【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ流体デバイス内の毛細管状の流路中で反応、分離処理、分析などを行なうと共に、このデバイスの積層した部材を剥離して、流路中の試料を採取したり検出処理等をするマイクロ流体デバイスの使用方法及びそのマイクロ流体デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のマイクロ流体デバイスは、内部に細い毛細管状の流路を有し、流路を合成や分析の場として用いるデバイスであって、マイクロ・フルイディック・デバイス、ラボ・オン・チップ、あるいはマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μTAS)などとも呼ばれる。マイクロ流体デバイスは、化学、生化学、物理化学用などの微小反応デバイス(マイクロ・リアクター)や、集積型DNA分析デバイス、電気泳動デバイス、クロマトグラフィーデバイスなどの微小分析デバイスとして使用されるが、電気泳動デバイスとして特に有用である。
マイクロ流体デバイスは、シリコン、石英、ガラス、有機ポリマーなどの一部材の表面にエッチング法などにより細い溝を形成し、この溝形成面である表面にガラス板などの別部材を、ネジ止め、接着、融着(熔着)などにより固定あるいは固着させて流路を外部から仕切って形成する方法が知られている。
例えば「アナリティカル・ケミストリー」第70巻第3553頁(1998年)に開示されているような、ネジ止めなどにより複数の部材を固定してなるマイクロ流体デバイスでは、必要に応じてネジ操作によって別部材Bを取り外して一部材の溝を外部に露出させ、溝中の内容物を例えば採取することが出来る。しかしながらこの方法は、二つの部材間の接触面の密着が不完全になり易く、部材間から漏洩を生じがちであった。また、微小な構造の位置合わせが困難であることや、たわみのない強固な部材が必要なためにデバイスを薄く微小化することが困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、表面に流路となる溝を有する一部材とカバー部材とを接着や融着により固着したマイクロ流体デバイスは、接着剤等による流路の閉塞が生じやすいという問題はあるものの、例えば本発明者らによる特開平2000−214132号公報、特開平2000−248076号公報に開示されているように、この問題を解決すれば、部材間からの漏洩の恐れもなく、微小なマイクロ流体デバイスの製造が容易であった。
しかしながら、このようなカバー部材が固着されたマイクロ流体デバイスは、必要な時にカバー部材をはずし、試料を採取するなどの操作が不可能であった。例えば、マイクロ流体デバイスが電気泳動デバイスである場合には、泳動スポットの染色、サザンブロット、分離スポットの採取などの要望があるにもかかわらず、これらの操作が不可能であった。
また「Maicromosaic Immunoassaya」(Anal.Chem、2001,73,8−12:第8〜10頁参照)によれば、DNAマイクロアレーの製造方法として次の技術が開示されている。即ち、一方向に溝を形成したシリコンラバーをガラス基板上に押しつけて指で押圧した(gentle manual pressure)状態で、溝を流路として反応液を流し、次いでシリコンラバーを取り外して溝が先の流路と直交する方向になるようにしてシリコンラバーを再びガラス基板に押しつけて指で押した状態で別の反応液を流し、再度シリコンラバーを取り外して二種の反応液流路の交差部のガラス基板上にそれぞれ異なる塩基配列のDNAを固相合成できることになっている。
しかしながら、この技術はマイクロ流体デバイスに関する技術ではなく、DNAマイクロアレーの製造用装置にすぎない。即ち、流路中の試料を採取又は検出するものではない。しかもこの装置では、シリコンラバーは、反応液をガラス板の特定部位に選択的に一時的に接触させ、他の部分には接触させないための一種のマスキング部材であるため、二つの部材は互いに固着されていない。そのため、流路の接合面から反応液が漏洩し易く、二つの部材で形成された流路に反応液を加圧によって流す際に指でシリコンラバーを押していなければならず、またガラス板の所定の部位に特定の塩基配列を有するDNAを合成するためには、異なる方向に溝が形成されたシリコンゴムラバーを多数回繰り返して脱着する必要があった。このように操作性や作業性も悪かった。
【0004】
本発明は、このような実情に鑑みて、複数の部材を接合して形成された毛細管状の流路中で漏洩を生じることなく試料の処理等をできると共に、この流路から試料を採取または検出できるようにしたマイクロ流体デバイスの使用方法及びマイクロ流体デバイスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ねて、次のような手段を採用した。
即ち、本発明によるマイクロ流体デバイスの使用方法は、第一部材の表面に溝を形成すると共に第一部材の表面に第二部材が固着されて、第一部材の溝と第二部材とで仕切られた毛細管状の試料の流路を形成してなり、第二部材を第一部材の表面から剥離して前記流路から試料を採取または検出するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、第一部材の溝を形成した表面に第二部材を固着することで流路を仕切って形成し、この流路内で試料を分離させたり反応や分析する際に試料が漏洩したりすることがなく、また複数の流路を形成した場合でも一体に形成できて第一部材等を置き換える必要もない。そして流路中の試料の採取や分析等のために流路を外部に露出させるには第二部材を第一部材から剥離させることで達成できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係るマイクロ流体デバイス及びその使用方法は、第一部材Aの流路となるべき溝を有する表面である溝形成面に第二部材Bが固着されて、溝と第二部材Bで毛細管状の流路が形成されたものである。固着方法は任意であり、接着、粘着、またはその両者の併用であり得る。なお、本発明で言う接着とは、固着されている両部材A,Bの接触部位が固体状であり、一度剥離するとそのままでは再び固着しないものをいい、粘着とは、固着されている両部材A,Bの接触部位が高粘度の流体状またはゲル状等の粘着性を示す状態であり、一度剥離してもそのままで再び固着させることが可能なものをいう。
接着は、接着剤による接着;溶剤による部材表面の一部溶解と溶剤揮発による固着;融着(熔着);オンサイト重合(in−situ重合)による部材形成と同時の固着などであり得る。接着剤は任意であり、溶剤型接着剤;熱硬化型接着剤;活性エネルギー線硬化型接着剤;溶融型(ホットメルト)接着剤:水分硬化型接着剤等が使用できる。
融着は、固着すべき両部材A,Bの少なくとも一方の部材の少なくとも表面部分を溶融させて、この溶融部分の冷却固化により固着するものをいい、熱融着;超音波融着;高周波融着;インサート射出成型等であり得る。オンサイト重合による部材形成と同時の固着は、未硬化樹脂または半硬化樹脂から成る部材原体を相手の部材に接触させ、活性エネルギー線や熱などにより重合させると同時に固着させる方法である。これらの中で、活性エネルギー線硬化型接着剤または溶融型接着剤が、密着強度の制御が容易であり好ましく、また活性エネルギー線硬化性組成物を用いたオンサイト重合による固着が、工程数が少なく流路を閉塞する恐れも少ないため好ましい。
粘着は、粘着剤の塗布;部材表面が粘着性の素材の使用;部材全体が粘着性の素材の使用等であり得る。粘着による固着は、固着される両部材A,Bの一方が粘着性で他方が非粘着性であっても、両部材A,Bが粘着性であっても良いが、一方が粘着性で他方が非粘着性であることは密着強度の制御が容易であり、剛性のあるマイクロ流体デバイスを形成できることから好ましい。
【0007】
本発明によるマイクロ流体デバイスの使用方法は、マイクロ流体デバイス中に形成された毛細管状の流路中の試料に、電気泳動、クロマトグラフィー、濾過、晶析、蒸発乾固など任意の分離、析出処理を行った後に、第一部材Aと第二部材Bを剥離して流路中の分離または析出した試料を外部に露出させて採取または検出処理するものである。マイクロ流体デバイス中での処理は電気泳動であることが、特に有用であり好ましい。
流路中の試料は、第一部材Aの溝中に保持された状態で剥離されることが好ましいが、第二部材Bに付着して剥離されてもよい。どちらの部材に付着した状態で剥離するかは、第一部材Aと第二部材Bの素材の違い、表面処理法の違い、剥離の仕方などによって制御できる。剥離後の試料の採取方法は任意であり、掻き出し、吸引、転写などであり得るし、また、検出処理は光学的測定、反応、分析などの検出処理であり得る。特に、流路中で電気泳動を行った後の泳動スポットの採取や、泳動スポットのサザンブロット、呈色反応、呈蛍光反応などの検出処理であることが特に有用であり好ましい。
【0008】
剥離方法は任意であり、両部材の離間方向への引張り、両部材の固着面へのナイフエッジの挿入や「こじり」などによる押し広げ、両部材間への圧空の吹きつけ、両部材間への液体の注入や侵入等であり得るが、流路中の試料保持の点から引張りまたは押し広げが好ましい。
引張りによる剥離は、両部材A,Bが共に剛直であってもよいし、第一部材Aと第二部材Bの一方または両方が柔軟なフィルム状(シート状などの厚みのある可撓性物も含む。以下同様)であってもよい。即ち引張りによる剥離の場合、両部材の端を引っ張った時に、両部材が実質的に変形せずに剥離しても良いし、少なくとも一方が剥離部で柔軟に屈曲して剥離するものであっても良い。特に後者が、第一部材A及び第二部材Bとして強度の低い素材も使用でき、マイクロ流体デバイスの厚みを薄くできるため有用であり好ましい。
押し広げによる剥離は、両部材A,Bが剛直である場合に適用可能である。なお、剥離とは、両部材の界面で分離すること、または接着剤や粘着材が両部材に挟持されている場合には、接着剤や粘着材層といずれかの部材の界面での分離または接着剤や粘着剤の自己破壊による分離をいう。
【0009】
第一部材Aと第二部材Bが剥離可能であるためには、第一部材A、第二部材Bの両方が密着強度より強い強度を有する必要がある。密着強度は、JIS K6404−5「プラスチック引布試験方法−接着試験方法」に記載の方法、即ち、両部材A,Bの各端を把持し、引張りによって剥離に要する力を測定する方法により測定できる。本法は、固着部の一方の端から順次剥離してゆく剥離試験方法である。JIS K6404−5には、第一部材Aと第二部材Bの両者が密着強度よりも強い場合に、両部材が破壊されることなく剥離可能であることが記載されている。
従って、第一部材A、第二部材Bの少なくとも一方が柔軟なフィルム状である場合には、両部材の「強度」は、上述したJISの試験によって第一部材Aまたは第二部材Bが破壊するに要する力(機械的性質、機械的強度)をいい、次元と単位は密着強度と同じ(測定試料の単位幅当たりの力:N/cm)である。即ちこの「強度」は、例えばJIS K7113「プラスチックの引張試験方法」で言う「引張強さ」に測定試料(第一部材A、第二部材B、または後述の補強部材)の厚みを乗じたものに相当する。但し、測定される密着強度は剥離速度に依存し、通常剥離速度を増すほど高くなる。本発明に於いては、剥離速度2mm/sによる値とする。
第一部材Aと第二部材Bが共に剛直な部材である場合には、両部材による固着部全面が一度に剥離することになり、剥離するためには固着部の一方の端から順次剥離してゆく前記JIS K6404−5の試験方法で測定差列密着強度より強い力が必要である。発明に於いては両部材が剛直な場合にも前記JIS K6404−5と同様の試験方法に従った密着強度の値を適用する。即ち、少なくとも一方が柔軟なフィルム状のモデル試験片を用いた値とする。上述のように、両部材が剛直なマイクロ流体デバイスの場合には、少なくとも一方の部材が柔軟な場合と同じ密着強度であっても、両部材を互いに剥離するには大きな力等を要し、従って、両部材A,Bはこの力によって破壊しないだけの曲げ強度を有する必要がある。
【0010】
本発明によるマイクロ流体デバイスの使用方法の好ましい第一の態様は、第一部材Aと第二部材Bを、これらに補強材を固着することなく、また、これらの密着強度を弱める操作を行うことなく剥離する方法を含んでいる。本第一の態様に於いては、密着強度は、上記の第一部材Aや第二部材Bの強度との関係を満足すれば任意であるが、好ましくは1〜500N/cm、さらに好ましくは3〜200N/cm、最も好ましくは10〜100N/cmである。この範囲とすることで、第一部材Aや第二部材Bの素材の選択の範囲が広がり、マイクロ流体デバイスの使用に当たっての制約が少なく、また容易に剥離可能となる。
また密着強度は、剥離時の部材の塑性変形を防ぎ、その後の試料の処理を容易にするために、第一部材Aまたは第二部材Bの、流路中の試料が付着して剥離される部材の弾性限界未満であることが好ましく、また剥離する際の伸びが10以下の範囲であることが好ましい。
密着強度の調節は固着方法によってそれぞれ任意の方法で調節できる。例えば接着剤による固着の場合には、接着剤の選定や、接着される部材の素材や表面特性の選定、溶剤による表面溶解による接着の場合には、溶剤の選定や、接着される部材の素材や表面特性の選定、融着の場合には、融着条件や融着する双方の素材の組み合わせの選定、オンサイト重合による場合には、予備硬化の程度の選定や素材の組み合わせの選定、粘着の場合には、粘着剤の選定や、粘着される部材の素材や表面特性の選定、により制御することが出来る。
【0011】
本発明によるマイクロ流体デバイスの使用方法の好ましい第二の態様は、第一部材Aまたは第二部材B、或いは両部材A,Bの固着面とは反対側の表面に、第一部材Aと第二部材Bの密着強度より強い強度を有する補強材を、第一部材Aと第二部材Bの密着強度より強い密着強度で粘着または接着し、或いは粘着と接着の両者で固着しておき、補強材を把持して両部材A,Bを離間する方向に引っ張ることで、または第一部材Aと第二部材Bの間の押し広げによって剥離する方法である。勿論、引張りの場合には、補強材とそれが固着されている部材を同時に把持して引っ張っても良い。本態様によれば、第一部材Aと第二部材Bの一方若しくは両方の強度が、両部材A,Bの密着強度よりも弱い場合であっても剥離させることが出来る。
補強材は、剛直な部材であっても柔軟な部材であっても良く、素材も任意であるが、柔軟ではあっても伸びの少ないフィルム状の部材が取り扱いを容易にするために好ましく、例えば金属、ポリマー、繊維強化ポリマーであることが好ましい。補強材の固着方法は粘着であることが、即時性と取り扱い性に優れるため好ましい。固着方法が粘着である場合、補強材は粘着剤が塗布された部材であることが、取り扱い性に優れるため好ましい。本第二の態様に於いても、好ましい密着強度の絶対値は、上述した第一の態様の場合と同様である。
【0012】
本発明によるマイクロ流体デバイスの使用方法の好ましい第三の態様は、第一部材Aと第二部材Bの密着強度が、活性エネルギー線照射、温度変化、液体との接触または蒸気との接触から選ばれる1以上の処理により低下して、固着された両部材A,Bのいずれの強度よりも弱くなり、剥離を可能または容易にする工程を含んでいる。この時、前記の処理によって低下した密着強度は、好ましくは100N/cm以下、さらに好ましくは30N/cm以下、最も好ましくは10N/cm以下である。密着強度の下限はゼロN/cm即ち自然剥離であり得る。
前記の密着強度低下処理によって低下する前の密着強度の値は、マイクロ流体デバイスが使用に耐え得る値であれば任意であり、第一部材Aまたは第二部材Bの強度より強くて剥離不能であっても良いし、剥離可能ではあるが、第一部材Aまたは第二部材Bが好ましくない程度に伸びる密着強度であっても良いし、剥離可能ではあるが剥離に大きな力が必要なほど高い密着強度であっても良い。
また、密着強度低下処理を施す前は、密着強度が両部材の少なくともいずれかの強度よりも強く、密着強度低下処理によって両部材A,Bのいずれの強度よりも弱くなってもよいし、或いは、密着強度低下処理を施す前に既に密着強度が両部材A,Bのいずれの強度よりも弱く、前記処理によって更に低下するものであってもよい。前者は、流路が耐圧性を必要とする場合に好適であり、後者は、流路が耐圧性の必要が無い場合や、第一部材Aや第二部材Bが特に薄く柔軟で有る場合や、剥離操作による部材の変形を嫌う場合に好適である。
勿論、密着強度の低下は現実的な時間内に生じるものを言い、それに要する時間は24時間以内が好ましく、3時間以内が更に好ましく、10分以内が最も好ましい。活性エネルギー線照射は1分以内の短時間で処理することが可能であり好ましい。また勿論、活性エネルギー線の照射や昇温は、流路中の試料が実質的に変成しない範囲の線種や線量や温度である。
【0013】
特に、本第三の態様では、第一部材Aと第二部材Bの固着は接着であっても粘着であっても良く、これについては本発明の第一の態様と同様である。しかしながら、使用するマイクロ流体デバイスの粘着性を示す素材が活性エネルギー線硬化性組成物の半硬化物(不完全硬化物)であり、密着強度を低下させる処理が、活性エネルギーの再照射による活性エネルギー線硬化性組成物半硬化物の硬化であることが、処理時間が短く、また室温で操作可能であり、流路内の試料の損傷や変成を防止できるため好ましい。
活性エネルギー線照射による密着強度の低下は、粘着性素材の硬化による粘着力の低下、活性エネルギー線による接着剤や粘着剤の分解などであり得る。活性エネルギー線照射は、第一部材A、第二部材B、またはその両者を通して固着部に照射する。活性エネルギー線は、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光の如き光線;エックス線、ガンマ線、放射光の如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、中性子線、重粒子線の如き粒子線が挙げられる。
これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。反応速度を速め、反応を完全に行なう目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行なうことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空または減圧雰囲気が好ましい。活性エネルギー線照射による密着強度を低下させる機構は任意であり、重合や架橋による硬化によって接着力や粘着力を低下させたり、分解によって接着力や粘着力を低下させてもよいが、重合や架橋による方法が、必要線量が少なく、好ましい。
【0014】
温度変化は、昇温または降温であり得る。昇温による密着強度の低下は粘着剤の粘度の低下であり得るし、降温による密着強度の低下は粘着剤の固化による粘着力の低下であり得る。降温する温度は任意であるが、粘着剤又は粘着性素材のガラス転移温度以下まで降温することが好ましく、例えばマイナス18℃、ドライアイス温度、液体窒素温度が好ましい。
液体との接触は、好ましくはマイクロ流体デバイスの液体への浸漬である。これに用いる液体は、流路中の採取すべき試料を汚染しない液体、例えば試料が水溶液である場合には水と非混合性の液体であり、かつ使用された接着材や粘着剤を溶解または膨潤させる溶剤との接触を行うものであり得る。このような液体としては、例えば炭化水素系溶剤、高級脂肪酸エステル、塩素系溶剤、シリコンオイル、フッ素系溶剤などを挙げることができる。
蒸気との接触は、蒸気が接着材や粘着剤に溶解して密着強度を低下させるものが好ましく、疎水性の揮発性溶剤の蒸気と室温以上の雰囲気で接触させることが好ましい。
【0015】
次に本発明によるマイクロ流体デバイスについて説明する。
本発明によるマイクロ流体デバイスは、本発明による上述した使用方法に用いることが可能なマイクロ流体デバイスの中で特に好ましい形態である。
第一の形態によるマイクロ流体デバイスは、本発明による使用方法の第一の態様において好ましく用いられるものである。
即ち本発明によるマイクロ流体デバイスは、第一部材Aの流路となる溝を有する表面である溝形成面に第二部材Bが固着されて、溝と第二部材Bでもって毛細管状の流路が形成されたマイクロ流体デバイスであって、第一部材Aと第二部材Bの固着が粘着によるものであり、流路の内面は非粘着性であり、かつ第一部材A及び第二部材Bの強度が密着強度より強いことを特徴とする。「第一部材Aと第二部材Bの固着が粘着によるものであり、流路の内面は非粘着性である」とは、例えば、第二部材Bが粘着性の素材で形成されている場合や、第二部材Bに粘着剤が塗布されている場合には、第二部材Bの流路に面する部分は非粘着性に形成されており、その他の部分は粘着性に形成されていることを意味する。その他の詳細は、上述した本発明の使用方法の第一の態様に用いられるマイクロ流体デバイスとして述べられている。
本発明に成る第一のマイクロ流体デバイスは、本発明の使用方法の第一の態様の部分で述べたように、第一部材Aと第二部材Bとの密着強度は、好ましくは1〜500N/cm、さらに好ましくは3〜200N/cm、最も好ましくは10〜100N/cmである。また、第二部材Bは活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物または半硬化物で形成されていることが好ましく、マイクロ流体デバイスが電気泳動デバイスであることが好ましい。
【0016】
本発明の好ましい第二の形態によるマイクロ流体デバイスは、本発明の使用方法の第三の態様において用いられるマイクロ流体デバイスである。即ち、第一部材Aの流路となる溝を有する表面である溝形成面に第二部材Bが固着されて、溝と第二部材Bでもって毛細管状の流路が形成されており、互いに固着された両部材A,Bの密着強度が、活性エネルギー線照射、温度変化、液体との接触、蒸気との接触から選ばれる1以上の操作により低下して、固着された両部材A,Bの強度よりも弱くなることを特徴とする。
