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JP2004063948A - フリップチップボンディング用ツール及びそれを用いたフリップチップボンディング装置 - Google Patents

フリップチップボンディング用ツール及びそれを用いたフリップチップボンディング装置 Download PDF

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JP2004063948A
JP2004063948A JP2002222579A JP2002222579A JP2004063948A JP 2004063948 A JP2004063948 A JP 2004063948A JP 2002222579 A JP2002222579 A JP 2002222579A JP 2002222579 A JP2002222579 A JP 2002222579A JP 2004063948 A JP2004063948 A JP 2004063948A
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Japan
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electronic component
tool
flip chip
aluminum nitride
bonding tool
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Takehisa Higa
比嘉 剛久
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Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】ボンディングツールの吸着面が摩耗、熱ストレスにより平面度が崩れ、電子部品の実装不良が起こるのを防止する。また、熱圧着工程を高速に行うために、熱サイクルと電子部品の吸着状態の画像解析を短時間化する。
【解決手段】フリップチップボンディング装置に用いるツール4を黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を熱圧着して基板にボンディングする熱ヘッドに用いられるフリップチップボンディング用ツール及びそれを用いたフリップチップボンディング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電子部品を基板にボンディングする方法として、熱圧着による方法が知られている。この方法は熱圧着ヘッドに備えるボンディングツールを用いて電子部品を基板に押圧しながら加熱させて、基板に半田付けもしくは樹脂接着剤などにより接着するものである。
【0003】
従来、フリップチップなどのバンプ付き電子部品を基板にボンディングするために、図3に示すような熱圧着ヘッド22を備えたフリップチップボンディング装置が使用されており、前記熱圧着ヘッド22の先端部は、ボンディングツール24とこのボンディングツール24に隣接したヒータ部27とで構成されている。そして、前記ボンディングツール24の吸着面25に電子部品Pを吸着保持し、認識カメラを用いて電子部品Pの吸着状態の画像と電子部品Pを実装する基板の画像をデータとして入力し、画像解析装置にて実装位置を調整したのち、熱圧着ヘッド22にて電子部品Pを基板に押圧し、ヒータ部27の熱サイクル温度を制御し、ボンディングツール24を通して電子部品Pを加熱させることにより熱圧着を行うようになっていた。
【0004】
従来、このようなボンディングツール24の部材はステンレススチールによるものが使用されていたが、ヒータ部27の温度を室温から約450℃へ5秒間に昇温させた直後に室温まで10秒間で冷却させるという熱サイクルを制御して熱圧着を繰り返し行っていた。これにより、ボンディングツール24は昇温と冷却による熱膨張と熱収縮を繰り返すことになり、ステンレススチールのような、線膨張係数の大きい材料(線膨張係数18.6×10−6/℃)は、膨縮を繰り返しているうちにストレスが溜まり、図3に示すように塑性変形して、ボンディングツール24の吸着面25の平面度が崩れる課題があった。
【0005】
また、ステンレススチールにて形成したボンディングツール24では、硬度の高くないので(ビッカース硬度8GPa)、電子部品Pの吸着と熱圧着を繰り返すことにより、吸着面25が電子部品Pとの摺動により磨耗して、ボンディングツール24の吸着面25の平面度が崩れる課題もあった。
【0006】
図3のように吸着面25の平面度が崩れると、真空吸引する際に、電子部品Pと吸着面25に隙間が生じて吸着力が低下する。また、吸着面25と電子部品Pとが点当りの接触になり、押圧の荷重のバランスが悪くなり、電子部品Pを均一に加圧できないので接続不良を起こす原因となる。
