JP2004043669A - 粉体塗料の調色方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】調色用樹脂粉体を多量に用意しておく必要がなく、樹脂の劣化を招く再ペレット化及び再溶融練合が必要なく、簡単な操作によって、粉体塗料の色を微調整する調色方法を提供する。
【解決手段】粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合して調色することを特徴とする粉体塗料の調色方法、及び、平均粒子径5〜50μmの粉体塗料の樹脂粒子に対して、平均粒子径0.01〜1.0μmの着色顔料を混合して調色することを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料の調色方法、及び、粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部混合して調色することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体塗料の調色方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合して調色することを特徴とする粉体塗料の調色方法、及び、平均粒子径5〜50μmの粉体塗料の樹脂粒子に対して、平均粒子径0.01〜1.0μmの着色顔料を混合して調色することを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料の調色方法、及び、粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部混合して調色することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体塗料の調色方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体塗料の調色方法に関し、より詳しくは、粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合することによる粉体塗料の調色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年環境問題等で有機溶剤の大気中への拡散を防止すべく、有機溶剤を使用しない塗装システムとして粉体塗料が広く使用されるようになってきた。
【0003】
この用途が、従来のパイプ塗装、構造物塗装などの厚く塗装する防食塗装の分野から、自動車、自動車部品、オートバイ、二輪車、弱電製品、装飾品などと幅広い色彩・意匠の分野に薄膜美装用粉体塗料として使用されるようになり、更には焼付条件も低温で短時間というように従来の溶剤型塗料と同程度以上の特性を要求されるようになってきた。
【0004】
特に、従来の溶剤型塗料で塗装している分野、例えば自動車の外板や外装建材、電気機器の美装塗膜のように、粉体塗料の塗膜の意匠を一定の意匠に正確に調色する必要が生じてきた。
【0005】
従来から、粉体塗料は、その構成樹脂粒子の内部に加える顔料の種類と添加量によって色彩・意匠を決定している。このため、溶剤型塗料の調色のように、各原色塗料や色だねを予め作成しておいて、後で、これらの原色塗料や色だねを添加混合して調色して目的の色彩・意匠等に調整することが困難であり、原料成分の配合時点において、試行錯誤の繰り返しで、顔料の組合せと、その添加量を決定した後、樹脂ペレットを作成し、粉砕・分級して粉体塗料を作成する必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、初めて遭遇した色彩・意匠については、顔料の選定・組合せ、添加量の決定等に多大の時間と労力が必要であった。
【0007】
また、一度粉体塗料として微粉にした樹脂粒子では、目的の意匠と多少異なった意匠であっても、もはや手直しをすることは容易ではない。
【0008】
この手直しとしては、粉体塗料の樹脂粒子を予め、色合いの異なるものを数種類作成しておいて、混合する調色方法や、樹脂粒子を熱によって融着させ、樹脂ペレット化して、溶融練合機で処理し易くしておいて、この樹脂ペレットに後補正の顔料を加えて、再度溶融練合し、樹脂ペレット化、粉砕・分級によって粉体塗料とする方法がある。
【0009】
しかし、前者の方法では、色の近い、色相の少し異なる多量の粉体塗料を準備しておく必要がある。また、色相が極めて近い粉体塗料でなく、色相の異なる粉体塗料の樹脂粒子を混合して塗装、成膜させると、塗膜に微細な斑点が目視で認められ、実用上、大きな問題となる。
【0010】
また、粉体塗料の樹脂粒子が微細なため、溶融再練合によって、この樹脂粒子を樹脂原料と同じように、新しく顔料を加えて調整する方法も、樹脂粒子の流動性が低いため、そのままでは、溶融練合機に原料として投入することができない。このため、後者の方法のように、樹脂ペレットまで加工する必要があり、このための加熱と、再度溶融練合による加熱で、樹脂粒子内部の主剤と硬化剤の反応が進行し、樹脂の分子量が大きくなり、溶融時の樹脂の流展性が悪くなる。この結果、塗膜の平滑性が低下したり、塗膜の光沢値が低下して、塗膜外観が悪くなるなどの問題点があった。
【0011】
粉体塗料でもメタリック粉体塗料の場合には、粉体塗料の樹脂粒子とは別に粉体塗料用光輝顔料を配合して1つの粉体塗料を形成させる。
【0012】
このメタリック粉体塗料は、光輝顔料と樹脂粒子の帯電特性が異なるため、塗装機で塗装するとき、メタリック粉体塗料の組成と被塗装物に塗着した光輝顔料と樹脂粒子の組成が異なる場合が多い。
【0013】
光輝顔料の粒子径は数十μmと粉体塗料の樹脂粒子の粒子径と近いが、光輝顔料がアルミニウム金属や、雲母のように樹脂粒子と帯電特性が異なるため、被塗装物に塗着する比率に差が発生する。この結果、粉体塗料を塗装しオーバースプレーした樹脂粒子を回収、再使用していると、樹脂粒子と光輝顔料の配合比率が変化し形成する塗膜の色彩、特にメタリック感が変化する。
【0014】
この改良方法として、光輝顔料の表面に樹脂層を厚く形成し、帯電性を樹脂粒子の帯電性と近似させる方法や、光輝顔料と樹脂粒子を接着してしまうボンディング法などがある。
【0015】
メタリック粉体塗料の場合には、樹脂粒子によって形成される塗膜の中に、大きい光輝顔料が含まれ、この光輝顔料の粒子が粒子として認識されることによってメタリック感を発揮している。
【0016】
したがって、塗膜の中に斑点状に光輝顔料が存在しても、何ら違和感がなく、むしろ大きい光輝顔料による、輝くメタリック感を要求する傾向が強い。
【0017】
しかしながら、プライマー粉体塗料や中塗粉体塗料、着色粉体塗料、カラークリヤー粉体塗料、メタリック粉体塗料など、予め樹脂粒子に調色調整した粉体塗料では、この粉体塗料の色相を変えることは、極めて困難であった。
【0018】
本発明は、このような労力や弊害を最小限に抑制し、簡単な操作によって、粉体塗料の色を微調整する調色方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、粉体塗料としての樹脂粒子を形成した後、補正用の顔料を、樹脂粒子の外部に、樹脂粒子を覆うように加え、塗装後、塗膜を加熱成膜させる時、溶融した樹脂でこの顔料を塗膜中に取り込み、固定することによって、粉体塗料の樹脂粒子中の顔料と、後添加した顔料の併用で均一に発色させることで上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
即ち、本発明の粉体塗料の調色方法は、粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合して調色することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の粉体塗料の調色方法は、上記調色方法において、平均粒子径5〜50μmの粉体塗料の樹脂粒子に対して、平均粒子径0.01〜1.0μmの着色顔料を混合して調色することを特徴とする。粉体塗料は、通常、樹脂粒子を帯電させて被塗装物に塗着させる。この際、樹脂粒子は気流で搬送するが、5μmより小さい樹脂粒子は、被塗装物への静電引力よりも気流の搬送力が大きく働くため被塗装物に塗着し難い。また、塗着しても体積当たりの表面積が多く、電荷の蓄積は早く多くなり、樹脂粒子の荷電の静電反発力が薄い膜厚から始まる。
このため、細かい樹脂粒子は薄膜塗装には適しているが、実用上は5μm以上が塗装作業性、膜厚形成等で好ましい。また、平均粒子径50μmを超えると、上記と逆に樹脂粒子の加重に対して帯電量が少なく、厚膜塗装には適するが、薄膜で平滑な塗膜を形成する目的には適さない。
【0022】
また、本発明の粉体塗料の調色方法は、上記調色方法において、粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部混合して調色することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この粉体塗料の調色方法について述べる。
【0024】
本発明で用いられる樹脂粒子に使用する樹脂としては、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、ABS樹脂、ノボラック樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等が使用でき、少なくとも1種以上、必要によっては、任意の配合比率に組み合わせ使用することができる。