密着強度を低下させる処理を施す前の密着強度は、処理後の密着強度より高ければその値は任意であるが、第一部材A及び第二部材Bの強度よりも高いことが耐圧性などの点で好ましい。本第二の形態によるマイクロ流体デバイスに関するその詳細は、前述した本発明の使用方法の第三の態様に用いられるマイクロ流体デバイスと同様である。
第一及び第二の形態によるマイクロ流体デバイスは、第一部材Aと第二部材Bの固着が粘着によるものであることが好ましい。一般に粘着は、広範囲の材料に対して固着性を示すが、粘着剤の硬化物は、より狭い範囲の素材にしか接着性を示さないため、例えば活性エネルギー線照射などによって粘着剤を硬化させることで密着強度を容易に低下させることができ、マイクロ流体デバイスの使用時における流路の高い耐圧性と取り扱い性の容易さを有しながら、各部材A,Bの変形や破損を生じさせることなく容易に剥離することが可能である。粘着性の部材が第二部材Bであれば製造が容易であり好ましい。
【0017】
本発明によるマイクロ流体デバイスの、表面に流路となる溝を有する第一部材Aは、その外形は特に限定されず、用途や目的に応じた形状をとり得る。例えば、フィルム状、板状、支持体に塗工された塗膜状、棒状、管状、円筒状、その他複雑な形状の成型物などであり得るが、溝を有する表面に第二部材Bを液密に固着する必要があるため、この表面が平面または平面を曲げて作られる曲面であることが好ましく、フィルム状または板状であることが好ましい。
第一部材Aは、粘着性素材、非粘着性素材のいずれで構成されていてもよく、更に着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有してもよい。着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光性の染料や顔料、紫外線吸収剤が挙げられる。充填材や強化材としては、例えばクレイなどの無機粉末、有機や無機の繊維や織物が挙げられる。
第一部材Aの表面に設けられた溝は、この溝の形成された面に第二部材Bが密着して固着されることにより毛細管状の流路となるものであり、表面に掘られたいわゆる凹溝であっても良いし、部材表面に起立する二条の壁で形成した凹部であってもよい。溝の断面形状は任意であり、例えば矩形(以下、矩形を含めて多角形は角が丸められた形状を含む)、スリット状、台形、三角形、半円あるいはこれらを組み合わせた形状であり得る。流路の断面寸法は任意であるが、深さが好ましくは1μm〜3mm、更に好ましくは10μm〜1mm、最も好ましくは30μm〜300μmである。幅は好ましくは1μm〜10mm、更に好ましくは10μm〜3mm、最も好ましくは30μm〜1mmである。
この寸法より小さい場合、溝を第二部材Bで覆うことによって毛細管状の流路を仕切るに当たり、流路を閉塞させずに形成することが困難となるので好ましくない。また、この寸法を超えると、マイクロ流体デバイスであるメリットが減少する傾向にあるので好ましくない。溝の長さは任意であり、用途や目的により好適な長さを採り得る。
【0018】
マイクロ流体デバイス表面から見た溝の形状は任意であり、用途、目的により好適な形状を採りうる。例えば、直線、曲線、ジグザグ、分岐、網目等であり得る。勿論、溝の幅や深さは場所により異なっていて良い。また、溝に接続していて例えば貯液槽などとなる、より深い部分や幅広の部分を有していても良いし、溝を有する第一部材Aを貫通する孔や、第一部材A内部に設けられた毛細管状の流路を有していても良い。
本発明によるマイクロ流体デバイスは、第一部材Aの溝形成面に第二部材Bが固着されることで毛細管状の流路が形成されている。流路の形状・寸法は、溝の形状・寸法と同様であり、第二部材Bとして固着面が平面状の部材を使用することで、溝の形状・寸法と同一にすることができる。流路は、その中を流体が移動できる構造であれば良く、流体移送用の流路;反応場としての流路;抽出場としての流路;電気泳動等の分離場としての流路;電気的・光学的検出場としての流路等であり得るし、この流路に充填剤やゲルなどを充填して、クロマトグラフ、ゲル電気泳動などとして使用することの出来る流路であり得る。
第二部材Bの形状は、溝を有する第一部材Aに固着することによって流路の形成ができれば、特に限定されず、用途や目的に応じた形状を採りうる。例えば、フィルム状、板状、塗膜状、その他複雑な形状の成型物などであり得るが、溝を有する第一部材Aの表面に密着して固着する必要があるため、フィルム状または板状であることが好ましい。第二部材Bには、溝が形成されている必要はないが、溝が形成されていても良い。また、第二部材Bを貫通する孔その他の構造が形成されていてもよい。
第二部材Bは支持体に塗工された複合積層体であって良い。この場合の支持体の素材は任意であり、例えば第一部材Aや第二部材Bとして使用できる非粘着性の素材を使用できる。第二部材Bが粘着性素材で構成されている場合にはこのような積層構造体であることが好ましい。第二部材Bの支持体の形状は上述した第二部材Bの形状と同様である。
【0019】
第一部材Aや第二部材Bを形成することが出来る非粘着性の素材は、特に制約はなく、例えば有機ポリマー(以下、「有機ポリマー」を単に「ポリマー」と称する場合がある。また本発明に於いては、ポリジメチルシロキサンなどの有機含有無機ポリマーも有機ポリマーに含めるものとする。);ガラス;石英の如き結晶;セラミック;シリコンの如き半導体;金属;グラファイトなどの無機ポリマーなどが挙げられるが、これらの中でもポリマーやガラスが好ましい。
非粘着性素材として使用するポリマーは、単独重合体であっても共重合体であっても良く、また熱可塑性ポリマーであっても熱硬化性ポリマーであっても良い。生産性の面から、ポリマーは熱可塑性ポリマーまたは活性エネルギー線硬化性の架橋ポリマーであることが好ましい。また、ポリマーはポリマーブレンドやポリマーアロイであっても良い。
非粘着性素材は、マイクロ流体デバイスを使用するのに十分な強度で固着され、かつ剥離可能な程度の強度で固着する素材であることが好ましい。
そのようなポリマーとしてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1の如きポリオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き塩素含有ポリマー;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、パーフロロアルキルビニルエーテル−四フッ化エチレン共ポリマー(PFA)の如きフッ素含有ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリメチレンオキサイドの如きポリエーテル系ポリマー;ポリフェニレンサルファイドの如きポリチオエーテル系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトンの如きポリエーテルケトン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレートの如きポリエステル系ポリマー;芳香族ポリアミドの如きポリアミド系ポリマー;芳香族ポリイミドの如きポリイミド系ポリマーが好ましく用いられる。また、この場合、ガラス、結晶、シリコン、金属、無機ポリマーは、多くの場合非接着性となるため好ましい。
【0020】
また、接着剤により強固に接着してしまうポリマーや、非粘着性素材として活性エネルギー線照射により粘着性素材と剥離不能なほど強固に接着してしまうポリマー(以下、「接着性のポリマー」と称する場合がある)を用いる場合には、表面処理を施すことによって接着強度を低下させることが出来る。表面処理方法は任意であり、例えばプラズマ処理、プラズマ重合、フッ素化処理、プライマー処理、表面グラフト重合、シリコンオイル等の塗布等が挙げられる。
接着性の制御は、表面処理の他に、非粘着性素材として使用するポリマーに改質剤をブレンドすることによっても実施できる。このような目的に使用できる改質剤としては、例えばシリコンオイルやフッ素置換炭化水素などの疎水化剤(撥水剤)や、ジオクチルフタレートなどのような可塑剤を挙げることができる。さらに接着性の制御は、組成の傾斜構造や表面偏析を有する共ポリマーとする方法を採ることも出来る。
接着性である傾向が強く、表面処理や改質と併用することが好ましいポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン/マレイン酸共ポリマー、ポリスチレン/アクリロニトリル共ポリマーの如きスチレン系ポリマー;ポルスルホン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系ポリマー;(メタ)アクリル系ポリマー、即ち(メタ)アクリレート基、アクリロニトリル基、(置換)アクリルアミド基等の(メタ)アクリロイル基含有化合物のポリマー;ポリマレイミド系ポリマー;ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ系ポリカーボネートの如きポリカーボネート系ポリマー;酢酸セルロース、メチルセルロースの如きセルロース系ポリマー;ポリウレタン系ポリマー;ナイロン6の如きポリアミド系ポリマー;ポリアリレートの如きポリエステル系ポリマーなどが挙げられる。
これらの中で、活性エネルギー線重合性の(メタ)アクリル系化合物のポリマーは、通常は接着性であるが、フッ素含有アクリル系モノマー、シロキサン基含有アクリル系モノマー、親水基と疎水基の両者を含有する両親媒性アクリル系モノマーなどのモノマーを共重合させることによって、表面処理無しで非接着性とすることが出来るため好ましい。
非粘着性の素材を用いて、溝を有する第一部材Aを製造する方法は任意である。例えば射出成形、プレス成形、溶剤キャスト法、リソグラフィー、フォトリソグラフィー(活性エネルギー線リソグラフィーを含む。以下同様)等を挙げることが出来る。
非粘着性の素材を用いて、第二部材Bを製造する方法も任意である。例えば、射出成形、溶融押し出し成形、塗工法(溶剤キャスト法を含む)、活性エネルギー線によるオンサイト重合法等を挙げることが出来る。
【0021】
第一部材Aや第二部材Bを形成することが出来る粘着性の素材は、特に制約はなく、例えばオリゴマー、ポリマー、モノマーやオリゴマーによって膨潤した架橋ポリマーであることが好ましい。粘着性素材は、非水溶性であり、かつ水に対して非膨潤性であることが好ましい。
粘着性素材として使用できるオリゴマーとしては、例えば(メタ)アクリル系オリゴマー;酢酸ビニル系オリゴマー;ポリアミド系オリゴマー;ポリエステル系オリゴマー;ポリウレタン系オリゴマー;エポキシ樹脂系オリゴマー;ポリオレフィン系オリゴマーなどを挙げることができる。
粘着性素材は、平滑な粘着面を形成できること、フォトリソグラフィーの利用によって表面に溝を有する粘着性の部材を形成できること、活性エネルギー線によるオンサイト重合で粘着性の第二部材Bや溝を有する第一部材Aを高い生産性で形成できること、及び種々のモノマーが市販されており、その成分と組成を選択することにより目的の特性の粘着性素材を形成すること、及び、エネルギー線のパターニング露光によって、粘着性の部分と非粘着性の部分を一つの部在中に形成出来ることなどから、活性エネルギー線重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物または半硬化物であることが好ましい。
【0022】
本発明によるマイクロ流体デバイスにおいて、好ましい粘着性素材として活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物または半硬化物について説明する。
以下、硬化物または半硬化物を粘着性素材として使用できる活性エネルギー線硬化性組成物を「活性エネルギー線硬化性組成物(x)」、または単に「組成物(x)」と称する。また、本明細書において「半硬化」とは十分に硬化していない状態をいい、「硬化」とは力学的物性がほぼ飽和する程度まで硬化させた状態を言う。従って硬化物が粘着性を示す場合もある。「硬化または半硬化」を「(半)硬化」と略記する場合がある。
組成物(x)は半硬化させることで、オリゴマー、ポリマーとオリゴマーの混合物(通常、平均分子量が1万以上の重合体をポリマーと称し、それ未満の重合体をオリゴマーという)、あるいはモノマーやオリゴマーによって膨潤した架橋重合体とする事が出来る。
半硬化状態の形成は、活性エネルギー線の不十分な量の照射、低温での活性エネルギー線の照射、特定のエネルギー(波長)を有する活性エネルギー線の使用、組成物(x)への活性エネルギー線重合開始剤の不十分な量の添加、組成物(x)への重合禁止剤及び/または重合遅延剤の添加、活性エネルギー線硬化性組成物の主要構成成分である活性エネルギー線硬化性化合物(a)(後述)として低反応性の化合物の使用等により実施できる。また、空気中で活性エネルギー線照射することによって、酸素による重合阻害を受け、表面を内部より低分子量とし、内部が硬化していながら表面に粘着性を持たせることが出来る。
【0023】
組成物(x)に、主要な構成要素として含有される活性エネルギー線重合性化合物(a)(以下、単に「化合物(a)」と略称する場合もある)は、活性エネルギー線によって重合するものであれば重合方式は任意であり、付加重合、開環重合などであり得るし、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性等任意のものであってよい。化合物(a)は、重合開始剤の非存在下で重合するものに限らず、重合開始剤の存在下でのみ活性エネルギー線により重合するものも使用することができる。
化合物(a)は、連鎖重合性の官能基を有する化合物であることが好ましく、活性エネルギー線重合性官能基として重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ましく、中でも反応性の高い(メタ)アクリル系化合物〔即ち、(メタ)アクリロイル基含有化合物〕やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイミド系化合物が好ましい。
更に、化合物(a)は、半硬化の状態で形状保持性が高く、硬化後の強度も高い点で、重合して架橋ポリマーを形成する化合物であることが好ましい。そのために、1分子中に2つ以上の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、連鎖付加重合性の化合物に関して、「1分子中に2つ以上の重合性の炭素−炭素二重結合を有する」ことを「多官能」と称し、「1分子中に1つの重合性の炭素−炭素二重結合を有する」ことを「単官能」と称する。「2官能」、「3官能」等もこれに準じる。)であることが更に好ましい。
化合物(a)として、好ましく使用できる多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き6官能モノマー等が挙げられる。
【0024】
単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレノキサイド変性フタル酸アクリレート、w−カルゴキシアプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロピリヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸エステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクロロイルモリホリン等が挙げられる。
【0025】
多官能マレイミド系のモノマーとしては、例えば4,4′−メチレンビス(N−フェニルマレイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレングリコールビスマレイミド、N,N′−m−フェニレンジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−ジフェニルメタンジマレイミド、N,N′−ジフェニルエーテルジマレイミド、N,N′−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4′−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナート・N,N′−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミド等の2官能マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレイミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性官能基とを有するマレイミド等が挙げられる。
単官能マレイミド系モノマーとしては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミドの如きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベンジルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−(アルキルフェニル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)マレイミドの如きN−(置換または非置換フェニル)マレイミド;N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミド、N−(4′−フルオロフェニル)−2,3−ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有するマレイミド;ヒドロキシフェニルマレイミドの如き水酸基を有するマレイミド;N−(4−カルボキシ−3−ヒドロキシフェニル)マレイミドの如きカルボキシ基を有するマレイミド;N−メトキシフェニルマレイミドの如きアルコキシ基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有するマレイミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き多環芳香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メチル−3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマレイミド等が挙げられる。
【0026】
また、化合物(a)として、重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)を用いることもでき、例えば重量平均分子量が500〜50000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマーしては、例えばアクリル系の重合性オリゴマーとして、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
マレイミド系の重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマレイミドアルキレートなどが挙げられる。
これらの化合物(a)は、単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。例えばモノマーとオリゴマ−を混合使用することも好ましく、アクリル系のモノマー、マレイミド系モノマー、ビニルモノマー、ビニルエーテル類等を混合して用い、共重合させることも可能である。また、活性エネルギー線重合性化合物(a)は、粘度の調節、(半)硬化状態での粘着性の調節、硬化時の粘着性の調節などの目的で、多官能モノマー及び/またはオリゴマーと、単官能モノマーの混合物とすることが好ましい。前記のモノマーの中には、単独では硬化不十分であったり、固体であったりして、単独使用が困難なものもあるが、混合する事により使用することが出来る。
【0027】
組成物(x)は、活性エネルギー線の照射により粘着性素材を形成できるものであり、必須成分として化合物(a)を含有する。組成物(x)は化合物(a)単独であってもよく、複数種の化合物(a)の混合物でもよい。組成物(x)には、必要に応じて、その他の成分、例えば光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、紫外線吸収剤等を混合して使用することができる。
組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる光重合開始剤は、本発明で使用する活性エネルギー線に対して活性であり、化合物(a)を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。
そのような光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類;N−アジドスルフォニルフェニルマレイミド等のアジドなどが挙げられる。また、マレイミド系化合物などの重合性光重合開始剤を挙げることができる。
【0028】
組成物(x)に光重合開始剤を混合使用する場合の使用量は、非重合性光重合開始剤の場合、0.005〜20重量%の範囲が好ましく、0.1〜5重量%の範囲が特に好ましい。光重合開始剤は重合性のもの、例えば活性エネルギー線重合性化合物(a)として例示した多官能や単官能のマレイミド系モノマーであっても良い。この場合の使用量は、前述の値に限られない。
組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる重合遅延剤としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、α−フェニルスチレン、p−オクチルスチレン、p−(4−ペンチルシクロヘキシル)スチレン、p−フェニルスチレン、 p−(p−エトキシフェニル)フェニルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、4,4′−ジビニルビフェニル、2−ビニルナフタレン等の、使用する化合物(a)より重合速度の低いビニル系モノマーを挙げることができる。
