JP2004054861A - タッチ式マウス - Google Patents

Abstract

【課題】間接的な入力装置であるマウスを、画面で直接操作する感覚で使用できるようにする。
【解決手段】タッチパネルと同じような透明入力パネルを表示装置に重ねて用い、タッチしながら動かす動作とカーソルの動きが等しくなるように、移動量のデータをマウスのボール回転センサーのからの信号と同じ信号に変換する。また、タッチするだけと、タッチしながら移動を区別し、左右ボタンの操作を画面へのタッチの仕方、カーソル移動をタッチしながらの動きで行う。
【選択図】　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はタッチ式入力装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
情報端末の簡単な入力機器としてタッチパネルを備えたものがあるが、多くの場合、タッチしやすいように画面上に表示されるボタンを大きくし、ボタンの位置も操作のしにくい周辺部を避けるように作られた専用のアプリケーションを作製している。しかしながら直接的な入力機器であるタッチパネルの利便性から、パソコン用のアプリケーションであっても特開平９−２４４８０９にみられるように、タッチパネルを使って操作できるようにマウス同等の機能を持たせたものが提案されてきている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
マウスの場合はマウスを動かすことによりマウスの下部に設けられたボールが回転しその回転の量、方向をセンサーで検出することで画面上のカーソルを動かすが、ボールに付着するゴミなどの外的要因で同じようにマウスを動かしても毎回同じだけカーソルが動くとは限らない。しかしながらカーソルを見ながらマウスを動かすといったマウスの特質から使用者は無意識のうちにカーソルが目的の位置にくるようマウスの動きを調整している。この為、マウスはパソコンのアプリケーションに適した入力機器であるといえる。
【０００４】
ところがマウスを動かすのは机上でカーソルは画面上に表示されて動く、使用者はカーソルの動きを見ているのでマウスは手感覚だけで操作しなければならない、またマウスカーソルを大きく動かしたい場合マウスを机上から浮かせ反対側に移動し再度マウスを目的の方向に動かすことを繰り返し行わなければならない、そのため初心者においては操作に慣れるよう訓練が必要であった。
【０００５】
一方タッチパネルは操作するのも、見るのも同じ画面上であり、初心者でも簡単に操作できるが、タッチパネルの原点からの絶対座標を検出する為、この検出精度が悪ければタッチした位置と検出された位置にズレが生じる、タッチパネル用にあらかじめ大きな表示のボタンを用意してあれば多少のズレは許容できるが、通常のパソコンのアプリケーションは小さなアイコンやボタンであることが多い。したがってそのようなアプリケーションで使用するには極めて高い位置検出精度が必要であった。大きなサイズになればなるほどパネル全面のばらつきを抑えることは難しく製品のコストアップにつながる。
【０００６】
それに反してパソコンの画面は大型化されていく方向にある。温度や湿度の環境の変化や経時変化、タッチを繰り返すことによる劣化など精度が悪化する要素が多く存在する。
【０００７】
また、この位置検出が特開平９−２４４８０９にみられるようにタッチパネルの原点からの絶対座標であるということは、アプリケーションや他の入力機器でカーソルが動かされた時には、記憶している座標と実際のカーソルの座標がずれてしまう為、カーソルを一旦原点に戻してから検出された座標へカーソルを動かさなければならず、マウスのように常に現在のカーソル位置を基準に動かすことは出来なかった。
【０００８】
また、アプリケーションによっては画面のアイコン上にカーソルを移動することによりそのアイコンのコメントが表示され、使用者はそのコメントをみて実行するか否かを決められるがタッチパネルの場合、タッチするという動作によってタッチ位置にカーソル移動するだけでなく、その位置で「クリック」されてしまう為、選択の余地がなく実行されてしまう。
