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JP2004061629A - 機能性素子の製造方法 - Google Patents

機能性素子の製造方法 Download PDF

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JP2004061629A
JP2004061629A JP2002216752A JP2002216752A JP2004061629A JP 2004061629 A JP2004061629 A JP 2004061629A JP 2002216752 A JP2002216752 A JP 2002216752A JP 2002216752 A JP2002216752 A JP 2002216752A JP 2004061629 A JP2004061629 A JP 2004061629A
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JP
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layer
photocatalyst
functional
substrate
energy
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Application number
JP2002216752A
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English (en)
Inventor
Hironori Kobayashi
小林 弘典
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】製造が容易であり、かつ高精細な機能性部を二重に有する機能性素子の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、第一機能性部用露光部を形成する工程と、(2)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、(3)前記第一機能性部が形成された前記特性変化層と前記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、第一機能性部の周囲にパターン状にエネルギー照射し、第二機能性部用露光部を形成する工程と、(4)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部露光部に第二機能性部を形成する工程とを有する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば封止材で封止される機能性素子や、光導波路等に用いられる、高精度で製造が容易な機能性部を二重に有する機能性素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによる機能性素子の製造方法が知られている。
【0003】
また、例えば、封止材や光導波路等の、機能性部上に、その機能性部を覆うように他の種類の機能性部を有するような二重構造の機能性素子の製造は、第一機能性部を形成した後に第二機能性部を形成するという、上記フォトリソグラフィーによるパターン形成を2回行う必要があり製造工程が多く、複雑となり、また高精度な装置を必要とすることからコストがかかるという問題があった。また、第二機能性部形成時のフォトマスクの位置調整等が難しく、高精細なパターンの形成が困難であった。また、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のことから、製造が容易であり、かつ高精細な機能性部を二重に有する機能性素子の製造方法の提供が望まれている。
【0005】
【課題が解決するための手段】
本発明は請求項1に記載するように、
(1)エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板とを、前記光触媒含有層および前記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(2)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(3)前記第一機能性部が形成された前記特性変化層と前記光触媒含有層側基板とを、前記光触媒含有層および前記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、第一機能性部の周囲にパターン状にエネルギー照射し、第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有することを特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0006】
本発明によれば、光触媒含有層側基板を用いて第一機能性部を形成するパターン状に、エネルギーの照射を行うことより、エネルギー照射部の特性変化層の特性が変化することから、エネルギー未照射部との特性の差を利用して、容易に第一機能性部を形成することが可能となるのである。次に、この第一機能性部が形成された特性変化層上に、光触媒含有層側基板を用いて第二機能性部を形成するパターン状にエネルギー照射することにより、第一機能性部の周囲に、パターン状に特性が変化した領域が得られる。上記と同様に、この特性が変化した領域と、エネルギー未照射の領域との特性の差を利用して、第一機能性部の周囲、かつ第一機能性部を覆うように特性変化層の特性が変化した第二機能性部用露光部を容易に形成することが可能となるのである。これにより、高精細な機能性部を二重に有する機能性素子を形成することが可能となる。
【0007】
また、上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、上記特性変化層が、基板上に形成されていることが好ましい。本発明においては、特性変化層が自己支持性を有しており、基板を必要としないものであってもよいが、特性変化の感度が良好な材料は通常、自己支持性を有しているものが少なく、基材上に塗布膜として形成する必要がある場合が多い。したがって、上述したように、基板上に形成された特性変化層とすることが好ましいのである。
【0008】
上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、前記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることが好ましい。上記光触媒含有層が、光触媒のみからなる層であることにより、特性変化層の特性を変化させる効率を向上させることが可能であり、効率的に機能性素子を製造することができるからである。
【0009】
上記請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基材上に成膜してなる層であることが好ましい。上記光触媒を真空製膜法により形成することにより、表面の凹凸が少なく均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であり、特性変化層の特性が変化したパターンの形成を均一に、かつ高効率で行うことができるからである。
【0010】
上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項5に記載するように、前記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であってもよい。上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることにより、光触媒含有層の形成が容易であり、結果的に低コストで機能性素子の製造を行うことができるからである。
【0011】
上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項6に記載するように、前記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、また請求項7に記載するように、中でも前記光触媒が酸化チタン(TiO)であることが好ましい。これは二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性も少なく、また入手も容易であるからである。
【0012】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、前記エネルギー照射が、光触媒含有層を加熱しながらなされることが好ましい。上記エネルギー照射時に光触媒含有層を加熱することにより、光触媒の効果を高めることが可能となり、短時間で効率的にエネルギー照射を行うことが可能となるからである。
【0013】
上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記特性変化層の表面に、前記光触媒含有層を間隙をおいてエネルギー照射する際に、前記光触媒含有層と、前記特性変化層表面との間隔を、0.2μm〜10μmの範囲内とすることが好ましい。上記間隙を上記範囲内とすることにより、特性変化層の特性をより効果的に変化させることが可能となるからである。
【0014】
上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項10に記載するように、前記特性変化層が、光触媒を含まない層であることが好ましい。上記特性変化層が光触媒を含有する必要がないことから、機能性部が経時的に光触媒の影響を受けることを阻止することが可能となるからである。
【0015】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層であることが好ましい。上記特性変化層が濡れ性変化層であることにより、エネルギーが照射された領域を親液性領域、エネルギーが未照射である領域を撥液性領域とすることが可能となり、第一機能性部および第二機能性部を、機能性部形成用組成物等により容易に形成することが可能となるからである。
【0016】
上記請求項11に記載の発明については、請求項12に記載するように、前記濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギー照射されていない部分において10°以上であり、エネルギー照射された部分において9°以下であることが好ましい。上記濡れ性変化層のエネルギー照射されていない部分の液体との接触角が、10°以下である場合は、撥液性が不十分であり、エネルギー照射された部分の液体との接触角が、10°以上である場合には、インク等の機能性部形成用組成物の広がりが劣る可能性があるからである。
【0017】
上記請求項11または請求項12に記載の発明においては、請求項13に記載するように、前記濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることが好ましい。本発明において、濡れ性変化層に要求される特性としては、エネルギー照射されていない場合は撥液性であり、エネルギー照射された場合は接触する光触媒含有層中の光触媒の作用により親液性となるといった特性である。このような特性を濡れ性変化層に付与する材料として、オルガノポリシロキサンを用いることが好ましいからである。
【0018】