組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メトキシハイドロキノン等のハイドロキノン誘導体;ブチルヒドロキシトルエン、tert−ブチルフェノール、ジオクチルフェノールなどの置換フェノール類等が挙げられる。
組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる増粘剤としては、例えばポリスチレンなどの鎖状ポリマーが挙げられる。組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる改質剤としては、例えば撥水剤や剥離剤として機能するシリコンオイルやフッ素置換炭化水素などの疎水性化合物;親水化剤や吸着抑制剤として機能するポリビニルピロリドンやポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマーが挙げられる。組成物(x)に必要に応じて混合使用することができる着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光色素が挙げられる。
【0029】
溝を有する第一部材Aが組成物(x)の(半)硬化物である場合には、次のようなオンサイト重合法にて作製する事が出来る。即ち、支持体上に組成物(x)を塗工或いは注型(塗工は注型を含むものとする。また、塗膜は注型物を含むものとする。)して未硬化の塗膜を形成する。塗膜の厚さは任意であるが、1μm以上であることが好ましく、5μm以上が更に好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。これより薄いと製造が困難となる。
塗膜の厚みは3000μm以下であることが好ましく、1000μm以下がより好ましく、300μm以下であることが更に好ましい。これより厚いと本発明の効果が減じる。塗膜の厚みは、硬化時の収縮などにより若干変化するが、概ね、(半)硬化物の厚みとなる。また、溝の深さは塗膜の厚さと同じか、あるいはより小さくなる。塗工部位は任意であり、支持体の全面であっても部分的であってもよい。
支持体に組成物(x)を塗工する方法は、任意の塗工方法を用いることができ、例えばスピンコート法、ローラーコート法、流延法、ディッピング法、スプレー法、バーコーター法、X−Yアプリケータ法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、ノズルからの押し出しや注型などが挙げられる。また組成物(x)を特に薄く塗工する場合には、組成物(x)に溶剤を含有させて塗工した後、この溶剤を揮発させる方法を採用することもできる。
【0030】
フォトリソグラフィーによって溝を形成する場合には、組成物(x)の未硬化の塗工物に、溝となるべき部分を除いて活性エネルギー線を照射して、照射部分の組成物(x)を(半)硬化させる一方、組成物(x)の活性エネルギー線未照射部を未硬化部分として残す(以後、この操作を「パターニング露光」と称する場合もある)。
ここで言う半硬化状態は、組成物(x)が粘着性を示しており、かつ非流動性または難流動性となっていて、形成された溝を有する第一部材Aがその機能を発揮しうる硬度に硬化している状態である。半硬化の程度が不十分であると、硬化部分と未硬化部分の境界が不鮮明となったり、第二部材Bの固着による毛細管状の流路の形成が困難であったりして、形成された毛細管状の流路が流路として機能しない不都合が生じる。一方、半硬化の程度が過剰であると、半硬化塗膜が粘着性を示さなくなるため、半硬化物を粘着性素材として使用することが不可能となる。好適な半硬化の程度は、化合物(a)の種類、光重合開始剤濃度、重合禁止剤濃度、活性エネルギー線照射量などで決まるが、使用する系での簡単な実験により最適値を求めることができる。
活性エネルギー線照射により、照射部分の組成物(x)を硬化させる場合には、前述のような制約はないが、照射量が過剰であると非照射部まで硬化し、溝が形成されない場合がある。また硬化物が粘着性を示さない場合には、接着剤や粘着剤を必要とするか、第二部材Bを粘着性とする必要がある。
活性エネルギー線としては、本発明の使用方法の第三の態様で述べた活性エネルギー線を使用できる。
【0031】
パターニング露光方法は任意であり、例えば照射不要部分をマスキングして活性エネルギー線を照射する、あるいはレーザーなどの活性エネルギー線のビームを走査する等のフォトリソグラフィーの手法が利用できる。
パターニング露光法にて溝を有する第一部材Aを形成する場合には、露光後、未照射部分の未硬化の組成物(x)を除去し、樹脂欠損部として溝を形成する(以後、この処理を「現像」と称する場合がある)。未硬化の組成物(x)の除去方法は任意であり、例えば圧縮空気などによる吹き飛ばし、ろ紙などによる吸収、水などの非溶剤の液体流による洗い流し、溶剤洗浄、揮発、分解等の方法を利用できる。
現像によって形成される樹脂欠損部の形状・寸法は、概ね組成物(x)の未硬化部の形状・寸法と基本的に同じであるが、完全に一致するわけではない。例えば未照射部分の未硬化組成物(x)を完全に除去せず、樹脂欠損部の底が塗工支持体表面に届いていない場合もある。
溝を形成する方法としてはこの他に、保護材、例えばマスキング材を張り付けた後に塗工し、塗工後或いは(半)硬化後に除去する方法も挙げられる。
【0032】
粘着性の第二部材Bを組成物(x)の(半)硬化物で作製する場合、その素材、作製方法、使用する活性エネルギー線などは、パターニング露光と現像などによって溝を形成する必要がないこと以外は、溝を有する第一部材Aの作製の場合と同様である。
粘着性の第二部材Bは、全面が粘着性である必要はなく、形成される毛細管状の流路からの液体の漏洩が無ければ、非粘着性の部分を有していても良い。例えば溝に相対する部分、即ち第二部材Bが装着された後に流路の内面となる部分が非粘着性であることも、流路表面への吸着の問題や、粘着性物質の流路内への溶出などの問題を避けるために好ましい。
第一の形態によるマイクロ流体デバイスは、固着された第二部材Bの溝に相対する部分、即ち溝と共に流路の内面となる部分が非粘着性である。このような非粘着性部分は、その半硬化物が粘着性を示し、硬化物が粘着性を示さないような組成物(x)を使用し、活性エネルギー線の全面照射による半硬化と、それに引き続く、またはそれに先立つ、非粘着部と成す部分のみを露光するパターニング露光法によって形成することが出来る。
なお、第二部材Bに粘着剤を塗布した場合にも、流路の内面となる部分を非粘着性とすることができる。本発明による第一の形態のマイクロ流体デバイスでは、第二部材Bが粘着剤を塗布したものである場合にも流路の内面となる部分が非粘着性である。このような非粘着性部分は、その半硬化物が粘着性を示し、硬化物が粘着性を示さないような組成物(x)の半硬化物を粘着剤として使用し、これを塗布した後、非粘着部と成す部分のみを露光するパターニング露光法によって形成することが出来る。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1乃至図3は本発明の第一実施例によるマイクロ流体デバイスを示すものである。図1及び図2に示すマイクロ流体デバイス20は、例えば有機ポリマーからなる第一部材Aと第二部材Bを固着してなるものであり、第一部材Aは板状の基材1の一方の面に塗膜2、塗膜3、塗膜4を順次積層して積層体として構成され、塗膜4の一部について例えば表裏面を貫通する線状に切除することで略十字型の第一溝5、第二溝6を形成している。
図1及び図3において、第一溝5は例えば平面視略コの字型に形成され、その両端には貯液槽7,8が形成されている。各貯液槽7,8は第一部材Aの積層方向に貫通する孔であって第一溝5と基材1の外表面とを連通して形成され、一方の貯液槽は供給用貯液槽7であって第一溝5内に流すべきサンプル流体、例えばDNAを供給し、電極の挿入を可能とする。他方の貯液槽は第一貯液槽8であって電解液等の流体を貯液可能とし、電極の挿入を可能とする。
第一溝5に交差する第二溝6は例えば直線状とされ、分離用流体として例えばゲルを充填し、電気泳動カラムとして使用するようになっている。第二溝6の両端に電解液等の流体を貯液するための第二貯液槽9と第三貯液槽10となる孔を設けており、各貯液槽9,10は貯液槽7,8と同様に第二溝6から第一部材Aの積層方向の外表面である基材1とを貫通して形成されている。
【0034】
第一部材Aにおいて溝5,6を形成した塗膜4の表面を溝形成面4aとして、この溝形成面4aには例えば板状の第二部材Bが固着されている。第二部材Bは基材11に塗膜12、塗膜13を積層して積層体として形成されており、塗膜13の表面を接合面13aとして例えば紫外線照射して半硬化状態にして粘着性を付与し、第一部材Aの溝形成面4aに固着させて一体化している。
そのため、第一部材Aの溝5,6とこれに対向する第二部材Bの接合面13aの対向面部15とで略十字型の流路16を形成する。この場合、第二部材Bの対向面部15は非粘着性にしておくことで、流路16を流れる流体に接触しても影響を及ぼさない。流路16において第一溝5と供給用貯液槽7及び第一貯液槽8とを含む部分を第一流路16aとし、第二溝6と第二及び第三貯液槽9,10を含む部分を第二流路16bとする。各流路16a,16bは各孔を除いて例えば100μm幅の毛細管状に形成され、各孔の部分はそれより大きな内径を有している。
接合面13aのうち対向面部15を非粘着性に設定して他の領域を粘着性を有するように設定するには、例えば接合面13a全体を半硬化状態にして粘着性を付与した後に、対向面部15を除いてマスキングして露光することで、対向面部15のみを完全硬化させて非粘着性にすればよい。或いは、対向面部15を除いた接合面13a全体に粘着剤や接着剤を付与する等、適宜の手段を採用できる。
【0035】
また、このマイクロ流体デバイス20は電気泳動デバイスを構成しており、第一流路16aでは供給用貯液槽7に陰極を挿入し、第一貯液槽8には陽極を挿入しておく。陰極と陽極の間に直流電圧を印加することによって通電し、第一流路16aを電気泳動若しくは電気浸透流によって移動するDNAやその溶液は、供給用貯液槽7から第一貯液槽8へ移送され得ることになる。同様に、第二流路16bでは第二貯液槽9に陰極を挿入し、第三貯液槽10に陽極を挿入すると共に電極間に直流電圧を印加することによって通電し、第一流路16aと第二流路16bの交差部に存在するDNAが、第二流路16bを第三貯液槽方向にスポットとして移動すると同時に、分子量の違いによって分離され得ることになる。尚、各電極は図では省略されている。特に第一及び第二流路16a、16bを短い距離に設定することで、各液体の移動や分離を高速で行うことができる。
しかも第一部材Aと第二部材Bの密着強度TF(N/cm)はJIS K 6404−5で規定する下記式で表すことができ、両部材A,Bを剥離する際にそれぞれの部材A,Bを破損しない程度の大きさとする。
TF=F/b
但し、F:剥離荷重(N)、b:部材の幅(cm)
そのため、密着強度TF以上の力で第一部材Aと第二部材Bを剥がす際に、第一部材Aと第二部材Bの強度を密着強度を超える大きさに設定しておくことで両部材A,Bを破損することなく剥離を行うことができる。
【0036】
本実施例によるマイクロ流体デバイス20は上述の構成を有しており、次にその使用方法について説明する。
まず、図1及び図2において、第一部材Aの溝形成面4aと第二部材Bの接合面13aとを接合した固着してマイクロ流体デバイス20を製作する。これによって第一部材Aの溝形成面4aに露出する溝5,6及び各貯液槽7,8,9,10と第二部材Bの接合面13aの一部である対向面部15とで仕切られた略十字型の流路16が形成される。
次に、マイクロ流体デバイス20において、各流路16a,16bと各貯液槽8,9,10内にゲル原料(熱反応や光反応によりゲルとなる液状物)を満たし、25℃に2時間保温してゲルを形成しておく。そして第一流路16aの供給用貯液槽7に例えばDNAの緩衝液溶液を供給する(緩衝液は電解液としても機能する)。
そして図3に示すように、DNAはマイナスに帯電しているために供給用貯液槽7内の電極を陰極とし第一貯液槽8内の電極が陽極になるように直流電圧を印加して通電すると、供給側貯液槽7では同一極性で反発したDNA18が第一貯液槽8に引きつけられて第一流路16a内を移動する。DNA18が第二流路16bとの交差部16cに到達した状態で、供給用貯液槽7,第一貯液槽8内の電極への通電を遮断する。次に第二流路16bの第二貯液槽9の電極を陰極とし第三貯液槽10の電極が陽極となるように直流電圧を印加して通電すると、第一流路16aと第二流路16bの交差部に存在するDNAが、今度は第二流路16bを第三貯液槽方向にスポットとして移動すると共に、DNAが分子量の異なるものの混合物である場合には、このDNAは独立した複数のスポットに分離される。この時、供給側貯液槽7中に残留するDNA及び上記交差部以外の第一流路16a中のDNAは、供給用貯液槽7と第一貯液槽8内の電極間に電圧が印加されていないため移動しない。
その後、第二流路16b間の通電を遮断すると、第二流路16b中で分離されたスポットが分離した状態で保持できる。
次に第一部材Aと第二部材Bについて、図4に示すようにその一端部をそれぞれ保持して剥離させると第一部材Aの溝形成面4aが外表面に露出するので、第二溝6(第二流路16b)中に保持された分離状態のDNA18のスポットを採取することができる。或いはDNA18が第二溝6中に分離した状態で、蛍光性インターカレーターのスプレーやサザンブロットなどの処理を施し、分析したり検査したりすることもできる。
【0037】
上述のように本実施例によれば、複数の部材A,Bを固着してマイクロ流体デバイス20を形成したから、毛細管状の流路16中で漏洩を生じることなくゲル原料を流路16中に充填することができ、また同じく漏洩を生じることなくDNA18を分離する等の処理を行うことができる。しかもその後で第二部材Bを第一部材Aから剥離することで、流路16の第二流路16bから分離状態のDNA18を採取したり分析したりすることができる。
【0038】
次に本発明の第二実施例について図5により説明する。
図5に示すマイクロ流体デバイス30は、第一部材Aの強度が第二部材Bとの密着強度より大きいが、第二部材Bの強度が第一部材Aとの密着強度より小さく、剥離の際に破断してしまう程度の強度しか有していない。第二部材Bは、その基材11の接合面13aとは反対側の面11aに上述した密着強度より高い強度を有する補強材31を固着した構成を有している。
この場合、補強材31と基材11との密着強度は第一及び第二部材A,B間の密着強度よりも高く設定されている。
このような構成にすれば、剥離時には第一部材Aと第二部材Bの補強材31とを手等で把持して剥離すれば第二部材Bを破断させることなく両部材A,Bを剥離させることができる。
尚、第一部材Aの強度が両部材A,Bの密着強度より小さい場合には、同様に補強材31を第一部材Aの基材1に固着しておけばよい。第一部材A及び第二部材Bが共に両部材A,Bの密着強度より小さい場合には、第一部材A及び第二部材Bについてそれぞれ基材1,11に補強材31を固着しておけばよい。これらの補強材は、マイクロ流体デバイスの使用後にマイクロ流体デバイスの部材に固着してもよいし、マイクロ流体デバイスの使用前に固着してもよい。
また更に別の実施例として、第一部材Aと第二部材Bの密着強度が、活性エネルギー線照射、温度変化、液体との接触または蒸気との接触から選ばれる1以上の処理により低下して、固着された両部材A,Bのいずれの強度よりも弱くして、剥離を可能または容易にするようにしてもよい。
この時、上記の処理前の第一部材Aと第二部材Bとの密着強度は各部材A,Bの個々の強度より大きくても良いし、小さくてもよい。いずれの場合も、上記処理によって両部材A,Bの密着強度が各部材A,Bの強度より小さくなればよい。上記いずれかの処理によって低下した密着強度は、好ましくは100N/cm以下、さらに好ましくは30N/cm以下、最も好ましくは10N/cm以下である。密着強度の下限はゼロN/cm即ち自然剥離であってもよい。
【0039】
次に本発明の具体例について実施例1〜7として、比較例1,2と共に説明する。
なお、以下の各実施例1〜7と比較例1,2において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、各々「質量部」及び「質量%」を表わす。
先ず各実施例1〜7と比較例1,2を構成する積層体の各基材と塗膜の組成と作り方について説明する。
〔組成物(x)の調製〕
〔組成物[x1]〕
化合物(a)として、平均分子量約2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会社製の「ユニディックV−4263」)100部と、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー184」)2部とを混合して、活性エネルギー線硬化性組成物[x1]を調製した。
〔組成物[x2]〕
化合物(a)として、「ユニディックV−4263」80部と、「N−177E」)20部と、紫外線重合開始剤として前記「イルガキュアー184」5部と、重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.1部とを混合して、活性エネルギー線硬化性組成物[x2]を調製した。
〔組成物[x3]〕
化合物(a)として、「ユニディックV−4263」60部と、「N−177E」)40部と、紫外線重合開始剤として前記「イルガキュアー184」5部と、重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.1部とを混合して、活性エネルギー線硬化性組成物[x3]を調製した。
〔組成物[x4]〕
化合物(a)として、「ユニディックV−4263」74部、「N−177E」)26部と、紫外線重合開始剤として前記「イルガキュアー184」5部と、重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.1部とを混合して、活性エネルギー線硬化性組成物[x3]を調製した。
〔粘着剤(y)の調製〕
モノマーとしてラウリルアクリレート(大阪有機(株)製、LA)100部と、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー184」)2部とを混合した組成物を硝子製シャーレ中に流延し、紫外線を120秒間照射して、平均分子量約6000の粘着性を有するオリゴマーを調製し、粘着剤とした。
【0040】
また各実施例1〜7と比較例1,2の製造や試験等に用いる装置や試験方法について説明する。
〔活性エネルギー線(紫外線)露光装置〕
活性エネルギー線として紫外線を用い、チッソ雰囲気中で照射した。紫外線照射装置は、200Wメタルハライドランプを光源とし、照射位置に於ける365nmの紫外線強度が50mW/cm2 である、ウシオ電機株式会社製のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用いた。
〔力学特性試験〕
引張試験器として東洋精機製作所製の「ストログラフV1−C」を用い、特に指定のない限り24±1℃、湿度55±5%雰囲気中で、引張速度120mm/分で測定した。初期掴み具間距離は、部材の強度の測定は60mm、密着強度の測定は10mmとした。
【0041】
次に各実施例1〜7と比較例1,2について説明する。
<実施例1>
本実施例1では、粘着によって固着した第一部材A1と第二部材B1を、そのまま剥離する例を示す。
〔溝を有する第一部材A1の作製〕
ポリスチレン(大日本インキ化学工業株式会社製の「ディックスチレンXC−520」)からなる75mm×25mm×厚さ3mmの板を基材1とした。これにバーコーターを用いて組成物[x1]を塗工して塗膜2を形成し、塗膜2全体に紫外線を10秒間照射する露光を行って半硬化させた。
半硬化させた塗膜2の上にバーコーターを用いて組成物[x2]を塗工して塗膜3を形成し、塗膜3全体に紫外線を10秒間照射する露光を行って半硬化させた。半硬化させた塗膜3の上にバーコーターを用いて組成物[x2]を塗工して塗膜4を形成し、第一溝5および第二溝6と成す部分以外の部分に、フォトマスクを通して紫外線を10秒間照射する露光を行って硬化させた後、50%エタノール水溶液にて、非露光部の未硬化の組成物[x2]を洗浄除去して第一溝5および第二溝6を形成した。フォトマスクなしに紫外線をさらに90秒間照射することによって塗膜2、塗膜3及び塗膜4を完全に硬化させて非粘着性と成した。その後、ドリルにて、基材1、塗膜2、塗膜3及び塗膜4を貫通する、直径500μmの供給用貯液槽7となる孔、直径3mmの第一貯液槽8と成る孔、直径3mmの第二貯液槽9と成る孔、直径3mmの第三貯液槽10となる孔を形成した。
以上の工程により、ポリスチレン板製の基材1、接着力を増強するための中間層となる厚さ105μmの塗膜2、第一及び第二溝5、6の底を構成する厚み98μmの塗膜3、及び第一及び第二溝5、6の側壁と開口を構成する厚み98μmの塗膜4から成り、長さ30mm、幅105m、深さ98mmの第一溝5、第一溝5に直交し幅520μm、クランク型の平面形状を持つと共にトータル長さ30mm、深さ98μmの第二溝6、第一溝5の両端に設けられた供給用貯液槽7と成る孔および第一貯液槽8となる孔、第二溝6の両端に設けられた第二貯液槽9となる孔及び第三貯液槽10と成る孔を有する第一部材A1を形成した。
【0042】
〔第二部材B1の作製〕
第二部材B1の基材11として、75mm×25mm×厚さ80μmの2軸延伸ポリスチレンシート(大日本インキ化学工業株式会社製)に、バーコーターを用いて組成物[x1]を塗工して塗膜12を形成し、塗膜12全体に紫外線を10秒間照射する露光を行って半硬化させた。
