JP2004064982A - 電機子およびモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる電機子およびモータを提供することにある。
【解決手段】本発明は、環状体からなるコア本体12に突起状のティース13が放射状に複数形成されてなる電機子コア11と、ティース13に巻回された巻線14と、を有して構成された電機子10に関する。
ティース13には、巻線14が巻回可能な巻線巻回部13aが形成され、この巻線巻回部13aは、ティース13の長手方向中心軸線Lcに沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明は、環状体からなるコア本体12に突起状のティース13が放射状に複数形成されてなる電機子コア11と、ティース13に巻回された巻線14と、を有して構成された電機子10に関する。
ティース13には、巻線14が巻回可能な巻線巻回部13aが形成され、この巻線巻回部13aは、ティース13の長手方向中心軸線Lcに沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電機子およびモータに係り、特に、ティースに巻線が巻回された電機子およびモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来からモータに用いられている電機子の構成を示す部分説明図である。図12に示すように、従来の電機子510は、環状体からなるコア本体512に突起状のティース513が放射状に複数形成されてなる電機子コア511を有して構成されている。
【0003】
ティース513には、断面略四角形状からなる巻線巻回部513aが形成されており、この巻線巻回部513aには、巻線514が例えば3重に巻回されている。これにより、ティース513に、第1重目の巻線部514−1,第2重目の巻線部514−2,第3重目の巻線部514−3が形成されている。
【0004】
そして、上記構成からなる従来の電機子510では、巻線514を互いに密着させるために、巻線514にテンションを掛けた状態で、図示しない巻線巻回装置を矢印▲1▼,▲2▼,▲3▼の方向に向かって順に移動させるようにして、巻線514を巻線巻回部513aに巻回するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第3重目の巻線部514−3を形成するとき、テンションを掛けながら巻線514を巻線部514−2の外側に巻回すると、巻線部514−2は、図中矢印Xの方向へ押し退けられて整列状態が崩されてしまうという不具合があった。
【0006】
特に、巻線514の太さが直径0.8mm以上ある場合には、巻線514が曲がりにくくなっているので、巻線514を巻線巻回部513aにきれいに整列させた状態に巻回させるために、巻線514に掛けるテンションを強める必要があった。
【0007】
このように、巻線514に掛けるテンションを強めると、特に巻線部514−2において、巻線部514−3として巻回されている巻線514によって作用する押し付け力がより強大になってしまうため、第2重目に巻回された巻線部514−2の整列状態が大きく崩されてしまうという不具合があった。
【0008】
本発明は、上記不具合に鑑みてなされたものであって、その目的は、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる電機子およびモータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1に記載の電機子によれば、環状体からなるコア本体に突起状のティースが放射状に複数形成されてなる電機子コアと、前記ティースに巻回された巻線と、を有して構成された電機子であって、前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記ティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されていること、により解決される。
【0010】
このように、ティースの巻線が巻回される部分がティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されていると、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線が内側に巻回された巻線を押し付ける力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0011】
これにより、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線全体をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0012】
このとき、請求項2に記載のように、ティースの巻線が巻回された部分が、電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に細くなるように形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力を、電機子コアの半径方向外側に分散させて低減させることができるので好適である。
【0013】
また、請求項3に記載のように、ティースの巻線が巻回された部分が、電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に太くなるように形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力を、電機子コアの半径方向内側に分散させて低減させることができるので好適である。
【0014】
また、請求項4に記載のように、巻線が直径0.8mm以上に形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力の低減効果をより顕著なものとすることができるので好適である。
【0015】
また、請求項5に記載のモータは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子を用いているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線による押し付け力によって、内側に巻回された巻線の整列状態が崩れてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させて巻回することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0017】
図1乃至図4は本発明の第一実施形態を示す図で、図1は電機子の構成を示す部分説明図、図2はティースの形状を示す説明図、図3は巻線に押し付け力が作用した状態を示す説明図、図4はモータの断面側面図である。なお、図3において、理解の容易のために、ティース13のテーパ角度は、図2に示すティース13のテーパ角度よりも大きくなるように図示してある。
【0018】
図5,図6は本発明の第二実施形態を示す図で、図5は電機子の構成を示す部分説明図、図6はティースの形状を示す説明図である。
【0019】
(第一実施形態)
はじめに、本発明の第一実施形態に係る電機子について説明する。
図1に示す本発明の第一実施形態に係る電機子10は、アウターロータ型ブラシレスモータのステータとして用いられるものであり、電機子10の半径方向外側に配設された回転子30を回転させるためのものである。
【0020】
本実施形態に係る電機子10は、所定形状からなる金属製薄板を軸方向に積層して形成された電機子コア11を有して構成されている。この電機子コア11は、環状体からなるコア本体12と、このコア本体12の外側に放射状に複数配設された突起体からなるティース13と、から構成されている。
【0021】
ティース13には、巻線14が巻回可能な巻線巻回部13aが形成されており、この巻線巻回部13aの突出端部には、コア本体12の接線方向両側に延びる磁極部13bが形成されている。
【0022】
巻線巻回部13aは、図2のA−A断面およびB−B断面に示すように、断面略四角形状に形成されており、巻線巻回部13aのコア本体12側の部分から磁極部13bが配設された部分までは、軸方向の厚みが、「厚みa」になるように均一に形成されている。
【0023】
また、巻線巻回部13aは、コア本体12側の部分が最も幅が広く形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、ティース13の長手方向中心軸線Lcに沿って幅が狭くなるように、すなわち、「幅c」から「幅b」へと徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0024】
ここで、巻線巻回部13aのテーパ角度は、巻線巻回部13aに巻線14を巻回する際に巻線14に掛けるテンションや、巻線14の太さに応じて設定されていることが望ましい。
【0025】
すなわち、図示しない巻線巻回装置によって巻線14に掛けるテンションが強い場合や、巻線14の太さが直径1.0mmよりも太いような場合には、巻線巻回部13aのテーパ角度も大きくなるようにしておくことが望ましい。
