダ208に液密に挿着されたアジャスタ236に結合されている減衰力調整ロッド237をピストンロッド210の中空部に通し、アジャスタ236の回転操作により軸方向に進退する減衰力調整ロッド237の先端のニードル237Aにより、ピストンホルダ231Aに設けてあるピストン側油室233Aとロッド側油室233Bとのバイパス路238の流路面積を調整可能とする。239はアジャスタ236に内蔵したディテント機構部であり、ばねにより付勢されたボールをボトムボルト208に設けたディテント凹部に係合させ、アジャスタ236を回転方向の複数位置に節度感をもって順に位置付け可能とする。
【0069】
(ベースバルブ装置250)
ベースバルブ装置250は、ダンパシリンダ206の上端部に螺着されている前述のキャップ205にガイドパイプ251を螺着し、ガイドパイプ251の先端部にハウジングホルダ251Aを螺着し、このハウジングホルダ251Aにナット251B等によりサブピストン252を保持している。ガイドパイプ251の上部は小径部251Cに形成されている。サブピストン252はダンパシリンダ206の内部で前述のメインピストン232に相対するように固定配置され、ダンパシリンダ206の内周部に液密に接し、前述のピストン側油室233Aの上方にベースバルブ室253の油室253Aを区画形成する。サブピストン252は、多数枚の板バルブをピラミッド状に積層した中高速用圧側板バルブ254Aを備えてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とする圧側ポート254と、伸側板バルブ255A(チェックバルブ)を備えてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とする伸側ポート255とを備える。また、ハウジングホルダ251Aは、圧側ポート254と伸側ポート255とをバイパスしてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とするバイパス流路256を備える。
【0070】
尚、ベースバルブ装置250は、ハウジングホルダ251Aに、バルブストッパ254B、圧側板バルブ254A、サブピストン252、伸側板バルブ255A、バルブストッパ255Bを挿着し、これらをナット251Bにより保持している。
【0071】
フォークボルト205に螺合された減衰力調整ロッド258は、アジャスタ259を備えるとともに、ガイドパイプ251に挿入され、アジャスタ259の回転操作により軸方向に進退する先端のニードル258Aによりバイパス流路256の流路面積を調整可能とする。尚、フォークボルト205は頭部端面の中央部にアジャスタ259とそのホルダ259Aを埋込み保持している。260はアジャスタ259に内蔵したディテント機構部であり、ばねにより付勢されたボールをフォルダ259Aに設けたディテント凹部に係合させ、アジャスタ259を回転方向の複数位置に節度感を持って順に位置付け可能とする。
【0072】
尚、ハウジングホルダ251Aは、バイパス流路256のニードル258Aにより開閉される流路面積調整部より油室253A側に、分岐流路256Aを設けてある。ハウジングホルダ251Aにおいて分岐流路256Aがベースバルブ室253の油室253Aに開口する部分には低速用圧側板バルブ254Cが設けられる。
【0073】
また、ベースバルブ装置250は、ダンパシリンダ206の内部に、該ダンパシリンダ206とガイドパイプ251に沿ってOリング260A、シール部材260Bを介して液密に摺動するフリーピストン型の可動隔壁部材261を備える。隔壁部材261は、ベースバルブ室253のサブピストン252の側でピストン側油室233Aに連通している油室253Aと、キャップ205の側の体積補償室253Bとを区画する。体積補償室253Bは、内部にエアを封入され、エア室222と連通路263で連通している。キャップ205は、油圧緩衝器20の激しい伸縮ストロークによって車体側チューブ201の下端内周に設けたオイルシール203Aのリップを介してエア室222、体積補償室253Bに逐次蓄圧されたエアを抜くため、キャップ205に設けた体積補償室253Bに連通するエア通路264にプラグボルト265を螺着している。尚、スプリング262が、この最大伸張時に僅かな初期荷重を有するように、隔壁部材261とキャップ205との間に介装される。
【0074】
ダンパシリンダ206内にピストンロッド210が進入する圧縮時に、このスプリング262が収縮し、このときのスプリング262のばね荷重分だけ、ダンパシリンダ206内の油室が加圧され、伸張時におけるダンパシリンダ内油室のキャビテーションの発生を防止し、また伸張時に続く圧縮時の減衰力発生の遅れ(さぼり)も回避する。
【0075】
尚、ベースバルブ装置250は、油圧緩衝器20のピストンロッド210がストロークする度に、該ピストンロッド210の外周面に付着した油室221の油をロッドガイド212のシール部材212Bからダンパシリンダ206の内部に持ち込む。これにより、ダンパシリンダ206の内部の油室233A、233B、253Aの作動油が一定量以上になると、可動隔壁部材261がその油圧により上方へ移動し、隔壁部材261の内周のシール部材260Bがガイドパイプ251の小径部251Cに到達したときに、ダンパシリンダ206の余剰油を体積補償室253Bから連通路263、エア室222経由でダンパシリンダ206の外の油室221に排出するブロー機能を有する。
