JP2004051706A - ハードコート処理物品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材の耐熱性が低くても硬化不足を生じることなく、かつ厚みの大きな硬化したハードコート層を有するハードコート処理物品を製造する方法及びその製造方法で得られたハードコート処理物品を提供する。
【解決手段】電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層を、酸素濃度が9体積%以下のガス雰囲気下で電離放射線を照射し該樹脂を硬化させて基材上に形成することからなるハードコート処理物品の製造方法、及びこの方法で製造され、該ハードコート層の厚みが20μm以上であるハードコート処理物品。
【選択図】 なし
【解決手段】電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層を、酸素濃度が9体積%以下のガス雰囲気下で電離放射線を照射し該樹脂を硬化させて基材上に形成することからなるハードコート処理物品の製造方法、及びこの方法で製造され、該ハードコート層の厚みが20μm以上であるハードコート処理物品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚膜ハードコート層を有する処理物品の製造方法とその方法によって得られたハードコート処理物品に関する。本発明の製造方法によって得られたハードコート処理物品は、画像表示装置やプラスチックの保護、ガラスの飛散防止等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的で硬化樹脂層からなるハードコート層を直接塗設したり、ハードコート層付きプラスチックフイルム(ハードコートフイルムと称する)を貼り合わして用いる場合が多い。また、従来のガラス製品についても、飛散防止、反射防止、導電性付与による防塵性や電磁波シールドのために、これらの機能を有するプラスチックフイルムを貼り合せる場合が増えており、表面の硬度を保つためにもハードコートを形成することは有用である。
【0003】
フイルムの表面硬度を強化するために多官能アクリレートモノマーを主成分としたハードコート層内に、アルミナ、シリカ、チタン等の微粒子無機充填剤を含有することが特公平02−60696号公報に開示されている。ハードコート層内に無機微粒子を添加することで硬度は向上しているが、要求されているハードコートの表面硬度に対して満足行くものではなかった。
さらに、表面硬度だけでなく、応力による基材の変形を抑えることも必要で、そのためにはハードコートの弾性率を大きくすることが必要であるが、要求される硬度を満足させるためには大量の金属微粒子の添加が必要となりヘイズや脆性が悪化する問題が生じてしまう。その他の手段としてハードコート層の厚みを上げることで要求される基材の変形を抑えることができるが、カールや脆性の悪化があり満足できるものはなかった。また、ハードコート層を電離放射線硬化型樹脂を硬化させて形成する場合、ハードコートの厚みが大きいと、電離放射線が層の下部に充分達せずに下部の硬化不足が生じたり、さらには空気中の酸素によりラジカル重合反応が阻害され表面硬度が不足したりする問題があり、特公平07−51641号公報では硬化時に塗布層を加熱することでその問題を解決することが開示されている。しかし基材の耐熱性により加熱温度が制限される問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材の耐熱性が低くても硬化不足を生じることなく、かつ厚みの大きな硬化したハードコート層を有するハードコート処理物品を製造する方法及びその製造方法で得られたハードコート処理物品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成のハードコート処理物品の製造方法及び該方法で製造されたハードコート処理物品によって達成される。
1.電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層を、酸素濃度が9体積%以下のガス雰囲気下で電離放射線を照射し該樹脂を硬化させて基材上に形成することを特徴とするハードコート処理物品の製造方法。
2.ハードコート層の樹脂硬化を、酸素濃度が5体積%以下のガス雰囲気下で行うことを特徴とする上記1記載のハードコート処理物品の製造方法
3.基材上に電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層が設けられており、該ハードコート層の厚みが20μm以上であり、かつ上記1または2に記載の方法で製造されたことを特徴とするハードコート処理物品。
4.ハードコート層が、基材上に直接ハードコート層が設けられているか、あるいは1層以上の下塗り層を介して設けられていることを特徴とする上記3に記載のハードコート処理物品。
5.電離放射線硬化型樹脂が、エチレン性不飽和基を含有する化合物及び開環重合性基を含有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴する上記3または4に記載のハードコート処理物品。
6.ハードコート層が、有機及び無機の架橋微粒子から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする上記3〜5のいずれかに記載のハードコート処理物品。
7.1層以上の反射防止層を有し、かつ波長450nm〜650nm領域の平均反射率が2%以下であることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載のハードコート処理物品。
8.上記3〜7のいずれかに記載のハードコート処理物品が画像表示部に形成されていることを特徴とする画像表示装置。
9.ガラス上に貼り付け、ガラス飛散防止フイルムとして使用されることを特徴とする上記3〜7のいずれかに記載のハードコート処理物品。
【0006】
【発明の実施形態】
以下、本発明のハードコート処理物品の製造方法について、さらに詳細に説明する。
本発明で得られるハードコート処理物品は、基材としてプラスチックのフイルム、シート、板等を用いたハードコート処理物品として提供され、陰極線管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル、自動車や建築物の窓ガラス等の飛散防止性、表面の硬さが高く傷が付き難いことが必要とされる物に利用されると好適である。
【0007】
本発明でハードコート層は、表面硬度を強化させるために厚みを20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。
また、本発明では、電離放射線照射の際のガス雰囲気を窒素置換等により酸素濃度を9体積%以下、好ましくは5体積%以下、より好ましくは1体積%以下とすることが特徴である。酸素濃度を抑えることにより、空気中の酸素により電離放射線硬化型樹脂の硬化が阻害される、具体的には、用いられるラジカル発生剤、カチオン又は酸発生剤等の反応が阻害されるのを防ぐことができ、鉛筆硬度で好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上の表面硬度を有するハードコート層を形成することができる。
さらに50℃以上に加熱して硬化させることが好ましいが、加熱する際には使用する基材の耐熱性を考慮して温度を調整することが好ましい。基材の耐熱性が十分であれば、一般的には、加熱温度は50℃乃至140℃が好ましく、50℃乃至100℃がより好ましい。加熱・硬化方法としては、塗布液を乾燥するための乾燥温度を保持させた状態で硬化させたり、熱ロールに巻き付けながら硬化させたり、電離放射線を照射するゾーンを仕切り蒸気、ヒーターで温めた空気を送り硬化させたり、電離放射線照射装置の熱によりゾーン内を温め、硬化させる方法などが挙げられる。
【0008】
本発明で用いられる電離放射線は、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることが好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることがより好ましい。
また、硬化した後、後加熱することによりさらに硬化を進行させることができる場合があり、好ましく用いることができる。
【0009】
本発明で用いられる電離放射線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和基、開環重合性基を含む化合物が特に好しく、これらの化合物は単独あるいは混合して用いることができる。
【0010】
ハードコート層の形成に用いるエチレン性不飽和基を含む化合物はラジカル重合反応で硬化し、開環重合基を含む化合物はカチオン重合反応で硬化する。エチレン性不飽和基を重合反応させるためには、電離放射線によりラジカルを発生するラジカル発生剤を用いることが好ましく、開環重合基を重合反応させるためには、カチオンまたは酸発生剤を発生するカチオン発生剤を用いること好ましい。
【0011】
本発明で用いられるエチレン性不飽和基としては主にアクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニル基が好ましく、メタクリロイル基、アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。
エチレン性不飽和基を分子内に2個以上有する化合物のなかでも、アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく、分子内に2ないし6個のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーと称される化合物やウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと称される分子内に数個のアクリロイル基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0012】
分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。また、このような化合物は市販もされていて、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220,TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)などが、挙げられる
【0013】
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
ここで、アクリロイル当量は、分子量をアクリロイル基の個数で除した値、即ち、アクリロイル当量=M/N(M:分子量、N:アクリロイル基の個数)で算出される値である。
【0014】
ハードコート層の形成に用いられる開環重合性基を含む化合物は、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する化合物であり、なかでもカチオン開環重合性のヘテロ環状化合物が好ましい。
このような化合物としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。同一分子内に有する開環重合性基の数は特に制限はなく、1個以上有していればよいが、2個以上の開環重合性基を有する化合物がより好ましい。
同一分子内に2個以上の開環重合性基を有する化合物の具体例としては、例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合出来るモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0015】
ハードコート層内に架橋微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できたり、基材との密着性が向上したり、ハードコートフイルムのカールを低減させることができる。
上記架橋微粒子としては、金属(ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等)の酸化物微粒子等の無機微粒子;ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリテトラフルオロエチレン,ナイロン,ポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリ(メタ)アクリル酸エステル類およびアミド類,ポリ塩化ビニル,アセチルセルロース,ニトロセルロース,ポリジメチルシロキサン等の汎用樹脂を架橋させたもの、SBR,NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子が挙げられる。
これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであり、2nmないし1000nmであることがより好ましく、5nmないし500nmであることがさらに好ましく、10nmないし200nnであることが最も好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
【0016】
上記で記載した無機微粒子は、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属アルコキシド表面処理剤、あるいはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用い表面処理を行うことが好ましい。
【0017】
紫外線によりラジカルを発生させるラジカル発生剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することが好ましい。
【0018】
さらにラジカルの発生を高める目的で、重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブリルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。ただし増感剤は波長380nmに吸収を持つことが多く、使用量は限定される。
【0019】
紫外線によりカチオンを発生させるカチオン発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、“イメージング用有機材料”ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等に記載されている公知の光酸発生剤が使用できる。
この中でも特に好ましくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 −、SbF6 −、AsF6 −、B(C6F5)4 −、などが好ましい。
【0020】
本発明で用いる各種重合開始剤の添加量はエチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合成基含有化合物の各々の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。増感剤は、重合開始剤の総重量に対し、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0021】
ハードコート層が設けられる上記基材としては、例えば透明なフイルムやシート状、板状のプラスチックなどが挙げられる。
