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JP2004065775A - 針状構造体を備えたデバイス - Google Patents

針状構造体を備えたデバイス Download PDF

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JP2004065775A
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mucous membrane
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Shinji Furuta
古田 晋士
Masaki Ando
安藤 正樹
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Abstract

【課題】薬物送達又は生体内物質のサンプリングのための、針状構造体を備えた生体に貼付するためのデバイスにおいて、針状構造体針部の皮膚又は粘膜に対する穿刺率を改善し、充分量の薬物の投与を可能とする簡易なデバイスを提供する。
【解決手段】針状構造体1の針部1aが貫通可能な薄膜フィルム2が、針状構造体1の針先側に存在し,該薄膜フィルム2の表面に粘着剤3が塗布されていることを特徴とする。針状構造体1を薄膜フィルム2とハウジングの内部の空間内に存在させるような構成とすることもできる。薬物は、薄膜フィルム2内、薄膜フィルムとハウジングの内部空間内、薄膜フィルム2の表面の粘着剤3中、針状構造体1内、又は、針状構造体1表面に存在させることができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として薬物を皮膚又は粘膜を通して注入するとき、又は生体内物質をサンプリングするときに用いられる針状構造体を有するデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
物質の経皮的送達又は生体内物質のサンプリングを促進するために、針状構造体で皮膚外層に穿刺する様々な方法及び装置が提案されてきた。
針状構造体は、皮膚に穿刺される針部と針部を支持する支持部からなり、針部は支持部に複数配列されている。針部は、患者に痛みを与えることなく、皮膚への刺激を最小にして皮膚外層に穿刺させる必要があるため、微小構造となっている。
このような微小構造体を弾力性のある皮膚に穿刺させるとき、従来の針状構造体を直接皮膚外層に穿刺させる方法では、穿刺移動に伴う皮膚表面の押し込みが生じ、皮膚表面が窪むのみで穿刺できない又は穿刺の程度にバラツキが生じる可能性がある。
針状構造体の穿刺移動に伴う皮膚表面の押し込みを生じさせない方法としては,WO0074763で報告されている。ここでは、皮膚を摘みながら穿刺、皮膚を引っ張りながら穿刺又は皮膚を吸引しながら穿刺する等の方法が報告されている。これらの方法は、皮膚を摘む,引っ張る又は吸引する道具が必要となる。
【0003】
針状構造体の針部の形状に関しては様々提案されており、大別すると中空型(針部に中空構造を有する)と中実型(針部に中空構造を有していない)に分類される。
中実型の針部を有する針状構造体を利用した薬物の経皮的送達又は生体内物質のサンプリング法については、特開2001−157715及び特開平8−150147で報告されている。ここでは、針状構造体で皮膚外層に穿刺又は擦過後、その部位に貼付剤を貼付又はサンプリング装置を装着する方法が開示されている。この方法は、2ステップとなり操作が煩雑となる。
【0004】
また、針状構造体の針部に薬物をコーティングしておき、針状構造体を皮膚に穿刺して薬物を注入する方法については、Pharmaceutical Research, 19(1), 63−70, 2002で報告されている。この方法は、薬物投与量が極少量に制限されるため、適応範囲が狭くなる。
更に、針状構造体支持部の針部がない部分に貫通孔をもうけ、皮膚に針部を穿刺後、該貫通孔から薬物を注入する方法について、WO9828037 及びProceed. Int’l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater.,28, 195−196, 2001で報告されている。この方法は、針部を皮膚に穿刺した状態で維持させるため、薬物が皮膚内へ透過する皮膚外層の貫通孔が針部で詰まっており、透過効率が悪くなる。針部を皮膚に穿刺したままの状態における薬物透過性は、針部を皮膚から抜いた時の薬物透過性に比べ低いことが、Journal of Pharmaceutical Sciences ,87(8), 922−925, 1998で報告されている。
【0005】
