JP2004056382A - ネットワークシステム及びネットワーク分岐装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ネットワーク分岐装置2は、端末3からのIPv4プロトコル及びIPv6プロトコルの通信を最適なルータに接続するスイッチングハブ21と、スイッチングハブ21とIPv6プロトコルの通信を行うIPv6ルータ22と、スイッチングハブ21とIPv4プロトコルの通信を行うIPv4ルータ23とから構成されている。これにより、端末3は、両ネットワークに接続可能なネットワーク構成となっている。ネットワークシステム1は、IPv6プロトコルを用いた閉域網のIPv6ネットワークであり、上述したIPv6ルータ22を介して、ネットワーク分岐装置2に接続されている。また、ネットワークシステム1は、DNSサーバ12を設けており、このDNSサーバ12は、IPv4ネットワーク4におけるDNSサーバ45nと接続されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IPv4(Internet Protocol Version4) プロトコルのインターネット環境に接続しつつ、他のネットワークと接続できるネットワークシステム、及びネットワーク分岐装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネット利用者(以下、利用者という)はPPPoE(PPP over Ethernet、Ethernetは登録商標)のプロトコルを用いてインターネットに接続することが多くなっている。これを利用すると、利用者はADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やCATV(Community Antenna TeleVision)、光ファイバーなどによる常時接続サービスを享受でき、接続するISP(Internet Service Provider)を簡単に切り替えることができる。そして、このような環境下のもとで、ISPが様々な通信サービスを行っている。
【0003】
また、図13に示すようなインターネット網とは別に、専用閉域網(IPv4プロトコル)50を用いてISPが通信サービスを行う場合もある。さらには、図14に示すようなIPv6 (Internet Protocol Version6)プロトコルのインターネット(実験用IPv6インターネット)60への接続を提供するISPも存在する。
【0004】
一方、このようなネットワーク環境下において、利用者には動画配信サービスや大容量のファイル交換など大容量コンテンツの通信を行いたいという要望が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなネットワーク環境下においては、利用者が大容量データの通信を行うのは困難であるという課題がある。即ち、現在のインターネット網においては、膨大な営利団体や非営利団体が入り乱れているため、インフラの状態も多種多様であり、様々な通信上のボトルネックが発生するので、大容量データの通信には向かないという課題がある。また、IPv4プロトコルを用いた閉域網においては、1事業者の管理のもとにインフラが構築されているため、大容量通信をする際のボトルネックはなくなるものの、利用者はインターネット網又は閉域網に接続するたびに端末側の設定を変更する必要が生ずるので、利用者に設定作業という煩わしさを与えるという課題がある。これは端末の経路設定の情報が後から設定された情報に上書きされてしまうという事情や閉域網で使用するアドレスがインターネット経由で解決できないという事情による。また、IPv6インターネット網においても、エンド・ツー・エンドでIPv6プロトコルで通信されるわけではなく、図14に示すようにトンネル装置8、61によりIPv4のプロトコルに変換されて通信されるので、ネットワークが複雑になり、ボトルネックが生ずるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、利用者がIPv4プロトコルのインターネット網に接続しつつ、簡単に大容量のデータ通信を可能とするネットワークシステム、ネットワーク分岐装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、第1のDNSサーバと、IPv4プロトコルに対応した第1のルータと、を有し、インターネット網に接続するIPv4ネットワークと前記第1のルータ及びスイッチングハブを介して通信する、IPv4プロトコル及びIPv6プロトコルで通信可能な利用者端末と、前記スイッチングハブを介して、通信を行うIPv6プロトコルの閉域網のネットワークシステムであって、前記第1のDNSサーバと接続している第2のDNSサーバと、前記スイッチングハブと接続し、IPv6アドレスに対応した第2のルータと、を有し、前利用者端末が所望のIPv6アドレスを有する通信相手と通信する場合には、前記第1のDNSサーバ経由の通信により、前記第2のDNSサーバで前記通信相手のIPv6アドレスを解決し、解決した前記IPv6アドレスに基づき、前記スイッチングハブ及び前記第2のルータ経由で所望の通信相手と通信を行うように構成されたことを要旨とする。
