JP2004065380A - 外科用ヤスリ - Google Patents
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Abstract
【課題】骨の湾曲表面上にある突起骨や、骨と骨との隙間にある突起骨等を、速やかに平らに切削することができる外科用ヤスリを提供する。
【解決手段】曲伸自在の可撓性を有する帯状ヤスリ本体11と、この表面に砥粒を固着して形成されたヤスリ目14とを有する外科用ヤスリ10であって、上記ヤスリ目が、砥粒を固着した部分12と砥粒が無い部分13とを有する。砥粒を固着した部分12は、ニッケルメッキ層12bの上に、ノーシアン金メッキ層12cとシリコーン膜12dの少なくとも一方が設けられることが望ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】曲伸自在の可撓性を有する帯状ヤスリ本体11と、この表面に砥粒を固着して形成されたヤスリ目14とを有する外科用ヤスリ10であって、上記ヤスリ目が、砥粒を固着した部分12と砥粒が無い部分13とを有する。砥粒を固着した部分12は、ニッケルメッキ層12bの上に、ノーシアン金メッキ層12cとシリコーン膜12dの少なくとも一方が設けられることが望ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、外科手術等において骨の突起部等を切削するために使用される外科用ヤスリに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の外科手術においては、骨の異常突起を除去するには、板ヤスリで研削している。外科医は、骨の突起部の状況をみながら板ヤスリを当てる角度や場所を変えて研削するが、この作業は、かなりのテクニックと時間を要する。特に、骨と骨との狭い隙間に突出する異常突起骨を切削するのは、非常に難しい。そのため、作業中に、板ヤスリによって周囲の組織に損傷を与える可能性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、骨の湾曲表面上にある突起骨や、骨と骨との隙間にある突起骨等を、熟練を要せずに速やかに平らに切削することができる外科用ヤスリを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の外科用ヤスリは、曲伸自在の可撓性を有する帯状ヤスリ本体と、この表面に砥粒を固着して形成されたヤスリ目とを有する外科用ヤスリであって、上記ヤスリ目が、砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とを有することを特徴としている。
【0005】
上記砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とが帯状ヤスリ本体の長手方向に交互に配置された縞状で、上記砥粒を固着した部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.5〜5.0mmであり、砥粒を固着しない部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.2〜3.0mmである構成とすることができる。
【0006】
上記砥粒サイズを20〜250μmとしたり、上記ヤスリ目の砥粒を固着した部分が、コーティングされている構成としたり、上記コーティングが、シリコーン膜である構成としたり、上記帯状ヤスリ本体の少なくとも一方端を、変形自在な非弾性部とした構成としたり、上記帯状ヤスリ本体の表面を非反射性とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。
本発明の外科用ヤスリは、たとえば、頸椎症性脊髄症の手術に使用される。図1は、椎骨に突起が形成された例を示す図である。椎骨1はアーチ状の椎弓1aを有し、この椎弓1aと椎骨1で囲われた椎孔1bに脊髄などが通っている。頸椎症性脊髄症では、このような椎弓1aの内側に突起骨1cが形成されている。このような突起骨1cを、本発明の外科用ヤスリで削り取るのである。
【0008】
図2は、本発明の外科用ヤスリの全体を示す平面図である。外科用ヤスリ10は、帯状ヤスリ本体11に、縞状にヤスリ目14を縞状に形成したものである。ヤスリ目14は、砥粒が固着した部分12と、砥粒が無い部分13とからなる。外科用ヤスリ10の両端部15,15には、ヤスリ目14を設けておらず、両端部15近傍には、鉗子で掴むための孔16,16が穿設されている。
【0009】