【0026】
磁極部13bは、巻線巻回部13aに巻回された巻線14から生ずる磁束の通路を形成すると共に、上述のように、コア本体12の接線方向両側に延びるように形成されることにより、巻線14の半径方向外側への脱落を防止するためのストッパの役割を果たすようになっている。
【0027】
巻線14は、被膜が施された銅線等で形成されており、巻線巻回部13aに3重に巻回されている。なお、本実施形態では、比較的太い巻線であっても巻線巻回部13aに整列させた状態に巻回することができるという、本発明による効果をより明確にするために、巻線14は、低電圧タイプの太目のもの、例えば直径0.8mm以上のものが使用されている。
【0028】
次に、上記各構成からなる電機子10において、巻線14を巻線巻回部13aに巻回する方法について説明する。以下に、本実施形態の電機子10において、図示しない巻線巻回装置を用いて、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに3重に巻回する方法について示す。
【0029】
はじめに、巻線巻回部13aのコア本体12側の部分から磁極部13bが配設された部分まで、巻線14を矢印▲1▼で示す方向に向かって巻回することにより、第1重目の巻線部14−1を形成する。
【0030】
このとき、上述のように、巻線14にテンションを掛けることにより、巻線14に弛みが生じないようにすることができるので、巻線14を巻線巻回部13aに整列させた状態に巻回することができる。
【0031】
次に、第1重目の巻線部14−1の上に重なるように、巻線巻回部13aの磁極部13bが配設された部分から巻線巻回部13aの中央部よりもややコア本体12側の部分まで、第2重目としての巻線14を矢印▲2▼で示す方向に向かって巻回することにより、第2重目の巻線部14−2を形成する。
【0032】
最後に、第2重目の巻線部14−2の上に重なるように、巻線巻回部13aのほぼ中央部から磁極部13bが配設された部分まで、第3重目としての巻線14を矢印▲3▼で示す方向に向かって巻回することにより、第3重目の巻線部14−3を形成する。このようにすることにより、巻線14が巻線巻回部13aに3重に巻回される。
【0033】
ここで、第2重目の巻線部14−2の上に、テンションを掛けながら第3重目としての巻線14を巻回すると、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2に、第3重目として巻回される巻線14による押し付け力が作用する。
【0034】
ところが、本実施形態の電機子10では、上述のように、巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0035】
従って、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに多重に巻回しても、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2が巻線巻回部13aの表面に垂直に押し付けられる力は、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減される。
【0036】
すなわち、図3に示すように、第3重目の巻線部14−3による巻線巻回部13aの表面への押し付け力Fは、巻線巻回部13aの表面と平行な基準線Lsとティース13の長手方向中心軸線Ltとの成す角度、すなわちテーパ角度θとの関係により、F=Fa×sinθで求めることができる。
【0037】
ここで、巻線巻回部13aが、テーパ角度θ(0<θ<90)からなるテーパ状に形成されていると、sinθ<1になるので、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2が巻線巻回部13aの表面に垂直に押し付けられる力を低減させることができる。
【0038】
これにより、第3重目として巻回される巻線14の押し付け力により、第2重目の巻線部14−2の整列状態が崩れてしまうことを防止することができるので、巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させて巻回することができる。
【0039】
また、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2は、第3重目として巻回される巻線14に生ずる分力Fbによって、コア本体12の半径方向外側に押えつけられるので、巻線部14−1,14−2の上から巻線14を重ねるようにして巻回するだけで、巻線14全体を密着させることができる。
【0040】
従って、巻線14を巻線巻回部13aに巻回した後に、治具等を用いて巻線14を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0041】
また、上記のように巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させて巻回することができるので、各ティース13に巻回される巻線14の長さを均一にすることができ、これにより、各ティース13における巻線14の抵抗値のバラツキを無くすことができる。
【0042】
次に、上記構成からなる電機子10を、ブラシレスモータのステータとして適用した例について説明する。
【0043】
図4に示す本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ40は、電機子10の半径方向外側で回転子が回転するタイプのアウターロータ型ブラシレスモータである。
【0044】
本実施形態に係るブラシレスモータ40において、上述の電機子10は、ホルダ部材21に形成されたホルダ部22よって固定されている。このホルダ部22の突出端部には、シャフト23が形成されており、このシャフト23には軸受24の内輪が固定されている。
【0045】
電機子10の半径方向外側には、回転子30が配設されている。この回転子30は、カップ状に形成されたアウターロータ31を有して構成されており、このアウターロータ31の内周面には、電機子10のティース13と対向する位置に磁石32が配設されている。
【0046】
また、アウターロータ31の底面中央部分には、軸受24の外輪が固定され、これにより、アウターロータ31が電機子10に対して回転可能になっている。
【0047】
ここで、本実施形態のブラシレスモータ40では、図2に示すように、巻線巻回部13aの磁極部13b配設側の部分がコア本体12側の部分よりも細くなるようにテーパ状に形成されているので、より磁石32に近い部分に巻線14を多く巻回することができるようになっている。
【0048】
これにより、磁石32に対する磁力を強めることができるので、ブラシレスモータ40の回転力を高めることができる。
【0049】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る電機子について説明する。
図5に示す本発明の第二実施形態に係る電機子110は、インナーロータ型ブラシレスモータのステータとして用いられるものであり、電機子110の半径方向内側に配設された回転子130を回転させるためのものである。
【0050】
本実施形態に係る電機子110は、所定形状からなる金属製薄板を軸方向に積層して形成された電機子コア111を有して構成されている。この電機子コア111は、環状体からなるコア本体112と、このコア本体112の内側に放射状に複数配設された突起体からなるティース113と、から構成されている。
【0051】
ティース113には、巻線114が巻回可能な巻線巻回部113aが形成されており、この巻線巻回部113aの突出端部は、環状の磁極部113bによって連結されている。
【0052】
巻線巻回部113aは、図6のC−C断面およびD−D断面に示すように、断面略四角形状に形成されており、巻線巻回部113aのコア本体112側の部分から磁極部113bが配設された部分までは、軸方向の厚みが、「厚みd」になるように均一に形成されている。
【0053】
また、巻線巻回部113aは、磁極部113b配設側の部分が最も幅が広く形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、ティース113の長手方向中心軸線Lcに沿って幅が狭くなるように、すなわち、「幅f」から「幅e」へと徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0054】
磁極部113bは、巻線巻回部113aに巻回された巻線114から生ずる磁束の通路を形成すると共に、上述のように、環状に形成されることにより、巻線114の半径方向内側への脱落を防止するためのストッパの役割を果たすようになっている。
【0055】
巻線114は、被膜が施された銅線等で形成されており、巻線巻回部113aに3重に巻回されている。なお、本実施形態においても、比較的太い巻線であっても巻線巻回部113aに整列巻回することができるという、本発明による効果をより明確にするために、巻線114は、低電圧タイプの太目のもの、例えば直径0.8mm以上のものが使用されている。