【0008】
ここで、「DNSサーバ」とは、TCP/IPネットワークにおいて、ホスト名から、対応するIPアドレスを取得できるようにするサービスを提供する装置であり、ホスト名とIPアドレスの対応関係を記述したデータベースを管理しており、利用者端末からの要求に応じて、ホスト名からそのIPアドレスを参照できるようにするものをいう。また、構成としては、一つからなる装置、分散されて複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどのいずれの構成であっても良い。また、「ルータ」とは、異なるネットワーク同士を相互接続するネットワーク機器であり、通信経路が記述されたルーティングテーブルに従って、データを宛先のネットワークまで中継する機器をいう。また、「スイッチングハブ」とは、ネットワークを中継するノードであって、スイッチング機能を有する集線装置をいう。
【0009】
請求項1記載の本発明においては、IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとを併用しているネットワーク構成において、第2のDNSサーバは、第1のDNSサーバと接続し、利用者端末は、スイッチングハブ及びルータ経由で両ネットワークに接続しているので、利用者端末が所望のIPv6アドレスを有する通信相手と通信する場合には、第1のDNSサーバ経由の通信により、第2のDNSサーバで前記通信相手のIPv6アドレスを解決し、解決したIPv6アドレスに基づき、スイッチングハブ及び第2のルータ経由で所望の通信相手と通信を行う。これにより、インターネット網であるIPv4ネットワークと閉域網であるIPv6ネットワークを併用するネットワークにおいて、利用者に負担をかけることなく、両ネットワークをシームレスに連携することが可能であるので、利用者は既存のインターネットに接続する環境を維持しつつ、IPv6ネットワークを利用して簡単に大容量のデータ通信を行うことができる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記IPv6プロトコルの閉域網を用いて提供する通信サービスの顧客を管理する顧客管理装置と、前記顧客の前記利用者端末に対して通信サービスの提供を行うサービス提供装置と、を有することを要旨とする。
【0011】
ここで、「顧客管理装置」、「サービス提供装置」とは、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な装置を総称しており、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィス・コンピュータ、ワークステーション、パソコン、などあらゆる形態を含む。また、構成としては、一つからなる装置、分散されて複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどのいずれの構成であっても良い。
【0012】
請求項2記載の本発明においては、IPv6プロトコルの閉域網を用いた通信サービスにおいて、顧客管理装置が通信サービスの顧客を管理し、この顧客管理に従って、サービス提供装置が利用者端末に通信サービスの提供を行う。これにより、顧客管理に基づいたサービス提供を行うことが可能となる。
【0013】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の発明において、前記顧客管理装置は、前記顧客からのサービス申込に際して顧客に関する顧客情報を前記顧客に割り当てる回線及びIPv6ネットワークアドレスと関連づけて顧客情報記憶部に登録する顧客情報登録手段と、前記回線ごとに前記IPv6ネットワークアドレスを割り当てるように前記第2のルータを設定するルータ設定手段と、前記顧客からのサービス接続の際は、前記利用者端末からの送信情報に含まれた前記IPv6ネットワークアドレスに応じた前記顧客情報を参照して回線認証を行う回線管理手段と、を有し、前記第2のルータは、前記ルータ設定手段で割り当てられたIPv6ネットワークアドレスを前記顧客の前記利用者端末に自動配布する自動配布手段と、を有することを要旨とする。
【0014】
ここで、「IPv6ネットワークアドレス」とは、IPv6アドレスのうち、上位64ビットのプレフィクス部分をいう。