上記プラスチックとしては、具体的に、セルロースエステル系(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル系(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン系(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン系(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトンが含まれる。なかでも、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを使用することが特に好ましい。これらのプラスチックは、必要に応じて、延伸して用いることが好ましい。
【0022】
上記の「透明なフイルムやシート状、あるいは板状のプラスチック」の「透明」とは、波長370nm〜780nmの可視光領域の平均透過率で示して、その値が80%以上であることを指し、好ましく85%以上である。
【0023】
ハードコート層は、その塗布液にさらに着色剤(顔料、染料)、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤や改質用樹脂など、従来公知の添加剤を添加してもよい。
【0024】
ハードコート層の塗布液は、有機溶媒を媒体として用いて調製することが好ましい。有機溶媒の例にはアルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素類(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素類(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール類(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。これらの溶媒は2種以上併用して用いることが好ましく、3種以上併用して用いることがより好ましい。
【0025】
ハードコート層塗布液の塗布方式としては、カーテンコーティング法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、印刷コーティング法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、単層または重層スロットエクストルージョンコーター方、スライドコーター法等の公知の塗布方式が挙げられる。
【0026】
ハードコート層と基材との接着性(密着性)を向上させる目的で、所望により1層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては、基材、ハードコート層の素材種類により変わるが、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエステル等の共重合体またはこれらのラテックス、ポリエステル、ポリウレタン、およびゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることもできる。表面処理方法は他に酸化法や凹凸化法も用いることで密着性を向上させることができる。上記表面処理法としては公知の薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火焔処理、高周波処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、活性プラズマ処理、昆酸処理等が上げられ、それぞれの処理条件は基材の耐熱性、耐薬品性に応じて処理を行うことが好ましい。
【0027】
本発明のフイルムには、反射防止層を設けることもできる。
本発明では、視認性をさらに向上させる上で、ハードコート層上に1層以上の反射防止層を設けることが好ましく、波長450〜650nmでの平均反射率が好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下とすることが望ましい。反射防止層の構成としては、単層、多層等各種知られているが、多層のものとしては高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した構造のものが一般的である。
【0028】
構成の例としては、透明基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層の順から構成されたものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明基材或いはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性などから、ハードコート層を有する基材上に、高屈折率層/中屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい構成である。
【0029】
基材面に(中屈折層を設ける場合もある)高屈折率層、空気に向かって低屈折率層を順に積層し、高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚光の波長に対しある値に設定することにより光学干渉層を作り、反射防止積層体としたものが反射防止層としては特に好ましく、屈折率と膜厚は分光反射率の測定より計算して算出し得る。屈折率の高低はそこに含まれる金属或いは化合物によってほぼ決まり、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。
【0030】
透明基材上に多層の反射防止層を逐次積層して反射防止層を作製するには、反射防止層のうち少なくとも1層を、高屈折率層としてはチタン、ジルコニウム等の金属アルコキシド及びその加水分解物から選ばれる化合物、活性エネルギー線反応性化合物及び有機溶媒を含有する組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して形成された高屈折率層と、この上に(中屈折層を設ける場合もある)、低屈折物質及び有機溶媒を含有する低屈折率層組成物を塗布し低屈折率塗膜とした後に、活性エネルギーを付与して低屈折率層を形成し反射防止層を形成する。
【0031】
本発明における好ましい高屈折率層は、透明基材上の多層ある反射防止層のうち少なくとも1層を、活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシド及びその加水分解物から選ばれる少なくとも一つ、活性エネルギー線反応性の金属アルコキシド化合物、又、好ましくは活性エネルギー線反応性化合物を含有しており、高屈折率組成物を該透明基体上に塗設後、塗膜に活性エネルギー線を照射して任意の屈折率の高屈折率層を形成するものである。
【0032】
高屈折率層に使用される金属アルコキシド及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも一つの化合物、及び後述する一般式(II)の活性エネルギー線反応性金属アルコキシド化合物の何れの金属は同様なものであり、金属としてはAl、Si、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Y、Ga、Ge、Zr、In、Sn、Sb、Sr、La、Ta、Tl、W、Ce及びNdを挙げることが出来る。活性エネルギー線反応性金属アルコキシド化合物の何れの金属化合物は、特に紫外線照射により、これらを含有する層の屈折率を変化させるのに役立つ。好ましい金属としては、Al、Si、Ti、V、Zn、Y、Zr、In、Sn、Sr、Ta、Tl、W及びCeであり、特に屈折率を変化させ易い好ましい金属としてはTi、Zr、Tl、In(In−Sn錯体として)、Sr(Sr−TiO2 錯体として)である。Tiの場合、光に反応することは知られているが、Ti化合物を含む層の屈折率を光により変化させることについては知られていない。
【0033】
活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシドとしては、炭素原子数1〜10のものがよいが、好ましくは炭素原子数1〜4である。又金属アルコキシドの加水分解物はアルコキシド基が加水分解を受けて−金属原子−酸素原子−金属原子−のように反応し、架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
【0034】
活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシドの例として;Alのアルコキシドとしては、Al(O−CH3)3、Al(OC2H5)3、Al(O−i−C3H7)3、Al(O−n−C4H9)3;Siの例としては、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(O−i−C3H7)4、Si(O−t−C4H9)4;Tiの例としては、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−n−C3H7)4の2〜10量体、Ti(O−i−C3H7)4の2〜10量体、Ti(O−n−C4H9)4の2〜10量体、Vの例としては、VO(OC2H5)3;Znの例としては、Zn(OC2H5)2;Yの例としてはY(OC4H9)3;Zrの例としては、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(O−n−C3H7)4、Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−i−C4H9)4、Zr(O−n−C4H9)4の2〜10量体;Inの例としては、In(O−n−C4H9)3;Snの例としては、Sn(O−n−C4H9)4、Taの例としてはTa(OCH3)5、Ta(O−n−C3H7)5、Ta(O−i−C3H7)5、Ta(O−n−C4H9)5;Wの例としては、W(OC2H5)6;Ceの例としては、Ce(OC3H7)3等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でも、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−n−C3H7)4 の2〜10量体、Ti(O−n−C4H9)4の2〜10量体;Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−n−C4H9)4;Si(OC2H5)4、Si(O−i−C3H7)4が特に好ましい。
【0035】
上記金属アルコキシドを加水分解(部分又は完全加水分解)させて使用してもよく、酸性触媒又は塩基性触媒の存在下に例えば上記の金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解することによって得られる。この酸性触媒としては、例えば硝酸、塩酸等の鉱酸やシュウ酸、酢酸等の有機酸がよく、又塩基性触媒としては、例えばアンモニア等が挙げられる。
【0036】
上記金属アルコキシド化合物を含む層は、金属アルコキシド自身が自己縮合して架橋し網状結合するものである。その反応を促進するために触媒や硬化剤を使用することが出来、それらには金属キレート化合物、有機カルボン酸塩等の有機金属化合物や、アミノ基を有する有機ケイ素化合物、光酸発生剤等がある。これらの触媒又は硬化剤の中で特に好ましいのは、アルミキレート化合物と光による酸発生剤(光酸発生剤)であり、アルミキレート化合物の例としてはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等であり、他の光酸発生剤の例としてはベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートやその他のホスホニウム塩やトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートの塩等を挙げることが出来る。
【0037】
使用する活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む塗布組成物には、塗布液の保存安定化のためにβ−ジケトンと反応させてキレート化合物を添加することにより安定な塗布組成物とすることが出来る。
【0038】
高屈折率層に好ましく使用される活性エネルギー線反応性化合物は、重合可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基等の重合性基を二つ以上有するもので、活性エネルギー線照射により架橋構造又は網目構造を形成するものが好ましい。これらの活性基のうちアクリロイル基、メタクリロイル基又はエポキシ基が重合速度、反応性の点から好ましく、例えば、特開昭59−151110号、特開昭59−151112号の各公報などに記載されている。また、これら化合物は、多官能モノマー又はオリゴマーがより好ましい。
【0039】
活性エネルギー線反応性エポキシ樹脂も好ましく用いられる。活性エネルギー線反応性エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ化合物(多価フェノールのポリグリシジルエーテル)が好ましい。活性エネルギー線反応性化合物エポキシ樹脂は、エポキシ基を分子内に2つ以上有するもの以外に、モノエポキサイドも所望の性能に応じて配合して使用することが出来る。活性エネルギー線反応性化合物エポキシ樹脂はラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造又は網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性エネルギー線反応性樹脂である。
【0040】
特開昭50−151996号、特開昭50−158680号の各公報等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、特開昭52−30899号、特開昭59−55420号、特開昭55−125105号の各公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、特開昭56−149402号、特開昭57−192429号の各公報等に記載のオキソスルホニウム塩、特公昭49−17040号公報等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4139655号等に記載のチオピリリウム塩等が好ましい。又、アルミニウム錯体や光分解性ケイ素化合物系重合開始剤等を挙げることが出来る。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントンなどの光増感剤を併用することが出来る。
【0041】