【0076】
従って、油圧緩衝器20は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
油圧緩衝器20の圧縮時には、ピストン速度の極低速時に、ベースバルブ装置250においてサブピストン252のニードル258Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、低速時には、ピストンバルブ装置230のおいてメインピストン232の低速用圧側板バルブ235Bを流れる油により圧側減衰力を生じ、かつベースバルブ装置250においてサブピストン252の低速用圧側板バルブ254Cを流れる油により圧側減衰力を生じ、中高速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232の中高速用圧側板バルブ235Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、かつベースバルブ装置250においてサブピストン252の圧側板バルブ254Aを流れる油により圧側減衰力を生ずる。
【0077】
(伸張時)
油圧緩衝器20の伸張時には、ピストン速度の低速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232のニードル237Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、中高速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232の伸側板バルブ234Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ベースバルブ装置250では殆ど減衰力を生じない。
【0078】
これらの圧側と伸側の減衰力により、油圧緩衝器10と油圧緩衝器20の伸縮振動が抑制される。
【0079】
尚、油圧緩衝器20の最圧縮時には、ダンパシリンダ206の軸方向の先端部に設けたオイルロックピース211が、車輪側チューブ202の底部に設けてあるオイルロックケース207に嵌合し、両者の間に区画形成されるオイルロック油室270において圧縮される油によりオイルロック作用を生ぜしめ、ダンパ204の底つきを防止する。
【0080】
また、油圧緩衝器20の最伸張時には、ピストンロッド210に設けているピストンホルダ231Aの下端面が、ダンパシリンダ206の開口部に設けてあるオイルロックピース211のロッドガイド212に支持されているリバウンドスプリング214に衝合し、伸び切りの緩衝作用を果たす。
【0081】
以下、油圧緩衝器20において、オイルロックピース211がオイルロックケース207とともに構成するオイルロック構造について説明する(図15)。
【0082】
オイルロックピース211は、ダンパシリンダ206の軸方向の先端開口部に基端筒状部211Aを螺着されて固定的に設けられ、ピストンロッド210を摺動自在に支持するロッドガイド部212(ブッシュ212A、シール部材212B)を、筒状部211Aの下部に備える。
【0083】
オイルロックピース211は、オイルロックケース207の内周に微小隙間を介して嵌合する嵌合部271を、該オイルロックピース211の先端カップ状部211Bの外周に備える。オイルロックピース211は、筒状部211Aとカップ状部211Bの間にロックガイド部212を備える。
【0084】
嵌合部271は、硬質樹脂製の嵌合リング271A、例えばジュラコン(登録商標)からなる嵌合リング271Aにより構成される。嵌合部271を構成する嵌合リング271Aは、カップ状部211Bの外周の小径部272に嵌着され、小径部272の奥の段差部272Aと、カップ状部211Bの内周に先端側から圧入される環状体273の外側ストッパ273Aにより軸方向の両端を挟み込まれ保持される。
【0085】
オイルロックピース211は、ピストンロッド210を支持するロッドガイド部212と、オイルロックケース207に嵌合した嵌合部271により、車軸側チューブ202の底部において、オイルロックケース207の内周とピストンロッド210の外周との間に前述のオイルロック油室270を区画形成する。
【0086】
オイルロックピース211は、カップ状部211Bの外周に嵌合した嵌合部271よりダンパシリンダ206の側の外周、換言すれば筒状部211Aとカップ状部211Bの間のロッドガイド部212の外周に、嵌合部271より小径のくびれ状の環状縮径部211Cを形成する。オイルロックピース211の嵌合部271がオイルロックケース207の内周に嵌合する最圧縮時に、縮径部211Cはオイルロックケース207の内周との間に大容量の環状空間からなる連絡油室274を形成し、この連絡油室274をオイルロックケース207の外方の油溜室223の油室221に開口する。本実施形態では、オイルロックピース211における縮径部211Cの上側テーパ部211Dに、該オイルロックピース211の筒状部211Aをダンパシリンダ206の開口部に螺着する工具のための2面巾部275を形成し、上側テーパ部211D及び2面巾部275とオイロックケース207の上縁部207Aとの間に最圧縮時にも広い環状間隙を形成し、連絡油室274と油室221とをこの環状間隙により連絡可能としている。
【0087】