上記請求項13に記載の発明については、請求項14に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル基を含有するものであれば、エネルギー照射部分とエネルギー未照射部分との濡れ性の差を大きくすることが可能となるからである。
【0019】
上記請求項13または請求項14に記載された発明においては、請求項15に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性を発揮することができるからである。
【0020】
上記請求項11から請求項15までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項16に記載するように、前記濡れ性変化層が自己支持性を有するものであってもよい。濡れ性変化層が自己支持性を有するものであれば、基材等を用いる必要がなく、例えば市販の樹脂製フィルムを用いれば、容易に機能性素子を製造することができるからである。
【0021】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項17に記載するように、前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に分解除去される分解除去層であることが好ましい。上記特性変化層が、分解除去層であることにより、エネルギー照射により分解除去層表面に凹凸を有するパターンを形成することが可能となるからである。
【0022】
上記請求項17に記載の発明においては、請求項18に記載するように、前記分解除去層に対する液体の接触角が、前記分解除去層が分解除去された際に露出する基板に対する液体の接触角と異なるものであることが好ましい。上記分解除去層の液体との接触角が、基板の液体との接触角と異なることにより、この濡れ性の差を利用してより容易に機能性素子を形成することが可能となるからである。
【0023】
上記請求項17または請求項18に記載の発明においては、請求項19に記載するように、前記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることが好ましい。上記分解除去層が上記の膜であることにより、欠陥のない均一な膜を形成することが可能となるからである。
【0024】
上記請求項17から請求項19までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項20に記載するように、前記基板上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であり、かつ前記分解除去層上において10°以上であることが好ましい。上記分解除去層および上記基板上の濡れ性が、上記範囲であることにより、エネルギーが照射されて基板が露出した領域を親液性領域、エネルギーが未照射であり、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、この濡れ性の差を利用して容易に機能性部を形成することができるからである。
【0025】
また、本発明は請求項21に記載するように、基板と、前記基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、前記特性変化層上にパターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子を提供する。本発明によれば、特性変化層の特性の変化に沿って機能性部を形成することが可能となり、結果的に低コストな機能性素子とすることが可能となるからである。また、特性変化層に光触媒を含有する必要がないことから、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性がなく、高品質な機能性素子とすることが可能である。
【0026】
上記請求項21に記載の発明については、請求項22に記載するように、特性変化層が濡れ性変化層であることが好ましい。上記特性変化層が濡れ性変化層であることにより、機能性素子の形成をエネルギー照射部と未照射部の濡れ性の差を利用して、より容易に機能性素子を形成することが可能となるからである。
【0027】
さらに、本発明は、請求項23に記載するように、基板と、前記基板上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去層と、前記基板上の前記分解除去層が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部の周囲であり、かつ前記基板上の前記分解除去層が分解除去された領域に、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子を提供する。本発明によれば、分解除去層がエネルギー照射により分解されることから、エネルギー照射部と、エネルギー未照射部の凹凸を利用して機能性部を形成することが可能となることから、製造が容易であり、結果的に低コストな機能性素子とすることが可能となる。さらに、分解除去層に光触媒を含有する必要がないことから、機能性部が経時的に光触媒の影響を受ける可能性を低くすることが可能であり、高品質な機能性素子とすることが可能となる。
【0028】
上記請求項21から請求項23までのいずれかの請求項に記載の発明については、請求項24に記載するように、第二機能性部が封止材であってもよい。上記第二機能性部が封止材であり、上記の機能性素子であることにより、低コストで高精細な封止材を有する機能性素子とすることが可能となるからである。
【0029】
また、本発明は、上記請求項21から請求項23までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の第一機能性部がコア層であり、第二機能性部がクラッド層であることを特徴とする光導波路を提供する。光導波路が上記機能性素子であることにより、高精細なパターンを有する機能性素子とすることが可能となるからである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明は、機能性素子の製造方法、および機能性素子に関するものである。以下、これらについて説明する。
【0031】
A.機能性素子の製造方法
本発明の機能性素子の製造方法は、
(1)エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板とを、上記光触媒含有層および上記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、第一機能性部用露光部を形成する工程と、
(2)上記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
(3)上記第一機能性部が形成された上記特性変化層と上記光触媒含有層側基板とを、上記光触媒含有層および上記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、第一機能性部の周囲にパターン状にエネルギー照射し、第二機能性部用露光部を形成する工程と、
(4)上記第一機能性部を覆うように上記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
を有することを特徴とする機能性素子の製造方法である。
【0032】
本発明は、例えば図1に示すように、まず、基板1と基板1上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層2とを有する機能性素子側基板3と、基材4とその基材4上に形成された光触媒を含有する光触媒含有層5とを有する光触媒含有層側基板6とを用意し、この機能性素子側基板3の特性変化層2と、光触媒含有層側基板6の光触媒含有層5とを、所定の間隙をおいて配置し、フォトマスク7を用いて第一機能性部を形成するパターン状にエネルギー8を照射する(図1(a))。これにより、エネルギー照射を受けた特性変化層2の特性が変化し、この特性が変化した第一機能性部用露光部9に、エネルギー未照射部との特性の差を利用して、第一機能性部10を形成する(図1(b))。さらに、この第一機能性部10が形成された特性変化層2と、上記光触媒含有層5とを所定の間隙をおいて配置し、第一機能性部10が形成された周囲に、第二機能性部を形成するパターン状にフォトマスク7を用いてエネルギー8を照射する(図1(c))。これにより、上記と同様に、エネルギー照射された部分の特性変化層の特性が変化する。よって特性が変化した第二機能性部用露光部11上、かつ第一機能性部を覆うように第二機能性部12を形成することが可能となるのである(図1(d))。
【0033】
以下、これらの各工程について、それぞれ説明する。
【0034】
1.第一機能性部用露光部形成工程
本発明の第一機能性部用露光部形成工程は、例えば図1(a)に示すように、基板1と基板1上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層2とを有する機能性素子側基板3と、基材4とその基材4上に形成された光触媒を含有する光触媒含有層5とを有する光触媒含有層側基板6を用意し、この機能性素子側基板3の特性変化層2と、光触媒含有層側基板6の光触媒含有層5とを、所定の間隙をおいて配置し、フォトマスク7を用いて第一機能性部を形成するパターン状にエネルギー8を照射する工程である。これらの第一機能性部用露光部形成工程の各構成について説明する。
【0035】
(機能性素子側基板)
本発明における機能性素子側基板とは、特性変化層中に機能性部が未だ形成されていない状態の製造途中の機能性素子を示すものであり、特性変化層を有するものである。以下、これらの機能性素子側基板の各構成について説明する。
【0036】
(1)特性変化層
まず、本発明における特性変化層について説明する。本発明の特性変化層とは、後述する光触媒含有層の作用により特性が変化する層であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどのポリマー材料等を用いることにより、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により、極性基が導入されたり、表面の状態が粗い状態となったりして種々の物質との接着性が向上するようにした層を特性変化層としてもよい。このように特性変化層を接着性が変化する接着性変化層とすることにより、エネルギー照射により接着性の良好なパターンを形成することが可能となり、機能性部を容易に形成することが可能となるからである。
【0037】
また、本発明における特性変化層は、自己支持性を有するものであっても、自己支持性のないものであってもよい。なお、本発明でいう自己支持性を有するとは、他の支持材無しで有形な状態で存在し得ることをいうこととする。特性変化層が自己支持性を有するものである場合には、特性変化層を後述する基板上に形成する必要がなく、市販の樹脂製フィルムを用いることが可能であり、コスト面で有利であるといえる。
【0038】
しかしながら、特性が大幅に変化する材料で形成される特性変化層は、通常自己支持性のある材料が少なく、このような自己支持性のない材料においては、上記特性変化層を基板上に形成することが必要である。また、特性変化層を基板上に形成することにより、強度等が増し、様々なパターン形成体として使用することが可能となる。
【0039】