【0015】
請求項3記載の本発明においては、顧客管理装置は、顧客からのサービス申込に際して顧客情報を顧客に割り当てる回線及びIPv6ネットワークアドレスと関連づけて顧客情報記憶部に登録し、次に、前記回線ごとにネットワークアドレスを割り当てるように第2のルータを設定する。そして、第2のルータは、この割り当てられたネットワークアドレスを顧客の利用者端末に自動配布する。そして、顧客端末装置は、顧客からのサービス接続の際は、利用者端末からの送信情報に含まれたネットワークアドレスに応じた顧客情報を参照して回線認証を行う。これにより、顧客に煩わしい端末設定作業をさせることなく、自動的に通信サービスを開始することができる。また、通信サービス提供において回線認証をすることができるので、きめ細やかな顧客管理をすることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明は、請求項3記載の発明において、前記顧客管理装置は、前記利用者端末から送信されたIPv6アドレスを顧客情報と関連付けて前記顧客情報記憶部に登録する第2の顧客情報登録手段と、前記顧客からのサービス接続の際は、前記利用者端末からの送信情報に含まれた前記IPv6アドレスに応じた前記顧客情報を参照して端末認証を行う端末管理手段と、を有することを要旨とする。
【0017】
請求項4記載の本発明においては、顧客管理装置は、利用者端末から送信されたIPv6アドレスを顧客情報と関連付けて顧客情報記憶部に登録して、顧客からのサービス接続の際は、利用者端末からの送信情報に含まれたIPv6アドレスに応じた顧客情報を参照して端末認証を行う。これにより、通信サービス提供において端末認証をすることができるので、さらにきめ細やかな顧客管理をすることができる。
【0018】
請求項5記載の本発明は、請求項4記載の発明において、前記顧客管理装置は、前記利用者端末から送信された利用者端末名を受け付けて、前記顧客情報記憶部に登録するとともに、前記第2のDNSサーバにも登録する端末名管理手段を有することを要旨とする。
【0019】
請求項5記載の本発明においては、顧客管理装置は、利用者端末から送信された利用者端末名を受け付けて、顧客情報記憶部に登録し、更に第2のDNSサーバにも登録する。これにより、利用者端末名を用いてユーザ間通信をすることができるので、P2P(Peer to Peer)間の通信を促進することができる。
【0020】
請求項6記載の本発明は、Ipv4プロトコル及びIpv6プロトコルで通信可能な利用者端末を、第1のDNSサーバを備えたIPv4プロトコルのインターネット網であるIPv4ネットワーク、及び第2のDNSサーバを備えたIPv6プロトコルの閉域網であり、前記第1のDNSサーバと前記第2のDNSサーバとが接続されたIPv6ネットワークと、通信させるネットワーク分岐装置であって、前記IPv4ネットワークと接続し、IPv4プロトコルに対応した第1のルータと、前記IPv6ネットワークと接続し、IPv6プロトコルに対応した第2のルータと、前記第1のルータ、及び前記第2のルータをそれぞれ前記利用者端末と接続させるスイッチングハブと、を有することを要旨とする。
【0021】
請求項6記載の本発明においては、Ipv4プロトコル及びIpv6プロトコルで通信可能な利用者端末を、第1のDNSサーバを備えたIPv4プロトコルのインターネット網であるIPv4ネットワーク、及び第2のDNSサーバを備えたIPv6プロトコルの閉域網であり、第1のDNSサーバと第2のDNSサーバとが接続されたIPv6ネットワークと、通信可能とするため、IPv4プロトコルに対応した第1のルータは、IPv4ネットワークに接続しており、IPv6プロトコルに対応した第2のルータは、IPv6ネットワークに接続しており、スイッチングハブは、第1のルータ、及び第2のルータは利用者端末と接続している。これにより、インターネット網であるIPv4ネットワークと閉域網であるIPv6ネットワークを併用するネットワークにおいて、利用者に負担をかけることなく、両ネットワークをシームレスに連携することが可能であるので、利用者は既存のインターネットに接続する環境を維持しつつ、IPv6ネットワークを利用して簡単に大容量のデータ通信を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るネットワークシステム1及びネットワーク分岐装置2を利用したネットワーク構成図である。端末3は、IPv4プロトコル及びIPv6プロトコルの双方で通信が可能なデュアルスタック端末(例えば、Windows XP/2000はデュアルスタック機能を搭載、Windowsは登録商標)であり、端末3とネットワーク分岐装置2は光ファイバ又はADSLの回線で接続されている。このネットワーク分岐装置2は、端末3からのIPv4プロトコル及びIPv6プロトコルの通信をプロトコル毎に最適なルータに接続するスイッチングハブ21と、閉域網であるIPv6ネットワーク10の入り口に設置され、前記スイッチングハブ21とIPv6プロトコルの通信を行うIPv6ルータ22と、インターネット網であるIPv4ネットワーク4の入り口に配置され、前記スイッチングハブ21とIPv4プロトコルの通信を行うIPv4ルータ23とから構成されている。これにより、デュアルスタック端末3は、両ネットワークに接続可能なネットワーク構成となっている。