【0025】
更に必要なら、通常の塗料に使用する架橋剤としては、多塩基酸、酸無水物、アミノ化合物、グリシジル基含有化合物、アミノブラスト樹脂、ジシアンジアミド、ブロックイソシアネート樹脂、酸ヒドラジド等が使用できる。
【0026】
樹脂粒子の樹脂原料としての、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂などの主なものは次のようである。
【0027】
アクリル樹脂を構成するアクリル系モノマーとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、アリルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、トリメチロールプロパンアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル酸及びアクリル酸エステルモノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ソーダ等のメタクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマーを挙げることができる。
【0028】
更に該アクリル系モノマーに加えて、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のビニルモノマーを共重合成分として用いることができる。また、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を共重合成分として用いることができる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとして、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を共重合成分として用いることができる。
【0029】
樹脂化の重合方法は、通常の溶液重合法により高分子量の樹脂を合成した後、薄膜加熱減圧法等によって溶媒を除去回収し固形樹脂を作成する方法や、懸濁重合法により樹脂を合成した後、スプレ−ドライ法等により水分を除去し、固形樹脂を作成する方法がある。
【0030】
ここに使用するアクリル樹脂の硬化剤としては、アクリル樹脂中の反応極性基がグリシジル基の場合には、多官能カルボキシル基含有化合物;セバチン酸、ドデカンジカルボン酸等や、多官能酸無水物等と組み合わせ使用することができる。
【0031】
また、アクリル樹脂の反応極性基が水酸基や、水酸基とカルボキシル基の組み合わせによる場合には、ブロックイソシアネート樹脂、メラミン樹脂等を硬化剤として使用することができる。
【0032】
ブロックイソシアネート樹脂としては、イソシアネートモノマーとしてのヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等をトリメチロールプロパンに付加し、樹脂化したイソシアネート樹脂や、多官能化したイソシアネート樹脂、水添し多官能化したイソシアネート樹脂に、カプロラクトンや、オキシム類でブロックしたブロックイソシアネート樹脂が使用できる。
【0033】
これらのブロックイソシアネート樹脂を粉体塗料用原料として使用するためには、樹脂粒子の安定性を確保するためには、ブロックイソシアネート樹脂単体でも固形になる樹脂が好ましく、イソホロンジイソシアネートをモノマーとした樹脂をε−カプロラクタムでブロックしたブロックイソシアネート樹脂等が好ましい。しかし、液状の硬化剤でも、添加配合量、顔料の配合量、あるいは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂のガラス転移温度の高い樹脂との組み合わせによっては、使用することができる。
【0034】
また、ポリエステル樹脂としては、カルボン酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1、12−ドデカンジカルボン酸、1,2−オクタデカンジカルボン酸、アイサコサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、あるいはこれらの低級アルキルエステル及び無水物、あるいはリンゴ酸、酒石酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等を用いることができる。
【0035】
また、アルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を用いることができる。
【0036】
ポリエステル樹脂は、上記酸成分とアルコール成分を原料として、粉体塗料用ポリエステル樹脂製造の常法によって製造することができる。
【0037】
例えば、上記のような原料から適当な組み合わせの原料、配合を選択し、常法によって200〜280℃の温度でエステル化またはエステル交換反応を行った後、5hPa以下に減圧し、230〜290℃で、触媒存在下に重縮合反応を行って高重合度の樹脂にした後、アルコール成分で解重合反応を行いポリエステル樹脂とすることができる。
【0038】
これらポリエステル樹脂の架橋硬化には、前記ブロックイソシアネート樹脂を使用することが好ましく、その場合ポリエステル樹脂の水酸基とブロックイソシアネート樹脂の反応に寄与する潜在的イソシアネート基の比率は、NCO/OH比で0.6〜1.2が好ましく、0.8〜1.0が更に好ましい。
【0039】
本発明に用いる樹脂粒子は、顔料を含まないクリヤー塗料用樹脂粒子から、着色顔料を含んだ着色塗料用樹脂粒子、あるいは艶消し顔料を含んだ艶消し塗料用樹脂粒子にすること、あるいは磁性顔料を含んだ磁性塗料用樹脂粒子、導電性顔料を含んだ導電性塗料用樹脂粒子にすること等、任意に顔料を加えることができる。
【0040】
上記の樹脂、硬化剤に対し、塗膜成分として、着色顔料や防錆顔料、その他の機能を与えるための添加剤等を加えることが有効である。
【0041】
これらの着色顔料としては、黄色酸化鉄、チタン黄、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛白、硫化亜鉛、酸化アンチモン等の無機系顔料や、ハンザイエロー5G、パーマネントエローFGL、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーRS、パーマネントレッドF5RK、ブリリアントファーストスカーレットG、パリオゲンレッド3910等の有機顔料等がある。
【0042】
この他に、塗膜の光沢値を調節したり、塗膜の堅さを調節したりする目的で体質顔料として、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、シリカ粉、微粉珪酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト等を添加することもできる。
【0043】
塗膜のツヤの調整方法として樹脂粒子中にツヤ消し用顔料を加えることも可能である。
【0044】
また、樹脂粒子を2種類以上混合し、樹脂粒子間の相溶性や反応速度の差でツヤを調整することもできる。また、アクリル樹脂、フッ素樹脂の微粒子などもツヤ消し用顔料と同様にツヤを調整したり、摩擦抵抗を低下させる機能を付与する目的で加えることもできる。
【0045】
これら各種顔料の樹脂粒子中への添加量は、通常PWCで0.5%〜60%程度であるが、クリヤー塗料のように全く添加しない場合もある。逆に顔料の添加量が多い場合、特に吸油量の高い顔料の場合、塗膜を形成する場合に塗膜の平滑性が損なわれる。
【0046】
また、粉体塗料の表面張力の調整や、紫外線の透過吸収を調整するための紫外線吸収剤、樹脂の酸化防止剤、硬化反応の調整のための硬化促進触媒等を樹脂粒子内に含有させることもできる。
【0047】
これらの樹脂粒子の配合原料は、殆ど固形原料として供給されるが、一部少量の配合原料は液状や溶液状態で添加することもできる。
【0048】
粉体塗料の塗膜意匠の調色は、この原料配合時に添加する顔料の組合せと添加量を選択して行う。
【0049】
この樹脂粒子中の顔料の組合せと配合添加量によって塗膜となった時の色彩が決定されるが、これには、経験とデータの蓄積を要する。
【0050】
この色彩の決定には、予め試行錯誤で配合量を決定するが、粉体塗料化のための溶融練合時の練合・分散シェアーの加わり具合や、練合滞留時間などの顔料の分散程度によって、顔料の発色度合いが微妙に異なる。
【0051】
この結果、塗膜を形成した時、最終目的とする色彩と微妙に異なることが多い。
【0052】
このように、異なった色彩となった時、粉体塗料では、溶剤型塗料と同じように、粉体塗料の原色でもって調色をし直すことができない。
【0053】
この主な理由は、溶剤型塗料の場合には、その中に含まれる顔料の大きさが0.5μm以下で、塗膜を形成した時、顔料の集合体として視覚には見えず、均一な塗膜として見える。
【0054】
このため、白色の溶剤型塗料に黒色の溶剤型塗料を混合して均一な灰色塗膜を形成することができる。
【0055】
しかし、粉体塗料の場合には、樹脂粒子の大きさが1つの範囲の色として塗膜では見える。
【0056】