上述した特性変化層を基板上に形成する方法としては、乾式法、すなわち真空蒸着法等により形成されたものであってもよく、また湿式法、すなわちスピンコート法やディップコート法等の方法により形成されたものであってもよい。
【0040】
このように、特性変化層は光触媒の作用により変化する種々の特性を有する層であれば特に限定されないのであるが、本発明においては中でも特性変化層が光触媒の作用により濡れ性が変化して濡れ性によるパターンが形成される濡れ性変化層である場合、および特性変化層が光触媒の作用により分解除去され凹凸によるパターンが形成される分解除去層である場合の二つの場合が、特に得られる機能性素子等の関係からより本発明の有効性を引き出すものであるので好ましい。
【0041】
なお、本発明に用いられる特性変化層は、上述したように光触媒の作用により特性の変化する層であれば特に限定されるものではないが、特に、光触媒を含まない層であることが好ましい。このように濡れ性変化層内に光触媒が含まれなければ、その後機能性素子として用いた場合に、経時的な光触媒の影響を心配する必要がなく、長期間に渡り問題なく使用することが可能だからである。
【0042】
以下、この濡れ性変化層および分解除去層について説明する。
【0043】
a.濡れ性変化層
本発明における濡れ性変化層は、上記光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する層であれば特に限定されるものではないが、一般にはエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、その濡れ性変化層表面における液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層であることが好ましい。
【0044】
このように、エネルギー照射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とすることにより、パターン状にエネルギー照射を行うことにより容易に濡れ性をパターン状に変化させ、液体との接触角の小さい親液性領域のパターンを形成することが可能となり、この親液性領域に機能性部形成用組成物を付着させることにより、容易に機能性素子を形成することができる。したがって、効率的に機能性素子が製造でき、コスト的に有利となるからである。
【0045】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、例えば機能性部形成用組成物等に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上述した機能性部形成用組成物等に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0046】
なお、本発明においては、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上低い場合には親液性領域、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上高い場合には撥液性領域とすることとする。
【0047】
ここで、上記エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部形成用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。
【0048】
また、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射していない部分、すなわち撥水性領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。これは、エネルギー照射していない部分は、本発明においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用組成物が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0049】
また、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射した部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用組成物の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
【0050】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0051】
また、本発明において上述したような濡れ性変化層を用いた場合、この濡れ性変化層中にフッ素が含有され、さらにこの濡れ性変化層表面のフッ素含有量が、濡れ性変化層に対しエネルギー照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記濡れ性変化層が形成されていてもよい。
【0052】
このような特徴を有する濡れ性変化層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性領域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
【0053】
したがって、このような濡れ性変化層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、この親液性領域のみに機能性部を形成することが容易に可能となり、低コストで品質の良好な機能性素子とすることができる。
【0054】
上述したような、フッ素を含む濡れ性変化層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギー照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。
【0055】
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分とエネルギー未照射部分との濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような濡れ性変化層に機能性部を形成することにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度良く機能性素子を得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
【0056】
このような濡れ性変化層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy,ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0057】
このような濡れ性変化層に用いられる材料としては、上述した濡れ性変化層の特性、すなわちエネルギー照射により接触する光触媒含有層中の光触媒により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0058】
上記の(1)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0059】
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
【0060】
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH;および
CF(CFSON(C)CCHSi(OCH
【0061】
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、濡れ性変化層のエネルギー未照射部の撥液性が大きく向上し、例えば機能性素子がカラーフィルタである場合における画素部着色用のインクといった機能性部形成用組成物の付着を妨げる機能を発現する。
【0062】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0063】
【化1】
Figure 2004061629
【0064】
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0065】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0066】
本発明においては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々の材料を濡れ性変化層に用いることができるのであるが、上述したように、濡れ性変化層にフッ素を含有させることが、濡れ性のパターン形成に効果的である。したがって、光触媒の作用により劣化・分解しにくい材料にフッ素を含有させる、具体的にはオルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させて濡れ性変化層とすることが好ましいといえる。
【0067】
本発明における濡れ性変化層には、さらに界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0068】
また、濡れ性変化層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0069】
このような濡れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基板上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより濡れ性変化層を形成することができる。
【0070】
本発明において、この濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μmから1μmであることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0071】
また、上述したように、本発明の濡れ性変化層は自己支持性を有する材料であってもよく、自己支持性を有する材料としては、上述した材料を成膜したものが自己支持性を有するものであれば、これを用いることも可能であるが、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルフロライド、アセタール樹脂、ナイロン、ABS、PTFE、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリ弗化ビニリデン、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン等を挙げることができる。
【0072】
(分解除去層)
次に分解除去層について説明する。本発明に用いられる分解除去層は、エネルギー照射された際に光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された部分の分解除去層が分解除去される層であれば、特に限定されるものではない。
【0073】
このように分解除去層は、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
【0074】
なお、この分解除去層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
【0075】