帯状ヤスリ本体11は、弾性と湾曲自在の可撓性とを有するもので、この実施例のものは、厚さ0.1mm、幅5mm、長さ300mmの薄地細長のオーステナイト系のステンレス鋼SUS301又はSUS304で作られている。ステンレス鋼以外の鋼、チタン−ニッケル合金、チタン−アルミニウム合金、その他の高弾性合金を用いてもよい。金属以外では、合成樹脂製のテープを使用することができる。合成樹脂としては、ポリアミド系、ポリエーテルサルフォン系、ポリエチレンフタレート系等々が使用でき、さらに、炭素繊維、ボロン繊維、その他の繊維による繊維強化樹脂、その他種々のものが使用可能である。このうち鋼、高弾性合金等は、切削用に、また、合成樹脂、繊維強化樹脂等は仕上げ用に適している。各部の寸法は、ステンレス鋼のものと同じでよい。
【0010】
帯状ヤスリ本体11の厚さは、上記0.1mmに限定されず、0.05〜0.5mmの範囲内が望ましい。0.6mm以上の厚さにすると、フレキシビリティが無く、使用しにくくなる。逆に、0.05mm未満では、使用中に破断するおそれがあるからである。
【0011】
帯状ヤスリ本体11の幅は、上記実施例では5mmとしているが、1.0〜10mmの範囲内であればよい。1mm未満では、使用中に破断する可能性があり、15mmを越えると、椎骨1の椎弓1a内に入らなくなるので、不適当である。
【0012】
帯状ヤスリ本体11の長さは、50〜500mmの範囲である。50mm未満では、アーチ状の骨に通すと、両端に把持する長さが確保できなくなる。500mmを越えると、長過ぎて邪魔になるからである。
【0013】
この帯状ヤスリ本体11の片面にヤスリ目14を形成しているが、このヤスリ目14は、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13とが帯状ヤスリ本体11の長手方向に交互に縞状に形成されたものとなっている。このような構成とすることで、ヤスリ目14部分のフレキシビリティを上げ、多様な曲面形状を有する研削面に追従して研削することができるようになる。
【0014】
図3は、図2の一部を拡大した図である。この図に示す砥粒が固着した部分12は、帯状ヤスリ本体11の片面に砥粒を固着して形成したものである。
図4は、図3のA−A拡大断面図である。図4に示すように、砥粒が固着した部分12は、帯状ヤスリ本体11上に砥粒12aをニッケルメッキ層12bで固着し、この上に金メッキ層12cを重ね、その上からシリコーン膜12dで被覆した構造となっている。砥粒12aとしては、この実施例ではダイヤモンド砥粒を用いているが、ダイヤモンド砥粒の他に、CBN、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)等の砥粒を使用することができる。
【0015】
次に、この外科用ヤスリ10の製造方法を説明する。最初に、帯状ヤスリ本体11の片面の砥粒を固着する部分12だけを露出するようにして、裏面全体と、両端部15,15と、砥粒が無い部分13をマスキングしておく。
【0016】
マスキングされた帯状ヤスリ本体11を、砥粒12aが充填されたセラミック製容器内に入れ砥粒12aに囲まれた状態にする。セラミック容器は、イオンの透過が可能なものを使用する。この帯状ヤスリ本体11と砥粒12aが充填されたセラミック容器を、ニッケルを溶解させた電解液の入ったメッキ槽に浸漬してセラミック容器内に電解液が浸入した状態にする。メッキ槽内には、別個に電極が浸漬されている。この状態で、帯状ヤスリ本体11と電極との間に電流を流すと、帯状ヤスリ本体11のマスキングされていない部分にニッケルが析出し、ニッケルメッキ層12bが形成される。このとき、ニッケルとともに砥粒12aが帯状ヤスリ本体11に付着し、これらがニッケルメッキ層12bに保持され、電着され、砥粒が固着した部分12が形成されることになる。ニッケルメッキ層12bの厚さは砥粒12aをしっかりと固定できる厚さで、砥粒12aの径の1/2〜2/3程度であり、約10〜200μmである。
【0017】
この後、帯状ヤスリ本体11を取り出し、余分に付着した砥粒を洗い流せば、砥粒が固着した部分12にだけ砥粒の固着した外科用ヤスリを得ることができる。通常のヤスリであれば、これで完了とすることができるのであるが、このまま外科手術に使用すると、ニッケルが溶出し、アレルギーを起こす可能性がある。
【0018】
そこで、本発明では、ニッケルメッキの後、金メッキを行い、その後に、マスキングを除去する。金メッキ層12cの厚さは、薄すぎると孔ができて下のニッケルメッキ層12bが露出するので、孔ができない厚さにする必要がある。この厚さは、砥粒12aの大きさには殆ど無関係であり、この実施例では、0.5μmとした。この厚さであれば、孔の形成は防止できる。また、金メッキには、シアン化合物を使用するシアン金メッキと、シアン化合物を用いないノーシアン金メッキとがあるが、後述する図5の説明からノーシアン金メッキとした。
【0019】