【0024】
尚、ここで、スイッチングハブ21は光ファイバ又はADSLを利用するユーザの通信を、光とEthernetとの変換を行うメディアコンバータ、ADSLとEthernetもしくはATM(Asynchronous Transfer Mode)等との変換を行うDSLAM(Digital Subscriber Line Access Multiplexer、 局用集合型DSLモデム)を通して多数収容できるようになっている。また、スイッチングハブ21とIPv4ルータ23及びIPv6ルータ22間は、ユーザからの複数の回線の通信が多重化され物理的な接続本数を実際のユーザ数より減らすことができるが、回線(ユーザ)ごとに識別可能な通信となっている。
【0025】
IPv4ネットワーク4は、地域IP網41、ISPが有する網42n (i=a,b,…,n)、及びインターネット網43に大別される。地域IP網41においては、PPPoEのプロトコルを用いることにより、振り分け装置としてのIPv4ルータ23は、網終端装置44n (i=a,b,…,n)の選択が可能なので、利用者はインターネット43への常時接続及びプロバイダ選択機能を有することになる。また、ISP網42nにおいては、 各ISPがDNS(Domain Name System) サーバ45n(i=a,b,…,n)を設けており、ISP網42nはインターネット網43とルータ46n(i=a,b,…,n)を介して接続しているので、利用者は、端末3においてDNSの設定を自らがサービス加入しているISPのDNSサーバ45nにしておけば、インターネットへの接続が可能となる。
【0026】
ネットワークシステム1は、IPv6プロトコルを用いた閉域網のIPv6ネットワークであり、上述したIPv6ルータ22を介して、ネットワーク分岐装置2に接続されている。また、ネットワークシステム1は、DNSサーバ12を設けており、このDNSサーバ12は、上述したIPv4ネットワーク4におけるDNSサーバ45nと接続されている。これにより、IPv4ネットワーク4のDNSサーバ45nとIPv6ネットワーク10のDNSサーバ12の相互連携が可能となり、後述するように、端末3はIPv4ネットワーク4経由でIPv6のアドレスを知ることができるようになっている。
【0027】
尚、図1は1つの端末3からネットワーク接続を考えた場合のネットワーク構成図であるため、ネットワーク分岐装置2(スイッチングハブ21、IPv4ルータ23、IPv6ルータ22)は1つしか図示されていないが、実際には端末3は複数存在し、ネットワーク分岐装置2も複数存在する。また、スイッチングハブ21からは複数の端末3が接続されるようになっている。
【0028】
次に、本発明の実施の形態に係るネットワークシステム1、及びネットワーク分岐装置2を利用したネットワーク通信方法を、図2を用いて説明する。尚、図2は、端末3が所望の通信相手と通信する場合のシーケンス図である。
【0029】
まず、端末3は、通信を行うに際して、通信相手のアドレスを知る必要があるため、通信相手のホスト名をネットワーク分岐装置2を介してIPv4ネットワーク4のDNSサーバ45nに送信する(ステップS1)。DNSサーバ45nは、ホスト名を受信すると、受け取ったホスト名をもとにアドレスの解決を行う(ステップS2)。これは、IPv4のアドレスであれば、IPv4ネットワーク4内で解決が可能であるので、IPv4ネットワーク4のDNSサーバ45nが求めるIPアドレスを取得して、端末3に送信するが、IPv6のアドレスの場合には、IPv4ネットワーク4での解決は不可能なので、IPv6のDNSサーバ12にアドレス解決を依頼するものである(ステップS2〜S6)。尚、DNSサーバは、このようなIPv4プロトコルの問い合わせに対して、IPv6のアドレスを回答することが可能となる仕様を備えている。そして、IPv4のDNSサーバ45n経由で、ホスト名を受信したDNSサーバ12は、このホスト名に対応するアドレスを求めて、端末3に送信する(ステップS5、S7、S8)。
【0030】