半硬化した塗膜12の上に組成物[x2]をバーコーターを用いて塗工し、塗膜13を形成した。この塗膜13全体に紫外線を4秒間照射して塗膜13を粘着性を有する半硬化物とし、次いでフォトマスクを使用して、第一部材A1に形成された両溝5、6に相対する部分、及び各貯液槽7、8、9、10となる孔に相対する部分のみを60秒間紫外線露光し、露光部分を硬化させて非粘着性とした。
以上の工程により、第二部材B1の基材11、接着力向上のための中間層となる厚さ105μmの塗膜12、及び厚さ98μmの粘着性の半硬化塗膜13の積層体である柔軟なシート状の第二部材B1を作製した。
【0043】
〔第一部材A1と第二部材B1の固着〕
第二部材B1の接合面13aを第一部材A1の溝形成面4aに、第一部材A1の各溝5,6や各貯液槽7,8,9,10の孔と第二部材B1の非粘着性部分である対向面部13aの位置を合わせて粘着によって固着し、第一部材A1の各溝5、6と第二部材B1によって毛細管状の流路16を形成し、各孔と第二部材B1にて各貯液槽7、8、9、10を形成して、図1及び図2に示された形状のマイクロ流体デバイス[#1]とした。
このマイクロ流体デバイス[#1]では、第一部材A1は、第二部材B1との固着面を含む全体が非粘着性であり、第二部材B1は、第一部材A1との固着面が粘着性であり、かつ貯液槽7、8、9、10を含む流路16a、16bに面する部分が非粘着性である。
【0044】
〔使用試験〕
〔ゲル原料の調製〕
アクリルアミド38%、ビスアクリルアミド2%の混合水溶液(和光純薬工業株式会社製「電気泳動用40%アクリルアミド水溶液」)125部、5倍濃度トリス硼酸緩衝液(和光純薬工業株式会社製の「5倍濃度TBEバッファー」)200部、重合開始剤として30%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)20部、重合開始助剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)1.2部、蛍光染色剤として2.5μg/mL臭化エチジウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)1部、及び6M(360.3g/L)尿素水溶液(和光純薬工業株式会社製)652.8部を混合することにより、ゲル原料を調製した。
〔ゲルの充填〕
マイクロ流体デバイス[#1]の第三貯液槽10に適量のゲル原料の溶液を、マイクロシリンジを用いて約300hPaの圧力をかけて手動で注入したところ、該溶液は第一流路16a及び第二流路16b全体に充填された。この時、第一部材A1と第二部材B1間への溶液の漏洩は認められなかった。次いで、保湿箱中で25℃で1時間保つことによりゲル原料をゲル化させた。
【0045】
〔電気泳動〕
第一貯液槽8、第二貯液槽9及び第三貯液槽10に電気泳動緩衝液としてトリス硼酸緩衝液(和光純薬工業株式会社製「TBEバッファー」)を注入し、白金製の針状の電極を挿入した。一方、供給用貯液槽7には、DNA試料としてシグマ社製の「φX174・DNA・マーカー・HaeIII・ダイジェスト」のnumバッファー希釈液0.5μLを注入し、電極を挿入した。供給用貯液槽7と第一貯液槽8の間に駆動電圧500Vを5分間通電して試料の移動を行い、次いで上記電圧を切って、供給用貯液槽7と第一貯液槽8から電極を取り外し、第二貯液槽9と第三貯液槽10の間に駆動電圧500Vを印加して電気泳動を行った。
〔第二部材B1の剥離と電気泳動試料の採取〕
電気泳動終了後、電極を取り外し、手で引っ張ることによって第一部材A1から第二部材B1を剥離した。第一部材A1の第二溝6にエチジウムブロマイド(和光純薬製の蛍光性インターカレーター)0.5μg/mlをスプレーして蛍光顕微鏡(オリンパス光学製)を用いて第二溝6を観察したところ、分離した蛍光スポットが観察された。そこで、必要なスポットを、針を用いてゲルごと採取した。
〔力学特性試験〕
上と全く同様にして、力学特性試験用に別途作製したマイクロ流体デバイス(#1)について剥離試験を行った。また、同じく別途作製した第一部材A1と第二部材B1の引張り強度試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例1>
本比較例1では、第一部材A1と第二部材B1の素材の選定によっては密着強度(固着力)が部材A1,B1の強度を上回り、剥離不能となることを示す。
第二部材B1の塗膜13の素材として、第一部材A1の塗膜3及び塗膜4で用いたと同じ活性エネルギー線硬化性組成物[x2]を使用したこと以外は実施例1と同様にして作成したマイクロ流体デバイスは、第一部材A1と第二部材B1の固着強度が強く、第二部材B1が破断して剥離不能であった。
【0047】
<実施例2>
本実施例2では、接着によって固着した第一部材A2と第二部材B2を、そのまま剥離する例を示す。
第二部材B2の塗膜13の素材として活性エネルギー線硬化性組成物[x4]を使用したこと、及び第一部材A2と第二部材B2を粘着によって固定した後、第二部材B2側から紫外線を60秒照射して、第二部材B2を完全に硬化させて第一部材A2と接着したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体デバイス[#2]を作成した。
このマイクロ流体デバイス[#2]を用いて、実施例1と全く同様にして使用試験を行った。その結果、剥離後の第二部材B2が再度の粘着性を示さないこと以外は実施例1と同様の結果を得た。
マイクロ流体デバイス[#2]の密着強度、第一部材A2と第二部材B2の強度を表1に示した。
【0048】
<実施例3>
本実施例3では、剥離不能なほどに強度が低い第二部材B3を有するマイクロ流体デバイスに紫外線を照射することによって、剥離可能とする例を示す。
〔マイクロ流体デバイスの作製と使用試験〕
第二部材B3を、二軸延伸ポリスチレンシート製の基材11上に形成する代わりに、ポリプロピレン二軸延伸シート(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μm)上に形成したこと、塗膜12を形成しなかったこと及び第二部材B3を第一部材A3に粘着によって固着した後に上記ポリプロピレン二軸延伸シートを剥離して、塗膜13のみから成る柔軟なシート状の第二部材B3としたこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体デバイス[#3]を作製した。
このマイクロ流体デバイス[#3]を用いて電気泳動を行い、電気泳動終了後にマイクロ流体デバイス[#3]に第二部材B3側から紫外線を90秒間照射したこと以外は、実施例1と全く同様にして使用試験を行った。
その結果、紫外線の照射により、第二部材B3が硬化すると共に粘着性を喪失し、僅かな力で第一部材A3から第二部材B3を剥離出来たこと以外は実施例1と同様の結果を得た。
〔力学特性試験〕
実施例1と同様にして作製したマイクロ流体デバイス[#3]、第一部材A3、第二部材B3、及びこれらに第二部材B3側から紫外線を90秒間照射したマイクロ流体デバイス[#3’]、同じく紫外線を90秒間照射した第一部材A3’、及び上記紫外線を90秒間照射した第二部材B3’について力学特性試験を行った結果を表1に示す。
【0049】
<比較例2>
使用試験後のマイクロ流体デバイス[#3]に紫外線を照射しなかったこと以外は実施例3と同様にして、第一部材A3と第二部材B3の剥離を試みたが、第二部材B3が破断して剥離できなかった。
【0050】
<実施例4>
本実施例4では、剥離不能なほどに強度が低い第二部材B4に補強材を固着することによって剥離可能と成す例を示す。
〔マイクロ流体デバイスの作製と使用試験〕
第二部材B4を、二軸延伸ポリスチレンシートを基材とする代わりに、ポリプロピレン二軸延伸シート(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μm)上に形成したこと、塗膜12を形成しなかったこと、塗膜13の形成に紫外線を90秒間照射して粘着性のない硬化物としたこと、塗膜13の表面に粘着剤として5%トルエン溶液を塗布して温風乾燥することによって第二部材B4の表面を粘着性としたこと、及び第二部材B4を第一部材A4に粘着によって固着した後に上記ポリプロピレン二軸延伸シートを剥離して、粘着剤が塗布された塗膜13のみから成る第二部材B4としたこと以外は、実施例1と同様にして、第一部材A4と第二部材B4から成るマイクロ流体デバイス[#4]を作製した。
マイクロ流体デバイス[#4]の第一部材A4及び第二部材B4にそれぞれ幅25mmに切断したポリプロピレン粘着テープ(ニットー(株)製、透明ガムテープ)を貼り付け、この粘着テープをそれぞれ把持して引っ張ることによって剥離したところ、マイクロ流体デバイス[#4]の第一部材A4と第二部材B4は剥離可能であり、実施例1と同様にして剥離後に試料採取等の処置を行うことが出来た。
〔力学特性試験〕
マイクロ流体デバイス[#4]の密着強度(粘着テープ貼付)、第一部材A4と粘着テープの密着強度、第二部材B4と粘着テープの密着強度、及び第一部材A4、第二部材B4と粘着テープの強度を、実施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。
【0051】
<比較例3>
実施例4と同様にして作製したマイクロ流体デバイス[#4]を用い、第二部材B4に粘着テープを貼り付けなかったこと以外は実施例4と同様にして第一部材A4と第二部材B4を剥離することを試みたが、第二部材B4が破断して剥離不能であった。
【0052】
<実施例5>
本実施例5では、加温によって剥離を容易にする例を示す。
実施例4と全く同様にして作製したマイクロ流体デバイス[#5]を用い、電気泳動終了後に、マイクロ流体デバイス[#5]を熱風乾燥機に入れて60℃に加温し、その温度で第一部材A5から第二部材B5を剥離したこと以外は、実施例1と同様にして使用試験を行った。
その結果、加温により第二部材B5の粘着力が低下し、第二部材B5が破断することなく剥離出来た。
〔力学特性試験〕
上記マイクロ流体デバイス[#5]、第一部材A5及び第二部材B5について、60℃にて測定した力学特性を表1に示す。
【0053】
<実施例6>
本実施例6では、蒸気と接触させることによって剥離可能と成す例を示す。
〔マイクロ流体デバイスの作製と使用試験〕
第一部材A6をポリスチレン製の基材1上に形成する代わりに、ポリプロピレン二軸延伸シート(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μm)上に形成したこと、及び第二部材B6を第一部材A6に粘着によって固着した後に上記ポリプロピレン二軸延伸シートを剥離して、基材の無い柔軟なシート状の第一部材A6としたこと以外は実施例4と同様にして、第一部材A[A6]と第二部材B[B6]から成るマイクロ流体デバイス[#6]を作製した。
マイクロ流体デバイス[#6]をノルマルヘキサンの入ったガラス製デシケーター中に入れ、40℃の恒温器中に一時間静置した後、室温にて第一部材A6と第二部材B6(それぞれ第一部材A6’、第二部材B6’とする)を引っ張ったところ容易に剥離した。
第一部材A6’と第二部材B6’の密着強度、及び第一部材A6’、第二部材B6’の強度を表1に示す。
【0054】
<実施例7>
本実施例7では、液体と接触させることによって剥離可能と成す例を示す。
実施襟6と同様にして作製したマイクロ流体デバイス[#7]を用いて、ノルマルヘキサン蒸気と接触させる代わりに、24±1℃にて12時間ノルマルヘキサンに浸漬したこと以外は実施例6と同様の試験を行ったところ、実施例6と同様の結果を得た。
マイクロ流体デバイス[#7]、第一部材A7、第二部材B7のノルマルヘキサン浸漬後(それぞれマイクロ流体デバイス[#7’]、第一部材A7’、第二部材B7’とする)の密着強度と部材強度を表1に示す。
【0055】
<比較例4>
実施例1の第二部材Bの代わりに、厚み1mmのシリコンラバーを指で押さえつけて密着させたこと以外は実施例1と同様の使用試験を行ったところ、シリコンラバーを指で押さえつけた状態を保持しないと、ゲル原料が第一部材とシリコンラバーの間から漏洩し、流路に充填することができなかった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、マイクロ流体デバイスの使用時には流路からの試料の漏洩が無く、必要な時に第二部材を容易に剥離して流路を露出させて流路内の試料を採取したり分析するなどの処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例によるマイクロ流体デバイスの平面図である。
【図2】図1に示すマイクロ流体デバイスのC−C線縦断面図である。
【図3】図2に示すマイクロ流体デバイスについてD−D線水平断面で示す第一部材の平面図である。
【図4】第一実施例によるマイクロ流体デバイスの第二部材を第一部材から剥離させる状態を示す縦断面図である。
【図5】第二実施例によるマイクロ流体デバイスの縦断面図である。
【符号の説明】
A 第一部材
B 第二部材
4a 溝形成面(表面)
16 流路
20、30 マイクロ流体デバイス
31 補強材[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention performs a reaction, a separation process, an analysis, and the like in a capillary channel in a microfluidic device, and peels off a laminated member of the device to collect a sample in the channel, a detection process, and the like. The present invention relates to a method of using a microfluidic device and the microfluidic device.
[0002]
[Prior art]
This type of microfluidic device has a thin capillary channel inside and uses the channel as a place for synthesis and analysis. The device is a microfluidic device, a lab-on-chip, or a microfluidic device. -Also called a total analytical system (μTAS). Microfluidic devices are used as microreaction devices (microreactors) for chemistry, biochemistry, physical chemistry, etc., and microanalysis devices such as integrated DNA analysis devices, electrophoresis devices, and chromatography devices. Particularly useful as a migration device.
In microfluidic devices, a thin groove is formed on the surface of one member such as silicon, quartz, glass, and organic polymer by etching or the like, and another member such as a glass plate is screwed and bonded to the surface on which the groove is formed. A method is known in which the flow path is fixed or fixed by fusing (welding) or the like to partition the flow path from the outside.
For example, in a microfluidic device in which a plurality of members are fixed by screwing or the like, as disclosed in “Analytical Chemistry” Vol. 70, p. 3553 (1998), separate operations are performed by screwing as necessary. The member B can be removed to expose one groove to the outside, and the contents in the groove can be collected, for example. However, according to this method, the contact surface between the two members is likely to be incompletely contacted, and leakage tends to occur between the members. Further, it is difficult to align a minute structure, and it is difficult to miniaturize the device thinly because a rigid member without bending is required.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, a microfluidic device in which one member having a groove serving as a flow path on the surface and a cover member are fixed by adhesion or fusion has a problem that the flow path is easily blocked by an adhesive or the like. As disclosed in JP-A-2000-214132 and JP-A-2000-248076 by the present inventors, if this problem is solved, there is no danger of leakage from between members, and the production of a microscopic microfluidic device Was easy.
However, such a microfluidic device to which the cover member is fixed cannot perform operations such as removing the cover member when necessary and collecting a sample. For example, when the microfluidic device is an electrophoretic device, these operations have been impossible despite the demands such as staining of electrophoretic spots, Southern blotting, and collection of separation spots.
Further, according to "Macromosaic Immunoassaya" (Anal. Chem, 2001, 73, 8-12: pages 8 to 10), the following technology is disclosed as a method for producing a DNA microarray. That is, in a state in which a silicon rubber having a groove formed in one direction is pressed against a glass substrate and pressed with a finger (gentle manual pressure), a reaction liquid flows through the groove as a flow path, and then the silicon rubber is removed to remove the silicon rubber. The silicon rubber is pressed against the glass substrate again in a direction perpendicular to the flow path, another reaction liquid is flowed while being pressed with a finger, the silicon rubber is removed again, and the intersection of the two reaction liquid flow paths is removed. DNAs having different base sequences can be synthesized on a glass substrate by solid phase.