また、本発明に用いられる分解除去層は、凹凸を形成するのみならず、この分解除去層が、上記基板表面と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去され、基板が露出した領域を親液性領域、上記分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、種々のパターンを形成することが容易となるからである。
【0076】
ここで、上記エネルギー照射により基板が露出した領域である親液性領域と、エネルギー未照射の残存する分解除去層からなる領域である撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部形成用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。
【0077】
また、本発明の分解除去層表面の液体との接触角は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の値を示すことが好ましい。
【0078】
また、本発明において、特性変化層が分解除去層である場合には、後述する基板が親液性であることが好ましく、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。
【0079】
分解除去層および基板の濡れ性が、上記範囲内であることにより、基板が露出した領域を親液性領域、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、高精細なパターンの形成が容易となるからである。ここで、液体との接触角は、上述した方法により測定した値である。
【0080】
この場合、後述する基板は表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、基板上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。本発明においては、通常基板が露出した部分が親液性領域とされる。
【0081】
上記のような分解除去層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
【0082】
また、本発明においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
【0083】
ここで、本発明に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0084】
(i)自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self−Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533−1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基板表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基板表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基板表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本発明は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0085】
(ii)ラングミュア−ブロジェット膜
本発明に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir−Blodgett Film)は、基板上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644−647
(2001)に詳しく述べられている。
【0086】
(iii)交互吸着膜
交互吸着膜(Layer−by−Layer Self−Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基板上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430−442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0087】
また、分解除去層の膜厚としては、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0088】
(2)基板
次に、本発明における基板について説明する。本発明においては、上記特性変化層が自己支持性のない材料である場合、また分解除去層である場合に、例えば図1に示すように、基板1上に特性変化層2が設けられる。
【0089】
この基板としては、上述した特性変化層が形成されるものであれば、特に限定されるものでなく、機能性素子の用途に応じて、可撓性を有するものであっても、可撓性を有さないものであってもよい。
【0090】
また、特に材料等は限定されるものではなく、必要に応じて種々の材料を用いることができる。具体的には、ガラス、アルミニウム、およびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を挙げることができる。
【0091】
(光触媒含有層側基板)
次に、本発明に用いられる光触媒含有層側基板について説明する。例えば図1(a)に示すように、本発明の機能性素子の製造方法に用いられる光触媒含有層側基板6は、少なくとも基材4と光触媒含有層5とを有するものであり、通常は基材4上に所定の方法で形成された薄膜状の光触媒含有層5が形成されてなるものである。また、この光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された遮光部が形成されたものも用いることができ、この遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層が形成されたものも用いることができる。以下、これらの各構成について説明する。
【0092】
(1)光触媒含有層
本発明に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、対象とする特性変化層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
【0093】
本発明において用いられる光触媒含有層は、例えば図2(a)に示すように、光触媒含有層側基板6の基材4上に、光触媒含有層5が全面に形成されたものであってもよいが、例えば図3に示すように、光触媒含有層側基板6の基材4上に光触媒含有層5がパターン上に形成されたものであってもよい。
【0094】
このように光触媒含有層をパターン状に形成することにより、後述するエネルギー照射工程において説明するように、光触媒含有層を特性変化層と所定の間隔をおいて配置させてエネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いるパターン照射をする必要がなく、全面に照射することにより、特性変化層上に特性の変化したパターンを形成することができる。
【0095】
この光触媒含有層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソ法等により行うことが可能である。
【0096】
また、実際に光触媒含有層に面する特性変化層上の部分のみの特性が変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒含有層と特性変化層とが面する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
【0097】
このように光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが光触媒含有層近傍に配置される特性変化層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
【0098】
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0099】
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0100】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0101】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0102】
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
【0103】
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化層上の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
【0104】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化層上の特性を変化させることが可能となる。
【0105】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0106】
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0107】
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0108】
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0109】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0110】
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0111】
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0112】
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0113】
(2)基材
次に、本発明における光触媒含有層側基板の基材について説明する。本発明においては、例えば図2(a)に示すように、光触媒含有層側基板6は、少なくとも基材4とこの基材4上に形成された光触媒含有層5とを有するものである。この際、用いられる基材を構成する材料は、後述するエネルギー照射工程におけるエネルギーの照射方向や、得られる機能性素子が透明性を必要とするか等により適宜選択される。
【0114】
後述するように光触媒含有層側基板に遮光部を予め所定のパターンで形成しておき、この遮光部を用いてパターンを形成する場合や、パターンの形成を図2(b)に示すように、光触媒含有層側基板6側に、フォトマスク7を用いてパターンの形成を行う場合には、光触媒含有層側基板6側からエネルギー照射をする必要がある。このような場合、基材4は透明性を有するものであることが必要となる。
【0115】
一方、機能性素子側基板にフォトマスクを配置してエネルギーを照射することも可能である。このような場合においては、基材の透明性は特に必要とされない。
【0116】
また本発明に用いられる基材は、可撓性を有するもの、例えば樹脂性フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。これは、後述するエネルギー照射工程におけるエネルギー照射方法により適宜選択されるものである。