これにより、端末3は通信相手のアドレスを知ることができたので、このアドレスをもとに所望の通信相手と通信を始める(ステップS9)。即ち、アドレス解決の結果、IPv4アドレスの場合には、端末3は所望の通信相手とIPv4プロトコルにおいて、ネットワーク分岐装置2のスイッチングハブ21及びIPv4ルータ23を介して通信を行い、IPv6アドレスの場合には、IPv6プロトコルにおいて、端末3は所望の通信相手とネットワーク分岐装置2のスイッチングハブ21及びIPv6ルータ22を介して通信を行う。
【0031】
次に、上述したネットワーク分岐装置2の機能について、図3及び図4を用いて詳しく説明する。尚、図3は、ネットワーク分岐装置2のスイッチングハブ21の動作を説明するフローチャート図であり、図4は、ネットワーク分岐装置2のルータ22、23の動作を説明するフローチャート図である。
【0032】
まず、スイッチングハブ21は、端末3から通信パケットを受信すると、受信した通信パケットの宛先アドレス(MAC(Media Access Control Address)アドレス)が初めて受信したアドレスであるか否かを判断するために、ポートとMACアドレスの対応表であるアドレステーブルを参照する(ステップS11、S12)。
【0033】
そして、宛先アドレスがアドレステーブルにない場合には、すべてのポートに対して通信パケットを転送するので、通信パケットはIPv4ルータ23及びIPv6ルータ22双方に転送される(ステップS13)。
【0034】
次に、通信パケットを受信したIPv4ルータ23及びIPv6ルータ22は、自己が対応しているプロトコルと同一であるか否かを判断し、同一である場合には、通信パケットを宛先アドレスに転送し、同一でない場合には、通信パケットを廃棄する(ステップS21〜S24)。
【0035】
一方、通信パケットの宛先アドレスが、アドレステーブルにある場合には、転送先のポートが既にわかっているので、アドレステーブルのポートに従って、該当のIPv4ルータ23もしくはIPv6ルータ22に通信パケットを転送する(ステップS12、S14)。
【0036】
そして、通信パケットを受信したIPv4ルータ23もしくはIPv6ルータ22は、自己が対応するプロトコルと同一であることを確認して、通信パケットを宛先のアドレスに転送を行う(ステップS21〜S23)。これにより、端末3は、宛先のアドレスがIPv4アドレスの場合には、IPv4ルータ23経由で、IPv6アドレスの場合には、IPv6ルータ23経由で、所望の通信相手に通信パケットを送信することができる。
【0037】
以上のように、ネットワーク分岐装置2は、異なるプロトコルの相違を自動的に判別し、所望の相手先に送信するので、利用者は端末3側における経路設定の必要がなくなり、ネットワークの接続先を意識することなく所望の通信相手と通信が可能となる。これは、従来のIPv4プロトコルのインターネット網とIPv4プロトコルの閉域網を併用してネットワーク接続する場合には、プロトコルが同一であるために、端末側においてインターネット網または閉域網に接続のたびに経路設定の必要が生じていたのが、閉域網のプロトコルをIPv6プロトコルとし、各プロトコルの特徴を考慮した構成のネットワーク分岐装置2を備えたため、分岐動作が容易となったものである。
【0038】
また、上述したスイッチングハブ21の学習機能により、無駄な通信パケットは転送されることがないので、IPv4ルータ23及びIPv6ルータ22の負荷が軽減され、ネットワーク全体の通信速度の向上を望むことができる。
【0039】
従って、本実施の形態によれば、インターネット網であるIPv4ネットワークとは別にIP v6プロトコルの閉域網であるIPv6ネットワーク、及びネットワーク分岐装置を設けて、両ネットワークのDNSサーバを連携させることにより、利用者は、デュアルスタック端末の経路設定やDNS設定などの端末設定作業が不要となり、また、プロトコルの相違を意識することなく、所望の通信相手と通信を行うことができる。
【0040】
これにより、インターネット網であるIPv4ネットワークに接続しつつ、高速かつ広帯域に構築されたIPv6ネットワークから大容量通信サービスをストレスなく享受することができる。
【0041】
また、サービス提供者にとっては、品質保証された閉域網を用いて、従来のインターネット網で提供されない通信サービス(DVD(Digital Versatile Disk)並の高画質な動画配信、VOIP(Voice over IP)を始めとするP2P通信、大容量のファイル交換など)を提供できるので、他の通信サービスとの差別化を図ることができる。
【0042】