活性エネルギー線反応性の金属アルコキシドの具体的例として、ビニルトリメトキシチタン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)チタン、ジビニロキジメトキシチタン、グリシジルオキシエチルトリエトキシチタン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロピルチタン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルチタン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルチタン、アクリロイルオキシジメトキシエチルチタン、ビニルトリメトキシジルコン、ジビニロキジメトキシジルコン、アクリロイルオキシエチルトリエトキシジルコン、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルジルコン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルジルコン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルジルコン、アクリロイルオキシジメトキシエチルジルコン、ビニルジメトキシタリウム、ビニルジ(β−メトキシ−エトキシ)タリウム、ジビニロキシメトキシタリウム、アクリロイルオキシエチルジエトキシタリウム、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルジ−n−プロピルタリウム、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルジ−n−プロピルタリウム、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)−n−プロピルタリウム、アクリロイルオキシメトキシエチルタリウム、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、ジビニロキジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルシラン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルシラン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルシラン、アクリロイルオキシジメトキシエチルシラン等を挙げることが出来る。
【0042】
高屈折率層に使用する活性エネルギー線反応性基と、好ましく使用される活性エネルギー線反応性化合物の反応基に対する活性エネルギー線による光重合の挙動はほとんど変わりなく、前述の活性エネルギー線化合物の光増感剤や光開始剤などは同様なものが用いられる。
【0043】
活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は50mJ/m2以上、好ましくは100mJ/cm2以上、更に400mJ/cm2以上が好ましい。紫外線は多層の反射防止層を1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。又この際には酸素濃度が0.5%以下の条件で行うのが効率的であり、硬化速度の点で好ましい。
【0044】
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
【0045】
最表層としての低屈折率層には該層の屈折率を低下させる為に下記のフッ素原子或いはケイ素原子を含有する低屈折率物質が含有されている。低屈折率物質としては、フッ素含有樹脂、シリケートオリゴマーから形成される化合物、及びSiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられ、特に特開平7−126552号、特開平7−188582号、特開平8−48935号、特開平8−100136号、特開平9−220791号、特開平9−272169号の各公報等に記載されている化合物が好ましく用いられる。
【0046】
本発明に好ましく使用し得るフッ素含有樹脂としては、フッ素含有不飽和エチレン性単量体成分を主として含有する重合物及びフッ素含有エポキシ化合物を挙げることが出来る。フッ素含有不飽和エチレン性単量体としては、含フッ素アルケン、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、含フッ素ビニルエステル、含フッ素ビニルエーテル等を挙げることが出来る。例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、ヘプタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクテン、4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、テトラフルオロ−3−(ペンタフルオロエトキシ)プロピルアクリレート、テトラフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロピルアクリレート、ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、ノナフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ペンタフルオロピロピルアクリレート、2−ヘプタフルオロブトキシエチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブトキシアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エチルアクリレート、トリフルオロイソプロピルメタクリレート、(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル)エチルメタクリレート、3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチルアクリレート、1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタウルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、ノナフルオロペンチルアクリレート、ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、トリデカフルオロヘプチルアクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、トリデカフルオロオクチルアクリレート、ノナデカフルオロデシルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート(以上のアクリレートはメタクリレート或いはα−フルオロアクリレートであってもよい)、ビニルトリフルオロアセテート、ビニル−2,2,2−トリフルオロプロピオネート、ビニル−3,3,3,2,2−ヘプタブチレート、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル、1−(トリフルオロメチル)エテニルアセテート、アリルトリフルオロアセテート、アリル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、アリル−1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエーテル、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、イソプロピル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、イソプロピル−ペンタフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナプロピルペンチルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルフマレート、イソプロピル−トリデカフルオロヘプチルフマレート、イソプロピル−ペンタデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル−トリデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル−ノナデカフルオロデシルフマレート、イソプロピル−ヘプタデカフルオロデシルフマレート、イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチルフマレート、イソプロピル−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−1−メチル−ヘプタフルオロオクチルフマレート、tert−ブチル−ペンチルフルオロプロピルフマレート、tert−ブチル−ヘプタフルオロブチルフマレートなどの含フッ素不飽和エチレン性単量体を挙げることが出来るが、これらに限定されない。又、共重合相手の単量体はフッ素を含有しても、含有していなくとも何れでもよい。
【0047】
上記フッ素含有単量体と共重合し得る単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、酢酸ビニル、ビニルエチルエーテル、ビニルエチルケトン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、エチル−α−フルオロアクリレート、プロピル−α−フルオロアクリレート、ブチル−α−フルオロアクリレート、シクロヘキシル−α−フルオロアクリレート、ヘキシル−α−フルオロアクリレート、ベンジル−α−フルオロアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、α−フルオロアクリル酸、スチレン、スチレンスルホン酸等を共重合させてもよいが、これらに限定されない。
【0048】
上記フッ素含有エチレン性不飽和単量体の単独の樹脂の屈折率は、ほぼ1.33〜1.42の範囲にあり、又共重合し得るフッ素を含有しない単量体の単独樹脂リマーの屈折率は、1.44以上で、これらを任意の割合で共重合して目的の屈折率のフッ素含有樹脂として用いることが出来、又、本発明のフッ素含有樹脂とフッ素を含まない樹脂とを任意の割合で混合して目的の屈折率のものとして使用してもよいが、本発明の低屈折率物質のフッ素含有量は、50質量%以上であることが好ましく、ものによって異なるが、特に好ましくは60〜90質量%である。フッ素含有重合体の場合は、フッ素含有率がこのような範囲にあると有機溶媒に対して良好な溶解性を有することで加工し易いばかりでなく、下の基体や層に対する接着性が優れ、高い透明性と低い屈折率の層を得ることが出来る。
【0049】
使用する含フッ素のアルケン、アクリレート、ビニルエステル或いはビニルエーテル等を重合させる重合開始剤は、通常のラジカル重合開始剤を用いることが出来る。重合開始剤の具体的な例として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系ラジカル重合開始剤、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド等の有機過酸化物系ラジカル重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機系ラジカル重合開始剤、過酸化水素−硫酸第1鉄アンモニウム、過硫酸アンモニウム−メタ亜硫酸ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等の各種ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。
【0050】
これらを用いて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合又は放射線重合等の公知のラジカル重合をすることが出来る。この際、反応温度は10〜100℃、反応時間は1〜100時間であることが好ましい。このようにして得られるフッ素含有樹脂の数平均分子量は1000〜300000であることが望ましい。フッ素含有樹脂としてのフッ素含有エポキシ樹脂は、例えば下記のようなエポキシ化合物を常法で反応させることによって得ることが出来る。
【0051】
フッ素含有エポキシ化合物としては、フッ素系アルコールのモノ,ジ、トリ更にはオリゴグリシジルエーテルが好ましい。中でも含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては例えば、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。これらの他にフッ素を含有しないエポキシ化合物を屈折率があまり上がらない程度に少量使用してもよい。ここで使用するフッ素含有エポキシ化合物の構造には制限ないが、屈折率を高めるようなベンゼン核を有するエポキシ化合物や脂環式のエポキシ化合物の使用は少ない方がよい。
【0052】
別の好ましい低屈折率物質は、シリケートオリゴマーから形成される化合物である。シリケートオリゴマーから形成される化合物に使用するシリケートオリゴマーとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラ−2,2,2−トリフルオロエトキシシラン、テトラ−2−フルオロエトキシシラン、テトラ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロピオキシシラン、テトラ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピオキシシラン、テトラ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロピオキシシラン、テトラ−1,3−ジフルオロ−2−プロピオキシシラン、テトラ−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブトキシシラン、テトラ−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブトキシシラン、テトラシクロヘキシルオキシシラン又はテトラフェノキシシラン等を挙げることが出来、これらを加水分解することによりシリケートオリゴマーが得られる。
【0053】
上記の如くテトラアルコキシシランに触媒、水を添加して得られる加水分解物に溶媒を配合し、次いで硬化触媒と水を添加する等の方法により硬化した加水分解物が得られる。かかる溶媒としては、メタノール、エタノールを1種又は2種使用するのが安価であること、及び得られる皮膜の特性が優れ硬度が良好であることから好ましい。イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール等も用いることが出来るが、得られた皮膜の硬度が低くなる傾向にある。溶媒量は部分加水分解物100質量部に対して50〜400質量部、好ましくは100〜250質量部である。硬化触媒としては、酸、アルカリ、有機金属、金属アルコキシド等を挙げることが出来るが、酸、特に酢酸、マレイン酸、シュウ酸、フマル酸等が好ましく用いられる。シリケートオリゴマー中のSiO2 含有量は1〜100%、好ましくは10〜99%であることが望まれる。このようなSiO2含有量が1%未満では耐久性の向上が見られなくなり、本発明の効果を発揮しない。
【0054】
これらのシリケートオリゴマーからケイ素層を形成させる方法については特に制限されないが、例えばシリケートオリゴマーを光学フイルムの光学性能を阻害しない溶媒、例えばアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、メチルグリコールアセテート、メトキシブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチレンクロライド、トルエン、キシレン、ミネラムスピリット、クレゾール、キシレノール、フフラール等であり、これらでシリケートオリゴマーを希釈し、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、リップコーター等、公知の装置により基材に塗設、加熱処理すればよい。
【0055】