【０００９】
このようにタッチパネル用に作られていないアプリケーションをタッチパネル方式で操作するには課題があり、本発明ではパソコンのアプリケーションに適したマウスの長所を生かし、タッチパネルに使われるような高精度のパネルを必要としなくても画面上のカーソルを指やペンなどで直接動かすような感覚で操作のできる画面直接操作型マウスを提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明ではパネルにタッチするという動作を、マウスを机上に置く動作であるとし、パネルから指を放すという動作を、マウスを机上から浮かせる動作と同じとする。タッチしながら動かすことによる検出値の変化量から移動量と向きを算出し、それと同じ向き、移動量でカーソルを動かすマウスボールの回転信号に変換する。
【００１１】
画面上に表示されているカーソル上をタッチしながら目的の場所まで動かすことでカーソルを直接動かしているような感覚で操作でき、カーソルの動きを見て、パネルのばらつきによるズレを補正しながら操作できることからパソコンのアプリケーションをマウスよりさらに直接的に操作できる。
【００１２】
また、パネル全体をひとつのスイッチであるとみなすことで、カーソルを目的の位置に動かした後は、パネルのタッチしやすい場所をタッチすること、及びその仕方によりマウスの左や右ボタンが押されたのと同じ機能を割り付ける。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１に本発明の実施における構成図を示す。本発明のマウス１０は検出部にタッチパネルに使用されるような透明なタッチ位置検出のできるパネル１１を表示装置２２に重ねて配置する。パネル１１にタッチされるとタッチされた位置の検出値が得られるが、タッチパネルとの違いはその検出値からタッチパネル原点からの絶対座標を算出しないことにある。
【００１４】
タッチされた位置の検出値を基準に、タッチされたまま移動することによる検出値の変化から、移動検出部１３にて移動量、移動方向を検出し、さらにそれを信号変換部１４にてマウスを動かした時にマウスボールの回転を検出するセンサーが出力するパルス信号と同じ信号に変換する。
【００１５】
またタッチパターン検出部１５にて、移動を伴わないタッチのみの操作においてパネルへの接触と開放の回数や接触時間を組み合わせたタッチの仕方を検出し、それをボタン押下信号変換部１６でマウスの左ボタンや右ボタンを押した時の信号と同等の信号に変換する。
【００１６】
この信号変換部１４とボタン押下信号変換部１６からの信号は標準的なマウスの信号と同じものであるので標準マウスデータ出力部１７は特別なものでなく、従来技術のマウスと同じに容易に作製できる。
【００１７】
マウス１０はパーソナルコンピュータ１８から見ると、通常のマウスであるため、何も特別なソフトウエアを作製する必要が無く、マウスカーソルを表示装置２２に表示させることができる。
【００１８】
このように、常にパネル面にタッチされているかを監視し、値が検出されない場合はパネルから指が離れたとし、カーソルはその場から動かない。またタッチして手を放し別の場所をタッチした場合、それぞれタッチした時に検出される値に差があっても、その間タッチしたまま動かしていないのでカーソルは動かない、これはマウスを浮かせて動かしたのと同じである。
つまりタッチした位置とカーソルの位置に関係は無く、タッチしながら動かした方向と量がカーソル移動の方向と量にだけ一致するようにしている。
【００１９】
図２に示すように使用者は画面上のカーソル位置を見て表示されたカーソル上をタッチする。タッチしたまま画面上を滑らせカーソルを移動させたい位置まで動かすとカーソルは動きにあわせて付いてくる、指の動きとカーソルの動きに多少のズレが生じてきても使用者はカーソルを見ているので無意識にカーソルが目的の位置にくるように指の動きを調整することができる。その為検出するパネルはあまり高精度である必要はない。