本発明では、金メッキ層12cの上にさらにシリコーン膜12dを形成している。シリコーン膜12dの形成方法は、次のようにして行う。金メッキされた帯状ヤスリ本体11を洗浄し、シリコーンを溶剤に溶解した液に浸漬するか、又はこのシリコーンが溶解した液を塗布する。その後、シリコーンの接着力を上げるために、300〜400℃の温度で1〜5時間保持する焼き付け処理をする。これによって、シリコーン膜12dが形成される。シリコーン膜12dは、メッキ層だけでなく砥粒12aの表面にも形成される。このシリコーン膜12dの厚さは、5μm程度である。
【0020】
図5は、本発明の外科用ヤスリについて、種々のコーティングをして、細胞毒性試験を行った結果を示す図表である。表中のオーステナイトステンレスは、帯状ヤスリ本体11の素材である。No.1はニッケルメッキのみの場合で、No.2はニッケルメッキの上にクロムメッキをしたものである。No.3はニッケルメッキの上にシアン金メッキをしたものである。クロムもニッケルと同様に、金属アレルギーの可能性があり、シアン化合物を用いた金メッキもシアン化合物の毒性が問題となり、これらNo.1からNo.3は、全て細胞毒性試験では不合格となった。
【0021】
No.4はニッケルメッキの上にノーシアン金メッキをしたもの、No.5は、ノーシアン金メッキの上にさらにシリコーンを塗布したもの、No.6はニッケルメッキの上に直接シリコーンを塗布したものである。これらNo.4からNo.6は、ニッケルの溶出を防止することができ、細胞毒性試験に合格することができた。これから、ノーシアン金メッキをするかシリコーンを塗布するかすることが必要である。
【0022】
シリコーン膜12dは、骨を研削する際の引っかかりを大幅に減らすことができ、研削がやり易くなることから設けられている。骨を研削する際、引っかかりがあると、力を余計に加えてしまい削りすぎになるおそれや、ヤスリが破断し易くなるので、問題である。また、金メッキと併用すれば、金メッキ層12cに万一孔が開いてニッケルメッキ層12bが露出していても、シリコーン膜12dでこの孔を覆うことができるという2重の保護機能も期待できることになる。
【0023】
図6は、本発明の外科用ヤスリにおいて、好ましい砥粒サイズを調べた結果を示す表である。砥粒が固着した部分12の幅W1を0.5mmから5.0mmまで種々に変え、同時に砥粒が無い部分13の幅W2を0.2mmから3.0mmまで変えて、種々に組み合わせ、これらと砥粒サイズとの関係を調べている。各欄内の○は良、×は不良、△は条件により可ということを示す。
【0024】
図6において、砥粒サイズが10μmの欄では、全て「×」で、20μmの欄では全て「△」となっている。これは、砥粒サイズが10μmより小さいと、目詰まりして切削できないためである。
【0025】
砥粒サイズが20〜50μmの範囲では、切削性が低く、使用感も良くないが、仕上げ研削には向いているということから、△となった。
砥粒サイズが300μm以上になると、研削したときに引っかかり感が強くなり、使用感が悪いということから、×となった。また、300μmを越えると、ニッケルメッキ層12bも厚くする必要があり、電着時間が掛かり過ぎるという問題もある。さらに450μmを越えると、研削中の砥粒の剥離が増加する傾向がある。
【0026】
以上の結果から、砥粒サイズが60〜250μmの範囲では、砥粒が固着した部分12と、砥粒が無い部分13との幅の組み合わせの如何に拘わらず、全て良好という結果になった。
【0027】
図7は、本発明の外科用ヤスリについて砥粒が固着した部分12の幅W1と、砥粒が無い部分13の幅W2の幅を変えて使用感を評価した表である。外科用ヤスリとしては、オーステナイト系ステンレス鋼製の帯状ヤスリ本体11で、長さ300mm、幅4mm、厚さ0.15mmのものに、図2に示す縞状にダイヤモンド砥粒を電着したものを用いた。砥粒サイズは、120μmである。5人の医師が使用して4人以上が「良」と判断した場合が「○」で、3人の場合が「△」、2人以下を「×」とした。
【0028】
砥粒が固着した部分12の幅W1が0.1〜0.3mmの場合、幅が狭いため、切削性が悪くなったことが原因と考えられる。逆に、幅W1が、6mm以上になると、ヤスリとしてのフレキシビリティに欠け、切削面への追従性が悪くなり、かつ、破断しそうな感じが高まり、不良と判断された。
【0029】
砥粒が無い部分13の幅W2が0.1mm以下の場合は、ヤスリは、フレキシビリティに欠け、切削面への追従性が悪くなり、使用感が悪くなった。逆に、砥粒が無い部分13の幅W2が3.5〜6mmの範囲では、砥粒が無い部分が広いため、引っかかる感じになって使用感が悪くなった。
【0030】
以上から、砥粒が固着した部分12の幅W1が、0.5〜5.0mmの範囲で、砥粒が無い部分13の幅W2が、0.2〜3.0mmの範囲が良好であることが分かった。
【0031】