更に別の好ましい低屈折率物質は、SiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物であって、SiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物とを含むゾル液を用い、SiO2ゲル膜として低屈折率層が形成されるものである。SiO2ゾルは、ケイ素アルコキシドを塗布に適した有機溶媒に溶解し、一定量の水を添加して加水分解を行って調製される。SiO2ゾルの形成に使用するケイ素アルコキシドの好ましく、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピオキシシラン、テトラ−n−プロピオキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタイソプロピオキシシラン、テトラペンタ−n−プロピオキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメキメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルプロピオキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0056】
上記アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドを適当な溶媒中に溶解することによりSiO2ゾルとすることが出来る。使用する溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのアルコール、ケトン、エステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、或いはこれらの混合物が挙げられる。アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドを、それらが100%加水分解及び縮合したとして生じるSiO2換算で、濃度を0.1質量%以上、好ましくは0.1〜10質量%になるように上記溶媒中に溶解する。SiO2ゾルの濃度が0.1質量%未満であると形成されるゾル膜が所望の特性が充分に発揮出来ず、一方、10質量%を超えると透明均質膜の形成が困難となる。又、本発明においては、以上の固形分以内であるならば、有機物や無機物バインダーを併用することも可能である。
【0057】
この溶液に加水分解に必要な量以上の水を加え、15〜35℃、好ましくは22〜28℃の温度で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間攪拌を行う。上記加水分解においては、触媒を用いることが好ましく、これらの触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸又は酢酸等の酸が好ましい。これらの酸を約0.001〜40.0mol/l、好ましくは0.005〜10.0mol/l程度の水溶液として加え、該水溶液中の水分を加水分解用の水分とすることが出来る。
【0058】
最終的に得られるゲル膜は、反射防止フイルムの低屈折率層として使用するが、その屈折率の調整する必要がある場合もある。例えば、屈折率を下げるためにフッ素系有機ケイ素化合物、屈折率を高めるために有機ケイ素化合物、屈折率を更に高めるために硼素系有機化合物を添加することが出来る。具体的には、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、コルコート40(コルコート社製)、MS51(三菱化学社製)、スノーテックス(日産化学社製)などの有機ケイ素化合物、ザフロンFC−110、220、250(東亜合成化学社製)、セクラルコートA−402B(セントラル硝子社製)、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素系化合物、硼酸トリエチル、硼酸トリメチル、硼酸トリプロピル、硼酸トリブチル等の硼酸系化合物が挙げられる。
【0059】
これらの添加剤は、ゾルの調製時に加えてもよいし、ゾルの形成後に加えてもよい。これらの添加剤を用いることによって、アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドの加水分解時、或いはその後にシラノール基と反応して、更に均一に反応して更に均一で透明なゾル溶液が得られ、且つ形成されるゲル膜の屈折率をある程度の範囲で変化させることが出来る。
【0060】
次に、上記フッ素含有樹脂、シリケートオリゴマーから形成される化合物、及びSiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物から選ばれる少なくとも一つの低屈折率物質を含有する低屈折率層(前記高屈折率層の上に設けられている)には前記高屈折率層のところで挙げられた活性エネルギー線反応性化合物が添加されていてもよい。そのうち好ましく用いられるのはエポキシ系活性エネルギー線反応性化合物である。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、前記と同様の活性エネルギー線照射によりカチオン重合を開始物質として放出することが可能な化合物である。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物としては、(イ)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により得られ、重合度の異なる混合物として得られる);(ロ)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物等を挙げることが出来る。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤又は光増感剤は、活性エネルギー線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。これらについては、前記一般式(I)と同様であるので、ここでは省略する。これらの活性エネルギー線反応性化合物は前記高屈折率層のところで述べられたようなものと同様の紫外線や、電子線等の活性エネルギー線、又はプラズマ処理、或いは熱エネルギーの付与により硬化されることも同様である。
【0061】
本発明のハードコート処理物品には、上記の反射防止層の他にも、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層、防汚層等の各種機能を有する機能性層をハードコート層上及び/又は基材のハードコート層の反対面側に、さらには基材とハードコート層間に設けることができる。さらにハードコート処理物品の表面に、上記のいわゆる光に対する反射防止層以外にも、熱線反射防止層を設けることができ、これらの機能性層は、従来公知の技術で作製することができる。
また、これらの機能性層とハードコート層の密着性を向上させる目的で表面処理を施したり、下塗り層を設けたりすることができる。表面処理法としては、前記で記載した基材上に施す下塗り層や表面処理で挙げた処理が好ましく用いられる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するがこれらに限定されるものではない。
【0063】
<ハードコート層形成用硬化性組成物の調製>
メチルエチルケトン(MEK)275mlを窒素気流下、60℃で1時間攪拌後、V−65(重合開始剤;和光純薬工業(株)製)0.5gをMEK8.3mlに溶解したものを全量添加した。その後、グリシジルメタクリレート(50g)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、V−65(0.5g)のMEK(8.3ml)溶液を添加し、2時間反応させた。その後、反応温度を80℃として2時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却した。得られた反応溶液をヘキサン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時間減圧乾燥し、得られた開環重合性基含有化合物 25質量%と、エチレン性不飽和基含有化合物としてのTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセル化学工業(株)製)) 75質量%とをメチルエチルケトンに溶解し、その後にラジカル重合開始剤(イルガキュア184(チバガイギー社製)とカチオン重合開始剤ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩〔対イオンとしてPF6 −を用いた(山本化成製)〕をエチレン性不飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物のそれぞれの質量に対し、それぞれ3質量%ずつ添加し電離放射線硬化性組成物を得た。
【0064】
<ハードコート処理物品(ハードコートフイルム)の作製>
基材としての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの両面をコロナ処理し、ハードコート層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を重量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層を兼ねた下塗り層を形成した175μm厚の基材を調製した。下塗り層上に、上記で調製した電離放射線硬化性樹脂組成物をエクストルージョン方式またはマイクログラビアコーターを使用し乾燥硬化後の膜厚が表1記載の厚みになるように塗布を行い、表1に記載の条件下で、照射量750mJ/cm2で紫外線を照射しハードコートフイルムを得た。
【0065】
<反射防止膜付きハードコートフイルムの作製方法>
上記で作製したハードコートフイルムのいくつかには、さらにその上に反射防止膜を形成した。以下その形成方法につき説明する。
【0066】
(1)高屈折率層塗布液の調製
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径25nmの二酸化チタン分散物を調製した。上記二酸化チタン分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)と、光ラジカル重合開始剤〔イルガキュア184、チバガイギー社製;但し、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと上記カルボン酸基含有モノマーとの合計量)に対し5質量%〕とを混合し、高屈折率層の屈折率が1.85になるように調整した。
【0067】
(2)低屈折率層塗布液の調製
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、日本化薬(株)製)60質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)2質量部、メガファック531A(C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、大日本インキ化学工業(株)製)9質量部、およびメチルエチルケトンを混合、攪拌して、低屈折率層の屈折率が1.53になるように塗布液を調製した。
【0068】
(3)反射防止膜付きハードコートフイルムの形成
ハードコート処理物品のハードコート層上に上記(1)で得られた高屈折率層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が75nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し、さらに、高屈折率層の上に上記(2)で得られた低屈折率層塗布液を乾燥膜厚が90nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し反射防止層を形成し反射防止膜付きハードコートフイルムを得た。
【0069】
上記のように得られたハードコートフイルム、反射防止膜付きハードコートフイルムを下記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0070】
<鉛筆硬度の評価方法>
作製した試料を25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、1kg荷重で各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、3回以上傷が付かない鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。鉛筆硬度は3H以上が好ましく、4H以上がより好ましく、5H以上が最も好ましい。
【0071】
<引っ掻き具合の評価>
H以下の硬度評価は引っ掻き具合と称し、硬化膜表面を爪で軽く引っ掻き、下記の基準で評価を行った。
○:硬化しており傷が付かない
△:硬化はしているが爪で軽く引っ掻くと傷が付く
×:硬化が弱く簡単に傷が入り、さらに試料を重ね合わせるとくっついてしまう。
【0072】
<基材の歪み>
熱による基材の変形凹凸を目視で観察し下記の基準で判定した。
○:熱による変形がない
△:熱による変形が多少見られる
×:熱により変形がみられる
【0073】
(平均反射率の測定方法)−反射防止膜付きハードコートフイルム−
裏面をサンドペーパーで擦り、黒マジックを塗り裏面の反射が起こらないようにし、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、450〜650nmの波長領域における入射光5゜における正反射の表面反射率を測定し、平均を計算した。平均反射率が2%以下であると反射防止膜の性能はよく、1%以下であるとより好ましい。
【0074】
<反射防止膜付きハードコートフイルムを設けた画像表示装置>
上記で作製した反射防止膜付ハードコートフイルムのハードコート層を設けていない面にアクリル系粘着剤をつけ、PDP:日立製42型プラズマディスプレイ(CMP4121HDJ)、CRT:松下(株)製28型フラットテレビ(TH−28FP20)、LCD:三菱(株)製15型TFT液晶モニター(RDT151A)、タッチパネル:シャープ(株)製Zaurus(MI−L1)にそれぞれ貼られていた保護フイルムを剥がし、そこへ反射防止膜付きハードコートフイルムを張り合わせ、反射防止膜付きハードコートフイルムを設けた画像表示装置を作製した。
上記のように得られた反射防止膜付きハードコートフイルムをもう設けた画像表示装置について、耐擦傷性と視認性の評価を下記の方法で行った。結果を表2に示す。
【0075】
(耐擦傷性の評価)
#0000のスチールウールを使用して、画像表示装置の表面を手で10往復擦って以下の基準で評価した。
○:傷が見えない
△:細かい傷が見える
×:細かい傷が多数見える
【0076】
(画面の視認性の評価)
外光の映りこみ、映りこみの歪みを目視で判断した。
○:外光の映りこみが少なく、歪みがない
×:外光の映りこみに歪みが生じる
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
上記表1及び表2に示される結果より、以下のことが明らかである。
(イ)透明基材上に設けられるハードコート層の硬化時に、雰囲気ガスの酸素濃度を5%以下にすることで、塗布層の加熱の有無とは無関係にハードコート層の厚みが大きく鉛筆硬度3H以上のハードコートフイルムが得られる。
(ロ)酸素濃度10%以上でも塗布層を加熱することで3H以上のハードコートフイルムが得られるが、基材の歪みが生じており、このことは、耐熱性のない基材や厚みの薄い基材を使用すると、加熱により変形が起き面状が悪化することを意味する。
(ハ)ハードコートフイルムに反射防止膜を付与しても、反射率を低く維持しつつ、鉛筆硬度3H以上の高硬度が保持できることが可能である。