白色の粉体塗料に黒色の粉体塗料を混合して塗膜を形成すると、白色と黒色の斑点状の塗膜ができる。斑点の大きさは、粉体塗料を構成する樹脂粒子の大きさと樹脂粒子の溶融、流展性、混合によって決定される。
【0057】
平均粒子径20μmの樹脂粒子よりなる通常の粉体塗料の場合、このように混合した塗膜では、白い斑点と黒い斑点で配合比率の多い色の塗膜中に、配合比率の少ない粉体塗料の色が20μm内外の斑点となって塗膜が形成される。
【0058】
この斑点は、粉体塗料の樹脂粒子を、平均粒子径3μm以下にしても、その混合する粉体塗料の樹脂粒子より形成する塗膜の色差が大きい場合には、斑点として認知される。
【0059】
通常、混合する粉体塗料の色差は、10以下であることが必要であり、原色粉体塗料で調色することは不可能である。
【0060】
この結果、近似色の粉体塗料を、目標の色毎に赤味、青味、白味、黒味等多数の補正用塗料を大量に準備して調整する必要がある。
【0061】
このため、繰り返し作成、供給する粉体塗料では、準備をして、微調色をすることも可能であるが、1回限りの出荷の粉体塗料や、初回の粉体塗料では、このように準備して調整することも不可能である。
【0062】
このような場合には、試行錯誤を繰り返した後、粉体塗料を作成し、でき上がった塗膜の意匠が目標とする塗膜の意匠と多少異なっても、近似色として使用せざるを得ないのが現状である。
【0063】
これに対して、目的とする意匠に一致させた粉体塗料を供給すれば、仕上がる塗膜の意匠のバラツキも少なく、均一な塗膜を形成することができる。
【0064】
この微調色を簡単に手際良く実施する調色方法を本発明で提供する。
【0065】
本発明では、粉体塗料の樹脂粒子の周囲に着色顔料を添加して、粉体塗料の塗膜を形成させる時、樹脂粒子の溶融、流展と同時に周囲の顔料も樹脂中に溶融・湿潤させて取り込み、均一な塗膜を形成する。
【0066】
この着色顔料の平均粒子径が1μm以下であれば、塗膜中では、斑点状には見えず、均一にみえる。この最大粒子径は、平均粒子径5μm程度までは差し障りないが、これよりも大きくなると、顔料と樹脂粒子の色差が大きいほど斑点として目立ち、均一な塗膜は形成できなくなる。
【0067】
樹脂粒子の内部に加えうる着色顔料の添加量は、通常の粉体塗料との相異はなく、無機顔料の場合0.5〜40重量%、有機顔料で0.1〜20重量%であるが、この樹脂粒子に対して、樹脂粒子の周囲に加える無機顔料での添加量は、通常0.1〜10重量%、有機顔料の添加量は、通常0.01〜5重量%であり、併用する場合には中間の添加量となる。
【0068】
これは、樹脂粒子が成膜温度に加熱され塗膜を形成する時、着色顔料が樹脂粒子の樹脂に湿潤し均一に取り込まれるため、添加量が多い場合には、湿潤が不十分になり、塗膜の光沢値が低下する。また、塗膜の平滑性も劣る傾向になる。
【0069】
このため、樹脂粒子中の顔料添加量が少ない程、樹脂粒子を構成する樹脂の溶融粘度が小さい程、極性基が多く湿潤性が大きいほど、樹脂粒子の外部に加える顔料も多く添加することが可能になり、微調整の範囲が広くなる。
【0070】
無機顔料の樹脂粒子外部への添加量は、樹脂粒子に対して、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下で、顔料の吸油量、比表面積が大きい有機顔料の場合には、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下の添加量である。
【0071】
これらの粉体塗料の原料は、配合後、溶融練合法により、樹脂や顔料を均一に混合分散し、冷却し、樹脂ペレットを製造する。この樹脂ペレットを粉砕して粉体塗料用樹脂粒子を製造、再調色し(本発明の方法を行い)、更に樹脂粒子表面特性の調整をして、粉体塗料にする。
【0072】
以下、本発明の粉体塗料の製造工程を記すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0073】
(1)樹脂粒子の構成原料を配合・混合する工程
(2)配合・混合した樹脂粒子の原料を、その軟化温度以上の温度で溶融練合し、分散均一化する工程
(3)溶融練合し、均一化した樹脂ペレットを粗砕する工程
(4)粗砕した樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する工程
(5)所定の粒度分布に分級する工程
(6)樹脂粒子に着色顔料や艶消し剤を加え、塗膜意匠を再調色する工程
(7)樹脂粒子表面の特性を調整し粉体塗料にする工程
【0074】
この粉体塗料を塗装機に搬送して塗装する。また、通常塗装時のオーバースプレー粉末は、回収して塗装時に再使用する。
【0075】
(1)樹脂粒子の原料を混合配合する工程は、固形の樹脂原料を中心に着色顔料、硬化剤、添加剤、更に必要によっては一部液状原料を、できるだけ均一に混合する。
【0076】
このための装置としては、粉体原料を混合する通常の装置、フラッシュミキサー、スクリューミキサー、コニカルブレンダ、Vミキサー、タンブリングミキサー、ジェットミキサー、ニーダー、リボンミキサー等が使用できる。これらの装置で混合配合し、できるだけ均一にすることが好ましい。
【0077】
次に、(2)混合配合した樹脂粒子の原料を、軟化温度以上の温度で溶融練合し均一化する工程を行う。この工程は、樹脂粒子の原料である固形の樹脂原料、着色顔料、硬化剤、添加剤などを数μm以下に均一に混合することを目的とする。樹脂原料や硬化剤は、輸送や配合時の取り扱いを容易にする目的と、粉塵の舞い上がりを防止するため、数mm程度のペレットに加工されている。このペレットを破砕し数百μm程度の混合物にした原料を、軟化温度以上に加温して機械的に練合する。
【0078】
このための装置としては、ロールミル、スクリューニーダー、マーラー、ニーダー等が使用できる。特に好ましい装置としては、作業性、取り扱い易さよりロールミル、スクリューニーダーである。
【0079】
これは、溶融練合後、練合物を速やかに装置より排出して冷却することができるためである。これは、特に架橋型粉体塗料の場合、樹脂粒子中に硬化剤を含み、本工程で均一に混合するが、この時、軟化温度以上に加熱し、練合する時の滞留時間が長くなると、樹脂の一部が反応し、塗膜を形成する時平滑にならなかったり、光沢不足の欠陥を生じ易い。このため、一方向から供給し他方から連続的に排出する装置が適する。
【0080】
次に(3)溶融練合し、均一化した原料を粗砕する工程に入る。この工程は、溶融練合の工程でできる樹脂粒子の原料は、そのままでは塊状になるため、これを次の粉砕、分級工程を容易にするため、樹脂ペレットに粗砕する。
【0081】
装置の例としてはリングロールミル、エッジランナー、ロールクラッシャ、ディスインテグレータ、ハンマクラッシャ、インペラブレーカ、ジャイレトリークラッシャ、ジョウクラッシャ等がある。
【0082】
通常、粗砕した樹脂ペレットは、粉砕機に供給し、粉砕、分級の工程(4)、(5)を経て所定の粒度分布の樹脂粒子にする。
【0083】
粗砕した樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する装置としては、ハンマクラッシャ、ターボクラッシャ、エアージェットミル等がある。
【0084】
所定の粒度分布範囲の樹脂粒子のみで構成する粉体塗料に分級する分級機としては、網による篩い分け装置や、エアー流による分級機がある。
【0085】
この樹脂粒子を塗装、塗膜を形成して意匠の確認をする。
【0086】
できる塗膜の意匠が最初に目標とした標準板等と一致することは希で、通常色の補正をすることが必要となる。
【0087】
この色の補正は、測色計を備えたコンピューターで計測、計算し補正顔料を添加する。
【0088】
添加後、フラッシュミキサー、コニカルブレンダ、Vミキサー、タンブリングミキサー、ジェットミキサー等で混合配合し、できるだけ均一に樹脂粒子表面に着色顔料を付着させる。
【0089】
着色顔料は、樹脂粒子と混合、撹拌することによって、樹脂粒子の摩擦帯電や擦り合いによって樹脂粒子表面に均一に付着する。
【0090】
再調色用の着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対して、通常、無機顔料で10重量%以下、有機顔料で5重量%以下、好ましくは、無機顔料で8重量%以下、有機顔料で3重量%以下である。
【0091】
樹脂粒子が塗装後、加熱によって溶融する時、樹脂粒子表面に付着している着色顔料が樹脂粒子内部に取り込まれ、樹脂粒子が互いに融着しあって、均一な塗膜を形成する。
【0092】
この取り込む着色顔料の最大量は、樹脂粒子の溶融軟化時の粘度低下や顔料に対する湿潤性、着色顔料の粒子表面積、吸油量、湿潤性等によって制限される。
【0093】
通常の粉体塗料の樹脂粒子、軟化温度が70℃〜130℃、最低溶融粘度40Pa・sの粉体塗料の樹脂粒子の場合、吸油量18のチタン白で樹脂粒子に対して20重量%程度、吸油量24の酸化鉄黄色で10重量%程度、吸油量26のシアニンブルー顔料で5重量%程度、カ−ボンブラックで3重量%程度である。
【0094】
再調色に加える着色顔料や艶調整剤の添加量が少ない場合、あるいは、添加量が0の場合は、通常の粉体塗料の樹脂粒子の特性そのままで、塗装後、加熱によって融着し均一な塗膜を容易に形成する。
【0095】