上記の実施例では、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13は共に帯状ヤスリ本体11の長手方向と直交した矩形であるが、これらの形状は実施例に限定されるものではなく、形状は矩形以外にも平行四辺形や、山形、丸等々、の形状にすることができる。そして、一般的には、1cm2内に2カ所以上砥粒が無い部分13を設けるようにすれば、砥粒が固着した部分12を丸にするなど、多様な形状を採用することが可能である。
【0032】
帯状ヤスリ本体11を金属製とした場合、砥粒12aの固着は電着が適しているが、合成樹脂など、非導電性の素材を用いる場合は、砥粒の固定は接着剤が適している。その場合、金メッキ層は不要になるが、使用時の引っかかり感を無くすために、シリコーン膜で被覆することが望ましい。
【0033】
ヤスリ目14は帯状ヤスリ本体11の両端部15,15には形成する必要がなく、本発明の実施例では形成していないが、両端までヤスリ目14とすると、両端部15,15を掴み易くなり、切削作業中にヤスリが滑ることがなくなって、使い易くなる。また、図示しないが、帯状ヤスリ本体11の長手方向に伸びる両側面にもヤスリ目14を形成しないことが好ましい。両側面にヤスリ目14があると、脊髄にヤスリ目14が触れてしまうおそれがあるからである。
【0034】
帯状ヤスリ本体11が樹脂製の場合には、砥粒12aは接着剤で固着する。その場合、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13の大きさや砥粒サイズなどは、上記の実施例と同様でよい。
【0035】
上記の外科用ヤスリを使用するには、図2の外科用ヤスリ10の両端部15,15を把持して中間部のヤスリ目14のある面を図1の突起骨1cに押し当てれば、外科用ヤスリ10の中間部分は突起骨1cの湾曲表面にほぼ沿って弧状に曲がる。その状態で外科用ヤスリ10の両端部15,15を交互に引けば、ヤスリ目14により突起骨1cの研削がされる。上記研削において、ヤスリ目14の部分が常時弧状に移動して、突起骨1cに接するから、突起骨1cが研削された後の椎骨1は突起骨1cの無かった元の形状に整形される。このように、本発明の外科用ヤスリ10を用いれば、周囲の組織を傷めることなく突起骨1cを容易に平らに切削することができる。両端部15,15を手で把持するのに代えて、孔16の部分を鉗子で把持して使用することもできる。
【0036】
なお、外科用ヤスリ10を突起骨1cに当てがう際、周囲の組織(例えば脊髄など)を傷めないよう、ヤスリの少なくとも一方の端部を非弾性とすることが望ましい。本実施例においては、オーステナイト系ステンレス鋼製のヤスリ端部を焼き鈍すことにより非弾性化させている。このように端部を軟化させることによってヤスリを患部に当てがう際、自由に変形させることができるようになる。
【0037】
また、顕微鏡下の手術においては、落射照明によりハレーションを起こして周りの組織が見えなくなってしまう。そのため、帯状ヤスリ本体11の表面を非反射性とすることが望ましい。非反射性とするには、例えば、金属母材の表面にヘアライン加工やブラスト加工の処理を施すことで表面をざらつかせ、非反射性とすることができる。両端部15,15も非反射性にすると、表面がざらついて外科用ヤスリ10を把持し易くなるという効果もある。
【0038】
【発明の効果】
本発明の外科用ヤスリによれば、骨の湾曲面に沿って自由に湾曲させることができるので、外科用ヤスリ両端部を直線延長方向へ交互に引っ張るだけの簡単な操作で、熟練を必要とせずに突起骨を速やかに平らに切削することができる。また、骨と骨の隙間の突起骨を切削する場合は、本発明外科用ヤスリを該隙間に挿通し、上記と同様の操作を行うことにより、周囲の組織を損傷することなく突起骨を容易に切削することができる。
【0039】
砥粒を固着することでヤスリ目を形成するので、所望の粗さのヤスリ目を簡単に得ることができる。ヤスリ目に砥粒のない部分を設けているので、目詰まりを少なくすることができるとともに、フレキシビリティを向上させることができる。
【0040】
帯状ヤスリ本体の表面を非反射性とすれば、顕微鏡下の手術の際も、ハレーションを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】椎骨に突起が形成された例を示す図である。
【図2】本発明の外科用ヤスリの全体を示す平面図である。
【図3】図2の一部を拡大した図である。
【図4】図3のA−A拡大断面図である。
【図5】本発明の外科用ヤスリについて、種々のコーティングをして、細胞毒性試験を行った結果を示す図表である。
【図6】本発明の外科用ヤスリにおいて、好ましい砥粒サイズを調べた結果を示す表である。
【図7】本発明の外科用ヤスリについて砥粒が固着した部分の幅と、砥粒が無い部分の幅の幅を変えて使用感を評価した表である。
【符号の説明】
1 椎骨
10 外科用ヤスリ
11 帯状ヤスリ本体
12 砥粒が固着した部分
12a 砥粒
12b ニッケルメッキ層
12c 金メッキ層