(ニ)本発明の反射防止膜付きハードコートフイルムを備えた画像表示装置は、外光の映りこみがなく視認性に優れ、耐擦傷性にも優れる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、硬化時の雰囲気ガスの酸素濃度を下げることで、基材の耐熱性が低くても、厚みの大きい硬化したハードコート層が基材上に形成されたハードコート処理物品が得られる。このハードコート処理物品の表面は高硬度であり、画像表示装置やプラスチックの保護、ガラスの飛散防止等に好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚膜ハードコート層を有する処理物品の製造方法とその方法によって得られたハードコート処理物品に関する。本発明の製造方法によって得られたハードコート処理物品は、画像表示装置やプラスチックの保護、ガラスの飛散防止等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的で硬化樹脂層からなるハードコート層を直接塗設したり、ハードコート層付きプラスチックフイルム(ハードコートフイルムと称する)を貼り合わして用いる場合が多い。また、従来のガラス製品についても、飛散防止、反射防止、導電性付与による防塵性や電磁波シールドのために、これらの機能を有するプラスチックフイルムを貼り合せる場合が増えており、表面の硬度を保つためにもハードコートを形成することは有用である。
【0003】
フイルムの表面硬度を強化するために多官能アクリレートモノマーを主成分としたハードコート層内に、アルミナ、シリカ、チタン等の微粒子無機充填剤を含有することが特公平02−60696号公報に開示されている。ハードコート層内に無機微粒子を添加することで硬度は向上しているが、要求されているハードコートの表面硬度に対して満足行くものではなかった。
さらに、表面硬度だけでなく、応力による基材の変形を抑えることも必要で、そのためにはハードコートの弾性率を大きくすることが必要であるが、要求される硬度を満足させるためには大量の金属微粒子の添加が必要となりヘイズや脆性が悪化する問題が生じてしまう。その他の手段としてハードコート層の厚みを上げることで要求される基材の変形を抑えることができるが、カールや脆性の悪化があり満足できるものはなかった。また、ハードコート層を電離放射線硬化型樹脂を硬化させて形成する場合、ハードコートの厚みが大きいと、電離放射線が層の下部に充分達せずに下部の硬化不足が生じたり、さらには空気中の酸素によりラジカル重合反応が阻害され表面硬度が不足したりする問題があり、特公平07−51641号公報では硬化時に塗布層を加熱することでその問題を解決することが開示されている。しかし基材の耐熱性により加熱温度が制限される問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材の耐熱性が低くても硬化不足を生じることなく、かつ厚みの大きな硬化したハードコート層を有するハードコート処理物品を製造する方法及びその製造方法で得られたハードコート処理物品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成のハードコート処理物品の製造方法及び該方法で製造されたハードコート処理物品によって達成される。
1.電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層を、酸素濃度が9体積%以下のガス雰囲気下で電離放射線を照射し該樹脂を硬化させて基材上に形成することを特徴とするハードコート処理物品の製造方法。
2.ハードコート層の樹脂硬化を、酸素濃度が5体積%以下のガス雰囲気下で行うことを特徴とする上記1記載のハードコート処理物品の製造方法
3.基材上に電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層が設けられており、該ハードコート層の厚みが20μm以上であり、かつ上記1または2に記載の方法で製造されたことを特徴とするハードコート処理物品。
4.ハードコート層が、基材上に直接ハードコート層が設けられているか、あるいは1層以上の下塗り層を介して設けられていることを特徴とする上記3に記載のハードコート処理物品。
5.電離放射線硬化型樹脂が、エチレン性不飽和基を含有する化合物及び開環重合性基を含有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴する上記3または4に記載のハードコート処理物品。
6.ハードコート層が、有機及び無機の架橋微粒子から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする上記3〜5のいずれかに記載のハードコート処理物品。
7.1層以上の反射防止層を有し、かつ波長450nm〜650nm領域の平均反射率が2%以下であることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載のハードコート処理物品。
8.上記3〜7のいずれかに記載のハードコート処理物品が画像表示部に形成されていることを特徴とする画像表示装置。
9.ガラス上に貼り付け、ガラス飛散防止フイルムとして使用されることを特徴とする上記3〜7のいずれかに記載のハードコート処理物品。
【0006】
【発明の実施形態】
以下、本発明のハードコート処理物品の製造方法について、さらに詳細に説明する。
本発明で得られるハードコート処理物品は、基材としてプラスチックのフイルム、シート、板等を用いたハードコート処理物品として提供され、陰極線管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル、自動車や建築物の窓ガラス等の飛散防止性、表面の硬さが高く傷が付き難いことが必要とされる物に利用されると好適である。
【0007】
本発明でハードコート層は、表面硬度を強化させるために厚みを20μm以上にすることが好ましく、30μm以上にすることがより好ましい。
また、本発明では、電離放射線照射の際のガス雰囲気を窒素置換等により酸素濃度を9体積%以下、好ましくは5体積%以下、より好ましくは1体積%以下とすることが特徴である。酸素濃度を抑えることにより、空気中の酸素により電離放射線硬化型樹脂の硬化が阻害される、具体的には、用いられるラジカル発生剤、カチオン又は酸発生剤等の反応が阻害されるのを防ぐことができ、鉛筆硬度で好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上の表面硬度を有するハードコート層を形成することができる。
さらに50℃以上に加熱して硬化させることが好ましいが、加熱する際には使用する基材の耐熱性を考慮して温度を調整することが好ましい。基材の耐熱性が十分であれば、一般的には、加熱温度は50℃乃至140℃が好ましく、50℃乃至100℃がより好ましい。加熱・硬化方法としては、塗布液を乾燥するための乾燥温度を保持させた状態で硬化させたり、熱ロールに巻き付けながら硬化させたり、電離放射線を照射するゾーンを仕切り蒸気、ヒーターで温めた空気を送り硬化させたり、電離放射線照射装置の熱によりゾーン内を温め、硬化させる方法などが挙げられる。
【0008】
本発明で用いられる電離放射線は、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることが好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることがより好ましい。
また、硬化した後、後加熱することによりさらに硬化を進行させることができる場合があり、好ましく用いることができる。
【0009】
本発明で用いられる電離放射線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和基、開環重合性基を含む化合物が特に好しく、これらの化合物は単独あるいは混合して用いることができる。
【0010】
ハードコート層の形成に用いるエチレン性不飽和基を含む化合物はラジカル重合反応で硬化し、開環重合基を含む化合物はカチオン重合反応で硬化する。エチレン性不飽和基を重合反応させるためには、電離放射線によりラジカルを発生するラジカル発生剤を用いることが好ましく、開環重合基を重合反応させるためには、カチオンまたは酸発生剤を発生するカチオン発生剤を用いること好ましい。
【0011】
本発明で用いられるエチレン性不飽和基としては主にアクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニル基が好ましく、メタクリロイル基、アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。
エチレン性不飽和基を分子内に2個以上有する化合物のなかでも、アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく、分子内に2ないし6個のアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーと称される化合物やウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと称される分子内に数個のアクリロイル基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0012】
分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。また、このような化合物は市販もされていて、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220,TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)などが、挙げられる
【0013】
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
ここで、アクリロイル当量は、分子量をアクリロイル基の個数で除した値、即ち、アクリロイル当量=M/N(M:分子量、N:アクリロイル基の個数)で算出される値である。
【0014】
ハードコート層の形成に用いられる開環重合性基を含む化合物は、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する化合物であり、なかでもカチオン開環重合性のヘテロ環状化合物が好ましい。
このような化合物としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。同一分子内に有する開環重合性基の数は特に制限はなく、1個以上有していればよいが、2個以上の開環重合性基を有する化合物がより好ましい。
同一分子内に2個以上の開環重合性基を有する化合物の具体例としては、例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合出来るモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0015】
ハードコート層内に架橋微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できたり、基材との密着性が向上したり、ハードコートフイルムのカールを低減させることができる。
上記架橋微粒子としては、金属(ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等)の酸化物微粒子等の無機微粒子;ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリテトラフルオロエチレン,ナイロン,ポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリ(メタ)アクリル酸エステル類およびアミド類,ポリ塩化ビニル,アセチルセルロース,ニトロセルロース,ポリジメチルシロキサン等の汎用樹脂を架橋させたもの、SBR,NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子が挙げられる。
これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであり、2nmないし1000nmであることがより好ましく、5nmないし500nmであることがさらに好ましく、10nmないし200nnであることが最も好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
【0016】
上記で記載した無機微粒子は、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属アルコキシド表面処理剤、あるいはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用い表面処理を行うことが好ましい。
【0017】
紫外線によりラジカルを発生させるラジカル発生剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することが好ましい。
【0018】
さらにラジカルの発生を高める目的で、重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブリルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。ただし増感剤は波長380nmに吸収を持つことが多く、使用量は限定される。
【0019】
紫外線によりカチオンを発生させるカチオン発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、“イメージング用有機材料”ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等に記載されている公知の光酸発生剤が使用できる。
この中でも特に好ましくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 −、SbF6 −、AsF6 −、B(C6F5)4 −、などが好ましい。
【0020】
本発明で用いる各種重合開始剤の添加量はエチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合成基含有化合物の各々の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。増感剤は、重合開始剤の総重量に対し、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0021】
ハードコート層が設けられる上記基材としては、例えば透明なフイルムやシート状、板状のプラスチックなどが挙げられる。
上記プラスチックとしては、具体的に、セルロースエステル系(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル系(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン系(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン系(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトンが含まれる。なかでも、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを使用することが特に好ましい。これらのプラスチックは、必要に応じて、延伸して用いることが好ましい。
【0022】
上記の「透明なフイルムやシート状、あるいは板状のプラスチック」の「透明」とは、波長370nm〜780nmの可視光領域の平均透過率で示して、その値が80%以上であることを指し、好ましく85%以上である。
【0023】