【0056】
そして、上記各構成からなる電機子110においても、上記第一実施形態に示した電機子10と同様な方法により、巻線114を巻線巻回部113aに巻回する。
【0057】
すなわち、巻線巻回装置等を用いて、テンションを掛けながら巻線114を、矢印▲1▼,▲2▼,▲3▼の方向に向かって順に巻回する。これにより、第1重目の巻線部114−1、第2重目の巻線部114−2、第3重目の巻線部114−3が形成される。
【0058】
ここで、第2重目の巻線部114−2の上に、テンションを掛けながら第3重目としての巻線114を巻回すると、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2に、第3重目として巻回される巻線114による押し付け力が作用する。
【0059】
ところが、本実施形態の電機子110では、上述のように、巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0060】
従って、テンションを掛けながら巻線114を巻線巻回部113aに多重に巻回しても、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2が巻線巻回部113aの表面に垂直に押し付けられる力は、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減される。
【0061】
これにより、第3重目として巻回される巻線114の押し付け力により、第2重目の巻線部114−2の整列状態が崩れてしまうことを防止することができるので、巻線114を巻線巻回部113aにきれいに整列させて巻回することができる。
【0062】
また、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2は、第3重目として巻回される巻線114に生ずる分力によって、コア本体112の半径方向外側に押えつけられるので、巻線部114−1,114−2の上から巻線114を重ねるようにして巻回するだけで、巻線114全体を密着させることができる。
【0063】
従って、巻線114を巻線巻回部113aに巻回した後に、治具等を用いて巻線114を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0064】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ)本発明の第一実施形態に係る電機子10では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線14によって内側に巻回された巻線部14−1,14−2が押し付けられる力を、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0065】
これにより、外側の巻線14の押し付け力により、内側に巻回された巻線部14−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0066】
(ロ)また、巻線巻回部13aがテーパ状に形成されることにより、外側に巻回された巻線部14−3には、テーパ斜面下側に向けて分力が働くので、内側に巻回された巻線部14−1,14−2は、コア本体12の半径方向外側に押えつけられる。
【0067】
これにより、内側に巻回された巻線部14−1,14−2の上から巻線14を重ねるようにして巻回するだけで、巻線14全体を密着させることができる。
【0068】
従って、巻線14を巻線巻回部13aに巻回した後に、治具等を用いて巻線14を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0069】
(ハ)また、本実施形態の電機子10では、巻線巻回部13aの磁極部13b配設側の部分がコア本体12側の部分よりも細くなるようにテーパ状に形成されているので、より磁石32に近い部分に巻線14を多く巻回することができるようになっている。
【0070】
従って、本実施形態の電機子10をブラシレスモータ40に適用することにより、磁石32に対する磁力を強めることができるので、ブラシレスモータ40の回転力を高めることができる。
【0071】
(ニ)本発明の第二実施形態に係る電機子110では、図6に示すように、ティース113に形成された巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線114を巻線巻回部113aに多重巻回しても、外側に巻回された巻線部114−3によって内側に巻回された巻線部114−1,114−2が押し付けられる力を、巻線巻回部113aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0072】
これにより、外側の巻線114の押し付け力により、内側に巻回された巻線部114−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線114全体を巻線巻回部113aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0073】
(ホ)また、巻線巻回部113aがテーパ状に形成されることにより、外側に巻回された巻線部114−3には、テーパ斜面下側に向けて分力が働くので、内側に巻回された巻線部114−1,114−2は、コア本体112の半径方向外側に押えつけられる。
【0074】
これにより、内側に巻回された巻線部114−1,114−2の上から巻線114を重ねるようにして巻回するだけで、巻線114全体を密着させることができる。
【0075】
従って、巻線114を巻線巻回部113aに巻回した後に、治具等を用いて巻線114を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0076】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。図7乃至図11は、本実施形態の改変例を示す図で、図7は電機子の第一改変例を示す説明図、図8は第一改変例に係る電機子をブラシレスモータに適用した例を示す説明図、図9は電機子の第二改変例を示す説明図、図10は電機子の第三改変例を示す説明図、図11は電機子の第四改変例を示す説明図である。なお、図7は、電機子を回転軸と平行な平面で切断した断面図である。
【0077】
(a)上記実施形態では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aは、軸方向の厚みが「厚みa」になるように均一に形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
例えば、巻線巻回部は、図7に示すように形成されていても良い。すなわち、図7に示す電機子210において、ティース213に形成された巻線巻回部213aは、E−E断面およびF−F断面に示すように、幅が「幅g」になるように均一に形成され、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、「厚みi」から「厚みh」へと徐々に厚みが薄くなるようにテーパ状に形成されていても良い。
【0079】
このようにしても、テンションを掛けながら巻線214を巻線巻回部213aに多重巻回した際に、外側に巻回される巻線214によって内側に巻回された巻線部214−1,214−2が押し付けられる力を、巻線巻回部213aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0080】
これにより、外側の巻線214の押し付け力により、内側に巻回された巻線部214−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線214全体を巻線巻回部213aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0081】
また、巻線巻回部213aの厚みが、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に薄くなるように形成されているので、図8に示すように、本例における電機子210をブラシレスモータ40に適用した場合には、巻線214が巻回される位置を、巻線巻回部をストレートに形成した従来の電機子における基準線L2よりも基準線L1の位置まで下げることができる。
【0082】
これにより、アウターロータ31の底面31aとティース213とのクリアランスCを小さくすることが可能になるので、ブラシレスモータ40を偏平化することができる。
【0083】
また、本改変例に係る巻線巻回部213aは、幅が「幅a」になるように均一に形成され、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に厚みが薄くなるようにテーパ状に形成されていたが、図9に示す電機子210のように、ティース213に形成された巻線巻回部213aは、断面四角状に形成されると共に、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に細くなるようにテーパ状に形成されていても良い。