However, this technique is not a technique relating to a microfluidic device, but merely an apparatus for producing a DNA microarray. That is, it does not collect or detect a sample in the channel. Moreover, in this apparatus, the silicone rubber is a kind of masking member that selectively and temporarily contacts the reaction liquid to a specific portion of the glass plate and does not contact the other portion, so that the two members adhere to each other. It has not been. Therefore, the reaction liquid easily leaks from the joint surface of the flow path, and the silicon rubber must be pressed with a finger when the reaction liquid flows through the flow path formed by the two members by pressurization. In order to synthesize a DNA having a specific base sequence at a predetermined site, it was necessary to repeatedly detach silicon rubber having grooves formed in different directions many times. Thus, operability and workability were also poor.
[0004]
In view of such circumstances, the present invention can process a sample without causing leakage in a capillary channel formed by joining a plurality of members, and can collect or collect a sample from this channel. It is an object of the present invention to provide a method of using a microfluidic device and a microfluidic device that can be detected.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in order to solve the above-mentioned problems, and adopted the following means.
That is, in the method of using the microfluidic device according to the present invention, the groove is formed on the surface of the first member, the second member is fixed to the surface of the first member, and the groove is partitioned by the groove of the first member and the second member. A flow path for the obtained capillary sample is formed, and the second member is peeled from the surface of the first member to collect or detect the sample from the flow path.
According to the present invention, the flow path is partitioned and formed by fixing the second member to the grooved surface of the first member, and the sample is separated or reacted or analyzed in this flow path. There is no leakage, and even when a plurality of flow paths are formed, they can be formed integrally and there is no need to replace the first member or the like. Then, exposing the flow channel to the outside for sampling or analysis of the sample in the flow channel can be achieved by peeling the second member from the first member.
[0006]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The microfluidic device and the method for using the same according to the present invention are characterized in that the second member B is fixed to a groove forming surface which is a surface having a groove to be a flow path of the first member A, and the capillary is formed by the groove and the second member B. A flow path in the shape of a circle is formed. The fixing method is arbitrary, and may be adhesion, adhesion, or a combination of both. The term "adhesion" as used in the present invention means that the contact portion between the fixed members A and B is solid, and once separated, does not fix again as it is. A state in which the contact portion between A and B is in a viscous state, such as a fluid state or a gel state, and can be fixed again as it is once peeled off.
The adhesion may be adhesion by an adhesive; partial dissolution of a member surface by a solvent and fixation by solvent volatilization; fusion (fusion); fixation at the same time as formation of the member by on-site polymerization (in-situ polymerization). The adhesive is optional, and a solvent-based adhesive; a thermosetting adhesive; an active energy ray-curable adhesive; a molten (hot-melt) adhesive: a moisture-curable adhesive can be used.
The fusing means melting at least a surface portion of at least one of the members A and B to be fixed, and fixing the melted portion by cooling and solidification. Thermal fusion; ultrasonic fusion; high-frequency fusion Wear; insert injection molding and the like. The fixing at the same time as the formation of the member by on-site polymerization is a method in which a member raw material made of an uncured resin or a semi-cured resin is brought into contact with a partner member, and is polymerized by active energy rays, heat, or the like, and simultaneously fixed. Among these, active energy ray-curable adhesives or melt-type adhesives are preferable because the adhesion strength can be easily controlled, and fixation by on-site polymerization using an active energy ray-curable composition requires only a small number of steps. This is preferable because the flow path is less likely to be blocked.
Adhesion can be the application of an adhesive; the use of a material whose surface is sticky; the use of a material whose entire member is sticky; The two members A and B to be fixed may be adhered and one of the members A and B may be non-adhesive, or both members A and B may be adhesive. Is preferred because it is easy to control the adhesion strength and can form a rigid microfluidic device.
[0007]
The method for using the microfluidic device according to the present invention includes the steps of subjecting a sample in a capillary channel formed in the microfluidic device to any separation and precipitation treatment such as electrophoresis, chromatography, filtration, crystallization, and evaporation to dryness. After that, the first member A and the second member B are peeled off, and the separated or precipitated sample in the flow path is exposed to the outside to perform sampling or detection processing. It is particularly useful and preferred that the processing in the microfluidic device be electrophoretic.
The sample in the flow path is preferably peeled off while being held in the groove of the first member A, but may be peeled off by attaching to the second member B. Which member is to be peeled off in a state of being attached can be controlled by a difference in the material of the first member A and the second member B, a difference in the surface treatment method, a method of peeling, and the like. The method of collecting the sample after peeling is arbitrary, and may be scraping, suction, transfer, or the like, and the detection process may be a detection process such as optical measurement, reaction, or analysis. In particular, it is particularly useful and preferable to collect electrophoretic spots after electrophoresis in a flow channel and to perform detection processing such as Southern blot, color reaction, and fluorescence reaction of electrophoretic spots.
[0008]
Peeling method is optional, pulling both members in the direction of separation, inserting knife edge on the fixed surface of both members and pushing and spreading by "prying" etc., blowing compressed air between both members, between both members Injection or intrusion of the liquid may be performed, but pulling or spreading is preferable in terms of holding the sample in the channel.
In peeling by pulling, both the members A and B may be rigid, or one or both of the first member A and the second member B may be a flexible film-like (sheet-like or other thick flexible material). And the same applies to the following). That is, in the case of peeling by pulling, when the ends of both members are pulled, the two members may be peeled without being substantially deformed, or at least one of the members is flexibly bent at the peeling portion and peeled. Is also good. In particular, the latter is useful and preferable because materials having low strength can be used as the first member A and the second member B, and the thickness of the microfluidic device can be reduced.
Peeling by spreading is applicable when both members A and B are rigid. Separation means separation at the interface between the two members, or separation or separation at the interface between the adhesive or the adhesive layer and one of the members when an adhesive or an adhesive is sandwiched between the members. Refers to the separation of adhesives and adhesives by self-destruction.
[0009]
In order for the first member A and the second member B to be peelable, both the first member A and the second member B need to have a strength higher than the adhesion strength. The adhesion strength is measured by a method described in JIS K6404-5 "Plastic drawing test method-Adhesion test method", that is, a method in which each end of both members A and B is gripped and the force required for peeling is measured by pulling. it can. This method is a peeling test method in which peeling is performed sequentially from one end of a fixed portion. JIS K6404-5 describes that when both the first member A and the second member B are stronger than the adhesion strength, the two members can be peeled off without being destroyed.
Therefore, when at least one of the first member A and the second member B is in the form of a flexible film, the “strength” of both members is such that the first member A or the second member B is broken by the JIS test described above. Force (mechanical properties, mechanical strength), and the dimension and unit are the same as the adhesion strength (force per unit width of the measurement sample: N / cm). That is, the “strength” is, for example, a value obtained by multiplying the “tensile strength” in JIS K7113 “Plastic tensile test method” by the thickness of the measurement sample (first member A, second member B, or a reinforcing member described later). Is equivalent to However, the measured adhesion strength depends on the peeling speed, and generally increases as the peeling speed increases. In the present invention, the value is based on a peeling speed of 2 mm / s.
If the first member A and the second member B are both rigid members, the entire surface of the fixed portion of both members will be peeled off at one time. In the test method of JIS K6404-5, a force stronger than the measured difference train adhesion strength is required. In the present invention, even when both members are rigid, the value of the adhesion strength according to the test method similar to JIS K6404-5 is applied. That is, at least one is a value using a flexible film-shaped model test piece. As described above, when both members are rigid microfluidic devices, even if at least one member has the same adhesion strength as when it is flexible, a large force or the like is required to separate both members from each other, Therefore, both members A and B need to have a bending strength enough not to be broken by this force.
[0010]
In a first preferred embodiment of the method for using the microfluidic device according to the present invention, the first member A and the second member B are subjected to an operation of weakening the adhesion strength between the first member A and the second member B without fixing a reinforcing material thereto. Includes a method of peeling without In the present first embodiment, the adhesion strength is arbitrary as long as it satisfies the relationship with the strength of the first member A and the second member B, but is preferably 1 to 500 N / cm, more preferably It is 3 to 200 N / cm, most preferably 10 to 100 N / cm. By setting this range, the range of selection of the material of the first member A and the second member B is widened, and there are few restrictions in using the microfluidic device, and the microfluidic device can be easily peeled.
In addition, the adhesion strength prevents the plastic deformation of the member at the time of peeling, and the sample in the flow path of the first member A or the second member B is adhered and peeled in order to facilitate the subsequent processing of the sample. The elasticity of the member is preferably less than the elastic limit, and the elongation at the time of peeling is preferably in the range of 10 or less.
The adjustment of the adhesion strength can be adjusted by any method depending on the fixing method. For example, in the case of fixing with an adhesive, selection of the adhesive, selection of the material and surface characteristics of the member to be bonded, and in the case of bonding by dissolving the surface with a solvent, selection of the solvent and material of the member to be bonded. And surface properties, in the case of fusion, the selection of the fusion conditions and the combination of both materials to be fused, and in the case of on-site polymerization, the selection of the degree of pre-curing and the selection of the combination of materials, In the case of (1), it can be controlled by selecting the pressure-sensitive adhesive or the material and surface characteristics of the member to be bonded.
[0011]
A second preferred embodiment of the method for using the microfluidic device according to the present invention is that the first member A or the second member B, or the first member A and the second member A reinforcing material having a strength higher than the adhesion strength of the two members B is adhered or adhered with an adhesion strength stronger than the adhesion strength of the first member A and the second member B, or is fixed by both adhesion and adhesion, and reinforcement is performed. This is a method in which the members are gripped and pulled in a direction in which both members A and B are separated from each other, or they are separated by pushing and expanding between the first member A and the second member B. Of course, in the case of pulling, the reinforcing member and the member to which it is fixed may be simultaneously grasped and pulled. According to this aspect, even if the strength of one or both of the first member A and the second member B is weaker than the adhesion strength between the two members A and B, the separation can be performed.
The reinforcing material may be a rigid member or a flexible member, and the material is also arbitrary.A flexible film-like member with little elongation is preferable for easy handling, for example, It is preferably a metal, a polymer or a fiber reinforced polymer. The method of fixing the reinforcing material is preferably adhesive because it is excellent in immediateness and handleability. When the fixing method is sticky, it is preferable that the reinforcing material is a member coated with a pressure-sensitive adhesive because of excellent handleability. Also in the second embodiment, the preferable absolute value of the adhesion strength is the same as that in the first embodiment.
[0012]
In a third preferred aspect of the method for using the microfluidic device according to the present invention, the adhesion strength between the first member A and the second member B is selected from active energy ray irradiation, temperature change, contact with a liquid, and contact with a vapor. And a step of reducing the strength of the two members A and B, which are reduced by one or more treatments, to enable or facilitate peeling. At this time, the adhesion strength reduced by the above treatment is preferably 100 N / cm or less, more preferably 30 N / cm or less, and most preferably 10 N / cm or less. The lower limit of the adhesion strength can be zero N / cm or spontaneous peeling.
The value of the adhesion strength before being reduced by the adhesion strength lowering treatment is arbitrary as long as the microfluidic device can withstand use, and is stronger than the strength of the first member A or the second member B and cannot be peeled off. May be present, but may be peelable, but the first member A or the second member B may have an adhesion strength that extends to an undesirable extent, or may be peelable but high enough to require a large force for peeling. The adhesive strength may be used.
Before performing the adhesion strength reduction process, the adhesion strength may be stronger than at least one of the strengths of both members, and may be weaker than the strength of both members A and B by the adhesion strength reduction process, or Alternatively, the adhesive strength may be weaker than the strength of either of the members A and B before the adhesive strength lowering processing is performed, and may be further reduced by the above processing. The former is preferable when the flow path requires pressure resistance, and the latter is when the flow path does not need pressure resistance, or when the first member A or the second member B is particularly thin and flexible. It is suitable for a case where deformation of the member due to the peeling operation is disliked.
Needless to say, the decrease in the adhesion strength occurs within a realistic time, and the time required for the reduction is preferably within 24 hours, more preferably within 3 hours, and most preferably within 10 minutes. Active energy ray irradiation is preferable because it can be processed in a short time of 1 minute or less. Further, of course, the irradiation and the temperature rise of the active energy ray are a radiation type, a dose and a temperature within a range where the sample in the flow path is not substantially transformed.
[0013]
In particular, in the third embodiment, the first member A and the second member B may be fixed by adhesion or adhesion, which is the same as in the first embodiment of the present invention. However, the material showing the adhesiveness of the microfluidic device to be used is a semi-cured product (incompletely cured product) of the active energy ray-curable composition, and the treatment for lowering the adhesion strength is performed by re-irradiating the active energy with the active energy. It is preferable that the semi-cured composition of the line-curable composition is cured because the treatment time is short, the operation can be performed at room temperature, and the sample in the flow path can be prevented from being damaged or denatured.
The decrease in adhesion strength due to active energy ray irradiation may be a decrease in adhesive strength due to the curing of the tacky material, the decomposition of an adhesive or a pressure-sensitive adhesive by active energy rays, or the like. The active energy ray is applied to the fixing portion through the first member A, the second member B, or both. Active energy rays include rays such as ultraviolet rays, visible rays, infrared rays, laser rays, and radiation; ionizing radiation such as X-rays, gamma rays, and radiation; particle rays such as electron rays, ion beams, beta rays, neutron rays, and heavy ion beams. Is mentioned.
Among these, ultraviolet light and visible light are preferable from the viewpoint of handleability and curing speed, and ultraviolet light is particularly preferable. For the purpose of accelerating the reaction rate and performing the reaction completely, it is preferable to perform the irradiation with the active energy ray in a low oxygen concentration atmosphere. The low oxygen concentration atmosphere is preferably a nitrogen stream, a carbon dioxide stream, an argon stream, or a vacuum or reduced pressure atmosphere. The mechanism for reducing the adhesive strength by irradiation with active energy rays is arbitrary, and the adhesive strength or adhesive strength may be reduced by curing by polymerization or crosslinking, or the adhesive strength or adhesive strength may be reduced by decomposition. Is preferred because the required dose is small.
[0014]
The temperature change can be an increase or decrease in temperature. A decrease in adhesion strength due to an increase in temperature can be a decrease in viscosity of the adhesive, and a decrease in adhesion strength due to a decrease in temperature can be a decrease in adhesion due to solidification of the adhesive. Although the temperature at which the temperature is lowered is arbitrary, it is preferable to lower the temperature to a temperature lower than the glass transition temperature of the pressure-sensitive adhesive or the pressure-sensitive adhesive material. For example, -18 ° C., dry ice temperature, and liquid nitrogen temperature are preferable.
Contacting with the liquid is preferably immersion of the microfluidic device in the liquid. The liquid used for this is a liquid that does not contaminate the sample to be collected in the flow path, for example, a liquid that is immiscible with water when the sample is an aqueous solution, and that dissolves or dissolves the used adhesive or adhesive. It may be in contact with a solvent to swell. Such liquids include, for example, hydrocarbon solvents, higher fatty acid esters, chlorine solvents, silicone oils, fluorine solvents and the like.
The contact with the steam is preferably such that the steam dissolves in the adhesive or the pressure-sensitive adhesive to reduce the adhesion strength, and is preferably brought into contact with the steam of the hydrophobic volatile solvent in an atmosphere at room temperature or higher.
[0015]
Next, the microfluidic device according to the present invention will be described.
The microfluidic device according to the present invention is a particularly preferred form of microfluidic device that can be used in the above-mentioned method of use according to the present invention.
The microfluidic device according to the first aspect is preferably used in the first aspect of the method of use according to the present invention.
That is, in the microfluidic device according to the present invention, the second member B is fixed to the groove forming surface which is the surface having the groove serving as the flow path of the first member A, and the capillary and the channel are formed by the groove and the second member B. Is formed, wherein the adhesion between the first member A and the second member B is due to adhesion, the inner surface of the flow path is non-adhesive, and the first member A and the second member B Is characterized in that its strength is higher than the adhesion strength. "The adhesion between the first member A and the second member B is due to adhesion, and the inner surface of the flow path is non-adhesive.", For example, when the second member B is formed of an adhesive material Or, when the adhesive is applied to the second member B, the portion of the second member B facing the flow path is formed to be non-adhesive, and the other portions are formed to be adhesive. Means that. Other details are described for the microfluidic device used in the first aspect of the method of use of the invention described above.
The first microfluidic device according to the present invention preferably has an adhesion strength between the first member A and the second member B of 1 to 500 N, as described in the first embodiment of the method of use of the present invention. / Cm, more preferably 3 to 200 N / cm, and most preferably 10 to 100 N / cm. The second member B is preferably formed of a cured or semi-cured active energy ray-curable composition, and the microfluidic device is preferably an electrophoretic device.
[0016]
A microfluidic device according to a second preferred embodiment of the present invention is a microfluidic device used in the third aspect of the method of use of the present invention. That is, the second member B is fixed to the groove forming surface which is the surface having the groove serving as the flow path of the first member A, and the groove and the second member B form a capillary flow path. The adhesion strength between the fixed members A and B is reduced by one or more operations selected from active energy ray irradiation, temperature change, contact with a liquid, and contact with steam, and the fixed members A and B are fixed. It is characterized by being weaker than the strength of
The adhesion strength before performing the treatment for reducing the adhesion strength is arbitrary as long as it is higher than the adhesion strength after the treatment, but the strength is higher than the strength of the first member A and the second member B, such as pressure resistance. It is preferred in that respect. The details of the microfluidic device according to the second embodiment are the same as those of the microfluidic device used in the third embodiment of the method for using the present invention described above.
In the microfluidic device according to the first and second embodiments, it is preferable that the first member A and the second member B are fixed by adhesion. In general, adhesives show adhesiveness to a wide range of materials, but cured adhesives show adhesiveness only to a narrower range of materials. The adhesive strength can be easily reduced by using the microfluidic device, and the members have high pressure resistance and easy handling when the microfluidic device is used, without causing deformation or breakage of the members A and B. It can be easily peeled off. If the adhesive member is the second member B, the production is easy and preferable.
[0017]
The outer shape of the first member A of the microfluidic device according to the present invention having a groove serving as a flow path on its surface is not particularly limited, and can take a shape according to the use or purpose. For example, it may be in the form of a film, a plate, a coating applied to a support, a rod, a tube, a cylinder, or a molded product having other complicated shapes. Since it is necessary to adhere tightly, this surface is preferably a flat surface or a curved surface formed by bending a flat surface, and is preferably a film or plate.