ハードコート層は、その塗布液にさらに着色剤(顔料、染料)、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤や改質用樹脂など、従来公知の添加剤を添加してもよい。
【0024】
ハードコート層の塗布液は、有機溶媒を媒体として用いて調製することが好ましい。有機溶媒の例にはアルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素類(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素類(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール類(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。これらの溶媒は2種以上併用して用いることが好ましく、3種以上併用して用いることがより好ましい。
【0025】
ハードコート層塗布液の塗布方式としては、カーテンコーティング法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、印刷コーティング法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、単層または重層スロットエクストルージョンコーター方、スライドコーター法等の公知の塗布方式が挙げられる。
【0026】
ハードコート層と基材との接着性(密着性)を向上させる目的で、所望により1層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては、基材、ハードコート層の素材種類により変わるが、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエステル等の共重合体またはこれらのラテックス、ポリエステル、ポリウレタン、およびゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることもできる。表面処理方法は他に酸化法や凹凸化法も用いることで密着性を向上させることができる。上記表面処理法としては公知の薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火焔処理、高周波処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、活性プラズマ処理、昆酸処理等が上げられ、それぞれの処理条件は基材の耐熱性、耐薬品性に応じて処理を行うことが好ましい。
【0027】
本発明のフイルムには、反射防止層を設けることもできる。
本発明では、視認性をさらに向上させる上で、ハードコート層上に1層以上の反射防止層を設けることが好ましく、波長450〜650nmでの平均反射率が好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下とすることが望ましい。反射防止層の構成としては、単層、多層等各種知られているが、多層のものとしては高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した構造のものが一般的である。
【0028】
構成の例としては、透明基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層の順から構成されたものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明基材或いはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性などから、ハードコート層を有する基材上に、高屈折率層/中屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい構成である。
【0029】
基材面に(中屈折層を設ける場合もある)高屈折率層、空気に向かって低屈折率層を順に積層し、高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚光の波長に対しある値に設定することにより光学干渉層を作り、反射防止積層体としたものが反射防止層としては特に好ましく、屈折率と膜厚は分光反射率の測定より計算して算出し得る。屈折率の高低はそこに含まれる金属或いは化合物によってほぼ決まり、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。
【0030】
透明基材上に多層の反射防止層を逐次積層して反射防止層を作製するには、反射防止層のうち少なくとも1層を、高屈折率層としてはチタン、ジルコニウム等の金属アルコキシド及びその加水分解物から選ばれる化合物、活性エネルギー線反応性化合物及び有機溶媒を含有する組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して形成された高屈折率層と、この上に(中屈折層を設ける場合もある)、低屈折物質及び有機溶媒を含有する低屈折率層組成物を塗布し低屈折率塗膜とした後に、活性エネルギーを付与して低屈折率層を形成し反射防止層を形成する。
【0031】
本発明における好ましい高屈折率層は、透明基材上の多層ある反射防止層のうち少なくとも1層を、活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシド及びその加水分解物から選ばれる少なくとも一つ、活性エネルギー線反応性の金属アルコキシド化合物、又、好ましくは活性エネルギー線反応性化合物を含有しており、高屈折率組成物を該透明基体上に塗設後、塗膜に活性エネルギー線を照射して任意の屈折率の高屈折率層を形成するものである。
【0032】
高屈折率層に使用される金属アルコキシド及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも一つの化合物、及び後述する一般式(II)の活性エネルギー線反応性金属アルコキシド化合物の何れの金属は同様なものであり、金属としてはAl、Si、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Y、Ga、Ge、Zr、In、Sn、Sb、Sr、La、Ta、Tl、W、Ce及びNdを挙げることが出来る。活性エネルギー線反応性金属アルコキシド化合物の何れの金属化合物は、特に紫外線照射により、これらを含有する層の屈折率を変化させるのに役立つ。好ましい金属としては、Al、Si、Ti、V、Zn、Y、Zr、In、Sn、Sr、Ta、Tl、W及びCeであり、特に屈折率を変化させ易い好ましい金属としてはTi、Zr、Tl、In(In−Sn錯体として)、Sr(Sr−TiO2 錯体として)である。Tiの場合、光に反応することは知られているが、Ti化合物を含む層の屈折率を光により変化させることについては知られていない。
【0033】
活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシドとしては、炭素原子数1〜10のものがよいが、好ましくは炭素原子数1〜4である。又金属アルコキシドの加水分解物はアルコキシド基が加水分解を受けて−金属原子−酸素原子−金属原子−のように反応し、架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
【0034】
活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシドの例として;Alのアルコキシドとしては、Al(O−CH3)3、Al(OC2H5)3、Al(O−i−C3H7)3、Al(O−n−C4H9)3;Siの例としては、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(O−i−C3H7)4、Si(O−t−C4H9)4;Tiの例としては、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−n−C3H7)4の2〜10量体、Ti(O−i−C3H7)4の2〜10量体、Ti(O−n−C4H9)4の2〜10量体、Vの例としては、VO(OC2H5)3;Znの例としては、Zn(OC2H5)2;Yの例としてはY(OC4H9)3;Zrの例としては、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(O−n−C3H7)4、Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−i−C4H9)4、Zr(O−n−C4H9)4の2〜10量体;Inの例としては、In(O−n−C4H9)3;Snの例としては、Sn(O−n−C4H9)4、Taの例としてはTa(OCH3)5、Ta(O−n−C3H7)5、Ta(O−i−C3H7)5、Ta(O−n−C4H9)5;Wの例としては、W(OC2H5)6;Ceの例としては、Ce(OC3H7)3等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でも、Ti(O−n−C3H7)4、Ti(O−i−C3H7)4、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−n−C3H7)4 の2〜10量体、Ti(O−n−C4H9)4の2〜10量体;Zr(O−i−C3H7)4、Zr(O−n−C4H9)4;Si(OC2H5)4、Si(O−i−C3H7)4が特に好ましい。
【0035】
上記金属アルコキシドを加水分解(部分又は完全加水分解)させて使用してもよく、酸性触媒又は塩基性触媒の存在下に例えば上記の金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解することによって得られる。この酸性触媒としては、例えば硝酸、塩酸等の鉱酸やシュウ酸、酢酸等の有機酸がよく、又塩基性触媒としては、例えばアンモニア等が挙げられる。
【0036】
上記金属アルコキシド化合物を含む層は、金属アルコキシド自身が自己縮合して架橋し網状結合するものである。その反応を促進するために触媒や硬化剤を使用することが出来、それらには金属キレート化合物、有機カルボン酸塩等の有機金属化合物や、アミノ基を有する有機ケイ素化合物、光酸発生剤等がある。これらの触媒又は硬化剤の中で特に好ましいのは、アルミキレート化合物と光による酸発生剤(光酸発生剤)であり、アルミキレート化合物の例としてはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等であり、他の光酸発生剤の例としてはベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートやその他のホスホニウム塩やトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートの塩等を挙げることが出来る。
【0037】
使用する活性エネルギー線反応性基を有しない金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む塗布組成物には、塗布液の保存安定化のためにβ−ジケトンと反応させてキレート化合物を添加することにより安定な塗布組成物とすることが出来る。
【0038】
高屈折率層に好ましく使用される活性エネルギー線反応性化合物は、重合可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基等の重合性基を二つ以上有するもので、活性エネルギー線照射により架橋構造又は網目構造を形成するものが好ましい。これらの活性基のうちアクリロイル基、メタクリロイル基又はエポキシ基が重合速度、反応性の点から好ましく、例えば、特開昭59−151110号、特開昭59−151112号の各公報などに記載されている。また、これら化合物は、多官能モノマー又はオリゴマーがより好ましい。
【0039】
活性エネルギー線反応性エポキシ樹脂も好ましく用いられる。活性エネルギー線反応性エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ化合物(多価フェノールのポリグリシジルエーテル)が好ましい。活性エネルギー線反応性化合物エポキシ樹脂は、エポキシ基を分子内に2つ以上有するもの以外に、モノエポキサイドも所望の性能に応じて配合して使用することが出来る。活性エネルギー線反応性化合物エポキシ樹脂はラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造又は網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性エネルギー線反応性樹脂である。
【0040】
特開昭50−151996号、特開昭50−158680号の各公報等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、特開昭52−30899号、特開昭59−55420号、特開昭55−125105号の各公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、特開昭56−149402号、特開昭57−192429号の各公報等に記載のオキソスルホニウム塩、特公昭49−17040号公報等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4139655号等に記載のチオピリリウム塩等が好ましい。又、アルミニウム錯体や光分解性ケイ素化合物系重合開始剤等を挙げることが出来る。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントンなどの光増感剤を併用することが出来る。
【0041】
活性エネルギー線反応性の金属アルコキシドの具体的例として、ビニルトリメトキシチタン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)チタン、ジビニロキジメトキシチタン、グリシジルオキシエチルトリエトキシチタン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロピルチタン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルチタン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルチタン、アクリロイルオキシジメトキシエチルチタン、ビニルトリメトキシジルコン、ジビニロキジメトキシジルコン、アクリロイルオキシエチルトリエトキシジルコン、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルジルコン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルジルコン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルジルコン、アクリロイルオキシジメトキシエチルジルコン、ビニルジメトキシタリウム、ビニルジ(β−メトキシ−エトキシ)タリウム、ジビニロキシメトキシタリウム、アクリロイルオキシエチルジエトキシタリウム、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルジ−n−プロピルタリウム、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルジ−n−プロピルタリウム、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)−n−プロピルタリウム、アクリロイルオキシメトキシエチルタリウム、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、ジビニロキジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルシラン、γ−メタクリロイルオキシ−n−プロピルトリ−n−プロピルシラン、ジ(γ−アクリロイルオキシ−n−プロピル)ジ−n−プロピルシラン、アクリロイルオキシジメトキシエチルシラン等を挙げることが出来る。