【0007】
また、熱圧着ヘッドを赤外線による加熱機構にし、ボンディングツールを赤外線透過部材にしたものが提案されている。(特開平05−335377号公報)この提案は、ボンディングツールを石英ガラスのような熱膨張が小さい(線膨張係数1.0×10−6/℃)、透過性の良い材料にて形成したものであるが、石英ガラスのような、硬度の高くない材料(ビッカース硬度5GPa)にて形成したものは、吸着面が電子部品との摺動により磨耗して、ボンディングツールの平面度が崩れる課題を満足していなかった。
【0008】
また、フリップチップ方式のボンディングに類似したTAB(テープオートメイティックドボンディング)方式が熱圧着の手法として知られている。図4にTAB方式による熱圧着ヘッドの構造を示すように、熱圧着ヘッド32の先端部は、ボンディングツール34とこのボンディングツール34に隣接したヒータ部37とで構成されている。そして、ボンディングツール34の平坦な先端面35にて電子を基板に押圧しヒータ部37を発熱させ、ボンディングツール34を通して電子部品を加熱させることにより熱圧着を行うようになっていた。
【0009】
TAB方式によるボンディングツールの部材として、ダイヤモンドまたはcBNなどを使用したものや、ダイヤモンド被膜を施したものが提案されている。(特開平03−191538号公報、特開平03−198360号公報、特開平05−67651号公報)
しかしながら、TAB方式による熱圧着の方法は、フリップチップ方式のボンディングと違い、熱圧着ヘッド32を高温に維持した状態で熱圧着を行うものであるため、熱圧着ヘッド32を所定温度(500〜600℃)まで昇温させて温度を維持すればよく、急加熱と急冷却の熱サイクルを繰り返し行う工程は無いので、熱圧着ヘッド32のボンディングツール34に熱膨張と熱収縮によるストレスが溜まる心配が無かった。
【0010】
また、TAB方式の熱圧着ヘッド32は電子部品を吸着しないので、ボンディングツール34には吸着穴を設ける必要が無く、フリップチップ方式のボンディングツール24とは構造が異なるものであった。
【0011】
また、フリップチップボンディング装置による熱圧着工程では、実装時間の高速化を確実に実現することが要望されている。
【0012】
実装時間の高速化のためには、可動ステージと熱圧着ヘッド22とを駆動させる速度を早くすることはもちろんで重要であるが、それ以外に、ボンディングツール24にて吸着保持した電子部品Pの吸着状態の画像解析工程を短時間に行うこと、熱圧着工程を短時間に行うことが課題であった。
【0013】
画像解析工程を短時間に行うためには、ボンディングツール24にて吸着保持した電子部品Pの吸着状態を高速で解析すれば良いことになるが、ボンディングツール24の吸着面25は、電子部品Pを安定して吸着保持し全体を均等に押圧させるために、電子部品Pの面積より大きくしてあり、この吸着面25の色調が白色系で反射が大きい状態であると、認識カメラによる画像データの解析において吸着面25と電子部品Pの境界がはっきり得られないので、認識エラーが生じて画像解析に時間が掛かっていた。更に、フリップチップボンディング装置は基本的に自動化されていることから、認識エラーが発生したとしても装置が稼動し続けるため、大量の電子部品が実装不良となってしまう恐れがあった。そのため、吸着面25の色調は黒色系で反射が少ないのもが望まれていた。
【0014】
また、熱圧着工程を短時間に行うためには、熱圧着ヘッド22のヒータ部27の熱をボンディングツール24へ効率良く伝達させることにより熱サイクル時間を短縮すれば良く、ボンディングツール24の部材には、熱伝導が良い材料が望まれていた。
【0015】
そのため、ボンディングツール24は、その吸着面25の色調が黒色系であり、熱伝導の良い材料である、ダイヤモンドやcBNにて形成すれば良いことになるが、ダイヤモンド(ビッカース硬度80GPa)やcBN(ビッカース硬度40GPa)のような硬度の高い材料は、吸着面25に設ける吸着穴26の加工が非常に困難であり、高価な部品となる問題が考えられた。
【0016】