再調色に加える着色顔料や艶調整剤の添加量が多い場合には、樹脂粒子と樹脂粒子の間に、熱によって溶融しない層が、この層内に樹脂粒子の樹脂や添加剤等が浸透し、樹脂粒子に取り込む量を越すことになる。樹脂粒子内に取り込み、樹脂粒子と樹脂粒子が互いに均一になれば、塗膜表面の着色顔料も樹脂粒子内に同じように取り込まれ塗膜外観(光沢、艶感等)は良好に仕上がる。
【0096】
しかし、限界を越して添加量が多い場合は、樹脂粒子の内部に取り込まれない部分が残る。この残る量が少ない場合には、塗膜の光沢、艶の低下程度の現象で留まるが、添加量が多くなると、樹脂粒子が互いに融着しなくなり樹脂粒子が、溶融しない顔料層の内部で、独立した状態のまま、溶融、硬化し塗膜を形成しなくなる。
【0097】
このような状態では、被塗装物表面に顔料粒子が付着したような状態で、塗膜の機能は発揮できない。
【0098】
このため、再調色用の着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対して、通常、無機顔料で10重量%以下、有機顔料で5重量%以下であり、添加量が少なくなればなるほど樹脂粒子の調色の精度が向上するので好ましい。
【0099】
再調色用の着色顔料、艶調整剤等の組合せは、如何様でもよい。
【0100】
また、再調色用の着色顔料、艶調整剤等にワックス類などの溶融、湿潤助剤を加えることや、樹脂粒子の内部に予めこれらの溶融、湿潤剤や流展助剤を加えることもできる。
【0101】
特に、再調色用の着色顔料、艶調整剤等が、樹脂粒子のブロッキング現象を防止するように作用するため、樹脂粒子内部に加える流展助剤の添加量も、通常の粉体塗料の樹脂粒子に加える量よりも多く添加することができる。
【0102】
このように再調色した樹脂粒子は、次ぎに表面調整剤等を加え、樹脂粒子の表面特性を変化させる処理をする。
【0103】
この表面処理で、流動性改質剤としてのポリオレフィン系微粉末や、ワックス類、アルミナゾルやシリカゾルなどがある。
【0104】
また、帯電性改質のため樹脂粒子表面を、アミン塩や、アミノシラン処理したシリカゾルなどで処理することもできる。
【0105】
粉体塗料用樹脂の軟化温度との関係もあるが、例えば、樹脂粒子の軟化温度が40〜60℃と低温で、塗布膜厚が粒度分布の平均粒子径の2〜5倍の場合、良好な意匠塗膜を形成できる。
【0106】
特にメタリック粉体塗料の場合には、平均粒子径が50μm以下、好ましくは10〜50μmの光輝顔料が樹脂粒子に対して、通常0.5〜20重量%加えられ、更に再調色することになる。
【0107】
着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対し、通常、無機顔料で最大10重量%、有機顔料で最大5重量%となるが、塗膜の光沢値が光輝顔料によって低下していることが通常の塗膜外観であるため、支障はない。
【0108】
この理由は、通常メタリック塗膜は、光輝顔料の添加量にもよるが1コート塗装で使用することは少ない。この光輝顔料塗膜の上にクリヤー塗膜を塗装して使用する。
【0109】
自動車外板や、自動車部品、オートバイ部品、二輪車、弱電製品、装飾品など、従来、溶剤型塗料を塗装した製品について、粉体塗料でも同一塗膜外観を得るため、平均粒子径を10〜25μm程度にし、塗布膜厚を30〜60μm程度にした場合、溶剤型塗料の塗膜と同じように平滑で均一な良好な意匠の塗膜を形成することができる。
【0110】
粉体塗料の焼付温度も溶剤型塗料の焼付温度と殆ど差がない温度である150℃〜130℃程度である。
【0111】
このようにしてできた粉体塗料は、通常の塗装方法である静電塗装装置、流動浸漬塗装装置、摩擦帯電塗装装置等によって通常の塗装方法で塗装ができる。
【0112】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例中、部は重量部を示す。
【0113】
<実施例1〜7>
軟化温度120℃、酸価=45のポリエステル樹脂32部とエポキシ当量=560のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂32部、チタン顔料25部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーに投入し、更にフラッシュミキサーで均一に混合した。溶融練合機として2軸スクリューニーダーを125℃に加温して溶融練合機の出口先端で、2本ロール冷却機で圧延冷却し、その先にハンマクラッシャを設置して練合と粗砕を行い、樹脂ペレットを作成した。
【0114】
この樹脂ペレットを粉砕機で粉砕し、更に分級機で平均粒子径20μmの樹脂粒子を作成した。作成した樹脂粒子を、以下「ポリエステル樹脂 白」と称す。
【0115】
この樹脂粒子100部に各種着色顔料を表1のように加え、フラッシュミキサーで短時間混合した。
【0116】
更に、微細シリカを0.3部配合し、フラッシュミキサーで短時間混合した。
【0117】
このエポキシ/ポリエステル樹脂系上塗粉体塗料を、燐酸亜鉛で表面処理した薄板軟鋼板に、コロナ帯電方式の静電塗装機で膜厚50μmになるよう塗装した。
【0118】
この被塗装物を予め200℃に加熱した焼付炉で15分焼付た。
【0119】
この被塗装物の塗膜表面は、仕上り外観が良好で、光沢値、色等も表1のようであった。
【0120】
この被塗装物にナイフで基材に達する切り傷を付け、塩水噴霧試験器で200時間の耐食性試験を実施した。
【0121】
その結果、被塗装物のサビ幅は1mm以下で塗膜に全く異常がなかった。
【0122】
<実施例8>
メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート6部、グリシジルメタクリレート33部とアゾイソブチロニトリル1部を均一に溶解し、滴下槽よりキシロール100部を仕込み120℃に加温した攪拌しつつある反応槽に、1時間で滴下し、2時間保持した。その後、更にアゾイソブチロニトリル0.3部加え、150℃に約4時間保持して重合反応させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液から減圧乾燥機で溶剤を除去し、固形のアクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂は軟化温度約55℃、エポキシ当量=430、分子量約7000であった。
【0123】
このアクリル樹脂66部、ドデカンジカルボン酸16部、表面調整剤1部と流展性付与剤3部、フタロシアニンブルー3部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーにを配合し、その後、実施例1の操作と同様に溶融練合し、圧延、冷却、粗砕してアクリル樹脂粉体塗料ペレットを作成した。
【0124】
この樹脂ペレット100部を粉砕分級機であるエアージェットミルに供給し、粉砕と同時に回転式分級機で平均粒子径15μmのアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子を作成した。
【0125】
このアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子97部に有機顔料のマルーンを1部加えフラッシュミキサーで短時間混合し、更に、通常のパール顔料3部とアルミナエアロゾル0.5部を加え均一に混合し、アクリル樹脂系ブルーメタリック粉体塗料を作成した。
【0126】
この粉体塗料を、燐酸亜鉛で表面処理した薄板軟鋼板に、摩擦帯電塗装機で膜厚40μmになるように塗装し、150℃で20分焼付けて塗膜を形成した。
【0127】
この塗膜は、極めて良好なメタリック感で欠陥が無く仕上がった。
【0128】
<実施例9>
メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート6部、グリシジルメタクリレート33部とアゾイソブチロニトリル1部を均一に溶解し、滴下槽よりキシロール100部を仕込み120℃に加温した攪拌しつつある反応槽に、1時間で滴下し、2時間保持した。その後、更にアゾイソブチロニトリル0.3部加え、150℃に約4時間保持して重合反応させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液から減圧乾燥機で溶剤を除去し、固形のアクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂は軟化温度約55℃、エポキシ当量=430、分子量約7000であった。
【0129】
このアクリル樹脂66部、ドデカンジカルボン酸16部、表面調整剤1部と流展性付与剤3部、フタロシアニンブルー3部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーにを配合し、その後、実施例1の操作と同様に溶融練合し、圧延、冷却、粗砕してアクリル樹脂粉体塗料ペレットを作成した。
【0130】
この樹脂ペレット100部を粉砕分級機であるエアージェットミルに供給し、粉砕と同時に回転式分級機で平均粒子径15μmのアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子を作成した。
【0131】
この粉体塗料を摩擦帯電塗装機で膜厚60μmになるように塗装し、150℃で20分焼付けて塗膜を形成した。
【0132】
【表1】