【0084】
(b)上記実施形態では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線14が巻線巻回部13aの半径方向外側の部分に集中的に巻回されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、図10に示す電機子310のように、ティース313に形成された巻線巻回部313aが、電機子コア311の半径方向外側から内側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線314が巻線巻回部313aの半径方向内側の部分に集中的に巻回されていても良い。
【0086】
また、図5に示すインナーロータ型のブラシレスモータに用いられる電機子110においても、巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向外側から内側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線114が巻線巻回部113aの半径方向内側の部分に集中的に巻回されていても良い。
【0087】
(c)上記実施形態では、図2に示すように、巻線巻回部13aが、断面略四角形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、図11に示す電機子410のように、ティース413に形成された巻線巻回部413aは、コア本体側の部分における断面が電機子コア411の軸方向に長い楕円形で形成され、コア本体412とは反対側に向かうに従って、徐々にコア本体の接線方向に長い楕円形になるように形成されていても良い。また、巻線巻回部は、断面真円状や、断面多角形状に形成されていても良い。
【0089】
(d)上記実施形態では、図2に示すように、金属製の電機子コア11に形成された巻線巻回部13aに被膜が施された巻線14を巻回するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
例えば、巻線巻回部13aは、樹脂製のインシュレータ等によって周囲が覆われるように形成され、これによって巻線巻回部13aと巻線14との絶縁性が確保されるように構成されていても良い。このとき、巻線巻回部13aのテーパ形状は、前記インシュレータに形成されていても良い。
【0091】
また、巻線巻回部13aに絶縁紛体を静電塗装して固着させて、巻線巻回部13aと巻線14との絶縁性が確保されるように構成されていても良い。このとき、巻線巻回部13aのテーパ形状は、前記絶縁紛体による被膜層の厚みを変化させることによって形成されていても良い。
【0092】
(e)上記実施形態では、図2に示すように、巻線巻回部13aに巻線14が3重に巻回されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、巻線巻回部13aには、巻線14が5重に巻回されていても良い。このように巻線14が5重に巻回される場合には、第2重目,第4重目に巻回された巻線14がその上から巻回される巻線14によって崩されてしまうことを防止することができる。
【0093】
(f)上記実施形態では、巻線巻回部13aが一定のテーパ角度によってテーパ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、巻線巻回部13aの中央部を境にして、巻線巻回部13aの中央部よりも半径方向外側の部分と巻線巻回部13aの中央部よりも半径方向内側の部分とでは、異なるテーパ角度で形成されていても良い。
【0094】
(g)上記実施形態では、電機子10,110がブラシレスモータのステータに適用されるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、本発明の電機子は、ブラシ付きモータのロータに適用することができる。
【0095】
上記各実施の形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0096】
前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記コア本体側の部分における断面が電機子コアの軸方向に長い楕円形で形成されると共に、前記コア本体とは反対側に向かうに従って、徐々にコア本体の接線方向に長い楕円形になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
【0097】
このように形成されていても、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回された巻線によって内側に巻回された巻線が押し付けられる力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができるので、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができる。
【0098】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の電機子によれば、ティースの巻線が巻回される部分がティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線によって内側に巻回された巻線が押し付けられる力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0099】
これにより、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0100】
また、本発明のモータによれば、上記電機子を用いているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線による押し付け力によって、内側に巻回された巻線の整列状態が崩れてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させて巻回することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電機子の構成を示す部分説明図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るティースの形状を示す説明図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る巻線に押し付け力が作用した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るモータの断面側面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電機子の構成を示す部分説明図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係るティースの形状を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る電機子の第一改変例を示す説明図である。
【図8】第一改変例に係る電機子をブラシレスモータに適用した例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る電機子の第二改変例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る電機子の第三改変例を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る電機子の第四改変例を示す説明図である。
【図12】従来の電機子の構成を示す部分説明図である。
【符号の説明】
10,110,210,310,410,510 電機子、11,111,211,311,411,511 電機子コア、12,112,412,512 コア本体、13,113,213,313,413,513 ティース、13a,113a,213a,313a,413a,513a 巻線巻回部、13b,113b 磁極部、14,114,214,314,514 巻線、14−1,14−2,14−3,114−1,114−2,114−3,514−1,514−2,514−3 巻線部、21 ホルダ部材、22 ホルダ部、23 シャフト、24 軸受、30 回転子、31 アウターロータ、31a 底面、32 磁石、40 ブラシレスモータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電機子およびモータに係り、特に、ティースに巻線が巻回された電機子およびモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来からモータに用いられている電機子の構成を示す部分説明図である。図12に示すように、従来の電機子510は、環状体からなるコア本体512に突起状のティース513が放射状に複数形成されてなる電機子コア511を有して構成されている。
【0003】