また、ボンディングツール24の吸着面25に、色調が黒色系になるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)やTiCなどのセラミック膜を皮膜させれば良いが、ボンディングツール部材の線膨張係数と皮膜材質の線膨張係数には違いがあるので、前述した急加熱と急冷却の熱サイクルを繰り返し行う工程により黒色系のセラミック皮膜にはストレスが溜まり、皮膜が簡単に剥離することが考えられる。ボンディングツール24の吸着面25に施した皮膜が部分的に剥離すると、吸着面25の平坦度が崩れて上述の問題が起こると同時に、剥離部分を認識カメラによる画像データにて誤認することで認識エラーが起こり易くなる。そのため、黒色系のセラミック膜を皮膜する前に、線膨張係数が黒色系のセラミックス膜に近い材質にて応力緩和層を更に皮膜するなどの方法にて皮膜の剥離を防止させることが必要になるため、結果としてボンディングツール24は高価な部品となる問題が考えられた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、前記課題に鑑み、加熱を行うヒータ部と隣接し、先端に電子部品を吸着保持する吸着面を有するフリップチップボンディング用ツールにおいて、
前記ボンディングツールを黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したことを特徴とするフリップチップボンディング用ツールを提供する。
また、前記窒化アルミニウム質セラミックスは、窒化アルミニウムの含有量が91重量%以上であり、1.0重量%以下のMoOを含有するフリップチップボンディング用ツールを提供する。
さらに、前記窒化アルミニウム質セラミックスの熱伝導率を100W/m・K以上としたことを特徴とするフリップチップボンディング用ツールを提供する。
【0018】
一方、先端に電子部品を吸着保持する吸着面を有するボンディングツールと、該ボンディングツールに隣接するヒータ部とから成る熱圧着ヘッドを具備し、該熱圧着ヘッドに吸着保持した電子部品の状態を画像解析して実装位置を計測する位置計測手段と、該位置計測手段の結果に基づいて前記熱圧着ヘッドが回路基板に電子部品を搭載する位置を補正する位置補正手段とを有し、
該位置補正手段の結果に基づいて、前記熱圧着ヘッドが前記ヒータ部の熱サイクル温度を制御しながら回路基板に電子部品を熱圧着させるフリップチップボンディング装置において、
前記ボンディングツールを黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したことを特徴とするフリップチップボンディング装置を提供する。
【0019】
なお、前記電子部品が、シリコンウエハを用いた半導体チップであり、前記ボンディングツールの線膨張係数をシリコンウエハの線膨張係数と略一致させた構成でも良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係るフリップチップボンディング装置を示す斜視図である。図2は本発明のフリップチップボンディング用ツールが用いられる熱圧着ヘッドを示す図であり(a)は図1に示す熱圧着ヘッドのA視図で電子部品を吸着保持した状態を、(b)は(a)に示す熱圧着ヘッドの縦断面図を示している。
【0021】
図1に示すフリップチップボンディング装置1の構造について説明する。
フリップチップボンディング装置1は、ヘッド部Hとテーブル部Tを有している。
【0022】
ヘッド部Hは、回転制御を行う回転軸モータ10を有し、回転軸モータ10の回転軸14先端に取り付けられた熱圧着ヘッド2と、Z軸方向に上下に移動するZ軸シリンダ9と、その横に配置した回路基板Sの位置を認識する認識カメラ16とから構成されている。
【0023】
テーブル部Tは、X方向に移動するX軸ステージ11とY方向に移動するY軸ステージ12とから成る可動テーブル3と、可動テーブル3上には、それぞれ基板ホルダー13、電子部品供給部14、後述する熱圧着ヘッド2に吸着する電子部品Pの位置を計測する電子部品認識カメラ15、転写プレートを有する樹脂供給部(不図示)とから構成されている。
【0024】
また、熱圧着ヘッド2は、図2(a)、(b)に示すように先端に本発明のフリップチップボンディング用のツール4と、ヒータ部7と、断熱部8とからなり、中央に貫通する吸着穴6が形成されている。この吸着穴6は、図示していないバキューム装置に連結してあり、真空吸引することにより電子部品Pを吸着保持できる。
【0025】
次に、フリップチップボンディング装置1の動作について説明する。まず、実装する電子部品Pを配列させた電子部品供給部14が熱圧着ヘッド2の下方に位置するように可動テーブル3を左右移動させ、電子部品Pとツール4が接触する高さまで熱圧着ヘッド2を下降させる。そして、ツール4の吸着面5に設けた吸着穴6により電子部品Pを吸着して保持させる。
【0026】
次に、熱圧着ヘッド2を上昇させ、電子部品認識カメラ15が熱圧着ヘッド2の下方に位置するように可動テーブル3を左右移動して、ツール4に吸着させた電子部品Pの吸着状態の画像を入力する。その後、電子部品Pを実装する回路基板Sの下方に熱圧着ヘッド2が位置するように可動テーブル3を左右移動させ、基板認識カメラ16にて実装する回路基板Sの画像を入力する。
【0027】