【0042】
高屈折率層に使用する活性エネルギー線反応性基と、好ましく使用される活性エネルギー線反応性化合物の反応基に対する活性エネルギー線による光重合の挙動はほとんど変わりなく、前述の活性エネルギー線化合物の光増感剤や光開始剤などは同様なものが用いられる。
【0043】
活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は50mJ/m2以上、好ましくは100mJ/cm2以上、更に400mJ/cm2以上が好ましい。紫外線は多層の反射防止層を1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。又この際には酸素濃度が0.5%以下の条件で行うのが効率的であり、硬化速度の点で好ましい。
【0044】
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
【0045】
最表層としての低屈折率層には該層の屈折率を低下させる為に下記のフッ素原子或いはケイ素原子を含有する低屈折率物質が含有されている。低屈折率物質としては、フッ素含有樹脂、シリケートオリゴマーから形成される化合物、及びSiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられ、特に特開平7−126552号、特開平7−188582号、特開平8−48935号、特開平8−100136号、特開平9−220791号、特開平9−272169号の各公報等に記載されている化合物が好ましく用いられる。
【0046】
本発明に好ましく使用し得るフッ素含有樹脂としては、フッ素含有不飽和エチレン性単量体成分を主として含有する重合物及びフッ素含有エポキシ化合物を挙げることが出来る。フッ素含有不飽和エチレン性単量体としては、含フッ素アルケン、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、含フッ素ビニルエステル、含フッ素ビニルエーテル等を挙げることが出来る。例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、ヘプタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクテン、4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、テトラフルオロ−3−(ペンタフルオロエトキシ)プロピルアクリレート、テトラフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロピルアクリレート、ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、ノナフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ペンタフルオロピロピルアクリレート、2−ヘプタフルオロブトキシエチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブトキシアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エチルアクリレート、トリフルオロイソプロピルメタクリレート、(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル)エチルメタクリレート、3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチルアクリレート、1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタウルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、ノナフルオロペンチルアクリレート、ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、トリデカフルオロヘプチルアクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、トリデカフルオロオクチルアクリレート、ノナデカフルオロデシルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート(以上のアクリレートはメタクリレート或いはα−フルオロアクリレートであってもよい)、ビニルトリフルオロアセテート、ビニル−2,2,2−トリフルオロプロピオネート、ビニル−3,3,3,2,2−ヘプタブチレート、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル、1−(トリフルオロメチル)エテニルアセテート、アリルトリフルオロアセテート、アリル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、アリル−1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエーテル、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、イソプロピル−2,2,2−トリフルオロエチルフマレート、イソプロピル−ペンタフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナプロピルペンチルフマレート、イソプロピル−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルフマレート、イソプロピル−トリデカフルオロヘプチルフマレート、イソプロピル−ペンタデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル−トリデカフルオロオクチルフマレート、イソプロピル−ノナデカフルオロデシルフマレート、イソプロピル−ヘプタデカフルオロデシルフマレート、イソプロピル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチルフマレート、イソプロピル−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルフマレート、イソプロピル−1−メチル−ヘプタフルオロオクチルフマレート、tert−ブチル−ペンチルフルオロプロピルフマレート、tert−ブチル−ヘプタフルオロブチルフマレートなどの含フッ素不飽和エチレン性単量体を挙げることが出来るが、これらに限定されない。又、共重合相手の単量体はフッ素を含有しても、含有していなくとも何れでもよい。
【0047】
上記フッ素含有単量体と共重合し得る単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、酢酸ビニル、ビニルエチルエーテル、ビニルエチルケトン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、エチル−α−フルオロアクリレート、プロピル−α−フルオロアクリレート、ブチル−α−フルオロアクリレート、シクロヘキシル−α−フルオロアクリレート、ヘキシル−α−フルオロアクリレート、ベンジル−α−フルオロアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、α−フルオロアクリル酸、スチレン、スチレンスルホン酸等を共重合させてもよいが、これらに限定されない。
【0048】
上記フッ素含有エチレン性不飽和単量体の単独の樹脂の屈折率は、ほぼ1.33〜1.42の範囲にあり、又共重合し得るフッ素を含有しない単量体の単独樹脂リマーの屈折率は、1.44以上で、これらを任意の割合で共重合して目的の屈折率のフッ素含有樹脂として用いることが出来、又、本発明のフッ素含有樹脂とフッ素を含まない樹脂とを任意の割合で混合して目的の屈折率のものとして使用してもよいが、本発明の低屈折率物質のフッ素含有量は、50質量%以上であることが好ましく、ものによって異なるが、特に好ましくは60〜90質量%である。フッ素含有重合体の場合は、フッ素含有率がこのような範囲にあると有機溶媒に対して良好な溶解性を有することで加工し易いばかりでなく、下の基体や層に対する接着性が優れ、高い透明性と低い屈折率の層を得ることが出来る。
【0049】
使用する含フッ素のアルケン、アクリレート、ビニルエステル或いはビニルエーテル等を重合させる重合開始剤は、通常のラジカル重合開始剤を用いることが出来る。重合開始剤の具体的な例として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系ラジカル重合開始剤、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド等の有機過酸化物系ラジカル重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機系ラジカル重合開始剤、過酸化水素−硫酸第1鉄アンモニウム、過硫酸アンモニウム−メタ亜硫酸ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等の各種ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。
【0050】
これらを用いて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合又は放射線重合等の公知のラジカル重合をすることが出来る。この際、反応温度は10〜100℃、反応時間は1〜100時間であることが好ましい。このようにして得られるフッ素含有樹脂の数平均分子量は1000〜300000であることが望ましい。フッ素含有樹脂としてのフッ素含有エポキシ樹脂は、例えば下記のようなエポキシ化合物を常法で反応させることによって得ることが出来る。
【0051】
フッ素含有エポキシ化合物としては、フッ素系アルコールのモノ,ジ、トリ更にはオリゴグリシジルエーテルが好ましい。中でも含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては例えば、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。これらの他にフッ素を含有しないエポキシ化合物を屈折率があまり上がらない程度に少量使用してもよい。ここで使用するフッ素含有エポキシ化合物の構造には制限ないが、屈折率を高めるようなベンゼン核を有するエポキシ化合物や脂環式のエポキシ化合物の使用は少ない方がよい。
【0052】
別の好ましい低屈折率物質は、シリケートオリゴマーから形成される化合物である。シリケートオリゴマーから形成される化合物に使用するシリケートオリゴマーとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラ−2,2,2−トリフルオロエトキシシラン、テトラ−2−フルオロエトキシシラン、テトラ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロピオキシシラン、テトラ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピオキシシラン、テトラ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロピオキシシラン、テトラ−1,3−ジフルオロ−2−プロピオキシシラン、テトラ−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブトキシシラン、テトラ−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブトキシシラン、テトラシクロヘキシルオキシシラン又はテトラフェノキシシラン等を挙げることが出来、これらを加水分解することによりシリケートオリゴマーが得られる。
【0053】
上記の如くテトラアルコキシシランに触媒、水を添加して得られる加水分解物に溶媒を配合し、次いで硬化触媒と水を添加する等の方法により硬化した加水分解物が得られる。かかる溶媒としては、メタノール、エタノールを1種又は2種使用するのが安価であること、及び得られる皮膜の特性が優れ硬度が良好であることから好ましい。イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール等も用いることが出来るが、得られた皮膜の硬度が低くなる傾向にある。溶媒量は部分加水分解物100質量部に対して50〜400質量部、好ましくは100〜250質量部である。硬化触媒としては、酸、アルカリ、有機金属、金属アルコキシド等を挙げることが出来るが、酸、特に酢酸、マレイン酸、シュウ酸、フマル酸等が好ましく用いられる。シリケートオリゴマー中のSiO2 含有量は1〜100%、好ましくは10〜99%であることが望まれる。このようなSiO2含有量が1%未満では耐久性の向上が見られなくなり、本発明の効果を発揮しない。
【0054】
これらのシリケートオリゴマーからケイ素層を形成させる方法については特に制限されないが、例えばシリケートオリゴマーを光学フイルムの光学性能を阻害しない溶媒、例えばアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、メチルグリコールアセテート、メトキシブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチレンクロライド、トルエン、キシレン、ミネラムスピリット、クレゾール、キシレノール、フフラール等であり、これらでシリケートオリゴマーを希釈し、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、リップコーター等、公知の装置により基材に塗設、加熱処理すればよい。
【0055】
更に別の好ましい低屈折率物質は、SiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物であって、SiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物とを含むゾル液を用い、SiO2ゲル膜として低屈折率層が形成されるものである。SiO2ゾルは、ケイ素アルコキシドを塗布に適した有機溶媒に溶解し、一定量の水を添加して加水分解を行って調製される。SiO2ゾルの形成に使用するケイ素アルコキシドの好ましく、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロピオキシシラン、テトラ−n−プロピオキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタイソプロピオキシシラン、テトラペンタ−n−プロピオキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメキメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルプロピオキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0056】