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステム11及びネットワーク分岐装置2を利用したネットワーク構成図である。本実施の形態のネットワークシステム11は、第1の実施の形態のネットワークシステム1のIPv6ネットワーク10を用いて、ISP又は通信キャリアなどのサービス提供者Ai (i=a,b,…,n)が通信サービスを提供する場合のネットワークシステムである。尚、本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なる構成及び機能のみ説明し、その他の構成及び機能に関しては同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
図5に示すようにサービス提供者Aiは、IPv6ネットワーク10内に通信サービス提供用のアプリケーションサーバ13n (i=a,b,…,n)を設けている。そして、このアプリケーションサーバ13nとはルータ17を介した別セグメントのネットワークに顧客管理データベース(以下、顧客DBという)16を備えて、顧客情報を管理する顧客管理サーバ15を設置している。また、インターネット網43からサービス申し込み受付を可能とするために、顧客管理サーバ15はルータ14を介してインターネット網43と接続されている。
【0044】
顧客DBは、図6に示すように、顧客、回線、及びIPv6アドレスのプレフィクス部分を対応付けて管理しているデータベースである。ここで、IPv6アドレスは、図7に示すように、128ビットのアドレスが上位64ビットのプレフィクス部分71と下位64ビットのインターフェース識別子72に分かれるため、このプレフィクス部分71を、IPv6ルータ22のポート(回線)に対応させることにより、IPv6アドレスのプレフィクス部分71を把握できれば、顧客が使用する回線を管理することができるようになっている。
【0045】
次に、このネットワークシステム11におけるサービス提供者Aiの顧客管理方法について説明する。
【0046】
まず、利用者がサービス申し込みを行う場合のネットワークシステム11の動作を図8を用いて説明する。
【0047】
利用者がこの通信サービスに加入したい場合には、IPv4ネットワーク4のインターネット網43を介して、顧客管理サーバ15が用意した申込画面から申し込みを行う(ステップS31)。そして、顧客管理サーバ15は利用者の申込情報を受け取ると、利用者(顧客ID)と、利用者に割り当てられた回線、及びIPv6アドレスのプレフィクス部分を関連付けて顧客DB16に登録する(ステップS32、S33)。
【0048】
次に、顧客管理サーバ15は、顧客DB16の情報に基づいてIPv6ルータ22を設定するためのスクリプトを作成し、このスクリプトによりIPv6ルータ22のポートごとに回線、IPv6アドレスのプレフィクス部分を割り当て、IPv6ルータ22をサービス可能な状態にする(ステップS34、S35)。
【0049】
そして、IPv6ルータ22は、ルータの自動通知機能を利用して、利用者に割り当てられたIPv6アドレスのプレフィクス部分を端末3に自動配布する(ステップS36、S37)。
【0050】
端末3は、RA(Router Advertisement)の機能を用いて、端末3のMACアドレスからIPv6アドレスの下位64ビットのインターフェース識別子72を作成し、プレフィクス部分71と合わせて、IPv6アドレス全体を作成する(ステップS38)。
【0051】
このようにして、利用者が通信サービスを申し込んだ後、利用者が通信サービスに開始する場合のネットワークシステム11の動作を図9を用いて説明する。
【0052】
まず、利用者が通信サービスを受ける場合には、IPv6ネットワーク10を介して、ネットワークシステム11にサインアップ要求を行う(ステップS41)。顧客管理サーバ15は、サインアップ要求を受け付けると、送信元アドレスを端末3からの通信パケットから割り出す(ステップS42、S43)。
【0053】
そして、送信元アドレスのプレフィクス部分71をもとに顧客DB16を参照して、回線を特定する(ステップS45)。これにより、接続先の利用者を特定できたので、通信サービスを開始する(ステップS46)。
【0054】
従って、サービス提供者Aiは、利用者の端末3が使用するIPv6アドレスのプレフィックス部分から回線を識別できるので、回線単位の課金管理を行うことができる。また、利用者は、IPv6ルータ22による自動配布及び端末3のRA機能により、自己の端末3のアドレスは自動設定されるので、アドレス設定作業の煩わしさから解放され、簡単にサービス提供を受けることができる。
【0055】