入力した電子部品Pの吸着状態の画像データと回路基板Sの画像データを比較して位置計測手段にデータを送り、位置計測手段は画像データを解析して、電子部品Pと回路基板Sの相対的な位置ズレを検出し、位置補正手段にそのデータを送信する。この検出結果に従って位置補正手段は可動テーブル3及び回転軸モータ10を用いて位置補正を行う。
【0028】
そして、熱圧着ヘッド2を下降させることにより、電子部品Pを回路基板Sに50〜500MPaの圧力範囲で押圧し、このとき、ヒータ部7の温度を50℃から450℃へ5秒間の間に昇温させた直後に450℃から50℃まで10秒間にて冷却させる熱サイクルを発生させる方法により、ツール4を通して電子部品Pを加熱させて回路基板Sに熱圧着を行う。
【0029】
本発明は、上述のようにツール4に用いる材質として黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスが使用される。
【0030】
窒化アルミニウム質セラミックスは線熱膨張係数が一般的に5.0×10 /℃以下と小さいので、窒化アルミニウムにてツール4を形成することで、急加熱と急冷却の熱サイクルを繰り返してもストレスが溜まりにくく、ツール4の形状崩れが発生にくく、吸着面5の平面度を長期間に渡り維持することができる。なお、ツール4は、電子部品Pによく使用されるシリコンウエハで用いる場合には、その線膨張係数(3.5×10−6/℃)に近い、線膨張係数が2.0×10−6〜5.0×10−6/℃の範囲である窒化アルミニウムにて形成するのが好ましい。この理由としては、回路基板Sに電子部品Pを熱圧着する際に、ヒータ部7の温度を50℃から450℃の温度範囲に昇温・冷却する熱サイクルを発生させた時に生じるツール4の吸着面5の熱膨張量と電子部品Pの熱膨張量とが略一致するので、電子部品Pに応力歪みが発生しないからである。
【0031】
また、窒化アルミニウムは硬度が高いので、窒化アルミニウムにてツール4を形成することで、吸着面5が電子部品Pとの摺動により磨耗する心配がなく吸着面5の平面度を長期間に渡り維持することができる。なお、ツール4は、ビッカース硬度10GPa以上の硬度が高い窒化アルミニウムにて形成したものが好ましい。窒化アルミニウムは、高温特性にもすぐれているので、ヒータを昇温させた450℃付近での温度においても硬度が高い利点がある。同様に、窒化アルミニウムは高温強度が優れているので、曲げ強度250MPa以上と高い利点がある。
【0032】
そして、このような特徴を持つ黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したツール4の吸着面5の平面度は、ヒータ部7の温度を50℃から450℃へ5秒間の間に昇温させた直後に450℃から50℃まで10秒間にて冷却させる熱サイクルを100万回経過したのちでも吸着面5の平面度は1μm以下に維持することができる。
【0033】
ヒータ部7の熱がツール4を通り、電子部品Pへ効率良く熱伝達させるために、ツール4の厚みは10mm以下、更に好ましくは、2〜5mmの範囲であることが好ましい。
【0034】
本発明では、黒色系で反射しない窒化アルミニウム質セラミックスにてツール4の吸着面5を形成することで、認識カメラによる画像データの解析において吸着面5と電子部品Pの境界の識別が容易になるので、認識エラーが生じることが少なく、画像解析を短時間に行うことができる。なお、ツール4は、400〜1000nmの波長光に対する反射率が40%以下である黒色系の窒化アルミニウムで形成したものが好ましく、ツール4の吸着面5での反射を防ぐために、吸着面5の表面粗さは中心線表面粗さ(Ra)0.1〜1.0μmとしておけば良い。
【0035】
また、窒化アルミニウム質セラミックスは一般的に熱伝導が良く、窒化アルミニウムにてツール4を形成することで、ヒータ部7の熱をツール4へ効率良く伝達させ、熱サイクル時間を短縮することができる。従って、ボンディンツール4の熱伝導率は100W/m・K以上、更に好ましくは、熱伝導率が150〜250W/m・Kで熱伝導率が良い。100W/m・Kよりも低いとツール4に熱サイクルよるヒータ部7から伝わる熱が蓄熱することで、熱サイクルの冷却時間を短くすることができず、熱圧着の効率が悪くなる。
【0036】
窒化アルミニウム質セラミックスの色調は灰色が自然色であり、黒色系の窒化アルミニウムとするためにはMoOなどの黒色化剤を添加する。ただし黒色化剤を添加すると、不純物の介在により熱伝導率が急激に低下するため、窒化アルミニウム質セラミックスを上述の熱伝導率の範囲に形成するためには焼結体として窒化アルミニウムの含有量を91重量%以上で、MoOを1.0重量%以下とするのが好ましい。
【0037】
窒化アルミニウムの含有量が91重量%以下であると熱伝導率が100W/m・Kよりも低くなり、MoOが1.0重量%を越えると熱伝導率が100W/m・Kよりも低くビッカース硬度も10GPaより低くなってしまう。
【0038】