【0117】
このように、本発明における光触媒含有層側基板に用いられる基材は特にその材料を限定されるものではないが、本発明においては、この光触媒含有層側基板は、繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒含有層との密着性が良好である材料が好適に用いられる。具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
【0118】
なお、基材表面と光触媒含有層との密着性を向上させるために、基材上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
【0119】
(3)遮光部
次に、本発明における光触媒含有層側基板の遮光部について説明する。本発明に用いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された遮光部が形成されたものを用いても良い。このように遮光部を有する光触媒含有層側基板を用いることにより、エネルギーをパターン状に照射するのに際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
【0120】
このような遮光部を有する光触媒含有層側基板は、遮光部の形成位置により、下記の二つの実施態様とすることができる。
【0121】
一つが、例えば図4に示すように、光触媒含有層側基板6の基材4上に遮光部13を形成し、この遮光部13上に光触媒含有層5を形成する実施態様である。もう一つは、例えば図5に示すように、光触媒含有層側基板6の基材4上に光触媒含有層5を形成し、その上に遮光部13を形成する実施態様である。
【0122】
いずれの実施態様においても、フォトマスクを用いる場合と比較すると、遮光部が、上記光触媒含有層と特性変化層とが間隙をもって位置する部分の近傍に配置されることになるので、基材内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができることから、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
【0123】
さらに、上記光触媒含有層上に遮光部を形成する実施態様においては、光触媒含有層と特性変化層とを所定の間隙をおいて配置する際に、この遮光部の膜厚をこの間隙の幅と一致させておくことにより、上記遮光部を、一定の上記間隙を保つためのスペーサとしても用いることができるという利点を有する。
【0124】
すなわち、所定の間隙をおいて上記光触媒含有層と特性変化層とを接触させた状態で配置する際に、上記遮光部と特性変化層とを密着させた状態で配置することにより、上記所定の間隙を正確とすることが可能となり、そしてこの状態で光触媒含有層側基板からエネルギーを照射することにより、特性変化層上にパターンを精度良く形成することが可能となるのである。
【0125】
このような遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
【0126】
このような本発明の遮光部の形成方法はとしては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【0127】
また、上記遮光部としては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよく、本発明においては、この樹脂性遮光部であることが好ましい。このような樹脂性遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができ、一般的に金属薄膜を用いた場合より、厚さを高くすることが可能である。
【0128】
また、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0129】
なお、上記説明においては、遮光部の形成位置として、基材と光触媒含有層との間、および光触媒含有層表面の二つの場合について説明したが、その他、基材の光触媒含有層が形成されていない側の表面に遮光部を形成する態様も採ることが可能である。この態様においては、例えばフォトマスクをこの表面に着脱可能な程度に密着させる場合等が考えられ、機能性素子を小ロットで変更するような場合に好適に用いることができる。
【0130】
(4)プライマー層
次に、本発明の光触媒含有層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本発明において、上述したように基材上に遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒含有層を形成して光触媒含有層側基板とする場合においては、上記遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成してもよい。
【0131】
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成することにより、プライマー層は光触媒の作用による特性変化層の特性変化を阻害する要因となる遮光部および遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で特性変化の処理が進行し、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
【0132】
なお、本発明においてプライマー層は、遮光部のみならず遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
【0133】
図6はこのようなプライマー層を形成した光触媒含有層側基板の一例を示すものである。光触媒含有層側基板6の遮光部13が形成された基材4の遮光部13が形成されている側の表面にプライマー層14が形成されており、このプライマー層14の表面に光触媒含有層5が形成されている。
【0134】
本発明におけるプライマー層は、光触媒含有層側基板の遮光部と光触媒含有層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
【0135】
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0136】
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
【0137】
(エネルギー照射)
本発明においては、上述した光触媒含有層および特性変化層を200μm以下の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーを照射する。この際、光触媒含有層および特性変化層を密着させてもよい。
【0138】
本発明において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって特性変化の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の機能性素子側基板に対して特に有効である。
【0139】
一方、例えば300mm×300mmといった大面積の機能性素子側基板に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒含有層側基板と機能性素子側基板との間に形成することは極めて困難である。したがって、機能性素子側基板が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して特性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに特性変化層上の特性変化のムラが発生しないといった効果を有するからである。
【0140】
このように比較的大面積の機能性素子側基板をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒含有層側基板と機能性素子側基板との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒含有層側基板と機能性素子側基板とが接触することなく配置することが可能となるからである。
【0141】
上述したように、光触媒含有層と特性変化層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層と特性変化層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に特性の変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が特性変化層に届き難くなり、この場合も特性の変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
【0142】
本発明においては、このような間隙をおいた配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
【0143】
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒含有層と特性変化層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が特性変化層表面に及ばないことから、このスペーサを上述したパターンと同様のパターンを有するものとすることにより、特性変化層上に所定のパターンを形成することが可能となる。
【0144】
本発明においては、このようなスペーサを一つの部材として形成してもよいが、工程の簡略化等のため、上記光触媒含有層側基板の欄で説明したように、光触媒含有層側基板の光触媒含有層表面に形成することが好ましい。なお、上記光触媒含有層側基板調製工程における説明においては、遮光部として説明したが、本発明においては、このようなスペーサは特性変化層表面に光触媒の作用が及ばないように表面を保護する作用を有すればよいものであることから、特に照射されるエネルギーを遮蔽する機能を有さない材料で形成されたものであってもよい。
【0145】
なお、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、光触媒含有層による特性変化層表面の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0146】
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0147】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0148】
上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
【0149】
ここで、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化層表面が光触媒含有層中の光触媒の作用により特性変化層表面の特性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
【0150】
またこの際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0151】