尚、顧客管理に関しては、1回線を複数の端末で共有する顧客も存在し、回線単位ではなく、端末単位に管理したい場合もあるので、顧客DB16を図10に示すように、顧客情報をIPv6アドレス及び端末名と関連付けて管理するようにしてもよい。このような場合においては、事前に顧客DB16にIPv6アドレスを登録し、上述したステップS43でIPv6アドレス全体を送信元アドレスとして抽出するようにすれば、サービス提供者は、IPv6アドレスから端末3を識別できるので、端末単位に課金管理や利用サービスを設定することができる。
【0056】
次に、端末名を顧客管理サーバ15に登録する場合を説明する。これは、IPv6ネットワーク10において、P2P(Peer to Peer)のユーザ間通信をするために顧客管理サーバ15が端末名登録機能を設けたものである。
【0057】
図11に示すように、利用者が端末名の登録をする場合は、顧客管理サーバ15が用意した端末名登録画面から、自己の端末名を登録する(ステップS51)。これにより、顧客DB16には端末名が登録され、またDNSサーバ12にも端末名及びアドレスが登録される(ステップS52)。
【0058】
従って、P2Pのユーザ間通信(DNSサーバを使った端末間通信)をする者は、事前に端末名を顧客管理サーバ15に登録しておけば、DNSサーバ12にも反映されるので、IPv6ネットワーク10においてP2Pのユーザ間通信を促進することができる。
【0059】
従って、本実施の形態によれば、第1の実施の効果に加えて、サービス提供者は、顧客に煩わしい端末設定作業をさせることなく、自動的にサービス提供を開始することができる。また、回線単位もしくは端末単位など顧客やサービス提供者のニーズに応じた顧客管理を行うことができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。例えば、本実施の形態のネットワーク分岐装置2は、通信パケットの転送速度の低下を防ぐため、図1のような構成としたが、これに限るものではなく、図12に示すように、スイッチングハブ21とIPv4/IPv6プロトコルを併用したデュアルスタックルータ24を用いた構成としてもよい。
【0061】
尚、本実施の形態のネットワークシステム、ネットワーク分岐装置を利用するサービス利用者は、個人のユーザのみならず、企業のユーザも考えられる。そして、このような場合においては、本発明を企業のイントラネットシステムの通信インフラとして活用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インターネット網であるIPv4ネットワークと閉域網であるIPv6ネットワークが併用するネットワークにおいて、ネットワーク分岐機能及びDNSサーバの連携機能を設けることにより、利用者に負担をかけることなく、両ネットワークをシームレスに連携することが可能となるので、利用者はIPv4プロトコルのインターネットに接続する環境を維持しつつ、簡単に大容量のデータ通信のサービスを享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークシステム、及びネットワーク分岐装置を説明する概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークシステムの通信方法を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るネットワーク分岐装置を構成するスイッチングハブの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るネットワーク分岐装置を構成するルータの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステム、及びネットワーク分岐装置を説明する概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステムの顧客データベースを説明する図である。
【図7】IPv6アドレスの構成を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステムにおいて、通信サービスを申し込む際のやりとりを説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステムにおいて、通信サービスサインアップ時のやりとりを説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステムの端末単位に管理する顧客データベースを説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るネットワークシステムにおいて、端末名を登録する場合のやりとりを説明する図である。
【図12】本発明のその他のネットワーク分岐装置の構成を説明する図である。
【図13】従来のインターネット網とIPv4閉域網を併用させる場合のネットワーク構成図である。