上記アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドを適当な溶媒中に溶解することによりSiO2ゾルとすることが出来る。使用する溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのアルコール、ケトン、エステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、或いはこれらの混合物が挙げられる。アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドを、それらが100%加水分解及び縮合したとして生じるSiO2換算で、濃度を0.1質量%以上、好ましくは0.1〜10質量%になるように上記溶媒中に溶解する。SiO2ゾルの濃度が0.1質量%未満であると形成されるゾル膜が所望の特性が充分に発揮出来ず、一方、10質量%を超えると透明均質膜の形成が困難となる。又、本発明においては、以上の固形分以内であるならば、有機物や無機物バインダーを併用することも可能である。
【0057】
この溶液に加水分解に必要な量以上の水を加え、15〜35℃、好ましくは22〜28℃の温度で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間攪拌を行う。上記加水分解においては、触媒を用いることが好ましく、これらの触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸又は酢酸等の酸が好ましい。これらの酸を約0.001〜40.0mol/l、好ましくは0.005〜10.0mol/l程度の水溶液として加え、該水溶液中の水分を加水分解用の水分とすることが出来る。
【0058】
最終的に得られるゲル膜は、反射防止フイルムの低屈折率層として使用するが、その屈折率の調整する必要がある場合もある。例えば、屈折率を下げるためにフッ素系有機ケイ素化合物、屈折率を高めるために有機ケイ素化合物、屈折率を更に高めるために硼素系有機化合物を添加することが出来る。具体的には、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、コルコート40(コルコート社製)、MS51(三菱化学社製)、スノーテックス(日産化学社製)などの有機ケイ素化合物、ザフロンFC−110、220、250(東亜合成化学社製)、セクラルコートA−402B(セントラル硝子社製)、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素系化合物、硼酸トリエチル、硼酸トリメチル、硼酸トリプロピル、硼酸トリブチル等の硼酸系化合物が挙げられる。
【0059】
これらの添加剤は、ゾルの調製時に加えてもよいし、ゾルの形成後に加えてもよい。これらの添加剤を用いることによって、アルキルケイ素アルコキシド又はケイ素アルコキシドの加水分解時、或いはその後にシラノール基と反応して、更に均一に反応して更に均一で透明なゾル溶液が得られ、且つ形成されるゲル膜の屈折率をある程度の範囲で変化させることが出来る。
【0060】
次に、上記フッ素含有樹脂、シリケートオリゴマーから形成される化合物、及びSiO2ゾルと反応性有機ケイ素化合物から形成される化合物から選ばれる少なくとも一つの低屈折率物質を含有する低屈折率層(前記高屈折率層の上に設けられている)には前記高屈折率層のところで挙げられた活性エネルギー線反応性化合物が添加されていてもよい。そのうち好ましく用いられるのはエポキシ系活性エネルギー線反応性化合物である。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、前記と同様の活性エネルギー線照射によりカチオン重合を開始物質として放出することが可能な化合物である。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物としては、(イ)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により得られ、重合度の異なる混合物として得られる);(ロ)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物等を挙げることが出来る。エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤又は光増感剤は、活性エネルギー線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。これらについては、前記一般式(I)と同様であるので、ここでは省略する。これらの活性エネルギー線反応性化合物は前記高屈折率層のところで述べられたようなものと同様の紫外線や、電子線等の活性エネルギー線、又はプラズマ処理、或いは熱エネルギーの付与により硬化されることも同様である。
【0061】
本発明のハードコート処理物品には、上記の反射防止層の他にも、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層、防汚層等の各種機能を有する機能性層をハードコート層上及び/又は基材のハードコート層の反対面側に、さらには基材とハードコート層間に設けることができる。さらにハードコート処理物品の表面に、上記のいわゆる光に対する反射防止層以外にも、熱線反射防止層を設けることができ、これらの機能性層は、従来公知の技術で作製することができる。
また、これらの機能性層とハードコート層の密着性を向上させる目的で表面処理を施したり、下塗り層を設けたりすることができる。表面処理法としては、前記で記載した基材上に施す下塗り層や表面処理で挙げた処理が好ましく用いられる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するがこれらに限定されるものではない。
【0063】
<ハードコート層形成用硬化性組成物の調製>
メチルエチルケトン(MEK)275mlを窒素気流下、60℃で1時間攪拌後、V−65(重合開始剤;和光純薬工業(株)製)0.5gをMEK8.3mlに溶解したものを全量添加した。その後、グリシジルメタクリレート(50g)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、V−65(0.5g)のMEK(8.3ml)溶液を添加し、2時間反応させた。その後、反応温度を80℃として2時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却した。得られた反応溶液をヘキサン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時間減圧乾燥し、得られた開環重合性基含有化合物 25質量%と、エチレン性不飽和基含有化合物としてのTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセル化学工業(株)製)) 75質量%とをメチルエチルケトンに溶解し、その後にラジカル重合開始剤(イルガキュア184(チバガイギー社製)とカチオン重合開始剤ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩〔対イオンとしてPF6 −を用いた(山本化成製)〕をエチレン性不飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物のそれぞれの質量に対し、それぞれ3質量%ずつ添加し電離放射線硬化性組成物を得た。
【0064】
<ハードコート処理物品(ハードコートフイルム)の作製>
基材としての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの両面をコロナ処理し、ハードコート層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を重量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層を兼ねた下塗り層を形成した175μm厚の基材を調製した。下塗り層上に、上記で調製した電離放射線硬化性樹脂組成物をエクストルージョン方式またはマイクログラビアコーターを使用し乾燥硬化後の膜厚が表1記載の厚みになるように塗布を行い、表1に記載の条件下で、照射量750mJ/cm2で紫外線を照射しハードコートフイルムを得た。
【0065】
<反射防止膜付きハードコートフイルムの作製方法>
上記で作製したハードコートフイルムのいくつかには、さらにその上に反射防止膜を形成した。以下その形成方法につき説明する。
【0066】
(1)高屈折率層塗布液の調製
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径25nmの二酸化チタン分散物を調製した。上記二酸化チタン分散物に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)と、光ラジカル重合開始剤〔イルガキュア184、チバガイギー社製;但し、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと上記カルボン酸基含有モノマーとの合計量)に対し5質量%〕とを混合し、高屈折率層の屈折率が1.85になるように調整した。
【0067】
(2)低屈折率層塗布液の調製
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、日本化薬(株)製)60質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)2質量部、メガファック531A(C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、大日本インキ化学工業(株)製)9質量部、およびメチルエチルケトンを混合、攪拌して、低屈折率層の屈折率が1.53になるように塗布液を調製した。
【0068】
(3)反射防止膜付きハードコートフイルムの形成
ハードコート処理物品のハードコート層上に上記(1)で得られた高屈折率層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が75nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し、さらに、高屈折率層の上に上記(2)で得られた低屈折率層塗布液を乾燥膜厚が90nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し反射防止層を形成し反射防止膜付きハードコートフイルムを得た。
【0069】
上記のように得られたハードコートフイルム、反射防止膜付きハードコートフイルムを下記の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0070】
<鉛筆硬度の評価方法>
作製した試料を25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、1kg荷重で各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、3回以上傷が付かない鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。鉛筆硬度は3H以上が好ましく、4H以上がより好ましく、5H以上が最も好ましい。
【0071】
<引っ掻き具合の評価>
H以下の硬度評価は引っ掻き具合と称し、硬化膜表面を爪で軽く引っ掻き、下記の基準で評価を行った。
○:硬化しており傷が付かない
△:硬化はしているが爪で軽く引っ掻くと傷が付く
×:硬化が弱く簡単に傷が入り、さらに試料を重ね合わせるとくっついてしまう。
【0072】
<基材の歪み>
熱による基材の変形凹凸を目視で観察し下記の基準で判定した。
○:熱による変形がない
△:熱による変形が多少見られる
×:熱により変形がみられる
【0073】
(平均反射率の測定方法)−反射防止膜付きハードコートフイルム−
裏面をサンドペーパーで擦り、黒マジックを塗り裏面の反射が起こらないようにし、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、450〜650nmの波長領域における入射光5゜における正反射の表面反射率を測定し、平均を計算した。平均反射率が2%以下であると反射防止膜の性能はよく、1%以下であるとより好ましい。
【0074】
<反射防止膜付きハードコートフイルムを設けた画像表示装置>
上記で作製した反射防止膜付ハードコートフイルムのハードコート層を設けていない面にアクリル系粘着剤をつけ、PDP:日立製42型プラズマディスプレイ(CMP4121HDJ)、CRT:松下(株)製28型フラットテレビ(TH−28FP20)、LCD:三菱(株)製15型TFT液晶モニター(RDT151A)、タッチパネル:シャープ(株)製Zaurus(MI−L1)にそれぞれ貼られていた保護フイルムを剥がし、そこへ反射防止膜付きハードコートフイルムを張り合わせ、反射防止膜付きハードコートフイルムを設けた画像表示装置を作製した。
上記のように得られた反射防止膜付きハードコートフイルムをもう設けた画像表示装置について、耐擦傷性と視認性の評価を下記の方法で行った。結果を表2に示す。
【0075】
(耐擦傷性の評価)
#0000のスチールウールを使用して、画像表示装置の表面を手で10往復擦って以下の基準で評価した。
○:傷が見えない
△:細かい傷が見える
×:細かい傷が多数見える
【0076】
(画面の視認性の評価)
外光の映りこみ、映りこみの歪みを目視で判断した。
○:外光の映りこみが少なく、歪みがない
×:外光の映りこみに歪みが生じる
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
上記表1及び表2に示される結果より、以下のことが明らかである。
(イ)透明基材上に設けられるハードコート層の硬化時に、雰囲気ガスの酸素濃度を5%以下にすることで、塗布層の加熱の有無とは無関係にハードコート層の厚みが大きく鉛筆硬度3H以上のハードコートフイルムが得られる。
(ロ)酸素濃度10%以上でも塗布層を加熱することで3H以上のハードコートフイルムが得られるが、基材の歪みが生じており、このことは、耐熱性のない基材や厚みの薄い基材を使用すると、加熱により変形が起き面状が悪化することを意味する。
(ハ)ハードコートフイルムに反射防止膜を付与しても、反射率を低く維持しつつ、鉛筆硬度3H以上の高硬度が保持できることが可能である。
(ニ)本発明の反射防止膜付きハードコートフイルムを備えた画像表示装置は、外光の映りこみがなく視認性に優れ、耐擦傷性にも優れる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、硬化時の雰囲気ガスの酸素濃度を下げることで、基材の耐熱性が低くても、厚みの大きい硬化したハードコート層が基材上に形成されたハードコート処理物品が得られる。このハードコート処理物品の表面は高硬度であり、画像表示装置やプラスチックの保護、ガラスの飛散防止等に好適に用いられる。
Claims (2)
- 電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層を、酸素濃度が9体積%以下のガス雰囲気下で電離放射線を照射し該樹脂を硬化させて基材上に形成することを特徴とするハードコート処理物品の製造方法。
- 基材上に電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含有するハードコート層が設けられており、該ハードコート層の厚みが20μm以上であり、かつ請求項1に記載の方法で製造されたことを特徴とするハードコート処理物品。
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