上述のような黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスを得るためには、窒化アルミニウム(AlN)の組成を93重量%以上とし、焼成助剤としてErを7.0重量%以下、黒色の着色剤としてMoOを1.0%以下の割合で添加したものとすれば良い。
【0039】
また、黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスを得る別の方法としては、窒化アルミニウム(AlN)、MoOは同様として焼成助剤を別のものに変更しても可能であり、焼成助剤としてCaOを1.0重量%以下、Dyを1.0重量%以下の割合で添加するか、焼成助剤としてBaOを1.0重量%以下、Dyを1.0重量%以下の割合で添加するか、もしくは、焼成助剤としてSrOを4.0重量%以下、Ybを1.0重量%以下の割合で添加するのが好ましい。
【0040】
なお、吸着面5に設ける吸着穴6はφ0.1〜2.0mmの大きさであり、吸着穴6の加工はツール4の部材の硬度が高くなるほど加工することが困難になるが、窒化アルミニウムを焼結する前の未焼成成形体にて吸着穴6をあらかじめ切削加工することで比較的安易に加工することができる。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す本発明のフリップチップボンディング装置1のツール4を黒色系の窒化アルミニウムにて製作して、フリップチップの電子部品Pを回路基板Sに熱圧着する実装試験を行った。
【0042】
本発明のツール4は、窒化アルミニウム(AlN)、Er、MoO、CaOを所定割合にて添加して精製した粉体を、プレス成形し、焼成による収縮率を考慮した寸法にて吸着穴を切削加工したのち、窒素を含む非酸化性雰囲気中にて1700℃の温度で常圧焼成し窒化アルミニウム質セラミックスを得たものである。
【0043】
このとき作成した窒化アルミニウム質セラミックスの窒化アルミニウム、MoO等を含有させることによる黒色に着色したもの(No.1、2、3、5)、着色しないもの(No.4)、黒色のアルミナ(No.6)、黒色の炭化珪素コーティングを施したステンレススチールを用いたもの(No.7)の資料をそれぞれ作製した。
【0044】
そして、図1に示すツール4の形状にそれぞれ研削、研磨加工することにより吸着面5を平坦に仕上げている。そしてこのように製作したツール4を無機接着剤にてそれぞれヒータ部7と接合させて製作した。
【0045】
なお、このようにして製作した本発明の実施例であるNo.1、2の窒化アルミニウム質セラミックスは、曲げ強度300MPa、線膨張係数4.2×10−6/℃、ビッカース硬度11GPa、熱伝導率150W/m・K、吸着面5の色調は色むらの無い黒色であり、400〜1000nmの波長光に対する反射率は25〜30%、吸着面5の表面粗さは中心線表面粗さ(Ra)0.25μm、吸着面の平面度は0.2μmとなっていた。
【0046】
そして、これらのツール4を用いて、ヒータ部7の温度を50℃から450℃へ5秒間の間に昇温させた直後に450℃から50℃まで10秒間にて冷却させる熱サイクル条件において電子部品Pを回路基板Sに実装させる熱圧着試験を行い、画像認識エラーとなるまでの処理回数と吸着面の平面度について測定を行った。また、その時の反射率も同時に測定した。各試料の特性およびそれぞれの結果は表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
Figure 2004063948
【0048】
この結果、No.6のツール4では、10万回の熱圧着で、炭化珪素コーティングが剥がれて吸着面5の平面度が崩れ、画像認識エラーが発生してしまった。また、No.3のツール4ではMoOを1.5重量%と多く含有しているために熱伝導率が低くなり、実装間隔の時間が長くなるという不具合が生じた。No.4のツール4では、灰色となっており画像認識に問題があり、度々認識エラーが生じてしまった。No.5の黒色のアルミナからなるツール4では、反射率が小さいことから画像認識性は向上するものの、熱サイクルによりツール4が蓄熱してしまい、熱圧着工程に支障が生じた。また、吸着面5の一部にクラックが生じて使用できなくなった。
【0049】
これに対し、本発明の黒色の窒化アルミニウムからなるNo.1、2のツール4は、反射率が40%以下であるために、画像認識不良が生じることなく、また、曲げ強度が250MPa以上、線膨張係数5.0×10 /℃以下、ビッカース硬度10GPa以上、熱伝導率100W/m・K以上を有するものであるため、吸着面5の摩耗もなく、熱伝導率も高く、100万回の熱圧着を繰り返しても画像認識エラーを生じることなく、確実に実装することができた。
(実験例2)