ティース513には、断面略四角形状からなる巻線巻回部513aが形成されており、この巻線巻回部513aには、巻線514が例えば3重に巻回されている。これにより、ティース513に、第1重目の巻線部514−1,第2重目の巻線部514−2,第3重目の巻線部514−3が形成されている。
【0004】
そして、上記構成からなる従来の電機子510では、巻線514を互いに密着させるために、巻線514にテンションを掛けた状態で、図示しない巻線巻回装置を矢印▲1▼,▲2▼,▲3▼の方向に向かって順に移動させるようにして、巻線514を巻線巻回部513aに巻回するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第3重目の巻線部514−3を形成するとき、テンションを掛けながら巻線514を巻線部514−2の外側に巻回すると、巻線部514−2は、図中矢印Xの方向へ押し退けられて整列状態が崩されてしまうという不具合があった。
【0006】
特に、巻線514の太さが直径0.8mm以上ある場合には、巻線514が曲がりにくくなっているので、巻線514を巻線巻回部513aにきれいに整列させた状態に巻回させるために、巻線514に掛けるテンションを強める必要があった。
【0007】
このように、巻線514に掛けるテンションを強めると、特に巻線部514−2において、巻線部514−3として巻回されている巻線514によって作用する押し付け力がより強大になってしまうため、第2重目に巻回された巻線部514−2の整列状態が大きく崩されてしまうという不具合があった。
【0008】
本発明は、上記不具合に鑑みてなされたものであって、その目的は、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる電機子およびモータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1に記載の電機子によれば、環状体からなるコア本体に突起状のティースが放射状に複数形成されてなる電機子コアと、前記ティースに巻回された巻線と、を有して構成された電機子であって、前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記ティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されていること、により解決される。
【0010】
このように、ティースの巻線が巻回される部分がティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されていると、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線が内側に巻回された巻線を押し付ける力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0011】
これにより、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線全体をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0012】
このとき、請求項2に記載のように、ティースの巻線が巻回された部分が、電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に細くなるように形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力を、電機子コアの半径方向外側に分散させて低減させることができるので好適である。
【0013】
また、請求項3に記載のように、ティースの巻線が巻回された部分が、電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に太くなるように形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力を、電機子コアの半径方向内側に分散させて低減させることができるので好適である。
【0014】
また、請求項4に記載のように、巻線が直径0.8mm以上に形成されていると、内側に巻回された巻線に作用する押し付け力の低減効果をより顕著なものとすることができるので好適である。
【0015】
また、請求項5に記載のモータは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子を用いているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線による押し付け力によって、内側に巻回された巻線の整列状態が崩れてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させて巻回することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0017】
図1乃至図4は本発明の第一実施形態を示す図で、図1は電機子の構成を示す部分説明図、図2はティースの形状を示す説明図、図3は巻線に押し付け力が作用した状態を示す説明図、図4はモータの断面側面図である。なお、図3において、理解の容易のために、ティース13のテーパ角度は、図2に示すティース13のテーパ角度よりも大きくなるように図示してある。
【0018】
図5,図6は本発明の第二実施形態を示す図で、図5は電機子の構成を示す部分説明図、図6はティースの形状を示す説明図である。
【0019】
(第一実施形態)
はじめに、本発明の第一実施形態に係る電機子について説明する。
図1に示す本発明の第一実施形態に係る電機子10は、アウターロータ型ブラシレスモータのステータとして用いられるものであり、電機子10の半径方向外側に配設された回転子30を回転させるためのものである。
【0020】
本実施形態に係る電機子10は、所定形状からなる金属製薄板を軸方向に積層して形成された電機子コア11を有して構成されている。この電機子コア11は、環状体からなるコア本体12と、このコア本体12の外側に放射状に複数配設された突起体からなるティース13と、から構成されている。
【0021】
ティース13には、巻線14が巻回可能な巻線巻回部13aが形成されており、この巻線巻回部13aの突出端部には、コア本体12の接線方向両側に延びる磁極部13bが形成されている。
【0022】
巻線巻回部13aは、図2のA−A断面およびB−B断面に示すように、断面略四角形状に形成されており、巻線巻回部13aのコア本体12側の部分から磁極部13bが配設された部分までは、軸方向の厚みが、「厚みa」になるように均一に形成されている。
【0023】
また、巻線巻回部13aは、コア本体12側の部分が最も幅が広く形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、ティース13の長手方向中心軸線Lcに沿って幅が狭くなるように、すなわち、「幅c」から「幅b」へと徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0024】
ここで、巻線巻回部13aのテーパ角度は、巻線巻回部13aに巻線14を巻回する際に巻線14に掛けるテンションや、巻線14の太さに応じて設定されていることが望ましい。
【0025】
すなわち、図示しない巻線巻回装置によって巻線14に掛けるテンションが強い場合や、巻線14の太さが直径1.0mmよりも太いような場合には、巻線巻回部13aのテーパ角度も大きくなるようにしておくことが望ましい。
【0026】
磁極部13bは、巻線巻回部13aに巻回された巻線14から生ずる磁束の通路を形成すると共に、上述のように、コア本体12の接線方向両側に延びるように形成されることにより、巻線14の半径方向外側への脱落を防止するためのストッパの役割を果たすようになっている。
【0027】
巻線14は、被膜が施された銅線等で形成されており、巻線巻回部13aに3重に巻回されている。なお、本実施形態では、比較的太い巻線であっても巻線巻回部13aに整列させた状態に巻回することができるという、本発明による効果をより明確にするために、巻線14は、低電圧タイプの太目のもの、例えば直径0.8mm以上のものが使用されている。
【0028】
次に、上記各構成からなる電機子10において、巻線14を巻線巻回部13aに巻回する方法について説明する。以下に、本実施形態の電機子10において、図示しない巻線巻回装置を用いて、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに3重に巻回する方法について示す。
【0029】
はじめに、巻線巻回部13aのコア本体12側の部分から磁極部13bが配設された部分まで、巻線14を矢印▲1▼で示す方向に向かって巻回することにより、第1重目の巻線部14−1を形成する。
【0030】
このとき、上述のように、巻線14にテンションを掛けることにより、巻線14に弛みが生じないようにすることができるので、巻線14を巻線巻回部13aに整列させた状態に巻回することができる。
【0031】
次に、第1重目の巻線部14−1の上に重なるように、巻線巻回部13aの磁極部13bが配設された部分から巻線巻回部13aの中央部よりもややコア本体12側の部分まで、第2重目としての巻線14を矢印▲2▼で示す方向に向かって巻回することにより、第2重目の巻線部14−2を形成する。