12d シリコーン膜
13 砥粒が無い部分
14 ヤスリ目
15 両端部
16 孔
【発明が属する技術分野】
本発明は、外科手術等において骨の突起部等を切削するために使用される外科用ヤスリに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の外科手術においては、骨の異常突起を除去するには、板ヤスリで研削している。外科医は、骨の突起部の状況をみながら板ヤスリを当てる角度や場所を変えて研削するが、この作業は、かなりのテクニックと時間を要する。特に、骨と骨との狭い隙間に突出する異常突起骨を切削するのは、非常に難しい。そのため、作業中に、板ヤスリによって周囲の組織に損傷を与える可能性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、骨の湾曲表面上にある突起骨や、骨と骨との隙間にある突起骨等を、熟練を要せずに速やかに平らに切削することができる外科用ヤスリを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の外科用ヤスリは、曲伸自在の可撓性を有する帯状ヤスリ本体と、この表面に砥粒を固着して形成されたヤスリ目とを有する外科用ヤスリであって、上記ヤスリ目が、砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とを有することを特徴としている。
【0005】
上記砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とが帯状ヤスリ本体の長手方向に交互に配置された縞状で、上記砥粒を固着した部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.5〜5.0mmであり、砥粒を固着しない部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.2〜3.0mmである構成とすることができる。
【0006】
上記砥粒サイズを20〜250μmとしたり、上記ヤスリ目の砥粒を固着した部分が、コーティングされている構成としたり、上記コーティングが、シリコーン膜である構成としたり、上記帯状ヤスリ本体の少なくとも一方端を、変形自在な非弾性部とした構成としたり、上記帯状ヤスリ本体の表面を非反射性とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。
本発明の外科用ヤスリは、たとえば、頸椎症性脊髄症の手術に使用される。図1は、椎骨に突起が形成された例を示す図である。椎骨1はアーチ状の椎弓1aを有し、この椎弓1aと椎骨1で囲われた椎孔1bに脊髄などが通っている。頸椎症性脊髄症では、このような椎弓1aの内側に突起骨1cが形成されている。このような突起骨1cを、本発明の外科用ヤスリで削り取るのである。
【0008】
図2は、本発明の外科用ヤスリの全体を示す平面図である。外科用ヤスリ10は、帯状ヤスリ本体11に、縞状にヤスリ目14を縞状に形成したものである。ヤスリ目14は、砥粒が固着した部分12と、砥粒が無い部分13とからなる。外科用ヤスリ10の両端部15,15には、ヤスリ目14を設けておらず、両端部15近傍には、鉗子で掴むための孔16,16が穿設されている。
【0009】
帯状ヤスリ本体11は、弾性と湾曲自在の可撓性とを有するもので、この実施例のものは、厚さ0.1mm、幅5mm、長さ300mmの薄地細長のオーステナイト系のステンレス鋼SUS301又はSUS304で作られている。ステンレス鋼以外の鋼、チタン−ニッケル合金、チタン−アルミニウム合金、その他の高弾性合金を用いてもよい。金属以外では、合成樹脂製のテープを使用することができる。合成樹脂としては、ポリアミド系、ポリエーテルサルフォン系、ポリエチレンフタレート系等々が使用でき、さらに、炭素繊維、ボロン繊維、その他の繊維による繊維強化樹脂、その他種々のものが使用可能である。このうち鋼、高弾性合金等は、切削用に、また、合成樹脂、繊維強化樹脂等は仕上げ用に適している。各部の寸法は、ステンレス鋼のものと同じでよい。
【0010】
帯状ヤスリ本体11の厚さは、上記0.1mmに限定されず、0.05〜0.5mmの範囲内が望ましい。0.6mm以上の厚さにすると、フレキシビリティが無く、使用しにくくなる。逆に、0.05mm未満では、使用中に破断するおそれがあるからである。
【0011】
帯状ヤスリ本体11の幅は、上記実施例では5mmとしているが、1.0〜10mmの範囲内であればよい。1mm未満では、使用中に破断する可能性があり、15mmを越えると、椎骨1の椎弓1a内に入らなくなるので、不適当である。
【0012】
帯状ヤスリ本体11の長さは、50〜500mmの範囲である。50mm未満では、アーチ状の骨に通すと、両端に把持する長さが確保できなくなる。500mmを越えると、長過ぎて邪魔になるからである。