針状構造体を皮膚に穿刺した状態で維持させる方法については、特開2001−157715及びProceed. Int’l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater.,28, 195−196, 2001で報告されている。ここでは、針状構造体の面積より大きい粘着シートを支持部の上から覆い、支持部からはみ出た粘着シートを皮膚に接着させて針状構造体を皮膚に固定させる方法が報告されている。この手法は、針状構造体の周囲は皮膚に接着されているが、針状構造体の内部は皮膚に接着されていないため、微小な針部が皮膚から抜けやすい。
【0006】
中空型の針部を有する針状構造体を利用した薬物の経皮的送達又は生体内物質のサンプリング法については、WO0191846、WO0205889及び特開2002−78698に記載されている。ここでは、針状構造体を皮膚に穿刺した状態で維持させ、中空部から薬物を注入又は生体内物質のサンプリングを行う。しかしここでも、微小な針部が皮膚から抜けやすいという問題を抱えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来、皮膚に直接針状構造体を穿刺していたことにより生じていた問題点を鑑みてなされたものであって、針状構造体の穿刺移動に伴う皮膚又は粘膜の押し込みを減少させることで、針状構造体針部の皮膚又は粘膜に対する穿刺率を改善したデバイスを提供することを主たる課題とすると共に、更に、薬物を投与する場合においては、充分量の薬物の投与を可能とする簡易なデバイスを提供することをも課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、皮膚に薄膜フィルムを貼付後、その上から針状構造体を穿刺すると、針状構造体が皮膚に穿刺しやすくなることを見出し、本発明を完成させた。即ち本発明は、支持部上に針部を有する針状構造体と該針状構造体の針部が貫通可能な薄膜フィルムが、針状構造体の針先側に存在し、該薄膜フィルムの表面に粘着剤が塗布されていることを特徴とする、生体に貼付するためのデバイスである。本発明デバイスは、針状構造体が、薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に存在するような構成とすることもできる。
【0009】
本発明のデバイスは、デバイス内に薬物を存在させ、生体に薬物を投与するための貼付剤として使用することができるだけでなく、体液採取用のデバイスとしても使用することができる。
生体に薬物を投与するための貼付剤として使用する場合は、薬物は、薄膜フィルム内に含有させるか、薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に存在させるか、薄膜フィルムの表面に塗布されている粘着剤中に含有させるか、もしくは、針状構造体内又は針状構造体表面に存在させるような構成とすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持部上に針部を有する針状構造体と該針状構造体の針部が貫通可能な薄膜フィルムが、針状構造体の針先側に存在し、該薄膜フィルムの表面に粘着剤が塗布されていることを特徴とする、生体、特に、皮膚又は粘膜に貼付するためのデバイスである。
【0011】
針状構造体は、皮膚又は粘膜に穿刺される針部と針部を支持する支持部からなり、針部は支持部に複数配列されている。本発明では、針部は微小構造のものを扱うため、針部のサイズ(高さ)は、好ましくは50μm以上1000μm以下、更に好ましくは、50μm以上500μm以下である。ここで、針部とは、凸状構造物であって広い意味での針形状又は針形状を含む構造物を意味するが、単純な針形状のものに限定されるものではない。また、先の尖っていない形状もあるため、針部とは、先鋭な先端を有するものに限定されるものではない。支持部は針部を支持するための土台であり、その形態は限定されるものではない。針状構造体の材質としては、シリコン、セラミック、金属(ステンレス、チタン、ニッケル、モリブテン、クロム、コバルト等)及びプラスチック等が挙げられ、針状構造体の製法としては、シリコン基板を用いたウエットエッチング加工又はドライエッチング加工、金属又はプラスチックを用いた精密機械加工(放電加工、レーザー加工、ダイシング加工等)等が挙げられる。これらの加工法により、針部と支持部は、一体に成型される。
針部を中空にする方法としては、針部を作製後、レーザー加工等で2次加工する方法が挙げられる。
【0012】
薄膜フィルムは、針状構造体が貫通可能なフィルムであり、材質としては、皮膚又は粘膜より伸び率が小さいものが好ましく、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル、ポリエチレン及び酢酸ビニル/エチレン共重合体等が挙げられる。薄膜フィルムの厚さは、使用する針状構造体の針部のサイズ(高さ)より薄いものであり、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であるのがより好ましい。また、該フィルムの厚さを変えることにより、針部の皮膚又は粘膜に穿刺される深さを制御することも可能である。