【0133】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料の調色方法は、粉体塗料としての樹脂粒子を形成した後、補正用の顔料を、樹脂粒子の外部に、樹脂粒子を覆うように加え、塗装後、塗膜を加熱成膜させる時、溶融した樹脂でこの顔料を塗膜中に取り込み、固定することによって、粉体塗料の樹脂粒子中の顔料と、後添加した顔料の併用で均一に発色させることで従来の方法のような労力や弊害を最小限に抑制し、簡単な操作によって、粉体塗料の色を微調整することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体塗料の調色方法に関し、より詳しくは、粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合することによる粉体塗料の調色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年環境問題等で有機溶剤の大気中への拡散を防止すべく、有機溶剤を使用しない塗装システムとして粉体塗料が広く使用されるようになってきた。
【0003】
この用途が、従来のパイプ塗装、構造物塗装などの厚く塗装する防食塗装の分野から、自動車、自動車部品、オートバイ、二輪車、弱電製品、装飾品などと幅広い色彩・意匠の分野に薄膜美装用粉体塗料として使用されるようになり、更には焼付条件も低温で短時間というように従来の溶剤型塗料と同程度以上の特性を要求されるようになってきた。
【0004】
特に、従来の溶剤型塗料で塗装している分野、例えば自動車の外板や外装建材、電気機器の美装塗膜のように、粉体塗料の塗膜の意匠を一定の意匠に正確に調色する必要が生じてきた。
【0005】
従来から、粉体塗料は、その構成樹脂粒子の内部に加える顔料の種類と添加量によって色彩・意匠を決定している。このため、溶剤型塗料の調色のように、各原色塗料や色だねを予め作成しておいて、後で、これらの原色塗料や色だねを添加混合して調色して目的の色彩・意匠等に調整することが困難であり、原料成分の配合時点において、試行錯誤の繰り返しで、顔料の組合せと、その添加量を決定した後、樹脂ペレットを作成し、粉砕・分級して粉体塗料を作成する必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、初めて遭遇した色彩・意匠については、顔料の選定・組合せ、添加量の決定等に多大の時間と労力が必要であった。
【0007】
また、一度粉体塗料として微粉にした樹脂粒子では、目的の意匠と多少異なった意匠であっても、もはや手直しをすることは容易ではない。
【0008】
この手直しとしては、粉体塗料の樹脂粒子を予め、色合いの異なるものを数種類作成しておいて、混合する調色方法や、樹脂粒子を熱によって融着させ、樹脂ペレット化して、溶融練合機で処理し易くしておいて、この樹脂ペレットに後補正の顔料を加えて、再度溶融練合し、樹脂ペレット化、粉砕・分級によって粉体塗料とする方法がある。
【0009】
しかし、前者の方法では、色の近い、色相の少し異なる多量の粉体塗料を準備しておく必要がある。また、色相が極めて近い粉体塗料でなく、色相の異なる粉体塗料の樹脂粒子を混合して塗装、成膜させると、塗膜に微細な斑点が目視で認められ、実用上、大きな問題となる。
【0010】
また、粉体塗料の樹脂粒子が微細なため、溶融再練合によって、この樹脂粒子を樹脂原料と同じように、新しく顔料を加えて調整する方法も、樹脂粒子の流動性が低いため、そのままでは、溶融練合機に原料として投入することができない。このため、後者の方法のように、樹脂ペレットまで加工する必要があり、このための加熱と、再度溶融練合による加熱で、樹脂粒子内部の主剤と硬化剤の反応が進行し、樹脂の分子量が大きくなり、溶融時の樹脂の流展性が悪くなる。この結果、塗膜の平滑性が低下したり、塗膜の光沢値が低下して、塗膜外観が悪くなるなどの問題点があった。
【0011】
粉体塗料でもメタリック粉体塗料の場合には、粉体塗料の樹脂粒子とは別に粉体塗料用光輝顔料を配合して1つの粉体塗料を形成させる。
【0012】
このメタリック粉体塗料は、光輝顔料と樹脂粒子の帯電特性が異なるため、塗装機で塗装するとき、メタリック粉体塗料の組成と被塗装物に塗着した光輝顔料と樹脂粒子の組成が異なる場合が多い。
【0013】
光輝顔料の粒子径は数十μmと粉体塗料の樹脂粒子の粒子径と近いが、光輝顔料がアルミニウム金属や、雲母のように樹脂粒子と帯電特性が異なるため、被塗装物に塗着する比率に差が発生する。この結果、粉体塗料を塗装しオーバースプレーした樹脂粒子を回収、再使用していると、樹脂粒子と光輝顔料の配合比率が変化し形成する塗膜の色彩、特にメタリック感が変化する。
【0014】
この改良方法として、光輝顔料の表面に樹脂層を厚く形成し、帯電性を樹脂粒子の帯電性と近似させる方法や、光輝顔料と樹脂粒子を接着してしまうボンディング法などがある。
【0015】
メタリック粉体塗料の場合には、樹脂粒子によって形成される塗膜の中に、大きい光輝顔料が含まれ、この光輝顔料の粒子が粒子として認識されることによってメタリック感を発揮している。
【0016】
したがって、塗膜の中に斑点状に光輝顔料が存在しても、何ら違和感がなく、むしろ大きい光輝顔料による、輝くメタリック感を要求する傾向が強い。
【0017】
しかしながら、プライマー粉体塗料や中塗粉体塗料、着色粉体塗料、カラークリヤー粉体塗料、メタリック粉体塗料など、予め樹脂粒子に調色調整した粉体塗料では、この粉体塗料の色相を変えることは、極めて困難であった。
【0018】
本発明は、このような労力や弊害を最小限に抑制し、簡単な操作によって、粉体塗料の色を微調整する調色方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、粉体塗料としての樹脂粒子を形成した後、補正用の顔料を、樹脂粒子の外部に、樹脂粒子を覆うように加え、塗装後、塗膜を加熱成膜させる時、溶融した樹脂でこの顔料を塗膜中に取り込み、固定することによって、粉体塗料の樹脂粒子中の顔料と、後添加した顔料の併用で均一に発色させることで上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
即ち、本発明の粉体塗料の調色方法は、粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合して調色することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の粉体塗料の調色方法は、上記調色方法において、平均粒子径5〜50μmの粉体塗料の樹脂粒子に対して、平均粒子径0.01〜1.0μmの着色顔料を混合して調色することを特徴とする。粉体塗料は、通常、樹脂粒子を帯電させて被塗装物に塗着させる。この際、樹脂粒子は気流で搬送するが、5μmより小さい樹脂粒子は、被塗装物への静電引力よりも気流の搬送力が大きく働くため被塗装物に塗着し難い。また、塗着しても体積当たりの表面積が多く、電荷の蓄積は早く多くなり、樹脂粒子の荷電の静電反発力が薄い膜厚から始まる。
このため、細かい樹脂粒子は薄膜塗装には適しているが、実用上は5μm以上が塗装作業性、膜厚形成等で好ましい。また、平均粒子径50μmを超えると、上記と逆に樹脂粒子の加重に対して帯電量が少なく、厚膜塗装には適するが、薄膜で平滑な塗膜を形成する目的には適さない。
【0022】
また、本発明の粉体塗料の調色方法は、上記調色方法において、粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部混合して調色することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この粉体塗料の調色方法について述べる。
【0024】
本発明で用いられる樹脂粒子に使用する樹脂としては、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、ABS樹脂、ノボラック樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等が使用でき、少なくとも1種以上、必要によっては、任意の配合比率に組み合わせ使用することができる。
【0025】
更に必要なら、通常の塗料に使用する架橋剤としては、多塩基酸、酸無水物、アミノ化合物、グリシジル基含有化合物、アミノブラスト樹脂、ジシアンジアミド、ブロックイソシアネート樹脂、酸ヒドラジド等が使用できる。
【0026】
樹脂粒子の樹脂原料としての、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂などの主なものは次のようである。
【0027】
アクリル樹脂を構成するアクリル系モノマーとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、アリルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、トリメチロールプロパンアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル酸及びアクリル酸エステルモノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ソーダ等のメタクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマーを挙げることができる。