The first member A may be made of any of an adhesive material and a non-adhesive material, and may further contain additives such as a coloring agent, a filler, and a reinforcing material. Examples of the colorant include an arbitrary dye or pigment, a fluorescent dye or pigment, and an ultraviolet absorber. Examples of fillers and reinforcing materials include inorganic powders such as clay, and organic and inorganic fibers and fabrics.
The groove provided on the surface of the first member A becomes a capillary-shaped flow path when the second member B is adhered and fixed to the surface where the groove is formed, and is dug on the surface. It may be a so-called concave groove or a concave portion formed by two walls standing on the surface of the member. The cross-sectional shape of the groove is arbitrary, and may be, for example, a rectangle (hereinafter, a polygon including a rectangle includes a shape with rounded corners), a slit, a trapezoid, a triangle, a semicircle, or a combination thereof. The cross-sectional dimension of the channel is arbitrary, but the depth is preferably 1 μm to 3 mm, more preferably 10 μm to 1 mm, and most preferably 30 μm to 300 μm. The width is preferably between 1 μm and 10 mm, more preferably between 10 μm and 3 mm, most preferably between 30 μm and 1 mm.
If the size is smaller than this, it is difficult to form the capillary flow path without blocking it by covering the groove with the second member B, which is not preferable. Further, if the size exceeds this, the merit of the microfluidic device tends to decrease, which is not preferable. The length of the groove is arbitrary, and may be a suitable length depending on the application and purpose.
[0018]
The shape of the groove as viewed from the surface of the microfluidic device is arbitrary, and a suitable shape can be adopted depending on the application and purpose. For example, it may be a straight line, a curve, a zigzag, a branch, a mesh, or the like. Of course, the width and depth of the groove may vary depending on the location. Further, it may have a deeper portion or a wider portion that is connected to the groove and becomes, for example, a liquid storage tank, or may have a hole that penetrates the first member A having the groove or the inside of the first member A. May be provided with a capillary channel.
In the microfluidic device according to the present invention, a capillary channel is formed by fixing the second member B to the groove forming surface of the first member A. The shape and size of the flow channel are the same as the shape and size of the groove, and the shape and size of the groove can be made the same by using a member having a flat fixing surface as the second member B. The flow path may have any structure as long as the fluid can move through the flow path, and may be a flow path for transferring a fluid; a flow path as a reaction field; a flow path as an extraction field; a flow path as a separation field such as electrophoresis; Or a channel that can be used as a chromatograph, gel electrophoresis, or the like by filling the channel with a filler, gel, or the like.
The shape of the second member B is not particularly limited as long as the flow path can be formed by fixing the second member B to the first member A having the groove, and can take a shape according to the use or purpose. For example, it may be a film, a plate, a coating, or a molded product having a complicated shape. However, since it is necessary to closely adhere to the surface of the first member A having the groove, the film or the plate may be used. It is preferable that The second member B does not need to have a groove, but may have a groove. Further, a hole or other structure penetrating through the second member B may be formed.
The second member B may be a composite laminate applied to a support. In this case, the material of the support is arbitrary, and for example, a non-adhesive material that can be used as the first member A or the second member B can be used. When the second member B is made of an adhesive material, it is preferable that such a laminated structure is used. The shape of the support of the second member B is the same as the shape of the second member B described above.
[0019]
The non-adhesive material from which the first member A and the second member B can be formed is not particularly limited, and may be, for example, an organic polymer (hereinafter, “organic polymer” may be simply referred to as “polymer”. In the present invention, organic-containing inorganic polymers such as polydimethylsiloxane are also included in the organic polymers.); Glass; crystals such as quartz; ceramics; semiconductors such as silicon; metals; and inorganic polymers such as graphite. Of these, polymers and glass are preferred.
The polymer used as the non-tacky material may be a homopolymer or a copolymer, and may be a thermoplastic polymer or a thermosetting polymer. From the viewpoint of productivity, the polymer is preferably a thermoplastic polymer or an active energy ray-curable crosslinked polymer. Further, the polymer may be a polymer blend or a polymer alloy.
The non-adhesive material is preferably a material that is fixed with sufficient strength to use the microfluidic device and that is fixed with sufficient strength to be peelable.
Examples of such polymers include polyolefin-based polymers such as polyethylene, polypropylene and poly-4-methylpentene-1; chlorine-containing polymers such as vinyl chloride and vinylidene chloride; polytetrafluoroethylene, polyvinylidene fluoride, and perfluoroalkyl vinyl ether-4. Fluorine-containing polymers such as fluorinated ethylene copolymer (PFA); polyether polymers such as polyethylene oxide and polymethylene oxide; polythioether polymers such as polyphenylene sulfide; polyether ketone polymers such as polyether ether ketone; polyethylene terephthalate Polyester polymers such as aromatic polyamides; and polyimide polymers such as aromatic polyimides are preferably used. Further, in this case, glass, crystal, silicon, metal, and inorganic polymer are preferable since they often become non-adhesive.
[0020]
Further, a polymer which is firmly adhered by an adhesive or a polymer which is non-adhesive material and which adheres to an adhesive material by irradiation with active energy rays so that it cannot be peeled off (hereinafter referred to as “adhesive polymer”) In some cases, the adhesive strength can be reduced by performing a surface treatment. The surface treatment method is optional, and examples thereof include plasma treatment, plasma polymerization, fluorination treatment, primer treatment, surface graft polymerization, and application of silicone oil and the like.
In addition to the surface treatment, the adhesion can be controlled by blending a modifier with a polymer used as a non-tacky material. Examples of the modifier that can be used for such a purpose include a hydrophobizing agent (water repellent) such as silicone oil and fluorine-substituted hydrocarbon, and a plasticizer such as dioctyl phthalate. Further, for controlling the adhesiveness, a method of using a copolymer having a composition gradient structure or surface segregation can be adopted.
Examples of the polymer having a strong tendency to have an adhesive property and preferably used in combination with surface treatment or modification include, for example, styrene-based polymers such as polystyrene, poly-α-methylstyrene, polystyrene / maleic acid copolymer, and polystyrene / acrylonitrile copolymer. Polysulfone polymers such as porsulfone and polyethersulfone; (meth) acrylic polymers, ie, polymers of (meth) acryloyl group-containing compounds such as (meth) acrylate groups, acrylonitrile groups, (substituted) acrylamide groups, etc .; polymaleimide polymers Polycarbonate polymers such as bisphenol A-based polycarbonate, bisphenol F-based polycarbonate and bisphenol Z-based polycarbonate; cellulose-based polymers such as cellulose acetate and methyl cellulose; Polyurethane-based polymer; such polyamide-based polymer of nylon 6; and polyarylate such polyester polymers are exemplified.
Among these, the polymer of the active energy ray polymerizable (meth) acrylic compound is usually adhesive, but the fluorine-containing acrylic monomer, the siloxane-containing acrylic monomer, and both the hydrophilic group and the hydrophobic group are used. Copolymerization of the contained monomer such as an amphiphilic acrylic monomer is preferable because non-adhesion can be achieved without surface treatment.
The method of manufacturing the first member A having a groove using a non-tacky material is arbitrary. Examples thereof include injection molding, press molding, solvent casting, lithography, and photolithography (including active energy ray lithography; the same applies hereinafter).
The method of manufacturing the second member B using a non-tacky material is also optional. For example, injection molding, melt extrusion molding, a coating method (including a solvent casting method), an on-site polymerization method using active energy rays, and the like can be given.
[0021]
The adhesive material from which the first member A and the second member B can be formed is not particularly limited, and is preferably, for example, an oligomer, a polymer, or a crosslinked polymer swollen by a monomer or oligomer. The adhesive material is preferably water-insoluble and non-swellable in water.
Examples of oligomers that can be used as the adhesive material include (meth) acrylic oligomers; vinyl acetate oligomers; polyamide oligomers; polyester oligomers; polyurethane oligomers; epoxy resin oligomers;
The adhesive material can form a smooth adhesive surface, can form an adhesive member having a groove on the surface by using photolithography, has an adhesive second member B or groove by on-site polymerization using active energy rays. The first member A can be formed with high productivity, and various monomers are commercially available. By selecting the components and the composition, a tacky material having desired properties can be formed, and energy beam patterning exposure By virtue of the fact that the adhesive part and the non-adhesive part can be formed in one part, it is a cured or semi-cured active energy ray-curable composition containing an active energy ray-polymerizable compound. Is preferred.
[0022]
In the microfluidic device according to the present invention, a cured or semi-cured active energy ray-curable composition will be described as a preferred adhesive material.
Hereinafter, an active energy ray-curable composition that can use a cured product or a semi-cured product as an adhesive material is referred to as “active energy ray-curable composition (x)” or simply “composition (x)”. Further, in this specification, "semi-cured" refers to a state in which curing is not sufficiently performed, and "cured" refers to a state in which mechanical properties are cured to a level substantially saturated. Therefore, the cured product may show tackiness in some cases. “Curing or semi-curing” may be abbreviated as “(semi-curing)”.
The composition (x) is semi-cured to obtain an oligomer, a mixture of a polymer and an oligomer (generally, a polymer having an average molecular weight of 10,000 or more is called a polymer, and a polymer having an average molecular weight of less than that is called an oligomer), or a monomer or oligomer. Swelled into a crosslinked polymer.
The formation of the semi-cured state includes the irradiation of an insufficient amount of active energy rays, the irradiation of active energy rays at a low temperature, the use of active energy rays having a specific energy (wavelength), the active energy of the composition (x). Addition of an insufficient amount of a linear polymerization initiator, addition of a polymerization inhibitor and / or a polymerization retarder to the composition (x), an active energy ray-curable compound which is a main component of the active energy ray-curable composition (A) (to be described later) can be carried out by using a compound having low reactivity. Further, by irradiating active energy rays in the air, polymerization can be inhibited by oxygen, the surface can be made lower in molecular weight than the inside, and the surface can have tackiness while the inside is hardened.
[0023]
The active energy ray-polymerizable compound (a) (hereinafter sometimes simply referred to as “compound (a)”) contained as a main component in the composition (x) is polymerized by the active energy ray. If so, the polymerization system is arbitrary, and may be addition polymerization, ring-opening polymerization, or the like, or may be any of radical polymerization, anion polymerization, and cation polymerization. The compound (a) is not limited to a compound that is polymerized in the absence of a polymerization initiator, and a compound that is polymerized by an active energy ray only in the presence of a polymerization initiator can also be used.
The compound (a) is preferably a compound having a chain-polymerizable functional group, more preferably a compound having a polymerizable carbon-carbon double bond as an active energy ray-polymerizable functional group, and among them, a compound having high reactivity ( (Meth) acrylic compounds (that is, (meth) acryloyl group-containing compounds), vinyl ethers, and maleimide compounds that cure even in the absence of a photopolymerization initiator are preferred.
Further, the compound (a) is preferably a compound that forms a crosslinked polymer by polymerizing from the viewpoint of high shape retention in a semi-cured state and high strength after curing. Therefore, a compound having two or more polymerizable carbon-carbon double bonds in one molecule (hereinafter, regarding a compound having chain addition polymerization, "two or more polymerizable carbon-carbon double bonds in one molecule""Having a heavy bond" is referred to as "polyfunctional", and "having one polymerizable carbon-carbon double bond in one molecule" is referred to as "monofunctional." And the like also conform to this.).
Examples of the polyfunctional (meth) acrylic monomer that can be preferably used as the compound (a) include diethylene glycol di (meth) acrylate, neopentyl glycol di (meth) acrylate, 1,6-hexanediol di (meth) acrylate, 2,2'-bis (4- (meth) acryloyloxypolyethyleneoxyphenyl) propane, 2,2'-bis (4- (meth) acryloyloxypolypropyleneoxyphenyl) propane, neopentylglycol di (meth) hydroxydipivalate Bifunctional monomers such as acrylate, dicyclopentanyl diacrylate, bis (acryloxyethyl) hydroxyethyl isocyanurate, N-methylenebisacrylamide; trimethylolpropane tri (meth) acrylate, trimethylo Trifunctional monomers such as ethanetri (meth) acrylate, tris (acroxyethyl) isocyanurate, and caprolactone-modified tris (acroxyethyl) isocyanurate; tetrafunctional monomers such as pentaerythritol tetra (meth) acrylate; dipentaerythritol hexa (meta) And 6) a hexafunctional monomer such as acrylate.
[0024]
Examples of the monofunctional (meth) acrylic monomer include methyl methacrylate, alkyl (meth) acrylate, isobornyl (meth) acrylate, alkoxy polyethylene glycol (meth) acrylate, phenoxydialkyl (meth) acrylate, and phenoxy polyethylene glycol (meth) acrylate Alkylphenoxy polyethylene glycol (meth) acrylate, nonylphenoxy polypropylene glycol (meth) acrylate, hydroxyalkyl (meth) acrylate, glycerol acrylate methacrylate, butanediol mono (meth) acrylate, 2-hydroxy-3-phenoxypropyl acrylate, 2- Acryloyloxyethyl-2-hydroxypropyl acrylate, ethylenoxide Phthalic acid acrylate, w-carboxyaprolactone monoacrylate, 2-acryloyloxypropyl hydrogen phthalate, 2-acryloyloxyethyl succinic acid, acrylic acid dimer, 2-acryloyloxypropyl hexahexahydrohydrogen phthalate, fluorine-substituted alkyl ( (Meth) acrylate, chlorine-substituted alkyl (meth) acrylate, sodium sulfonic acid (meth) acrylate, sulfonic acid-2-methylpropane-2-acrylamide, phosphoric ester group-containing (meth) acrylate, sulfonic ester group-containing (meth) Acrylate, silano group-containing (meth) acrylate, ((di) alkyl) amino group-containing (meth) acrylate, quaternary ((di) alkyl) ammonium group-containing (meth) acrylate, (N Alkyl) acrylamide, (N, N-dialkyl) acrylamide, A chloro yl Mori holin and the like.
[0025]
Examples of the polyfunctional maleimide-based monomer include 4,4′-methylenebis (N-phenylmaleimide), 2,3-bis (2,4,5-trimethyl-3-thienyl) maleimide, and 1,2-bismaleimideethane , 1,6-bismaleimidehexane, triethylene glycol bismaleimide, N, N'-m-phenylenedimaleimide, m-tolylenedimaleimide, N, N'-1,4-phenylenedimaleimide, N, N'- Diphenylmethane dimaleimide, N, N'-diphenylether dimaleimide, N, N'-diphenylsulfone dimaleimide, 1,4-bis (maleimidoethyl) -1,4-diazoniabicyclo- [2,2,2] octane dichloride , 4,4'-isopropylidenediphenyl dicyanate.N, N '-(methylenedi-p-phenyl Bifunctional maleimides such as vinylene) dimaleimide; N-(9-acridinyl) maleimide or the like having a polymerizable functional group other than such a maleimide group and a maleimide group of the maleimide and the like.
Examples of the monofunctional maleimide-based monomer include N-alkylmaleimides such as N-methylmaleimide, N-ethylmaleimide, N-butylmaleimide, and N-dodecylmaleimide; N-alicyclic maleimides such as N-cyclohexylmaleimide; Benzyl maleimide; N-phenylmaleimide, N- (alkylphenyl) maleimide, N-dialkoxyphenylmaleimide, N- (2-chlorophenyl) maleimide, 2,3-dichloro-N- (2,6-diethylphenyl) maleimide, N- (substituted or unsubstituted phenyl) maleimide such as 2,3-dichloro-N- (2-ethyl-6-methylphenyl) maleimide; N-benzyl-2,3-dichloromaleimide, N- (4'-fluoro Halogen such as phenyl) -2,3-dichloromaleimide Maleimide having a hydroxyl group such as hydroxyphenylmaleimide; maleimide having a carboxy group such as N- (4-carboxy-3-hydroxyphenyl) maleimide; maleimide having an alkoxy group such as N-methoxyphenylmaleimide; N- [ Maleimide having an amino group such as 3- (diethylamino) propyl] maleimide; polycyclic aromatic maleimide such as N- (1-pyrenyl) maleimide; N- (dimethylamino-4-methyl-3-coumarinyl) maleimide; Maleimides having a heterocyclic ring such as (4-anilino-1-naphthyl) maleimide and the like can be mentioned.
[0026]
Further, as the compound (a), a polymerizable oligomer (also referred to as a prepolymer) can be used, and examples thereof include those having a weight average molecular weight of 500 to 50,000. Such polymerizable oligomers include, for example, acrylic polymerizable oligomers such as epoxy resin (meth) acrylate, polyether resin (meth) acrylate, polybutadiene resin (meth) acrylate, A polyurethane resin having a (meth) acryloyl group at a molecular terminal is exemplified.
Examples of the maleimide-based polymerizable oligomer include polytetramethylene glycol maleimide alkylate such as polytetramethylene glycol maleimide capriate and polytetramethylene glycol maleimide acetate.
These compounds (a) can be used alone or in combination of two or more. For example, it is preferable to use a mixture of a monomer and an oligomer, and it is also possible to use a mixture of an acrylic monomer, a maleimide monomer, a vinyl monomer, a vinyl ether, and the like, and to copolymerize. The active energy ray-polymerizable compound (a) may be a polyfunctional monomer and / or an oligomer for the purpose of adjusting viscosity, adjusting adhesiveness in a (semi) cured state, adjusting adhesiveness during curing, and the like. It is preferable to use a mixture of monofunctional monomers. Some of the above-mentioned monomers are hard to cure by themselves or are solid, making it difficult to use them alone, but they can be used by mixing.
[0027]
The composition (x) is capable of forming a tacky material by irradiation with an active energy ray, and contains the compound (a) as an essential component. The composition (x) may be a single compound (a) or a mixture of a plurality of compounds (a). The composition (x) may contain, if necessary, other components such as a photopolymerization initiator, a polymerization retarder, a polymerization inhibitor, a solvent, a thickener, a modifier, an antibacterial agent, a fungicide, and a coloring agent. , An ultraviolet absorber and the like can be mixed and used.
The photopolymerization initiator which can be mixed and used as necessary in the composition (x) is active with respect to the active energy ray used in the present invention and is capable of polymerizing the compound (a). There is no particular limitation as long as it is present, and for example, a radical polymerization initiator, an anionic polymerization initiator, or a cationic polymerization initiator may be used.