【0013】
この帯状ヤスリ本体11の片面にヤスリ目14を形成しているが、このヤスリ目14は、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13とが帯状ヤスリ本体11の長手方向に交互に縞状に形成されたものとなっている。このような構成とすることで、ヤスリ目14部分のフレキシビリティを上げ、多様な曲面形状を有する研削面に追従して研削することができるようになる。
【0014】
図3は、図2の一部を拡大した図である。この図に示す砥粒が固着した部分12は、帯状ヤスリ本体11の片面に砥粒を固着して形成したものである。
図4は、図3のA−A拡大断面図である。図4に示すように、砥粒が固着した部分12は、帯状ヤスリ本体11上に砥粒12aをニッケルメッキ層12bで固着し、この上に金メッキ層12cを重ね、その上からシリコーン膜12dで被覆した構造となっている。砥粒12aとしては、この実施例ではダイヤモンド砥粒を用いているが、ダイヤモンド砥粒の他に、CBN、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)等の砥粒を使用することができる。
【0015】
次に、この外科用ヤスリ10の製造方法を説明する。最初に、帯状ヤスリ本体11の片面の砥粒を固着する部分12だけを露出するようにして、裏面全体と、両端部15,15と、砥粒が無い部分13をマスキングしておく。
【0016】
マスキングされた帯状ヤスリ本体11を、砥粒12aが充填されたセラミック製容器内に入れ砥粒12aに囲まれた状態にする。セラミック容器は、イオンの透過が可能なものを使用する。この帯状ヤスリ本体11と砥粒12aが充填されたセラミック容器を、ニッケルを溶解させた電解液の入ったメッキ槽に浸漬してセラミック容器内に電解液が浸入した状態にする。メッキ槽内には、別個に電極が浸漬されている。この状態で、帯状ヤスリ本体11と電極との間に電流を流すと、帯状ヤスリ本体11のマスキングされていない部分にニッケルが析出し、ニッケルメッキ層12bが形成される。このとき、ニッケルとともに砥粒12aが帯状ヤスリ本体11に付着し、これらがニッケルメッキ層12bに保持され、電着され、砥粒が固着した部分12が形成されることになる。ニッケルメッキ層12bの厚さは砥粒12aをしっかりと固定できる厚さで、砥粒12aの径の1/2〜2/3程度であり、約10〜200μmである。
【0017】
この後、帯状ヤスリ本体11を取り出し、余分に付着した砥粒を洗い流せば、砥粒が固着した部分12にだけ砥粒の固着した外科用ヤスリを得ることができる。通常のヤスリであれば、これで完了とすることができるのであるが、このまま外科手術に使用すると、ニッケルが溶出し、アレルギーを起こす可能性がある。
【0018】
そこで、本発明では、ニッケルメッキの後、金メッキを行い、その後に、マスキングを除去する。金メッキ層12cの厚さは、薄すぎると孔ができて下のニッケルメッキ層12bが露出するので、孔ができない厚さにする必要がある。この厚さは、砥粒12aの大きさには殆ど無関係であり、この実施例では、0.5μmとした。この厚さであれば、孔の形成は防止できる。また、金メッキには、シアン化合物を使用するシアン金メッキと、シアン化合物を用いないノーシアン金メッキとがあるが、後述する図5の説明からノーシアン金メッキとした。
【0019】
本発明では、金メッキ層12cの上にさらにシリコーン膜12dを形成している。シリコーン膜12dの形成方法は、次のようにして行う。金メッキされた帯状ヤスリ本体11を洗浄し、シリコーンを溶剤に溶解した液に浸漬するか、又はこのシリコーンが溶解した液を塗布する。その後、シリコーンの接着力を上げるために、300〜400℃の温度で1〜5時間保持する焼き付け処理をする。これによって、シリコーン膜12dが形成される。シリコーン膜12dは、メッキ層だけでなく砥粒12aの表面にも形成される。このシリコーン膜12dの厚さは、5μm程度である。
【0020】
図5は、本発明の外科用ヤスリについて、種々のコーティングをして、細胞毒性試験を行った結果を示す図表である。表中のオーステナイトステンレスは、帯状ヤスリ本体11の素材である。No.1はニッケルメッキのみの場合で、No.2はニッケルメッキの上にクロムメッキをしたものである。No.3はニッケルメッキの上にシアン金メッキをしたものである。クロムもニッケルと同様に、金属アレルギーの可能性があり、シアン化合物を用いた金メッキもシアン化合物の毒性が問題となり、これらNo.1からNo.3は、全て細胞毒性試験では不合格となった。
【0021】
No.4はニッケルメッキの上にノーシアン金メッキをしたもの、No.5は、ノーシアン金メッキの上にさらにシリコーンを塗布したもの、No.6はニッケルメッキの上に直接シリコーンを塗布したものである。これらNo.4からNo.6は、ニッケルの溶出を防止することができ、細胞毒性試験に合格することができた。これから、ノーシアン金メッキをするかシリコーンを塗布するかすることが必要である。