上述のNo.1のツール4を用いて、電子部品Pとして半導体ウエハを用いて、ヒータ部7の温度を50℃から450℃へ5秒間の間に昇温させた直後に450℃から50℃まで10秒間にて冷却させる熱サイクル条件において電子部品Pを回路基板Sに実装させる熱圧着試験を行い、画像エラーとなるまでの処理回数と吸着面5の平面度について測定を行った。比較例としてNo.3のもので、半導体ウエハと熱伝導率がことなるもので実装をおこなった。
【0050】
その結果、No.3のボンディングツールではヒータ部7による蓄熱が発生したため、電子部品Pを十分に冷却することができなくなり、熱圧着不良が発生した。しかし、No.1のツール4はこの様なことはなく良好であった。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフリップチップボンディング用のツール及びそれを用いたフリップチップボンディング装置によれば、加熱を行うヒータ部と隣接し、先端に電子部品を吸着保持する吸着面を有するフリップチップボンディング用ツールにおいて、前記ボンディングツールを黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したたために、位置計測を光学式の画像解析装置にて行う場合、ボンディングツールの吸着面での光の反射を抑え、電子部品の形状やその一部を高速かつ確実に認識して所定位置に位置決めできるとともに、熱圧着を繰り返したとしても、吸着面の摩耗が少ないため100万回以上の長期間使用においても平面度が1μm以下となり、画像認識エラーを生じることなく確実に実装することが可能である。
【0052】
また、ボンディングツールの熱伝導が良いので、熱圧着の熱サイクルを短時間に短縮することができ、以て熱圧着工程の時間短縮が可能となるものである。
【0053】
更に、上述の電子部品は、シリコンウエハを搭載した半導体チップが用いられるとともに、ボンディングツールの線膨張係数をシリコンウエハの線膨張係数と略一致したものを用いることで、熱圧着による電子部品への応力歪みが少なくなり実装が安定するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフリップチップボンディング装置を示す斜視図である。
【図2】本発明のフリップチップボンディング用ツールが用いられる熱ヘッドを示す図であり、図1に示す熱圧着ヘッドをA方向から見たときの、(a)は電子部品を吸着保持した状態図で、(b)は(a)に示す熱圧着ヘッドの縦断面図である。
【図3】従来のフリップチップボンディング装置の熱圧着ヘッドを用いて電子部品を吸着保持した概略を示す模式図である。
【図4】TAB方式の熱圧着ヘッドの概略構造を示す図である。
【符号の説明】
1…フィリップチップボンディング装置
2…熱圧着ヘッド
3…可動ステージ
4…ボンディングツール
5…吸着面
6…吸着穴
7…ヒータ部
P…電子部品
S…回路基板

Claims (5)

  1. 加熱を行うヒータ部と隣接し、先端に電子部品を吸着保持する吸着面を有するフリップチップボンディング用ツールにおいて、
    前記ボンディングツールを黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したことを特徴とするフリップチップボンディング用ツール。
  2. 前記窒化アルミニウム質セラミックスは、窒化アルミニウムの含有量が91重量%以上であり、1.0重量%以下のMoOを含有することを特徴とする請求項1記載のフリップチップボンディング用ツール。
  3. 前記窒化アルミニウム質セラミックスの熱伝導率を100W/m・K以上としたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフリップチップボンディング用ツール。
  4. 先端に電子部品を吸着保持する吸着面を有するボンディングツールと、該ボンディングツールに隣接するヒータ部とから成る熱圧着ヘッドを具備し、該熱圧着ヘッドに吸着保持した電子部品の状態を画像解析して実装位置を計測する位置計測手段と、該位置計測手段の結果に基づいて前記熱圧着ヘッドが回路基板に電子部品を搭載する位置を補正する位置補正手段とを有し、
    該位置補正手段の結果に基づいて、前記熱圧着ヘッドが前記ヒータ部の熱サイクル温度を制御しながら回路基板に電子部品を熱圧着させるフリップチップボンディング装置において、
    前記ボンディングツールを黒色系の窒化アルミニウム質セラミックスにて形成したことを特徴とするフリップチップボンディング装置。
  5. 前記電子部品が、シリコンウエハを用いた半導体チップであり、前記ボンディングツールの線膨張係数をシリコンウエハの線膨張係数と略一致させたことを特徴とする請求項5記載のフリップチップボンディング装置。
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