【0013】
本発明のデバイスの形態としては、様々な形態が考えられる。薄膜フィルムと針状構造体の存在形態に着目して記載すれば、例えば、薄膜フィルムを針状構造体上に載せるような存在形態がある。また、別の存在形態としては、針状構造体を薄膜フィルムで包み込む存在形態が挙げられる。更に別の存在形態としては、針状構造体を薄膜フィルムとハウジングで囲む存在形態が挙げられる。ここで、ハウジングは、薄膜フィルムとで針状構造体を囲むことができ、ハウジングの外側から針状構造体を皮膚又は粘膜に押し当てることができれば、その形態及び材質は限定されるものではない。即ち、ハウジングは、柔軟性のある樹脂又はゴム等の柔軟性のある材質で構成するのが好ましい。このような材質のハウジングであれば、針状構造体の針部が、皮膚又は粘膜に穿刺された後、当該部位からスムーズに抜ける構成とすることができる。ハウジングはまた、ピストンのような二重構造にすることもできる。更に、デバイスの側面のみをハウジングで囲って、針状構造体の支持部の針部とは反対側の部分をハウジングの一部とするような構造にすることもできる。
【0014】
薄膜フィルムを皮膚又は粘膜に接着させるために、薄膜フィルムの表面、即ち、生体への貼付面には、粘着剤を塗布する。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はシリコーン系粘着剤等を使用することができる。粘着剤は、薄膜フィルムの針状構造体側にも塗布することができ、このように、薄膜フィルムの両面に粘着剤を塗布することにより、針状構造体を皮膚又は粘膜に固着させることができる。粘着剤は、極薄く塗布されていることが好ましい。尚、針状構造体の針部が、皮膚又は粘膜に穿刺された後、当該部位からスムーズに抜ける構成とする場合は、薄膜フィルムの針状構造体側には粘着剤は塗布しない。
【0015】
本発明デバイスは、デバイス内に薬物を存在させ、生体に薬物を投与するための貼付剤として使用することができる。使用される薬物は、生物学的活性を有するあらゆる薬物を含む。本デバイスで投与することができる好適な薬物の例は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗鬱剤、抗関節炎剤、食欲抑制薬、タンパク、ペプチド及びこれらの断片、ワクチン(DNAワクチンを含む)、アジュバンド等である。
【0016】
前記薬物は、種々の形態でデバイス内に存在させることができる。例えば、薬物を薄膜フィルム内に含有させる形態がある。薬物含有薄膜フィルムは、当分野既知のマトリックス型貼付剤を作製する貼付剤製造装置で作製することができる。
また、薬物を薄膜フィルムの表面に塗布されている粘着剤中に含有させることも可能である。薬物含有粘着剤を薄膜フィルムの表面に塗布する方法としては、前記同様、当分野既知のマトリックス型貼付剤を作製する貼付剤製造装置を使用する方法がある。更に、薬物を薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に封入させるような形態とすることもできる。この場合、薬物は、固形物、粉末、半固形物(ゼリー、ゲル等)に加え、液体等の流動性のある状態においても封入することができる。また更に、薬物は、針状構造体内又は針状構造体表面に存在させることもできる。ここで、針状構造体内に存在させるとは、中空型の針部の中空部に存在させることである。針状構造体表面に存在させるとは、針状構造体の針部及び/又は支持部の表面に塗布された状態とすることである。薬物を針状構造体の針部と支持部の表面に塗布する方法としては、薬物を溶液の状態で噴きつけた後に乾燥する方法等が挙げられる。薬物を針部の中空部に入れる方法としては、薬物を溶液状態で針状構造体に注入後、乾燥する方法等が挙げられる。
【0017】
本発明デバイスは、皮膚又は粘膜に針状構造体を穿刺した状態で使用する場合と、穿刺後、皮膚又は粘膜から針状構造体針部を抜いて使用する場合がある。それは、通常、薬物の存在形態によって選択される。薬物を薄膜フィルム内に含有させる形態、薬物を薄膜フィルムの表面に塗布されている粘着剤中に含有させる形態、薬物を薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に封入させるような形態の場合、薬物の透過性を高めるために、針状構造体の針部は、皮膚又は粘膜に穿刺後、皮膚又は粘膜からスムーズに抜ける構成が好ましい。一方、薬物を針状構造体内又は針状構造体表面に存在させる場合は、針状構造体の針部を穿刺した状態で維持する構成が好ましい。
【0018】
本発明デバイスは、当分野既知のイオントフォレーシス又は加圧等の技術を組み合わせ、更に薬物の透過性を向上させることができる。
【0019】