【0028】
更に該アクリル系モノマーに加えて、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のビニルモノマーを共重合成分として用いることができる。また、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を共重合成分として用いることができる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとして、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を共重合成分として用いることができる。
【0029】
樹脂化の重合方法は、通常の溶液重合法により高分子量の樹脂を合成した後、薄膜加熱減圧法等によって溶媒を除去回収し固形樹脂を作成する方法や、懸濁重合法により樹脂を合成した後、スプレ−ドライ法等により水分を除去し、固形樹脂を作成する方法がある。
【0030】
ここに使用するアクリル樹脂の硬化剤としては、アクリル樹脂中の反応極性基がグリシジル基の場合には、多官能カルボキシル基含有化合物;セバチン酸、ドデカンジカルボン酸等や、多官能酸無水物等と組み合わせ使用することができる。
【0031】
また、アクリル樹脂の反応極性基が水酸基や、水酸基とカルボキシル基の組み合わせによる場合には、ブロックイソシアネート樹脂、メラミン樹脂等を硬化剤として使用することができる。
【0032】
ブロックイソシアネート樹脂としては、イソシアネートモノマーとしてのヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等をトリメチロールプロパンに付加し、樹脂化したイソシアネート樹脂や、多官能化したイソシアネート樹脂、水添し多官能化したイソシアネート樹脂に、カプロラクトンや、オキシム類でブロックしたブロックイソシアネート樹脂が使用できる。
【0033】
これらのブロックイソシアネート樹脂を粉体塗料用原料として使用するためには、樹脂粒子の安定性を確保するためには、ブロックイソシアネート樹脂単体でも固形になる樹脂が好ましく、イソホロンジイソシアネートをモノマーとした樹脂をε−カプロラクタムでブロックしたブロックイソシアネート樹脂等が好ましい。しかし、液状の硬化剤でも、添加配合量、顔料の配合量、あるいは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂のガラス転移温度の高い樹脂との組み合わせによっては、使用することができる。
【0034】
また、ポリエステル樹脂としては、カルボン酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1、12−ドデカンジカルボン酸、1,2−オクタデカンジカルボン酸、アイサコサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、あるいはこれらの低級アルキルエステル及び無水物、あるいはリンゴ酸、酒石酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等を用いることができる。
【0035】
また、アルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を用いることができる。
【0036】
ポリエステル樹脂は、上記酸成分とアルコール成分を原料として、粉体塗料用ポリエステル樹脂製造の常法によって製造することができる。
【0037】
例えば、上記のような原料から適当な組み合わせの原料、配合を選択し、常法によって200〜280℃の温度でエステル化またはエステル交換反応を行った後、5hPa以下に減圧し、230〜290℃で、触媒存在下に重縮合反応を行って高重合度の樹脂にした後、アルコール成分で解重合反応を行いポリエステル樹脂とすることができる。
【0038】
これらポリエステル樹脂の架橋硬化には、前記ブロックイソシアネート樹脂を使用することが好ましく、その場合ポリエステル樹脂の水酸基とブロックイソシアネート樹脂の反応に寄与する潜在的イソシアネート基の比率は、NCO/OH比で0.6〜1.2が好ましく、0.8〜1.0が更に好ましい。
【0039】
本発明に用いる樹脂粒子は、顔料を含まないクリヤー塗料用樹脂粒子から、着色顔料を含んだ着色塗料用樹脂粒子、あるいは艶消し顔料を含んだ艶消し塗料用樹脂粒子にすること、あるいは磁性顔料を含んだ磁性塗料用樹脂粒子、導電性顔料を含んだ導電性塗料用樹脂粒子にすること等、任意に顔料を加えることができる。
【0040】
上記の樹脂、硬化剤に対し、塗膜成分として、着色顔料や防錆顔料、その他の機能を与えるための添加剤等を加えることが有効である。
【0041】
これらの着色顔料としては、黄色酸化鉄、チタン黄、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛白、硫化亜鉛、酸化アンチモン等の無機系顔料や、ハンザイエロー5G、パーマネントエローFGL、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーRS、パーマネントレッドF5RK、ブリリアントファーストスカーレットG、パリオゲンレッド3910等の有機顔料等がある。
【0042】
この他に、塗膜の光沢値を調節したり、塗膜の堅さを調節したりする目的で体質顔料として、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、シリカ粉、微粉珪酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト等を添加することもできる。
【0043】
塗膜のツヤの調整方法として樹脂粒子中にツヤ消し用顔料を加えることも可能である。
【0044】
また、樹脂粒子を2種類以上混合し、樹脂粒子間の相溶性や反応速度の差でツヤを調整することもできる。また、アクリル樹脂、フッ素樹脂の微粒子などもツヤ消し用顔料と同様にツヤを調整したり、摩擦抵抗を低下させる機能を付与する目的で加えることもできる。
【0045】
これら各種顔料の樹脂粒子中への添加量は、通常PWCで0.5%〜60%程度であるが、クリヤー塗料のように全く添加しない場合もある。逆に顔料の添加量が多い場合、特に吸油量の高い顔料の場合、塗膜を形成する場合に塗膜の平滑性が損なわれる。
【0046】
また、粉体塗料の表面張力の調整や、紫外線の透過吸収を調整するための紫外線吸収剤、樹脂の酸化防止剤、硬化反応の調整のための硬化促進触媒等を樹脂粒子内に含有させることもできる。
【0047】
これらの樹脂粒子の配合原料は、殆ど固形原料として供給されるが、一部少量の配合原料は液状や溶液状態で添加することもできる。
【0048】
粉体塗料の塗膜意匠の調色は、この原料配合時に添加する顔料の組合せと添加量を選択して行う。
【0049】
この樹脂粒子中の顔料の組合せと配合添加量によって塗膜となった時の色彩が決定されるが、これには、経験とデータの蓄積を要する。
【0050】
この色彩の決定には、予め試行錯誤で配合量を決定するが、粉体塗料化のための溶融練合時の練合・分散シェアーの加わり具合や、練合滞留時間などの顔料の分散程度によって、顔料の発色度合いが微妙に異なる。
【0051】
この結果、塗膜を形成した時、最終目的とする色彩と微妙に異なることが多い。
【0052】
このように、異なった色彩となった時、粉体塗料では、溶剤型塗料と同じように、粉体塗料の原色でもって調色をし直すことができない。
【0053】
この主な理由は、溶剤型塗料の場合には、その中に含まれる顔料の大きさが0.5μm以下で、塗膜を形成した時、顔料の集合体として視覚には見えず、均一な塗膜として見える。
【0054】
このため、白色の溶剤型塗料に黒色の溶剤型塗料を混合して均一な灰色塗膜を形成することができる。
【0055】
しかし、粉体塗料の場合には、樹脂粒子の大きさが1つの範囲の色として塗膜では見える。
【0056】
白色の粉体塗料に黒色の粉体塗料を混合して塗膜を形成すると、白色と黒色の斑点状の塗膜ができる。斑点の大きさは、粉体塗料を構成する樹脂粒子の大きさと樹脂粒子の溶融、流展性、混合によって決定される。
【0057】
平均粒子径20μmの樹脂粒子よりなる通常の粉体塗料の場合、このように混合した塗膜では、白い斑点と黒い斑点で配合比率の多い色の塗膜中に、配合比率の少ない粉体塗料の色が20μm内外の斑点となって塗膜が形成される。
【0058】
この斑点は、粉体塗料の樹脂粒子を、平均粒子径3μm以下にしても、その混合する粉体塗料の樹脂粒子より形成する塗膜の色差が大きい場合には、斑点として認知される。
【0059】
通常、混合する粉体塗料の色差は、10以下であることが必要であり、原色粉体塗料で調色することは不可能である。
【0060】
この結果、近似色の粉体塗料を、目標の色毎に赤味、青味、白味、黒味等多数の補正用塗料を大量に準備して調整する必要がある。
【0061】
このため、繰り返し作成、供給する粉体塗料では、準備をして、微調色をすることも可能であるが、1回限りの出荷の粉体塗料や、初回の粉体塗料では、このように準備して調整することも不可能である。
【0062】
このような場合には、試行錯誤を繰り返した後、粉体塗料を作成し、でき上がった塗膜の意匠が目標とする塗膜の意匠と多少異なっても、近似色として使用せざるを得ないのが現状である。