【００２０】
又、図３に示すように画面の隅に表示される小さなボタンなどはキャビネットの枠に邪魔され、指ではタッチしにくいが、そのような場所へカーソルを動かす際には、カーソルを目的の位置の近くまで動かした後、一旦指を離し、パネルのタッチしやすい位置で再びカーソルが目的の位置に達するまでタッチしながら指を動かせばよい。
【００２１】
次にマウスの左右のボタンを用いて行う「クリック」、「ダブルクリック」、「右クリック」、「ドラッグ」の機能について、本発明においてはタッチと開放と移動の組合せで各機能を割り付ける。パネルのどの場所であってもタッチされると何らかの検出値が得られ、パネルから開放すると検出値は得られなくなる。また検出値が変化してくればタッチしながら移動していることになる。
【００２２】
図４は各機能割付けのフローチャートである。ＳＴ１においてタッチが検出されるとタッチフラグをセットし、ＳＴ２に進みタッチされたまま移動があるかを検出する。移動がある場合、移動フラグをセットし、動きに合わせてカーソルを移動する。移動が止まってもＳＴ３で移動フラグの有無を確認し、移動フラグがあるのでＳＴ１に戻る。再び移動が検出されればカーソルも動き、移動をやめればカーソルも止まる。パネルから指を放すと、ＳＴ１でタッチが検出されずＳＴ７に進む、右ボタンフラグは無いので、ＳＴ８に進み移動フラグがあるので移動フラグとタッチフラグをリセットし、ＳＴ１に戻る。タッチが検出されず再びＳＴ７、ＳＴ８と進み、今度は移動フラグとタッチフラグがリセットされているのでＳＴ１０に進み、タッチカウンタの数値が０である為、ＳＴ１に戻る。
【００２３】
このようにタッチして少しでも動かした場合、カーソルが動くだけでありマウスの左右ボタンの機能は働かない。「ポイント」と呼ばれるマウスカーソルをアイコンやボタン上に重ねるだけの操作も実現できる。
【００２４】
次にタッチしたまま動かさない場合、ＳＴ２で移動が検出されずＳＴ３に進む、移動フラグも無く、右ボタンフラグも無いのでＳＴ３からＳＴ４、ＳＴ５と進みタッチカウンタも「０」であるのでＳＴ６に進む、タッチしたまま動かさなければやがて時間がＴ１に達し、右ボタンを時間Ｔ３の間ＯＮし、右ボタンフラグをセットしてＳＴ１に戻る。このままタッチし続けていてもＳＴ４において右ボタンフラグが検出されて再び右ボタンが押されることはない。右ボタンを押した信号を出力した後もタッチしたまま動かせばカーソルは動きに合わせ移動する。パネルから指を放せばＳＴ１からＳＴ７に進み、右ボタンフラグをリセットしＳＴ１に戻る。
【００２５】
このように「右クリック」はパネルの任意の場所をあらかじめ定めた時間Ｔ１以上動かさずにタッチし続けることで実現する。
【００２６】
次にタッチしたまま動かさずにＴ１の時間経過前にパネルから指を放した場合はＳＴ１からＳＴ７、ＳＴ８、ＳＴ９へと進み、タッチフラグがあるのでタッチフラグをリセットした後タッチカウンタに１を加え、ＳＴ１０に進むタッチカウンタが１になっているのでＳＴ１１に進み経過時間を計測する、まだ時間がＴ２に達していない為、左ボタンをＯＮにし、ＳＴ１に戻る、引き続きタッチされなければ同じ経路でＳＴ９に進むがタッチフラグはリセットされているのでタッチカウンタは１のままＳＴ１０、ＳＴ１１と進む。やがて時間がＴ２に達したら左ボタンをＯＦＦしタッチカウンタを０に戻す。
【００２７】
つまり、「クリック」はタッチして動かさず「右クリック」になる時間Ｔ１が経過する前に開放すると開放してから時間Ｔ２だけ左ボタンを押した信号を出力することで実現する。又、「ダブルクリック」も「クリック」が完了後、再度クリック動作を繰り返すことで実現する。
【００２８】