本発明デバイスは、体液採取用に使用することもできる。中空型の針部を有する針状構造体を皮膚又は粘膜に穿刺した状態で固定後、該針状構造体にサンプリング装置を適用することができる。サンプリング装置は当分野既知のグルコースサンプリング及びモニタリングパッチの様な装置を適用することができる。
【0020】
本発明の第1の実施形態を図1〜3をもとに説明する。この実施形態は、図1に示すように、針状構造体1が、薄膜フィルム2を貫通し皮膚又は粘膜4に穿刺される針部1aと、針部1aを支持する支持部1bとを有し、針状構造体1の針先側に薄膜フィルム2が存在している。薄膜フィルム2の皮膚又は粘膜4側の表面(貼付面)に粘着剤3が塗布されている。
従来品においては、図2に示すように、皮膚又は粘膜4に直接針状構造体1を穿刺しているため、柔軟性のある皮膚又は粘膜4が穿刺移動に伴い押し込まれ、皮膚又は粘膜4表面が窪むのみで穿刺されにくくなっている。一方、本発明品については、この第1の実施形態で図3に示すように、薄膜フィルム2を粘着剤3により皮膚又は粘膜4に貼付接着後、その上から針状構造体1を穿刺しているため、穿刺移動に伴う皮膚又は粘膜4表面の押し込みを低下させ、針状構造体1が皮膚又は粘膜4に穿刺されやすくなっている。
本実施形態においては、薬物は、薄膜フィルム2及び/又は粘着剤3に含有させることができる。本品を図3に示すように皮膚又は粘膜4に貼付後、穿刺された針状構造体を取り除くと、薄膜フィルム2及び/又は粘着剤3内の薬物が皮膚又は粘膜4の穿刺部から透過しやすくなる。勿論、針状構造体1表面に薬物を塗布することもできる。
【0021】
本発明の第2の実施形態を図4をもとに説明する。この実施形態では、中空型の針部1aを有する針状構造体1の針先側に薄膜フィルム2が存在している。薄膜フィルム2の両面に粘着剤3、5が塗布されている。図4は、薄膜フィルム2を皮膚又は粘膜4に貼付後、その上から針状構造体1を穿刺している状態を示している。薄膜フィルム2に塗布された粘着剤5により、針状構造体1の針部1a間に位置する支持部1b表面と薄膜フィルム2とが接着され、更に粘着剤3により、薄膜フィルム2と皮膚又は粘膜4が接着されるため、針状構造体1を皮膚又は粘膜4に穿刺された状態で安定に維持することが可能である。本品は、更に、従来技術が採用するように、支持部1bの面積より大きい粘着シートを支持部1bの上(針部と反対側)から覆い、支持部1bからはみ出した粘着シートで皮膚又は粘膜4に貼付することにより、針状構造体1を皮膚又は粘膜4に穿刺した状態で、より安定に維持することが可能となる。
本実施形態は、中空型の針部1aを使用しているため、特に薬物の送達又は生体内物質のサンプリングに有用である。尚、薬物は、針状構造体の針部1aの中空部に存在させることができる。又は、針状構造体の支持部1bの上(針部と反対側)に薬物層を設け、該薬物層から針部1aの中空部を介して生体に注入させることもできる。更に、針部1a表面に塗布することもできる。
【0022】
本発明の第3の実施形態を図5〜8をもとに説明する。この実施形態は、図5に示すように、生体への貼付面に粘着剤3が塗布された薄膜フィルム2と同様に粘着剤6が塗布されたハウジング7とにより外枠が構成されており、その空間内に針状構造体1と薬物8が存在しているリザーバ型貼付剤である。薄膜フィルム2とハウジング7の粘着剤3、6が塗布された面は、使用時までライナー9で保護されている。
薄膜フィルム2は、針状構造体1を皮膚又は粘膜4に穿刺しやすくする効果と、針状構造体1で穿刺されるまで薬物8を保持する効果を持ち備えている。針状構造体1は、ハウジング7の天井に接着していると使用し易い。
本品からライナー9を剥がし、皮膚又は粘膜4に貼付した状態が図6である。この状態で、ハウジング7の外側から針状構造体1部分を皮膚又は粘膜4に押し当てた状態が図7である。針状構造体1の針部1aが皮膚又は粘膜4に接着した薄膜フィルム2を貫通して皮膚又は粘膜4に穿刺されている。図8は、図7の状態から押し当てることを解除した状態であり、針状構造体1の針部1aが皮膚又は粘膜4から抜け元の位置に戻っている。この状態で、封入されていた薬物が薄膜フィルム2の貫通孔10を通り、皮膚又は粘膜4の穿刺部11から注入される。ここで薄膜フィルム2が粘着剤3で皮膚又は粘膜4に接着されていることは、針状構造体1が皮膚又は粘膜4から抜けた後に形成される微細な穿刺部11が塞がることを防ぐ効果もある。
【0023】
【試験例】