【0032】
最後に、第2重目の巻線部14−2の上に重なるように、巻線巻回部13aのほぼ中央部から磁極部13bが配設された部分まで、第3重目としての巻線14を矢印▲3▼で示す方向に向かって巻回することにより、第3重目の巻線部14−3を形成する。このようにすることにより、巻線14が巻線巻回部13aに3重に巻回される。
【0033】
ここで、第2重目の巻線部14−2の上に、テンションを掛けながら第3重目としての巻線14を巻回すると、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2に、第3重目として巻回される巻線14による押し付け力が作用する。
【0034】
ところが、本実施形態の電機子10では、上述のように、巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0035】
従って、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに多重に巻回しても、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2が巻線巻回部13aの表面に垂直に押し付けられる力は、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減される。
【0036】
すなわち、図3に示すように、第3重目の巻線部14−3による巻線巻回部13aの表面への押し付け力Fは、巻線巻回部13aの表面と平行な基準線Lsとティース13の長手方向中心軸線Ltとの成す角度、すなわちテーパ角度θとの関係により、F=Fa×sinθで求めることができる。
【0037】
ここで、巻線巻回部13aが、テーパ角度θ(0<θ<90)からなるテーパ状に形成されていると、sinθ<1になるので、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2が巻線巻回部13aの表面に垂直に押し付けられる力を低減させることができる。
【0038】
これにより、第3重目として巻回される巻線14の押し付け力により、第2重目の巻線部14−2の整列状態が崩れてしまうことを防止することができるので、巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させて巻回することができる。
【0039】
また、第1重目の巻線部14−1および第2重目の巻線部14−2は、第3重目として巻回される巻線14に生ずる分力Fbによって、コア本体12の半径方向外側に押えつけられるので、巻線部14−1,14−2の上から巻線14を重ねるようにして巻回するだけで、巻線14全体を密着させることができる。
【0040】
従って、巻線14を巻線巻回部13aに巻回した後に、治具等を用いて巻線14を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0041】
また、上記のように巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させて巻回することができるので、各ティース13に巻回される巻線14の長さを均一にすることができ、これにより、各ティース13における巻線14の抵抗値のバラツキを無くすことができる。
【0042】
次に、上記構成からなる電機子10を、ブラシレスモータのステータとして適用した例について説明する。
【0043】
図4に示す本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ40は、電機子10の半径方向外側で回転子が回転するタイプのアウターロータ型ブラシレスモータである。
【0044】
本実施形態に係るブラシレスモータ40において、上述の電機子10は、ホルダ部材21に形成されたホルダ部22よって固定されている。このホルダ部22の突出端部には、シャフト23が形成されており、このシャフト23には軸受24の内輪が固定されている。
【0045】
電機子10の半径方向外側には、回転子30が配設されている。この回転子30は、カップ状に形成されたアウターロータ31を有して構成されており、このアウターロータ31の内周面には、電機子10のティース13と対向する位置に磁石32が配設されている。
【0046】
また、アウターロータ31の底面中央部分には、軸受24の外輪が固定され、これにより、アウターロータ31が電機子10に対して回転可能になっている。
【0047】
ここで、本実施形態のブラシレスモータ40では、図2に示すように、巻線巻回部13aの磁極部13b配設側の部分がコア本体12側の部分よりも細くなるようにテーパ状に形成されているので、より磁石32に近い部分に巻線14を多く巻回することができるようになっている。
【0048】
これにより、磁石32に対する磁力を強めることができるので、ブラシレスモータ40の回転力を高めることができる。
【0049】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る電機子について説明する。
図5に示す本発明の第二実施形態に係る電機子110は、インナーロータ型ブラシレスモータのステータとして用いられるものであり、電機子110の半径方向内側に配設された回転子130を回転させるためのものである。
【0050】
本実施形態に係る電機子110は、所定形状からなる金属製薄板を軸方向に積層して形成された電機子コア111を有して構成されている。この電機子コア111は、環状体からなるコア本体112と、このコア本体112の内側に放射状に複数配設された突起体からなるティース113と、から構成されている。
【0051】
ティース113には、巻線114が巻回可能な巻線巻回部113aが形成されており、この巻線巻回部113aの突出端部は、環状の磁極部113bによって連結されている。
【0052】
巻線巻回部113aは、図6のC−C断面およびD−D断面に示すように、断面略四角形状に形成されており、巻線巻回部113aのコア本体112側の部分から磁極部113bが配設された部分までは、軸方向の厚みが、「厚みd」になるように均一に形成されている。
【0053】
また、巻線巻回部113aは、磁極部113b配設側の部分が最も幅が広く形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、ティース113の長手方向中心軸線Lcに沿って幅が狭くなるように、すなわち、「幅f」から「幅e」へと徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0054】
磁極部113bは、巻線巻回部113aに巻回された巻線114から生ずる磁束の通路を形成すると共に、上述のように、環状に形成されることにより、巻線114の半径方向内側への脱落を防止するためのストッパの役割を果たすようになっている。
【0055】
巻線114は、被膜が施された銅線等で形成されており、巻線巻回部113aに3重に巻回されている。なお、本実施形態においても、比較的太い巻線であっても巻線巻回部113aに整列巻回することができるという、本発明による効果をより明確にするために、巻線114は、低電圧タイプの太目のもの、例えば直径0.8mm以上のものが使用されている。
【0056】
そして、上記各構成からなる電機子110においても、上記第一実施形態に示した電機子10と同様な方法により、巻線114を巻線巻回部113aに巻回する。
【0057】
すなわち、巻線巻回装置等を用いて、テンションを掛けながら巻線114を、矢印▲1▼,▲2▼,▲3▼の方向に向かって順に巻回する。これにより、第1重目の巻線部114−1、第2重目の巻線部114−2、第3重目の巻線部114−3が形成される。
【0058】
ここで、第2重目の巻線部114−2の上に、テンションを掛けながら第3重目としての巻線114を巻回すると、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2に、第3重目として巻回される巻線114による押し付け力が作用する。
【0059】
ところが、本実施形態の電機子110では、上述のように、巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。
【0060】
従って、テンションを掛けながら巻線114を巻線巻回部113aに多重に巻回しても、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2が巻線巻回部113aの表面に垂直に押し付けられる力は、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減される。
【0061】
これにより、第3重目として巻回される巻線114の押し付け力により、第2重目の巻線部114−2の整列状態が崩れてしまうことを防止することができるので、巻線114を巻線巻回部113aにきれいに整列させて巻回することができる。
【0062】
また、第1重目の巻線部114−1および第2重目の巻線部114−2は、第3重目として巻回される巻線114に生ずる分力によって、コア本体112の半径方向外側に押えつけられるので、巻線部114−1,114−2の上から巻線114を重ねるようにして巻回するだけで、巻線114全体を密着させることができる。