上記、時間Ｔ２だけ左ボタンを押した信号を出力している間にＳＴ１にて再度タッチが検出された場合は再びタッチフラグがセットされ、ＳＴ２、ＳＴ３、ＳＴ４、ＳＴ５と進み、ここでタッチカウンタは１になっているので右ボタンがＯＮすることはなく、左ボタンは押されたままになっている。ここでタッチされたまま移動があると、ＳＴ２で移動フラグをセットしカーソルを動かす。パネルから指を放せば、ＳＴ７、ＳＴ８と進み移動フラグがあるので左ボタンはＯＦＦされる。
【００２９】
このようにタッチして動かさずに開放し、あらかじめ定めた時間Ｔ２内に再度タッチしたまま動かした場合、パネルから指を放すまで、左ボタンを押された状態での移動、つまり「ドラッグ」が実現する。
【００３０】
上記は時間Ｔ２だけ左ボタンを押した信号が出力されている間にＳＴ１にて再度タッチが検出され、タッチしたまま動かした場合を説明したが、２回目のタッチでタッチしたまま動かされずに開放された場合はＳＴ１からＳＴ８、ＳＴ９へと進み、タッチフラグがあるのでタッチカウンタに１を加え、ＳＴ１０に進む。タッチカウンタが２になっているので左ボタンをＯＦＦした後、時間Ｔ４だけその状態を保持した後、再度左ボタンを時間Ｔ５だけＯＮする。
【００３１】
つまり、「クリック」が完了していない状態で再度タッチされ放されても、左ボタンを押した信号の出力は間を空けて連続２回出力され、「ダブルクリック」が実現できる。
【００３２】
このように標準マウスに備わるすべての機能をタッチ操作だけで実現できる。タッチする位置を選ばない為、図５に示すようにカーソルを目的のアイコンやボタンに移動した後は、使用者は自分の操作し易い場所で操作をすればよい。また従来のタッチパネルのように良く使うボタンの位置が集中的にタッチされることもない。
【００３３】
本説明では標準的なマウスの機能だけに特定して説明したが、「スクロール」などの機能を加えてもよいし、割り付ける機能を入れ替えてもよい。また、操作は指に限らず、ペンなどを用いてもよい。
【００３４】
【発明の効果】
本発明によれば使用者は画面上にあるカーソルにタッチしながら目的の位置まで移動させることができ、マウスの操作に慣れていない人でも簡単に操作ができるようになる。また大型画面であっても高精度のパネルである必要が無く、性能の持続性の高い入力装置を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態における構成図
【図２】カーソル移動の操作を示す図。
【図３】タッチしにくい場所へカーソル移動の操作を示す図
【図４】マウスの各機能割付け処理を示すフローチャート図
【図５】カーソルを目的の位置に移動させた後のマウスの左右ボタン操作を示す図
【符号の説明】
１０　タッチ入力マウス
１１　透明タッチ位置検出パネル
１２　制御部
１３　移動検出部
１４　信号変換部
１５　タッチパターン検出部
１６　ボタン押下信号変換部
１７　標準マウスデータ出力部
１８　パーソナルコンピュータ
１９　マウスドライバ
２０　ＣＰＵ
２１　ディスプレイドライバ
２２　表示装置
３０　表示装置上に重ねた位置検出パネル
３１　アイコン又はボタン
３２　カーソル

Claims (3)

1. 画面上に重ねて設置する透明なパネルであって、指やペンを用い、パネル面に接触しながら動かした量、方向を検出する手段と、それを、マウスを動かした時にマウスボールの回転を検出するセンサーが出力する信号と同等の信号に変換する手段を備えることを特徴とするマウス。
2. 画面上に重ねて設置する透明なパネルであって、指やペンを用い、パネル面に接触しながら動かす操作と画面上に表示されるカーソルの動きを等しくし、感覚的に画面上のカーソルを直接動かしているように見せることを特徴とするマウス。
3. 画面上に重ねて設置する透明なパネルであって、指やペンを用い、パネル面の任意の場所を接触しながら動かす操作と、移動の無い接触のみの操作を検出する手段を備え、操作の仕方によりマウスの左、右のボタンを押した時の機能と同じくすることを特徴とするマウス。

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