Examples of such photopolymerization initiators include acetophenones such as p-tert-butyltrichloroacetophenone, 2,2'-diethoxyacetophenone, and 2-hydroxy-2-methyl-1-phenylpropan-1-one; Ketones such as benzophenone, 4,4'-bisdimethylaminobenzophenone, 2-chlorothioxanthone, 2-methylthioxanthone, 2-ethylthioxanthone and 2-isopropylthioxanthone; benzoin, benzoin methyl ether, benzoin isopropyl ether and benzoin isobutyl ether Benzoin ethers such as benzyldimethyl ketal and hydroxycyclohexylphenyl ketone; azides such as N-azidosulfonylphenylmaleimide; That. Further, a polymerizable photopolymerization initiator such as a maleimide-based compound can be used.
[0028]
When the photopolymerization initiator is mixed and used in the composition (x), the amount of the nonpolymerizable photopolymerization initiator is preferably in the range of 0.005 to 20% by weight, and more preferably 0.1 to 5% by weight. A range is particularly preferred. The photopolymerization initiator may be a polymerizable one, for example, a polyfunctional or monofunctional maleimide monomer exemplified as the active energy ray polymerizable compound (a). The used amount in this case is not limited to the above value.
Examples of the polymerization retarder that can be mixed and used in the composition (x) as needed include, for example, styrene, α-methylstyrene, α-phenylstyrene, p-octylstyrene, p- (4-pentylcyclohexyl) styrene, Compounds to be used such as p-phenylstyrene, p- (p-ethoxyphenyl) phenylstyrene, 2,4-diphenyl-4-methyl-1-pentene, 4,4′-divinylbiphenyl, 2-vinylnaphthalene, etc. And vinyl monomers having a lower polymerization rate.
Examples of the polymerization inhibitor that can be mixed and used as needed in the composition (x) include hydroquinone derivatives such as hydroquinone and methoxyhydroquinone; and substituted phenols such as butylhydroxytoluene, tert-butylphenol, and dioctylphenol. Can be
Examples of the thickener that can be mixed and used in the composition (x) as needed include, for example, chain polymers such as polystyrene. Modifiers that can be mixed and used as needed in the composition (x) include, for example, hydrophobic compounds such as silicone oil and fluorine-substituted hydrocarbons that function as water repellents and release agents; Water-soluble polymers such as polyvinylpyrrolidone and polyethylene glycol functioning as inhibitors are included. Examples of the colorant that can be mixed and used in the composition (x) as needed include arbitrary dyes, pigments, and fluorescent dyes.
[0029]
When the first member A having the groove is a (semi) cured product of the composition (x), it can be prepared by the following on-site polymerization method. That is, the composition (x) is applied or cast on the support (coating includes casting. The coating film includes casting material) to form an uncured coating film. . The thickness of the coating film is arbitrary, but is preferably 1 μm or more, more preferably 5 μm or more, and still more preferably 10 μm or more. If it is thinner than this, manufacturing becomes difficult.
The thickness of the coating film is preferably 3000 μm or less, more preferably 1000 μm or less, and even more preferably 300 μm or less. If the thickness is larger than this, the effect of the present invention is reduced. The thickness of the coating film slightly changes due to shrinkage at the time of curing or the like, but generally becomes the thickness of the (semi) cured product. Also, the depth of the groove is the same as or smaller than the thickness of the coating film. The application site is arbitrary, and may be the entire surface or the partial surface of the support.
As a method for applying the composition (x) to the support, any coating method can be used. For example, a spin coating method, a roller coating method, a casting method, a dipping method, a spray method, a bar coater method, X -Y applicator method, screen printing method, letterpress printing method, gravure printing method, extrusion from a nozzle, casting, and the like. When the composition (x) is applied particularly thinly, a method in which a solvent is added to the composition (x) and then the solvent is volatilized may be employed.
[0030]
When a groove is formed by photolithography, an uncured coating of the composition (x) is irradiated with an active energy ray except for a portion that is to be a groove, and the composition (x) in the irradiated portion is irradiated with the active energy ray. While the composition is (semi-) cured, the active energy ray non-irradiated portion of the composition (x) is left as an uncured portion (hereinafter, this operation may be referred to as "patterning exposure").
In the semi-cured state referred to herein, the composition (x) shows tackiness, is non-flowable or hardly flowable, and the first member A having the formed grooves exhibits its function. It is in a state of being hardened to a desired hardness. If the degree of semi-curing is insufficient, the boundary between the cured part and the uncured part becomes unclear, or it is difficult to form a capillary channel due to the fixation of the second member B. There is a disadvantage that the capillary channel does not function as the channel. On the other hand, if the degree of semi-curing is excessive, the semi-cured coating film will not exhibit tackiness, so that it is impossible to use a semi-cured product as a tacky material. The suitable degree of semi-curing is determined by the type of compound (a), the concentration of the photopolymerization initiator, the concentration of the polymerization inhibitor, the amount of active energy ray irradiation, and the like. The optimum value should be determined by a simple experiment in the system used. Can be.
When the composition (x) in the irradiated portion is cured by the active energy ray irradiation, there is no limitation as described above, but if the irradiation amount is excessive, the composition is cured up to the non-irradiated portion, and the groove may not be formed. is there. When the cured product does not show tackiness, an adhesive or a tackifier is required, or the second member B needs to be tacky.
As the active energy ray, the active energy ray described in the third embodiment of the use method of the present invention can be used.
[0031]
The patterning exposure method is optional. For example, a photolithography method such as masking an unnecessary portion to irradiate an active energy ray or scanning a beam of an active energy ray such as a laser can be used.
In the case of forming the first member A having a groove by the patterning exposure method, after exposure, the uncured composition (x) in an unirradiated portion is removed, and a groove is formed as a resin defective portion (hereinafter, this groove is formed). Processing is sometimes referred to as "development." The method of removing the uncured composition (x) is optional. For example, a method of blowing off with compressed air, absorbing with filter paper, rinsing with a stream of a non-solvent such as water, washing with a solvent, volatilizing, decomposing, or the like is used. it can.
The shape and size of the resin-defected portion formed by development are basically the same as the shape and size of the uncured portion of the composition (x), but do not completely match. For example, the uncured composition (x) in the unirradiated portion may not be completely removed, and the bottom of the resin deficient portion may not reach the surface of the coated support.
As another method of forming the groove, there is a method in which a protective material, for example, a masking material is applied after being applied, and then removed after the application or (semi) curing.
[0032]
When the adhesive second member B is made of a (semi) cured product of the composition (x), the material, the manufacturing method, the active energy ray used, and the like need to form grooves by patterning exposure and development. Except for the absence, it is the same as the case of manufacturing the first member A having the groove.
The adhesive second member B does not need to be adhesive on the entire surface, and may have a non-adhesive portion as long as there is no leakage of liquid from the formed capillary channel. For example, the portion facing the groove, that is, the portion that becomes the inner surface of the flow path after the second member B is mounted is also non-adhesive, which causes a problem of adsorption to the surface of the flow path and the flow of the adhesive substance in the flow path. It is preferred to avoid problems such as elution into
In the microfluidic device according to the first embodiment, a portion facing the groove of the fixed second member B, that is, a portion serving as an inner surface of the flow path together with the groove is non-adhesive. For such a non-tacky portion, use a composition (x) such that the semi-cured material shows tackiness and the cured product does not show tackiness, and semi-cured by irradiation with active energy rays over the entire surface. It can be formed by a patterning exposure method of exposing only a portion to be formed as a non-adhesive portion, which follows or precedes it.
In addition, even when the pressure-sensitive adhesive is applied to the second member B, the portion serving as the inner surface of the flow path can be made non-adhesive. In the microfluidic device of the first embodiment according to the present invention, even when the second member B is coated with an adhesive, the portion serving as the inner surface of the flow path is non-adhesive. Such a non-adhesive part is obtained by using a semi-cured material of the composition (x) such that the semi-cured material shows tackiness and the cured product does not show tackiness as an adhesive, and after applying this, Alternatively, it can be formed by a patterning exposure method that exposes only a portion that forms a non-adhesive portion.
[0033]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
1 to 3 show a microfluidic device according to a first embodiment of the present invention. The microfluidic device 20 shown in FIGS. 1 and 2 is formed by fixing a first member A and a second member B made of, for example, an organic polymer, and the first member A is one of the plate-shaped substrates 1. The coating film 2, the coating film 3, and the coating film 4 are sequentially laminated on the surface to form a laminate, and a part of the coating film 4 is cut in a linear shape penetrating, for example, the front and back surfaces to form a substantially cross-shaped first member. The groove 5 and the second groove 6 are formed.
1 and 3, the first groove 5 is formed, for example, in a substantially U-shape in plan view, and liquid storage tanks 7, 8 are formed at both ends thereof. Each of the liquid storage tanks 7 and 8 is a hole that penetrates in the stacking direction of the first member A and is formed by communicating the first groove 5 with the outer surface of the base material 1. A sample fluid, for example, DNA, to be flown into the first groove 5 in the liquid tank 7 is supplied to enable the electrode to be inserted. The other liquid storage tank is the first liquid storage tank 8, which can store a fluid such as an electrolytic solution, and can insert an electrode.
The second groove 6 intersecting the first groove 5 is, for example, linear, and is filled with, for example, a gel as a separation fluid, and is used as an electrophoresis column. At both ends of the second groove 6, holes serving as a second storage tank 9 and a third storage tank 10 for storing a fluid such as an electrolytic solution are provided, and each of the storage tanks 9 and 10 is a storage tank. Like 7 and 8, it is formed so as to penetrate from the second groove 6 to the substrate 1 which is the outer surface of the first member A in the laminating direction.
[0034]
The surface of the coating film 4 in which the grooves 5 and 6 are formed in the first member A is defined as a groove forming surface 4a, and a plate-like second member B is fixed to the groove forming surface 4a. The second member B is formed as a laminated body by laminating the coating film 12 and the coating film 13 on the base material 11, and the surface of the coating film 13 is made into a semi-cured state by, for example, irradiating ultraviolet rays as a bonding surface 13 a to form an adhesive And is fixed to and integrated with the groove forming surface 4a of the first member A.
Therefore, a substantially cross-shaped flow path 16 is formed by the grooves 5, 6 of the first member A and the opposing surface portion 15 of the joint surface 13a of the second member B opposed thereto. In this case, by making the opposing surface portion 15 of the second member B non-adhesive, even if it comes into contact with the fluid flowing through the flow path 16, it has no effect. In the flow path 16, a portion including the first groove 5, the supply liquid storage tank 7, and the first liquid storage tank 8 is referred to as a first flow path 16a, and the second groove 6, and the second and third liquid storage tanks 9, 10 are formed. The portion including the second channel 16b is referred to as a second channel 16b. Except for each hole, each of the channels 16a and 16b is formed in a capillary having a width of, for example, 100 μm, and each hole has a larger inner diameter.
In order to set the opposing surface portion 15 of the bonding surface 13a to be non-adhesive and to set the other region to have adhesiveness, for example, the entire bonding surface 13a is semi-cured to give the adhesive, By exposing and masking the surface portion 15 except for the surface portion 15, only the facing surface portion 15 may be completely cured to be non-adhesive. Alternatively, an appropriate means such as applying an adhesive or an adhesive to the entire bonding surface 13a except for the facing surface portion 15 can be adopted.
[0035]
The microfluidic device 20 constitutes an electrophoretic device. In the first flow path 16a, a cathode is inserted into the supply storage tank 7, and an anode is inserted into the first storage tank 8. DNA or a solution thereof, which is energized by applying a DC voltage between the cathode and the anode and moves through the first flow path 16a by electrophoresis or electroosmotic flow, is supplied from the supply reservoir 7 to the first reservoir 8. Could be transported. Similarly, in the second flow path 16b, a cathode is inserted into the second liquid storage tank 9, an anode is inserted into the third liquid storage tank 10, and a current is applied by applying a DC voltage between the electrodes. The DNA present at the intersection of the second flow path 16b and the second flow path 16b moves as a spot in the direction of the third storage tank in the second flow path 16b, and can be separated due to the difference in molecular weight. In addition, each electrode is omitted in the figure. In particular, by setting the first and second flow paths 16a and 16b to short distances, the movement and separation of each liquid can be performed at high speed.
Moreover, the adhesion T between the first member A and the second member B F (N / cm) can be expressed by the following formula defined by JIS K6404-5, and is set to a size that does not damage the members A and B when the members A and B are peeled off.
T F = F / b
Here, F: peeling load (N), b: width of member (cm)
Therefore, the adhesion strength T F When the first member A and the second member B are peeled by the above force, the strength of the first member A and the second member B is set to a value exceeding the adhesion strength, so that both members A and B are damaged. The peeling can be performed without performing.
[0036]
The microfluidic device 20 according to the present embodiment has the above-described configuration. Next, a method of using the same will be described.
First, in FIGS. 1 and 2, the groove forming surface 4a of the first member A and the bonding surface 13a of the second member B are bonded and fixed to manufacture the microfluidic device 20. Thereby, the grooves 5, 6 exposed on the groove forming surface 4a of the first member A and the respective liquid storage tanks 7, 8, 9, 10 and the opposing surface portion 15, which is a part of the joint surface 13a of the second member B, are partitioned. A substantially cross-shaped flow path 16 is formed.
Next, in the microfluidic device 20, each of the channels 16a and 16b and each of the storage tanks 8, 9, and 10 are filled with a gel raw material (a liquid substance that becomes a gel by a thermal reaction or a photoreaction), and are heated to 25 ° C. for 2 hours. Incubate to form a gel. Then, for example, a buffer solution of DNA is supplied to the supply storage tank 7 of the first flow path 16a (the buffer solution also functions as an electrolytic solution).
Then, as shown in FIG. 3, since the DNA is negatively charged, a DC voltage is applied so that the electrode in the supply storage tank 7 becomes a cathode and the electrode in the first storage tank 8 becomes an anode. When the power is supplied, the DNA 18 repelled with the same polarity in the supply-side liquid storage tank 7 is attracted to the first liquid storage tank 8 and moves in the first flow path 16a. When the DNA 18 reaches the intersection 16c with the second flow path 16b, the supply of electricity to the electrodes in the supply storage tank 7 and the first storage tank 8 is cut off. Next, when a DC voltage is applied and current is applied so that the electrode of the second storage tank 9 of the second flow path 16b serves as a cathode and the electrode of the third storage tank 10 serves as an anode, the first flow path 16a When the DNA present at the intersection of the passage 16b moves as a spot in the direction of the second flow passage 16b in the direction of the third storage tank, and when the DNA is a mixture of those having different molecular weights, the DNA becomes independent. Separated into multiple spots. At this time, the voltage remaining between the supply storage tank 7 and the electrodes in the first storage tank 8 is applied to the DNA remaining in the supply-side storage tank 7 and the DNA in the first flow path 16a other than the intersection. Do not move because it is not.
Thereafter, when the energization between the second flow paths 16b is cut off, the spots separated in the second flow path 16b can be maintained in a separated state.
Next, as shown in FIG. 4, when the first member A and the second member B are separated while holding one end thereof, the groove forming surface 4 a of the first member A is exposed on the outer surface. 6 (second flow path 16b), a spot of DNA 18 in a separated state held in it can be collected. Alternatively, in a state where the DNA 18 is separated in the second groove 6, a treatment such as spraying of a fluorescent intercalator or Southern blotting may be performed to perform analysis or inspection.
[0037]
As described above, according to the present embodiment, since the microfluidic device 20 is formed by fixing the plurality of members A and B, no leakage occurs in the capillary channel 16. Gel raw material Can be filled in the flow path 16, and the DNA 18 can be separated without leakage. Moreover, by subsequently separating the second member B from the first member A, the separated DNA 18 can be collected and analyzed from the second channel 16b of the channel 16.
[0038]
Next, a second embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
In the microfluidic device 30 shown in FIG. 5, the strength of the first member A is larger than the adhesion strength with the second member B, but the strength of the second member B is smaller than the adhesion strength with the first member A, It has only enough strength to break. The second member B has a configuration in which a reinforcing material 31 having a strength higher than the above-described adhesion strength is fixed to a surface 11a of the base material 11 opposite to the bonding surface 13a.
In this case, the adhesion strength between the reinforcing member 31 and the base material 11 is set higher than the adhesion strength between the first and second members A and B.
According to such a configuration, when the first member A and the reinforcing member 31 of the second member B are peeled by hand or the like at the time of peeling, the two members A and B are peeled without breaking the second member B. Can be done.
When the strength of the first member A is smaller than the adhesion strength of the two members A and B, the reinforcing member 31 may be similarly fixed to the base material 1 of the first member A. When the first member A and the second member B are both smaller than the adhesion strength of the two members A and B, the reinforcing member 31 is fixed to the base materials 1 and 11 for the first member A and the second member B, respectively. Just fine. These reinforcing members may be fixed to the members of the microfluidic device after using the microfluidic device, or may be fixed before using the microfluidic device.
As still another embodiment, the adhesion strength between the first member A and the second member B is reduced by one or more treatments selected from active energy ray irradiation, temperature change, contact with liquid or contact with vapor. Alternatively, the strength may be made weaker than that of either of the fixed members A and B to enable or facilitate peeling.
At this time, the adhesion strength between the first member A and the second member B before the above treatment may be larger or smaller than the individual strength of each of the members A and B. In any case, it is only required that the adhesion strength of both members A and B be smaller than the strength of each member A and B by the above processing. The adhesion strength reduced by any of the above treatments is preferably 100 N / cm or less, more preferably 30 N / cm or less, and most preferably 10 N / cm or less. The lower limit of the adhesion strength may be zero N / cm, that is, spontaneous peeling.
[0039]
Next, specific examples of the present invention will be described as Examples 1 to 7 together with Comparative Examples 1 and 2.
In the following Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 and 2, “parts” and “%” represent “parts by mass” and “% by mass”, respectively, unless otherwise specified.
First, the composition of each base material and coating film of the laminated bodies constituting Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 and 2 and how to make them will be described.
[Preparation of composition (x)]
[Composition [x1]]
As the compound (a), 100 parts of a trifunctional urethane acrylate oligomer having an average molecular weight of about 2000 (“Unidick V-4263” manufactured by Dainippon Ink and Chemicals, Inc.) and 1-hydroxycyclohexylphenyl ketone ( The mixture was mixed with 2 parts of “Irgacure 184” manufactured by Ciba-Geigy Co., Ltd.) to prepare an active energy ray-curable composition [x1].