【0022】
シリコーン膜12dは、骨を研削する際の引っかかりを大幅に減らすことができ、研削がやり易くなることから設けられている。骨を研削する際、引っかかりがあると、力を余計に加えてしまい削りすぎになるおそれや、ヤスリが破断し易くなるので、問題である。また、金メッキと併用すれば、金メッキ層12cに万一孔が開いてニッケルメッキ層12bが露出していても、シリコーン膜12dでこの孔を覆うことができるという2重の保護機能も期待できることになる。
【0023】
図6は、本発明の外科用ヤスリにおいて、好ましい砥粒サイズを調べた結果を示す表である。砥粒が固着した部分12の幅W1を0.5mmから5.0mmまで種々に変え、同時に砥粒が無い部分13の幅W2を0.2mmから3.0mmまで変えて、種々に組み合わせ、これらと砥粒サイズとの関係を調べている。各欄内の○は良、×は不良、△は条件により可ということを示す。
【0024】
図6において、砥粒サイズが10μmの欄では、全て「×」で、20μmの欄では全て「△」となっている。これは、砥粒サイズが10μmより小さいと、目詰まりして切削できないためである。
【0025】
砥粒サイズが20〜50μmの範囲では、切削性が低く、使用感も良くないが、仕上げ研削には向いているということから、△となった。
砥粒サイズが300μm以上になると、研削したときに引っかかり感が強くなり、使用感が悪いということから、×となった。また、300μmを越えると、ニッケルメッキ層12bも厚くする必要があり、電着時間が掛かり過ぎるという問題もある。さらに450μmを越えると、研削中の砥粒の剥離が増加する傾向がある。
【0026】
以上の結果から、砥粒サイズが60〜250μmの範囲では、砥粒が固着した部分12と、砥粒が無い部分13との幅の組み合わせの如何に拘わらず、全て良好という結果になった。
【0027】
図7は、本発明の外科用ヤスリについて砥粒が固着した部分12の幅W1と、砥粒が無い部分13の幅W2の幅を変えて使用感を評価した表である。外科用ヤスリとしては、オーステナイト系ステンレス鋼製の帯状ヤスリ本体11で、長さ300mm、幅4mm、厚さ0.15mmのものに、図2に示す縞状にダイヤモンド砥粒を電着したものを用いた。砥粒サイズは、120μmである。5人の医師が使用して4人以上が「良」と判断した場合が「○」で、3人の場合が「△」、2人以下を「×」とした。
【0028】
砥粒が固着した部分12の幅W1が0.1〜0.3mmの場合、幅が狭いため、切削性が悪くなったことが原因と考えられる。逆に、幅W1が、6mm以上になると、ヤスリとしてのフレキシビリティに欠け、切削面への追従性が悪くなり、かつ、破断しそうな感じが高まり、不良と判断された。
【0029】
砥粒が無い部分13の幅W2が0.1mm以下の場合は、ヤスリは、フレキシビリティに欠け、切削面への追従性が悪くなり、使用感が悪くなった。逆に、砥粒が無い部分13の幅W2が3.5〜6mmの範囲では、砥粒が無い部分が広いため、引っかかる感じになって使用感が悪くなった。
【0030】
以上から、砥粒が固着した部分12の幅W1が、0.5〜5.0mmの範囲で、砥粒が無い部分13の幅W2が、0.2〜3.0mmの範囲が良好であることが分かった。
【0031】
上記の実施例では、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13は共に帯状ヤスリ本体11の長手方向と直交した矩形であるが、これらの形状は実施例に限定されるものではなく、形状は矩形以外にも平行四辺形や、山形、丸等々、の形状にすることができる。そして、一般的には、1cm2内に2カ所以上砥粒が無い部分13を設けるようにすれば、砥粒が固着した部分12を丸にするなど、多様な形状を採用することが可能である。
【0032】
帯状ヤスリ本体11を金属製とした場合、砥粒12aの固着は電着が適しているが、合成樹脂など、非導電性の素材を用いる場合は、砥粒の固定は接着剤が適している。その場合、金メッキ層は不要になるが、使用時の引っかかり感を無くすために、シリコーン膜で被覆することが望ましい。
【0033】
ヤスリ目14は帯状ヤスリ本体11の両端部15,15には形成する必要がなく、本発明の実施例では形成していないが、両端までヤスリ目14とすると、両端部15,15を掴み易くなり、切削作業中にヤスリが滑ることがなくなって、使い易くなる。また、図示しないが、帯状ヤスリ本体11の長手方向に伸びる両側面にもヤスリ目14を形成しないことが好ましい。両側面にヤスリ目14があると、脊髄にヤスリ目14が触れてしまうおそれがあるからである。
【0034】
帯状ヤスリ本体11が樹脂製の場合には、砥粒12aは接着剤で固着する。その場合、砥粒が固着した部分12と砥粒が無い部分13の大きさや砥粒サイズなどは、上記の実施例と同様でよい。