オイルロックピース211は、嵌合部271がオイルロックケース207との間に形成する前述の微小隙間と並列をなし、連絡油室274とオイルロック油室270とを連通する連絡油路276を穿設して備える。連絡油路276の上端開口部は、縮径部211Cの周方向の複数位置で、縮径部211C〜縮径部211Cの下側テーパ部211Eの範囲において連絡油室274に開口する。
【0088】
オイルロックピース211は、カップ状部211Bの内部のオイルロック油室270に臨む底面が形成する弁座278に連絡油路276の他端開口部を開口し、該連絡油路276の他端開口部の弁座278に板バルブからなるチェック弁277を設ける。チェック弁277は、カップ状部211Bの内部の弁座278に接離して連絡油路276を開閉し、オイルロック油室270の加圧時にはカップ状部211Bの弁座278に接して連絡油路276を閉じオイルロック油室270から連絡油室274への作動油の流れを阻止し、オイルロック油室270の負圧時にはカップ状部211Bの弁座278から離れてリフトすることにより連絡油路276を開き連絡油室274からオイルロック油室270への作動油の流れを許容する。チェック弁277は、カップ状部211Bの弁座278から離れてリフトする開弁時に、オイルロックピース211のカップ状部211Bに圧入された前述の環状体273の内側ストッパ273Bにより下から支えられる。内側ストッパ273Bはチェック弁277に一定量のリフトを許容する。
【0089】
従って、油圧緩衝器20にあっては、最圧縮時に、オイルロックピース211の嵌合部271をオイルロックケース207の内周に微小隙間を介して嵌合し、オイルロック油室270の加圧によってオイルロックピース211に設けた前述のチェック弁277を開弁し、オイルロック油室270に閉じ込められて圧縮される油によるオイルロック作用を得る。
【0090】
また、油圧緩衝器20にあっては、最圧縮後の伸張時に、オイルロック油室270の負圧によってオイルロックピース211に設けた前述のチェック弁277を開弁し、油溜室223の油室221を、前述の連絡油室274及び連絡油路276を介してオイルロック油室270に連通し、オイルロック油室270の負圧を速やかに解消し、オイルロック状態をスムースに解除可能とする。
【0091】
チェック弁277は板バルブに限らず、ばねにより閉弁位置に付勢されるボール弁等からなるものでも良い。
【0092】
油圧緩衝器20にあっては、オイルロックケース207とオイルロックピース211によるオイルロック構造を上述の如くに構成したから、以下の作用がある。
【0093】
▲1▼ダンパシリンダ206の開口部でピストンロッド210を摺動自在に支持するロッドガイド部212を、ダンパシリンダ206の先端部に設けたオイルロックピース211の内周に備えるとともに、このロッドガイド部212によりオイルロック油室270を区画形成する。従って、単一のロッドガイド部212により、ダンパシリンダ206の油室233A、233Bを区画し、かつオイルロック油室270を区画するものとなり、オイルロック機構の構成を簡素かつコンパクトにし、コスト低減できる。
【0094】
▲2▼オイルロック油室270を油溜室223に連絡可能とする連絡油室274をオイルロックピース211の外周の縮径部211Cによって形成し、この連絡油室274を最圧縮時にもオイルロックケース207の外方に開放した。従って、最圧縮後の伸張時に、オイルロック油室270をチェック弁277、連絡油路276、連絡油室274を介して油溜室223に連通させるリターン流路の流路面積を十分に確保でき、オイルロック油室270の負圧を速やかに解消し、オイルロック状態をスムースに解除でき、乗心地を向上できる。
【0095】
▲3▼オイルロックピース211が縮径部211Cにより大容量の連絡油室274を形成したから、連絡油室274が伸張時に、オイルロック油室270に作動油を供給する油溜りとして機能し、伸張時におけるオイルロック油室270の負圧を迅速に解消することに役立つ。
【0096】
▲4▼前述▲2▼によりオイルロックケース207の内周に嵌合するオイルロックピース211の外周の嵌合部271に、オイルロック油室270から油溜室223へのリターン流路を別途設ける必要がなくなり、該嵌合部271を固定的に備えることができるから、オイルロックピース211の外径が小さくなるし、オイルロックピース211の嵌合部271と周辺部品(車軸側チューブ202、オイルロックケース207)との干渉の機会を減じ、オイルロックピース211の嵌合部271の磨耗、打音の発生を低減、抑制できる。
【0097】
▲5▼オイルロックピース211の連絡油路276に設けるチェック弁277を板バルブにしたから、リターン流路の流路面積を大きくとることができる。
【0098】
▲6▼オイルロックピース211の嵌合部271を硬質樹脂製嵌合リング271Aにより構成したから、この嵌合部271が車軸側チューブ202の内周又はオイルロックケース207の内周に接触したとしても、打音を生じない。
【0099】
尚、油圧緩衝器20においても、キャップ205に設けたエア通路264のプラグボルト265に、油圧緩衝器10のキャップ104に設けたエア通路119のプラグボルト120におけると同様のエア抜き用流路145を備えても良い。
【0100】