【0063】
従って、巻線114を巻線巻回部113aに巻回した後に、治具等を用いて巻線114を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0064】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ)本発明の第一実施形態に係る電機子10では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線14を巻線巻回部13aに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線14によって内側に巻回された巻線部14−1,14−2が押し付けられる力を、巻線巻回部13aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0065】
これにより、外側の巻線14の押し付け力により、内側に巻回された巻線部14−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線14全体を巻線巻回部13aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0066】
(ロ)また、巻線巻回部13aがテーパ状に形成されることにより、外側に巻回された巻線部14−3には、テーパ斜面下側に向けて分力が働くので、内側に巻回された巻線部14−1,14−2は、コア本体12の半径方向外側に押えつけられる。
【0067】
これにより、内側に巻回された巻線部14−1,14−2の上から巻線14を重ねるようにして巻回するだけで、巻線14全体を密着させることができる。
【0068】
従って、巻線14を巻線巻回部13aに巻回した後に、治具等を用いて巻線14を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0069】
(ハ)また、本実施形態の電機子10では、巻線巻回部13aの磁極部13b配設側の部分がコア本体12側の部分よりも細くなるようにテーパ状に形成されているので、より磁石32に近い部分に巻線14を多く巻回することができるようになっている。
【0070】
従って、本実施形態の電機子10をブラシレスモータ40に適用することにより、磁石32に対する磁力を強めることができるので、ブラシレスモータ40の回転力を高めることができる。
【0071】
(ニ)本発明の第二実施形態に係る電機子110では、図6に示すように、ティース113に形成された巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線114を巻線巻回部113aに多重巻回しても、外側に巻回された巻線部114−3によって内側に巻回された巻線部114−1,114−2が押し付けられる力を、巻線巻回部113aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0072】
これにより、外側の巻線114の押し付け力により、内側に巻回された巻線部114−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線114全体を巻線巻回部113aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0073】
(ホ)また、巻線巻回部113aがテーパ状に形成されることにより、外側に巻回された巻線部114−3には、テーパ斜面下側に向けて分力が働くので、内側に巻回された巻線部114−1,114−2は、コア本体112の半径方向外側に押えつけられる。
【0074】
これにより、内側に巻回された巻線部114−1,114−2の上から巻線114を重ねるようにして巻回するだけで、巻線114全体を密着させることができる。
【0075】
従って、巻線114を巻線巻回部113aに巻回した後に、治具等を用いて巻線114を押さえ込むようにして整列させる作業を不要とすることができるので、従来に比して作業工数を減らすことができる。
【0076】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。図7乃至図11は、本実施形態の改変例を示す図で、図7は電機子の第一改変例を示す説明図、図8は第一改変例に係る電機子をブラシレスモータに適用した例を示す説明図、図9は電機子の第二改変例を示す説明図、図10は電機子の第三改変例を示す説明図、図11は電機子の第四改変例を示す説明図である。なお、図7は、電機子を回転軸と平行な平面で切断した断面図である。
【0077】
(a)上記実施形態では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aは、軸方向の厚みが「厚みa」になるように均一に形成され、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
例えば、巻線巻回部は、図7に示すように形成されていても良い。すなわち、図7に示す電機子210において、ティース213に形成された巻線巻回部213aは、E−E断面およびF−F断面に示すように、幅が「幅g」になるように均一に形成され、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、「厚みi」から「厚みh」へと徐々に厚みが薄くなるようにテーパ状に形成されていても良い。
【0079】
このようにしても、テンションを掛けながら巻線214を巻線巻回部213aに多重巻回した際に、外側に巻回される巻線214によって内側に巻回された巻線部214−1,214−2が押し付けられる力を、巻線巻回部213aのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0080】
これにより、外側の巻線214の押し付け力により、内側に巻回された巻線部214−2の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線214全体を巻線巻回部213aにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0081】
また、巻線巻回部213aの厚みが、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に薄くなるように形成されているので、図8に示すように、本例における電機子210をブラシレスモータ40に適用した場合には、巻線214が巻回される位置を、巻線巻回部をストレートに形成した従来の電機子における基準線L2よりも基準線L1の位置まで下げることができる。
【0082】
これにより、アウターロータ31の底面31aとティース213とのクリアランスCを小さくすることが可能になるので、ブラシレスモータ40を偏平化することができる。
【0083】
また、本改変例に係る巻線巻回部213aは、幅が「幅a」になるように均一に形成され、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に厚みが薄くなるようにテーパ状に形成されていたが、図9に示す電機子210のように、ティース213に形成された巻線巻回部213aは、断面四角状に形成されると共に、電機子コア211の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に細くなるようにテーパ状に形成されていても良い。
【0084】
(b)上記実施形態では、図2に示すように、ティース13に形成された巻線巻回部13aが、電機子コア11の半径方向内側から外側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線14が巻線巻回部13aの半径方向外側の部分に集中的に巻回されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、図10に示す電機子310のように、ティース313に形成された巻線巻回部313aが、電機子コア311の半径方向外側から内側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線314が巻線巻回部313aの半径方向内側の部分に集中的に巻回されていても良い。
【0086】
また、図5に示すインナーロータ型のブラシレスモータに用いられる電機子110においても、巻線巻回部113aが、電機子コア111の半径方向外側から内側へ向かうに従って、徐々に幅が狭くなるようにテーパ状に形成され、巻線114が巻線巻回部113aの半径方向内側の部分に集中的に巻回されていても良い。
【0087】
(c)上記実施形態では、図2に示すように、巻線巻回部13aが、断面略四角形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、図11に示す電機子410のように、ティース413に形成された巻線巻回部413aは、コア本体側の部分における断面が電機子コア411の軸方向に長い楕円形で形成され、コア本体412とは反対側に向かうに従って、徐々にコア本体の接線方向に長い楕円形になるように形成されていても良い。また、巻線巻回部は、断面真円状や、断面多角形状に形成されていても良い。