本発明におけるエネルギー照射方向は、光触媒含有層側基板側からであってもよく、また機能性素子側基板側からであってもよい。ここで、光触媒含有層側基板に遮光部が形成されている場合は、光触媒含有層側基板側からエネルギー照射が行なわれる必要があり、かつこの場合は光触媒含有層側基板が照射されるエネルギーに対して透明である必要がある。なお、この場合、光触媒含有層上に遮光部が形成され、かつこの光触媒含有層側遮光部を上述したようなスペーサとしての機能を有するように用いた場合においては、エネルギー照射方向は光触媒含有層側基板側からでも機能性素子側基板側からであってもよい。
【0152】
さらに、光触媒含有層がパターン状に形成されている場合におけるエネルギー照射方向は、光触媒含有層と特性変化層とが接触する部分にエネルギーが照射されるのであればいかなる方向から照射されてもよい。同様に、上述したスペーサを用いる場合も、接触する部分にエネルギーが照射されるのであればいかなる方向から照射されてもよい。ここで、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射されることが必要である。
【0153】
上述したようなエネルギー照射が終了すると、光触媒含有層側基板が特性変化層との配置位置から離され、これにより図1(b)に示すように特性が変化した第一機能性部用露光部9がパターン状に特性変化層2上に形成される。
【0154】
2.第一機能性部形成工程
次に、本発明における第一機能性部形成工程について説明する。本発明における第一機能性部形成工程は、例えば図1(b)に示すように、上述した第一機能性部用露光部形成工程において、特性変化層2上のエネルギー照射により特性が変化した第一機能性部用露光部9に、第一機能性部10を形成する工程である。この際、第一機能性部用露光部9の特性の変化した領域と、エネルギー未照射部の特性変化層2上の特性未変化領域との特性の差を利用して、容易に第一機能性部を形成することが可能となるのである。
【0155】
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
【0156】
このような機能性部の第一機能性部用露光部のパターンに対応した部位への配置は、例えば親液性領域および撥液性領域の濡れ性の差を利用した方法や、密着性の差を利用した方法等が挙げられる。上記の中でも特に上述した特性変化層が濡れ性変化層または分解除去層である場合の、濡れ性の差を利用した方法であることが、機能性部形成用組成物等を用いて容易に第一機能性部を形成することが可能であること等から好ましい。
【0157】
本発明に用いられる機能性部形成用組成物としては、上述したように機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであるが、例えば、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。また、機能性部形成用組成物としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。さらに、後述するように、この第一機能性部上に第二機能性部を形成することから、第一機能性部を形成する機能性部形成用組成物は、親液性であることが好ましい。これにより、第二機能性部を均一に第一機能性部上に形成することが可能となるからである。また、第一機能性部を形成後、その表面を親液性とするように親液性処理を施してもよい。これにより、第二機能性部を第一機能性部上に均一に形成することが可能となるからである。
【0158】
本発明に用いられる機能性部形成用組成物としては、第一機能性部用露光部に付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、また第一機能性部用露光部上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部形成用組成物の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
【0159】
このような機能性素子の形成方法を具体的に説明すると、機能性部形成用組成物は、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて機能性素子上に形成された親液性領域のパターン上に機能性部を形成する。中でもノズル吐出手段を用いることが好ましく、特にインクジェット法であることが好ましい。
【0160】
また、上記の特性変化層が分解除去層であり、第一機能性部用露光部であるエネルギー照射部とエネルギー未照射部との特性の差が分解除去層の有無による凹凸のみである場合には、第一機能性部はノズル吐出法により形成することが好ましい。
【0161】
本実施態様において、好ましい第一機能性部としては、光導波路のコア層、ハードコート材により保護されるマイクロレンズ、絶縁層により被覆される金属配線等が挙げられる。
【0162】
3.第二機能性部用露光部形成工程
次に、第一機能性部が形成された特性変化層上に、第二機能性部用露光部を形成する工程について説明する。本発明における第二機能性部用露光部を形成する工程は、例えば図1(c)に示すように、光触媒含有層側基板6の光触媒含有層5と、特性変化層2とを所定の間隙をおいて配置し、フォトマスク7を用いて、第一機能性部10の周囲の第二機能性部を形成するパターン状に、エネルギー8を照射する。このエネルギー照射により、例えば図1(d)に示すように、エネルギー8を照射した第二機能性部用露光部11が特性変化領域とされ、エネルギー未照射である特性変化層2上は、特性未変化領域となる。この特性の差を利用して、容易に第二機能性部12を形成することが可能となるのである。
【0163】
ここで、本発明における、第一機能性部の周囲とは、例えば図7に示すように、第二機能性部用露光部12が第一機能性部10の全ての周りを囲むものであるものや、図8または図9に示すように、第一機能性部10の一部の周りを囲むものであるものも含むものとする。また、図10に示すように、第一機能性部の両側に第二機能性部用露光部が形成されたものであってもよい。
【0164】
なお、本工程におけるエネルギーやこのパターン照射、さらにはパターン形成等については、第一機能性部用露光部形成工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0165】
4.第二機能性部形成工程
次に、第二機能性部を形成する工程について説明する。本発明において、第二機能性部形成工程は、例えば図1(d)に示すように、上述した第二機能性部用露光部形成工程で特性変化領域とされた第二機能性部用露光部11に第二機能性部12を、第一機能性部10の周囲、かつ第一機能性部10を覆うように形成する工程である。これにより、機能性部が二重に形成された機能性素子とすることが可能となるのである。この機能性部の種類や、形成方法は特に限定されるものではなく、第一機能性部形成工程で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0166】
ここで、本実施態様における、第二機能性部としては、封止材、光導波路のクラッド層、マイクロレンズのハードコート材、金属配線を覆う絶縁層等が挙げられ、中でも封止材、光導波路のクラッド層であることが好ましい。
【0167】
まず、第二機能性部が封止材である場合には、第一機能性部形成工程で形成した第一機能性部を封止することができ、高精細なパターンで第一機能性部を封止することが可能となるからである。
【0168】
また、機能性素子が光導波路である場合には、第一機能性部をコア層、第二機能性部をクラッド層とすることが可能となり、光導波路を容易に、かつ高精細に製造することができるからである。
【0169】
B.機能性素子
次に、本発明の機能性素子について説明する。本発明の機能性素子は、2つの態様がある。まず、第一の態様としては、例えば図11に示すように、基板1と、上記基板1上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化層2と、上記特性変化層2上にパターン状に形成された第一機能性部10と、上記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部12とを有することを特徴とする機能性素子である。基板上に光触媒の作用により特性変化層を有することにより、エネルギー照射により特性が変化した領域と、エネルギー未照射である特性未変化領域との、特性の差を利用して機能性素子を容易に形成することが可能であることから、結果的に低コストで高精細な機能性素子を形成することが可能である。また、上記の機能性素子においては、特性変化層中に光触媒を含有する必要がないことから、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性がなく、高品質な機能性素子とすることが可能となるのである。
【0170】
また、この第一の態様においては、特性変化層が濡れ性変化層であることが好ましく、これにより、機能性素子の形成をエネルギー照射領域と、エネルギー未照射領域との濡れ性の差を利用して機能性素子を形成することが可能となることから、より容易に機能性素子を形成することが可能となるのである。ここで、上記エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部形成用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。また、本態様の機能性素子における撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
【0171】
さらに、本態様の機能性素子における親液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として、9°以下であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、中でも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下であることが好ましい。
【0172】
本発明の機能性素子の第二の態様は、基板と、上記基板上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去層と、上記基板上の上記分解除去層が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部と、上記第一機能性部の周囲であり、かつ上記基板上の上記分解除去層が分解除去された領域に、上記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子である。この第二の態様では、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層が基板上に形成されていることから、エネルギー照射された領域と、エネルギー未照射の領域との凹凸を利用して機能性素子を形成することが可能となるのである。また、この際、分解除去層が分解除去されて露出する基板上と、分解除去層上との液体との接触角が異なることが好ましく、この場合には、分解除去層の有無による凹凸のみではなく、この濡れ性の差を利用することが可能となり、より容易に機能性素子を形成することが可能となるのである。具体的には、エネルギー照射により基板が露出した領域である親液性領域と、エネルギー未照射の残存する分解除去層からなる領域である撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部形成用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。