また、油圧緩衝器20において、車軸側チューブ202に形成した油室221、又はダンパ204のダンパシリンダ206に形成した油室233A、233Bに作動油を封入し、車軸側チューブ202又はダンパシリンダ206に設けたそれらの油室に連通するドレン用油路にプラグボルトを設け、該プラグボルトが頭部側の外周に備えた環状シール部材を該ドレン用油路に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部を該ドレン用油路に螺着可能とするとき、プラグボルトが、一端をそれらの油室に開口し、他端を環状シール部材より先端部側の外周に開口する流路を形成し、該ドレン用油路にねじ部を一部螺着した状態で、該ドレン用油路に対する環状シール部材の封着を解除可能にしても良い。これによれば、プラグボルトによる油抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすることができる。即ち、プラグボルトを車軸側チューブ202やダンパシリンダ206のドレン用油路から完全に取外すことなく、プラグボルトに設けた流路によって油室からの油抜きを行なうことができる。従って、油抜き作業性が良い。また、油抜き作業中に、プラグボルトをドレン用油路から完全に取外して落とす如くがない。
【0101】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、油圧緩衝器において、プラグボルトによるエア抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすることができる。
【0103】
また、本発明によれば、油圧緩衝器において、プラグボルトによる油抜き作業性を向上し、かつプラグボルトを紛失し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は油圧緩衝装置を示す全体断面図である。
【図2】図2は左右一方の油圧緩衝器を示す断面図である。
【図3】図3は図2の上部拡大断面図である。
【図4】図4は図3はばね荷重調整装置を取出して示す断面図である。
【図5】図5は図4の平面図である。
【図6】図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図7はばね荷重特性を示す線図である。
【図8】図8はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は(B)のC−C線に沿う断面図である。
【図9】図9はばねアジャスタを示し、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【図10】図10は操作子を示し、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【図11】図11はストッパボルトを示す断面図である。
【図12】図12はプラグボルトを示し、(A)は断面図、(B)は上端面図、(C)は下端面図である。
【図13】図13は左右他方の油圧緩衝器を示す断面図である。
【図14】図14は図13の上部拡大断面図である。
【図15】図15は図13の下部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器
12 油溜室
12A 油室
12B エア室
101 車体側チューブ
102 車軸側チューブ
103A オイルシール
104 キャップ
119 エア通路
120 プラグボルト
141 頭部
143 ねじ部
144 Oリング(環状シール部材)
145 流路

Claims (4)

  1. 車体側チューブと車軸側チューブを、オイルシールを介して摺動自在に嵌合し、
    該車体側チューブと車軸側チューブ内に油室とエア室からなる油溜室を設け、該車体側チューブの上端部に該エア室を封止するキャップを設け、該キャップに設けた該エア室に連通するエア通路にプラグボルトを設け、該プラグボルトが頭部側の外周に備えた環状シール部材を前記キャップの前記エア通路に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部を該エア通路に螺着可能とする車両用の油圧緩衝器において、
    前記プラグボルトが、一端を前記エア室に開口し、他端を前記環状シール部材より先端部側の外周に開口する流路を形成し、前記キャップの前記エア通路に前記ねじ部を一部螺着した状態で、該エア通路に対する該環状シール部材の封着を解除可能にしてなることを特徴とする車両用の油圧緩衝器。
  2. ダンパのシリンダに形成した油室に作動油を封入し、
    該シリンダに設けた該油室に連通する油路にプラグボルトを設け、
    該プラグボルトが頭部側の外周に備えた環状シール部材を前記シリンダの前記油路に封着可能とするとともに、先端部側の外周に備えたねじ部を該油路に螺着可能とする車両用の油圧緩衝器において、
    前記プラグボルトが、一端を前記油室に開口し、他端を前記環状シール部材より先端部側の外周に開口する流路を形成し、前記シリンダの前記油路に前記ねじ部を一部螺着した状態で、該油路に対する該環状シール部材の封着を解除可能にしてなることを特徴とする車両用の油圧緩衝器。
  3. 前記流路が、前記ねじ部の外周に形成した溝からなる請求項1又は2に記載の車両用の油圧緩衝器。
  4. 前記溝が、V字溝状をなし、前記環状シール部材の側に向かうに従い、溝の深さが浅くなるように形成された請求項3に記載の車両用の油圧緩衝器。
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