[Composition [x2]]
80 parts of "Unidick V-4263", 20 parts of "N-177E") as compound (a), 5 parts of "Irgacure 184" as an ultraviolet polymerization initiator, and 2,4- 0.1 parts of diphenyl-4-methyl-1-pentene (manufactured by Kanto Chemical Co., Ltd.) was mixed to prepare an active energy ray-curable composition [x2].
[Composition [x3]]
60 parts of "Unidick V-4263", 40 parts of "N-177E") as compound (a), 5 parts of "Irgacure 184" as an ultraviolet polymerization initiator, and 2,4- 0.1 parts of diphenyl-4-methyl-1-pentene (manufactured by Kanto Chemical Co., Ltd.) was mixed to prepare an active energy ray-curable composition [x3].
[Composition [x4]]
74 parts of "Unidick V-4263", 26 parts of "N-177E") as compound (a), 5 parts of "Irgacure 184" as an ultraviolet polymerization initiator, and 2,4-diphenyl as a polymerization retarder Then, 0.1 part of -4-methyl-1-pentene (manufactured by Kanto Chemical Co., Ltd.) was mixed to prepare an active energy ray-curable composition [x3].
[Preparation of adhesive (y)]
A composition obtained by mixing 100 parts of lauryl acrylate (LA, manufactured by Osaka Organic Co., Ltd.) as a monomer and 2 parts of 1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone (“Irgacure 184” manufactured by Ciba Geigy) as an ultraviolet polymerization initiator was mixed with glass. The mixture was cast in a Petri dish and irradiated with ultraviolet rays for 120 seconds to prepare an adhesive oligomer having an average molecular weight of about 6000, which was used as an adhesive.
[0040]
Further, an apparatus and a test method used for manufacturing, testing, and the like of each of Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 and 2 will be described.
[Active energy ray (ultraviolet) exposure equipment]
Irradiation was performed in a nitrogen atmosphere using ultraviolet rays as active energy rays. The ultraviolet irradiation device uses a 200 W metal halide lamp as a light source, and an ultraviolet intensity of 365 nm at an irradiation position is 50 mW / cm. 2 A light source unit for a multilight 200 type exposure apparatus manufactured by Ushio Inc. was used.
(Mechanical property test)
"Strograph V1-C" manufactured by Toyo Seiki Seisaku-Sho, Ltd. was used as a tensile tester, and the measurement was performed at a tensile speed of 120 mm / min in an atmosphere of 24 ± 1 ° C. and 55 ± 5% of humidity unless otherwise specified. The initial distance between the grippers was 60 mm for the measurement of the strength of the member, and 10 mm for the measurement of the adhesion strength.
[0041]
Next, Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 and 2 will be described.
<Example 1>
In the first embodiment, an example is shown in which the first member A1 and the second member B1 fixed by adhesion are peeled off as they are.
[Production of first member A1 having groove]
A 75 mm × 25 mm × 3 mm thick plate made of polystyrene (“Dick Styrene XC-520” manufactured by Dainippon Ink and Chemicals, Inc.) was used as the substrate 1. The composition [x1] was applied thereto using a bar coater to form a coating film 2, and the entire coating film 2 was exposed to ultraviolet light for 10 seconds to be semi-cured.
The composition [x2] is coated on the semi-cured coating film 2 using a bar coater to form a coating film 3, and the entire coating film 3 is exposed to ultraviolet light for 10 seconds to be semi-cured. Was. A composition [x2] is applied on the semi-cured coating film 3 using a bar coater to form a coating film 4, and a portion other than a portion formed by the first groove 5 and the second groove 6 is photo-coated. After performing exposure by irradiating ultraviolet rays through a mask for 10 seconds and curing, the uncured composition [x2] in the unexposed area is washed and removed with a 50% aqueous ethanol solution to remove the first groove 5 and the second groove 6. Was formed. The coating 2, 3, and 4 were completely cured by irradiating UV rays for another 90 seconds without a photomask to make them non-tacky. Thereafter, a drill is used to penetrate the substrate 1, the coating film 2, the coating film 3 and the coating film 4 so as to form a supply liquid storage tank 7 having a diameter of 500 μm and a hole serving as a first liquid storage tank 8 having a diameter of 3 mm. A hole serving as a second liquid storage tank 9 having a diameter of 3 mm and a hole serving as a third liquid storage tank 10 having a diameter of 3 mm were formed.
By the above steps, a base material 1 made of a polystyrene plate, a coating film 2 having a thickness of 105 μm serving as an intermediate layer for enhancing the adhesive force, and a coating material having a thickness of 98 μm forming the bottoms of the first and second grooves 5 and 6. It is composed of a film 3 and a coating film 4 having a thickness of 98 μm which constitutes an opening and a side wall of the first and second grooves 5 and 6. The first groove 5 has a length of 30 mm, a width of 105 m and a depth of 98 mm. A second groove 6 having a width of 520 μm, a crank-shaped planar shape, a total length of 30 mm, and a depth of 98 μm; a hole serving as a supply storage tank 7 provided at both ends of the first groove 5; A first member A1 having a hole serving as the liquid tank 8, a hole serving as the second liquid storage tank 9 provided at both ends of the second groove 6, and a hole serving as the third liquid storage tank 10 was formed.
[0042]
[Preparation of second member B1]
The composition [x1] is applied to a 75 mm × 25 mm × 80 μm thick biaxially stretched polystyrene sheet (manufactured by Dainippon Ink and Chemicals, Inc.) using a bar coater as the substrate 11 of the second member B1. The coating film 12 was formed, and the entire coating film 12 was exposed to ultraviolet light for 10 seconds to be semi-cured.
The composition [x2] was applied on the semi-cured coating film 12 using a bar coater to form a coating film 13. The entire coating film 13 is irradiated with ultraviolet light for 4 seconds to make the coating film 13 a semi-cured material having adhesiveness, and then, using a photomask, oppose the grooves 5 and 6 formed in the first member A1. Only the part and the part corresponding to the holes serving as the respective storage tanks 7, 8, 9, 10 were exposed to ultraviolet light for 60 seconds, and the exposed part was cured to be non-adhesive.
By the above steps, a laminate of the base material 11 of the second member B1, the coating film 12 having a thickness of 105 μm serving as an intermediate layer for improving the adhesive strength, and the adhesive semi-cured coating film 13 having a thickness of 98 μm is obtained. A flexible sheet-shaped second member B1 was produced.
[0043]
[Fixing of first member A1 and second member B1]
The joining surface 13a of the second member B1 is formed on the groove forming surface 4a of the first member A1, and the grooves 5, 6 of the first member A1 and the holes of the liquid storage tanks 7, 8, 9, 10 and the second member B1 are formed. The position of the opposing surface portion 13a, which is a non-adhesive portion, is aligned and fixed by adhesion, and a capillary channel 16 is formed by the grooves 5, 6 of the first member A1 and the second member B1, and each hole and the second Each of the liquid storage tanks 7, 8, 9, and 10 was formed using the member B1, and a microfluidic device [# 1] having the shape shown in FIGS. 1 and 2 was obtained.
In this microfluidic device [# 1], the first member A1 is entirely non-adhesive including the surface fixed to the second member B1, and the second member B1 has an adhesive surface fixed to the first member A1. The portions facing the flow paths 16a, 16b including the liquid storage tanks 7, 8, 9, 10 are non-adhesive.
[0044]
(Usage test)
(Preparation of gel raw material)
125 parts of a mixed aqueous solution of 38% acrylamide and 2% bisacrylamide ("40% aqueous acrylamide solution for electrophoresis" manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.), 5 times concentration of tris borate buffer ("5 manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.") 200 parts of a double concentration TBE buffer "), 20 parts of a 30% ammonium peroxodisulfate aqueous solution (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) as a polymerization initiator, and N, N, N ', N'-tetramethylethylenediamine ( 1.2 parts of 2.5 μg / mL ethidium bromide aqueous solution (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) as a fluorescent dye, and 1 part of 6M (360.3 g / L) urea aqueous solution (manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) A gel raw material was prepared by mixing 652.8 parts of Wako Pure Chemical Industries, Ltd.).
(Gel filling)
When an appropriate amount of the solution of the gel raw material was manually injected into the third storage tank 10 of the microfluidic device [# 1] by applying a pressure of about 300 hPa using a microsyringe, the solution was supplied to the first flow path 16a and the first flow path 16a. The whole of the two flow paths 16b was filled. At this time, no leakage of the solution between the first member A1 and the second member B1 was observed. Next, the gel raw material was gelled by keeping it at 25 ° C. for 1 hour in a humidity box.
[0045]
(Electrophoresis)
A tris borate buffer ("TBE buffer", manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) was injected as an electrophoresis buffer into the first storage tank 8, the second storage tank 9, and the third storage tank 10, and the mixture was made of platinum. A needle-shaped electrode was inserted. On the other hand, into the supply storage tank 7, 0.5 μL of a num buffer diluent of “φX174 DNA marker HaeIII digest” manufactured by Sigma was injected as a DNA sample, and electrodes were inserted. A drive voltage of 500 V is applied between the supply storage tank 7 and the first storage tank 8 for 5 minutes to move the sample, and then the voltage is turned off, and the supply storage tank 7 and the first storage tank 8 are turned off. The electrode was removed from 8, and a driving voltage of 500 V was applied between the second storage tank 9 and the third storage tank 10 to perform electrophoresis.
[Exfoliation of second member B1 and collection of electrophoresis sample]
After the electrophoresis was completed, the electrode was removed, and the second member B1 was separated from the first member A1 by pulling by hand. When 0.5 μg / ml of ethidium bromide (a fluorescent intercalator manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd.) was sprayed on the second groove 6 of the first member A1, and the second groove 6 was observed using a fluorescence microscope (manufactured by Olympus Optical). A separate fluorescent spot was observed. Therefore, the necessary spot was collected together with the gel using a needle.
(Mechanical property test)
A peel test was performed on the microfluidic device (# 1) separately manufactured for the mechanical property test in exactly the same manner as above. Further, a tensile strength test was also performed on the first member A1 and the second member B1 separately manufactured. Table 1 shows the results.
[0046]
<Comparative Example 1>
Comparative Example 1 shows that the adhesion strength (adhesion force) exceeds the strength of the members A1 and B1 and the separation becomes impossible depending on the selection of the material of the first member A1 and the second member B1.
The same procedure as in Example 1 was carried out except that the same active energy ray-curable composition [x2] used in the coating film 3 and the coating film 4 of the first member A1 was used as a material of the coating film 13 of the second member B1. In the microfluidic device prepared in this manner, the bonding strength between the first member A1 and the second member B1 was strong, and the second member B1 was broken and could not be separated.
[0047]
<Example 2>
In the second embodiment, an example is shown in which the first member A2 and the second member B2 fixed by bonding are peeled off as they are.
The fact that the active energy ray-curable composition [x4] was used as the material of the coating film 13 of the second member B2, and that the first member A2 and the second member B2 were fixed by adhesion, and then ultraviolet rays were irradiated from the second member B2 side. Was irradiated for 60 seconds to completely cure the second member B2 and adhere to the first member A2, thereby producing a microfluidic device [# 2] in the same manner as in Example 1.
Using this microfluidic device [# 2], a use test was performed in exactly the same manner as in Example 1. As a result, the same result as in Example 1 was obtained except that the second member B2 after peeling did not show the adhesive property again.
Table 1 shows the adhesion strength of the microfluidic device [# 2] and the strengths of the first member A2 and the second member B2.
[0048]
<Example 3>
In the third embodiment, an example is shown in which the microfluidic device having the second member B3 having such a low strength that it cannot be peeled off is irradiated with ultraviolet rays so that the microfluidic device can be peeled off.
[Production and use test of microfluidic device]
Instead of forming the second member B3 on the base material 11 made of a biaxially stretched polystyrene sheet, the second member B3 was formed on a polypropylene biaxially stretched sheet (“FOR” manufactured by Nimura Chemical Co., thickness: 30 μm). 12 was not formed, and the polypropylene biaxially stretched sheet was peeled off after the second member B3 was adhered to the first member A3 by adhesion, and a flexible sheet-like second member B3 consisting of only the coating film 13 was formed. A microfluidic device [# 3] was fabricated in the same manner as in Example 1 except for the above.
Electrophoresis was performed using the microfluidic device [# 3], and the microfluidic device [# 3] was irradiated with ultraviolet rays from the second member B3 side for 90 seconds after the electrophoresis was completed, and was completely the same as Example 1. A use test was performed.
As a result, the same result as in Example 1 was obtained, except that the second member B3 was cured and lost its adhesiveness by the irradiation of the ultraviolet rays, and the second member B3 could be separated from the first member A3 with a small force. Obtained.
(Mechanical property test)
A microfluidic device [# 3], a first member A3, a second member B3, and a microfluidic device [# 3 ′] obtained by irradiating these members with ultraviolet light for 90 seconds from the second member B3 side in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results of a mechanical property test performed on the first member A3 'similarly irradiated with ultraviolet light for 90 seconds and the second member B3' irradiated with ultraviolet light for 90 seconds.
[0049]
<Comparative Example 2>
An attempt was made to separate the first member A3 and the second member B3 in the same manner as in Example 3 except that the microfluidic device [# 3] after the use test was not irradiated with ultraviolet light. It was broken and could not be peeled off.
[0050]
<Example 4>
Fourth Embodiment In a fourth embodiment, an example is shown in which the reinforcing member is fixed to the second member B4 having such a low strength that it cannot be peeled, so that the second member B4 can be peeled.
[Production and use test of microfluidic device]
The second member B4 was formed on a polypropylene biaxially stretched sheet (“FOR” manufactured by Nimura Chemical Co., thickness: 30 μm) instead of using a biaxially stretched polystyrene sheet as a base material. By not irradiating the coating 13 with ultraviolet rays for 90 seconds to form a cured product having no tackiness, and applying a 5% toluene solution as an adhesive to the surface of the coating 13 and drying with hot air. The surface of the second member B4 is made to be adhesive, and the polypropylene biaxially stretched sheet is peeled off after the second member B4 is fixed to the first member A4 by adhesion, and only the coating film 13 coated with the adhesive is applied. A microfluidic device [# 4] consisting of the first member A4 and the second member B4 was produced in the same manner as in Example 1 except that the second member B4 was made of.
A polypropylene adhesive tape cut by 25 mm in width (manufactured by Nitto Co., Ltd., transparent gum tape) is attached to the first member A4 and the second member B4 of the microfluidic device [# 4], and the adhesive tapes are respectively gripped and pulled. As a result, the first member A4 and the second member B4 of the microfluidic device [# 4] were peelable, and a treatment such as sampling was performed after the peeling in the same manner as in Example 1.
(Mechanical property test)
Adhesion strength of microfluidic device [# 4] (adhesive tape attached), adhesion strength of first member A4 and adhesive tape, adhesion strength of second member B4 and adhesive tape, and adhesion of first member A4, second member B4 Table 1 shows the results of measuring the strength of the tape in the same manner as in Example 1.
[0051]
<Comparative Example 3>
A first member A4 and a second member B4 were used in the same manner as in Example 4 except that the microfluidic device [# 4] manufactured in the same manner as in Example 4 was used, and no adhesive tape was attached to the second member B4. Was attempted, but the second member B4 was broken and could not be peeled.
[0052]
<Example 5>
In a fifth embodiment, an example will be described in which peeling is facilitated by heating.
Using the microfluidic device [# 5] manufactured in exactly the same manner as in Example 4, after the electrophoresis was completed, the microfluidic device [# 5] was placed in a hot air drier and heated to 60 ° C. A use test was performed in the same manner as in Example 1 except that the second member B5 was peeled off from the one member A5.
As a result, the adhesive force of the second member B5 was reduced by the heating, and the second member B5 could be peeled without breaking.
(Mechanical property test)
Table 1 shows mechanical properties of the microfluidic device [# 5], the first member A5, and the second member B5 measured at 60 ° C.
[0053]
<Example 6>
In a sixth embodiment, an example will be described in which peeling is enabled by contact with steam.
[Production and use test of microfluidic device]
Instead of forming the first member A6 on the base material 1 made of polystyrene, the first member A6 was formed on a biaxially stretched polypropylene sheet (“FOR” manufactured by Nimura Chemical Co., Ltd., thickness: 30 μm). The first member A6 was prepared in the same manner as in Example 4 except that the polypropylene biaxially-stretched sheet was peeled off after being fixed to one member A6 by adhesion, and a flexible sheet-like first member A6 without a base material was obtained. A microfluidic device [# 6] including [A6] and the second member B [B6] was manufactured.
The microfluidic device [# 6] was placed in a glass desiccator containing normal hexane, and allowed to stand in a constant temperature oven at 40 ° C. for 1 hour. Then, the first member A6 and the second member B6 (each of The member A6 'and the second member B6') were easily peeled when pulled.
Table 1 shows the adhesion strength between the first member A6 'and the second member B6', and the strength of the first member A6 'and the second member B6'.
[0054]
<Example 7>
In a seventh embodiment, an example will be described in which peeling is enabled by contact with a liquid.
Same as Example 6 except that the microfluidic device [# 7] produced in the same manner as in Example Collar 6 was immersed in normal hexane at 24 ± 1 ° C. for 12 hours instead of being brought into contact with normal hexane vapor. The same results as in Example 6 were obtained.
Adhesion strength of microfluidic device [# 7], first member A7, second member B7 after normal hexane immersion (respectively microfluidic device [# 7 '], first member A7', second member B7 ') Table 1 shows the strengths of the members.
[0055]
<Comparative Example 4>
In place of the second member B of Example 1, a usage test similar to that of Example 1 was performed except that a 1-mm-thick silicon rubber was pressed down with a finger and adhered closely, and a state in which the silicon rubber was pressed down with a finger was obtained. Otherwise, the gel raw material leaked from between the first member and the silicone rubber, and could not be filled in the flow channel.
[0056]
[Table 1]
[0057]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, when the microfluidic device is used, there is no leakage of the sample from the flow channel, and the sample in the flow channel is exposed by easily peeling off the second member when necessary to expose the flow channel. Processing such as collection and analysis can be performed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view of a microfluidic device according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a vertical sectional view of the microfluidic device shown in FIG.
FIG. 3 is a plan view of a first member of the microfluidic device shown in FIG.
FIG. 4 is a longitudinal sectional view showing a state in which a second member of the microfluidic device according to the first embodiment is separated from the first member.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view of a microfluidic device according to a second embodiment.
[Explanation of symbols]
A First member
B Second member
4a Groove forming surface (surface)
16 channels
20, 30 Microfluidic device
31 Reinforcement