【0173】
また、分解除去層からなる撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
【0174】
また、基板からなる親液性領域は、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。
【0175】
本発明における第一機能性部と第二機能性部は同じ機能性部であってもよく、異なる機能性部であってもよいが、異なる機能性部であることが一般的な機能発現上は好ましいといえる。
【0176】
ここで、本発明の上記の機能性素子を具体的に用いた機能性素子としては、第二機能性部を封止材とする機能性素子が挙げられ、例えば図7に示すように、まず、特性変化層上2にパターン上に第一機能性部10を形成する。次にその第一機能性部10が形成された部位の周囲を取り囲むようにエネルギー照射を行い第二機能性部用露光部11を形成する。この第二機能性部用露光部11上、かつ第一機能性部10を覆うように封止材である第二機能性部を形成する。これにより、高精細な封止材で封止された機能性素子とすることが可能となるのである。
【0177】
また、上記の封止材の他に、第一機能性部がマイクロレンズであり、第二機能性部がそのマイクロレンズを保護するハードコート材である機能性素子や、第一機能性部が金属配線であり、第二機能性部がその金属配線を外部から遮蔽する絶縁層である機能性素子等が挙げられる。
【0178】
なお、本発明の機能性部、光触媒含有層、基材、エネルギー等の各構成および工程については、上述した機能性素子の製造方法の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0179】
C.光導波路
また、本発明は上述した機能性素子を光導波路とすることが可能である。光導波路は、光を導波するコア層と、そのコア層を覆うように形成されるコア層より屈折率の小さいクラッド層とを有する構造である。このことから、本発明の機能性素子が光導波路として用いられる場合において、上記の機能性素子の第一機能性部としてコア層が用いられ、第二機能性部が上部クラッド層として用いられる。
【0180】
ここで、本発明の機能性素子には、上述したように2つの態様があり、上記機能性素子の第一の態様においては、例えば図11に示すように第一機能性部であるコア層10は、特性変化層2上に形成され、第二機能性部であるクラッド層12が、そのコア層10を覆うように形成される。また、上記機能性素子の第2の態様においては、例えば図12に示すように第一機能性部であるコア層10は、基板1上に形成され、第二機能性部であるクラッド層12が、そのコア層10を覆うように形成される。このことから、上述したコア層と直接接触する特性変化層、または基板が本発明の光導波路において下部クラッド層として用いられる。これらの光導波路における各構成について説明する。
【0181】
まず、本発明の機能性素子が光導波路として用いられる場合にその表面に直接コア層が形成される部位であり、特性変化層および基板のいずれかが該当する下部クラッド層について説明する。本発明における下部クラッド層として用いられる材料は、上記の機能性素子の製造方法において説明した特性変化層および基板に用いられるものと同様であるので、ここでの説明は省略するが、上述した材料の中でも屈折率が1.1〜1.7の範囲内、中でも1.1〜1.5の範囲内であることが下部クラッド層としての機能性を果たす面から好ましい。さらに、後述するコア層と屈折率の差が0.03以上あることが好ましい。
【0182】
次に、本発明の機能性素子の第一機能性部として形成されるコア層について説明する。本発明によれば、上記の機能性素子の項で述べたように、上述した上記クラッド層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化したパターンや凹凸が形成されたパターンを利用して、容易にコア層を形成することが可能である。このようなコア層を形成するための材料としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、酸化ケイ素等が挙げられる。これらの材料をスピンコート法やディップコート法等の各種コーティング法やインクジェット法等のノズル吐出法、蒸着法および無電解メッキ法等を材料の特性に応じて選択し、コア層を形成する。選択する材料の種類や混合比率により屈折率を制御することが可能である。
【0183】
ここでコア層の形状に関しては、通常コア層内を導波する光のモード等を考慮して決定する。導波光としては、一般に赤外光を用いることから、コア層の頂部から底部までの膜厚が、0.8〜300μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内が好ましい。またコア層底部の幅は0.8〜300μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内が好ましい。上記範囲内のコア層とすることにより、コア層内を滞りなく光が導波し、効率の良好な光導波路を得ることができるからである。また、コア層の屈折率が1.1〜1.7の範囲内、好ましくは1.4〜1.7の範囲内とすることが好ましい。
【0184】
次に、第二機能性部として、上記コア層が形成された周囲、かつコア層を覆うように上部クラッド層が形成される。本発明によれば、上記の機能性素子の項で述べたように、第二機能性部である上部クラッド層を形成する領域に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性の異なるパターンや凹凸を有するパターンを形成することが可能であり、容易に上部クラッド層を形成することが可能となるのである。本発明における上部クラッド層は、コア層表面を被覆するような形状であれば、特に限定はされない。
【0185】
また、光導波路における上部クラッド層の役割としては、光導波路の光伝送損失を抑制することの他に、外部からの応力等による悪影響の防止や、光導波路端面を切断して端面研磨する際、高い寸法精度の加工を可能とすること等を挙げることができる。
【0186】
本発明において上部クラッド層は、透明性を有する材料で形成されている場合と、不透明である場合とのいずれの態様であってもよい。
【0187】
上部クラッド層が透明性を有する材料で形成されている場合に用いられる材料としては、例えば、シリコン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、酸化珪素、UV硬化型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド、ポリイミド、ポリカーボネイト―MMA、重水素化ポリフルオロメタクリレート等を挙げることができる。
【0188】
これらの材料は例えば蒸着法等により付着させることも可能であるが、好ましい方法としては、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の各種コーティング法やインクジェットなどの吐出法等により、塗工液とした上記材料を塗布することによって上部クラッド層を形成する方法を挙げることができる。また選択する材料の種類や材料の混合比率によって屈折率を容易に変化させることができるため、コア層の屈折率に応じて屈折率差を制御した上部クラッド層の形成が可能である。
【0189】
本発明において上部クラッド層の屈折率は1.1〜1.7の範囲内、好ましくは1.4〜1.7の範囲内であることが好ましい。上部クラッド層の屈折率を上記範囲内とすることにより、光伝送損失の一要因である吸収損失を効果的に防止することができるからである。また、上部クラッド層とコア層との屈折率の差は、0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。上記範囲程度にコア層の屈折率がクラッド層の屈折率よりも高ければ、吸収損失による光伝送損失を効率よく防止でき伝送効率の良好な光導波路が製造できるからである。
【0190】
なお、本発明の基材、エネルギー等の各構成および工程については、上述した機能性素子の製造方法の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0191】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0192】
例えば、上記説明においては、機能性素子の機能性部は二重構造を有するものであったが、本発明においては、機能性部を二重に有する機能性素子に限定されるものではなく、二重構造を有する機能性素子にさらに複数層の機能性部を同様にして形成した多重に機能性部を有する機能性素子も含まれるものとする。
【0193】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0194】
[実施例1]
1.光触媒含有層側基板の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈しプライマー層用組成物とした。
【0195】
上記プライマー層用組成物をフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明なプライマー層(厚み0.2μm)を形成した。
【0196】
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと光触媒無機コーティング剤であるST−K03(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
【0197】
上記光触媒含有層用組成物をプライマー層が形成されたフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0198】
2.濡れ性変化層の形成
イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製)0.4gとトリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと0.5規定塩酸2.5gを混合し8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより100倍に希釈し濡れ性変化層用組成物とした。
【0199】
上記濡れ性変化層用組成物を透明基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な濡れ性変化層(厚み0.1μm)を形成した。
【0200】
3.第1機能性部用露光部の形成
光触媒含有層側基板と濡れ性変化層とを100μmのギャップを設けて対抗させて、フォトマスク側から超高圧水銀灯(波長365nm)により40mW/cmの照度で60秒間露光し、濡れ性変化層上に親液性領域からなる第1機能性部用露光部をパターン状に形成した。
【0201】
このとき、未露光部及び第1機能性部用露光部と表面張力40mN/mの液体(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、70°と7°であった。
【0202】
4.光導波路コア層の形成
上記親液性の第1機能性部用露光部にポリメタクリル酸メチルのN−メチル−2ピロリドン溶液をディップコート法にて塗布し、これを250℃で30分間乾燥硬化させた。
【0203】
5.第2機能性部用露光部の形成