【0035】
上記の外科用ヤスリを使用するには、図2の外科用ヤスリ10の両端部15,15を把持して中間部のヤスリ目14のある面を図1の突起骨1cに押し当てれば、外科用ヤスリ10の中間部分は突起骨1cの湾曲表面にほぼ沿って弧状に曲がる。その状態で外科用ヤスリ10の両端部15,15を交互に引けば、ヤスリ目14により突起骨1cの研削がされる。上記研削において、ヤスリ目14の部分が常時弧状に移動して、突起骨1cに接するから、突起骨1cが研削された後の椎骨1は突起骨1cの無かった元の形状に整形される。このように、本発明の外科用ヤスリ10を用いれば、周囲の組織を傷めることなく突起骨1cを容易に平らに切削することができる。両端部15,15を手で把持するのに代えて、孔16の部分を鉗子で把持して使用することもできる。
【0036】
なお、外科用ヤスリ10を突起骨1cに当てがう際、周囲の組織(例えば脊髄など)を傷めないよう、ヤスリの少なくとも一方の端部を非弾性とすることが望ましい。本実施例においては、オーステナイト系ステンレス鋼製のヤスリ端部を焼き鈍すことにより非弾性化させている。このように端部を軟化させることによってヤスリを患部に当てがう際、自由に変形させることができるようになる。
【0037】
また、顕微鏡下の手術においては、落射照明によりハレーションを起こして周りの組織が見えなくなってしまう。そのため、帯状ヤスリ本体11の表面を非反射性とすることが望ましい。非反射性とするには、例えば、金属母材の表面にヘアライン加工やブラスト加工の処理を施すことで表面をざらつかせ、非反射性とすることができる。両端部15,15も非反射性にすると、表面がざらついて外科用ヤスリ10を把持し易くなるという効果もある。
【0038】
【発明の効果】
本発明の外科用ヤスリによれば、骨の湾曲面に沿って自由に湾曲させることができるので、外科用ヤスリ両端部を直線延長方向へ交互に引っ張るだけの簡単な操作で、熟練を必要とせずに突起骨を速やかに平らに切削することができる。また、骨と骨の隙間の突起骨を切削する場合は、本発明外科用ヤスリを該隙間に挿通し、上記と同様の操作を行うことにより、周囲の組織を損傷することなく突起骨を容易に切削することができる。
【0039】
砥粒を固着することでヤスリ目を形成するので、所望の粗さのヤスリ目を簡単に得ることができる。ヤスリ目に砥粒のない部分を設けているので、目詰まりを少なくすることができるとともに、フレキシビリティを向上させることができる。
【0040】
帯状ヤスリ本体の表面を非反射性とすれば、顕微鏡下の手術の際も、ハレーションを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】椎骨に突起が形成された例を示す図である。
【図2】本発明の外科用ヤスリの全体を示す平面図である。
【図3】図2の一部を拡大した図である。
【図4】図3のA−A拡大断面図である。
【図5】本発明の外科用ヤスリについて、種々のコーティングをして、細胞毒性試験を行った結果を示す図表である。
【図6】本発明の外科用ヤスリにおいて、好ましい砥粒サイズを調べた結果を示す表である。
【図7】本発明の外科用ヤスリについて砥粒が固着した部分の幅と、砥粒が無い部分の幅の幅を変えて使用感を評価した表である。
【符号の説明】
1 椎骨
10 外科用ヤスリ
11 帯状ヤスリ本体
12 砥粒が固着した部分
12a 砥粒
12b ニッケルメッキ層
12c 金メッキ層
12d シリコーン膜
13 砥粒が無い部分
14 ヤスリ目
15 両端部
16 孔
Claims (4)
- 曲伸自在の可撓性を有する帯状ヤスリ本体と、この表面に砥粒を固着して形成されたヤスリ目とを有する外科用ヤスリであって、上記ヤスリ目が、砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とを有することを特徴とする外科用ヤスリ。
- 上記砥粒を固着した部分と砥粒が無い部分とが帯状ヤスリ本体の長手方向に交互に配置された縞状で、上記砥粒を固着した部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.5〜5.0mmであり、砥粒を固着しない部分の帯状ヤスリ本体長さ方向の幅が0.2〜3.0mmであることを特徴とする請求項1記載の外科用ヤスリ。
- 上記砥粒サイズが20〜250μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の外科用ヤスリ。
- 上記ヤスリ目の砥粒を固着した部分が、コーティングされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の外科用ヤスリ。
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