【0063】
これに対して、目的とする意匠に一致させた粉体塗料を供給すれば、仕上がる塗膜の意匠のバラツキも少なく、均一な塗膜を形成することができる。
【0064】
この微調色を簡単に手際良く実施する調色方法を本発明で提供する。
【0065】
本発明では、粉体塗料の樹脂粒子の周囲に着色顔料を添加して、粉体塗料の塗膜を形成させる時、樹脂粒子の溶融、流展と同時に周囲の顔料も樹脂中に溶融・湿潤させて取り込み、均一な塗膜を形成する。
【0066】
この着色顔料の平均粒子径が1μm以下であれば、塗膜中では、斑点状には見えず、均一にみえる。この最大粒子径は、平均粒子径5μm程度までは差し障りないが、これよりも大きくなると、顔料と樹脂粒子の色差が大きいほど斑点として目立ち、均一な塗膜は形成できなくなる。
【0067】
樹脂粒子の内部に加えうる着色顔料の添加量は、通常の粉体塗料との相異はなく、無機顔料の場合0.5〜40重量%、有機顔料で0.1〜20重量%であるが、この樹脂粒子に対して、樹脂粒子の周囲に加える無機顔料での添加量は、通常0.1〜10重量%、有機顔料の添加量は、通常0.01〜5重量%であり、併用する場合には中間の添加量となる。
【0068】
これは、樹脂粒子が成膜温度に加熱され塗膜を形成する時、着色顔料が樹脂粒子の樹脂に湿潤し均一に取り込まれるため、添加量が多い場合には、湿潤が不十分になり、塗膜の光沢値が低下する。また、塗膜の平滑性も劣る傾向になる。
【0069】
このため、樹脂粒子中の顔料添加量が少ない程、樹脂粒子を構成する樹脂の溶融粘度が小さい程、極性基が多く湿潤性が大きいほど、樹脂粒子の外部に加える顔料も多く添加することが可能になり、微調整の範囲が広くなる。
【0070】
無機顔料の樹脂粒子外部への添加量は、樹脂粒子に対して、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下で、顔料の吸油量、比表面積が大きい有機顔料の場合には、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下の添加量である。
【0071】
これらの粉体塗料の原料は、配合後、溶融練合法により、樹脂や顔料を均一に混合分散し、冷却し、樹脂ペレットを製造する。この樹脂ペレットを粉砕して粉体塗料用樹脂粒子を製造、再調色し(本発明の方法を行い)、更に樹脂粒子表面特性の調整をして、粉体塗料にする。
【0072】
以下、本発明の粉体塗料の製造工程を記すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0073】
(1)樹脂粒子の構成原料を配合・混合する工程
(2)配合・混合した樹脂粒子の原料を、その軟化温度以上の温度で溶融練合し、分散均一化する工程
(3)溶融練合し、均一化した樹脂ペレットを粗砕する工程
(4)粗砕した樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する工程
(5)所定の粒度分布に分級する工程
(6)樹脂粒子に着色顔料や艶消し剤を加え、塗膜意匠を再調色する工程
(7)樹脂粒子表面の特性を調整し粉体塗料にする工程
【0074】
この粉体塗料を塗装機に搬送して塗装する。また、通常塗装時のオーバースプレー粉末は、回収して塗装時に再使用する。
【0075】
(1)樹脂粒子の原料を混合配合する工程は、固形の樹脂原料を中心に着色顔料、硬化剤、添加剤、更に必要によっては一部液状原料を、できるだけ均一に混合する。
【0076】
このための装置としては、粉体原料を混合する通常の装置、フラッシュミキサー、スクリューミキサー、コニカルブレンダ、Vミキサー、タンブリングミキサー、ジェットミキサー、ニーダー、リボンミキサー等が使用できる。これらの装置で混合配合し、できるだけ均一にすることが好ましい。
【0077】
次に、(2)混合配合した樹脂粒子の原料を、軟化温度以上の温度で溶融練合し均一化する工程を行う。この工程は、樹脂粒子の原料である固形の樹脂原料、着色顔料、硬化剤、添加剤などを数μm以下に均一に混合することを目的とする。樹脂原料や硬化剤は、輸送や配合時の取り扱いを容易にする目的と、粉塵の舞い上がりを防止するため、数mm程度のペレットに加工されている。このペレットを破砕し数百μm程度の混合物にした原料を、軟化温度以上に加温して機械的に練合する。
【0078】
このための装置としては、ロールミル、スクリューニーダー、マーラー、ニーダー等が使用できる。特に好ましい装置としては、作業性、取り扱い易さよりロールミル、スクリューニーダーである。
【0079】
これは、溶融練合後、練合物を速やかに装置より排出して冷却することができるためである。これは、特に架橋型粉体塗料の場合、樹脂粒子中に硬化剤を含み、本工程で均一に混合するが、この時、軟化温度以上に加熱し、練合する時の滞留時間が長くなると、樹脂の一部が反応し、塗膜を形成する時平滑にならなかったり、光沢不足の欠陥を生じ易い。このため、一方向から供給し他方から連続的に排出する装置が適する。
【0080】
次に(3)溶融練合し、均一化した原料を粗砕する工程に入る。この工程は、溶融練合の工程でできる樹脂粒子の原料は、そのままでは塊状になるため、これを次の粉砕、分級工程を容易にするため、樹脂ペレットに粗砕する。
【0081】
装置の例としてはリングロールミル、エッジランナー、ロールクラッシャ、ディスインテグレータ、ハンマクラッシャ、インペラブレーカ、ジャイレトリークラッシャ、ジョウクラッシャ等がある。
【0082】
通常、粗砕した樹脂ペレットは、粉砕機に供給し、粉砕、分級の工程(4)、(5)を経て所定の粒度分布の樹脂粒子にする。
【0083】
粗砕した樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する装置としては、ハンマクラッシャ、ターボクラッシャ、エアージェットミル等がある。
【0084】
所定の粒度分布範囲の樹脂粒子のみで構成する粉体塗料に分級する分級機としては、網による篩い分け装置や、エアー流による分級機がある。
【0085】
この樹脂粒子を塗装、塗膜を形成して意匠の確認をする。
【0086】
できる塗膜の意匠が最初に目標とした標準板等と一致することは希で、通常色の補正をすることが必要となる。
【0087】
この色の補正は、測色計を備えたコンピューターで計測、計算し補正顔料を添加する。
【0088】
添加後、フラッシュミキサー、コニカルブレンダ、Vミキサー、タンブリングミキサー、ジェットミキサー等で混合配合し、できるだけ均一に樹脂粒子表面に着色顔料を付着させる。
【0089】
着色顔料は、樹脂粒子と混合、撹拌することによって、樹脂粒子の摩擦帯電や擦り合いによって樹脂粒子表面に均一に付着する。
【0090】
再調色用の着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対して、通常、無機顔料で10重量%以下、有機顔料で5重量%以下、好ましくは、無機顔料で8重量%以下、有機顔料で3重量%以下である。
【0091】
樹脂粒子が塗装後、加熱によって溶融する時、樹脂粒子表面に付着している着色顔料が樹脂粒子内部に取り込まれ、樹脂粒子が互いに融着しあって、均一な塗膜を形成する。
【0092】
この取り込む着色顔料の最大量は、樹脂粒子の溶融軟化時の粘度低下や顔料に対する湿潤性、着色顔料の粒子表面積、吸油量、湿潤性等によって制限される。
【0093】
通常の粉体塗料の樹脂粒子、軟化温度が70℃〜130℃、最低溶融粘度40Pa・sの粉体塗料の樹脂粒子の場合、吸油量18のチタン白で樹脂粒子に対して20重量%程度、吸油量24の酸化鉄黄色で10重量%程度、吸油量26のシアニンブルー顔料で5重量%程度、カ−ボンブラックで3重量%程度である。
【0094】
再調色に加える着色顔料や艶調整剤の添加量が少ない場合、あるいは、添加量が0の場合は、通常の粉体塗料の樹脂粒子の特性そのままで、塗装後、加熱によって融着し均一な塗膜を容易に形成する。
【0095】
再調色に加える着色顔料や艶調整剤の添加量が多い場合には、樹脂粒子と樹脂粒子の間に、熱によって溶融しない層が、この層内に樹脂粒子の樹脂や添加剤等が浸透し、樹脂粒子に取り込む量を越すことになる。樹脂粒子内に取り込み、樹脂粒子と樹脂粒子が互いに均一になれば、塗膜表面の着色顔料も樹脂粒子内に同じように取り込まれ塗膜外観(光沢、艶感等)は良好に仕上がる。
【0096】
しかし、限界を越して添加量が多い場合は、樹脂粒子の内部に取り込まれない部分が残る。この残る量が少ない場合には、塗膜の光沢、艶の低下程度の現象で留まるが、添加量が多くなると、樹脂粒子が互いに融着しなくなり樹脂粒子が、溶融しない顔料層の内部で、独立した状態のまま、溶融、硬化し塗膜を形成しなくなる。
【0097】
このような状態では、被塗装物表面に顔料粒子が付着したような状態で、塗膜の機能は発揮できない。
【0098】
このため、再調色用の着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対して、通常、無機顔料で10重量%以下、有機顔料で5重量%以下であり、添加量が少なくなればなるほど樹脂粒子の調色の精度が向上するので好ましい。
【0099】
再調色用の着色顔料、艶調整剤等の組合せは、如何様でもよい。
【0100】
また、再調色用の着色顔料、艶調整剤等にワックス類などの溶融、湿潤助剤を加えることや、樹脂粒子の内部に予めこれらの溶融、湿潤剤や流展助剤を加えることもできる。