長さ230μmの針部が0.25cmの支持部に50本配列したシリコン製針状構造体を、摘出ブタ皮膚に1000g又は2000gの荷重で穿刺した。針状構造体を直接摘出ブタ皮膚に穿刺した場合と、10μm以下のエチルセルロースフィルム、ニトロセルロースフィルム又はポリエチレンフィルムに粘着剤(テルペン樹脂)を薄く塗布した各フィルムを摘出ブタ皮膚に貼付した上から針状構造体を穿刺した場合とにおいて、穿刺後の皮膚を電子顕微鏡にて観察し、皮膚外層に形成された貫通孔数をカウントし、針部が皮膚に穿刺した率(全針部数に対する皮膚に穿刺した針部数)を比較した。結果を図9に示した。穿刺率は、針状構造体を直接摘出ブタ皮膚に穿刺した場合に比べ、薄膜フィルムを貼付後に穿刺した場合の方が高い穿刺率を示した。特に荷重が小さい場合にその差が大きく、本発明品は、低荷重でも充分な穿刺率が得られることがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明においては、針状構造体の針先側に存在する薄膜フィルムを粘着剤で先に皮膚又は粘膜に貼付接着させることで、穿刺移動に伴う皮膚又は粘膜の押し込みを低下させ、針状構造体の皮膚又は粘膜に対する穿刺率を高めることができる。そのため、薬物投与貼付剤として使用する場合は、薬物の注入効率を高めることができる。また、使用目的に応じて、針状構造体を皮膚又は粘膜に穿刺した状態で使用する形態とするか、穿刺した針状構造体針部を抜いた状態で使用する形態とするかを選択することもできる。更に、該薄膜フィルムを利用して、針状構造体を備えた簡易で安価なマトリックス型、感圧接着性(PSA)テープ型及びリザーバ型貼付剤を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】針状構造体上に針部が貫通可能な薄膜フィルムが存在する、本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】従来品で皮膚に直接針状構造体を穿刺している状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態で、薄膜フィルムを皮膚又は粘膜に貼付後、その上から針状構造体を穿刺している状態を示す断面図である。
【図4】中空型の針部を有し薄膜フィルムの両面に粘着剤が塗布されている、本発明の第2の実施形態で、針状構造体が皮膚又は粘膜に穿刺されている状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態で、表面に塗布された粘着剤がライナーで保護され、針状構造体がハウジングと薄膜フィルムにより形成された空間内に存在するリザーバ型貼付剤の断面図である。
【図6】図5の貼付剤からライナーを剥がし、皮膚又は粘膜に貼付した状態を示す断面図である。
【図7】図6の状態で、ハウジングの外側から針状構造体部分を皮膚又は粘膜に押し当て、針状構造体を穿刺した状態を示す段面図である。
【図8】図7の状態から、ハウジングの針状構造体部分の押し当てを解除して針部を抜いた状態を示す段面図である。
【図9】摘出ブタ皮膚に薄膜フィルムを貼付した上から針状構造体を穿刺した時の穿刺率の改善効果を示す。(穿刺率:全針部数に対する皮膚に穿刺した針部数)
【符号の説明】
1・・・針状構造体、1a・・・針状構造体の針部、1b・・・針状構造体の支持部、
2・・・薄膜フィルム、3、5、6・・・粘着剤、4・・・皮膚又は粘膜、7・・・ハウジング、8・・・薬物、9・・・ライナー、10・・・薄膜フィルムの貫通孔、11・・・皮膚又は粘膜表面の穿刺部

Claims (9)

  1. 支持部上に針部を有する針状構造体と該針状構造体の針部が貫通可能な薄膜フィルムが、針状構造体の針先側に存在し、該薄膜フィルムの表面に粘着剤が塗布されていることを特徴とする、生体に貼付するためのデバイス。
  2. 薄膜フィルムが、ポリエチレン、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル及び酢酸ビニル/エチレン共重合体からなる群から選択される1種または2種以上の材質からなることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
  3. 針状構造体が、薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
  4. デバイス内に薬物が存在し、生体に薬物を投与するための貼付剤である、請求項1〜3のいずれかに記載のデバイス。
  5. 薬物が薄膜フィルム内に含有されていることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
  6. 薬物が薄膜フィルムと外枠を構成するハウジングとにより形成される空間内に存在することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
  7. 薬物が薄膜フィルムの表面に塗布されている粘着剤中に含有されていることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
  8. 薬物が針状構造体内又は針状構造体表面に存在することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
  9. 体液採取用に使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のデバイス。
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