【0089】
(d)上記実施形態では、図2に示すように、金属製の電機子コア11に形成された巻線巻回部13aに被膜が施された巻線14を巻回するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
例えば、巻線巻回部13aは、樹脂製のインシュレータ等によって周囲が覆われるように形成され、これによって巻線巻回部13aと巻線14との絶縁性が確保されるように構成されていても良い。このとき、巻線巻回部13aのテーパ形状は、前記インシュレータに形成されていても良い。
【0091】
また、巻線巻回部13aに絶縁紛体を静電塗装して固着させて、巻線巻回部13aと巻線14との絶縁性が確保されるように構成されていても良い。このとき、巻線巻回部13aのテーパ形状は、前記絶縁紛体による被膜層の厚みを変化させることによって形成されていても良い。
【0092】
(e)上記実施形態では、図2に示すように、巻線巻回部13aに巻線14が3重に巻回されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、巻線巻回部13aには、巻線14が5重に巻回されていても良い。このように巻線14が5重に巻回される場合には、第2重目,第4重目に巻回された巻線14がその上から巻回される巻線14によって崩されてしまうことを防止することができる。
【0093】
(f)上記実施形態では、巻線巻回部13aが一定のテーパ角度によってテーパ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、巻線巻回部13aの中央部を境にして、巻線巻回部13aの中央部よりも半径方向外側の部分と巻線巻回部13aの中央部よりも半径方向内側の部分とでは、異なるテーパ角度で形成されていても良い。
【0094】
(g)上記実施形態では、電機子10,110がブラシレスモータのステータに適用されるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、本発明の電機子は、ブラシ付きモータのロータに適用することができる。
【0095】
上記各実施の形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0096】
前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記コア本体側の部分における断面が電機子コアの軸方向に長い楕円形で形成されると共に、前記コア本体とは反対側に向かうに従って、徐々にコア本体の接線方向に長い楕円形になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
【0097】
このように形成されていても、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回された巻線によって内側に巻回された巻線が押し付けられる力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができるので、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができる。
【0098】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の電機子によれば、ティースの巻線が巻回される部分がティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線によって内側に巻回された巻線が押し付けられる力を、ティースのテーパ角度による合力によって低減させることができる。
【0099】
これにより、外側の巻線の押し付け力により、内側に巻回された巻線の整列状態が崩されてしまうことを防止することができるので、巻線をティースにきれいに整列させた状態に巻回することができる。
【0100】
また、本発明のモータによれば、上記電機子を用いているので、テンションを掛けながら巻線をティースに多重巻回する際に、外側に巻回される巻線による押し付け力によって、内側に巻回された巻線の整列状態が崩れてしまうことを防止することができ、巻線をティースにきれいに整列させて巻回することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電機子の構成を示す部分説明図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るティースの形状を示す説明図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る巻線に押し付け力が作用した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るモータの断面側面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電機子の構成を示す部分説明図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係るティースの形状を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る電機子の第一改変例を示す説明図である。
【図8】第一改変例に係る電機子をブラシレスモータに適用した例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る電機子の第二改変例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る電機子の第三改変例を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る電機子の第四改変例を示す説明図である。
【図12】従来の電機子の構成を示す部分説明図である。
【符号の説明】
10,110,210,310,410,510 電機子、11,111,211,311,411,511 電機子コア、12,112,412,512 コア本体、13,113,213,313,413,513 ティース、13a,113a,213a,313a,413a,513a 巻線巻回部、13b,113b 磁極部、14,114,214,314,514 巻線、14−1,14−2,14−3,114−1,114−2,114−3,514−1,514−2,514−3 巻線部、21 ホルダ部材、22 ホルダ部、23 シャフト、24 軸受、30 回転子、31 アウターロータ、31a 底面、32 磁石、40 ブラシレスモータ
Claims (5)
- 環状体からなるコア本体に突起状のティースが放射状に複数形成されてなる電機子コアと、前記ティースに巻回された巻線と、を有して構成された電機子であって、
前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記ティースの長手方向中心軸線に沿って幅又は厚みが変化するようにテーパ状に形成されていることを特徴とする電機子。 - 前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に細くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
- 前記ティースの前記巻線が巻回された部分は、前記電機子コアの半径方向内側から外側へ向かうに従って徐々に太くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
- 前記巻線は、直径0.8mm以上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電機子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電機子を用いたことを特徴とするモータ。
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JP2002224203A JP2004064982A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 電機子およびモータ |
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-07-31 JP JP2002224203A patent/JP2004064982A/ja not_active Withdrawn
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CN107636937A (zh) * | 2015-05-29 | 2018-01-26 | 电装多利牡株式会社 | 旋转电机 |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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