上記コア層を形成した基板にコア部の周囲にパターン状に上記3同様に露光し、第2機能性部用露光部を形成した。
【0204】
6.光導波路クラッド層の形成
上記親液性の第2機能性部用露光部及び第1機能性部上にポリスチレンのシクロヘキサノン溶液をディップコート法にて塗布し、これを250℃で30分間乾燥硬化させた。
【0205】
[実施例2]
1.光触媒含有層側基板の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈しプライマー層用組成物とした。
【0206】
上記プライマー層用組成物をフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明なプライマー層(厚み0.2μm)を形成した。
【0207】
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと光触媒無機コーティング剤であるST−K03(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
【0208】
上記光触媒含有層用組成物をプライマー層が形成されたフォトマスク基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0209】
2.分解除去層の形成
カチオン性高分子であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA、平均分子量100,000−200,000、アルドリッチ)、アニオン性高分子であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(PSS、平均分子量70,000、アルドリッチ)をガラス基材上に交互吸着させ厚さを約2nmとした。
【0210】
3.第1機能性部用露光部の形成
光触媒含有層側基板と分解除去層とをアライメントをとり50μmのギャップを設けて対抗させて、フォトマスク側から超高圧水銀灯(波長365nm)により40mW/cmの照度で120秒間露光し、分解除去層を分解除去し露出したガラス基材からなる第1機能性部用露光部をパターン状に形成した。
【0211】
このとき、未露光部及び画素部形成部と表面張力40mN/mの濡れ指数標準液(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、30°と6°であった。
【0212】
4.金属配線の形成
上記親液性の第1機能性部用露光部に銀コロイド溶液(濃度30%)をディップコート法にて塗布し、これを500℃で60分間乾燥硬化させた。
【0213】
5.第2機能性部用露光部の形成
上記金属配線を形成した基板に金属配線の周囲にパターン状に上記3同様に露光し、第2機能性部用露光部を形成した。
【0214】
6.絶縁層の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈し絶縁層用組成物とした。
【0215】
上記絶縁層用組成物を上記親液性の第2機能性部用露光部及び第1機能性部上にディップコート法にて塗布し、これを400℃で30分間乾燥硬化させた。
【0216】
【発明の効果】
本発明によれば、光触媒含有層側基板を用いて第一機能性部を形成するパターン状に、エネルギーの照射を行うことより、エネルギー照射部の特性変化層の特性が変化することから、エネルギー未照射部との特性の差を利用して、容易に第一機能性部を形成することが可能となるのである。次に、この第一機能性部が形成された特性変化層上に、光触媒含有層側基板を用いて第二機能性部を形成するパターン状にエネルギー照射することにより、第一機能性部の周囲に、パターン状に特性が変化した領域が得られる。上記と同様に、この特性が変化した領域と、エネルギー未照射の領域との特性の差を利用して、第一機能性部の周囲、かつ第一機能性部を覆うように特性変化層の特性が変化した第二機能性部用露光部を容易に形成することが可能となるのである。これにより、高精細な機能性部を二重に有する機能性素子を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能性素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の光触媒含有層側基板の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第二機能性部用露光部の一例を示す平面図である。
【図8】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す平面図である。
【図10】本発明の第二機能性部用露光部の他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の機能性素子の一例を示す概略断面図である。
【図12】本発明の機能性素子の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 基板
2 … 特性変化層
3 … 機能性素子側基板
4 … 基材
5 … 光触媒含有層
6 … 光触媒含有層側基板
7 … フォトマスク
8 … エネルギー
9 … 第一機能性部用露光部
10… 第一機能性部
11… 第二機能性部用露光部
12… 第二機能性部
13… 遮光部
14… プライマー層

Claims (25)

  1. (1)エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板とを、前記光触媒含有層および前記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、第一機能性部用露光部を形成する工程と、
    (2)前記第一機能性部用露光部に第一機能性部を形成する工程と、
    (3)前記第一機能性部が形成された前記特性変化層と前記光触媒含有層側基板とを、前記光触媒含有層および前記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、第一機能性部の周囲にパターン状にエネルギー照射し、第二機能性部用露光部を形成する工程と、
    (4)前記第一機能性部を覆うように前記第二機能性部用露光部に第二機能性部を形成する工程と
    を有することを特徴とする機能性素子の製造方法。
  2. 前記特性変化層が、基板上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能性素子の製造方法。
  3. 前記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性素子の製造方法。
  4. 前記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基材上に成膜してなる層であることを特徴とする請求項3に記載の機能性素子の製造方法。
  5. 前記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性素子の製造方法。
  6. 前記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  7. 前記光触媒が酸化チタン(TiO)であることを特徴とする請求項6記載の機能性素子の製造方法。
  8. 前記エネルギー照射が、光触媒含有層を加熱しながらなされることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  9. 前記特性変化層の表面に、前記光触媒含有層を間隙をおいてエネルギー照射する際に、前記光触媒含有層と、前記特性変化層表面との間隔を、0.2μm〜10μmの範囲内とすることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  10. 前記特性変化層が、光触媒を含まない層であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  11. 前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  12. 前記濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギー照射されていない部分において10°以上であり、エネルギー照射された部分において9°以下であることを特徴とする請求項11に記載の機能性素子の製造方法。
  13. 前記濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の機能性素子の製造方法。
  14. 前記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項13記載の機能性素子の製造方法。
  15. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の機能性素子の製造方法。
  16. 前記濡れ性変化層が自己支持性を有することを特徴とする請求項11から請求項15までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  17. 前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  18. 前記分解除去層に対する液体の接触角が、前記分解除去層が分解除去された際に露出する基板に対する液体の接触角と異なるものであることを特徴とする請求項17に記載の機能性素子の製造方法。
  19. 前記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の機能性素子の製造方法。
  20. 前記基板上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であり、かつ前記分解除去層上において10°以上であることを特徴とする請求項17から請求項19までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  21. 基板と、前記基板上に形成された光触媒の作用により特性が変化する特性変化層と、前記特性変化層上にパターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子。
  22. 前記特性変化層が濡れ性変化層であることを特徴とする請求項21に記載の機能性素子。
  23. 基板と、前記基板上に形成された光触媒の作用により分解除去される分解除去層と、前記基板上の前記分解除去層が分解除去された領域に、パターン状に形成された第一機能性部と、前記第一機能性部の周囲であり、かつ前記基板上の前記分解除去層が分解除去された領域に、前記第一機能性部を覆うように形成された第二機能性部とを有することを特徴とする機能性素子。
  24. 第二機能性部が封止材であることを特徴とする請求項21から請求項23までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  25. 請求項21から請求項23までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の第一機能性部がコア層であり、第二機能性部がクラッド層であることを特徴とする光導波路。
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