【0101】
特に、再調色用の着色顔料、艶調整剤等が、樹脂粒子のブロッキング現象を防止するように作用するため、樹脂粒子内部に加える流展助剤の添加量も、通常の粉体塗料の樹脂粒子に加える量よりも多く添加することができる。
【0102】
このように再調色した樹脂粒子は、次ぎに表面調整剤等を加え、樹脂粒子の表面特性を変化させる処理をする。
【0103】
この表面処理で、流動性改質剤としてのポリオレフィン系微粉末や、ワックス類、アルミナゾルやシリカゾルなどがある。
【0104】
また、帯電性改質のため樹脂粒子表面を、アミン塩や、アミノシラン処理したシリカゾルなどで処理することもできる。
【0105】
粉体塗料用樹脂の軟化温度との関係もあるが、例えば、樹脂粒子の軟化温度が40〜60℃と低温で、塗布膜厚が粒度分布の平均粒子径の2〜5倍の場合、良好な意匠塗膜を形成できる。
【0106】
特にメタリック粉体塗料の場合には、平均粒子径が50μm以下、好ましくは10〜50μmの光輝顔料が樹脂粒子に対して、通常0.5〜20重量%加えられ、更に再調色することになる。
【0107】
着色顔料の添加量は、樹脂粒子に対し、通常、無機顔料で最大10重量%、有機顔料で最大5重量%となるが、塗膜の光沢値が光輝顔料によって低下していることが通常の塗膜外観であるため、支障はない。
【0108】
この理由は、通常メタリック塗膜は、光輝顔料の添加量にもよるが1コート塗装で使用することは少ない。この光輝顔料塗膜の上にクリヤー塗膜を塗装して使用する。
【0109】
自動車外板や、自動車部品、オートバイ部品、二輪車、弱電製品、装飾品など、従来、溶剤型塗料を塗装した製品について、粉体塗料でも同一塗膜外観を得るため、平均粒子径を10〜25μm程度にし、塗布膜厚を30〜60μm程度にした場合、溶剤型塗料の塗膜と同じように平滑で均一な良好な意匠の塗膜を形成することができる。
【0110】
粉体塗料の焼付温度も溶剤型塗料の焼付温度と殆ど差がない温度である150℃〜130℃程度である。
【0111】
このようにしてできた粉体塗料は、通常の塗装方法である静電塗装装置、流動浸漬塗装装置、摩擦帯電塗装装置等によって通常の塗装方法で塗装ができる。
【0112】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例中、部は重量部を示す。
【0113】
<実施例1〜7>
軟化温度120℃、酸価=45のポリエステル樹脂32部とエポキシ当量=560のビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂32部、チタン顔料25部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーに投入し、更にフラッシュミキサーで均一に混合した。溶融練合機として2軸スクリューニーダーを125℃に加温して溶融練合機の出口先端で、2本ロール冷却機で圧延冷却し、その先にハンマクラッシャを設置して練合と粗砕を行い、樹脂ペレットを作成した。
【0114】
この樹脂ペレットを粉砕機で粉砕し、更に分級機で平均粒子径20μmの樹脂粒子を作成した。作成した樹脂粒子を、以下「ポリエステル樹脂 白」と称す。
【0115】
この樹脂粒子100部に各種着色顔料を表1のように加え、フラッシュミキサーで短時間混合した。
【0116】
更に、微細シリカを0.3部配合し、フラッシュミキサーで短時間混合した。
【0117】
このエポキシ/ポリエステル樹脂系上塗粉体塗料を、燐酸亜鉛で表面処理した薄板軟鋼板に、コロナ帯電方式の静電塗装機で膜厚50μmになるよう塗装した。
【0118】
この被塗装物を予め200℃に加熱した焼付炉で15分焼付た。
【0119】
この被塗装物の塗膜表面は、仕上り外観が良好で、光沢値、色等も表1のようであった。
【0120】
この被塗装物にナイフで基材に達する切り傷を付け、塩水噴霧試験器で200時間の耐食性試験を実施した。
【0121】
その結果、被塗装物のサビ幅は1mm以下で塗膜に全く異常がなかった。
【0122】
<実施例8>
メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート6部、グリシジルメタクリレート33部とアゾイソブチロニトリル1部を均一に溶解し、滴下槽よりキシロール100部を仕込み120℃に加温した攪拌しつつある反応槽に、1時間で滴下し、2時間保持した。その後、更にアゾイソブチロニトリル0.3部加え、150℃に約4時間保持して重合反応させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液から減圧乾燥機で溶剤を除去し、固形のアクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂は軟化温度約55℃、エポキシ当量=430、分子量約7000であった。
【0123】
このアクリル樹脂66部、ドデカンジカルボン酸16部、表面調整剤1部と流展性付与剤3部、フタロシアニンブルー3部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーにを配合し、その後、実施例1の操作と同様に溶融練合し、圧延、冷却、粗砕してアクリル樹脂粉体塗料ペレットを作成した。
【0124】
この樹脂ペレット100部を粉砕分級機であるエアージェットミルに供給し、粉砕と同時に回転式分級機で平均粒子径15μmのアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子を作成した。
【0125】
このアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子97部に有機顔料のマルーンを1部加えフラッシュミキサーで短時間混合し、更に、通常のパール顔料3部とアルミナエアロゾル0.5部を加え均一に混合し、アクリル樹脂系ブルーメタリック粉体塗料を作成した。
【0126】
この粉体塗料を、燐酸亜鉛で表面処理した薄板軟鋼板に、摩擦帯電塗装機で膜厚40μmになるように塗装し、150℃で20分焼付けて塗膜を形成した。
【0127】
この塗膜は、極めて良好なメタリック感で欠陥が無く仕上がった。
【0128】
<実施例9>
メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート6部、グリシジルメタクリレート33部とアゾイソブチロニトリル1部を均一に溶解し、滴下槽よりキシロール100部を仕込み120℃に加温した攪拌しつつある反応槽に、1時間で滴下し、2時間保持した。その後、更にアゾイソブチロニトリル0.3部加え、150℃に約4時間保持して重合反応させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液から減圧乾燥機で溶剤を除去し、固形のアクリル樹脂を得た。このアクリル樹脂は軟化温度約55℃、エポキシ当量=430、分子量約7000であった。
【0129】
このアクリル樹脂66部、ドデカンジカルボン酸16部、表面調整剤1部と流展性付与剤3部、フタロシアニンブルー3部、表面調整剤6部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、硬化促進剤1部をスクリューミキサーにを配合し、その後、実施例1の操作と同様に溶融練合し、圧延、冷却、粗砕してアクリル樹脂粉体塗料ペレットを作成した。
【0130】
この樹脂ペレット100部を粉砕分級機であるエアージェットミルに供給し、粉砕と同時に回転式分級機で平均粒子径15μmのアクリル樹脂粉体塗料の樹脂粒子を作成した。
【0131】
この粉体塗料を摩擦帯電塗装機で膜厚60μmになるように塗装し、150℃で20分焼付けて塗膜を形成した。
【0132】
【表1】
【0133】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料の調色方法は、粉体塗料としての樹脂粒子を形成した後、補正用の顔料を、樹脂粒子の外部に、樹脂粒子を覆うように加え、塗装後、塗膜を加熱成膜させる時、溶融した樹脂でこの顔料を塗膜中に取り込み、固定することによって、粉体塗料の樹脂粒子中の顔料と、後添加した顔料の併用で均一に発色させることで従来の方法のような労力や弊害を最小限に抑制し、簡単な操作によって、粉体塗料の色を微調整することが可能となる。
Claims (4)
- 粉体塗料の樹脂粒子に着色顔料を混合して調色することを特徴とする粉体塗料の調色方法。
- 平均粒子径5〜50μmの粉体塗料の樹脂粒子に対して、平均粒子径0.01〜1.0μmの着色顔料を混合して調色することを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料の調色方法。
- 粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部混合して調色することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体塗料の調色方法。
- 粉体塗料の樹脂粒子100重量部に対して、着色顔料を0.01〜10重量部、平均粒子径が50μm以下の光輝顔料を0.5〜20重量部混合して調色することを特徴とする請求項3に記載の粉体塗料の調色方法。
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