【図14】従来のIPv6インターネット網を利用する場合のネットワーク構成図である。
【符号の説明】
1,11 ネットワークシステム
2 ネットワーク分岐装置
3 IPv4/IPv6混合機能付端末
4 IPv4ネットワーク
6,7 端末
8,61 IPv4/IPv6トンネル装置
10 IPv6ネットワーク
12 DNSサーバ(第2のDNSサーバの一例)
13 アプリケーションサーバ(サービス提供装置の一例)
14,17,18 ルータ
15 顧客管理サーバ(顧客管理装置の一例)
16 顧客管理DB(顧客情報記憶部の一例)
21 スイッチングハブ
22 IPv6ルータ(第2のルータの一例)
23 IPv4ルータ(第1のルータの一例)
24 IPv4/IPv6混合機能付ルータ
40 振り分け装置
41 地域IP網
42i ISP網
43 インターネット網
44i 網終端装置(ルータ)
45n DNSサーバ(第1のDNSサーバの一例)
46n,47,48n ルータ
50 IPv4閉域網
52 網終端装置(ルータ)
Claims (6)
- 第1のDNSサーバと、IPv4プロトコルに対応した第1のルータと、を有し、インターネット網に接続するIPv4ネットワークと前記第1のルータ及びスイッチングハブを介して通信する、IPv4プロトコル及びIPv6プロトコルで通信可能な利用者端末と、前記スイッチングハブを介して、通信を行うIPv6プロトコルの閉域網のネットワークシステムであって、
前記第1のDNSサーバと接続している第2のDNSサーバと、
前記スイッチングハブと接続し、IPv6アドレスに対応した第2のルータと、
を有し、前利用者端末が所望のIPv6アドレスを有する通信相手と通信する場合には、前記第1のDNSサーバ経由の通信により、前記第2のDNSサーバで前記通信相手のIPv6アドレスを解決し、解決した前記IPv6アドレスに基づき、前記スイッチングハブ及び前記第2のルータ経由で所望の通信相手と通信を行うように構成されたことを特徴とするネットワークシステム。 - 前記IPv6プロトコルの閉域網を用いて提供する通信サービスの顧客を管理する顧客管理装置と、
前記顧客の前記利用者端末に対して通信サービスの提供を行うサービス提供装置と、
を有することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。 - 前記顧客管理装置は、
前記顧客からのサービス申込に際して顧客に関する顧客情報を前記顧客に割り当てる回線及びIPv6ネットワークアドレスと関連づけて顧客情報記憶部に登録する顧客情報登録手段と、
前記回線ごとに前記IPv6ネットワークアドレスを割り当てるように前記第2のルータを設定するルータ設定手段と、
前記顧客からのサービス接続の際は、前記利用者端末からの送信情報に含まれた前記IPv6ネットワークアドレスに応じた前記顧客情報を参照して回線認証を行う回線管理手段と、
を有し、
前記第2のルータは、
前記ルータ設定手段で割り当てられたIPv6ネットワークアドレスを前記顧客の前記利用者端末に自動配布する自動配布手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載のネットワークシステム。 - 前記顧客管理装置は、
前記利用者端末から送信されたIPv6アドレスを顧客情報と関連付けて前記顧客情報記憶部に登録する第2の顧客情報登録手段と、
前記顧客からのサービス接続の際は、前記利用者端末からの送信情報に含まれた前記IPv6アドレスに応じた前記顧客情報を参照して端末認証を行う端末管理手段と、
を有することを特徴とする請求項3記載のネットワークシステム。 - 前記顧客管理装置は、
前記利用者端末から送信された利用者端末名を受け付けて、前記顧客情報記憶部に登録するとともに、前記第2のDNSサーバにも登録する端末名管理手段を有することを特徴とする請求項4記載のネットワークシステム。 - Ipv4プロトコル及びIpv6プロトコルで通信可能な利用者端末を、
第1のDNSサーバを備えたIPv4プロトコルのインターネット網であるIPv4ネットワーク、及び第2のDNSサーバを備えたIPv6プロトコルの閉域網であり、前記第1のDNSサーバと前記第2のDNSサーバとが接続されたIPv6ネットワークと、
通信させるネットワーク分岐装置であって、
前記IPv4ネットワークと接続し、IPv4プロトコルに対応した第1のルータと、
前記IPv6ネットワークと接続し、IPv6プロトコルに対応した第2のルータと、
前記第1のルータ、及び前記第2のルータをそれぞれ前記利用者端末と接続させるスイッチングハブと、
を有することを特徴とするネットワーク分岐装置。
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